説明

電源供給装置および電源供給方法ならびに撮像装置

【課題】モバイル電子機器の駆動時間をより長くする。
【解決手段】電源供給装置は、電池と並列に接続されるキャパシタと、キャパシタに対する充電電圧を制御する電圧制御装置と、キャパシタに供給される電流量を制御する電流制限回路と、キャパシタに対する充電電流の供給を制御する第1のスイッチング素子と、少なくとも1のモータに対するキャパシタからの電流の供給を制御する第2のスイッチング素子とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源供給装置および電源供給方法ならびに撮像装置に関する。本開示は、特に、負荷回路にモータを含む撮像装置などの電子機器の稼働時間をより向上させる電源供給装置および電源供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、デジタル一眼カメラ、携帯電話、ポータブルオーディオプレーヤなどに代表されるモバイル電子機器の高機能化がめざましい。また、モバイル電子機器の需要の飛躍的な高まりとともに、モバイル電子機器のユーザからのモバイル電子機器に対する高機能化の要求が高まっている。さらに、モバイル電子機器のユーザからのモバイル電子機器に対する小型化の要求も非常に高い。
【0003】
モバイル電子機器を小型化するには、モバイル電子機器の電源として使用される電池の小型化も必要となる。そのため、モバイル電子機器の開発者は、モバイル電子機器の高機能化に伴う電力消費量が増大する一方で、モバイル電子機器に搭載される電池の電池容量の増大を見込みにくいという状況におかれている。
【0004】
例えば、デジタルスチルカメラの場合、電池の小型化により電池容量が減ってしまうと、デジタルスチルカメラにおける撮影可能な写真の枚数が減少してしまう。そこで、あらかじめ定められた容量の電池を使用するとの前提においての、デジタルスチルカメラにおける撮影可能な写真の枚数の増大が試みられている。
【0005】
モバイル電子機器の稼働時間をより長くするための方法としては、いくつかの方法が挙げられる。
【0006】
例えば、第1の方法は、モバイル電子機器自体の消費電力を削減する方法である。しかしながら、モバイル電子機器自体の消費電力の削減と、モバイル電子機器の高機能化とはトレードオフの関係にあるので、第1の方法を採用することは、一般的に現実的ではない。
【0007】
第2の方法は、電池の放電終止電圧付近の端子電圧の変化(放電曲線における下降カーブ)をできるだけなだらかにする方法である。第2の方法によれば、電池の容量を可能な限り多く使用できるが、電池の放電終止電圧付近の端子電圧の変化は電池固有の特性であり、電池の電極材料などの開発が必要となる。したがって、第2の方法を採用するには、電池の新規開発が必要となり、電池の開発のためのコストがかかってしまう。
【0008】
第3の方法は、モバイル電子機器の動作が終了とされる電圧(以下、「停止電圧」と適宜称する。)をできるだけ下げる方法である。モバイル電子機器の停止電圧を下げて電池の放電終止電圧になるべく近づけることにより、電池を使用可能な電池の容量の範囲が拡大され、結果として、モバイル電子機器の駆動時間が増加する。第3の方法は、あらかじめ容量の定められた電池を効率よく使用するための方法であり、第3の方法は、デジタルスチルカメラなどのモバイル電子機器の開発における費用対効果が高い。
【0009】
モバイル電子機器の停止電圧は、モバイル電子機器の負荷回路に含まれるIC(integrated circuit)の入力電圧範囲の下限をもとにして決められる。モバイル電子機器を正常に動作させるには、電池からの負荷回路に対する入力電圧が、モバイル電子機器の停止電圧を下回らないことが必要である。
【0010】
ここで、電池は、内部抵抗などを有しており、モバイル電子機器の動作時における電池の端子電圧は、モバイル電子機器の負荷回路に流れる電流量に応じて変化する。そのため、モバイル電子機器の負荷回路に流れる電流量が瞬間的に増大すると、電池の端子電圧が瞬間的に大きく低下する。
【0011】
すなわち、モバイル電子機器を正常に動作させるには、負荷回路に流れる電流量が瞬間的に増大し、電池の端子電圧が瞬間的に大きく低下したときであっても、ICに印加される電圧が、ICの入力電圧範囲の下限を下回らないことが必要である。このことを言い換えると、負荷回路に流れる電流量の瞬間的な増大に伴う、電池の端子電圧の瞬間的な低下を抑制することができれば、モバイル電子機器の停止電圧を下げることが可能となる。
【0012】
負荷回路に流れる電流量の瞬間的な増大に伴う、電池の端子電圧の瞬間的な低下を抑制する方法としては、例えば、等価直列抵抗の低いキャパシタを電池と並列に接続する方法が知られている。
【0013】
下記の特許文献1には、電池およびコンデンサの接続点にスイッチを設け、コンデンサの電圧が電池の電圧より高い場合に該スイッチをオフとすることにより、コンデンサと並列に接続される電池への過電圧の印加を防止する電源供給装置が開示されている。また、下記の特許文献2には、負荷回路に流れる電流量およびキャパシタの電圧をそれぞれ設定値と比較し、これらの間の大小関係に応じて、電池またはキャパシタのいずれから電力を供給するかが決められる電源回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−206357号公報
【特許文献2】特許第3526028号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
モバイル電子機器の駆動時間をより長くすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示の第1の好ましい実施態様は、
電源供給装置が、キャパシタと、電圧制御装置と、電流制限回路と、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子とを備える。
キャパシタは、電池と並列に接続される。
電圧制御装置は、キャパシタに対する充電電圧を制御する。
電流制限回路は、キャパシタに供給される電流量を制御する。
第1のスイッチング素子は、キャパシタに対する充電電流の供給を制御する。
第2のスイッチング素子は、少なくとも1のモータに対するキャパシタからの電流の供給を制御する。
【0017】
本開示の第2の好ましい実施態様は、
キャパシタの非放電時に、第1のスイッチング素子をオンとして、電圧制御装置および電流制限回路を介して、並列に接続された電池によりキャパシタを充電させ、
少なくとも1のモータを含む負荷回路における、いずれかのモータの動作開始時に、第2のスイッチング素子をオンとして、キャパシタから、動作が開始されたモータに対して電力を供給させる電源供給方法である。
【0018】
本開示の第3の好ましい実施態様は、
撮像装置が、1以上のモータと、キャパシタと、電圧制御装置と、電流制限回路と、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子と、制御部とを備える。
1以上のモータは、少なくとも、レンズ、絞り、ミラーおよびシャッタのうちのいずれかを駆動させる。
キャパシタは、電池と並列に接続される。
電圧制御装置は、キャパシタに対する充電電圧を制御する。
電流制限回路は、キャパシタに供給される電流量を制御する。
第1のスイッチング素子は、キャパシタに対する充電電流の供給を制御する。
第2のスイッチング素子は、1以上のモータに対する、キャパシタからの電流の供給を制御する。
制御部は、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンまたはオフを制御する。
【0019】
本開示では、例えば、負荷回路に含まれるモータを駆動させるときなど、負荷電流の瞬間的な増大に対して、電池に並列に接続されたキャパシタが、負荷回路に含まれるモータに電力を供給する。したがって、電池から流れ出す電流の瞬間的な増大が回避され、電池の端子電圧の瞬間的な低下が抑制される。電池の端子電圧の瞬間的な低下が抑制されるため、電子機器の停止電圧を下げることが可能となり、電子機器の駆動時間が向上する。
【0020】
本開示では、電圧制御装置を介して、並列に接続される電池からキャパシタに充電が行われる。そのため、充電後のキャパシタの電圧が、電池の端子電圧に依存せず、満充電状態におけるキャパシタの電圧に変動がない。満充電時のキャパシタの電圧に変動がないため、負荷回路に含まれるモータの動作が安定する。
