説明

電流センサ

【課題】被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子でより正確に検出することができ、特性ばらつきが抑えられた電流センサを提供する。
【解決手段】磁電変換素子13と磁束を集束する磁気コア11とを備えた電流センサであって、被測定電流路CBが挿通される円形の穴19aの空いた基板19を有し、磁気コア11は、基板19の一方側に備えられ薄板状で円弧状の導体からなる第1の磁性材M1と、基板19の他方側に備えられ薄板状で円弧状の導体からなる第2の磁性材M2と、を有し、被測定電流路CBの軸Bj方向から見て、第1の磁性材M1と第2の磁性材M2とが第1の磁性材M1の他端部M1bと第2の磁性材M2の他端部M2bとが重なるようにして円形状に配置され、第1の磁性材M1の他端部M1bと第2の磁性材M2の他端部M2bとの間に磁電変換素子13を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定電流路に流れる電流を検出する電流センサに関し、特に、磁電変換素子と磁気コアとを備えた電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器の制御や監視のために、被測定電流路に流れる電流を非接触で検出るための電流センサが広く利用されている。この種の電流センサとして、被測定電流路に流れる電流から生じる磁界を感知する磁電変換素子と磁気コアとを備えた電流センサを用いることが一般的に知られている。
【0003】
従来例の特許文献1では、磁電変換素子としてホール素子を用い、環状に曲げ成形された磁気コアを備えた電流センサ(非接触センサと言う)が提案されている。図12に示す非接触センサ800は、導線(被測定対象)823の周囲を取り囲むように配置された非接触式センサコア(磁気コア)841と、非接触式センサコア841の挟持用間隙841aに配置されたホール素子(図示していない)とを備え、環状に曲げ成形された長尺部材845を貫く導線823に流れる電流を測定できるとしている。しかしながら、非接触式センサコア841の材質が、例えばパーマロイ等の導電性を有する素材の場合、導線823と長尺部材845との間に寄生容量が発生し、この寄生容量により、導線(被測定対象)823に流れる電流の変化が無くても、電圧が変わっただけで容量結合の影響を受け電流センサの出力が変動し、その結果、電流センサの特性がばらつくと言う問題があった。
【0004】
そこで、この寄生容量を低減する方法として、図13に示す比較例のように、磁気コアPCの厚みを薄くして、被測定電流路CBと磁気コアPCとの対向する面積を狭くすることにより、寄生容量を低減することが考えられる。図13に示す比較例の電流センサ900は、被測定電流路CB挿通される円形の貫通孔Phを有した基板PCBと、基板PCBを取り囲むように配置された厚みの薄い円形状の磁気コアPCと、磁気コアPCの間隙Pgに配置され、基板PCBに実装された磁電変換素子PEとを備えて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−215169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、比較例のような構成にすると、磁電変換素子PEを磁気コアPCの間隙Pgに配置しても、間隙Pg間に生じる平行磁界領域A1が狭く、磁電変換素子PEは漏れ磁界領域A2の磁気も検出するようになり、磁電変換素子PEが配置される位置のずれにより、検出する磁気にばらつきが生じ、その結果、特性ばらつきが大きい電流センサ900になってしまうと言った問題が生じる。そこで、従来例と比較例の問題を同時に解決するような電流センサが望まれていた。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するもので、被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子でより正確に検出することができ、特性ばらつきが抑えられた電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明の電流センサは、被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を検出する磁電変換素子と、前記被測定電流路の回りに発生する磁束を集束する磁気コアとを備えた電流センサであって、前記被測定電流路が挿通される円形の穴の空いた基板を有し、前記磁気コアが、前記基板の一方側に備えられ前記穴の周囲に配置された薄板状で円弧状の導体からなる第1の磁性材と、前記基板の他方側に備えられ前記穴の周囲に配置された薄板状で円弧状の導体からなる第2の磁性材と、を有し、前記第1の磁性材の一端部と前記第2の磁性材の一端部とが、連結部により前記基板を挟んで連結され、前記被測定電流路の軸方向から見て、前記第1の磁性材と前記第2の磁性材とが、前記第1の磁性材の他端部と前記第2の磁性材の他端部とが重なるようにして円形状に配置され、前記第1の磁性材の前記他端部と前記第2の磁性材の前記他端部との間に前記磁電変換素子を配置したことを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、本発明の電流センサは、被測定電流路の周囲に薄板状で円弧状の導体からなる第1の磁性材と第2の磁性材とを円形状に配置し、重なった第1の磁性材の他端部と第2の磁性材の他端部との間に磁電変換素子を配置したので、被測定電流路と第1の磁性材及び第2の磁性材との対向する面積が狭くなり、被測定電流路と第1の磁性材及び第2の磁性材との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。このため、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動を抑えることができ、しかも磁電変換素子が重なった他端部間に配置されているので、広い平行磁界領域中で磁気を検出することができる。このことにより、被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサを得ることができる。
