説明

電波受信装置

【課題】不要な外部磁気の遮断効果を有する一方で、電波の受信精度の向上が図れる電波受信装置を提供すること。
【解決手段】電波受信装置である腕時計100は、外部磁性体33が連結されたアンテナ構造体30を備えており、そのアンテナ構造体30のアンテナコア31の両端部に磁気的に結合されている外部磁性体33が標準電波の磁束を引き付けるように良好に集めて、アンテナコア31を透過する磁束を良好に捕捉することができるので、標準電波の受信感度や受信精度を高めることができる。また、外部磁性体33が、ハウジング20の上面側と下面側にそれぞれ配設されており、その外部磁性体33がモータM2の上面および下面側を覆い外部からの磁気を遮蔽することで、外部磁気がモータM2に到達し難くなることから、モータM2に対する外部磁気の影響を低減して、時計精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一種として、時刻情報を含む標準電波を受信して自動的に現在時刻を修正する電波時計が知られている。このような電波時計において、標準電波を受信する電波受信装置として、磁性材料であるアモルファス金属やフェライト等で構成されたコアにコイルを巻回したアンテナ装置が広く用いられている。
【0003】
一方、モータで指針を駆動する時計の場合、時計制御に不要な外部磁気によって指針駆動に影響が出て、時計精度が低下することがある。このため、外部磁気を遮断する耐磁板を時計ケース内に設けることによって時計精度の保持を図ることが行われている。このような耐磁対策は、指針駆動に関して一般の時計と同様の構造を有する電波時計においても時計精度の保持のために必要とされる。
【0004】
ところで、電波時計は、時刻情報を含む標準電波を受信し、この電波から時刻情報を取り出すことにより正確な時刻を得て表示するものであることから、外部磁気を遮断するために耐磁板でモータ等のムーブメントを被覆すると、今度は、標準電波の受信が困難となり、その受信性能が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、従来、モータ等のムーブメントを耐磁板で被覆する一方、この耐磁板に開口を設け、この開口からアンテナ装置(電波受信装置)における磁性体のコイル巻回部を露出させることによって、受信性能の低下を防ぐようにした発明が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−294258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明によれば、耐磁板に開口を設け、その開口からアンテナ装置のコイル巻回部を露出させる構造であるため、時計ケースの広い範囲が耐磁板で被覆されてしまうこととなり、耐磁板でアンテナ装置のコイル巻回部までをも被覆する場合に比べれば、多少は受信感度が向上するものの、耐磁板の存在によって磁束のアンテナ装置への集束が制限されてしまい、さほどの受信感度の向上は望めなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、不要な外部磁気の遮断効果を有する一方で、電波の受信精度の向上が図れる電波受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、電波受信装置であって、
少なくとも1つのモータと、
両端部を有するアンテナコアとこのアンテナコアに巻回されたコイルとを有するアンテナ構造体と、
このアンテナ構造体と前記モータとを備えているハウジングと、
このハウジングを収納する筒状の筐体と、
この筐体の上部開口を閉塞する上部閉塞部材と、
前記筐体の下部開口を閉塞する下部閉塞部材と、
前記アンテナコアの少なくとも一端部と磁気的に結合する磁気結合部と、前記モータへの外部からの磁気を遮蔽するとともに外部からの電波の磁束を集める集磁部とを有する外部磁性体と、を備え、
前記外部磁性体は、前記モータと前記上部閉塞部材との間および前記モータと前記下部閉塞部材との間にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、電波受信装置であって、
第一および第二の各モータと、
両端部を有するアンテナコアとこのアンテナコアに巻回されたコイルとを有するアンテナ構造体と、
このアンテナ構造体と前記モータとを備えているハウジングと、
このハウジングを収納する筒状の筐体と、
