説明

電源回路

【課題】電源回路に関し、無駄に消費されているエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーを有効利用することができる電源回路を提供することを目的とする。
【解決手段】電源1と負荷回路2との間にエネルギー蓄積回路4を挿入し、前記エネルギー蓄積回路は電位差を発生させる電位差発生手段と、前記電位差発生手段で発生した電位差をエネルギーとして蓄積するエネルギー蓄積手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路に関し、特に回路で無駄に消費されるエネルギーの蓄積と再利用が可能な回路を含む電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源回路においては省部品点数化や低ノイズ化の観点からシリーズ電源回路やシャント電源回路が使用される例が多く見られる。
【0003】
しかしながら、これらの電源回路を使用すると入力側の電圧と出力側の電圧の差分電圧と電源回路の消費電流により、多くの電力を消費し、無駄な熱エネルギーが発生する。
【0004】
無駄な熱エネルギーを削減する手法としては、例えばマイクロコンピュータが動作していないときには通常の電源電圧よりも低い電圧をマイクロコンピュータに印可するように制御し、消費電力を削減することにより熱の発生を抑制する方法などが提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−175484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、従来の電源回路では回路動作中に無駄な電力が消費され、熱エネルギーに変換されており、エネルギーが無駄に消費されているという問題点があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、無駄に消費されているエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーを有効利用することができる電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明は、電源と負荷回路との間にエネルギー蓄積回路を挿入し、前記エネルギー蓄積回路は電位差を発生させる電位差発生手段と、前記電位差発生手段で発生した電位差をエネルギーとして蓄積するエネルギー蓄積手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、第2の発明は、第1の発明に係る電源回路において、エネルギー蓄積手段は複数の素子と、前記複数の素子の接続を切り換える切り換え手段から構成されることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、第1または第2の発明において、エネルギーを蓄積する素子はコンデンサであることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、第1または第2の発明において、エネルギーを蓄積する素子はコンデンサと抵抗であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電源回路で無駄に消費されているエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーを有効利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0013】
〈第1の実施例〉
図1は本発明の第1実施例の電源回路の構成を示す図である。
【0014】
図1の電源回路は、12ボルト電源1、出力電圧が5ボルトの三端子レギュレータIC2、制御回路3及びエネルギー蓄積回路4から構成されている。尚、三端子レギュレータICとは入力電圧が所定値以上である場合に一定の電圧(この例では5ボルト)を出力する機能を有するレギュレータICである。
【0015】
エネルギー蓄積回路4は抵抗R1、コンデンサC1、C2、C3、スイッチS1、S2、S3、S4から構成されている。また、α及びβは接地点に対する抵抗R1の両端の電位である。制御回路3はαおよびβの値を計測し演算する機能と、計測結果および演算結果に基づいてスイッチS1、S2、S3、S4を適切な状態に切り換える指令を出す機能とを有する。尚、スイッチS3は2つのスイッチを内蔵するが、これらは同時にOPENまたはSHORT状態に切り替わる。I1は回路に流れる電流である。
【0016】
