説明

電源監視装置及びプログラム

【課題】CATVシステムのセンタ装置側で、伝送線上に設置された各増幅装置への給電状態を監視する電源監視装置において、電源装置から電源を供給されて動作する全ての増幅装置を、各電源装置毎に使用者が容易に登録できるようにすることを目的とする。
【解決手段】制御部22は、記憶部26に記憶された経路情報及び接続情報に基づいて、系統図を表示する。そして、操作部30を介して、給電シンボルの追加、消去等の各種指令が入力されると、制御部22は、系統図上で給電シンボルの追加、消去等を行い、給電シンボルの確定指令が入力されると、制御部22は、系統図上の給電シンボルの位置を読み取って、シンボル情報テーブルに記憶された給電シンボル有無の値を更新し、さらに、更新したシンボル情報テーブルと経路情報とに基づいて、第1増幅装置を起点に順に接続される増幅装置を抽出し、抽出した増幅装置に基づいて給電情報テーブルを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CATVシステムのセンタ装置側で、伝送線上に分散して配置された各増幅装置から伝送されてくる異常信号に基づき、各増幅装置への給電状態を監視する電源監視装置及びコンピュータを電源監視装置としての機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CATVシステムにおいて、センタ装置から加入者端末側に至る伝送線上に複数分散して配置され、電源装置から電源を供給されて、伝送線を伝送される信号を増幅する増幅装置が知られている。そして、このような増幅装置は、センタ装置との間でデータの送受ができるように構成されており、センタ装置からの要求を受けて、増幅装置や電源装置の状態を表す各種信号をセンタ装置に送信し、一方、センタ装置は、増幅装置から送信された信号により、増幅装置の信号出力レベルを自動で調整したり、増幅装置の動作を監視することができる(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2002−232859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このようなCATVシステムにおいては、複数の増幅装置に対して1台の割で電源装置が設置されており、電源装置から直接電源供給を受ける増幅装置には、電源装置から出力される信号により、商用電源の停電を検出し、センタ装置に商用電源の停電を表す異常信号を送信するように構成されているものがある。一方、センタ装置には、増幅装置から商用電源の停電を表す信号を受けると、信号を出力した増幅装置と同じ電源装置から電源供給を受けている全ての増幅装置、つまり、停電により商用電源の換わりに電源装置に内蔵されたバッテリから電源供給を受けている全ての増幅装置をモニタに表示するように構成された電源監視装置を備えているものがある。
【0004】
そして、このような電源監視装置によれば、使用者は、モニタに表示された表示により、現在バッテリにて電源供給されており、電源の供給が遮断されるおそれのある増幅装置を一目で確認することができるが、このような表示をさせるためには電源装置毎に、電源装置と、この電源装置から電源供給を受ける増幅装置との関係を予め電源監視装置に登録しておく必要があった。
【0005】
しかしながら、上記のような給電関係を登録する際には、使用者が装置間の関係を個々に調査し、各増幅装置毎に個別に設定された識別情報を手入力することにより行わなければならず、非常に手間であった。また、電源装置及び増幅装置の数が多い場合には、入力作業に長時間を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、CATVシステムのセンタ装置側で、伝送線上に設置された各増幅装置への給電状態を監視する電源監視装置において、電源装置から電源を供給されて動作する全ての増幅装置を、各電源装置毎に使用者が容易に登録できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、
センタ装置から端末側に至る伝送線上に分散して配置され、該伝送線を流れる伝送信号を増幅して出力する複数の増幅装置と、
商用電源から電源供給を受けて電源電圧を生成し、該生成した電源電圧を一部の増幅装置に各々供給する複数の電源装置と、
を備え、該電源装置から直接電源供給を受ける給電増幅装置は、前記電源装置から直接電源供給を受けることのできない被給電増幅装置に対して、前記伝送線を介して電源電圧を供給するよう構成され、
前記各電源装置は、商用電源から電源供給を受けているときに内蔵バッテリに電力を蓄積し、商用電源からの電源供給が遮断されると、該内蔵バッテリに蓄積された電力により電源電圧を生成して前記増幅装置に電源供給を行い、しかも、商用電源の異常を表す異常信号を、電源電圧を直接供給している給電増幅装置に出力して、該給電増幅装置から前記センタ装置側に送信させるよう構成されたCATVシステムにおいて、
前記センタ装置側で、端末側から伝送されてくる異常信号に基づき、前記各増幅装置への給電状態を監視する電源監視装置であって、
外部操作により各種指令を入力するための入力手段と、
前記センタ装置から前記各増幅装置を介して端末側に至る伝送経路と、前記各電源装置の給電増幅装置への接続経路とを表す経路情報が記憶された経路情報記憶手段と、
前記各給電増幅装置と、該各給電増幅装置を介して前記各電源装置から電源供給を受ける被給電増幅装置との関係を表す給電情報が記憶された給電情報記憶手段と、
前記経路情報記憶手段に記憶された経路情報に基づき、前記各装置の接続状態を表す系統図を表示手段に表示する系統図表示制御手段と、
前記伝送線を介して端末側より前記異常信号が入力されると、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、前記異常信号を発生した電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を特定し、該特定した各増幅装置を前記表示手段に表示されている系統図上で識別可能に表示させる電源異常表示制御手段と、
前記入力手段を介して前記給電情報の更新指令が入力されると、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、前記各電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を電源装置毎に特定し、前記表示手段に表示されている系統図上で、該特定した増幅装置同士を接続する伝送経路に、各電源装置からの給電状態を表すシンボルを表示するシンボル表示手段と、
該シンボル表示手段が前記系統図上にシンボルを表示しているときに、前記入力手段を介して該シンボルの表示変更指令が入力されると、該指令に従い前記表示手段に表示されている系統図上でシンボルの追加、移動、消去を行うシンボル表示更新手段と、
