説明

電流ソースと電流シンクの整合装置

複数の電流ソースと複数の電流シンクを整合させる電流整合制御装置が提供される。複数の電流シンクは、基準制御電流に基づいて駆動プロセッサにより制御される駆動電流値を有している。複数の電流シンクのそれぞれの出力部は、共通出力ノードに接続される。フィードバック回路は、共通出力ノードに接続される入力部と、駆動プロセッサに接続される出力部とを有している。フィードバック回路は、駆動プロセッサに信号を送って基準制御電流を調整することにより、共通出力ノードの電圧を基準電圧に合わせるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
有機発光ダイオード(OLED)は、特に有利な形式の電気光学ディスプレイを構成する。有機発光ダイオードは、明るく、カラフルで、高速スイッチング可能であり、広視野角を実現し、さらに様々な基板上に、容易に、かつ安価に形成することができる。
【0002】
有機(ここでは、有機金属も含む)LEDは、使用される材料により、様々な色で、ポリマーか低分子のいずれかを用いて製造されてよい。ポリマーをベースとする有機LEDの例は、国際公開第90/13148号、国際公開第95/06400号、国際公開第99/48160号に記載されている。また、低分子をベースとするデバイスの例は、米国特許第4,539,507号に記載されている。さらに、デンドリマーをベースとする材料の例は、国際公開第99/21935号と国際公開第02/067343号に記載されている。
【0003】
代表的な有機LEDの基本構造100は、図1aに示されている。ガラス基板またはプラスチック基板102は、その上に正孔輸送層106が形成される透明アノード層104(例えば、酸化インジウムスズ(ITO)から成る)と、電界発光層108と、カソード110を備えている。電界発光層108は、例えば、PEDOT:PSS(ポリエチレンスルホン酸をドープしたポリエチレンジオキシチオフェン)を含んでもよい。カソード層110は、一般に、カルシウムなどの低仕事関数の金属を含む。また、カソード層110は、電子エネルギー準位の整合(マッチング)を向上させるために、電界発光層108のすぐ隣に、アルミニウム層などの追加層を含んでもよい。アノード向けコンタクトワイヤ114とカソード向けコンタクトワイヤ116はそれぞれ、電源118に接続されている。同一の基本構造は、低分子のデバイスにも使用できる。
【0004】
図1aに示される例では、光120は、透明アノード104と基板102を通じて発せられる。このようなデバイスは、「ボトムエミッタ」と呼ばれている。例えば、カソードがほぼ透明となるようにカソード層110の厚さを約50〜100mmよりも薄くしておくことで、カソードを通じて発光するデバイスを構築することもできる。
【0005】
有機LEDの層を基板上に画素のマトリクスとして形成させて、単色または多色の画素化ディスプレイを形成することがある。多色ディスプレイは、赤、緑、青の発光画素のグループを用いて構築される。このようなディスプレイでは、個々の素子が、一般に、行(または列)ラインを起動して画素を選択することにより、アドレス指定され、そして、画素の行(または列)に書き込みが行われて、表示が生成される。いわゆるアクティブマトリクス方式のディスプレイは、それぞれの画素に対応づけられる記憶素子(一般に、ストレージキャパシタとトランジスタ)を持つが、一方、パッシブマトリクス方式のディスプレイは、このような記憶素子をまったく持たず、代わりに、いくらかTV映像に似て反復的に走査されて、安定した画像の印象を与える。
【0006】
図1bは、パッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイ150の断面図を示しており、この断面図では、図1aのものと同じ要素が、同じ参照番号で示されている。パッシブマトリクス方式のディスプレイ150では、電界発光層108が複数の画素152から構成されている。また、カソード層110は、互いに電気的に絶縁された複数の導電ライン154から構成されており、これらの導電ライン154は、図1bの紙面を貫通するように延びており、関連付けられたコンタクト156をそれぞれが有している。同様に、ITOアノード層104は、カソードラインに対して直角に延びている複数のアノードライン158を含んでおり、それらのアノードラインの1つだけが図1bに示されている。また、それぞれのアノードラインに対して、コンタクト(図1bには示されていない)が設けられている。カソードラインとアノードラインとの交点にある有機EL画素152は、それと関連するアノードラインとカソードラインとの間に電圧を印加することでアドレス指定できる。
【0007】
