説明

電源システムおよびそれを備える車両

【課題】外部充電時の損失を低減可能な電源システムおよびそれを備える車両を提供する。
【解決手段】外部電源50による蓄電装置10,12の外部充電時に、電圧センサ42によって検出される外部電源50の電圧Vがしきい値Vthよりも高いとき、RLY22,28およびSMR30がオンにされ、RLY24,26がオフにされる。これにより、蓄電装置10,12が正極線PL2および負極線NL2間に直列に接続される。外部充電時に電圧Vがしきい値Vth以下であるときは、RLY22,24,26,28がオンにされ、SMR30がオフにされる。これにより、蓄電装置10,12が正極線PL2および負極線NL2に並列に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電源システムおよびそれを備える車両に関し、特に、外部電源によって充電可能な複数の蓄電装置を備える電源システム、およびそれを搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置に蓄えられた電力によって電動機を駆動して走行する、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両が知られている。このような車両において、車両外部の電源(以下「外部電源」と称する。)によって蓄電装置を充電する構成が提案されている(以下、外部電源による蓄電装置の充電を「外部充電」とも称する。)。たとえば、特開2009−225587号公報には、そのような外部充電可能な車両の構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225587号公報
【特許文献2】特開平5−236608号公報
【特許文献3】特開2005−210840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部充電時に外部電源の電圧と蓄電装置の電圧との差が小さいほど、電力変換に要する仕事が少なくて済むので、外部充電時の損失は小さくなる。また、外部電源から供給される充電電力を一定とした場合、蓄電装置の電圧が高いほど、充電電流が小さくなるので、ジュール熱による損失は小さくなる。上記公報では、このような観点での外部充電時の損失低減についての検討は行なわれていない。
【0005】
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、外部充電時の損失を低減可能な電源システムおよびそれを備える車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によれば、電源システムは、複数の蓄電装置と、充電装置と、切替装置とを備える。複数の蓄電装置は、外部電源によって充電可能である。充電装置は、外部電源によって複数の蓄電装置を充電する。切替装置は、外部電源による複数の蓄電装置の充電時に、外部電源に応じて複数の蓄電装置を充電装置に並列に接続するか直列に接続するかを切替える。
【0007】
好ましくは、切替装置は、外部電源の電圧に応じて、複数の蓄電装置を充電装置に並列に接続するか直列に接続するかを切替える。
【0008】
好ましくは、切替装置は、外部電源の電圧が所定のしきい値よりも低いとき、複数の蓄電装置を充電装置に並列に接続し、外部電源の電圧がしきい値以上のとき、複数の蓄電装置を充電装置に直列に接続する。
【0009】
好ましくは、しきい値は、複数の蓄電装置の電圧により決定される。
また、好ましくは、切替装置は、外部電源から供給される電力に応じて、複数の蓄電装置を充電装置に並列に接続するか直列に接続するかを切替える。
【0010】
好ましくは、切替装置は、外部電源から供給される電力が所定のしきい値よりも大きいとき、複数の蓄電装置を充電装置に直列に接続し、外部電源から供給される電力がしきい値以下のとき、複数の蓄電装置を充電装置に並列に接続する。
【0011】
好ましくは、しきい値は、充電装置の定格電流により決定される。
また、好ましくは、切替装置は、外部電源が蓄電装置を急速に充電するための急速充電用電源であるか否かによって、複数の蓄電装置を充電装置に並列に接続するか直列に接続するかを切替える。
【0012】
好ましくは、切替装置は、外部電源が急速充電用電源であるとき、複数の蓄電装置を充電装置に直列に接続し、外部電源が急速充電用電源でないとき、複数の蓄電装置を充電装置に並列に接続する。
【0013】
好ましくは、切替装置は、複数の第1の開閉器と、少なくとも1つの第2の開閉器と、制御装置とを含む。複数の第1の開閉器は、複数の蓄電装置に対応して設けられ、複数の蓄電装置と充電装置との間の電路にそれぞれ設けられる。少なくとも1つの第2の開閉器は、複数の蓄電装置を直列接続するためのものである。制御装置は、外部電源に応じて複数の第1の開閉器および少なくとも1つの第2の開閉器の開閉動作を制御する。
【0014】
また、この発明によれば、車両は、上述したいずれかの電源システムと、電源システムから供給される電力によって走行駆動力を発生する電動機とを備える。
【発明の効果】
【0015】
