説明

電源コントローラ

【課題】電源の出力の適切な制御を可能にしつつ、望ましくない可聴周波数の範囲内での有効スイッチング周波数を避けるための1次側コントローラを、低コストで実現する。
【解決手段】電源コントローラが開示される。例示的な電源コントローラは、電源の出力を表わす検知信号に応じて、フィードバック信号を生成するように結合された信号分離回路を含む。誤差信号生成器は、フィードバック信号と参照信号とに応じて、誤差信号を生成するように結合される。制御回路は、誤差信号と電流検知信号とに応じて駆動信号を生成するように結合される。駆動信号は、前記電源のスイッチのスイッチングを制御するように結合される。多重サイクル変調回路が制御回路に含まれて、スタートスキップ信号と、ストップスキップ信号と、スキップマスク信号とに応じてスキップ信号を生成するように結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景情報
開示の範囲
本発明は、電源に関する。特に、発明はスイッチング電源のコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
典型的なアプリケーションにおいて、交流−直流電源は、通常の交流電源コンセントから、公称では50Hzまたは60Hzという比較的低い周波数の、100Vrmsから240Vrmsまでの間にある入力を受ける。交流入力電圧は、通常では電源の内部で整流されて、直流−直流スイッチング電力コンバータによって使用されるための制御されていない直流電圧のソースとなる。電力コンバータの内部のスイッチは、典型的には、制御回路によって、比較的高い周波数(数10キロヘルツまたは数100キロヘルツ)でオンおよびオフされて、制御された出力を供給するが、その出力は電子機器を動作させるため、または電子機器に電力を供給する電池を充電するために適したものであり得る。
【0003】
スイッチング電源の設計は、通常は、効率、サイズ、重量およびコストといった、対立する要求の間の妥協である。定格出力電力を伝達する最適解により、通常は、人間が聴こえる範囲を超える、20kHzよりも高いスイッチング周波数が定められている。
【0004】
電源が待機負荷および無負荷のような低負荷で動作するときに電源が消費可能なエネルギの量が、規制上の要件によって制限されている。スイッチング電源が、定格電力よりも低い電力を伝達するときには、電源でのエネルギの損失は、スイッチング動作による損失が支配的である。したがって出力電力が低いときには、支配的な損失を低減するために、電源をより低いスイッチング周波数で動作させることが有利となる。
【0005】
低い電力での最適なスイッチング周波数は、しばしば、20kHzより低い可聴周波数帯内にある。その可聴周波数帯のスイッチングは、電源内の電子部品および磁気部品の機械的励振から生じる、望ましくない音声ノイズを生じさせる可能性がある。電源が安定的であるとともに負荷の変化に適切に応答するという要求を満たしながら、発振器の周波数を連続的に調整して、望ましくない可聴周波数を避けることは難しい。
【0006】
この困難を克服するために、電源のためのコントローラは、典型的には、発振器を固定周波数に設定し、発振器によって規定されるスイッチング期間の間にスイッチングを許可および禁止することによって、出力を制御する。発振器のスイッチング期間は、しばしばスイッチング周期と呼ばれる。結果としての、連続的なスイッチング期間および非スイッチング期間の配置は、発振器の周波数よりも実質的に低くなり得る、有効スイッチング周波数を生成する。有効スイッチング周波数は、平均スイッチング周波数であると考えてもよい。平均スイッチング周波数とは、実質的には、多数の連続的なスイッチング期間のスイッチング回数をその多数の連続的なスイッチング期間で割った、回数の比率を、固定発振器周波数に乗じたものである。
【0007】
スイッチングが生じるスイッチング期間は、しばしば、有効スイッチング期間と呼ばれ、スイッチングが禁止される期間は、しばしば、無効スイッチング期間、またはスキップスイッチング期間と呼ばれる。電源が、負荷の変化に適切に応答するように十分に頻繁にスイッチングしながら、音声ノイズの発生を避ける方法で、有効期間とスキップ期間とを配置することが重要である。電気的絶縁に対する要請は、有効期間およびスキップ期間の配置に制限をもたらす可能性がある。
【0008】
安全機関は、一般的には、交流−直流電源の入力と出力との間の電気的絶縁を要求する。電気的絶縁は、電源の入力と出力との間の直流電流を防ぐ。すなわち、電源の入力端子と出力端子との間に印加された高圧の直流電圧は、電源の入力端子と出力端子との間に直流電流を生じさせないであろう。電気的絶縁の要請は、電源のコストおよび望ましくない音声周波数でのスイッチングを避けることに寄与する複雑な要因である。
【0009】
電気的絶縁を有する電源は、絶縁バリアの入力側の回路が、絶縁バリアの出力側の回路から電気的に絶縁されるように、入力を出力から電気的に分離する絶縁バリアを維持しなければならない。エネルギは、その絶縁バリアを通って伝達されて出力に電力を供給しなければならず、信号の形態での情報は、出力を調整するために、絶縁バリアを通って伝達されなければならない。電気的絶縁は、典型的には、電気磁気素子および電気光学素子で達成される。トランスおよび結合インダクタのような電気磁気素子は、一般的に、出力電力を供給するために、入力と出力との間でエネルギを伝達するために用いられるが、電気−光学素子は、一般的には、入力と出力との間のエネルギの伝達を制御するために、出力と入力との間で信号を伝達するために用いられる。
【0010】
電源のコストを低減するための努力は、電気−光学素子およびその関連する回路をなくすことに向けられてきた。代替的な解決法は、一般的に、トランスまたは結合インダクタのような単一のエネルギ伝達素子を用いて、出力にエネルギを供給するとともに、出力を制御するために必要な情報を得ることである。最低のコストの構成では、典型的には、制御回路と高電圧スイッチとを絶縁バリアの入力側に配置する。
【0011】
コントローラは、エネルギ伝達素子の巻線、または、別のスイッチングされる電気磁気素子の巻線のいずれかにおける電圧の観測から間接的に、出力についての情報を得る。情報を提供する巻線は、絶縁バリアの入力側にある。コストおよび複雑さをさらに低減するために、コントローラは、エネルギ伝達素子の同じ巻線を用いて、電源への入力についての情報を得ることも可能である。スイッチングされた磁気素子を用いて電源を制御するために必要な情報を得ることの困難さは、スイッチングのない期間の間にはコントローラが情報を受けることができないということである。したがって、コントローラは、負荷の変化に適切に応答するためにスイッチを十分に頻繁にスイッチングさせなければならない。
【0012】
絶縁バリアの入力側は、しばしば1次側と呼ばれ、絶縁バリアの出力側は、しばしば2次側と呼ばれる。1次側から電気的に絶縁されていないエネルギ伝達素子の巻線は、1次側巻線であり、それはしばしば1次側参照巻線と呼ばれる。入力電圧に結合されて、その入力電圧からエネルギを受ける、1次側の巻線は、しばしば1次巻線と単に呼ばれる。1次側の回路にエネルギを伝達する、他の1次参照巻線は、たとえば、バイアス巻線、または検知巻線のような、その主な機能を記述する名前を有し得る。1次側巻線から電気的に絶縁された巻線は、2次側巻線であり、しばしば出力巻線と呼ばれる。
