電池式時計
【課題】特定の作業者による電池交換が容易でありながら、一般ユーザが容易に電池交換できない電池式腕時計を提供する。
【解決手段】電池2を電源として使用する電池式時計1であって、底面および側面を有し、上部の開口を通じて、底面の第1位置および第2位置の間を移動可能に電池が収容される収容部15と、収容部15の開口縁から開口中心に張り出し、第1位置および第2位置に配置された電池2のプラス面2aに接触するプラス端子を有する電池固定板17と、底面に設けられ、電池2の前記マイナス面2bに接触し、電池2を開口側へ付勢するマイナス端子16と、電池固定板17の底面に対向する面に設けられ、第1位置に配置された電池2のプラス面2aに当接し、さらに電池2が第2位置に移動すると、第2位置に配置された電池2の側面2cに当接し、電池2を第2位置に固定するストッパー20とを備える。
【解決手段】電池2を電源として使用する電池式時計1であって、底面および側面を有し、上部の開口を通じて、底面の第1位置および第2位置の間を移動可能に電池が収容される収容部15と、収容部15の開口縁から開口中心に張り出し、第1位置および第2位置に配置された電池2のプラス面2aに接触するプラス端子を有する電池固定板17と、底面に設けられ、電池2の前記マイナス面2bに接触し、電池2を開口側へ付勢するマイナス端子16と、電池固定板17の底面に対向する面に設けられ、第1位置に配置された電池2のプラス面2aに当接し、さらに電池2が第2位置に移動すると、第2位置に配置された電池2の側面2cに当接し、電池2を第2位置に固定するストッパー20とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラス面およびマイナス面を有する電池式時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な時計においては、電池交換のため、電池の着脱が容易にできるようになっている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、例えば充電式の二次電池のように特殊な電池を利用する時計においては、電池交換の際に誤って指定以外の電池(例えば、一次電池など)が組み込まれないように、一般ユーザが容易に電池交換できない構造にすることが求められている。
【0003】
そこで、特殊電池を利用する場合には、例えば端子付きの電池を回路基板に直接ハンダ付けする構成や、電池をモジュール化して一般的な電池と形状を異ならせ、組み込めないようにする構成や、電池を組み込んだ後に、電池固定板などを組み込み、電池を簡単に取り外せないようにする構成などが採用されている。
【0004】
図11は、従来の電池の固定構造を示す図である。このように、ムーブメントホルダー42にムーブメント41が固定され、更にそのムーブメント41に回路基板43が固定されている。さらに、電池マイナス端子45が回路基板43とともにムーブメント41に固定され、電池支え44をムーブメントホルダー42に電池固定板46で固定する構造である。この構造において、コイン型の電池47は電池支え44と電池固定板46で固定される。
【0005】
電池固定板46は電池47のプラス面にコンタクトし、電池固定板46の一部は回路基板43に接続されている。電池マイナス端子45は、電池47のマイナス面にコンタクトし、電池47を電池固定板46の方向に押し上げるバネ構造で、その一部は回路基板43に接続されている。
【0006】
電池を組み込む際には、まず電池支え44を組み込み、その後電池47を組み込む。そして、電池47を上から押えるように、電池固定板46を組み込む。このため電池47を交換するためには、電池固定板46を外す必要がある。しかしながら、モジュールを時計ケースの中に組み込んだ状態で電池固定板46を外すことは容易ではないことから、一般ユーザが電池交換をすることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−227886号公報
【特許文献2】特開2003−227887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のように、端子付の電池を利用した場合や、電池をモジュール化した場合には電池サイズが大きく、モジュール全体が大きくなるという問題がある。さらに、コストが高くなるという問題も生じる。