前記シンボル表示手段が前記系統図上にシンボルを表示しているときに、前記入力手段を介して前記給電情報の確定指令が入力されると、前記表示手段に表示された系統図上でのシンボルの位置から、前記各電源装置から電源供給を受けて動作する全ての増幅装置を特定し、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報を更新する第1給電情報更新手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電源監視装置において、前記入力手段を介して特定の電源装置に関する給電情報の更新指令が入力されると、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、前記特定の電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を識別可能な一覧を前記表示手段に表示する一覧表示制御手段と、該一覧表示制御手段が前記表示手段に前記増幅装置の一覧を表示しているときに、前記入力手段を介して増幅装置の追加又は削除指令が入力されると、該指令に従い前記一覧表示されている増幅装置を変更する一覧表示更新手段と、該一覧表示制御手段が前記表示手段に前記増幅装置の一覧を表示しているときに、前記入力手段を介して前記特定の電源装置に関する給電情報の確定指令が入力されると、そのとき前記表示手段に表示されている増幅装置の一覧に従い、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報を更新する第2給電情報更新手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
一方、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電源監視装置において、前記電源異常表示制御手段は、前記異常信号が入力されたときには、前記異常信号を発生した電源装置から直接電源供給を受ける給電増幅装置を前記表示手段に表示されている系統図上で識別可能に表示させ、その後、前記入力手段を介して、前記電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置の表示指令が入力されると、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、前記異常信号を発生した電源装置から電源供給を受けて動作している全ての被給電増幅装置を特定し、該特定した各被給電増幅装置を前記系統図上で識別可能に表示させることを特徴とする。
【0010】
次に、請求項4に記載の発明は、コンピュータを、少なくとも請求項1に記載の電源監視装置における系統図表示制御手段、電源異常表示制御手段、シンボル表示手段、シンボル表示更新手段、及び、第1給電情報更新手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の電源監視装置においては、系統図表示制御手段が、経路情報記憶手段に記憶された経路情報に基づき、各装置の接続状態を表す系統図を表示手段に表示し、伝送線を介して端末側より異常信号が入力されると、電源異常表示制御手段が、給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、異常信号を発生した電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を特定し、特定した各増幅装置を表示手段に表示されている系統図上で識別可能に表示させる。
【0012】
また、入力手段を介して給電情報の更新指令が入力されると、シンボル表示手段が、給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、各電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を電源装置毎に特定し、表示手段に表示されている系統図上で、特定した増幅装置同士を接続する伝送経路に、各電源装置からの給電状態を表すシンボルを表示する。
【0013】
そして、シンボル表示手段が系統図上にシンボルを表示しているときに、入力手段を介してシンボルの表示変更指令が入力されると、シンボル表示更新手段が、この指令に従い表示手段に表示されている系統図上でシンボルの追加、移動、消去を行い、また、シンボル表示手段が系統図上にシンボルを表示しているときに、入力手段を介して給電情報の確定指令が入力されると、第1給電情報更新手段が、表示手段に表示された系統図上でのシンボルの位置から、各電源装置から電源供給を受けて動作する全ての増幅装置を特定し、給電情報記憶手段に記憶された給電情報を更新する。
【0014】
このように、本発明の電源監視装置によれば、使用者が、入力手段を介して系統図上に表示された増幅装置間へのシンボルの追加、削除等の表示変更指令を入力することで、給電増幅装置と、給電増幅装置を介して電源装置から電源供給を受ける被給電増幅装置との関係を表す給電情報が登録及び更新される。よって、使用者は、各電源装置毎に、この電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置の登録及び更新を容易に行うことができ、各増幅装置の識別番号等を手入力することにより登録する場合に比べ、登録時間を短縮することができる。
【0015】
次に、請求項2に記載の電源監視装置においては、入力手段を介して特定の電源装置に関する給電情報の更新指令が入力されると、一覧表示制御手段が、給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、特定の電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を識別可能な一覧を表示手段に表示し、増幅装置の一覧を表示しているときに、入力手段を介して増幅装置の追加又は削除指令が入力されると、一覧表示制御手段が、この指令に従い一覧表示されている増幅装置を変更する。
【0016】
そして、表示手段に増幅装置の一覧を表示しているときに、入力手段を介して特定の電源装置に関する給電情報の確定指令が入力されると、第2給電情報更新手段が、そのとき表示手段に表示されている増幅装置の一覧に従い、給電情報記憶手段に記憶された給電情報を更新する。
【0017】
よって、請求項2に記載の電源監視装置によれば、使用者は、入力手段を介して、特定の電源装置に関する給電情報の更新指令を入力することで、その電源装置から電源供給を受ける増幅装置の一覧表示を確認することができ、また、入力手段を介して、増幅装置の追加又は削除指令を入力することで、容易に特定の電源装置から電源供給を受けて動作する増幅装置を変更することができる。このため、系統図上で登録した給電情報、つまり、シンボルの位置が間違っていたような場合にも、一覧表示上で間違いを容易に発見することができ、さらに同じ表示上で給電情報を変更することもできるので都合がよい。
【0018】
一方、請求項3に記載の電源監視装置において、異常信号が入力されたときには、電源異常表示制御手段が、異常信号を発生した電源装置から直接電源供給を受ける給電増幅装置を表示手段に表示されている系統図上で識別可能に表示させ、その後、入力手段を介して、電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置の表示指令が入力されると、給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、異常信号を発生した電源装置から電源供給を受けて動作している全ての被給電増幅装置を特定し、特定した各被給電増幅装置を系統図上で識別可能に表示させる。
【0019】
