説明

電流検出装置およびこれを用いた電力量計

【課題】組み立て時の作業性を向上させることができる安価な電流検出装置。
【解決手段】導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該導体を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する第1磁性体部12と、磁気回路の磁路に配置されて磁界を検出するセンサ部13と、第1磁性体部とセンサ部を覆うように設けられた第1絶縁体部14と、第1絶縁体部から離れる方向に摺動することにより導体を組み込み可能な状態にされ、導体が組み込まれた後に第1絶縁体部に近づく方向に摺動することにより導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該導体を囲むように配置されて磁気回路の他の一部を形成する第2磁性体部15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁電変換により導体を流れる電流の大きさを検出する電流検出装置およびこれを用いた電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭や工場、事務所などに設置されて負荷電流を検出する電流検出装置が知られている。この電流検出装置は、例えば、負荷電流が流れることにより磁界を発生する一次導体と、この一次導体により発生された磁界を検出する磁電変換部とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
磁電変換部は、トロイダルコアと呼ばれるドーナツ状の磁性体コアに、エナメル線のような導線を巻いたコイルにより形成される。この電流検出装置を組み立てる際は、磁性体コアの穴に一次導体を通す必要があり、その作業に手間がかかるので電流検出装置が高価になるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−37297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の電流検出装置は、組み立て時に磁性体コアの穴に一次導体を通す必要があるので手間がかかって作業性に劣り、電流検出装置が高価になるという問題点があった。
【0006】
本発明は、組み立て時の作業性を向上させることができる安価な電流検出装置およびこれを用いた電力量計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電流検出装置は、導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該導体を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する第1磁性体部と、磁気回路の磁路に配置されて磁界を検出するセンサ部と、第1磁性体部とセンサ部を覆うように設けられた第1絶縁体部と、第1絶縁体部から離れる方向に摺動することにより導体を組み込み可能な状態にされ、導体が組み込まれた後に第1絶縁体部に近づく方向に摺動することにより導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該導体を囲むように配置されて磁気回路の他の一部を形成する第2磁性体部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る電力量計は、上述した電流検出装置と、導体に発生する電圧を検出する電圧検出部と、電流検出装置により検出された電流と、電圧検出部で検出された電圧とに基づき電力量を算出する電力演算部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組み立て時に磁性体コアの穴に一次導体を通す必要がないので、組み立て時の作業性を向上させることができ、電流検出装置を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る電流検出装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る電流検出装置の具体的な構造を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係る電流検出装置の他の具体的な構造を示す図である。
【図4】本発明の実施例1の変形例に係る電流検出装置の具体的な構造を示す図である。
【図5】本発明の実施例2に係る電流検出装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る電流検出装置の具体的な構造を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る電流検出装置の他の具体的な構造を示す図である。
【図8】本発明の実施例2の変形例に係る電流検出装置の具体的な構造を示す図である。
【図9】本発明の実施例3に係る電流検出装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施例4に係る電流検出装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図11】本発明の実施例5に係る電力量計の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係る電流検出装置の構造を模式的に示す断面図である。この電流検出装置は、線状の一次導体11を囲むように配置された第1磁性体部12、センサ部13、第1絶縁体部14および第2磁性体部15を備えている。
