説明

電源接続ユニット

【課題】 より着脱の容易なカバーを備えた電源接続ユニットを得る。
【解決手段】 C字状の開断面を有するレール3の当該開断面内で延設された導体バー9に電気的に接続される端子6bが突設され、レール3の長手方向の開口端に差し込まれたときに、端子6bが導体バー9に電気的に接続されて、端子6bに結線された電源供給線から端子6bを介して導体バー9に電源電力が供給されるようにした電源接続ユニットであって、電源接続ユニットの本体部4の上記長手方向の両端部に着脱可能に係合して該本体部4の表面を被覆するカバー15を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の壁面等にC字状の開断面を有するレールを延設し、このレールにスライド可能に設置した可動体から電源電力を供給できるようにした電源供給システムが知られている。具体的には、可動体に電源コンセントブロックを設けたり、レールを天井に設けて可動体に照明器具を吊下したり、あるいはレールに通信用の配線を併設して可動体に通信ケーブルを接続できるようにしたものなどがある。
【0003】
かかる電源供給システムでは、レールの開断面内で電源電力を供給するための導体バーを延設して、レールの長手方向に沿う任意の位置に固定した可動体の端子を当該導体バーに電気的に接続できるようにしている。
【0004】
そして、この導体バーに電源電力を供給する電源接続ユニットとして、特許文献1に開示されるものが知られている。この特許文献1に開示される電源接続ユニットは、レールの長手方向の開口端に差し込み装着されるようになっており、差し込まれたときに、電源供給線が結線された端子とレールの導体バーとが電気的に接続されて、当該電源供給線から端子を経由して導体バーに電源電力を供給するものである。
【0005】
ここで、特許文献1の電源接続ユニットには、本体部の表面を被覆するカバーが装着されている。
【特許文献1】実開昭63−69498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このカバーは、本体部に対し、レールの幅方向(短手方向)の両端部で係合するように構成されているため、例えば、室内の壁に設けられた溝内にレールが収容されている場合など、当該幅方向にカバーを拡開できない場合には、着脱することができなくなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、より着脱の容易なカバーを備えた電源接続ユニットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にあっては、C字状の開断面を有するレールの当該開断面内で延設された導体バーに電気的に接続される端子が突設され、上記レールの長手方向の開口端に差し込まれたときに、上記端子が導体バーに電気的に接続されて、上記端子に結線された電源供給線から当該端子を介して上記導体バーに電源電力が供給されるようにした電源接続ユニットであって、電源接続ユニットの本体部の上記長手方向の両端部に着脱可能に係合して該本体部の表面を被覆するカバーを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明にあっては、上記レールは、室内壁に設けられた溝内に挿入されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、上記本体部の上記長手方向の両端部にカバーとの係合部を設定したため、カバーがレールの幅方向に拡開する余裕が無い場合にも、容易にカバーを着脱することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、レールが室内壁の溝内に挿入されていて、カバーがレールの幅方向に拡開する余裕が無い場合にも、容易にカバーを着脱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、室内壁に設けられた溝に挿入したレールおよびそのレールに装着した本実施形態にかかる電源接続ユニットを示す斜視図、図2は、レールおよびそのレールに装着する本実施形態にかかる電源接続ユニットをレールの開口側から見た斜視図、図3は、レールおよびそのレールに装着する本実施形態にかかる電源接続ユニットをレールの底壁部側(壁側)から見た斜視図、図4は、図1の本実施形態にかかる電源接続ユニットにカバーを装着した状態を示す斜視図である。
【0013】
室内の壁1には、一定幅で直線状に伸びる略矩形断面の溝2が延設されており、この溝2内に、可動体(図示せず)をスライド可能に支持するレール3が収容されている。可動体は、レール3の長手方向の任意の位置に固定できるようになっている。
【0014】
