説明

電源システムの運転方法

【課題】直流電源に容量の異なる複数台のインバータ装置を並列接続し、直流電源からの電源出力電力値Pに基づいて電力変換効率が高くなるように起動台数を決定する。
【解決手段】本発明は,複数台のインバータ装置が定格入力電力値Pmのm台の大容量インバータ装置及び定格入力電力値Pnのn台の小容量インバータ装置からなり、電源出力電力値Pに基づいて、P≦Pn・nのときはn台の小容量インバータ装置のみから起動台数を決定し、Pn・n<P≦Pm・mのときはm台の大容量インバータ装置のみから起動台数を決定し、P>Pm・mのときは大容量インバータ装置をm台起動しかつn台の小容量インバータ装置から起動台数を決定する電源システムの運転方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池、燃料電池等からの直流電力を複数台並列接続されたインバータ装置によって高効率に交流電力に変換するための電源システムの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来技術における複数台のインバータ装置が並列接続された電源システムのブロック図である。直流電源DCは、太陽電池、燃料電池等からなり電源出力電力値P[kW]の直流電力を出力する。太陽電池では日射強度の変化に伴い、燃料電池では化学反応状態の変化に伴い上記の電源出力電力値Pは大きく変動する。インバータ装置IV1〜IViは、同一容量のインバータ装置をi台並列接続しており、上記の直流電力を交流電力に変換して電力系統AC等に供給する。インバータ装置IV1〜IViの定格入力電力をPi[kw]とする。したがって、電源出力電力値Pの定格出力値とインバータ装置の総入力電力値(Pi・i)とが略等しくなるように構成される。電力検出回路PDは、上記の電源出力電力値Pを検出して、電力検出信号Pd=Pを出力する。運転制御回路CCは、この電力検出信号Pdを入力として、後述する方法によってインバータ装置の起動台数y及び起動インバータ装置の1台当たりの分担入力電力値Pifを決定し、各インバータ装置の累積負担が均一になるように起動インバータ装置を選択し、各インバータ装置を運転制御するための制御信号Ccを出力する。例えば、この制御信号Ccによって、インバータ装置IV1及びIV3の2台を分担電力Pifで起動し、他のインバータ装置は動作を停止させる。
【0003】
図6は、上述した運転制御回路CCにおける起動台数y及び分担入力電力値Pifの決定方法並びに起動インバータ装置の選択方法を示すフローチャートである。ステップST1において、予め定めた周期が経過したかを判断し、経過したときはステップST2に進む。この周期は電源出力電力値Pの変動速度に追従することができる値であり、例えば太陽電池のときは数十秒から数分程度に設定される。ステップST2において、電力検出信号Pdを読み込む。ステップST3において、図7で後述する起動台数決定サブルーチン処理を行い、起動台数y及び分担入力電力値Pifを決定する。ステップST4において、累積負担がh略均一になるように起動インバータ装置を選択する。この累積負担を略均一にするための方法として、起動インバータ装置をランダムに選択する方法、累積動作時間の少ない順番に選択する方法、起動/停止回数の少ない順番に選択する方法等がある。ステップST5において、電源システムの運転を終了するかを判断して、YESならば終了し、NOならばステップST1に戻る。
【0004】
図7は、起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。ステップSB1において、上記の電力検出信号Pd及び最大入力電力値Picを入力として、起動台数y=Pd/Pic(但しy>iのときはy=iである)を決定する。ここで小数点は切り上げて整数にする。また、上記の最大入力電力値Pic=K・Piとし、係数Kは0<K≦1.0の範囲であり、Piはインバータ装置の定格入力電力値である。係数Kは、例えば0.9、1.0等に設定する。常にK=1.0としない理由は、周期途中で電源出力電力値Pが変動したときにこの変動分に対応する余裕を織り込んで起動台数yを決定するためである。ステップSB2において、インバータ装置1台当たりの分担入力電力値Pif=Pd/yを決定する。
【0005】
上述した起動台数y及び分担入力電力値Pifの決定方法について、数値例を以下に示す。インバータ装置の並列接続台数i=10、定格入力電力値Pi=10kWとすると、電源システムの総入力電力値は100kWとなる。係数K=0.9にすると最大入力電力値Pic=9kWとなる。現時点で電源出力電力値P=36kWのときは、起動台数y=36/9=4台となり、分担入力電力値Pif=36/4=9kWとなる。次周期(例えば1分後)が経過するまでに電源出力電力値Pが38kWに変動したときは、分担入力電力値Pif=38/4=9.5kWに修正される。このように定格入力電力値Pi=10kWに対して余裕分1kWがあるので、変動を吸収することができる。但し、周期途中の変動が無視できる場合には、係数K=1.0としても良い。
【0006】
