説明

電池

【課題】 極板における集電板との接合箇所の配置の均一化を図り、且つ、その接合箇所数の増加を図ることが可能であって、内部抵抗が低く、高効率な電池を提供する。
【解決手段】 電極体の両端面の各々には、正負両集電板が接合されている。この内、正極板に接合される集電板には、正極板の端面との接合を図る接合領域と、この外辺の一部より径方向に延出されたリード領域とから構成されており、その内の接合領域には、複数のバーリングが形成されている。正極板と集電板とは、このバーリングを用いて接合がなされている。
集電板におけるバーリングは、集電板の主面方向において、フランジ形状が環状に設定された環状バーリングと、フランジ形状が線分状に設定された線分状バーリングとを含み、これに加えて、接合領域の内外縁に馬蹄状バーリング、内側馬蹄状バーリングを含み構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関し、特に集電板における電極体との接合のための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池などのアルカリ二次電池、およびリチウムイオン電池などの非水系二次電池は、携帯電話やPDA(personal Digital Assistants)、さらには電動工具などの普及とともに、広く使用されている。例えば、アルカリ二次電池は、円筒型の外装缶に電極体が収納され、外装缶の開口部が封口蓋によって封口された構成を有する。そして、電極体を構成する正極板および負極板には、集電板や集電リードなどが接続され、これらを介して封口蓋や外装缶、あるいは電池端子などに接続されている。
【0003】
ところで、電動工具などの大電流を取り出す用途に用いる電池では、正負両極板からの集電効率を向上させる目的から、集電リードよりも集電板が用いられるのが一般的である。これは、集電リードを用いた場合には、極板との接続経路が少なく内部抵抗が高くなってしまうのに対して、電極体の端面における極板端辺の複数箇所で接合される集電板を用いることで電池の内部抵抗を小さくすることができるためである。このように用いられる集電板としては、例えば、特許文献1、2などに開示されたものなどが開発されている。これらの特許文献では、電極体における一方の極板の端辺との確実な接合を図るために、接合領域に所謂バーリング加工が施された集電板を用い、バーリング加工によって電極体の側に突出された縁部分(フランジ)をもって極板の端辺に接合する技術が用いられている。
【特許文献1】特開2000−331667号公報
【特許文献2】実公昭61−34695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2を始めとする従来の技術では、集電板と極板との接合箇所の配置が、極板の長手方向に不均一な状態となり、高い効率での電力の入出力を行うことが困難であった。例えば、上記特許文献1に係る集電板では、接合領域の中心から放射線状に延びる状態で4本の線分状バーリングが形成されており、このバーリングを用いて電極板との接合が図られているが、電極体の内周側から外周側に行くに従って周長が長くなるので、極板長手方向における接合箇所ピッチが大きくなる。また、このように十字状にバーリング加工を施すには、製造工程が煩雑なものとなってしまい、さらに、製造工程時における部材の流れ方向に交差する方向にもバーリングを形成しているので、部材の強度低下といった問題も生じる。
【0005】
上記特許文献2に係る集電板では、接合領域に複数の環状バーリングを形成しており、これらのバーリングを用いて電極板の端辺に接続を図っているが、このように環状バーリングを形成した集電板においては、集電板の機械的強度の確保および電気抵抗の低減といったことなどを考慮して、隣り合う環状バーリングどうしの間隙をある程度確保しておくことが必要である。このため、極板長手方向における集電板との接合箇所の配置は、不均一なものとなってしまう。特に、渦巻状電極体を有する場合においては、その巻回中心に近い側の領域において、接合箇所が存在しないような領域を生じ得る。
【0006】
また、特許文献2に係る集電板では、環状バーリングを形成する際に、極板との接合箇所の配置についての配慮は十分ではなかった。よって、上記特許文献1、2に係る技術などでは、極板長手方向における集電板との接合箇所の配置が均一でなく、電池における内部抵抗の低減という観点から十分なものではなかった。
本発明は、このような問題を解決しようとなされたものであって、極板における集電板との接合箇所の配置の均一化を図り、且つ、その接合箇所数の増加を図ることが可能であって、内部抵抗が低く、高効率な電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る電池は次の構成を採る。
(1) 本発明に係る電池は、正極板と負極板とがセパレータを介して対向配置された電極体が、一方の極板の端辺に集電板が接合された状態で有底筒状の外装体に収納され、前記外装体の開口部が封口蓋によって封口された構成を有するものであって、構成要素の内の集電板は、一方の極板の端辺との接合を図る接合領域に、集電板の主面方向に対して交差する方向であって、電極体に向けて突出するフランジを有するバーリングが形成されており、当該バーリングにより極板の端辺との接合がなされ、バーリングは、集電板の主面方向において、フランジが環状に設定された環状バーリングと、フランジが線分状に設定された線分状バーリングとを含み構成されていることを特徴とする。ここで、環状バーリングとは、フランジが閉ループとなっているものであり、また、線分状バーリングとは、フランジが開ループとなっているものである。
