説明

電池ホルダ

【課題】 電池ホルダの省スペース化および低コスト化を図る。
【解決手段】 本発明に係る電池ホルダ1は、第1保持部材10のプレート部11と、第2保持部材20と、固定保持部材30の保持部31および一対のアーム部32a,32bとに囲まれてボタン電池5を収容可能な収容空間S1が形成され、プレート部11と第2保持部材20とに挟まれるとともに保持部31と一対のアーム部32a,32bとに挟まれた状態で、ボタン電池が収容空間S1内に収容保持されるように構成されており、第1保持部材10および第2保持部材20が導電材料を用いて形成されるとともに、固定保持部材30が絶縁樹脂を用いて形成されて、第1保持部材10と第2保持部材20とが互いに絶縁状態となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン電池やコイン電池といった円盤形電池用の電池ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電池やコイン電池は、カメラや腕時計等といった小型電子機器用の電源として広く用いられており、このような電池を保持するための電池ホルダも多く考案されている(例えば、特許文献1を参照)。ボタン電池用の電池ホルダは、例えば、図5に示すように、絶縁樹脂を用いて形成されたケース部材201と、ケース部材201に固定された+極端子片202および−極端子片203とから構成される。ケース部材201は、上方(平面側)に開口した有底円筒状に形成され、このケース部材201の内部に上方からボタン電池210を収容可能な収容室204が形成される。また、ケース部材201の上部には、ボタン電池210が収容室204から上方に飛び出すのを規制する爪部205が形成される。
【0003】
+極端子片202と−極端子片203は、導電性の板バネ片を用いて形成され、それぞれケース部材201の所定箇所に固定される。このうち、+極端子片202の一端側は、収容室204の側方に達して、収容室204に収容されたボタン電池210の一方の底面および側面に露出する+電極211に弾性変形した状態で接触するようになっている。また、−極端子片203は、収容室204の底面中央に達して、ボタン電池210の他方の底面に露出する−電極212に弾性変形した状態で接触するようになっている。一方、+極端子片202と−極端子片203の他端は、ケース部材201の底面と同一平面となるように引き出される。このような電池ホルダ200は、例えば、プリント基板上に実装されるようになっている。
【0004】
しかしながら、上述のような従来の電池ホルダ200では、ケース部材201が絶縁樹脂を用いて形成されるため、必要な強度を確保するためにケース部材201の肉部をある程度厚くする必要があり、電池ホルダが大きくなって電子機器等に設けられる電池ホルダの占有スペースが大きくなる一因となっていた。また、ケース部材201の形状が複雑になるため、金型のコスト等が上昇してケース部材201のコストが高くなり、電池ホルダのコストが上昇する一因となっていた。
【0005】
そこで、本出願の発明者は、図6に示すような電池ホルダ250を考案した。この電池ホルダ250は、ボタン電池210の+電極211と接触可能なプレート部252およびアーム部253を有する第1保持部材251と、ボタン電池210の−電極212と弾性変形した状態で接触可能な第2保持部材254と、第2保持部材254をプレート部252と対向するように第1保持部材251に固定保持する固定保持部材255とを主体に構成され、ボタン電池210を収容空間S10内に収容保持するようになっている。
【0006】
そして、第1保持部材251および第2保持部材254が導電材料を用いて形成されるとともに、固定保持部材255が絶縁樹脂を用いて形成されて、第1保持部材251と第2保持部材255とが互いに絶縁状態となるように構成されている。このようにすれば、第1保持部材251および第2保持部材254の材料として強度の高い導電材料(例えば金属材料)を用いることで、第1保持部材251および第2保持部材254を薄くすることができ、電池ホルダの省スペース化が可能になる。