図8は、インバータ装置における入力電力比率ε[%]と電力の変換効率η[%]との関係図である。入力電力比率εは、分担入力電力値Pif及び定格入力電力値Piによってε=100・Pif/Piとして定義される。同図から分かるように、ε≦εaでは変換効率ηは急激に低下する。このεa・Pi/100の入力電力値を高効率入力電力値Pia[kW]と定義する。また、ε=εbで変換効率ηが最高値となるので、このεb・Pi/100の入力電力値を最高効率入力電力値Pibと定義する。例えば、Pi=10kW、εa=20%及びεb=60%とすると、Pia=2kW及びPib=6kWとなる。
【0007】
図9は、上述した図7とは別の起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。同図において点線で示すステップSB11のみが図7のときと異なる。ステップSB11において、電力検出信号Pd及び最高効率入力電力値Pibを入力として、起動台数y=Pd/Pib(但しy>iのときはy=iである)を決定する。ここで小数点は四捨五入して整数にする。数値例を挙げれば、Pib=6kWとし、電源出力電力値P=36kWのときは起動台数y=36/6=6台となる。このときの分担入力電力値Pif=36/6=6kWとなる。図7のときは同一条件で分担入力電力値Pif=9kWであった。したがって、同図はε=60%であり、図7ではε=90%である。上述した図8から明らかなように、ε=60%のときの変換効率ηの方が高くなる。このように、同図の方法によれば、変換効率を最高変換効率値近傍することができる特長がある。
【0008】
【特許文献1】特開平8−33211号公報
【特許文献2】特開2000−305633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来技術によれば、同一容量のインバータ装置が複数台並列接続された電源システムの運転方法において、電力の変換効率を高くするための起動台数の決定を行うことができる。ところで、最近は電源システムが大容量化する傾向にある。数百kWを超えるような場合もある。このような場合、上述した10kW程度の小容量インバータ装置を多数台並列接続するのは、各インバータ装置に対する制御が複雑になり、コストも上昇する。したがって、大容量の電源システムは、大容量インバータ装置数台と小容量インバータ装置数台とを並列接続して構成する方が有利である。例えば、250kWの電源システムを構成する場合、10kWの小容量インバータ装置25台で構成するよりも、100kwの大容量インバータ装置2台と10kWの小容量インバータ装置5台とで構成した方が制御が簡単になりコストも削減できる。しかしながら、電源出力電力値Pに応じて容量の異なる複数台のインバータ装置から起動台数を決定するときに、従来技術の方法は適用することができない。これは、従、来技術は同一容量の複数台のインバータ装置が並列接続されていることが前提であるためである。
【0010】
そこで、本発明では、大小2種類の容量のインバータ装置が複数台並列接続された電源システムにおいて、電源出力電力値Pに応じて変換効率を高くするための起動台数決定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、直流電源に複数台の同一容量のインバータ装置を並列接続し、前記直流電源からの電源出力電力値Pに基づいて前記インバータ装置の起動台数を決定して運転する電源システムの運転方法において、
前記複数台のインバータ装置が定格入力電力値Pmのm台の大容量インバータ装置及び定格入力電力値Pnのn台の小容量インバータ装置(但しPn・n<Pm)からなり、
前記電源出力電力値Pに基づいて、P≦Pn・nのときは前記n台の小容量インバータ装置のみから起動台数を決定し、Pn・n<P≦Pm・mのときは前記m台の大容量インバータ装置のみから起動台数を決定し、P>Pm・mのときは前記大容量インバータ装置をm台起動しかつ前記n台の小容量インバータ装置から起動台数を決定する、ことを特徴とする電源システムの運転方法である。
【0012】
また、第2の発明は、P>Pn・nのときは前記電源出力電力値Pに基づいて前記小容量インバータ装置をn台起動しかつ前記m台の大容量インバータ装置から起動台数を決定する、ことを特徴とする第1の発明記載の電源システムの運転方法である。
【0013】
また、第3の発明は、前記小容量インバータ装置における電力の変換効率が予め定めた高効率値となる高効率入力電力値Pna(但しPna<Pn)を設定し、Pn・n<P≦Pna・n+Pmのときは前記電源出力電力値Pに基づいて前記小容量インバータ装置を前記高効率入力電力値Pnaでn台起動しかつ前記大容量インバータ装置を1台起動する、ことを特徴とする第2の発明記載の電源システムの運転方法である。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の発明によれば、電源出力電力値Pによって(1)P≦Pn・n、(2)Pn・n<P≦Pm・m及び(3)P>Pm・mの3つの範囲に分割することで、同一容量のインバータ装置から変換効率が高くなるように起動台数を決定する問題に転換することができる。このために、従来から種々提案されている起動台数の決定方法を使用することができ、容量の異なる複数台のインバータ装置から変換効率が高くなる起動台数の決定が可能となる。
