説明

電源供給制御装置

【課題】
従来はPCの中のメモリ回路やインターフェース回路などに対する電源供給を個別に制御するものではなく、使用していないメモリ回路やインターフェース回路などには常に電源が供給されるため、無駄な電力が消費されるという問題があった。
【解決手段】
本発明は、CPUを中心とする機能別の複数回路で構成される装置の電源供給を制御する電源供給制御装置において、前記機能別の回路毎に対応する電源供給の開始または停止を設定する電源供給制御レジスタと、前記電源供給制御レジスタの設定内容に応じて前記機能別の回路毎の電源制御を行う電源制御モジュールと、前記CPUから前記機能別の回路に対して電源供給要求があった場合に、当該機能別の回路に対応する前記電源供給制御レジスタに電源供給の開始を設定し、アクセス終了後に当該機能別の回路に対応する前記電源供給制御レジスタに電源供給の停止を設定する電源供給制御部とを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能別の複数回路で構成される装置の電源供給を回路毎に制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信装置など様々な装置の高機能化や高性能化が進み、装置を構成する回路規模が飛躍的に大きくなり、装置全体の消費電力が増加する傾向にある。特に複数台の通信装置が設置される通信施設や通信拠点においては、システム全体を動作させるために膨大な電力を要するという問題がある。
【0003】
一方、従来の装置は、動作していない不要な機能の回路にも常に電源が供給され、一定の電力が消費される構成になっていた。そこで、消費電力を低減するために、例えばモバイルパソコン(PC)などでは、動作クロックを遅くしたり、物理的な装置単位(ディスプレイやHDDなど)で電源制御を行ったり、必要に応じてPC全体をレジュームするなどの方法で消費電力を低減していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−241674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のような装置単位の電源制御やレジューム機能はシステム全体の動作に大きな影響を与えるため、動作頻度が高い場合は装置単位の電源制御やレジュームを行うことができず、消費電力の低減効果は殆ど得られなかった。特に、従来はPCの中のメモリ回路やインターフェース回路などに対する電源供給を個別に制御するものではなく、使用していないメモリ回路やインターフェース回路などには常に電源が供給されるため、無駄な電力が消費されるという問題があった。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、装置を構成する複数の回路毎に電源供給の制御を動的に行うことにより、必要な機能の回路の動作時のみ電源を供給することが可能となり、装置全体の消費電力を大幅に低減できる電源供給制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、CPUを中心とする機能別の複数回路で構成される装置の電源供給を制御する電源供給制御装置において、前記機能別の回路毎に対応する電源供給の開始または停止を設定する電源供給制御レジスタと、前記電源供給制御レジスタの設定内容に応じて前記機能別の回路毎の電源制御を行う電源制御モジュールと、前記CPUから前記機能別の回路に対して電源供給要求があった場合に、当該機能別の回路に対応する前記電源供給制御レジスタに電源供給の開始を設定し、アクセス終了後に当該機能別の回路に対応する前記電源供給制御レジスタに電源供給の停止を設定する電源供給制御部とを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電源供給制御装置において、前記機能別の回路毎に設けられた動作中または停止中を示すモニタ信号に応じて動作中または停止中の状態を設定する動作状態レジスタとを更に設け、前記電源供給制御部は、前記CPUから前記機能別の回路に対して電源供給要求があった場合に、当該機能別の回路に対応する前記電源供給制御レジスタに電源供給の開始を設定し、当該機能別の回路に対応する前記動作状態レジスタの状態が動作中になった後、当該機能別の回路に対してアクセスを実行することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の電源供給制御装置において、前記電源供給制御部は、前記機能別の回路に対して電源供給要求がある毎に1を加算し、前記機能別の回路に対するアクセスを終了する毎に1を減算するカウンタレジスタを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電源供給制御装置では、装置を構成する複数の回路毎に電源供給の制御を動的に行うので、必要な機能の回路の動作時のみ電源を供給することが可能となり、装置全体の消費電力を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る電源供給制御装置101の原理構成を示すブロック図である。
【図2】電源供給制御装置101を搭載する通信装置200の構成例を示すブロック図である。
【図3】制御盤202およびIF盤(1)の構成を示すブロック図である。
【図4】電源制御部150を中心とする信号の流れを示す説明図である。
【図5】電源供給開始処理を示すフローチャートである。
【図6】電源供給停止処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る「電源供給制御装置」の実施形態について図面を用いて詳しく説明する。
[電源供給制御装置101の基本構成について]
先ず、本実施形態に係る電源供給制御装置101の基本構成について図1を用いて説明する。図1において、電源供給制御装置101は、電源制御部150と、電源制御処理部151とで構成される。そして、電源供給制御装置101は、例えば通信装置などを構成する機能別の複数の回路パッケージ(機能A回路155a,機能B回路155bおよび機能C回路155cなど)への電源供給を行い、回路パッケージ毎に個別に電源供給の開始(オン)または停止(オフ)を制御する機能を有する。
【0013】
ここで、例えば通信装置などの装置全体を制御する処理(メイン処理部)において、機能A回路155a,機能B回路155bおよび機能C回路155cのいずれかの回路パッケージにアクセスする必要が生じた場合、メイン処理部はアクセスしようとする回路パッケージへの電源供給の開始を電源制御処理部151に要求する。そして、電源制御処理部151は、電源制御部150を介して要求された回路パッケージへの電源供給の開始または停止を制御する。尚、電源制御処理部151の電源供給カウンタ160は、装置全体を制御する複数の処理(スレッド)が同じ回路パッケージへアクセスする場合に、他のスレッドが当該回路パッケージを使用中であるか否かを判別するために用いられるカウンタで、アクセスを開始する際に「1」を加算し、アクセスを終了する際に「1」を減算する。つまり、電源供給カウンタ160の値はアクセスしているスレッドの数を示している。尚、電源供給カウンタ160については後で詳しく説明する。
