説明

電流センサ

【課題】測定精度及び検出感度が高く、しかも電流線に対して脱着可能な電流センサを提供すること。
【解決手段】本発明の電流センサ(1)は、切り欠き部(11b)を有する第1の支持体(11)と、第1の支持体(11)に配設された第1の磁気検知素子群(12)と、切り欠き部(21b)を有する第2の支持体(21)と、第2の支持体(21)に配設された第2の磁気検知素子群(22)と、を具備する。切り欠き部(11b)は、電流線(X)を支持する支持面(11c)を有する。この電流センサ(1)においては、被測定電流を通流する電流線(X)が取り付けられた際に、第1の支持体(11)及び第2の支持体(21)は、電流線(X)の周方向にずれて固定されると共に、電流線(X)が、支持面(11c,21c)によって当該電流線(X)の軸線方向における異なる位置で支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流線を通流する被測定電流を測定する電流センサに関し、例えば、磁気検知素子を備えた電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッドカー等におけるモータ駆動技術分野では、比較的大きな電流が取り扱われるため、大電流を非接触で測定可能な電流センサが求められている。このような電流センサとして、被測定電流によって生じる磁界の変化を複数の磁気センサによって検出する電流センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の電流センサは、外縁部から中央部に向けて切り欠きが設けられた基板と、基板中央部を中心として基板上に円状に配設される複数の磁気センサと、を備える。特許文献1記載の電流センサにおいては、電流線を通流する被測定電流からの誘導磁界により各磁気センサから出力される出力信号の合計値により被測定電流を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−107972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電流センサにおいて、被測定電流の測定精度を高めるためには、電流線と磁気センサとの間の位置精度を高い水準で制御する必要がある。特許文献1記載の電流センサにおいては、切り欠き部を介して円状に配設された複数の磁気センサの中央部に電流線を案内し、この電流線の周囲に配設された複数の磁気センサから出力される出力信号の合計値を用いることで、電流線と各磁気センサとの間の位置精度がずれた場合の磁気センサの出力信号の合計値の変化を低減している。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の電流センサにおいては、被測定電流の測定精度及び検出感度を高めるため多数の磁気センサを配設した場合には、基板上に電流線を案内する切り欠き部を設ける間隙が無くなるため、電流線を多数の磁気センサの中央部に案内できなくなる問題がある。また、基板に設けられた切り欠き部には磁気センサを配設できないため、磁気センサの数が増えるにつれて、電流線に対する複数の磁気センサの位置関係の対称性が低下し、測定精度が低下する問題がある。
【0007】
本発明は、測定精度及び検出感度が高く、しかも電流線に対して脱着可能な電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電流センサは、被測定電流が通流する電流線を案内する第1の切り欠き部、及び前記第1の切り欠き部に設けられ前記第1の切り欠き部から案内された前記電流線を支持する第1の支持面を有する第1の支持体と、前記第1の支持体上に前記電流線の周方向に回転可能に固定され、前記電流線を案内する第2の切り欠き部、及び前記第2の切り欠き部に設けられ前記第2の切り欠き部から案内された前記電流線を支持する第2の支持面を有する第2の支持体と、前記第1の支持体に配設され前記被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する複数の磁気検知素子を含む第1の磁気検知素子群と、前記第2の支持体に配設され前記誘導磁界により出力信号を出力する複数の磁気検知素子を含む第2の磁気検知素子群と、を具備し、前記第1及び前記第2の支持体は、前記第1及び前記第2の切り欠き部を互いに連通させて重畳した状態で前記電流線を前記第1及び第2の支持面に案内し、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1及び前記第2の支持面が、前記電流線の軸線方向において前記電流線の互いに異なる位置を、互いに異なる方向から支持するように固定されることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、第1の支持体に第1の切り欠き部を設け、第2の支持体に第2の切り欠き部を設け、第1の支持体上に第2の支持体を電流線の周方向に回転可能に固定したことから、第1及び第2の支持体を電流線の周方向に回転させて第1及び第2の切り欠き部を互いに連通させることにより、第1の支持面及び第2の支持面に電流線を案内することができる。さらに、第1及び第2の支持面に案内された電流線の異なる位置を異なる方向から支持するように、第1の支持体及び第2の支持体を固定することにより、既存の電流線への装着が可能となる。また、第1の磁気検知素子群を配設した第1の支持体、及び第2の磁気検知素子群を配設した第2の支持体を電流線に固定するので、電流線と第1及び第2の磁気検知素子との間の位置精度がずれた場合の磁気検知素子の出力信号の合計値の変化を低減することができる。したがって、測定精度及び検出感度が高く、しかも電流線に対して脱着可能な電流センサを実現することができる。
【0010】
本発明の電流センサにおいては、前記第1の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子と、前記第2の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子とは、前記電流線の周方向に沿って、等間隔に配設されることが好ましい。この構成により、電流線がいずれの方向に位置ずれした場合においても測定精度の悪化を防止できる。
【0011】
本発明の電流センサにおいては、前記第1の支持体は、当該第1の支持体の外周縁部に設けられた凸部及び凹部を有し、前記第2の支持体は、当該第2の支持体の外周縁部に設けられた凸部及び凹部を有し、前記第1の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子は、前記第1の支持体の前記凸部の外側面上に配設され、前記第2の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子は、前記第2の支持体の前記凸部の外側面上に配設され、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1及び第2の支持体は、前記第1及び第2の支持体の前記凸部及び前記凹部で互いに係合して固定され、前記第1及び前記第2の磁気検知素子群が互いに同一円周上に配設されることが好ましい。この構成により、電流線が傾いた場合においても、電流線のずれる方向及び距離は、第1の磁気検知素子群に対しても、第2の磁気検知素子群に対しても同一となるので、電流センサの測定精度の悪化を防止できる。
【0012】
本発明の電流センサにおいては、前記第1の支持体は、当該第1の支持体の外周縁部に設けられた凸部及び凹部と前記電流線の周方向に沿って設けられた第1の内壁部とを有し、前記第2の支持体は、当該第2の支持体の外周縁部に設けられた凸部及び凹部と前記電流線の周方向に沿って設けられた第2の内壁部とを有し、前記第1の内壁部の半径は、前記第2の内壁部の半径よりも大きく、前記第1の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子は、前記第1の内壁部の内側に配設され、前記第2の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子は、前記第2の内壁部の外側に配設され、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1及び第2の支持体は、前記第1及び第2の支持体の前記凸部及び前記凹部で互いに係合して固定され、前記第1及び前記第2の磁気検知素子群が同一円周上に配設されることが好ましい。この構成により、電流線が傾いた場合においても、電流線のずれる方向及び距離は、第1の磁気検知素子群に対しても、第2の磁気検知素子群に対しても同一となるので、電流センサの測定精度の悪化を防止できる。
【0013】