【0010】
また、本発明の電流センサは、前記第1の磁性材、前記第2の磁性材及び前記連結部が、薄板状の母材から切り取った長尺部材を折り曲げて一体で設けられていることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、本発明の電流センサは、第1の磁性材、第2の磁性材及び連結部の磁気コアが、薄板状の母材から切り取った長尺部材を曲げて一体で設けられているので、基板を挟むようにして設けられた磁気コアを容易に作製することができる。このことにより、製造コストが抑えられた磁気コアを安価に作製することができる。
【0012】
また、本発明の電流センサは、前記基板が、折り曲げ可能な可撓性基板からなり、前記可撓性基板の一方側主面に前記磁気コアを形成し、前記可撓性基板の他方側主面に前記磁電変換素子を実装し、前記可撓性基板を折り曲げて、前記第1の磁性材の前記他端部と前記第2の磁性材の前記他端部との間に前記磁電変換素子が配置されることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、本発明の電流センサは、可撓性基板の一方側主面に磁気コアを形成し、可撓性基板を折り曲げて用いたので、磁気コアが可撓性基板で支えられるため、磁気コアとしてより薄い磁性材を用いることができる。このことにより、被測定電流路と第1の磁性材及び第2の磁性材との間に発生する寄生容量をより小さくすることができる。しかも、磁性材を薄くすることで、材料費を抑えることができ、磁気コアを安価に作製することができる。
【0014】
また、本発明の電流センサは、前記磁電変換素子がホール素子であることを特徴としている。
【0015】
本発明によれば、本発明の電流センサは、第1の磁性材と第2の磁性材とが重なった他端部間に、磁電変換素子として素子の厚み方向に感度軸を有するホール素子を配置できるので、他端部間の挟隙に薄い厚みの方向で磁電変換素子(ホール素子)を配置することができる。このことにより、広い平行磁界領域中で磁気をより検出できるとともに、第1の磁性材の他端部と第2の磁性材の他端部との間を狭くすることができ、電流センサを薄くすることができる。
【0016】
また、本発明の電流センサは、被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を検出する磁電変換素子と、前記被測定電流路の回りに発生する磁束を集束する磁気コアとを備えた電流センサであって、前記被測定電流路が挿通される円形の穴の空いた基板を有し、前記磁気コアは、前記基板の一方側で前記穴の周囲に配置され、切れ目の入った薄板状で円環状の導体からなる基部と、前記基部の2つの端部から垂直に延設された第1の突設部及び第2の突設部と、を有し、前記第1の突設部と前記第2の突設部とが対向して設けられ、前記磁電変換素子が前記第1の突設部と前記第2の突設部との間に設けられたことを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、本発明の電流センサは、被測定電流路の周囲に薄板状で円環状の導体からなる基部を配置し、基部の2つの端部から垂直に延設された第1の突設部及び第2の突設部との間に磁電変換素子を配置したので、被測定電流路と磁気コアの基部との対向する面積が狭くなり、被測定電流路と磁気コアの基部との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。このため、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動を抑えることができ、しかも磁電変換素子が対向した第1の突設部及び第2の突設部との間に配置されているので、広い平行磁界領域中で磁気を検出することができる。このことにより、被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサを得ることができる。
【0018】
また、本発明の電流センサは、前記基部、前記第1の突設部及び前記第2の突設部が、薄板状の母材から切り取った長尺部材を折り曲げて一体で設けられていることを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、本発明の電流センサは、基部、第1の突設部及び第2の突設部の磁気コアが、薄板状の母材から切り取った長尺部材を曲げて一体で設けられているので、基板の一方側に配置され、基板に対して一部が立体的に設けられた磁気コアを容易に作製することができる。このことにより、製造コストが抑えられた磁気コアを安価に作製することができる。
【0020】
また、本発明の電流センサは、前記磁電変換素子が磁気抵抗素子であることを特徴としている。
【0021】
本発明によれば、本発明の電流センサは、基板に対して垂直になるように設けられた第1の突設部及び第2の突設部との間に、素子の主面方向に感度軸を有する磁気抵抗素子を配置できるので、磁電変換素子(磁気抵抗素子)を基板に対して面実装することができる。このことにより、広い平行磁界領域中で磁気を検出できるとともに、平行磁界領域中に容易に磁電変換素子(磁気抵抗素子)を実装することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電流センサは、被測定電流路の周囲に薄板状で円弧状の導体からなる第1の磁性材と第2の磁性材とを円形状に配置し、重なった第1の磁性材の他端部と第2の磁性材の他端部との間に磁電変換素子を配置したので、被測定電流路と第1の磁性材及び第2の磁性材との対向する面積が狭くなり、被測定電流路と第1の磁性材及び第2の磁性材との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。このため、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動を抑えることができ、しかも磁電変換素子が重なった他端部間に配置されているので、広い平行磁界領域中で磁気を検出することができる。このことにより、被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサを得ることができる。