次に、図2aを参照する。この図2aは、図1bに示されるタイプのパッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイ150用の駆動構成を概念的に示した図である。複数の定電流発生器200が設けられている。これらの定電流発生器200の各々は、電源ライン202と、複数の列ライン204(わかりやすくするために、そのうちの1つだけが図示されている)の1つに接続されている。また、複数の行ライン206(そのうちの1つだけが図示されている)が設けられている。これらの行ラインの各々は、スイッチ接続部分210により、接地線208に選択的に接続されてもよい。図示されるように、電源ライン202の電源電圧が正の場合、列ライン204はアノード接続部分158を構成し、行ライン206はカソード接続部分154を構成するが、電源ライン202が、接地線208に対して負であるとすれば、これらの接続部分は逆になるであろう。
【0008】
図示されるように、このディスプレイの画素212に電力が供給されると、画素212が点灯する。画像を生成するためには、行に対するスイッチ接続部分210は、列ラインのそれぞれを順番に起動して全行がアドレス指定されるまで、維持される。次に、次の行を選択して、このプロセスを繰り返す。別の方法として、行を選択して、すべての列に同時に書き込む、すなわち、行を選択して、列ラインのそれぞれに同時に電流を流し込むことで、行中のそれぞれの画素を、その所望の明るさで同時に点灯させる場合がある。後者の構成は、さらに多くの列駆動回路を必要とするとはいえ、それぞれの画素をさらに速くリフレッシュ(再生)できるようにするために、好ましいものである。さらに他の代替構成では、列中のそれぞれの画素が順番にアドレス指定された後で、次の列をアドレス指定することもあるが、ただし、これは一般に、以下で説明されるように、とりわけ列キャパシタンスの影響のために、好ましくない。図2aの構成では、列駆動回路と行駆動回路の機能を交換できるものと理解されよう。
【0009】
OLEDには、通常、電圧制御式の駆動ではなくて電流制御式の駆動が提供される。なぜなら、OLEDの明るさが、OLEDを流れる電流により決定され、したがって、OLEDが出力する光子(フォトン)の数を決定するからである。電圧制御式の構成では、明るさは、ディスプレイの全域にわたって、時間、温度、寿命によって変化することもある。したがって、所与の電圧で駆動されるときに、画素がどの程度明るく見えるのか予測することが難しくなる。カラーディスプレイでは、色表現の精度に影響が及ぼされることもある。
【0010】
図2b(ア)(イ)(ウ)は、画素がアドレス指定されたときに、この画素に加えられる電流駆動(駆動電流)220と、この画素の両端の電圧222と、この画素からの光出力224とを、それぞれ、時間226の経過とともに示した図である。画素を含む行がアドレス指定され、また、破線228で示される時点にて、画素に対する列上に電流が流される。列ライン(および画素)は、関連付けられたコンデンサを持ち、したがって、電圧は最高値230まで徐々に上がる。画素は、画素の両端の電圧が、OLEDのダイオード電圧降下よりも大きくなる地点232に達するまで、発光を開始しない。同様に、時点234にて駆動電流がオフになると、列コンデンサが放電するにつれて、電圧と光出力が徐々に低下する。行中の画素すべてに、同時に書き込む場合、すなわち、列が同時に駆動される場合に、時点228と時点234との時間間隔は、ライン走査時間に相当する。図3は、パッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイ用の一般的な駆動回路の概略図300を示した図である。OLEDディスプレイは、破線302で示されており、対応する行電極コンタクト306をそれぞれが有する複数(n本)の行ライン304と、対応する複数の列電極コンタクト310を有する複数(m本)の列ライン308から構成されている。OLEDは、一対の行ラインと列ラインの間に接続され、また、図示された構成では、アノードが列ラインに接続されている。yドライバ314は、定電流で列ライン308を駆動し、また、xドライバ316は、行線304を駆動して、選択的に行ラインを接地する。yドライバ314とxドライバ316は一般に、両方とも、プロセッサ318の制御下にある。電源320は、上記駆動回路に電力を供給し、特にyドライバ314に電力を供給する。
【0011】
図4は、図3のディスプレイ302などのパッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイの一本の列ライン用の電流ドライバ402の主要な特徴を概略的に示した図である。一般に、複数の電流ドライバは、パッシブマトリクス方式のディスプレイの複数の列電極を駆動するために、図3のyドライバ314などの列ドライバ集積回路中に設けられている。
【0012】