【0015】
上記第2の発明によれば、上記の効果に加えて、P>Pn・nの範囲においては小容量インバータ装置を全数常に起動状態にするので、小容量インバータ装置の起動/停止の繰り返し回数を減少させることができ、インバータ装置の耐用寿命及び信頼性を向上させることができる。
【0016】
上記第3の発明によれば、上記の効果に加えて、P>Pn・nの範囲において大容量インバータ装置及び小容量インバータ装置共に高効率入力電力値未満で起動されることがないので、電源システムの電力の変換効率をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る電源システムのブロック図である。同図において上述した図5と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図5とは異なる点線で示すブロックについて説明する。
【0019】
同図においては、インバータ装置は、n台の小容量インバータ装置IVN1〜IVNn及びm台の大容量インバータ装置IVM1〜IVMmからなる。小容量インバータ装置は同一容量であり、定格入力電力値Pn[kW]、最大入力電力値Pnc[kW]、高効率入力電力値Pna[kW]及び最高効率入力電力値Pnb[kW]である。上述したように、最大入力電力値Pnc=K・Pn(但し0<K≦1.0)である。係数Kは、例えば0.9、1.0等である。また、図8で上述したように、高効率入力電力値Pnaは、変換効率ηが急低下しない所定の高効率値ηaとなる入力電力比率εaを求め、Pn・εa/100で算出される。同様に、最高効率入力電力値Pnbは、変換効率ηが最高効率値ηbとなる入力電力比率εbを求め、Pn・εb/100で算出される。
【0020】
上記の大容量インバータ装置は同一容量であり、定格入力電力値Pm[kW]、最大入力電力値Pmc[kW]、高効率入力電力値Pma[kW]及び最高効率入力電力値Pmb[kW]である。上述したように、最大入力電力値Pmc=K・Pm(但し0<K≦1.0)である。係数Kは、例えば0.9、1.0等である。また、図8で上述したように、高効率入力電力値Pmaは、変換効率ηが急低下しない所定の高効率値ηaとなる入力電力比率εaを求め、Pm・εa/100で算出される。同様に、最高効率入力電力値Pmbは、変換効率ηが最高効率値ηbとなる入力電力比率εbを求め、Pm・εb/100で算出される。起動している小容量インバータ装置の1台当たりの分担入力電力値はPbf[kW]であり、大容量インバータ装置の1台当たりの分担入力電力値はPmf[kW]である。
【0021】
実施の形態1におけるインバータ装置の起動台数及び分担入力電力値の決定方法並びに起動インバータ装置の選択方法を示すフローチャートは、上述した図6と同一である。但し、ステップST3に示す起動台数決定サブルーチンの処理内容は、図2で後述する内容となる。
【0022】
(1)Pd≦Pn・n
図2は、起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。ステップSB1において、電力検出信号Pdの値がPd≦Pn・nであるかを判断して、YESならばステップSB2に進み、NOならばステップSB4に進む。ステップSB2において、n台の小容量インバータ装置から起動台数y=Pd/Pnb(但し小数点は四捨五入し、y>nのときはy=nである)を決定する。Pnbは、上述したように小容量インバータ装置の最高効率入力電力値である。最高効率入力電力値Pnbの代わりに最大入力電力値Pncを使用しても良い。このステップでは、電力検出信号Pdの値に基づいて同一容量の小容量インバータ装置の起動台数を決定することになるので、この決定方法は従来技術の方法が適用できる。ステップSB3において、y台の小容量インバータ装置の分担入力電力値Pnf=Pd/yを決定し、サブルーチン処理を終了する。
【0023】
(2)Pn・n<Pd≦Pm・m
ステップSB4において、電力検出信号Pdの値がPd≦Pm・mであるかを判断して、YESならばステップSB5に進み、NOならばステップSB7に進む。ステップSB5において、m台の大容量インバータ装置から起動台数x=Pd/Pmb(但し小数点は四捨五入し、x>mはx=mとする)を決定する。Pmbは、上述したように大容量インバータ装置の最高効率入力電力値である。最高効率入力電力値Pmbの代わりに最大入力電力値Pmcを使用しても良い。このステップでは電力検出信号Pdの値に基づいて同一容量の大容量インバータ装置の起動台数を決定することになるので、この決定方法は従来技術の方法が適用できる。ステップSB6において、x台の大容量インバータ装置の分担入力電力値Pmf=Pd/xを決定し、サブルーチン処理を終了する。
【0024】
(3)Pd>Pm・m
