説明

電流検出装置

【課題】コアレスタイプの電流検出装置において、寸法公差及び熱膨張による磁電変換素子とバスバーとの間隔のばらつきを防止でき、ひいては電流の検出感度のばらつきを防止できること。
【解決手段】電流検出装置10は、ホール素子1が実装された電子基板2と、金属製のスペーサ5と、電流検出用バスバー6とを備える。電子基板2におけるホール素子1の両側の位置における複数の第一貫通孔21と、筒状のスペーサ5の貫通孔と、電流検出用バスバー6の複数の第三貫通孔62とに通された複数のネジ4及びそれらと螺合した複数のネジ受け部63からなる連結機構が、電子基板2、スペーサ5及び電流検出用バスバー6を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に流れる電流を検出する電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車又は電気自動車などの車両には、バッテリに接続されたバスバーに流れる電流を検出する電流検出装置が搭載されることが多い。また、そのような電流検出装置としては、磁気比例方式の電流検出装置又は磁気平衡方式の電流検出装置が採用される場合がある。
【0003】
磁気比例方式又は磁気平衡方式の電流検出装置には、特許文献1に示されるように、磁性体コアと磁電変換素子(磁気感応素子)とを備える第1のタイプと、特許文献2に示されるように、バスバーに対してごくわずかな隙間を隔てて配置された磁電変換素子を備える第2のタイプとが存在する。磁電変換素子は、磁気を検出し、磁気の強さを表す検出信号を電気信号として出力する素子である。磁電変換素子としては、通常、ホール素子が採用される。
【0004】
第1のタイプにおける磁性体コアは、両端がギャップ部を介して対向し、中空部の周囲を囲んで一連に形成された概ねリング状の磁性体である。磁性体コアの中空部は、被検出電流が通過する空間(電流検出空間)である。磁性体コアは、中空部を流れる電流の変化に応じて変化する周囲の磁気を増幅する役割を果たす。なお、第1のタイプにおいて、磁電変換素子は、磁性体コアのギャップ部に配置される。
【0005】
一方、第2のタイプの電流検出装置は、磁電変換素子と、その磁電変換素子をバスバーの近傍で支持する支持具とを備えるが、磁性体コアを備えないコアレスタイプである。そのため、第2のタイプの電流検出装置は、小型化できる点で優れている。
【0006】
ところで、コアレスタイプの電流検出装置において、磁電変換素子は、電流の伝送経路の近傍において磁気の微小な変化を検出するため、バスバーに対する磁電変換素子の位置にばらつきが生じた場合、電流の検出感度が大きくばらつく。そのため、コアレスタイプの電流検出装置において、磁電変換素子をバスバーに対して高い精度で位置決めすることが、装置の品質の安定化のために重要である。
【0007】
特許文献2に示される電流検出装置において、磁電変換素子(磁気検出素子)は、電子基板に実装され、その電子基板は、樹脂製のハウジングに取り付けられ、そのハウジングは、ネジなどによって電流検出用のバスバーに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−128116号公報
【特許文献2】特開2010−243440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に示されるように、磁電変換素子が実装された電子基板が、その電子基板よりも大きな樹脂製のハウジングを介してバスバーに取り付けられた場合、ハウジングの寸法公差及び熱膨張により、磁電変換素子とバスバーとの間隔のばらつきが生じやすい。即ち、従来のコアレスタイプの電流検出装置は、ハウジングの寸法公差及び熱膨張に起因する電流の検出感度のばらつきが生じやすいという問題点を有している。
【0010】
本発明は、コアレスタイプの電流検出装置において、寸法公差及び熱膨張による磁電変換素子とバスバーとの間隔のばらつきを防止でき、ひいては電流の検出感度のばらつきを防止できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電流検出装置は、以下に示す各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、電流が流れることにより生じる磁気を検出する磁電変換素子である。
(2)第2の構成要素は、第一の面に前記磁電変換素子が実装され、前記磁電変換素子の両側の位置に複数の第一貫通孔が形成された電子基板である。
(3)第3の構成要素は、前記第一貫通孔に連通する第二貫通孔が形成され、第一の端が前記電子基板の前記第一の面に接する複数の筒状部材である。
