説明

電池監視装置

【課題】組電池のうち最も高電圧側の電池セルおよび最も低電圧側の電池セルの電圧検出の精度を向上させることができる電池監視装置を提供する。
【解決手段】組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10を含んだセルグループ11を監視するセル監視回路30に、組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10の電池電圧を補正する正極側補正回路33を設ける。また、組電池12のうち最も低電圧側の電池セル10を含んだセルグループ11を監視するセル監視回路30に、組電池12のうち最も低電圧側の電池セル10の電池電圧を補正する負極側補正回路34を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電池セルの過充電検出や過放電検出の閾値が自発変化したことを検出する故障診断機能を備えた組電池制御装置が、例えば特許文献1で提案されている。この特許文献1では、組電池を構成する複数直列接続された電池セルがいくつかの電池セルごとにセルグループとされ、セルグループごとに過充放電検出装置がそれぞれ設けられた組電池制御装置が提案されている。
【0003】
過充放電検出装置は、当該過充放電検出装置に対応するセルグループに属する各電池セルの両端の電圧をそれぞれ入力し、当該セルグループ内に過充電または過放電の電池セルがあるかどうかを判定してその結果を出力する装置である。そして、各過充放電検出装置は、当該過充放電検出装置自身を動作させるため、当該過充放電検出装置に対応するセルグループの最も高電圧側の電池セルと最も低電圧側の電池セルとから配線を介して電源を取得している。以下では、過充放電検出装置に電源を与える配線を電源ラインと言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−92840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、各過充放電検出装置はそれぞれ対応するセルグループから電源ラインを介して電源をそれぞれ取得するため、電池セルの正極側や負極側にそれぞれ接続されたラインと比較して電源ラインには多くの電流が流れる。このため、電源ラインの配線抵抗による電圧低下の影響が懸念される。
【0006】
具体的には、直列接続されたセルグループのうちの例えば中間部分に対応する2つの過充放電検出装置について見てみると、一方の過充放電検出装置に対応したセルグループ内の最も低電圧側の電池セルの負極側に接続された電源ラインと他方の過充放電検出装置に対応したセルグループ内の最も高電圧側の電池セルの正極側に接続された電源ラインとは共用される。このため、当該電源ラインでは一方の過充放電検出装置から当該一方の過充放電検出装置に対応したセルグループ内の最も低電圧側の電池セルの負極側に流れ込む電流と他方の過充放電検出装置に対応したセルグループ内の最も高電圧側の電池セルの正極側から当該他方の過充放電検出装置に流れ出す電流とが打ち消し合うため電源ラインに電流は流れない。したがって、当該電源ラインの配線抵抗の影響は少ない。
【0007】
これに対し、最も高電圧側のセルグループに対応する過充放電検出装置について見てみると、当該過充放電検出装置に対応するセルグループ内の最も高電圧側の電池セル(つまり、組電池のうち最も高電圧側の電池セル)の正極側に接続された電源ラインには当該電池セルから流れ出た電流のみが流れる。また、最も低電圧側のセルグループに対応する過充放電検出装置について見てみると、当該過充放電検出装置に対応するセルグループ内の最も低電圧側の電池セル(つまり、組電池のうち最も低電圧側の電池セル)の負極側に接続された電源ラインには当該電池セルに流れ込む電流のみが流れる。これらの電源ラインは一方向の電流しか流れないため、当該電源ラインで電流が双方向に流れて打ち消し合うことがない。このため、これらの電源ラインに電流が流れると当該電流による電圧降下分が電池セルの電圧検出の誤差となってしまう。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、組電池のうち最も高電圧側の電池セルおよび最も低電圧側の電池セルの電圧検出の精度を向上させることができる電池監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、直列接続された複数の電池セルを所定数毎にグループ化した複数のセルグループにそれぞれ対応して設けられ、セルグループを構成する電池セルそれぞれを監視するセル監視回路が複数直列接続された電池監視装置であって、
セルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を、当該電池セルの正極側に接続された正極側電源ラインに流れる電流による電圧降下分だけ補正する正極側補正回路と、
セルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を、当該電池セルの負極側に接続された負極側電源ラインに流れる電流による電圧降下分だけ補正する負極側補正回路と、を備え、
正極側補正回路は、複数のセルグループのうち最も高電圧側のセルグループに含まれる最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を補正し、
負極側補正回路は、複数のセルグループのうち最も低電圧側のセルグループに含まれる最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を補正することを特徴とする。
【0010】
これによると、複数の電池セルのうち最も高電圧側の電池セルの正極側に接続されると共に当該電池セルから電流が流れる正極側電源ラインの電圧を正極側補正回路により補正することができる。また、複数の電池セルのうち最も低電圧側の電池セルの負極側に接続されると共に当該電池セルに電流が流れる負極側電源ラインの電圧を負極側補正回路により補正することができる。したがって、複数の電池セルのうち最も高電圧側の電池セルおよび最も低電圧側の電池セルの電圧検出の精度を向上させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、正極側補正回路は、複数のセル監視回路のうち、少なくとも、複数の電池セルのうち最も高電圧側の電池セルを監視するセル監視回路に備えられ、