【0021】
本開示では、電流制限回路を介して、並列に接続される電池からキャパシタに充電が行われる。そのため、キャパシタに蓄えられた電荷が少ない時にキャパシタの充電を行っても、電池からキャパシタに突入電流が流れることがない。すなわち、キャパシタに蓄えられた電荷が少ない時にキャパシタの充電を行っても、電池の端子電圧の急激な低下が防止される。
【発明の効果】
【0022】
少なくとも1つの実施例によれば、負荷回路にモータを含む撮像装置などの電子機器の駆動時間をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、一実施の形態にかかる撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、一実施の形態にかかる電源供給装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図3Aは、定電流回路の一例を示す回路図である。図3Bは、双方向スイッチの一例を示す回路図である。
【図4】図4は、一実施の形態にかかる電源供給装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図5】図5Aは、キャパシタの放電曲線の一例を示す図である。図5Bは、制御部による電源供給装置の制御の一例を説明するためのブロック図である。
【図6】図6は、制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7Aは、モータに電圧を印加したときにおける、モータに流れる電流量の変化を説明するための図である。図7Bは、モータの等価回路を示す図である。
【図8】図8Aおよび図8Bは、電池の放電曲線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、電源供給装置および電源供給方法ならびに撮像装置の実施形態について説明する。説明は、以下の順序で行う。
<0.電池の放電曲線と、電子機器の停止電圧との関係>
<1.一実施の形態>
[撮像装置の一構成例]
(電源部)
(制御部)
(モータ)
[撮像装置の動作]
[電源供給装置の一構成例]
(キャパシタ)
(電圧制御装置)
(電流制限回路)
(スイッチング素子)
[電源供給装置の他の構成例]
[制御の一例]
<2.変形例>
【0025】
なお、以下に説明する実施形態は、電源供給装置および電源供給方法ならびに撮像装置の好適な具体例である。以下の説明においては、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特に本開示を限定する旨の記載がない限り、電源供給装置および電源供給方法ならびに撮像装置の例は、以下に示す実施形態に限定されないものとする。
【0026】
<0.電池の放電曲線と、電子機器の停止電圧との関係>
本開示の実施形態の理解を容易とするため、まず、電池の放電曲線と、電子機器の停止電圧との関係について説明を行う。以下では、負荷回路にモータを含むとともに、電池を電源として駆動する電子機器を例にとることとする。
【0027】
図7Aは、モータに電圧を印加したときにおける、モータに流れる電流量の変化を説明するための図である。図7Bは、モータの等価回路を示す図である。図7Aにおいて、縦軸は、モータに電圧を印加したときの消費電流Cc[A]を表し、横軸は、モータに電圧を印加しはじめてからのモータの駆動時間T[h]を表している。
【0028】
図7Aに示すように、モータに電圧が印加されたとき、モータに流れ込む電流量は、電圧印加後に急激に増加し、その後は次第に減少して、ある一定のところで飽和する。
【0029】
これは、図7Bに示すように、モータの等価回路Meが、インダクタL7に対応する成分および抵抗R7に対応する成分を有しているからである。すなわち、モータへの電圧印加の初期においてはモータを抵抗とみなすことができ、抵抗R7の配線抵抗により決まる初期電流がモータに流れ込む。モータが回転をはじめると、インダクタL7による逆起電力の影響により、モータへは電流が流れ込みにくくなる。したがって、モータに電圧を印加したときの消費電流量は、モータへの電圧印加の初期にピークを有するものとなる。
【0030】
モータに電圧を印加したときの消費電流量は、モータへの電圧印加の初期にピークを有するため、例えば、電池を電源としてモータを駆動させようとすると、モータへの電圧印加の初期において、電池からは大きな電流が初期電流として流れ出すことになる。すると、電池が内部抵抗を有するため、初期電流に比例した電圧△Vd分だけ、電池の端子電圧が急激に下がる。
【0031】
図8Aおよび図8Bは、電池の放電曲線の一例を示す図である。図8Aおよび図8Bにおいて、縦軸は、電池の端子電圧Vt[V]を表し、横軸は、電池から電流を取り出した時間Td[h]を表している。
【0032】
図8Aおよび図8Bにおいて、実線C1は、電池の放電曲線を示す曲線である。実線C1により示すように、電池は、放電が進むにつれて端子電圧が定格電圧Vrから徐々に低下する。図8Aにおいて、Vdcは電池の放電終止電圧を示し、規格上、電池の動作は定格電圧Vrから電池の放電終止電圧Vdcまでの間(図8Aおよび図8Bにおいて網掛けにより示された領域)で保証される。
【0033】
図8Aにおいて、Vsは、電子機器の停止電圧を示している。電子機器は、一般に、DC−DC(Direct Current)コンバータやCPU(central processing unit)などにICを有している。ICは、入力電圧範囲に下限を有しており、ICに印加される電圧が下限を下回ると、ICはシャットダウンされる。すなわち、ICに印加される電圧が下限を下回ると、電子機器の動作が急に停止してしまうことになる。
【0034】
そのため、ICに印加される電圧として、ICの入力電圧範囲の下限よりも高い電圧を確保できるように停止電圧Vsが設定される。通常、図8Aに示すようにVs>Vdcとされ、電池の規格上は放電終止電圧Vdcまで電池を使えるとしても、電池の端子電圧が停止電圧Vsに至ったところで電子機器は電池を容量なしとして扱い、電子機器のユーザに電池の交換や充電を促す。
【0035】
図8Aに示す実線C1は、電池から一定の電流を流し続けたときの電圧の変化を示す曲線であるが、電池の放電曲線と、停止電圧を表す直線との交点から、電子機器の駆動時間を見積もることができる。例えば、電池の端子電圧が曲線C1に従って変化するとした場合、電池の端子電圧が停止電圧Vsに至るまでの時間T0が、電子機器の駆動時間に対応する。
【0036】
上述したように、電子機器は、電子機器の動作時においてICに印加される電圧がICの入力電圧範囲の下限より高い電圧となるように設計される。言い換えれば、負荷回路に流れる電流量の瞬間的な増大に伴う、電池の端子電圧の瞬間的な低下があったときにも、ICに印加される電圧として、ICの入力電圧範囲の下限より高い電圧が確保されなければならない。
【0037】
ここで、電子機器が負荷回路にモータを含むとともに、電池を電源として駆動する場合、負荷電流が最大となるのは、モータへの電圧印加の初期であると考えられる。したがって、電子機器の急な動作停止を防止するためには、モータへの電圧印加の初期における、電池の端子電圧の低下が起こった時であっても、ICに印加される電圧として、ICの入力電圧範囲の下限より高い電圧が確保される必要がある。
【0038】
いま、ICの入力電圧範囲の下限がVm、モータの駆動開始により電池から初期電流が流れだしたことに伴う、電池の端子電圧の低下分が△Vd1であったとする。
【0039】
このときの電子機器の停止電圧は、おおよそ、Vs1=Vm+△Vd1+Aと考えることができる(Aは定数)。なお、ここでは、電子機器に含まれるICが1つであると仮定している。
【0040】
図8Bを参照して、曲線C1と、停止電圧Vs1を表す直線との交点から電子機器の駆動時間を見積もると、電池の端子電圧が停止電圧Vs1に至るまでの時間は、図8Bに示すT1となる。
【0041】
次に、電池の端子電圧の低下分が△Vd2(△Vd2<△Vd1)である場合を考えると、このときの電子機器の停止電圧は、おおよそ、Vs2=Vm+△Vd2+Aとなり、Vs2<Vs1が成り立つ。
【0042】