この筐体の上部開口を閉塞する上部閉塞部材と、
前記筐体の下部開口を閉塞する下部閉塞部材と、
前記アンテナコアの少なくとも一端部と磁気的に結合する磁気結合部と、前記第一および第二の各モータへの外部からの磁気を遮蔽するとともに外部からの電波の磁束を集める集磁部とを有する第一および第二の各外部磁性体と、を備え、
前記第一の外部磁性体は、前記第一のモータと前記上部閉塞部材との間、および、前記第二の外部磁性体は、前記第二のモータと前記下部閉塞部材との間にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電波受信装置において、
前記アンテナコアと前記外部磁性体とは、前記磁気結合部において、磁性連結部材により連結されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電波受信装置において、
前記外部磁性体は、第一の外部磁性体と第二の外部磁性体とを備えており、前記第一の外部磁性体は、前記アンテナコアの一端部と磁気的に結合して前記モータと前記上部閉塞部材との間に配置され、前記第二の外部磁性体は、前記アンテナコアの他端部と磁気的に結合して前記モータと前記下部閉塞部材との間に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電波受信装置において、
前記第一の外部磁性体の集磁部と、前記第二の外部磁性体の集磁部とで、前記モータを上下に挟んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電波受信装置は、外部磁性体が連結されたアンテナ構造体を備えており、そのアンテナ構造体のアンテナコアの少なくとも一端部に磁気的に結合されている外部磁性体の集磁部が、標準電波の磁束を引き付けるように良好に集めて、アンテナコアを透過する磁束を良好に捕捉することができるので、標準電波の受信感度や受信精度を高めることができる。
また、外部磁性体が、モータの上面や下面を覆い外部からの磁気を遮蔽することで、外部磁気がモータに到達し難くなることから、モータに対する外部磁気の影響を低減して、時計精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0015】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における電波受信装置を電波腕時計(以下、腕時計)に適用した場合の平面図であり、図2は図1における腕時計の分解斜視図、図3は図1のIII−III線に沿う矢視断面図、図4は時計ケースに設置されたアンテナ構造体の平面図、図5は図4のV−V線に沿う矢視断面図、図6は図1に示す腕時計の機能構成を示すブロック図である。
【0016】
図1、図3に示すように、腕時計100は、機器本体2を備え、その機器本体2の上下両端部、すなわち12時方向側端部及び6時方向側端部には時計バンドBが取り付けられている。
また、機器本体2の外周部には、腕時計100の各種機能の実行を指示するためのスイッチ3が設けられている。また、機器本体2の内部は中空になっている。
【0017】
機器本体2は、図1から図3に示すように、筒状の筐体である時計ケース10と、この時計ケース10の上部開口を閉塞する上部閉塞部材としての時計ガラス12と文字板21と、時計ケース10の下部開口を閉塞する下部閉塞部材としての裏蓋14等を備えている。
具体的には、ステンレスやチタン等の金属材料からなる時計ケース10の上部開口を塞ぐように時計ガラス12がパッキン13を介して時計ケース10の上部開口に嵌められている。一方、時計ケース10の下部開口を塞ぐように裏蓋14がOリング15を介して時計ケース10の下部開口に取り付けられている。裏蓋14は、ステンレスやチタン等の金属材料からなる略平板形状を呈する蓋体である。
【0018】
時計ケース10の内部には、標準電波を受信するアンテナ構造体30、アナログ指針機構40、モータM(M1,M2)、これらと接続してアンテナ構造体30やアナログ指針機構40を制御する受信制御回路部600等が設けられている回路基板、これら電子部品を内蔵しているハウジング20、このハウジング20が納められたハウジングケース11等が収納されている。そして、ハウジング20の上方に文字板21が配置されている。
ハウジング20は、アンテナ構造体30、アナログ指針機構40、モータM等の電子部品を機器本体2内に固定するためのケース体であり、合成樹脂などの非磁性材料によって形成されている。なお、ハウジングケース11も非磁性材料によって形成されている。
