説明

電流検知通報器付き電源タップ

【課題】電気ポット等の家庭電気製品を利用した遠隔通報装置は、電流検知回路やデーター通信用無線通信機が内蔵された特定の専用電気製品を使用しているために、既存の家庭電気製品は利用できず新たに専用の電気製品を購入する必要があった。また、複数の家庭電気製品を通報対象とするには、それぞれに専用の電気製品を新規購入しなければならなかった。
【解決手段】通報対象とする家庭電気製品或いは電気器具と電源コンセントの間に取り付けて、その負荷電流を計測し検知情報を送信する無線通報器を備えた電源タップにより、電気製品側の改造や特殊な接続配線工事を不要とし、あらゆる既存の家庭電気製品を現状のまま利用できる。また、複数のコンセントを備えた電源タップにより複数の電気製品を同時に利用でき、それぞれの検知情報を個別に電子メール通知できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠隔地にて一人暮らしの高齢者が日常生活を無事に過ごしていることを第三者へ知らせる手段として、日常的に使用するテレビ、電気ポット、電気炊飯器、エアコン、電動シャワー式トイレ便器などの家庭電化製品の稼働状況を、その家族や地区担当の民生委員など登録先へ電子メールにて自動的に通知することができる電流検知通報器付き電源タップに関する。
【背景技術】
【0002】
電気ポット等の家庭電化製品を利用した従来の遠隔通知装置は、電流検知回路やデーター通信用無線通信機が内蔵された特定の専用電化製品に限られているために、既存の家庭電化製品は利用できず新たに専用の電化製品を購入する必要があった。また、複数の家庭電化製品を通報対象とするには、それぞれに専用の電化製品を新規購入しなければならないことに難点があった。また、この目的で市販されている専用の電化製品や電気器具は、電気ポットなど極一部の製品に限られており、通報対象とするには不満であった。また、電源タップ、電流測定機或いは電力センサー、検知処理ユニット、遠隔通報器の単体機器を組み合わせたシステムには、設置と接続に煩わしさがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、通報対象とする家庭の電化製品或いは電気器具(総称して以下電気製品と記す)と電源コンセントの間に取り付けて、その負荷電流を計測し検知信号を送信する無線通信機を内蔵する電源タップにより、通報対象とする電気製品側の改造や特殊な接続配線工事を不要とし、上記した問題点を解消し、あらゆる既存の電気製品を現状のまま利用できることを目的とする。また、複数の電気製品を通報対象にできることを目的とする。
【0004】
また、電気製品の待機時電力等の少量の負荷電流に起因する誤認識と誤通知を回避することを目的とする。また、複数の電気製品の検知情報を個別に登録先へ自動的に通知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の請求項1は、通報対象とする電気製品と電源コンセントの間にあって、それを使用時に流れる負荷電流を計測し検知信号を送信する無線通信機を内蔵する電源タップであるため、通報対象とする電気製品側の改造を必要とせず、電気製品の種類を問わず容易に設置と接続ができることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2は、複数のメス型コンセントごとに設ける電流測定器により、コンセントに接続される複数の電気製品の検知情報を識別できることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3は、電流検知処理回路に負荷電流の敷居値(分岐点)設定回路を付加することにより、テレビのクイックスタート待機時電力及び電気ポットや電気炊飯器の保温時電力など少負荷電流の計測時は検知信号を送信しないことで、誤認識や誤通報を防ぎ不必要な通報を回避することを特徴とする。また、電気炊飯器やエアコン等に見られるように稼働中にヒーターやコンプレッサーがONとOFFを繰り返すような電気製品を接続するコンセントには、上記とは異なる敷居値を設定することで不必要な通報を回避することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4は、内蔵される多チャンネルのデーター通信専用無線通信機により、通報対象とする複数の電気製品ごとに検知情報を自動的に電子メールにて通知できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の電流検知通報器付き電源タップは、前記のような機能を持ち、以下の効果を有する。
【0010】
(1)通報対象とする電気製品の電源コードを、汎用の多口分岐コンセントと同じように差し込むだけで、設置と接続が完結できる。
【0011】
(2)通報対象とする電気製品の稼働情報を電源ONと電源OFFの必要最低限に単純化し、不必要な通報を回避できる。
【0012】
(3)備わるメス型コンセントと同数の電気製品を通報対象として同時に利用できる。
【0013】
(4)遠隔地の家族や地区担当の民生委員が、一人暮らしの高齢者宅の電気製品の稼働状況を常時把握でき安否確認ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の電流検知通報器付き電源タップを、家庭電気製品に適用した場合の通報システム系統図
【図2】正面カバーを外した電流検知通報器付き電源タップの正面図
【図3】側面カバーを外した電流検知通報器付き電源タップの側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0016】
図1において、1は電流検知通報器付き電源タップ、2はメス型コンセント、5は無線通信機、6は送信アンテナコード、7は電源コード、8はモバイル端末(携帯電話機)、9はパソコン(PC)、そして、10は家庭電気製品を示し、メス型コンセント2に家庭電気製品10を接続した場合の通報システム系統図である。家庭電気製品10を使用時に流れる電流を計測し検知信号を通知情報として、内蔵する無線通信機5を介して携帯電話機8又は、パソコン9へ電子メールにて自動的に通知することができる。また、メス型コンセント2に接続される家庭電気製品10は最大4台まで識別でき、それぞれの検知情報を個別に通知することができる。
【0017】