図4の電流ドライバ402は、この回路の主要な特徴を略述するものであるが、この電流ドライバ402は、バイポーラトランジスタ416を組み入れた電流ドライバブロック406を備えている。電流ドライバブロック406は、電源電圧Vsにある電源ライン404にほぼ直接的に接続されるエミッタ端子を有している。(ただし、このことは、必ずしも、最も直接的なルートによって、エミッタ端子が電流ドライバ用の電源ラインまたは電源端子に接続されることを必要とするものではなく、エミッタと電源レールとの間にあるトラックまたは接続部分の固有抵抗は別として、この駆動回路内では、干渉する構成要素がまったくないことが好ましいということである。)列駆動出力408は、通常、接地接続部分414も有しているOLED412に、行ドライバMOSスイッチ(図4には示されてない)を介して、電流駆動を提供する。電流制御入力410は、電流ドライバブロック406に供給される。例示の目的で、これは、図ではトランジスタ416のベースに接続されているが、実際には、この反対の構成(ミラー構成)が好ましい。電流制御線410上の信号は、電圧信号か電流信号のいずれかを含むことがある。電流ドライバブロック406が、可変制御可能な電流ソースを提供する場合には、それぞれの電流ドライバブロックは、デジタルアナログ変換器からのアナログ出力とインターフェース接続されて、そのアナログ出力で制御されることがある。このような制御可能な電流ソースは、可変の明るさまたはグレースケールの表示を提供できる。画素の明るさを変える他の方法として、パルス幅変調(PWM)を用いて定時的に(定められた時間に)画素を変えることがある。PWM方式では、画素は、全オンか完全オフのいずれかの状態であるが、ただし、画素の見かけの明るさは、観測者の目の中での時間積分のために、変化することになる。
【0013】
OLEDディスプレイの寿命を向上させることのできるドライバ方式は、絶えず必要とされている。パッシブマトリクス方式のディスプレイは、アクティブマトリクス方式のディスプレイよりもはるかに安価に製造できる。したがって、パッシブマトリクス方式のディスプレイに適用できる技法が、特に必要とされている。OLEDの駆動レベル(つまり、明るさ)を下げれば、このデバイスの寿命が著しく高めることができる。例えば、OLEDの駆動/明るさを半減させれば、その寿命を、ほぼ4倍に増すことができる。国際公開第2006/035246号、国際公開第2006/035247号、国際公開第2006/035248号(これらの内容は、参照によって、本明細書中に組み入れられている)では、本出願人は、その1つの解決手段が、ピークのディスプレイ駆動レベルを下げるのに用いられるマルチラインアドレス指定技法にあると理解している。この技法は、特に、パッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイにおいて、ピークのディスプレイ駆動レベルを下げ、ディスプレイ寿命を向上させるのに用いられる。大まかに言えば、これらの方法は、第1の組の行駆動信号でOLEDディスプレイの2つ以上の行電極を駆動するのと同時に、第1の組の列駆動信号でOLEDディスプレイの複数の列電極を駆動することを含む。そして、次に、第2の組の行駆動信号で2つ以上の行電極を駆動するのと同時に、第2の組の列駆動信号で列電極を駆動する。好ましくは、行駆動信号と列駆動信号は、電流ソースまたは電流シンクなどのほぼ定電流の発生器からの電流駆動信号から成っている。好ましくは、このような電流発生器は、例えばデジタルアナログ変換器を用いて、制御可能であるか、またはプログラム可能である。
【0014】
2つ以上の行と同時に1列を駆動する効果は、列駆動を、行駆動信号で決定される割合で2つ以上の行に配分することである。言い替えれば、電流駆動では、列を流れる電流は、行駆動信号の割合や相対値で決定される割合で、2つ以上の行に配分される。大まかに言えば、これは、マルチライン走査時間にわたって、1行または1ラインの画素の発光プロファイル(ルミネセンスプロファイル)を構築できるようにし、したがって、OLED画素のピーク明るさを下げ、したがってこのディスプレイの画素の寿命を向上させる。電流駆動では、ある画素の所望の発光(ルミネセンス)は、この画素への連続する駆動信号のほぼ線形の和によって得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第90/13148号
【特許文献2】国際公開第95/06400号
【特許文献3】国際公開第99/48160号
【特許文献4】米国特許第4,539,507号明細書
【特許文献5】国際公開第99/21935号
【特許文献6】国際公開第02/067343号
【特許文献7】国際公開第2006/035246号
【特許文献8】国際公開第2006/035247号
【特許文献9】国際公開第2006/035248号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、特にパッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイの効率を向上させることに関するものである。有利には、本発明は、マルチラインアドレス指定の手法にも対応する。