図1の電源回路において、三端子レギュレータIC2は特許請求の範囲中の電源電圧よりも低い電圧で動作する負荷回路に、抵抗R1は電位差発生手段に、コンデンサC1、C2、C3、及びスイッチS1、S2、S3、S4から構成される回路はエネルギー蓄積手段に、コンデンサC1、C2、C3はエネルギー蓄積手段を構成する複数の素子に、スイッチS1、S2、S3、S4はエネルギー蓄積手段を構成する切り換え手段に相当する。
【0017】
尚、図1の電源回路においては、回路構成を簡略化し説明を容易にするため、電源安定化用のコンデンサや発振防止用のコンデンサは省略されている。
【0018】
次に図1の電源回路の動作に関して説明する。
【0019】
三端子レギュレータIC2が正常に動作するためにはIN端子とOUT端子の電位差が2ボルト以上必要であると仮定する。OUT端子に出力される電圧は5ボルトであるからIN端子に入力される電圧は7ボルト以上必要である。
【0020】
抵抗R1においてR1×I1の電圧降下が生じるが、
12ボルト−(R1×I1)≧7ボルト
を満たすように抵抗R1の値を設定すれば、三端子レギュレータIC2は正常に動作可能である。ここでI1の最大値を1Aと仮定すれば、抵抗R1は5オーム以下とすればよい。
【0021】
以下、抵抗R1=5オームと設定したときの例について説明を行う。
【0022】
図4はコンデンサC1、C2、C3の接続状態とスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態を示す図である。スイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせは図4中のK1及びK2の2種類しかなく、制御回路3の指令によりK1及びK2の何れかの状態に制御される。
【0023】
電源投入時のスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせはK1、K2の何れでもかまわないが、ここでは便宜上電源投入時の組み合わせはK1であるとする。
K1の組み合わせでは図4に示すようにスイッチS1、S2、S4はB側に接続され、スイッチS3はSHORTされている。これはコンデンサC1、C2、C3が抵抗R1と並列に接続された状態であり、図2に示す回路と実質的に同じである。
【0024】
図2は本発明の第1実施例の電源回路においてスイッチの組み合わせがK1の場合の各構成素子の接続状態を示す図である。同図中、図1と同一部品については同一符号を付し、その説明は省略する。4Aはエネルギー蓄積回路である。但し、スイッチS1、S2、S3、S4及び制御回路3は図示していない。
【0025】
図5は時間の経過によるコンデンサC1、C2、C3の両端の電位差の変化の様子を示す図である。ここで、12ボルト電源1が動作した瞬間(電源投入時)を考えると、コンデンサC1、C2、C3には充電されてない状態なのでコンデンサC1、C2、C3の両端の電位差は0ボルトである。すなわち、抵抗R1が短絡された状態である。時間の経過とともにコンデンサC1、C2、C3には充電電流が流れ、徐々に両端の電位差は大きくなる。十分に時間が経過した後は定常状態になりコンデンサC1、C2、C3の両端電圧は5ボルトになる。コンデンサC1、C2、C3にエネルギーが最大に蓄積された満充電状態である。
【0026】
以上のように、図2の電源回路において、定常状態ではコンデンサC1、C2、C3の両端の電位差は5ボルトとなり、抵抗R1で発生した電位差がコンデンサC1、C2、C3にエネルギーとして蓄積される。
【0027】
制御回路3はスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせがK1の場合にはαおよびβの値を計測し、計測値から演算によりα−βの値を求める。α−βの値はコンデンサC1、C2、C3の両端の電位差であるから、この値からコンデンサC1、C2、C3が満充電状態にあるか否かを判断することができる。本実施例ではα−β=5ボルトが満充電状態であるから、制御回路3内にあらかじめ適切な閾値TH1(例えばTH1=4.7ボルト)を設定しておけば、設定した閾値とα−βの値とを比較することにより満充電に近い状態にあるか否かを判断することができる。この場合にはα−β≧4.7ボルトであれば、コンデンサC1、C2、C3が満充電に近い状態にあると判断できる。
【0028】
制御回路3はコンデンサC1、C2、C3が満充電に近い状態にあると判断した場合にはスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせをK2に切り換えるよう指令を出す。K2の組み合わせでは図4に示すようにスイッチS1、S2、S4はA側に接続され、スイッチS3はOPENとなる。これはコンデンサC1、C2、C3の直列回路が12ボルト電源1に並列に接続された状態であり、図3に示す回路と実質的に同じである。
【0029】
