説明

電流検出装置

【課題】バスバーに流れる電流を検出する電流検出装置において、小さな磁性体コアを採用して装置を小型化できるとともに、バスバーの過剰な発熱を防止できること。
【解決手段】電流検出装置1は、磁性体コア10と電流検出用バスバー30と絶縁筐体40とを備える。電流検出用バスバー30は、絶縁筐体40及び磁性体コア10の中空部11を貫通する棒状の導体の両端部分に対してその両端部分の間の中間部分31よりも幅が広くなる成形が施されることにより得られた部材からなる。成形された両端部分は前段及び後段各々の他のバスバーと連結される2つの端子部32を形成する。絶縁筐体40には、電流検出用バスバー30における中間部分31の輪郭に沿う形状で形成され中間部分31が貫通したバスバー孔45が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーに流れる電流を検出する電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車又は電気自動車などの車両には、バッテリに接続されたバスバーに流れる電流を検出する電流検出装置が搭載されることが多い。また、そのような電流検出装置としては、磁気比例方式の電流検出装置又は磁気平衡方式の電流検出装置が採用される場合がある。
【0003】
磁気比例方式又は磁気平衡方式の電流検出装置は、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に示されるように、磁性体コアと磁電変換素子とを備える。磁性体コアは、両端がギャップ部を介して対向し、バスバーが貫通する中空部の周囲を囲んで一連に形成された概ねリング状の磁性体である。磁性体の中空部は、被検出電流が通過する空間(電流検出空間)である。
【0004】
また、磁電変換素子は、磁性体コアのギャップ部に配置され、中空部を貫通して配置されたバスバーを流れる電流に応じて変化する磁束を検出し、磁束の検出信号を電気信号として出力する素子である。磁電変換素子としては、通常、ホール素子が採用される。
【0005】
特許文献3に示されるように、電流検出装置においては、磁性体コア及び磁電変換素子は、絶縁性の筐体によって一定の位置関係に保持されることが多い。この筐体は、電流検出装置を構成する複数の部品を一定の位置関係に位置決めする。なお、筐体は、一般に、絶縁性の樹脂部材により構成されている。
【0006】
従来の電流検出装置においては、筐体に、磁性体コアを位置決めする支持部が形成されている。例えば、特許文献3に示される電流検出装置において、磁性体コアの支持部は、筐体における、磁性体コアの外周面及び内周面各々に沿う形状の窪みの部分である。さらに、電流検出装置の筐体には、バスバーが通される貫通孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−104279号公報
【特許文献2】特開2006−166528号公報
【特許文献3】特開2009−58451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来、車両のバッテリ用の電流検出装置においては、平板状のバスバーが、磁性体コアの中空部に挿通されるため、磁性体コアは、その中空部の最大幅(直径)が、バスバーの幅より大きくなる大きさに形成される必要がある。一方、電気自動車及びハイブリッド自動車などにおいては、バスバーに流れる電流の増大に伴い、バスバーの過剰な発熱を防止するため、幅の広いバスバーが採用されつつある。
【0009】
従って、従来の電流検出装置は、バスバーの幅が広くなるほど、バスバーの幅に比例した大きな磁性体コア及びそれを収容する大きな筐体が必要であり、装置の設置スペースが大きくなるという問題点を有している。特に、磁性体コアが、円環状、楕円環状又は縦寸法と横寸法の比が1又は1に近い矩形環状である場合、バスバーの幅が大きくなるほど、磁性体コアの中空部における無駄なスペースが増大する。また、磁性体コアの中空部に配置される部分のみが細くくびれたバスバーが採用された場合、細くくびれた部分が過剰に発熱するという問題が生じる。
【0010】
本発明は、バスバーに流れる電流を検出する電流検出装置において、電流伝送経路の前段及び後段の導体の大きさとの関係において比較的小さな磁性体コアを採用して装置を小型化できるとともに、バスバーの過剰な発熱を防止できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電流検出装置は、バスバーに流れる電流を検出する電流検出装置であり、以下に示す各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、両端がギャップ部を介して対向し、バスバーが貫通する中空部の周囲を囲んで一連に形成された磁性体コアである。
(2)第2の構成要素は、磁性体コアのギャップ部に配置され、磁性体コアの中空部を通過する電流に応じて変化する磁束を検出する磁電変換素子である。
(3)第3の構成要素は、磁性体コアの中空部を貫通する棒状の導体における両端各々から一部の範囲を占める両端部分に対してその両端部分の間の中間部分よりも幅が広くなる成形が施されることにより得られた部材からなる電流検出用バスバーである。この電流検出用バスバーにおいて、成形された両端部分は電流伝送経路の前段及び後段各々の接続端と連結される2つの端子部を形成する。