本発明の電流センサにおいては、前記第1の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子と、前記第2の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子とは、前記電流線の周方向に沿って、等間隔に配設されることが好ましい。この構成により、電流線がいずれの方向に位置ずれした場合においても測定精度の悪化を防止できる。
【0014】
本発明の電流センサにおいては、前記第1の磁気検知素子群は、前記電流線と互いに等距離に対向配設された4つの磁気検知素子を含み、前記第2の磁気検知素子群は、前記電流線と互いに等距離に対向配設された4つの磁気検知素子を含むことが好ましい。この構成により、磁気検知素子の数が合計8個となるので、電流線がずれた場合の測定誤差を小さくでき、測定精度を十分に高くできる一方、磁気検知素子の数が増えることに伴う製造コストの上昇や、電流センサの大型化を十分に抑制できる。
【0015】
本発明の電流センサにおいては、前記第1及び第2の支持面は、前記電流線の外周面に沿った周面をなしており、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1及び前記第2の支持体は、前記第1及び前記第2の切り欠き部が前記電流線の周方向において、少なくとも90度ずれるように固定されることが好ましい。この構成により、電流線の外周面に沿った周面をなす第1及び第2の支持面が、電流線を少なくとも90度ずれた方向から支持するので、第1又は第2の指示面で囲われる範囲は、支持面が形成する円弧と半径の等しい円が外接する正方形よりも狭くなる。これにより、電流線を精度よく固定でき、電流センサの測定精度をさらに向上できる。
【0016】
本発明の電流センサにおいては、被測定電流が通流する電流線を案内する第3の切り欠き部と、前記第3の切り欠き部に設けられ前記第3の切り欠き部から案内された前記電流線を支持する第3の支持面を有する第3の支持体と、前記第3の支持体に配設され前記誘導磁界により出力信号を出力する複数の磁気検知素子を含む第3の磁気検知素子群と、を具備し、前記第1、前記第2、及び前記第3の支持体は、前記第1、前記第2、及び前記第3の切り欠き部を互いに連通させて重畳した状態で前記電流線を前記第1、前記第2、及び前記第3の支持面に案内し、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1、前記第2、及び前記第3の支持面が、前記電流線の軸線方向において、前記電流線の互いに異なる位置を互いに異なる方向から支持するように固定されることが好ましい。この構成により、第1及び第2の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子に加えて第3の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子からも出力信号が得られるので、電流センサの検出感度及測定精度を向上することができる。
【0017】
本発明の電流センサにおいては、前記第3の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子は、前記電流線の周方向に沿って、等間隔に配設されたことが好ましい。この構成により、電流線がいずれの方向に位置ずれした場合においても測定精度の悪化を防止できる。
【0018】
本発明の電流センサにおいては、前記第3の磁気検知素子群は、前記電流線を挟んで前記電流線と互いに等距離に対向配設された4つの磁気検知素子を含むことが好ましい。この構成により、電流線がずれた場合の測定誤差を小さくでき、高い測定精度が得られる。
【0019】
本発明の電流センサにおいては、前記第1、第2、及び第3の支持面が、前記電流線の外周面に沿った周面をなしており、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1、第2、及び第3の支持体は、第1、第2、及び前記第3の切り欠き部が前記電流線の周方向において、少なくとも90度ずれて固定されることが好ましい。この構成により、電流線の外周面に沿った周面をなす第1、第2、及び第3の支持面により形成される連通孔が円形となるので、電流線を精度よく固定でき、電流センサの測定精度をさらに向上できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、測定精度及び検出感度が高く、しかも電流線に対して脱着可能な電流センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態に係る電流センサの外観斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係る電流センサの分解斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係る電流センサの第1の支持体の上面側及び第2の支持体の下面側を示す外観斜視図である。
【図4】上記実施の形態に係る電流センサの第1の支持体及び第2の支持体の平面図である。
【図5】上記実施の形態に係る電流センサへの電流線の取り付けの一例の説明図である。
【図6】上記実施の形態に係る電流センサの外観斜視図である。
【図7】上記実施の形態に係る電流センサの第3の支持体の外観斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係る電流センサの平面模式図である。
【図9】第2の実施の形態に係る電流センサの外観斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係る電流センサの分解斜視図である。
【図11】上記実施の形態に係る電流センサの第1の支持体の平面図である。
【図12】上記実施の形態に係る電流センサの電流線への取り付けの一例の説明図である。
【図13】上記実施の形態に係る電流センサの外観斜視図である。
【図14】上記実施の形態に係る電流センサの分解斜視図である。
【図15】上記実施の形態に係る電流センサの第1の支持体及び第2の支持体の外観斜視図である。
【図16】上記実施の形態に係る電流センサの第1及び第2の支持体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
近年、電流センサは、その用途が拡大しており、既存の電流線に対して脱着可能な電流センサが望まれている。電流線を通流する被測定電流を非接触で測定する電流センサにおいては、被測定電流を通流する電流線の周囲に複数の磁気検知素子を配設し、各磁気検知素子からの出力信号の周回積分を求めることで、被測定電流の測定が可能となる。
【0023】
一方で、電流線を通流する電流を非接触で測定する電流センサにおいては、電流線と磁気検知素子と間の相対的な位置関係が僅かでもずれると、大きな測定誤差が生じてしまう。これは、磁気検知素子が受ける誘導磁界の強さが、誘導磁界の源である被測定電流からの距離をパラメータとして決定されるためである。このため、既存の電流線に対して脱着可能な電流センサにおいて、測定精度を向上するためには、電流線を取り付けた際の電流線と各磁気検知素子との間の相対的な位置関係及び位置精度を高い水準で制御する必要がある。
【0024】
本発明者は、切り欠き部を有する支持体上に複数の磁気検知素子群を配設する構成に着目した。このような支持体においては、切り欠き部内に電流線を案内し、この電流線を通流する被測定電流からの誘導磁界を複数の磁気検知素子群で検出することで、電流線と各磁気検知素子との間の距離が僅かにずれた場合においても出力信号の合計値の変化を低減でき、測定精度の低下を抑制することができる。また、各磁気検知素子を支持体上に配設されることから、電流線が切り欠き部で僅かにずれた場合においても、電流線と各磁気検知素子との間の相対的な位置関係は維持されるので、電流センサの測定精度の低下を抑制することが可能となる。
【0025】
本発明者は、切り欠き部を有し複数の磁気検知素子が配設された一対の支持体を用い、一方の支持体上に配設された磁気検知素子群と、他方の支持体上に配設された磁気検知素子群と、を電流線の周方向において、互いにずらして固定することにより、電流線の異なる位置を異なる方向から支持でき、既存の電流線に対して脱着可能な電流センサを実現できることを見出した。また、本発明者らは、一方の支持体上に配設された磁気検知素子群と、他方の支持体上に配設された磁気検知素子群と、を電流線の周方向において互いにずらして固定することにより、複数の磁気素子を配設した場合においても、電流線に対して各磁気検知素子群に属する磁気検知素子の相対的な位置関係を保持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る電流センサの外観斜視図である。図2は、本実施の形態に係る電流センサの分解斜視図である。なお、説明の便宜上、前後上下左右の各方向については、図1に示す方向に従うものとする。