よって、請求項3に記載の電源監視装置によれば、電源装置から異常信号が入力されると、系統図上で、その電源装置から直接電源供給を受ける給電増幅装置が識別可能に表示されるので、使用者は、その電源装置に電源を供給する商用電源の停電を認識することができる。そして、同じ電源装置から電源供給を受けている増幅装置を確認したい場合に、表示指令を入力することで、この電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を識別可能に表示させることができるので便利である。
【0020】
また、請求項4に記載のプログラムは、請求項1に記載の電源監視装置を構成している系統図表示制御手段、電源異常表示制御手段、シンボル表示手段、シンボル表示更新手段、及び、第1給電情報更新手段としての機能を、コンピュータにて実現するためのものである。よって、このプログラムを用いることにより、パーソナルコンピュータ等のコンピュータにて、本発明の電源監視装置としての機能を実現することができる。
【0021】
なお、このプログラムは、さらに、請求項2に記載の電源監視装置を構成している一覧表示制御手段、一覧表示更新手段、及び、第2給電情報更新手段として機能を、コンピュータにて実現させるように構成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明が適用された双方向CATVシステム全体の構成を表す構成図である。
図1に示すように、本実施形態の双方向CATVシステムは、センタ装置10から加入者端末側に、所定の伝送周波数帯(例えば、70MHz〜602MHz帯)の下り信号を伝送し、端末側からセンタ装置10側には、下り信号よりも周波数の低い伝送周波数帯(例えば、10MHz〜55MHz帯)の上りLow信号と、下り信号よりも周波数の高い伝送周波数帯(例えば、650MHz〜770MHz帯)の上りHigh信号との2種類の上り信号を伝送するように構成されている。
【0023】
そして、これら各信号をセンタ装置10とこのシステムの加入者側端末装置との間で双方向に伝送するための伝送線として、センタ装置10に接続された幹線La、幹線Laに設けられた幹線分岐増幅器4aや図示しない分岐器等を介して幹線Laから分岐した多数の第1分岐線Lb、各第1分岐線Lbに設けられた分岐増幅器6aや図示しない分岐器等を介して第1分岐線Lbから分岐した多数の第2分岐線Lcを備えている。尚、本実施形態では、これらの線路(伝送線)は、同軸ケーブルからなる。
【0024】
また、幹線Laには、幹線Laを流れる伝送信号を双方向に増幅する幹線増幅器4bや、上述の幹線分岐増幅器4a等が所定間隔で縦続接続されており、第1分岐線Lbには、第1分岐線Lbを流れる伝送信号を双方向に増幅する中継増幅器6bや、上述の分岐増幅器6a等が所定間隔で縦続接続されている。さらに、第2分岐線Lcには、第2分岐線Lcを流れる伝送信号を双方向に増幅する分岐増幅器8aや延長増幅器8b等が所定間隔で縦続接続されている。
【0025】
そして、各増幅器には、複数の増幅器に1台の割で電源装置50が接続されており、電源装置50に直接接続された増幅器(以下、第1増幅装置という)と、電源装置50が接続されていない増幅器(以下、第2増幅装置という)とに分類され、第2増幅装置は、第1増幅装置を介して電源装置から電源供給を受ける。ここで、電源装置50に直接接続された第1増幅装置であっても、接続された電源装置50の故障等により、他の第1増幅装置を介して、電源の供給を受けることもあるため、本実施形態では、第1増幅装置を介して電源供給を受ける増幅器としては、第1増幅装置と第2増幅装置とを区別せずに単に増幅装置として説明する。また、他の説明においても、第1増幅装置と第2増幅装置とを区別しない場合は、各増幅器を増幅装置として説明する。
【0026】
なお、本実施形態において、接続された電源装置50から直接電源供給を受ける第1増幅装置が、本発明の給電増幅装置に対応し、接続された電源装置50から電源供給を受けていない第1増幅装置及び第2増幅装置が、本発明の被給電増幅装置に対応する。
【0027】
一方、センタ装置10には、加入者側端末に配信するテレビ放送信号を受信する受信アンテナとして、BS(放送衛星)やCS(通信衛星)からの放送電波を受信する衛星受信アンテナ11aと、地上局からの放送電波を受信する地上波受信アンテナ11bが設けられている。
【0028】
そして、衛星受信アンテナ11aからの受信信号は、レシーバ14にて一旦復調され、変調器16にて当該システムで伝送可能な放送信号に変換された後、送受信器12に入力され、地上波受信アンテナ11bからの受信信号は、そのまま送受信器12に入力される。そして、変調器16から出力される衛星放送信号及び地上波受信アンテナ11bからの受信信号に含まれる地上放送信号は、送受信器12にて、所定チャンネルの放送信号にチャンネル配置(周波数変換)された後、幹線Laに送出される。
【0029】
また、センタ装置10には、伝送線(幹線La,第1分岐線Lb,第2分岐線Lc等)上に設けられた上記各増幅装置の動作状態、また、各増幅装置への給電状態等を監視するためのステイタスセンタ20、各増幅装置からの信号の出力レベルや増幅時の周波数特性を自動調整するためのシステム自動調整部32、各増幅装置の動作状態の監視及び動作特性の調整等のために使用する下り信号として所定周波数(例えば451.25MHz)の下りパイロット信号を発生するためのパイロット信号発生器(以下単にPGという)34等も設けられており、これら各部は、送受信器12を介して、幹線Laに接続されている。
【0030】
そして、ステイタスセンタ20には、各増幅装置から送信されてきた内部回路(増幅回路)の異常を表す信号や、電源装置50に電源を供給する商用電源の異常を表す信号等の各種異常信号が送受信器12を介して入力され、システム自動調整部32にて生成された各増幅装置の動作設定のための設定データや、PG34にて生成された下りパイロット信号は、送受信器12を介して、幹線La上に送出される。
【0031】
次に、幹線La、第1分岐線Lb、第2分岐線Lcに設置される増幅装置及び第1増幅装置に電源を供給する電源装置50の構成を、図2を用いて説明する。図2は、第1増幅装置と電源装置50の構成を表すブロック図である。
【0032】
なお、第1増幅装置は電源装置50から直接電源供給を受けて動作すると共に、電源装置50から出力された商用電源の異常を表す異常信号を受けてセンタ装置10にこの異常信号を送信するように構成されているが、この点以外は、第2増幅装置と同様の構成であるので、以下、第1増幅装置についてのみ説明し、第2増幅装置の説明は省略する。
【0033】
また、図2に示す第1増幅装置は、分岐端子を備えていない幹線増幅器4bや中継増幅器6b,8bの構成を表しており、分岐回路を内蔵し、この分岐回路の分岐端子から下り信号を送出すると共に、端末側から伝送されてきた上り信号(上りLow信号,上りHigh信号)を取り込む幹線分岐増幅器4aや分岐増幅器6a,8aとは構成が異なる。
【0034】
しかし、分岐回路を内蔵したこれら分岐増幅器については、従来より周知であり、これらの分岐増幅器においても、分岐回路及び分岐端子を備えた点以外は、図2に示す第1増幅装置と同じ構成となっているので、本実施形態では、図2に基づき、伝送線上に配置される各第1増幅装置の構成を説明し、分岐機能を有する分岐増幅器の詳細説明については省略する。