この発明においては、充電装置を用いて、外部電源によって複数の蓄電装置が充電される。ここで、切替装置によって、外部充電時に外部電源に応じて複数の蓄電装置を充電装置に並列に接続するか直列に接続するかが切替えられるので、複数の蓄電装置の接続構成(並列または直列)を外部電源に応じて適宜切替えることができる。したがって、この発明によれば、外部充電時の損失を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1による電源装置を搭載した車両の全体ブロック図である。
【図2】充電器の構成例を示す回路図である。
【図3】ECUにより実行される蓄電装置の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施の形態1の変形例1におけるECUにより実行される蓄電装置の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態1の変形例2におけるECUにより実行される蓄電装置の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】蓄電装置のSOCの変化と走行モードとの関係を示した図である。
【図7】実施の形態2におけるECUにより実行される蓄電装置の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】実施の形態2の変形例におけるECUにより実行される蓄電装置の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による電源装置を搭載した車両の全体ブロック図である。図1を参照して、車両は、蓄電装置10,12と、システムメインリレー(以下「SMR(System Main Relay)」と称する。)14,16,18,20,30と、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」と称する。)32と、MG−ECU(Electronic Control Unit)33と、モータジェネレータ(以下「MG(Motor Generator)」と称する。)34と、駆動輪36とを備える。また、車両は、インレット38と、充電器40と、リレー(以下「RLY」と称する。)22,24,26,28と、電圧センサ42と、電流センサ43と、ECU44とをさらに備える。
【0019】
蓄電装置10,12の各々は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池によって構成される。なお、各蓄電装置10,12として、大容量のキャパシタも採用可能であり、外部電源50やPCU32から供給される電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力をPCU32へ出力可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
【0020】
SMR14は、蓄電装置10の正極と正極線PL1との間に設けられ、ECU44からの信号S1によってオン/オフされる。SMR16は、蓄電装置10の負極と負極線NL1との間に設けられ、ECU44からの信号S2によってオン/オフされる。SMR18は、蓄電装置12の正極と正極線PL1との間に設けられ、ECU44からの信号S3によってオン/オフされる。SMR20は、蓄電装置12の負極と負極線NL1との間に設けられ、ECU44からの信号S4によってオン/オフされる。SMR30は、蓄電装置10の負極と蓄電装置12の正極との間に設けられ、ECU44からの信号S9によってオン/オフされる。
【0021】
PCU32は、正極線PL1および負極線NL1に接続され、MG−ECU33からの制御信号に基づいてMG34を駆動する。また、車両の制動時には、PCU32は、駆動輪36から運動エネルギーを受けてMG34が発電した電力を電圧変換して正極線PL1および負極線NL1へ出力する。PCU32は、たとえば、三相分のスイッチング素子を含む三相PWMインバータによって構成される。なお、三相PWMインバータと正極線PL1および負極線NL1との間に電圧コンバータを設けてもよい。
【0022】
MG−ECU33は、予め記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、PCU32の動作を制御する。
【0023】
MG34は、力行動作および回生動作可能な電動発電機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動発電機によって構成される。MG34は、PCU32によって駆動され、走行用の駆動トルクを発生して駆動輪36を駆動する。また、車両の制動時には、MG34は、車両の有する運動エネルギーを駆動輪36から受けて発電する。
【0024】
インレット38は、外部電源50に接続されるコネクタ52と嵌合可能に構成される。そして、インレット38は、外部電源50から供給される電力を受けて充電器40へ出力する。なお、インレット38に代えて、外部電源50のコンセントに接続可能に構成された充電プラグを設けてもよい。
【0025】