(4)第4の構成要素は、電流検出用バスバーの中間部分の一部、磁性体コア及び磁電変換素子を一定の位置関係で支持しつつ収容する筐体である。この筐体には、電流検出用バスバーにおける中間部分の輪郭に沿う形状で形成され中間部分が貫通したバスバー孔が形成されている。
【0012】
また、本発明に係る電流検出装置において、筐体が、当該筐体の内側面におけるバスバー孔の縁部に突出して形成されたコア支持部を備えることが考えられる。このコア支持部は、磁性体コアの中空部に挿入されて磁性体コアを支持するとともに、磁性体コアと電流検出用バスバーの中間部分との間に挟み込まれる状態で電流検出用バスバーを支持する。
【0013】
また、本発明に係る電流検出装置において、コア支持部における電流検出用バスバー又は磁性体コアに対向する面に、磁性体コアと電流検出用バスバーの中間部分とにより挟まれる圧力によって塑性変形する突起部が形成されていることが考えられる。
【0014】
また、本発明に係る電流検出装置において、電流検出用バスバーの中間部分の輪郭形状は、磁性体コアの中空部の輪郭形状と相似な形状であることが考えられる。
【0015】
また、本発明に係る電流検出装置において、電流検出用バスバーの中間部分は円柱状であることが考えられる。
【0016】
また、本発明に係る電流検出装置において、電流検出用バスバーの端子部が、棒状の金属部材の両端部分に対するプレス加工により他の部分よりも広い幅の平板状に成形された部分であることが考えられる。
【0017】
また、本発明に係る電流検出装置において、電流検出用バスバーの端子部が、棒状の金属部材の両端部分に対する据え込み加工により他の部分よりも太く成形された部分であることも考えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電流検出装置において、電流検出用バスバーの両端部分は、電流伝送経路の前段及び後段各々の導体の接続端と連結される端子部である。また、筐体のバスバー孔は、電流検出用バスバーの中間部分の輪郭に沿う形状で形成されている。さらに、電流検出用バスバーにおける2つの端子部は、前段及び後段の導体の幅に合わせて、筐体のバスバー孔及び磁性体コアの中空部を貫通する中間部分の幅(太さ)よりも大きな幅(太さ)で形成されている。
【0019】
即ち、電流検出用バスバーにおける2つの端子部のうちの少なくとも一方は、棒状の導体が筐体のバスバー孔及び磁性体コアの中空部に通された後に、棒状の導体の端部を成形することにより得られる。従って、本発明によれば、電流伝送経路の前段及び後段の導体の大きさとの関係において比較的小さな磁性体コアを採用して装置を小型化することが可能となる。
【0020】
また、電流検出用バスバーにおいて、筐体のバスバー孔及び磁性体コアの中空部を貫通する中間部分は、幅と厚みとの比が1又は1に近い丸棒又は角棒などの棒状である。そのため、その中間部分は、板状のバスバーに比べ、その最大幅が磁性体コアの中空部の幅よりも小さいという制約の中で、より大きな断面積で形成されることができる。従って、比較的小さな磁性体コアが採用された場合でも、電流検出用バスバーの過剰な発熱を防止できる。
【0021】
また、本発明に係る電流検出装置において、コア支持部が、磁性体コアと電流検出用バスバーとの間に挟み込まれる状態で磁性体コアと電流検出用バスバーとを支持すれば好適である。この場合、コア支持部は、磁性体コアとの間に若干の隙間(遊び)が生じる状態で設けられた場合でも、磁性体コアの中空部における磁性体コアと電流検出用バスバーの中間部分との間に挿入されることにより、電流検出用バスバーから受ける圧力によって弾性変形し、磁性体コアの内側の周面に密接する。そのため、磁性体コア及びコア支持部は、車両などの振動を受ける環境において衝突を繰り返すという現象が生じず、振動による摩耗が生じにくい。
【0022】
また、コア支持部に形成された突起部が、磁性体コアと電流検出用バスバーの中間部分とにより挟み込まれる圧力によって塑性変形すれば、電流検出用バスバー、コア支持部及び磁性体コアの各々の寸法公差が、突起部の塑性変形の程度によって吸収される。そのため、寸法公差によって磁性体コアと電流検出用バスバーとの間の隙間にコア支持部を挿入できなくなる事態を回避できる。
【0023】
また、電流検出用バスバーの中間部分の輪郭形状が、磁性体コアの中空部の輪郭形状と相似な形状であれば、電流検出用バスバーと磁性体コアとの隙間をより小さくすることができる。その結果、より小さな磁性体コアを採用することによる装置の小型化が可能となる。
【0024】
また、電流検出用バスバーの中間部分が円柱状であり、バスバー孔の形状が円形であれば、筐体を電流検出用バスバーの中間部分の周りに回転させることが可能である。この場合、電流検出用バスバーの2つの端子部が前段及び後段の他のバスバーに対して固定された状態で、筐体及び筐体に支持された電流検出用バスバー以外の構成要素の全体の向きを変更することができる。従って、電流検出装置の取り付けの自由度が高まる。
【0025】
また、電流検出用バスバーの端子部は、例えば、棒状の金属部材に対するプレス加工又は据え込み加工により簡易に作ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る電流検出装置1の分解斜視図である。
【図2】電流検出装置1の分解斜視図である。
【図3】電流検出装置1が備える絶縁筐体における本体ケースの正面図である。
【図4】電流検出装置1の平面図である。
【図5】電流検出装置1の電流通過方向から見た断面図である。
【図6】電流検出装置1の電流通過方向に直交する方向から見た断面図である。