【特許文献1】特開2002−313299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このような電池ホルダ250では、ボタン電池210を上下逆に、すなわち、+および−電極211,212を逆向きにして収容空間S10内に挿入すると、側面の+電極211が第1保持部材251のアーム部253に接触するとともに、−電極212が第1保持部材251のプレート部252に接触するため、回路がショート(短絡)してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、電池ホルダの省スペース化および低コスト化を図ることを目的とする。また、本発明は、円盤形電池を逆向きに挿入しても回路がショート(短絡)しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的達成のため、本発明に係る電池ホルダは、一方の底面に一方の電極(例えば、実施形態における+電極6)が設けられるとともに他方の底面に他方の電極(例えば、実施形態における−電極7)が設けられた円盤形電池(例えば、実施形態におけるボタン電池5)を収容保持するための電池ホルダであって、円盤形電池の一方の底面に接触する板状のプレート部を有した第1保持部材と、円盤形電池の他方の底面に弾性変形した状態で接触する第2保持部材と、プレート部の基端側に配設されて、第2保持部材をプレート部と対向するように第1保持部材に固定保持する保持部および、保持部の先端側に互いに対向するようにそれぞれ形成されて、円盤形電池の側面に弾性変形した状態で接触する一対のアーム部を有する固定保持部材とを備えて構成される。
【0010】
そして、このような構成の電池ホルダにおいて、プレート部、第2保持部材、保持部、および一対のアーム部に囲まれて円盤形電池を収容可能な収容空間が形成され、プレート部と第2保持部材とに挟まれるとともに保持部と一対のアーム部とに挟まれた状態で、円盤形電池が収容空間内に収容保持されるように構成されており、第1保持部材および第2保持部材が導電材料を用いて形成されるとともに、固定保持部材が絶縁樹脂を用いて形成されて、第1保持部材と第2保持部材とが互いに絶縁状態となるように構成される。さらに、第2保持部材の先端部に、円盤形電池の他方の底面に接触する接触端子部(例えば、実施形態における第2接触端子部21)が二股に分かれて形成され、プレート部を吸着保持可能な吸着治具をプレート部と対向する第2保持部材の方から少なくとも二股の接触端子部の内側に通過させて収容空間内へ挿入可能に構成される。なお、上述の発明において、円盤形電池とは、ボタン電池やコイン電池等、円盤形の形状を有する電池のことをいう。
【0011】
なお、上述の発明において、円盤形電池の側面に、一方あるいは他方の電極が設けられていてもよい。
【0012】
また、上述の発明において、プレート部における第2保持部材と対向する面と反対側の面に、絶縁テープが貼り付けられていることが好ましい。
【0013】
さらに、上述の発明において、プレート部において吸着治具に吸着される被吸着部を避けた部分に、円盤形電池の一方の底面に弾性変形した状態で接触する第2の接触端子部(例えば、実施形態における第1接触端子部13)が形成されていることが好ましい。
【0014】
また、上述の発明において、プレート部の先端側に、収容空間内に収容保持された円盤形電池が一対のアーム部先端の間隙部から外方に離脱するのを規制するストッパ部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1保持部材および第2保持部材が導電材料を用いて形成されるとともに、固定保持部材が絶縁樹脂を用いて形成されるため、第1保持部材および第2保持部材に電池を保持する機能と接触端子としての機能とを兼用させることができる。そして、第1保持部材および第2保持部材が絶縁樹脂よりも強度の高い導電材料(例えば金属材料)を用いて形成されることで、第1保持部材および第2保持部材を薄くすることができることから、電池ホルダの省スペース化が可能になる。
【0016】
また、導電材料を用いて形成された第1保持部材および第2保持部材を利用して収容空間が形成されるため、絶縁樹脂を用いて形成された固定保持部材の形状を小型化することが可能となり、金型のコスト等を低減させることができることから、電池ホルダの低コスト化が可能になる。さらに、プレート部を吸着保持可能な吸着治具を二股の接触端子部の内側に通過させて収容空間内へ挿入可能に構成されるため、吸着治具を用いて電池ホルダを搬送することが可能になり、電池ホルダの搬送を容易に行うことができる。
【0017】
