説明

電池用容器及びそれを具備したリチウムイオン電池

【課題】外的な衝撃によるクラックの抑制、内部圧力の上昇による破袋の防止、水分透過の抑制およびシール強度の向上などの、優れた信頼性を有する積層体による電池用容器を提供することを目的とする。
【解決手段】基材の片面が、少なくともアルミニウム箔層、接着樹脂層、シーラント層を順次積層してなる積層体の、前記シーラント層側を対向させ、その端縁周辺をヒートシールして形成される電池用容器であって、前記ヒートシールの形状が膜厚の薄いシール部と膜厚の厚いシール部を有するローレット構造(網目構造)を含み、前記膜厚の薄いシール部に占める接着樹脂層とシーラント層の総厚みが、前記膜厚の厚いシール部に占める接着樹脂層とシーラント層の総厚みの70%以下である事を特徴とする電池用容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーラント層を有する積層体からなる電池用容器及びそれを具備したリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池には鉛蓄電池やニッケル水素電池が多く使用されてきたが、携帯電話、ノート型パソコンをはじめとする携帯機器の小型化に伴い、高エネルギー密度で、軽量化が可能なリチウムイオン二次電池が多く採用されている。特に近年は、従来電池用包材として用いられてきた缶型とは異なり、形状自由度、薄型化、軽量化、放熱性で優位であるラミネート型リチウムイオン電池が注目され、大型機器用の二次電池として盛んに開発が行われている。
【0003】
ラミネート型のリチウムイオン電池容器の形態には、電池用外装材を一辺が開口するように製袋し、内部にリチウムイオン電池を収納する三方シール、四方シール、ピローパウチタイプおよび、電池用外装材をプレス成形して凹部を形成し、前記凹部にリチウムイオン電池を収納するエンボスタイプ等が存在する。いずれの容器においても、容器端縁部はシーラント層の熱接着により密封される。
【0004】
ところで、リチウムイオン電池の内容物には、電解質としてLiPF、LiBFなどのリチウム塩が用いられるが、これらの塩は水分と反応することにより加水分解し、フッ酸を発生させる。そのため、リチウムイオン電池内に水が浸入すると電池内でフッ酸が発生し、外装材において金属面の腐食や、多層フィルムの各層間のラミネート強度の低下等の問題がある。
【0005】
そのため、ラミネート型のリチウムイオン電池用容器に用いる外装材は、例えば、基材層、接着剤層、アルミニウム箔層、接着樹脂層、シーラント層を順次積層した多層フィルムの一部にアルミニウム箔を用いることで、多層フィルムの表面からの水分浸入を遮断している。しかし、電池用容器端縁部のシール端面には接着樹脂層およびシーラント層の端面が存在するため、電池容器内部への水分の浸入を完全に遮断することは困難であった。
【0006】
また、電極から電流を取り出すための電極タブとタブシーラントからなるタブリードが上記ラミネートの間に挿入されるため、このタブリードを設けた部分では特にシーラント層の端面が大きくなり水分の透過が高くなる懸念があった。また、シール条件が不適切な場合にはタブリードとシーラント層の間からの電解液の漏えいの懸念などもあった。
【0007】
そこで、ヒートシール部の端面からの水分の浸入を抑制するための検討がなされている。例えば、特許文献1には、前記ヒートシール部におけるシーラント層を薄膜化することにより、水分透過率を抑制した電池用容器について記載されている。しかし、ヒートシール部の圧縮による薄膜化は、シールエッジ外へのポリ玉(樹脂漏れ)の形成を促進させ、破袋の原因となる。また、シーラント層を薄膜化することによりシール強度が低下する問題があった。
【0008】
また、特許文献2には、シール幅の中心部でシーラント層の厚さを変化させることにより、外部からの水分の浸入と、容器の内圧に対するシール強度を確保するヒートシール方法および、それにより作製された電池用容器が記載されている。しかし、この方法ではシーラント層の薄くなった外側部はシール強度が低下しており、何らかの外力がシールの外側にかかった場合、外側からのシール剥離がおきやすいことも懸念された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−176466号公報
【特許文献2】特開2001−199413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は先行技術の問題点に鑑み、外的な衝撃によるクラックの抑制、内部圧力の上昇による破袋の防止、水分透過の抑制およびシール強度の向上などの、優れた信頼性を有する積層体による電池用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、基材の片面が、少なくともアルミニウム箔層、接着樹脂層、シーラント層を順次積層してなる積層体の、前記シーラント層側を対向させ、その端縁周辺をヒートシールして形成される電池用容器であって、前記ヒートシールの形状が膜厚の薄いシール部と膜厚の厚いシール部を有するローレット構造(網目構造)を含み、前記膜厚の薄いシール部に占める接着樹脂層とシーラント層の総厚みが、前記膜厚の厚いシール部に占める接着樹脂層とシーラント層の総厚みの70%以下である事を特徴とする電池用容器である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記ヒートシールのローレット構造(網目構造)で、膜厚の薄いシール部の単位幅が前記膜厚の厚いシール部の単位幅の20%以上60%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電池用容器である。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記ローレット構造にヒートシールされた領域が、ヒートシール幅全体の20%以上80%以下であることを特徴とする事を特徴とする請求項1または2に記載の電池用容器である。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用容器を具備したことを特徴とするリチウムイオン電池である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ヒートシール時の電池用容器内でのポリ玉の形成や、クラックの発生を抑制し耐衝撃性が高いだけでなく、水分透過の抑制に優れ、絶縁性や電解液の漏えいに強い長期信頼性に優れた電池用容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の電池用容器に係る積層体の実施形態の一例を示した断面図である。
【図2】本発明の電池用容器に係る積層体シール方法の一例を示した模式図である。
【図3】本発明の電池用容器に係る積層体シール方法の一例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の、電池用容器の成形方法および電池の作製の一実施形態について、リチウムイオン電池を一例として詳細に説明する。
【0018】
本実施形態の電池用容器に係る積層体1は、図1に示すように、基材3の一方の面に、接着剤層10、アルミニウム箔層15、接着樹脂層25、シーラント層30が順次積層されている。
【0019】