【図7】電流検出装置1が備える電流検出用バスバーの元となる部材に対するプレス加工の工程の斜視図である。
【図8】端子台に固定された電流検出装置1の正面図である。
【図9】電流検出装置1に適用可能な応用例に係る電流検出用バスバー及び磁性体コアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0028】
以下、図1〜図6を参照しつつ、本発明の実施形態に係る電流検出装置1の構成について説明する。電流検出装置1は、電気自動車又はハイブリッド自動車などの車両において、バッテリとモータなどの機器とを電気的に接続するバスバーに流れる電流を検出する装置である。なお、図5は、図4に示される平面図におけるA−A平面における断面図であり、図6は、図4に示される平面図におけるB−B平面における断面図である。
【0029】
図2に示されるように、電流検出装置1は、磁性体コア10、ホール素子20、電流検出用バスバー30、絶縁筐体40及び電子基板50を備える。なお、図1において、絶縁筐体40に収容された主要な構成要素が、破線で示されている。
【0030】
<磁性体コア>
磁性体コア10は、フェライト又はケイ素鋼などからなる磁性体であり、両端が数ミリメートル程度のギャップ部12を介して対向し、中空部11の周囲を囲んで一連に形成された形状を有している。即ち、磁性体コア10は、狭いギャップ部12と併せて環状に形成されている。本実施形態における磁性体コア10は、ギャップ部12と併せて円形状の中空部11を囲む円環状に形成されている。
【0031】
<ホール素子(磁電変換素子)>
ホール素子20は、磁性体コア10のギャップ部12に配置され、磁性体コア10の中空部11を通過する電流に応じて変化する磁束を検出し、磁束の検出信号を電気信号として出力する磁電変換素子の一例である。本実施形態においては、ホール素子20は、本体部からリード線21が延び出て形成されたリード線タイプのICである。リード線21には、電力の入力用のリード線及び検出信号の出力用のリード線が含まれる。なお、ホール素子20が、表面実装タイプのICであることも考えられる。
【0032】
ホール素子20は、本体部における予め定められた検出中心点が、磁性体コア10のギャップ部12の中心点に位置し、かつ、本体部の表裏の面がギャップ部12に形成される磁束の方向に対して直交するように配置される。ホール素子20は、その検出中心点が、磁性体コア10における対向する両端部の投影面の中心を結ぶ線上に位置する状態が、理想の配置状態である。
【0033】
<電子基板>
電子基板50は、ホール素子20がそのリード線21の部分において実装されたプリント回路基板である。また、電子基板50には、ホール素子20の他、ホール素子20から出力される磁束の検出信号に対して増幅などの処理を施す回路とコネクタ51とが実装されている。
【0034】
コネクタ51は、不図示の電線に設けられた相手側コネクタが接続される部品である。さらに、電子基板50には、ホール素子20リード線21とコネクタ51の端子とを電気的に接続する回路が設けられている。例えば、電子基板50には、外部から電線及びコネクタ51を介して入力される電力をホール素子20のリード線21へ供給する回路、及び、ホール素子20の検出信号を増幅し、増幅後の信号をコネクタ51の端子に出力する回路などが設けられている。これにより、電流検出装置1は、コネクタ51に接続されたコネクタ付き電線を通じて、電流検出信号を電子制御ユニットなどの外部の回路へ出力することができる。
【0035】
<電流検出用バスバー>
電流検出用バスバー30は、銅などの金属からなる導体の部材であり、バッテリと電装機器とを電気的に接続するバスバーの一部である。即ち、電流検出用バスバー30には、検出対象の電流が流れる。また、電流検出用バスバー30は、バッテリに対して予め接続されたバッテリ側のバスバーと、電装機器に対して予め接続された機器側のバスバーとは独立した部材である。そして、電流検出用バスバー30は、その両端が予め敷設された他のバスバー(バッテリ側のバスバー及び機器側のバスバー)に対して接続される。
【0036】
図1、図2、図4及び図6に示されるように、電流検出用バスバー30は、磁性体コア10の中空部11を貫通する棒状の導体の両端部分に対してその両端部分の間の中間部分31よりも幅が広くなる成形が施されることにより得られた部材からなる。なお、棒状の導体の両端部分は、棒状の導体における両端各々から一部の範囲を占める部分である。
【0037】
電流検出用バスバー30において、中間部分31よりも幅が広く成形された両端部分は、電流伝送経路の前段及び後段各々の接続端と連結される2つの端子部32である。即ち、電流検出用バスバー30は、概ね、中央部分において一定の範囲を占める棒状の中間部分31と、その両側に連なって形成された2つの端子部32とを有する導体からなる部材である。
【0038】
中間部分31は、絶縁筐体40に形成された貫通孔であるバスバー孔45と磁性体コア10の中空部11とを電流通過方向に沿って貫通する部分である。電流通過方向は、磁性体コア10の厚み方向であり、環状の磁性体コア10を筒とみなした場合におけるその筒の軸心方向であり、さらに、環状の磁性体コア10が形成する面に直交する方向でもある。各図において、電流通過方向はX軸方向として記されている。
【0039】