充電器40は、外部電源50から電力を受けて蓄電装置10,12を充電するように構成される。この充電器40は、外部電源50から供給される電力をECU44からの制御信号に基づいて蓄電装置10,12の充電電力に変換する。より詳しくは、蓄電装置10,12が正極線PL2および負極線NL2に並列に接続されているとき、充電器40は、外部電源50から供給される電力を蓄電装置10,12の電圧レベルに電圧変換して各蓄電装置10,12へ出力する。一方、蓄電装置10,12が正極線PL2および負極線NL2間に直列に接続されているとき、充電器40は、外部電源50から供給される電力を直列接続された蓄電装置10,12の電圧レベルに電圧変換して蓄電装置10,12へ出力する。
【0026】
RLY22は、蓄電装置10の正極と正極線PL2との間に設けられ、ECU44からの信号S5によってオン/オフされる。RLY24は、蓄電装置10の負極と負極線NL2との間に設けられ、ECU44からの信号S6によってオン/オフされる。RLY26は、蓄電装置12の正極と正極線PL2との間に設けられ、ECU44からの信号S7によってオン/オフされる。RLY28は、蓄電装置12の負極と負極線NL2との間に設けられ、ECU44からの信号S8によってオン/オフされる。
【0027】
電圧センサ42は、インレット38から入力される電力の電圧V(すなわち外部電源50の電圧)を検出し、その検出値をECU44へ出力する。電流センサ43は、インレット38から入力される電流I(すなわち外部電源50から供給される電流)を検出し、その検出値をECU44へ出力する。
【0028】
ECU44は、外部電源50による蓄電装置10,12の充電時(外部充電時)、電圧センサ42により検出される電圧Vに基づいて、RLY22,24,26,28およびSMR30によって構成される切替回路ならびに充電器40を制御し、蓄電装置10,12の充電制御を実行する。
【0029】
詳しく説明すると、蓄電装置10,12の電圧により決定される所定のしきい値よりも電圧Vが高いとき、ECU44は、正極線PL2および負極線NL2間に蓄電装置10,12を直列に接続するように上記切替回路を制御し、インレット38から入力される外部電源50からの電圧を直列接続された蓄電装置10,12の電圧レベルに変換するように充電器40を制御する。
【0030】
一方、電圧Vが上記しきい値以下のとき、ECU44は、蓄電装置10,12を正極線PL2および負極線NL2に並列に接続するように上記切替回路を制御し、インレット38から入力される外部電源50からの電圧を蓄電装置10,12の電圧レベルに変換するように充電器40を制御する。
【0031】
なお、上記のしきい値は、たとえば、蓄電装置10,12の電圧の高い方に設定される。あるいは、外部電源50の電圧と直列/並列切替可能な蓄電装置10,12側の電圧との差を小さくするとの観点で、上記しきい値を決定してもよい。
【0032】
図2は、充電器40の構成例を示す回路図である。図2を参照して、充電器40は、ノードN1に直列に接続されるリアクトルL1と、ノードN2に直列に接続されるリアクトルL2と、平滑コンデンサC1と、ブリッジ回路60,62,66と、トランス64とを含む。
【0033】
ブリッジ回路60は、電力用半導体スイッチング素子のオンオフ制御によって、ノードN1,N2間の交流電圧Vacを直流電圧に変換して、電力線PL3,NL3間へ出力する。電力線PL3,NL3間には、平滑コンデンサC1が接続される。
【0034】
ブリッジ回路62は、電力用半導体スイッチング素子のオンオフ制御によって、電力線PL3,NL3間の直流電圧を交流電力に変換して、トランス64の一次側へ出力する。トランス64は、所定の一次/二次側巻線比に従って一次側の交流電圧を電圧変換して、二次側へ出力する。
【0035】
ブリッジ回路66は、電力用半導体スイッチング素子のオンオフ制御によって、トランス64の二次側の交流電圧を直流電圧に変換し、その変換された直流電圧VdcをノードN3,N4間へ出力する。
【0036】
このようにすると、外部電源50(図1)と蓄電装置10,12との間で絶縁を確保しながら、外部電源50からの交流電圧(たとえばAC100V)を、蓄電装置10,12を充電する直流電圧Vdcに変換する、AC/DC変換動作を実行できる。
【0037】
なお、ブリッジ回路60,62,66における、AC/DC変換のための電力用半導体スイッチング素子のオンオフ制御については、周知のものを適用可能であるので、詳細な説明は省略する。
【0038】
図3は、ECU44により実行される蓄電装置10,12の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、一定時間毎または所定の条件成立時にメインルーチンから呼出されて実行される。
【0039】
図3とともに図1を参照して、ECU44は、外部電源50からの外部充電の実行が要求されているか否かを判定する(ステップS10)。一例として、外部電源50のコネクタ52がインレット38に接続され、所定の充電実行条件が成立しているとき、外部充電の実行が要求されているものと判定される。外部充電の実行が要求されていないと判定されたときは(ステップS10においてNO)、ECU44は、以降の一連の処理を実行することなくステップS50へ処理を移行する。
【0040】
ステップS10において外部充電の実行が要求されているものと判定されると(ステップS10においてYES)、ECU44は、電圧センサ42によって検出された電圧Vがしきい値Vthよりも高いか否かを判定する(ステップS20)。一例として、しきい値Vthは、蓄電装置10,12の電圧の高い方に設定されるものとするが、外部電源50の電圧と直列/並列切替可能な蓄電装置10,12側の電圧との差を小さくするとの観点で、しきい値Vthを決定してもよい。