前記積層体1をエンボス成型した内部に、正極、セパレーター、負極を収納し、タブリードを容器内部から外部に導出し、その後、シーラント層30が対向するように前記積層体1を重ね合わせ、1辺を残してヒートシールする。その後、開口した前記1辺から電解液を注入し、注入終了後、前記開口部を真空環境下でヒートシールし、内部を密封することにより、リチウムイオン電池を作製する。
【0020】
<ヒートシール工程>
前記積層体1のシーラント層30同士が対向するように重ね合わせ、シール部をローレット状(網目構造)にヒートシールを行う。この際、図2に示すようにローレット状にヒートシールする事で、接着樹脂層25とシーラント層30の総厚が厚い部分と薄い部分を形成することが出来る。この接着樹脂層とシーラント層の総厚が薄い部分(薄いシール部40)が存在することにより、水分透過の抑制を行うことが出来る。しかし、薄いシール部40を設けることはその部分のシーラント樹脂が薄いシール部外へ移動することとなり、この量が多くなるとポリ玉の形成につながり破袋の原因となる。そこで、薄いシール部から出る余分なシーラント樹脂を受け入れる場所として厚いシール部50を設ける。また厚いシール部50は接着樹脂層25とシーラント層30の総厚が十分厚いことから強靭なヒートシール強度を発揮することができる。すなわちローレット状にシール厚みの薄い部分と厚い部分を形成することで、水分透過の抑制が出来る薄いシール部40と、余分な樹脂の吸収と強いヒートシール強度を維持することができる厚いシール部50を設けることが可能となり、本発明で目的とする信頼性の高い電池容器を得ることが可能となる。このとき、薄いシール部の接着樹脂層25とシーラント層30の総厚は、厚いシール部の接着樹脂層25とシーラント層30の総厚の70%以下であることが好ましい。薄いシール部の前記総厚が厚いシール部の総厚の70%を超えると、ローレット状にヒートシールしてもそれぞれのシール部のもつ効果、すわなち水分透過の抑制とヒートシール強度の向上を得ることができない。
【0021】
ローレット状にヒートシールされた領域での薄いシール部の厚さについては、30μm以上100μmであることが好ましい。これは薄いシール部の接着樹脂層とシーラント層の総厚が30μmより薄い場合、水分透過の抑制効果は大きくなるが、一方、シール強度が弱くなる傾向があり、またアルミ箔同士が近づくことにより絶縁性が低くなるためである。特に、絶縁性については電極タブとアルミ箔の間隔が30μmより薄くならないように注意が必要である。また薄いシール部の接着樹脂層とシーラント層の総厚が100μmより厚い場合は、水分透過の抑制効果が不十分となるため好ましくない。
【0022】
またローレット状にヒートシールされた部分(網目構造部)に交互に存在する薄いシール部40と厚いシール部50において、薄いシール部40の単位幅は、厚いシール部50の単位幅の20%〜60%であることが好ましい。薄いシール部40の前記単位幅が厚いシール部50の単位幅の20%未満の場合、水分透過の抑制効果が不十分となる。また薄いシール部40の単位幅が厚いシール部50の単位幅の60%を超えると、薄いシール部から流れ出したシーラント樹脂が厚いシール部で十分に吸収できず、シール厚みが不均一になることや、シール端部へシーラント樹脂が押出されポリ玉の形成につながるなどの問題がある。なお、前記単位幅は網目構造部の対角線上での断面における、薄いシール部及び厚いシール部のそれぞれの幅を意味する。
【0023】
また前記ヒートシール領域の最外部および最内部は、ローレット状(網目構造)のヒートシールではなく、通常のヒートシールが好ましい。これは薄いシール部からシール端部へシーラント樹脂が押し出されポリ玉を形成することが無いようにするためである。また薄いシール部が端部に存在しないことはさらに強いヒートシール強度を得ることが可能である。このため、ローレット状(網目構造)のヒートシール幅は全ヒートシール幅に対して左右対称に、20%〜80%であることが好ましい。ローレット状のヒートシール幅が
全ヒートシール幅の20%未満の場合には、水分透過の抑制を行うことが不十分となる。また、80%を超えると、シール端部に薄いシール部分が存在することでヒートシール強度の安定性に欠ける問題が生じる。なお、本発明でいう通常のヒートシールとは、ローレット状とは異なり、シール面が平面で形成されているヒートシールである。
【0024】
また上記のように、本発明におけるヒートシール部の最内部および最外部にローレット状のヒートシール領域を設けない場合には、この通常シール領域のヒートシール後の接着樹脂層とシーラント層の総厚はヒートシール前の総厚の60%〜90%の範囲になることが好ましい。これは厚すぎると充分なシール強度が得られず、薄すぎると水分透過の抑制には有効ではあるものの、シール端部外へのポリ玉(樹脂漏れ)の形成を促進させ、破袋の原因となるためである。また、シーラント層を極端に薄膜化することによりシール強度が低下する問題があるためである。特に最内部および最外部は内圧や外力の影響を受けやすいため、シール厚みの管理が安定したシール強度を得る為には重要となる。これにより、ヒートシール時の電池用容器内でのポリ玉の形成や、クラックの発生の抑制及び、外部からの水分透過の抑制、容器の内圧に対するシール強度の確保が可能な電池用容器を提供することが可能である。
【0025】
例えば、ヒートシール装置において上または下もしくは両方のシールバーにローレット状に加工された部分を設けることにより、ローレット状に接着樹脂層およびシーラント層の総厚が厚い部分と薄い部分を形成することが可能である。尚、上下のシールバーにローレット形状を設ける場合には、薄いシール部と厚いシール部の位置がずれないようにあわせた方が好ましいため、注意が必要である。
【0026】
このようなヒートシール方法により作製する電池用容器の形態は、特定の形状に限定されるものではなく、例えば、三方シール、四方シール、ピローパウチタイプ等の袋状容器および、電池用外装材をプレス成形して凹部を形成し、前記凹部に電池を収納するエンボスタイプ等の凹状容器であってもよい。
【0027】
<基材>
本発明に係る基材3は、リチウムイオン電池製造時のシール工程における耐熱性付与、加工や流通の際に起こりうるピンホール対策という目的で設けるものであり、絶縁性を有する高分子材料を用いることができる。そのような高分子材料としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの延伸または未延伸フィルムを、単層または2層以上の積層フィルムを使用することもできるが、成形性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性を向上させるという点で、延伸ポリアミドフィルムや延伸ポリエステルフィルムが好適である。また、基材3の厚さは、耐ピンホール性、加工性を考慮して6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。さらに、基材3は、例えばスリップ剤やアンチブロッキング剤などの添加剤を配合または塗布してもよい。
【0028】
<接着剤層>
接着剤層10としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールを主剤、芳香族系や脂肪族系イソシアネートを硬化剤とした2液硬化型のポリウレタン系接着剤が好ましい。塗工後のエージングとして40℃4日以上行うことで、OH基とNCO基の反応が進行し、両面のフィルムを強固に接着される。一般的に主剤のOHに対する硬化剤NCOのモル比[NCO/OH]が1〜10程度が好ましく、2〜5がより好ましい。また、接着剤層10の厚さは、接着強度や、追随性、加工性などを考慮して1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