図3は本発明の第1実施例の電源回路においてスイッチの組み合わせがK2の場合の各構成素子の接続状態を示す図である。同図中、図1と同一部品については同一符号を付し、その説明は省略する。4Bはエネルギー蓄積回路である。但し、スイッチS1、S2、S3、S4及び制御回路3は図示してない。I2は回路に流れる電流である。
【0030】
図3の電源回路において、コンデンサC1、C2、C3はそれぞれ満充電に近い状態と判断された4.7ボルト以上に充電されている。仮にそれぞれが4.7ボルトに充電されていたとするとコンデンサC1、C2、C3の直列接続では両端の電位差は4.7×3=14.1ボルトとなる。これは12ボルト電源1よりも高い電位であるから、回路電流I1は12ボルト電源1からではなく、コンデンサC1、C2、C3から供給される。また、コンデンサC1、C2、C3から12ボルト電源1側にも回路電流I2が供給され、12ボルト電源1を充電することができる。コンデンサC1、C2、C3に蓄積されたエネルギーが有効に利用されている状態である。
【0031】
しかしながら、回路電流I1及びI2を供給することによりコンデンサC1、C2、C3のエネルギーは消費され、コンデンサC1、C2、C3の直列接続の両端の電位差は初期値である14.1ボルトよりも徐々に下がってくる。やがて12ボルト電源1の電圧と等しい12ボルトまで下がると、もはやコンデンサC1、C2、C3から回路に電流を供給することはできなくなる。コンデンサC1、C2、C3に蓄積されたエネルギーが有効利用できない状態である。
【0032】
制御回路3はスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせがK2の場合にはαの値を計測する。αはコンデンサC1、C2、C3の直列接続の両端の電位差そのものであるから、αを計測することによりコンデンサC1、C2、C3の充電状態を知ることができる。制御回路3内にあらかじめ適切な閾値TH2(例えばTH2=12ボルト)を設定しておけば、設定した閾値とαの値とを比較することにより充電すべき状態にあるか否かを判断することができる。α≦12ボルトであれば、もはやコンデンサC1、C2、C3に蓄積されたエネルギーが有効利用できない状態であるから、制御回路3はコンデンサC1、C2、C3を充電すべき状態と判断し、スイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせがK1になるように各スイッチに指令を出す。
【0033】
このとき、コンデンサC1、C2、C3のそれぞれの両端電圧は12ボルト÷3=4ボルトとなっているので、この状態からから両端電圧が4.7ボルトになるまで充電される。
この状態になると、制御回路3はコンデンサC1、C2、C3は満充電に近い状態であると判断し、再びスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせがK2になるように各スイッチに指令を出す。
【0034】
このように、制御回路3はαおよびβの値を計測及び演算することにより、コンデンサC1、C2、C3の充電状態を判断し、満充電に近い状態と判断した場合にはスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせがK2になるように各スイッチに指令を出す。また、充電すべき状態と判断した場合にはスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせがK1になるように各スイッチに指令を出す。この動作が連続的に繰り返される。すなわち、エネルギーの蓄積と有効利用が連続的に繰り返される。
【0035】
図6はスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の切り換えが連続的に繰り返される場合のコンデンサC1、C2、C3のそれぞれの両端電圧とスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態(K1またはK2)の変化の様子を示す図である。スイッチS1、S2、S3、S4の接続状態の組み合わせが変わるたびにコンデンサの充放電が繰り返され両端の電位差は変化する。スイッチS1、S2、S3、S4の接続状態がK1の時にコンデンサC1、C2、C3にエネルギーが蓄積され、K2の時に蓄積されたエネルギーが有効利用される。
【0036】
〈第2の実施例〉
図7は本発明の第2実施例の電源回路の構成を示す図である。
【0037】
図7の電源回路は、12ボルト電源1、出力電圧が5ボルトの三端子レギュレータIC2、制御回路3、及びエネルギー蓄積回路5から構成されている。尚、三端子レギュレータICとは入力電圧が所定値以上である場合に一定の電圧(この例では5ボルト)を出力する機能を有するレギュレータICである。
【0038】