【0019】
アナログ指針機構40は、文字板21の中央部に形成された軸孔からその上方に伸びる指針軸1と、この指針軸1に取り付けられた時針や分針等の指針22とを有している。この指針22は、このアナログ指針機構40を駆動するモータM1によって、文字板21の上方で運針される。
また、アナログ指針機構40に接続されている回路基板は、例えば、図6に示すように、CPU等の制御ICと、発振回路を有して現在時刻を計時する計時回路である計時制御回路部700と、アンテナ構造体30による受信信号を増幅・検波して標準電波に含まれるタイムコードを取り出す受信回路である受信制御回路部600とを回路要素としている。制御ICは、受信回路で取り出されたタイムコードに基づいて計時回路による現在時刻を修正し、修正した現在時刻を示すようにアナログ指針機構40を制御して指針22を運針させる処理等を行う。
【0020】
アンテナ構造体30は、図1から図5に示すように、磁性体であるアンテナコア31と、このアンテナコア31に巻回されたコイル32と、を備えて構成されている。
【0021】
アンテナコア31は、コイル32が巻回されているコイル巻回部31aと、コイル32が巻回されないコイル非巻回部である一端部31bと他端部31cと、を備えている。
一端部31bと他端部31cは、コイル巻回部31aの両側からそれぞれ突出するように設けられている。そして、この一端部31bと他端部31cにそれぞれ外部磁性体33が取り付けられている。
このアンテナコア31は、例えば、フェライトや、アモルファス、パーマロイなどの磁性材料からなる複数の薄膜状磁性体が積層されてなる積層コアとして形成されている。
【0022】
外部磁性体33は、アンテナコア31の一端部31b又は他端部31cと磁気的に結合する磁気結合部33bと、モータMへの外部からの磁気を遮蔽するとともに外部からの電波の磁束を集める集磁部33aとを有している。
この外部磁性体33は、例えば、フェライトや、アモルファス、パーマロイなど比較的高い透磁率を有する磁性材料からなる薄板が略半円形状を呈するように形成されている。
【0023】
そして、外部磁性体33は、ハウジング20の上面側に位置する2つの第一の外部磁性体33Uと、ハウジング20の下面側に位置する2つの第二の外部磁性体33Dと、によって構成されている。
第一の外部磁性体33Uは、アンテナコア31の一端部31bに取り付けられる左側の第一の外部磁性体33U1と、アンテナコア31の他端部31cに取り付けられる右側の第一の外部磁性体33U2とを備えている。
また、第二の外部磁性体33Dは、アンテナコア31の一端部31bに取り付けられる左側の第二の外部磁性体33D1と、アンテナコア31の他端部31cに取り付けられる右側の第二の外部磁性体33D2とを備えている。
【0024】
そして、第一の外部磁性体33U1と第二の外部磁性体33D1は、アンテナコア31の一端部31bに、ハウジング20を挟んで磁気的に結合されており、また、第一の外部磁性体33U2と第二の外部磁性体33D2は、アンテナコア31の他端部31cに、ハウジング20を挟んで磁気的に結合されている。
具体的には、これら外部磁性体33の磁気結合部33bと、アンテナコア31の一端部31b又は他端部31cとは、磁性材料からなる磁性連結部材としてのねじ34により連結されており、その結果、外部磁性体33とアンテナコア31とはこのねじ34を介して磁気的に結合している。なお、ねじ34は、パイプ状のワッシャ36を介して外部磁性体33とアンテナコア31とを連結している。
【0025】
アンテナコア31の一端部31bに結合する第一の外部磁性体33U1と、アンテナコア31の他端部31cに結合する第一の外部磁性体33U2とで対をなす一対の第一の外部磁性体33U1,33U2は、ハウジング20の上面側であって、モータM2と時計ガラス12(文字板21)との間に配置されている。
また、アンテナコア31の一端部31bに結合する第二の外部磁性体33D1と、アンテナコア31の他端部31cに結合する第二の外部磁性体33D2とで対をなす、もう一対の第二の外部磁性体33D1,33D2は、ハウジング20の下面側であって、モータM2と裏蓋14(ハウジングケース11)との間に配置されている。
すなわち、第一の外部磁性体33Uと、第二の外部磁性体33Dとは、ハウジング20内に備えられているモータM2の上面側と下面側をそれぞれ覆うようになっている。より具体的には、第一の外部磁性体33Uの集磁部33aと第二の外部磁性体33Dの集磁部33aとがモータM2を上下に挟んで覆うようになっている。