【0041】
電圧Vがしきい値Vthよりも高いと判定されると(ステップS20においてYES)、ECU44は、RLY22,28をオンにし、RLY24,26をオフにする。さらに、ECU44は、SMR30をオンにし、SMR14,16,18,20をオフにする(ステップS30)。これにより、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2間に直列に接続され、正極線PL1および負極線NL1から電気的に切離される。その後、直列接続された蓄電装置10,12を外部電源50によって充電するように充電器40が制御される。
【0042】
一方、ステップS20において電圧Vがしきい値Vth以下であると判定されると(ステップS20においてNO)、ECU44は、RLY22,24,26,28をオンにする。さらに、ECU44は、SMR30をオフにし、SMR14,16,18,20をオフにする(ステップS40)。これにより、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2に並列に接続され、正極線PL1および負極線NL1から電気的に切離される。その後、並列接続された蓄電装置10,12を外部電源50によって充電するように充電器40が制御される。
【0043】
以上のように、この実施の形態1においては、外部電源50の電圧Vがしきい値Vthよりも高いときは、蓄電装置10,12を直列に接続して外部電源50により蓄電装置10,12が充電される。一方、電圧Vがしきい値Vth以下であるときは、蓄電装置10,12を並列に接続して外部電源50により蓄電装置10,12が充電される。これにより、外部充電時に充電器40の入出力の電圧差を小さくすることができ、充電器40の損失が低減される。したがって、この実施の形態1によれば、外部充電時の損失を低減することができる。
【0044】
[実施の形態1の変形例1]
上記においては、外部電源50の電圧Vに基づいて蓄電装置10,12の接続(直列/並列)を切替えるものとしたが、この変形例1では、外部電源50から供給される電力に基づいて蓄電装置10,12の接続(直列/並列)が切替えられる。具体的には、外部電源50から供給される電力が大きい場合には、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2間に直列に接続される。一方、外部電源50から供給される電力が小さい場合には、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2に並列に接続される。
【0045】
充電器40の定格電流によって充電電流が制限される場合、外部電源50の供給能力に制約がなければ、蓄電装置10,12を直列に接続することによって充電パワーを大きくすることができる。そこで、この変形例1では、外部電源50から供給される電力がしきい値よりも大きい場合には、RLY22,24,26,28およびSMR30によって構成される切替回路を制御することによって、蓄電装置10,12を直列に接続することとしたものである。なお、上記のしきい値は、たとえば、充電器40の定格電流によって決定される。すなわち、充電器40の定格電流が大きいほど、しきい値も大きな値に設定される。
【0046】
図4は、この変形例1におけるECU44により実行される蓄電装置10,12の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理も、一定時間毎または所定の条件成立時にメインルーチンから呼出されて実行される。
【0047】
図4とともに図1を参照して、このフローチャートは、図3に示したフローチャートにおいて、ステップS20に代えてステップS22を含む。すなわち、ステップS10において外部充電の実行が要求されているものと判定されると、ECU44は、外部電源50から供給される電力Pがしきい値Pthよりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。なお、電力Pは、たとえば、電圧センサ42により検出される電圧Vおよび電流センサ43により検出される電流Iに基づいて算出することができる。また、しきい値Pthは、たとえば、充電器40の定格電流に基づいて決定され、充電器40の定格電流が大きいほど大きな値に設定される。
【0048】
そして、ステップS22において電力Pがしきい値Pthよりも大きいと判定されると(ステップS22においてYES)、ECU44は、ステップS30へ処理を移行する。すなわち、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2間に直列に接続される。
【0049】
一方、ステップS22において電力Pがしきい値Pth以下であると判定されると(ステップS22においてNO)、ECU44は、ステップS40へ処理を移行する。すなわち、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2に並列に接続される。
【0050】