【0029】
<アルミニウム箔層>
アルミニウム箔層15の材質としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができ
るが、さらなる耐ピンホール性、及び成形時の延展性を付与させる目的で、鉄を含むアルミニウム箔を用いることが望ましい。鉄の含有量はアルミニウム箔100質量%中、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量の下限値が上記値より少ないと耐ピンホール性、延展性を十分に付与させることができず、一方、上限値が上記値よりも多いと柔軟性が損なわれる。また、アルミニウム箔層15の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
【0030】
<腐食防止処理層>
腐食防止処理層20はアルミニウム箔層15の腐食を防止する目的で設けられるものである。ここで、アルミの腐食防止を目的とする層としては、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれら処理の組み合わせが挙げられる。脱脂処理としては、酸脱脂あるいはアルカリ脱脂が挙げられ、酸脱脂としては硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸を単独あるいはこれらを混合して得られたものを用いる方法などが挙げられる。また酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウムなどのフッ素含有化合物を上記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、アルミニウムの脱脂効果だけでなく不動態であるアルミニウムのフッ化物を形成させることが可能であり、耐フッ酸性という点で有効である。アルカリ脱脂としては水酸化ナトリウムなどが挙げられる。熱水変成処理としては、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理することで得られるベーマイト処理が挙げられる。陽極酸化処理はアルマイト処理が挙げられる。化成処理はクロメート処理やジルコニウム処理やチタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理あるいは、これらの混合相からなる各種化成処理が挙げられる。この腐食防止処理層は単層であっても多層であってもかまわない。これらの熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理は事前に上述した脱脂処理を施した方が好ましい。
【0031】
また上述した処理のうち、特に熱水変性処理や陽極酸化処理は、処理剤によってアルミニウム箔表面を溶解させ、さらには耐腐食性に優れるアルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト)を形成させることから、アルミニウム箔から腐食防止層まで共連続構造を形成している形になるために、化成処理の定義に包含されるケースもあるが、後述するような化成処理の定義に含まれない、純粋なコーティング手法のみで腐食防止層を形成させることも可能である。
【0032】
この方法は、アルミニウムの腐蝕防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境側面的にも好適な材料として平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素系酸化物のゾルを用いるものであり、この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でもアルミ箔などの金属箔腐蝕防止効果を付与させることが可能である。この酸化セリウムのような希土類元素系酸化物のゾルは、例えば水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系など各種溶媒を用いることが可能であるが、後述する理由から水系のゾルを用いることが好ましい。このような酸化物ゾルは通常その分散を安定化させるために、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸、あるいは酢酸、りんご酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸を分散安定化剤として用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸は「ゾルの分散安定化」だけでなく、本用途のリチウム電池用包材について言うと、リン酸のアルミキレート能力を利用した、「アルミニウム箔との密着性向上」、フッ酸の影響で溶出したアルミニウムイオンを捕獲(不動態形成)することよる「電解液耐性の付与」、低温でもリン酸の脱水縮合起こしやすいことによる「酸化物層の凝集力アップ」などが期待される。このようなリン酸あるいはその塩としてはオルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、あるいはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。特にはトリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、あるいはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が、リチウム電池用包材としても機能発現に好ましい。特に、この希土類酸化物のゾルを用いて、各種コーティング法により希土類酸化物からなる層を形成させる時の乾燥造膜性(乾燥能力、熱量)を考慮すると低温での反応性に優れる剤が好ましいことから、低温での脱水縮合性に優れるNaイオン塩などが好適に用いられる。リン酸塩を形成する塩としては、特に制約は受けないが、より好ましくは水溶性の塩であることが好ましい。酸化セリウムとリン酸(あるいはその塩)の配合比は、酸化セリウム100重量部に対し、リン酸(あるいはその塩)が1〜100重量部配合していることが挙げられる。この値より少ないとゾルの安定化に欠けると共に、リチウム電池用包材としての機能を満たすことが困難である。より好ましくは5重量部以上である。リン酸塩の配合上限は酸化セリウムゾルの機能低下を伴わないことが挙げられ、100重量部以下が挙げられる。好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下である。
【0033】
ただし、上述した希土類酸化物ゾルから形成される層は無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても、その層自身の凝集力は低い。そこでこの層の凝集力を補うために、下記に記載するアニオン性ポリマー、あるいはカチオン性ポリマーで複合化させることが好適である。アニオン性ポリマーは、具体的にはカルボキシル基を有するポリマーが挙げられ、ポリ(メタ)アクリル酸(あるいはその塩)、あるいはポリ(メタ)アクリル酸を主成分とする共重合体が挙げられる。共重合体として用いられる成分としては、アルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマー、さらには、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシランなどのシラン含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーを共重合させたものが挙げられる。
