説明

電源装置とそれを用いた自動車

【課題】 本発明は、電源装置とそれを用いた自動車に関するものであり、負荷の動作を安定化させるものである。
【解決手段】 そして、この目的を達成する為に本発明は、DC/DCコンバータ7の入力端子12と出力端子13間に電流検出手段23を設け、この電流検出手段23によって検出した電流値によって、このDC/DCコンバータ7の電圧変換値を可変する構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源装置とそれを用いた自動車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の、例えば自動車用に用いられる電源装置の構成は次のような構成となっていた。即ち、電圧変換装置と、この電圧変換装置の出力側に接続された直流電源とこの直流電源からの出力端子を備えた構成となっていた。
【0003】また、電圧変換装置の入力側には、例えば300Vの直流電源が接続されていた。この300Vの直流電源は例えば自動車をモータ駆動する場合に、このモータを駆動する為のものである。
【0004】さて、電圧変換装置の出力側に接続された直流電源は、14Vになっており、この14Vの直流電源は、例えば自動車のライトなどを駆動するものである。つまり電圧変換装置は、300Vの直流電源を14Vの直流電源に変換する様になっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例において、電圧変換装置の出力側に接続された14Vの直流電源は、例えば負荷として用いたライトに流れる電流が大きくなると、電圧が低下し、この結果としてライトが暗くなってしまうということがある。
【0006】そこで従来は、この14Vの出力端子に、別個に設けた検出線を接続し、この14Vの出力端子の電圧を検出することにより、電圧変換装置からの出力電圧を高めるという動作をしている。
【0007】しかしながら、このように14Vの直流電源の出力端子に、別個に設けた検出線を接続するようにした構成においては、次のような問題点が発生するおそれがあった。即ち、14Vの直流電源は、バッテリー交換などが必要となり、その際には、このバッテリー交換に伴って、検出線も外されることになる。
【0008】そして、このバッテリー交換の後に、検出線を取りつけ忘れてしまうと、上述したような電圧低下を防止することができなくなってしまう。
【0009】ここで問題となるのは、検出線を取りつけ忘れた場合でも、自動車の動作としては、ただちには、大きな影響を受けないということである。
【0010】つまり、検出線を取りつけ忘れたとしても、14Vの直流電源からは、ライトへ電圧は供給され、ただし、その照度が低下してしまうということで、それを使用者が気がつかないまま継続的に使用されてしまうことになるのである。
【0011】そこで本発明は、上述した従来例のような検出線の取りつけ忘れなどによる負荷への電圧の安定供給されないという問題を解消することを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成する為に、本発明は、前記電圧変換装置の入力側と出力側間に電圧変換器を有し、この電圧変換器の二次側に電流検出手段を設け、この電流検出手段によって検出した電流値によって、前記電圧変換器の電圧変換値を可変する構成としたものである。
【0013】即ち、従来例とは異なり、電圧変換装置の出力側に接続した直流電源に対して、別個に検出線を設けることが不必要となるものである。
【0014】つまり本発明においては、電圧変換器は、その内部に電流変換器を有し、この電流変換器によって直流電源側に流れた電流の大きさを検出し、その電流が大きい場合には、この直流電源の電圧が低下するということを予測し、その予測に基づいて、自ら電圧変換器の電圧変換値を高めるようにするものである。
【0015】この結果として、直流電源の出力端子に接続される負荷への負荷電流が増えた場合であっても、電圧変換器の出力電圧を高めることによって、直流電源の電圧が低下する事を防ぎ、これによって負荷を安定に動作させることができるようになるものである。このように、別個に検出線を設けなくてよいので、直流電源の交換、つまりバッテリー交換を行った際にその検出線を取りつけ忘れることで負荷の安定動作に対する信頼性を損なうことがなくなるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、電圧変換装置と、この電圧変換装置の出力側に接続された直流電源と、この直流電源からの出力端子とを備え、前記電圧変換装置は、その入力側と出力側との間に電圧変換器を有し、この電圧変換器の二次側に電流検出手段を設け、この電流検出手段によって検出した電流値によって前記電圧変換器の電圧変換値を可変する構成とした電源装置であって、直流電源に流れる電流値を電流検出手段によって検出し、それによって電圧変換器の電圧変換値を可変することにより、直流電源に接続される負荷の動作を安定させることができるものである。