【0013】
一次導体11は、本発明の「導体」に対応し、鉄または銅などといった導電性の金属により構成されている。この一次導体11は、被測定電流である負荷電流が流れることによって磁界を発生する。
【0014】
第1磁性体部12は、例えばフェライトから構成されており、一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する。
【0015】
センサ部13は、例えばホール素子などといった磁気センサから構成されており、第1磁性体部12と第2磁性体部15によって形成された磁気回路のギャップに配置されて磁界を検出する。このセンサ部13で検出された磁界を示す信号は、配線13aを用いて外部に送られる。
【0016】
第1絶縁体部14は、例えばPBT(polybutylene terephthalate)樹脂から構成されており、第1磁性体部12とセンサ部13を覆うように設けられている。第1磁性体部12、センサ部13および第1絶縁体部14は、「固定部」と総称される。
【0017】
第2磁性体部15は、「可動部」と呼ばれ、例えばフェライトから構成されており、図1(b)に示すように、第1絶縁体部14から離れる方向(A方向)および近づく方向(B方向)に摺動可能になっている。
【0018】
この第2磁性体部15は、第1絶縁体部14から離れる方向(A方向)に摺動することにより第1絶縁体部14と第2磁性体部15との間に隙間が形成され、この隙間を通して一次導体11を組み込み可能な状態にされる。
【0019】
第2磁性体部15は、一次導体11が組み込まれた後に、第1絶縁体部14に近づく方向(B方向)に摺動することにより一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の他の一部を形成する。
【0020】
次に、実施例1に係る電流検出装置の具体例を説明する。図2は、実施例1に係る電流検出装置の具体的な構造を示す図であり、図2(a)は断面図、図2(b)は分解斜視図、図2(c)は第2磁性体部15を第1絶縁体部14に近づける方向に摺動させた状態を示す斜視図、図2(d)は第2磁性体部15を第1絶縁体部14から離す方向に摺動させた状態を示す斜視図、図2(e)は第1絶縁体部14の詳細な構造を示す斜視図、図2(f)は第2磁性体部15の詳細な構造を示す斜視図である。
【0021】
図2に示す具体例において、第2磁性体部15に形成された突起部15aを第1絶縁体部14に形成されたガイド14aに挿入した状態で、第2磁性体部15を第1絶縁体部14から離す方向に摺動させることにより、図2(d)に示すように、第1絶縁体部14と第2磁性体部15との間に隙間が形成され、一次導体11を組み込み可能な状態にされる。この隙間に一次導体11が組み込まれた後に、第2磁性体部15を、第1絶縁体部14に近づける方向に、第1絶縁体部14に形成された溝14bに第2磁性体部15に形成された突起部15bが嵌合するまで摺動させる。
【0022】
これにより、図2(c)に示すように、第2磁性体部15が一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の他の一部が形成される。
【0023】
なお、図2に示した具体例では、第1絶縁体部14に対して第2磁性体部15を上下方向に摺動させるように構成したが、図3に示すように、第1絶縁体部14に対して第2磁性体部15を左右方向に摺動させるように構成することもできる。図3は、このような電流検出装置の具体的な構造を示す図であり、図3(a)は断面図、図3(b)は分解斜視図、図3(c)は第2磁性体部15を第1絶縁体部14に近づける方向に摺動させた状態を示す斜視図、図3(d)は第2磁性体部15を第1絶縁体部14から離す方向に摺動させた状態を示す斜視図、図3(e)は第1絶縁体部14の詳細な構造を示す斜視図、図3(f)は第2磁性体部15の詳細な構造を示す斜視図である。
【0024】
図3に示す具体例において、第2磁性体部15を第1絶縁体部14に形成されたガイド14aに沿って、第1絶縁体部14から離れる方向に摺動させることにより、図3(d)に示すように、第2磁性体部15と第1絶縁体部14との間に隙間が形成され、一次導体11を組み込み可能な状態にされる。
【0025】
この隙間に一次導体11が組み込まれた後に、第2磁性体部15を、第1絶縁体部14に近づける方向に摺動させる。これにより、図3(c)に示すように、第2磁性体部15が一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の他の一部が形成される。
【0026】
以上説明したように、実施例1に係る電流検出装置によれば、第2磁性体部15を摺動させて隙間を形成し、その隙間に一次導体11を組み込むことができるので、組み立て時の作業性を向上させることができ、電流検出装置を安価に製造できる。
【0027】
なお、第2磁性体部15の、第1絶縁体部14に対向する面は、一次導体11と絶縁するための絶縁物で覆われないように構成できる。後述する実施例2〜実施例4に係る電流検出装置についても同様である。これにより、第1磁性体部12と第2磁性体部15とによって形成される磁気回路のギャップを狭くすることができる。
【0028】
また、上述した実施例1に係る電流検出装置では、第1磁性体部12および第2磁性体部15といった2種類の磁性体部を用いて磁気回路を構成したが、コ字状に形成された1種類の磁性体部20を用いて磁気回路を構成することもできる。