(4)第4の構成要素は、複数の前記筒状部材の前記第二貫通孔に連通する複数の第三貫通孔、及び電流伝送経路の前段及び後段各々の接続端と連結される端子部が形成され、前記磁電変換素子との間に隙間が形成される状態で複数の前記筒状部材における前記第一の端と反対側の第二の端と接する導体からなる電流検出用バスバーである。
(5)第5の構成要素は、前記第一貫通孔、前記第二貫通孔及び前記第三貫通孔に通された複数のネジ及びそれらと螺合した複数のネジ受け部からなり、前記電子基板、複数の前記筒状部材及び前記電流検出用バスバーを連結する連結機構である。
【0012】
また、本発明に係る電流検出装置が、次に示す構成要素をさらに備えることが考えられる。即ち、第6の構成要素は、前記連結機構により前記電子基板と連結され、前記電子基板と前記電流検出用バスバーとの間の空間を覆うカバー部材である。さらにこの場合、前記電子基板の接地パターンと電気的に接続された導電体の膜が、前記カバー部材の外側の面に形成されていれば好適である。
【0013】
また、本発明に係る電流検出装置において、前記ネジ受け部が、前記電流検出用バスバーにおける前記第三貫通孔の縁部のバーリング加工された部分であることが考えられる。
【0014】
また、本発明に係る電流検出装置において、複数の前記筒状部材各々が金属の部材であることが考えられる。さらにこの場合、複数の前記筒状部材各々が前記電子基板に実装されていることも考えられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電流検出装置は、コアレスタイプであるため、バスバーの周囲のスペースが狭い場合に適している。また、本発明に係る電流検出装置において、磁電変換素子が実装された電子基板は、ネジを含む連結機構により、ネジが貫通する筒状部材を挟んで電流検出用バスバーと連結される。即ち、筒状部材は、電子基板の磁電変換素子と電流検出用バスバーとの間の隙間を一定に維持するスペーサである。本発明に係る電流検出装置において、筒状部材は、電子基板とバスバーとの間の狭い隙間においてネジの周囲を囲む小さな部材であるため、寸法公差及び熱膨張はごくわずかしか生じない。
【0016】
従って、本発明に係る電流検出装置が採用されれば、寸法公差及び熱膨張による磁電変換素子とバスバーとの間隔のばらつきはほとんど生じず、電流の検出感度のばらつきは防止される。
【0017】
また、電子基板と電流検出用バスバーとの間の空間を覆うカバー部材が、連結機構により電子基板と連結されていれば、電子基板における磁電変換素子の実装面への異物の浸入が防止され、回路の短絡などの不都合が回避される。
【0018】
また、本発明に係る電流検出装置において、電子基板の接地パターンと電気的に接続された導電体の膜が、カバー部材の外側の面に形成されていれば、磁気ノイズ及び電波ノイズは、磁電変換素子へ至る前に遮断される。その結果、磁電変換素子が、磁気ノイズ又は電波ノイズの影響を受け、電流の検出感度が変動することを防止できる。
【0019】
また、本発明に係る電流検出装置において、ネジ受け部が、電流検出用バスバーにおけるバーリング加工された部分であれば、ナットなどの独立した部材がネジ受け部として採用される場合に比べ、電子基板、筒状部材及び電流検出用バスバーの連結の作業が容易となる。
【0020】
また、金属の部材は、樹脂部材と比べて線熱膨張係数が格段に小さいため、スペーサとして機能する筒状部材が金属の部材であれば好適である。また、筒状部材が、金属の部材である場合、その筒状部材をハンダによって電子基板へ実装することは容易である。そして、筒状部材が電子基板に対して実装されていれば、筒状部材が独立した部材である場合よりも、電子基板、筒状部材及び電流検出用バスバーの連結の作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電流検出装置10の斜視図である。
【図2】電流検出装置10の平面図である。
【図3】電流検出装置10の断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電流検出装置10Aの斜視図である。
【図5】電流検出装置10Aの平面図である。
【図6】電流検出装置10Aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0023】
本発明の各実施形態に係る電流検出装置10,10Aは、電気自動車又はハイブリッド自動車などの車両において、バッテリとモータなどの機器とを電気的に接続するバスバーに流れる電流を検出するコアレスタイプの電流検出装置である。
【0024】
<第1実施形態>