【0026】
この腕時計100のその中央側には、アナログ指針機構40を駆動するモータM1が備えられており、そのモータM1を挟んで左側及び右側の位置に2つのモータM2がそれぞれ備えられている。
そして、モータM1の左側に位置するモータM2Lは、アンテナコア31の一端部31bに結合する第一の外部磁性体33U1と第二の外部磁性体33D1とによって挟まれており、モータM1の右側に位置するモータM2Rは、アンテナコア31の他端部31cに結合する第一の外部磁性体33U2と第二の外部磁性体33D2とによって挟まれている。
【0027】
ハウジング20の上面側に配置される一対の第一の外部磁性体33U1,33U2の間であってモータM1の上方には、耐磁板35(35U)が備えられている。
一方、ハウジング20の下面側に配置されるもう一対の第二の外部磁性体33D1,33D2の間であってモータM1の下方には、耐磁板35(35D)が備えられている。
この耐磁板35(35U、35D)は、外部磁性体33よりも比較的低い透磁率を有する磁性材料からなり、薄板状に形成されている。
【0028】
なお、ハウジング20の上面と下面には、それぞれ非磁性部20aが形成されており、その非磁性部20aの存在により、アンテナコア31の一端部31bと他端部31cとが磁気的に分離されている。
また、外部磁性体33,33同士も磁気的に分離されている。さらに、外部磁性体33,33と耐磁板35の間には隙間が設けられており、外部磁性体33と耐磁板35も磁気的に分離されている。
また、外部磁性体33と耐磁板35とは、ハウジング20の上面および下面にそれぞれ配されており、そのハウジング20によってその姿勢が安定するように支持されているので、それぞれ良好に電波の磁束を集めたり、確実に外部磁気を遮蔽したりするようになっている。
【0029】
図6は、腕時計100の内部構成を示すブロック図である。同図によれば、腕時計100は、CPU101と、入力部200と、表示部300と、ROM400と、RAM500と、受信制御回路部600と、計時制御回路部700と、発振回路部720とを備えて構成されている。
【0030】
CPU101は、所定のタイミング或いは入力部200から入力された操作信号に応じてROM400に格納されたプログラムを読み出してRAM500に展開し、そのプログラムに基づいて腕時計100を構成する各部への指示やデータの転送等を行う。具体的には、例えば、所定時間毎に受信制御回路部600を制御して標準電波の受信を行わせ、受信信号を基に計時制御回路部700で計時される現在時刻データを修正する処理や、計時制御回路部700によって計時された現在時刻を表示部300に表示させる処理等を行う。
【0031】
入力部200は、腕時計100の各種機能の実行を指示するためのスイッチ3を含み、このスイッチ3が操作されると、対応する操作信号をCPU101に出力する。
表示部300は、文字板21や、CPU101によって制御されるアナログ指針機構40等を含み、計時制御回路部700によって計時された現在時刻を表示する。
【0032】
ROM400は、腕時計100にかかるシステムプログラムやアプリケーションプログラム、本実施形態を実現するためのプログラムやデータ等を記憶する。
RAM500は、CPU101の作業領域として用いられ、ROM400から読み出されたプログラムやデータ、CPU101で処理されたデータ等を一時的に記憶する。
【0033】
受信制御回路部600は、アンテナ装置30での受信信号から不要な周波数成分をカットして所定の周波数信号を取り出し、この周波数信号を対応する電気信号に変換してCPU101に出力する。
計時制御回路部700は、発振回路部720から入力される信号を計数して現在時刻を計時し、現在時刻データをCPU101に出力する。
発振回路部720は、常時一定周波数のクロック信号を出力する回路である。
【0034】
次に、本実施形態1の腕時計100に備えられるアンテナ構造体30の作用等について説明する。
【0035】
外部磁性体33、33は、アンテナコア31の一端部31bと他端部31cにそれぞれ磁気的に結合されて、アンテナコア31の両端側に広く延在するように備えられている。このために、この外部磁性体33は、標準電波の磁束を集め、集めた標準電波の磁束が、アンテナコア31中を通過することとなって、その磁束の通過によってコイル32に誘導起電力が生じる。この誘導起電力を検出することにより標準電波を受信する。