【0014】
電源制御部150は、電源供給設定レジスタ152と、電源供給モジュール153と、動作状態レジスタ154とで構成される。ここで、電源供給設定レジスタ152は、各回路パッケージ毎に電源供給の開始または停止を設定するためのレジスタで、電源制御処理部151によって設定される。また、電源供給モジュール153は、各回路パッケージ毎に電源の供給をオンオフできるスイッチ回路を有し、例えば機能A回路155aへの電源供給をオンオフするスイッチ回路153aと、機能B回路155bへの電源供給をオンオフするスイッチ回路153bと、機能C回路155cへの電源供給をオンオフするスイッチ回路153cとを有する。
【0015】
このようにして、装置全体を制御するメイン処理部は、各回路パッケージにアクセスする必要が生じた場合に、電源制御処理部151に電源供給の開始要求を行い、電源制御処理部151は電源制御部150の電源供給設定レジスタ152に電源供給の開始を設定し、これを受けた電源供給モジュール153は該当する回路への電源供給を開始する。尚、電源供給を停止する場合も同様に行われる。ここで、本実施形態に係る電源供給制御装置101は、各回路パッケージへの電源供給を開始する際に、各回路パッケージの動作状態をモニタして、確実に電源供給の開始または停止を行うことができるようになっている。
【0016】
次に、各回路パッケージの動作状態をモニタする回路について説明する。図1において、電源制御部150には、動作状態レジスタ154が配置されている。動作状態レジスタ154は、各回路パッケージの動作中または停止中を示すレジスタである。ここで、例えば機能A回路155aは当該回路の動作状態を示すモニタ信号を出力する動作状態出力回路156aと、機能B回路155bは当該回路の動作状態を示すモニタ信号を出力する動作状態出力回路156bと、機能C回路155cは当該回路の動作状態を示すモニタ信号を出力する動作状態出力回路156cとを有している。そして、これらの回路が出力するモニタ信号は電源制御部150の動作状態レジスタ154の各レジスタ値として反映される。例えば、モニタ信号が”Low”と”High”の2値信号である場合、モニタ信号の”Low”がレジスタ値=0に対応して動作中(アクセス可能)であることを示し、モニタ信号の”High”がレジスタ値=1に対応して停止中(アクセス不可)であることを示す。
【0017】
尚、各回路パッケージの動作状態出力回路156a,156bおよび156cが出力するモニタ信号は、各回路パッケージに電源が供給されても直ぐにはモニタ信号が動作中にはならず、完全にアクセスが可能になった時に動作中を示すモニタ信号を出力する。このようなモニタ信号を発生する簡単な回路例として、電源オンと同時に所定時間経過してから動作するタイマ回路を用いてモニタ信号を出力する回路が考えられる。但し、タイマ回路の場合は電源供給開始からアクセス可能になるまでの時間よりも余裕を持たせて待機させる必要があるため、高速動作に不向きであり、各回路を構成するデバイスのReady信号をモニタ信号として用いるのが望ましい。
【0018】
このようにして、電源制御処理部151は、電源供給の開始設定を行った回路パッケージが動作中であるか否かを知ることができ、動作中ではない場合は動作中になるまで待ってから当該回路パッケージにアクセスすることにより、当該回路パッケージが立ち上がる前にアクセスしてエラーになることを防止できる。
【0019】
以上が、本実施形態に係る電源供給制御装置101の基本構成および動作原理である。
[電源供給制御装置101の通信装置200への適用例]
次に、本実施形態に係る電源供給制御装置101を搭載する通信装置200への適用例について説明する。図2は、通信装置200の構成を示すブロック図である。
【0020】
図2の通信装置200は、n(nは自然数)個の下位NW(ネットワーク)に接続する複数の信号を波長多重(WDM)して上位NWに接続するための通信装置の例である。
【0021】
図2において、通信装置200は、IF(インターフェース)盤(1)から(n)と、WDM多重部201と、制御盤202とで構成される。IF盤(1)からIF盤(n)は、下位NW毎に設けられ、それぞれ制御盤202に接続されている。そして、制御盤202によって監視・制御される。また、制御盤202は、WDM多重部201にも接続され、波長多重制御などを行う。さらに、制御盤202は、通信装置200の故障時などに外部の監視局に警報出力203を送出する。また、制御盤202にはローカル制御用のパソコン(PC)204を接続することができ、オペレータが通信装置200の監視や制御を行えるようになっている。ここで、図1で説明した電源供給制御装置101は、例えば制御盤202の内部や各IF盤などに配置される。
【0022】
次に、制御盤202とIF盤(1)からIF盤(n)の構成について図3を用いて詳しく説明する。尚、図3では分かり易いように、n個のIF盤(1)からIF盤(n)のうちIF盤(1)の構成のみを描いてあるが、IF盤(1)からIF盤(n)は全て同じ構成になっている。
[制御盤202の構成について]
図3において、制御盤202は、CPU301が搭載された1つの回路パッケージで、CPU301と、制御バス302と、RAMメモリ部303と、FLASHメモリ部304と、外部インタフェース305と、警報インタフェース306と、IF盤インタフェース307とで構成される。尚、IF盤インタフェース307は、n個のIF盤(1)からIF盤(n)のそれぞれに対して個別に接続されている。
【0023】
制御盤202は、CPU301,RAMメモリ部303,FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306,IF盤インタフェース307および電源制御部150が制御バス302を介して接続され、互いにデータを入出力できるようになっている。
【0024】
CPU301は、図1で説明した電源制御処理部151によって、FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307の4つの回路パッケージの電源供給の開始または停止を制御すると共に、通信装置処理部301aによって通信装置200全体の動作を制御する。そして、通信装置処理部301aは、アクセスが必要な回路パッケージがある場合に電源制御処理部151に対して当該回路パッケージへの電源供給の開始を要求し、アクセス終了時に当該回路パッケージへの電源供給の停止を要求する。