【0028】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る電流センサ1は、第1の支持体11と、この第1の支持体11上に左右方向(電流線Xの周方向:図5参照)に回転可能に固定される第2の支持体21と、第1の支持体11上に配設され被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する複数の磁気検知素子を含む第1の磁気検知素子群12と、第2の支持体21上に配設され被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する複数の磁気検知素子を含む第2の磁気検知素子群22と、を備える。第1の磁気検知素子群12及び第2の磁気検知素子群22に属する各磁気検知素子は、電流線Xの周方向に沿って配設される。第1の磁気検知素子群12は、第1の支持体11の下面側に配設され、第2の磁気検知素子群22は、第2の支持体21の上面側に配設される。
【0029】
第1の支持体11は、概して平板形状を有する支持体基部11aと、支持体基部11aの外周縁部から中央部に向けて設けられた切り欠き部11bと、を有する。切り欠き部11bは、被測定電流を通流する電流線Xの幅より僅かに大きい幅寸法を有しており、支持体基部11aの外周縁部から中央部に向けて電流線Xを案内するように設けられている。
また、支持体基部11aの下面側には、基板収容空間(図示せず)が形成されている。この基板収容空間の形状(図2の紙面上方から見た形状)は、支持体基部11aの形状(図2の紙面上方から見た形状)と相似形状である。
【0030】
切り欠き部11bには、支持体基部11aの側壁から連なり、切り欠き部11b内に案内された電流線Xを支持する支持面11cが設けられている。本実施の形態においては、支持面11cは、断面略円形形状の電流線Xの外周面に沿った形状になるように、平面視略半円形形状の周面として形成されている。なお、詳細は後述するが、電流センサ1に電流線Xが取り付けられた際には、この支持面11cに電流線Xの外周面の一部が支持されて径方向に位置決めされる。また、支持体基部11aには、その上面から下方に窪んだ環状の凹部11dが設けられている。この凹部11dは、後述する支持体基部21aの凸部21dが凹部11dにおいて移動可能に挿入できる大きさに形成されている。
【0031】
支持体基部11aの下面側には、絶縁基板13を介して第1の磁気検知素子群12が配設される。絶縁基板13は、支持体基部11aの下面側に設けられ下方側に開口した基板収容空間の形状よりも若干小さい相似形状を有しており、基板収容空間に内装されるようになっている。第1の磁気検知素子群12は、電流線Xを通流する被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する4つの磁気検知素子12a〜12dを含む。第1の磁気検知素子群12に属する4つの磁気検知素子12a〜12dは、電流線Xの周方向に沿って略等間隔(略等距離)に配設される(図4参照)。各磁気検知素子12a〜12dは、配線パターン(不図示)を介して電気的に接続されている。なお、各磁気検知素子12a〜12dは、測定制度が大幅に悪化しない程度の取り付け誤差があってもよい。
【0032】
第2の支持体21は、概して平板形状を有する支持体基部21aと、支持体基部21aの外周縁部から中央部に向けて設けられた切り欠き部21bと、を有する。切り欠き部21bは、電流線Xの直径より僅かに大きい幅寸法を有しており、支持体基部21aの外周縁部から中央部に向けて電流線Xを案内するように設けられている。また、支持体基部21aの上面側には、基板収容空間が形成されている。この基板収容空間の形状(図2の紙面上方から見た形状)は、支持体基部21aの形状(図2の紙面上方から見た形状)と相似形状である。
【0033】
切り欠き部21bには、支持体基部21aの側壁から連なり、支持体基部11aの外周縁から切り欠き部21b内に案内された電流線Xを支持する支持面21cが設けられている。本実施の形態においては、支持面21cは、断面略円形状の電流線Xの外周面に沿った相補形状になるように、平面視略半円形状の周面として設けられる。なお、詳細は後述するが、電流センサ1に電流線Xが取り付けられた際には、この支持面21cに電流線Xの外周面の一部が支持されて位置決めされる。また、支持体基部21aには、その下面から下方に突出した凸部21dが設けられている。この凸部21dは、上述した支持体基部11aの凹部11dに挿入できる大きさに形成されている。
【0034】
支持体基部21aの上面側には、絶縁基板23を介して第2の磁気検知素子群22が配設される。絶縁基板23は、支持体基部21aの上面側に設けられた基板収容空間の形状よりも若干小さい相似形状を有しており、基板収容空間に内装されるようになっている。第2の磁気検知素子群22は、電流線Xを通流する被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する4つの磁気検知素子22a〜22dを含む。第2の磁気検知素子群22に属する4つの磁気検知素子22a〜22dは、電流線Xの周方向に沿って略等間隔(略等距離)に配設される。磁気検知素子22a〜22dは、配線パターン(不図示)を介して電気的に接続されている。なお、各磁気検知素子22a〜22dは、測定制度が大幅に悪化しない程度の取り付け誤差があってもよい。
【0035】
本実施の形態に係る電流センサ1においては、第1及び第2の支持体11,21は、電流線Xの軸線方向を回転軸として互いに回転して第1及び第2の切り欠き部11b,21bを互いに連通させて重畳した状態で固定される。このとき、第1の支持体基部11aの凹部11dに第2の支持体21の凸部21dが嵌合した状態となる。この状態で電流線Xを第1及び第2の支持面11c,21cに案内する。そして、電流線Xが第1及び第2の支持面11c,21cに当接した状態で、第1及び第2の支持体11,21は、電流線Xの軸線方向を回転軸として互い回転する。このとき、第2の支持体21の凸部21dは、支持体基部11aの凹部11d内に嵌合した状態で回転方向に移動する。そして、電流線Xの軸線方向において、第1、及び第2の支持面11c,21cが電流線Xの互いに異なる位置を異なる方向から支持するように固定されて電流線Xに取り付けられる。
【0036】
図3Aは、第1の支持体11の上面側を示す外観斜視図であり、図3Bは、第2の支持体21の下面側を示す外観斜視図である。図3Aに示すように、支持体基部11aの上面側には、電流線Xの周方向に沿って支持体基部11aの上面から下方に窪んだ環状の凹部11dが設けられている。この凹部11dは、後述する第2の支持体21の凸部21dと嵌合するように設けられている。また、凹部11dには、後述する第2の支持体21の凸部21dの接続点21eと当接する接続点11eが設けられている。
【0037】
図3Bに示すように、支持体基部21aの下面側には、電流線Xの周方向に沿って支持体基部21aの下面から下方に突出する凹部11dと相補形状を有する環状の凸部21dが設けられている。この凸部21dは、第1の支持体11の凹部11dと嵌合するように設けられている。また、凸部21dには、第1の支持体11の凹部11dに設けられた接続点11eと当接する接続点21eが設けられている。第2の接続点21eは、第1及び第2の支持体11,21に電流線Xが取り付けられた際に、第1の接続点11eと当接して第1の磁気検知素子群12と第2の磁気検知素子群22との間を電気的に接続するように設けられる。
【0038】
次に、図4を参照して第1及び第2の磁気検知素子群の配置について詳細に説明する。図4は、第1の支持体及び第2の支持体の平面図である。
【0039】
図4Aに示すように、第1の磁気検知素子群12に属する4つの磁気検知素子12a〜12dは、電流線Xの周方向に沿って、隣接する各磁気検知素子12a〜12dとの間隔が互いに略等間隔(略等距離)となるよう配設される。本実施の形態においては、一対の磁気検知素子12a,12cが電流線Xの軸Aを挟んで対向するように配設され、この一対の磁気検知素子12a,12cと直交するように他の一対の磁気検知素子12b,12dが電流線Xの軸Aを挟んで対向するように配設される。各磁気検知素子12a〜12dは、電流線Xの軸Aと各磁気検知素子12a〜12dとの間の距離L1〜L4が互いに略等距離となるように配設される。このように配設することで、各磁気検知素子12a〜12dは、電流線Xの周方向に沿って、互いに略90度の間隔で第1の支持体11上に配設される。なお、一対の磁気検知素子12a,12c及び他の一対の磁気検知素子12b,12dは、必ずしも電流線Xを挟んで対向するように配設する必要はない。