【0013】
1次側の巻線から2次側の出力についての情報を得る電源コントローラは、特に、その情報がパルス信号の形態であるときには、しばしば、1次コントローラと呼ばれ、電源は、1次側制御で動作すると呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
スイッチング期間のグループの間にスイッチングを許可または禁止することによって、有効スイッチング周波数を低減する既存の電源コントローラは、電気的に絶縁される用途におけるコストおよび性能の要求を満たすことの困難さに直面する。出力の適切な制御を可能にしつつ、望ましくない可聴周波数の範囲内での有効スイッチング周波数を避けるための低コストでの解決法が、1次側コントローラにとって必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
図面の簡単な説明
本発明の非限定的かつ非包括的な実施の形態が以下の図面を参照して説明される。同様の参照符号は、他に特定されていなければ、さまざまな図面を通じて同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の教示に従う1次側コントローラを有する電源の実施例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の教示に従う、負荷に電力を供給する例示的なスイッチング電源の動作フローの例を概して示す、例示的なフロー図である。
【図3】本発明の教示に従う、最小和多重サイクル変調(minimum-sum multi-cycle modulation)のための例示的回路を示す、電源の例示的コントローラの一部を示す概略図である。
【図4】図3に示された、例示的な最小和多重サイクル変調回路における信号を示すタイミング図である。
【図5】本発明の教示に従う、負荷に電力を供給する別の例示的なスイッチング電源の動作フローの例を概して示す、別の例示的なフロー図である。
【図6】本発明の教示に従う、負荷に電力を供給する別の例示的なスイッチング電源の動作フローの例を概して示す、さらに別の例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
最小和多重サイクル変調で電源を制御するための方法および装置が開示される。以下の説明において、本発明の完全な理解を与えるために、多数の具体的な詳細が述べられる。しかしながら当業者には、その具体的な詳細が、本発明を実施するために採用されていなくてもよいということが明らかであるだろう。別の例においては、周知の材料または方法は、本発明が曖昧になるのを避けるために、詳細には記述されていない。
【0018】
この明細書を通じての「1つの実施の形態」、「実施の形態」、「1つの実施例」または「実施例」との名称は、実施の形態または実施例に関連して記述される特定の特徴、構造または性質が、本発明の少なくとも1つの実施の形態に含まれるということを意味する。すなわち、この明細書を通じたさまざまな場所で、「1つの実施の形態において」、「実施の形態において」、「1つの実施例において」または「実施例において」との記述が存在することは、必ずしも、同じ実施の形態または実施例をすべて参照するということではない。さらに、特定の特徴、構造または性質は、1以上の実施の形態または実施例において任意の適切な組合せおよび/またはサブコンビネーションで組合せされ得る。特定の特徴、構造または性質は、集積回路、電子回路、組合せ論理回路、または記述された機能を提供する他の適切な部品に含まれ得る。さらに、本明細書とともに提供される図面は、当業者に対する説明の目的のためのものであって、正確な大きさを表現するように描かれたものではないということが明らかである。
【0019】
図示のため、図1の概略図は、電気的絶縁を有する直流−直流電源100の1つの実施例の顕著な特徴を示す。電源100は、入力電圧VINを受けて、負荷(図1に示さず)への出力電圧Vo120および出力電流IO(118)を生成する。交流−直流電源の実施例において、直流入力電圧VIN(102)は、整流されて交流入力電圧にフィルタがかけられる。入力電圧VIN(102)は、入力リターン104に対して正である。出力電圧VO120は、出力リターン122に対して正である。他の実施例において、電源は、1より大きい出力を有し得る。
【0020】
図1の実施例における直流−直流電源100は、エネルギ伝達素子T1(124)と、スイッチS1(156)とを含む。スイッチS1(156)は、たとえば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、またはバイポーラ接合トランジスタ(BJT)のような、制御された半導体素子の動作を表わす。図1の実施例における直流−直流電源100は、また、コントローラ138を含む。コントローラ138は、電流検知信号136と電圧検知信号152とを受ける。図1の実施例において、電圧検知回路130は、パルス電圧VB(128)を生成する。パルス電圧VB(128)は入力リターン104に対して正および負のいずれでもあり得る。
【0021】
図1に示された実施例において、エネルギ伝達素子T1(124)は、しばしばトランスと呼ばれる結合インダクタであり、3つの巻線を有する。巻線110は、入力電圧VIN(102)に結合される一方端と、スイッチS1(156)に結合される他方端とを有する1次巻線である。巻線112は、出力リターン122に結合される一方端と、出力整流器D1(114)に結合される他方端とを有する2次巻線である。巻線126は、しばしばバイアス巻線と呼ばれる検知巻線であり、入力リターン104に結合される一方端を有する。巻線の極性は、各々の巻線の一方端に点によって示されている(点が付された端部は同じ極性を有する)。巻線の極性から、図1の実施例がフライバック電源となるように構成されていることが示されている。
【0022】
図1のフライバック電源の実施例の動作において、コントローラ138は、駆動信号UD(154)を生成し、駆動信号UD(154)は、期間TSの繰返しスイッチング期間内で、スイッチS1(156)を開閉させ得る。スイッチS1(156)が閉じている場合(ONである、またはON状態であるとも呼ばれる)、スイッチS1(156)が、エネルギ伝達素子124の1次巻線110において電流IP(134)を流す。スイッチS1(156)が開いている場合(OFFである、またはOFF状態であるとも呼ばれる)、スイッチS1(156)は、電流を流すことができない。
【0023】
スイッチS1(156)がONである場合、エネルギ伝達素子124の1次巻線110での電圧VP(108)は、入力電圧VIN(102)である。図1の実施例においてスイッチS1がONである間、1次電流IP(134)は、それが可変の電流リミットIPK(132)の値に達するまで増加する。図1の実施例において、スイッチS1(156)がONである間は、2次巻線112に電流は実質的に流れず、検知巻線126にも電流は実質的に流れない。
【0024】