また、円盤形電池の側面に一方あるいは他方の電極が設けられていても、絶縁樹脂を用いて形成された固定保持部材に、円盤形電池の側面に弾性変形した状態で接触する一対のアーム部が設けられているため、円盤形電池の挿入する向きに拘わらず、いずれかの電極を有する円盤形電池の側面には、常に絶縁性を有するアーム部が接触することから、円盤形電池を逆向きに挿入したときに回路がショート(短絡)してしまうことを防止することが可能になる。
【0018】
さらに、プレート部における第2保持部材と対向する面と反対側の面に、絶縁テープが貼り付けられることで、例えば電池ホルダをプリント基板上に実装したときに、プレート部とプリント基板との間に絶縁テープが挟まれるため、導電性を有するプレート部を介してプリント基板の回路がショート(短絡)してしまうことを防止することができる。
【0019】
また、プレート部において吸着治具に吸着される被吸着部を避けた部分に、円盤形電池の一方の底面に弾性変形した状態で接触する第2の接触端子部が形成されることで、吸着治具を収容空間内に挿入可能にしつつ、プレート部(接触端子部)と円盤形電池の一方の底面との接触が瞬間的に遮断されてしまうのを防止することができる。
【0020】
さらに、プレート部の先端側に、収容空間内に収容保持された円盤形電池が一対のアーム部先端の間隙部から外方に離脱するのを規制するストッパ部が形成されることで、電池ホルダから円盤形電池が脱落してしまうのをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明に係る電池ホルダ1を図1に示している。この電池ホルダ1は、図1に示すように、第1保持部材10と、第2保持部材20と、固定保持部材30とを主体に構成され、ボタン電池5(図4(b)を参照)を収容空間S1内に収容保持するようになっている。なお、図4(b)に示すように、ボタン電池5は円盤形の形状を有しており、一方の底面(下側の底面)から側面にかけて+電極6が露出して設けられるとともに、他方の底面(上側の底面)に−電極7が露出して設けられている。
【0022】
第1保持部材10は、図1〜図4に示すように、燐青銅等の導電性を有する金属板材を用いて平板状に形成され、板状のプレート部11を主体に構成される。また、第1保持部材10の表面には、所定のメッキ処理が施される。なお、本実施形態において、説明容易化のため、図2における左方向を電池ホルダ1の左方向とするとともに、図2における下方向を電池ホルダ1の前方向とし、図2における手前方向を電池ホルダ1の上方向とする。そして、電池ホルダ1の向きはこのような向きに限定されないのは勿論のことである。
【0023】
プレート部11は板状に形成されており、上面がボタン電池5の一方の底面(+電極6側の底面)と接触するようになっている。図3に示すように、プレート部11の左右後端部に嵌合突起部12が上方へ延びるように形成されており、固定保持部材30の嵌合穴33にそれぞれ圧入嵌合するようになっている。
【0024】
図1および図3に示すように、プレート部11の中央部左右には、板状の第1接触端子部13が斜め後ろ上方に切り起こし形成されており、ボタン電池5の一方の底面(+電極6側の底面)に下方へ弾性変形した状態で接触するようになっている。これにより、第1接触端子部13が弾性力を受けた状態でボタン電池5の一方の底面に接触するため、プレート部11(第1接触端子部13)とボタン電池5の一方の底面との接触が瞬間的に遮断されてしまうのを防止することができる。
【0025】
図1および図4に示すように、プレート部11の前端部中央には、ストッパ部14が上方へ突出するように形成されており、収容空間S1内に収容保持されたボタン電池5が固定保持部材30に形成された左右のアーム部32a,32b先端の(後述する左右のガイド部38a,38b同士の)間隙部から外方(前方)に離脱するのを規制するようになっている。これにより、電池ホルダ1からボタン電池5が脱落してしまうのをより確実に防止することができる。また、図1および図3に示すように、プレート部11の左右前部には第1端子突起部15が左右方向へ延びて形成されており、プレート部11(電池ホルダ1)の下側に位置するプリント基板(図示せず)に半田付けされるようになっている。
【0026】
なお、図3の二点鎖線で示すように、プレート部11の下面、すなわち、プレート部11における第2保持部材20と対向する面と反対側の面に、プレート部11より少し小さい長方形の絶縁テープ40が貼り付けられている。これにより、電池ホルダ1をプリント基板上に実装したときに、プレート部11とプリント基板との間に絶縁テープ40が挟まれるため、導電性を有するプレート部11を介してプリント基板の回路がショート(短絡)してしまうことを防止することができる。なおこのとき、プリント基板に半田付けされる第1端子突起部15、および第2保持部材20に形成される第2端子突起部22の下面側は、絶縁テープ40が貼り付けられずに露出している。