レール3は、アルミニウム合金等の金属材料を成形することにより、実質的にC字状の一様断面を有する開断面部材として構成されており、基本的には、細長い板状の底壁部3aと、当該底壁部3aの短手方向(幅方向)両端に立設された一対の側壁部3bと、側壁部3bの上端部で幅方向内側に所定幅で張り出すフランジ部3cとを備えてなるものである。なお、外表面は塗装され、美観の向上が図られている。
【0015】
そして、このレール3の開断面内(C字の内側)で、電源電力を供給するための一対の導体バー9が延設される。本実施形態では、一対の側壁部3bの近傍にそれぞれ断面C字状の溝3dを形成し、この溝3d内に、導体バー9を保持する絶縁性保持部材8を固定している。この絶縁性保持部材8は、絶縁性樹脂等からなり、板状の導体バー9の表面の一部を長手方向に沿って細長く露出させた状態で当該導体バー9を被覆し、当該絶縁性保持部材8をレール3に固定した状態で、一対の導体バー9の露出面がレール3の幅方向に対向し、かつ、その露出面の両端縁で絶縁性保持部材8の一部がフランジ状に張り出すように構成されている。この露出面が、可動体の端子(図示せず)や、後述する電源接続ユニット(の本体部)4に突設される端子6bとの接触部分(導通部分)となる。
【0016】
さらに、本実施形態では、絶縁性保持部材8と底壁部3aとの隙間に、アース接続用の導体バー10aを内包するアース部材保持プレート10を挿入している。このアース部材保持プレート10は、導体バー10aの表面の一部を長手方向に沿って細長く露出させた状態で当該アース接続用の導体バー10aを被覆する。また、このアース部材保持プレート10には、長手方向に伸びる相互に平行な一対の略L字状のアーム10bを延設しておき、このアース部材保持プレート10がレール3の開断面内に装着された状態で、当該アーム10bが導体バー9の露出面付近まで進出して、導体バー9の露出面の保護カバーとして機能するようにしている。
【0017】
そして、導体バー9に電源電力を供給すべく、レール3の長手方向の開口端に、電源接続ユニット(の本体部)4を差し込んで装着する。本実施形態では、電源接続ユニット(の本体部)4は、基本的に、基体部5と、レール3の開断面内に挿入される挿入部6と、この挿入部6がレール3の長手方向の開口端に正しく挿入された姿勢(以下、これを挿入姿勢と記す)で、基体部5からレール3の長手方向外側(開口端から離れる側)に突出する部分を有する基端側突出部7とを備えてなるものである。
【0018】
このうち、挿入部6には、レール3のフランジ部3cと絶縁性保持部材8との隙間11に嵌挿される一対のフランジ状のガイド突起6aが設けられる一方、絶縁性保持部材8とアーム10bとの間の隙間12に挿入されて導体バー9に当接する一対の端子6bが設けられる。これらガイド突起6aおよび端子6bは、いずれも、挿入姿勢で、レール3の幅方向(側壁部3bに近接する方向)に張り出しつつ当該レール3の長手方向に伸びている。また端子6bは導体バー9に接近する方向(張り出す方向)に弾性的に付勢されており、これにより、端子6bと導体バー9との電気的な接続がより確実なものとなるようにしている。また、挿入部6の先端側には、カバー15を係止するための凹部6cが設けられている。
【0019】
また、基体部5には、電源供給線(図示せず)を基端側(挿入姿勢で開口端から遠い側)から挿入する配線挿入孔5aが形成されている。この配線挿入孔5aに電源供給線を挿入して、ネジを締める等の結線処理を行うことで、当該電源供給線(内の導体)と端子6bとが電気的に接続されるようになっている。
【0020】
一方、基端側突出部7は、金属導体によって構成するとともに、挿入姿勢において、底壁部3a側を挿入部6まで延在させ、電源接続ユニット(の本体部)4をレール3の開口端に差し込み装着したときに、導体からなるネジを介在させる等してアース接続用の導体バー10aに電気的に接続することで、アース経路の一部として用いるものである。また、この基端側突出部7は、挿入姿勢でレール3の底壁部3a側で当該開口端から離間する方向に伸びる一対の短冊状のアーム部7aを有している。ここで、これら一対のアーム部7aは側壁部3bに沿う姿勢で相互に平行となる姿勢とし、これら各アーム部7aの長手方向側(基端側)かつ溝2の奥壁部側の角部に、矩形状の切欠部7bを形成している。
【0021】
また、本実施形態では、レール3の開口端部に差し込み装着した電源接続ユニット(の本体部)4の表面を被覆するカバー15を設けている。具体的には、カバー15は、例えば絶縁性樹脂を成形してなるものであり、基本的には、矩形状の天壁部15aと、天壁部15aの短手方向端縁で天壁部15aと直交するように立設される一対の側壁部15bと、天壁部15aの長手方向の一端縁で天壁部15aと直交するように立設される後壁部15cとを備える。本実施形態では、一対の側壁部15bと後壁部15cとは平面視で略コ字状に配置されており、カバー15を装着したとき、天壁部15aによって、レール3の開口端部に装着された電源接続ユニット(の本体部)4の表面を被覆し、側壁部15bによって、当該基体部5および基端側突出部7の側面を被覆し、また、後壁部15cによって、基端側突出部7を基端側から被覆するようになっている。