以上のように、この変形例1によれば、外部充電時に蓄電装置10,12を直列に接続することによって、蓄電装置10,12の並列接続時に比べて、同じ電流値(たとえば充電器40の定格電流)で充電パワーを大きくすることができる。
【0051】
[実施の形態1の変形例2]
上記の変形例1では、外部電源50から供給される電力に基づいて蓄電装置10,12の接続(直列/並列)を切替えるものとしたが、この変形例2では、外部電源50が、蓄電装置10,12を急速に充電するための急速充電用電源であるか否かによって、蓄電装置10,12の接続(直列/並列)が切替えられる。すなわち、供給電力(充電電力)が大きい急速充電用電源によって蓄電装置10,12の充電が行なわれる場合には、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2間に直列に接続される。一方、急速充電用電源でない通常電源によって蓄電装置10,12の充電が行なわれる場合には、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2に並列に接続される。
【0052】
図5は、この変形例2におけるECU44により実行される蓄電装置10,12の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理も、一定時間毎または所定の条件成立時にメインルーチンから呼出されて実行される。
【0053】
図5とともに図1を参照して、このフローチャートは、図3に示したフローチャートにおいて、ステップS20に代えてステップS24を含む。すなわち、ステップS10において外部充電の実行が要求されているものと判定されると、ECU44は、外部電源50が急速充電用電源であるか否かを判定する(ステップS24)。一例として、この判定は、外部電源50から受ける、外部電源50の種別(急速充電用電源か通常電源か)や定格電力等に関する信号に基づいて行なわれる。
【0054】
そして、ステップS24において外部電源50が急速充電用電源であると判定されると(ステップS24においてYES)、ECU44は、ステップS30へ処理を移行する。すなわち、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2間に直列に接続される。
【0055】
一方、ステップS24において、外部電源50は急速充電用電源ではなく通常電源であると判定されると(ステップS24においてNO)、ECU44は、ステップS40へ処理を移行する。すなわち、蓄電装置10,12は、正極線PL2および負極線NL2に並列に接続される。
【0056】
以上のように、この変形例2によれば、外部電源50が急速充電用電源であるときに、蓄電装置10,12を直列に接続することによって、蓄電装置10,12への充電パワーを大きくすることができる。
【0057】
[実施の形態2]
この実施の形態2では、蓄電装置10,12の残存容量(以下「SOC(State Of Charge)」とも称する。)に基づいて、車両走行時の走行モードが切替えられる。具体的には、この実施の形態2における車両は、動力源として、MG34に加えてエンジンを搭載する。そして、蓄電装置10,12のSOCが低下するまでは、エンジンを停止してMG34のみを用いての走行を優先させるCD(Charge Depleting)モードで走行し、SOCが低下すると、エンジンを作動させて発電用MGにより発電を行ない、SOCを目標に維持するCS(Charge Sustaining)モードで走行する。
【0058】
図6は、蓄電装置10,12のSOCの変化と走行モードとの関係を示した図である。図6を参照して、外部電源50からの外部充電により蓄電装置10,12が満充電状態となった後(SOC=MAX)、走行が開始されるものとする。外部充電後、走行モードはCDモードに設定される。CDモードでの走行中は、車両の減速時等に回収される回生電力により一時的にSOCが増加することがあるものの、全体としては走行距離の増加に伴ないSOCは減少する。そして、時刻t1においてSOCがしきい値Sthに達すると、走行モードがCSモードへ切替わり、しきい値Sthの近傍にSOCが制御される。
【0059】
そして、この実施の形態2では、走行モード(CDモード/CSモード)に応じて、蓄電装置10,12の接続(直列/並列)が切替えられる。具体的には、走行モードがCDモードのときは、蓄電装置10,12は、正極線PL1および負極線NL1に並列に接続される。一方、走行モードがCSモードのときは、蓄電装置10,12は、正極線PL1および負極線NL1間に直列に接続される。
【0060】
CDモードは、主に、外部電源50によって蓄電装置10,12に充電された電力を用いてMG34のみで走行するモードであり、長距離・高速走行の可能性は小さい。一方、CSモード時は、長距離走行となる可能性が高く、高速走行の可能性も大きい。そこで、この実施の形態2では、高速走行の可能性が小さいCDモード時は、蓄電装置10,12を並列接続とすることによってPCU32への供給電圧を下げ、PCU32における電力変換損失をできる限り低減させて燃費最優先を図ることとしたものである。一方、高速走行の可能性が大きいCSモード時は、蓄電装置10,12を直列接続とすることによってPCU32への供給電圧を高め、走行性能の確保を優先させることとしたものである。