(2) 上記(1)に係る電池であって、集電板の主面方向において、接合領域の外縁部分には、フランジの一部が集電板の外周で切り欠かれた馬蹄状バーリングが形成されていることを特徴とする。
(3) 上記(1)または(2)に係る電池であって、集電板の主面方向において、接合領域の中央部分には、透孔が設けられており、当該透孔を臨む縁部には、フランジの一部が透孔の縁辺で切り欠かれた内側馬蹄状バーリングが形成されていることを特徴とする。
(4) 上記(1)〜(3)の何れかに係る電池であって、電極体は、渦巻形状に巻回形成され、その一端面に正極板、他端面に負極板の各端辺が露出された構成を有しており、集電板は、その接合領域が電極体端面の形状に合わせて略円形に形成され、当該接合領域の中心を電極体端面の中心に略合致させて接合されており、環状バーリングは、接合領域に複数形成されており、接合領域の中心に対する同心円上に2箇所以下となる状態に配置されていることを特徴とする。
(5) 上記(4)に係る電池であって、集電板には、接合領域の外辺部分の一部から、当該接合領域の径方向に延出された舌状のリード領域が形成されており、接合領域における線分状バーリングは、リード領域の延出方向と同じ方向に設定されていることを特徴とする。
(6) 上記(5)に係る電池であって、集電板の接合領域には、リード領域が延出されたのとは反対側の外辺部分から当該接合領域の中心に向けた径方向にスリットが形成されており、スリットを臨む両縁辺が電極体の側に向けて突設加工されることでフランジが形成され、これをもって線分状バーリングが構成されていることを特徴とする。
(7) 上記(5)または(6)に係る電池であって、集電板は、外装体の内部において、電極体と封口体との間に配置されており、リード領域に形成されたプロジェクションをもって封口体に接続されていることを特徴とする。
【0008】
なお、本発明に係る電池では、集電板における各バーリングのフランジ先端を鋭利に形成しておくことが、極板の端辺との接合性の観点から望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電池では、電極体に接続される集電板を、少なくとも環状バーリングと線分状バーリングとの2種類の形態のバーリングを有する構成としているので、この集電板と電極体における一方の極板との接合箇所の均一化を図ることが容易に可能である。即ち、環状バーリングと線分状バーリングとの適切な組み合わせ、および適切な配置をもって極板の長手方向における集電板との接合箇所の配置を均一なものにすることが可能となる。具体的には、線分状バーリングの形成によって極板長手方向に極端に間隔のあいた領域が生じないようになり、線分状バーリングにより形成された接合箇所間に環状バーリングによる接合箇所を設け、これら2種類のバーリングの形成により極板長手方向における接合箇所の均一な配置が可能となる。また、このように接合箇所の配置の均一化により、本発明に係る電池では、極板と集電板との間の電流密度の均一化を図ることが可能となり、内部抵抗を低いものとすることができる。
【0010】
また、本発明に係る電池では、このように集電板と極板との接合箇所の均一な配置を可能であることから、結果として多くの接合箇所が確保される。
従って、本発明に係る電池では、極板と集電板との間の抵抗を低減することが可能であって、低い内部抵抗を有し、高い効率を有するものとなる。
また、本発明に係る電池では、上記(2)のように、環状バーリングおよび線分状バーリングの他に、その接合領域における外縁部分において、フランジが集電板の外周でその一部が切り欠かれた馬蹄状バーリングを形成しておけば、集電板と極板との接合箇所を増加させることが可能となる。よって、上記(2)に係る電池では、より内部抵抗を低減し、高効率である。
【0011】
なお、接合領域の中央部分に透孔を有する構成の集電板を用いる場合には、当該透孔を臨む縁部に上記馬蹄状バーリングと同様の構成を有する内側馬蹄状バーリングを形成しておくこともできる。
また、電池に一般的に用いられる電極体は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで交互に積層された積層電極体と、帯状の正極板と負極板とをセパレータを挟んで対向配置し、この状態で巻回成形した渦巻状電極体とに分類される。その中で、渦巻状電極体を用いる場合には、集電板における接合領域の形状を渦巻電極体の端面に合わせて略円形としておき、その接合領域と電極体端面の双方の中心が略同一となるように集電板を電極体に配することが望ましい。そして、本発明に係る電池では、上記(4)のように、環状バーリングが同心円上に2箇所以下となるように配置することを特徴とする。
【0012】
このように環状バーリングを同心円上に3箇所以上配しないという設定により、本発明に係る電池では、集電板と電極との接合箇所の均一な配置が可能となる。即ち、渦巻電極体においては、見かけ上、極板は巻回中心に対して同心円状に配されているように擬制することができる。このとき、仮に集電板における環状バーリングを同心円上に3箇所以上と規定すれば、極板長手方向(電極体周方向)における近接する3箇所に集電板との接合箇所が存在することになる。また、集電板における環状バーリングどうしの間には、電気抵抗および構造的強度の観点からある程度の間隔が必要となり、同心円上に設定された3箇所以上の環状バーリングに対して、他の環状バーリングを離して設定する必要が生ずる。このため、同心円上に3箇所以上の環状バーリングを設定した場合には、結果として、極板長手方向において、集電板との接合箇所の配置が不均一なものとなってしまう。
【0013】