以下、図1から図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る電流検出装置10の構成について説明する。図1から図3に示されるように、電流検出装置10は、ホール素子1、電子基板2、コネクタ3、2つのネジ4、2つのスペーサ5及び電流検出用バスバー6を備えている。2つのネジ4は、電子基板2、2つのスペーサ5及び電流検出用バスバー6を連結する連結機構を構成する。なお、図3は、図2に示されるD−D平面の断面図である。
【0025】
<ホール素子(磁電変換素子)>
ホール素子1は、電流が流れるバスバーの近傍に配置され、そのバスバーに電流が流れることにより生じる磁気を検出し、磁気の検出信号を電気信号として出力する磁電変換素子の一例である。
【0026】
<電子基板及びコネクタ>
電子基板2は、一方の面にホール素子1が実装され、他方の面にコネクタ3が実装されたプリント回路基板である。コネクタ3は、ホール素子1と電気的に接続され、不図示の電線に設けられた相手側コネクタが接続される部品である。電子基板2には、ホール素子1及びコネクタ3の他、ホール素子1とコネクタ3の端子とを電気的に接続する回路、及び、ホール素子1から出力される磁気の検出信号に対して増幅などの処理を施す回路なども実装されている。
【0027】
例えば、電子基板2には、外部から電線及びコネクタ3を介して入力される電力をホール素子1へ供給する回路、及び、ホール素子1の検出信号を増幅し、増幅後の信号をコネクタ3の端子に出力する回路などが設けられている。これにより、電流検出装置10は、コネクタ3に接続されたコネクタ付き電線を通じて、電流検出信号を電子制御ユニットなどの外部の回路へ出力することができる。
【0028】
コネクタ3は、電子基板2の接地パターンと電気的に接続されたグランド端子を含む。そして、電子基板2の接地パターンは、コネクタ3のグランド端子及びそのグランド端子に接続されるグランド用電線を介して、車両のボディなどの接地導体と電気的に接続される。
【0029】
また、電子基板2におけるホール素子1の両側の位置に2つの第一貫通孔21が形成されている。これら第一貫通孔21は、ネジ4が通される孔である。
【0030】
<スペーサ>
2つのスペーサ5は、電子基板2の第一貫通孔21に連通する第二貫通孔が形成された筒状の部材である。スペーサ5の一方の端は、電子基板2におけるホール素子1が実装された面に接し、スペーサ5の他方の端は、電流検出用バスバー6の表面に接する。2つのスペーサ5は、線膨張係数の小さな筒状の部材である。
【0031】
例えば、スペーサ5は、鉄、アルミニウム又は銅などの金属の部材である。スペーサ5が金属の部材である場合、スペーサ5が、ハンダによって電子基板2へ予め実装されることが考えられる。また、スペーサ5が、ポリブチレンテレフタレートなどの樹脂にガラスが混合された材料からなる筒状の部材であることも考えられる。ガラスが重量比で30%程度混合された樹脂材料は、一般的な樹脂よりも格段に線膨張係数が小さい。
【0032】
<電流検出用バスバー>
電流検出用バスバー6は、銅などの金属からなる板状の導体であり、バッテリと電装機器とを電気的に接続するバスバーの一部である。即ち、電流検出用バスバー6には、検出対象の電流が流れる。また、電流検出用バスバー6は、バッテリに対して予め接続されたバッテリ側のバスバーと、電装機器に対して予め接続された機器側のバスバーとは独立した部材である。そして、電流検出用バスバー6は、その両端が予め敷設された他のバスバー(バッテリ側のバスバー及び機器側のバスバー)に対して接続される。
【0033】
電流検出用バスバー6は、その中央部分が電子基板2に実装されたホール素子1と対向し、その両端部に、予め敷設された前段及び後段の他のバスバーに対して連結される端子部61が形成されている。図1から図3に示される端子部61は、前段及び後段の他のバスバーとの連結用のボルトが通される貫通孔が形成された部分である。電流検出用バスバー6と、これに連結された前段及び後段の他のバスバーとは、バッテリから電装機器へ至る電流伝送経路を形成する。
【0034】
また、電流検出用バスバー6には、2つの筒状のスペーサ5の貫通孔に連通する2つの第三貫通孔62が形成されている。そして、電流検出用バスバー6は、その一方の面において、ホール素子1との間に隙間が形成される状態で2つの筒状のスペーサ5における電子基板2側と反対側の端と接する。
【0035】
<連結機構>
電子基板2、2つのスペーサ5及び電流検出用バスバー6を連結する連結機構は、2つのネジ4と、電流検出用バスバー6の一部に形成されたネジ受け部63とにより構成されている。ネジ受け部63の内側には、ネジ4と螺合するねじ山が形成されている。ネジ受け部63は、電流検出用バスバー6における第三貫通孔62の縁部のバーリング加工された部分である。