【0061】
この実施の形態2における電源装置を搭載した車両の全体構成は、図1に示した車両と同じである。
【0062】
図7は、この実施の形態2におけるECU44により実行される蓄電装置10,12の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理も、一定時間毎または所定の条件成立時にメインルーチンから呼出されて実行される。
【0063】
図7とともに図1を参照して、ECU44は、蓄電装置10,12の残存容量(SOC)を算出する(ステップS110)。なお、このSOCは、蓄電装置10,12においての満充電状態に対する蓄電量を0〜100%で表わしたものであり、蓄電装置10,12の蓄電残量を示す。なお、SOCの算出方法については、種々の公知の手法を用いることができる。
【0064】
次いで、ECU44は、算出された蓄電装置10,12のSOCに基づいて、車両の走行モードを制御する(ステップS120)。具体的には、蓄電装置10,12のSOCがしきい値Sth(図6)まで低下していなければ、走行モードはCDモードとされ、SOCがしきい値Sthまで低下すると、CDモードからCSモードに走行モードが切替えられる。
【0065】
そして、ステップS130において走行モードがCSモードであると判定されると(ステップS130において「CS」)、ECU44は、SMR14,20をオンにし、SMR16,18をオフにする。さらに、ECU44は、SMR30をオンにし、RLY22,24,26,28をオフにする(ステップS140)。これにより、蓄電装置10,12は、正極線PL1および負極線NL1間に直列に接続され、正極線PL2および負極線NL2から電気的に切離される。
【0066】
一方、ステップS130において走行モードがCDモードであると判定されると(ステップS130において「CD」)、ECU44は、SMR14,16,18,20をオンにする。さらに、ECU44は、SMR30をオフにし、RLY22,24,26,28をオフにする(ステップS150)。これにより、蓄電装置10,12は、正極線PL1および負極線NL1に並列に接続され、正極線PL2および負極線NL2から電気的に切離される。
【0067】
以上のように、この実施の形態2によれば、車両の使用状況に応じて、蓄電装置10,12からPCU32へ適切に電力を供給することができる。
【0068】
[実施の形態2の変形例]
上記の実施の形態2においては、走行モードに応じて蓄電装置10,12の接続(直列/並列)を切替えるものとしたが、この変形例では、蓄電装置10,12のSOCに基づいて蓄電装置10,12の接続(直列/並列)が切替えられる。具体的には、たとえば、蓄電装置10,12のSOCがしきい値Sth(図6)よりも高い場合には、蓄電装置10,12は、正極線PL1および負極線NL1に並列に接続され、SOCがしきい値Sthまで低下すると、蓄電装置10,12が正極線PL1および負極線NL1間に直列に接続される。
【0069】
図8は、この変形例におけるECU44により実行される蓄電装置10,12の直列/並列切替制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理も、一定時間毎または所定の条件成立時にメインルーチンから呼出されて実行される。
【0070】
図8とともに図1を参照して、このフローチャートは、図7に示したフローチャートにおいて、ステップS120,S130に代えてステップS135を含む。すなわち、ステップS110において蓄電装置10,12の残存容量(SOC)が算出されると、ECU44は、SOCがしきい値Sth(図6)まで低下したか否かを判定する(ステップS135)。
【0071】
そして、残存容量(SOC)がしきい値Sthまで低下したと判定されると(ステップS135においてYES)、ECU44は、ステップS140へ処理を移行する。すなわち、蓄電装置10,12は、正極線PL1および負極線NL1間に直列に接続される。
【0072】
一方、ステップS135においてSOCはしきい値Sthよりも高いと判定されると(ステップS135においてNO)、ECU44は、ステップS150へ処理を移行する。すなわち、蓄電装置10,12は、正極線PL1および負極線NL1に並列に接続される。
【0073】
以上のように、この変形例によっても、車両の使用状況に応じて、蓄電装置10,12からPCU32へ適切に電力を供給することができる。
【0074】
なお、特に図示はしないが、実施の形態2の変形例として、カーナビゲーション装置により設定された走行ルートや目的地などに基づいて、蓄電装置10,12の接続(直列/並列)を切替えるようにしてもよい。あるいは、蓄電装置10,12の接続(直列/並列)を利用者が切替えられるようにしてもよい。さらには、部品の温度条件によって蓄電装置10,12の接続(直列/並列)を切替えるようにしてもよい。たとえば、PCU32に設けられるインバータと正極線PL1および負極線NL1との間に昇圧コンバータが設けられる場合、昇圧コンバータの温度が高いときには、昇圧コンバータの負荷を下げるために蓄電装置10,12を直列接続にするなどしてもよい。
【0075】
また、上記の各実施の形態においては、蓄電装置が2つの場合について代表的に説明したが、この発明は、蓄電装置が2つの場合に限定されるものではなく、蓄電装置が3つ以上設けられる場合にも適用可能である。