上述の手順と同様にして、曲線C1と、停止電圧Vs2を表す直線との交点から電子機器の駆動時間を見積もると、電池の端子電圧が停止電圧Vs2に至るまでの時間は、図8Bに示すT2となる。図8Bからも明らかなように、T2>T1となる。
【0043】
すなわち、モータの駆動開始に伴う電池の端子電圧の低下がある場合、電子の端子電圧の低下分を小さくすることができれば、電池の端子電圧が電子機器の停止電圧に至るまでの時間を拡大することができる。このことを言い換えれば、モータの駆動開始に伴う電池の端子電圧の低下分を小さくすることができれば、電池により、電子機器をより長い時間駆動させることができる。
【0044】
モータへの電圧印加の初期における電流が一定の電流に飽和するまでの時間は、モータに印加された電圧、モータの配線抵抗およびモータの巻き線数に依存するが、一般に数十[ms]程度と非常に短い時間である。すなわち、初期電流がモータに流れ込む非常に短い時間において、電池からモータへ電力を供給しないようにすれば、電池から流れ出す電流の最大値を低減でき、電子機器の駆動時間が向上することとなる。
【0045】
<1.一実施の形態>
[撮像装置の一構成例]
図1は、一実施の形態にかかる撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【0046】
図1に示すように、撮像装置21は、電源供給装置1を含む電源部10と、制御部23と、1以上のモータとを備える。図1では、撮像装置21が、レンズ31を駆動させるためのモータM1と、絞り32を駆動させるためのモータM2と、ミラー33を駆動させるためのモータM3と、シャッタ34を駆動させるためのモータM4とを含む構成例を示している。なお、電源部10は、撮像装置21に対して交換自在とされたアタッチメントとして構成されていてもよい。
【0047】
図1に示す構成例は、撮像装置21をデジタル一眼レフカメラとして構成した例であるが、撮像装置の例は、デジタル一眼レフカメラに限定されない。電池を電源とし、1以上のモータを含む撮像装置であれば、本開示の技術を適用することができる。本開示の技術は、アナログ方式のカメラに対してももちろん適用が可能である。
【0048】
以下、図1を参照しながら、電源部10、制御部23ならびにモータM1、M2、M3およびM4について順に説明を行う。
【0049】
(電源部)
電源部10は、電子機器の各部において必要とされる電力を供給する。電源部10は、例えば、後述するモータや、後述する制御部23などに対して電力を供給する。
【0050】
電源部10は、例えば、電池と、電源供給装置1とを含む。
【0051】
電源供給装置1は、キャパシタと、電圧制御装置と、電流制限回路と、第1および第2のスイッチング素子とを備えている。電源供給装置1は、例えば、電源部10に配置された電池と、モータを含む負荷回路との間に接続される。電源供給装置1の詳細については、後述する。
【0052】
(制御部)
制御部23は、プロセッサを含む処理装置であり、例えば、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor(DSP))やCPUとして構成され、撮像装置21の各部を制御する。
【0053】
制御部23は、例えば、電源部10に配置された電池の容量の監視、後述する1以上のモータへの駆動信号の送出、撮像素子37からの入力信号の演算処理、露出量やフォーカス量の算出などを行う。また、電源供給装置1における第1および第2のスイッチング素子のオンおよびオフの制御を行う。
【0054】
(モータ)
撮像装置21には、オートフォーカスや絞り動作、ミラー33の退避動作および復帰動作、シャッタ動作などを実行させるためのアクチュエータが搭載されている。これらのアクチュエータを駆動には、例えば、モータが使用される。
【0055】
図1に示すモータM1、M2、M3およびM4は、それぞれ、レンズ駆動機構の一部、絞り駆動機構の一部、ミラー駆動機構の一部およびシャッタ駆動機構(シャッタチャージ機構)の一部をなしている。もちろん、モータの数に限定はなく、例えば、撮像装置21が、手ぶれ補正のためのアクチュエータを駆動させるモータなどをさらに備えていてもよい。
【0056】
[撮像装置の動作]
ここで、撮像装置21の動作について簡単に説明する。
【0057】
まず、撮像装置21のユーザにより電源ボタンPwが入れられることで、電源部10に配置された電池からの電力供給が開始され、制御部23をはじめとする、撮像装置21の各部に電力が供給される。
【0058】
レンズ31および絞り32を介して撮像装置21の内部に入射した光は、ミラー33により反射された後にペンタプリズム39に導かれる。ペンタプリズム39に導かれた光は、ペンタプリズム39の内部で反射を繰り返した後、接眼レンズ41に向けて出射される。撮像装置21のユーザは、ファインダに配置された接眼レンズ41を通して、撮影対象を確認することができる。
【0059】
ペンタプリズム39に導かれた光の一部は、測光センサ43に導かれる。測光センサ43からの出力は、制御部23による露出量算出のための入力となる。
【0060】
ミラー33がハーフミラーとされる場合、ミラー33を透過した光は、サブミラー35によって反射され、オートフォーカスセンサ45に導かれる。オートフォーカスセンサ45からの出力は、制御部23によるフォーカス量算出のための入力となる。
【0061】
次に、ユーザによりシャッタボタンShが押されると、制御部23からミラー駆動機構に対して制御信号が送出され、モータM3が駆動される。モータM3が駆動することによりミラー33が跳ね上げられ、撮像装置21の内部に入射した光が、撮像素子37に導かれる。
【0062】
また、制御部23からシャッタ制御回路47に対して制御信号が送出され、モータM4が駆動される。モータM4が駆動することにより、例えば、シャッタ幕が巻かれ、撮像装置21の内部に入射する光が、光学フィルタ49を介してCCD(charge-coupled device)やCMOS(complementary metal-oxide semiconductor)などの撮像素子37に到達するようになる。
【0063】
シャッタボタンShの押下にかえ、タッチパネルTpからの入力によりモータM3やモータM4などが駆動するようにされてもよい。
【0064】
撮像素子37による光電変換により得られた電気信号は、アンプ51、アナログ−デジタル変換回路53、画像データコントローラ55などを介して制御部23に入力される。なお、図1に示すタイミングパルス発生回路57、画像メモリ59および温度センサ61は、本開示に必須とはされないので、説明を省略する。
【0065】
制御部23による処理がなされた画像信号は、例えば、ドライバ63を介して、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display(LCD))や有機EL(Electroluminescence:電界発光効果)ディスプレイなどのディスプレイ65に送出される。また、画像信号は、ユーザの指示に応じ、例えば、画像記録回路67を介して画像データ記録媒体69に送出され、画像データとして保存される。
【0066】
なお、撮影に際しては、算出された露出量およびフォーカス量に基づいて、制御部23から、レンズ駆動機構および絞り駆動機構に対する制御信号が送出される。レンズ駆動機構のモータM1および絞り駆動機構のモータM2が駆動されることにより、レンズ31の位置(フォーカス)および絞りが調整される。フォーカスおよび絞りの調整は、制御部23の制御により自動で実行されてもよいし、ユーザの指示に応じて実行されてもよい。
【0067】
後述するように、本開示では、モータM1、M2、M3またはM4の駆動の初期に必要とされる電力は、電源供給装置1のキャパシタから供給される。したがって、モータへの電圧印加の初期において、電池からは大きな電流が初期電流として流れ出すことがない。
【0068】
[電源供給装置の一構成例]
図2は、一実施の形態にかかる電源供給装置の一構成例を示すブロック図である。
【0069】
図2に示すように、電源供給装置1は、キャパシタ3と、電圧制御装置5と、電流制限回路7と、スイッチング素子S1およびスイッチング素子S2とを備えている。
【0070】