負極側補正回路は、複数のセル監視回路のうち、少なくとも、複数の電池セルのうち最も低電圧側の電池セルを監視するセル監視回路に備えられていることを特徴とする。
【0012】
このように、セル監視回路に正極側補正回路や負極側補正回路を含めた構成とすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、正極側補正回路および負極側補正回路は、複数のセル監視回路にそれぞれ備えられ、
隣り合う2つのセルグループにおいて、一方のセルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側に接続された負極側電源ラインと、他方のセルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側に接続された正極側電源ラインと、は共通の共用ラインとされており、
複数のセル監視回路それぞれは、複数のセル監視回路が直列接続されたときにどの位置に配置されているかをそれぞれ検出し、
検出結果に基づき、
複数のセル監視回路のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路は、当該セル監視回路に備えられた正極側補正回路による補正を許可すると共に負極側補正回路に接続された共用ラインの電圧の補正を禁止し、
複数のセル監視回路のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路と最も低電圧側に位置するセル監視回路との間に位置するセル監視回路は、当該セル監視回路に備えられた正極側補正回路および負極側補正回路にそれぞれ接続された共用ラインの電圧の補正をそれぞれ禁止し、
複数のセル監視回路のうち最も低電圧側に位置するセル監視回路は、当該セル監視回路に備えられた正極側補正回路に接続された共用ラインの電圧の補正を禁止すると共に負極側補正回路による補正を許可することを特徴とする。
【0014】
これによると、共用ラインでは、一方の電池セルから流れ出た電流と他方の電池セルに流れ込む電流とが双方向に流れて電流が打ち消し合い、共用ラインに電圧降下が生じないので、共用ラインに接続された正極側補正回路および負極側補正回路の補正を禁止することにより、共用ラインの電圧が補正されてしまうことを回避することができる。
【0015】
また、電流が双方向に流れない正極側電源ラインおよび負極側電源ラインの電圧の補正を許可しているので、複数の電池セルのうちの最も高電圧側の電池セルおよび最も低電圧側の電池セルの電圧検出の精度を向上させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、正極側電源ラインの消費電流を計測する正極側電流検出回路を備え、正極側補正回路はこの正極側電流検出回路で計測された消費電流に応じてセルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を補正し、
負極側電源ラインの消費電流を計測する負極側電流検出回路を備え、負極側補正回路はこの負極側電流検出回路で計測された消費電流に応じてセルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を補正することを特徴とする。
【0017】
これによると、電池監視装置において消費電流が変化したとしても、正極側電流検出回路や負極側電流検出回路で消費電流をそれぞれ検出しているので、消費電流の量に応じて電池セルの電圧を補正することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、複数のセル監視回路それぞれは、正極側補正回路および負極側補正回路と、正極側電源ラインの消費電流を計測する正極側電流検出回路と、負極側電源ラインの消費電流を計測する負極側電流検出回路とを備え、
隣り合う2つのセルグループにおいて、一方のセルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側に接続された負極側電源ラインと、他方のセルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側に接続された正極側電源ラインと、は共通の共用ラインとされており、
複数のセル監視回路のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路に備えられた正極側補正回路は、当該セル監視回路に備えられた正極側電流検出回路で計測された正極側電源ラインに流れる消費電流に応じて当該セル監視回路に対応したセルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を補正し、
複数のセル監視回路のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路を除いたセル監視回路に備えられた正極側補正回路それぞれは、当該セル監視回路に備えられた正極側電流検出回路で計測された共用ラインに流れる消費電流に応じて当該セル監視回路に対応したセルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を補正し、
複数のセル監視回路のうち最も低電圧側に位置するセル監視回路に備えられた負極側補正回路は、当該セル監視回路に備えられた負極側電流検出回路で計測された負極側電源ラインに流れる消費電流に応じて当該セル監視回路に対応したセルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を補正し、
複数のセル監視回路のうち最も低電圧側に位置するセル監視回路を除いたセル監視回路に備えられた負極側補正回路それぞれは、当該セル監視回路に備えられた負極側電流検出回路で計測された共用ラインに流れる消費電流に応じて当該セル監視回路に対応したセルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を補正することを特徴とする。