これに対して、本発明に係る電池では、同心円上に配置される環状バーリングを2箇所以下に設定しているので、上述のような接合箇所の配置の不均一を生ずることがなく、内部抵抗の低減を図ることができ、高効率なものとすることが可能となる。
なお、同心円上に配置される環状バーリングの箇所数は、均一な配置という観点から、可能な限り1箇所とすることが望ましいが、集電板における接合領域の中心線に対して線対称、あるいは、接合領域の中心に対して点対称とすることで、同心円上に配される環状バーリングを2箇所としても、極板長手方向における接合箇所の均一な配置を実現することは実質的に可能である。このように線対称あるいは点対称に環状バーリングを配置することで、集電板の設計を容易にすることが可能となり、結果的に製造コストの上昇を抑えることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る電池では、上記構造を採用する集電板を正極側に用いてもよいし、逆に負極側に用いてもよい。何れの場合にあっても、上述の効果を得ることが可能である。
なお、本発明に係る電池において、環状バーリングとは、集電板の主面方向におけるフランジ形状が円形であっても長円形であってもよいし、線分状バーリングとは、集電板の主面方向におけるフランジ形状が直線であっても波型等の曲線であってもよい。また、馬蹄状バーリングでは、フランジの形状において、その一部に切り欠き部分を有していれば足りるものであって、切り欠きの比率などについては、任意に設定ができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、本発明を実施するための最良の形態について、円筒型電池(以下では、単に「電池」と記載する。)1を一例に、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で示す形態は、あくまでも一例を示すものであって、本発明はこれに限定を受けるものではない。
(電池1の全体構成)
本形態に係る電池1の全体的な構成について、図1を用いて説明する。
【0016】
図1に示すように、正極板121、負極板122およびセパレータ123から構成される電極体12が、外装体11に収納され、封口体13をもって外装体11の開口部が封口された構成を有している。封口体13は、外装体11の一部に形成された溝部11aの棚上に載置され、ガスケット14が介挿された状態で外装体11の開口縁端11bがカシメ加工され固定されている。
【0017】
外装体11は、ニッケルメッキが施された鋼鈑を主材料とした有底円筒状体である。
電極体12は、正極板121と負極板122とがセパレータ123を挟んだ状態で対向配置され、この状態をもって巻回加工された渦巻状の形態を有する。ここで、正極板121は、例えば、パンチングメタルから構成された芯体部分の表面にニッケル焼結多孔体を形成した後、化学含浸法をもって水酸化ニッケルを主体とする活物質を充填して作製されたものである。また、負極板122は、例えば、パンチングメタルから構成された芯体部分の表面にカドミウム焼結多孔体を形成した後、化学含浸法をもって水酸化カドミウムを主体とする活物質を充填して作製されたものである。
【0018】
図1に示すように、電極体12の上方向、即ち封口体13に向けた方向には、正極板121の芯体部分が露出されており、対して、電極体12の下方向、即ち、外装体11の底に向けた方向には、負極板122の芯体が露出された状態にある。電極体12における両端面には、正極板121の芯体部分の端辺に正極集電板15が接合され、負極板122の芯体部分の端辺に負極集電板16が接合されている。
【0019】
正極集電板15は、短冊状のリード領域15aを有し構成されており、リード領域15aで封口体13と接合されている。なお、正極集電板15の構成については、後述する。
また、負極集電板16は、図示をしないが、外装体11の側に向けて凸状に突出するプロジェクションが設けられており、このプロジェクションをもって外装体11の底面11cとの接合が図られている。なお、負極集電板16の構成としては、プロジェクションを設ける代わりに、その略中央部分に舌状の溶接部を設けておき、封口体13の載置を実施する前に、抵抗溶接で溶接部と外装体11の底面11cとの接合を図るようにしてもよい。
【0020】
正極集電板15および負極集電板16は、ともに金属薄板(例えば、ニッケルメッキが施された鋼鈑であって、厚みが0.2〜0.4mm程度のもの)が用いられている。
封口体13は、ともに浅皿状の蓋体131とキャップ体132とを向かい合わせに配し、その間に構成される空間に弁板133およびスプリング134を収納して構成されている。そして、電池1の通常時においては、弁板133はスプリング134によって蓋板131に隙間なく押し付けられており、電池1の内圧が規定の値以上に達した場合に、弁板133がキャップ体132の側に押し上げられて、内部圧力が低減される仕組みになっている。
【0021】
なお、図1に示すように、正極集電板15と外装体11の内側面との間には、絶縁ワッシャ17が介挿されている、この絶縁ワッシャ17は、絶縁性の樹脂材料からなり、正極集電板15と外装体11の内側面との間の絶縁、および電極体12の正極板121と外装体11の内側面との間の絶縁を図る機能を有するとともに、電池1の外部から振動が付加された場合に、外装体11の内部で電極体12が移動してしまうのを抑制する機能も有する。
【0022】
また、図1では図示を省略しているが、外装体11の内方には、電極体12などとともに電解液が注入されている。
(正極集電板15の構成)
次に、本形態に係る電池1の構成の内で最も特徴的な部分である正極集電板15の構成について、図2および図3を用いて説明する。