電源供給装置1は、例えば、電源部10に配置された電池2と、1以上のモータを含む負荷回路100との間に接続される。図1および図2では、負荷回路100に含まれるモータの数が4つの例を示したが、モータの数はこれに限られず、4つより多くてももちろんかまわない。電源供給装置1は、負荷回路に少なくとも1のモータを含む電子機器に用いて好適な電源供給装置である。
【0071】
以下、図2ならびに図3Aおよび図3Bを参照しながら、キャパシタ3と、電圧制御装置5と、電流制限回路7と、スイッチング素子S1およびスイッチング素子S2とについて順に説明を行う。
【0072】
(キャパシタ)
キャパシタ3は、負荷回路100に含まれる1以上のモータの少なくともいずれかを駆動させる場合において、駆動させるべきモータの動作開始時に、駆動させるべきモータに電力を供給するためのキャパシタである。
【0073】
キャパシタ3としては、具体的には、例えば、電気二重層キャパシタ、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、タンタルコンデンサ、ナノゲートキャパシタ(「ナノゲート」は、ナノゲート・アクチエンゲゼルシャフトの登録商標)、リチウムイオンキャパシタ、ポリアセン系有機半導体(Polyacenic Semiconductor(PAS))キャパシタなどが挙げられる。
【0074】
内部抵抗の低さおよび静電容量の大きさの観点から、キャパシタ3として、電気二重層キャパシタが選択されることが好ましい。キャパシタ3の内部抵抗が非常に小さいものとされることにより、急速な充電または急速な放電が可能となるからである。また、キャパシタ3の容量を十分大きいものとすることにより、1つのキャパシタで複数のモータを駆動させることが可能となるからである。
【0075】
図2に示すように、キャパシタ3は、電源部10に配置された電池2と並列に接続される。電池2の高電位側と、キャパシタ3の高電位側とは、後述する電圧制御装置5および後述する電流制限回路7を介して接続される。すなわち、電圧制御装置5および電流制限回路7を介して、電池2からキャパシタ3への充電が行われる。
【0076】
電池2の高電位側と、キャパシタ3の高電位側とが、電圧制御装置5および電流制限回路7を介して接続されるため、電池2の種類は特に限定されず、電池2として、例えばリチウムイオン電池などの二次電池または一次電池を使用することができる。
【0077】
(電圧制御装置)
電圧制御装置5は、キャパシタ3に対する充電電圧を一定の電圧に制御するための制御装置である。図2に示すように、電圧制御装置5は、例えば、電池2と、後述する電流制限回路7との間に直列に接続される。電圧制御装置5を接続する場所としては、電池2と、キャパシタ3との間であれば、他の場所でももちろんかまわない。
【0078】
電圧制御装置5としては、具体的には、DC−DCコンバータを使用することができる。DC−DCコンバータとしては、昇圧型、昇降圧型または降圧型のいずれのDC−DCコンバータも使用することができる。
【0079】
キャパシタ3に対する充電電圧を電池の端子電圧よりも高い電圧とする観点からは、電圧制御装置5として、昇圧型または昇降圧型のDC−DCコンバータが選択されることが好ましい。例えば、昇圧型のDC−DCコンバータを介して電池2からキャパシタ3への充電を行うことにより、キャパシタ3に対する充電電圧を電池2の端子電圧よりも高い電圧とすることができる。また、例えば、昇降圧型のDC−DCコンバータを介して電池2からキャパシタ3への充電を行うことにより、電池2の端子電圧が何らかの原因で低下した場合であっても、キャパシタ3への充電を一定の電圧で安定して行うことができる。
【0080】
電圧制御装置5を介してキャパシタ3への充電を行うことにより、充電後のキャパシタ3の出力電圧が、充電時における電池2の端子電圧に依存することがない。したがって、駆動させるべきモータの動作開始時において、駆動させるべきモータの動作が安定する。また、キャパシタ3への充電を、充電時における電池2の端子電圧よりも高い電圧で安定して行うこともできるため、駆動させるべきモータの動作開始時に、駆動させるべきモータの動作が高速かつ安定したものとなる。
【0081】
モータに印加される電圧を電池の端子電圧より高い電圧とすることにより、電池の出力電圧を直接印加した場合と比較して、モータの回転数を上げることができ、したがって、駆動するモータのトルクを向上させることができる。すなわち、オートフォーカスや絞り調整、連写、手ブレ補正などをより高速に実行させることが可能となる。
【0082】
(電流制限回路)
電流制限回路7は、キャパシタ3に供給される電流量を制御するための回路である。図2に示すように、電流制限回路7は、例えば、電圧制御装置5と、後述するスイッチング素子S1との間に直列に接続される。電流制限回路7を接続する場所としては、電池2と、キャパシタ3との間であれば、他の場所でももちろんかまわない。
【0083】
電流制限回路7としては、特に限定されるものではなく、各種の構成を適用することができる。例えば、電流制限回路7として、電流を制限するための抵抗を直列に接続したものや、トランジスタおよび抵抗を組み合わせた定電流回路、トランジスタ、抵抗およびオペアンプを組み合わせた定電流回路などを使用することができる。
【0084】
図3Aは、定電流回路の一例を示す回路図である。
【0085】
図3Aに示す回路において、トランジスタ71のベースが接地されている場合、図3A中のD点の電位は、図3A中のE点の電位よりも、トランジスタ71のベース−エミッタ間電圧VBEだけ高い。したがって、図3A中のB点から取り出される電流の大きさは、図3A中のA点における電圧値からVBEを引いた電圧値(図3A中のC点における電圧値)を、抵抗R1の抵抗値で割った大きさとなり、抵抗R1の抵抗値を調整することにより、図3A中のB点から所望の大きさの電流を取り出すことができる。
【0086】
本開示では、電流制限回路7を介してキャパシタ3への充電が行われる。これは、キャパシタ3に蓄えられた電荷が少ないときに電流制限回路7を介さずにキャパシタ3への充電を行うと、電池2からキャパシタ3に突入電流が流れてしまい、電池から流れ出す電流の瞬間的な増大を回避するという所期の目的が達成されなくなるからである。
【0087】
例えば、キャパシタ3として電気二重層キャパシタを使用した場合、電気二重層キャパシタの内部抵抗が非常に小さいため、電気二重層キャパシタに蓄えられた電荷を各デバイスに供給する際の応答速度は非常に速い。ところが、内部抵抗が非常に小さいと、充電時の電流量が制限されない場合、充電初期に突入電流が流れてしまい、電池から流れ出す電流量がかえって増加してしまう。
【0088】
本開示の構成によれば、電流制限回路7を介してキャパシタ3への充電が行われるため、充電初期における突入電流の発生を防止することができる。
【0089】
(スイッチング素子)
図2に示すように、電源制御装置1は、スイッチング素子S1およびスイッチング素子S2を備えている。以下、スイッチング素子S1およびスイッチング素子S2について、順に説明する。
【0090】
スイッチング素子S1は、キャパシタ3に対する充電の開始および停止を制御するためのスイッチである。
【0091】
スイッチング素子S1は、具体的には、例えば、トランジスタであるが、これに限定されるものではない。トランジスタとしては、例えば、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、静電誘導トランジスタなどが挙げられる。
【0092】
図2に示すように、スイッチング素子S1は、例えば、電流制限回路7と、キャパシタ3との間に直列に接続される。スイッチング素子S1を接続する場所としては、キャパシタ3に対する充電の開始および停止を制御することができれば、他の場所でももちろんかまわない。
【0093】
例えば、電流制限回路7として図3Aに示した回路を適用する場合、スイッチング素子S1として、例えば、図3A中のF点などに、トランジスタ71のベースの接地または非接地を切り替えるスイッチング素子S3を配置してもよい。
【0094】
なお、キャパシタ3に対する充電の開始および停止は、制御部23の制御により行われる。すなわち、スイッチング素子S1やスイッチング素子S3のスイッチングは、制御部23の制御により行われる。
【0095】
スイッチング素子S2は、負荷回路100に含まれるモータに対する、キャパシタ3からの電流の供給の開始および停止を制御するためのスイッチである。