【0034】
これらのポリマーは、上述したように希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた酸化物層の安定性を向上させるために用いる材料である。その効果としては、硬くて脆い酸化物層をアクリル系樹脂成分で保護するという目的、さらには、希土類酸化物ゾルに含まれるリン酸塩由来のイオンコンタミ(特にナトリウムイオン)をトラップする(カチオンキャッチャー)効果が挙げられる。本発明で用いるリチウム電池用途に限らず、たとえば腐蝕性化合物によるアルミニウム箔の腐食を防止するために設ける保護層中に、イオンコンタミ、特にナトリウムなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、このイオンコンタミを起点にして保護層が侵されてしまうという問題点がある。つまり後述する希土類元素酸化物ゾル中に含まれるナトリウムイオンなどのイオンコンタミを固定化させ、皮膜の耐性を向上させるという点で、ポリアクリル酸などのアニオン性ポリマーが有効ということが挙げられる。
【0035】
このようにポリアニオン系ポリマーは、リチウム電池包材における腐食防止層として希土類元素酸化物ゾルと組み合わせて用いることで、クロメート処理と同等の腐食防止性能を付与することが可能なる。より好ましくは、本質的には水溶性であるポリアニオン系ポリマーを架橋させた構造が好ましく、このような架橋剤として、イソシアネート基、グリ
シジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基を有する化合物を用いることが挙げられる。
【0036】
イソシアネート基を有する化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4−4’ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類、あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化させたブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0037】
グリシジル基を有する化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、フタル酸テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
【0038】
カルボキシル基を有する化合物としては、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、さらにはポリ(メタ)アクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いることも可能である。オキサゾリン基を有する化合物は、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物やあるいはイソプロペニルオキサゾリンのように重合性モノマーを用いる場合には、アクリル系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどと共重合させたものを用いることが可能である。さらにはシランカップリング剤のように、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にさせることも可能である。この場合、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられ、特にカチオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮するとエポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好適に使われる。これらの架橋剤はアニオン性ポリマー100部に対し1〜50部配合が適切である。1部より少ないと架橋構造が不十分であり、50部より多い以上であると塗液ポットライフの低下を伴う恐れがある。好ましくは、10〜20部である。水溶性ポリマーを架橋させる方法としては上述した架橋剤に限らず、チタニウムやジルコニウム化合物を用いたイオン架橋などの架橋構造を形成させても構わない。
【0039】
一方、カチオン性ポリマーとしてはアミンを含有するポリマーが挙げられ、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。またポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーとしてはポリアクリル酸あるいはそのイオン塩などのポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入させた共重合体や、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩などのカルボキシル基を有する多糖類が挙げられる。ポリアリルアミンとしては、アリルアミン、ア
リルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体を用いることが可能であり、さらに、これらのアミンはフリーのアミンでも酢酸あるいは塩酸による安定化物でも用いることが可能である。またさらに共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウなどを用いることも可能である。さらには1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプも用いることが可能である。アミノフェノールも利用することが可能である。特に好適なのはアリルアミンあるいはその誘導体が挙げられる。その理由としては、リチウム電池包材で要求される電解液耐性、フッ酸耐性を付与させるべく様々な化合物を用い誠意検討を行った結果、カチオン性ポリマー自体にも、電解液耐性、耐フッ酸性を付与することが可能な化合物であることを見出したためである。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基でトラップする(アニオンキャッチャー)ことで、アルミニウム箔のダメージを抑制している為と推測される。
【0040】
上述したカチオン性ポリマーは接着性の向上という点でも非常に好ましい材料である。より好ましくは、このカチオン性ポリマーも上述したアニオン性ポリマーと同様に水溶性であることから架橋構造を形成させたほうが好ましく、すでに述べていた各種官能基を有する架橋剤を用いることで、カチオン性ポリマーの耐水性を付与することが可能になる。つまりは、カチオン性ポリマーも架橋構造を形成することを意味することから、上述した腐食防止処理層として希土類酸化物ゾルを用いた場合に、その保護層としてアニオン性ポリマーを用いる変わりに、カチオン性ポリマーを用いても構わない。
【0041】