【0023】
図2に示すように、電極体12におけるZ方向上側の端面には、正極板121の芯体部分が露出されており、また、Z方向下側の端面には、負極板122の芯体部分が露出されている。この内、電極体12の上側端面には、正極集電板15が抵抗溶接によって接合され、下側端面には、負極集電板16がこれも抵抗溶接によって接合されている。
図2に示すように、正極集電板15は、大きく分けて封口体13との接合を図るリード領域15aと、電極体12との接合を図る接合領域15bとから構成されている。この内、接合領域15bは、XY面方向において、略円板形状をしており、リード領域15aは、その縁辺の一部よりX方向に向けて延出された短冊状の領域である。
【0024】
リード領域15aの主面には、Z方向下向きに凹み、X方向に延伸する凹部分151が形成されている。このリード領域15aは、電極体12に正極集電体15が接合された後、外装体11に収納される際にはリード領域15aと接合領域15bとの境界部分で折り返される。そして、リード領域15aの凹部分151は、裏返ることになり、封口体13を載置した際にその頂部が封口体13の蓋体131に接触することになる。また、リード領域15aにおける凹部分151が形成された部分よりもX方向右上方向に平坦部分157が形成されている。
【0025】
接合領域15bの主面には、4種類の形態のバーリング152〜155が形成されている。
先ず、接合領域15bの主面には、XY面をZ方向に見るときに、その略中央部分に略円形の透孔を有し、Z方向下向きにフランジ152b(図3参照。)が突設された環状バーリング152が形成されている。環状バーリング152におけるフランジ152bは、正極集電板15をZ方向に見るとき、略円形に開口された孔を臨むように形成されており、閉ループであって環状となっている。
【0026】
次に、接合領域15bの主面における外縁部分には、その外周で円周の一部が切り欠かれ馬蹄状をした馬蹄状バーリング153が形成されている。このバーリング153においても、開口部を臨む縁にフランジが形成されており、接合領域15bの外周において切り欠かれ開ループとなっている。
また、接合領域15bの主面には、中央部分に形成された透孔からX方向に線分状に延び、正極集電板15のX方向端で開状態となった線分状バーリング154が形成されている。
【0027】
さらに、接合領域15bの透孔を臨む縁部には、上記外縁部分に形成された馬蹄状バーリング153と同様の構成を有する内側馬蹄状バーリング155が形成されている。このバーリング155では、透孔の円周でフランジの一部が切り欠かれ、開ループとなっている。
図2に示すように、接合領域15bの主面には、上記バーリング152〜155などの他に、その外縁の4箇所に位置決め用の切り欠き部156が形成されている。この4箇所の切り欠き部156は、正極集電板15を電極体12に対して配する際に、XY面方向の位置決めを測るためのガイドの役割を果たす。なお、切り欠き部156の開口を臨む縁にもフランジを形成し、正極板121との接合に寄与させる構成を採用してもよい。
【0028】
図3に示すように、本形態に係る電池1が備える正極集電板15では、接合領域15bにおける主面に、4種類のバーリング152〜155が形成されているが、図3(b)、図3(c)に示すように、全て電極体12に向けて突出されたフランジ152b、154bを有している。なお、馬蹄状バーリング153および内側馬蹄状バーリング155についても同様の形態でフランジを有するが、環状バーリング152に対してループが開状態にあるか閉状態にあるかの創意のみであるので、その詳細な図示を省略している。
【0029】
図3(b)に示すように、環状バーリング152は、円形にあけられた孔152aと、これを臨む縁に形成されたフランジ152bとから構成されている。上述のように、馬蹄状バーリング153および内側馬蹄状バーリング155は、フランジの一部が切り欠かれて開ループとなっており、これによってフランジ形状が馬蹄状となっている以外は図3(b)に示す環状バーリング152と同様の構成を有している。
【0030】
図3(c)に示すように、線分状バーリング154は、スリットを中心として、これを臨む縁にフランジ154bが形成された構成を有する。なお、各バーリング152〜154におけるフランジ152b、154bのZ方向高さは、例えば、0.3〜0.8(mm)程度に設定されている。
これらバーリングの形成については、公知のものであるので説明を省略するが、正極板121との高い溶接性を確保するために、フランジの先端が鋭利となるように加工されている。
【0031】
また、正極集電板15におけるリード領域15aに形成された凹部分151は、図3(d)に示すように、X方向に延びる三角溝状のものである。
(封口体13と正極集電板15および外装体11と負極集電板16の各接合)
上述のような正極集電板15は、4箇所の切り欠き部156を用いて電極体12における正極板121の芯体部分が露出した側の端面に配され、抵抗溶接によって接合される。なお、詳しい説明を省略したが、負極集電板16についても同様にバーリングを有し、同じように負極板122の芯体部分に抵抗溶接される。
【0032】
正極集電板15と負極集電板16とが接合された電極体12は、外装体11に収納されるのであるが、その際、正極集電板15におけるリード領域15aは、略150〜180(°)折り返される。その後、外装体11の開口部近傍に溝部11aを形成し、この溝部11aの棚部分に封口体13を載置する。このときに、外装体11の内方においては、封口体13の内側面と正極集電板15のリード領域15aに形成された凹部分151の頂部とが点接触または線接触する。なお、封口体13を載置する際には、これに先だって外装体11内に所要量の電解液を注入し、さらに正極集電板15と封口体13との間に絶縁ワッシャ17(図1参照)を介挿させておく。