コントローラ138は、パルス1次電流IP(134)を検知する。電流IP(134)は、また、電流検知信号136でもある、スイッチS1(156)における電流である。電流を検知するための多数の公知の方法のうちのいずれかの方法、たとえば、電流を流す抵抗の電圧を受ける方法、または、たとえば変流器によって小さくされた電流を変流器から受ける方法、または、たとえば電流を流す金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のオン抵抗での電圧を受ける方法などを、1次電流IP(134)を検知するために用いて電流信号136をコントローラ138に与えてもよい。
【0025】
図1の実施例において示された電流および電圧の波形は、電源100が、非連続導通モード(discontinuous conduction mode:DCM)で動作することを示し、DCMは軽負荷における動作において典型的である。DCMにおける動作の明確な特徴は、1次電流IP134は、スイッチS1(156)がONした直後に0になることである。より大きな負荷において、電源は典型的には連続導通モード(continuous conduction mode:CCM)で動作する。連続導通モードは、スイッチS1(156)がONした直後に1次電流IP(134)が0から有限の正の値に跳躍することによって区別される。ただし、連続導通モードは図1には示されていない。
【0026】
1次電流IP(134)が可変の電流リミットIPK(132)に到達したときに、コントローラ138はスイッチS1(156)を開き、電流IP(134)は0へと降下する。クランプ回路106は、典型的には、1次巻線110の両端に結合されて、スイッチS1(156)が開くときに、スイッチS1(156)の電圧を制限する。
【0027】
コントローラ138がスイッチS1(156)を開くときには、スイッチS1(156)が導通している間に結合インダクタT1(124)に蓄えられたエネルギによって2次巻線112における電流が生成される。2次巻線112におけるパルス電流は、ダイオードD1(114)によって整流されて、キャパシタC1(116)によってフィルタがかけられて、実質的に直流の出力電圧VO(120)が生成される。
【0028】
スイッチS1(156)のスイッチングによって、バイアス巻線126における電圧VB(128)が生成される。電圧VB(128)は、1次巻線110および2次巻線112における、トランスの電圧に対する作用と関連付けられる。スイッチS1(156)がONであるとき、電圧VB(128)は、出力リターン104に関して負であり、その強度は、実質的には、巻数比によって変換された入力電圧VIN(102)である。巻数比は、巻線126の巻数を巻線110の巻数で割ったものである。スイッチS1(156)がOFFになりダイオードD1(114)が導通すると、電圧VB(128)は出力リターン104に対して正となる。電圧VB(128)の値は、実質的には、出力電圧VO(120)に、ダイオードD1(114)の導通時のダイオードD1(114)の電圧を加えた値であり、その和は巻数比で変換される。巻数比は、巻線112の巻数で巻線126の巻数を割ったものである。
【0029】
図1の実施例におけるコントローラ138は、電圧検知信号VSENSE(152)から検知された入力電圧VINSENSEおよび検知出力電圧VOSENSEを抽出するための信号分離器150を含む。1つの実施例において、信号分離器150は、サンプルホールド回路に続く整流器であり得る。サンプルホールド回路は、出力電圧VO(120)を表わす実質的な直流フィードバック信号UFB(144)を与える。
【0030】
図1の実施例におけるコントローラ138は、また、フィードバック信号UFB(144)と参照信号UREF(142)との差から誤差信号UERROR(148)を生成するエラーアンプ146を含む。参照信号UREF(142)は出力電圧VO(120)の所望の値を表わし、フィードバック信号UFB(144)は、出力電圧VO(120)の実際の電圧を表わす。1つの実施例において、エラーアンプ146は、参照信号UREF(142)とフィードバック信号UFB(144)との間の差を積分する積分器を含む。別の実施例において、エラーアンプ146は、積分器に加えて微分器を含み、当該分野においてよく知られているように、入力電圧VIN(102)と出力電流IO(118)とにおける変化に応答して、電源の安定性および振る舞いに対する所望の特性を与え得る。
【0031】
図1の実施例におけるコントローラ138は、また、制御回路140を含み、制御回路140は、誤差信号UERROR(148)を受けて、スイッチS1(156)をスイッチングする駆動信号UD(154)を生成する。図1の実施例における制御回路140は、たとえばカウンタ158、論理ゲート160、および発振器158のようなさまざまなアナログ回路およびデジタル回路を含み、誤差信号UERROR(148)と、電流検知信号136と、駆動信号UD(154)との間の所望の関係を与える。
【0032】
制御回路140は、さまざまな方法で電流検知信号136および誤差信号UERROR(148)に対してフィルタをかけて、たとえば、起動、シャットダウン、過負荷、軽負荷、および無負荷のようなさまざまな条件での電源の所望の振る舞いを与える。
【0033】
1つの実施例において、制御回路140は、誤差信号UERROR(148)に応答して、可変の電流リミットIPK(132)の値を調整して、それにより、出力電圧VO(120)を、所望の値に調整する。スイッチング期間TSが固定されている場合、可変の電流リミットIPK(132)の調整は、スイッチS1(156)がONである期間(しばしば、オン時間と呼ばれる)を変化させる。スイッチS1(156)がONである期間は、また、しばしば、周期のオン時間間隔とも呼ばれる。この種の制御は、固定周波数でのピーク電流パルス幅変調(PWM)として記述され得る。しばしばそれは、固定周波数ピーク電流モード制御、または単に電流モード制御と呼ばれる。
【0034】
他の実施例において、制御回路140は、1次電流134が固定の電流リミット未満であるときに、固定されたスイッチング期間内でスイッチS1(156)がONである時間を直接的に調整する。この種の制御は、しばしば、固定周波数電圧モードPWM、または固定周波数デューティ比制御と呼ばれる。
【0035】
さらに別の実施例において、制御回路140は、1次電流134が固定の電流リミット未満であるときにスイッチのオン時間を固定してもよく、制御回路140は、可変のスイッチング期間を調整して、出力を制御してもよい。代わりに、制御回路140は、固定の電流リミットを設定して、スイッチをOFFさせてもよく、制御回路140は、可変のスイッチング期間を調整して、出力を制御してもよい。制御回路は、多くの異なる方法でスイッチがONおよびOFFである時間の長さを変化させてもよく、それによって、変調されているときの電源の重い負荷に対する出力を制御してもよい。
【0036】
軽負荷のときには、コントローラ138は、回路を用いて、電源を次のように制御してもよい。すなわち、スイッチングの生じる連続的期間のグループが、スイッチングが生じない連続的期間のグループによって分離され、スイッチングが生じるグループの期間の数と、スイッチングが生じないグループの期間の数との和が、常に最小値以上となるようにスイッチング事象が集められる。この種の制御は、最小和多重サイクル変調と説明され得る。1つの実施例において、有効期間の数と、スキップ期間の数との合計は一定である。最小和多重サイクル変調は、有効期間とスキップ期間との配置を制限して、出力の適切な制御を可能にしつつ、望ましくない可聴周波数の範囲内にある有効スイッチング周波数を避ける。