【0096】
図2に示すように、スイッチング素子S2は、例えば、キャパシタ3の高電位側の端子と、負荷回路100との間に直列に接続される。
【0097】
スイッチング素子S2は、具体的には、例えば、トランジスタであるが、これに限定されるものではない。トランジスタとしては、例えば、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、静電誘導トランジスタなどが挙げられる。なお、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2とが同種のスイッチング素子とされなくてももちろんかまわない。
【0098】
スイッチング素子S2として、例えば、pチャンネルの電界効果トランジスタが配置される場合、pチャンネルの電界効果トランジスタの寄生ダイオードの順方向が、電池2からキャパシタ3の高電位側の端子に向かう方向と一致する。そのため、スイッチング素子S2として、例えば、pチャンネルの電界効果トランジスタが配置される場合、キャパシタ3に蓄えられている電荷が少ないと、電池2からの電流がキャパシタ3に直接流れ込んでしまうおそれがある。例えば、負荷回路100に含まれるモータに対して電池2から電力を供給しようとして、電池2と、モータとの間を接続すると、キャパシタ3に蓄えられている電荷が少ない場合に、電池2からの電流がキャパシタ3に直接流れ込んでしまう。
【0099】
したがって、スイッチング素子S2として、例えば、pチャンネルの電界効果トランジスタが配置される場合には、キャパシタ3の高電位側の端子と、負荷回路100に含まれるモータとの間に、整流素子D2が直列に接続されることが好ましい。整流素子D2としては、例えば、PN接合ダイオードや、電圧降下の比較的小さいショットキー障壁ダイオードを使用することができる。このときのダイオードの順方向は、キャパシタ3の高電位側の端子から、負荷回路100に含まれるモータに向かう方向とされる。
【0100】
または、キャパシタ3の高電位側の端子と、負荷回路100に含まれるモータとの間にpチャンネルの電界効果トランジスタが配置される場合には、スイッチング素子S2が、双方向スイッチとされることが好ましい。図3Bに示す双方向スイッチSdは、キャパシタ3の高電位側の端子と、負荷回路100に含まれるモータとの間に接続されるpチャンネルの電界効果トランジスタに、nチャンネルの電界効果トランジスタが直列に接続されたスイッチング素子である。このとき、nチャンネルの電界効果トランジスタSnおよびpチャンネルの電界効果トランジスタSpのドレイン同士またはソース同士が接続される。本開示では、ドレイン同士またはソース同士が接続されるようにして、直列に接続されたpチャンネルおよびnチャンネルの電界効果トランジスタの組を「双方向スイッチ」と呼ぶこととする。
【0101】
なお、負荷回路100に含まれるモータに対する、キャパシタ3からの電流の供給の開始および停止は、制御部23の制御により行われる。すなわち、スイッチング素子S2のスイッチングは、スイッチング素子S1のスイッチングと同様に、制御部23の制御により行われる。
【0102】
図2では、整流素子D1を介して、電池2と、負荷回路100に含まれるモータとの間がさらに接続される構成例が示されている。整流素子D1としては、整流素子D2と同様に、例えば、PN接合ダイオードや、電圧降下の比較的小さいショットキー障壁ダイオードを使用することができる。このときのダイオードの順方向は、電池2から、負荷回路100に含まれるモータに向かう方向とされる。
【0103】
整流素子D1を介して、電池2と、負荷回路100に含まれるモータとの間を接続することにより、キャパシタ3に蓄えられた電荷が少なくなり、キャパシタ3の出力電圧が低下した場合でも、負荷回路100中のモータに電池2から電力を供給させることが可能となる。
【0104】
例えば、ユーザが数分間連続して連写を行い、シャッタ駆動用モータM4を駆動させ続けたり、ユーザがズームインまたはズームアウトを数分間繰り返し、レンズ駆動用モータM1を駆動させ続けたりすると、キャパシタ3に蓄えられた電荷が急激に減少してしまう。キャパシタ3への充電と、キャパシタ3からの放電との間のバランスが崩れてしまうと、負荷回路100に含まれるモータをキャパシタ3により駆動できなくなるおそれがある。
【0105】
キャパシタ3の高電位側の端子と、モータとの間に整流素子D2が配置され、電池2と、モータとの間に整流素子D1が配置されると、負荷回路100中のモータに対して、電池2またはキャパシタ3のうち、出力電圧の高い側から電力が供給されることとなる。したがって、ユーザが撮像装置21の特殊な使い方をしてキャパシタ3の出力電圧が低下した場合であっても、負荷回路100に含まれるモータに対して電池2から電力を供給することができ、モータが駆動できなくなる現象を回避することができる。
【0106】
さらに、負荷回路100中のモータに対しては、電池2またはキャパシタ3のうち、出力電圧の高い側から自動的に電力が供給されるので、キャパシタ3の出力電圧の監視も不要である。したがって、電源供給装置1の回路規模を小とできる。
【0107】
なお、上述のケースでは、電池2からモータに電力が供給されることとなるため、電池2から流れ出す電流が大きくなるが、このような特殊なケースは極めて稀であり、撮像装置21の停止電圧を一時的に引き上げるなどすればよい。
【0108】
[電源供給装置の他の構成例]
図4は、一実施の形態にかかる電源供給装置の他の構成例を示すブロック図である。
【0109】
図4に示す電源供給装置11では、キャパシタ3の低電位側の端子が、低電圧降下(Low Drop Out(LDO))レギュレータ9の出力端子と接続されている。すなわち、キャパシタ3の基準電位が、低電圧降下レギュレータ9の出力の電位と等しい電位とされている。
【0110】
キャパシタ3の基準電位がグラウンド電位とされることにかえ、キャパシタ3の基準電位が電流制限回路7の出力側の電位から一定電圧だけ低い電位とされることが好ましい。その理由は2つあり、以下に順に説明する。
【0111】
第1の理由は、放電終了時におけるキャパシタの出力電圧が、キャパシタの基準電位に依存することである。
【0112】
図5Aは、キャパシタの放電曲線の一例を示す図である。図5Aにおいて、縦軸は、キャパシタの端子電圧Vt[V]を表し、横軸は、キャパシタから電流を取り出した時間Td[s]を表している。図5Aにおける曲線C2は、充電電圧を8[V]とし、キャパシタの基準電位をグラウンド電位としたときの放電曲線を示している。図5Aにおける曲線C3は、充電電圧を8[V]とし、キャパシタの基準電位をある一定の電位Vg(Vg>0[V])としたときの放電曲線を示している。曲線C3は、キャパシタの低電位側の端子を低電圧降下レギュレータの出力端子と接続した場合の放電曲線に相当する。
【0113】
図5Aに示すように、キャパシタは、放電による、蓄えられている電荷量の減少に伴い、端子電圧が低下する。キャパシタの基準電位をグラウンド電位とすると、キャパシタが完全に放電したときの端子電圧は0[V]である。一方、キャパシタの基準電位をVgとすると、キャパシタが完全に放電したときの端子電圧はVg[V]となる。すなわち、キャパシタの低電位側の端子を低電圧降下レギュレータの出力端子と接続することにより、キャパシタに蓄えられている電荷量が減少した場合でも、端子電圧として、より高い電位を維持することができる。
【0114】
ここで、モータの駆動可能な最低電圧がVd(Vd<8[V])であるとすると、キャパシタによりモータを駆動できる端子電圧の範囲は、Vd[V]〜8[V]の範囲となる。
【0115】
曲線C2と、曲線C3とを比較すると、キャパシタの基準電位をグラウンド電位とした場合には、キャパシタに蓄えられている電荷の減少量が小さくても、端子電圧がVdにまで低下してしまい、キャパシタによりモータを駆動できなくなってしまうことがわかる。一方、キャパシタの基準電位をVgとすると、キャパシタに蓄えられている電荷量が減少しても、より長い時間、キャパシタによりモータを駆動できることがわかる。
【0116】
第2の理由は、キャパシタの両端の端子に印加される電圧がキャパシタの耐圧を上回らないようにする必要があることである。
【0117】