また、電池固定板などの構成が取り付けられており、簡単に取り外せない場合には、電池交換作業に手間がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特定の作業者による電池交換が容易でありながら、一般ユーザが容易に電池交換できない電池式時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、プラス面およびマイナス面を有する電池を電源として使用する電池式時計であって、底面および側面を有し、上部の開口を通じて、前記底面の第1位置および第2位置の間を移動可能に電池が収容される収容部と、前記収容部の開口縁から開口中心に張り出し、前記第1位置および前記第2位置に配置された前記電池の前記プラス面に接触するプラス端子を有する電池固定板と、前記底面に設けられ、前記電池の前記マイナス面に接触し、前記電池を開口側へ付勢するマイナス端子と、前記電池固定板の前記底面に対向する面に設けられ、前記第1位置に配置された前記電池の前記プラス面に当接し、さらに前記電池が前記第2位置に移動すると、前記第2位置に配置された前記電池の側面に当接し、前記電池を前記第2位置に固定するストッパーとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定の作業者による電池交換が容易でありながら、一般ユーザが容易に電池交換できないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる電池式腕時計1および電池式腕時計1に挿入される電池2の断面図である。
【図2】図2は、電池式腕時計1を、電池式腕時計1の裏面側から見た図である。
【図3】図3は、電池2が挿入される様子を示す図である。
【図4】図4は、図3に示すストッパー20と電池2の拡大図である。
【図5】図5は、電池挿入直後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。
【図6】図6は、電池挿入直後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。
【図7】図7は、スライド後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。
【図8】図8は、スライド後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。
【図9】図9は、図7に示すストッパー20と電池2の拡大図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態にかかる電池式腕時計3の断面図である。
【図11】図11は、従来の電池の固定構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電池式時計の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる電池式時計としての電池式腕時計1および電池式腕時計1に挿入される電池2の断面図である。図2は、電池式腕時計1を、電池式腕時計1の裏面側から見た図である。電池2は、例えばボタン型またはコイン型など略円盤状で厚みの少ない電池であり、プラス面2aと、マイナス面2bとを有している。
【0015】
電池式腕時計1においては、ムーブメントホルダー10に、時計を運針するためのアナログムーブメント11が配置され、アナログムーブメント11の中央から、電池式腕時計1の表側に向けて運針軸12が突出している。アナログムーブメント11の裏側(電池式腕時計1の裏面側)の面11aには、回路基板13が固定されている。
【0016】
回路基板13上にはさらに、電池2を支持する電池支持部14がリング状に形成されている。電池支持部14は、その側面14aと底面14bにより収容部15を形成している。電池2は、収容部15に収容される。収容部15の直径は、電池2の直径に比べてわずかに大きい。このため、電池2は、収容部15内でわずかに移動可能である。
【0017】
アナログムーブメント11にはさらに電池マイナス端子16の第1端部16aが固定されている。電池マイナス端子16は、電池支持部14の底面14bから収容部15内に延び、第1端部16aと反対側の第2端部16bは、収容部15の略中央に配置されている。電池マイナス端子16は、電池2のマイナス面2bにコンタクトし、電池2を裏面方向に押し上げるバネ構造である。
【0018】
電池支持部14上にはさらに電池固定板17が形成されている。電池固定板17は、板状に形成されている。電池固定板17には、電池2を斜めに挿入可能に、Dカット形状の開口17aが形成されている。開口17aの直径は、電池2の直径よりも大きい。
【0019】
電池固定板17は、電池プラス端子として機能し、開口17a付近は収容部15に収容された電池2のプラス面2aにコンタクトする。電池固定板17の一部の縁部17bは、回路基板13に接続されている。
【0020】
さらに、電池固定板17のうち電池式腕時計1の表面側の面である第1面17cから側面14aに沿って複数の当接部18が延び、収容部15に収容された電池2の側面2cを固定する。複数の当接部18は、電池固定板17と一体に形成されている。当接部18と側面14aの間にはバネ19が設けられている。
【0021】
電池固定板17の第1面17cにはさらにストッパー20が設けられている。なお、ストッパー20は、複数の当接部18いずれとも異なる位置に配置されている。ストッパー20は、その端部20aが底面14bの中央の方向に張り出しており、収容部15の上下方向に移動可能である。
【0022】
本実施の形態においては、ストッパー20に略対向する位置に1つの当接部18が設けられ、さらに、この当接部18の両端にそれぞれ1つずつ、計3つの当接部18が設けられている。
【0023】
本実施の形態の電池固定板17と複数の当接部18は一体に設けられている。具体的には、複数の当接部18は、電池固定板17の一部を底面14b側に曲げることにより形成されている。電池固定板17および電池マイナス端子16は、例えば0.1mm〜0.3mmの厚みが好ましい。さらに、電池固定板17および電池マイナス端子16の材料は、例えばステンレス材などバネ特性を有する金属が好ましい。電池を固定するための強度と、電池を押し上げるための弾性を確保する観点である。また、電池固定板17を曲げることにより当接部18を形成する点でも適している。
【0024】
図3は、電池2が挿入される様子を示す図である。図4は、図3に示すストッパー20と電池2の拡大図である。電池挿入時には、電池固定板17のDカット形状の開口17aから電池2を斜めに挿入する。挿入された電池2により電池マイナス端子16は、運針軸12の方向に押し下げられる。そして、電池2は、図4に示すように、電池固定板17に設けられたストッパー20の下に挿入される。すなわち、ストッパー20は、電池2のプラス面2aに当接する。
【0025】
図5および図6は、電池挿入直後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。図5は、電池式腕時計1の断面図、図6は、電池式腕時計1を裏面側から見た図である。このように、電池2は、ストッパー20側の第1の位置に挿入され、当接部18と電池2は当接していない。その後、電池2をストッパー20の位置から直径方向、すなわち当接部18の方向(図5、図6の矢印の方向)に収容部15に沿って、収容部15に平行な方向にスライドさせる。
【0026】
図7および図8は、スライド後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。図7は、電池式腕時計1の断面図、図8は、電池式腕時計1を裏面側から見た図である。図9は、図7に示すストッパー20と電池2の拡大図である。
【0027】
このように、電池2が第1の位置から第2の位置まで直径方向にスライドされると、電池2は当接部18に当接する。電池2の移動中、電池2のプラス面2aに当接しているストッパー20は、電池2のプラス面2a上を摺動する。そして、プラス面2a端部に到達すると、プラス面2aにより裏面方向に付勢されていたストッパー20は、プラス面2aから離れて底面14b側に移動し、電池2の側面2cに当接する。これにより、電池2の側面2cは、ストッパー20により当接部18の方向に付勢される。したがって、電池2は、複数の当接部18およびストッパー20に当接した状態で、収容部15に固定される。すなわち、ストッパー20が電池2の側面2cに当接しているため、電池2はストッパー20側へスライドできなくなる。
【0028】
一方、電池2を取り外す場合には、ストッパー20近傍の電池2を表面側、すなわち運針軸12側に押下し、電池マイナス端子16のバネ部を押し下げるとともに、電池2をストッパー20の下に移動させる。すなわち、ストッパー20を電池2のプラス面2aに移動させる。これにより、ストッパー20が外れ、電池2を収容部15から取り外すことができる。
【0029】
しかしながら、電池2が収容部15に挿入された状態では、開口部17aから電池2のプラス面2aが見えるのみで、ストッパー20の存在は確認できない。したがって、一般ユーザは、電池2を取り外すためには電池2をスライドさせればよいということがわからず、電池2を取り外すことができない。
【0030】
これにより、従来のように複雑な電池の固定構造を採用することなく、組立性に優れた構成を提供することができる。さらに、電池交換時には電池固定板17などの部品を外す作業が不要となり、完成品の裏ブタを開けるのみで容易に電池交換を行うことが可能である。すなわち、作業性に優れている。その一方で、電池2をロックしているストッパー20の構成が外部から見えないため、一般ユーザによる電池交換を防ぐことができる。したがって、一般ユーザが電池2を取り外し、誤って指定以外の電池を新たに組み込むことを防止することができる。
【0031】