【0033】
以上のような状態とした後に、封口体13におけるキャップ体132の外表面と、外装体11の底面11cの間に、所要の圧力を印加しながら溶接電流を流す。これにより、正極集電板15と封口体13、および、負極集電板16と外装体11は、互いに接合されるに至る。
なお、図2および図3に示すように、本形態に係る電池1に備える正極集電板15は、リード領域15aに平坦部分157を有する。この平坦部分157は、正極集電板15と電極体12との間の接合に上述のような接合方法を採らず、電極体12を外装体11に収納した後、先に溶接電極を挿入して負極集電板16と外装体11の底面11cとの間の溶接を施し、外装体11の外部で封口対13と正極集電板15とを予め抵抗溶接するという方法も採り得るように設けられたものである。即ち、本形態に係る電池1のように正極集電板15と封口体13および負極集電板16と外装体11を一度に接合するのではなく、正極集電板15と封口体13とを外装体11の開口部分よりも外側で予め抵抗溶接するのには、リード領域15aに延長部分である平坦部分157を設けておくことが必要となる。このように、本形態に係る正極集電板15は、異なる製造方法に対して対応可能な兼用タイプとなっている。
【0034】
なお、正極集電板15と封口体13および負極集電板16と外装体11を一度に接合するという方法に限定する場合には、リード領域15aにおける平坦部分157を省略することが可能となり、軽量化、省スペース化、低コスト化を図ることが可能である。
(正極集電板15における環状バーリング152の配置)
本形態に係る電池1では、正極集電板15におけるバーリング152〜155の内、環状バーリング152の配置に対して、正極板121との接合箇所の均一な配置という観点から最適化処理を実施している。これについて、図4を用いて説明する。
【0035】
図4に示すように、正極集電板15の接合領域15bの中心からX方向およびY方向に対してそれぞれに2本の軸中心線Lnx、Lnyを想定する。そして、接合領域15bの中心、言い換えればX軸中心線LnxとY軸中心線Lnyとの交点をポイントP0とする。
このような想定の下において、正極集電板15における環状バーリング152は、X軸中心線Lnxを境として、そのY軸方向上方のエリア15uと、Y軸方向下方のエリア15lとで、線対称な関係をもって設定されている。即ち、バーリング1521は、バーリング15211と線対称の関係にあり、バーリング1522〜1528についてもバーリング15212〜15218とそれぞれ線対称の関係にある。以下では、図4におけるX軸中心線LnxよりもY方向上方についてだけ説明することとする。
【0036】
図4に示すように、各環状バーリング1521〜1528の各中心点を、それぞれポイントP1〜P8とし、ポイントP0との間の直線距離を各々L1〜L8(図では、L1およびL2のみを示している。)とする。このような設定をするとき、正極集電板15では、環状バーリング1511〜1528は、それぞれにおけるポイントP0との間の直線距離L1〜L8が全て相違するように設定されている。
【0037】
正極集電板15では、環状バーリング152がX軸中心線Lnxに対して線対称に設定されているので、ポイントP0を中心として、同心円上に2箇所づつの環状バーリング152が設定されていることになる。なお、本形態では、X軸中心線Lnxに対して線対称に環状バーリング152を設定することとしたが、必ずしも線対称に配置する必要はなく、適宜その配置を設定することができる。ただし、ポイントP0を中心とする同心円上に3箇所以上の環状バーリング152を配置しないことが望ましい。その理由については、後述する。
【0038】
また、図4に示すように、正極集電板15においては、線分状バーリング154は、X方向に抜けて延びて設定されている。このX軸方向は、正極集電板15を製造する上において、原材料となる帯状の鋼鈑をリールに巻き、これを用いてフープ加工する際に、その鋼鈑の流れ方向となるものである。
(電池1の優位性)
本形態に係る電池1が有する正極集電板15は、その構成面において、次の3つの特徴を有する。
(1)正極集電板15において、環状バーリング152と線分状バーリング154とを有し、さらに馬蹄状バーリング153も有する構成とした。
(2)正極集電板15における環状バーリング152は、ポイントP0を中心とする同心円上に2箇所以下となるような配置構成とした。
(3)正極集電板15における線分状バーリング154は、フープ加工の際のワークの流れ方向であるX方向に延びる構成とした。
【0039】
各々の特徴によって奏される効果について、以下で説明する。
先ず、上記(1)の特徴的構成によって、本形態に係る電池1の正極集電板15は、電極体12における正極板121において、長手方向に対する接合箇所の分布密度を均一にすることができる。これは、線分状バーリング154により電極体12の径方向における全巻回周の正極板121との確実な接合が図られ、環状バーリング152により線分状バーリング154による接合箇所間に接合箇所を配することができ、これら2種類のバーリング152、154の組み合わせをもって、正極板121の長手方向における接合箇所の配置の均一化を図ることができる。
【0040】