【0029】
図4は、本発明の実施例1の変形例に係る電流検出装置であって、1種類の磁性体部を用いた電流検出装置の具体的な構造を示す図であり、図4(a)は断面図、図4(b)は分解斜視図、図4(c)は磁性体部20を第1絶縁体部14に近づける方向に摺動させた状態を示す斜視図、図4(d)は磁性体部20を第1絶縁体部14から離す方向に摺動させた状態を示す斜視図、図4(e)は第1絶縁体部14の詳細な構造を示す斜視図、図4(f)は磁性体部20の詳細な構造を示す斜視図である。
【0030】
図4に示す具体例において、磁性体部20に形成された突起部20aを第1絶縁体部14に形成されたガイド14aに挿入した状態で、磁性体部20を第1絶縁体部14から離す方向に摺動させることにより、図4(d)に示すように、磁性体部20と第1絶縁体部14との間に隙間が形成され、一次導体11を組み込み可能な状態にされる。
【0031】
この隙間に一次導体11が組み込まれた後に、磁性体部20を、第1絶縁体部14に近づける方向に、第1絶縁体部14に形成された溝14bに磁性体部20に形成された突起部20bが嵌合するまで摺動させる。
【0032】
これにより、図4(c)に示すように、磁性体部20が一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の他の一部が形成される。
【0033】
この構成によれば、少ない部品点数で電流検出装置を構成できるので、組み立て時の作業が簡単になって作業性を向上させることができるとともに製造性を向上させることができ、電流検出装置を安価に製造できる。
【実施例2】
【0034】
図5は、本発明の実施例2に係る電流検出装置の構造を模式的に示す断面図である。この電流検出装置は、実施例1に係る電流検出装置に、第2絶縁体部16が追加されて構成されている。以下では、実施例1に係る電流検出装置と相違する部分を中心に説明する。
【0035】
第2絶縁体部16は、例えばPBT樹脂といった絶縁物から成り、第2磁性体部15の外面(第1絶縁体部14に対向しない面)を覆うように設けられている。この第2絶縁体部16は、第1絶縁体部14に対して摺動するように構成されている。
【0036】
次に、実施例2に係る電流検出装置の具体例を説明する。図6は、実施例2に係る電流検出装置の具体的な構造を示す図であり、図6(a)は断面図、図6(b)は分解斜視図、図6(c)は第2絶縁体部16を第1絶縁体部14に近づける方向に摺動させた状態を示す斜視図、図6(d)は第2絶縁体部16を第1絶縁体部14から離す方向に摺動させた状態を示す斜視図、図6(e)は第1絶縁体部14の詳細な構造を示す斜視図、図6(f)は第2絶縁体部16の詳細な構造を示す斜視図である。
【0037】
図6に示す具体例において、第1絶縁体部14に形成された突起部14cを第2絶縁体部16に形成されガイド16aに挿入した状態で、第2磁性体部15が収容された第2絶縁体部16を第1絶縁体部14から離す方向に摺動させることにより、図6(d)に示すように、第1絶縁体部14と第2磁性体部15との間に隙間が形成され、一次導体11を組み込み可能な状態にされる。
【0038】
この隙間に一次導体11が組み込まれた後に、第2磁性体部15が装着された第2絶縁体部16を、第1絶縁体部14に近づく方向に、第2絶縁体部16に形成された溝16bに第1絶縁体部14に形成された突起部14dが嵌合するまで摺動させる。
【0039】
これにより、図6(c)に示すように、第2磁性体部15が一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の他の一部が形成される。
【0040】
なお、図6に示した具体例では、第1絶縁体部14に対して第2磁性体部15が保持された第2絶縁体部16を上下方向に摺動させるように構成したが、図7に示すように、左右方向に摺動させるように構成することもできる。
【0041】
図7は、このような電流検出装置の具体的な構造を示す図であり、図7(a)は断面図、図7(b)は分解斜視図、図7(c)は第2磁性体部15が収容された第2絶縁体部16を第1絶縁体部14に近づける方向に摺動させた状態を示す斜視図、図7(d)は第2磁性体部15が収容された第2絶縁体部16を第1絶縁体部14から離れる方向に摺動させた状態を示す斜視図、図7(e)は第1絶縁体部14の詳細な構造を示す斜視図、図7(f)は第2絶縁体部16の詳細な構造を示す斜視図である。
【0042】
図7に示す具体例において、第2磁性体部15が収容された第2絶縁体部16を第1絶縁体部14に形成されたガイド14aに沿って、第1絶縁体部14から離れる方向に摺動させることにより、図7(d)に示すように、第1絶縁体部14と第2磁性体部15との間に隙間が形成され、一次導体11を組み込み可能な状態にされる。この隙間に一次導体11が組み込まれた後に、第2磁性体部15が収容された第2絶縁体部16を、第1絶縁体部14に近づける方向に摺動させる。
【0043】
これにより、図7(c)に示すように、第2磁性体部15が一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の他の一部が形成される。
【0044】
以上説明したように、実施例2に係る電流検出装置によれば、第2磁性体部15が収容された第2絶縁体部16を摺動させて隙間を形成し、その隙間に一次導体11を組み込むことができるので、組み立て時の作業性を向上させることができ、電流検出装置を安価に製造できる。
【0045】