【0027】
第2保持部材20は、図1および図2に示すように、燐青銅等の導電性を有する金属板材を用いて、前後方向に延びる板状に形成され、先端側(前側)がプレート部11と対向するように構成される。第2保持部材20の先端部(前端部)には、第2接触端子部21が二股に分かれて形成されており、図4(b)に示すように、第2保持部材20が上方に弾性変形した状態でボタン電池5の−電極7に接触するようになっている。第2保持部材20の基端側(後側)は、図4(a)に示すように、クランク状に下方へ折り曲げられて後方へ延びるように形成されており、第2保持部材20の基端部(後端部)に下面側がプリント基板(図示せず)に半田付けされる第2端子突起部22が形成されている。図2に示すように、第2保持部材20において上下方向に延びる部分の左右側部には、係合突起部23が形成されており、固定保持部材30の係合溝部35とそれぞれ係合するようになっている。
【0028】
固定保持部材30は、図1および図2に示すように、LCP(Liquid Crystal Polymer)樹脂等の絶縁樹脂を用いて平面視「コの字」形に形成され、略直方体形の保持部31と、保持部31の左右先端側に形成されて互いに対向する一対のアーム部32a,32bとを有して構成される。保持部31の下面側左右には、図3に示すように、嵌合穴33がそれぞれ上方へ延びるように形成されており、プレート部11の嵌合突起部12がそれぞれ下側から圧入嵌合することで、保持部31がプレート部11の基端部(後端部)に固定されるようになっている。
【0029】
図2に示すように、保持部31の後部中央には、溝状の第2保持部材固定部34が上下方向に延びて形成されており、第2保持部材固定部34の左右に形成された係合溝部35に第2保持部材20の係合突起部23をそれぞれ係合させることで、第2保持部材20が第2保持部材固定部34に固定されるようになっている。これにより、固定保持部材30の保持部31を利用して、第1保持部材10と第2保持部材20とが互いに絶縁状態で、第2保持部材20がプレート部11と対向するように第1保持部材10に固定保持される。また、固定保持部材30の前部中央には、ボタン電池5の側面の形状に合わせた曲面を有する電池接触部36が形成され、図4(b)に示すように、ボタン電池5が収容空間S1内に収容されるときに、ボタン電池5の側面に接触するようになっている。
【0030】
左アーム部32aは、図1および図2に示すように、保持部31の先端左側(前部左側)に前方へ延びるように形成されており、内側(右側)にはボタン電池5の側面に接触可能な曲面状の左接触部37aが形成されている。また、左アーム部32aは、弾性変形を利用してプレート部11の上面において左右へ揺動可能に構成されており、ボタン電池5が収容空間S1内に収容されるときに、ボタン電池5の側面に弾性変形した状態で接触するようになっている。左アーム部32aの先端部(前端部)には、左ガイド部38aが左接触部37aの先端より左前方(外方)へ延びる平面状に形成されており、ボタン電池5を収容空間S1内に挿入し易いようになっている。
【0031】
右アーム部32bは、左アーム部32aと対称的に、保持部31の先端右側(前部右側)に前方へ延びるように形成されており、図1に示すように、内側(左側)にはボタン電池5の側面に接触可能な曲面状の右接触部37bが形成されている。また、右アーム部32bは、弾性変形を利用してプレート部11の上面において左右へ揺動可能に構成されており、ボタン電池5が収容空間S1内に収容されるときに、ボタン電池5の側面に弾性変形した状態で接触するようになっている。右アーム部32bの先端部(前端部)には、右ガイド部38bが右接触部37bの先端より右前方(外方)へ延びる平面状に形成されており、ボタン電池5を収容空間S1内に挿入し易いようになっている。
【0032】
そして、第1保持部材10のプレート部11と、第2保持部材20と、固定保持部材30の保持部31および左右(一対)のアーム部32a,32bとに囲まれて、ボタン電池5を収容可能な収容空間S1が形成され、図4(b)に示すように、プレート部11と第2保持部材20とに挟まれるとともに保持部31と左右のアーム部32a,32bとに挟まれた状態で、ボタン電池5が収容空間S1内に収容保持されるようになっている。これにより、電池ホルダ1を用いてボタン電池5を収容空間S1内に収容保持することが可能なる。