次に、上記(2)の特徴的構成によって、本形態に係る電池1の正極集電板15では、上記(1)の特徴によって奏される効果に相乗するように、正極板121の長手方向における接合箇所の均一な配置が可能となり、電池1は、内部抵抗が低く、高効率なものとなる。ここで、仮に正極集電板における環状バーリングの配置を同心円上に3箇所以上に設定した場合には、正極板の長手方向における近接する3箇所に正極集電板との接合箇所が存在することになる。また、正極集電板における環状バーリングどうしの間には、電気抵抗および構造的強度の観点からある程度の間隔が必要となり、同心円上に設定された3箇所以上の環状バーリングに対して、他の環状バーリングを離して設定する必要が生ずる。このため、同心円上に3箇所以上の環状バーリングを設定した場合には、結果として、正極板の長手方向において、正極集電板との接合箇所の配置が不均一なものとなってしまう。
【0041】
これに対して、本形態に係る電池1の正極集電板15では、上記(2)のような構成を採用しているので、上述のような接合箇所の配置の不均一を生ずることがなく、電池1は、低い内部抵抗で高効率なものとなる。
次に、上記(3)の特徴的構成によって、本形態に係る正極集電板15は、その製造過程において、フープ加工によって各バーリーング部152〜154を始めとする加工を施す場合にも、部材の流れ方向に対して交差する方向に線分状バーリング154を形成しない構成としているので強度的な低下を招くこともない。また、線分状バーリング154は、正極集電板15の主面方向に対して略90(°)の角度で立ちあがるフランジ154bを有しているので、この部分において板材の強度補強という役割も果たすことになる。このことからも、本形態に係る正極集電板15は、高い構造的強度を有し、高い寸法精度で作製される。よって、このような高い寸法精度を有する正極集電板15を備えることによって、電池1での不良の低減にも寄与することになる。
【0042】
従って、本形態に係る電池1では、上記(1)〜(3)のような優位な構成的と口調を有する正極集電板15を備えるので、正極板121の長手方向における正極集電板15との均一な接合箇所の配置と、接合箇所の増加を図ることが容易であって、低い内部抵抗で、高効率なものである。
さらに、本形態に係る電池1では、正極集電板15の接合領域15bに上記2種類のバーリング152、154の他に、馬蹄状バーリング153、内側馬蹄状バーリング155も形成している。これによって、正極集電板15と電極体12の正極板121との間の接合箇所数をより多く確保することができ、電池1としての内部抵抗が低減され、高効率となっている。
【0043】
(優位性の確認実験)
以下では、上述のような優位性を確認するため実施した実験について、図5を用い説明する。図5は、(a)が実施例に係る正極集電板55、(b)が比較例1に係る正極集電板65、(c)が比較例2に係る正極集電板75の各平面図である。
(1−1)実施例
実施例に係る正極集電板55は、上記電池1の正極集電板15と同じ構成を有している。そして、実施例に係る電池としては、図5(a)に示す正極集電板55を用いてSCサイズの円筒型ニッケル−カドミウム(Ni−Cd)電池を作製した。この電池の構成についても、上記電池1と同様とした。なお、正極集電板55における接合領域は、その外径がφ19.0(mm)、内径がφ5.5(mm)、環状バーリング552の開口径がφ2.0(mm)、線分状バーリング554のスリット間隔が2.0(mm)とした。また、各バーリング552〜555におけるフランジ高さは、0.55(mm)とした。
(1−2)比較例1
図5(b)に示すように、比較例1に係る正極集電板65は、環状バーリング652を有している点で上記実施例に係る正極集電板55と同様であるが、線分状バーリング、馬蹄状バーリング、内側馬蹄状バーリングなどを有しておらず、該当箇所には、抵抗溶接時における無効電流抑制のためのスリット655が設けてある点で上記実施例に係る正極集電板55と異なる。即ち、環状バーリング652は、図の拡大部分にも示すように、上記実施例と同様に孔652aを臨むようにフランジ652bが設けられてバーリングを形成しているが、図の拡大部分に示すように、スリット655には、フランジを有していない。
【0044】
また、本比較例に係る正極集電板65では、環状バーリング652が接合領域の中心に対して、3箇所以上が同心円上となるように設定されている。なお、環状バーリング652の形成サイズなどに関しては、上記実施例に係る正極集電板55と同様である。
本比較例に係る電池は、正極集電板65を除く他の構成について、実施例に係る電池と同様の構成を有する。
【0045】
なお、接合領域の外縁部分に存在する半円状の開口は、上記形態に係る正極集電板15の切り欠き部156に対応するものであり、バーリングではない。
(1−3)比較例2
図5(c)に示すように、比較例2に係る正極集電板75は、4箇所の線分状バーリング754を有しているが、環状バーリング、馬蹄状バーリング、内側馬蹄状バーリングを有していない点で上記実施例に係る正極集電板55と相違する。線分状バーリング754の構成については、図の拡大部分に示すように、スリットを臨む両側縁が電極体の側に突出してフランジ754bを形成して構成されている。本比較例においても、線分状バーリング754のフランジ754bの高さなどは、上記実施例に係る正極集電板55と同様である。
【0046】
また、比較例2に係る電池においても、正極集電板75を除く構成については上記実施例、比較例1と同様である。
なお、接合領域の外縁部分に存在する半円状の開口は、上記比較例1と同様に、上記形態の正極集電板15の切り欠き部156に対応するものである。
(2)評価
上記3種類の電池を用い、次に示すような確認を実施した。
(2−1)正極集電板55〜75と正極板との間の接合接点数を確認し、比較例1に係る電池のものを100とする指数で表1に示す。