【0037】
図2は、本発明の教示に従う、電源を制御する方法を概して記述する例示的なフローの図である。ブロック205において開始されると、ブロック210において電源の出力が検知される。1次側制御が行なわれる電源において、出力は電源の入力側の巻線から検知される。
【0038】
次に、ブロック215において、コントローラは電源出力について検知された情報を用いて、固定のスイッチング期間TSで出力を制御するために必要なピーク電流IPK(132)を決定する。次に、判断ブロック220において、ピーク電流IPK(132)の値が最小ピーク電流IPKMINと比較される。1つの実施例において、最小ピーク電流IPKMINは、出力整流器D1(114)が出力電圧VO(120)の信頼性ある検知のために導通しなければならない最小時間に対応する。1つの実施例において、最小ピーク電流IPKMINは、電源の設計によって許容される最大ピーク電流の25%である。
【0039】
1つの実施例において、ピーク電流IPK(132)は、たとえば図1におけるUERROR(148)のような誤差信号の強度から決定される。小さな誤差信号は、典型的には、高い効率の要求を満たすために、減少した有効スイッチング周波数を要求する軽負荷を暗示する。この条件下において、判断ブロック220は、IPK<IPKMINであることがわかり、フローはブロック230に向けられる。ブロック230において、ピーク電流IPK(132)はIPKMINの値に固定されるとともに、スイッチング周期TSの期間はTSGの値に固定される。ブロック235において、最小和多重サイクル変調により調整が達成される。
【0040】
ブロック235において示されるように、最小和多重サイクル変調は、出力の制御を、スイッチング信号におけるスイッチングのN個の期間を有効にすることによって達成し、スイッチングのN個の期間の各々は期間TSGを有し、スイッチングのないM個の期間TSGが、スイッチングのN個の期間に続く。実施例において、NとMとの和は、最小値K以上に制限される。ここで、Kの値は、所望のアプリケーションの性能の要求を満たすように選ばれる。最小和多重サイクル変調は、最小値をグループ期間TGに配置する。実施例において、本発明の教示に従う最小和多重サイクル変調は、電源がコスト、効率および出力の制御の要求を満たしながら、望ましくない可聴周波数の発生を避けることを可能にする。
【0041】
1つの実施例において、IPKMINは、電源の最大出力電力でのピーク電流のほぼ25%に設定される。1つの実施の形態において、5kHzという最大効率スイッチング周波数を確立するために、固定のスイッチング周波数は30kHzであり、Kの値は6である。人間の可聴範囲内であるが、最大効率スイッチング周波数は、電源の構成部品における機械的共振を励起させる可聴周波数の範囲外であり得る。
【0042】
判断ブロック220が、IPKMIN≦IPKであるとわかると、フローはブロック225に向けられて、最小和多重サイクル変調の代わりに固定スイッチング周波数でのピーク電流PWMにより制御が達成される。1つの実施例において、最小和多重サイクル変調は、低い出力電力の伝達を制御するために用いられ得るとともに、固定周波数ピーク電流PWM(固定周波数ピーク電流モード制御としても知られる)は、本発明の教示に従う、より高い出力電力の伝達を制御するために用いられ得る。
【0043】
したがって、1つの実施例において、ピークスイッチング電流IPKと最小ピークスイッチング電流IPKMINとの間の関係に依存して、スイッチは、第1または第2の動作モードに従って導通するように制御され得る。第1の動作モードにおいて、スイッチは、スイッチング期間内の固定時間の間、導通するように制御されて、その固定のスイッチング期間内のピークスイッチング電流は、電源の出力を制御するために調整される。代わりに、第2の動作モードにおいて、スイッチは、固定のスイッチング期間内で導通するように制御され得るが、その固定のスイッチング期間は、一群の連続的なスイッチング期間であって、スイッチングのない時間によって、その次の群の連続的なスイッチング期間から分離される。スイッチングのない時間は、電源の出力を制御するために調整される。この実施例において、スイッチングのない期間は、有効スイッチング周波数が、可聴周波数範囲外となるか、または可聴周波数範囲内にあるように調整され得るが、スイッチングが生じるグループにおける期間の数と、スイッチングが生じない次のグループにおける期間の数との和が、最小値以上となるように、スイッチングのない期間の調整が制限される。
【0044】
1つの実施例において、本発明の教示に従う、より高い電力の伝達を調整するために、周波数変調としても知られる期間の変調をピーク電流モードPWMの代わりに用いることが可能であり得る。この例において、最小和多重サイクル変調に対して周期変調を用いるという判断は、制御において出力を維持するために必要なピーク電流よりもむしろ、等価なスイッチング周波数を考慮するであろう。たとえば、スイッチング期間がフィードバック信号に応じて増大して、軽負荷を示すであろうしきい値を交差する場合、動作が周期変調から最小和多重サイクル変調へと変化する。
【0045】
別の実施例において、本発明の教示に従う、より高い電力の伝達を調整するために、固定周波数電圧モードPWMをピーク電流モードPWMの代わりに用いることが可能であり得る。この例において、最小和多重サイクル変調に対してPWMを用いるという判断は、制御において出力を維持するために必要なピーク電流よりもむしろ、スイッチングのオン時間を考慮するであろう。たとえば、フィードバック信号に応じてオン時間が減少して、軽負荷を示すであろうしきい値を交差する場合、動作は固定周波数電圧モードPWMから最小和多重サイクル変調へと変化する。
【0046】
図3は、本発明の教示に従う、最小和多重サイクル変調の回路の1つの例を示す概略図300である。図3の概略図300は、図1の例示的な電源100のような、例示的な電源の例示的コントローラ138に含まれる制御回路140の一部である。示されるように、図3の最小和多重サイクル変調回路の実施例は、インバータ306と、ANDゲート308および334と、ラッチ310および338と、単安定マルチバイブレータ312と、発振器316と、カウンタ322とを含む。図4は、図3の概略図における信号間の関係を示すタイミング図400である。
【0047】
示された例において、図3の発振器316は、クロック信号318を供給し、クロック信号318はスイッチング周波数を確立するとともに、電源のためのスイッチング期間を記録する。1つの実施例において、クロック信号318は、また、図3には示されていないコントローラにおけるさまざまな回路へと分配される。図4は、クロック信号318が、各々が期間TSを有する16個の連続的なスイッチング期間405の開始を記すことを示す。図4の例において、駆動信号UD(154)は、クロック信号318と同期する。スイッチング期間405の並びにおける第1のスイッチング期間における駆動信号UD(154)の立上がりエッジは、時刻t0(410)におけるクロック信号318の立上がりエッジに一致する。
【0048】