さらに、端子付ではなく、通常の円筒型のボタン電池やコイン型の電池を利用することができるので、収容部15としての電池スペースを小さくすることができ、モジュールの小型化を図ることができ、コストを削減することができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図10は、第2の実施の形態にかかる電池式腕時計3の断面図である。電池式腕時計3は、電池支持部14に替えて、電磁誘導用の二次コイル30を備えている。すなわち、二次コイル30により収容部15が形成されている。二次コイル30は、略円盤状の電池2の外周に沿ってリング状に配置されている。なお、第2の実施の形態にかかる電池式腕時計3のこれ以外の構成および動作は、第1の実施の形態にかかる電池式腕時計1の構成および動作と同様である。
【0033】
このように、電池式腕時計3においては、二次コイル30は、電池2の周囲に沿ってリング状に配置されているので、スペースを無駄にすることなく有効に活用することができる。これにより、モジュールを大型化することなく、二次コイル30を配置することができる。すなわち、電磁誘導充電方式の構成を容易に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明にかかる電池式時計は、プラス面およびマイナス面を有する電池を電源として使用する電池式時計に有用である。
【符号の説明】
【0035】
1,3 電池式腕時計
2 電池
10 ムーブメントホルダー
11 アナログムーブメント
13 回路基板
14 電池支持部
15 収容部
16 マイナス端子
17 電池固定板
18 当接部
20 ストッパー
30 二次コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラス面およびマイナス面を有する電池式時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な時計においては、電池交換のため、電池の着脱が容易にできるようになっている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、例えば充電式の二次電池のように特殊な電池を利用する時計においては、電池交換の際に誤って指定以外の電池(例えば、一次電池など)が組み込まれないように、一般ユーザが容易に電池交換できない構造にすることが求められている。
【0003】
そこで、特殊電池を利用する場合には、例えば端子付きの電池を回路基板に直接ハンダ付けする構成や、電池をモジュール化して一般的な電池と形状を異ならせ、組み込めないようにする構成や、電池を組み込んだ後に、電池固定板などを組み込み、電池を簡単に取り外せないようにする構成などが採用されている。
【0004】
図11は、従来の電池の固定構造を示す図である。このように、ムーブメントホルダー42にムーブメント41が固定され、更にそのムーブメント41に回路基板43が固定されている。さらに、電池マイナス端子45が回路基板43とともにムーブメント41に固定され、電池支え44をムーブメントホルダー42に電池固定板46で固定する構造である。この構造において、コイン型の電池47は電池支え44と電池固定板46で固定される。
【0005】
電池固定板46は電池47のプラス面にコンタクトし、電池固定板46の一部は回路基板43に接続されている。電池マイナス端子45は、電池47のマイナス面にコンタクトし、電池47を電池固定板46の方向に押し上げるバネ構造で、その一部は回路基板43に接続されている。
【0006】
電池を組み込む際には、まず電池支え44を組み込み、その後電池47を組み込む。そして、電池47を上から押えるように、電池固定板46を組み込む。このため電池47を交換するためには、電池固定板46を外す必要がある。しかしながら、モジュールを時計ケースの中に組み込んだ状態で電池固定板46を外すことは容易ではないことから、一般ユーザが電池交換をすることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−227886号公報
【特許文献2】特開2003−227887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のように、端子付の電池を利用した場合や、電池をモジュール化した場合には電池サイズが大きく、モジュール全体が大きくなるという問題がある。さらに、コストが高くなるという問題も生じる。また、電池固定板などの構成が取り付けられており、簡単に取り外せない場合には、電池交換作業に手間がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特定の作業者による電池交換が容易でありながら、一般ユーザが容易に電池交換できない電池式時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、プラス面およびマイナス面を有する電池を電源として使用する電池式時計であって、底面および側面を有し、上部の開口を通じて、前記底面の第1位置および第2位置の間を移動可能に電池が収容される収容部と、前記収容部の開口縁から開口中心に張り出し、前記第1位置および