【0035】
図2に示すように、伝送線上に配置される各第1増幅装置は、センタ装置10側及び加入者端末側の伝送線(幹線La、第1分岐線Lb、または、第2分岐線Lc)を夫々接続するための入力端子Tin及び出力端子Toutを備える。
【0036】
そして、センタ装置10側の伝送線を介して入力端子Tinに入力された下り信号は、電源分離フィルタ62、ローパスフィルタ(以下、LPFという)64、及び、ハイパスフィルタ(以下、HPFという)66を介して、下り増幅回路68に入力され、下り増幅回路68にて所定レベルまで増幅された後、HPF70、LPF72、及び、電源分離フィルタ74を介して、出力端子Toutまで伝送され、出力端子Toutから端末側の伝送線上に送出される。
【0037】
一方、出力端子Toutに入力された上り信号のうち、周波数が低い上りLow信号は、電源分離フィルタ74、LPF82、及び、LPF86を介して、上りLow増幅回路78に入力され、上りLow増幅回路78にて所定レベルまで増幅された後、LPF80、LPF64、及び、電源分離フィルタ62を介して、入力端子Tinまで伝送され、入力端子Tinからセンタ装置10側の伝送線上に送出される。
【0038】
また、出力端子Toutに入力された上り信号のうち、周波数が高い上りHigh信号は、電源分離フィルタ74、HPF82を介して、上りHigh増幅回路84に入力され、上りHigh増幅回路84にて所定レベルまで増幅された後、HPF86、電源分離フィルタ62を介して、入力端子Tinまで伝送され、入力端子Tinからセンタ装置10側の伝送線上に送出される。
【0039】
ここで、LPF64及び72は第1増幅装置を通過する3種類の信号のうち、周波数が最も高い上りHigh信号の通過を阻止し、下り信号と上りLow信号のみを通過させるためのものであり、そのカットオフ周波数は、例えば、602MHzに設定されている。また、HPF66及び70は、LPF64及び72を通過する下り信号及び上りLow信号のうち、上りLow信号の通過を阻止し、下り信号のみを通過させるためのものであり、そのカットオフ周波数は、例えば、70MHzに設定されている。また、HPF82及び86は、増幅装置を通過する3種類の信号のうち、下り信号と上りLow信号の通過を阻止し、周波数が最も高い上りHigh信号のみを通過させるためのものであり、そのカットオフ周波数は、例えば、650MHzに設定されている。
【0040】
この結果、下り増幅回路68、上りLow増幅回路78、上りHigh増幅回路84には、増幅対象となる下り信号、上りLow信号、上りHigh信号のみが、選択的に入出力されることになり、これら各増幅回路に他の信号成分が入力されて、増幅動作が不安定になるのを防止できる。
【0041】
また、電源分離フィルタ62及び74は、夫々、スイッチ88または90と、スイッチ92と、スイッチ94とを介して電源装置50に接続されており、上記3種類の高周波の伝送信号(下り信号、上りLow信号、上りHigh信号)と電源装置50から供給される低周波の交流電力信号とを分離するためのものである。
【0042】
そして、各スイッチ88,90,92,94は、電源装置50と、電源分離フィルタ62及び74との間の経路の接続状態を、CATVシステムの管理者等が手動で切り替えるためのものであり、例えば、スイッチ94のみがオン状態の場合には、当該第1増幅装置に内蔵された後述する電源ユニット96にのみ電源装置50から交流電力信号が供給される。また、例えば、スイッチ88,92,94がオン状態の場合には、当該第1増幅装置よりもセンタ装置10側に配置されている第2増幅装置に電源装置50から交流電力信号が供給され、一方、スイッチ90,92,94がオン状態の場合には、当該第1増幅装置よりも加入者端末側に配置されている第2増幅装置に電源装置50から交流電力信号が供給される。つまり、このように、スイッチ88,90,92,94を適宜切り換えることにより、当該第1増幅装置のみでなく、この第1増幅装置に接続された第2増幅装置にも電源装置50により電源を供給することが可能である。
【0043】
また、第1増幅装置には、下り増幅回路68、上りHigh増幅回路84からの出力信号のレベルを検出したり、センタ装置10に設けられたステイタスセンタ20との間で通信を行うためのステイタスモニタユニット100が内蔵されており、このステイタスモニタユニット100には、電源装置50から供給された交流電力信号(例えば、AC60V)を整流、平滑化することにより、直流定電圧(例えば、DC12V)を生成し、その生成した直流定電圧を電源電圧として各増幅回路68,78,84に供給する電源ユニット96と、第1増幅装置の温度を検出するための温度センサ、第1増幅装置の蓋が開けられたか否かを検出する蓋開センサ、第1増幅装置が浸水しているか否かを検出する浸水センサ等の各種センサ98と、電源装置50とが接続されている。
【0044】
ステイタスモニタユニット100は、CPU、RAM、ROM等からなる制御部102と、センタ装置10のステイタスセンタ20との間で通信を行うための高周波モデム104と、下り増幅回路68、上りHigh増幅回路84、電源ユニット96から入力された信号をA/D変換して、制御部102に入力するA/D変換器106等を備えており、制御部102は、下り増幅回路68、上りHigh増幅回路84から出力される信号、各種センサ98にて検出された検出結果等に基づいて第1増幅装置の動作状態を判断し、電源装置50から出力された商用電源の異常を表す信号に基づいて商用電源の異常を判断する。
【0045】
そして、ステイタスセンタ20から送信された下り信号を、高周波モデム104を介して受信し、この下り信号により、当該第1増幅装置の動作状態を要求されると、制御部102は、第1増幅装置の動作状態が正常であるか否かを判断し、異常であると判断した場合には、動作状態の異常を表す異常信号を、高周波モデム104を介してステイタスセンタ20に送信する。また、ステイタスセンタ20から送信された下り信号により、商用電源の状態を要求されると、制御部102は、電源装置50から商用電源の異常を表す異常信号が入力されているか否かを判断し、入力されている場合には、この異常信号を、高周波モデム104を介してステイタスセンタ20へ送信する。
【0046】
ここで、高周波モデム104は、下り増幅回路68から伝送されてくる下り信号の中から当該第1増幅装置に対して送信されてきた所定アドレスのデータのみを取り込んで制御部102に入力し、また、制御部102からデータが入力されると、当該第1増幅装置を特定するためのアドレスを付与して、上りLow信号を生成し、その上りLow信号を上りLow増幅回路78に入力する。このため、制御部102は、高周波モデム104を介して、センタ装置10に設けられたステイタスセンタ20やシステム自動調整部32との間で、データの送受を行うことが可能である。
【0047】
次に、電源装置50は、図2に示すように、商用電源に接続され、入力された交流電力信号(例えば、AC100V)を降圧して(例えばAC60V)、第1増幅装置に出力する電源回路52と、停電時に第1増幅装置に電源を供給するためのバッテリ54と、電源回路52からの出力を受けてバッテリ54を充電する充電回路56と、電源回路52からの電源の供給が遮断されると自動的に電源の供給元を、商用電源からバッテリ54に切り換えるスイッチ58と、電源回路52から出力される交流電力信号と、実際に第1増幅装置に出力される交流電力信号とを比較することにより商用電源が停電しているか否かを検出し、停電している場合には、商用電源の異常を表す異常信号を第1増幅装置のステイタスモニタユニット100へ出力する停電検出回路60と、を備えている。