本実施形態において、電流検出用バスバー30の中間部分31は円柱状であり、端子部32は平板状である。また、本実施形態において、磁性体コア10の中空部11は円形状であるため、電流検出用バスバー30の中間部分31の輪郭形状は、磁性体コア10の中空部の輪郭形状と相似な形状である。各図において、平板状の端子部32の幅方向及び厚み方向は、それぞれY軸方向及びZ軸方向として記されている。
【0040】
本実施形態において、電流検出用バスバー30における平板状の2つの端子部32各々には、ネジが挿入されるネジ止め用の貫通孔32zが形成されている。2つの端子部32は、ネジにより前段及び後段の他の平板状のバスバーと連結される。
【0041】
なお、電流検出用バスバー30における2つの端子部32各々に貫通孔32zが形成されないことも考えられる。この場合、2つの端子部32と前段及び後段の他のバスバーとは、かしめ加工又はスポット溶接などによって連結される。
【0042】
電流検出用バスバー30は、棒状の金属部材における両端各々から一部の範囲を占める両端部分が、プレス機などを用いたプレス加工によって平板状に成形された構造を有する部材である。しかしながら、電流検出装置1において、平板状の2つの端子部32が形成された電流検出用バスバー30を、絶縁筐体40のバスバー孔45に通すことはできない。電流検出用バスバー30を絶縁筐体40に取り付ける手順については後述する。
【0043】
<絶縁筐体>
絶縁筐体40は、磁性体コア10と電流検出用バスバー30とホール素子20及びコネクタ51が実装された電子基板50とを一定の位置関係で保持しつつ支持する絶縁性の部材である。絶縁筐体40は、本体ケース41及び本体ケース41に取り付けられる蓋部材42の2つの部材を含む。本体ケース41及び蓋部材42の各々は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)又はABS樹脂などの絶縁性の樹脂からなる一体成形部材である。
【0044】
本体ケース41は、開口部を有する箱状に形成され、蓋部材42は、本体ケース41に取り付けられることによって本体ケース41の開口部を塞ぐ。また、本体ケース41及び蓋部材42には、電流検出用バスバー30の中間部分31が貫通する貫通孔であるバスバー孔45が形成されている。
【0045】
図1、図2、図3及び図5に示されるように、バスバー孔45は、電流検出用バスバー30における中間部分31の輪郭に沿う形状で形成されている。従って、バスバー孔45の幅(直径)は、電流検出用バスバー30における2つの端子部32各々の幅よりも小さい。そのため、平板状の2つの端子部32が形成された電流検出用バスバー30を、絶縁筐体40のバスバー孔45に通すことはできない。電流検出用バスバー30を絶縁筐体40に取り付ける手順については後述する。
【0046】
なお、バスバー孔45は、電流検出用バスバー30の中間部分31の輪郭に沿う形状で形成されているため、バスバー孔45の輪郭形状と電流検出用バスバー30の中間部分31の輪郭形状とは相似である。
【0047】
本実施形態においては、電流検出用バスバー30の中間部分31は円柱状であり、バスバー孔45は、中間部分31の周面に沿う円形状に形成されている。そのため、電流検出用バスバー30が絶縁筐体40を貫通した状態で、絶縁筐体40を電流検出用バスバー30の中間部分31の周りに回転させることが可能である。
【0048】
また、蓋部材42は、磁性体コア10、ホール素子20及び電流検出用バスバー30を保持する本体ケース41に対し、磁性体コア10と、コネクタ51を含む電子基板50とを挟み込みつつ、本体ケース41の開口部を塞ぐように取り付けられる。
【0049】
図1及び図4は、本体ケース41及び蓋部材42が組み合わされた状態における電流検出装置1の斜視図及び平面図である。図1及び図4に示されるように、本体ケース41及び蓋部材42(絶縁筐体40)は、電流検出用バスバー30における中間部分31の一部及び端子部32と、電子基板50のコネクタ51とが外部に露出する状態で、磁性体コア10と、電子基板50とを挟み込みつつ、磁性体コア10とホール素子20と電流検出用バスバー30とを一定の位置関係で支持する。
【0050】
より具体的には、電流通過方向(X軸方向)に直交する平面(Y−Z平面)に沿う方向における磁性体コア10及びホール素子20の絶縁筐体40内での位置は、コア支持部43及び素子支持部44によって保持される。なお、図3及び図5において、コア支持部43及び素子支持部44の部分には網点模様が記されている。
【0051】
さらに、磁性体コア10は、本体ケース41及び蓋部材42の間に挟み込まれることによって、電流通過方向(X軸方向)における位置が保持される。同様に、電子基板50に固着されたホール素子20は、電子基板50が本体ケース41及び蓋部材42の間に挟み込まれることによって、電流通過方向(X軸方向)における位置が保持される。
【0052】
また、図1、図3及び図5に示されるように、本体ケース41の側壁の内側面には、基板支持部49が突出して形成されている。この基板支持部49は、電子基板50に形成された欠け部52に嵌り込み、電子基板50を予め定められた位置で支持する。
【0053】
さらに、本体ケース41及び蓋部材42には、それらを組み合わせ状態で保持するロック機構47,48が設けられている。図1に示されるロック機構47,48は、本体ケース41の側面に突出して形成された爪部47と、蓋部材42の側方に形成された環状の枠部48とを備える。本体ケース41の爪部47が、蓋部材42の枠部48が形成する孔に嵌り込むことにより、本体ケース41及び蓋部材42は、それらが組み合わされた状態で保持される。
【0054】
