説明

電池管理システム及び電池管理方法

【課題】管理対象の電池を所持しているユーザに対して電池に関する所定の通知をより確実に伝えること。
【解決手段】電池管理システム1は、回収対象の電池を特定する電池情報を記憶する電池ID記憶部11と、移動機20に装着されている電池Bから電池情報を読み出し、その電池情報と電池ID記憶部11から読み出された電池情報とを照合して、双方の電池情報が一致した場合に、電池交換に関するメッセージを移動機20のユーザに対して出力する表示処理部22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動機の電池を管理する電池管理システム及び電池管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動機(例えば下記特許文献1に記載の携帯電話機)に装着されている電池(電池パック)は、不具合などの理由で必要に応じて市場から回収される場合がある。回収の際にはその旨が各種メディアを通じて告知されたり郵送等で各ユーザに通知され、ユーザからの申出を待って電池交換などの対応がなされるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−277764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メディアを通じた告知では全ユーザへの通知が保証されない。またユーザに個別に通知するとなると、配布物の準備などに手間が掛かると共に、ユーザがその通知を読まないという懸念も残る。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、管理対象の電池を所持しているユーザに対して電池に関する所定の通知をより確実に伝えることが可能な電池管理システム及び電池管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池管理システムは、管理対象の電池を特定する電池情報を記憶する電池情報記憶手段と、移動機に装着されている電池から電池情報を読み出す取得手段と、電池情報記憶手段から読み出された電池情報と取得手段により読み出された電池情報とを照合して双方の電池情報が一致するか否かを判定する判定手段と、双方の電池情報が一致した場合に、管理対象の電池に関する所定のメッセージを移動機のユーザに対して出力する出力手段と、を備える。
【0007】
本発明の電池管理方法は、電池管理システムにより実行される電池管理方法であって、管理対象の電池を特定する電池情報を記憶する電池情報記憶手段から該電池情報を読み出す第1取得ステップと、移動機に装着されている電池から電池情報を読み出す第2取得ステップと、第1取得ステップにおいて読み出された電池情報と第2取得ステップにより読み出された電池情報とを照合して双方の電池情報が一致するか否かを判定する判定ステップと、双方の電池情報が一致した場合に、管理対象の電池に関する所定のメッセージを移動機のユーザに対して出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
このような発明によれば、移動機に装着されている電池の電池情報と管理対象の電池の電池情報とが照合され、装着されている電池が管理対象のものであると判定されれば、所定のメッセージが移動機のユーザに向けて出力される。したがって、管理対象の電池を所持しているユーザに対してその電池に関する所定の通知をより確実に伝えることができる。
【0009】
本発明の電池管理システムでは、移動機に装着されている電池を充電する充電手段と、双方の電池情報が一致した回数を移動機の識別情報と対応付けて記憶する回数記憶手段と、回数記憶手段に記憶されている回数が所定の閾値以上になった場合に、移動機に装着されている電池が充電されないように充電手段を制御する充電制御手段と、を更に備えることが好ましい。
【0010】
この場合、移動機の電池の電池情報が管理対象の電池の電池情報と一致した回数(一致回数)が所定値以上になると、移動機に装着されている電池の充電が行われなくなる。これにより、電池交換をユーザに強く促すことができる。
【0011】
本発明の電池管理システムでは、回数が閾値以上になった場合に、充電制御手段が、管理対象の電池であることを示す情報を移動機に装着されている電池に書き込むことが好ましい。
【0012】
この場合には、管理対象の電池であることが電池自体に書き込まれるので、その後は電池自体を検査して管理対象か否かを判定することができる。
【0013】
