説明

電源ユニット及び照明装置

【課題】可視光通信用途を含むLED照明に好適に使用できる設置容易性、長寿命性を具備する電源ユニット、及び該電源ユニットを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】直流を生成する電源装置302を含み構成される電源ユニット301であって、電源装置への電源供給に係る端子台305と、前記直流の配電に係る端子台307と、電源装置302と、端子台305と、端子台307とを保持するベースプレート304とを備え、端子台305と、端子台307とは、夫々受け側端子305a、307aと、送り側端子305b、307bとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電源ユニットに関し、特に固体発光素子を含み構成される光源ユニットを駆動する電源ユニットに関する。また、電源ユニットを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への意識の向上が高まり、白熱電球、蛍光ランプ及び水銀ランプ等のランプ類に替わる新しい光源として、固体発光素子、特に発光ダイオードが注目を集めている。なぜなら、発光ダイオードは、上述したランプ類の光源と比較して長寿命な光源であり、また水銀及び鉛といった有害物質を含まない、すなわち、環境に優しい光源であるからである。
【0003】
発光ダイオードの中でも、1W以上の入力容量を有するいわゆるハイパワー発光ダイオード(以下、LEDと記載)は、発光強度が強く照明用途に最適である。また、LEDの光変換効率は年々向上しており、今後LEDを光源とした照明は、省エネルギー光源としての期待も高まっている。
【0004】
ここで、LEDの特徴の一つとして、応答性が高いことが挙げられる。そのため、その駆動に供する直流を変調することにより、情報を通信する、所謂可視光通信について検討が深められている。
【0005】
このようなことを鑑みてか、特許文献1に開示される照明装置は、照明のために十分な照度を維持しつつ光通信(可視光通信)を実現できるとされている。
【特許文献1】特開2006−74323号公報
【特許文献2】特開2004−303431号公報
【特許文献3】特開平8−241133号公報
【特許文献4】特開2002−367413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される照明装置は、以下のような点で問題があると考えられえる。
【0007】
まず、照明装置の設置に関して触れられていない。一般に、オフィスなどには多数個の照明装置が設置されることが一般であり、その設置に係る容易性を確保することは、実際に可視光通信、もっと言えばLEDを光源とした照明が普及していく上で必要であると考える。
【0008】
また、LEDは、長寿命であることが特徴の一つであるが、その特徴を発揮させ、メインテナンスフリーの照明装置を実現するためには、それに直流を供給する電源ユニット(電源装置)の長寿命化を図る必要がある。特許文献1においては、このことには触れられていない。
【0009】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであって、可視光通信用途を含むLED照明に好適に使用できる設置容易性、長寿命性を具備する電源ユニット、及び該電源ユニットを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願の電源ユニットは、直流を生成する電源装置を含み構成されるものであって、前記電源装置への電源供給に係る第1端子部と、前記直流の配電に係る第2端子部と、前記電源装置と、前記第1端子部と、前記第2端子部とを保持する保持手段とを備え、前記第1端子部と、前記第2端子部とは、夫々受け側端子と、送り側端子とを具備する。
【0011】
この構成により、電源ユニットは、送り配線を簡便に行うことができることとなる。オフィス等においては、多数個の照明装置が設置されるため、その電源ユニットにおいては、送り配線を簡便に行うことができることが好ましい。
【0012】
ここで、前記第1端子部の受け側端子は、該第1端子部の送り側端子と電気的に接続されると共に、前記電源装置とも電気的に接続され、前記第2端子部の受け側端子は、該第2端子部の送り側端子と電気的に接続されると共に、前記電源装置とも電気的に接続され、前記第2端子部の送り端子は、少なくとも1つ以上の前記直流が配電される所定の機器と電気的に接続されてもよい。
【0013】
この構成により、電源ユニットが具備する電源装置により複数の所定の機器に直流を供給することができるという効果がある。
【0014】
ここで、前記保持手段は、金属からなる平面であり、厚みが1mm以上であってよい。
この構成により、電源装置、第1端子部、第2端子部を適切に保持すると共に、電源装置内でロスとして発生した熱を適切に保持手段を利用して放熱できるという効果がある。
【0015】
ここで、前記保持手段は、さらに、前記電源装置の指示信号の配信に係る第3端子部を保持し、前記第3端子部は、受け側端子と、送り側端子とを具備し、前記第3端子部の受け側端子は、該第3端子の送り側端子と前記指示信号の配信が可能であるように接続されると共に、前記電源装置とも前記指示信号の配信が可能であるように接続されてもよい。
【0016】
この構成により、光源ユニットに供給する指示信号も、送り配線にて供給することができるという効果がある。指示信号としては、光源ユニットの基準動作点を指示するものだけでなく、可視光通信用の情報等も含まれる。
【0017】
ここで、上記電源ユニットと、光源ユニットとを含み構成される照明装置であって、前記光源ユニットは、前記所定の機器であると共に、複数の固体発光素子を具備し、前記電源装置は、前記第1端子部を介し電源供給される正弦波の電圧を、脈流の電圧に変換する脈流変換手段と、前記脈流変換手段から出力される前記脈流の電圧を、通過させるオン時間と通過させないオフ時間との比であるデューティ比を制御した上で出力するスイッチ手段と、前記スイッチ手段より出力されたデューティ比を制御された前記脈流の電圧を変圧する変圧手段と、前記変圧手段から出力された変圧された前記脈流の電圧を平滑する平滑手段と、前記脈流変換手段と、前記スイッチ手段と、前記変圧手段と、前記平滑手段とを内部に具備する筐体とを備え、前記筐体を構成する少なくとも1つの面は、平面かつ金属より構成される金属平面であり、前記金属平面は、1mm以上の厚みを有してもよい。
【0018】
この構成により、電源装置を構成する筐体の少なくとも1つの面である金属平面が、所定の厚みを有するため、歪み等が発生しない。そのため、金属表面を他の部材に密着させて使用することが容易となる。このことにより、筐体内部に具備される脈流変換手段と、スイッチ手段と、変圧手段と、平滑手段とにおいてロスとして発生した熱を適切に放熱することができ、電源装置の長寿命化を図ることが叶う。
【0019】
ここで、前記電源装置は、さらに、前記脈流変換手段と、前記スイッチ手段と、前記変圧手段と、前記平滑手段とが実装される略長方形形状の実装基板を備え、前記変圧手段が具備する巻線素子は、中心軸が前記実装基板の長辺方向に対し、30度〜60度の角度を有した状態で該実装基板に実装されてもよい。さらに、前記実装基板の短辺方向の幅は、前記巻線素子の中心軸に沿った幅より狭くてもよい。
【0020】
この構成により、実装基板のサイズを小さくすることができ、よって、電源装置の小型化を図ることができるという効果がある。
【0021】
ここで、前記実装基板の前記巻線素子が実装される面に対する裏面と、該裏面が対向する前記筐体を構成する面との間には、電気的絶縁体が挿入されてもよい。
【0022】
この構成により、実装基板として、片面実装タイプである実装基板を使用した場合において、不要な箇所において電気的短絡が発生することを防ぐことができるという効果がある。
【0023】
ここで、前記脈流変換手段と、前記平滑手段とは、さらに、放熱電極を有する整流素子を備え、前記スイッチ手段は、さらに、放熱電極を有するスイッチング素子を備え、前記整流素子、及び前記スイッチング素子の放熱電極は、前記金属平面に密着配置されてもよい。
【0024】
この構成により、発熱の大きい素子である、整流素子、及びスイッチング素子における熱を金属平面を介して、適切に処理することができるという効果がある。
【0025】
ここで、前記整流素子、及び前記スイッチング素子のうち、少なくとも2つは、近接して配置されると共に、前記放熱電極が、単一の固定プレートにより前記金属平面に密着するよう固定されてもよい。
【0026】
この構成により、部品点数を削減し、かつ確実に整流素子、及びスイッチング素子の放熱電極を金属平面に密着配置することができるという効果がある。
【0027】
ここで、前記脈流変換手段と、前記スイッチ手段と、前記変圧手段と、前記平滑手段とを構成する一部の回路素子は、前記実装基板の一方の実装面に実装され、前記脈流変換手段と、前記スイッチ手段と、前記変圧手段と、前記平滑手段とを構成する残余の回路素子は、前記実装基板の他方の実装面に実装され、前記一部の回路素子には、前記巻線素子、前記整流素子、及び前記スイッチング素子が全て含まれるとともに、前記残余の回路素子は、実装時の高さが任意値以下であってもよい。
【0028】
この構成により、両面実装タイプである実装基板を用いて、最適に回路素子を配置することができ、よって電源装置の小型化を図ることができるという効果がある。
【0029】
ここで前記実装基板の他方の実装面に対向する前記筐体を構成する面は、電気的絶縁体により構成されてもよい。また、前記実装基板の他方の実装面と、該実装基板の他方の実装面に対向する前記筐体を構成する面との間には電気的絶縁体が挿入されてもよい。
【0030】
この構成により、両面実装タイプである実装基板を使用した場合において、不要な箇所において電気的短絡が発生することを防ぐことができるという効果がある。
【0031】
ここで、前記保持手段は、前記金属平面、及び平面である表面を有する部材の該平面である表面と密着配置され、前記部材の表面積は、前記保持手段の表面積より大きくてもよい。
【0032】
この構成により、保持手段を介した放熱をより広い表面積で行うことができ、放熱効果を高めることができるという効果がある。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、可視光通信用途を含むLED照明に好適に使用できる設置容易性、長寿命性を具備する電源ユニット、及び該電源ユニットを用いた照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係る照明装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る照明装置の構成を説明する。
【0036】
図1は、本発明の照明装置1の外観を示す斜視図である。図2は、電源装置2のA方向面の構造を示す断面図である。図3は、光源ユニット3のB方向の構造を示す断面図である。
【0037】
図1に示すように照明装置1は、電源装置2と、光源ユニット3とにより構成される。図2に示すように、電源装置2は、その内部に、複数の回路素子と、基板21とを備える。また、図3に示すように光源ユニット3は、筐体部31を備え、筐体部31の内部に、複数の固体発光素子32と、基板33と、保護用透光板34とを備える。
【0038】
電源装置2は、箸箱型であり、給電ケーブル4と、筐体5と、配線ケーブル6とから構成される。電源装置2は交流の電源を直流に変換し、光源ユニット3に直流を供給する。
【0039】
給電ケーブル4は、電源装置2が商用電源等の交流の電源を利用するために用いられ、商用電源42と電源装置2とを接続する。
【0040】
筐体5は、箸箱型のケースであり、電源装置2の外観上の形状となる。ここで、例えば、筐体5の大きさは、箸箱と同等の大きさである。また、筐体5は、その内部に電源装置2を構成する回路素子が収納されている。また、筐体5は、熱伝導率が高い(好ましくは200W/m・K以上)材質で構成される。例えば、発明者らは、熱伝導率が高く、また加工性にも富んだ材質として、アルミニウムを選択し、アルミニウムを用いて筐体5を構成した。
【0041】
配線ケーブル6は、電源装置2と、光源ユニット3とを電気的に接続するケーブルである。
【0042】
光源ユニット3は、電源装置2から供給される直流を用いて内部のLED等の固体発光素子32を発光させる。
【0043】
筐体部31は、断面が略コの字形状に形成される。筐体部31は、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)により構成される。例えば、筐体部31は、アルミニウムで構成される。筐体部31にアルミニウムを用いる理由としては、安価であること、成形が行いやすいこと、リサイクル性が良いこと、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上であること、及び放熱特性が高いことなどが挙げられる。
【0044】
また、筐体部31は、アルミニウムで構成した後、アルマイト処理することが望ましい。アルマイト処理することによって、表面積が増加し、放熱効果が高まる。
【0045】
保護用透光板34は、透光性を有し、固体発光素子32の発光方向に配置される。保護用透光板34は、平板状に形成される。筐体部31と保護用透光板34とを一体的に組み合わせることで、断面が略四角形状となる。
【0046】
保護用透光板34は、透明なガラス又はアクリル樹脂、ポリカーボネート等により形成される。保護用透光板34の表面又は裏面には、表面処理により、微細な凹凸が不均一に形成される。この表面処理は、例えば、サンドブラスト法を適用することにより容易に行うことができる。保護用透光板34は、光源ユニット3の内部に配置される固体発光素子32などを保護する。また、保護用透光板34は、固体発光素子32から発せられた光を拡散する役目を担う。固体発光素子32から発せられた光は、指向性が強く、局所的に照射される傾向にある。固体発光素子32から発せられた光を表面処理された保護用透光板34により拡散することによって、光の指向性を弱め、広い面積に均一に光を照射することができる。
【0047】
なお、光源ユニット3の形状は、上記に限定されるものではない。例えば、筐体部31と保護用透光板34とを一体的に組み合わせた状態での断面が円形であってもよい。また、筐体部31を円筒形、角柱形等とし、その端部に保護用透光板34が備えられるとしてもよい。その他、任意であってよい。
【0048】
基板33は、筐体部31と保護用透光板34とにより形成される中空構造の内側に配置される。基板33は、中空構造の内側の保護用透光板34に対向する面の表面に形成される。基板33は、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)により構成される。好ましくは筐体部31と同一材質により構成される。例えば、基板33は、アルミニウムにより構成される。