前記第2位置に配置された前記電池の前記プラス面に接触するプラス端子を有する電池固定板と、前記底面に設けられ、前記電池の前記マイナス面に接触し、前記電池を開口側へ付勢するマイナス端子と、前記電池固定板の前記底面に対向する面に設けられ、前記第1位置に配置された前記電池の前記プラス面に当接し、さらに前記電池が前記第2位置に移動すると、前記第2位置に配置された前記電池の側面に当接し、前記電池を前記第2位置に固定するストッパーとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定の作業者による電池交換が容易でありながら、一般ユーザが容易に電池交換できないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる電池式腕時計1および電池式腕時計1に挿入される電池2の断面図である。
【図2】図2は、電池式腕時計1を、電池式腕時計1の裏面側から見た図である。
【図3】図3は、電池2が挿入される様子を示す図である。
【図4】図4は、図3に示すストッパー20と電池2の拡大図である。
【図5】図5は、電池挿入直後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。
【図6】図6は、電池挿入直後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。
【図7】図7は、スライド後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。
【図8】図8は、スライド後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。
【図9】図9は、図7に示すストッパー20と電池2の拡大図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態にかかる電池式腕時計3の断面図である。
【図11】図11は、従来の電池の固定構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電池式時計の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる電池式時計としての電池式腕時計1および電池式腕時計1に挿入される電池2の断面図である。図2は、電池式腕時計1を、電池式腕時計1の裏面側から見た図である。電池2は、例えばボタン型またはコイン型など略円盤状で厚みの少ない電池であり、プラス面2aと、マイナス面2bとを有している。
【0015】
電池式腕時計1においては、ムーブメントホルダー10に、時計を運針するためのアナログムーブメント11が配置され、アナログムーブメント11の中央から、電池式腕時計1の表側に向けて運針軸12が突出している。アナログムーブメント11の裏側(電池式腕時計1の裏面側)の面11aには、回路基板13が固定されている。
【0016】
回路基板13上にはさらに、電池2を支持する電池支持部14がリング状に形成されている。電池支持部14は、その側面14aと底面14bにより収容部15を形成している。電池2は、収容部15に収容される。収容部15の直径は、電池2の直径に比べてわずかに大きい。このため、電池2は、収容部15内でわずかに移動可能である。
【0017】
アナログムーブメント11にはさらに電池マイナス端子16の第1端部16aが固定されている。電池マイナス端子16は、電池支持部14の底面14bから収容部15内に延び、第1端部16aと反対側の第2端部16bは、収容部15の略中央に配置されている。電池マイナス端子16は、電池2のマイナス面2bにコンタクトし、電池2を裏面方向に押し上げるバネ構造である。
【0018】
電池支持部14上にはさらに電池固定板17が形成されている。電池固定板17は、板状に形成されている。電池固定板17には、電池2を斜めに挿入可能に、Dカット形状の開口17aが形成されている。開口17aの直径は、電池2の直径よりも大きい。
【0019】
電池固定板17は、電池プラス端子として機能し、開口17a付近は収容部15に収容された電池2のプラス面2aにコンタクトする。電池固定板17の一部の縁部17bは、回路基板13に接続されている。
【0020】
さらに、電池固定板17のうち電池式腕時計1の表面側の面である第1面17cから側面14aに沿って複数の当接部18が延び、収容部15に収容された電池2の側面2cを固定する。複数の当接部18は、電池固定板17と一体に形成されている。当接部18と側面14aの間にはバネ19が設けられている。
【0021】
電池固定板17の第1面17cにはさらにストッパー20が設けられている。なお、ストッパー20は、複数の当接部18いずれとも異なる位置に配置されている。ストッパー20は、その端部20aが底面14bの中央の方向に張り出しており、収容部15の上下方向に移動可能である。