【0025】
ここで、CPU301は、RAMメモリ部303に格納されたプログラムに従って動作する。尚、通信装置200の電源投入前は、このプログラムはFLASHメモリ部304に格納されており、プログラムの動作速度を向上させるために、電源投入時にFLASHメモリ部304から高速で動作するRAMメモリ部303にプログラムをコピーして実行する仕組みになっている。
【0026】
また、本実施形態では、通信装置200の電源投入時(起動時)に、CPU301がFLASHメモリ部304への電源供給を開始し、FLASHメモリ部304のプログラム格納エリアに記憶されたプログラムコードをRAMメモリ部303のプログラム起動用エリアに転送して所定の番地から起動するBIOS(基本OS:オペレーションシステム)がCPU301本体内に保持しているものとする。
【0027】
ここで、FLASHメモリ部304に格納されているプログラムは、0面の記憶エリアと1面の記憶エリアの両方に記憶されており、プログラムのバージョンアップ時において片方をバックアップとして残しておき、バージョンアップしたプログラムに不具合が生じた場合は直ぐに前の状態に戻せるようになっている。また、RAMメモリ部303は、揮発性の高速RAMで構成され、動作用のプログラムエリアや動作時のパラメータなどを記憶するワークエリアとして用いられる。FLASHメモリ部304は、不揮発性のフラッシュメモリで構成され、プログラムの格納だけではなく、通信装置200が動作するための各種設定情報の保存エリアとしても用いられる。従って、RAMメモリ部303は常時動作している必要があるが、FLASHメモリ部304はプログラムや設定情報を読み書きする時以外は動作している必要はない。
【0028】
次に、電源制御部150の電源供給設定レジスタ152は、FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307への電源供給の開始または停止を設定するレジスタである。例えば、図4に示すように、電源供給設定レジスタ152は、FLASHメモリ部304への電源供給の開始または停止を設定するレジスタ152aと、外部インタフェース305への電源供給の開始または停止を設定するレジスタ152bと、警報インタフェース306への電源供給の開始または停止を設定するレジスタ152cと、IF盤インタフェース307への電源供給の開始または停止を設定するレジスタ152dとで構成され、各レジスタに”0”が書き込まれている場合は電源供給停止を意味し、”1”が書き込まれている場合は電源供給開始を意味する。
【0029】
次に、電源制御部150の電源供給モジュール153は、同じ制御盤202内にあるFLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307の各回路に電源を供給する回路で、図1で説明したように個別に各回路への電源供給をオン/オフすることができる。図4において、電源供給モジュール153は、電源供給設定レジスタ152の設定値に従って、FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307への電源供給の出力制御を行う。例えば、電源供給設定レジスタ152のレジスタ152aが”1”の場合はFLASHメモリ部304への電源供給を行い、電源供給設定レジスタ152のレジスタ152aが”0”の場合はFLASHメモリ部304への電源供給を行わない。同様に、レジスタ152bの値に応じて外部インタフェース305への電源供給の出力制御を行い、レジスタ152cの値に応じて警報インタフェース306への電源供給の出力制御を行い、レジスタ152dの値に応じてIF盤インタフェース307への電源供給の出力制御を行う。
【0030】
次に、動作状態レジスタ154は、FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307の各回路に電源が供給されて動作中であるか否かを示すレジスタである。例えば、図4に示すように、動作状態レジスタ154は、FLASHメモリ部304が動作中であるか否かを示すフラグ(動作中(Ready)または停止中(Not Ready))で構成されるレジスタ154aと、外部インタフェース305の動作中/停止中を示すレジスタ154bと、警報インタフェース306の動作中/停止中を示すレジスタ154cと、IF盤インタフェース307の動作中/停止中を示すレジスタ154dとで構成され、各レジスタ値が”0”の場合は動作中を示し、”1”の場合は停止中を示す。
【0031】
ここで、FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307の各回路は、図1で説明したように、それぞれの動作状態を示すモニタ信号を出力する回路を有しており、動作状態レジスタ154はこのモニタ信号の値をそのままレジスタ値として保持している。
【0032】
次に、FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307の各回路について説明する。
[FLASHメモリ部304]
FLASHメモリ部304は、先に説明したように、通信装置200の動作用プログラムや設定情報などが格納され、起動時に通信装置200の動作用プログラムをFLASHメモリ部304からRAMメモリ部303にコピーする時や、設定情報を読み書きする時にFLASHメモリ部304の回路に電源が供給され、アクセスする必要がない時はFLASHメモリ部304の回路には電源が供給されないようになっている。尚、FLASHメモリ部304への電源供給の開始または停止の制御については後で詳しく説明する。
[外部インタフェース305]
次に、外部インタフェース305は、先に説明したローカル制御用のパソコン(PC)204をRS−232C規格のシリアル信号やイーサネット(登録商標)に対応するLAN信号などで接続するためのインタフェースである。外部インタフェース305に接続されたパソコン204との間で制御コマンドなどを入出力して通信装置200の監視および制御を行うことができる。さらに、外部インタフェース305は、パソコン204が接続されたことを示す信号をCPU301側に出力する回路が備えられている。この回路は、外部インタフェース305の電源供給が停止中でも動作し、この信号が電源制御処理部151への電源供給要求信号となる。この信号は、パソコン204が外部インタフェース305から切り離された時に無くなるので、CPU301はパソコン204が外部インタフェース305から切り離されたことを検知し、外部インタフェース305への電源供給を停止する。尚、外部インタフェース305への電源供給の開始または停止の制御については後で詳しく説明する。