電源が最小和多重サイクル変調で動作する場合、図3における回路は、START SKIP(スタートスキップ)信号302とSTOP SKIP(ストップスキップ)信号304とを受けて、SKIP(スキップ)信号342を生成する。図3の最小和多重サイクル変調回路において、START SKIP信号302とSTOP SKIP信号304とは、入力とみなされ得るとともに、SKIP信号342は、出力とみなされ得る。1つの実施例において、SKIP信号342は、駆動信号UD(154)を抑止して、その結果、SKIP信号342がハイ論理レベルにあるときにスイッチングが生じることを不可能にする。1つの実施例において、ある入力においてSKIP信号342の相補の信号を受けて、もう1つの入力において駆動コマンドを受けるANDゲート(図示せず)のような単純な論理回路が、SKIP信号342がハイであるときに駆動信号UD(154)を抑止し得る。
【0049】
1つの実施例において、論理回路(図示せず)は、誤差信号UERROR(148)に応答して、START SKIP信号302とSTOP SKIP信号304とを生成する。誤差信号UERROR(148)がスキップしきい値内にある場合、論理回路はSTART SKIP信号302であるパルスを生成する。誤差信号UERROR(148)がスキップしきい値を超えて上昇する場合、論理回路は、STOP SKIP信号304であるパルスを生成する。
【0050】
以下に説明するような最小和多重サイクル変調回路がない場合、START SKIP信号302は、スイッチングが禁止される一連のスイッチング期間を開始し、STOP SKIP信号304は、スイッチングが許可される一連のスイッチング期間を開始するであろう。図3の例において、最小和多重サイクル変調回路は、SKIP信号342を監視して、スイッチングが許可されるグループにおけるスイッチング期間の数Nと、スイッチングが禁止される、その次のグループにおけるスイッチング期間の数であるMとの和が最小値K以上であるようにスキップ期間の数を制限する必要がある場合に、START SKIP信号302をマスクする。
【0051】
図4のタイミング図において、駆動信号UD(154)のスイッチング事象470,475,480,485は、最小和多重サイクル回路がラッチ310からSTART SKIP信号302をマスクしなかった場合にそれらの事象がスキップされたであろうことを示すために、アスタリスク(*)によって記録される。時刻t0(410)において、START SKIP信号302と、STOP SKIP信号304と、ONE−SHOT信号314と、SKIP MASK(スキップマスク)信号340と、SKIP信号342とは論理ローレベルにある。時刻t0(410)においてSKIP信号342がローであるので、時刻t0(410)におけるCLOCK(クロック)信号318からのパルスは、駆動信号UD(154)がハイとなる有効スイッチング期間を開始する。駆動信号UD(154)は、図1でも示されているように、電流検知信号136が電流制限値IPK(132)に達するまではハイに保たれる。時刻t1(415)において開始される次のスイッチング期間は、また、駆動信号UD(154)が再びハイとなる有効スイッチング期間である。
【0052】
SKIP信号342とSKIP MASK信号340とは、時刻t2(420)においてSTART SKIP信号302がハイとなるまでローのままで保たれる。時刻t2(420)においてSTART SKIP信号302がハイになると、ラッチ310はSKIP信号342をハイ論理レベルに設定する。ハイレベルのSKIP信号342により、スイッチングが無効となる(スイッチS1 156がオンするのを禁止される)。したがって、駆動信号UD(154)は、SKIP信号342がハイである間ローのままである。SKIP信号342は、時刻t3(425)においてハイとなるまでハイに保たれる。
【0053】
時刻t2(420)においてSKIP信号342がハイ論理レベルになると、ワンショットとも呼ばれる単安定マルチバイブレータ312がラッチ338の出力であるSKIP MASK信号340をハイ論理レベルに設定する出力信号314を生成する。ワンショット312からの出力信号314は、カウンタ322のRESET入力320で受信されて、出力326,328,330,332を0(ロー論理レベル)に設定する。カウンタ322の出力326,328,330,332は、それぞれ、カウンタ322のカウント値の最下位ビットの数字から最上位ビットの数字までをそれぞれ表わす。SKIP MASK信号340は、また、カウンタ322のENABLE入力324において受信される。SKIP MASK信号340がハイになると、カウンタ322は、CLOCK信号318のパルスのカウントを開始する。他の実施例において、SKIP MASK信号340を受信する代わりに、カウンタ322のENABLE入力324がハイ論理レベルに固定されてカウンタ322が連続的にカウントを行なってもよい。SKIP MASK信号340によって有効になったカウンタは、スイッチング損失を減少させるが、連続的に動作するカウンタは、図3には示されていない別の回路によって用いられる、低減された周波数での連続的なクロック信号を供給し得る。
【0054】
SKIP MASK信号340は、カウンタ322の1以上の出力が、ANDゲート334の出力によってラッチ338がリセットされる値に達するまで、ハイに保たれる。図3の例において、ラッチ338をリセットするカウンタ322の出力の値は6、またはバイナリ値で0110であるが、それは、ANDゲート334の2つの入力が、カウンタ322からの出力328および330を受けるためである。カウンタ322からの出力328および330は、カウンタが、値6に達するときにはともにハイである。
【0055】
別の実施例において、カウンタ322からの他の出力は、2よりも大きい入力を有するANDゲートによって受信されて、カウンタ322とは異なる値でラッチ338をリセットし得る。さらに別の例において、より複雑な論理回路がカウンタ322からの出力を受けるとともに、信号を制御するかまたは信号をプログラムするように論理的に組合されて、ラッチ322をリセットするカウント値が電源の必要に従って動的に変化してもよい。
【0056】
図4の例示的なタイミング図において、START SKIP信号302は、時刻t4(430)においてハイになるが、SKIP信号342はSKIP MASK信号340によってマスクされるので、時刻t4(430)においてハイにはならない。SKIP MASK信号340のハイ論理レベルは、インバータ306によって反転されて、ANDゲート308の入力においてロー論理レベルが印加されて、それによってSTART SKIP信号302がラッチ310を設定することを防ぐ。図3の最小和多重サイクル変調回路がない場合、図4におけるSKIP信号342は、START SKIP信号302およびSTOP SKIP信号340にそれぞれ応じて、時刻t4(430)においてハイとなり、時刻t6(440)においてローとなるであろう。それは、図4において、時刻t4(430)および時刻t6(440)の間の点線によって示されている。
【0057】
図4の実施例において、SKIP MASK信号340は、時刻t2(420)においてハイとなり、CLOCK信号318のKカウントの間ハイのままであり、時刻t5(435)においてローとなる。図4は、図3の例示的回路の動作を示しているので、K=6である。SKIP MASK信号340が、時刻t2(420)においてカウンタ322を有効にしたあと、CLOCK信号318の6番目のパルスにおいてSKIP MASK信号340がローとなる。