【0040】
図4Bに示すように、第2の磁気検知素子群22に属する4つの磁気検知素子22a〜22dは、電流線Xの周方向に沿って、隣接する各磁気検知素子22a〜22dとの間隔が互いに略等間隔(略等距離)となるよう配設される。本実施の形態においては、一対の磁気検知素子22a,22cが電流線Xの軸Aを挟んで対向配設され、この一対の磁気検知素子22a,22bと直交するように他の一対の磁気検知素子22b、22dが電流線Xの軸Aを挟んで対向配設される。各磁気検知素子22a〜22dは、電流線Xの軸Aと各磁気検知素子22a〜22dとの間の距離L1〜L4が互いに略等距離となるように配設される。このように配設することで、各磁気検知素子12a〜12dは、電流線Xの周方向に沿って、互いに略90度の間隔で第1の支持体11上に配設される。
【0041】
本実施に係る電流センサ1においては、第1及び第2の支持体11、21に電流線Xが取り付けられた際に、電流線Xの周方向において、第1の磁気検知素子群12に属する磁気検知素子12a〜12dと、第2の磁気検知素子群22に属する磁気検知素子22a〜22dとが互いに略45度ずれるように第1及び第2の支持体11、21を固定することが望ましい。これにより、電流線Xに対する第1の磁気検知素子群12に属する各磁気検知素子12a〜12dの相対的な位置関係と、電流線Xに対する第2の磁気検知素子群22に属する各磁気検知素子22a〜22dの相対的な位置関係とがそれぞれ略等しくなるので、測定精度が高い電流センサを実現できる。
【0042】
また、本実施の形態に係る電流センサ1においては、電流線Xが取り付けられた際に、電流線Xの周方向において第1及び第2の支持体11、21の切り欠き部11b,21bが互いに少なくも90度ずれるように第1及び第2の支持体11、21を固定することが望ましい。これにより、電流線Xの外周面に沿った周面をなす第1及び第2の支持体11、21の支持面11c,21cによって、第1及び第2の支持体11,21の切り欠き部11b,21bによって形成される連通孔S1の形状が平面視にて略円形形状となる(図4A、図4B参照)。この結果、第1及び第2の支持体11,21に電流線Xが取り付けられた際に、電流線Xは、外周面に沿って第1及び第2の支持体11,21の支持面11c,21cによって少なくとも90度異なる方向から支持されるので、第1及び第2の支持体11、21に電流線Xが取り付けられた際の電流線Xと、各磁気検知素子12a〜12d及び22a〜22dとの間の位置精度が向上する。したがって、電流センサ1の測定精度をさらに向上できる。
【0043】
次に、図5を参照して、本実施の形態に係る電流センサ1の電流線Xへの取り付けの一例について説明する。図5は、本実施の形態に係る電流センサ1への電流線Xの取り付けの一例の説明図である。ここでは、既設の電流線Xに対して電流センサ1を取り付ける場合を例に挙げて説明する。
【0044】
まず、直線状に延在する電流線Xに対して、第1の支持体11の切り欠き部11bと、第2の支持体21の切り欠き部21bとを連通させて重畳した状態で、第1の支持体11の切り欠き部11b及び第2の切り欠き部21b内に電流線Xを案内する(図5の矢印参照)。そして、電流線Xの外周面が、第1の支持体11の支持面11c及び第2の支持体21の支持面21cと当接した状態で、第1の支持体11と第2の支持体21とを互いに逆回転させる(第1の支持体11を固定した状態で、第2の支持体を図5の矢印の方向に回転させる)。これにより、電流線Xは、電流線Xの軸線方向において、第1及び第2の支持体11,21の支持面11c,21cにより、電流線Xの互いに異なる支持位置を互いに異なる支持方向から支持されるので、第1及び第2の支持体11,21に電流線Xを取り付けることが可能となる。また、第1及び第2の支持体11,21の接続点11e,21eが、互いに当接して第1及び第2の磁気検知素子群12,22が電気的に接続される。以上の動作により電流センサ1に電流線Xを装着できる。
【0045】
なお、本実施の形態係る電流センサ1においては、第1の磁気検知素子群12が、電流線Xと互いに等距離に対向配設された4つの磁気検知素子12a〜12dを含み、第2の磁気検知素子群22が、電流線Xと互いに等距離に対向配設された4つの磁気検知素子22a〜22dを含むことが好ましい。電流センサ1においては、第1の支持体11に配設される第1の磁気検知素子群11に属する磁気検知素子及び第2の支持体21に配設される第2の磁気検知素子群21に属する磁気検知素子の数が多いほど、電流線Xがずれた場合の測定誤差を小さくできる。一方で、磁気検知素子の数が多すぎると製造コストが高くなり、電流センサ1の小型化も困難となる。電流センサ1に求められる測定精度にもよるが、4つの磁気検知素子が2組で合計8個だと、測定精度を十分に高くできる一方、製造コストの上昇や、電流センサ1の大型化を十分に抑えられる。
【0046】
ここで、第1及び第2の磁気検知素子群12、22の構成の一例を説明する。各磁気検知素子12a〜12d、22a〜22dは、例えば、感度軸を互いに逆向きとしてもよい。ここで、感度軸が互いに逆向きとは、第1の支持体11の上面側に配設される磁気検知素子12a〜12dの感度軸と、第2の支持体21の下面側に配設される磁気検知素子22a〜22dの感度軸とが、それぞれ電流線Xを通流する被測定電流からの誘導磁界の印加方向となることを意味する。磁気検知素子としては、磁気抵抗効果素子やホール素子を用いることができる。なお、本発明において、ホール素子の場合、感度軸とは、感磁面と直交する方向と定義する。
【0047】
例えば、第1の磁気検知素子群12において、磁気検知素子12a〜12dの一端側の磁気検知素子には、電源電位Vddを与える電位源が接続され、磁気検知素子22a〜22dの他端側の磁気検知素子には、接地電位GNDを与える電位源が接続されている。第2の磁気検知素子群22において、磁気検知素子22a〜22dの2つの磁気検知素子は電気的に接続されてセンサ出力Outが取り出される。
【0048】
以上説明したように、上記実施の形態に係る電流センサ1においては、被測定電流を通流する電流線Xが、第1及び第2の支持体11,21の切り欠き部11b,21bを介して支持面11c,21cに案内され、当該支持面11c,21cが、電流線Xの軸線方向において、電流線Xの互いに異なる位置を互いに異なる方向から支持するので、既存の電流線への電流センサの脱着が可能となる。また、第1の磁気検知素子群12が第1の支持体11に配設され、第2の磁気検知素子群22が第2の支持体21に配設されるので、第1及び第2の磁気検知素子群12、22と電流線Xとの間の位置精度を高い水準で制御できる。さらに、第1及び第2の支持体11,21に切り欠き部11b,21bを設けたことから、複数の磁気検知素子を含む第1及び第2の磁気検知素子群12,22を配設した場合においても、電流線Xに対する脱着が可能となる。これらの結果、検出感度及び測定精度が高い電流センサを実現することが可能となる。また、電流線の周囲に磁気コアを配置しないことから、電流センサ1の小型化を実現することも可能となる。
【0049】
なお、上記実施の形態においては、支持面11c,21cの形状を平面視略半円形状とする例について説明したが、支持面11cの形状は、切り欠き部11b内に案内された電流線Xの外周面を支持できる形状であれば、これに限定されず適宜変更可能である。
【0050】
また、上記実施の形態においては、2つの第1及び第2の支持体11,21を備えた電流センサの構成について説明したが、3つ以上の支持体を用いて電流センサを構成してもよい。図6は、3つの支持体を備えた電流センサ100の外観斜視図である。なお、図6においては、電流センサ1と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0051】
図6に示すように、電流センサ100は、第1の支持体11と第2の支持体21との間に回転可能に固定される第3の支持体101と、第3の支持体101に配設され被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する複数の1つの磁気検知素子を含む第3の磁気検知素子群102を備える(図8参照)。第3の支持体101は、上面及び下面が被覆されており、内部に基板収容空間(図示せず)が形成されている。この基板収容空間の形状(図6の紙面上方から見た形状)は、第3の支持体101の形状と相似形状である。この第3の支持体101の基板収容空間には、絶縁基板(不図示)を介して第3の磁気検知素子分102が配設される。絶縁基板(不図示)は、基板収容空間の形状よりも若干小さい相似形状を有しており、基板収容空間に内装されるようになっている。第3の磁気検知素子群102に属する各磁気検知素子は、電流線Xの周方向に沿って配設される。また、第3の支持体101には、その上面から下方に窪んだ環状の凹部101dが設けられている。この凹部101dは、上述した支持体基部21aの凸部21d(図6において不図示:図2参照)が凹部101dにおいて移動可能に挿入できる大きさに形成されている。また、第3の支持体101には、その下面から下方に突出した凹部101dと相補形状の環状の凸部101e(図6において不図示:図7参照)が設けられている。この凸部101eは、上述した支持体基部11aの凹部11dに挿入できる大きさに形成されている。