なお、上述した実施例2に係る電流検出装置では、第1磁性体部12および第2磁性体部15といった2種類の磁性体部を用いて磁気回路を構成したが、コ字状に形成された1種類の磁性体部30を用いて磁気回路を構成することもできる。
【0046】
図8は、本発明の実施例2の変形例に係る電流検出装置であって、1種類の磁性体部を用いた電流検出装置の具体的な構造を示す図であり、図8(a)は断面図、図8(b)は分解斜視図、図8(c)は磁性体部30が収容された第2絶縁体部16を第1絶縁体部14に近づける方向に摺動させた状態を示す斜視図、図8(d)は磁性体部30が収容された第2絶縁体部16を第1絶縁体部14から離す方向に摺動させた状態を示す斜視図、図8(e)は第1絶縁体部14の詳細な構造を示す斜視図、図8(f)は第2絶縁体部16の詳細な構造を示す斜視図である。
【0047】
図8に示す具体例において、第1絶縁体部14に形成された突起部14cを第2絶縁体部16に穿たれたガイド16aに挿入した状態で、磁性体部30が収容された第2絶縁体部16を第1絶縁体部14から離す方向に摺動させることにより、図8(d)に示すように、磁性体部30と第1絶縁体部14との間に隙間が形成され、一次導体11を組み込み可能な状態にされる。この隙間に一次導体11が組み込まれた後に、磁性体部30が収容された第2絶縁体部16を、第1絶縁体部14に近づける方向に、第2絶縁体部16に形成された溝16bに第1絶縁体部14に形成された突起部14dが嵌合するまで摺動させる。
【0048】
これにより、図8(c)に示すように、磁性体部30が一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の他の一部が形成される。
【0049】
この構成によれば、少ない部品点数で電流検出装置を構成できるので、組み立て時の作業が簡単になって作業性を向上させることができるとともに製造性を向上させることができ、電流検出装置を安価に製造できる。
【実施例3】
【0050】
図9は、本発明の実施例3に係る電流検出装置の構造を模式的に示す断面図である。この電流検出装置は、実施例1に係る電流検出装置の固定部(第1磁性体部12、センサ部13および第1絶縁体部14)と、第2磁性体部15が収容された第2絶縁体部16とが蝶番部17で接続されて構成されている。以下では、実施例1に係る電流検出装置と相違する部分を中心に説明する。
【0051】
第1絶縁体部14、第2絶縁体部16およびこれらを接続する蝶番部17は、例えばナイロン(登録商標)といった可撓性を有する絶縁物により構成されている。第2絶縁体部16は、第2磁性体部15の外面(第1絶縁体部14に対向しない面)を完全に覆うように形成されている。これら第1絶縁体部14、第2絶縁体部16および蝶番部17は、一体成形により製造することができる。
【0052】
図9に示す構成において、第2磁性体部15が収容された第2絶縁体部16を図示矢印B方向に回動させることにより、図9(b)に示すように、第1絶縁体部14と第2磁性体部15との間に空間が形成され、一次導体11を組み込み可能な状態にされる。
【0053】
この空間に一次導体11が組み込まれた後に、第2磁性体部15が収容された第2絶縁体部16を、図示矢印A方向に回動させて第2絶縁体部16の端部(図中左側端部)を第1絶縁体部14に係合させることにより、図9(a)に示すように、第2磁性体部15が、一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の他の一部が形成される。
【0054】
以上説明したように、本発明の実施例3に係る電流検出装置によれば、少ない部品点数で電流検出装置を構成できるので、組み立て時の作業が簡単になって作業性を向上させることができるとともに製造性を向上させることができ、電流検出装置を安価に製造できる。
【実施例4】
【0055】
図10は、本発明の実施例4に係る電流検出装置の構造を模式的に示す断面図である。この電流検出装置は、実施例1に係る電流検出装置の固定部(第1磁性体部12、センサ部13および第1絶縁体部14)が基板18に取り付けられ、第2磁性体部15が筐体19に取り付けられて構成されている。以下では、実施例1に係る電流検出装置と相違する部分を中心に説明する。
【0056】
第1絶縁体部14の端部には爪部21が形成されており、この爪部21が基板18に設けられた穴18aに挿入されることにより、固定部が基板18に取り付けられる。
【0057】
図10に示す構成において、固定部が取り付けられた基板18を、第2磁性体部15が取り付けられた筐体19から離す方向(B方向)に移動させることにより、図10(b)に示すように、第1絶縁体部14と第2磁性体部15との間に隙間が形成され、一次導体11を組み込み可能な状態にされる。この隙間に一次導体11が組み込まれた後に、固定部が取り付けられた基板18を、筐体19に近づく方向(A方向)に移動させて筐体19に固定する。
【0058】
これにより、図10(a)に示すように、第2磁性体部15が一次導体11を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該一次導体11を囲むように配置されて磁気回路の他の一部が形成される。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施例4に係る電流検出装置によれば、少ない部品点数で電流検出装置を構成できるので、組み立て時の作業が簡単になって製造性を向上させることができるとともに、電流検出装置を安価に製造できる。
【実施例5】
【0060】