以上の内容から上述したコーティングタイプの腐食防止処理の組み合わせの事例として、
(1)希土類酸化物ゾルのみ
(2)アニオン性ポリマーのみ
(3)カチオン性ポリマーのみ
(4)希土類酸化物+アニオン性ポリマー(積層複合化)
(5)希土類酸化物+カチオン性ポリマー(積層複合化)
(6)(希土類酸化物+アニオン性ポリマー:積層複合化)/カチオン性ポリマー(多層化)
(7)(希土類酸化物+カチオン性ポリマー:積層複合化)/アニオン性ポリマー(多層化)
等が挙げられ、これらに限られるわけではない。たとえば腐食防止処理層選択の事例として、カチオン性ポリマーは、上述した接着性樹脂との接着性の向上という点でも非常に好ましい材料であることから、特に厳しい電解液耐性を要求される用途(長期信頼性が要求される用途)に対しては、カチオン性ポリマーを腐食防止処理層の構成要素として用いたほうが好ましい。
【0042】
上述した内容に限らず、例えば公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アクリル樹脂やアミノフェノール樹脂など)にリン酸とクロム化合物を配合した剤を用いることで、腐食防止機能と密着性を双方兼ね備えた層を形成することが可能になる。また、上述してきた脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれら処理の組み合わせに対して、密着性を向上させるために上述してきたカチオン性ポリマーやアニオン性ポリマーを用いて複合的な処理を施したり、あるいはこれらの処理の組み合わせに対して多層構造としてカチオン性ポリマーやアニオン性ポリマーを積層させることも可能である。また、塗液の安定性を考慮する必要があるが、上述してきた希土類酸化物ゾルとカチオン性ポリマーあるいはアニオン性ポリマーとを事前に一液化して得られたコーティング剤も用いることも可能である。これまで述べてきた腐食防止処理層としては0.005〜0.200g/mの範囲で設けられることが好ましい。より好ましくは0.010〜0.100g/mの範囲である。0.005g/mより薄い場合は、アルミニウム箔層の腐食防止機能に影響を与える。0.200g/mより厚い場合は腐食防止機能の性能が飽和してしまう、あるいは希土類酸化物ゾルを用いたケースの場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不十分となり、凝集力の低下を伴う恐れがある。上記内容では単位面積あたりの重量で記載しているが、比重がわかればそこから厚みを換算することも可能である。上述してきた腐食防止層は主に内層側に設けているが、本明細には記載をしていないが、この反対面側(接着剤側)にも同様な処理を設けてもかまわない。
【0043】
上述してきたコーティングタイプの腐食防止処理層は、クロメート処理に代表される化成処理とは異なり、アルミニウム箔層と化成処理層との間で傾斜構造を形成させる必要は無い。クロメートに代表される化成処理はこのアルミニウム箔との傾斜構造を形成させるため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いてアルミニウム箔に処理を施し、クロムやノンクロム系の化合物と作用させて化成処理層をアルミニウム箔に形成させることは上述してきたとおりである。しかしながらこれらの処理剤は酸を用いていることから、作業環境やコーティング装置の腐食を伴うものである。上述してきた本発明で用いるコーティング層はアルミニウム箔に対して傾斜構造を形成させる必要がなく、そのような点で化成処理とは定義が異なるものである。その結果、コーティング剤の性状も酸性やアルカリ性や中性に制約を受けることがないことから作業環境的にも優しい処理方法であるといえ、さらには、クロメート処理に用いるクロム化合物の環境衛生性を考慮すると、その代替案を望まれている腐食防止技術分野の点からも興味深い内容であるといえる。
【0044】
<接着樹脂層>
接着樹脂層25は、シーラント層30と、腐食防止処理層20が形成されたアルミニウム箔層15とを接着する層である。接着樹脂層25を構成する樹脂としては、ポリオレフィン樹脂もしくはエラストマー樹脂に無水マレイン酸などをグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン樹脂または酸変性エラストマー樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、低密度、中密度、高密度のポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロックやランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。これらポリオレフィン樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これにより電解液等の耐内容物特性に優れ、フッ酸発生時でも接着樹脂の劣化による密着力の低下がない電池用容器を提供することができる。この際、接着樹脂層25の厚みは1〜40μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。これは、接着樹脂層が1μmより薄いと接着強度が保てず、40μmより厚いと水分透過が高くなるためである。
【0045】
また、接着樹脂層は上記のポリオレフィン樹脂や酸変性ポリオレフィン樹脂または酸変性エラストマー樹脂以外にも次のような接着剤を用いて接着しても良い。すなわちこのとき用いる接着剤としては、電解液による膨潤やフッ酸による加水分解の恐れがあるため、本用途で用いるに接着剤としては、加水分解しにくい骨格の主剤を用いる、架橋密度を向上させる、などの組成設計を行う必要がある。
【0046】
たとえば、架橋密度を向上させる手法として、ダイマー脂肪酸あるいはそのエステルあるいはその水素添加物、あるいはダイマー脂肪酸あるいはそのエステルあるいはその水素添加物の還元グリコールを用いることが挙げられる。ダイマー脂肪酸とは、各種不飽和脂肪酸を2量体化させたものであり、その構造としては非環型、単環型、多環型、芳香環型が上げられるが、本接着剤で用いるポリエステルポリオールの原料である多塩基酸としては特に制限を受けることはない。またダイマー脂肪酸の出発物質である脂肪酸も制限を受けることはない。不飽和脂肪酸としては、モノ不飽和脂肪酸では、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸などが挙げられる。ジ不飽和脂肪酸ではリノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸などが挙げられる。トリ不飽和脂肪酸としては、リノレン酸、ビノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸などが挙げられる。テトラ不飽和脂肪酸としてはステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸などが挙げられる。ペンタ不飽和脂肪酸としては、ボセオペンタエン酸、エイコサベンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサベンタエン酸などが挙げられる。ヘキサ不飽和脂肪酸としてはドコサヘキサエン酸、ニシン酸などが挙げられる。脂肪酸を二量体するときの脂肪酸の組み合わせは、どのような組み合わせでもかまわない。このダイマー脂肪酸のバルキーな疎水性ユニットが接着剤としての架橋密度を向上させる。