【0017】本発明の請求項2に記載の発明は、電圧変換器は、トランスと、このトランスの一次側に介在させたスイッチング手段と、このスイッチング手段の開閉制御手段とにより構成した請求項1に記載の電源装置であって、トランスの一次側に介在させたスイッチング手段を開閉制御手段によって開閉制御することにより、直流電源に流れる電流値に応じた電圧変換を行うことにより、直流電源の出力端子に接続される負荷の動作を安定させることができるものである。
【0018】本発明の請求項3に記載の発明は、電流検出手段を、抵抗で構成し、この抵抗部に発生する電圧値の大きさにより開閉制御手段の動作を決定する請求項2に記載の電源装置であって、電流検出手段を抵抗で構成することにより、その回路は極めて簡単で、しかも正しく電流を検出することができるようになる。
【0019】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一つの電源装置の電圧変換装置の入力側には、第一の直流電源を接続し、この電圧変換装置の出力側には、第二の直流電源を接続し、第一の直流電源の電圧値は、第二の直流電源の電圧値よりも高くした自動車であって、電圧の高い第一の直流電源の電圧を電圧変換装置で変換することにより、第二の直流電源の電圧を得るものにおいて、第二の直流電源の電圧を、負荷に流れる電流に対応して制御することができ、これによって自動車の負荷の動作を安定させることができるようになるものである。
【0020】本発明の請求項5に記載の発明は、第一の直流電源は駆動モータの駆動用とした請求項4に記載の自動車であって、第一の直流電源は駆動モータの駆動用としたものであるので、数百Vの極めて高い電圧となり、極めて高い第一の直流電源を電圧変換装置によって降圧し、これによって第二の直流電源の電圧値を安定させ、自動車としての動作を安定させることができるものである。
【0021】以下本発明の一実施形態を添付図面に従って説明する。
【0022】図1において、1は自動車で、この自動車1は、本体2とその本体2を支えた4本のタイヤ3とにより構成されている。前記タイヤ3は、エンジン4と駆動モータ5により駆動されるようになっている。つまり、始動時には、駆動モータ5で始動し、所定のスピードになった時点でエンジン4を駆動するようになっている。
【0023】駆動モータ5を駆動する為には、非常に大きな電圧が必要で、本実施形態では300Vの直流電源6を設けている。この直流電源6で駆動モータ5を駆動するようになっている。また、この直流電源6はDC/DCコンバータ7により、14Vに変換され、それにより直流電源8を14Vに充電するようになっている。
【0024】そして、この直流電源8により、他の負荷たとえばライト9が駆動されるようになっている。以上の構成の電気回路部分だけを取り出したものが図2である。
【0025】この図2に示すように、直流電源6は、駆動モータ5とDC/DCコンバータ7に接続されている。またエンジン4によって発電機10が駆動され、この発電機10によって得られた電圧は、直流電源6を充電するようになっている。
【0026】この300Vの直流電源6は、DC/DCコンバータ7に接続され、その二次側において、直流電源8を14Vに充電するようになっている。
【0027】図3は、DC/DCコンバータ7とライト9の接続部分を示したものである。
【0028】つまり、DC/DCコンバータ7から直流電源8を介してライト9に電流I0が流れると線路抵抗11で電圧降下が必ず発生する事になる。
【0029】この結果として、直流電源8は14Vに充電されず、またライト9にも14Vが供給されなくなることがある。そこで、このようにライト9に対して電流I0が流れた場合には、DC/DCコンバータ7の電圧を高くすることにより、直流電源8の電圧降下および負荷へ供給される電圧の電圧降下を防ぐ必要がある。
【0030】そこで、本実施形態では、DC/DCコンバータ7を図4に示す構成としたものである。
【0031】このDC/DCコンバータ7は、入力端子12と出力端子13の間にトランス14を設けている。このトランス14の1次巻線14aには、スイッチング手段15を介して、その開閉制御手段16が接続されている。
【0032】またトランス14の2次巻線14bには、ダイオード17とコンデンサ18による平滑回路が接続されている。また、出力端子13には抵抗19,20の直列体が接続され、その接続点はオペアンプ21の負入力端子が接続されている。
【0033】オペアンプ21の正入力には、基準電源22が接続され、このオペアンプ21の出力が開閉制御手段16に接続されている。
【0034】また、2次巻線14bと出力端子13の間には、抵抗で構成された電流検出手段23が接続されている。この電流検出手段23は、小さな抵抗で構成されている。しかし、この小さな抵抗でも流れる電流によって電圧を発生し、その電圧を増幅器24で増幅し、これをオペアンプ25の負入力端子に入力するようにしている。オペアンプ25の正入力端子には基準電源26が接続されている。
【0035】また、このオペアンプ25の出力には、抵抗27を介して、抵抗19,20の接続点が接続されている。