【0049】
複数の固体発光素子32は、基板33に配置される。複数の固体発光素子32は、例えば、発光ダイオードである。固体発光素子32は、1個当たりの消費電力が1W以上のいわゆるハイパワー発光ダイオードであり、表面実装型の発光ダイオードである。ハイパワー発光ダイオードは、光度が高く照明装置用途に好適である。照明装置1を一般的な照明として使用する場合、使用する固体発光素子32の発光色は、昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色などが好適である。具体的には、例えば、複数の固体発光素子32は、JISZ9112「蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」の4.2「色度範囲」に規定された昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色に相当する光を発光する。
【0050】
ここで、筐体部31と、基板33とは、互いに接触させることが好ましい。なぜならば、筐体部31と基板33との間に、空気が入ることにより、筐体部31と基板33との間の熱伝導が阻害され、このことより効率的な熱処理ができなくなるためである。すなわち、筐体部31と基板33とを同じ材質により構成することにより、筐体部31と基板33との密着性を高めることが好ましい。さらに、プレス加工を行い、密着性をより高めることが好ましい。
【0051】
上記プレス加工を行う際には、筐体部31と基板33との間に接着性を有する材料(例えば、接着剤又は基材なしの両面テープなど)(不図示)を挟み込み、両者の密着性を高めることが好ましい。
【0052】
なお、両面テープを使用する場合には、基材を含まないものを選択することが肝要である。それは、基材は熱伝導率が低いので、筐体部31から基板33への熱伝導が阻害されるためである。
【0053】
また、基板33を複数個に分割することも好ましい。これは、筐体部31と基板33との線膨張係数が異なる場合において、光源ユニット3の温度が上昇した際に、筐体部31と基板33との密着性が悪化することを防ぐためである。基板33を分割することにより、基板33の1枚あたりの長手方向の長さが短くなる。これにより、基板33の1枚あたりの膨張量が小さくなる。よって、接着性を有する材料で筐体部31と基板33との膨張の違いを吸収しやすくなるので、筐体部31と基板33との密着性を維持しやすくなる。この基板33を分割する手法は、特に光源ユニット3の長手方向の長さが長い場合に有効である。
【0054】
次に、本発明の照明装置1を、図面を用いて具体的に説明する。図4は、本発明の照明装置1の機能ブロック図である。
【0055】
照明装置1は、交流の電源を利用し複数の固体発光素子を発光させることにより照明する照明装置であって、整流部43と、変換部44と、平滑部45と、検出部46と、指示部47と、選択部48と、設定部49とを備えている。
【0056】
照明装置1は、外部の電源である商用電源42からの供給される交流の電源を利用して、複数の固体発光素子32から構成される発光部50に直流を供給し、固体発光素子32を発光させる。
【0057】
商用電源42は、例えば一般家庭、事業所などに電力会社から供給され、照明装置1に交流を供給する電源である。
【0058】
整流部43は、本発明の脈流変換手段に相当し、商用電源42から供給される交流電圧を脈流に変換する。すなわち、商用電源42から供給された交流電圧を全波整流し、全波整流波形を変換部44へ出力する。
【0059】
変換部44は、本発明のスイッチ手段と、変圧手段とに相当し、整流部43から出力される脈流を通過させるオン時間と前記脈流を通過させないオフ時間との比であるデューティ比を制御されたパルス状波形の電圧を生成し、その電圧を変圧する。
【0060】
具体的には、整流部43から出力された全波整流波形(脈流)を、所定の時間間隔で分割する。所定の時間間隔に分割された全波整流波形を、前記所定の時間間隔の各期間内でデューティ比を制御されたパルス状波形の電圧にする。その上で、巻線素子に送る。
【0061】
巻線素子として、トランスを使用した場合、前記パルス状波形の電圧は、トランスの1次側に送られることによって変圧され、トランスの2次側に出力される。
【0062】
ここで、変換部44に備えられるトランスは、1次側に送られた電圧が、2次側に変圧され出力される際、所定の昇圧率で昇圧する。この昇圧率は、1次側と、2次側の巻線比により設定することができる。昇圧率は、任意の値であってよいが、発明者らの試験においては2〜3倍に昇圧することが最適であった。
【0063】
なお、巻線素子として、昇圧コイルを使用してもよい。
また、変換部44は、選択部48に制御されることで、上記を実現している。
【0064】
また、上記のように巻線素子により昇圧を行う理由は、照明装置1の力率を向上するためである。発光部50は、固体発光素子(例えば、LED)により構成されるが、固体発光素子は順方向電圧を有する。順方向電圧とは、固体発光素子に順方向の電流を流す際(すなわち、固体発光素子を発光させる際)に、該固体発光素子の有する2つの端子間に生ずる電圧である。
【0065】
逆に言うと、この順方向電圧を加えない限り、固体発光素子に順方向の電流を流すことができない。したがって、固体発光素子に順方向の電流を流す、すなわち固体発光素子を発光させるためには、この順方向電圧に対応する電圧を加えなければならない。
【0066】
発光部50は、単数または複数の固体発光素子32を備えており、発光部50の構成により、発光部50を発光させるために必要な電圧(順方向電圧)は定まる。
【0067】
もし、固体発光素子32に供給する電圧が、発光部50の構成により定まる必要な電圧を下回るのであれば、発光部50には順方向の電流が流れない(すなわち発光が行われない)。
【0068】
巻線素子に入力される電圧は、前述のごとく全波整流波形に基づくものであり、電圧値は、時間ごとに変動する。すなわち、昇圧しない場合には、前述の発光部50により定まる必要な電圧を下回る時間帯が多くなる(すなわち、発光部50に順方向の電流が流れる時間帯が少なくなる)ことが危惧される(このことを、一般に力率が低下する、或いは流通角が減少するという)。
【0069】
そこで、昇圧を行うことにより、前述の発光部50により定まる必要な電圧を上回る時間帯を増加させ、発光部50に順方向の電流が流れる時間帯を増加させる。このことにより照明装置1の力率を向上する(流通角を拡大する)ことができる。
【0070】
平滑部45は、本発明の平滑手段に相当し、変換部44から送られたパルス状波形の電圧を、平滑化し、発光部50に直流を供給する。
【0071】
検出部46は、本発明の検出手段に相当し、電源装置2により直流が供給されて駆動されている状態での発光部50の動作点と、変換部44の内部の所定の素子、例えば巻線素子、電源装置2の筐体5、発光部50を構成する固体発光素子32、又は整流部43に平滑コンデンサを使用した場合の当該平滑コンデンサの温度に関する情報等を検出する。ここで、動作点とは、発光部50を構成する固体発光素子32に電流を流した際に発生する順方向電圧の積、すなわち、(電流)×(順方向電圧)の積により算出される。
【0072】
また、前記の各種温度に関する情報は、熱電対等を用いて検出してよい。
なお、発光部50を構成する固体発光素子32の温度に関する情報は、発光部50の電流、順方向電圧を基に求めても良い。これは、固体発光素子32の温度により、その電流、順方向電圧特性が変化する。このことを利用して、前述の固体発光素子32の温度に関する情報の検出を行うことが可能であるためである。
【0073】
指示部47は、本発明の指示手段の一部に相当し、検出部46により検出された動作点と、予め設定部49により設定されている基準となる動作点(以下、基準動作点と記載)とに基づき、発光部50の目標とする動作点(以下、目標動作点と記載)を決定する。指示部47は、その目標動作点を実現すべく選択部48を制御する。
【0074】
選択部48は、本発明の指示手段の残部に相当し、指示部47からの指示に基づき、上記目標動作点を実現できる、上記所定の時間間隔の各期間内でのパルス状波形の電力量を算出する。選択部48は、算出した電力量を実現すべく、変換部44を制御する。
【0075】
さらに、選択部48は、検出部46で検出した温度に関する情報に基づき、デューティ比の変更に係る制御を変換部44に対し行う。
【0076】
設定部49は、発光部50の基準となる動作点(基準動作点)を設定する。
ここで、設定部49には、照明装置1の外部から、例えば、赤外線通信や無線通信や有線通信など、所定の通信回線を利用して情報が入力されることで、発光部50の基準動作点が設定されてもよい。
【0077】
発光部50は、光源ユニット3に相当し、前記複数の固体発光素子32を発光する。具体的には、単数または複数の固体発光素子32を備える。固体発光素子32は、例えば、LEDである。
【0078】
図5は、照明装置1の概略回路構成を示す図である。
図4で示した照明装置1は、図5のような概略回路図の構成をとることで実現することができる。なお、当然に回路構成はこれに限定されるものではなく、図4により説明した機能が実現できる回路構成であればよい。
【0079】
整流部43は、インダクター51とインダクター52と、コンデンサ53と、ダイオードブリッジ54とより構成される。
【0080】
インダクター51とインダクター52とコンデンサ53とは、外部よりの擾乱から保護する保護回路である。したがって、コンデンサ53は、平滑コンデンサではない。ところで、平滑コンデンサは容量が大きいことが要求される。そのため、通常電解コンデンサが用いられる。しかしながら、このタイプのコンデンサは大きさ及び寿命等に問題がある。
【0081】
コンデンサ53は、上述したように外部よりの擾乱から、照明装置1を保護することを目的としており、容量は小さくてよい。故に、例えば、セラミックコンデンサ等の小型で長寿命のコンデンサを用いる。
【0082】
なお、整流部43を構成する際にコンデンサ53を平滑コンデンサとする場合においては、十分な部品選択を行い、長寿命製品を適用することが好ましい。また、その温度に関する情報を検知して、それに基づきデューティ比を制御することも好ましい。このようにすることにより、コンデンサ53を平滑コンデンサとする場合においても、照明装置1(電源装置2)の長寿命化を高い水準で実現できることを確認している。
【0083】
ダイオードブリッジ54は、交流を全波整流して出力する全波整流器である
図6は、交流を整流するダイオードブリッジ54の出力波形を説明する図である。
【0084】
ダイオードブリッジ54は、図6(a)に示すような交流波形を整流し、図6(b)のような全波整流波形を形成し出力する。
【0085】
変換部44は、Field Effect Transistor(以下、FETと記載)56、58と、トランス59と、入力端子対である端子対A及びA’と、出力端子対である端子対B及びB’とより構成される。FET56とFET58は、選択部48を構成するドライバ55、ドライバ57からの指示により動作し、動作と指示された場合には、変換部44におけるトランス59の出力端子対である端子対B及びB’にオンパルスを生成する。言い換えると、変換部44において、制御されたデューティ比に基づいて、整流部43から出力された全波整流波形の電圧が、変換部44に備えるトランス59の1次側に送られている時間であるオン時間中には、変換部44に備えるトランス59の2次側でパルス状波形(オンパルス)を出力する。
【0086】
また、非動作と指示された場合には、変換部44におけるトランス59の出力端子対である端子対B及びB’にオフパルスを生成する。言い換えると、変換部44において、制御されたデューティ比に基づいて、整流部43から出力された全波整流波形の電圧が、変換部44に備えるトランス59の1次側に送られていない時間であるオフ時間中には、変換部44に備えるトランス59の2次側では電圧としてなにも出力されない(オフパルスが出力される)。
【0087】
なおここで、トランス59は、入力された電圧を、所定の昇圧率で昇圧し、出力する(所謂、昇圧トランスである)。これは、力率を向上することを目的としたものである。
【0088】
なお、トランス59の代わりに、昇圧コイル(不図示)を使用して変換部44を構成することも可能である。
【0089】
平滑部45は、ダイオード61とダイオード62とコンデンサ63とにより構成される。変換部44におけるトランス59の端子対B及びB’からのパルス状波形の電圧を、ダイオード61とダイオード62とコンデンサ63とからの回路素子により平滑化する。平滑部45から発光部50に直流が供給される。
【0090】
検出部46は、抵抗64と、抵抗65と、熱電対60aと、熱電対60bと、コントローラユニット68とにより構成される。
【0091】
抵抗64により発光部50に流れる電流を検出し、抵抗65により発光部50の順方向電圧を検出することができる。抵抗64、65により検出された電流値及び電圧値の情報は、コントローラユニット68に送られる。
【0092】
コントローラユニット68は、動作点を上記情報より求める。ここで、動作点とは、上述したように、抵抗64により検出された電流値と、抵抗65により検出された順方向電圧値の積である。コントローラユニット68の内部には記憶部として内部メモリ(不図示)を備える。
【0093】
内部メモリは、抵抗64により検出された電流値と、抵抗65により検出された順方向電圧値と、それらに基づき求めた動作点との情報が記憶され、その情報を履歴情報として保持する。
【0094】
熱電対60a、60bは、例えば変換部44におけるトランス59、筐体5、発光部50を構成する固体発光素子32の温度、コンデンサ53(特に、平滑コンデンサとした場合)等の温度を検出する(図5では、熱電対60a、60bを、それぞれトランス59、筐体5の温度を検知すべく配置しているが、これに限定されるものではない。必要に応じて任意の場所に配置してよい。また、その個数も2つに限定されるものではない)。熱電対60a、60bにより検出された温度の値は、コントローラユニット68に送られ、コントローラユニット68の内部に備える内部メモリ(不図示)に記憶され、保持される。
【0095】
設定部49は、コントローラユニット68により構成され、発光部50の基準動作点を設定する。ここで、コントローラユニット68は、照明装置1の外部にある外部信号受信機や外部入力スイッチ(不図示)が接続されている。
【0096】
例えば、外部信号受信機(不図示)を、赤外線受信機にすれば、簡便に赤外線通信により発光部50の基準動作点を制御することができる。このようにすることで、容易に発光部50を調光できる。
【0097】
また、発光部50の基準動作点に係る情報を照明装置1の外部にある外部入力スイッチ(不図示)により入力してもよい。このようにすることによっても、容易に発光部50を調光できる。
【0098】