【0033】
また、プレート部11は、真空ポンプ(図示せず)等と繋がる円柱形の吸着治具45(図3を参照)によって吸着保持可能に構成されており、この吸着治具45にプレート部11を吸着保持させることで電池ホルダ1が搬送されるようになっている。なお、吸着治具45にプレート部11を吸着させるときは、吸着治具45をプレート部11の上方、すなわち、プレート部11と対向する第2保持部材20の上方から、吸着治具45の一部を二股の第2接触端子部21の内側に通過させるようにして収容空間S1内へ挿入する。これにより、プレート部11が面する収容空間S1内へ吸着治具45を外部(電池ホルダ1の上方)から挿入できるため、吸着治具45を用いて電池ホルダ1を搬送することが可能になり、電池ホルダ1の搬送を容易に行うことができる。
【0034】
なお、図2の二点鎖線で示すように、プレート部11において吸着治具45に真空吸着される被吸着部46の領域は、プレート部11の略中央部に円形に形成される。また、前述した第1接触端子部13は、プレート部11における被吸着部46から後側に避けた部分に形成されるようになっている。これにより、吸着治具45を収容空間S1内に挿入可能にしつつ、プレート部11(第1接触端子部13)とボタン電池5の一方の底面との接触が瞬間的に遮断されてしまうのを防止することができる。
【0035】
以上のように構成される電池ホルダ1において、前述したように、第1保持部材10および第2保持部材20が導電材料を用いて形成されるとともに、固定保持部材30が絶縁樹脂を用いて形成され、第1保持部材10と第2保持部材20とが互いに絶縁状態となるように構成されている。そのため、第1保持部材10および第2保持部材20に、ボタン電池5を保持する機能と、ボタン電池5の+電極6および−電極7に接触する接触端子としての機能とを兼用させることができる。
【0036】
そして、第1保持部材10および第2保持部材20が絶縁樹脂よりも強度の高い導電材料(金属材料)を用いて形成されることで、第1保持部材10および第2保持部材20を薄く板状にすることができることから、電池ホルダ1の省スペース化が可能になる。また、導電材料を用いて形成された第1保持部材10および第2保持部材20を利用して収容空間S1が形成されるため、絶縁樹脂を用いて形成された固定保持部材30の形状を小型化することが可能となり、金型のコスト等を低減させることができることから、電池ホルダ1の低コスト化が可能になる。
【0037】
また、ボタン電池5の側面にも+電極6が設けられているが、左右のアーム部32a,32bが絶縁樹脂を用いて形成されているため、ボタン電池5の挿入する向きに拘わらず、+電極6を有するボタン電池5の側面には、常に絶縁性を有するアーム部32a,32bが接触することから、ボタン電池5を逆向きに挿入したときに回路がショート(短絡)してしまうことを防止することが可能になる。
【0038】
なお、電池ホルダ1は半田付け等によりプリント基板(図示せず)に実装された状態で使用に供される。ボタン電池5を電池ホルダ1に収容保持させるには、ボタン電池5を電池ホルダ1の前上方から左右のガイド部38a,38bに当接させて各アーム部32a,32bを押し広げるようにして収容空間S1内に挿入する。そうすると、図4(b)に示すように、第2保持部材20および左右のアーム部32a,32bの弾性変形を利用して、プレート部11と第2保持部材20とに挟まれるとともに、保持部31と左右のアーム部32a,32bとに挟まれた状態で、ボタン電池5が電池ホルダ1の収容空間S1内に収容保持される。このとき、第1保持部材10のプレート部11(および第1接触端子部13)がボタン電池5の+電極6に接触するとともに、第2保持部材20の第2接触端子部21がボタン電池5の−電極7に接触する。一方、ボタン電池5を電池ホルダ1の収容空間S1から取り出すには、ボタン電池5を収容空間S1内に挿入する場合と逆の動作を行えばよい。
【0039】
以上のような構成の電池ホルダ1によれば、第1保持部材10および第2保持部材20が導電材料を用いて形成されるとともに、固定保持部材30が絶縁樹脂を用いて形成されるため、第1保持部材10および第2保持部材20にボタン電池5を保持する機能と接触端子としての機能とを兼用させることができる。そして、第1保持部材10および第2保持部材20が絶縁樹脂よりも強度の高い導電材料(金属材料)を用いて形成されることで、第1保持部材10および第2保持部材20を薄くすることができることから、電池ホルダ1の省スペース化が可能になる。