一方、外部磁性体33は、モータM2の上面および下面側を覆っているため、外部磁性体33が耐磁板として機能し、この外部磁性体33により外部からの磁気が遮蔽され、外部磁気がモータM2に到達し難くなる。このために、モータM2に対する外部磁気の影響を低減することが可能になる。
更に、耐磁板35は、モータM2とは別なモータM1の上面および下面側を覆っているため、この耐磁板35により外部からの磁気が遮蔽され、外部磁気がモータM1に到達し難くなる。このために、モータM1に対する外部磁気の影響を低減することが可能になる。
【0036】
以上のように、腕時計100は、外部磁性体33が連結されたアンテナ構造体30を備えており、そのアンテナ構造体30のアンテナコア31の両端部に磁気的に結合されている一対の外部磁性体33,33が、標準電波の磁束を引き付けるように良好に集めて、アンテナコア31を透過する磁束を良好に捕捉することができるので、標準電波の受信感度や受信精度を高めることができる。
特に、対をなす外部磁性体33,33が、ハウジング20の上面側と下面側にそれぞれ配設されており、その外部磁性体33,33がモータM2の上面および下面側を覆い、外部からの磁気を遮蔽することで、外部磁気がモータM2に到達し難くなることから、モータM2に対する外部磁気の影響を低減して、時計精度を向上させることができる。
また、外部磁性体33,33では覆えない範囲のモータM1を覆う耐磁板35が備えられているので、このモータM1に対する外部磁気の影響も低減することができ、時計精度を向上させることができる。
従って、この腕時計100は、不要な外部磁気の遮断効果を有するとともに、標準電波の受信精度の向上を図ることが可能であり、良好な時計精度を維持することができる。
【0037】
(実施形態2)
次に、本発明に係る電波受信装置を腕時計に適用した実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
図7は、実施形態2における腕時計200を示す平面図であり、図8は時計ケースに設置されたアンテナ構造体の平面図、図9は図8のアンテナ構造体の斜視図、図10は図8のX−X線に沿う矢視断面図である。
【0039】
図7に示すように、腕時計200は、機器本体2を備え、その機器本体2の上下両端部には時計バンドBが取り付けられている。
機器本体2は、筒状の筐体である時計ケース10と、この時計ケース10の上部開口を閉塞する上部閉塞部材としての時計ガラス12と文字板21と、時計ケース10の下部開口を閉塞する下部閉塞部材としての裏蓋14等を備えている。
時計ケース10の内部には、アンテナ構造体30などが配設されたハウジング20が納められている。
【0040】
アンテナ構造体30は、図7から図10に示すように、磁性体であるアンテナコア31と、このアンテナコア31に巻回されたコイル32と、を備えて構成されており、アンテナコア31は、コイル32が巻回されているコイル巻回部31aと、コイル32が巻回されないコイル非巻回部である一端部31bと他端部31cと、を備えている。
そして、この一端部31bと他端部31cに外部磁性体60が取り付けられている。
ている。
【0041】
外部磁性体60は、アンテナコア31の一端部31b又は他端部31bと磁気的に結合する磁気結合部60bと、モータMへの外部からの磁気を遮蔽するとともに外部からの電波の磁束を集める集磁部60aとを有している。
この外部磁性体60は、例えば、フェライトや、アモルファス、パーマロイなど比較的高い透磁率を有する磁性材料からなり、略円形状の薄板の一部が切り欠かれた形状を呈するように形成されている。
【0042】
外部磁性体60は、ハウジング20の上面側に位置する第一の外部磁性体60Uと、ハウジング20の下面側に位置する第二の外部磁性体60Dと、によって構成されている。
そして、アンテナコア31の他端部31cに、第一の外部磁性体60Uが磁気的に結合されており、また、アンテナコア31の一端部31bに、第二の外部磁性体60Dが磁気的に結合されている。
具体的には、これら外部磁性体60の磁気結合部60bと、アンテナコア31の一端部31bおよび他端部31cとは、磁性材料からなる磁性連結部材としてのねじ34により連結されており、その結果、外部磁性体60とアンテナコア31とがこのねじ34を介して磁気的に結合している。なお、ねじ34は、パイプ状のワッシャ36を介するように、外部磁性体60とアンテナコア31とを連結している。