【0052】
図7は、第3の支持体101の外観斜視図であり、図7Aにおいては、第3の支持体101の下面側を示し、図7Bにおいては、第3の支持体101の上面側を示している。
【0053】
図7A及び図7Bに示すように、第3の支持体101は、概して平板形状を有する支持体基部101aと、支持体基部101aの外周縁部から中央部に向けて設けられた切り欠き部101bと、を有する。第3の切り欠き部101bは、被測定電流を通流する電流線Xの直径より僅かに大きい幅寸法を有しており、支持体基部101aの外周縁部から中央部に向けて電流線Xを案内するように設けられている。
【0054】
切り欠き部101bには、支持体基部101aの外周縁部の側壁から連なり、切り欠き部101b内に案内された電流線Xを支持する第3の支持面101cが設けられている。本実施の形態においては、支持面101cは、断面略円形形状の電流線Xの外周面に沿った相補形状となるように、平面視略半円形形状の周面として設けられる。なお、詳細は後述するが、電流センサ2に電流線Xが取り付けられた際には、この第3の支持面101cに電流線Xの外周面の一部が支持されて径方向に位置決めされる。
【0055】
第3の支持体101には、絶縁基板(不図示)を介して、第3の磁気検知素子群102が配設される(図8参照)。第3の磁気検知素子群102は、被測定電流からの出力信号により出力信号を出力する4つの磁気検知素子102a〜102dを含む。第3の磁気検知素子群に属する4つの磁気検知素子102a〜102dは、電流線Xの周方向に沿って略等間隔(略等距離)で配設される(図8参照)。各磁気検知素子102a〜102dは、配線パターン(不図示)で電気的に接続される。なお、各磁気検知素子102a〜102dは、測定制度が大幅に悪化しない程度の取り付け誤差があってもよい。
【0056】
支持体基部101aの上面側には、電流線Xの周方向に沿って支持体基部101aの上面から下方に窪んだ凹部101dが設けられている。この凹部101dは、第2の支持体21の凸部21dと嵌合するように設けられている。また、凹部101dには、第1、第2、及び第3の支持体11,21,101に電流線Xが取り付けられた際に、第2の支持体21の凸部21dの接続点21eと当接して第3の磁気検知素子群102と第2の磁気検知素子群22とを電気的に接続する接続点101gが設けられている。
【0057】
支持体基部101aの下面側には、電流線Xの周方向に沿って支持体基部101aの仮面から下方に突出する凸部101eが設けられている。この凸部101eは、第1の支持体11の凹部11dと嵌合するように設けられている。また、凸部101eには、第1、第2、及び第3の支持体11,21,101に電流線Xが取り付けられた際に、第1の支持体11の凹部11dの接続点11eと当接して第3の磁気検知素子群102と第1の磁気検知素子群12とを電気的に接続する接続点101fが設けられている。
【0058】
本実施の形態に係る電流センサ100においては、第1、第2及び第3の支持体11,21,101は、電流線Xの軸線方向を回転軸として互いに回転して第1、第2及び第3の切り欠き部11b,21b,101bを互いに連通させて重畳した状態で固定される。このとき、第1の支持体基部11aの凹部11dに第3の支持体101の凸部101eが嵌合した状態となると共に、第3の支持体101の凹部101dに第2の支持体21の凸部21dが嵌合した状態となる。この状態で、電流線Xを第1、第2及び第3の支持面11c,21c,101cに案内する。そして、電流線Xが第1、第2及び第3の支持面11c,21c,101cに当接した状態で、第1、第2及び第3の支持体11,21,101は、電流線Xの軸線方向を回転軸として互い回転する。このとき、第2の支持体21の凸部21dが第3の支持体101の凹部101eに嵌合すると共に、第3の支持体101の凸部101dが支持体基部11aの凹部11e内に嵌合した状態で回転方向に移動する。そして、電流線Xの軸線方向において、第1、第2、及び第3の支持面11c,21c,101cが電流線Xの互いに異なる位置を異なる方向から支持するように固定されて電流線Xに取り付けられる。
【0059】
次に、図8を参照して第1、第2、及び第3の磁気検知素子群12,22,102の配置について詳細に説明する。図8は、電流センサ100の平面模式図である。
【0060】
図8に示すように、第3の磁気検知素子群102に属する4つの磁気検知素子102a〜102dは、電流線Xの周方向に沿って、隣接する各磁気検知素子102a〜102dとの間隔が互いに略等間隔となるよう配設される。本実施の形態においては、一対の磁気検知素子102a、102cが電流線Xの軸Aを挟んで対向するように配設され、この一対の磁気検知素子102a、102bと直交するように他の一対の磁気検知素子102b、102dが電流線Xの軸を挟んで対向するように配設される。各磁気検知素子102a〜102dは、電流線Xの軸Aと各磁気検知素子102a〜102dとの間の距離L1〜L4が互いに略等距離となるように配設される。このように配設することで、各磁気検知素子102a〜102dは、電流線Xの周方向において、互いに略90度の間隔で第3の支持体101上に配設される。
【0061】
本実施の形態に係る電流センサ100においては、直線状に延在する電流線Xに対して、第1の支持体11の切り欠き部11bと、第2の支持体21の切り欠き部21bと、第3の支持体101の切り欠き部101bと、を互いに連通させて重畳した状態で、切り欠き部11b,21b,101b内に電流線Xを案内する。そして、電流線Xの外周面が、第1の支持体11の支持面11c、第2の支持体21の支持面21c、及び第3の支持体101の支持面101cと当接した状態で、第1の支持体11、第2の支持体21、及び第3の支持体101を互いに逆回転させる。この結果、電流線Xは、電流線Xの軸線方向において、第1、第2、及び第3の支持体11,21,101の支持面11c,21c,101cにより、電流線Xの互いに異なる支持位置を互いに異なる支持方向から支持されるので、第1、第2、及び第3の支持体11,21,101に電流線Xを取り付けることが可能となる。また、第1、第2、及び第3の支持体11,21,101の接続点11e,21e,101gが、互いに当接して第1、第2、及び第3の磁気検知素子群12,22,102が互いに電気的に接続される。以上の動作により電流センサ100に電流線Xを取り付けることが可能となる。
【0062】
本実施の形態に係る電流センサ100においては、第1、第2、及び第3の磁気検知素子群12、22、102に属する各磁気検知素子12a〜12d,22a〜22d,102a〜102dは、電流線Xの周方向に沿って平面視にて互いに略90度の間隔で第1、第2、及び第3の支持体11,21,101上にそれぞれ配設されるので、電流線Xが取り付けられた際に、電流線Xの周方向において、第1、第2、第3の磁気検知素子群12,22,102に属する各磁気検知素子12a〜12d,22a〜22d,102a〜102dが互いに略30度ずれるように第1及び第2の支持体11、21を固定することが可能となる。これにより、電流線を精度よく固定でき、電流センサの測定精度をさらに向上できる。
【0063】
なお、本実施の形態に係る電流センサ100においては、第3の磁気検知素子群102が、電流線Xと互いに等距離に対向配設された4つの磁気検知素子11a〜11dを含むことが好ましい。この構成により、測定精度を十分に高くできる一方、製造コストの上昇や、電流センサ100の大型化を十分に抑えられる。
【0064】
また、本実施の形態に係る電流センサ100においては、電流線Xが取り付けられた際に、電流線Xの周方向において、切り欠き部11b,21b,101bが互いに120度ずれように第1、第2、及び第3の支持体11,21,101を固定している。これにより、電流線Xの外周面に沿った周面をなす第1、第2、及び第3の支持体11,21,101の支持面11c,21c,101cにより、切り欠き部11b,21b,101bに形成される連通孔S2の形状が、平面視にて円形形状となる(図8参照)。この結果、電流線Xが取り付けられた際の電流線Xと、各磁気検知素子12a〜12d,22a〜22d,102a〜102dとの間の位置精度が向上するので、電流センサ100の測定精度を向上できる。尚、切り欠き部11b、21b、101bが互いに90度以上ずれていれば、連通孔S2に形状が、平面視にて円形形状となるので、同様の効果を得ることができる。