本発明の電池管理システムは、サーバと移動機とを備える電池管理システムであって、サーバが、管理対象の電池を特定する電池情報を記憶する電池情報記憶手段と、電池情報記憶手段から電池情報を読み出して移動機に送信する第1送信手段と、電池情報記憶手段に記憶されている電池情報と移動機に装着されている電池の電池情報とが一致した回数を、移動機の識別情報と関連付けて記憶する回数記憶手段と、回数記憶手段に記憶されている回数が所定の閾値以上になった場合に、電池情報記憶手段から電池情報を読み出して、該回数に対応付けられている移動機に該電池情報を送信する第2送信手段と、を備え、移動機が、移動機に装着されている電池を充電する充電手段と、第1送信手段により送信された電池情報を受信する第1受信手段と、第1受信手段による電池情報の受信を契機として、移動機に装着されている電池から電池情報を読み出す第1取得手段と、第1受信手段により受信された電池情報と第1取得手段により読み出された電池情報とを照合して双方の電池情報が一致するか否かを判定する第1判定手段と、第1判定手段により双方の電池情報が一致したと判定された場合に、管理対象の電池に関する所定のメッセージを移動機のユーザに対して出力する出力手段と、第1判定手段により双方の電池情報が一致したと判定されたことを示す一致情報をサーバに送信する移動機側送信手段と、第2送信手段により送信された電池情報を受信する第2受信手段と、第2受信手段による電池情報の受信を契機として、移動機に装着されている電池から電池情報を読み出す第2取得手段と、第2受信手段により受信された電池情報と第2取得手段により読み出された電池情報とを照合して双方の電池情報が一致するか否かを判定する第2判定手段と、第2判定手段により双方の電池情報が一致したと判定された場合に、移動機に装着されている電池が充電されないように充電手段を制御し、管理対象の電池であることを示す情報を該電池に書き込む充電制御手段と、を備え、回数記憶手段が、サーバが移動機側送信手段から一致情報を受信した場合に、回数を1だけ増分して記憶する。
【0014】
この発明によれば、移動機に装着されている電池の電池情報と管理対象の電池の電池情報とが照合され、装着されている電池が管理対象のものであると判定されれば、所定のメッセージが移動機のユーザに向けて出力される。したがって、管理対象の電池を所持しているユーザに対してその電池に関する所定の通知をより確実に伝えることができる。また、移動機の電池の電池情報が管理対象の電池の電池情報と一致した回数(一致回数)が所定値以上になると、移動機に装着されている電池の充電が行われなくなるので、電池交換をユーザに強く促すことができる。また、管理対象の電池であることが電池自体に書き込まれるので、その後は電池自体を検査して管理対象か否かを判定することができる。更に、メッセージの出力および充電の禁止という処理の前に移動機側において電池情報が照合されてそれらの処理の要否が判定されるので、当該処理に関する誤作動などを未然に防止することができる。
【0015】
本発明の電池管理システムでは、電池情報が製造年月日に関する情報と製造ラインに関する情報とを含むことが好ましい。
【0016】
この場合には、電池の製造年月日および製造ラインに関する情報を照合することで上記処理が実行されるので、管理対象の電池を絞り込んで、きめ細かな電池の管理を実現できる。
【発明の効果】
【0017】
このような電池管理システム及び電池管理方法によれば、装着されている電池が管理対象のものであるか否かが判定され、その結果に応じて所定のメッセージがユーザに向けて出力されるので、管理対象の電池を所持しているユーザに対して電池に関する所定の通知をより確実に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係る電池管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す交換機および移動機の機能構成を示す図である。
【図3】図1に示す交換機のハードウェア構成を示す図である。
【図4】図1に示す移動機のハードウェア構成を示す図である。
【図5】図1に示す電池管理システムのメッセージ表示に関する動作を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す電池管理システムの充電禁止制御に関する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
まず、図1〜4を用いて、実施形態に係る電池管理システム1の機能及び構成を説明する。
【0021】
電池管理システム1は、回収対象の電池を装着している移動機のユーザにその旨を報知し、必要に応じてそのような電池への充電を中止するように移動機を遠隔制御するコンピュータシステムである。移動機に装着される電池は一般に電池パックとして提供されているが、本願では原則として、電池パックの場合も含めて「電池」と表すこととする。図1に示すように、電池管理システム1は移動体通信網を構成する交換機10と複数の移動機20とを備えている。移動機20としては、例えば携帯電話機や携帯情報端末(PDA)が挙げられるが、移動機の種類はこれらに限定されるものではない。交換機10は呼接続などの従来の処理をすると共に、電池管理システム1におけるサーバの役割を果たす。なお、図1では移動体通信網の一部を符号Nで表している。