エネルギー蓄積回路5は抵抗R1、R2、R3、R4、コンデンサC1、C2、C3、スイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6から構成されている。また、α及びβは接地点に対する抵抗R1の両端の電位である。制御回路3はαおよびβの値を計測し演算する機能と、計測結果および演算結果に基づいてスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6を適切な状態に切り換える指令を出す機能とを有する。I1は回路に流れる電流である。
【0039】
図7の電源回路において、三端子レギュレータIC2は特許請求の範囲中の電源電圧よりも低い電圧で動作する負荷回路に、抵抗R1は電位差発生手段に、抵抗R2、R3、R4、コンデンサC1、C2、C3、及びスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6から構成される回路はエネルギー蓄積手段に、コンデンサC1、C2、C3はエネルギー蓄積手段を構成する複数の素子に、スイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6はエネルギー蓄積手段を構成する切り換え手段に相当する。
【0040】
尚、図7の電源回路においては、回路構成を簡略化し説明を容易にするため、電源安定化用のコンデンサや発振防止用のコンデンサは省略されている。
【0041】
次に図7の電源回路の動作に関して説明する。
【0042】
図9はコンデンサC1、C2、C3の接続状態とスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態を示す図である。スイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせは図9中のK1及びK2の2種類しかなく、制御回路3の指令によりK1及びK2の何れかの状態に制御される。
【0043】
電源投入時のスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせはK1、K2の何れでもかまわないが、ここでは便宜上電源投入時の組み合わせはK1であるとする。K1の組み合わせでは図9に示すようにスイッチS1、S2、S3、S4、S6はB側に接続され、スイッチS5はSHORTされている。これは抵抗R2とコンデンサC1の直列回路、抵抗R3とコンデンサC2の直列回路、抵抗R4とコンデンサC3の直列回路が抵抗R1と並列に接続された状態であり、図8に示す回路と実質的に同じである。
【0044】
図8は本発明の第2実施例の電源回路において、スイッチの組み合わせがK1の場合の各構成素子の接続状態を示す図である。同図中、図1と同一部品については同一符号を付し、その説明は省略する。5Aはエネルギー蓄積回路である。但し、スイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6及び制御回路3は図示していない。
【0045】
図5は時間の経過によるコンデンサC1、C2、C3の両端の電位差の変化の様子を示す図である。ここで、12ボルト電源1が動作した瞬間(電源投入時)を考えると、コンデンサC1、C2、C3には充電がされていない状態なのでコンデンサC1、C2、C3の両端の電位差は0ボルトである。すなわち、抵抗R1が短絡された状態である。時間の経過とともにコンデンサC1、C2、C3には充電電流が流れ、徐々に両端の電位差は大きくなる。十分に時間が経過した後は上述の定常状態になりコンデンサC1、C2、C3の両端電圧は5ボルトになる。コンデンサC1、C2、C3にエネルギーが最大に蓄積された満充電状態である。
【0046】
以上のように、図8の電源回路において、定常状態ではコンデンサC1、C2、C3の両端の電位差は5ボルトとなり、抵抗R1で発生した電位差がコンデンサC1、C2、C3にエネルギーとして蓄積される。
【0047】
制御回路3はスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせがK1の場合にはαおよびβの値を計測し、計測値から演算によりα−βの値を求める。α−βの値はコンデンサC1、C2、C3の両端の電位差であるから、この値からコンデンサC1、C2、C3が満充電状態にあるか否かを判断することができる。本実施例ではα−β=5ボルトが満充電状態であるから、制御回路3内にあらかじめ適切な閾値TH1(例えばTH1=4.7ボルト)を設定しておけば、設定した閾値とα−βの値とを比較することにより満充電に近い状態にあるか否かを判断することができる。この場合にはα−β≧4.7ボルトであればコンデンサC1、C2、C3が満充電に近い状態にあると判断できる。
【0048】