【0036】
2つのネジ4は、電子基板2における2つの第一貫通孔21、2つの筒状のスペーサ5各々の貫通孔(第二貫通孔)及び電流検出用バスバー6の第三貫通孔62に通され、さらに、2つのネジ受け部63各々と螺合している。ネジ63がネジ受け部63に対して締め込まれることにより、ネジ63のヘッド部と電流検出用バスバー6との間に電子基板2とスペーサ5とが密着した状態で挟み込まれる。このように、2つのネジ4及び2つのネジ受け部63は、電子基板2、2つのスペーサ5及び電流検出用バスバー6を、ホール素子1と電流検出用バスバー6との間に一定の隙間が形成される状態で連結する連結機構を構成している。
【0037】
<効果>
電流検出装置10は、コアレスタイプであるため、バスバーの周囲のスペースが狭い場合に適している。また、電流検出装置10において、2つのスペーサ5は、電子基板2のホール素子1と電流検出用バスバー6との間の隙間を一定に維持する。スペーサ5は、電子基板2と電流検出用バスバー6との間の狭い隙間においてネジ4の周囲を囲む小さな部材であるため、寸法公差及び熱膨張はごくわずかしか生じない。従って、寸法公差及び熱膨張によるホール素子1と電流検出用バスバー6との間隔のばらつきはほとんど生じず、電流の検出感度のばらつきは防止される。
【0038】
また、ネジ受け部63が、電流検出用バスバー6におけるバーリング加工された部分であるため、ナットなどの独立した部材がネジ受け部63として採用される場合に比べ、電子基板2、スペーサ5及び電流検出用バスバー6の連結の作業は容易である。
【0039】
また、金属の部材は、樹脂部材と比べて線熱膨張係数が格段に小さいため、スペーサ5が金属の部材であれば、スペーサ5の熱膨張による電流の検出感度のばらつきの防止効果がより高まる。また、スペーサ5が、電子基板2に対して実装されていれば、スペーサ5が独立した部材である場合よりも、電子基板2、スペーサ5及び電流検出用バスバー6の連結の作業が容易となる。
【0040】
<第2実施形態>
次に、図4から図6を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る電流検出装置10Aについて説明する。この電流検出装置10Aは、図1から図3に示された電流検出装置10に対し、カバー部材7が追加された構成を有している。図4から図6において、図1から図3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、電流検出装置10Aにおける電流検出装置10と異なる点についてのみ説明する。
【0041】
電流検出装置10Aが備えるカバー部材7は、2つのネジ4及び2つのネジ受け部63からなる連結機構によって電子基板2と連結され、電子基板2と電流検出用バスバー6との間の空間を覆う部材である。カバー部材7は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)又はABS樹脂などの絶縁性の樹脂からなる一体成型部材である。
【0042】
図4から図6に示される例では、カバー部材7は、コネクタ3における相手側コネクタとの接続端の部分みが外部に露出する状態で、電子基板2におけるホール素子1の実装面に対し反対側の面から、電子基板2の側面を経て電流検出用バスバー6の側面に至る範囲を覆う箱状に形成されている。
【0043】
また、カバー部材7には、電子基板2における2つの第一貫通孔21に連通する2つの第四貫通孔71が形成されている。2つのネジ4は、カバー部材7における2つの第四貫通孔71、電子基板2における2つの第一貫通孔21、2つの筒状のスペーサ5各々の貫通孔(第二貫通孔)及び電流検出用バスバー6の第三貫通孔62に通され、さらに、2つのネジ受け部63各々と螺合している。このように、2つのネジ4及び2つのネジ受け部63は、電子基板2、2つのスペーサ5及び電流検出用バスバー6を連結するともに、カバー部材7を電子基板2に連結する。
【0044】
また、カバー部材7の外側の面には、電子基板2の接地パターンと電気的に接続された導電体の膜8が形成されている。この導電体の膜8は、例えば、銅、銅の合金、アルミニウムなどの金属の膜である。
【0045】
また、導電体の膜8は、金属製のネジ4及び電流検出用バスバー6と非接触の状態で形成されている。例えば、導電体の膜8は、カバー部材7におけるネジ4と接触する部分及び電流検出用バスバー6と接触する部分を隠すマスクを用いてメッキを施すことにより形成される。
【0046】