【0065】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る電流センサ2においては、電流線に対して同心円状に複数の磁気検知素子群を配設し、かつ各磁気検知素子群が互いに略同一円周上(略同一平面内)に配設される。なお、以下においては、第1の実施の形態に係る電流センサ1との相違点を中心に説明し、説明の重複を避ける。
【0066】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る電流センサ2の外観斜視図であり、図10は、本実施の形態に係る電流センサ2の分解斜視図である。
【0067】
図9及び図10に示すように、電流センサ2は、同一の構成を有し、互いに係合可能に構成された一対の第1及び第2の支持体31,41と、第1の支持体31上の外周面上に配設される第1の磁気検知素子群32と、第2の支持体41の外周面上に配設される第2の磁気検知素子群42とを備える。第1の磁気検知素子群32は、被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する4つの磁気検知素子32a〜32dを含み、第2の磁気検知素子群42は、被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する4つの磁気検知素子42a〜42dを含む。第1及び第2の磁気検知素子群32,42に属する磁気検知素子32a〜32d,42a〜42dは、電流センサ2を電流線Xに取り付けた際に、電流線Xの周方向に沿って略等間隔(略等距離)となるように配設される。なお、各磁気検知素子32a〜32d,42a〜42dは、測定精度が大幅に悪化しない程度の取り付け誤差があってもよい。
【0068】
次に、第1及び第2の支持体31、41の構成について詳細に説明する。ここでは、第1の支持体31の構成について主として説明するが、第2の支持体41も同様の構成を有する。図11は、第1の支持体31の平面図である。
【0069】
第1の支持体31は、概して平板形状を有する支持体基部31aと、支持体基部31aの外周縁部から中央部に向けて設けられた切り欠き部31bとを有する。切り欠き部31bには、支持体基部31aの外周面から連なり、支持体基部31aの外周縁部から切り欠き部31b内に案内された電流線Xを支持する支持面31cが設けられている。本実施の形態においては、支持面31cは、断面略円形状の電流線Xの外周面に沿った形状になるように、平面視略半円形形状の周面として設けられる。
【0070】
第1の支持体31の支持体基部31aの外周縁部には、支持体基部31aの上面から上方に突出する4つの凸部31dが設けられている。各凸部31d間には、支持体基部31aの上面から下方に窪んだ凹部31e又は切り欠き部31bが設けられている。第1の支持体31の凸部31d及び凹部31e又は切り欠き部31bは、電流線Xの周方向に沿って略等間隔に設けられている。
【0071】
第1の支持体31の凸部31dは、第1及び第2の支持体31、41を互いに重畳させた際に、第2の支持体41の凹部41e又は切り欠き部31bと互いに嵌合するように設けられる。第1の支持体31の凹部31eは、第1及び第2の支持体31、41を互いに重畳させた際に、第2の支持体41の凸部41dと互いに嵌合するように設けられる。また、第1及び第2の支持体31、41には、第1及び第2の支持体31、41を互いに係合させた際の当接面に接点部(不図示)が設けられており、第1及び第2の磁気検知素子群32、42が互いに電気的に接続されるように構成される。
【0072】
第1の磁気検知素子群32に属する4つの磁気検知素子32a〜32dは、第1の支持体31の支持体基部31aの外周面から連なる凸部31dの外側面31fに配設される。また、4つの磁気検知素子32a〜32dは、電流線Xの軸Aと各磁気検知素子32a〜32dとの間の距離が、互いに略等距離となるように配設される。また、各磁気検知素子32a〜32dは、電流線Xの周方向に沿って、隣接する各磁気検知素子32a〜32dとの間隔が略等間隔となるよう配設される。
【0073】
第2の磁気検知素子群42に属する4つの磁気検知素子42a〜42dは、第1の支持体41の支持体基部41aの外周面から連なる凸部41dの外側面41fに配設される。また、4つの磁気検知素子42a〜42dは、電流線Xの軸Aと各磁気検知素子42a〜42dとの間の距離が、互いに略等距離となるように配設される。また、各磁気検知素子42a〜42dは、電流線Xの周方向に沿って、隣接する各磁気検知素子42a〜42dとの間隔が略等間隔となるよう配設される。
【0074】
また、第1及び第2の磁気検知素子群32,42に属する各磁気検知素子32a〜32d,42a〜42dは、第1及び第2の支持体31,41に電流線Xを取り付けた際に、電流線Xの軸線方向と直交する略同一平面内(略同一円周上)となるように、第1及び第2の支持体31、41の凸部31d,41dの外側面31f,41f上に配設される。
【0075】
本実施の形態においては、第1及び第2の支持体の凸部31d、41dは、一対の凸部31d,41dが電流線Xの軸Aを挟んで対向して設けられ、この一対の凸部31d,41dと直交するように他の一対の凸部31d,41dが電流線Xの軸Aを挟んで対向して設けられる。また、凸部31d,41dは、電流線Xの軸Aと外側面31f、41fとの間の距離L1〜L4が互いに略等距離となるように設けられる。このように凸部31d、41dを設けることにより、凸部31dの外側面31f上に配設される磁気検知素子32a〜32d及び電流線X間の距離と、凸部41dの外側面41f上に配設される4つの磁気検知素子42a〜42d及び電流線X間の距離とがそれぞれ略等距離となる(L5〜L8参照)。
【0076】
本実施の形態に係る電流センサ2においては、第1及び第2の支持体31,41は、電流線Xの軸線方向を回転軸として互いに回転して第1及び第2の切り欠き部31b,41bを互いに連通させて重畳した状態で固定され、電流線Xを第1及び第2の支持面31c,41cに案内する。そして、電流線Xが取り付けられた際に、第1及び第2の支持体31,41は、第1及び第2の支持体31,41の凸部31d,41d及び凹部31e,41eで互いに係合して固定されて電流線Xに取り付けられる。この結果、第1及び第2の支持体31,41が電流線Xに取り付けられた際に、第1及び第2の磁気検知素子群32、42に属する各磁気検知素子32a〜32d、42a〜42dが電流線Xの軸線方向と直交する略同一平面内(略同一円周上)に属するように配設される。仮に、第1の磁気検知素子群32と第2の磁気検知素子群42とが別々の平面に配置されると、電流線Xが傾いた場合に、第1の磁気検知素子群32の中心から電流線Xがずれる方向及び距離と、第2の磁気検知素子群42の中心から電流線Xがずれる方向及び距離とが異なる。このような場合、例え、僅かなずれであっても測定精度が大きく悪化する。本実施の形態に係る電流センサ2においては、第1及び第2の磁気検知素子群32,42が略同一円周上(略同一平面内)に配設されるため、電流線Xが傾いても、電流線Xのずれる方向及び距離は、第1の磁気検知素子群32に対しても、第2の磁気検知素子群42に対しても略同一となるので、電流センサ2の測定精度の悪化を防げる。
【0077】
次に、図12を参照して電流センサ2の電流線Xへの取り付けについて説明する。図12に示すように、電流センサ2に電流線Xを取り付ける際には、第1及び第2の支持体31、41の切り欠き部31b、41bを互いに連通させて重畳し、凸部31d,41dが対向した状態で、第1の切り欠き部31e、41eを介して電流線Xを支持面31c、41cまで案内(図12の矢印参照)する。そして、電流線Xが支持面31c、41cに当接した状態で、第1及び第2の支持体31、41を互いに逆方向に回転(第1の支持体31を固定した状態で、第2の支持体41を図12の矢印の方向に回転)させて第1の支持体31の凹部31e及び凸部31dと第2の支持体41の凹部41e及び凸部41dとを互いに嵌合させる。電流センサ2においては、第1及び第2の支持体31、41の凸部31d、41dを互いに当接させることで、切り欠き部31e、41eを連通させて重畳できるので、電流線Xに容易に取り付けることが可能となる。
【0078】