【0022】
交換機10は、図2に示すように、機能的構成要素として電池ID記憶部11、回数記憶部12、ID取得部13、表示指示部14、及び充電禁止指示部15を備えている。
【0023】
この交換機10は、図3に示すように、CPU101と、ROMやRAMで構成される主記憶部102と、ハードディスクなどで構成される補助記憶部103と、他の通信装置との間でデータの送受信を行う通信制御部104と、操作キーなどで構成される入力部105と、モニタなどで構成される出力部106とを備えている。図2に示す交換機10の各機能は、CPU101又は主記憶部102上に所定のプログラムを読み込ませ、CPU101の制御の下で通信制御部104、入力部105及び出力部106を動作させるとともに、主記憶部102又は補助記憶部103に対してデータの読み出し又は書き込みを行うことで実現される。
【0024】
図2に戻って、電池ID記憶部11は、回収対象の電池を特定する一又は複数の電池IDを記憶する部分である。回収対象の電池の電池IDは、交換機10のオペレータの入力操作により電池ID記憶部11に記憶される。
【0025】
電池IDは、パック/セル、セル情報、パック情報を含む電池情報であり、トレーサビリティ・コードとして機能する。パック/セルは、電池パックの型名と製造メーカを示すコードとで構成されている。セル情報は、セルの製造年月日および製造ライン番号で構成されている。パック情報は、パックの製造年月日および製造ライン番号で構成されている。したがって、何年何月何日にどのラインで電池が製造されたかという詳細な情報を電池IDから得ることができる。
【0026】
回数記憶部12は、回収対象の電池を装着していると判定された回数(移動機20の電池の電池IDが照合用の電池IDと一致した回数)を移動機20毎に記憶する部分である。具体的には、回数記憶部12は移動機20を識別する端末識別情報(例えば端末IDや電話番号)とその回数(以下では「一致回数」という)とを関連付けて記憶する。
【0027】
ID取得部13は、各移動機20の電池の電池IDを取得する部分である。まず、ID取得部13は移動機20から電池IDを取得するための要求信号を生成してシステム1内の各移動機20に送信する。続いて、ID取得部13はその要求信号に応じて各移動機20から送られてきた応答信号を受信する。この応答信号には、移動機20を識別する端末識別情報と、その移動機20に装着されている電池の電池IDとが含まれている。ID取得部13は受信した端末識別情報および電池IDを表示指示部14に出力する。
【0028】
表示指示部14は、回収対象の電池を装着している移動機20に対して、電池交換を促すためのメッセージの表示を指示する部分である。各移動機20の端末識別情報および電池IDの組が入力されると、表示指示部14は回収対象の電池IDを電池ID記憶部11から読み出し、入力された電池IDと読み出した電池IDとを照合することで、回収対象の電池IDに対応する端末識別情報を抽出する。これにより、指示対象の移動機20が特定される。
【0029】
1個以上の識別情報が抽出された場合には、表示指示部14は電池交換をユーザに促すためのメッセージデータ(例えば「早急に電池パックをお取替え下さい。」というようなメッセージを含むデータ)を生成する。このメッセージは回収対象の電池に関するものである。続いて、表示指示部14は特定した移動機20にメッセージ表示をさせるための制御指示(以下では「表示指示」という)を生成する。表示指示には、移動機20側で電池IDを照合するための照合用データとメッセージデータとが含まれる。なお、照合用データは、送信先の移動機20の端末識別情報に対応する電池IDのみを含んでいてもよいし、電池ID記憶部11から読み出したすべての電池IDを含んでいてもよい。表示指示を生成したら、表示指示部14は抽出された端末識別情報に基づいて、回収対象の電池を装着している移動機20に対してその表示指示を送信する。
【0030】
表示指示を送信すると、表示指示部14はその指示に対する実行結果が移動機20から送られてくるのを待つ。実行結果の詳細については後述するが、受信した実行結果が「電池IDの一致」を示している場合には、表示指示部14はその実行結果に基づいて回数記憶部12内の一致回数を1だけ増分する。すなわち、表示指示部14は実行結果に含まれる端末識別情報に対応する一致回数を1だけ増分する。一方、受信した実行結果が「電池IDの不一致」を示している場合には、表示指示部14は何も行わない。
【0031】
以上に対して、回収対象の電池IDに対応する端末識別情報が抽出されなかった場合には、表示指示部14は処理を終了する。