【0023】
また、本発明の電流センサは、被測定電流路の周囲に薄板状で円環状の導体からなる基部を配置し、基部の2つの端部から垂直に延設された第1の突設部及び第2の突設部との間に磁電変換素子を配置したので、被測定電流路と磁気コアの基部との対向する面積が狭くなり、被測定電流路と磁気コアの基部との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。このため、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動を抑えることができ、しかも磁電変換素子が対向した第1の突設部及び第2の突設部との間に配置されているので、広い平行磁界領域中で磁気を検出することができる。このことにより、被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサを得ることができる。
【0024】
したがって、本発明は、被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子でより正確に検出することができ、特性ばらつきが抑えられた電流センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の電流センサを説明する上面構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態の電流センサを説明する構成図であって、図2(a)は、図1に示すY2側から見た側面図であり、図2(b)は、図1に示すX2側から見た側面図であり、図2(c)は、図1に示すX1側から見た側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の電流センサを説明する図であって、薄板状の母材から型抜きされた長尺部材の平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の電流センサを説明する上面構成図である。
【図5】本発明の第2実施形態の電流センサを説明する構成図であって、図5(a)は、図4に示すY2側から見た側面図であり、図5(b)は、図4に示すX1側から見た側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の電流センサを説明する図であって、薄板状の母材から型抜きされた長尺部材の平面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の電流センサを説明する上面構成図である。
【図8】本発明の第3実施形態の電流センサを説明する構成図であって、図8(a)は、図7に示すY2側から見た側面図であり、図8(b)は、図7に示すX2側から見た側面図であり、図8(c)は、図7に示すX1側から見た側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態の電流センサの変形例を説明する図であって、図9(a)は、変形例1における上面構成図であって、図9(b)は、変形例2における側面構成図である。
【図10】本発明の第2実施形態の電流センサの変形例3を説明する図であって、図10(a)は、上面構成図であって、図10(b)は、側面構成図である。
【図11】本発明の第2実施形態の電流センサの変形例4を説明する側面構成図である。
【図12】従来例における電流センサ(非接触センサ)を説明する斜視図である。
【図13】比較例における電流センサを説明する図であって、図13(a)は、上面構成図であって、図13(b)は、図13(a)に示すY2側から見た側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する上面構成図である。図2は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する構成図であって、図2(a)は、図1に示すY2側から見た側面図であり、図2(b)は、図1に示すX2側から見た側面図であり、図2(c)は、図1に示すX1側から見た側面図である。図3は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する図であって、薄板状の母材15から型抜きされた長尺部材17の平面図である。
【0028】
本発明の第1実施形態の電流センサ101は、図1に示すように、磁束を集束する磁気コア11と、磁気を検出する磁電変換素子13と、被測定電流路CBが挿通される円形の穴19aの空いた基板19とを備えて構成される。
【0029】
先ず、磁気コア11は、導電性を有する軟磁性体、例えばパーマロイ(Fe−Ni合金)を用い、図1及び図2に示すように、基板19の一方側に備えられた第1の磁性材M1と、基板19の他方側に備えられた第2の磁性材M2と、第1の磁性材M1の一端部M1aと第2の磁性材M2の一端部M2aとを連結する連結部11rとを有して構成されている。また、磁気コア11の第1の磁性材M1は、薄板状で円弧状の形状になっており、内周側を被測定電流路CBと対向させて穴19aの周囲に配置している。同様にして、磁気コア11の第2の磁性材M2は、薄板状で円弧状の形状になっており、内周側を被測定電流路CBと対向させて穴19aの周囲に配置している。なお、本発明の第1実施形態の第1の磁性材M1及び第2の磁性材M2は、半円状の形状の円弧状になっているが、半円状に限るものでは無く、どちらか一方が優弧でどちらか一方が劣弧の組み合わせであっても良い。
【0030】