【0048】
そして、商用電源から電源が供給されている場合には、電源回路52は、降圧した交流電力信号を第1増幅装置に出力すると共に充電回路56に出力し、充電回路56にてバッテリ54が充電される。一方、商用電源が停電し、電源が供給されない場合には、スイッチ58がバッテリ54側に切り換わり、バッテリ54に蓄積された電力により、交流電力信号が第1増幅装置に出力される。そして、この場合、停電検出回路60にて停電が検出され、商用電源の異常を表す異常信号が第1増幅装置に出力される。
【0049】
ところで、このように構成された本実施形態の双方向CATVシステムにおいて、ステイタスセンタ20は、第1増幅装置から、商用電源の異常を表す異常信号が入力されると、この電源装置50から電源を供給されて動作している全ての増幅装置を特定し、これらの増幅装置を各装置の接続状態を表す系統図上で識別できるように、表示するように構成されている。
【0050】
以下、本実施形態のステイタスセンタ20の構成及び実行する処理について順に説明する。
ステイタスセンタ20は、図1に示すように、CPU、RAM、ROM等からなる制御部22と、送受信器12やシステム自動調整部32やPG34との間で信号の送受を行うための通信部24と、各種データを記憶するための書き換え可能なメモリ(例えば、EEPROM等)からなる記憶部26と、ディスプレイからなる表示部28と、キーボード及びマウス等からなる操作部30と、から構成されている。
【0051】
制御部22は、CPUが、ROM等に記憶されたプログラムに従って、以下に説明するような各種処理を実行する。
記憶部26には、各増幅装置の機器名及び機種名、各増幅装置の識別情報として使用される機器アドレス等からなる機器情報、センタ装置10から増幅装置を介して加入者端末側に至る放送信号の伝送経路と、各電源装置50の第1増幅装置への接続経路とを表す経路情報、第1増幅装置と、第1増幅装置を介して同じ電源装置から電源供給を受ける増幅装置との関係を表す給電情報等の各種情報が記憶されている。そして、本実施形態では、給電情報は、各増幅装置毎に、接続された電源装置から電源供給を受けている第1増幅装置が給電増幅装置として登録された給電情報テーブル(図4(b)参照)と、伝送線にて接続される隣り合う増幅装置間に給電関係があるか否かが、各装置の接続状態を表す系統図の伝送線上に給電シンボルがあるか否かにより登録されたシンボル情報テーブル(図4(a)参照)と、からなり、以下に説明する各処理により書き換え可能に構成されている。
【0052】
なお、上記経路情報及び給電情報において、各増幅装置は、各増幅装置に個別に設定された機器アドレスにより表されている。
そして、ステイタスセンタ20においては、操作部30を介して外部から各装置の接続状態を表す系統図の表示指令が入力されると、制御部22が、記憶部26に記憶された経路情報に基づいて、表示部28に、図3に示すような、系統図を表示する(本発明の系統図表示制御手段に相当する)。さらに、図4(a)に示すシンボル情報テーブルを読み取って、系統図上の各増幅装置間に、給電シンボル(図中〜マーク)を表示させる(本発明のシンボル表示手段に相当する)。詳述すると、シンボル情報テーブルに記憶された給電シンボル有無が値1である伝送線接続元と伝送線接続先とを接続する系統図上の伝送線に給電シンボルを表示させる。ここで、図3(a)は、読み取ったシンボル情報テーブルが、図4(a)の上側に示すテーブルである場合、つまり、全てのシンボル有無が値0であり、増幅装置間の給電関係がない(または、登録されていない)場合の系統図を表している。
【0053】
なお、図3中のA7,A8等は各増幅装置の機器アドレスを表しており、実際に表示部28に表示される系統図には表示されないが、本図中では説明のために記載してある。また、実際に表示部28に系統図が表示される際には、各増幅装置付近に各増幅装置の機器名が表示され、使用者は、この機器名にて各増幅装置を識別可能であるが、本図中では省略している。
【0054】
また、系統図が表示部28に表示されているときに、操作部30を介して個別情報表示指令が入力されると、制御部22は指令に従い指定された増幅装置の機器名、機種名、給電状況等の各種情報を表示部28に表示させる。このため、使用者は、各増幅装置の詳細情報を個別に表示部28上で確認することが可能である。
【0055】
なお、図3は、表示部28に表示される系統図を説明するための説明図であり、図4(a)は、シンボル情報テーブルを表す説明図、図4(b)は、給電情報テーブルを表す説明図である。
【0056】
次に、ステイタスセンタ20の制御部22により実行される給電情報登録処理について、図5を用いて説明する。なお、本給電情報登録処理は、操作部30を介して使用者により入力される指令に従い、表示部28に表示された系統図上に各装置間が給電関係にあることを表す給電シンボルを配置することにより、記憶部26に記憶された給電情報の登録または更新を行う処理である。
【0057】
図5は、給電情報登録処理を表すフローチャートである。
本給電情報登録処理は、操作部30を介して各増幅装置の間の給電情報の登録指令が入力されることにより開始され、処理が開始されると、S210にて、上述した系統図の表示指令が入力された場合と同様に、記憶部26に記憶された経路情報及びシンボル情報テーブルに基づいて、表示部28に系統図を表示させ、続くS220では、操作部30を介して、給電シンボルの追加指令が入力されたか否かを判断し、給電シンボルの追加指令が入力された場合には(S220:YES)、S230にて、給電シンボルを指定された位置に表示させ、S240に移行する。一方、給電シンボルの追加指令が入力されていない場合には(S220:NO)、S240に移行する。
【0058】
そして、S240にて、操作部30を介して、表示された給電シンボルが選択されているか否かを判断し、給電シンボルが選択されている場合には(S240:YES)、続くS250では、操作部30を介して、給電シンボルの移動指令が入力されたか否かを判断する。そして、給電シンボルの移動指令が入力された場合には(S250:YES)、S260にて、操作部30を介して移動されたカーソルの移動に従い、給電シンボルを移動させる。
【0059】
一方、給電シンボルの移動指令が入力されていない場合には(S250:NO)、S270に移行して、操作部30を介して、給電シンボルの消去指令が入力されたか否かを判断し、給電シンボルの消去指令が入力された場合には(S270:YES)、S280にて、消去指令により指定された給電シンボルを消去し、S290に移行する。一方、給電シンボルの消去指令が入力されない場合には(S270:NO)、S290に移行する。また、S240にて、表示された給電シンボルが選択されていない場合には(S240:NO)、S290に移行する。
【0060】
そして、S290では、操作部30を介して、給電情報の確定指令が入力されたか否かを判断し、給電情報の確定指令が入力されていない場合には(S290:NO)、S220に移行し、S220からの処理を給電情報の確定指令が入力されるまで実行する。