特に、キャパシタとして電気二重層キャパシタを使用する場合、電気二重層キャパシタの両端の端子に印加される電圧が、電解液の電気分解が始まる電圧を超えないようにしなければならない。
【0118】
リチウムイオン電池の公称電圧は、4.0[V]の程度である。いま、キャパシタの耐圧が5[V]であったとすると、1セルのリチウムイオン電池により、キャパシタを充電することに問題はない。ところが、リチウムイオン電池を直列に接続して、2セルのリチウムイオン電池により、キャパシタを充電しようとすると、キャパシタの両端の端子に印加される電圧が8.0[V]となり、キャパシタの耐圧である5[V]を上回ってしまう。
【0119】
キャパシタの両端の端子に印加される電圧がキャパシタの耐圧を上回らないようにするためには、例えば、複数個のキャパシタを直列に接続しなければならない。
【0120】
しかしながら、複数個のキャパシタを直列に接続する場合、個々のキャパシタにばらつきがあると、一部のキャパシタの両端の端子に印加される電圧が、そのキャパシタの耐圧を超えるおそれがある。また、複数個のキャパシタを直列に接続しようとすると、部品点数が増加するとともに、複数個のキャパシタの占める容積も大きくなってしまう。すなわち、モバイル電子機器の小型化も困難となってしまううえ、製造コストも増加してしまう。
【0121】
そこで、キャパシタの低電位側の端子を低電圧降下レギュレータの出力端子と接続することにより、キャパシタの基準電位を、例えば、Vg=4[v]としたとする。すると、キャパシタの両端の端子に印加される電圧の範囲が、8[V]−4[V]=4[V]の範囲に抑えられ、キャパシタの両端の端子に印加される電圧の範囲が、キャパシタの耐圧である5[V]を上回ることがない。
【0122】
したがって、キャパシタ3の低電位側の端子を低電圧降下レギュレータ9の出力端子と接続することにより、キャパシタ3に蓄えられている電荷量の減少に伴う、キャパシタ3の出力電圧の低下を抑制することできる。キャパシタ3に蓄えられている電荷量の減少に伴う、キャパシタ3の出力電圧の低下が抑制されることにより、キャパシタ3に蓄えられた電荷を有効に使用することができる。
【0123】
また、キャパシタ3の低電位側の端子を低電圧降下レギュレータ9の出力端子と接続することにより、キャパシタ3の負電極と正電極にかかる電位差を小さくすることができる。キャパシタ3の負電極と正電極にかかる電位差が小さくされることにより、比較的耐圧の小さいキャパシタであっても、高い出力電圧を有する2セルのリチウムイオン電池などによりキャパシタ3を充電することが可能となる。
【0124】
キャパシタ3の負電極と正電極にかかる電位差が小さくされることにより、キャパシタ3として電気二重層キャパシタを適用することも容易となり、キャパシタ3のサイズを小型としながら、電源供給装置を小型のものとすることができる。
【0125】
[制御の一例]
次に、図5B〜図6を参照しながら、本開示の電源供給装置を備える撮像装置における制御の一例について説明を行う。
【0126】
図5Bは、制御部による電源供給装置の制御の一例を説明するためのブロック図である。
【0127】
上述したように、電源供給装置1は、例えば、電源部10に配置された電池2と、1以上のモータを含む負荷回路100との間に接続される。また、電源供給装置1の電圧制御装置5、スイッチング素子S1およびスイッチング素子S2、ならびに負荷回路100に含まれる個々のモータは、制御部23により制御される。
【0128】
制御部23から電圧制御装置5に対して制御信号が送出されることにより、電圧制御装置5の起動または停止が制御される。制御部23からスイッチング素子S1に対してスイッチ制御信号が送出されることにより、キャパシタ3への充電の開始または停止が制御される。制御部23からスイッチング素子S2に対してスイッチ制御信号が送出されることにより、負荷回路100に含まれるモータに対する、キャパシタ3からの電流の供給の開始および停止が制御される。また、制御部23から負荷回路100に含まれるモータに対してモータ制御信号が送出されることにより、負荷回路100に含まれる個々のモータの駆動開始または停止が制御される。
【0129】
図6は、制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
【0130】
まず、ステップSt1において、撮像装置21のユーザにより電源ボタンPwが入れられることで、例えば電源部10に配置された電池2から、制御部23のICに電力が供給され、制御部23のICが起動する。制御部23のICが起動すると、制御部23のICが電圧制御装置5に対して制御信号を送出することにより、電圧制御装置5が起動する。
【0131】
なお、この段階では、スイッチング素子S1がオフとされており、キャパシタ3に対する充電は行われない。
【0132】
次に、ステップSt2において、制御部23は、撮像装置21のモードを「撮影準備モード」に移行させる。ここで、「撮影準備モード」とは、シャッタボタンShが押下されることにより、すぐに静止画や動画が撮影できる状態をいうものとする。
【0133】
制御部23は、例えば、ユーザにより電源ボタンPwが入れられた後、一定時間の経過後に、撮影準備モードへの移行を実行する。または、例えば、ユーザにより電源ボタンPwが入れられた後、ユーザの操作に応じて制御部23が撮像装置21を撮影準備モードに移行させるようにしてもよい。
【0134】
次に、ステップSt3において、制御部23は、スイッチング素子S1に対してスイッチ制御信号を送出し、スイッチング素子S1をオンとする。
【0135】
スイッチング素子S1がオンとされることにより、キャパシタ3と並列に接続された電池2により、キャパシタ3の充電が行われる。キャパシタ3に対する充電は、キャパシタ3の非放電時に、電圧制御装置5および電流制限回路7を介して行われる。
【0136】
なお、キャパシタ3として電気二重層キャパシタが使用される場合、キャパシタ3に対する電圧の印加時間が短く設定されていることが好ましい。電気二重層キャパシタは、一定電圧が印加された状態が続くと、内部の電解液が蒸発し、性能が劣化するからである。
【0137】
そのため、制御部23が、例えば、撮像装置21が撮影準備モードであるときはスイッチング素子S1をオンとし、ユーザが画像データを撮像装置21上で再生させるための入力信号を受けとったときにはスイッチング素子S1をオフとするようにしてもよい。
【0138】
次に、ステップSt4において、ユーザにより、例えばズームボタンZmが押下されたとする。制御部23は、ユーザによるズームインまたはズームアウトの指示を入力信号として受けとる。
【0139】
次に、ステップSt5において、制御部23は、レンズ31を駆動させるためのモータM1に対して、モータ制御信号を送出する。
【0140】
次に、ステップSt6において、制御部23は、スイッチング素子S1に対してスイッチ制御信号を送出し、スイッチング素子S1をオフとする。また、制御部23は、スイッチング素子S2に対してスイッチ制御信号を送出し、スイッチング素子S2をオンとする。
【0141】
これにより、キャパシタ3の充電が終了されるとともに、負荷回路100に含まれるモータに対する、キャパシタ3からの電流の供給が開始される。
【0142】
このように、負荷回路100に含まれる個々のモータの駆動を開始させるためのモータ制御信号の送出と、キャパシタ3への充電を停止させるためのスイッチ制御信号およびキャパシタ3からの放電を開始させるためのスイッチ制御信号の送出とは、連動されている。言い換えれば、負荷回路100に含まれる個々のモータの駆動開始と、キャパシタ3への充電の停止およびキャパシタ3からの放電の開始とが連動されている。
【0143】
負荷回路100に含まれる個々のモータの駆動開始と、キャパシタ3の充電の停止および放電の開始とが連動されることにより、モータへの電圧印加の初期において、負荷回路100に含まれるモータに対して、キャパシタ3から電流を供給させることができる。したがって、モータの駆動開始時において電池から大電流が流れることがなく、電池から流れ出す電流の最大値を低減することができる。
【0144】
なお、キャパシタ3からの放電を停止するタイミングは、電源供給装置の製造者または撮像装置の製造者が任意に設定可能である。キャパシタ3からの放電は、例えば、キャパシタ3からの放電の開始から、あらかじめ定められた時間の経過後に停止される。
【0145】