【0040】
また、導電材料を用いて形成された第1保持部材10および第2保持部材20を利用して収容空間S1が形成されるため、絶縁樹脂を用いて形成された固定保持部材30の形状を小型化することが可能となり、金型のコスト等を低減させることができることから、電池ホルダ1の低コスト化が可能になる。さらに、プレート部11を吸着保持可能な吸着治具45を二股の第2接触端子部21の内側に通過させて収容空間S1内へ挿入可能に構成されるため、吸着治具45を用いて電池ホルダ1を搬送することが可能になり、電池ホルダ1の搬送を容易に行うことができる。
【0041】
また、ボタン電池5の側面に+電極6が設けられていても、絶縁樹脂を用いて形成された固定保持部材30に、ボタン電池5の側面に弾性変形した状態で接触する左右(一対)のアーム部32a,32bが設けられているため、ボタン電池5の挿入する向きに拘わらず、+電極6を有するボタン電池5の側面には、常に絶縁性を有するアーム部32a,32bが接触することから、ボタン電池5を逆向きに挿入したときに回路がショート(短絡)してしまうことを防止することが可能になる。
【0042】
さらに、プレート部11における第2保持部材20と対向する面と反対側の面に、絶縁テープ40が貼り付けられることで、例えば電池ホルダ1をプリント基板(図示せず)上に実装したときに、プレート部11とプリント基板との間に絶縁テープ40が挟まれるため、導電性を有するプレート部11を介してプリント基板の回路がショート(短絡)してしまうことを防止することができる。
【0043】
また、プレート部11において吸着治具45に吸着される被吸着部46を避けた部分に、ボタン電池5の一方の底面(+電極6)に弾性変形した状態で接触する第1接触端子部13が形成されることで、吸着治具45を収容空間S1内に挿入可能にしつつ、プレート部11(第1接触端子部13)とボタン電池5の一方の底面との接触が瞬間的に遮断されてしまうのを防止することができる。
【0044】
さらに、プレート部11の先端側に、収容空間S1内に収容保持されたボタン電池5が左右(一対)のアーム部32a,32b先端の間隙部から外方に離脱するのを規制するストッパ部14が形成されることで、電池ホルダ1からボタン電池5が脱落してしまうのをより確実に防止することができる。
【0045】
なお、上述の実施形態において、本発明に係る電池ホルダとしてボタン電池用の電池ホルダを例に説明しているが、これに限られるものではなく、例えばコイン電池等の円盤形電池を収容保持する電池ホルダであれば、本発明を適用することができる。また、ボタン電池には、酸化銀電池や空気亜鉛電池、アルカリボタン電池等があるが、いずれのボタン電池に対しても本発明を適用することができる。
【0046】
また、上述の実施形態において、第1保持部材10のプレート部11がボタン電池5の+電極6に接触するとともに、第2保持部材20がボタン電池5の−電極7に接触するように構成されているが、これに限られるものではなく、第1保持部材のプレート部が−電極に接触するとともに第2保持部材が+電極に接触するようにしてもよい。
【0047】
さらに、上述の実施形態において、円盤形電池(ボタン電池5)の一方の底面から側面にかけて+電極6が設けられるとともに、他方の底面に−電極7が設けられているが、これに限られるものではなく、円盤形電池の一方の底面にのみ+電極が設けられてもよい。また、円盤形電池の一方の底面から側面にかけて−電極が設けられるとともに、他方の底面に+電極が設けられてもよい。なおこのとき、円盤形電池の一方の底面にのみ−電極が設けられてもよい。
【0048】
また、上述の実施形態において、吸着治具45が円柱形に構成されているが、これに限られるものではなく、例えば、角柱形であってもよく、吸着治具をプレート部と対向する第2保持部材の方から収容空間内へ挿入可能に構成されていればよい。
【0049】
さらに、上述の実施形態において、プレート部11の下面に絶縁テープ40が貼り付けられているが、これに限られるものではなく、実装されるデバイスによっては、絶縁テープを貼り付けなくてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態において、プレート部11に、ボタン電池5の一方の底面(+電極6)に弾性変形した状態で接触する第1接触端子部13が形成されているが、これに限られるものではなく、この第1接触端子部を設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る電池ホルダの斜視図である。