ステップSB7において、n台の小容量インバータ装置から起動台数y=(Pd−Pm・m)/Pmb(但し小数点は四捨五入し、y>nのときはy=nである)を決定する。最高効率入力電力値Pnbの代わりに最大入力電力値Pncを使用しても良い。このステップでは電力検出信号Pdの値に基づいて同一容量の小容量インバータ装置の起動台数を決定することになるので、この決定方法は従来技術の方法が適用できる。ステップSB8において、m台の大容量インバータ装置の分担入力電力値Pmf=Pmを決定し、かつ、y台の小容量インバータ装置の分担入力電力値Pnf=(Pd−Pm・m)/yを決定し、サブルーチン処理を終了する。
【0025】
上述したように、実施の形態1では、電源出力電力値Pの値に応じて上記(1)〜(3)の範囲に分割することによって、容量の異なる複数台のインバータ装置から起動台数を決定する問題を、同一容量の複数台のインバータ装置から起動台数を決定する従来技術で解決できる問題に転換していることになる。
【0026】
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2における起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。同図において上述した図2と同一のステップには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図2とは異なる点線で示すステップSB4〜5について説明する。
【0027】
ステップSB4はP>Pn・nのときであり、m台の大容量インバータ装置から起動台数x=(Pd−Pn・n)/Pmb(小数点は四捨五入し、x>mのときはx=mである)を決定する。Pmbは大容量インバータ装置の最高効率入力電力値である。この最高効率入力電力値Pmbの代わりに最大入力電力値Pmcを使用しても良い。このとき小容量インバータ装置は、全数のn台が分担入力電力値Pnf=Pnで起動している。したがって、n台の小容量インバータ装置の総分担入力電力値はPnf・n=Pn・nとなる。このために、x台の大容量インバータ装置の総分担入力電力値はPd−Pn・nとなる。結果的にこのステップは、上記の総分担入力電力値Pd−Pn・nに基づいてm台の大容量インバータ装置の起動台数を決定する問題に転換される。
【0028】
ステップSB5において、n台の小容量インバータ置の分担入力電力値Pnf=Pnとし、x台の大容量インバータ装置の分担入力電力値Pmf=(Pd−Pn・n)/xを決定する。
【0029】
上述した実施の形態2では、P>Pn・nの範囲においては小容量インバータ装置は全数のn台が常に起動しているので、小容量インバータ装置が起動/停止を繰り返すことがなく、装置の耐用寿命及び信頼性が向上するという長所がある。
【0030】
[実施の形態3]
図4は、本発明の実施の形態3における起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。同図において上述した図2と同一のステップには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図2とは異なる点線で示すステップについて説明する。
【0031】
ステップSB4において、Pd≦Pna・n+Pmかを判断して、YESならばステップSB5に進み、NOならばステップSB6に進む。Pnaは小容量インバータ装置の高効率入力電力値であり、Pmは大容量インバータ装置の定格入力電力値である。
【0032】
ステップSB5において、n台の小容量インバータ装置の分担入力電力値Pnf=Pnaとし、起動する1台の大容量インバータ装置の分担入力電力値Pmf=Pd−Pna・nを決定し、サブルーチン処理を終了する。
【0033】
ステップSB6において、m台の大容量インバータ装置から起動台数x=(Pd−Pnf・n)/Pmb(小数点は四捨五入し、x>mのときはx=mである)を決定する。Pnfは小容量インバータ装置の分担入力電力値である。Pmbは大容量インバータ装置の最高効率入力電力値である。この最高効率入力電力値Pmbの代わりに最大入力電力値Pmcを使用しても良い。
【0034】
ステップSB7において、n台の小容量インバータ装置の分担入力電力値をPnfとし、x台の大容量インバータ装置の分担入力電力値Pmf=(Pd−Pnf・n)/xを決定する。ここで、Pna・n+Pm<Pd≦Pn・n+Pmの範囲では小容量インバータ装置n台の分担入力電力値Pnf=(Pd−Pm)/nとし、Pn・n+Pm<Pdの範囲では小容量インバータ装置n台の分担入力電力値Pnf=Pnとする。また、Pna・n+Pm<Pd≦Pna・n+Pm・mの範囲では小容量インバータ装置n台の分担入力電力値Pnf=Pnaとし、Pna・n+Pm・m<Pdの範囲では小容量インバータ装置n台の分担入力電力値Pnf=(Pd−Pm・m)/nとしても良い。
【0035】