また、予め、コントローラユニット68の内部メモリ(不図示)に、発光部50の調光に用いるための基準動作点等の情報を記憶させておいてもよい。
【0099】
指示部47は、コントローラユニット68により構成される。指示部47は、設定部49により設定される基準動作点、及び検出部46により検出された動作点に基づき目標動作点を決定する。
【0100】
選択部48は、ドライバ55、57と、コントローラユニット68とにより構成される。
【0101】
コントローラユニット68は、指示部47により決定された目標動作点を実現するためにドライバ55、57の動作を指示する。そして、ドライバ55、57は、コントローラユニット68からの動作の指示に基づき、FET56、58の動作を制御する。
【0102】
また、電源装置2は、交流を直流に変換してコントローラユニット68に供給する電源部101をさらに備える。ここで、電源部101は、発光部50に直流を供給する電源装置2の回路素子とは絶縁されている。
【0103】
電源部101は、トランス66とダイオード67とから構成され、商用電源42から供給された交流を、トランス66と、ダイオード67とを用いて直流化し、コントローラユニット68に直流を供給する。ここで、トランス59と、トランス66とは別の個体であって各々独立したものである。
【0104】
また、指示部47により決定された目標動作点を実現するドライバ55、57に対するコントローラユニット68からの動作の指示は、コントローラユニット68とドライバ55、57とを接続する信号線を介して行われる。
【0105】
ここで、コントローラユニット68とドライバ55、57とを接続する信号線も、その途中で、例えば、フォトカプラを用いることで、電気的に絶縁されている。
【0106】
それ故、コントローラユニット68と、変換部44等とは、電気的に絶縁されて構成される。このため、例えば、変換部44等において生じたノイズ等が、コントローラユニット68に侵入することを防ぐことが可能である。このことにより、コントローラユニット68が誤動作することが防止され、電源装置2そのものの安全性が向上する。すなわち、照明装置1の信頼性が高くなる。
【0107】
ここで、特許文献2記載のバックライト装置内の直流電源については、本電源装置のコントローラユニット68に相当するマイコンが、本発明のFET56、58に相当するトランジスタと電気的に絶縁されていない。よって、ノイズ等による誤動作の危険性が危惧される。
【0108】
しかしながら、本発明の照明装置1は、上述したように、コントローラユニット68と、FET56、58とが電気的に絶縁(コントローラユニット68と、ドライバ55、57とを接続する信号線が電気的に絶縁)されており、ノイズによる誤動作の危険性を低減し、照明装置1の信頼性を高めている。
【0109】
また、変換部44におけるトランス59は、単に電圧及び電流の値を所望の値に変換する機能を有しているだけでなく、変換部44における入力端子対である端子対A及びA’と、その出力端子対である端子対B及びB’とを電気的に絶縁する機能を有している。このことにより、電源装置2に接続される発光部50を商用電源42からのノイズより保護することが可能となる。
【0110】
さらに、変換部44におけるトランス59は、1次コイル側にセンタータップ付のものを用いる。
【0111】
ここで、図5に示すトランス59のa部は、トランス59の1次コイルの一端とセンタータップの間とし、トランス59のb部は、トランス59の1次コイルの他端とセンタータップの間としている。
【0112】
トランス59は、a部とb部とで生ずる磁束の方向が逆となるように構成されている。それ故、a部とb部とを交互に動作させることで、トランス59が不要に磁化されることを防ぐことが可能となる。このことは、電源装置2の耐久性を向上することにつながるので、電源装置2の信頼性が高くなる。
【0113】
ここで、特許文献2記載のバックライト装置内の直流電源に使用されているトランスは、センタータップつきのタイプではない。これは、このバックライト装置の負荷となるランプの寿命特性等に基づき、長期の安定性が要求されないためではないかと推測される。
【0114】
一方、本発明の照明装置1は、上述したように、固体発光素子としてハイパワーLEDを用いた照明装置への適用を前提とした装置である。LEDは寿命が非常に長く、使用方法によっては10年以上継続し使用することが可能である。
【0115】
そのような状況を鑑みれば、LEDを用いた照明装置を構成する本発明の電源装置2は10年以上安定して使用できる設計が要求される。したがって、変換部44におけるトランス59においても、長期にわたる安定動作を実現し得るセンタータップ付きのものを使用するのが好ましい。
【0116】
また、電源装置2においては、コントローラユニット68と、ドライバ55と、ドライバ57により、変換部44を制御している。
【0117】
ここで、コントローラユニット68は、FET56、58に対して、前記デューティ比を前記フォトカプラ、ドライバ55、57を介して制御する。具体的には、マイクロコンピュータなどを使用して構成され、変換部44における入力端子対である端子対A及びA’から入力される全波整流波形を直流化することなく、全波整流波形から直接所望のパルス状波形を生成する制御を実現している。
【0118】
それにより、平滑コンデンサを用いる必要がなくなるので、大幅に電源装置2の体積を低減し、信頼性を向上することが可能となる。以下、その理由を詳細に説明する。
【0119】
特許文献3記載の定電流直流電源では、全波整流波形を一旦、平滑化した上で、所望の特性を有するパルス電圧波形を得ている。この平滑化を行うためには、コンデンサ53に相当するコンデンサを平滑コンデンサとしている。平滑コンデンサとしては、容量の大きい電解コンデンサが使用されている。この、電解コンデンサは、一般的に体積が大きく装置を大型化させてしまうという問題がある。さらには周囲温度の影響による容量が変化しやすい問題もある。また、電解コンデンサは寿命が短く安定性の問題もあった。
【0120】
また、特許文献2記載のバックライト装置内の直流電源においては、電解コンデンサを使用する必要はないものの、上述したように安全性及び安定性の上で問題がある。
【0121】
しかしながら、本発明における電源装置2ではそれらの問題点をすべて解決しており、LEDを使用した照明装置に好適である。
【0122】
なお、電源装置2においては、コンデンサ53を平滑コンデンサとする場合においても、十分な部品選択を行い、長寿命製品を適用し、また、その温度に関する情報を検知して、それに基づきデューティ比を制御することで、電源装置2の長寿命化を高い水準で実現できることも確認している。
【0123】
次に、照明装置1の動作について図を用いて説明する。
図7は、照明装置1の動作を示すフローチャートである。
【0124】
まず、S72において、照明装置1の電源装置2に商用電源42が投入され給電が開始される。そして、コントローラユニット68が運転を開始する。ここで、商用電源42が投入された直後には、コントローラユニット68の運転は開始されているが、変換部44(FET56、58、トランス59、端子対A及びA’、端子対B及びB’)には給電されておらず、変換部44は起動していない。この方法をとる理由は、照明装置1の安全性を高めるためである。コントローラユニット68を先に起動させることにより、電源装置2内各部(整流部43等)、商用電源42、あるいは発光部50(光源ユニット3)に異常が発生している場合は、即座にその運転を停止することができるからである。
【0125】
また、この方法をとる他の理由は、変換部44が駆動する前までに商用電源42の周波数を検出する必要があるためである。日本国内においても、商用電源42の周波数は、東日本地区は50Hz、西日本地区は60Hzというように異なる。コントローラユニット68を用いて上述したような、所望の制御を行うためには、商用電源42の周波数を検出することが必要となる。
【0126】
次に、図7のS73において、指示部47は、設定部49から基準動作点を目標動作点として読み出す。
【0127】
ここで、動作点とは、抵抗64により検出された発光部50に流れる電流値と、抵抗65により検出された発光部50に印加された順方向電圧値との積により求まる値である。動作点の単位はワット[W]であり、電力と同等のものである。発光部50は、発光部50が有する固体発光素子の特性や個数等により順方向電圧が定まる。また、固体発光素子を有する発光部50自身の温度によっても順方向電圧が変化する。
【0128】
また、固体発光素子を有する発光部50は電流制御素子であるため、それに流れる電流の大きさによって、発光部50の発光強度は定まる。言い換えれば発光部50の発光強度は、発光部50に流れる電流の大きさを設定することにより自在に変化させる、すなわち調光することができるということになる。
【0129】
ここで、基準動作点は、使用する発光部50の特性等に応じた順方向電圧と、発光部50において必要な発光強度に対応する電流値から定まるものである。したがって、発光部50の基準動作点を変更することで、その時点における発光部50の発光強度を強く(明るく)したり、弱く(暗く)したりすることができる。
【0130】
ここで、図8は、発光部50の基準動作点の設定を変更することにより発光強度を変更することを説明する図である。図8(a)は、その時点(初期)の発光強度を示す基準動作点を示している。初期の発光部50の発光強度をより強く(明るく)したい場合は基準動作点を図8(b)のように移動させて設定する。逆に初期の発光部50の発光強度をより弱く(暗く)したい時は、図8(c)のように移動させて設定すればよい。
【0131】
なお、基準動作点の設定は、設定部49に接続される外部入力スイッチ(不図示)からの入力により行ってもよく、設定部49に接続される外部信号受信装置(不図示)からの入力により行ってもよい。このようにすることで、外部より基準動作点の設定を変更できる、すなわち外部より発光部50を調光することが可能となる。
【0132】
次に、図7のS74において、選択部48は、目標動作点を実現するためのデューティ比を決定し、算出する。すわなち、選択部48は、目標動作点を実現するための変換部44におけるトランス59の1次側に入力される電圧のデューティ比を決定する。
【0133】
次に、図7のS75において、選択部48は、決定したデューティ比の制御を変換部44において実現すべく、変換部44を制御するための信号(制御信号)をコントローラユニット68において作成する。
【0134】
ここで、変換部44に入力される電圧は、図6(b)に示すような全波整流波形である。図6(b)で示す全波整流波形の電圧を用いて、目標動作点を実現するのに必要な電力を生成する必要がある。そのため次のような手法を用いる。
【0135】
まず、図6(a)に示すように、商用電源42の交流電圧の0クロス点を検出する。ここで、0クロス点の検出は、商用電源42から供給される交流の電圧波形が0クロス点を横切るたびに行う。なぜなら、商用電源42から供給される交流の電圧波形は、微妙な周波数変動が生ずる場合があり、微妙な周波数変動は、変換部44における制御の精度を悪化させることになるからである。変換部44における制御精度の悪化を防ぐため、交流の電圧波形が0クロス点を横切るたびにその0クロス点を検出する。
【0136】
次に、図6(b)のように0クロス点を基準点として、全波整流波形を所定の時間間隔で分割する。ここでは、ある基準点から次の基準点までが4つの区間に分割されるよう時間間隔を設定したが、個数はこれに限定されない。実際には、平滑部45における平滑化の容易性などを考慮して、時間間隔を2[μs]〜20[μs]程度の範囲に設定する。発明者らの実験では、4[μs]が最適であった。
【0137】
次に、各区間において、必要な電力を実現する。ここで、電力は、当然のごとく電圧と電流の積である。そのため、各区間すべてにおいて必要な電力が得られるよう、図9(a)、図9(b)のように、デューティ比を変更するよう変換部44を制御する信号をコントローラユニット68において作成する。
【0138】
ここで、図9は、コントローラユニット68により変換部44をデューティ比制御するための制御信号が作成されることを説明する図である。図9は上述したように図6の交流を整流するダイオードブリッジ54の出力波形に基づいて作成されている。
【0139】
また、トランス59は1次コイル側にセンタータップ付のものを用いている。それ故、図9(a)、図9(b)のようなトランス59の1次コイル側のa部用及びb部用の2つの制御信号を生成する必要がある。
【0140】
ここで、トランス59の1次コイル側のa部用の制御信号と、トランス59の1次コイル側のb部用の制御信号とは、同時にHi(すなわち、FET56、58を同時に動作させる)としてはならない。万が一このようになれば、トランス59が故障してしまう。
【0141】
したがって、トランス59の1次コイル側のa部用の制御信号と、トランス59の1次コイル側のb部用との制御信号は共に、設定した区間内の50[%]を超えて、Hiとなってはならない。さらに、安全性を鑑み発明者らは設定した区間内の49[%]を越えてHiとならないようにした。
【0142】
ここで、図7のS72において、商用電源42の周波数を検出しているので、0クロス点を検出した後、これを基準点として次の0クロス点が検出する時刻を予め算出しておくことも望ましい。このようにすることによって、次の0クロス点が検出される前に制御信号を強制的にLoにして、変換部44の動作を停止することができる。これは、電源装置2の誤動作を防ぐことにつながるので、電源装置2(照明装置1)の信頼性を高めることができる。
【0143】
また、図7のS74において算出された、目標動作点を実現するために変換部44で生成する必要電力が非常に小さい場合、制御信号がHiとなる時間が非常に小さくなる。そのため、設定した区間内での電力生成は困難となる。
【0144】
例えば、100Wの照明装置1に対して、照明装置1の点灯開始直後に、照明装置1に供給される電力が数W程度である場合、数W程度の電力を発生させるために、商用電源42からの電圧を変換部44に通過させるオン時間が非常に少なくなるようにデューティ比制御をする。この、デューティ比制御における商用電源42からの電圧を変換部44に通過させるオン時間が、上記制御信号がHiとなる時間と相関する。
【0145】
制御信号がHiとなる時間を増やすようにする対策は、以下のように行う。なお、ここではある基準点から次の基準点までが4つの区間に分割されるよう時間間隔が設定されたものとする。
【0146】
1番目として、基準点(0クロス点)から1つ目の区間において、変換部44で生成すべき必要電力の2倍に相当する電力に対応するよう制御信号を生成する(a部用とb部用共に制御信号を生成する)。このことにより、この区間内での制御信号がHiとなる時間を多くとることができる。一方、基準点から2つ目の区間では、制御信号をLoに維持する(a部用とb部用共に制御信号をLoに維持する)。
【0147】