【0017】
もっとも単純な形式の上述の電流発生回路は、電流ソースと電流シンクから構成される。例えば、図3に示されるように、列Yドライバ314を電流ソースと見なし、また、行Xドライバ316を電流シンクと見なすことができる。ただし、これらの機能を逆にできるものと当業者には理解されよう。
【0018】
シンク電流Isinkまたはソース電流Isourceが整合(マッチング)するかどうかは、トランジスタ特性や、電圧レベルなどの動作パラメータを含め、いくつかのファクタによって決まる。動作の際、不整合のドライバは、表示でのストリーク現象の原因となる。例えば、個々の列が、隣接する列よりも強く駆動されると、ストリーク現象の原因となる。時間の経過とともに、不整合のドライバが、通常、最高電圧レベルにて整合状態に向かってドリフトすることもある。このような整合状態は、上記の最高電圧レベルを必要としない場合でも電力を消耗する。また、このような整合状態は、OLEDディスプレイの寿命にとっても不都合となる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様によれば、複数の電流ソースと複数の電流シンクを整合(マッチング)させる電流整合制御装置が提供される。複数の電流シンクは、基準制御電流に基づいて駆動プロセッサにより制御される駆動電流値を有している。複数の電流シンクのそれぞれの出力部は、共通出力ノードに接続されている。フィードバック回路は、共通出力ノードに接続される入力部と、駆動プロセッサに接続される出力部とを有している。フィードバック回路は、駆動プロセッサに信号を送って基準制御電流を調整することにより、共通出力ノードの電圧を基準電圧に合わせるように構成されている。
【0020】
好ましくは、複数の電流シンクの各々は、第1の抵抗素子を介して、共通出力ノードに接続される。好ましくは、第2の抵抗素子が、共通出力ノードと基準電圧ソースとの間に接続される。さらに好ましくは、フィードバック回路は、基準電圧を検出するために接続される第1の入力部と、共通出力ノードの電圧を検出するために接続される第2の入力部とを有するコンパレータか構成される。このコンパレータはさらに、駆動プロセッサに接続される出力端子を備えてもよい。好ましくは、このコンパレータは、共通出力ノードで検出された電圧よりも基準電圧が高いか低いかどうか示すために、信号を出力するようにプログラムされている。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明の装置は、パッシブマトリクス駆動式のディスプレイ用の行駆動回路に組み込まれている。行駆動回路は、複数の電流シンクに接続され、また、列駆動回路は、複数の電流ソースに接続されている。さらに好ましくは、パッシブマトリクス駆動式のディスプレイは発光型ディスプレイであり、また、さらに好ましくは、この発光型ディスプレイは、有機EL材料により提供される個々の発光画素のアレイから構成されている。適切な有機EL材料は、低分子材料またはポリマー有機材料から選択できる。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、パッシブマトリクス駆動式の有機ELディスプレイにおいて複数の電流ソースと電流シンクを整合(マッチング)させる方法が提供される。この方法は、第1の電流値で複数の組の第1の電極を駆動することと、第2の電流値で複数の組の第2の電極を駆動することと、複数の組の第2の電極の両端の電圧を検出することと、複数の組の第2の電極の両端で検出された電圧を基準電圧と比較することと、検出された電圧が基準電圧に近づくように第2の電流値を調整することと、を含んでいる。
【0023】
好ましくは、複数の第2の電極の両端の電圧を検出することは、複数の第2の電極の平均電圧を検出することを含んでいる。
【0024】
好ましくは、第2の電流値を調整することは、基準電圧よりも検出された電圧が高いか低いかどうか示すために、信号を発生させることを含む。この信号はシングルビット(の信号)であってもよい。
【0025】
好ましい実施形態では、第1の電極はディスプレイの列電極から構成され、また、第2の電極はディスプレイの行電極から構成されている。列電極と行電極を駆動することは、第1の組および第2の組の列駆動信号と、第1の組および第2の組の行駆動信号でそれぞれ駆動することを含む。好ましくは、この方法は、第1の組の行駆動信号でディスプレイの2つ以上の行電極を駆動するのと同時に、第1の組の列駆動信号でディスプレイの列電極を駆動することと、次に、第2の組の行駆動信号で2つ以上の行電極を駆動するのと同時に、第2の組の列駆動信号で列電極を駆動することを含む。さらに好ましくは、行電極と列電極で駆動されるディスプレイ内の画素の所望の発光(ルミネセンス)が、第1の行駆動信号および列駆動信号で決定される輝度と、第2の行駆動信号および列駆動信号で決定される輝度とのほぼ線形の和で得られるように、第1および第2の列駆動信号と、第1および第2の行駆動信号を選択する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
次に、本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照して例示としてのみ説明する。
【0027】
【図1a】図1aは、有機発光ダイオードの断面図を示す図である。
【図1b】図1bは、パッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイの断面図を示す図である。
【図2a】図2aは、パッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイ用の概念的なドライバ構成を示す図である。
【図2b】図2b(ア)は、表示画素に対して電流駆動(駆動電流)と時間のグラフであり、図2b(イ)は、画素電圧と時間のグラフであり、図2b(ウ)は、画素光出力と時間のグラフである。
【図3】図3は、従来技術によるパッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイ用の一般的な駆動回路の概略図である。
【図4】図4は、パッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイのドライバのブロック図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態によるパッシブマトリクス駆動式のOLEDディスプレイの概略図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による行ドライバの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図5には、パッシブマトリクス方式のOLEDディスプレイが示されている。このOLEDディスプレイは、図3を参照して説明したものと同様、行駆動回路512で駆動される行電極306と、列駆動回路510で駆動される列電極310を有している。本発明による行駆動回路512のさらなる詳細は、図6に示されている。列ドライバ510は、1つまたは複数の列電極に電流駆動の設定をするための列データ入力509を有している。同様に、行ドライバ512は、2つ以上の行電極に電流駆動比率の設定をするための行データ入力511を有している。入力509と入力511は、インターフェース接続を容易にするために、デジタル入力であることが好ましい。また、列データ入力509は、ディスプレイ302のm本すべての列に対して、電流駆動を設定することが好ましい。
【0029】
ディスプレイ用のデータが、データ制御バス502上に供給される。これは、直列と並列のいずれであってもよい。バス502は、フレームメモリ503に入力を行う。このフレームメモリ503は、表示の画素ごとに輝度データを保存するか、あるいは、カラーディスプレイでは、サブピクセルごとに輝度情報(別々のRGB色信号として、または輝度信号と色差信号として、あるいは何か他のやり方で符号化されることがある)を保存する。フレームメモリ503に保存されたデータは、表示用のピクセル(またはサブピクセル)ごとに、所望の見かけの明るさを決定する。また、この情報は、ディスプレイ駆動プロセッサ506により、第2の読取りバス505を用いて読み出されることがある(いくつかの実施形態では、バス505が省略されて、代りに、バス502が使用されることがある)。
【0030】
ディスプレイ駆動プロセッサ506は、ハードウェアで完全に実現されてもよく、ソフトウェア(例えば、デジタル信号処理コアを用いる)で完全に実現されてもよい。あるいは、それら2つを組み合わせて(例えば、専用のハードウェアを使用してマトリクスの動作を加速する)完全に実現されてもよい。しかしながら、一般に、ディスプレイ駆動プロセッサ506は、作業メモリ504とともにクロック508の制御の下に動作するプログラムメモリ507に保存された記憶プログラムコードまたはマイクロコードを用いて、少なくとも部分的に実現されるであろう。プログラムメモリ507中のコードは、データキャリアまたはリムーバブルストレージ507a上に提供され得る。
【0031】
プログラムメモリ507中のコードは、従来のプログラミング技法を用いて、1つまたは複数のマルチラインアドレス指定方法を実行するように構成されている。ある実施形態では、これらの方法は、従来の任意のプログラミング言語で実行する標準のデジタル信号処理装置とコードとを用いて実施されてよい。このような例では、DSPルーチンの従来のライブラリが使用されて、例えば、特異値分解処理が実行されるか、または、このような目的で専用のコードを書き込む処理が実行されてよい。あるいは、カラーディスプレイの駆動に関して、上述の方法を用いて、SVDを使用しない他の実施形態を実施してもよい。