例えば、制御部23は、ステップSt7において、キャパシタ3からの放電の開始から、モータの駆動に大電流を必要とする時間Ttが経過したかどうかの判定を行う。なお、モータの駆動に大電流を必要とする時間Ttとは、図7に示す0[h]〜Th[h]に相当する時間である。
【0146】
キャパシタ3からの放電の開始から、モータの駆動に大電流を必要とする時間Ttが経過すると、処理がステップSt8へと進められ、制御部23は、スイッチング素子S2に対してスイッチ制御信号を送出し、スイッチング素子S2をオフとする。
【0147】
上述したように、モータの駆動に大電流を必要とする時間は、モータに印加された電圧、モータの配線抵抗およびモータの巻き線数に依存するが、一般的に数十[ms]程度と非常に短い。したがって、電源供給装置の製造者または撮像装置の製造者は、キャパシタ3からの放電を停止するタイミングを、モータの駆動開始から、モータの駆動に大電流を必要とする数十[ms]程度の時間が経過した時とすることができる。
【0148】
負荷回路100に含まれるモータに対してキャパシタ3から電力を供給する時間を、モータの駆動に大電流を必要とする数十[ms]程度の時間とすることにより、キャパシタ3からの電力の供給を必要最低限に抑えることができる。キャパシタ3からの電力の供給が必要最低限に抑えられることにより、キャパシタ3として、電気容量が数百[mF]程度と比較的小さいキャパシタを使用することも可能となる。
【0149】
撮像装置21は、例えば、絞り32を駆動させるためのモータM2と、ミラー33を駆動させるためのモータM3と、シャッタ34を駆動させるためのモータM4などをも含んでいる。個々のモータの特性は、電源供給装置の製造者または撮像装置の製造者があらかじめ把握することが可能である。
【0150】
したがって、電源供給装置の製造者または撮像装置の製造者は、個々のモータM1、M2、M3、・・・に対する放電の停止までの時間を、それぞれt1、t2、t3、・・・などと個別に設定することが可能である。すなわち、キャパシタ3からの放電を停止するタイミングは、負荷回路100に含まれる1以上のモータのうち、いずれのモータを駆動させるかに応じて設定可能である。なお、撮像装置21の各部は制御部23により制御されるので、いずれのモータを駆動させるかは、制御部23に対するユーザからの入力信号などにより、制御部23が判断することが可能である。
【0151】
個々のモータに対する放電の停止までの時間t1、t2、t3、・・・は、キャパシタ3の電気容量や経時変化などを考慮して設定される。
【0152】
ここで、個々のモータに対する放電の開始から停止までの管理を時間により行うことが可能となるのは、キャパシタ3に対する充電が電圧制御装置5を介して行われ、負荷回路100に含まれるモータを駆動させるための電圧が一定であることによる。
【0153】
モータの駆動に伴う電流量の変化は、モータに印加される電圧に依存する。そのため、モータを駆動させるためにキャパシタ3から供給される電圧が一定であれば、モータを駆動させる際のおおよそのピーク電流量や、モータの駆動に大電流が必要とされるおおよその時間をあらかじめ把握することが可能となる。
【0154】
個々のモータに対する放電の開始から停止までが時間で管理されることにより、個々のモータに対する電流量を測定する必要がなくなり、したがって、複数個のモータの数だけ電流測定回路を配置する必要もなく、回路の小型化が容易となる。
【0155】
負荷回路100に含まれるモータに対する、キャパシタ3からの電流の供給が停止されてから、該モータの駆動が停止されるまでの時間においては、キャパシタ3に対する充電が行われるようにしてもよいし、行われないようにしてもよい。
【0156】
例えば、キャパシタ3からの放電を停止するタイミングで、スイッチング素子S1がオンとされるように設定し、キャパシタ3への充電が開始されるようにしてもよい。この場合におけるキャパシタ3への充電の停止のタイミングは、例えば、モータの駆動が停止される時とすることができる。
【0157】
キャパシタ3からの放電の停止と、キャパシタ3への充電の開始とを連動させることにより、次の放電までにキャパシタ3に電荷を蓄えさせることができる。次の放電までにキャパシタ3に電荷を蓄えさせることにより、モータに対するキャパシタ3からの電力の供給を確実に行わせることができ、例えば、連写の際など、短い時間間隔でモータの駆動と停止を繰り返す場合に有利となる。
【0158】
一方、キャパシタ3からの電流の供給が停止されてから、該モータの駆動が停止されるまでの期間においてもキャパシタ3に対する充電が行われないようにしておくと、モータおよびキャパシタ3の両方に対して、電池2から同時に電流の供給がされずにすむ。
【0159】
上述した一連の処理の後、例えば、ユーザがシャッタボタンShを押下したとする。すると、制御部23は、レンズ駆動機構および絞り駆動機構などに対して制御信号を送出し、モータM1やモータM2などを駆動させることにより、フォーカスや絞りなどの調整を行う。制御部23が、負荷回路に含まれるモータM1やモータM2などを駆動させる際の制御は、上述した一連の処理と同様にして実行される。
【0160】
制御部23によるフォーカスや絞りなどの調整後、ミラー33の退避、シャッタ34の巻き取りおよび撮像素子による撮像が行われ、一連の撮影動作が完了する。なお、制御部23がミラー駆動機構のモータM3やシャッタ駆動機構のモータM4などを駆動させる際の制御は、上述した一連の処理と同様であることはいうまでもない。また、図2や図4などでは、キャパシタ3と複数個のモータとの間に配置されるスイッチング素子が1つの例を示したが、複数個のモータのそれぞれに対応させて、複数個のスイッチング素子を配置しておいてもよい。
【0161】
一連の撮影動作の完了後は、例えば、処理がステップSt2に戻され、撮像装置21は再び撮影準備モードとされる。
【0162】
以上に説明したように、本開示によれば、負荷回路に含まれるモータの駆動の初期に必要とされる電力が、電源供給装置のキャパシタから供給される。したがって、モータへの電圧印加の初期において、電池からは大きな電流が初期電流として流れ出すことがなく、電池の端子電圧の瞬間的な低下を防止することができる。本開示によれば、モータへの電圧印加の初期における、電池の端子電圧の瞬間的な低下が防止されるので、撮像装置の停止電圧を低く設定でき、電池の容量の無駄を削減できる。すなわち、撮像装置の駆動時間が向上することとなり、撮像装置における撮影可能な写真の枚数が増大する。
【0163】
また、本開示によれば、電圧制御装置を介してキャパシタへの充電が行われる。そのため、キャパシタの出力電圧は充電時における電池の端子電圧に依存せず、キャパシタの出力電圧の変動が防止される。したがって、負荷回路に含まれるモータに対してキャパシタから一定の電圧を供給でき、撮像装置のフォーカス速度や絞りの調整速度、連写速度の変動を防止することができる。
【0164】
さらに、本開示によれば、電流制限回路を介してキャパシタへの充電が行われる。そのため、キャパシタへの充電開始時に、キャパシタに突入電流が流れ込むことがなく、電池の端子電圧の急激な低下が回避される。キャパシタへの充電開始時においても電池の端子電圧の急激な低下がないので、撮像装置の停止電圧を低く設定することができる。
【0165】
キャパシタの低電位側の端子を低電圧降下レギュレータの出力端子と接続した場合には、キャパシタに蓄えられている電荷量の減少に伴う、キャパシタの出力電圧の低下を抑制することできる。したがって、キャパシタに蓄えられた電荷を有効に使用することができる。
【0166】
<2.変形例>
以上、好適な実施形態について説明してきたが、好適な具体例は、上述した例に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
【0167】
本開示の技術を適用することにより、モバイル電子機器に設けられたアクチュエータの駆動速度を一定に保つことが可能な電源供給装置を提供することができる。例えば、本開示の技術は、負荷回路に少なくとも1のモータを含む電子機器全般について、適用することが可能である。負荷回路に少なくとも1のモータを含む電子機器としては、例えば、冷却用のファンやディスクドライブなどを備えるコンピュータやサーバ装置、オーディオ機器、電動自転車、携帯型の掃除機、電動工具などが挙げられる。