【0061】
一方、S290にて、給電情報の確定指令が入力された場合には(S290:YES)、S300に移行して、系統図上の給電シンボルの位置を読み取って、シンボル情報テーブルに記憶された給電シンボル有無の値を更新する。例えば、図3(b)において、機器アドレスがA7の増幅装置と、機器アドレスA8の増幅装置の間には給電シンボルが表示されているため、図4(a)の下側のテーブルのように、機器アドレス元A7、機器アドレス先A8の供給シンボル有無は値1に設定され、図3(b)において、機器アドレスがA11の増幅装置と、機器アドレスA15の増幅装置の間には給電シンボルが表示されていないため、図4(a)の下側のテーブルのように、機器アドレス元A11、機器アドレス先A15の供給シンボル有無は値0に設定される。
【0062】
そして、続くS310では、更新されたシンボル情報テーブルと経路情報とに基づいて、第1増幅装置を起点に順に接続される増幅装置を抽出し、給電情報テーブルにおいて、抽出した増幅装置に対する給電増幅装置を更新し、当該処理を終了する。
【0063】
なお、図4(a)の下側のテーブルは、図3(b)の状態で確定指令が入力された場合のシンボル情報テーブル、図4(b)の右側のテーブルは、このシンボル情報テーブルと経路情報とに基づいて、給電増幅装置が更新された給電情報テーブルである。
【0064】
次に、ステイタスセンタ20の制御部22により実行される機器更新処理について図6及び図7を用いて説明する。なお、本機器更新処理は、特定の電源装置から第1増幅装置を介して電源供給を受けて動作している増幅装置の一覧(以下、更新画面という)を表示部28に表示し、使用者が操作部30を介して入力した指令に従い、この更新画面を変更することにより記憶部26に記憶された給電情報を更新する処理である。
【0065】
図6は、本実施形態の機器更新処理を表すフローチャート、図7は、更新画面及び更新後の給電情報テーブルを表す説明図である。
本機器更新処理は、操作部30を介して、増幅装置の更新指令が入力されることにより開始され、処理が開始されると、S410にて、上述した系統図の表示指令が入力された場合と同様に、記憶部26に記憶された経路情報及びシンボル情報テーブルに基づいて、表示部28に系統図を表示させ、続くS420では、操作部30を介して、系統図上で第1増幅装置が指定されたか否かを判断する。そして、第1増幅装置が指定されていない場合には(S420:NO)、S520に移行する。一方、第1増幅装置が指定された場合には(S420:YES)、S430にて、給電情報テーブルから、給電増幅装置が指定された第1増幅装置である増幅装置を全て読み取り、続くS440では、読み取った増幅装置に基づいて、更新画面を生成し、図7(a)に示すような更新画面を、表示部28に表示された系統図上にポップアップ表示させる。なお、図7(a)は、機器アドレスがA7の第1増幅装置が指定された場合に、図4(b)の右側に示す給電情報テーブルを読み取ることにより生成した更新画面の例であり、更新画面上の選択アドレスの欄に読み取った増幅装置の一覧が表示されている。
【0066】
次に、S450にて、操作部30を介して、増幅装置の削除指令が入力されたか否かを判断し、増幅装置の削除指令が入力された場合には(S450:YES)、S460にて、操作部30を介して入力された指令に従い、指定された機器アドレスを選択アドレスの欄から消去し、除外アドレスの欄に表示させ、S470に移行する。一方、S450にて、増幅装置の削除指令が入力されていない場合には(S450:NO)、S470に移行する。
【0067】
そして、S470にて、操作部30を介して、増幅装置の追加指令が入力されたか否かを判断し、増幅装置の追加指令が入力された場合には(S470:YES)、S480にて、操作部30を介して入力された指令に従い、指定された機器アドレスを除外アドレスの欄から消去し、選択アドレスの欄に表示させ、S490に移行する。一方、S470にて、増幅装置の追加指令が入力されていない場合には(S470:NO)、S490に移行する。
【0068】
そして、S490では、操作部30を介して、増幅装置の確定指令が入力されたか否かを判断し、増幅装置の確定指令が入力されていない場合には(S490:NO)、S450に移行して、S450からの処理を繰り返し実行する。一方、S490にて、増幅装置の確定指令が入力されたされた場合には(S490:YES)、続くS500にて、更新画面に表示された内容に基づいて、給電情報テーブルを更新する。なお、図7(c)は、図7(b)に示す状態で、増幅装置の確定指令が入力された場合に、更新画面に表示された内容に基づいて更新された給電情報テーブルを表している。
【0069】
続く、S510では、更新画面を系統図上から消去し、S520では、操作部30を介して、増幅装置の更新の終了指令が入力されたか否かを判断し、終了指令が入力されていない場合には(S520:NO)、S420に移行し、S420からの処理を繰り返し実行する。一方、終了指令が入力された場合には(S520:YES)、当該処理を終了する。
【0070】
次に、ステイタスセンタ20の制御部22により実行される停電時処理について図8及び図9を用いて説明する。図8は、本実施形態の停電時処理を表すフローチャート、図9は、商用電源の停電を検出した場合に表示部28に表示される系統図を表す説明図である。
【0071】
本停電時処理は、通信部24を介して、第1増幅装置から出力された商用電源の異常を表す異常信号が入力されることにより開始され、処理が開始されると、S610にて、上述した系統図の表示指令が入力された場合と同様に、記憶部26に記憶された経路情報及びシンボル情報テーブルに基づいて、表示部28に系統図を表示させ、続くS620では、図9(a)に示すように、系統図上の異常信号を出力した第1増幅装置を示す図形に、異常マーク(図中、斜線塗りつぶしの四角形)を重畳する。
【0072】
そして、S630にて、操作部30を介して、系統図上で異常マークを重畳した第1増幅装置が指定されたか否かを判断し、第1増幅装置が指定された場合には(S630:YES)、S640にて給電情報テーブルの給電増幅装置が当該第1増幅装置である増幅装置を、この第1増幅装置を介して同じ電源装置50から電源供給を受ける増幅装置として抽出する。続くS650では、図9(b)に示すように、系統図上において、S640にて抽出した増幅装置を示す図形に異常マーク(図中、破線の四角形)を重畳し、当該処理を終了する。一方、S630にて、第1増幅装置が指定されない場合には(S630:NO)、当該処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態のCATVシステムのステイタスセンタ20によれば、操作部30を介して、給電情報の更新指令が入力されると、制御部22は、記憶部26に記憶された経路情報に基づいて、表示部28に、各装置の接続状態を表す系統図を表示し、さらに、シンボル情報テーブルを読み取って、系統図上の各増幅装置間に、給電シンボルを表示させる。そして、操作部30を介して、給電シンボルの追加、消去等の各種指令が入力されると、制御部22は、系統図上で給電シンボルの追加、消去等を行い、給電シンボルの確定指令が入力されると、制御部22は、系統図上の給電シンボルの位置を読み取って、シンボル情報テーブルに記憶された給電シンボル有無の値を更新し、さらに、更新したシンボル情報テーブルと経路情報とに基づいて、第1増幅装置を起点に順に接続される増幅装置を抽出し、給電情報テーブルにおいて、抽出した増幅装置に対する給電増幅装置を更新する。
【0074】
このため、本実施形態のステイタスセンタ20によれば、使用者は、操作部30を介して、系統図上に表示された増幅装置間への給電シンボルの追加、削除指令等を入力することで、第1増幅装置と、第1増幅装置を介して電源装置から電源供給を受ける増幅装置との関係を表す給電情報の登録及び更新を容易に行うことができる。このため、給電情報を各増幅装置の機器アドレス等により手入力で登録する場合に比べ、登録時間を短縮することができる。
【0075】
また、操作部30を介して増幅装置の更新指令が入力されると、制御部22は、記憶部26に記憶された経路情報及びシンボル情報テーブルに基づいて、表示部28に系統図を表示し、操作部30を介して系統図上で第1増幅装置が指定されると、給電情報テーブルから、給電増幅装置が指定された第1増幅装置である増幅装置を全て読み取って更新画面を生成し、系統図上にポップアップ表示させる。そして、操作部30を介して更新画面上で増幅装置の削除、追加指令が入力されると、制御部22は、指令に従い指定された機器アドレスを選択アドレスまたは除外アドレスの欄に表示する。また、操作部30を介して、増幅装置の確定指令が入力されると、更新画面に表示された内容に基づいて、給電情報テーブルを更新する。
【0076】
よって、使用者は、操作部30を介して増幅装置の更新指令を入力し、表示された系統図上で、更新したい第1増幅装置を指定することで、指定した第1増幅装置を介して同じ電源装置から電源供給を受ける増幅装置の一覧表示を確認することができ、そして、操作部30を介して、増幅装置の追加又は削除指令を入力することで、容易に第1増幅装置を介して電源供給を受けて動作する増幅装置を変更することができる。このため、系統図上で登録した給電情報、つまり、給電シンボルの位置が間違っていたような場合にも、間違いを容易に発見することができ、また、容易に修正することができるので都合がよい。
【0077】
また、通信部24を介して商用電源の停電を表す異常信号が入力されたときには、系統図上の異常信号を発生した第1増幅装置を表す図形上に異常マークを重畳し、その後、操作部30を介して全ての増幅装置の表示指令が入力されると、記憶部26に記憶された給電情報テーブルに基づいて、第1増幅装置を介して同じ電源装置50から電源供給を受けて動作している増幅装置を表す図形に異常マークを重畳する。
【0078】
よって、使用者は、系統図上の異常マークにより、第1増幅装置が電源供給を受ける電源装置50がバッテリにより電源を供給していることを認識することができる。そして、同じ電源装置50から電源供給を受けて動作している増幅装置を確認したい場合には、表示指令を入力することで、この電源装置50から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置に異常マークが重畳されるので便利である。
【0079】
なお、本実施形態において、ステイタスセンタ20は本発明の電源監視装置に相当し、記憶部26は本発明の経路情報記憶手段及び給電情報記憶手段に相当し、表示部28は、本発明の表示手段に相当し、操作部30は本発明の入力手段に相当し、S210、S410、S610の処理は本発明の系統図表示制御手段及びシンボル表示手段に相当し、S220〜S280の処理は本発明のシンボル表示更新手段に相当し、S290〜S310の処理は本発明の第1給電情報更新手段に相当し、S420〜S440の処理は本発明の一覧表示制御手段に相当し、S450〜S480の処理は本発明の一覧表示更新手段に相当し、S490、S500の処理は本発明の第2給電情報交信手段に相当し、S620〜S650の処理は本発明の電源異常表示制御手段に相当する。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
上記実施形態の双方向CATVシステムにおいては、電源装置50は、第1増幅装置に直接接続され、第1増幅装置を介して、交流電力信号を伝送線上に出力し、増幅装置に電源を供給するように構成されていたが、例えば、伝送線上に設けられた電力信号重畳回路に接続し、この回路を介して、伝送線上に交流電力信号を出力し、各増幅装置に電源供給するように構成してもよい。そして、この場合には、電力信号重畳回路に最も近い増幅装置を第1増幅装置として、この装置に商用電源の異常を表す異常信号を入力するように構成すればよく、このようにすれば、上記実施形態と同様に、第1増幅装置から出力される異常信号により、ステイタスセンタ20で電源装置の給電状態を監視し、商用電源の停電時には表示部28に、この電源装置から電源供給を受ける全ての増幅装置を表示することができる。
【0081】
また、上記実施形態のCATVシステムにおいて、電源装置50が故障した場合には、電源装置50と第1増幅装置との間に給電関係が無くなるため、経路情報を変更する必要がある。これは、制御部22が、給電情報登録処理を実行し、給電情報テーブルを更新する際には、電源装置50に直接接続されている増幅装置を第1増幅装置として、第1増幅装置を起点に順に接続される増幅装置を抽出し、給電情報テーブルにおいて、抽出した増幅装置に対する給電増幅装置を更新するため、接続された電源装置50から電源供給を受けていない増幅装置を第1増幅装置として、この第1増幅装置を起点に増幅装置が抽出されてしまうと、給電情報テーブルが正しく登録されないおそれがあるからである。
【0082】
ここで、経路情報、つまり、電源装置50と第1増幅装置との接続経路の変更は、記憶部26に記憶された接続経路を手入力により書き換えるようにしてもよいが、系統図上で、電源装置50と増幅装置との間に表示した給電シンボルにより変更できるようにしてもよい。
【0083】
つまり、電源装置50と第1増幅装置との間に給電シンボルが表示されている場合は、各装置間が接続関係にあり、給電シンボルが表示されていない場合は各装置間に接続関係がないとして、記憶部26に記憶された接続経路を更新するようにすればよく、このようにすると、使用者は、系統図上で給電シンボルを追加、または、削除する指令を入力するだけで、容易に接続経路を書き換えることができ、便利である。
【0084】
また、上記実施形態では、第1増幅装置から出力された異常信号が入力されたときに、系統図上の異常信号を出力した第1増幅装置を表す図形上にのみ、異常マークを重畳するようにしたが、同時に、同じ電源装置から電源供給を受けて動作する全ての増幅装置を表す図形に異常マークを重畳させてもよく、さらに、商用電源の停電を検出した電源装置を表す図形にも異常マークを重畳させるようにしてもよい。
【0085】
さらに、上記実施形態では、機器更新処理においては、更新画面の内容に基づいて給電情報テーブルのみを更新し、シンボル情報テーブルは更新しないように構成しているが、シンボル情報テーブルも更新するように構成してもよい。このようにすると、系統図に表示される給電シンボルと、給電情報テーブルに記憶された情報とを常に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】双方向CATVシステム全体の構成を表す構成図である。
【図2】第1増幅装置と電源装置の構成を表すブロック図である。