【0022】
ここで、本実施形態では、カバー15を、電源接続ユニット(の本体部)4の長手方向(挿入姿勢におけるレール3の長手方向)の両端部に着脱可能に係合している。具体的には、カバー15の側壁部15bの内面と後壁部15cの内面との隅部付近に突起15dを設けて、これをアーム部7aの切欠部7bに係合する一方、天壁部15aの挿入姿勢で挿入先側となる部分の内面に爪部15eを設けて、これを挿入部6の凹部6cに係合するようにしている。取付手順としては、図1に示すように、まず、後壁部15cを、天壁部15aがレール3の長手方向に対して略垂直となる姿勢で溝2内に挿入して、突起15dを切欠部7bに係合させ(S1)、次に、突起15dを中心としてカバー15を傾動させて、爪部15eを凹部6cに係合させる(S2)。
【0023】
こうして、図4に示すように、レール3の長手方向の開口端部に装着された電源接続ユニット(の本体部)4がカバー15によって被覆された状態が得られる。なお、レール3の開口部は別途カバー13によって被覆される。また、このとき、図4のように、カバー15の天壁部15aの外面が壁1の表面とほぼ同じ高さ位置になるようにすれば、美観の向上を図ることができる。
【0024】
以上の本実施形態によれば、電源接続ユニット(の本体部)4の長手方向の両端部に、カバー15との係合部として、切欠部7bおよび凹部6cを設けたため、カバー15がレール3の幅方向に拡開する余裕代(溝2の側壁とレール3の側壁部3bとの隙間)が少ない場合にも、カバー15を容易に着脱することができる。
【0025】
そして、かかる構成は、本実施形態にように、レール3が室内の壁1の溝2内に挿入されていて、カバー15がレール3の幅方向に拡開する余裕代が少ない場合に、特に有効である。
【0026】
以上、本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、レールの側壁のほぼ全体が溝内に収容された場合について例示したが、溝をより浅く形成して、レールの一部が壁の表面から突出したり、溝が形成されず、平坦な壁の表面上にレールの底壁が取り付けられたものに対しても、本発明は実施することができる。また、係合部の形状や位置の他、レール、電源接続ユニット、カバーの形状等も、上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】室内壁に設けられた溝に挿入したレールおよびそのレールに装着した本発明の実施形態にかかる電源接続ユニットを示す斜視図。
【図2】レールおよびそのレールに装着する本発明の実施形態にかかる電源接続ユニットをレールの開口側から見た斜視図。
【図3】レールおよびそのレールに装着する本発明の実施形態にかかる電源接続ユニットをレールの底壁部側(壁側)から見た斜視図。
【図4】図1の電源接続ユニットにカバーを装着した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0028】
1 壁
2 溝
3 レール
4 (電源接続ユニットの)本体部
6b 端子
9 導体バー
15 カバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
C字状の開断面を有するレールの当該開断面内で延設された導体バーに電気的に接続される端子が突設され、前記レールの長手方向の開口端に差し込まれたときに、前記端子が導体バーに電気的に接続されて、前記端子に結線された電源供給線から当該端子を介して前記導体バーに電源電力が供給されるようにした電源接続ユニットであって、
電源接続ユニットの本体部の前記長手方向の両端部に着脱可能に係合して該本体部の表面を被覆するカバーを備えることを特徴とする電源接続ユニット。
【請求項2】
前記レールは、室内壁に設けられた溝内に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の電源接続ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−302649(P2006−302649A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122450(P2005−122450)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】