また、磁気コア11の連結部11rは、図2に示すように、第1の磁性材M1の一端部M1aから連続して延設され、基板19を挟んで、第2の磁性材M2の一端部M2aと連結している。本発明の第1実施形態の第1の磁性材M1、第2の磁性材M2及び連結部11rは、一体で形成されている。また、図1、図2(a)及び図2(b)に示すように、被測定電流路CBの軸Bj方向から見て、第1の磁性材M1と第2の磁性材M2とが、他端部M1bと他端部M2bとが重なり、一端部M1aと一端部M2aとが重なるようにして、円形状に配置されている。そして、第1の磁性材M1、連結部11r、第2の磁性材M2と繋がって、被測定電流路CBを取り囲むように配置されているので、磁気コア11は、被測定電流路CBに電流が流れたときに被測定電流路CBの回りに発生する磁束を集束している。また、図2(a)及び図2(b)に示す他端部M1bと他端部M2bとが重なる部分において、磁気コア11により被測定電流路CBの回りに発生する磁束を集束しているので、広い平行磁界領域JAを形成している。なお、第1の磁性材M1と第2の磁性材M2とから形成される円形の形状は、重なる部分が生じるように、各円弧の角度が合わせて360°を超えていれば良い。なお、連結部11rは、間隙が小さければ離れていても良く、例えば基板19が極端に薄い場合、基板19の厚み分の間隙部を設けて連結部を構成することもできる。
【0031】
以上のように構成された磁気コア11は、薄板状で被測定電流路CBの周囲に配置されているので、被測定電流路CBと第1の磁性材M1及び第2の磁性材M2との対向する面積が狭くなり、被測定電流路CBと第1の磁性材M1及び第2の磁性材M2との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。
【0032】
また、本発明の第1実施形態の磁気コア11の製造方法は、先ず、薄板状の母材15を準備し、図3に示すように、S字状の形状の型を用い母材15にプレス加工を行うことにより、S字状の形状の長尺部材17を作製する。次に、図3に示す折り目線PL1及び折り目線PL2に沿って、各々90°の折り曲げ加工を行う。最後に、図2(a)に示すように、第1の磁性材M1及び第2の磁性材M2が連結部11rを介して、基板19を挟むように配置するとともに、図1に示すように、磁気コア11が基板19の穴19aを取り囲むように配置する。このようにして、薄板状の母材15から切り取った長尺部材17を折り曲げて一体で設けられた磁気コア11を得ることができる。これにより、基板19を挟むようにして設けられた磁気コア11を容易に作製することができる。このことにより、製造コストが抑えられた磁気コア11を安価に作製することができる。なお、長尺部材17の作製にあたり、型を用いてプレス加工で行ったが、レーザ加工を用いても良い。
【0033】
次に、磁電変換素子13は、素子の垂直方向VD(言い換えると素子の厚み方向)に感度軸を有するホール素子を用い、図1及び図2に示すように、第1の磁性材M1の他端部M1bと第2の磁性材M2の他端部M2bとの間に配置した。そして、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を広い平行磁界領域JAで検出している。これにより、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子(ホール素子)13でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサ101を得ることができる。しかも、上述したように、被測定電流路CBと第1の磁性材M1及び第2の磁性材M2との間に発生する寄生容量が小さいので、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動が抑えられ、特性バラツキがより抑えられた電流センサ101を得ることができる。
【0034】
また、磁電変換素子13として素子の厚み方向VDに感度軸を有するホール素子を用いたので、他端部M1bと他端部M2bとの挟隙に薄い厚みの方向で磁電変換素子(ホール素子)13を配置することができる。このことにより、広い平行磁界領域JA中で磁気を検出できるとともに、第1の磁性材M1の他端部M1bと第2の磁性材M2の他端部M2bとの間を狭くすることができ、電流センサ101を薄くすることができる。
【0035】
なお、図1及び図2に示す磁電変換素子13は、構成を模式的に示した図であり、実際に用いる際は、基板19にベアチップ実装されるか、熱硬化性の合成樹脂でパッケージングして基板19に実装される。
【0036】
最後に、基板19は、ガラス入りのエポキシ樹脂からなるプリント配線板(Printed Circuit Board、PCB)を用い、図1に示すように、被測定電流路CBが挿通できるように、円形の穴19aが設けられている。なお、プリント配線板(PCB)を用いたが、フレキシブルプリント配線板(Flexiible Printed Circuits、FPC)であっても良い。
【0037】
以上により、本発明の電流センサ101は、被測定電流路CBの周囲に薄板状で円弧状の導体からなる第1の磁性材M1と第2の磁性材M2とを円形状に配置し、重なった第1の磁性材M1の他端部M1bと第2の磁性材M2の他端部M2bとの間に磁電変換素子13を配置したので、被測定電流路CBと第1の磁性材M1及び第2の磁性材M2との対向する面積が狭くなり、被測定電流路CBと第1の磁性材M1及び第2の磁性材M2との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。このため、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動が抑えられ、しかも磁電変換素子13が重なった他端部(M1b及びM2b)間に配置されているので、広い平行磁界領域JA中で磁気を検出することができる。このことにより、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子13でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサ101を得ることができる。
【0038】
また、第1の磁性材M1、第2の磁性材M2及び連結部11rの磁気コア11が、薄板状の母材15から切り取った長尺部材17を曲げて一体で設けられているので、基板19を挟むようにして設けられた磁気コア11を容易に作製することができる。このことにより、製造コストが抑えられた磁気コア11を安価に作製することができる。
【0039】