【0058】
図4は、START SKIP信号302が時刻t4(430)においてハイになるが、SKIP信号342が時刻t4(430)においてハイとならないことを示している。なぜなら、SKIP MASK信号340は時刻t4(430)においてハイであり、ANDゲート308によって、START SKIP信号302がラッチ310を設定することが防がれるためである。
【0059】
図4の実施例は、START SKIP信号302が時刻t7(445)において再びハイになることを示し、時刻t7(445)はSKIP MASK信号340がローとなる時刻である。したがって、START SKIP信号302は、SKIP信号342をハイ論理レベルに立上げるためにラッチ310を設定する。SKIP信号342の遷移は、単安定マルチバイブレータ312からのONE−SHOT(ワンショット)信号314のパルスを生成し、そのパルスはラッチ338を設定するとともにカウンタ322をリセットする。
【0060】
図4の実施例は、SKIP信号342が、STOP SKIP信号340に応じて時刻t8(450)においてローになることを示すが、SKIP信号342は、SKIP MASK信号340が、時刻t9(455)においてなおもハイであるために、時刻t9(455)において、START SKIP信号302に応じてハイにはならない。SKIP MASK信号340は、時刻t10(460)までハイに保たれる。時刻t10(460)は、カウンタ322がリセットされて、時刻t7(445)において有効となったあとのCLOCK信号318の6番目のカウントに達した時刻である。カウンタ322およびANDゲート344は、SKIP信号342およびCLOCK信号318に応じてSKIP MASK信号340をリセットするフィルタ回路とみなされ得る。
【0061】
図4の実施例において、SKIP MASK信号340は、START SKIP信号302が時刻t9(455)においてハイとなったあとにスイッチング事象475,490,485が生じることを可能にする。STOP SKIP信号340は、時刻t11(465)においてハイとなるが特段の効果を生じさせない。その理由は、START SKIP信号302が時刻t9(455)においてハイとなったためにSKIP信号342はハイにならないためである。最小和多重サイクル変調回路のない場合、SKIP信号342は、時刻t9(455)と時刻t11(465)との間のSKIP信号342の破線によって示されるように、時刻t9(455)においてハイとなるであろう。
【0062】
図3および図4の実施例によって示されるように、最小和多重サイクル変調は、有効スイッチング期間および無効スイッチング期間の数に下限を設定する。最小和多重サイクル変調は、有効スイッチング期間の数、または無効スイッチング期間の数に上限を課すものではない。したがって、無負荷の条件下では、スイッチングは、無制限の数のスキップ期間によって無期限に無効となる可能性がある。スイッチングのない期間が延びるという問題を避けるために、1次側制御を用いる電源のコントローラは、典型的には、スイッチング事象の間の時間に上限を設定するタイマを有する。1つの実施例において、タイマ(コントローラ138には示されていない)は、スイッチS1(156)を、少なくとも4ミリ秒ごとに閉じる。
【0063】
図5は、本発明の教示に従う、電源を制御するための別の方法を一般的に記述する別の例示的なフロー図である。ブロック505において開始されると、ブロック510において電源の出力が検知される。
【0064】
次に、ブロック515において、コントローラは電源出力について検知された情報を用いて、スイッチング期間TSを変化させる周期変調で電源の出力を制御するために必要な等価スイッチング周波数fEQを決定する。次に、判断ブロック520において、等価スイッチング周波数fEQの値が、基準値fREFと比較される。1つの実施例において、基準周波数fREFは、対象の最大可聴周波数以上である。1つの実施の形態において、基準周波数はほぼ30kHzである。
【0065】
1つの実施例において、スイッチング周波数fEQは、フィードバック信号に基づいて、基準周波数fREFよりも高いあるいは低く見積もられる。周波数fEQがfREFよりも低く見積もられることは、可聴周波数の範囲内のスイッチング周波数を要求する軽負荷を意味する。これらの条件下において、判断ブロック520がfREF>fEQであるとわかると、フローはブロック530に向けられる。次に、ブロック535において、最小和多重サイクル調整により制御が達成される。
【0066】
ブロック535に示されるように、最小和多重サイクル変調は、出力の制御を、スイッチング信号におけるスイッチングのN個の期間を有効にすることによって達成し、スイッチングのN個の期間の各々は、期間TSGを有し、スイッチングのないM個の期間TSGがそれに続く。実施例において、NとMとの和は、最小値K以上に制限される。ここで、Kの値は、所望のアプリケーションの性能の要求を満たすように選ばれる。実施例において、本発明の教示に従う最小和多重サイクル変調は、電源がコスト、効率および出力の制御の要求を満たしながら、望ましくない可聴周波数の発生を回避する。
【0067】
判断ブロック520が、fREF≦fEQであるとわかると、フローはブロック525に向けられて、最小和多重サイクル変調の代わりに期間変調で制御が達成される。1つの実施例において、最小和多重サイクル変調は、低い出力電力の伝達を制御するために用いられ得るとともに、期間変調(周波数変調としても知られている)は、本発明の教示に従う、より高い出力電力の伝達を制御するために用いられ得る。
【0068】
図6は、本発明の教示に従う、電源を制御するためのさらに別の方法を一般的に記述するさらに別の例示的なフロー図である。ブロック605において開始されると、ブロック610において電源の出力が検知される。
【0069】
次に、ブロック615において、コントローラは電源の出力について検知された情報を用いて、固定のスイッチング周波数においてパルス幅変調で電源の出力を調整する制御するために必要な、固定のスイッチング期間TSの範囲内でスイッチのオン時間TONを決定する。次に、判断ブロック620において、オン時間TONの値が基準最小値TONMINと比較される。1つの実施例において、最小オン時間は、制御回路によって制御可能な最小オン時間である。1つの実施の形態において、最小オン時間TONMINは、ほぼ600ナノ秒である。電源回路がこれ以上オン時間を減少させることができない条件下において、出力を調整するために異なるパラメータを変更させる必要がある。
【0070】
1つの実施例において、オン時間TONは、フィードバック信号に基づいて最小値TONMINよりも高くあるいは低く見積もられる。TONがTONMINよりも低く見積もられることは、可聴周波数の範囲内のスイッチング周波数を要求する軽負荷を意味する。これらの条件下において、判断ブロック620がTONMIN>TONであることがわかると、フローはブロック630に向けられる。次に、ブロック635において、最小和多重サイクル変調により制御が達成される。
【0071】