【0019】
これによると、正極側電源ライン、負極側電源ライン、共用ラインに流れる消費電流が増えたとしても、各セル監視回路に備えられた正極側電流検出回路や負極側電流検出回路で消費電流をそれぞれ検出しているので、消費電流の量に応じて電池セルの電圧を補正することができる。
【0020】
特に、共用ラインでは、一方の電池セルから流れ出た電流と他方の電池セルに流れ込む電流とが双方向に流れたときに電流が打ち消し合わない可能性があり、この際の打ち消し合わない誤差分についても補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電池監視装置を含んだ電池監視システムの全体構成図である。
【図2】図1に示される電池監視システムの一部を示した図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電池監視装置を含んだ電池監視システムの全体構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る電池監視システムの一部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る電池監視装置を含んだ電池監視システムの全体構成図である。図1に示されるように、電池監視システムは、電池セル10と電池監視装置20とを備えて構成されている。
【0024】
電池セル10は、一定の電圧を発生させることができる電圧源であり、いわゆる単セルである。この電池セル10は、例えば、負荷を駆動するための電源や電子機器の電源等に用いられる。電池セル10としては、例えば、充電可能な二次電池が採用される。本実施形態では、電池セル10としてリチウムイオン二次電池を用いる。1つの電池セル10の電池電圧は例えば数V程度である。
【0025】
また、直列接続された複数の電池セル10を所定数毎にグループ化したセルグループ11が複数構成されている。このセルグループ11は、複数の電池セル10を一定数毎に分割する単位である。本実施形態では6個の電池セル10が直列接続されてセルグループ11が構成されている。つまり、セルグループ11は複数の電池セル10がモジュール化されたものである。図1では3つのセルグループ11が示されており、各セルグループ11が直列に複数組み合わされることにより1つの組電池12が構成されている。
【0026】
電池監視装置20は、電池セル10の状態として過充電および過放電を監視する過充放電検出機能を有する装置である。これら過充電や過放電の状態は、電池セル10においては異常の状態である。
【0027】
過充放電検出機能は、電池セル10の電圧と閾値とを比較することにより電池セル10の電圧の監視を行う機能である。電池セル10が二次電池の場合、電池監視装置20は電池セル10の電圧が過充電を検出する閾値と過放電を検出する閾値との間にあるかを監視することとなる。
【0028】
このような電池監視装置20は、複数のセル監視回路30と、マイクロコンピュータ40(以下、マイコン40という)と、を備えている。
【0029】
セル監視回路30は、個々の電池セル10の状態を監視するように構成された回路である。各セル監視回路30は、セルグループ11毎に設けられていると共にそれぞれ直列接続されている。また、セル監視回路30は、例えばICとして構成されている。
【0030】
各セル監視回路30は、電源部31と、監視部32と、をそれぞれ備えている。このうちの電源部31は、当該セル監視回路30に対応したセルグループ11のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側の電圧と、最も低電圧側の電池セル10の負極側の電圧とをそれぞれ入力し、これらの電圧差から一定電圧を生成するように構成された回路部である。この一定電圧は、セル監視回路30の電源として用いられる。
【0031】
また、監視部32は、複数の電池セル10の電池電圧をそれぞれ入力して閾値とそれぞれ比較し、その比較結果をそれぞれ出力するように構成された回路部である。
【0032】
このように、監視部32で各電池セル10の電池電圧を監視するため、各電池セル10の電池電圧はそれぞれライン50を介して監視部32に入力される。上述のように、各電池セル10はそれぞれ直列接続されているので、一方の電池セル10の負極側に接続されるライン50と他方の電池セル10の正極側に接続されるライン50とは共通化されて1本のライン50とされている。
【0033】
ここで、各ライン50のうち、セルグループ11の最も高電圧側の電池セル10の正極側に接続されたライン50を正極側電源ライン51とし、セルグループ11の最も低電圧側の電池セル10の負極側に接続されたライン50を負極側電源ライン52とする。そして、一方の電池セル10の負極側のライン50と他方の電池セル10の正極側のライン50とが共通化されることから、隣り合う2つのセルグループ11において、一方のセルグループ11のうち最も低電圧側の電池セル10の負極側に接続された負極側電源ライン52と、他方のセルグループ11のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側に接続された正極側電源ライン51と、は共通の共用ライン53とされる。
【0034】
すなわち、組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側に接続された正極側電源ライン51と最も低電圧側の電池セル10の負極側に接続された負極側電源ライン52とを除いた正極側電源ライン51および負極側電源ライン52はすべて共用ライン53とされる。
【0035】
上記構成を有する複数のセル監視回路30のうち最も高電圧側のセルグループ11を監視するセル監視回路30は正極側補正回路33を備え、最も低電圧側のセルグループ11を監視するセル監視回路30は負極側補正回路34を備えている。正極側補正回路33は組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側の電圧を補正するための回路であり、負極側補正回路34は、組電池12のうち最も低電圧側の電池セル10の負極側の電圧を補正するための回路である。