【0032】
図6は、本発明の一実施形態による行ドライバ600の概略図である。この図6を参照すると、本発明の一実施形態による行ドライバ600は、それぞれ行データ入力511に接続可能な複数の行電極306を含んでいる。複数の行電極306の各々はさらに、高値抵抗器602にも接続される。その場合、行電極306の数に一致する数の高値抵抗器602が設けられる。また、それぞれの高値抵抗器602と、それに対応するそれぞれの行電極306は、共通ノード604に接続される。共通ノード604は、基準抵抗器608を介して、基準電圧発生器606に接続されている。
【0033】
基準抵抗器608の両端には、コンパレータ(比較器)610が接続されている。コンパレータ610の正の入力端子は、基準抵抗器608と共通ノード604との間に接続され、コンパレータ610の負の入力端子は、基準抵抗器608と基準電圧発生器606との間に接続される。コンパレータ610の出力端子は、デジタルコントローラ612に接続される。デジタルコントローラ612は、補正論理モジュール614、補正ルックアップテーブル616、補正インターポレート部618、後処理モジュール620から構成されている。
【0034】
動作の際、駆動された行電極306の平均行電圧が、共通ノード604に供給される。駆動された行電極306の平均行電圧が、基準電圧発生器606で発生した基準電圧よりも高い場合には、電流は、共通ノード604に流れ込んで、基準電圧発生器606に流れ出る。駆動された行電極306の平均行電圧が、基準電圧発生器606で発生した基準電圧よりも低い場合には、電流は、基準電圧発生器606から共通ノード604に向かって流れ出る。
【0035】
この電流の流れは、コンパレータ610により検出される。コンパレータ610は、駆動された行電極の平均行電圧が基準電圧よりも高いか低いかどうか示すために、シングルビットを出力するように作動する。このシングルビットは、デジタルコントローラ612に送られて、後続するフレームに合わせて行基準電流を調整するのに使用される。このシングルビットの信号を受け取ると、デジタルコントローラ612は、補正論理モジュール614を通じて補正ロジックを使用して、行基準電流Irefを調整する。補正ルックアップテーブル616は、Irefの調整に関して決められた値を提供し、次に、その要求値に応じて、Irefを増加させるか、または減少させる。
【0036】
当業者であれば、おそらく、他の多くの効果的な代替方法が思いつくであろう。本発明は、上述の実施形態には限定されず、特許請求の範囲の精神およびその範囲内にある当業者には明白な変更を含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電流ソースと複数の電流シンクを整合させる電流整合制御装置であって、前記複数の電流シンクは、基準制御電流に基づいて駆動プロセッサにより制御される駆動電流値を有しており、前記複数の電流シンクのそれぞれの出力部は、共通出力ノードに接続されており、フィードバック回路は、前記共通出力ノードに接続される入力部と、前記駆動プロセッサに接続される出力部とを有しており、前記フィードバック回路は、前記駆動プロセッサに信号を送って前記基準制御電流を調整することにより、前記共通出力ノードの電圧を基準電圧に合わせるように構成されていることを特徴とする電流整合制御装置。
【請求項2】
前記複数の電流シンクの各々は、第1の抵抗素子を介して、前記共通出力ノードに接続される、請求項1に記載の電流整合制御装置。
【請求項3】
第2の抵抗素子が、前記共通出力ノードと基準電圧ソースとの間に接続される、請求項1または請求項2に記載の電流整合制御装置。
【請求項4】
前記フィードバック回路は、前記基準電圧を検出するために接続される第1の入力部と、前記共通出力ノードの電圧を検出するために接続される第2の入力部とを有するコンパレータから構成される、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電流整合制御装置。
【請求項5】
前記コンパレータが、前記駆動プロセッサに接続される出力端子を備える、請求項4に記載の電流整合制御装置。
【請求項6】
前記コンパレータは、前記共通出力ノードで検出された電圧よりも前記基準電圧が高いか低いかどうか示すために信号を出力するようにプログラムされている、請求項5に記載の電流整合制御装置。
【請求項7】
パッシブマトリクス駆動式のディスプレイ用の行駆動回路に組み込まれている、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電流整合制御装置。
【請求項8】