2番目として、基準点から3つ目の期間では、制御信号をLoに維持する(a部用とb部用共に制御信号をLoに維持する)。基準点から4つ目の区間では、変換部44で生成すべき必要電力の2倍に相当する電力に対応するよう制御信号を生成する(a部用とb部用共に制御信号を生成する)。このことにより、この区間内での制御信号がHiとなる時間を多くとることができる。
【0148】
以下、1番目、2番目を交互に繰り返す。このようにすることで、変換部44で生成する電力が非常に小さい場合から目標動作点を実現するまでも電源装置2の動作の安定性を損なわず、制御を行うことができる。
【0149】
ここで、上記は4つの区間で行うものとしたが、区間の数はこれに限定されない。区間の数にあわせて上記方法の意図を変えない範囲で適宜変更して実施すればよい。
【0150】
また、変換部44におけるトランス59のa部とb部とは、極力均等に使用することが望ましい。すなわち、何れか一方のみを多く使用した場合には、トランス59が不要に磁化される。これを防ぐため、a部とb部とを極力均等に使用することが必要である。
【0151】
次に、図7のS76において、FET56、58を動作させるためのドライブ信号をドライバ55、57にて作成する。これは、S75において作成された制御信号に基づき作成する。
【0152】
この際、ドライバ55、57は制御信号の内容をチェックしてもよい。具体的には、a部用の制御信号と、b部用の制御信号とが同時にHiとなっていないかチェックする。もし同時にHiとなっていた場合には、b部用の制御信号をLoに変更した上で、ドライブ信号を生成する。生成されたパルス状波形は、トランス59により変圧(昇圧)される。
【0153】
次に、図7のS77において、S75において作成された制御信号(図9(a)及び図9(b))に基づきFET56、58を駆動し、パルス状波形(図10(a)及び図10(b))を生成する。
【0154】
次に、図7のS78において、平滑部45は、入力されるパルス状波形の電圧を平滑化し出力する。
【0155】
次に、図7のS79において、検出部46により、発光部50の実際の動作点、すなわち、発光部50の実際の電流値及び電圧値の積の値を検出する。発光部50の動作点は、周囲温度や、それ自身の発熱による温度変化等により、変動する。そのため、実際の動作点をチェックし、それを補正する必要がある。また、トランス59、筐体5等の温度も測定する。
【0156】
次に、図7のS80において、基準動作点の変更の有無を確認する。これは、例えば、照明装置1を利用するユーザが発光部50の発光強度を変更したかどうかに相当する。基準動作点の変更があった場合(図7のS80においてYESの場合)、S73に進む。基準動作点の変更がない場合(図7のS80においてNOの場合)、S81に進む。
【0157】
ここで、検出部46が発光部50の動作点の際の検出にかかる周期は、1[ms]〜500[ms]であることが望ましい。これは、発光部50の動作点は、時間的に急峻に変化することは無く、それ故この周期を高速にする必要が無い。すなわち、リアルタイム性は必要で無いため、適当な周期あるいは時間間隔で検出をすればよい。これにより、コントローラユニット68に搭載するマイクロコンピュータ(不図示)は、比較的安価かつ、コンパクトなものとすることができる格別の効果がある。発明者らの試験においては、この周期を150[ms]とすることが最適であった。
【0158】
次に、図7のS81において、指示部47は、S79において検出された動作点と、基準動作点とを比較し、その結果に基づき目標動作点を設定する。
【0159】
図11は発光部50の実際に検出された動作点が、基準動作点からの所定動作範囲を外れてしまった場合に、目標動作点が再設定されることを説明する図である。
【0160】
図11(a)に示すように、S79において検出された動作点が図中の左上に変動した場合、すなわち、所定動作範囲の上限範囲外へ外れてしまった場合の対応を示すものである。これは、発光部50の順方向電圧が低下し、その分それに流れる電流が上昇してしまう場合に相当する。この場合において、発光部50は、所望の発光強度より強く(明るく)発光している。そのため、制御動作点を定めて、これを新たな目標動作点とする。こうすることにより、所定動作範囲(ここでは、発光部50に流れる電流が基準動作点に基づく電流値を100とした場合に、95〜105の範囲、すなわち±5%の範囲を所定動作範囲としている)内に動作点が収まるようになる。
【0161】
なお、この所定動作範囲は、±5%の範囲でなくともよく、±10%の範囲のように広くしてもよい。しかしながら、広くすればするほど、発光部50の発光強度の変化が大きくなり、周辺の人々に違和感を与えるので適度な範囲を設定する必要がある。発明者らの試験では、上記±5%の範囲であれば違和感がないとして、この値を採用している。
【0162】
図11(b)に示すように、S79において検出された動作点が図中の右下に変動した場合、すなわち、所定動作範囲の下限範囲外へ外れてしまった場合、図11(a)の場合と同様に、制御動作点を定め、これを目標動作点とする。
【0163】
また、S78において検出された動作点が所定動作範囲内であった場合は、それをそのまま新たな目標動作点とする。
【0164】
次に、図7のS82において、指示部47は、外部入力スイッチ(不図示)等から停止信号が入力されていないか確認し、停止信号が入力されていれば電源装置2の動作を停止する(S82においてYESの場合)。これは、例えば、照明装置1を利用するユーザが照明装置1の発光部50を消灯する、すなわち、照明装置1の電源装置2への電源供給を停止することに相当する。この際、変換部44は、コントローラユニット68に対し所定時間前に運転を停止する。言い換えると、その時間内に、コントローラユニット68は変換部44に対する指示を終了する。ここで、所定時間とは、0.2[s]〜1[s]程度であることが望ましい。
【0165】
このような、方法をとる理由は、照明装置1における電源装置2の安全性を高めるためである。
【0166】
なお、図7のS82において、指示部47は、外部入力スイッチ(不図示)等から停止信号が入力されていないか確認し、停止信号が入力されていなければ(S82においてNO)、S74に戻り上述した動作を繰り返す。
【0167】
また、検出部46における熱電対60a、60bにより検出されたトランス59または筐体5等の温度に基づいてデューティ比を変更することで、トランス59または筐体5等の温度を調整してもよい。あるいは、発光部50を構成する固体発光素子32の温度に基づいてデューティ比を変更することで、固体発光素子32の温度を調整してよい。以下、その手順を説明する。
【0168】
図12は、検出部46により検出された温度に基づいて、デューティ比を変更(制御)する手順を示したフローチャートである。この動作は、例えば図7におけるS74と、S75との間に行ってよい。
【0169】
まず、S121において、検出部46により検出された温度(T)が、予め定められた温度の閾値(Tth)を超えているかどうかを確認する。
【0170】
具体的には、検出部46における熱電対60a、60b等により検出したトランス59、筐体5、コンデンサ53(得に平滑コンデンサとした場合)、固体発光素子32等の温度(T)が、安定動作できる上限値として予め定めた温度の閾値を超えているかどうかを確認する。
【0171】
検出部46により検出された温度(T)が、予め定められた温度の閾値(Tth)より高い場合には(S121においてYESの場合)、S122において、変換部44におけるデューティ比のオン時間を小さくする(例えば、10%)。すなわち、デューティ比の変更を行うこととなる。
【0172】
このことにより、トランス59、筐体5、コンデンサ53(得に平滑コンデンサとした場合)、固体発光素子32等へかかる負荷を低減することができ、よってそれらの温度を、予め定められた温度の閾値(Tth)より低い温度で駆動することができる。
【0173】
なお、検出部46により検出された温度(T)が、予め定められた温度の閾値(Tth)より低い場合には(S121においてNOの場合)、デューティ比の変更の必要がないので、そこで動作を一旦終了する。
【0174】
このようにして、所定の周期にて検出部46により温度(T)を検出することで、照明装置1を安全動作する温度範囲にて駆動することができる。
【0175】
ここで、このように、検出部46により検出された温度に基づいて、デューティ比を変更(制御)する理由であるが、まず、トランス59、筐体5、平滑コンデンサとしたときのコンデンサ53等が異常に高温となった場合、電源装置2が故障(長期的な寿命特性の劣化も含む)する可能性がある。そのため、トランス59等の温度を下げる必要がある。
【0176】
これは、デューティ比を低く変更することによりトランス59等にかかる商用電源42からの電圧の負荷を低減することができるので、トランス59等の温度を下げることができる。
【0177】
例えば、熱電対60aによりトランス59の温度が検出された際に、検出されたトランス59の温度の値が基準値(例えば80度)を超えた場合には、基準動作点を低下させることでトランス59の温度を下げる。
【0178】
なお、トランス59が異常に高温となった場合に、電源装置2の動作を停止させても良い。しかしながら、トランス59が異常に高温となった原因が火事などの災害であった場合、電源装置2の動作を停止したのでは、発光部50からの発光が停止されてしまい周辺が真っ暗になってしまう。これでは、周辺にいる人々はパニックに陥りかねない。それ故、上述の例のように、トランス59が異常に高温となった場合においても、電源装置2を低い基準動作点にして動作させることにより、発光部50の発光を続けさせることが好ましい。
【0179】
また、コンデンサ53を平滑コンデンサとして構成した場合、当該コンデンサ53の検出された温度の値が基準値(例えば80度)を超えた場合には、基準動作点を低下させることでコンデンサ53の温度を下げる。
【0180】
上記制御は、平滑コンデンサとしては、電解コンデンサを使用することが考えられるが、その寿命特性を発揮させるためには、負荷を小さくし温度が高くなることを防ぐ必要があるため実施する。
【0181】
また、固体発光素子32の温度の値が、基準値(例えば90度)を超えるものであると検出された際には、デューティ比を低く変更することで固体発光素子32の温度を下げる。このことにより、固体発光素子32の負担を小さくすることができ、温度を下げ、その特性の劣化を防ぐことが可能となる。
【0182】
図13は、図7におけるS74にかかる選択部48のデューティ比の決定の動作を詳細に説明するフローチャートである。
【0183】
まず、S131において、目標動作点を実現するために選択部48は、変換部44に対するデューティ比を計算する。
【0184】
次に、S132において、選択部48は、S131で算出されたデューティ比を実現するため、変換部44を制御する。
【0185】
次に、S133において、選択部48は、検出部46において検出された発光部50に流れる電流、及び発光部50の順方向電圧に基づき動作点を算出する。
【0186】
次に、S134において、選択部48は、S133で求めた動作点が、目標動作点と一致しているかどうかを確認する。
【0187】
S133で求めた動作点と基準動作点とが一致している場合には(S134のYESの場合)、選択部48は、検出部46において検出された電流値と、順方向電圧値と、それらに基づき求めた動作点との情報を履歴情報としてコントローラユニット68の内部メモリに記憶させて保持する。これにより、デューティ比が決定される。
【0188】
なお、算出された動作点と目標動作点とが一致していない場合には(S134においてNOの場合)、選択部48は、決定されていた変換部44に対するデューティ比を変更し(S136)、S132の処理を再度実行する。ここで、例えば、変更されるデューティ比は、例えば、10%である。
【0189】
ここで、照明装置1の発光部50に用いられるLEDは従来の蛍光ランプなどと比べて非常に小さく、個数を任意に選ぶことで、用途別に発光部50の大きさ、形状等を任意に設計することができる。そのため、照明装置1における電源装置2は小型であればあるほど良く、さらなる小型化が要求されている。
【0190】
そこで、電源装置2を構成する回路素子を最適に配置して基板に高密度に実装することで、電源装置2の筐体5の大きさを小さくする方法を下記に説明する。
【0191】
電源装置2は、図1に示すように、筐体5と給電ケーブル4とを備えている。電源装置2は、さらに、図2に示すように、筐体5の内部に電源装置2を構成する回路素子が実装された基板21が収納されている。
【0192】
図14Aは、電源装置2を構成する基板21の概略構造を示す図である。電源装置2の筐体5に収納される基板21は、回路素子が実装される実装前基板であり、図14A(a)に示すメイン基板121と、図14A(b)に示すサブ基板A122及びサブ基板B123とにより構成される。ここで、サブ基板の数はこれに限らず、自由に設定してよいことは言うまでもない。
【0193】
なお、基板21(メイン基板121、サブ基板A122、及びサブ基板B123)は、片面実装タイプの基板である。
【0194】
メイン基板121は、長方形形状である。図14A(a)は、メイン基板121の実装面となる方向から見た図である。サブ基板A122及びサブ基板B123は、同様に、長方形形状である。図14A(b)は、メイン基板121の実装面となる方向から見た図である。
【0195】
ここで、図14Bに示すように、巻線素子163(この巻線素子163とは、トランス59、昇圧コイル(不図示)等を指す)は、コア163aに導線(不図示)を巻くことにより構成されており、この巻線が行われている部分を巻線部163bとする。
【0196】
また、コア163aの幅(すなわち巻線素子163の中心軸に沿った幅)t9は、電源装置2を構成する回路素子の中で最も大きな値となることが一般的である(発明者らは、本電源装置131を、最大出力電力100Wとして試作したところ、巻線素子163のコア163aの幅t9が、電源装置2を構成する回路素子の中で最も大きな値であった)。
【0197】
したがって、電源装置2の大きさが決まる上で、巻線素子163のメイン基板121への配置がキーポイントとなる。そこで、発明者らは、図15Aに示すように、メイン基板121の長辺方向に対し、該巻線素子163の中心軸が角度αになるように配置した。
【0198】
このようにすることで、メイン基板121の短辺方向の幅t2をコア163aの幅t9より、小さな値にすることができる(同時に、サブ基板A122、サブ基板B123の短辺方向の幅もt2とすることができる)。
【0199】
ここで角度αであるが、30度から60度の範囲にすることが好ましく、40度から50度にすることがより好ましい。
【0200】
その理由であるが、もし角度αを60度以上にした場合には、メイン基板121の短辺方向の幅t2を大きくする必要が発生し、逆に角度αを30度以下にした場合には、メイン基板121の長辺方向の幅を大きくする必要が発生するためである。