【0047】
このような上記ダイマー脂肪酸を必須成分として、通常のポリエステルポリオールで用いられるような二塩基酸も導入してもかまわない。例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系から選択することが可能である。そしてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなど脂肪族系、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコルなどの脂環式系、キシリレングリーコルなどの芳香族系ジオールの一種以上を用いて得られた成分が、本発明で用いる接着剤の主剤成分(ポリエステルポリオール)として用いることが可能である。また、このポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、例えば2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、あるいは少なくとも一種以上から選択される上記イソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどが挙げられる。また後述するイソシアネート成分もポリエステルポリオールの鎖伸張剤として用いることも可能である。
【0048】
上記主剤に対する硬化剤としては、上記ポリエステルポリオールの鎖伸張剤として用いた類のイソシアネート化合物を用いることが可能であり、繰り返しにはなるが、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、あるいは少なくとも一種以上から選択される上記イソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体が挙げられる。さらに電解液耐性(特に電解液に対する溶解性・膨潤性)を改善させるといった目的で、クルードトリレンジイソシアネート、クルード(あるいはポリメリック)ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれるポリイソシアネートの単体あるいは混合物、あるいはこれらのアダクト体を用いることが有効である。これらの硬化剤を用いることは、接着剤塗膜の架橋密度の向上による溶解性や膨潤性の改善につながると共に、ウレタン基濃度がアップすることから、基材密着性の改善も期待される。上述したポリエステルポリオールの鎖伸張剤として、上記クルードトリレンジイソシアネート、クルード(あるいはポリメリック)ジフェニルメタンジイソシアネートを用いることも、リチウム電池用外装材として用いるにあたり好適な材料といえる。接着剤組成である主剤と硬化剤の比率としては、主剤100部に対し硬化剤1部〜100部が挙げられる。1部より少ないと、密着性や電解液耐性という点で性能が発現しない。100部より多いと過剰なイソシアネート基が存在することになり、未反応物の残留による接着剤膜質への影響や、硬さに影響を与えるおそれがある。より好ましくは、5部〜50部の範囲である。また、上述した接着促進のためのカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合することも可能である。
【0049】
<シーラント層>
シーラント層30を構成する樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましく、成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。これにより耐衝撃性およびヒートシール性に優れた電池を提供することができる。ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等が挙げられ、これらは単層フィルムであっても、複数の層を積層させたフィルムであってもよい。これにより、融着温度や高度の選択が可能となり、目的に応じた耐衝撃性およびヒートシールの選択が可能となる。この際、シーラント層30の厚さは、25〜100μmが好ましい。これは、シーラント層が25μmより薄いとシール強度が保てず、100μmより厚いと水分透過が高くなるためである。また、シーラント層30には各種添加剤、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などを配合または塗布してもよい。
【0050】
<リチウムイオン電池用容器の製造方法>
次に、図1に示す本発明のリチウムイオン電池用包材の製造方法について記載するが、これに限定されない。
【0051】
<アルミニウム箔層への腐食防止処理層の積層工程>
上述したアルミニウム箔に対して、腐食防止処理層を形成させる。その方法としては、上述した脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいは腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工するなどが挙げられる。脱脂処理については焼鈍法やスプレー法あるいは浸漬法にて、熱水変成処理や陽極酸化処理については浸漬法にて、化成処理については化成処理のタイプに応じ浸漬法、スプレー法、コート法など選択可能である。腐食防止性能を有するコーティング剤のコート法についてはグラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど各種方法を用いることが可能である。上述したように上記処理は両面あるいは片面どちらでも構わないが、片面処理の場合はその処理面は接着性樹脂層(AR)と積層させる側に施す。設ける塗布量は上述したとおりである。また乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層の乾燥条件に応じて、母材温度として60℃〜300℃の範囲で行うことができる。
【0052】
<基材層とアルミニウム箔層の貼り合わせ工程>
腐食防止処理層20を形成したアルミニウム箔層15と、基材層5とを貼り合わせる。貼り合わせの方法としては、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、ウエットラミネートなどの手法を用い、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールを主剤としたポリウレタン系接着剤にて両者を貼り合わせ、基材層5/接着剤層10/アルミニウム箔層15/腐食防止処理層20からなる積層体を作製する。
【0053】
<シーラント層の積層工程>
前記積層体上にシーラント層30を積層する。積層の方法としては、ウェットラミネーション、押し出しラミネーション、ドライラミネーション、ホットメルトラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ヒートラミネーション等が挙げられる。押し出しラミネーションの場合、前記積層体の腐食防止処理層上に接着樹脂層25を押出ラミネートし、シーラント層30を積層して、リチウムイオン電池用包材を作製する。なお、腐食防止処理層20は、この押出ラミネートの際にインラインで設けてもよい。その後、腐食防止処理層20と接着樹脂層25との密着性を向上させる目的で、熱処理(エージング処理や熱ラミネートなど)を施す。また、接着樹脂25とシーラント層30とで多層フィルムを作成し、前記積層体上に熱ラミネートにより積層させることも可能である。