また、第1の磁性材M1と第2の磁性材M2とが重なった他端部(M1b、M2b)間に、磁電変換素子13として素子の厚み方向VDに感度軸を有するホール素子を配置できるので、他端部(M1b、M2b)間の挟隙に薄い厚みの方向で磁電変換素子(ホール素子)13を配置することができる。このことにより、広い平行磁界領域JA中で磁気を検出できるとともに、第1の磁性材M1の他端部M1bと第2の磁性材M2の他端部M2bとの間を狭くすることができ、電流センサ101を薄くすることができる。
【0040】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する上面構成図である。図5は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する構成図であって、図5(a)は、図4に示すY2側から見た側面図であり、図5(b)は、図4に示すX1側から見た側面図である。図6は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する図であって、薄板状の母材25から切り取られた長尺部材27の平面図である。第2実施形態の電流センサ102は、第1実施形態に対し、磁気コア21の形状と配置が異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0041】
本発明の第2実施形態の電流センサ102は、図4に示すように、磁束を集束する磁気コア21と、磁気を検出する磁電変換素子23と、被測定電流路CBが挿通される円形の穴29aの空いた基板29とを備えて構成される。
【0042】
先ず、磁気コア21は、導電性を有する軟磁性体、例えばパーマロイ(Fe−Ni合金)を用い、図4及び図5に示すように、切れ目の入った薄板状で円環状の導体からなる基部K1と、基部K1の2つの端部(K1a及びK1b)から垂直に延設された第1の突設部T1及び第2の突設部T2とを有して構成され、本発明の第2実施形態の基部K1、第1の突設部T1及び第2の突設部T2は、一体で形成されている。また、磁気コア21は、基板29の一方側に設けられ、円環状の内周側を被測定電流路CBと対向させて、穴29aの周囲に配置されている。また、磁気コア21の第1の突設部T1と第2の突設部T2は、第1の突設部T1と第2の突設部T2とが略平行になうように対向して設けられているとともに、基板29に対して垂直に延設されるように配置されている。なお、本発明の第2実施形態の基部K1は、円形の形状の円環状になっているが、円形の形状に限るものでは無く、例えば鈍角を有する形状の円環状であっても良い。
【0043】
また、磁気コア21は、第1の突設部T1、基部K1、第2の突設部T2と繋がって、被測定電流路CBを取り囲むように配置されているので、磁気コア21は、被測定電流路CBに電流が流れたときに被測定電流路CBの回りに発生する磁束を集束している。また、図4及び図5に示す第1の突設部T1と第2の突設部T2が対向する部分において、磁気コア21により被測定電流路CBの回りに発生する磁束を集束しているので、広い平行磁界領域JAを形成している。
【0044】
以上のように構成された磁気コア21は、薄板状で被測定電流路CBの周囲に配置されているので、被測定電流路CBと磁気コア21の基部K1との対向する面積が狭くなり、被測定電流路CBと基部K1との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。
【0045】
また、本発明の第2実施形態の磁気コア21の製造方法は、本発明の第1実施形態の磁気コア11の製造方法と同様にして、先ず、薄板状の母材25を準備し、図6に示すように、Ω字状の形状の型を用い母材25にプレス加工を行うことにより、Ω字状の形状の長尺部材27を作製する。次に、図6に示す折り目線PL3及び折り目線PL4に沿って、Y1側に180°の折り曲げ加工を行ない、更に折り目線PL5に沿ってX1側に、折り目線PL6に沿ってX2側に180°の折り曲げ加工を行なう。更に、折り目線PL7及び折り目線PL8に沿って各々90°の折り曲げ加工を行なう。最後に、図5(a)に示すように、基板29の一方側に配置するとともに、図4に示すように、磁気コア21が基板29の穴29aを取り囲むように配置する。このようにして、薄板状の母材25から切り取った長尺部材27を折り曲げて一体で設けられた磁気コア21を得ることができる。これにより、基板29の一方側に配置され、基板29に対して一部が立体的に設けられた磁気コア21を容易に作製することができる。このことにより、製造コストが抑えられた磁気コア21を安価に作製することができる。
【0046】
次に、磁電変換素子23は、図4及び図5に示すように、素子の水平方向HD(言い換えると素子の主面方向)に感度軸を有する磁気抵抗素子を用い、第1の突設部T1と第2の突設部T2が対向する部分の間に配置した。そして、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を広い平行磁界領域JAで検出している。これにより、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子(磁気抵抗素子)23でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサ102を得ることができる。しかも、上述したように、被測定電流路CBと磁気コア21の基部K1との間に発生する寄生容量が小さいので、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動が抑えられ、特性バラツキがより抑えられた電流センサ102を得ることができる。なお、磁電変換素子23は、第1の突設部T1と第2の突設部T2が対向するそれぞれの面の間に全て収まるように好適に構成したが、全て収まるようにしなくても良い。
【0047】
また、磁電変換素子23として素子の主面方向HDに感度軸を有する磁気抵抗素子を用いたので、基板29に対して垂直になるように設けられた第1の突設部T1と第2の突設部T2との間に、素子の主面方向HDに感度軸を有する磁電変換素子(磁気抵抗素子)23を基板29に対して面実装することができる。このことにより、広い平行磁界領域JA中で磁気をより検出できるとともに、平行磁界領域JA中に容易に磁電変換素子(磁気抵抗素子)23を実装することができる。