【0168】
上述した実施形態では、撮像装置がデジタル一眼レフカメラとされた構成例について説明したが、撮像装置の例は、もちろんデジタル一眼レフカメラに限られない。例えば、撮像装置として、携帯電話やスマートフォン、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、タブレット型パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(personal digital assistance(PDA))などに搭載されたカメラに対しても、本開示の技術を適用することがもちろん可能である。
【0169】
また、上述した実施形態では、キャパシタから供給された電力が、負荷回路に含まれる1以上のモータに対してのみ供給される構成例を示したが、キャパシタから供給された電力が、制御部など、電子機器の各部に供給されてもかまわない。
【0170】
なお、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。上述の実施形態の構成、方法、形状、材料および数値などは、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0171】
例えば、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
電池と並列に接続されるキャパシタと、
前記キャパシタに対する充電電圧を制御する電圧制御装置と、
前記キャパシタに供給される電流量を制御する電流制限回路と、
前記キャパシタに対する充電電流の供給を制御する第1のスイッチング素子と、
少なくとも1のモータに対する前記キャパシタからの電流の供給を制御する第2のスイッチング素子と
を備える電源供給装置。
(2)
前記キャパシタが、電気二重層キャパシタである(1)に記載の電源供給装置。
(3)
前記電圧制御装置が、昇圧型DC−DCコンバータまたは昇降圧型DC−DCコンバータである(1)または(2)に記載の電源供給装置。
(4)
低電圧降下レギュレータをさらに備え、
前記キャパシタの基準電位が、前記低電圧降下レギュレータの出力の電位と等しい電位とされる(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の電源供給装置。
(5)
前記電池からの電流を整流する第1の整流素子と、
前記少なくとも1のモータに対する前記キャパシタからの電流を整流する第2の整流素子と
をさらに備え、
前記電池と、前記少なくとも1のモータとが、前記第1の整流素子を介してさらに接続される(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の電源供給装置。
(6)
前記電池からの電流を整流する第1の整流素子をさらに備え、
前記第2のスイッチング素子が、双方向スイッチとされ、
前記電池と、前記少なくとも1のモータとが、前記第1の整流素子を介してさらに接続される(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の電源供給装置。
(7)
キャパシタの非放電時に、第1のスイッチング素子をオンとして、電圧制御装置および電流制限回路を介して、並列に接続された電池によりキャパシタを充電させ、
少なくとも1のモータを含む負荷回路における、いずれかのモータの動作開始時に、第2のスイッチング素子をオンとして、前記キャパシタから、動作が開始されたモータに対して電力を供給させる電源供給方法。
(8)
前記第2のスイッチング素子がオンされてからオフされるまでの時間が、前記少なくとも1のモータのうちのいずれのモータが動作されるかに応じて定められる(7)に記載の電源供給方法。
(9)
少なくとも、レンズ、絞り、ミラーおよびシャッタのうちのいずれかを駆動させるための1以上のモータと、
電池と並列に接続されるキャパシタと、
前記キャパシタに対する充電電圧を制御する電圧制御装置と、
前記キャパシタに供給される電流量を制御する電流制限回路と、
前記キャパシタに対する充電電流の供給を制御する第1のスイッチング素子と、
前記1以上のモータに対する、前記キャパシタからの電流の供給を制御する第2のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンまたはオフを制御する制御部と
を備える撮像装置。
【符号の説明】
【0172】
1,11・・・電源供給装置
3・・・キャパシタ
5・・・電圧制御装置
7・・・電流制限回路
9・・・低電圧降下レギュレータ
10・・・電源部
21・・・撮像装置
23・・・制御部
D1,D2・・・整流素子
M1,M2,M3,M4・・・モータ
S1,S2・・・スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と並列に接続されるキャパシタと、
前記キャパシタに対する充電電圧を制御する電圧制御装置と、
前記キャパシタに供給される電流量を制御する電流制限回路と、
前記キャパシタに対する充電電流の供給を制御する第1のスイッチング素子と、
少なくとも1のモータに対する前記キャパシタからの電流の供給を制御する第2のスイッチング素子と
を備える電源供給装置。
【請求項2】
前記キャパシタが、電気二重層キャパシタである請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記電圧制御装置が、昇圧型DC−DCコンバータまたは昇降圧型DC−DCコンバータである請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項4】
低電圧降下レギュレータをさらに備え、
前記キャパシタの基準電位が、前記低電圧降下レギュレータの出力の電位と等しい電位とされる請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項5】
前記電池からの電流を整流する第1の整流素子と、
前記少なくとも1のモータに対する前記キャパシタからの電流を整流する第2の整流素子と
をさらに備え、
前記電池と、前記少なくとも1のモータとが、前記第1の整流素子を介してさらに接続される請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項6】
前記電池からの電流を整流する第1の整流素子をさらに備え、
前記第2のスイッチング素子が、双方向スイッチとされ、
前記電池と、前記少なくとも1のモータとが、前記第1の整流素子を介してさらに接続される請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項7】
キャパシタの非放電時に、第1のスイッチング素子をオンとして、電圧制御装置および電流制限回路を介して、並列に接続された電池によりキャパシタを充電させ、
少なくとも1のモータを含む負荷回路における、いずれかのモータの動作開始時に、第2のスイッチング素子をオンとして、前記キャパシタから、動作が開始されたモータに対して電力を供給させる電源供給方法。
【請求項8】
前記第2のスイッチング素子がオンされてからオフされるまでの時間が、前記少なくとも1のモータのうちのいずれのモータが動作されるかに応じて定められる請求項7に記載の電源供給方法。
【請求項9】
少なくとも、レンズ、絞り、ミラーおよびシャッタのうちのいずれかを駆動させるための1以上のモータと、
電池と並列に接続されるキャパシタと、
前記キャパシタに対する充電電圧を制御する電圧制御装置と、
前記キャパシタに供給される電流量を制御する電流制限回路と、
前記キャパシタに対する充電電流の供給を制御する第1のスイッチング素子と、
前記1以上のモータに対する、前記キャパシタからの電流の供給を制御する第2のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンまたはオフを制御する制御部と
を備える撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−81329(P2013−81329A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220817(P2011−220817)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】