【0032】
充電禁止指示部15は、上記メッセージを所定の回数以上表示した移動機20に対して充電の禁止を指示する部分である。充電禁止指示部15は回数の判定を行うための閾値を予め保持している。閾値は任意に設定してよいが、例えば3,5などと設定することが考えられる。充電禁止指示部15は所定のタイミング(例えば一定時間間隔、オペレータからの入力を受け付けた時など)で回数記憶部12内の情報を参照し、一致回数がその閾値以上である端末識別情報を抽出する。
【0033】
1個以上の識別情報が抽出された場合には、充電禁止指示部15は回収対象の電池の充電を不可能にさせるための制御指示(以下では「充電禁止指示」という)を生成し、抽出済の端末制御情報に基づいて1台以上の移動機20にその指示を送信する。この充電禁止指示は、表示指示と同様に照合用データ(照合用の電池ID)を含んでいる。充電禁止指示を送信した後、充電禁止指示部15はその指示に対する実行結果を移動機20から受信して保持する。
【0034】
一方、端末識別情報が抽出されなかった場合には、充電禁止指示部15は処理を終了する。
【0035】
次に移動機20について説明する。図2に示すように、移動機20は機能的構成要素としてID送信部21、表示処理部22、充電部23、及び充電制御部24を備えている。
【0036】
この移動機20は、図4に示すように、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行するCPU201と、ROM及びRAMで構成される主記憶部202と、メモリなどで構成される補助記憶部203と、データ通信を行う通信制御部204と、液晶モニタなどで構成される表示部205と、入力キーなどで構成される操作部206とで構成される。図2に示す移動機20の各機能は、CPU201及び主記憶部202の上に所定のプログラムを読み込ませ、CPU201の制御の下で通信制御部204、表示部205及び操作部206を動作させるとともに、主記憶部202や補助記憶部203に対してデータの読み出し又は書き込みを行うことで実現される。
【0037】
図2に戻って、ID送信部21は、移動機20に装着されている電池Bの電池IDを交換機10に送信する部分である。ID送信部21は、交換機10から送られてきた要求信号を受信すると、電池B内のメモリに記憶されている電池IDを読み出す。続いて、ID送信部21は読み出した電池IDと移動機20の端末識別情報とを含む応答信号を生成して交換機10に送信する。
【0038】
表示処理部22は、電池Bが回収対象か否かを判定し、回収対象であると判定した場合に電池交換をユーザに促すメッセージを表示する部分である。
【0039】
表示処理部22は、交換機10から送られてきた表示指示を受信すると電池B内の電池IDを読み出す。続いて、表示処理部22はその電池IDと表示指示内の照合用データとを照合する。このとき電池IDと照合用データ内の電池IDとが一致すれば、表示処理部22は表示指示からメッセージデータを抽出して表示部205に表示する。また、表示処理部22は「電池IDの一致」を示す情報と移動機20の端末識別情報とを含む実行結果を生成し交換機10に送信する。一方、電池IDと照合用データ内の電池IDとが一致しなければ、表示処理部22は「電池IDの不一致」を示す情報と移動機20の端末識別情報とを含む実行結果を生成して交換機10に送信し、処理を終了する。
【0040】
電池IDが一致してメッセージが表示されたということは、回収対象の電池が移動機20にまだ装着されていることを意味し、電池IDが一致せずにメッセージが表示されなかったということは、移動機20の電池が装着されるべきものに交換されたことを意味する。
【0041】
充電部23は、所定の電源から流れてきた電気を電池Bに供給することで電池Bを充電する部分である。ただし、後述する充電制御部24から充電禁止信号が入力された以降は、充電部23は電池Bへの電気の供給を行わない。
【0042】
充電制御部24は、電池Bの電池IDと照合用データ内の電池IDとが所定の回数以上一致した場合に、その電池Bが充電されないように充電部23を制御する部分である。ここで、それらの電池IDが所定の回数以上一致するとは、電池Bが回収対象のものであると所定の回数以上判定されたことを意味すると共に、電池交換を促すメッセージが所定の回数以上表示されたことも意味する。
【0043】
充電制御部24は、交換機10から送られてきた充電禁止指示を受信すると電池B内の電池IDを読み出す。続いて、充電制御部24はその電池IDと充電禁止指示内の照合用データとを照合する。このとき電池IDと照合用データ内の電池IDとが一致すれば、充電制御部24は充電処理を行わせないための充電禁止信号を生成して充電部23に出力する。また、充電制御部24は回収対象の電池であることを示す情報(フラグ)を電池B内のメモリに書き込む。更に、充電制御部24は「電池IDの一致」を示す情報と移動機20の端末識別情報とを含む実行結果を生成し交換機10に送信する。