【0201】
特に巻線素子163が複数必要な際には、角度αを30度以下にすることは好ましくない。それは、本実施の形態においては、上記のように巻線素子163は、トランス59に対応する、すなわち1個のみの巻線素子163が存在するとしているが、例えば力率改善回路(不図示)を該電源装置2に付加した場合には、昇圧コイル(不図示)が必要となる。昇圧コイル(不図示)も巻線素子163であり、この場合には電源装置2を構成する回路素子の中に2つの巻線素子163が存在することになる。この場合において、角度αを30度以下とすると、メイン基板121の長辺方向の幅が累積的に大きくする必要が発生するためである。
【0202】
図15Bは、電源装置2を構成する基板21に各種回路素子を実装した場合の図である。図15Bでは、メイン基板121、サブ基板A122及びサブ基板B123に巻線素子163など、図2に示す照明装置1における電源装置2を構成する回路素子を実装している。
【0203】
図15B(a)は、ハッチングされている部分が電源装置2を構成する各種回路素子を示し、電源装置2を構成する各種回路素子が実装されたメイン基板121を示している。
【0204】
図15B(b)は、ハッチングされている部分が電源装置2を構成する各種回路素子を示し、電源装置2を構成する各種回路素子が実装されたサブ基板A122及びサブ基板B123を示している。
【0205】
図16は、メイン基板121とサブ基板A122及びサブ基板B123とがお互いの実装面で対向して配置されたことを示す図である。図16は、図15B(a)に示す各種回路素子が実装されたメイン基板121の実装面と、図15B(b)に示す各種回路素子が実装されたサブ基板A122及びサブ基板B123の実装面とが長辺方向に沿って向かい合うように配置されている。ここで、肝要なことは、図16に示すようにメイン基板121の実装面上にサブ基板A122、及びサブ基板B123の実装面が対向するように配置した際、実装された各種回路素子同士が干渉しないようにすることである。
【0206】
したがって、メイン基板121の実装面と、サブ基板A122及びサブ基板B123の実装面とがなす距離は、メイン基板121及びサブ基板A122及びサブ基板B123らに実装される各種回路素子のうち最も高さが高い回路素子(ここでは巻線素子163)と略同一となる。
【0207】
また、メイン基板121の実装面上にサブ基板A122、及びサブ基板B123の実装面が対向するように載せた際、メイン基板121から、サブ基板A122及びサブ基板B123がはみ出すことなく、完全に載るようにすることが肝要である。
【0208】
以上のようにすることにより、電源装置2の内部の高さを、電源装置2を構成する最も高い回路素子(ここでは、巻線素子163)とほぼ等しく、またその短辺方向の長さを、電源装置2を構成する最も幅の広い回路素子(ここでは、巻線素子163)より短くすることができる。
【0209】
電源装置2は、これらを内部に備える筐体5が外観上の形状となる。したがって、箸箱程度の大きさとすることができる。発明者らは、電源装置2を最大出力電力100Wとして試作したところ、そのサイズを28mm×28mm×220mm以下とすることが可能であることを確認している。したがって、十分な小型化を実現することが可能であることが確認されている。
【0210】
ここで、上述のように電源装置2は、固体発光素子(ここではLED)を用いた照明装置への適用を前提にしている。個々のLEDは非常に小型であり、それ故、従来の蛍光ランプなどを使用した照明装置では実現できなかった、小型、かつデザイン性の高い照明装置を、LEDを使用することで実現できる。そのため、電源装置2もできるだけ小型化し、照明装置1の組み込みを容易にする必要がある。これは、照明装置1を構成する電源装置2の照明装置1に対して占める体積割合を非常に小さくすることで実現される。
【0211】
ところで、特許文献2記載のバックライト装置内の直流電源は、上述のとおり小型化については明記されていない。それ故、LEDを用いた照明装置への適用は、特許文献2記載のバックライト装置内の直流電源では実現できない。
【0212】
本発明における電源装置2は、固体発光素子(LED)に適用することを前提としている。LEDは、小さな素子であり、それ故、自在かつ十分に小型となる照明装置を構成するために好適である。しかし、LEDを使用した発光部50を駆動する駆動源である電源装置が大きい場合は、その特性が十分に発揮されない。
【0213】
例えば、特許文献2記載のバックライト装置内の直流電源は、その大きさに関して考慮されていない。それ故、電源装置部分が十分に小型化されないため、電源装置の大きさがネックとなり、LEDを使用した小型の照明装置1が実現できない。
【0214】
一方、本発明における電源装置2は、電源装置2の構成に必要な回路素子が高密度化され実装されているため、非常にコンパクトとなり、LEDを用いた小型の照明装置1を実現するのに好適である。それ故、その産業的価値は大きいと考える。
【0215】
図1に示す電源装置2は、上記設計に基づき、大きさが決定し、各種回路素子の実装を行い、高密度化された実装基板が筐体5に収納された様子を示している。図2は、電源装置2を構成するメイン基板121、サブ基板A122、及びサブ基板B123(図2においては、基板21と表示)を、メイン基板121の実装面上にサブ基板A122、及びサブ基板B123の実装面が対向するようにのせた状態で、筐体5にそれらを収納した状態を示している。
【0216】
ここで、筐体5を熱伝導性の高い材質で構成する理由は、放熱性の観点からである。発明者らが製作した電源装置2は、最大入力電力105W、最大出力電力100Wであり、効率は約95%である。したがって、5Wがロスとなり、このロスは熱となる。
【0217】
上述のように、電源装置2は固体発光素子(LED)を使用した照明装置への適用を前提としている。LEDを用いた照明装置1を長期間、例えば、10年以上、安定して使用するには、照明装置1は、電源装置2及び発光部50(光源ユニット3)においてロスとして発生する熱が適切に処理される必要がある。熱を適切に処理することにより、電源装置2内の回路素子の劣化を防ぐことができ、長期間の安定性を確保することができる。
【0218】
そのため、熱伝導性の高い材質で筐体5を構成することにより電源装置2の放熱特性を向上させる必要がある。
【0219】
また、筐体5がアルミニウムにて構成される場合には、アルマイト処理されることが望ましい。このようにすることにより、筐体5の表面積を増やすことができるので、電源装置2の放熱性を向上することができる。
【0220】
また筐体5は、金属等熱伝導性が高く、また表面積が大きい、すなわち高い放熱効果を奏でる部材(不図示、例えば筐体部31であってよく、表面積の大きい金属パネル等であってもよい。その他前記条件を満たすものであれば、任意の部材であってよい。)に密着して配置されることが好ましい。このように構成することにより、より一層筐体5を利用した放熱を効率的に行うことができる。
【0221】
ここで、前記の部材(不図示)と密着させる筐体5を構成する面(本発明の、金属平面に相当する)は、筐体5の長手方向に沿った面である4つの面のうちの1面であることが好ましい。このようにすることにより、筐体5を構成する面の中で面積の大きい面を利用することができ、放熱効果を高めることができる。
【0222】
また、この前記の部材(不図示)と密着させる筐体5を構成する面は、少なくとも所定の厚みt1を有する平面として構成することが好ましい。このようにすることにより、当該筐体5を構成する面が歪むことを防止することができる。なお、所定の厚みt1は、発明者らの実験によれば、当該筐体5を構成する面をアルミニウムにて構成した場合において、1mm以上であればよく、2mm以上であればより良好な結果が得られている。
【0223】
また、前記の部材(不図示)の表面積は、当該部材(不図示)と密着させる筐体5を構成する面の表面積より広い必要がある。このことにより、広い面積で放熱をすることができ、放熱効果が高まる。
【0224】
さらに、前記の部材(不図示)の筐体5を構成する面が密着する部分は、当然に平面である必要がある。このようにすることで、密着性を高めることができる。
【0225】
また、両者の密着性を維持するため、筐体5を構成する面と、前記の部材(不図示)とを、密着配置した状態で固定することも好ましい。例えば、筐体5に固定用の貫通孔(不図示)を設け、それを利用してネジ(不図示)等を利用して、前記の部材(不図示)と固定してもよい。
【0226】
また、筐体5を構成する面と、前記の部材(不図示)との間に、接着剤や、基材なしの両面テープなどを挟み込み、プレス加工することにより、密着性を高めてもよい。
【0227】
また、電源装置2は、トランス59において昇圧を行うこととしている。これにより、照明装置1の力率の向上を図っている。力率を向上することは、電気設備の小型化などのメリットがある。
【0228】
また、メイン基板121の非実装面と筐体5との間、サブ基板A122の非実装面と筐体5との間、及びサブ基板Bの非実装面と筐体5の間に絶縁シート(不図示)を介在(例えば、筐体5のそれら非実装面に対向する面に、絶縁シート(不図示)を貼付する)させることも好ましい。このようにすることにより、万が一の衝撃が電源装置2に加えられたとしても、電源装置2の故障発生のリスクをより低減させることができるという効果がある(電気的短絡等の発生リスクがより低減されるため)。
【0229】
以上のように、本発明における電源装置2は、固体発光素子(LED)を使用した照明装置1へ適用することに適したものである。
【0230】
LEDを用いた照明装置1のLED部分は、使用方法によっては10年間以上メインテナンスフリーを実現することができる。それ故、照明装置1は、10年以上安定して使用できることが望まれる。本発明における照明装置1は、上述したように、安定性・安全性が高くなるように設計されている。したがって、使用方法によっては、長期間の、例えば、10年間以上の、メインテナンスフリーを実現し得る信頼性を確保したといえる。また、電源装置2を構成する回路素子を最適に配置し、高密度化実装した基板を最小限の大きさにして筐体5に収納することで、コンパクトな電源装置2を実現することができる。したがって、LEDのもうひとつの特徴である小型、自由な形状の照明装置を実現することに適している。
【0231】
また、電源装置2の筐体5に収納される対向配置された高密度実装基板の間等に絶縁性の樹脂を封入してもよい。これにより、回路素子間の絶縁性を向上することができ、電源装置2の信頼性を向上することができる。
【0232】
以上、本発明における照明装置1は、固体発光素子(LED)を使用した発光部50、LED照明用途に最適な電源装置2で駆動することができ、効率的な照明を実現することができる。
【0233】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る電源装置131は、実施の形態1に示す電源装置2に替わり照明装置1に適用できる電源装置である。
【0234】
電源装置131は、電源装置2と同様に小型化を図ることができる電源装置であって、電源装置2と異なる点は、構造に係る部分のみであり、機能、回路構成等は同様である。したがって、機能、回路構成等に関する説明は省略し、構造に係る部分のみ以下に説明する。
【0235】
図17は、電源装置131の外観を示す斜視図である。図18は、図17のC方向から見た電源装置131の平面図である。図19は、図18のD1−D2面における電源装置131の構造を示す断面図である。図20は、図18のE1−E2面における電源装置131の構造を示す断面図である。
【0236】
なお、図18、図19、図20及び図22に記載のとおり、説明のためプレート152の短辺方向を軸x、基板155の短辺方向を軸y、プレート152、及び基板155の長辺方向を軸zとする。
【0237】
筐体151は、柱形状(ここでは、四角柱形状としているが、円柱形状等であってもよい)を有し、中空構造158を有している。中空構造158の内部には、電源装置131を構成する回路素子が備えられる。
【0238】
ここで、以下では、電源装置131を構成する回路素子のうち、ダイオードブリッジ54、FET56、58等は発熱の大きな素子であり、これらを総称して、発熱素子153a、153b、153cとする。また、トランス59等を巻線素子163とする。さらに、発熱素子153a、153b、153c、及び巻線素子163の何れにも属さない電源装置131を構成する回路素子を一般素子154とする。
【0239】
また、さらに中空構造158の内部には、基板155、絶縁体157、押さえ金具161も配置される。
【0240】
筐体151を構成する材料としては、電気的絶縁体であってよい。この理由であるが、長寿命性を確保するためである。具体的な理由については、後ほど説明する。
【0241】
また、金属など導体により構成してもよいが、この場合は長寿命性を確保するために、中空構造158の所定の面に絶縁シート(不図示)等の電気的絶縁体を貼付することが好ましい。この具体的な理由についても、後ほど説明する。
【0242】
筐体151(中空構造158)は、側面(軸zに沿った面)のうち何れか一面に開口部159を有しており、開口部159は、プレート152により封止されている。
【0243】
プレート152(本発明の、金属平面に相当する)は、金属(発明者らは、アルミニウムを採用したが、これに限定されない。熱伝導性、放熱性に優れる材料により構成することが肝要である。)により構成され、筐体151(中空構造158)の開口部159を封止する。併せて、発熱素子153a、153b、153cの放熱電極171が密着して配置される。これは、発熱素子153a、153b、153cにて発生した熱を、プレート152を利用して放熱するためである。
【0244】
ここで、プレート152は、金属等熱伝導性が高く、また表面積が大きい、すなわち高い放熱効果を奏でる部材(不図示、例えば筐体部31であってよく、表面積の大きい金属パネル等であってもよい。その他前記条件を満たすものであれば、任意の部材であってよい。)に密着して配置されることが好ましい。このように構成することにより、より一層プレート152を利用した放熱を効率的に行うことができる。
【0245】
ここで、プレート152は、少なくとも所定の厚みt4を有する平面として構成することが好ましい。このようにすることにより、プレート152が歪むことを防止することができる。なお、所定の厚みt4は、発明者らの実験によれば、アルミニウムにてプレート152を構成した場合において、1mm以上であればよく、2mm以上であればより良好な結果が得られている。
【0246】
また、前記の部材(不図示)の表面積は、プレート152の表面積(ここで言うプレート152の表面積とは、一部が筐体151(中空構造158)により隠匿される面に対して裏面となる面の表面積を指す)より広い必要がある。このことにより、広い面積で放熱をすることができ、放熱効果が高まる。