【実施例】
【0054】
以下に本発明の実施例を示すが、これに限定されるわけではない。
【0055】
[使用材料]
以下の実施例に用いた材料は下記の通りである。
<基材層(SB)>
●SB−1:25μm−2軸延伸ポリアミドフィルム(ON ユニチカ社製)
【0056】
<接着剤(AD−1)>
●AD−1:ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ社製)
【0057】
<アルミニウム箔層(AL)>
●AL−1:焼鈍脱脂処理した40μm−軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム社製)
【0058】
<腐食防止処理層(CL)>
●CL−1:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度10wt%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」を用いた。酸化セリウム100重量部に対しリン酸塩は10重量部である。
●CL−2:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「ポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成社製)」90wt%と「アクリル−イソプロペニルオキサゾリン共重合体(日本触媒社製)」10wt%からなる組成物を用いた。
●CL−3:溶媒として1%濃度のリン酸水溶液を用い、固形分濃度1wt%に調整した水溶フェノール樹脂(住友ベークライト社製)に対し、フッ化クロム(CrF)を最終乾燥皮膜中に存在するCr量として10mg/mとなるように濃度を調整した化成処理剤を用いた。
【0059】
<接着剤(AD−2)>
●主剤−1:水添ダイマー脂肪酸とジオールからなるポリエステルポリオール
●硬化剤−1:クルードトリレンジイソシアネート、クルード(あるいはポリメリック)ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、あるいはこれらのアダクト体(以上、三井化学社製)
【0060】
<接着樹脂層(AD−3)>
●接着性樹脂−1:ランダムポリプロピレン(PP)ベース(Tm(AR)=約135℃)に対して無水マレイン酸をグラフト変性させた変性PPに対して、エチレン−αオレフィン共重合体からなるエラストマーを配合した変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製)を用いた。
【0061】
<シーラント層(SL)>
●SL−1:トータル厚みが60μmのランダムPP/ブロックPP/ランダムPPからなる2種3層多層フィルムを用いた(オカモト社製)
【0062】
[製造方法]
アルミニウム箔層(AL)の電解液が充填される側に、腐食防止処理層(CL)をマイクログラビコートにより設けた。コーティング量はコーティング剤のドライ塗布量として70〜100mg/mとなるようにし、乾燥ユニットにおいてコーティング剤のタイプに応じて150〜250℃で焼き付け処理を施した。下記に記載の実施例では、腐食防止処理層(CL)が上述した成分で多層化されているケースも記述しているが、単層の場合も多層の場合も最終的なドライ塗布量として70〜100mg/mとし、焼付け温度条件も150〜250℃の範囲で行った。
【0063】
腐食防止処理層(CL)をもうけたアルミニウム箔(AL)の、外層側に接着剤(AD−1)を用いて基材層(SB)を積層させた。この時はグラビアリバースコートにより、ドライ塗布量として4〜5g/mになるようにラミネートを行った。その後、エージング処理を施すことで、接着剤(AD−1)を硬化させた。
【0064】
その後、上記ラミネート品の、腐食防止処理層(CL)側に接着剤(AD−2)を用いてシーラント層(SL)を積層させた。この時も同様にグラビアリバースコートにより、ドライ塗布量として4〜5g/mになるようにラミネートを行った。その後、エージング処理を施すことで、接着剤(AD−2)を硬化させた図1の様なドライラミ構成を得ることができる。一方、熱ラミネート/熱処理構成も同様に試作評価を行っている。この製造方法は、押出ラミネート機を用いて、接着性樹脂(AD−3)として変性ポリオレフィン樹脂を260℃〜300℃の範囲になるように腐食防止処理層(CL)上に押出ラミネートを行い、シーラント層(SL)と共にサンドイッチラミネートを行うことで、図1のような積層構成のサンプルを作成した。その後、熱ラミネーション法により、母材温度がシーラント層の融点近傍になるように熱圧着を施し、腐食防止処理層(CL)と接着性樹脂層(AD−3)を強固に密着させ熱ラミネート/熱処理構成を得た。最終的に得られたラミネート型のリチウム電池用外装材を以下に記載の評価に用いた。
【0065】
[リチウムイオン電池用容器作製]
図3は、本発明のリチウムイオン電池用外装材のシール方法の一例を示したものであり、ヒートシール装置のシールバーとリチウムイオン電池外装材のヒートシール部を拡大したものである。ヒートシール方法としては、上下のシールバーの間に、シーラント層同士が対向するように重ね合わせたリチウムイオン電池用外装材の端縁部を挟み、所定温度・所定時間・所定圧力で加熱圧着した。この際、上側のシールバーにローレット加工部を設け、厚いシール部の接着樹脂層とシーラント層の総厚H1よりも、ローレット加工部により薄く形成された薄いシール部の接着樹脂層とシーラント層の総厚H2が減少するように外装材の端縁部をヒートシールした。
【0066】
[評価]
<シール強度評価>
前記ヒートシール方法を用いて、シーラント層同士が対向するように重ね合わせてヒートシールした後、100×15mmサイズの短冊状に切り取り、内部側のシール端部から外部側のシール端部もしくはシール端縁部にかけて、引張速度300m/minにてシール強度を測定した。なお、シール強度が40N/15mm以上の結果を合格とした。
【0067】
<水分透過率評価>
前記ヒートシール方法を用いて、120mm×110mmのリチウムイオン電池用外装材を、シーラント層同士が対向するように重ね合わせ、外形寸法120mm×55mmに折りたたみ、両側の端縁部を10mm巾でヒートシールすることで、一辺が開口した袋を作製した。その後、電池の内容物となる炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルを1:1:1の割合で混合した電解液を5ml注入し、残りの1辺を5mm幅でヒートシールした。なお、10mmシール部は水分透過がほぼないものとみなし、5mmシール部を測定対象とした。作製した電池用容器を60℃、95%RHの環境下に4週間保存し、保存後の電解液に含まれる水分量をカールフィッシャーにて測定し、水分透過率が100ppm以下の結果を合格とした。
【0068】
以下、実施例1〜9および比較例1〜5に示す積層体と加工条件により、それぞれの電池用容器を作製した。また、作製したそれぞれの電池用容器を用いて、シール強度(バースト部、中央部)と水分透過率の評価を行った。なお、各シール巾は通常シール部とローレットシール部の合計で5mmとした。結果を表1に示す。
【0069】
<実施例1>