【0043】
第一の外部磁性体60(60U)は、ハウジング20の上面側であって、モータM1及びモータM2と時計ガラス12(文字板21)との間に配置されている。
一方、第二の外部磁性体60(60D)は、ハウジング20の下面側であって、モータM1及びモータM2と裏蓋14(ハウジングケース11)との間に配置されている。
すなわち、第一の外部磁性体60Uと、第二の外部磁性体60Dとが、ハウジング20内に備えられているモータM1及びモータM2の上面側と下面側をそれぞれ覆うようになっている。より具体的には、第一の外部磁性体60の集磁部60aと第二の外部磁性体60の集磁部60aとがモータM1及びモータM2を上下に挟んで覆うようになっている。
【0044】
なお、ハウジング20により、アンテナコア31の一端部31bと他端部31cとが磁気的に分離されている。
そして、アンテナコア31の一端部31bと他端部31cに連結されている第一の外部磁性体60Uと第二の外部磁性体60Dとが接触しないように磁気的に分離されている。
また、第一の外部磁性体60Uと第二の外部磁性体60Dとは、ハウジング20の上面および下面にそれぞれ配されており、そのハウジング20によってその姿勢が安定するように支持されているので、それぞれ良好に電波の磁束を集めたり、確実に外部磁気を遮蔽したりするようになっている。
【0045】
次に、本実施形態2の腕時計200に備えられるアンテナ構造体30の作用等について説明する。
【0046】
アンテナ構造体30における外部磁性体60、60は、アンテナコア31の一端部31bと他端部31cにそれぞれ磁気的に結合されて、アンテナコア31の両端側に広く延在するように備えられている。このために、この外部磁性体60、60は、標準電波の磁束を集め、集めた標準電波の磁束が、アンテナコア31中を通過することとなって、その磁束の通過によってコイル32に誘導起電力が生じる。この誘導起電力を検出することにより標準電波を受信する。
一方、外部磁性体60、60は、モータM1及びモータM2の上面および下面側を覆っているため、外部磁性体60が耐磁板として機能し、この外部磁性体60により外部からの磁気が遮蔽され、外部磁気がモータM1やモータM2に到達し難くなる。このために、モータM1とモータM2に対する外部磁気の影響を低減することが可能になる。
【0047】
以上のように、腕時計200は、外部磁性体60が連結されたアンテナ構造体30を備えており、そのアンテナ構造体30のアンテナコア31の両端部に磁気的に結合されている外部磁性体60が、標準電波の磁束を引き付けるように良好に集めて、アンテナコア31を透過する磁束を良好に捕捉することができるので、標準電波の受信感度や受信精度を高めることができる。
特に、2つの外部磁性体60、60が、ハウジング20の上面側と下面側にそれぞれ配設されており、それら外部磁性体60、60がモータM1とモータM2の上面および下面側を覆い、外部からの磁気を遮蔽することで、外部磁気がモータM1とモータM2に到達し難くなることから、モータM1とモータM2に対する外部磁気の影響を低減して、時計精度を向上させることができる。
従って、この腕時計200は、不要な外部磁気の遮断効果を有するとともに、標準電波の受信精度の向上を図ることが可能であり、良好な時計精度を維持することができる。
【0048】
なお、以上の実施の形態においては、磁性連結部材のねじ34によって、アンテナコア31と外部磁性体(33、60)とを結合したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、導電性接着剤を用いて接合したり、溶接や圧着などの手法によって接続したりしてもよい。
また、磁性材料からなるパイプ状のワッシャ36を磁性連結部材として用い、アンテナコア31と外部磁性体(33、60)とを結合してもよい。
【0049】
また、以上の実施の形態においては、電波受信装置として電波腕時計を例示して説明したが、電波受信機能を有する電子機器であれば本発明を適用することは可能である。例えば、適用可能な電子機器としては携帯電話やラジオ、携帯ゲーム機、デジタルオーディオプレーヤーなどが挙げられる。
【0050】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る電波受信装置が適用された腕時計の実施形態1を示す正面図である。