【0044】
一方、電池IDと照合用データ内の電池IDとが一致しなければ、充電制御部24は「電池IDの不一致」を示す情報と移動機20の端末識別情報とを含む実行結果を生成し交換機10に送信して、処理を終了する。電池IDが一致しなかったということは、移動機20の電池が装着されるべきものに交換されたことを意味する。
【0045】
次に、図5,6を用いて、図1に示す電池管理システム1の動作を説明するとともに本実施形態に係る電池管理方法について説明する。なお、図5,6では、説明を容易にするために必要に応じて個々の移動機を移動機20a,20bと識別する。
【0046】
図5を用いてメッセージ表示に関する動作を説明する。まず、交換機10のID取得部13が電池管理システム1内の各移動機20に要求信号を送信する(ステップS11)。これに応じて、各移動機20のID送信部21は電池Bの電池IDを読み出し応答信号として交換機10に送信する(ステップS12)。
【0047】
続いて、交換機10の表示指示部14が、各移動機20から受信した電池IDと電池ID記憶部11から読み出した電池IDとを照合して、回収対象の電池IDに対応する移動機、すなわちメッセージを表示させる移動機を特定する(ステップS13。第1取得ステップを含む。)。以下では、この処理によって移動機20bのみが特定されたことを前提として説明する。表示指示部14は電池交換を促すためのメッセージデータと照合用の電池IDのデータとを含む表示指示を生成して移動機20bに送信する(ステップS14)。
【0048】
移動機20bでは、表示処理部22が電池Bから読み出した電池IDと表示指示から取り出した電池ID(照合用データ)とを照合し(ステップS15、第2取得ステップおよび判定ステップ)、双方の電池IDが一致したか否かを示す実行結果を交換機10に送信する(ステップS16)。双方の電池IDが一致したならば(ステップS17;YES、判定ステップ)、表示処理部22は表示指示からメッセージデータを抽出し表示する(ステップS18、出力ステップ)。これにより、移動機20bのユーザは自機の電池が回収対象であることを知ることができる。なお、電池IDが一致しなかった場合は(ステップS17;NO、判定ステップ)、表示処理部22は処理を終了する。
【0049】
一方、交換機10では、表示指示部14が移動機20bからの実行結果を受信してその結果が電池IDの一致を示すものであるか否かを判定する(ステップS19)。このとき、実行結果が電池IDの一致を示していれば(ステップS19;YES)、表示指示部14は移動機20bの一致回数を1だけ増分して回数記憶部12に記憶し(ステップS20)、そうでなければ処理を終了する(ステップS19;NO)。
【0050】
図5に示す処理は所定の時間間隔で繰り返し実行される。したがって、例えば移動機20bのユーザが電池交換を行わなければ、交換を促すメッセージが繰り返し表示されると共に、交換機10の回数記憶部12に記憶されている移動機20bの一致回数(メッセージ表示回数)が増えていく。
【0051】
次に、図6を用いて移動機での充電を禁止させる動作を説明する。まず、交換機10の充電禁止指示部15が回数記憶部12を参照して、一致回数が所定の閾値以上である移動機20を抽出する(ステップS31)。このときにそのような移動機が一つも抽出されなければ処理が終了するが(ステップS31;NO)、以下では移動機20bの一致回数が閾値以上であることを前提に説明する。移動機20bが抽出されると(ステップS31;YES)、充電禁止指示部15は充電禁止指示を生成して移動機20bに送信する(ステップS32)。
【0052】
移動機20bでは、充電制御部24が電池Bの電池IDと充電禁止指示内の電池IDとを照合し(ステップS33)、その実行結果を交換機10に送信する(ステップS34)。双方の電池IDが一致した場合には(ステップS35;YES)、充電制御部24は電池Bが充電されないように充電部23を制御し(ステップS36)、回収対象の電池であることを示すフラグを電池B内のメモリに書き込む(ステップS37)。この結果、移動機20bのユーザは電池を交換しない限り充電することができなくなる。また、回収対象であることを示す情報が電池B内に記録される。以上に対して、二つの電池IDが一致しなかった場合には(ステップS35;NO)、充電制御部24は処理を終了する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、移動機20に装着されている電池Bの電池IDと回収対象の電池の電池IDとが照合され、その電池Bが回収対象のものであると判定されれば、電池交換を促すメッセージが移動機20にて表示される。したがって、回収対象の電池を所持しているユーザに対してそのメッセージをより確実に伝えることができる。