【0247】
さらに、前記の部材(不図示)のプレート152が密着する部分は、当然に平面である必要がある。このようにすることで、密着性を高めることができる。
【0248】
また、プレート152と前記の部材(不図示)の密着配置を維持するためには、プレート152を前記の部材(不図示)に固定することも肝要である。
【0249】
発明者らは、プレート152に3箇所、貫通孔271a、271b、272を設け、これを利用してプレート152を前記の部材(不図示)へネジ(不図示)等により固定した。
【0250】
ここで、貫通孔271aはプレート(軸z)の長辺方向の一方の端部であり、プレートの短辺方向(軸x)の中心に、貫通孔271bはプレート(軸z)の長辺方向の他方の端部であり、プレートの短辺方向(軸x)の中心に、貫通孔272はプレート(軸z)の長辺方向の中心であり、プレートの短辺方向(軸x)の一方の端部に配置した。その上で、この3つの貫通孔271a、271b、272を利用して、プレート152を、前記の部材(不図示)に固定した。
【0251】
発明者らは、実際に試験を行い、プレート152の厚みt4を所定値以上とすることも相俟って、良好に、プレート152と、前記の部材(不図示)を密着配置できることを確認している。
【0252】
なお、貫通孔271a、271b、272については、上記において3つとしたが、これに限定されず、更に多数の貫通孔を設けてもよい。
【0253】
また、プレート152と、前記の部材(不図示)との間に、接着剤や、基材なしの両面テープなどを挟み込み、プレス加工することにより、密着性を高めてもよい。
【0254】
また、プレート152には、発熱素子153a、153b、153cの放熱電極171以外の部分と、一般素子154と、巻線素子163とが接触しないように構成することが必要である(すなわち、電源装置131を構成する回路素子のうち、プレート152と接触するのは、発熱素子153a、153b、153cの放熱電極171のみである)。更には、基板155についても、プレート152と接触しないようにすることが必要である。
【0255】
このようにする理由についてであるが、電源装置131の長寿命性を実現するためである。すなわち、発熱素子153a、153b、153cについては、その放熱電極171より確実に放熱する。一方で、その他の部分が金属から構成される、すなわち導体であるプレート152に接触することは、電気的短絡の発生に直接的につながる。もし電気的短絡が発生したならば、当然に電源装置131の故障へとつながり、長寿命性を実現することもできない。そのため、上記のような構成を電源装置131はとっている。
【0256】
図21は、発熱素子153a(発熱素子153b、153cも基本的に同様である)の模式図であるが、この図に示すように放熱電極171を有している。これを、プレート152と密着するように配置する。
【0257】
ここで、発熱素子153a、153b、153cの中には、固定用の貫通孔(不図示)が設けられているものがある。例えば、153a、153bには、固定用の貫通孔(不図示)が設けられていないとする。このような場合は、押さえ金具161とネジ162とを用いて固定することが好ましい。
【0258】
この際、固定用の貫通孔(不図示)が設けられていない発熱素子(この場合は、発熱素子153a、153b)を近接に配置し、単一の押さえ金具161のみで、ネジ162等を用いてプレート152と放熱電極171とが密着するように構成することが好ましい。
【0259】
このようにすることで、固定用の貫通孔(不図示)が設けられていない発熱素子(この場合は、発熱素子153a、153b)毎に押さえ金具161を設ける場合に比べ部品点数を削減することが出来る。よって、照明装置1(電源装置131)のコストを削減することが可能となる。
【0260】
一般素子154、及び巻線素子163は、発熱量が小さいため、プレート152と密着させる必要はなく、上記電気的短絡の防止のため接触も発生しないよう配置する。
【0261】
ただし、巻線素子163は、図20に示すように、基板155の長辺方向である軸zに対し、該巻線素子163の中心軸が角度γになるように、基板155に配置される。このように巻線素子163を配置することで、電源装置131を小型化する。
【0262】
ここで、図14Bに示すように、巻線素子163は、コア163aに導線(不図示)を巻くことにより構成される。導線(不図示)が巻かれることにより巻線部163bが構成される。この際、コア163aの幅(すなわち巻線素子163の中心軸に沿った幅)t9は、電源装置131を構成する電源装置131を構成する回路素子(発熱素子153a、153b、153c、一般素子154、巻線素子163)の中で最も大きな値となることが一般的である(発明者らは、本電源装置131を、最大出力電力100Wとして試作したところ、巻線素子163のコア163aの幅t9が、電源装置131を構成する回路素子(発熱素子153a、153b、153c、一般素子154、巻線素子163)の中で最も大きな値であった)。
【0263】
したがって、電源装置131の大きさが決まる上で、巻線素子163の基板155への配置がキーポイントとなる。そこで、発明者らは、上記のように基板155の長辺方向である軸zに対し、該巻線素子163の中心軸が角度γになるように、基板155に配置した。
【0264】
このようにすることで、基板155の短辺方向(軸yに沿った方向)の幅t7をコア163aの幅t9より、小さな値にすることができる。
【0265】
ここで角度γであるが、30度から60度の範囲にすることが好ましく、40度から50度にすることがより好ましい。
【0266】
その理由であるが、もし角度γを60度以上にした場合には、基板155の短辺方向の幅t7を大きくする必要が発生し、逆に角度γを30度以下にした場合には、基板155の長辺方向の幅t8を大きくする必要が発生するためである。
【0267】
特に巻線素子163が複数必要な際には、角度γを30度以下にすることは好ましくない。
【0268】
その理由であるが、本実施の形態においては、上記のように巻線素子163は、1個のみの巻線素子が存在するとしているが、例えば力率改善回路(不図示)を該電源装置131に付加した場合には、昇圧コイル(不図示)が必要となる。昇圧コイル(不図示)も巻線素子163であり、この場合には、電源装置131を構成する回路素子に2つの巻線素子163が存在することになる。この場合において、角度γを30度以下とすると、基板155の長辺方向の幅t8を累積的に大きくする必要が発生するためである。
【0269】
ここで、基板155を両面実装基板として構成することも好ましい。このようにすることで、基板155上に電源装置131を構成する回路素子を効率よく配置することができ、電源装置131をより小型化することが可能となる。
【0270】
なお、この際、電源装置131を構成する回路素子の一部(この中には、発熱素子153a、153b、153c全てと、巻線素子163の全てとが含まれ、かつ一般素子154の一部も含まれる)が、基板155の一方の面に保持(実装)される。また、電源装置131を構成する回路素子の残余(一般素子154の残余が含まれる)が、基板155の他方の面に保持(実装)される。
【0271】
ここで、基板155の他方の面に実装される回路素子は、上記のように一般素子154の残余ではあるが、これらの素子は、小型素子160に限定される。なお、ここで言う小型素子160とは、一般素子154のうち、実装時の高さ(基板155の他方の面を原点としてx軸に沿った高さ)が、幅t5以下である素子である。
【0272】
後述するが、基板155の他方の面は、中空構造158の面に、幅t5を介し対向して配置する。そのため、幅t5以下の実装時の高さを有する小型素子160のみをこの基板155の他方の面に実装する。なお、幅t5は、数mm程度(例えば、5mm以下)である。
【0273】
なお、基板155の一方の面に実装される一般素子154には、実装時の高さ(基板155の一方の面を原点としてx軸に沿った高さ)の制限は特にない。発明者らは、本電源装置131を、最大出力電力100Wとして試作したところ、巻線素子163の実装時の高さは、電源装置131を構成する回路素子(発熱素子153a、153b、153c、一般素子154、巻線素子163)に含まれる回路素子の中でも高かった。すなわち、発熱素子153a、153b、153c、一般素子154の実装時の高さは、巻線素子163の実装時の高さと同等か、それ以下であった。故に、基板155の一方の面に実装される一般素子154の実装時の高さに、特に制限を加えなくとも、電源装置131を大型化させてしまうことにはつながらない。
【0274】
したがって、基板155を両面実装基板として構成する効果が発揮され、電源装置131をより小型化することができる。
【0275】
また、基板155についてであるが、一般的なガラスエポキシ基板であってよい。もちろん金属基板、アルミナセラミック基板、チッ化アルミ基板などであってもよい。
【0276】
さらに、基板155は、図示するように長方形型をしている。そして、発熱素子153a、153b、153cは、長辺方向(軸z)に沿った端部のうち、何れか一方の端部(特定端部156)より、所定間隔t6だけ外側であって基板155の実装面に垂直な軸(軸x)上に放熱電極171が位置するように、基板155に実装される。
【0277】
図22は、基板155上に実装される発熱素子153bの様子を示すものである。このように、特定端部156より、所定間隔t6だけ外側であって、基板155の実装面に垂直な軸(軸x)上に放熱電極171が位置するように、発熱素子153bは基板155に実装される。なお、発熱素子153a、153cも同様に基板155に実装される。
【0278】
すなわち、電源装置131においては、プレート152と特定端部156との間に所定間隔t6が生じることとなる。
【0279】
所定間隔t6は、任意の間隔であってよいが、あまり間隔が狭い場合には、基板155と、プレート152との間の絶縁耐圧が不足する可能性もある(すなわち、基板155の配線パターン(不図示)から、プレート152への電気的短絡発生の可能性がある)。発明者らの実験においては1mm以上の間隔があれば、電気的短絡の発生がないことを確認している。
【0280】
また、プレート152と特定端部156との間(所定間隔t6の部分)には、電気的に絶縁体である絶縁体157が挿入されている。これにより、プレート152と基板155との間の絶縁耐圧を更に高めることができるという効果がある。また、このことは、基板155が、中空構造158内で動くことを防ぐ効果も奏でる。
【0281】
また、プレート152と、基板155とは長手方向が平行となるよう軸zに沿って(図20参照)配置すると共に、短辺方向がなす角が、略90度となるように配置する(すなわち、プレート152の短辺方向に沿った軸xと、基板155の短辺方向に沿った軸yとのなす角は、略90度である)。
【0282】
更に、筐体151(四角柱形状とした場合)の軸zに沿った長さは、基板155の長手方向の幅(軸zに沿った幅)t8とほぼ一致し、軸yに沿った長さは、基板155の短辺方向の幅(軸yに沿った幅)t7とほぼ一致する。
【0283】
また、筐体151の軸xに沿った幅は、電源装置131を構成する回路素子(発熱素子153a、153b、153c、一般素子154、巻線素子163)のうち、最も実装高さ(軸xに沿った高さ)が高い素子(発明者らの試作においては、巻線素子163)とほぼ一致する(幅t5は、数mm程度でありほとんど影響を及ぼさない)。
【0284】
このようにすることで、筐体151のサイズを最小限にすることができる。このことは、電源装置131を小型化することに寄与する。
【0285】
さらには、上記のような構成により、万が一の衝撃が電源装置131に与えられたとしても、基板155は中空構造158内でほとんど動くスペースがない。また、中空構造158はプレート152側の面を除く5つの面が絶縁体(樹脂)により構成される。
【0286】
特に、電気的短絡の発生が危惧される部分として、基板155の他方の面が挙げられる。それは、この面が、幅t5(数mm程度)を介して、中空構造158の面と対向して配置されるためである。しかしながら、上記のごとく、この面(基板155の他方の面)が対向する中空構造の面は、絶縁体(樹脂)により構成されるため、電気的短絡の発生の危険性が解消される。
【0287】
また、プレート152側の面においても、プレート152と特定端部156との間には絶縁体157が挿入されている。
【0288】
したがって、電源装置131においては、その内部で電気的短絡が発生する可能性を排除することができる。したがって、電気的短絡が発生することによる故障の発生がないため、安定した長寿命性を発揮することができる。さらに、電気的短絡が発生することは利用者が感電するなどの危険性もあるが、この発生の可能性も排除しており、安全な電源装置であるといえる。
【0289】
なお、電源装置131の筐体151を金属により構成する場合は、基板155の他方の面に対向する中空構造158の面に絶縁シート(不図示)等の電気的絶縁体を貼付することが好ましい。このようにすることにより、特に電気的短絡の発生が危惧される部分である基板155の他方の面において電気的短絡が発生することを防止することができる。
【0290】
ここで、特許文献4に開示される車載用放電灯点灯装置においては、開口した金属製のケースボディ内に点灯回路部を配置する。そして、ケースボディの開口した部分には、樹脂製の取り付けフランジにより閉塞するとされている。
【0291】
このような構成により、点灯回路部を構成する部品から発せられる熱を放熱することができるとされている。
【0292】
しかしながら、特許文献4に開示される車載用放電灯点灯装置を、LEDを使用した照明装置の電源装置に適用することは困難であると考える。それは、特許文献4における点灯回路部(前記電源装置を構成する回路に相当)を金属製のケースボディ(前記電源装置の筐体に相当)に挿入している。確かにこのような構成をとることで、点灯回路部を構成する回路素子からロスとして発生する熱を放熱することはできると考えられるが、前述のようにケースボディが金属製となっている。
【0293】
すなわち、特許文献4に開示される車載用放電灯点灯装置においては、ケースボディを閉塞する取り付けフランジは樹脂製であるものの、それを取り囲む大部分が金属製となっている。このような状態においては、何らかの衝撃等で、点灯回路部の一部が金属製であるケースボディに触れてしまうリスクがある。ケースボディは金属製であるがため、電気的短絡等の事故が発生してしまう可能性がある。
【0294】
このことは、LEDを使用した照明装置の電源装置に要求される長寿命性に反し、不安定な寿命特性につながってしまい問題である。
【0295】
また、特許文献4に開示される車載用放電灯点灯装置においては、点灯回路部をケースボディに配置した後、点灯回路部の一部が金属製であるケースボディに触れてしまうリスクを回避するためか、充填材により充填し、これを利用して放熱を行うとされているが、充填材の熱伝導性は、アルミニウム等の金属と比較して低く、充填材を介した放熱が、実際に適切に行われるか否かについては疑問がある。