ブロック635に示されるように、最小和多重サイクル変調は、出力の制御を、スイッチング信号におけるスイッチングのN個の期間を有効にすることによって達成し、スイッチングのN個の期間の各々は、期間TSGを有し、スイッチングのないM個の期間TSGがそれに続く。実施例において、NとMとの和は、最小値K以上に制限される。ここで、Kの値は、所望のアプリケーションの性能の要求を満たすように選ばれる。実施例において、本発明の教示に従う最小和多重サイクル変調は、電源がコスト、効率および出力の制御の要求を満たすことを可能にしながら、望ましくない可聴周波数の発生を回避する。
【0072】
判断ブロック620が、TONMIN≦TONであることがわかると、フローは、ブロック625に向けられて、固定周波数パルス幅変調で制御が実行される。1つの実施例において、最小和多重サイクル変調は、低い出力電力の伝達を制御するために用いられ得るとともに、固定周波数パルス幅変調は、本発明の教示に従う、より高い出力電力の伝達を制御するために用いられ得る。
【0073】
要約において説明されていることを含む、本発明の図示された実施例の以上の説明は、包括的なものであることを意図するものではなく、あるいは、開示されたとおりの形態に制限することを意図するものではない。本発明の具体的な実施の形態、および本発明の実施例が図示の目的で本明細書において説明されているが、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなくさまざまな等価な変形が可能である。特定の例での電圧、電流、周波数、電力の範囲の値、時間などは説明の目的で与えられるものであり、本発明の教示に従う別の実施の形態および実施例において他の値が採用され得ることが明らかである。
【0074】
これらの変形例は、上記の詳細な説明の観点において、本発明の実施例とすることが可能である。以下の特許請求の範囲で用いられる用語は、明細書および特許請求の範囲で開示された特定の実施の形態に本発明を限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下に続く特許請求の範囲によって、範囲が決定されるべきであり、特許請求の範囲は、確立された請求項の解釈の原則に従って解釈されるべきである。この明細書および図面は、したがって、制限的なものではなく、図示のためのものとしてみなされるべきである。
【符号の説明】
【0075】
100 直流−直流電源、110,112,126 巻線、124 エネルギ伝達素子(T1)、138 コントローラ、140 制御回路、146 エラーアンプ、150 信号分離器、156 スイッチ(S1)、158 カウンタ、160 論理ゲート、158 発振器、306 インバータ、308,334 ANDゲート、310,338 ラッチ、312 単安定マルチバイブレータ(ワンショット)、316 発振器、322 カウンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源コントローラであって、
電源の出力を表わす検知信号に応じて、フィードバック信号を生成するように結合された信号分離回路と、
前記フィードバック信号と参照信号とに応じて、誤差信号を生成するように結合された誤差信号生成器と、
前記誤差信号と電流検知信号とに応じて駆動信号を生成するように結合された制御回路とを備え、前記駆動信号は、前記電源のスイッチのスイッチングを制御するように結合され、前記電流検知信号は、前記スイッチを流れる電流を表わし、さらに、
前記制御回路に含まれて、スタートスキップ信号と、ストップスキップ信号と、スキップマスク信号とに応じてスキップ信号を生成するように結合された多重サイクル変調回路を備え、前記スキップマスク信号は、前記スキップ信号に応じて生成され、前記スタートスキップ信号は、前記駆動信号に、周期のオン時間間隔のスキップを開始させるように結合され、前記ストップスキップ信号は、前記駆動信号に、周期の前記オン時間間隔のスキップを停止させるように結合され、前記スキップマスク信号は、前記スタートスキップ信号が、前記駆動信号に、周期の前記オン時間間隔のスキップを開始させることを無効とさせるように結合される、電源コントローラ。
【請求項2】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップ信号およびクロック信号に応じて、前記スキップマスク信号をリセットするように結合されたフィルタ回路を備える、請求項1に記載の電源コントローラ。
【請求項3】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップマスク信号を生成するように結合された第1のラッチを備え、前記第1のラッチは、前記スキップ信号に応じて設定されるように結合され、前記第1のラッチは、前記フィルタ回路に応じてリセットされるように結合される、請求項2に記載の電源コントローラ。
【請求項4】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップ信号に応じて前記第1のラッチを設定するように結合されたワンショット回路を備える、請求項3に記載の電源コントローラ。
【請求項5】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記クロック信号を生成するように結合された発振器を備える、請求項2に記載の電源コントローラ。
【請求項6】
前記フィルタ回路は、前記クロック信号に応じてクロックされるように結合されたカウンタを備え、前記カウンタは、さらに、前記スキップ信号に応じてリセットされるように結合される、請求項2に記載の電源コントローラ。
【請求項7】
前記フィルタ回路は、さらに、前記カウンタの1以上の出力に応じて前記スキップマスク信号をリセットするように結合された第1の論理ANDゲートを備える、請求項6に記載の電源コントローラ。
【請求項8】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップ信号を生成するように結合された第2のラッチを備え、前記第2のラッチは前記スタートスキップ信号および前記スキップマスク信号に応じて設定されるように結合され、前記第2のラッチは、前記ストップスキップ信号に応じてリセットされるように結合される、請求項1に記載の電源コントローラ。
【請求項9】
前記スタートスキップ信号と前記ストップスキップ信号とは、前記誤差信号に応じて生成される、請求項1に記載の電源コントローラ。
【請求項10】
前記制御回路は、さらに、可変電流制限信号を生成して前記電源の前記出力を制御するように結合された電流制限回路を備え、前記電流制限回路は、電流検知信号および可変電流制限信号に応じて、前記駆動信号の各々の周期のオン時間間隔を終わらせるように結合され、前記多重サイクル変調回路は、前記可変電流制限信号がしきい値電流制限値未満である場合に、前記スタートスキップ信号と、前記ストップスキップ信号と、前記スキップマスク信号とに応じて、前記スキップ信号を生成するように結合される、請求項1に記載の電源コントローラ。
【請求項11】
電源コントローラであって、
電源の出力を表わす検知信号に応じて、フィードバック信号を生成するように結合された信号分離回路と、
前記フィードバック信号と参照信号とに応じて、誤差信号を生成するように結合された誤差信号生成器と、
前記誤差信号に応じて駆動信号を生成して前記電源のスイッチのスイッチングを制御して、前記電源の前記出力を制御するように結合された制御回路とを備え、
前記制御回路は、さらに、
前記誤差信号に応じて前記駆動信号のスイッチング周波数を変更して前記電源の前記出力を制御するように結合された、周波数変更回路と、