【図2】図1の腕時計の分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線における矢視断面図である。
【図4】図1の腕時計内のアンテナ構造体を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線における矢視断面図である。
【図6】腕時計の機能構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る電波受信装置が適用された腕時計の実施形態2を示す正面図である。
【図8】図7の腕時計内のアンテナ構造体を示す平面図である。
【図9】実施形態2におけるアンテナ構造体を示す斜視図である。
【図10】図8のX−X線における矢視断面図である。
【符号の説明】
【0052】
2 機器本体
10 時計ケース(筐体)
11 ハウジングケース
12 時計ガラス(上部閉塞部材)
14 裏蓋(下部閉塞部材)
20 ハウジング
21 文字板
30 アンテナ構造体
31 アンテナコア
31a コイル巻回部
31b 一端部
31c 他端部
32 コイル
33(33U、33D) 外部磁性体
33a 集磁部
33b 磁気結合部
34 ねじ(磁性連結部材)
35(35U、35D) 耐磁板
40 アナログ指針機構
60(60U、60D) 外部磁性体
60a 集磁部
60b 磁気結合部
100、200 腕時計(電波受信装置)
M1 モータ(モータ)
M2 モータ(モータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのモータと、
両端部を有するアンテナコアとこのアンテナコアに巻回されたコイルとを有するアンテナ構造体と、
このアンテナ構造体と前記モータとを備えているハウジングと、
このハウジングを収納する筒状の筐体と、
この筐体の上部開口を閉塞する上部閉塞部材と、
前記筐体の下部開口を閉塞する下部閉塞部材と、
前記アンテナコアの少なくとも一端部と磁気的に結合する磁気結合部と、前記モータへの外部からの磁気を遮蔽するとともに外部からの電波の磁束を集める集磁部とを有する外部磁性体と、を備え、
前記外部磁性体は、前記モータと前記上部閉塞部材との間および前記モータと前記下部閉塞部材との間にそれぞれ配置されていることを特徴とする電波受信装置。
【請求項2】
第一および第二の各モータと、
両端部を有するアンテナコアとこのアンテナコアに巻回されたコイルとを有するアンテナ構造体と、
このアンテナ構造体と前記モータとを備えているハウジングと、
このハウジングを収納する筒状の筐体と、
この筐体の上部開口を閉塞する上部閉塞部材と、
前記筐体の下部開口を閉塞する下部閉塞部材と、
前記アンテナコアの少なくとも一端部と磁気的に結合する磁気結合部と、前記第一および第二の各モータへの外部からの磁気を遮蔽するとともに外部からの電波の磁束を集める集磁部とを有する第一および第二の各外部磁性体と、を備え、
前記第一の外部磁性体は、前記第一のモータと前記上部閉塞部材との間、および、前記第二の外部磁性体は、前記第二のモータと前記下部閉塞部材との間にそれぞれ配置されていることを特徴とする電波受信装置。
【請求項3】
前記アンテナコアと前記外部磁性体とは、前記磁気結合部において、磁性連結部材により連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電波受信装置。
【請求項4】
前記外部磁性体は、第一の外部磁性体と第二の外部磁性体とを備えており、前記第一の外部磁性体は、前記アンテナコアの一端部と磁気的に結合して前記モータと前記上部閉塞部材との間に配置され、前記第二の外部磁性体は、前記アンテナコアの他端部と磁気的に結合して前記モータと前記下部閉塞部材との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電波受信装置。
【請求項5】
前記第一の外部磁性体の集磁部と、前記第二の外部磁性体の集磁部とで、前記モータを上下に挟んでいることを特徴とする請求項4に記載の電波受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−250667(P2009−250667A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96086(P2008−96086)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】