また、カバー部材7が、第一の樹脂部材と第二の樹脂部材とが二色成形により合成された部材であることも考えられる。この場合、第一の樹脂部材は、カバー部材7におけるネジ4と接触する部分及び電流検出用バスバー6と接触する部分を形成し、第二の樹脂部材は、その他の部分を形成する。また、第一の樹脂部材は、ポリカーボネートなどのメッキがのらない樹脂の部材であり、第二の樹脂部材は、ABSなどのメッキがのる樹脂の部材である。そして、そのような第一の樹脂部材と第二の樹脂部材とが合成された部材に対してメッキを施すことにより、導電体の膜8が形成されることも考えられる。
【0047】
また、導電体の膜8と電子基板2の接地パターンとを電気的に接続する構造として、以下に示すような構造が考えられる。例えば、カバー部材7における導電体の膜8が形成された部分に小さな貫通孔が設けられ、その貫通孔に充填された導体が、導電体の膜8と電子基板2の接地パターンとに接触する構造が考えられる。
【0048】
<効果>
電流検出装置10Aが採用された場合、電流検出装置10が採用された場合と同様の効果が得られる。さらに、電流検出装置10Aが採用された場合、カバー部材7が、電子基板2への異物の付着が防止され、回路の短絡などの不都合が回避される。
【0049】
また、電流検出装置10Aにおいては、電子基板2の接地パターンと電気的に接続された導電体の膜8が、カバー部材7の外側の面に形成されている。そのため、磁気ノイズ及び電波ノイズは、ホール素子1へ至る前に遮断される。その結果、ホール素子1が、磁気ノイズ又は電波ノイズの影響を受け、電流の検出感度が変動することを防止できる。
【0050】
<その他>
以上に示された電流検出装置10,10Aは、電子基板2の第一貫通孔21、筒状のスペーサ5、電流検出用バスバー6の第三貫通孔62及びネジ4を2つずつ備えているが、それらが3以上ずつ設けられることも考えられる。例えば、電子基板2に複数のホール素子1が横並びに実装される場合、電子基板2及び電流検出用バスバー6の幅が若干広くなる。そのような場合、3組又は4組の第一貫通孔21、スペーサ5、第三貫通孔62及びネジ4が、複数のホール素子1の両側に分かれて三角形の頂点又は四角形の頂点を形成する位置に設けられることも考えられる。
【符号の説明】
【0051】
1 ホール素子
2 電子基板
3 コネクタ
4 ネジ
5 スペーサ
6 電流検出用バスバー
7 カバー部材
8 導電体の膜
10,10A 電流検出装置
21 第一貫通孔
61 端子部
62 第三貫通孔
63 ネジ受け部
71 第四貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流が流れることにより生じる磁気を検出する磁電変換素子を備えた電流検出装置であって、
第一の面に前記磁電変換素子が実装され、前記磁電変換素子の両側の位置に複数の第一貫通孔が形成された電子基板と、
前記第一貫通孔に連通する第二貫通孔が形成され、第一の端が前記電子基板の前記第一の面に接する複数の筒状部材と、
複数の前記筒状部材の前記第二貫通孔に連通する複数の第三貫通孔、及び電流伝送経路の前段及び後段各々の接続端と連結される端子部が形成され、前記磁電変換素子との間に隙間が形成される状態で複数の前記筒状部材における前記第一の端と反対側の第二の端と接する導体からなる電流検出用バスバーと、
前記第一貫通孔、前記第二貫通孔及び前記第三貫通孔に通された複数のネジ及びそれらと螺合した複数のネジ受け部からなり、前記電子基板、複数の前記筒状部材及び前記電流検出用バスバーを連結する連結機構と、を備えることを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
前記連結機構により前記電子基板と連結され、前記電子基板と前記電流検出用バスバーとの間の空間を覆うカバー部材をさらに備える、請求項1に記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記電子基板の接地パターンと電気的に接続された導電体の膜が、前記カバー部材の外側の面に形成されている、請求項2に記載の電流検出装置。
【請求項4】
前記ネジ受け部は、前記電流検出用バスバーにおける前記第三貫通孔の縁部のバーリング加工された部分である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流検出装置。
【請求項5】
複数の前記筒状部材各々は金属の部材である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電流検出装置。
【請求項6】
複数の前記筒状部材各々は前記電子基板に実装されている、請求項4に記載の電流検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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