図2は電流検知通報器付き電源タップの正面図、図3はその側面図を示し、メス型コンセント2に加え、電流測定器3、検知処理回路4、敷居値設定回路、自己電源回路、及びデーター通信専用の無線通信機5を一つの密閉容器に収めたものである。通報対象とする家庭電気製品10の電源コードのオス型プラグをメス型コンセント2に差し込むだけで接続を完結できる。また、敷居値設定回路の付加により敷居値を上回る負荷電流を検知した時及び敷居値以上で検知した負荷電流が、その後敷居値を下回る時のみ検知信号を送信することで検知情報を必要最低限に単純化できる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図2と図3において、4個のメス型コンセント2、4個の電流測定器3、検知処理回路4、敷居値設定回路、自己電源回路、及びデーター通信専用の無線通信機5を、縦250mm、横220mm、奥行き50mmの密閉容器に収め、送信アンテナコード6と電源コード7を設けたものである。電流測定器3には、非接触型の貫通型電流センサーといったものが挙げられる。
【実施例2】
【0020】
日常的に使用する代表的な家庭電気製品の稼働時の負荷電流(A)は、製造メーカーや機種グレードによって差異があるが、実測平均値は概ね以下である。
【0021】
40型LED液晶テレビ(公称定格消費電力140W)の場合、視聴時0.75A、クイックスタート待機時0.17Aであり、20型液晶テレビ(公称定格消費電力80W)の場合、視聴時0.43A、クイックスタート待機時0.11Aであり、電源接続時の待機時はいずれも0.001A以下である。2L用電気ポット(公称定格消費電力900W)の場合、稼働時6.4A、保温機能時0.18Aであり、5.5合炊き電気炊飯器(公称定格消費電力1200W)の場合、稼働時7.5A、保温機能時0.18Aであり、六畳間用ヒートポンプ式冷暖房エアコン(公称定格消費電力1300W)の場合、冷房全負荷時は9.0A、暖房全負荷時13.0A、待機時0.03Aである。また、上記の電気炊飯器の場合、起動後15分間ほど4.8Aと0.06Aを繰り返しながら昇温し7.5Aに至る。また、エアコンの場合は設定温度よって頻度が異なるがコンプレッサーのONとOFFを頻繁に繰り返し、その時の最小電流値は0.05Aに至る。
【0022】
上記の家庭電気製品の中で、クイックスタート待機時や保温機能時の電流値を上回り、且つ稼働時電流値を下回る電流値として、0.30Aを検知処理の分岐点とする敷居値に設定する。これにより、検知電流が0.30Aを上回った時に電源ONの検知信号を送信し、その後0.30A以下に下がった時に電源OFFの検知信号を送信する。また、上記の電気炊飯器やエアコンのように稼働中に大幅な電流変動を伴う電気製品を接続するコンセントには、目的を達すべく検知処理の敷居値を0.04Aに設定する。
【実施例3】
【0023】
図2と図3において、内蔵する無線通信機5にはNTTドコモ社のFOMA遠隔通報器といったものが挙げられる。これによる電子メール通知の内容は、検知信号の発生月日、曜日、時刻の他に、コンセントごとに以下情報である。例えば、コンセントの一つをテレビと名前登録し、これに接続している場合、以下となる。
【0024】
(イ)テレビのスイッチが入りました。
【0025】
(ロ)テレビのスイッチが切れました。
【0026】
(ハ)電源タップの電源が切れました。或いは停電です。
【0027】
(ニ)電源タップの電源が復帰しました。
【0028】
(ホ)今日は一度も検知しませんでした。この通知は毎日1回自動送信される。
【0029】
これらの通報により、通報対象とする電気製品の稼働状況と停電状況が把握できる。
【0030】
以上実施3例について説明したが、この発明は以下の実施態様をとることができる。
【0031】
(1)電流測定器には、シャント抵抗を利用した電圧差測定による電流計測器及び電流に比例し相関関係にある消費電力を計測する電力センサーなどを採用することができる。
【0032】
(2)コンセントの数量は、2から8個が有効で、4個である必要はない。
【0033】
(3)検知電流の敷居値は、0.03Aから0.40Aの範囲が有効で、コンセントごとに任意設定できる。
【0034】
(4)無線通信機等を収める密閉容器の大きさは、上述の寸法である必要はない。
【0035】
(5)この密閉容器の材質は、プラスチック、金属等その種類を問わない。
【0036】
(6)遠隔通報器による電子メール通知の文面は自由に変えることができる。
【0037】
(7)遠隔通報器には、LANケーブル接続によるインターネットを介して通知できるメール通報器を採用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 電流検知通報器付き電源タップ
2 メス型コンセント
3 電流測定機
4 検知処理回路
5 無線通信機
6 送信アンテナコード
7 電源コード
8 モバイル端末(携帯電話機)
9 パソコン(PC)
10 家庭電気製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭電化製品或いは電気器具と電源コンセントの間に使用する電源タップであって、複数のメス型コンセントに加え、それを使用時に流れる負荷電流を計測する電流測定器、検知処理回路、自己電源回路及び検知信号を送信する無線通信機を一つの容器に具備したことを特徴とする電流検知通報器付き電源タップ。
【請求項2】
複数のメス型コンセントごとに電流測定器を具備したことを特徴とする請求項1記載の電流検知通報器付き電源タップ。
【請求項3】
複数のメス型コンセントごとに負荷電流の敷居値設定回路を付加したことを特徴とする請求項1記載の電流検知通報器付き電源タップ。
【請求項4】
複数のメス型コンセントごとの検知情報を送信できる多チャンネルのデーター通信専用無線通信機を具備したことを特徴とする請求項1記載の電流検知通報器付き電源タップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−156119(P2012−156119A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29152(P2011−29152)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(599110533)
【Fターム(参考)】