このように、本実施の形態に係る電流センサ2においては、第1及び第2の磁気検知素子群32、42に属する磁気検知素子32a〜32d、42a〜42dが、電流線Xの軸Aと各磁気検知素子32a〜32d、42a〜42dとの間の距離が略等距離となり、電流線Xの周方向に沿って略等間隔に配設される。これにより、電流線Xに対する第1及び第2の磁気検知素子群32、42に属する磁気検知素子32a〜32d、42a〜42dの距離の差が小さくなるので、測定精度がさらに向上する。特に、電流センサ2においては、第1及び第2の支持体31、41に電流線Xが取り付けられた際に、第1及び第2の磁気検知素子群32、42に属する磁気検知素子32a〜32d、42a〜42dが略同一円周上(略同一平面内)となるので、電流センサ2の小型化が可能となる。さらに、第1及び第2の磁気検知素群32、42が略同一円周上(略同一平面内)に配設されるので、電流線Xが傾いた場合においても精度が悪化を抑制できる。
【0079】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電流センサ3の他の構成例について説明する。図13は、本例に係る電流センサ3の外観斜視図であり、図14は、電流センサ3の分解斜視図である。
【0080】
図13及び図14に示すように、電流センサ3は、互いに係合可能に構成された一対の第1及び第2の支持体51,61と、第1の支持体51に配設される第1の磁気検知素子群52と、第2の支持体に配設される第2の磁気検知素子群62とを備える。電流センサ3においては、第1及び第2の支持体51,61が互いに係合した状態で、第1及び第2の磁気検知素子群52、62が電流線Xの軸線方向と直交する略同一平面内(略同一円周上)に配設されると共に、電流センサ3の内部に第1及び第2の磁気検知素子群52,62が配設される。
【0081】
図15は、第1及び第2の支持体51,61の外観斜視図であり、図16は、第1及び第2の支持体51,61の平面図である。図15及び図16に示すように、第1の支持体51は、概して平板形状を有する支持体基部51aと、支持体基部51aの外周縁部から中央部に向けて設けられた切り欠き部51bとを有する。切り欠き部51bは、被測定電流を通流する電流線Xの直径より僅かに大きい幅寸法を有しており、支持体基部51aの外周縁部から中央部に向けて電流線Xを案内するように設けられている。
【0082】
切り欠き部51bには、支持体基部51aの外周面から連なり、切り欠き部51b内に案内された電流線Xを支持する支持面51cが設けられている。本実施の形態においては、支持面51cは、断面略円形状の電流線Xの外周面に沿った形状になるように、平面視略半円形形状の周面として設けられる。
【0083】
支持体基部51aの外周縁部には、支持体基部51aの上面から上方に突出する4つの凸部51dが設けられている。各凸部51d間には、支持体基部51aの上面から下方に窪んだ凹部51e又は切り欠き部51bが設けられている。第1の支持体51の凸部51d及び凹部51e又は切り欠き部51bは、電流線Xの周方向に沿って等間隔に設けられている。第1の支持体51の凸部51dは、後述する第2の支持体61の凹部61eと互いに嵌合するように設けられ、凹部51eは、第2の支持体61の凸部61dと互いに嵌合するように設けられている。
【0084】
第2の支持体61は、概して平板形状を有する支持体基部61aと、支持体基部61aの外周縁部から中央部に向けて設けられた切り欠き部61bとを有する。切り欠き部61bは、被測定電流を通流する電流線Xの直径より僅かに大きい幅寸法を有しており、支持体基部61aの外周縁部から中央部に向けて電流線Xを案内するように設けられている。
【0085】
切り欠き部61bには、支持体基部61aの外周面から連なり、切り欠き部61b内に案内された電流線Xを支持する支持面61c(図13,図14参照)が設けられている。本実施の形態においては、支持面61cは、断面略円形状の電流線Xの外周面に沿った形状になるように、平面視において略円形形状の周面として設けられる。
【0086】
支持体基部61aの外周縁部には、支持体基部61aの上面から上方に突出する4つの凸部61dが設けられている。各凸部61d間には、支持体基部61aの上面から下方に窪んだ凹部61e又は切り欠き部61bが設けられている。第2の支持体61の凸部61d及び凹部61e又は切り欠き部61bは、電流線Xの周方向に沿って等間隔に設けられている。第2の支持体61の凸部61dは、第1の支持体51の凹部51eと互いに嵌合するように設けられ、凹部61eは、第1の支持体51の凸部51dと互いに嵌合するように設けられている。
【0087】
第1の支持体51の支持体基部51aの中央部には、電流線Xの周方向に沿って支持体基部51aの上面から上方に突出する環状の内壁51f(第1の内壁部)が設けられている。この内壁51fの内側の領域には、支持体基端部51aの上面より下方に窪んだ収容空間A1が設けられている。この収容空間A1には、第1及び第2の支持体51、61電流線Xが取り付けられた際に、互いに係合した第1及び第2の支持体51、61のうち、第2の支持体61の上面から上方に突出する内壁51fと相似形状を有する環状の内壁61f(第2の内壁部)の下端側が収容される。
【0088】
第1の磁気検知素子群52に属する4つの磁気検知素子52a〜52dは、内壁51fの内側に配設される。本実施の形態においては、電流線Xの周方向に沿って支持体基部51aの内壁51fの内周面に略等間隔に配設される。本実施の形態においては、各磁気検知素子52a〜52dは、電流線Xの軸Aと各磁気検知素子52a〜52dとの間の距離L5〜L8が、それぞれ略等距離となるように配設されると共に、電流線Xの周方向に沿って、隣接する各磁気検知素子52a〜52dとの間隔が略等間隔となるよう配設される。なお、各磁気検知素子52a〜52dは、測定制度が大幅に悪化しない程度の取り付け誤差があってもよい。
【0089】
第2の支持体61の支持体基部61aの中央部には、第2の支持体61の上面から下方に向けて窪んだ収容空間A2が設けられている。この収容空間A2は、平面視にて略円形形状に設けられており、第1の支持体51の内壁51fの外周面より僅かに径方向の幅寸法が大きく、A1と相似形状となるように設けられている。この収容空間A2には、第1及び第2の支持体51、61が互いに係合した際に、第1の支持体51の上面から第2の支持体61側に向けて突出した内壁51fの上端側が収容される。
【0090】
第2の支持体61の収容空間A2内には、電流線Xの周方向に沿って支持体基部61aの上面から上方に突出する内壁61fが設けられている。この内壁61fは、第1の支持体51の内壁51fに対して径方向の幅寸法が小さくなるように、すなわち、第1の支持体51の内壁51fの半径は、第2の支持体61の内壁61fの半径より大きくなるように設けられる。第1及び第2の支持体が互いに係合した際に、第1の支持体51の内壁51fと第2の支持体61の内壁61fとの間に第1及び第2の磁気検知素子51、61を配設できるように設けられる。
【0091】
第2の磁気検知素子群62に属する4つの磁気検知素子62a〜62dは、内壁61fの外側に配設される。本実施の形態においては、電流線Xの周方向に沿って支持体基部61aの内壁61fの内周面に略等間隔に配設される。本実施の形態においては、各磁気検知素子62a〜62dは、電流線Xの軸Aと各磁気検知素子62a〜62dとの間の距離L5〜L8が、それぞれ略等距離となるように配設されると共に、電流線Xの周方向に沿って、隣接する各磁気検知素子62a〜62dとの間隔が略等間隔となるよう配設される。なお、各磁気検知素子62a〜62dは、測定制度が大幅に悪化しない程度の取り付け誤差があってもよい。
【0092】
本実施の形態に係る電流センサ3においては、第1及び第2の支持体51,61は、電流線Xの軸線方向を回転軸として互いに回転して第1及び第2の切り欠き部51b,61bを互いに連通させて重畳した状態で固定され、電流線Xを第1及び第2の支持面51c,61cに案内する。そして、電流線Xが取り付けられた際に、第1及び第2の支持体51,61は、第1及び第2の支持体51,61の凸部51d,61d及び凹部51e,61eで互いに係合して固定されて電流線Xに取り付けられる。この結果、第1及び第2の支持体51,61が電流線Xに取り付けられた際に、第1及び第2の磁気検知素子群52、62に属する各磁気検知素子52a〜52d、62a〜62dが電流線Xの軸線方向と直交する略同一平面内(略同一円周上)に属するように配設される。これにより、上述した電流センサ2と同様に、電流線Xが傾いた場合においても、電流センサ3の測定精度の悪化を防げる。
【0093】