[警報インタフェース306]
次に、警報インタフェース306は、通信装置200で検出した警報(故障など)を外部(監視局など)に警報出力203として通知するための専用のインタフェースである。特に、警報インタフェース306は、故障時などに警報を発する時以外は不要な機能の回路であるため、本実施形態に係る電源供給制御装置101では、警報を発する時だけ警報インタフェース306に電源を供給し、警報を発する必要がない時は警報インタフェース306に電源を供給しないように制御される。尚、警報インタフェース306への電源供給の開始または停止の制御については後で詳しく説明する。
[IF盤インタフェース307]
次に、IF盤インタフェース307は、制御盤202とIF盤(1)からIF盤(n)までの各IF盤との間で定期的または不定期な間隔で制御情報や監視情報を送受信するためのインタフェースで、例えばシリアルバスで接続され、IF盤(1)からIF盤(n)と制御盤202との間で制御情報が入出力される。尚、制御情報は、例えば通常の通信装置200では主信号インタフェースを構成する光モジュールの制御信号や故障時のエラー信号などで構成されるが、特に本実施形態では、制御情報の入出力は、CPU301がIF盤(1)からIF盤(n)の電源制御部402の電源供給設定レジスタ152の値や動作状態レジスタ154の値を取り込む場合や、IF盤(1)からIF盤(n)の電源制御を行う場合などに行われる。
【0033】
ここで、IF盤インタフェース307は、IF盤(1)からIF盤(n)の各回路にアクセスする時またはIF盤(1)からIF盤(n)の各回路から制御情報を受け取る時に電源供給が開始され、いずれの処理も行わない時はIF盤インタフェース307への電源供給が停止される。尚、IF盤インタフェース307への電源供給の開始または停止の制御については後で詳しく説明する。
[IF盤(1)からIF盤(n)の構成]
次に、IF盤(1)からIF盤(n)のn個の各IF盤の構成について図3を用いて説明する。尚、図3はIF盤(1)の構成のみが描かれているが、n個の各IF盤は全て同じ構成になっている。以下、IF盤(1)について説明する。
【0034】
IF盤(1)は、制御盤インタフェース401と、電源制御部402と、主信号インタフェース403とで基本的に構成される。
【0035】
制御盤インタフェース401は、制御盤202のIF盤インタフェース307に接続するためのインタフェースである。制御盤202のCPU301は、IF盤インタフェース307を介して制御盤インタフェース401に接続し、IF盤(1)の動作を監視または制御する。或いは、制御盤インタフェース401は、定期的に監視情報を制御盤202側に送信する。
【0036】
ここで、制御盤インタフェース401は、制御盤202の電源制御処理部151の処理に相当する電源制御処理部401aを有している。そして、電源制御処理部401aは、電源制御部402に対して電源供給の開始または停止の制御を行う。例えば、電源制御処理部401aは、定期的に監視情報を制御盤202側に送信する時だけ、電源制御部402から制御盤インタフェース401への電源供給を開始させ、監視情報の送信終了後に電源供給を停止させる。
【0037】
例えば、制御盤インタフェース401に内部カウンタを設けて動作クロックを計数し、所定数のクロックがカウントされる毎に電源制御部402に電源供給の開始を要求する。これを受けた電源制御部402は、制御盤インタフェース401への電源供給を開始する。尚、制御盤インタフェース401の内部カウンタには常時通電されているものとする。そして、制御盤インタフェース401は、主信号インタフェース403から監視情報を収集して監視フレームを生成し、生成した監視フレームを制御盤202側に送信する。制御盤インタフェース401は、監視フレームの送信完了後、電源制御部402に電源供給の停止を要求し、電源制御部402は制御盤インタフェース401への電源供給を停止する。そして、再び、内部カウンタが所定数のクロックをカウントすると、電源制御部402に電源供給の開始を要求して同様の動作を繰り返す。
【0038】
尚、上記の説明では、制御盤インタフェース401の内部カウンタが定期的に電源制御部402に電源供給の開始を要求するようにしたが、制御盤インタフェース401が制御盤202のIF盤インタフェース307からアクセス要求信号を受け取った場合に電源制御部402に電源供給の開始を要求するようにしても構わない。尚、この場合はIF盤インタフェース307からアクセス要求信号を受信する回路には常時通電されているものとする。
【0039】
次に、電源制御部402は、制御盤インタフェース401および主信号インタフェース403に電源を供給する回路で、図1で説明した電源制御部150に相当し、各IF盤に対して図3の制御盤202の電源制御部150と同じ役割を担っている。制御盤202の場合と異なるのは、電源制御処理部151に対応する処理ブロック(電源制御処理部401a)が制御盤インタフェース401に搭載されていることである。制御盤インタフェース401は、内部カウンタが所定数のクロックをカウントした時に、電源制御部402に制御盤インタフェース401や主信号インタフェース403への電源供給の開始または停止を制御する。尚、制御盤202の電源制御部150と同様に、電源制御部402にも電源供給設定レジスタ152,電源供給モジュール153および動作状態レジスタ154が搭載され、電源制御部150の場合と同様に動作し、制御盤インタフェース401および主信号インタフェース403の動作状態をモニタしながら電源制御を行う。
【0040】
次に、主信号インタフェース403は、伝送路インタフェースとしてネットワーク側インタフェースとクライアント側インタフェースとを有し、ネットワーク側とクライアント側との間で送受信するフレームのフォーマット変換や多重化などの処理を行う。尚、伝送路インタフェースとして未使用または未登録時は、電源制御部402から主信号インタフェース403への電源供給は停止している。そして、制御盤202側からの登録制御などによって当該IF盤の使用を開始する時は、制御盤202側のCPU301からIF盤インタフェース307およびIF盤側の制御盤インタフェース401を介して電源制御部402に対して電源供給の開始を要求し、主信号インタフェース403への電源供給を開始して伝送路インタフェースとして機能を動作させる。また、制御盤202のCPU301からの未登録制御時や使用終了時には、IF盤インタフェース307およびIF盤側の制御盤インタフェース401を介して電源制御部402に対して電源供給の停止を要求し、主信号インタフェース403への電源供給を停止する。
【0041】