以下、図2、図3、図5及び図6を参照しつつ、本体ケース41による磁性体コア10及びホール素子20の支持の構造について説明する。
【0055】
図2及び図3に示されるように、絶縁筐体40を構成する2つの部材の一方である本体ケース41の内側の面には、電流通過方向(X軸方向)において突出するコア支持部43及び素子支持部44が形成されている。
【0056】
コア支持部43は、本体ケース41の内側面におけるバスバー孔45の縁部に沿って突出して筒状に形成されている。本実施形態では、バスバー孔45が円形状であるため、コア支持部43は、円筒状に形成されている。なお、複数のコア支持部43が、本体ケース41の内側面におけるバスバー孔45の縁部において対向して形成されることも考えられる。
【0057】
コア支持部43における電流検出用バスバー30の中間部分31に対向する面である内側面は、電流検出用バスバー30の中間部分31の外周面に沿う形状に形成されている。また、コア支持部43における磁性体コア10に対向する面である外側面は、中空部11を形成する磁性体コア10の内周面に沿う形状に形成されている。
【0058】
そして、図5に示されるように、コア支持部43は、磁性体コア10の中空部11に挿入されて磁性体コア10を支持するとともに、磁性体コア10と電流検出用バスバー30の中間部分31との間に挟み込まれる状態で磁性体コア10を支持する。
【0059】
また、コア支持部43の内側面には、磁性体コア10と電流検出用バスバー30の中間部分31とにより挟まれる圧力によって塑性変形する3つ以上の突起部431が形成されている。これら突起部431各々は、電流通過方向(X軸方向)、即ち、電流検出用バスバー30がバスバー孔45を貫通する方向に沿って伸びて形成されている。
【0060】
また、突起部431は、コア支持部43の内側面における3箇所以上において電流検出用バスバー30の中間部分31を挟み込むように形成されている。3つ以上の突起部431が設けられることにより、コア支持部43は、突起部431において磁性体コア10を安定的に支持する。図5に示される例では、電流検出用バスバー30の中間部分31を挟んで対向する一対の突起部431が2組設けられている。
【0061】
本体ケース41において、磁性体コア10を支持するコア支持部43は、電流検出用バスバー30の中間部分31がバスバー孔45に挿入される前の状態、即ち、自然状態においては、磁性体コア10との間に若干の隙間(遊び)が生じる状態で設けられている。そして、コア支持部43は、磁性体コア10の中空部11における磁性体コア10と電流検出用バスバー30との間に挿入された状態においては、電流検出用バスバー30から受ける圧力によって外側へ弾性変形し、磁性体コア10の内側の周面に密接する。即ち、電流検出用バスバー30は、コア支持部43を磁性体コア10に密接させるためのくさびとして機能する。
【0062】
以上に示した構造を備えた電流検出装置1において、磁性体コア10及びコア支持部43は、車両などの振動を受ける環境において衝突を繰り返すという現象が生じず、振動による摩耗が生じにくい。その結果、電流検出装置1は、磁性体コア10とそれを支持する部分とに隙間が形成される従来の電流検出装置よりも耐久性が高い。
【0063】
また、コア支持部43の内側面に樹脂製の突起部431が存在することにより、電流検出用バスバー30、コア支持部43及び磁性体コア10の各々の寸法公差が、突起部431の塑性変形の程度によって吸収される。そのため、寸法公差によって磁性体コア10と電流検出用バスバー30との間の隙間にコア支持部43を挿入できなくなる事態を回避できる。
【0064】
一方、素子支持部44は、磁性体コア10のギャップ部12に配置されたホール素子20の周囲を取り囲んで一連に形成されている。素子支持部44が取り囲む空間は、磁性体コア10のギャップ部12においてホール素子20の本体部が嵌め込まれる空間である。即ち、この素子支持部44は、その内側の空間にホール素子20の本体部が嵌め込まれることにより、ホール素子20をギャップ部12内の予め定められた位置で支持する。
【0065】
また、本実施の形態において、素子支持部44は、複数のコア支持部43と一連に形成されている。そのため、コア支持部43及び素子支持部44の相対的な位置の誤差が小さくなり、磁性体コア10及びホール素子20の相互間の位置決めの精度が高まる。
【0066】
<電流検出用バスバーの取り付け手順>
以下、図7を参照しつつ、電流検出用バスバー30を絶縁筐体40に取り付ける手順について説明する。図7は、電流検出用バスバー30の両端部分に対するプレス加工の工程の斜視図である。
【0067】
電流検出装置1において、電流検出用バスバー30の端子部32は、電流検出用バスバー30の中間部31よりも広い幅で形成されている。さらに、絶縁筐体40のバスバー孔45は、電流検出用バスバー30における中間部分31の輪郭に沿う形状で形成されている。そのため、平板状の2つの端子部32が形成された電流検出用バスバー30を、絶縁筐体40のバスバー孔45に通すことはできない。
【0068】
図7は、電流検出用バスバー30の元となる棒状の金属部材30Xに対するプレス加工の工程の斜視図である。図7に示されるように、電流検出用バスバー30の元となる部材は、棒状の金属部材30Xである。
【0069】
電流検出用バスバー30は、絶縁筐体40のバスバー孔45及び磁性体コア10の中空部11を貫通する棒状の金属部材30Xにおける両端各々から一部の範囲を占める両端部分に対してそれら両端部分の間の中間部分よりも幅が広くなるようにプレス加工成形が施されることにより得られた部材である。本実施形態においては、電流検出用バスバー30の中間部分31が円柱状であるため、棒状の金属部材30Xは円柱状である。
【0070】
図7に示されるように、電流検出装置1の製造工程において、電流検出用バスバー30の成形の前に、磁性体コア10、ホール素子20及び電子基板50が、絶縁筐体40内に組み付けられる。これにより、磁性体コア10、ホール素子20及び電子基板50は、絶縁筐体40内において一定の位置関係で支持される。
【0071】
その後、電流検出用バスバー30の元となる棒状の金属部材30Xが、絶縁筐体40のバスバー孔45に通される。これにより、棒状の金属部材30Xは、絶縁筐体40のバスバー孔45と、絶縁筐体40に収容された磁性体コア10の中空部11とを貫通する。
【0072】
さらに、絶縁筐体40を貫通した棒状の金属部材30Xの両端部分が、プレス機60を用いたプレス加工により平板状に成形される。これにより、絶縁筐体40のバスバー孔45と、絶縁筐体40に収容された磁性体コア10の中空部11とを貫通した電流検出用バスバー30が得られる。
【0073】
なお、端子部32におけるネジ止め用の貫通孔32zは、プレス加工により平板状に成形された部分に対する孔開け加工により形成される。
【0074】
また、棒状の金属部材30Xにおける一方の端部のみが先に平板状に成形され、その後、棒状の金属部材30Xが他方の端部から絶縁筐体40のバスバー孔45に通され、さらに、他方の端部が平板状に成形されることも考えられる。
【0075】
図8は、端子台7に固定された電流検出装置1の正面図である。図8に示されるように、電流検出装置1は、電流検出用バスバー30における2つの端子部32は、ボルトなどのネジ8により前段及び後段の他の平板状のバスバー9と連結されるとともに、端子台7に固定される。
【0076】
電流検出装置1において、電流検出用バスバー30の中間部分31は円柱状であり、絶縁筐体40のバスバー孔45の形状は円形である。そのため、絶縁筐体40を電流検出用バスバー30の中間部分31の周りに回転させることが可能である。
【0077】
即ち、図8に示されるように、電流検出用バスバー30の2つの端子部32が前段及び後段の他のバスバー9に対して固定された状態で、絶縁筐体40及び絶縁筐体40に支持された電流検出用バスバー30以外の構成要素の全体の向きを変更することができる。これにより、接続相手の電線のコネクタがコネクタ51に対してある方向から接続された後に、接続相手の電線が予め定められた配線経路に沿うように、コネクタ51の向きを変更することが可能となる。なお、図8において、向きが変更された後の絶縁筐体40が仮想線(二点鎖線)により描かれている。
【0078】
但し、設置された電流検出装置1が回転することを防ぐためには、図8に示されるように、電流検出装置1が設置される場所に、電流検出装置1の向きを固定するための回転止め6が必要となる。
【0079】
<応用例に係る電流検出用バスバー>
次に、図9を参照しつつ、電流検出装置1に適用可能な応用例に係る電流検出用バスバー30Aについて説明する。図9は、電流検出用バスバー30A及び磁性体コア10の斜視図である。
【0080】
電流検出用バスバー30Aは、図1及び図2に示された電流検出用バスバー30と同様に、磁性体コア10の中空部11を貫通する棒状の金属部材30Xの両端部分に対して中間部分31よりも幅が広くなる成形が施されることにより得られた部材からなる。また、成形された両端部分は、前段及び後段の他のバスバー9の接続端と連結される2つの端子部32aを形成している。
【0081】
しかしながら、電流検出用バスバー30Aの2つの端子部32aは、平板状ではなく、棒状の金属部材30Xの両端部分に対する据え込み加工により中間部分31よりも太く成形された部分である。また、電流検出用バスバー30Aの2つの端子部32aには、前段及び後段の他のバスバー9の接続端と連結するためのネジ8が締め込まれるネジ孔32yが形成されている。
【0082】
電流検出用バスバー30Aの端子部32aは、棒状の金属部材30Xの端部が、端子部32aを形作る型枠が形成された治具及びプレス機などを用いた据え込み加工によって形成される。治具に保持された棒状の金属部材30Xの端部は、プレス機などにより、棒状の金属部材30Xの軸方向に沿って加圧される。これにより、棒状の金属部材30Xの端部は、他の部分よりも太く加工される。その際、棒状の金属部材30Xの両端のうちの少なくとも一方は、絶縁筐体40のバスバー孔45に棒状の金属部材30Xが挿通された後に、据え込み加工が施される。
【0083】
図9に示される電流検出用バスバー30Aが、電流検出用バスバー30の代わりに電流検出装置1に適用されることも考えられる。
【0084】
<効果>
電流検出装置1において、電流検出用バスバー30,30Aの両端部分は、電流伝送経路の前段及び後段各々の他のバスバー9の接続端と連結される端子部32,32aである。また、絶縁筐体40のバスバー孔45は、電流検出用バスバー30,30Aの中間部分31の輪郭に沿う形状で形成されている。さらに、電流検出用バスバー30における2つの端子部32,32aは、前段及び後段の他のバスバー9の幅に合わせて、絶縁筐体40のバスバー孔45及び磁性体コア10の中空部11を貫通する中間部分31の幅(太さ)よりも大きな幅(太さ)で形成されている。
【0085】
即ち、電流検出用バスバー30,30Aにおける2つの端子部32,32aのうちの少なくとも一方は、棒状の金属部材30Xが絶縁筐体40のバスバー孔45及び磁性体コア10の中空部11に通された後に、棒状の金属部材30Xの端部を成形することにより得られる。
【0086】
従って、電流検出装置1においては、電流伝送経路の前段及び後段の他のバスバー9の大きさとの関係において比較的小さな磁性体コア10を採用して装置を小型化することが可能となる。
【0087】
また、電流検出用バスバー30において、中間部分31は、幅と厚みとの比が1又は1に近い棒状である。そのため、その中間部分31は、板状のバスバーに比べ、その最大幅が磁性体コア10の中空部11の幅よりも小さいという制約の中で、より大きな断面積で形成されることができる。従って、比較的小さな磁性体コア10が採用された場合でも、電流検出用バスバー30の過剰な発熱を防止できる。
【0088】
ところで、2つの端子部32が形成された電流検出用バスバー30を備える電流検出装置としては、以下に示される参考例に係る電流検出装置も考えられる。参考例に係る電流検出装置においては、絶縁筐体40のバスバー孔が、電流検出用バスバー30における端子部32の輪郭に沿う形状で形成され、電流検出用バスバー30が、2つの端子部32の部分において絶縁筐体40のバスバー孔を貫通する。この場合、絶縁筐体40は、電流検出用バスバー30の中間部分31全体、磁性体コア10及びホール素子20を収容する。
【0089】
しかしながら、電流検出用バスバー30の端子部32が平板状である場合、参考例におけるバスバー孔は、細いスリット状の貫通孔となる。一方、電流検出装置1におけるバスバー孔45は、縦寸法と横寸法との比が1又は1に近い貫通孔となる。一般に、樹脂の成形部材において、細いスリット状の貫通孔を成形する場合よりも、縦横比が1又は1に近い貫通孔を成形する場合の方が、高精度での成形が可能である。
【0090】
そのため、縦横比が1又は1に近い貫通孔は、細いスリット状の貫通孔よりも、電流検出用バスバーの輪郭の寸法により近い寸法で、即ち、あそびの小さな寸法で成形可能である。従って、電流検出用バスバー30の端子部32が平板状である場合、絶縁筐体40におけるバスバー孔の縁部と電流検出用バスバー30との間の隙間の面積は、電流検出装置1が採用される場合の方が、参考例に係る電流検出装置が採用される場合よりも小さくなる。その結果、絶縁筐体40内への粉塵の浸入を防ぐ防塵効果が高まる。
【0091】
また、樹脂の成形部材において、細いスリット状の貫通孔の縁部は、応力の集中による割れが生じやすい。一方、樹脂の成形部材において、縦横比が1又は1に近い貫通孔が形成された部分は、応力の集中による割れは生じにくい。従って、電流検出用バスバー30の端子部32が平板状である場合、電流検出装置1が採用される場合の方が、参考例に係る電流検出装置が採用される場合よりも、応力の集中による筐体の割れが生じにくい。
【0092】
また、電流検出装置1において、コア支持部43が、磁性体コア10と電流検出用バスバー30との間に挟み込まれる状態で磁性体コア10と電流検出用バスバー30とを支持する。この場合、コア支持部43は、磁性体コア10との間に若干の隙間(遊び)が生じる状態で設けられた場合でも、磁性体コア10の中空部11における磁性体コア10と電流検出用バスバー30の中間部分31との間に挿入されることにより、電流検出用バスバー30から受ける圧力によって弾性変形し、磁性体コア10の内側の周面に密接する。そのため、磁性体コア10及びコア支持部43は、車両などの振動を受ける環境において衝突を繰り返すという現象が生じず、振動による摩耗が生じにくい。
【0093】
また、コア支持部43に形成された突起部431が、磁性体コア10と電流検出用バスバー30の中間部分31とにより挟み込まれる圧力によって塑性変形する。これにより、電流検出用バスバー30、コア支持部43及び磁性体コア10の各々の寸法公差が、突起部431の塑性変形の程度によって吸収される。そのため、寸法公差によって磁性体コア10と電流検出用バスバー30との間の隙間にコア支持部43を挿入できなくなる事態を回避できる。
【0094】
また、電流検出用バスバー30の中間部分31の輪郭形状が、磁性体コア10の中空部11の輪郭形状と相似な形状であるため、電流検出用バスバー30と磁性体コア10との隙間をより小さくすることができる。その結果、より小さな磁性体コア10を採用することによる装置の小型化が可能となる。
【0095】
また、電流検出用バスバー30の中間部分31が円柱状であり、バスバー孔45の形状が円形であるため、絶縁筐体40を電流検出用バスバー30の中間部分31の周りに回転させることが可能である。そのため、電流検出用バスバー30の2つの端子部32が前段及び後段の他のバスバー9に対して固定された状態で、絶縁筐体40及び絶縁筐体40に支持された電流検出用バスバー30以外の構成要素の全体の向きを変更することができる。従って、電流検出装置1の取り付けの自由度が高まる。
【0096】
また、電流検出用バスバー30の端子部32は、例えば、棒状の金属部材30Xに対するプレス加工又は据え込み加工により簡易に作ることが可能である。
【0097】
<その他>
以上に示した電流検出装置1においては、コア支持部43の内側面に3つ以上の突起部431が形成されているが、同様の3つ以上の突起部431が、コア支持部43の外側面に形成されることも考えられる。その場合の突起部431は、磁性体コア10の内側の周面に当接し、磁性体コア10と電流検出用バスバー30とにより挟み込まれる圧力によって塑性変形する。
【0098】
また、以上に示した実施形態では、電流検出用バスバー30の中間部分31は円柱状であるが、電流検出用バスバー30の中間部分31は他の形状であってもよい。例えば、電流検出用バスバー30の中間部分31が角柱状であることが考えられる。この場合、絶縁筐体40におけるコア支持部43の内側面及びバスバー孔45は、電流検出用バスバー30の中間部分31の輪郭に沿う多角形状に形成される。
【0099】
電流検出用バスバー30の中間部分31の輪郭形状及びバスバー孔45の形状が、円形状ではない場合、絶縁筐体40を電流検出用バスバー30の中間部分31の周りに回転させることはできない。従って、電流検出用バスバー30が前段及び後段の他のバスバー9に固定された後に絶縁筐体40を回転させることが不要である場合、中間部分31が円柱状ではない電流検出用バスバー30の採用が好ましい。
【0100】
また、電流検出装置1においては、磁性体コア10は、ギャップ部12と併せて円環状に形成されているが、磁性体コア10が他の形状で形成されることも考えられる。例えば、磁性体コア10が、ギャップ部12と併せて多角形の環状であり、電流検出用バスバー30の中間部分31の輪郭形状(断面形状)が、磁性体コア10の中空部11が形成する多角形と相似な多角形であることも考えられる。この場合、コア支持部43の外側面は、磁性体コア10の中空部11の輪郭形状と相似な多角形状に形成される。
【0101】
また、電流検出装置1において、電流検出用バスバー30における2つの端子部32がそれぞれ異なる形状を有することも考えられる。例えば、電流検出用バスバー30における一方の端部が平板状の端子部32であり、他方の端部が据え込み加工により太く形成された端子部32aであることも考えられる。
【符号の説明】
【0102】
1 電流検出装置
6 回転止め
7 端子台
8 ネジ
9 バスバー
10 磁性体コア
11 磁性体コアの中空部
12 磁性体コアのギャップ部
20 ホール素子
21 リード線
30,30A 電流検出用バスバー
30X 棒状の金属部材
31 電流検出用バスバーの中間部分
32,32a 電流検出用バスバーの端子部
32y ネジ孔
32z 貫通孔
40 絶縁筐体
41 本体ケース
42 蓋部材
43 コア支持部
44 素子支持部
45 バスバー孔
47 爪部(ロック機構)
48 枠部(ロック機構)
49 基板支持部
50 電子基板
51 コネクタ
52 電子基板の欠け部
60 プレス機
431 コア支持部の突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーに流れる電流を検出する電流検出装置であって、
両端がギャップ部を介して対向し、中空部の周囲を囲んで一連に形成された磁性体コアと、
前記ギャップ部に配置され、前記中空部を通過する電流に応じて変化する磁束を検出する磁電変換素子と、
前記磁性体コアの前記中空部を貫通する棒状の導体における両端各々から一部の範囲を占める両端部分に対して該両端部分の間の中間部分よりも幅が広くなる成形が施されることにより得られた部材からなり、成形された前記両端部分が電流伝送経路の前段及び後段各々の接続端と連結される2つの端子部を形成する電流検出用バスバーと、
前記電流検出用バスバーの前記中間部分の一部、前記磁性体コア及び前記磁電変換素子を一定の位置関係で支持しつつ収容し、前記電流検出用バスバーにおける前記中間部分の輪郭に沿う形状で形成され前記中間部分が貫通したバスバー孔が形成された筐体と、を備えることを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
前記筐体は、該筐体の内側面における前記バスバー孔の縁部に突出して形成され、前記磁性体コアの前記中空部に挿入されて前記磁性体コアを支持するとともに、前記磁性体コアと前記電流検出用バスバーの前記中間部分との間に挟み込まれる状態で前記電流検出用バスバーを支持するコア支持部を備える、請求項1に記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記コア支持部における前記電流検出用バスバー又は前記磁性体コアに対向する面に、前記磁性体コアと前記電流検出用バスバーの前記中間部分とにより挟まれる圧力によって塑性変形する突起部が形成されている、請求項2に記載の電流検出装置。
【請求項4】
前記電流検出用バスバーの前記中間部分の輪郭形状は、前記磁性体コアの前記中空部の輪郭形状と相似な形状である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流検出装置。
【請求項5】
前記電流検出用バスバーの前記中間部分は円柱状であり、前記筐体における前記バスバー孔の形状は円形である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電流検出装置。
【請求項6】
前記電流検出用バスバーの前記端子部は、棒状の金属部材の前記両端部分に対するプレス加工により他の部分よりも広い幅の平板状に成形された部分である、請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流検出装置。
【請求項7】
前記電流検出用バスバーの前記端子部は、棒状の金属部材の前記両端部分に対する据え込み加工により他の部分よりも太く成形された部分である、請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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