前記駆動信号の前記スイッチング周波数がしきい値スイッチング周波数の値より大きい場合に、スタートスキップ信号と、ストップスキップ信号と、スキップマスク信号とに応じてスキップ信号を生成するように結合された多重サイクル変調回路とを備え、前記スキップマスク信号は前記スキップ信号に応じて生成され、前記スタートスキップ信号は、前記駆動信号に、周期のオン時間間隔のスキップを開始させるように結合され、前記ストップスキップ信号は、前記駆動信号に、周期の前記オン時間間隔のスキップを停止させるように結合され、前記スキップマスク信号は、前記スタートスキップ信号が、前記駆動信号に、周期の前記オン時間間隔のスキップを開始させることを無効とさせるように結合される、電源コントローラ。
【請求項12】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップ信号およびクロック信号に応じて、前記スキップマスク信号をリセットするように結合されたフィルタ回路を備える、請求項11に記載の電源コントローラ。
【請求項13】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップマスク信号を生成するように結合された第1のラッチを備え、前記第1のラッチは、前記スキップ信号に応じて設定されるように結合され、前記第1のラッチは、前記フィルタ回路に応じてリセットされるように結合される、請求項12に記載の電源コントローラ。
【請求項14】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップ信号に応じて前記第1のラッチを設定するように結合されたワンショット回路を備える、請求項13に記載の電源コントローラ。
【請求項15】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記クロック信号を生成するように結合された発振器を備える、請求項12に記載の電源コントローラ。
【請求項16】
前記フィルタ回路は、前記クロック信号に応じてクロックされるように結合されたカウンタを備え、前記カウンタは、さらに、前記スキップ信号に応じてリセットされるように結合される、請求項12に記載の電源コントローラ。
【請求項17】
前記フィルタ回路は、さらに、前記カウンタの1以上の出力に応じて前記スキップマスク信号をリセットするように結合された第1の論理ANDゲートを備える、請求項16に記載の電源コントローラ。
【請求項18】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップ信号を生成するように結合された第2のラッチを備え、前記第2のラッチは前記スタートスキップ信号および前記スキップマスク信号に応じて設定されるように結合され、前記第2のラッチは、前記ストップスキップ信号に応じてリセットされるように結合される、請求項1に記載の電源コントローラ。
【請求項19】
前記スタートスキップ信号と前記ストップスキップ信号とは、前記誤差信号に応じて生成される、請求項11に記載の電源コントローラ。
【請求項20】
電源コントローラであって、
電源の出力を表わす検知信号に応じて、フィードバック信号を生成するように結合された信号分離回路と、
前記フィードバック信号と参照信号とに応じて、誤差信号を生成するように結合された誤差信号生成器と、
前記誤差信号に応じて駆動信号を生成して前記電源のスイッチのスイッチングを制御して、前記電源の前記出力を制御するように結合された制御回路とを備え、
前記制御回路は、さらに、
前記誤差信号に応じて前記駆動信号の各周期のオン時間間隔のパルス幅を変更して前記電源の前記出力を制御するように結合された、パルス幅変調回路と、
前記駆動信号の周期の前記オン時間間隔がしきい値オン時間の値未満である場合に、スタートスキップ信号と、ストップスキップ信号と、スキップマスク信号とに応じてスキップ信号を生成するように結合された多重サイクル変調回路とを備え、前記スキップマスク信号は前記スキップ信号に応じて生成され、前記スタートスキップ信号は、前記駆動信号に、周期のオン時間間隔のスキップを開始させるように結合され、前記ストップスキップ信号は、前記駆動信号に、周期の前記オン時間間隔のスキップを停止させるように結合され、前記スキップマスク信号は、前記スタートスキップ信号が、前記駆動信号に、周期の前記オン時間間隔のスキップを開始させることを無効とさせるように結合される、電源コントローラ。
【請求項21】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップ信号およびクロック信号に応じて、前記スキップマスク信号をリセットするように結合されたフィルタ回路を備える、請求項20に記載の電源コントローラ。
【請求項22】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップマスク信号を生成するように結合された第1のラッチを備え、前記第1のラッチは、前記スキップ信号に応じて設定されるように結合され、前記第1のラッチは、前記フィルタ回路に応じてリセットされるように結合される、請求項21に記載の電源コントローラ。
【請求項23】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップ信号に応じて前記第1のラッチを設定するように結合されたワンショット回路を備える、請求項22に記載の電源コントローラ。
【請求項24】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記クロック信号を生成するように結合された発振器を備える、請求項21に記載の電源コントローラ。
【請求項25】
前記フィルタ回路は、前記クロック信号に応じてクロックされるように結合されたカウンタを備え、前記カウンタは、さらに、前記スキップ信号に応じてリセットされるように結合される、請求項21に記載の電源コントローラ。
【請求項26】
前記フィルタ回路は、さらに、前記カウンタの1以上の出力に応じて前記スキップマスク信号をリセットするように結合された第1の論理ANDゲートを備える、請求項24に記載の電源コントローラ。
【請求項27】
前記多重サイクル変調回路は、さらに、前記スキップ信号を生成するように結合された第2のラッチを備え、前記第2のラッチは前記スタートスキップ信号および前記スキップマスク信号に応じて設定されるように結合され、前記第2のラッチは、前記ストップスキップ信号に応じてリセットされるように結合される、請求項20に記載の電源コントローラ。
【請求項28】
前記スタートスキップ信号と前記ストップスキップ信号とは、前記誤差信号に応じて生成される、請求項20に記載の電源コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−70604(P2013−70604A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−208291(P2012−208291)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(501315784)パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド (125)
【Fターム(参考)】