上述した実施の形態2では、Pn・n<Pの範囲において小容量インバータ装置を定格入力電力値Pnで起動する。このために、Pn・n<P≦Pn・n+Pmaの範囲において起動される1台の大容量インバータ装置の分担入力電力値Pmf≦Pmaとなる。図8で上述したように、インバータ装置が高効率入力電力値Pma以下で運転されると電力の変換効率が低下する。これに対して、実施の形態3では、Pn・n<P≦Pna・n+Pmの範囲においてn台の小容量インバータ装置は高効率入力電力値Pnaで起動し、1台の大容量インバータ装置は最小でもPn・n−Pna・nで起動する。ここで、Pma<(Pn・n−Pna・n)に通常設定されるので、大容量インバータ装置は高効率入力電力値Pma以上で起動することになる。このように、実施の形態3では、P>Pn・nの範囲において大容量インバータ装置及び小容量インバータ装置共に電力の変換効率が低下する状態で起動されることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電源システムのブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2に係る起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態3に係る起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図5】従来技術における電源システムのブロック図である。
【図6】従来技術における電源システムの運転方法を示すフローチャートである。
【図7】従来技術における起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図8】インバータ装置の入力電力比率εと変換効率ηとの関係図である。
【図9】別の従来技術における起動台数決定サブルーチン処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
AC 電力系統
CC 運転制御回路
Cc 制御信号
DC 直流電源
i インバータ装置の並列台数
IV インバータ装置
IVM 大容量インバータ装置
IVN 小容量インバータ装置
K 係数
m 大容量インバータ装置の並列台数
n 小容量インバータ装置の並列台数
P 電源出力電力値
PD 電力検出回路
Pd 電力検出信号
Pi インバータ装置の定格入力電力値
Pia インバータ装置の高効率入力電力値
Pib インバータ装置の最高効率入力電力値
Pic インバータ装置の最大入力電力値
Pif インバータ装置の分担入力電力値
Pm 大容量インバータ装置の定格入力電力値
Pma 大容量インバータ装置の高効率入力電力値
Pmb 大容量インバータ装置の最高効率入力電力値
Pmc 大容量インバータ装置の最大入力電力値
Pmf 大容量インバータ装置の分担入力電力値
Pn 小容量インバータ装置の定格入力電力値
Pna 小容量インバータ装置の高効率入力電力値
Pnb 小容量インバータ装置の最高効率入力電力値
Pnc 小容量インバータ装置の最大入力電力値
Pnf 小容量インバータ装置の分担入力電力値
SB サブルーチンのステップ
ST ステップ
x 大容量インバータ装置の起動台数
y インバータ装置/小容量インバータ装置の起動台数
ε 入力電力比率
εa 高効率入力電力比率
εa 最高効率入力電力比率
η 電力の変換効率
ηa 高変換効率値
ηb 最高変換効率値


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源に複数台の同一容量のインバータ装置を並列接続し、前記直流電源からの電源出力電力値Pに基づいて前記インバータ装置の起動台数を決定して運転する電源システムの運転方法において、
前記複数台のインバータ装置が定格入力電力値Pmのm台の大容量インバータ装置及び定格入力電力値Pnのn台の小容量インバータ装置(但しPn・n<Pm)からなり、
前記電源出力電力値Pに基づいて、P≦Pn・nのときは前記n台の小容量インバータ装置のみから起動台数を決定し、Pn・n<P≦Pm・mのときは前記m台の大容量インバータ装置のみから起動台数を決定し、P>Pm・mのときは前記大容量インバータ装置をm台起動しかつ前記n台の小容量インバータ装置から起動台数を決定する、ことを特徴とする電源システムの運転方法。
【請求項2】
P>Pn・nのときは前記電源出力電力値Pに基づいて前記小容量インバータ装置をn台起動しかつ前記m台の大容量インバータ装置から起動台数を決定する、ことを特徴とする請求項1記載の電源システムの運転方法。
【請求項3】
前記小容量インバータ装置における電力の変換効率が予め定めた高効率値となる高効率入力電力値Pna(但しPna<Pn)を設定し、Pn・n<P≦Pna・n+Pmのときは前記電源出力電力値Pに基づいて前記小容量インバータ装置を前記高効率入力電力値Pnaでn台起動しかつ前記大容量インバータ装置を1台起動する、ことを特徴とする請求項2記載の電源システムの運転方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−333625(P2006−333625A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153662(P2005−153662)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】