【図3】表示部に表示される系統図を表す説明図である。
【図4】シンボル情報テーブル及び給電情報テーブルを表す説明図である。
【図5】供給情報登録処理を表すフローチャートである。
【図6】機器更新処理を表すフローチャートである。
【図7】更新画面及び更新後の給電情報テーブルを表す説明図である。
【図8】停電時処理を表すフローチャートである。
【図9】停電を示す信号が入力された際に表示される系統図を表す説明図である。
【符号の説明】
【0087】
4a…幹線分岐増幅器、4b…幹線増幅器、6a、8a…分岐増幅器、6b、8b…中継増幅器、10…センタ装置、11a…衛星受信アンテナ、11b…地上波受信アンテナ、12…送受信器、14…レシーバ、16…変調器、20…ステイタスセンタ、22…制御部、24…通信部、26…記憶部、28…表示部、30…操作部、32…システム自動調整部、50…電源装置、52…電源回路、54…バッテリ、56…充電回路、58…スイッチ、60…停電検出回路、62,74…電源分離フィルタ、64,72,76,80…LPF、66,70,82,86…HPF、88,90,92,94…スイッチ、68…下り増幅回路、78…上りLow増幅回路、84…上りHigh増幅回路、96…電源ユニット、100…ステイタスモニタユニット、102…制御部、104…高周波モデム、106…A/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ装置から端末側に至る伝送線上に分散して配置され、該伝送線を流れる伝送信号を増幅して出力する複数の増幅装置と、
商用電源から電源供給を受けて電源電圧を生成し、該生成した電源電圧を一部の増幅装置に各々供給する複数の電源装置と、
を備え、該電源装置から直接電源供給を受ける給電増幅装置は、前記電源装置から直接電源供給を受けることのできない被給電増幅装置に対して、前記伝送線を介して電源電圧を供給するよう構成され、
前記各電源装置は、商用電源から電源供給を受けているときに内蔵バッテリに電力を蓄積し、商用電源からの電源供給が遮断されると、該内蔵バッテリに蓄積された電力により電源電圧を生成して前記増幅装置に電源供給を行い、しかも、商用電源の異常を表す異常信号を、電源電圧を直接供給している給電増幅装置に出力して、該給電増幅装置から前記センタ装置側に送信させるよう構成されたCATVシステムにおいて、
前記センタ装置側で、端末側から伝送されてくる異常信号に基づき、前記各増幅装置への給電状態を監視する電源監視装置であって、
外部操作により各種指令を入力するための入力手段と、
前記センタ装置から前記各増幅装置を介して端末側に至る伝送経路と、前記各電源装置の給電増幅装置への接続経路とを表す経路情報が記憶された経路情報記憶手段と、
前記各給電増幅装置と、該各給電増幅装置を介して前記各電源装置から電源供給を受ける被給電増幅装置との関係を表す給電情報が記憶された給電情報記憶手段と、
前記経路情報記憶手段に記憶された経路情報に基づき、前記各装置の接続状態を表す系統図を表示手段に表示する系統図表示制御手段と、
前記伝送線を介して端末側より前記異常信号が入力されると、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、前記異常信号を発生した電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を特定し、該特定した各増幅装置を前記表示手段に表示されている系統図上で識別可能に表示させる電源異常表示制御手段と、
前記入力手段を介して前記給電情報の更新指令が入力されると、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、前記各電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を電源装置毎に特定し、前記表示手段に表示されている系統図上で、該特定した増幅装置同士を接続する伝送経路に、各電源装置からの給電状態を表すシンボルを表示するシンボル表示手段と、
該シンボル表示手段が前記系統図上にシンボルを表示しているときに、前記入力手段を介して該シンボルの表示変更指令が入力されると、該指令に従い前記表示手段に表示されている系統図上でシンボルの追加、移動、消去を行うシンボル表示更新手段と、
前記シンボル表示手段が前記系統図上にシンボルを表示しているときに、前記入力手段を介して前記給電情報の確定指令が入力されると、前記表示手段に表示された系統図上でのシンボルの位置から、前記各電源装置から電源供給を受けて動作する全ての増幅装置を特定し、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報を更新する第1給電情報更新手段と、
を備えたことを特徴とする電源監視装置。
【請求項2】
前記入力手段を介して特定の電源装置に関する給電情報の更新指令が入力されると、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、前記特定の電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置を識別可能な一覧を前記表示手段に表示する一覧表示制御手段と、
該一覧表示制御手段が前記表示手段に前記増幅装置の一覧を表示しているときに、前記入力手段を介して増幅装置の追加又は削除指令が入力されると、該指令に従い前記一覧表示されている増幅装置を変更する一覧表示更新手段と、
該一覧表示制御手段が前記表示手段に前記増幅装置の一覧を表示しているときに、前記入力手段を介して前記特定の電源装置に関する給電情報の確定指令が入力されると、そのとき前記表示手段に表示されている増幅装置の一覧に従い、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報を更新する第2給電情報更新手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電源監視装置。
【請求項3】
前記電源異常表示制御手段は、前記異常信号が入力されたときには、前記異常信号を発生した電源装置から直接電源供給を受ける給電増幅装置を前記表示手段に表示されている系統図上で識別可能に表示させ、その後、前記入力手段を介して、前記電源装置から電源供給を受けて動作している全ての増幅装置の表示指令が入力されると、前記給電情報記憶手段に記憶された給電情報に基づき、前記異常信号を発生した電源装置から電源供給を受けて動作している全ての被給電増幅装置を特定し、該特定した各被給電増幅装置を前記系統図上で識別可能に表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電源監視装置。
【請求項4】
コンピュータを、少なくとも請求項1に記載の電源監視装置における系統図表示制御手段、電源異常表示制御手段、シンボル表示手段、シンボル表示更新手段、及び、第1給電情報更新手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−158393(P2007−158393A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346469(P2005−346469)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】