【0036】
これら正極側補正回路33および負極側補正回路34の役割について、図2を参照して説明する。
【0037】
図2は、図1に示される電池監視システムの一部を示した図である。図2では、組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10を含んだセルグループ11とこのセルグループ11に接続されたセルグループ11とが示され、これらのセルグループ11を監視する各セル監視回路30がそれぞれ示されている。
【0038】
図2に示されるように、正極側電源ライン51、各ライン50、および共用ライン53には、それぞれ配線抵抗や接触抵抗等の抵抗54が含まれている。
【0039】
そして、各ライン50や各共用ライン53については、一方の電池セル10に流れ込む電流と他方の電池セル10から流れ出す電流とが双方向に流れて打ち消し合うので、各ライン50や各共用ライン53に電流は実質的に流れない。したがって、各ライン50や各共用ライン53では抵抗54の電圧降下の影響はほとんどない。
【0040】
これに対し、図2に示されるように、最も高電圧側のセルグループ11における正極側電源ライン51については、当該セルグループ11の最も高電圧側の電池セル10の正極側から流れ出る電流のみが流れる。すなわち、正極側電源ライン51には一方向の電流しか流れないので、電流が打ち消し合うことがない。このため、最も高電圧側のセル監視回路30の監視部32には、正極側電源ライン51の抵抗54による電圧降下分だけ下がった電圧が入力されることとなる。
【0041】
したがって、正極側補正回路33は、複数のセルグループ11のうち最も高電圧側の電池セル10を含むセルグループ11の最も高電圧側の電池セル10の正極側の電圧を、当該電池セル10の正極側に接続された正極側電源ライン51に流れる電流による電圧降下分だけ補正する。このため、正極側補正回路33は正極側電源ライン51に接続されている。
【0042】
具体的に、正極側補正回路33は、正極側電源ライン51に流れる電流を検出し、検出した電流に応じた電圧分を正極側電源ライン51の電圧(つまり電圧降下した電圧)に加算することで電圧降下分を補正する。すなわち、正極側補正回路33は、正極側電源ライン51の電圧を抵抗54による電圧降下分だけかさ上げする補正を行う。正極側電源ライン51に流れる電流を検出する方法としては、例えば、コンパレータ等を用いた比較監視による方法を採用することができる。
【0043】
これにより、最も高電圧側のセル監視回路30は、組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10について、正極側電源ライン51の抵抗54による電圧降下分が補正された電池電圧を監視することとなる。言い換えると、正極側補正回路33は組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10の電池電圧を補正していると言える。
【0044】
また、最も低電圧側のセルグループ11における負極側電源ライン52については、当該セルグループ11の最も低電圧側の電池セル10の負極側に流れ込む電流のみが流れる。すなわち、負極側電源ライン52には正極側電源ライン51と同様に一方向の電流しか流れないので、電流が打ち消し合うことがない。このため、最も低電圧側のセル監視回路30の監視部32には、負極側電源ライン52の抵抗54による電圧降下分だけ上がった電圧が入力されることとなる。
【0045】
したがって、負極側補正回路34は、複数のセルグループ11のうち最も低電圧側の電池セル10を含むセルグループ11の最も低電圧側の電池セル10の負極側の電圧を、当該電池セル10の負極側に接続された負極側電源ライン52に流れる電流による電圧降下分だけ補正する。このため、負極側補正回路34は負極側電源ライン52に接続されている。
【0046】
負極側補正回路34は、負極側電源ライン52に流れる電流を検出し、検出した電流に応じた電圧分を負極側電源ライン52の電圧(つまり電圧降下した電圧)から減算することで電圧降下分を補正する。電流を検出する方法は、上記の正極側補正回路33と同じ方法を採用することができる。
【0047】
これにより、最も低電圧側のセル監視回路30は、組電池12のうち最も低電圧側の電池セル10について、負極側電源ライン52の抵抗54による電圧降下分が補正された電池電圧を監視することとなる。言い換えると、負極側補正回路34は組電池12のうち最も低電圧側の電池セル10の電池電圧を補正していると言える。
【0048】
マイコン40は、図示しないCPU、ROM、EEPROM、RAM等を備え、ROM等に記憶されたプログラムに従って各セル監視回路30に対して電池セル10の状態監視の指令および電池セル10の状態判定を行う制御部である。
【0049】
以上が本実施形態に係る電池監視装置20および当該電池監視装置20を含んだ電池監視システムの全体構成である。
【0050】
次に、本実施形態に係る電池監視装置20の監視の作動すなわち過充放電検出の作動について説明する。電池監視装置20における電池セル10の監視の作動は、例えば、電池監視装置20の電源がオンされたときやオフされたとき、電池監視装置20が外部からの指令を受けたとき等に開始される。
【0051】
マイコン40の過充放電検出機能には、過充電検出モードと過放電検出モードとがある。各モードにおける作動は同じなので、以下では各モードをまとめて説明する。
【0052】
電池監視装置20において、過充電検出モードまたは過放電検出モードが開始されると、マイコン40は、監視対象の電池セル10に対応したセル監視回路30に対して監視指令を出力する。例えば、マイコン40は、組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10から低電圧側に順番に過充電検出または過放電検出を行う指令を出す。
【0053】