【図2】電池ホルダの平面図である。
【図3】電池ホルダの底面図である。
【図4】(a)は電池ホルダの側断面図であり、(b)は電池ホルダにボタン電池が収容された状態を示す側断面図である。
【図5】従来の電池ホルダを示す側断面図である。
【図6】もう一つの従来の電池ホルダを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 電池ホルダ
5 ボタン電池(円盤形電池)
6 +電極(一方の電極)
7 −電極(他方の電極)
10 第1保持部材
11 プレート部
13 第1接触端子部(第2の接触端子部)
14 ストッパ部
20 第2保持部材
21 第2接触端子部(第1の接触端子部)
30 固定保持部材
31 保持部
32a 左アーム部
32b 右アーム部
40 絶縁テープ
45 吸着治具
46 被吸着部
S1 収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の底面に一方の電極が設けられるとともに他方の底面に他方の電極が設けられた円盤形電池を収容保持するための電池ホルダであって、
前記円盤形電池の一方の底面に接触する板状のプレート部を有した第1保持部材と、
前記円盤形電池の他方の底面に弾性変形した状態で接触する第2保持部材と、
前記プレート部の基端側に配設されて、前記第2保持部材を前記プレート部と対向するように前記第1保持部材に固定保持する保持部および、前記保持部の先端側に互いに対向するようにそれぞれ形成されて、前記円盤形電池の側面に弾性変形した状態で接触する一対のアーム部を有する固定保持部材とを備え、
前記プレート部、前記第2保持部材、前記保持部、および前記一対のアーム部に囲まれて前記円盤形電池を収容可能な収容空間が形成され、前記プレート部と前記第2保持部材とに挟まれるとともに前記保持部と前記一対のアーム部とに挟まれた状態で、前記円盤形電池が前記収容空間内に収容保持されるように構成され、
前記第1保持部材および前記第2保持部材が導電材料を用いて形成されるとともに、前記固定保持部材が絶縁樹脂を用いて形成されて、前記第1保持部材と前記第2保持部材とが互いに絶縁状態となるように構成されており、
前記第2保持部材の先端部に、前記円盤形電池の他方の底面に接触する接触端子部が二股に分かれて形成され、
前記プレート部を吸着保持可能な吸着治具を前記プレート部と対向する前記第2保持部材の方から少なくとも前記二股の前記接触端子部の内側に通過させて前記収容空間内へ挿入可能に構成されることを特徴とする電池ホルダ。
【請求項2】
前記円盤形電池の側面に、前記一方あるいは前記他方の電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池ホルダ。
【請求項3】
前記プレート部における前記第2保持部材と対向する面と反対側の面に、絶縁テープが貼り付けられていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の電池ホルダ。
【請求項4】
前記プレート部において前記吸着治具に吸着される被吸着部を避けた部分に、前記円盤形電池の一方の底面に弾性変形した状態で接触する第2の接触端子部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の電池ホルダ。
【請求項5】
前記プレート部の先端側に、前記収容空間内に収容保持された前記円盤形電池が前記一対のアーム部先端の間隙部から外方に離脱するのを規制するストッパ部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の電池ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−80615(P2007−80615A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265280(P2005−265280)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000115142)ユニオンマシナリ株式会社 (38)
【Fターム(参考)】