アルミニウム箔(AL)に腐食防止処理層(CL)としてCL−1を施し、さらにその上にCL−2を施した。また、接着樹脂層(AR)としてAD−3を用いて積層体を作製した。前記積層体を用いて電池用容器を作製した。なお、シール幅全体をローレット状にヒートシールした。
[ローレット状の薄いシール部]
・薄いシール部の厚みは、対厚いシール部の厚みの40%
・接着樹脂層およびシーラント層の総厚60μm
・断面における薄いシール部の単位幅は、対厚いシール部の単位幅の30%
[ローレット状の厚いシール部]
・接着樹脂層およびシーラント層の総厚150μm
【0070】
<実施例2>
ローレットシール部の薄いシール部の厚みと、薄いシール部の接着樹脂層およびシーラント層の総厚を変更した以外は、実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
[ローレット状の薄いシール部]
・薄いシール部の厚みは、対厚いシール部の厚みの60%
・接着樹脂層およびシーラント層の総厚90μm
【0071】
<実施例3>
ローレットシール部の薄いシール部の厚みと、薄いシール部の接着樹脂層およびシーラント層の総厚を変更した以外は、実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
[ローレット状の薄いシール部]
・薄いシール部の厚みは、対厚いシール部の厚みの20%
・接着樹脂層およびシーラント層の総厚30μm
【0072】
<実施例4>
ローレットシール部の断面における薄いシール部の単位幅を、対厚いシール部の単位幅の20%に変更した以外は、実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
【0073】
<実施例5>
ローレットシール部の断面における薄いシール部の単位幅を、対厚いシール部の単位幅の60%に変更した以外は、実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
【0074】
<実施例6>
電池用容器のヒートシール領域において、最内部および最外部に1mm(全ヒートシール幅の20%)ずつ通常のヒートシールを施し、他のヒートシール領域にローレット状(網目構造)のヒートシールを施し、前記ローレット状(網目構造)のヒートシール幅は全ヒートシール幅に対して左右対称に、60%とした以外は実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
【0075】
<実施例7>
電池用容器のヒートシール領域において、最内部および最外部に2mm(全ヒートシール幅の40%)ずつ通常のヒートシールを施し、他のヒートシール領域にローレット状(網目構造)のヒートシールを施し、前記ローレット状(網目構造)のヒートシール幅は全ヒートシール幅に対して左右対称に、20%とした以外は実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
【0076】
<実施例8>
アルミニウム箔(AL)に、腐食防止処理層(CL)としてCL−3を施した以外は、実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
【0077】
<実施例9>
接着樹脂層(AR)としてAD−2を用いた以外は、実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
【0078】
<比較例1>
接着樹脂層およびシーラント層の総厚30μmの積層体を用い、全ヒートシール領域に通常のヒートシールを施して、実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
【0079】
<比較例2>
接着樹脂層およびシーラント層の総厚120μmの積層体を用い、全ヒートシール領域に通常のヒートシールを施して、実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
【0080】
<比較例3>
ローレットシール部の薄いシール部の厚みと、薄いシール部の接着樹脂層およびシーラント層の総厚を変更した以外は、実施例1と同様にして電池用容器を作製した。
[ローレット状の薄いシール部]
・薄いシール部の厚みは、対厚いシール部の厚みの80%
・接着樹脂層およびシーラント層の総厚120μm
[ローレット状の厚いシール部]
・接着樹脂層およびシーラント層の総厚150μm
【0081】
【表1】

【0082】
<比較結果>
実施例1〜9及び比較例1〜3で得られた電池用容器のシール強度と水分透過率を測定した結果、実施例1〜9による本発明品はいずれも、シール強度が40N/15mm以上であり、また、水分透過率100ppm以下であり良好な結果を示した。一方、比較例1〜3の比較例品は、比較例1で中央部のシール強度が20N/15mmと低く、また、比較例2〜3では水分透過率が100ppmを超えてしまい、いずれも合格(実用レベル)には至らなかった。このように、本発明によれば、ヒートシール部をローレット状にシールすることで接着樹脂層とシーラント層の総厚を部分的に薄く設定することにより、水分透過の抑制およびシール強度の確保が可能で且つ、破袋しにくい電池用容器、およびこれを備えたリチウムイオン電池が提供ができる結果が得られた。
【符号の説明】
【0083】
1 積層体
2 シールバー
3 基材
10 接着剤層
15 アルミニウム箔層
20 腐蝕防止処理層
25 接着樹脂層
30 シーラント層
40 膜厚の薄いシール部
50 膜厚の厚いシール部
60 膜厚の薄いシール部の単位幅
70 膜厚の厚いシール部の単位幅
80 シール全体のシール幅
H1 薄いシール部の接着樹脂層とシーラント層の総厚
H2 厚いシール部の接着樹脂層とシーラント層の総厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の片面が、少なくともアルミニウム箔層、接着樹脂層、シーラント層を順次積層してなる積層体の、前記シーラント層側を対向させ、その端縁周辺をヒートシールして形成される電池用容器であって、前記ヒートシールの形状が膜厚の薄いシール部と膜厚の厚いシール部を有するローレット構造(網目構造)を含み、前記膜厚の薄いシール部に占める接着樹脂層とシーラント層の総厚みが、前記膜厚の厚いシール部に占める接着樹脂層とシーラント層の総厚みの70%以下である事を特徴とする電池用容器。
【請求項2】
前記ヒートシールのローレット構造(網目構造)で、膜厚の薄いシール部の単位幅が前記膜厚の厚いシール部の単位幅の20%以上60%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電池用容器。
【請求項3】
前記ローレット構造にヒートシールされた領域が、ヒートシール幅全体の20%以上80%以下であることを特徴とする事を特徴とする請求項1または2に記載の電池用容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電池用容器を具備したことを特徴とするリチウムイオン電池。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−25980(P2013−25980A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158756(P2011−158756)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】