このように、IF盤(1)からIF盤(n)の各回路においても、電源制御が行われるので、通信装置200全体の消費電力を抑制することができる。
【0042】
尚、制御盤202側のIF盤インタフェース307に、各IF盤の電源制御部402内部の電源供給設定レジスタ152および動作状態レジスタ154に対応するサブレジスタをそれぞれ配置して、常に各IF盤の電源制御部402内部の電源供給設定レジスタ152および動作状態レジスタ154の値をコピーしておくようにしても構わない。これにより、IF盤(1)からIF盤(n)の電源制御部402が当該IF盤に電源を供給していない時でも、制御盤202のCPU301は、IF盤(1)からIF盤(n)の電源制御部402内部の電源供給設定レジスタ152および動作状態レジスタ154の値を知ることができる。この結果、CPU301は、制御盤202内部の回路(FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307など)と同様に、別の回路パッケージになっているIF盤(1)からIF盤(n)の電源供給の開始または停止を遠隔制御することができる。
【0043】
次に、通信装置200での電源制御処理について詳しく説明する。
[電源制御処理部151の動作について]
以上説明したように、本実施形態に係る電源供給制御装置101は、電源制御処理部151と、電源制御部150の電源供給設定レジスタ152と、電源供給モジュール153と、動作状態レジスタ154とで構成される。
【0044】
ここで、電源制御処理部151の電源供給開始時の処理について図5のフローチャートを用いて説明する。
[電源供給開始時の処理]
図5は、CPU301の通信装置処理部301aが通信装置200の制御を行っている時に、FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307の各回路にアクセスする必要が生じた場合の処理の流れを示したフローチャートである。尚、以下の説明では、FLASHメモリ部304にアクセスする必要が生じた場合の処理を例に挙げて説明する。
【0045】
ここで、CPU301の電源制御処理部151はワーク用のカウンタ(電源供給カウンタ160)を持っている。尚、電源供給カウンタ160は、CPU301の内部レジスタを用いても構わないし、RAMメモリ部303を利用しても構わない。
【0046】
電源供給カウンタ160は、FLASHメモリ部304(或いは他の回路パッケージ)への電源供給開始処理を行う毎に電源供給カウンタ160に「1」を加算し、FLASHメモリ部304(或いは他の回路パッケージ)への電源供給停止処理を行う毎に電源供給カウンタ160から「1」を減算する。尚、電源供給カウンタ160は、回路パッケージ毎にあり、例えばFLASHメモリ部304用の電源供給カウンタ160や、外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307の各回路用の電源供給カウンタ160をそれぞれ有する。
【0047】
以下の説明では、CPU301の通信装置200用の処理プログラム(通信装置処理部301a)において、1つのスレッド(プログラムの処理単位)がFLASHメモリ部304にアクセスする場合について説明する。従って、複数のスレッドがFLASHメモリ部304をアクセスする時は、それぞれのスレッドにおいて以下の処理が実行される。
(ステップS100)CPU301の通信装置200用の処理プログラム(通信装置処理部301a)において、あるスレッドがFLASHメモリ部304へのアクセス要求(電源供給開始要求に相当)を電源制御処理部151に発行する。
(ステップS101)電源制御処理部151は、FLASHメモリ部304への電源供給開始処理を実行する際に、必ず電源供給カウンタ160に「1」を加算する。
(ステップS102)電源制御処理部151は、電源供給設定レジスタ152のFLASHメモリ部304に対応するレジスタ152aの設定値を読み出す。
(ステップS103)電源制御処理部151は、レジスタ152aの設定値が0(供給停止状態)または1(供給中)のいずれであるかを判別する。そして、0の場合は電源供給中ではないものと判断してステップS104に進み、1の場合は電源供給中であると判断してステップS105に進む。
(ステップS104)電源制御処理部151は、電源供給設定レジスタ152のFLASHメモリ部304に対応するレジスタ152aの設定値を”1”にする。
(ステップS105)電源制御処理部151は、動作状態レジスタ154のFLASHメモリ部304に対応するレジスタ154aの値を読み出す。
(ステップS106)電源制御処理部151は、レジスタ154aの値が0(Ready)または1(Not Ready)のいずれであるかを判別する。そして、0の場合は動作中と判断してステップS107に進み、1の場合は停止状態であると判断してステップS105に戻る。
(ステップS107)電源制御処理部151は、FLASHメモリ部304へのアクセスを行う。例えば、FLASHメモリ部304に記憶されている情報を読み出したり、FLASHメモリ部304に新たな設定情報を書き込む。
(ステップS108)電源制御処理部151は、FLASHメモリ部304へのアクセス要求を行ったスレッドの処理に戻す。
【0048】
このようにして、電源制御処理部151は、FLASHメモリ部304が停止中の場合は電源供給を開始して、FLASHメモリ部304が動作中になるまで待ってからアクセスを行うので、確実にFLASHメモリ部304への情報の書き込みや読み出しを行うことができる。
[電源供給終了時の処理]
次に、CPU301の通信装置200用の処理プログラム(通信装置処理部301a)において、1つのスレッドがFLASHメモリ部304へのアクセスを終了する場合について図6のフローチャートを用いて説明する。尚、複数のスレッドがFLASHメモリ部304をアクセスしている時は、それぞれのスレッドにおいて以下の処理が実行される。
(ステップS200)CPU301の通信装置200用の処理プログラム(通信装置処理部301a)において、あるスレッドがFLASHメモリ部304へのアクセスを終了する場合、電源供給停止要求を電源制御処理部151に発行する。
(ステップS201)電源制御処理部151は、FLASHメモリ部304への電源供給停止処理を実行する際に、電源供給カウンタ160から「1」を減算する。
(ステップS202)電源制御処理部151は、電源供給カウンタ160が0であるか否かを判別する。そして、0の場合はFLASHメモリ部304へのアクセスを行っているスレッドはないものと判断してステップS203に進み、1の場合はFLASHメモリ部304へのアクセスを行っているスレッドがあるものと判断してステップS204に進む。
(ステップS203)電源制御処理部151は、電源供給設定レジスタ152のFLASHメモリ部304に対応するレジスタ152aの設定値を0(供給停止)にする。