本発明の実施例5は、上述した実施例1〜実施例4に係る電流検出装置を利用した電力量計である。図11は、実施例5に係る電力量計の構成を示すブロック図である。この電力量計は、電流検出装置51、電圧検出部52、電力演算部53および表示部54を備えている。
【0061】
電流検出装置51としては、上述した実施例1〜実施例4に係る電流検出装置のいずれかが使用される。電流検出装置51は、需要家の負荷にて使用される使用電流(A1)を検出し、当該使用電流に応じた電気信号に変換し出力する。
【0062】
電圧検出部52は、被測定系の電圧を検出する部分であり、電圧トランスやアテネッタ等の分圧抵抗器等により構成されており、需要家の負荷にて使用される使用電圧(V1)を検出し、当該使用電圧に正比例した低レベルの電圧信号に変換し出力する。
【0063】
電力演算部53は、電流検出装置51により検出された導体11に流れる電流と電圧検出部52により検出された電圧とに基づいて、電力量を演算する。具体的には、電力演算部53は、デジタル乗算回路やDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等により構成されており、電流検出装置51から出力された使用電流(A1)に関する信号と、電圧検出部52から出力された使用電圧(V1)に関する信号とを乗算し、需要家の使用電力に正比例したデータ(A1・V1)に変換する。さらに電力演算部53は、使用電力に正比例したデータ(A1・V1)の演算結果を使用量データとして編集し出力する。なお、ここで使用量データとは需要家の負荷にて使用される総積算使用電力量ならびに各時間帯毎の時間帯使用量等、需要家の使用電力に関するデータをいう。表示部54は、液晶表示器等により構成されており、使用量データを表示する。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施例5に係る電力量計によれば、製造に手間がかからない、製造性に優れ、しかもコストダウンが可能な電流検出装置を有する電力量計を実現できる。
【符号の説明】
【0065】
11 一次導体
12 第1磁性体部
13 センサ部
13a 配線
14 第1絶縁体部
14a、16a ガイド
14b、16b 溝
14c、14d、15a、15b、20a、20b 突起部
15 第2磁性体部
16 第2絶縁体部
17 蝶番部
18 基板
18a 穴
19 筐体
20、30 磁性体部
21 爪部
51 電流検出装置
52 電圧検出部
53 電力演算部
54 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該導体を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する第1磁性体部と、
前記磁気回路の磁路に配置されて磁界を検出するセンサ部と、
前記第1磁性体部と前記センサ部を覆うように設けられた第1絶縁体部と、
前記第1絶縁体部から離れる方向に摺動することにより前記導体を組み込み可能な状態にされ、前記導体が組み込まれた後に前記第1絶縁体部に近づく方向に摺動することにより前記導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該導体を囲むように配置されて磁気回路の他の一部を形成する第2磁性体部と、
を備えることを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
前記第2磁性体部を覆う絶縁物から成る第2絶縁体部を備え、該第2絶縁体部が前記第1絶縁体部に対して摺動することを特徴とする請求項1記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記第2絶縁体部は、前記第1絶縁体部に対して開閉可能な蝶番部で接続され、前記第1絶縁体部との間が開放されることにより前記導体を組み込み可能な状態にされ、前記導体が組み込まれた後に閉成されることにより前記導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該導体を囲むように配置されて磁気回路の他の一部を形成することを特徴とする請求項2記載の電流検出装置。
【請求項4】
前記第1磁性体部と前記センサ部を覆うように設けられた前記第1絶縁体部が取り付けられた基板と、
前記第2磁性体部が取り付けられた筐体とを備え、
前記基板が前記筐体から離れることにより前記導体を組み込み可能な状態にされ、前記導体が組み込まれた後に前記基板が前記筐体に近づけられることにより前記導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で該導体を囲むように配置されて磁気回路の他の一部を形成することを特徴とする請求項1記載の電流検出装置。
【請求項5】
前記第2磁性体部の前記第1絶縁体部に対向する面は、絶縁物で覆われていないことを特徴とする請求項1乃至請求項4記載のいずれか1項記載の電流検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電流検出装置と、
前記導体に発生する電圧を検出する電圧検出部と、
前記電流検出装置により検出された電流と、前記電圧検出部で検出された電圧とに基づき電力又は電力量を算出する電力演算部と、
とを備えることを特徴とする電力量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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