【0054】
また本実施形態によれば、電池Bの電池IDが回収対象の電池の電池IDと一致した回数(一致回数)が所定値以上になると電池Bの充電が行われなくなるので、電池交換をユーザに強く促すことができる。
【0055】
また本実施形態によれば、回収対象の電池であることが電池B自体に書き込まれるので、その後は電池B自体を検査して回収対象か否かを判定することができる。例えば、電池Bが別の移動機に装着された場合でも、その移動機は、交換機10との間で通信をすることなく、電池B内のフラグを読み出して回収対象か否かを判定できる。
【0056】
また本実施形態によれば、メッセージの出力および充電の禁止という処理の前に移動機20側において電池IDが照合されてそれらの処理の要否が判定されるので、当該処理に関する誤作動などを未然に防止することができる。例えば、移動機20の電池Bが既に正常なものに交換されているのにメッセージが表示されたり充電ができなくなるなどの誤作動を防止できる。
【0057】
また本実施形態によれば、電池の製造年月日および製造ラインに関する情報を照合することで上記処理が実行されるので、管理対象の電池を絞り込んで、きめ細かな電池の管理を実現できる。従来は製造年月の情報しか電池に記録されていなかったので、例えば特定のラインが1日だけ不具合であった場合でも一ヶ月分の電池を回収する必要があり、多大な回収コストが発生していた。これに対し本発明では、回収コストを大きく低減するとともに電池の効率的な管理(回収)を行うことができる。
【0058】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0059】
上記実施形態において電池管理システム1は回収対象の電池に関する処理を実行したが、管理対象の電池は回収しようとするものに限定されず、例えば非純正品の電池を管理対象としてもよい。
【0060】
上記実施形態において移動機20は電池交換を促すメッセージを表示したが、電池に関するメッセージの出力方法はこれに限定されない。例えば、移動機20はメッセージを音声で出力してもよいし、画面と音声の双方を組み合わせて出力してもよい。
【0061】
上記実施形態では充電制御部24が充電禁止の処理と電池へのフラグの書き込みとを実行したが、充電制御手段は充電禁止の処理のみを実行してもよい。また、充電禁止の処理を行わなくてもよく、その場合には上記実施形態における回数記憶部12、充電禁止指示部15、充電制御部24に相当する構成要素を省略できる。
【0062】
電池IDの構成は上記実施形態に限定されず、例えば製造年月日に代えて従来のように製造年月をそのIDに含ませてもよい。
【0063】
上記実施形態では移動機20側(表示処理部22および充電制御部24)で電池IDの照合を実行したが、この照合処理をサーバ側(例えば交換機10)で実行してもよい。例えば上記実施形態では表示指示部14が電池IDを照合して表示指示の送信先である移動機を特定しているが、この特定処理が表示処理部22における照合処理を兼ねるようにしてもよい。この場合には、表示処理部22は表示指示を受信すると無条件にメッセージを表示する。また、充電禁止指示部15が移動機20に電池IDを要求し、その要求に応じて送られてきた電池IDと電池ID記憶部11内の電池IDとを照合して充電禁止の要否を判定してもよい。この場合には、充電制御部24は充電禁止指示を受信すると無条件に充電禁止の処理とフラグの書き込みとを実行する。
【0064】
上記実施形態では交換機10がサーバとしての役割を果たしたが、交換機とは別の通信装置やコンピュータなどに本発明のサーバの機能を持たせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…電池管理システム、10…交換機(サーバ)、11…電池ID記憶部(電池情報記憶手段)、12…回数記憶部(回数記憶手段)、13…ID取得部、14…表示指示部(第1送信手段)、15…充電禁止指示部(第2送信手段)、20…移動機、21…ID送信部、22…表示処理部(第1受信手段、(第1)取得手段、(第1)判定手段、出力手段、移動機側送信手段)、23…充電部(充電手段)、24…充電制御部(第2受信手段、第2取得手段、第2判定手段、充電制御手段)、B…移動機に装着されている電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の電池を特定する電池情報を記憶する電池情報記憶手段と、
移動機に装着されている電池から電池情報を読み出す取得手段と、
前記電池情報記憶手段から読み出された電池情報と前記取得手段により読み出された電池情報とを照合して双方の電池情報が一致するか否かを判定する判定手段と、