(2−2)電池内部抵抗を測定し、測定結果を表1に示す。
(2−3)40(A)放電時での作動電圧を測定し、測定結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

表1に示すように、バーリング溶接接点数については、環状バーリング552、馬蹄状バーリング553、線分状バーリング554を組み合わせて設け、且つ、環状バーリング552の配置を上述のように同心円上に2箇所以下となるように設定した実施例に係る正極集電板55では、正極板との溶接接点数が比較例1のものに比べて20(%)多くすることができ、また、比較例2のものに比べては60(%)も多くすることができた。ここで、実施例に係る正極集電板55の接合箇所数に関わる優位性は、馬蹄状バーリングおよび内側馬蹄状バーリング(図5では、特に符号を付していないが、上記正極集電板15と同様の構成。)の形成によっても奏されているものである。
【0048】
また、実施例に係る電池では、その内部抵抗が2.5(mΩ)であり、比較例1に係る電池で3.4(mΩ)であり、比較例2に係る電池で4.8(mΩ)であった。これより、実施例に係る電池では、その内部抵抗を比較例1の電池に比べて36(%)低減することができ、比較例2の電池に比べて92(%)低減することができた。
また、表1に示すように、作動電圧についても、実施例に係る電池では、1.025(V)であり、比較例1、2の電池の0.999(V)、0.985(V)などと比べて、0.026(V)、0.040(V)高い値を得ることができた。
【0049】
以上の結果より、実施例に係る電池では、図5(a)に示すような構成を有する正極集電板55を備えることで、正極集電板55と正極板との溶接接点数を比較例1、2のものに比べて多くすることが可能となり、内部抵抗の低減に対して効果を奏する。また、これより、実施例に係る電池では、比較例1、2の電池に比べて高い作動電圧を得ることができ、総合的にみて高効率な電池であることが分かる。また、このような特性より、実施例に係る電池は、特に電動工具の電源などとして用いられ、一時に大電流の取り出しがなされるような電池として最適であるといえる。
【0050】
(変形例)
変形例に係る電池について、図6を用いて説明する。図6は、本変形例に係る電池が備える負極集電板56を示す平面図である。
本変形例に係る電池は、構成面において、上記電池1に対して、負極集電板56の構成が主に相違する。以下では、この相違点を中心に説明する。
【0051】
図6に示すように、負極集電板56は、概略円形の主面を有し、その中心領域に舌状の接合部56aを有している。そして、この接合部56aが形成された領域を除き、負極集電板56の主面には、環状バーリング562、馬蹄状バーリング563、線分状バーリング564が形成されている。これらバーリング562〜564の各構成については、上記電池1における正極集電板15の各バーリング152〜154と同様である。
【0052】
また、負極集電板56の主面には、電極体との抵抗溶接時における無効電流の抑制を図るためにスリット565も設けられている。さらに、負極集電板56の外縁部分には、上記正極集電板15と同様に、電極体12への配置に際しガイドの役割を果たす切り欠き部566が形成されている。ここで、切り欠き部566を臨む縁にもフランジを形成しておき、負極集電板122との接合に寄与させることもできる。
【0053】
この負極集電板56を用い、電池を作製する場合には、正極集電板および当該負極集電板56を電極体に抵抗溶接しておき、これを外装体内に収納した後、電極体の巻回中心部を通して負極集電板56における接合部56aに対して溶接端子を押し付け電流を流すことで外装体の底面との接合を実施する。その後に、外装体の開口部に封口蓋を載置し、正極集電板と封口蓋との間の接合を実施し、最後に外装体の開口縁部をカシメ加工して電池が完成する。
【0054】
本変形例に係る負極集電板56を有する電池では、上記正極集電板15と正極板121との接合関係と同様に、負極板との間の接合箇所を均一に配置することが可能であり、また、環状バーリング562の最適配置によって接合箇所数を従来の負極集電板を用いた場合に比べて多くすることができる。よって、この負極集電板56を備える電池では、内部抵抗を低く抑えることが可能となり、より高い作動電圧を得ることが可能となる。
【0055】
なお、本変形例では、正極集電板の形態については触れなかったが、当然に上記正極集電板15を用いることも可能であるし、それ以外のものを用いることも可能である。
(その他の事項)
上記実施の形態および変形例では、電池の一例としてNi−Cd電池を用いて説明したが、勿論これ以外の電池に対しても本発明の技術を適用することが可能である。例えば、ニッケル水素電池などのアルカリ電池や、リチウムイオン電池などの非水電池等に対しても適用が可能であって、同様の効果が得られる。また、電極体12の構成についても、上記実施の形態および変形例では渦巻状の形態のものを一例としたが、勿論正極板と負極板とがセパレータを介して積層されたスタック体などを採用することも可能である。
【0056】
また、上記実施の形態および変形例に係る集電板15、56における各バーリング152〜155、562〜564の配置および箇所数などについては、本発明が構成面において特徴として規定する範囲内で適宜変更が可能である。例えば、環状バーリング152、562の配置、箇所数などは対象とする電池のサイズ、電極体のサイズなどに対応して最適な設定をすることが可能である。
【0057】