【0022】
本実施の形態においては、ストッパー20に略対向する位置に1つの当接部18が設けられ、さらに、この当接部18の両端にそれぞれ1つずつ、計3つの当接部18が設けられている。
【0023】
本実施の形態の電池固定板17と複数の当接部18は一体に設けられている。具体的には、複数の当接部18は、電池固定板17の一部を底面14b側に曲げることにより形成されている。電池固定板17および電池マイナス端子16は、例えば0.1mm〜0.3mmの厚みが好ましい。さらに、電池固定板17および電池マイナス端子16の材料は、例えばステンレス材などバネ特性を有する金属が好ましい。電池を固定するための強度と、電池を押し上げるための弾性を確保する観点である。また、電池固定板17を曲げることにより当接部18を形成する点でも適している。
【0024】
図3は、電池2が挿入される様子を示す図である。図4は、図3に示すストッパー20と電池2の拡大図である。電池挿入時には、電池固定板17のDカット形状の開口17aから電池2を斜めに挿入する。挿入された電池2により電池マイナス端子16は、運針軸12の方向に押し下げられる。そして、電池2は、図4に示すように、電池固定板17に設けられたストッパー20の下に挿入される。すなわち、ストッパー20は、電池2のプラス面2aに当接する。
【0025】
図5および図6は、電池挿入直後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。図5は、電池式腕時計1の断面図、図6は、電池式腕時計1を裏面側から見た図である。このように、電池2は、ストッパー20側の第1の位置に挿入され、当接部18と電池2は当接していない。その後、電池2をストッパー20の位置から直径方向、すなわち当接部18の方向(図5、図6の矢印の方向)に収容部15に沿って、収容部15に平行な方向にスライドさせる。
【0026】
図7および図8は、スライド後の電池2と電池式腕時計1の位置関係を示す図である。図7は、電池式腕時計1の断面図、図8は、電池式腕時計1を裏面側から見た図である。図9は、図7に示すストッパー20と電池2の拡大図である。
【0027】
このように、電池2が第1の位置から第2の位置まで直径方向にスライドされると、電池2は当接部18に当接する。電池2の移動中、電池2のプラス面2aに当接しているストッパー20は、電池2のプラス面2a上を摺動する。そして、プラス面2a端部に到達すると、プラス面2aにより裏面方向に付勢されていたストッパー20は、プラス面2aから離れて底面14b側に移動し、電池2の側面2cに当接する。これにより、電池2の側面2cは、ストッパー20により当接部18の方向に付勢される。したがって、電池2は、複数の当接部18およびストッパー20に当接した状態で、収容部15に固定される。すなわち、ストッパー20が電池2の側面2cに当接しているため、電池2はストッパー20側へスライドできなくなる。
【0028】
一方、電池2を取り外す場合には、ストッパー20近傍の電池2を表面側、すなわち運針軸12側に押下し、電池マイナス端子16のバネ部を押し下げるとともに、電池2をストッパー20の下に移動させる。すなわち、ストッパー20を電池2のプラス面2aに移動させる。これにより、ストッパー20が外れ、電池2を収容部15から取り外すことができる。
【0029】
しかしながら、電池2が収容部15に挿入された状態では、開口部17aから電池2のプラス面2aが見えるのみで、ストッパー20の存在は確認できない。したがって、一般ユーザは、電池2を取り外すためには電池2をスライドさせればよいということがわからず、電池2を取り外すことができない。
【0030】
これにより、従来のように複雑な電池の固定構造を採用することなく、組立性に優れた構成を提供することができる。さらに、電池交換時には電池固定板17などの部品を外す作業が不要となり、完成品の裏ブタを開けるのみで容易に電池交換を行うことが可能である。すなわち、作業性に優れている。その一方で、電池2をロックしているストッパー20の構成が外部から見えないため、一般ユーザによる電池交換を防ぐことができる。したがって、一般ユーザが電池2を取り外し、誤って指定以外の電池を新たに組み込むことを防止することができる。
【0031】
さらに、端子付ではなく、通常の円筒型のボタン電池やコイン型の電池を利用することができるので、収容部15としての電池スペースを小さくすることができ、モジュールの小型化を図ることができ、コストを削減することができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図10は、第2の実施の形態にかかる電池式腕時計3の断面図である。電池式腕時計3は、電池支持部14に替えて、電磁誘導用の二次コイル30を備えている。すなわち、二次コイル30により収容部15が形成されている。二次コイル30は、略円盤状の電池2の外周に沿ってリング状に配置されている。なお、第2の実施の形態にかかる電池式腕時計3のこれ以外の構成および動作は、第1の実施の形態にかかる電池式腕時計1の構成および動作と同様である。