【0296】
一方、電源装置131は、長寿命性を実現している。具体的には、筐体151を樹脂製とし、その開口部159には金属製のプレート152を取り付けた。プレート152には、電源装置131を構成する電源装置131を構成する回路素子(発熱素子153a、153b、153c、一般素子154、巻線素子163)のうち発熱素子153a、153b、153cの放熱電極171のみが接触し、プレート152と放熱電極171とを密着配置した。このことにより、発熱素子153a、153b、153cにおいてロスとして発生する熱を適切に放熱できる。
【0297】
さらに、筐体151が樹脂ケースであるがため、何らかの衝撃があっても、発熱素子153a、153b、153c、及び一般素子154の不要な部分が、金属製であるプレート152に接触することを防いでいる。そのため電気的短絡が発生することがなく、よって安定した長寿命性を実現している。
【0298】
また、巻線素子163の配置にも工夫を行い、電源装置131の小型化にも成功している。発明者らは、最大出力電力100Wとして、電源装置131を試作した。その結果、そのサイズを28mm(軸xに沿った幅)×28mm(軸yに沿った幅)×220mm(軸zに沿った幅)とすることが可能であることを確認している。
【0299】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る電源ユニット301は、電源装置302を利用し構成できるものである。電源ユニット301は、後述するように固体発光素子32を含み構成される光源ユニット3を好適に点灯することができるものである。また、光源ユニット3のように固体発光素子32を含み構成されるものだけでなく、直流にて駆動できる装置(例えば、直流モータ等)であっても適用できるものである。
【0300】
図23は、電源ユニット301が用いられた照明装置303が複数台(ここでは4台であるが、これに限定されるものではない)取り付けられたオフィス311の模式図である。
【0301】
この場合においては、照明装置303の駆動(点灯)のために必要な電源供給(例えば、商用電源42からの電源供給)を、配線321を利用した送り配線により行うことが一般的である。
【0302】
また、電源装置302として電源装置2、131等の基準動作点を設定することが可能なものを採用した場合は、この基準動作点の設定を、有線通信を利用して行う場合ことが可能である。
【0303】
ここで、オフィス311のように複数の照明装置303使用する場合には、電源供給に係る場合と同様に、基準動作点設定を目的とした有線通信のための配線を、配線322を利用した送り配線により行うことが望ましい。
【0304】
電源ユニット301は上記送り配線を簡便に行うことができるユニットである。
図24は、照明装置303の外観を示す斜視図である。照明装置303は、照明装置1同様に光源ユニット3を構成要素として含んでいる。光源ユニット3に係る説明は、すでに行ったとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0305】
また、電源装置2又は電源装置131にかわり、電源ユニット301を構成要素として含んでいる。以下では、この電源ユニット301について詳細に説明する。
【0306】
電源ユニット301は、電源装置302と、ベースプレート304と、商用電源42用の端子台305と、基準動作点設定用の端子台306と、及び配線ケーブル6用の端子台307とが備えられる。図25は、図24のF方向から見た電源ユニット301の平面図である。
【0307】
電源装置302は、固体発光素子32(光源ユニット3)を好適に駆動できる電源装置であって、例えば、電源装置2、131であってよい。その他、直流を固体発光素子32(光源ユニット3)に供給できるものであればよい。この際、長寿命性を実現できるものであることが好ましく、また基準動作点を設定可能なものが好ましい。
【0308】
またここで、電源装置302は、直流により駆動されるものであってよく、交流により駆動されるものであってもよい。すなわち、上記、長寿命性等の要件を満たし、固体発光素子32(光源ユニット3)を好適に駆動できる電源装置であれば直流により駆動されるものであっても、交流により駆動されるものであってもよい。
【0309】
ベースプレート304は、電源装置302と、商用電源42用端子台305と、基準動作点設定用端子台306と、及び配線ケーブル6用端子台307とを保持するプレートである。
【0310】
ベースプレート304は、放熱性を鑑み金属より、アルミニウム等金属により構成することが好ましい。これは、ベースプレート304へ、電源装置302を密着配置することで、電源装置302内でロスとして発生した熱をベースプレート304に伝熱し、該ベースプレート304の表面より放熱することができる。このことは、電源装置302の放熱性を高め、その長寿命化に寄与することとなる。
【0311】
なお、ベースプレート304と、電源装置302との密着性を高めるために、ベースプレート304を、平面として構成することが好ましく、その厚みt10を所定値以上とすることが好ましい。この厚みt10については、発明者の試験においては、アルミニウムにてベースプレートを構成した場合において、1mmであればよく、2mmであればより良好な結果が得られることを確認している。
【0312】
以上のようにすることで、ベースプレート304と、電源装置302との密着性を高めることが叶う。
【0313】
なお、電源装置302として、電源装置2を採用した場合においては、より良好な結果が得られる。これは、電源装置2は筐体5を有している。筐体5も平面であり、少なくとも所定の厚みt1を有している。この効果も相俟って、ベースプレート304と電源装置2の筐体5とは良好に密着し、所望の放熱効果が良好に得られる。
【0314】
また、電源装置302として、電源装置131を採用した場合においても、電源装置2を採用した場合と同様に、より良好な結果が得られる。これは、電源装置131はプレート152を有している。プレート152も平面であり、少なくとも所定の厚みt4を有している。この効果もあいまって、ベースプレート304と電源装置131のプレート152とは良好に密着し、所望の放熱効果が良好に得られる。
【0315】
また、ベースプレート304の厚みt10を所定値以上とすることで、適切な電源装置302等の保持を実現できるというメリットも生ずる。ベースプレート304の厚みt10が所定値以下であると、電源装置302の重さ等により撓み、歪み等の発生が起きるリスクが生ずる。この撓み、歪み等の発生を避ける意味でも、ベースプレート304の厚みt10を所定値以上とすることが好ましい。
【0316】
商用電源42用の端子台305は、受け側端子305aと、送り側端子305bとが設けられる。受け側端子305aは、送り側端子305bと電気的に接続される(不図示)。
【0317】
受け側端子305aには、配線321が接続されている。送り側端子305bには、配線321が接続されている。さらに、送り側端子305bには、給電ケーブル4も接続されており、この給電ケーブル4のもう一方の端部は電源装置302に接続されている(なお、給電ケーブル4は、受け側端子305aと接続し、もう一方の端部を電源装置302に接続してもよい)。
【0318】
ここで、上記では端子台305は、上記の通り商用電源42用(すなわち、受け側端子305aに交流が供給される)とした。これは、電源装置302が交流により駆動されるものである場合である。
【0319】
もし、電源装置302が直流により駆動されるものである場合は、当然に受け側端子305aには、商用電源42からの交流ではなく、直流が供給される。すなわち、端子台305は、直流用として使用される。
【0320】
以上説明した接続により、受け側端子305aに供給された交流(又は直流)を、電源装置302に電源供給することができる。
【0321】
また、同時に送り側端子305bには、受け側端子305aに供給された交流(又は直流)が供給されている。すなわち、送り側端子305bを、別の固体の電源ユニット301が具備する商用電源42用端子台305の受け側端子305aに配線321を介して接続することにより、該受け側端子305aに交流(又は、直流)を供給することができる。すなわち、端子台305を利用して送り配線を容易に実現できる。
【0322】
なお、実施の形態4に述べるような、情報の通信(所謂、可視光通信)を行う照明装置を実現する際には、配線321を利用して情報を電源装置302に供給することも可能である(所謂、電力線通信を行うこととなる)。
【0323】
基準動作点設定用の端子台306は、受け側端子306aと、送り側端子306bとが設けられる。受け側端子306aは、送り側端子306bと通信可能に接続されている(不図示)。
【0324】
受け側端子306aには、基準動作点設定を目的とした有線通信のための配線322が接続されている。送り側端子306bには、基準動作点設定を目的とした有線通信のための配線322が接続されている。さらに、送り側端子306bには、設定信号用ケーブル323が接続されており、この設定信号用ケーブル323のもう一方の端部は、電源装置302に接続されている(なお、設定信号用ケーブル323は、送り側端子305bと接続し、もう一方の端部を電源装置302に接続してもよい)。
【0325】
以上説明した接続により、受け側端子306aに供給された基準動作点設定に係る信号を、電源装置302に供給することができる。
【0326】
また同時に送り側端子306bには、受け側端子306aに供給された基準動作点設定に係る信号が供給されている。すなわち、送り側端子306bを、別の固体の電源ユニット301が具備する基準動作点設定用の端子台306の受け側端子306aに配線322を介して接続することにより、該受け側端子306aに基準動作点設定に係る信号を供給することができる。すなわち、端子台306を利用して送り配線を容易に実現できる。
【0327】
なお、実施の形態4に述べるような、情報の通信(所謂、可視光通信)を行う照明装置を実現する際には、配線322を利用して情報を電源装置302に供給することも可能である。
【0328】
配線ケーブル6用の端子台307は、受け側端子307aと、送り側端子307bとが設けられている。受け側端子307aは、送り側端子307bと電気的に接続される(不図示)。
【0329】
受け側端子307aは、電源装置302と配線ケーブル6を介し接続されている。送り側端子307bは、配線ケーブル324を介し光源ユニット3と電気的に接続されている。
【0330】
なお、送り側端子307bと、配線ケーブル324を介し接続される光源ユニット3は、1台に限定されるものではなく、複数の光源ユニット3が接続されてもよい。すなわち、1台の電源ユニット301を利用して、複数台の光源ユニット3を駆動することも可能である。
【0331】
以上のように構成される電源ユニット301は、光源ユニット3に電源供給できるだけでなく、オフィス311のように複数個の照明装置303が使用される場合においても、配線321、322を利用して、送り配線を容易に実現することができる。このことは、複数の照明装置303を同時に使用する場所(例えば、オフィス311)に、該照明装置303(電源ユニット301)を設置する工事に係る負担(費用、作業量等)を大幅に削減することにつながり、よって利用者に大きな利便性を提供することとなる。
【0332】
なお、ベースプレート304は、光源ユニット3の筐体5等、ベースプレート304(の裏面)と同等以上の表面積を有する部材に密着配置することも好ましい。
【0333】
これは、ベースプレート304は、前述のように電源装置302(特に、電源装置302として電源装置2を採用した場合においては、筐体5、また、電源装置131を採用した場合においては、プレート152)と密着して配置されている。したがって、上記のようにベースプレート304を、光源ユニット3の筐体5等と密着配置することは、電源装置302内でロスとして発生した熱を、ベースプレート304のみならず、光源ユニット3の筐体5等をも利用して放熱できることとなる。
【0334】
すなわち、このことは、より効率的な放熱を実現し、電源装置2の長寿命化をさらに図ることにつながる。
【0335】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4にかかる照明装置の構成を説明する。
【0336】
図26は、本発明の実施の形態4に係る照明装置401の外観を示す斜視図である。図27は、光源ユニット403のG方向の構造を示す断面図である。
【0337】
照明装置401は、電源装置402と、光源ユニット403とにより構成される。なお、照明装置401において、照明装置1と同一の構成については、同一の符号を付与し説明を省略するものとする。
【0338】
電源装置402が、電源装置2と異なる点は、光源ユニット403に供給する直流を2チャンネル有することにある。
【0339】
この2つのチャンネルのうち一方は、第1発光部411に直流を供給するものであり、他方のチャンネルについては第2発光部412に直流を供給するものである。
【0340】
第1発光部411に直流を供給するチャンネルについては、実施の形態1に置いて説明した構成に付加して、受信部(不図示)、変調部(不図示)が設けられる。
【0341】
受信部(不図示)は、外部から、例えばインターネット(不図示)を介して供給された情報を受け取る。受け取られた情報は、変調部(不図示)に送られる。
【0342】
変調部(不図示)は、変換部44からの出力を受け取り、それに変調をかける。具体的には、設定部49に保持された当該照明装置1の固有情報や、受信部(不図示)にて受信した情報等により、平滑部45からの出力の一部を変調する。
【0343】
変調部(不図示)の出力は、第1発光部411に供給される。すなわち、第1発光部411の発光には、前述の設定部49に保持された当該照明装置401の固有情報や、受信部(不図示)にて受信した情報等が含まれることとなる。
【0344】
この光を、受信機(不図示)で受信し、復調することにより、前述の設定部49に保持された当該照明装置401の固有情報や、受信部(不図示)にて受信した情報を、受信機(不図示)にて得ることができる。
【0345】
たとえば、受信機(不図示)をパーソナルコンピュータ(不図示)に接続することにより、所謂可視光通信を実現することができる。また、当該照明装置401の固有情報を得た場合には、当該受信機(不図示)の位置の特定なども行うことができる。
【0346】
また、第2発光部412に直流を供給するチャンネルについては、実施の形態1において説明した構成により直流を生成するため、ここでは説明を省略する。
【0347】
以上説明したように、電源装置402から第1発光部411に供給する直流は変調されており、一方第2発光部412に供給する直流は変調されていない。