前記双方の電池情報が一致した場合に、前記管理対象の電池に関する所定のメッセージを前記移動機のユーザに対して出力する出力手段と、
を備える電池管理システム。
【請求項2】
前記移動機に装着されている電池を充電する充電手段と、
前記双方の電池情報が一致した回数を前記移動機の識別情報と対応付けて記憶する回数記憶手段と、
前記回数記憶手段に記憶されている回数が所定の閾値以上になった場合に、前記移動機に装着されている電池が充電されないように前記充電手段を制御する充電制御手段と、
を更に備える請求項1に記載の電池管理システム。
【請求項3】
前記回数が前記閾値以上になった場合に、前記充電制御手段が、管理対象の電池であることを示す情報を前記移動機に装着されている電池に書き込む、
請求項2に記載の電池管理システム。
【請求項4】
サーバと移動機とを備える電池管理システムであって、
前記サーバが、
管理対象の電池を特定する電池情報を記憶する電池情報記憶手段と、
前記電池情報記憶手段から前記電池情報を読み出して前記移動機に送信する第1送信手段と、
前記電池情報記憶手段に記憶されている電池情報と前記移動機に装着されている電池の電池情報とが一致した回数を、前記移動機の識別情報と関連付けて記憶する回数記憶手段と、
前記回数記憶手段に記憶されている回数が所定の閾値以上になった場合に、前記電池情報記憶手段から前記電池情報を読み出して、該回数に対応付けられている前記移動機に該電池情報を送信する第2送信手段と、
を備え、
前記移動機が、
前記移動機に装着されている電池を充電する充電手段と、
前記第1送信手段により送信された電池情報を受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段による電池情報の受信を契機として、前記移動機に装着されている電池から電池情報を読み出す第1取得手段と、
前記第1受信手段により受信された電池情報と前記第1取得手段により読み出された電池情報とを照合して双方の電池情報が一致するか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により前記双方の電池情報が一致したと判定された場合に、前記管理対象の電池に関する所定のメッセージを前記移動機のユーザに対して出力する出力手段と、
前記第1判定手段により前記双方の電池情報が一致したと判定されたことを示す一致情報を前記サーバに送信する移動機側送信手段と、
前記第2送信手段により送信された電池情報を受信する第2受信手段と、
前記第2受信手段による電池情報の受信を契機として、前記移動機に装着されている電池から電池情報を読み出す第2取得手段と、
前記第2受信手段により受信された電池情報と前記第2取得手段により読み出された電池情報とを照合して双方の電池情報が一致するか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により前記双方の電池情報が一致したと判定された場合に、前記移動機に装着されている電池が充電されないように前記充電手段を制御し、管理対象の電池であることを示す情報を該電池に書き込む充電制御手段と、
を備え、
前記回数記憶手段が、前記サーバが前記移動機側送信手段から前記一致情報を受信した場合に、前記回数を1だけ増分して記憶する、
電池管理システム。
【請求項5】
前記電池情報が製造年月日に関する情報と製造ラインに関する情報とを含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電池管理システム。
【請求項6】
電池管理システムにより実行される電池管理方法であって、
管理対象の電池を特定する電池情報を記憶する電池情報記憶手段から該電池情報を読み出す第1取得ステップと、
移動機に装着されている電池から電池情報を読み出す第2取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいて読み出された電池情報と前記第2取得ステップにより読み出された電池情報とを照合して双方の電池情報が一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記双方の電池情報が一致した場合に、前記管理対象の電池に関する所定のメッセージを前記移動機のユーザに対して出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする電池管理方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−146921(P2011−146921A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6038(P2010−6038)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】