【0076】
また、上記の各実施の形態においては、車両は、MG34を動力源とする車両としたが、この発明が適用される車両は、MG34のみを動力源とする電気自動車であってもよいし、MG34に加えてエンジン(図示せず)をさらに搭載したハイブリッド自動車であってもよい。
【0077】
なお、上記において、蓄電装置10,12は、この発明における「複数の蓄電装置」の一実施例に対応し、充電器40は、この発明における「充電装置」の一実施例に対応する。また、RLY22,24,26,28およびSMR30は、この発明における「切替装置」の一実施例を形成し、RLY22,24,26,28は、この発明における「複数の第1の開閉器」の一実施例に対応する。さらに、SMR30は、この発明における「少なくとも1つの第2の開閉器」の一実施例に対応し、ECU44は、この発明における「制御装置」の一実施例に対応する。
【0078】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
10,12 蓄電装置、14,16,18,20,30 SMR、22,24,26,28 RLY、32 PCU、33 MG−ECU、34 MG、36 駆動輪、38 インレット、40 充電器、42 電圧センサ、43 電流センサ、44 ECU、50 外部電源、52 コネクタ、60,62,66 ブリッジ回路、64 トランス、PL1,PL2 正極線、NL1,NL2 負極線、N1〜N4 ノード、L1,L2 リアクトル、C1 平滑コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源によって充電可能な複数の蓄電装置と、
前記外部電源によって前記複数の蓄電装置を充電するための充電装置と、
前記外部電源による前記複数の蓄電装置の充電時に、前記外部電源に応じて前記複数の蓄電装置を前記充電装置に並列に接続するか直列に接続するかを切替えるための切替装置とを備える電源システム。
【請求項2】
前記切替装置は、前記外部電源の電圧に応じて、前記複数の蓄電装置を前記充電装置に並列に接続するか直列に接続するかを切替える、請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記切替装置は、前記外部電源の電圧が所定のしきい値よりも低いとき、前記複数の蓄電装置を前記充電装置に並列に接続し、前記外部電源の電圧が前記しきい値以上のとき、前記複数の蓄電装置を前記充電装置に直列に接続する、請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記しきい値は、前記複数の蓄電装置の電圧により決定される、請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記切替装置は、前記外部電源から供給される電力に応じて、前記複数の蓄電装置を前記充電装置に並列に接続するか直列に接続するかを切替える、請求項1に記載の電源システム。
【請求項6】
前記切替装置は、前記外部電源から供給される電力が所定のしきい値よりも大きいとき、前記複数の蓄電装置を前記充電装置に直列に接続し、前記外部電源から供給される電力が前記しきい値以下のとき、前記複数の蓄電装置を前記充電装置に並列に接続する、請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記しきい値は、前記充電装置の定格電流により決定される、請求項6に記載の電源システム。
【請求項8】
前記切替装置は、前記外部電源が前記蓄電装置を急速に充電するための急速充電用電源であるか否かによって、前記複数の蓄電装置を前記充電装置に並列に接続するか直列に接続するかを切替える、請求項1に記載の電源システム。
【請求項9】
前記切替装置は、前記外部電源が前記急速充電用電源であるとき、前記複数の蓄電装置を前記充電装置に直列に接続し、前記外部電源が前記急速充電用電源でないとき、前記複数の蓄電装置を前記充電装置に並列に接続する、請求項8に記載の電源システム。
【請求項10】
前記切替装置は、
前記複数の蓄電装置に対応して設けられ、前記複数の蓄電装置と前記充電装置との間の電路にそれぞれ設けられる複数の第1の開閉器と、
前記複数の蓄電装置を直列接続するための少なくとも1つの第2の開閉器と、
前記外部電源に応じて前記複数の第1の開閉器および前記少なくとも1つの第2の開閉器の開閉動作を制御する制御装置とを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の電源システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電源システムと、
前記電源システムから供給される電力によって走行駆動力を発生する電動機とを備える車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−38910(P2013−38910A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172862(P2011−172862)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】