(ステップS204)電源制御処理部151は、FLASHメモリ部304へのアクセスを行ったスレッドの処理に戻る。
【0049】
このようにして、電源制御処理部151は、FLASHメモリ部304へのアクセスを終了する場合は、他のスレッドのアクセスの有無を確認した後、FLASHメモリ部304への電源供給を停止するので、複数のスレッドがFLASHメモリ部304をアクセスする場合でも確実にFLASHメモリ部304への電源供給を停止することができ、他のスレッドのアクセスに影響することはない。
【0050】
ここで、例えばスレッドA,スレッドBおよびスレッドCの3つのスレッドがFLASHメモリ部304にアクセスする場合について説明する。尚、いずれのスレッドもFLASHメモリ部304にアクセスしておらず、FLASHメモリ部304への電源供給が停止状態にあるものとする。また、電源供給カウンタ160=0にリセットされているものとする。この状態で、スレッドAがFLASHメモリ部304へのアクセスを開始する場合、ステップS101で電源供給カウンタ160に「1」を加算するので、電源供給カウンタ160=1となる。
【0051】
次に、スレッドBがFLASHメモリ部304へのアクセスを開始する場合、ステップS101で電源供給カウンタ160に「1」を加算するので、電源供給カウンタ160=2となる。この状態で、スレッドAがFLASHメモリ部304へのアクセスを終了する場合、ステップS201で電源供給カウンタ160から「1」を減算するので、電源供給カウンタ160=1となる。この時、スレッドAはステップS202において電源供給カウンタ160が0ではないので、FLASHメモリ部304への電源供給を停止せずにアクセス処理を終了する。
【0052】
さらに、スレッドCがFLASHメモリ部304へのアクセスを開始すると、同様に電源供給カウンタ160に「1」を加算するので、電源供給カウンタ160=2となる。次に、スレッドBがFLASHメモリ部304へのアクセスを終了する場合、ステップS201で電源供給カウンタ160から「1」を減算するので、電源供給カウンタ160=1となる。この時、スレッドBはステップS202において電源供給カウンタ160が0ではないので、FLASHメモリ部304への電源供給を停止せずにアクセス処理を終了する。
【0053】
さらに、スレッドCがFLASHメモリ部304へのアクセスを終了する場合、ステップS201で電源供給カウンタ160から「1」を減算するので、電源供給カウンタ160=0となる。この時、スレッドCはステップS202において電源供給カウンタ160が0になっているので、ステップS203でFLASHメモリ部304への電源供給を停止する。この時点で、FLASHメモリ部304への電源供給は停止される。
【0054】
このようにして、複数のスレッドが1つのFLASHメモリ部304へアクセスする場合でも、確実にFLASHメモリ部304への電源供給の開始または停止を行うことができる。特に、FLASHメモリ部304にアクセスしていない時はFLASHメモリ部304への電源供給が適宜停止されるので無駄な電力消費を抑えることができる。
【0055】
尚、上記の実施形態では、FLASHメモリ部304への電源供給の開始または停止の動作について説明したが、外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307についても同様に電源供給の開始または停止を行うことができる。
[外部インタフェース305の場合]
外部インタフェース305の場合は、外部インタフェース305にRS−232CやLAN等によってパソコン204が接続された場合、外部インタフェース305に何らかの装置が接続されたことを示す信号をCPU301側に出力する回路が外部インタフェース305に備えられている。この信号は、例えばRS−232CのDTR(データ端末レディ)信号をそのままCPU301の割り込み信号として利用し、これを外部インタフェース305への電源供給要求信号として用いることができる。この割り込み信号によって、CPU301は図5のフローチャートの処理を実行して外部インタフェース305への電源供給を開始し、接続されたパソコン204との間で制御コマンドなどを入出力して通信装置200の監視および制御を行うことができる。
【0056】
また、パソコン204を外部インタフェース305から切り離した場合、例えばRS−232CのDTR(データ端末レディ)信号が無くなるのでCPU301はパソコン204が外部インタフェース305から切り離されたことを検知できる。そして、パソコン204が外部インタフェース305から切り離された場合は、図6のフローチャートの処理を実行して外部インタフェース305への電源供給を停止する。
【0057】
さらに、パソコン204が外部インタフェース305に接続されたままの状態で未操作状態が長時間(例えば20分から30分程度)継続した場合に、外部インタフェース305に対する電源供給の停止を要求するスレッドをCPU301内で走らせておけばよい。或いは、外部インタフェース305の回路内に未操作状態をモニタして所定時間が経過後に割り込み信号をCPU301に発行するハードウェア回路を設けても構わない。但し、この場合は、パソコン204との間でデータの送受信を行っていることを検知するための回路だけには電源が常に供給されているものとする。そして、パソコン204からのデータを検知した時に、CPU301に電源供給を要求し、外部インタフェース305への電源供給を開始して、パソコン204との接続を再開する。
【0058】
このように、外部インタフェース305の場合は、パソコン204などが接続された時、CPU301の通信制御処理部301a側からパソコンにアクセスする必要がある時、或いはパソコン204が長時間未操作状態になっている時にパソコン204の操作が再開された時などに、電源制御処理部151に対して外部インタフェース305への電源供給の開始要求を発行する。そして、電源制御処理部151は、図5において、ステップS101で外部インタフェース305用の電源供給カウンタ160に「1」を加算し、ステップS102で電源供給設定レジスタ152の外部インタフェース305に対応するレジスタ152bの設定値を読み出し、ステップS103でレジスタ152bの設定値が”0”(供給停止状態)の場合はステップS104で電源供給を開始し、ステップS105およびS106で動作状態になるのを待った後、ステップS107で外部インタフェース305を介してパソコン204へのアクセスを行う。
【0059】
また、パソコン204などの接続が外された時、CPU301の通信制御処理部301a側のパソコンへのアクセスが終了した時、或いはパソコン204が長時間未操作状態になっている時などに、電源制御処理部151に対して外部インタフェース305への電源供給の停止要求を発行する。この場合は、図6において、ステップS201で外部インタフェース305用の電源供給カウンタ160から「1」を減算し、ステップS202で電源供給カウンタ160=0の場合は、ステップS203で電源供給設定レジスタ152の外部インタフェース305に対応するレジスタ152bの設定値を0にして、外部インタフェース305への電源供給を停止する。
【0060】
このようにして、アクセスしていない外部インタフェース305への電源供給が適宜停止されるので無駄な電力消費を抑えることができる。
[警報インタフェース306の場合]
警報インタフェース306の場合は、FLASHメモリ部304の場合と全く同様に処理することができる。つまり、CPU301が通信装置200の異常を検知した場合、図5において、ステップS101で警報インタフェース306用の電源供給カウンタ160に「1」を加算し、ステップS102で電源供給設定レジスタ152の警報インタフェース306に対応するレジスタ152cの設定値を読み出し、ステップS103でレジスタ152cの設定値が0(供給停止状態)の場合はステップ104で電源供給を開始し、ステップS105およびS106で動作状態になるのを待った後、ステップS107で警報インタフェース306から外部の監視装置に対して警報信号を出力する。
【0061】
また、警報が解除された場合は、図6において、ステップS201で警報インタフェース306用の電源供給カウンタ160から「1」を減算し、ステップS202で電源供給カウンタ160=0の場合は、ステップS203で電源供給設定レジスタ152の警報インタフェース306に対応するレジスタ152bの設定値を0にして、警報インタフェース306への電源供給を停止する。尚、複数の警報が出力されている場合は、FLASHメモリ部304の場合と同様に、警報インタフェース306用の電源供給カウンタ160が”0”ではないので警報インタフェース306への電源供給を停止せずにステップS204でメイン処理に戻り、出力中の他の警報信号が解除されることはない。
【0062】
このようにして、CPU301は、警報インタフェース306が停止中の場合は、電源供給を開始して、警報インタフェース306が動作中になるまで待ってからアクセスするので、確実に警報インタフェース306から警報信号を出力することができる。特に、警報信号を出力していない場合は警報インタフェース306への電源供給が停止されるので無駄な電力消費を抑えることができる。
[IF盤インタフェース307の場合]
次に、IF盤インタフェース307の場合について説明する。CPU301がIF盤(1)からIF盤(n)のいずれかのIF盤にアクセスする場合、図5において、ステップS101でIF盤インタフェース307用の電源供給カウンタ160に「1」を加算し、ステップS102で電源供給設定レジスタ152のIF盤インタフェース307に対応するレジスタ152dの設定値を読み出し、ステップS103でレジスタ152dの設定値が”0”(供給停止状態)の場合はステップS104で電源供給を開始し、ステップS105およびS106で動作状態になるのを待った後、ステップS107でIF盤インタフェース307への電源供給を開始する。また、CPU301がIF盤(1)からIF盤(n)のいずれかのIF盤にアクセスを終了する場合、図6において、ステップS201でIF盤インタフェース307用の電源供給カウンタ160から「1」を減算し、ステップS202で電源供給カウンタ160=0の場合は、ステップS203で電源供給設定レジスタ152のIF盤インタフェース307に対応するレジスタ152dの設定値を”0”にして、IF盤インタフェース307への電源供給を停止する。
【0063】
尚、IF盤インタフェース307は、IF盤(1)からIF盤(n)の各回路から定期的な制御情報を受け取った場合にも、電源制御処理部151に対して電源供給の開始要求を出力する。ここで、IF盤インタフェース307への電源供給が停止中であっても、IF盤(1)からIF盤(n)の各回路から制御情報の受信を検出する回路は動作しているものとする。この場合においても、制御情報の受け取り処理時のみIF盤インタフェース307に電源供給が開始され、制御情報の受け取りが終了すると電源供給が停止される。
【0064】
このようにして、アクセスしていないIF盤インタフェース307への電源供給が適宜停止されるので無駄な電力消費を抑えることができる。
[IF盤(1)からIF盤(n)の場合]
次に、IF盤(1)からIF盤(n)の場合について説明する。尚、以下は図3のIF盤(1)について説明するが他のIF盤についても同様である。
【0065】
図3のIF盤(1)において、制御盤インタフェース401は、定期的に監視情報を制御盤202側に送信する。この時、制御盤インタフェース401は、内部カウンタによってクロックを計数し、所定数のクロックがカウントされる毎に電源制御部402に電源供給の開始を要求し、電源制御部402は、制御盤インタフェース401への電源供給を開始する。尚、内部カウンタには常時通電されている。そして、制御盤インタフェース401は、主信号インタフェース403から監視情報を収集して監視フレームを生成し、生成した監視フレームを制御盤202側に送信する。制御盤インタフェース401は、監視フレームの送信完了後、電源制御部402に電源供給の停止を要求し、電源制御部402は制御盤インタフェース401への電源供給を停止する。そして、再び、内部カウンタが所定数のクロックをカウントすると、電源制御部402に電源供給の開始を要求して同様の動作を繰り返す。
【0066】
尚、上記の説明では、制御盤インタフェース401の内部カウンタが定期的に電源制御部402に電源供給の開始を要求するようにしたが、制御盤インタフェース401が制御盤202のIF盤インタフェース307からアクセス要求信号を受け取った場合に電源制御部402に電源供給の開始を要求するようにしても構わない。尚、この場合はIF盤インタフェース307からアクセス要求信号を受信する回路には常時通電されているものとする。
【0067】
ここで、電源制御部402は、図1で説明した電源制御部150に相当する。つまり、図3の制御盤202の電源制御部150と同じ役割を各IF盤で行う。図3の制御盤202の場合と異なるのは、電源制御処理部151に対応する処理ブロック(電源制御処理部401a)が制御盤インタフェース401に搭載されていることである。内部カウンタが所定数のクロックをカウントした時に、電源制御処理部401aが動作して電源制御部402に制御盤インタフェース401や主信号インタフェース403への電源供給の開始または停止を制御する。また、制御盤202の電源制御部150と同様に、電源制御部402にも電源供給設定レジスタ152,電源供給モジュール153および動作状態レジスタ154が配置されている。
【0068】
尚、制御盤202側のIF盤インタフェース307に、各IF盤の電源制御部402内部の電源供給設定レジスタ152および動作状態レジスタ154に対応するサブレジスタをそれぞれIF盤の数だけ配置して、常に各IF盤の電源制御部402内部の電源供給設定レジスタ152および動作状態レジスタ154の値がわかるようにしても構わない。これにより、IF盤(1)からIF盤(n)の電源制御部402が当該IF盤に電源を供給していない時でも、制御盤202のCPU301は、IF盤(1)からIF盤(n)の電源制御部402内部の電源供給設定レジスタ152および動作状態レジスタ154の値を知ることができる。この結果、CPU301は、制御盤202内部の回路(FLASHメモリ部304,外部インタフェース305,警報インタフェース306およびIF盤インタフェース307など)と同様に、別の回路パッケージになっているIF盤(1)からIF盤(n)の電源供給の開始または停止を遠隔制御することができる。
【0069】
以上、本実施形態に係る電源供給制御装置101について説明してきたが、電源供給制御装置101を搭載する通信装置200は、通信装置200を構成する複数の回路パッケージ毎に電源供給の制御を動的に行うことができるので、必要な機能の回路の動作時のみ当該回路パッケージに電源を供給することが可能となり、通信装置200全体の消費電力を大幅に低減することができる。
【0070】
特に、機能別の回路パッケージ毎の動作状態を示すモニタ信号に応じて動作中または停止中の状態を示す動作状態レジスタを設けることにより、電源供給の開始要求を行った回路パッケージが確実に動作状態になったことを確認してから当該回路パッケージにアクセスするので、回路パッケージの立ち上がり速度が遅い場合でも確実にアクセスすることができる。
【0071】
さらに、回路パッケージ毎に電源供給カウンタ160を設けて、当該回路パッケージに電源供給の開始要求を発行する毎に電源供給カウンタ160に「1」を加算し、当該回路パッケージに電源供給の停止要求を発行する毎に電源供給カウンタ160から「1」を減算するようにし、電源供給カウンタ160が0でない場合は当該当該回路パッケージへの電源供給を停止しないようにするので、複数のスレッドが同じ回路パッケージにアクセスする場合でも、他のスレッドが同じ回路パッケージにアクセス中である場合に誤って電源供給が停止されてしまうことを防止できる。
【0072】
尚、図1の実施例では、電源供給制御装置101を通信装置200に適用する場合について説明したが、通信装置である必要はなく、例えばモバイルパソコンや携帯電話機などの情報機器あるいは機能別に複数の回路で構成される装置であれば何でも適用可能である。そして、第1の実施形態に係る電源供給制御装置101を搭載することにより、使用していない回路への電源供給を動的に停止することができるので、装置全体の消費電力を大幅に低減することができる。
【0073】
以上、本発明に係る電源供給制御装置101について、実施例を挙げて説明してきたが、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の多様な形で実施することができる。そのため、上述した実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0074】
101・・・電源供給制御装置
150・・・電源制御部
151・・・電源制御処理部
152・・・電源供給設定レジスタ
152a,152b,152c,152d・・・レジスタ
153・・・電源供給モジュール
153a,153b,153c・・・スイッチ回路
154・・・動作状態レジスタ
154a,154b,154c,154d・・・レジスタ
155a・・・機能A回路
155b・・・機能B回路
155c・・・機能C回路
156a,156b,156c・・・動作状態出力回路
160・・・電源供給カウンタ
200・・・通信装置
201・・・WDM多重部
202・・・制御盤
203・・・警報出力
204・・・パソコン
301・・・CPU
301a・・・通信装置処理部
302・・・制御バス
303・・・RAMメモリ部
304・・・FLASHメモリ部
305・・・外部インタフェース
306・・・警報インタフェース
307・・・IF盤インタフェース
401・・・制御盤インタフェース
401a・・・電源制御処理部
402・・・電源制御部
403・・・主信号インタフェース
(1)から(n)・・・IF盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUを中心とする機能別の複数回路で構成される装置の電源供給を制御する電源供給制御装置において、
前記機能別の回路毎に対応する電源供給の開始または停止を設定する電源供給制御レジスタと、
前記電源供給制御レジスタの設定内容に応じて前記機能別の回路毎の電源制御を行う電源制御モジュールと、
前記CPUから前記機能別の回路に対して電源供給要求があった場合に、当該機能別の回路に対応する前記電源供給制御レジスタに電源供給の開始を設定し、アクセス終了後に当該機能別の回路に対応する前記電源供給制御レジスタに電源供給の停止を設定する電源供給制御部と
を設けたことを特徴とする電源供給制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源供給制御装置において、
前記機能別の回路毎に設けられた動作中または停止中を示すモニタ信号に応じて動作中または停止中の状態を設定する動作状態レジスタと
を更に設け、
前記電源供給制御部は、前記CPUから前記機能別の回路に対して電源供給要求があった場合に、当該機能別の回路に対応する前記電源供給制御レジスタに電源供給の開始を設定し、当該機能別の回路に対応する前記動作状態レジスタの状態が動作中になった後、当該機能別の回路に対してアクセスを実行する
ことを特徴とする電源供給制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源供給制御装置において、
前記電源供給制御部は、前記機能別の回路に対して電源供給要求がある毎に1を加算し、前記機能別の回路に対するアクセスを終了する毎に1を減算するカウンタレジスタを有する
ことを特徴とする電源供給制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−34381(P2011−34381A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180420(P2009−180420)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】