また、本実施の形態に係る電流センサ3においては、支持体基部51aの上面から上方に突出する内壁51fに第1の磁気検知素子群52を配設し、支持体基部61aの上面から上方に突出する内壁61fに第2の磁気検知素子群62を配設し、第1及び第2の支持体51、61を互いに係合させるので、第1及び第2の磁気検知素子群52、62を略同一円周上(略同一平面内)に配設することが可能となる。これにより、電流センサ3の測定精度を向上できる。また、互いに係合した第1及び第2の支持体51、61の内部に第1及び第2の磁気検知素子群52、62を配設できるので、小型化を実現することが可能となる。
【0094】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。また、「円周上」、「等間隔」、「等距離」の用語については、本発明の効果を発揮する範囲内では、若干ずれていても良いことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、測定精度及び検出感度が高く、しかも電流線に対して脱着可能な電流センサを実現できるという効果を有し、特に、既存の電流線を取り付ける電流センサとして有用である。
【符号の説明】
【0096】
1、2、3、100 電流センサ
11、21、31、41、51、61、101 支持体
11a、21a、31a、41a、51a、61a、101a 支持体基部
11b、21b、31b、41b、51b、61b、101b 切り欠き部
11c、21c、31c、41c、51c、61c、101c 支持面
12、32、52 第1の磁気検知素子群
12a〜12d、22a〜22d、32a〜32d、42a〜42d、52a〜52d、62a〜62d、102a〜102d 磁気検知素子
22、42、62 第2の磁気検知素子群
31d、41d、51d、61d 凸部
31e、41e、51e、61e 凹部
31f、41f 外側面
51f、41f 内壁
102 第3の磁気検知素子群
A 軸
X 電流線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定電流が通流する電流線を案内する第1の切り欠き部、及び前記第1の切り欠き部に設けられ前記第1の切り欠き部から案内された前記電流線を支持する第1の支持面を有する第1の支持体と、
前記第1の支持体上に前記電流線の周方向に回転可能に固定され、前記電流線を案内する第2の切り欠き部、及び前記第2の切り欠き部に設けられ前記第2の切り欠き部から案内された前記電流線を支持する第2の支持面を有する第2の支持体と、
前記第1の支持体に配設され前記被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する複数の磁気検知素子を含む第1の磁気検知素子群と、前記第2の支持体に配設され前記誘導磁界により出力信号を出力する複数の磁気検知素子を含む第2の磁気検知素子群と、を具備し、前記第1及び前記第2の支持体は、前記第1及び前記第2の切り欠き部を互いに連通させて重畳した状態で前記電流線を前記第1及び第2の支持面に案内し、
前記電流線が取り付けられた際に、前記第1及び前記第2の支持面が、前記電流線の軸線方向において前記電流線の互いに異なる位置を、互いに異なる方向から支持するように固定されることを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
前記第1の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子と、前記第2の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子とは、前記電流線の周方向に沿って、等間隔に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記第1の支持体は、当該第1の支持体の外周縁部に設けられた凸部及び凹部を有し、前記第2の支持体は、当該第2の支持体の外周縁部に設けられた凸部及び凹部を有し、前記第1の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子は、前記第1の支持体の前記凸部の外側面上に配設され、前記第2の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子は、前記第2の支持体の前記凸部の外側面上に配設され、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1及び第2の支持体は、前記第1及び第2の支持体の前記凸部及び前記凹部で互いに係合して固定され、前記第1及び前記第2の磁気検知素子群が互いに同一円周上に配設されることを特徴とする請求項2記載の電流センサ。
【請求項4】
前記第1の支持体は、当該第1の支持体の外周縁部に設けられた凸部及び凹部と前記電流線の周方向に沿って設けられた第1の内壁部とを有し、前記第2の支持体は、当該第2の支持体の外周縁部に設けられた凸部及び凹部と前記電流線の周方向に沿って設けられた第2の内壁部とを有し、前記第1の内壁部の半径は、前記第2の内壁部の半径よりも大きく、前記第1の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子は、前記第1の内壁部の内側に配設され、前記第2の磁気検知素子群に属する各磁気検知素子は、前記第2の内壁部の外側に配設され、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1及び第2の支持体は、前記第1及び第2の支持体の前記凸部及び前記凹部で互いに係合して固定され、前記第1及び前記第2の磁気検知素子群が同一円周上に配設されることを特徴とする請求項2記載の電流センサ。
【請求項5】
前記第1の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子と、前記第2の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子とは、前記電流線の周方向に沿って、等間隔に配設されたことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電流センサ。
【請求項6】
前記第1の磁気検知素子群は、前記電流線と互いに等距離に対向配設された4つの磁気検知素子を含み、前記第2の磁気検知素子群は、前記電流線と互いに等距離に対向配設された4つの磁気検知素子を含むことを特徴とする請求項2又は請求項5記載の電流センサ。
【請求項7】
前記第1及び第2の支持面は、前記電流線の外周面に沿った周面をなしており、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1及び前記第2の支持体は、前記第1及び前記第2の切り欠き部が前記電流線の周方向において、少なくとも90度ずれるように固定されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項8】
被測定電流が通流する電流線を案内する第3の切り欠き部と、前記第3の切り欠き部に設けられ前記第3の切り欠き部から案内された前記電流線を支持する第3の支持面を有する第3の支持体と、前記第3の支持体に配設され前記誘導磁界により出力信号を出力する複数の磁気検知素子を含む第3の磁気検知素子群と、を具備し、前記第1、前記第2、及び前記第3の支持体は、前記第1、前記第2、及び前記第3の切り欠き部を互いに連通させて重畳した状態で前記電流線を前記第1、前記第2、及び前記第3の支持面に案内し、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1、前記第2、及び前記第3の支持面が、前記電流線の軸線方向において、前記電流線の互いに異なる位置を互いに異なる方向から支持するように固定されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項9】
前記第3の磁気検知素子群に属する複数の前記磁気検知素子は、前記電流線の周方向に沿って、等間隔に配設されたことを特徴とする請求項8に記載の電流センサ。
【請求項10】
前記第3の磁気検知素子群は、前記電流線を挟んで前記電流線と互いに等距離に対向配設された4つの磁気検知素子を含むことを特徴とする請求項8又は請求項9記載の電流センサ。
【請求項11】
前記第1、第2、及び第3の支持面が、前記電流線の外周面に沿った周面をなしており、前記電流線が取り付けられた際に、前記第1、第2、及び第3の支持体は、第1、第2、及び前記第3の切り欠き部が前記電流線の周方向において、少なくとも90度ずれて固定されることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の電流センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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