【0033】
このように、電池式腕時計3においては、二次コイル30は、電池2の周囲に沿ってリング状に配置されているので、スペースを無駄にすることなく有効に活用することができる。これにより、モジュールを大型化することなく、二次コイル30を配置することができる。すなわち、電磁誘導充電方式の構成を容易に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明にかかる電池式時計は、プラス面およびマイナス面を有する電池を電源として使用する電池式時計に有用である。
【符号の説明】
【0035】
1,3 電池式腕時計
2 電池
10 ムーブメントホルダー
11 アナログムーブメント
13 回路基板
14 電池支持部
15 収容部
16 マイナス端子
17 電池固定板
18 当接部
20 ストッパー
30 二次コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラス面およびマイナス面を有する電池を電源として使用する電池式時計であって、
底面および側面を有し、上部の開口を通じて、前記底面の第1位置および第2位置の間を移動可能に電池が収容される収容部と、
前記収容部の開口縁から開口中心に張り出し、前記第1位置および前記第2位置に配置された前記電池の前記プラス面に接触するプラス端子を有する電池固定板と、
前記底面に設けられ、前記電池の前記マイナス面に接触し、前記電池を開口側へ付勢するマイナス端子と、
前記電池固定板の前記底面に対向する面に設けられ、前記第1位置に配置された前記電池の前記プラス面に当接し、さらに前記電池が前記第2位置に移動すると、前記第2位置に配置された前記電池の側面に当接し、前記電池を前記第2位置に固定するストッパーと
を備えることを特徴とする電池式時計。
【請求項2】
前記ストッパーは、前記底面方向に張り出し、前記収容部の上下方向に移動可能に設けられ、前記第1位置に配置された電池の前記プラス面に当接し、前記収容部の上部方向に押し上げられる端部を有することを特徴とする請求項1に記載の電池式時計。
【請求項3】
前記収容部の前記側面に設けられ、前記第2位置に配置された前記電池に当接する複数の当接部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電池式時計。
【請求項4】
前記電池は充電可能な二次電池であって、
前記収容部の側面に隣接して配置された、前記二次電池を充電する電磁誘導用の二次コイルをさらに備えることを特徴とする電池式時計。
【請求項1】
プラス面およびマイナス面を有する電池を電源として使用する電池式時計であって、
底面および側面を有し、上部の開口を通じて、前記底面の第1位置および第2位置の間を移動可能に電池が収容される収容部と、
前記収容部の開口縁から開口中心に張り出し、前記第1位置および前記第2位置に配置された前記電池の前記プラス面に接触するプラス端子を有する電池固定板と、
前記底面に設けられ、前記電池の前記マイナス面に接触し、前記電池を開口側へ付勢するマイナス端子と、
前記電池固定板の前記底面に対向する面に設けられ、前記第1位置に配置された前記電池の前記プラス面に当接し、さらに前記電池が前記第2位置に移動すると、前記第2位置に配置された前記電池の側面に当接し、前記電池を前記第2位置に固定するストッパーと
を備えることを特徴とする電池式時計。
【請求項2】
前記ストッパーは、前記底面方向に張り出し、前記収容部の上下方向に移動可能に設けられ、前記第1位置に配置された電池の前記プラス面に当接し、前記収容部の上部方向に押し上げられる端部を有することを特徴とする請求項1に記載の電池式時計。
【請求項3】
前記収容部の前記側面に設けられ、前記第2位置に配置された前記電池に当接する複数の当接部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電池式時計。
【請求項4】
前記電池は充電可能な二次電池であって、
前記収容部の側面に隣接して配置された、前記二次電池を充電する電磁誘導用の二次コイルをさらに備えることを特徴とする電池式時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−112461(P2011−112461A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267942(P2009−267942)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
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