【0048】
なお、図4及び図5に示す磁電変換素子23は、構成を模式的に示した図であり、実際に用いる際は、基板29にベアチップ実装されるか、熱硬化性の合成樹脂でパッケージングして基板29に実装される。
【0049】
最後に、基板29は、ガラス入りのエポキシ樹脂からなるプリント配線板(PCB)を用い、図4に示すように、被測定電流路CBが挿通できるように、円形の穴29aが設けられている。また、磁気コア21は、第1の突設部T1と第2の突設部T2以外の部分が基板29により支持されているので、より厚みの薄い磁気コア21にすることができる。このことにより、被測定電流路CBと磁気コア21の基部K1との対向する面積が狭くなり、被測定電流路CBと基部K1との間に発生する寄生容量をより小さくすることができる。なお、プリント配線板(PCB)を用いたが、フレキシブルプリント配線板(FPC)であっても良い。
【0050】
以上により、本発明の電流センサ102は、被測定電流路CBの周囲に薄板状で円環状の導体からなる基部K1を配置し、基部K1の2つの端部(K1a及びK1b)から垂直に延設された第1の突設部T1及び第2の突設部T2との間に磁電変換素子23を配置したので、被測定電流路CBと磁気コア21の基部K1との対向する面積が狭くなり、被測定電流路CBと磁気コア21の基部K1との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。このため、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動が抑えられ、しかも磁電変換素子23が対向した第1の突設部T1及び第2の突設部T2との間に配置されているので、広い平行磁界領域JA中で磁気を検出することができる。このことにより、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子23でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサ102を得ることができる。
【0051】
また、基部K1、第1の突設部T1及び第2の突設部T2の磁気コア21が、薄板状の母材25から切り取った長尺部材27を曲げて一体で設けられているので、基板29の一方側に配置され、基板29に対して一部が立体的に設けられた磁気コア21を容易に作製することができる。このことにより、製造コストが抑えられた磁気コア21を安価に作製することができる。
【0052】
また、基板29に対して垂直になるように設けられた第1の突設部T1及び第2の突設部T2との間に、素子の主面方向HDに感度軸を有する磁気抵抗素子を配置できるので、磁電変換素子(磁気抵抗素子)23を基板29に対して面実装することができる。このことにより、広い平行磁界領域JA中で磁気をより検出できるとともに、平行磁界領域JA中に容易に磁電変換素子(磁気抵抗素子)23を実装することができる。
【0053】
[第3実施形態]
図7は、本発明の第3実施形態の電流センサ103を説明する上面構成図である。図8は、本発明の第3実施形態の電流センサ103を説明する構成図であって、図8(a)は、図7に示すY2側から見た側面図であり、図8(b)は、図7に示すX2側から見た側面図であり、図8(c)は、図7に示すX1側から見た側面図である。第3実施形態の電流センサ103は、第1実施形態に対し、基板39の構成が異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
本発明の第3実施形態の電流センサ103は、図7に示すように、磁束を集束する磁気コア31と、磁気を検出する磁電変換素子33と、被測定電流路CBが挿通される円形の穴39aの空いた基板39とを備えて構成される。
【0055】
先ず、基板39は、折り曲げ可能な可撓性基板からなり、一般に用いられているフレキシブルプリント配線板(FPC)を用いている。フレキシブルプリント配線板(FPC)は、ポリイミド樹脂(PI)等の素材のフィルム基材上に設けられた銅(Cu)等の金属箔が、所望の配線パターンが得られるように片側にパターニングされている。そして、図8に示すように、被測定電流路CBが挿通できるように、円形の穴39a及び穴39bが2箇所設けられており、この2つの穴(39a及び39b)が一致するように、180°折り曲げられている。
【0056】
次に、磁気コア31は、導電性を有する粉末軟磁性体、例えばパーマロイ(Fe−Ni合金)や金属ガラスの粉体がABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等の合成樹脂中に分散されたコンポジット材を用い、図7及び図8に示すように、第1の磁性材M3と、第2の磁性材M4と、第1の磁性材M3の一端部M3aと第2の磁性材M4の一端部M4aとを連結する連結部31rとを有して構成されている。また、磁気コア31の第1の磁性材M3は、薄板状で円弧状の形状になっており、内周側を被測定電流路CBと対向させて穴39aの周囲に配置している。同様にして、磁気コア31の第2の磁性材M4は、薄板状で円弧状の形状になっており、内周側を被測定電流路CBと対向させて穴39aの周囲に配置している。
【0057】
そして、可撓性基板(基板39)が折り曲げられた際に、図7、図8(a)及び図8(b)に示すように、被測定電流路CBの軸Bj方向から見て、可撓性基板(基板39)の一方側主面に形成された第1の磁性材M3と可撓性基板(基板39)の一方側主面に形成された第2の磁性材M4とが、第1の磁性材M3の他端部M3bと第2の磁性材M4の他端部M4bとが重なるとともに、第1の磁性材M3の一端部M3aと第2の磁性材M4の一端部M4aとが重なるようにして円形状に配置されている。そして、図8(a)及び図8(b)に示す他端部M3bと他端部M4bとが重なる部分において、磁気コア31により被測定電流路CBの回りに発生する磁束を集束しているので、広い平行磁界領域JAを形成している。
【0058】
また、本発明の第3実施形態の磁気コア31は、スクリーン印刷法を用い、パーマロイ(Fe−Ni合金)や金属ガラスの粉体がABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等の合成樹脂中に分散された磁性体ペーストを可撓性基板(基板39)の一方側主面に所望のパターンで印刷し、加熱硬化させることより、作製することができる。そして、可撓性基板(基板39)の一方側主面に作製された磁気コア31は、可撓性基板(基板39)を折り曲げるだけで、第1の磁性材M3と第2の磁性材M4とが、他端部M3bと他端部M4bとが重なり、一端部M3aと一端部M4aとが重なるようにして、円形状に配置することができる。これにより、可撓性基板(基板39)を挟むようにして設けられた磁気コア31を容易に作製することができる。このことにより、製造コストが抑えられた磁気コア31を安価に作製することができる。
【0059】
以上のように構成された磁気コア31は、薄板状で被測定電流路CBの周囲に配置されているので、被測定電流路CBと第1の磁性材M3及び第2の磁性材M4との対向する面積が狭くなり、被測定電流路CBと第1の磁性材M3及び第2の磁性材M4との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。更に、磁気コア31が可撓性基板で支えられるため、磁気コア31としてより薄い磁性材を用いることができる。このため、被測定電流路CBと第1の磁性材M3及び第2の磁性材M4との対向する面積がより一層狭くなり、被測定電流路CBと第1の磁性材M3及び第2の磁性材M4との間に発生する寄生容量をより一層小さくすることができる。しかも、磁性材を薄くすることで、材料費を抑えることができ、磁気コア31を安価に作製することができる。なお、スクリーン印刷法を用いて、可撓性基板(基板39)の一方側主面に磁気コア31を作製したが、薄いシートの磁気コアを予め作製し、可撓性基板の一方側主面に貼り付けて、作製しても良い。
【0060】
最後に、磁電変換素子33は、素子の垂直方向VD(言い換えると素子の厚み方向)に感度軸を有するホール素子を用い、図7及び図8に示すように、可撓性基板(基板39)の他方側主面に実装し、第1の磁性材M3の他端部M3bと第2の磁性材M4の他端部M4bとの間になるように配置した。そして、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を広い平行磁界領域JAで検出している。これにより、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子(ホール素子)33でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサ103を得ることができる。しかも、上述したように、被測定電流路CBと第1の磁性材M3及び第2の磁性材M4との間に発生する寄生容量が小さいので、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動が抑えられ、特性バラツキがより抑えられた電流センサ103を得ることができる。
【0061】
また、磁電変換素子33として素子の厚み方向VDに感度軸を有するホール素子を用いたので、他端部M3bと他端部M4bとの挟隙に薄い厚みの方向で磁電変換素子(ホール素子)33を配置することができる。このことにより、広い平行磁界領域JA中で磁気をより検出できるとともに、第1の磁性材M3の他端部M3bと第2の磁性材M4の他端部M4bとの間を狭くすることができ、電流センサ103を薄くすることができる。
【0062】
以上により、本発明の電流センサ103は、被測定電流路CBの周囲に薄板状で円弧状の導体からなる第1の磁性材M3と第2の磁性材M4とを円形状に配置し、重なった第1の磁性材M3の他端部M3bと第2の磁性材M4の他端部M4bとの間に磁電変換素子33を配置したので、被測定電流路CBと第1の磁性材M3及び第2の磁性材M4との対向する面積が狭くなり、被測定電流路CBと第1の磁性材M3及び第2の磁性材M4との間に発生する寄生容量を小さくすることができる。このため、容量結合によって引き起こされる電流センサの出力変動が抑えられ、しかも、磁電変換素子33が重なった他端部(M3b及びM4b)間に配置されているので、広い平行磁界領域JA中で磁気を検出することができる。このことにより、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を磁電変換素子33でより正確に検出することができ、特性バラツキが抑えられた電流センサ103を得ることができる。
【0063】
また、可撓性基板(基板39)の一方側主面に磁気コア31を形成し、可撓性基板を折り曲げて用いたので、磁気コア31が可撓性基板で支えられるため、磁気コア31としてより薄い磁性材を用いることができる。このことにより、被測定電流路CBと第1の磁性材M3及び第2の磁性材M4との間に発生する寄生容量をより小さくすることができる。しかも、磁性材を薄くすることで、材料費を抑えることができ、磁気コア31を安価に作製することができる。
【0064】
また、第1の磁性材M3と第2の磁性材M4とが重なった他端部(M3b、M4b)間に、磁電変換素子33として素子の厚み方向VDに感度軸を有するホール素子を配置できるので、他端部(M3b、M4b)間の挟隙に薄い厚みの方向で磁電変換素子(ホール素子)33を配置することができる。このことにより、広い平行磁界領域JA中で磁気をより検出できるとともに、第1の磁性材M3の他端部M3bと第2の磁性材M4の他端部M4bとの間を狭くすることができ、電流センサ103を薄くすることができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0066】
図9は、本発明の第1実施形態の電流センサ101の変形例を説明する図であって、図9(a)は、変形例1における電流センサC101の上面構成図であって、図9(b)は、変形例2における電流センサC201の側面構成図である。図10は、本発明の第2実施形態の電流センサ102の変形例3を説明する図であって、図10(a)は、電流センサC302上面構成図であって、図10(b)は、電流センサC302側面構成図である。図11は、本発明の第2実施形態の電流センサ102の変形例4を説明する電流センサC402側面構成図である。
【0067】
<変形例1>
上記第1実施形態では、第1の磁性材M1及び第2の磁性材M2が半円状の形状の円弧状の構成であったが、半円状に限るものでは無く、図9(a)に示すように、第1の磁性材MC1が優弧で第2の磁性材MC2が劣弧の組み合わせの磁気コアC11であっても良い。
【0068】
<変形例2>
上記第1実施形態の基板19に対して、図9(b)に示すように、MID(Molded Interconnect Devices)等の立体配線された基板C19に置き替え、磁電変換素子13を基板C19に埋め込むように構成しても良い。このことにより、第1の磁性材M1の他端部M1bと第2の磁性材M2の他端部M2bとの間を狭くすることができ、磁電変換素子13により検出精度を向上させられるとともに、電流センサC201をより薄く作製することができる。
【0069】
<変形例3>
上記第2実施形態では、磁気コア21の第1の突設部T1及び第2の突設部T2の作製の際に、折り曲げ加工を数回にわたり行なったが、図10に示すように、各々1回の折り曲げ加工で、磁気コアC31の第1の突設部TC1及び第2の突設部TC2を作製した構成であっても良い。
【0070】
<変形例4>
上記第2実施形態では、磁電変換素子23に磁気抵抗素子を用いた構成にしたが、図11に示すように、ホール素子を用いた磁電変換素子C43構成でも良い。このことにより、磁気コアC41の第1の突設部TC3と第2の突設部TC4とが対向する部分の間を狭くすることができ、磁電変換素子C43で磁気をより検出することができる。その際には、磁電変換素子C43として、SIP(Single Inline Package)タイプのパッケージを用いるのが良い。
【0071】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
11、21、31、C11、C31、C41 磁気コア
11r、31r 連結部
M1、M3、MC1 第1の磁性材
M2、M4、MC2 第2の磁性材
M1a、M2a、M3a、M4a 一端部
M1b、M2b、M3b、M4b 他端部
13、23、33、C43 磁電変換素子
15、25 母材
17、27 長尺部材
19、29、39、C19 基板
19a、29a、39a、39b 穴
K1 基部
K1a、K1b 端部
T1、TC1、TC3 第1の突設部
T2、TC2、TC4 第2の突設部
CB 被測定電流路
101、102、103、C101、C201、C302、C402 電流センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を検出する磁電変換素子と、前記被測定電流路の回りに発生する磁束を集束する磁気コアとを備えた電流センサであって、
前記被測定電流路が挿通される円形の穴の空いた基板を有し、
前記磁気コアは、前記基板の一方側に備えられ前記穴の周囲に配置された薄板状で円弧状の導体からなる第1の磁性材と、前記基板の他方側に備えられ前記穴の周囲に配置された薄板状で円弧状の導体からなる第2の磁性材と、を有し、前記第1の磁性材の一端部と前記第2の磁性材の一端部とが、連結部により前記基板を挟んで連結され、
前記被測定電流路の軸方向から見て、前記第1の磁性材と前記第2の磁性材とが、前記第1の磁性材の他端部と前記第2の磁性材の他端部とが重なるようにして円形状に配置され、
前記第1の磁性材の前記他端部と前記第2の磁性材の前記他端部との間に前記磁電変換素子を配置したことを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
前記第1の磁性材、前記第2の磁性材及び前記連結部は、薄板状の母材から切り取った長尺部材を折り曲げて一体で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記基板は、折り曲げ可能な可撓性基板からなり、
前記可撓性基板の一方側主面に前記磁気コアを形成し、前記可撓性基板の他方側主面に前記磁電変換素子を実装し、
前記可撓性基板を折り曲げて、前記第1の磁性材の前記他端部と前記第2の磁性材の前記他端部との間に前記磁電変換素子が配置されることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記磁電変換素子がホール素子であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項5】
被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を検出する磁電変換素子と、前記被測定電流路の回りに発生する磁束を集束する磁気コアとを備えた電流センサであって、
前記被測定電流路が挿通される円形の穴の空いた基板を有し、
前記磁気コアは、前記基板の一方側で前記穴の周囲に配置され、切れ目の入った薄板状で円環状の導体からなる基部と、前記基部の2つの端部から垂直に延設された第1の突設部及び第2の突設部と、を有し、
前記第1の突設部と前記第2の突設部とが対向して設けられ、前記磁電変換素子が前記第1の突設部と前記第2の突設部との間に設けられたことを特徴とする電流センサ。
【請求項6】
前記基部、前記第1の突設部及び前記第2の突設部は、薄板状の母材から切り取った長尺部材を折り曲げて一体で設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電流センサ。
【請求項7】
前記磁電変換素子が磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電流センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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