制御回路3はコンデンサC1、C2、C3が満充電に近い状態にあると判断した場合にはスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせをK2に切り換えるよう指令を出す。K2の組み合わせでは図9に示すようにスイッチS1、S2、S3、S4、S6はA側に接続され、スイッチS5はOPENとなる。これはコンデンサC1、C2、C3の直列回路が12ボルト電源1に並列に接続された状態であり、実施例1で説明した図3に示す回路と実質的に同じである。
【0049】
図3の電源回路において、コンデンサC1、C2、C3はそれぞれ満充電に近い状態と判断された4.7ボルト以上に充電されている。仮にそれぞれが4.7ボルトに充電されていたとするとコンデンサC1、C2、C3の直列接続では両端の電位差は4.7×3=14.1ボルトとなる。これは12ボルト電源1よりも高い電位であるから、回路電流I1は12ボルト電源1からではなく、コンデンサC1、C2、C3から供給される。また、コンデンサC1、C2、C3から12ボルト電源1側にも回路電流I2が供給され、12ボルト電源1を充電することができる。コンデンサC1、C2、C3に蓄積されたエネルギーが有効に利用されている状態である。
【0050】
しかしながら、回路電流I1及びI2を供給することによりコンデンサC1、C2、C3のエネルギーは消費され、コンデンサC1、C2、C3の直列接続の両端の電位差は初期値である14.1ボルトよりも徐々に下がってくる。やがて12ボルト電源1の電圧と等しい12ボルトまで下がると、もはやコンデンサC1、C2、C3から回路に電流を供給することはできなくなる。コンデンサC1、C2、C3に蓄積されたエネルギーが有効利用できない状態である。
【0051】
制御回路3はスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせがK2の場合にはαの値を計測する。αはコンデンサC1、C2、C3の直列接続の両端の電位差そのものであるから、αを計測することによりコンデンサC1、C2、C3の充電状態を知ることができる。制御回路3内にあらかじめ適切な閾値TH2(例えばTH2=12ボルト)を設定しておけば、設定した閾値とαの値とを比較することにより充電すべき状態にあるか否かを判断することができる。α≦12ボルトであれば、もはやコンデンサC1、C2、C3に蓄積されたエネルギーが有効利用できない状態であるから、制御回路3はコンデンサC1、C2、C3を充電すべき状態と判断し、スイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせがK1になるように各スイッチに指令を出す。
【0052】
このとき、コンデンサC1、C2、C3のそれぞれの両端電圧は12ボルト÷3=4ボルトとなっているので、この状態から両端電圧が4.7ボルトになるまで充電される。
この状態になると、制御回路3はコンデンサC1、C2、C3は満充電に近い状態であると判断し、再びスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせがK2になるように各スイッチに指令を出す。
【0053】
このように、制御回路3はαおよびβの値を計測および演算することにより、コンデンサC1、C2、C3の充電状態を判断し、満充電に近い状態と判断した場合にはスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせがK2になるように各スイッチに指令を出す。また、充電すべき状態と判断した場合にはスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせがK1になるように各スイッチに指令を出す。この動作が連続的に繰り返される。すなわち、エネルギーの蓄積と有効利用が連続的に繰り返される。
【0054】
実施例1において説明した図6に示すように、スイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態の組み合わせが変わるたびにコンデンサの充放電が繰り返され両端の電位差は変化する。スイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態がK1の時にコンデンサC1、C2、C3にエネルギーが蓄積され、K2の時に蓄積されたエネルギーが有効利用される。
【0055】
また、図7及び図8の電源回路において、抵抗R2、R3、R4には電源回路の構成部品を保護する役割がある。以下、図2の電源回路と比較しながら説明する。
【0056】