そして、最も高電圧側のセル監視回路30がマイコン40から監視指令を受けた場合、当該セル監視回路30は当該セル監視回路30に対応したセルグループ11のうち最も高電圧側の電池セル10の電池電圧を監視部32に入力する。この場合、正極側補正回路33は、当該電池セル10の電池電圧を正極側電源ライン51の抵抗54による電圧降下分だけ補正して監視部32に入力する。
【0054】
この後、監視部32で過充電検出閾値または過放電検出閾値と補正後の電池電圧との大小関係が比較され、その結果が監視部32からマイコン40に出力される。マイコン40は、監視部32の各出力に基づいて、当該電池セル10の電池電圧が過充電または過放電になっているか否かを判定する。
【0055】
続いて、最も高電圧側のセル監視回路30は、当該セル監視回路30に対応したセルグループ11の最も高電圧側の電池セル10に接続された電池セル10の電池電圧を監視部32に入力する。上述のように、当該電池セル10に接続されたライン50には実質的に電流は流れず、ライン50に含まれる抵抗54の電圧降下の影響はないので、当該電池セル10の電池電圧は補正されずに当該電池電圧と過充電検出閾値または過放電検出閾値との大小関係が比較される。そして、その比較結果がマイコン40に出力され、マイコン40にて過充電または過放電の判定が行われる。
【0056】
同様に、最も高電圧側の電池セル10から低電圧側に3番目の電池セル10について過充電または過放電の判定が行われる。そして、最も高電圧側のセルグループ11を構成するすべての電池セル10の監視が終わると、マイコン40は次のセル監視回路30に対して監視指令を出力する。これにより、上記と同様に各電池セル10の電池電圧と過充電検出閾値または過放電検出閾値との比較および各電池セル10の過充電または過放電の判定が順番に行われる。
【0057】
上記のように、各電池セル10の監視が順番に行われ、最後に組電池12のうち最も低電圧側の電池セル10について監視が行われる際、最も低電圧側のセル監視回路30に備えられた負極側補正回路34は、当該電池セル10の電池電圧を負極側電源ライン52の抵抗54による電圧降下分だけ補正して監視部32に入力する。この後、当該電池セル10について、過充電検出閾値または過放電検出閾値と補正後の電池電圧との大小関係が監視部32で比較され、その結果が監視部32からマイコン40に出力される。そして、マイコン40にて当該電池セル10の過充電または過放電が判定される。このようにして、すべての電池セル10について過充電または過放電の監視が行われる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態では、正極側補正回路33により組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10の電池電圧を補正し、負極側補正回路34により組電池12のうち最も低電圧側の電池セル10の電池電圧を補正することが特徴となっている。
【0059】
これにより、複数の電池セル10のうち最も高電圧側の電池セル10の電圧検出の精度を向上させることができ、ひいては過充電または過放電の判定精度を高めることができる。また、複数の電池セル10のうち最も低電圧側の電池セル10の電圧検出の精度を向上させることができ、ひいては過充電または過放電の判定精度を高めることができる。
【0060】
特に、電池セル10の電池電圧を監視する上記の電池監視システムにおいては、監視電圧が数V程度であり、数mVの誤差が負荷の制御に大きく影響する。しかしながら、本実施形態に係る電池監視装置20では、上記の正極側補正回路33および負極側補正回路34により最も高電圧側の電池セル10と最も低電圧側の電池セル10の各電池電圧をそれぞれ補正しているので、電池電圧の誤差によって負荷の制御に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0061】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第1実施形態では、正極側補正回路33は組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10を含んだセルグループ11を監視するセル監視回路30のみに設けられ、負極側補正回路34は組電池12のうち最も低電圧側の電池セル10を含んだセルグループ11を監視するセル監視回路30のみに設けられていた。しかしながら、本実施形態では、正極側補正回路33および負極側補正回路34はすべてのセル監視回路30に設けられていることが特徴となっている。
【0062】
図3は、本実施形態に係る電池監視装置20を含んだ電池監視システムの全体構成図である。この図に示されるように、すべてのセル監視回路30が正極側補正回路33および負極側補正回路34をそれぞれ備えている。
【0063】
各正極側補正回路33は、セルグループ11のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側の電圧を、当該電池セル10の正極側に接続された正極側電源ライン51に流れる電流による抵抗54の電圧降下分だけ補正する。また、各負極側補正回路34は、セルグループ11のうち最も低電圧側の電池セル10の負極側の電圧を、当該電池セル10の負極側に接続された負極側電源ライン52に流れる電流による抵抗54の電圧降下分だけ補正する。
【0064】
このように、各セル監視回路30に正極側補正回路33および負極側補正回路34が設けられているが、配線抵抗や接触抵抗による抵抗54によって電圧降下が生じるのは組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側に接続された正極側電源ライン51の電圧と最も低電圧側の電池セル10の負極側に接続された負極側電源ライン52の電圧である。したがって、これらの正極側電源ライン51および負極側電源ライン52以外の各共用ライン53に接続された正極側補正回路33および負極側補正回路34については、当該共用ライン53の電圧を補正しないように、その動作をそれぞれ禁止する必要がある。
【0065】
このため、各セル監視回路30それぞれは、複数のセル監視回路30が直列接続されたときに自身がどの位置に配置されているかをそれぞれ検出し、自身の位置に応じて自身が備える正極側補正回路33および負極側補正回路34の補正を許可または禁止する機能を備えている。
【0066】
セル監視回路30が自身の位置を検出する方法としては、セル監視回路30の接続ピンの一部がGNDに接続されていることを検出することや、マイコン40から位置情報を入力することや、他のセル監視回路30の接続を検出すること等の方法が採用される。
【0067】
そして、各セル監視回路30は、自身の位置を検出した結果に基づき、以下のように動作する。
【0068】
まず、複数のセル監視回路30のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路30については、当該セル監視回路30に備えられた正極側補正回路33による補正を許可すると共に負極側補正回路34に接続された共用ライン53の電圧の補正を禁止する。つまり、最も高電圧側に位置するセル監視回路30は負極側補正回路34を備えているがこの負極側補正回路34を使用しない。
【0069】
また、複数のセル監視回路30のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路30と最も低電圧側に位置するセル監視回路30との間に位置するセル監視回路30については、当該セル監視回路30に備えられた正極側補正回路33および負極側補正回路34にそれぞれ接続された共用ライン53の電圧の補正をそれぞれ禁止する。つまり、これらのセル監視回路30は正極側補正回路33および負極側補正回路34を備えているが、これら正極側補正回路33および負極側補正回路34を使用しない。
【0070】
さらに、複数のセル監視回路30のうち最も低電圧側に位置するセル監視回路30については、当該セル監視回路30に備えられた正極側補正回路33に接続された共用ライン53の電圧の補正を禁止すると共に負極側補正回路34による補正を許可する。つまり、最も低電圧側に位置するセル監視回路30は正極側補正回路33を備えているが、この正極側補正回路33を使用しない。
【0071】
これにより、組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側に接続された正極側電源ライン51の電圧と最も低電圧側の電池セル10の負極側に接続された負極側電源ライン52の電圧は補正される。すなわち、電流が双方向に流れない正極側電源ライン51および負極側電源ライン52の電圧の補正をそれぞれ許可しているので、組電池12を構成する最も高電圧側の電池セル10および最も低電圧側の電池セル10の電池電圧における抵抗54の電圧降下分の誤差を解消できる。したがって、これらの電池セル10の電圧検出の精度が向上する。
【0072】
また、共用ライン53の電圧は補正されない。すなわち、共用ライン53では、一方の電池セル10から流れ出た電流と他方の電池セル10に流れ込む電流とが双方向に流れて電流が打ち消し合って実質的に電流が流れない。したがって、共用ライン53に接続された正極側補正回路33および負極側補正回路34の補正をそれぞれ禁止することにより、共用ライン53に係る電池セル10の電池電圧に対して抵抗54の電圧降下分の補正による誤差を生じさせないようにすることができる。
【0073】
さらに、本実施形態では、すべてのセル監視回路30に正極側補正回路33および負極側補正回路34をそれぞれ設けているので、各セル監視回路30の構成を共通化させることができる。つまり、同じ構成のセル監視回路30を複数用いて電池監視装置20を構成することができる。このため、正極側補正回路33のみを備えたセル監視回路30や負極側補正回路34のみを備えたセル監視回路30を用意する必要がない。したがって、電池監視装置20の製造コストを低減することができる。
【0074】
(第3実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、電池監視装置20に接続された通信回路等の他の回路で組電池12の電流が消費された場合、これらの回路で消費される消費電流に応じて正極側電源ライン51の電圧や負極側電源ライン52の電圧を補正することが特徴となっている。
【0075】
図4は、本実施形態に係る電池監視システムの一部を示した図である。図4では、組電池12のうち最も高電圧側の電池セル10を含んだセルグループ11と最も低電圧側の電池セル10を含んだセルグループ11とが示され、これらのセルグループ11を監視する各セル監視回路30がそれぞれ示されている。
【0076】
図4に示されるように、最も高電圧側のセルグループ11を監視するセル監視回路30は、正極側電源ライン51の消費電流を計測する正極側電流検出回路35を備えている。この正極側電流検出回路35で計測された消費電流の情報は正極側補正回路33に入力される。そして、正極側補正回路33は、正極側電流検出回路35で計測された消費電流に応じてセルグループ11のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側の電圧を補正する。
【0077】
また、最も低電圧側のセルグループ11を監視するセル監視回路30は負極側電源ライン52の消費電流を計測する負極側電流検出回路36を備えている。この負極側電流検出回路36で計測された消費電流の情報は負極側補正回路34に入力される。そして、負極側補正回路34は、負極側電流検出回路36で計測された消費電流に応じてセルグループ11のうち最も低電圧側の電池セル10の負極側の電圧を補正する。
【0078】
このような構成によると、電池監視装置20以外の回路で消費される消費電流によって正極側電源ライン51の電圧や負極側電源ライン52の電圧が変化したとしても、この電圧変化分を正極側補正回路33や負極側補正回路34の補正に含ませることができる。このように、電池監視装置20の周辺回路により正極側電源ライン51や負極側電源ライン52の消費電流が変化したとしても、消費電流の量に応じて電池セル10の電圧を補正することができる。したがって、正極側補正回路33や負極側補正回路34における補正の精度を高めることができる。
【0079】
なお、本実施形態では第1実施形態で示された電池監視装置20を例に説明したが、第2実施形態で示された電池監視装置20に本実施形態に係る正極側電流検出回路35および負極側電流検出回路36を適用することもできる。
【0080】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、電池セル10としてリチウムイオン二次電池を例に説明したが、他の二次電池を採用しても良い。また、この二次電池はハイブリッド車等の電気自動車に搭載される車載バッテリに適用することができる。
【0081】
上記各実施形態では、正極側補正回路33や負極側補正回路34は、セル監視回路30内に設けられていたが、正極側補正回路33や負極側補正回路34はセル監視回路30とは別体として電池監視装置20内に設けられていても良い。
【0082】
第3実施形態では、正極側電流検出回路35や負極側電流検出回路36はセル監視回路30内に設けられていたが、監視部32内にそれぞれ設けられていても良い。
【0083】
上記第2実施形態では、正極側補正回路33および負極側補正回路34はすべてのセル監視回路30に設けられていたが、共用ライン53に係る補正回路33、34については補正を行わないことが特徴となっていた。これは、共用ライン53に双方向の電流が流れることで電流が打ち消し合うため、共用ライン53については電圧の補正を行う必要がなかったからである。
【0084】
しかしながら、電池監視装置20にセル監視回路30以外の周辺回路が接続され、当該周辺回路の作動に応じて消費電流が増加する可能性がある。この場合、共用ライン53では、一方の電池セル10から流れ出た電流と他方の電池セル10に流れ込む電流とが双方向に流れたときに、各電流に差が生じて打ち消し合わない可能性がある。
【0085】
このような打ち消し合わない電流の誤差分については、第3実施形態で示された正極側電流検出回路35および負極側電流検出回路36を用いて消費電流を検出することで補正することができる。
【0086】
そこで、複数のセル監視回路30それぞれは、正極側補正回路33および負極側補正回路34と、正極側電源ライン51の消費電流を計測する正極側電流検出回路35と、負極側電源ライン52の消費電流を計測する負極側電流検出回路36とを備えた構成とする。なお、正極側電源ライン51や負極側電源ライン52が共用ライン53とされたラインについては、正極側電流検出回路35や負極側電流検出回路36は共用ライン53の消費電流を計測することとなる。
【0087】
そして、最も高電圧側に位置するセル監視回路30に備えられた正極側補正回路33は、当該セル監視回路30に備えられた正極側電流検出回路35で計測された正極側電源ライン51に流れる消費電流に応じて当該セル監視回路30に対応したセルグループ11のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側の電圧を補正する。
【0088】
また、複数のセル監視回路30のうち最も低電圧側に位置するセル監視回路30に備えられた負極側補正回路34は、当該セル監視回路30に備えられた負極側電流検出回路36で計測された負極側電源ライン52に流れる消費電流に応じて当該セル監視回路30に対応したセルグループ11のうち最も低電圧側の電池セル10の負極側の電圧を補正する。
【0089】
このように、最も高電圧側のセルグループ11や最も低電圧側のセルグループ11に接続された正極側電源ライン51や負極側電源ライン52には電流が一方向にのみ流れるため、正極側電源ライン51や負極側電源ライン52に流れる消費電流に応じた補正が可能となる。
【0090】
一方、最も高電圧側に位置するセル監視回路30を除いたセル監視回路30に備えられた正極側補正回路33それぞれは、当該セル監視回路30に備えられた正極側電流検出回路35で計測された共用ライン53に流れる消費電流に応じて当該セル監視回路30に対応したセルグループ11のうち最も高電圧側の電池セル10の正極側の電圧を補正する。
【0091】
同様に、最も低電圧側に位置するセル監視回路30を除いたセル監視回路30に備えられた負極側補正回路34それぞれは、当該セル監視回路30に備えられた負極側電流検出回路36で計測された共用ライン53に流れる消費電流に応じて当該セル監視回路30に対応したセルグループ11のうち最も低電圧側の電池セル10の負極側の電圧を補正する。
【0092】
このように、共用ライン53に流れる消費電流を正極側電流検出回路35や負極側電流検出回路36で計測することにより、共用ライン53で電流が打ち消し合わない誤差分について補正することが可能となる。
【0093】
以上のように、正極側電源ライン51、負極側電源ライン52、共用ライン53に流れる消費電流が変化しても、各セル監視回路30に備えられた正極側電流検出回路35や負極側電流検出回路36によって消費電流をそれぞれ検出することにより、当該消費電流の量に応じて電池セル10の電圧を補正することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 電池セル
11 セルグループ
12 組電池
20 電池監視装置
30 セル監視回路
33 正極側補正回路
34 負極側補正回路
35 正極側電流検出回路
36 負極側電流検出回路
51 正極側電源ライン
52 負極側電源ライン
53 共用ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の電池セルを所定数毎にグループ化した複数のセルグループにそれぞれ対応して設けられ、前記セルグループを構成する電池セルそれぞれを監視するセル監視回路が複数直列接続された電池監視装置であって、
前記セルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を、当該電池セルの正極側に接続された正極側電源ラインに流れる電流による電圧降下分だけ補正する正極側補正回路と、
前記セルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を、当該電池セルの負極側に接続された負極側電源ラインに流れる電流による電圧降下分だけ補正する負極側補正回路と、を備え、