また、上記実施の形態および変形例などでは、環状バーリング152、562の開口形状を略円形としたが、形状についてもこれに限定を受けるものではなく、矩形や長円形などとすることも可能である。また、線分状バーリング154、564についても、必ずしも直線分状にスリットを設ける必要はなく、波型などにすることも可能である。
また、上記実施の形態および変形例の集電板15、56では、環状バーリング152、562および線分状バーリング154、564の他に、馬蹄状バーリング153、563、内側馬蹄状バーリング155などを設けることとしたが、これは必ずしも設定の必要はない。ただし、極板との間での溶接箇所数の確保という観点からは、設定することが望ましい。
【0058】
また、上記実施の形態および変形例で用いた各数値および材料についても、その構成面における特徴を明確にするために用いたものであって、本発明はこれに限定を受けるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、特に高効率であって、大電流用途に用いられる電池に対して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施の形態に係る電池1の一部断面図である。
【図2】正極集電板15の構成を示す斜視図である。
【図3】(a)は、正極集電板15の平面図、(b)、(c)、(d)は、その一部断面図である。
【図4】正極集電板15における環状バーリング152の設定箇所を示す模式平面図である。
【図5】(a)は、実施例に係る正極集電板55を示す平面図であり、(b)および(c)は、比較例1、2に係る正極集電板65、75を示す平面図である。
【図6】変形例に係る電池が備える負極集電板56を示す平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1.電池
11.外装体
12.電極体
13.封口体
14.ガスケット
15、55.正極集電板
16、56.負極集電板
17.絶縁ワッシャ
121.正極板
122.負極板
123.セパレータ
152.環状バーリング
153.馬蹄状バーリング
154.線分状バーリング
155.内側馬蹄状バーリング
156.切り欠き部
157.平坦部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板とがセパレータを介して対向配置された電極体が、一方の極板の端辺に集電板が接合された状態で有底筒状の外装体に収納され、前記外装体の開口部が封口蓋によって封口された構成を有する電池であって、
前記集電板は、前記一方の極板の端辺との接合を図る接合領域に、前記集電板の主面方向に対して交差する方向であって、前記電極体に向けて突出するフランジを有するバーリングが形成されており、当該バーリングにより前記端辺との接合がなされ、
前記バーリングは、前記集電板の主面方向において、前記フランジが環状に設定された環状バーリングと、前記フランジが線分状に設定された線分状バーリングとを含み構成されている
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記集電板の主面方向において、前記接合領域の外縁部分には、前記フランジの一部が集電板の外周で切り欠かれた馬蹄状バーリングが形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記集電板の主面方向において、前記接合領域の中央部分には、透孔が設けられており、当該透孔を臨む縁部には、前記フランジの一部が前記透孔の縁辺で切り欠かれた内側馬蹄状バーリングが形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
前記電極体は、渦巻形状に巻回形成され、その一端面に正極板、他端面に負極板の各端辺が露出された構成を有しており、
前記集電板は、前記接合領域が前記電極体端面の形状に合わせて略円形に形成され、当該接合領域の中心を前記電極体端面の中心に略合致させて接合されており、
前記環状バーリングは、前記接合領域に複数形成されており、前記接合領域の中心に対する同心円上に2箇所以下となる状態に配置されている
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の電池。
【請求項5】
前記集電板には、前記接合領域の外辺部分の一部から、当該接合領域の径方向に延出された舌状のリード領域が形成されており、
前記接合領域における線分状バーリングは、前記リード領域の延出方向と同じ方向に設定されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記集電板の接合領域には、前記リード領域が延出されたのとは反対側の外辺部分から当該接合領域の中心に向けた径方向にスリットが形成されており、
前記スリットを臨む両縁辺が前記電極体の側に向けて突設加工されることで前記フランジが形成され、これをもって前記線分状バーリングが構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記集電板は、前記外装体の内部において、前記電極体と封口体との間に配置されており、前記リード領域に形成されたプロジェクションをもって前記封口体に接続されている
ことを特徴とする請求項5または6に記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−32298(P2006−32298A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213567(P2004−213567)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】