前記行駆動回路は、前記複数の電流シンクに接続され、列駆動回路は、前記複数の電流ソースに接続されている、請求項7に記載の電流整合制御装置。
【請求項9】
前記パッシブマトリクス駆動式のディスプレイが発光型ディスプレイである、請求項7に記載の電流整合制御装置。
【請求項10】
前記発光型ディスプレイは、有機EL材料により提供される個々の発光画素のアレイから構成されている、請求項9に記載の電流整合制御装置。
【請求項11】
前記有機EL材料は、低分子有機材料またはポリマー有機材料を含む、請求項10に記載の電流整合制御装置。
【請求項12】
パッシブマトリクス駆動式の有機ELディスプレイにおいて複数の電流ソースと電流シンクを整合させる方法であって、
前記方法は、
第1の電流値で複数の組の第1の電極を駆動することと、
第2の電流値で複数の組の第2の電極を駆動することと、
前記複数の組の第2の電極の両端の電圧を検出することと、
前記複数の組の第2の電極の両端で検出された電圧を基準電圧と比較することと、
前記検出された電圧が前記基準電圧に近づくように、前記第2の電流値を調整することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記複数の第2の電極の両端の電圧を検出することが、前記複数の第2の電極の平均電圧を検出することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の電流値を調整することが、前記検出された電圧が前記基準電圧よりも高いか低いかどうか示すために、信号を発生させることを含む、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記信号がシングルビットである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の電極が前記ディスプレイの列電極から構成され、前記第2の電極が前記ディスプレイの行電極から構成されており、
前記列電極と前記行電極を駆動することが、第1の組および第2の組の列駆動信号と、第1の組および第2の組の行駆動信号でそれぞれ駆動することを含む、請求項12〜請求項15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第1の組の行駆動信号で前記ディスプレイの2つ以上の行電極を駆動するのと同時に、前記第1の組の列駆動信号で前記ディスプレイの前記列電極を駆動することと、
次いで、第2の組の行駆動信号で2つ以上の行電極を駆動するのと同時に、前記第2の組の列駆動信号で前記列電極を駆動することと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記行電極と前記列電極で駆動される前記ディスプレイ内の画素の所望の発光が、前記第1の行駆動信号および列駆動信号で決定される輝度と前記第2の行駆動信号および列駆動信号で決定される輝度とのほぼ線形の和で得られるように、前記第1および第2の列駆動信号と前記第1および第2の行駆動信号が選択される、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前述のおよび/または添付図面を参照したとおりの複数の電流ソースと電流シンクを整合させる方法。
【請求項20】
前述のおよび/または添付図面を参照したとおりの電流整合制御装置。
【請求項21】
パッシブマトリクス方式の有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ用の行電極ディスプレイドライバであって、前記ディスプレイは、有機発光ダイオードのマトリクスと、複数の行電極および列電極を備えており、前記行電極の電流シンクは、基準制御電流に基づいて駆動プロセッサにより制御される駆動電流値を有しており、前記複数の行電極のそれぞれの出力部は、共通出力ノードに接続されており、フィードバック回路は、前記共通出力ノードに接続される入力部と、前記駆動プロセッサに接続される出力部とを有しており、前記フィードバック回路は、前記駆動プロセッサに信号を送って前記基準制御電流を調整することにより、前記共通出力ノードの電圧を基準電圧に合わせるように構成されていることを特徴とする行電極ディスプレイドライバ。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−541013(P2010−541013A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527515(P2010−527515)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003296
【国際公開番号】WO2009/044116
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】