前記正極側補正回路は、前記複数のセルグループのうち最も高電圧側のセルグループに含まれる最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を補正し、
前記負極側補正回路は、前記複数のセルグループのうち最も低電圧側のセルグループに含まれる最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を補正することを特徴とする電池監視装置。
【請求項2】
前記正極側補正回路は、前記複数のセル監視回路のうち、少なくとも、前記複数の電池セルのうち最も高電圧側の電池セルを監視するセル監視回路に備えられ、
前記負極側補正回路は、前記複数のセル監視回路のうち、少なくとも、前記複数の電池セルのうち最も低電圧側の電池セルを監視するセル監視回路に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項3】
前記正極側補正回路および前記負極側補正回路は、前記複数のセル監視回路にそれぞれ備えられ、
隣り合う2つのセルグループにおいて、一方のセルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側に接続された負極側電源ラインと、他方のセルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側に接続された正極側電源ラインと、は共通の共用ラインとされており、
前記複数のセル監視回路それぞれは、前記複数のセル監視回路が直列接続されたときにどの位置に配置されているかをそれぞれ検出し、
前記検出結果に基づき、
前記複数のセル監視回路のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路は、当該セル監視回路に備えられた前記正極側補正回路による補正を許可すると共に前記負極側補正回路に接続された共用ラインの電圧の補正を禁止し、
前記複数のセル監視回路のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路と最も低電圧側に位置するセル監視回路との間に位置するセル監視回路は、当該セル監視回路に備えられた前記正極側補正回路および前記負極側補正回路にそれぞれ接続された共用ラインの電圧の補正をそれぞれ禁止し、
前記複数のセル監視回路のうち最も低電圧側に位置するセル監視回路は、当該セル監視回路に備えられた前記正極側補正回路に接続された共用ラインの電圧の補正を禁止すると共に前記負極側補正回路による補正を許可することを特徴とする請求項1または2に記載の電池監視装置。
【請求項4】
前記正極側電源ラインの消費電流を計測する正極側電流検出回路を備え、前記正極側補正回路はこの正極側電流検出回路で計測された消費電流に応じて前記セルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を補正し、
前記負極側電源ラインの消費電流を計測する負極側電流検出回路を備え、前記負極側補正回路はこの負極側電流検出回路で計測された消費電流に応じて前記セルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を補正することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池監視装置。
【請求項5】
前記複数のセル監視回路それぞれは、前記正極側補正回路および前記負極側補正回路と、前記正極側電源ラインの消費電流を計測する正極側電流検出回路と、前記負極側電源ラインの消費電流を計測する負極側電流検出回路とを備え、
隣り合う2つのセルグループにおいて、一方のセルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側に接続された負極側電源ラインと、他方のセルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側に接続された正極側電源ラインと、は共通の共用ラインとされており、
前記複数のセル監視回路のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路に備えられた正極側補正回路は、当該セル監視回路に備えられた正極側電流検出回路で計測された正極側電源ラインに流れる消費電流に応じて当該セル監視回路に対応したセルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を補正し、
前記複数のセル監視回路のうち最も高電圧側に位置するセル監視回路を除いたセル監視回路に備えられた正極側補正回路それぞれは、当該セル監視回路に備えられた正極側電流検出回路で計測された共用ラインに流れる消費電流に応じて当該セル監視回路に対応したセルグループのうち最も高電圧側の電池セルの正極側の電圧を補正し、
前記複数のセル監視回路のうち最も低電圧側に位置するセル監視回路に備えられた負極側補正回路は、当該セル監視回路に備えられた負極側電流検出回路で計測された負極側電源ラインに流れる消費電流に応じて当該セル監視回路に対応したセルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を補正し、
前記複数のセル監視回路のうち最も低電圧側に位置するセル監視回路を除いたセル監視回路に備えられた負極側補正回路それぞれは、当該セル監視回路に備えられた負極側電流検出回路で計測された共用ラインに流れる消費電流に応じて当該セル監視回路に対応したセルグループのうち最も低電圧側の電池セルの負極側の電圧を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の電池監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−95076(P2011−95076A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248668(P2009−248668)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】