【0348】
光源ユニット403は、第1発光部411と、第2発光部412とを含み構成される。第1発光部411は、複数の固体発光素子32の一部を含み構成され、第2発光部412は、複数の固体発光素子32の残部を含み構成される。
【0349】
光源ユニット403を構成する、基板433(この基板は基板33と同等の構成を有するものである。)に実装される固体発光素子32の発光方向には、光学素子434が設置される。また、光学素子434は、支持体435により支持されている。
【0350】
ここで、光学素子434は、例えば、シリンドリカルレンズなどであって、所定の集光角θで、第1発光部411を構成する固体発光素子32からの光を集光する。なお、所定の集光角θとは、照明装置401の設置条件などからもとまるものである。必要な照明範囲に基づき決定してよい。
【0351】
このようにすることにより、第1発光部411の照明範囲を所望の範囲に限定することが叶う。
【0352】
また、第2発光部412を構成する、基板433に実装される固体発光素子32の発光方向には、光学素子434は設置されない。そのため第2発光部412の照明範囲は、固体発光素子32、保護用透光板436の特性によるものとなる。
【0353】
保護用透光板436は、光の拡散作用が、第1発光部411の発光の光路上には発生しないように構成することが肝要である。これは、第1発光部411の発光を保護用透光板により拡散してしまった場合、第1発光部411の照明範囲を所望の範囲に限定することが困難となるためである。
【0354】
以上のように、本照明装置401は、第1発光部411と、光学素子434を用いて所望の照明範囲に限定した上で、各種情報に基づき変調した光による照明を行うことができる。変調した光の照明範囲を所望の範囲に限定することにより、各種情報が含まれる光が所望の範囲外に漏れることを防ぐことができる。このことにより、例えばセキュリティー性能の高い可視光通信を行うことが可能となる。
【0355】
また、所望の照明範囲に限定した上で、変調した光に当該照明装置401の固有情報を含めることにより、その情報を受信する受信機の位置の特定を容易に行うことが可能となる。このことは、地下街のナビゲーションシステムなどへの応用が可能である。
【0356】
また、本照明装置401は、第2発光部412による照明も行う。第2発光部は、変調されない光を発光し、かつその照明範囲を限定しない。したがって、所謂一般の照明として利用することができる。
【0357】
なお、本発明はその趣旨を逸脱しない限り自由に変形して実施できることは言うまでもない。例えば、ここでは、発光部50を発光ダイオードとしたが、これに限定されるものではない。EL(Electro−Luminescence)などでもよい。
【0358】
また、トランス59等の温度を測定するために熱電対を例として示したが、ほかの温度検出素子、例えばサーミスタでもよい。
【0359】
また、電源装置2、131等に防滴性を持たせてもよい。また、防滴性を有するケース(不図示)等に電源装置2、131等を配置してもよい。このようにすることにより、防滴性を有する照明装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0360】
本発明は、照明装置に適用でき、特に、交流電源を利用した光源に発光ダイオードなどの固体発光素子を用いた照明装置に適用できる。また、発光ダイオードなどの固体発光素子を使用した光源ユニットに電源供給を行う、電源装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0361】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置1の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電源装置2の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光源ユニット3の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る照明装置1の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る照明装置1の概略回路構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る交流を整流するダイオードブリッジの出力波形を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る照明装置1の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る発光部50の基準動作点の設定を変更することにより、発光部50の発光強度が変更されることを説明する図である。
【図9】コントローラユニット68により作成される制御信号を説明する図である。
【図10】制御信号に基づいてパルス状波形が得られることを説明する図である。
【図11】発光部50の動作点が、基準動作点からの所定動作範囲を外れてしまった場合に、目標動作点が再設定されることを説明する図である。
【図12】本発明の検出部46により検出された温度に基づいて、デューティ比を変更する手順を示したフローチャートである。
【図13】デューティ比が決定される動作について示したフローチャートである。
【図14A】メイン基板121、サブ基板A122、及びサブ基板B123の概略構造を示す図である。
【図14B】巻線素子163の概略構造を示す図である。
【図15A】巻線素子163のメイン基板121の実装面上への配置を示す図である。
【図15B】メイン基板121、サブ基板A122、及びサブ基板B123の実装面上に電源装置2を構成する回路素子を実装した場合の図である。
【図16】メイン基板121と、サブ基板A122及びサブ基板B123とがお互いの実装面を対向して配置されたことを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係る電源装置131の外観を示す斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態2に係る電源装置131の平面図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係る電源装置131の構造を示す図であって、図18におけるD1−D2面における断面図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係る電源装置131の構造を示す図であって、図18におけるE1−E2面における断面図である。
【図21】発熱素子153aの構造を示す平面図である。
【図22】発熱素子153bの基板155への実装状態を示す平面図である。
【図23】本発明の実施の形態3に係る電源ユニット301を含み構成される照明装置303が設置されたオフィス311の模式図である。
【図24】本発明の実施の形態3に係る電源ユニット301を含み構成される照明装置303の外観を示す斜視図である。
【図25】本発明の実施の形態3に係る電源ユニット301の平面図である。
【図26】本発明の実施の形態4に係る照明装置401の外観を示す斜視図である。
【図27】光源ユニット403の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0362】
1、303、401 照明装置
2、131、302、402 電源装置
3、403 光源ユニット
4 給電ケーブル
5、151 筐体
6、324 配線ケーブル
21、33、155、433 基板
31 筐体部
32 固体発光素子
34、436 保護用透光板
42 商用電源
43 整流部
44 変換部
45 平滑部
46 検出部
47 指示部
48 選択部
49 設定部
50 発光部
51、52 インダクター
53、63 コンデンサ
54 ダイオードブリッジ
55、57 ドライバ
56、58 FET
59、66 トランス
61、62、67 ダイオード
64、65 抵抗
68 コントローラユニット
101 電源部
121 メイン基板
122 サブ基板A
123 サブ基板B
152 プレート
153a、153b、153c 発熱素子
154 一般素子
156 特定端部
157 絶縁体
158 中空構造
159 開口部
160 小型素子
161 押さえ金具
162 ネジ
163 巻線素子
163a コア
163b 巻線部
171 放熱電極
271a、271b、272 貫通孔
301 電源ユニット
304 ベースプレート
305、306、307 端子台
305a、306a、307a 受け側端子
305b、306b、307b 送り側端子
311 オフィス
321、322 配線
323 設定信号用ケーブル
411 第1発光部
412 第2発光部
434 光学素子
435 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流を生成する電源装置を含み構成される電源ユニットであって、
前記電源装置への電源供給に係る第1端子部と、
前記直流の配電に係る第2端子部と、
前記電源装置と、前記第1端子部と、前記第2端子部とを保持する保持手段と
を備え、
前記第1端子部と、前記第2端子部とは、夫々受け側端子と、送り側端子とを具備する
ことを特徴とする電源ユニット。
【請求項2】
前記第1端子部の受け側端子は、該第1端子部の送り側端子と電気的に接続されると共に、前記電源装置とも電気的に接続され、
前記第2端子部の受け側端子は、該第2端子部の送り側端子と電気的に接続されると共に、前記電源装置とも電気的に接続され、
前記第2端子部の送り端子は、少なくとも1つ以上の前記直流が配電される所定の機器と電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項3】
前記保持手段は、金属からなる平面であり、厚みが1mm以上である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記保持手段は、さらに、
前記電源装置の指示信号の配信に係る第3端子部
を保持し、
前記第3端子部は、受け側端子と、送り側端子とを具備し、
前記第3端子部の受け側端子は、該第3端子の送り側端子と前記指示信号の配信が可能であるように接続されると共に、前記電源装置とも前記指示信号の配信が可能であるように接続される
ことを特徴とする請求項3に記載の電源ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の電源ユニットと、光源ユニットとを含み構成される照明装置であって、
前記光源ユニットは、
前記所定の機器であると共に、複数の固体発光素子を具備し、
前記電源装置は、
前記第1端子部を介し電源供給される正弦波の電圧を、脈流の電圧に変換する脈流変換手段と、
前記脈流変換手段から出力される前記脈流の電圧を、通過させるオン時間と通過させないオフ時間との比であるデューティ比を制御した上で出力するスイッチ手段と、
前記スイッチ手段より出力されたデューティ比を制御された前記脈流の電圧を変圧する変圧手段と、
前記変圧手段から出力された変圧された前記脈流の電圧を平滑する平滑手段と、
前記脈流変換手段と、前記スイッチ手段と、前記変圧手段と、前記平滑手段とを内部に具備する筐体と
を備え、
前記筐体を構成する少なくとも1つの面は、平面かつ金属より構成される金属平面であり、
前記金属平面は、1mm以上の厚みを有する
ことを特徴とする照明装置。
【請求項6】
前記電源装置は、さらに、
前記脈流変換手段と、前記スイッチ手段と、前記変圧手段と、前記平滑手段とが実装される略長方形形状の実装基板
を備え、
前記変圧手段が具備する巻線素子は、中心軸が前記実装基板の長辺方向に対し、30度〜60度の角度を有した状態で該実装基板に実装される
ことを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記実装基板の短辺方向の幅は、前記巻線素子の中心軸に沿った幅より狭い
ことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記実装基板の前記巻線素子が実装される面に対する裏面と、該裏面が対向する前記筐体を構成する面との間には、電気的絶縁体が挿入される
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記脈流変換手段と、前記平滑手段とは、さらに、放熱電極を有する整流素子を備え、
前記スイッチ手段は、さらに、放熱電極を有するスイッチング素子を備え、
前記整流素子、及び前記スイッチング素子の放熱電極は、前記金属平面に密着配置される
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の照明装置。
【請求項10】
前記整流素子、及び前記スイッチング素子のうち、少なくとも2つは、
近接して配置されると共に、前記放熱電極が、単一の固定プレートにより前記金属平面に密着するよう固定される
ことを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記脈流変換手段と、前記スイッチ手段と、前記変圧手段と、前記平滑手段とを構成する一部の回路素子は、前記実装基板の一方の実装面に実装され、
前記脈流変換手段と、前記スイッチ手段と、前記変圧手段と、前記平滑手段とを構成する残余の回路素子は、前記実装基板の他方の実装面に実装され、
前記一部の回路素子には、前記巻線素子、前記整流素子、及び前記スイッチング素子が全て含まれるとともに、
前記残余の回路素子は、実装時の高さが任意値以下である
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の照明装置。
【請求項12】
前記実装基板の他方の実装面に対向する前記筐体を構成する面は、電気的絶縁体により構成される
ことを特徴とする請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記実装基板の他方の実装面と、該実装基板の他方の実装面に対向する前記筐体を構成する面との間には電気的絶縁体が挿入される
ことを特徴とする請求項11に記載の照明装置。
【請求項14】
前記保持手段は、前記金属平面、及び平面である表面を有する部材の該平面である表面と密着配置され、
前記部材の表面積は、前記保持手段の表面積より大きい
ことを特徴とする請求項5〜13の何れか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−32680(P2009−32680A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160798(P2008−160798)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(300085037)株式会社モモ・アライアンス (34)
【Fターム(参考)】