【0036】以上のような構成において、図3で示したように、直流電源8にライト9を接続し、このライト9が駆動された場合に、図4において、I0の大きな電流が流れる事になる。この大きな電流が流れた場合には電流検出手段23でそれを検出し、それを増幅器24で増幅し、オペアンプ25の負入力に入力する。
【0037】そして、このオペアンプ25で基準電圧26との比較をし、その比較した結果に応じた電流を抵抗27に流すことになる。この抵抗27に流れる電流は、電流I0、つまりライト9に流れる電流が大きければ大きいほど、この抵抗27に流れる電流は大きくなる。
【0038】負荷電流I0が大きくなると、電流検出手段23の電圧は大きくなり、それを増幅器24で増幅してオペアンプ25の負入力に供給することになる。
【0039】このオペアンプ25の負入力と基準電圧との差が小さくなるとオペアンプ25の出力電圧は低くなる。その結果、抵抗19,20の接続点の電圧も低くなり、このように電圧が低くなることにより、オペアンプ21の負入力の電圧も低下することになる。このオペアンプ21の負入力が低下した場合、オペアンプ21の出力電圧は高くなる。オペアンプ21の出力電圧が高くなると、開閉制御手段の中においてトランス14の一次側と二次側の分離する為に設けたフォトダイオードの電流が小さくなるような構成としている。
【0040】フォトダイオードに流れる電流が小さくなると、この開閉制御手段16の中に設けたPWM制御回路において、スイッチング手段15のオン時間が長くなり、これによってトランス14の2次巻線14bに発生する電圧が高くなる。
【0041】この結果、図3における直流電源8の両端電圧は高くなり、ライト9を駆動したことによる電圧低下を補うことができるようになる。
【0042】つまり、このようにした場合でもライト9の安定動作が行えるようになるものである。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明は、電圧変換装置と、この電圧変換装置の出力側に接続された直流電源と、この直流電源からの出力端子とを備え、前記電圧変換装置は、その入力側と出力側間に電圧変換器を有し、この電圧変換器の二次側に電流検出手段を設け、この電流検出手段によって検出した電流値によって前記電圧変換器の電圧変換値を可変する構成としたものであり、直流電源装置自体に直流電源に供給する電圧低下を検出する為の電流検出手段を設けたので、別個に電圧検出線を接続するもののように、その取りつけを忘れてしまった結果として、直流電源およびこの直流電源に接続される負荷の電圧低下を招いてしまうのを防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における自動車の構成図
【図2】同実施の形態における電気回路の構成図
【図3】同実施の形態におけるDC/DCコンバータとライト接続を示す回路図
【図4】同実施の形態におけるDC/DCコンバータの回路図
【符号の説明】
12 入力端子
13 出力端子
14 トランス
14a トランス1次巻線
14b トランス2次巻線
15 スイッチング手段
16 開閉制御手段
17 ダイオード
18 コンデンサ
19,20,27 抵抗
21,25 オペアンプ
22,26 基準電源
23 電流検出手段
24 増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電圧変換装置と、この電圧変換装置の出力側に接続された直流電源と、この直流電源からの出力端子とを備え、前記電圧変換装置は、その入力側と出力側との間に電圧変換器を有し、この電圧変換器の二次側に電流検出手段を設け、この電流検出手段によって、前記電圧変換器の電圧変換値を可変する構成とした電源装置。
【請求項2】 電圧変換器は、トランスと、このトランスの一次側に介在させたスイッチング手段と、このスイッチング手段の開閉制御手段とにより構成した請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】 電流検出器は、抵抗で構成し、この抵抗部に発生する電圧値の大きさにより開閉制御手段の動作を決定する請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】 請求項1から3のいずれか一つの電源装置の電圧変換装置の入力側には第一の直流電源を接続し、この電圧変換装置の出力側には、第二の直流電源を接続し、第一の直流電源の電圧値は第二の直流電源の電圧値よりも高くした自動車。
【請求項5】 第一の直流電源は駆動モータの駆動用とした請求項4に記載の自動車。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−247846(P2002−247846A)
【公開日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−41332(P2001−41332)
【出願日】平成13年2月19日(2001.2.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】