本発明の第1の実施例における図2では電位差発生手段として抵抗R1を有し、エネルギー蓄積手段としてコンデンサC1、C2、C3を有する。また、抵抗R1とコンデンサC1、C2、C3は並列に接続されている。この構成の場合には電源投入時に一瞬コンデンサC1、C2、C3に大きな突入電流が流れるとともに、抵抗R1が一瞬短絡されることから、三端子レギュレータIC2のIN端子には一瞬12ボルト電源1の電圧がそのまま印可される。この結果、本発明の構成部品であるコンデンサC1、C2、C3、および三端子レギュレータIC2を劣化させるおそれが生じる。
【0057】
図8の電源回路において、図2の電源回路と異なる部分はコンデンサC1、C2、C3のそれぞれに抵抗R2,R3、R4が直列に挿入された点である。
【0058】
図8の構成では、電源投入時のコンデンサC1、C2、C3への突入電流は抵抗R2、R3、R4により制限され減少する。また、三端子レギュレータIC2のIN端子に瞬間的に印可される電圧は12ボルトより抵抗R1、R2、R3、R4の並列回路において発生する電位差分だけ減少する。この結果、コンデンサC1、C2、C3、および三端子レギュレータIC2の劣化を防止することができる。
【0059】
図7の電源回路においても、電源投入時のスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の組み合わせが、必ずK1に初期化されるようにすれば、抵抗R2、R3、R4の効果により、コンデンサC1、C2、C3、および三端子レギュレータIC2の劣化を防止することができる。
【0060】
尚、第1及び第2の実施例では電位差発生手段として抵抗を使用しているが、電位差を発生する部品であればどのようなものでも良く、例えば汎用ダイオードやツェナーダイオード、それらと抵抗との組み合わせなどが考えられる。
【0061】
また、第1及び第2の実施例ではエネルギー蓄積手段としてコンデンサを使用しているが、エネルギーを蓄積可能な部品であればどのようなものでも良く、例えば充電可能な電池や電池とコンデンサとの組み合わせなどが考えられる。
【0062】
また、第1及び第2の実施例では電源を12ボルト、三端子レギュレータの出力を5ボルトとしたが、あくまでも一例であって、この電圧に制限されるものではない。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施例の電源回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例の電源回路においてスイッチの組み合わせがK1の場合の各構成素子の接続状態を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例の電源回路においてスイッチの組み合わせがK2の場合の各構成素子の接続状態を示す図である。
【図4】コンデンサC1、C2、C3の接続状態とスイッチS1、S2、S3、S4の接続状態を示す図である。
【図5】時間の経過によるコンデンサC1、C2、C3の両端の電位差の変化の様子を示す図である。
【図6】スイッチの接続状態の切り換えが連続的に繰り返される場合のコンデンサC1、C2、C3のそれぞれの両端電圧とスイッチの接続状態の変化の様子を示す図である。
【図7】本発明の第2実施例の電源回路の構成を示す図である。
【図8】本発明の第2実施例の電源回路においてスイッチの組み合わせがK1の場合の各構成素子の接続状態を示す図である。
【図9】コンデンサC1、C2、C3の接続状態とスイッチS1、S2、S3、S4、S5、S6の接続状態を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 12ボルト電源
2 三端子レギュレータIC
3 制御回路
4、4A、4B、5、5A エネルギー蓄積回路
R1〜R4 抵抗
C1〜C3 コンデンサ
S1〜S6 スイッチ
I1、I2 回路電流
α、β 所定箇所の電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、電源電圧よりも低い電圧で動作する負荷回路と、
前記電源と前記負荷回路との間に挿入されたエネルギー蓄積回路と、
を含む電源回路であって、
前記エネルギー蓄積回路は、電位差を発生させる電位差発生手段と、
前記電位差発生手段で発生した電位差をエネルギーとして蓄積するエネルギー蓄積手段と、を有することを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記エネルギー蓄積手段は複数の素子と、
前記複数の素子の接続を切り換える切り換え手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の電源回路。
【請求項3】
前記素子はコンデンサであることを特徴とする請求項1又は2記載の電源回路。
【請求項4】
前記素子はコンデンサと抵抗であることを特徴とする請求項1又は2記載の電源回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate