電源装置
【課題】コンデンサに蓄えた電荷を効率的に放電でき、小型化が容易な電源装置を提供すること。
【解決手段】電源装置1は、一対の電力ライン11と、昇圧部2と、平滑コンデンサ3と、放電防止用ダイオード5とを備える。平滑コンデンサ3の両端子30,31のうち、第1リアクトル21を設けた電力ライン11(負側の電力ライン11n)とは反対側の電力ライン11(正側の電力ライン11p)に接続した端子30と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、スイッチ4を介して電気的に接続されている。電源12から直流負荷10へ電力を供給する際には、スイッチ4をオフにする。電源12から直流負荷10への電力供給を停止した後、スイッチ4をオンにすることにより、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷を、スイッチ4および第1リアクトル21を通して放電する。
【解決手段】電源装置1は、一対の電力ライン11と、昇圧部2と、平滑コンデンサ3と、放電防止用ダイオード5とを備える。平滑コンデンサ3の両端子30,31のうち、第1リアクトル21を設けた電力ライン11(負側の電力ライン11n)とは反対側の電力ライン11(正側の電力ライン11p)に接続した端子30と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、スイッチ4を介して電気的に接続されている。電源12から直流負荷10へ電力を供給する際には、スイッチ4をオフにする。電源12から直流負荷10への電力供給を停止した後、スイッチ4をオンにすることにより、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷を、スイッチ4および第1リアクトル21を通して放電する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平滑コンデンサを放電する機能を備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図12に示すごとく、インバータ91と電源92との間に設けた電源装置90が知られている(下記特許文献1、2、3、4参照)。この電源装置90は、整流回路96と、コンデンサ93と、スイッチ94と、放電抵抗95とを備える。スイッチ94と放電抵抗95とは直列に接続されて直列体99を構成している。コンデンサ93と直列体99とは、インバータ91に対して並列に接続されている。また、電源92と電源装置90との間には、リレー98が設けられている。
【0003】
インバータ91を稼動する際には、スイッチ94をオフにした状態で、リレー98をオンにする。このようにすると、電源92から交流電力が供給される。交流電力は、整流回路96によって整流され、コンデンサ93によって平滑化される。これにより、インバータ91に直流電力を供給するようになっている。
【0004】
インバータ91への電力供給を停止する際には、まず、リレー98をオフにする。この後、感電事故を防止するため、コンデンサ93に蓄えられた電荷を速やかに放電する必要がある。そのため、スイッチ94をオンにし、コンデンサ93に蓄えられた電荷を、放電抵抗95を通して放電させる。
【0005】
電源装置90では、コンデンサ93に蓄えられた電荷を短時間で放電するため、抵抗値の小さな放電抵抗95を用いている。すなわち、抵抗値の小さな放電抵抗95を用いることにより、放電抵抗95に大きな電流が流れるようにし、上記電荷を短時間で放電させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−145971号公報
【特許文献2】特開2010−220287号公報
【特許文献3】特開平7−322525号公報
【特許文献4】特開2009−273286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来の電源装置90は、放電抵抗95に大きな電流を流すと、放電抵抗95の発熱量が大きくなり、温度が上昇しやすくなるという問題があった。そのため、熱容量が大きい放電抵抗95を使用して、放電抵抗95の温度上昇を抑制する必要があった。熱容量が大きな抵抗はサイズが大きいため、電源装置90が大型化したり、製造コストが上昇したりする問題があった。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、コンデンサに蓄えた電荷を効率的に放電でき、小型化が容易な電源装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、直流負荷に接続され、電源から上記直流負荷に電力を供給するための一対の電力ラインと、
該一対の電力ラインの間に、上記直流負荷に並列になるよう接続されたスイッチング素子、および、上記一対の電力ラインのうち一方の電力ラインに、上記直流負荷に直列になるよう接続された第1リアクトルを有し、上記電源の電圧を昇圧する昇圧部と、
上記一対の電力ラインの間に、上記直流負荷に並列になるよう接続された平滑コンデンサと、
上記電力ラインにおける、上記スイッチング素子と上記平滑コンデンサとの間に設けられた放電防止用ダイオードとを備え、
上記平滑コンデンサの両端子のうち、上記第1リアクトルを設けた上記電力ラインとは反対側の電力ラインに接続した端子と、上記第1リアクトルの上記電源側の端子との間は、スイッチを介して電気的に接続され、
上記スイッチをオフにした状態で上記電源から上記直流負荷へ電力を供給し、
上記電源から上記直流負荷への電力供給を停止した後、上記スイッチをオンにすることにより、上記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を、上記スイッチおよび上記第1リアクトルを通して放電するよう構成されていることを特徴とする電源装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
上記電源装置においては、上記スイッチをオンすることにより、平滑コンデンサに蓄えられた電荷を上記第1リアクトルに流して放電するよう構成されている。
このようにすると、第1リアクトルの抵抗成分を使って、上記電荷を放電することが可能になる。すなわち、上記スイッチをオンすると、平滑コンデンサと第1リアクトルとが直列に接続された閉回路が形成されるため、平滑コンデンサに蓄えられた電荷は放電電流となり、第1リアクトルを流れる。そして、第1リアクトルの抵抗成分によって放電電流が減衰する。これにより、上記電荷を放電できる。
【0011】
第1リアクトルは、昇圧部を構成する部品であるため、サイズが比較的大きく、熱容量が大きいものが用いられる。そのため、第1リアクトルに大きな電流を流して発熱した場合でも、温度上昇は少なくてすむ。従って、平滑コンデンサの放電時に、第1リアクトルに大きな電流を流すことができ、平滑コンデンサを短時間で放電させることができる。そのため、感電事故等を防止しやすくなる。
【0012】
また、上記構成によると、昇圧部を構成する第1リアクトルを、平滑コンデンサの放電に利用するため、放電専用のリアクトルや抵抗を別途設ける必要がない。そのため、電源装置を小型化でき、また、製造コストを低減することが可能となる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、コンデンサに蓄えた電荷を効率的に放電でき、小型化が容易な電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、電源装置の回路図。
【図2】実施例1における、スイッチをオンした直後の、平滑コンデンサの両端電圧および第1リアクトルに流れる電流のシミュレーション結果。
【図3】実施例1における、電源装置を充電装置に用いた場合の回路図。
【図4】実施例2における、電源装置の回路図。
【図5】実施例3における、電源装置の回路図。
【図6】実施例4における、電源装置の回路図。
【図7】実施例4における、スイッチをオンした直後の、平滑コンデンサの両端電圧および放電用ダイオードに流れる電流のシミュレーション結果。
【図8】図7の要部拡大図。
【図9】実施例5における、電源装置の回路図。
【図10】実施例6における、電源装置の回路図。
【図11】実施例6における、正側の電力ラインに第1リアクトルを設けた電源装置の回路図。
【図12】従来例における、電源装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記電源装置は、車載用の電力変換装置(インバータ)や充電装置に適用することができる。
【0016】
上記電源装置において、上記平滑コンデンサは電解コンデンサであり、該平滑コンデンサに放電用ダイオードが並列接続されており、該放電用ダイオードのカソード端子は、上記平滑コンデンサの、正電圧が加わる端子に接続され、上記放電用ダイオードのアノード端子は、上記平滑コンデンサの、負電圧が加わる端子に接続されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、平滑コンデンサとして電解コンデンサを用いることが可能になる。これにより、平滑コンデンサの容量を大きくすることができ、直流負荷に加わる電圧を平滑化しやすくなる。
また、上述のように放電用ダイオードを電解コンデンサに並列接続すると、電解コンデンサが故障しにくくなる。すなわち、電解コンデンサは、正極端子と負極端子とが決められており、逆に電圧を加えると故障することがある。ここで仮に、上記放電用ダイオードを設けなかったとすると、スイッチをオンにした後、電解コンデンサと第1リアクトルとによってLC共振が起きるため、電解コンデンサの電極端子に逆に電圧が加わる。そのため、電解コンデンサが故障するという問題が生じる。
そこで、上述のように放電用ダイオードを電解コンデンサに並列接続することにより、放電電流が放電用ダイオードを流れ、電解コンデンサの電極端子に逆に電圧が加わることを防止できる。これにより、電解コンデンサの故障を防止できる。
【0017】
また、上記昇圧部は、上記一対の電力ラインのうち、上記第1リアクトルを設けた電力ラインとは反対側の電力ラインに、第2リアクトルを備えることが好ましい(請求項3)。
この場合には、昇圧部の全体のインダクタンスは、第1リアクトルのインダクタンスと、第2リアクトルのインダクタンスとを足し合わせた値となる。そのため、1個のリアクトルのみを用いた場合と比較して、第1リアクトルと第2リアクトルのインダクタンスを、それぞれ半分にすることが可能になる。そのため、第1リアクトルの抵抗成分を小さくすることができ、平滑コンデンサの放電時に、第1リアクトルに大きな放電電流を流すことが可能になる。これにより、平滑コンデンサに蓄えられた電荷を短時間で放電することができる。
【0018】
また、上記第1リアクトルの上記電源側の端子と、上記第2リアクトルの上記電源側の端子との間にフィルタコンデンサが接続しており、上記電源から上記直流負荷への電力供給を停止した後、上記スイッチをオンにすることにより、上記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を上記第1リアクトルに流して放電すると共に、上記フィルタコンデンサに蓄えられた電荷を上記第2リアクトルに流して放電するよう構成されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、平滑コンデンサとフィルタコンデンサとの、2つのコンデンサを備えている場合においても、各々のコンデンサを、放電抵抗を使用することなく放電させることができる。すなわち、平滑コンデンサは第1リアクトルを使って放電でき、フィルタコンデンサは第2リアクトルを使って放電できる。これら2つのリアクトルは、昇圧部を構成する部品である。そのため、放電専用のリアクトルや抵抗を別途設ける必要がなくなり、電源装置を小型化できると共に、電源装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0019】
また、上記スイッチは半導体スイッチであることが好ましい(請求項5)。
この場合には、機械式リレーを用いた場合と比較して、スイッチを小型化することができる。
【実施例】
【0020】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電源装置につき、図1〜図3を用いて説明する。
図1に示すごとく、本例の電源装置1は、一対の電力ライン11と、昇圧部2と、平滑コンデンサ3と、放電防止用ダイオード5とを備える。
電力ライン11は、直流負荷10に接続している。電力ライン11には、正側の電力ライン11pと、負側の電力ライン11nとがある。
昇圧部2は、スイッチング素子23および第1リアクトル21を有する。スイッチング素子23は、一対の電力ライン11p,11nの間に、直流負荷10に並列になるよう接続されている。第1リアクトル21は、負側の電力ライン11nに、直流負荷10に直列になるよう接続されている。昇圧部2は、電源12の電圧を昇圧する。
【0021】
平滑コンデンサ3は、一対の電力ライン11p,11nの間に、直流負荷10に並列になるよう接続されている。
放電防止用ダイオード5は、正側の電力ライン11pにおける、スイッチング素子23と平滑コンデンサ3との間に設けられている。
【0022】
平滑コンデンサ3の両端子30,31のうち、第1リアクトル21を設けた電力ライン11(負側の電力ライン11n)とは反対側の電力ライン11(正側の電力ライン11p)に接続した端子30と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、スイッチ4を介して電気的に接続されている。
電源12から直流負荷10へ電力を供給する際には、スイッチ4をオフにする。そして、電源12から直流負荷10への電力供給を停止した後、リレー8をオフし、スイッチ4をオンにすることにより、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷を、スイッチ4および第1リアクトル21を通して放電する。
【0023】
本例では、電源12として交流電源を用いている。電源装置1は、電源12から供給される交流電力を整流するための整流回路13を備える。整流回路13と電源12との間には、リレー8が設けられている。整流回路13と直流負荷10とは、上記電力ライン11p,11nによって接続されている。
【0024】
上述したように、昇圧部2は、電力ライン11p,11n間に設けたスイッチング素子23と、負側の電力ライン11nに設けた第1リアクトル21とから構成されている。本例では、スイッチング素子23としてIGBT素子を用いている。スイッチング素子23のコレクタ端子は正側の電力ライン11pに接続しており、エミッタ端子は負側の電力ライン11nに接続している。スイッチング素子23のゲート端子は、図示しない制御回路に接続している。制御回路は、スイッチング素子23のスイッチング動作を制御している。スイッチング素子23と負側の電力ライン11nとの接続点230と、整流回路13との間に、上記第1リアクトル21が設けられている。
【0025】
また、正側の電力ライン11pとスイッチング素子23との接続点231と、正側の電力ライン11pと平滑コンデンサ3との接続点300との間には、放電防止用ダイオード5が設けられている。放電防止用ダイオード5のアノード端子はスイッチング素子23側に接続しており、カソード端子は平滑コンデンサ3側に接続している。
【0026】
また、上記接続点300と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、導線40によって接続されている。導線40にはスイッチ4が設けられている。スイッチ4のオンオフ制御も、上記制御回路によって行われる。
【0027】
直流負荷10を稼動する際には、スイッチ4をオフにした状態で、リレー8をオンにする。このようにすると、電源12から電源装置1に交流電力が供給され、整流回路13によって全波整流される。電源装置1は、上述した制御回路によって、スイッチング素子23をオンオフ動作させている。これにより、電源12の電圧を昇圧している。
本例の昇圧部2は、いわゆるPFC回路の一部を構成している。このPFC回路によって、電源12の電圧を昇圧すると共に、電源12から供給する電力の力率を高めている。
【0028】
平滑コンデンサ3は、昇圧部2によって昇圧した電圧を平滑化する。これにより、直流負荷10に直流電力を供給するようになっている。なお、放電防止用ダイオード5は、スイッチング素子23をオンにした際に、平滑コンデンサ3に蓄えた電荷がスイッチング素子23を通って放電することを防止している。
【0029】
電源12から直流負荷10への電力供給を停止するには、まず、リレー8をオフにする。その後、スイッチ4をオンにして、平滑コンデンサとスイッチ4と第1リアクトル21とからなる閉回路を形成する。このようにすると、平滑コンデンサ3と第1リアクトル21との間でLC共振が起きる。すなわち、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷は放電電流となり、スイッチ4、導線40、第1リアクトル21を流れる。そして、放電電流は平滑コンデンサ3に蓄積され、スイッチ4をオンにする前とは逆の電圧が平滑コンデンサ3にかかるようになる。その後、平滑コンデンサ3に蓄積した電荷は、再び放電電流となり、第1リアクトル21、導線40、スイッチ4を通って流れ、平滑コンデンサ3に再度、蓄積される。これを何度も繰り返すうちに、第1リアクトル21の抵抗成分によって放電電流が減衰し、電荷が消滅する。
【0030】
スイッチ4をオンにした直後の、第1リアクトル21に流れる電流と、平滑コンデンサ3の両端電圧との時間的変化を、シミュレーションによって算出した結果を図2に示す。このシミュレーションでは、平滑コンデンサ3の容量を2mFとし、第1リアクトル21のインダクタンスを200μHとし、第1リアクトル21の抵抗成分を20mΩとし、平滑コンデンサ3の初期電圧を400Vとした。図2に示すごとく、第1リアクトル21に流れる電流(放電電流)は、スイッチ4をオンするとLC共振しながら減衰し、約100m秒後に、略0Aになる。すなわち、約100m秒で充分に放電できることが分かる。
【0031】
本例の電源装置1は、例えば図3に示すごとく、充電装置100に用いることができる。この充電装置100は、ハイブリッド車や電気自動車等に搭載したバッテリー18を、家庭に配された商用電源のコンセントから充電するための装置である。充電装置100は、直流負荷10として、複数のIGBT素子14からなるH型ブリッジ回路140と、トランス15と、ダイオードブリッジ16と、コンデンサ17とを備える。IGBT素子14のゲート端子は、上述した制御回路に接続している。
【0032】
充電装置100を使用する際には、スイッチ4をオフにした状態で、リレー8及びバッテリー側リレー19をオンにする。充電装置100は、H型ブリッジ回路140のIGBT素子14をオンオフ動作させることにより、入力された直流電力を交流電力に変換する。そして、トランス15を使って変圧する。
【0033】
トランス15の二次電圧は、ダイオードブリッジ16によって全波整流され、コンデンサ17によって平滑化される。これにより、直流電力を得て、バッテリー18を充電している。
なお、本例では、バッテリー18の充電状態に応じて、バッテリー18に印加する電圧を調整するようになっている。すなわち、バッテリー18の充電量が少ない場合は低電圧で充電し、バッテリー18の充電量が多い場合は高電圧で充電する。このような電圧の調整は、H型ブリッジ回路140のIGBT素子14がオンする時間を制御することにより行う。
【0034】
本例の作用効果について説明する。本例では、図1に示すごとく、昇圧部2を構成する第1リアクトル21の電源12側の端子210と、平滑コンデンサ3の両端子30,31のうち、第1リアクトル21を設けた電力ライン11(負側の電力ライン11n)とは反対側の電力ライン11(正側の電力ライン11p)に接続した端子30との間を、スイッチ4を介して電気的に接続した。そして、直流負荷10へ電力を供給する際にはスイッチ4をオフにしておき、直流負荷10への電力供給を停止した後にスイッチ4をオンにするよう構成した。
【0035】
このようにすると、スイッチ4をオンにした場合に、平滑コンデンサ3と第1リアクトル21とが直列に接続された閉回路が形成されるため、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷が放電電流となって第1リアクトル21を流れる。そして、第1リアクトル21の抵抗成分によって放電電流が減衰する。これにより、電荷を放電させることができる。
第1リアクトル21は、昇圧部2を構成する部品であるため、サイズが比較的大きく、熱容量が大きいものが用いられる。そのため、第1リアクトル21に大きな電流を流して発熱した場合でも、温度上昇は少なくてすむ。従って、平滑コンデンサ3の放電時に、第1リアクトル21に大きな放電電流を流すことができ、平滑コンデンサ3を短時間で放電させることができる。そのため、感電事故等を防止しやすくなる。
【0036】
また、本例では、昇圧部2を構成する第1リアクトル21を、平滑コンデンサ3の放電に利用するため、放電専用のリアクトルや抵抗を別途設ける必要がない。そのため、電源装置1を小型化でき、また、製造コストを低減することが可能となる。
【0037】
以上のごとく、本発明によれば、コンデンサに蓄えた電荷を効率的に放電でき、小型化が容易な電源装置を提供することができる。
【0038】
なお、本例のスイッチ4は機械式リレーであるが、IGBT素子等の半導体スイッチを用いてもよい。半導体スイッチを用いる場合は、スイッチ4を小型化することができる。
【0039】
(実施例2)
本例は、図4に示すごとく、電源装置1を電力変換装置101(回生機能のない昇圧コンバータとインバータ装置)に用いた例である。電力変換装置101の電源12は、ハイブリッド車や電気自動車等の車両に搭載されたバッテリー(直流電源)である。電力変換装置101は、直流負荷10として、複数のIGBT素子14からなるインバータ103を備える。インバータ103は、上記車両に搭載された三相交流モータ102に接続している。
【0040】
電力変換装置101を稼動する際には、まずリレー8をオンにする。そして、昇圧部2を使って、電源12の電圧を昇圧し、平滑コンデンサ3によって平滑化する。これにより、インバータ103に直流電力を供給する。インバータ103は、IGBT素子14をオンオフ動作することにより、直流電力を交流電力に変換する。これにより、三相交流モータ102を駆動して、上記車両を走行させている。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0041】
(実施例3)
本例は、図5に示すごとく、第1リアクトルを正側の電力ライン11pに設けた例である。この電源装置1では、正側の電力ライン11pにおける、スイッチング素子23と整流回路13との間に、第1リアクトル21が設けられている。また、負側の電力ライン11nにおける、平滑コンデンサ3とスイッチング素子23との間に、放電防止用ダイオード5が設けられている。放電防止用ダイオード5のアノード端子は、平滑コンデンサ3側に接続しており、カソード端子は、スイッチング素子23側に接続している。
【0042】
また、平滑コンデンサ3と負側の電力ライン11nとの接続点301と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、導線40によって接続されている。導線40には、スイッチ4が設けられている。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0043】
(実施例4)
本例は、図6に示すごとく、平滑コンデンサ3として電解コンデンサを用いた例である。本例では、平滑コンデンサ3に放電用ダイオード6が並列接続されている。放電用ダイオード6のカソード端子は、平滑コンデンサ3の、正電圧が加わる端子30に接続されている。また、放電用ダイオード6のアノード端子は、平滑コンデンサ3の、負電圧が加わる端子31に接続されている。
【0044】
電源12から直流負荷10に電力を供給する際には、実施例1と同様に、スイッチ4をオフにした状態で、リレー8をオンにする。また、直流負荷10への電力供給を停止する場合は、リレー8をオフにし、続いてスイッチ4をオンにする。
ここで仮に、放電用ダイオード6を設けなかったとすると、スイッチ4をオンにした後、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷は放電電流となってスイッチ4、第1リアクトル21を流れる。そして、放電電流は平滑コンデンサ3に蓄積され、スイッチ4をオンにする前とは逆の電圧が平滑コンデンサ3(電解コンデンサ)にかかるようになる。電解コンデンサは、正電圧と負電圧を加える端子が予め決められており、逆に印加すると故障するという問題がある。
【0045】
しかしながら、上述のように放電用ダイオード6を平滑コンデンサ3に並列接続すると、放電電流が放電用ダイオード6を通って流れるため、平滑コンデンサ3の電極端子30,31間に逆に電圧が加わることを防止できる。これにより、平滑コンデンサ3(電解コンデンサ)の故障を防止できる。
平滑コンデンサ3の放電電流は、スイッチ4、導線40、第1リアクトル21、負側の電力線11n、放電用ダイオード6からなる閉回路内を循環する。そして、第1リアクトル21等の抵抗成分によって放電電流は次第に減衰していく。
【0046】
スイッチ4をオンにした直後の、放電用ダイオード6に流れる電流と、平滑コンデンサ3の両端電圧との時間的変化を、シミュレーションによって算出した結果を図7、図8に示す。このシミュレーションでは、平滑コンデンサ3の容量を2mFとし、第1リアクトル21のインダクタンスを200μHとし、第1リアクトル21の抵抗成分を20mΩとし、平滑コンデンサ3の初期電圧を400Vとした。図7、図8に示すごとく、平滑コンデンサ3の両端電圧は、スイッチ4をオンしてから約1m秒後に、略0Vまで低下する。すなわち、約1m秒で充分に放電できることが分かる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0047】
本例の作用効果について説明する。本例では、放電用ダイオード6によって、平滑コンデンサ3の端子30,31に逆に電圧が加わることを防止できるため、平滑コンデンサ3として電解コンデンサを用いた場合でも、故障させずに使用することが可能になる。電解コンデンサは容量が大きいため、直流負荷に加わる電圧を平滑化しやすくなる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0048】
(実施例5)
本例は、図9に示すごとく、2個のリアクトル21,22を設けた例である。本例では、負側の電力ライン11nに第1リアクトル21を設け、正側の電力ライン11pに第2リアクトル22を設けた。また、実施例1と同様に、第1リアクトル21の電源12側の端子210と、平滑コンデンサ3の両端子30,31のうち、第1リアクトル21を設けた電力ライン11(負側の電力ライン11n)とは反対側の電力ライン11(正側の電力ライン11p)に接続した端子30との間を、スイッチ4を介して電気的に接続した。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0049】
本例の作用効果について説明する。
この場合には、昇圧部2の全体のインダクタンスは、第1リアクトル21のインダクタンスと、第2リアクトル22のインダクタンスとを足し合わせた値となる。そのため、1個のリアクトルのみを用いた場合と比較して、第1リアクトル21と第2リアクトル22のインダクタンスを、それぞれ半分にすることが可能になる。そのため、第1リアクトル21の抵抗成分を小さくすることができ、平滑コンデンサ3の放電時に、第1リアクトル21に大きな放電電流を流すことが可能になる。これにより、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷を短時間で放電することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0050】
(実施例6)
本例は、図10に示すごとく、回生可能な昇圧コンバータとインバータを想定し、コンデンサの数を増やした例である。本例では、実施例5と同様に、負側の電力ライン11nに第1リアクトル21を設け、正側の電力ライン11pに第2リアクトル22を設けてある。第1リアクトル21の電源12側の端子210と、第2リアクトル22の電源12側の端子220との間に、電源12の電圧を安定化するためのフィルタコンデンサ7が設けられている。
【0051】
一対の電力ライン11p,11nの間に、スイッチング素子23が設けられている。スイッチング素子23には、フリーホイールダイオード235が接続している。本例では、第1リアクトル21と、第2リアクトル22と、スイッチング素子23とによって、昇圧部2を構成している。
【0052】
また、実施例1と同様に、正側の電力ライン11pには、スイッチング素子23と平滑コンデンサ3との間に、放電防止用ダイオード5が設けられている。放電防止用ダイオード5には、補助スイッチング素子24が並列接続している。本例では、補助スイッチング素子24としてIGBT素子を用いている。
【0053】
正側の電力ライン11pと平滑コンデンサ3との接続点300と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、導線40によって電気的に接続されている。この導線40に、スイッチ4が設けられている。
スイッチ4をオンにすると、平滑コンデンサ3と、スイッチ4と、導線40と、第1リアクトル21と、負側の電力ライン11nの一部とによって閉回路が形成される。また、フィルタコンデンサ7と、第2リアクトル22と、補助スイッチング素子24及び放電防止用ダイオード5と、スイッチ4と、導線40とによって、別の閉回路が形成される。
【0054】
本例では、直流負荷10として、複数のIGBT素子14からなるインバータ103を備える。また、電源12は、車載バッテリー等の直流電源である。インバータ103を駆動する際には、リレー8をオンにする。そして、スイッチング素子23をオンオフ動作させることにより、電源12の電圧を昇圧する。昇圧後の電流は、放電防止用ダイオード5を流れ、平滑コンデンサ3によって平滑化される。
インバータ103は、IGBT素子14をスイッチング動作することにより、入力された直流電力を交流電力に変換する。そして、得られた交流電力によって三相交流モータ102を駆動する。
【0055】
電源12からインバータ103への電力供給を停止する場合には、まず、リレー8をオフにする。その後、スイッチ4及び補助スイッチング素子24をオンにする。このようにすると、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷は、放電電流となってスイッチ4、導線40、第1リアクトル21を流れる。そして、平滑コンデンサ3と第1リアクトル21とによってLC共振が起き、第1リアクトル21の抵抗成分によって放電電流は減衰していく。これにより、平滑コンデンサ3の電荷は放電される。
【0056】
また、フィルタコンデンサ7に蓄えられた電荷は、放電電流となって第2リアクトル22、放電防止ダイオード5、スイッチ4、導線40を流れる。そして、フィルタコンデンサ7と第2リアクトル22とによってLC共振が起き、第2リアクトル22の抵抗成分によって放電電流は減衰していく。これにより、フィルタコンデンサ7の電荷は放電される。
【0057】
なお、上記電源装置1では、フィルタコンデンサ7と第2リアクトル22との間でLC共振が起きるため、補助スイッチング素子24をオンにしているが、フィルタコンデンサ7に図示しない放電用ダイオード(図6参照)を接続する場合は、LC共振が起きないため、補助スイッチング素子24をオンにする必要はない。
【0058】
また、上記電源装置1は、負側の電力ライン11nに第1リアクトル21を設け、正側の電力ライン11pに第2リアクトル22を設けたが、図11に示すごとく、正側の電力ライン11pに第1リアクトル21を設け、負側の電力ライン11nに第2リアクトル22を設けてもよい。この場合には、平滑コンデンサ3の、負側の電力ライン11nに接続した端子31と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間を、スイッチ4を介して電気的に接続する。電源12から直流負荷10への電力供給を停止した後、スイッチ4及び補助スイッチング素子24をオンにすると、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷は、放電電流となってスイッチ4、第1リアクトル21、放電防止用ダイオード5を流れ、LC共振をしながら次第に減衰する。また、フィルタコンデンサ7に蓄えられた電荷は、放電電流となってスイッチ4、第2リアクトル22を流れ、LC共振しながら次第に減衰する。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0059】
本例の作用効果について説明する。本例では、平滑コンデンサ3とフィルタコンデンサ7との、2つのコンデンサを備えているが、この場合においても、各々のコンデンサ3,7を、放電抵抗を使用することなく放電させることができる。すなわち、平滑コンデンサ3は第1リアクトル21を使って放電でき、フィルタコンデンサ7は第2リアクトル22を使って放電できる。これら2つのリアクトル21,22は、昇圧部2を構成する部品である。そのため、放電専用のリアクトルや抵抗を別途設ける必要がなくなり、電源装置1を小型化できると共に、電源装置1の製造コストを低減することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【符号の説明】
【0060】
1 電源装置
12 電源
2 昇圧部
21 第1リアクトル
22 第2リアクトル
23 スイッチング素子
24 補助スイッチング素子
3 平滑コンデンサ
4 スイッチ
5 放電防止用ダイオード
6 放電用ダイオード
7 フィルタコンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、平滑コンデンサを放電する機能を備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図12に示すごとく、インバータ91と電源92との間に設けた電源装置90が知られている(下記特許文献1、2、3、4参照)。この電源装置90は、整流回路96と、コンデンサ93と、スイッチ94と、放電抵抗95とを備える。スイッチ94と放電抵抗95とは直列に接続されて直列体99を構成している。コンデンサ93と直列体99とは、インバータ91に対して並列に接続されている。また、電源92と電源装置90との間には、リレー98が設けられている。
【0003】
インバータ91を稼動する際には、スイッチ94をオフにした状態で、リレー98をオンにする。このようにすると、電源92から交流電力が供給される。交流電力は、整流回路96によって整流され、コンデンサ93によって平滑化される。これにより、インバータ91に直流電力を供給するようになっている。
【0004】
インバータ91への電力供給を停止する際には、まず、リレー98をオフにする。この後、感電事故を防止するため、コンデンサ93に蓄えられた電荷を速やかに放電する必要がある。そのため、スイッチ94をオンにし、コンデンサ93に蓄えられた電荷を、放電抵抗95を通して放電させる。
【0005】
電源装置90では、コンデンサ93に蓄えられた電荷を短時間で放電するため、抵抗値の小さな放電抵抗95を用いている。すなわち、抵抗値の小さな放電抵抗95を用いることにより、放電抵抗95に大きな電流が流れるようにし、上記電荷を短時間で放電させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−145971号公報
【特許文献2】特開2010−220287号公報
【特許文献3】特開平7−322525号公報
【特許文献4】特開2009−273286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来の電源装置90は、放電抵抗95に大きな電流を流すと、放電抵抗95の発熱量が大きくなり、温度が上昇しやすくなるという問題があった。そのため、熱容量が大きい放電抵抗95を使用して、放電抵抗95の温度上昇を抑制する必要があった。熱容量が大きな抵抗はサイズが大きいため、電源装置90が大型化したり、製造コストが上昇したりする問題があった。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、コンデンサに蓄えた電荷を効率的に放電でき、小型化が容易な電源装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、直流負荷に接続され、電源から上記直流負荷に電力を供給するための一対の電力ラインと、
該一対の電力ラインの間に、上記直流負荷に並列になるよう接続されたスイッチング素子、および、上記一対の電力ラインのうち一方の電力ラインに、上記直流負荷に直列になるよう接続された第1リアクトルを有し、上記電源の電圧を昇圧する昇圧部と、
上記一対の電力ラインの間に、上記直流負荷に並列になるよう接続された平滑コンデンサと、
上記電力ラインにおける、上記スイッチング素子と上記平滑コンデンサとの間に設けられた放電防止用ダイオードとを備え、
上記平滑コンデンサの両端子のうち、上記第1リアクトルを設けた上記電力ラインとは反対側の電力ラインに接続した端子と、上記第1リアクトルの上記電源側の端子との間は、スイッチを介して電気的に接続され、
上記スイッチをオフにした状態で上記電源から上記直流負荷へ電力を供給し、
上記電源から上記直流負荷への電力供給を停止した後、上記スイッチをオンにすることにより、上記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を、上記スイッチおよび上記第1リアクトルを通して放電するよう構成されていることを特徴とする電源装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
上記電源装置においては、上記スイッチをオンすることにより、平滑コンデンサに蓄えられた電荷を上記第1リアクトルに流して放電するよう構成されている。
このようにすると、第1リアクトルの抵抗成分を使って、上記電荷を放電することが可能になる。すなわち、上記スイッチをオンすると、平滑コンデンサと第1リアクトルとが直列に接続された閉回路が形成されるため、平滑コンデンサに蓄えられた電荷は放電電流となり、第1リアクトルを流れる。そして、第1リアクトルの抵抗成分によって放電電流が減衰する。これにより、上記電荷を放電できる。
【0011】
第1リアクトルは、昇圧部を構成する部品であるため、サイズが比較的大きく、熱容量が大きいものが用いられる。そのため、第1リアクトルに大きな電流を流して発熱した場合でも、温度上昇は少なくてすむ。従って、平滑コンデンサの放電時に、第1リアクトルに大きな電流を流すことができ、平滑コンデンサを短時間で放電させることができる。そのため、感電事故等を防止しやすくなる。
【0012】
また、上記構成によると、昇圧部を構成する第1リアクトルを、平滑コンデンサの放電に利用するため、放電専用のリアクトルや抵抗を別途設ける必要がない。そのため、電源装置を小型化でき、また、製造コストを低減することが可能となる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、コンデンサに蓄えた電荷を効率的に放電でき、小型化が容易な電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、電源装置の回路図。
【図2】実施例1における、スイッチをオンした直後の、平滑コンデンサの両端電圧および第1リアクトルに流れる電流のシミュレーション結果。
【図3】実施例1における、電源装置を充電装置に用いた場合の回路図。
【図4】実施例2における、電源装置の回路図。
【図5】実施例3における、電源装置の回路図。
【図6】実施例4における、電源装置の回路図。
【図7】実施例4における、スイッチをオンした直後の、平滑コンデンサの両端電圧および放電用ダイオードに流れる電流のシミュレーション結果。
【図8】図7の要部拡大図。
【図9】実施例5における、電源装置の回路図。
【図10】実施例6における、電源装置の回路図。
【図11】実施例6における、正側の電力ラインに第1リアクトルを設けた電源装置の回路図。
【図12】従来例における、電源装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記電源装置は、車載用の電力変換装置(インバータ)や充電装置に適用することができる。
【0016】
上記電源装置において、上記平滑コンデンサは電解コンデンサであり、該平滑コンデンサに放電用ダイオードが並列接続されており、該放電用ダイオードのカソード端子は、上記平滑コンデンサの、正電圧が加わる端子に接続され、上記放電用ダイオードのアノード端子は、上記平滑コンデンサの、負電圧が加わる端子に接続されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、平滑コンデンサとして電解コンデンサを用いることが可能になる。これにより、平滑コンデンサの容量を大きくすることができ、直流負荷に加わる電圧を平滑化しやすくなる。
また、上述のように放電用ダイオードを電解コンデンサに並列接続すると、電解コンデンサが故障しにくくなる。すなわち、電解コンデンサは、正極端子と負極端子とが決められており、逆に電圧を加えると故障することがある。ここで仮に、上記放電用ダイオードを設けなかったとすると、スイッチをオンにした後、電解コンデンサと第1リアクトルとによってLC共振が起きるため、電解コンデンサの電極端子に逆に電圧が加わる。そのため、電解コンデンサが故障するという問題が生じる。
そこで、上述のように放電用ダイオードを電解コンデンサに並列接続することにより、放電電流が放電用ダイオードを流れ、電解コンデンサの電極端子に逆に電圧が加わることを防止できる。これにより、電解コンデンサの故障を防止できる。
【0017】
また、上記昇圧部は、上記一対の電力ラインのうち、上記第1リアクトルを設けた電力ラインとは反対側の電力ラインに、第2リアクトルを備えることが好ましい(請求項3)。
この場合には、昇圧部の全体のインダクタンスは、第1リアクトルのインダクタンスと、第2リアクトルのインダクタンスとを足し合わせた値となる。そのため、1個のリアクトルのみを用いた場合と比較して、第1リアクトルと第2リアクトルのインダクタンスを、それぞれ半分にすることが可能になる。そのため、第1リアクトルの抵抗成分を小さくすることができ、平滑コンデンサの放電時に、第1リアクトルに大きな放電電流を流すことが可能になる。これにより、平滑コンデンサに蓄えられた電荷を短時間で放電することができる。
【0018】
また、上記第1リアクトルの上記電源側の端子と、上記第2リアクトルの上記電源側の端子との間にフィルタコンデンサが接続しており、上記電源から上記直流負荷への電力供給を停止した後、上記スイッチをオンにすることにより、上記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を上記第1リアクトルに流して放電すると共に、上記フィルタコンデンサに蓄えられた電荷を上記第2リアクトルに流して放電するよう構成されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、平滑コンデンサとフィルタコンデンサとの、2つのコンデンサを備えている場合においても、各々のコンデンサを、放電抵抗を使用することなく放電させることができる。すなわち、平滑コンデンサは第1リアクトルを使って放電でき、フィルタコンデンサは第2リアクトルを使って放電できる。これら2つのリアクトルは、昇圧部を構成する部品である。そのため、放電専用のリアクトルや抵抗を別途設ける必要がなくなり、電源装置を小型化できると共に、電源装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0019】
また、上記スイッチは半導体スイッチであることが好ましい(請求項5)。
この場合には、機械式リレーを用いた場合と比較して、スイッチを小型化することができる。
【実施例】
【0020】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電源装置につき、図1〜図3を用いて説明する。
図1に示すごとく、本例の電源装置1は、一対の電力ライン11と、昇圧部2と、平滑コンデンサ3と、放電防止用ダイオード5とを備える。
電力ライン11は、直流負荷10に接続している。電力ライン11には、正側の電力ライン11pと、負側の電力ライン11nとがある。
昇圧部2は、スイッチング素子23および第1リアクトル21を有する。スイッチング素子23は、一対の電力ライン11p,11nの間に、直流負荷10に並列になるよう接続されている。第1リアクトル21は、負側の電力ライン11nに、直流負荷10に直列になるよう接続されている。昇圧部2は、電源12の電圧を昇圧する。
【0021】
平滑コンデンサ3は、一対の電力ライン11p,11nの間に、直流負荷10に並列になるよう接続されている。
放電防止用ダイオード5は、正側の電力ライン11pにおける、スイッチング素子23と平滑コンデンサ3との間に設けられている。
【0022】
平滑コンデンサ3の両端子30,31のうち、第1リアクトル21を設けた電力ライン11(負側の電力ライン11n)とは反対側の電力ライン11(正側の電力ライン11p)に接続した端子30と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、スイッチ4を介して電気的に接続されている。
電源12から直流負荷10へ電力を供給する際には、スイッチ4をオフにする。そして、電源12から直流負荷10への電力供給を停止した後、リレー8をオフし、スイッチ4をオンにすることにより、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷を、スイッチ4および第1リアクトル21を通して放電する。
【0023】
本例では、電源12として交流電源を用いている。電源装置1は、電源12から供給される交流電力を整流するための整流回路13を備える。整流回路13と電源12との間には、リレー8が設けられている。整流回路13と直流負荷10とは、上記電力ライン11p,11nによって接続されている。
【0024】
上述したように、昇圧部2は、電力ライン11p,11n間に設けたスイッチング素子23と、負側の電力ライン11nに設けた第1リアクトル21とから構成されている。本例では、スイッチング素子23としてIGBT素子を用いている。スイッチング素子23のコレクタ端子は正側の電力ライン11pに接続しており、エミッタ端子は負側の電力ライン11nに接続している。スイッチング素子23のゲート端子は、図示しない制御回路に接続している。制御回路は、スイッチング素子23のスイッチング動作を制御している。スイッチング素子23と負側の電力ライン11nとの接続点230と、整流回路13との間に、上記第1リアクトル21が設けられている。
【0025】
また、正側の電力ライン11pとスイッチング素子23との接続点231と、正側の電力ライン11pと平滑コンデンサ3との接続点300との間には、放電防止用ダイオード5が設けられている。放電防止用ダイオード5のアノード端子はスイッチング素子23側に接続しており、カソード端子は平滑コンデンサ3側に接続している。
【0026】
また、上記接続点300と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、導線40によって接続されている。導線40にはスイッチ4が設けられている。スイッチ4のオンオフ制御も、上記制御回路によって行われる。
【0027】
直流負荷10を稼動する際には、スイッチ4をオフにした状態で、リレー8をオンにする。このようにすると、電源12から電源装置1に交流電力が供給され、整流回路13によって全波整流される。電源装置1は、上述した制御回路によって、スイッチング素子23をオンオフ動作させている。これにより、電源12の電圧を昇圧している。
本例の昇圧部2は、いわゆるPFC回路の一部を構成している。このPFC回路によって、電源12の電圧を昇圧すると共に、電源12から供給する電力の力率を高めている。
【0028】
平滑コンデンサ3は、昇圧部2によって昇圧した電圧を平滑化する。これにより、直流負荷10に直流電力を供給するようになっている。なお、放電防止用ダイオード5は、スイッチング素子23をオンにした際に、平滑コンデンサ3に蓄えた電荷がスイッチング素子23を通って放電することを防止している。
【0029】
電源12から直流負荷10への電力供給を停止するには、まず、リレー8をオフにする。その後、スイッチ4をオンにして、平滑コンデンサとスイッチ4と第1リアクトル21とからなる閉回路を形成する。このようにすると、平滑コンデンサ3と第1リアクトル21との間でLC共振が起きる。すなわち、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷は放電電流となり、スイッチ4、導線40、第1リアクトル21を流れる。そして、放電電流は平滑コンデンサ3に蓄積され、スイッチ4をオンにする前とは逆の電圧が平滑コンデンサ3にかかるようになる。その後、平滑コンデンサ3に蓄積した電荷は、再び放電電流となり、第1リアクトル21、導線40、スイッチ4を通って流れ、平滑コンデンサ3に再度、蓄積される。これを何度も繰り返すうちに、第1リアクトル21の抵抗成分によって放電電流が減衰し、電荷が消滅する。
【0030】
スイッチ4をオンにした直後の、第1リアクトル21に流れる電流と、平滑コンデンサ3の両端電圧との時間的変化を、シミュレーションによって算出した結果を図2に示す。このシミュレーションでは、平滑コンデンサ3の容量を2mFとし、第1リアクトル21のインダクタンスを200μHとし、第1リアクトル21の抵抗成分を20mΩとし、平滑コンデンサ3の初期電圧を400Vとした。図2に示すごとく、第1リアクトル21に流れる電流(放電電流)は、スイッチ4をオンするとLC共振しながら減衰し、約100m秒後に、略0Aになる。すなわち、約100m秒で充分に放電できることが分かる。
【0031】
本例の電源装置1は、例えば図3に示すごとく、充電装置100に用いることができる。この充電装置100は、ハイブリッド車や電気自動車等に搭載したバッテリー18を、家庭に配された商用電源のコンセントから充電するための装置である。充電装置100は、直流負荷10として、複数のIGBT素子14からなるH型ブリッジ回路140と、トランス15と、ダイオードブリッジ16と、コンデンサ17とを備える。IGBT素子14のゲート端子は、上述した制御回路に接続している。
【0032】
充電装置100を使用する際には、スイッチ4をオフにした状態で、リレー8及びバッテリー側リレー19をオンにする。充電装置100は、H型ブリッジ回路140のIGBT素子14をオンオフ動作させることにより、入力された直流電力を交流電力に変換する。そして、トランス15を使って変圧する。
【0033】
トランス15の二次電圧は、ダイオードブリッジ16によって全波整流され、コンデンサ17によって平滑化される。これにより、直流電力を得て、バッテリー18を充電している。
なお、本例では、バッテリー18の充電状態に応じて、バッテリー18に印加する電圧を調整するようになっている。すなわち、バッテリー18の充電量が少ない場合は低電圧で充電し、バッテリー18の充電量が多い場合は高電圧で充電する。このような電圧の調整は、H型ブリッジ回路140のIGBT素子14がオンする時間を制御することにより行う。
【0034】
本例の作用効果について説明する。本例では、図1に示すごとく、昇圧部2を構成する第1リアクトル21の電源12側の端子210と、平滑コンデンサ3の両端子30,31のうち、第1リアクトル21を設けた電力ライン11(負側の電力ライン11n)とは反対側の電力ライン11(正側の電力ライン11p)に接続した端子30との間を、スイッチ4を介して電気的に接続した。そして、直流負荷10へ電力を供給する際にはスイッチ4をオフにしておき、直流負荷10への電力供給を停止した後にスイッチ4をオンにするよう構成した。
【0035】
このようにすると、スイッチ4をオンにした場合に、平滑コンデンサ3と第1リアクトル21とが直列に接続された閉回路が形成されるため、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷が放電電流となって第1リアクトル21を流れる。そして、第1リアクトル21の抵抗成分によって放電電流が減衰する。これにより、電荷を放電させることができる。
第1リアクトル21は、昇圧部2を構成する部品であるため、サイズが比較的大きく、熱容量が大きいものが用いられる。そのため、第1リアクトル21に大きな電流を流して発熱した場合でも、温度上昇は少なくてすむ。従って、平滑コンデンサ3の放電時に、第1リアクトル21に大きな放電電流を流すことができ、平滑コンデンサ3を短時間で放電させることができる。そのため、感電事故等を防止しやすくなる。
【0036】
また、本例では、昇圧部2を構成する第1リアクトル21を、平滑コンデンサ3の放電に利用するため、放電専用のリアクトルや抵抗を別途設ける必要がない。そのため、電源装置1を小型化でき、また、製造コストを低減することが可能となる。
【0037】
以上のごとく、本発明によれば、コンデンサに蓄えた電荷を効率的に放電でき、小型化が容易な電源装置を提供することができる。
【0038】
なお、本例のスイッチ4は機械式リレーであるが、IGBT素子等の半導体スイッチを用いてもよい。半導体スイッチを用いる場合は、スイッチ4を小型化することができる。
【0039】
(実施例2)
本例は、図4に示すごとく、電源装置1を電力変換装置101(回生機能のない昇圧コンバータとインバータ装置)に用いた例である。電力変換装置101の電源12は、ハイブリッド車や電気自動車等の車両に搭載されたバッテリー(直流電源)である。電力変換装置101は、直流負荷10として、複数のIGBT素子14からなるインバータ103を備える。インバータ103は、上記車両に搭載された三相交流モータ102に接続している。
【0040】
電力変換装置101を稼動する際には、まずリレー8をオンにする。そして、昇圧部2を使って、電源12の電圧を昇圧し、平滑コンデンサ3によって平滑化する。これにより、インバータ103に直流電力を供給する。インバータ103は、IGBT素子14をオンオフ動作することにより、直流電力を交流電力に変換する。これにより、三相交流モータ102を駆動して、上記車両を走行させている。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0041】
(実施例3)
本例は、図5に示すごとく、第1リアクトルを正側の電力ライン11pに設けた例である。この電源装置1では、正側の電力ライン11pにおける、スイッチング素子23と整流回路13との間に、第1リアクトル21が設けられている。また、負側の電力ライン11nにおける、平滑コンデンサ3とスイッチング素子23との間に、放電防止用ダイオード5が設けられている。放電防止用ダイオード5のアノード端子は、平滑コンデンサ3側に接続しており、カソード端子は、スイッチング素子23側に接続している。
【0042】
また、平滑コンデンサ3と負側の電力ライン11nとの接続点301と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、導線40によって接続されている。導線40には、スイッチ4が設けられている。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0043】
(実施例4)
本例は、図6に示すごとく、平滑コンデンサ3として電解コンデンサを用いた例である。本例では、平滑コンデンサ3に放電用ダイオード6が並列接続されている。放電用ダイオード6のカソード端子は、平滑コンデンサ3の、正電圧が加わる端子30に接続されている。また、放電用ダイオード6のアノード端子は、平滑コンデンサ3の、負電圧が加わる端子31に接続されている。
【0044】
電源12から直流負荷10に電力を供給する際には、実施例1と同様に、スイッチ4をオフにした状態で、リレー8をオンにする。また、直流負荷10への電力供給を停止する場合は、リレー8をオフにし、続いてスイッチ4をオンにする。
ここで仮に、放電用ダイオード6を設けなかったとすると、スイッチ4をオンにした後、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷は放電電流となってスイッチ4、第1リアクトル21を流れる。そして、放電電流は平滑コンデンサ3に蓄積され、スイッチ4をオンにする前とは逆の電圧が平滑コンデンサ3(電解コンデンサ)にかかるようになる。電解コンデンサは、正電圧と負電圧を加える端子が予め決められており、逆に印加すると故障するという問題がある。
【0045】
しかしながら、上述のように放電用ダイオード6を平滑コンデンサ3に並列接続すると、放電電流が放電用ダイオード6を通って流れるため、平滑コンデンサ3の電極端子30,31間に逆に電圧が加わることを防止できる。これにより、平滑コンデンサ3(電解コンデンサ)の故障を防止できる。
平滑コンデンサ3の放電電流は、スイッチ4、導線40、第1リアクトル21、負側の電力線11n、放電用ダイオード6からなる閉回路内を循環する。そして、第1リアクトル21等の抵抗成分によって放電電流は次第に減衰していく。
【0046】
スイッチ4をオンにした直後の、放電用ダイオード6に流れる電流と、平滑コンデンサ3の両端電圧との時間的変化を、シミュレーションによって算出した結果を図7、図8に示す。このシミュレーションでは、平滑コンデンサ3の容量を2mFとし、第1リアクトル21のインダクタンスを200μHとし、第1リアクトル21の抵抗成分を20mΩとし、平滑コンデンサ3の初期電圧を400Vとした。図7、図8に示すごとく、平滑コンデンサ3の両端電圧は、スイッチ4をオンしてから約1m秒後に、略0Vまで低下する。すなわち、約1m秒で充分に放電できることが分かる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0047】
本例の作用効果について説明する。本例では、放電用ダイオード6によって、平滑コンデンサ3の端子30,31に逆に電圧が加わることを防止できるため、平滑コンデンサ3として電解コンデンサを用いた場合でも、故障させずに使用することが可能になる。電解コンデンサは容量が大きいため、直流負荷に加わる電圧を平滑化しやすくなる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0048】
(実施例5)
本例は、図9に示すごとく、2個のリアクトル21,22を設けた例である。本例では、負側の電力ライン11nに第1リアクトル21を設け、正側の電力ライン11pに第2リアクトル22を設けた。また、実施例1と同様に、第1リアクトル21の電源12側の端子210と、平滑コンデンサ3の両端子30,31のうち、第1リアクトル21を設けた電力ライン11(負側の電力ライン11n)とは反対側の電力ライン11(正側の電力ライン11p)に接続した端子30との間を、スイッチ4を介して電気的に接続した。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0049】
本例の作用効果について説明する。
この場合には、昇圧部2の全体のインダクタンスは、第1リアクトル21のインダクタンスと、第2リアクトル22のインダクタンスとを足し合わせた値となる。そのため、1個のリアクトルのみを用いた場合と比較して、第1リアクトル21と第2リアクトル22のインダクタンスを、それぞれ半分にすることが可能になる。そのため、第1リアクトル21の抵抗成分を小さくすることができ、平滑コンデンサ3の放電時に、第1リアクトル21に大きな放電電流を流すことが可能になる。これにより、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷を短時間で放電することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0050】
(実施例6)
本例は、図10に示すごとく、回生可能な昇圧コンバータとインバータを想定し、コンデンサの数を増やした例である。本例では、実施例5と同様に、負側の電力ライン11nに第1リアクトル21を設け、正側の電力ライン11pに第2リアクトル22を設けてある。第1リアクトル21の電源12側の端子210と、第2リアクトル22の電源12側の端子220との間に、電源12の電圧を安定化するためのフィルタコンデンサ7が設けられている。
【0051】
一対の電力ライン11p,11nの間に、スイッチング素子23が設けられている。スイッチング素子23には、フリーホイールダイオード235が接続している。本例では、第1リアクトル21と、第2リアクトル22と、スイッチング素子23とによって、昇圧部2を構成している。
【0052】
また、実施例1と同様に、正側の電力ライン11pには、スイッチング素子23と平滑コンデンサ3との間に、放電防止用ダイオード5が設けられている。放電防止用ダイオード5には、補助スイッチング素子24が並列接続している。本例では、補助スイッチング素子24としてIGBT素子を用いている。
【0053】
正側の電力ライン11pと平滑コンデンサ3との接続点300と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間は、導線40によって電気的に接続されている。この導線40に、スイッチ4が設けられている。
スイッチ4をオンにすると、平滑コンデンサ3と、スイッチ4と、導線40と、第1リアクトル21と、負側の電力ライン11nの一部とによって閉回路が形成される。また、フィルタコンデンサ7と、第2リアクトル22と、補助スイッチング素子24及び放電防止用ダイオード5と、スイッチ4と、導線40とによって、別の閉回路が形成される。
【0054】
本例では、直流負荷10として、複数のIGBT素子14からなるインバータ103を備える。また、電源12は、車載バッテリー等の直流電源である。インバータ103を駆動する際には、リレー8をオンにする。そして、スイッチング素子23をオンオフ動作させることにより、電源12の電圧を昇圧する。昇圧後の電流は、放電防止用ダイオード5を流れ、平滑コンデンサ3によって平滑化される。
インバータ103は、IGBT素子14をスイッチング動作することにより、入力された直流電力を交流電力に変換する。そして、得られた交流電力によって三相交流モータ102を駆動する。
【0055】
電源12からインバータ103への電力供給を停止する場合には、まず、リレー8をオフにする。その後、スイッチ4及び補助スイッチング素子24をオンにする。このようにすると、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷は、放電電流となってスイッチ4、導線40、第1リアクトル21を流れる。そして、平滑コンデンサ3と第1リアクトル21とによってLC共振が起き、第1リアクトル21の抵抗成分によって放電電流は減衰していく。これにより、平滑コンデンサ3の電荷は放電される。
【0056】
また、フィルタコンデンサ7に蓄えられた電荷は、放電電流となって第2リアクトル22、放電防止ダイオード5、スイッチ4、導線40を流れる。そして、フィルタコンデンサ7と第2リアクトル22とによってLC共振が起き、第2リアクトル22の抵抗成分によって放電電流は減衰していく。これにより、フィルタコンデンサ7の電荷は放電される。
【0057】
なお、上記電源装置1では、フィルタコンデンサ7と第2リアクトル22との間でLC共振が起きるため、補助スイッチング素子24をオンにしているが、フィルタコンデンサ7に図示しない放電用ダイオード(図6参照)を接続する場合は、LC共振が起きないため、補助スイッチング素子24をオンにする必要はない。
【0058】
また、上記電源装置1は、負側の電力ライン11nに第1リアクトル21を設け、正側の電力ライン11pに第2リアクトル22を設けたが、図11に示すごとく、正側の電力ライン11pに第1リアクトル21を設け、負側の電力ライン11nに第2リアクトル22を設けてもよい。この場合には、平滑コンデンサ3の、負側の電力ライン11nに接続した端子31と、第1リアクトル21の電源12側の端子210との間を、スイッチ4を介して電気的に接続する。電源12から直流負荷10への電力供給を停止した後、スイッチ4及び補助スイッチング素子24をオンにすると、平滑コンデンサ3に蓄えられた電荷は、放電電流となってスイッチ4、第1リアクトル21、放電防止用ダイオード5を流れ、LC共振をしながら次第に減衰する。また、フィルタコンデンサ7に蓄えられた電荷は、放電電流となってスイッチ4、第2リアクトル22を流れ、LC共振しながら次第に減衰する。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0059】
本例の作用効果について説明する。本例では、平滑コンデンサ3とフィルタコンデンサ7との、2つのコンデンサを備えているが、この場合においても、各々のコンデンサ3,7を、放電抵抗を使用することなく放電させることができる。すなわち、平滑コンデンサ3は第1リアクトル21を使って放電でき、フィルタコンデンサ7は第2リアクトル22を使って放電できる。これら2つのリアクトル21,22は、昇圧部2を構成する部品である。そのため、放電専用のリアクトルや抵抗を別途設ける必要がなくなり、電源装置1を小型化できると共に、電源装置1の製造コストを低減することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【符号の説明】
【0060】
1 電源装置
12 電源
2 昇圧部
21 第1リアクトル
22 第2リアクトル
23 スイッチング素子
24 補助スイッチング素子
3 平滑コンデンサ
4 スイッチ
5 放電防止用ダイオード
6 放電用ダイオード
7 フィルタコンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流負荷に接続され、電源から上記直流負荷に電力を供給するための一対の電力ラインと、
該一対の電力ラインの間に、上記直流負荷に並列になるよう接続されたスイッチング素子、および、上記一対の電力ラインのうち一方の電力ラインに、上記直流負荷に直列になるよう接続された第1リアクトルを有し、上記電源の電圧を昇圧する昇圧部と、
上記一対の電力ラインの間に、上記直流負荷に並列になるよう接続された平滑コンデンサと、
上記電力ラインにおける、上記スイッチング素子と上記平滑コンデンサとの間に設けられた放電防止用ダイオードとを備え、
上記平滑コンデンサの両端子のうち、上記第1リアクトルを設けた上記電力ラインとは反対側の電力ラインに接続した端子と、上記第1リアクトルの上記電源側の端子との間は、スイッチを介して電気的に接続され、
上記スイッチをオフにした状態で上記電源から上記直流負荷へ電力を供給し、
上記電源から上記直流負荷への電力供給を停止した後、上記スイッチをオンにすることにより、上記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を、上記スイッチおよび上記第1リアクトルを通して放電するよう構成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、上記平滑コンデンサは電解コンデンサであり、該平滑コンデンサに放電用ダイオードが並列接続されており、該放電用ダイオードのカソード端子は、上記平滑コンデンサの、正電圧が加わる端子に接続され、上記放電用ダイオードのアノード端子は、上記平滑コンデンサの、負電圧が加わる端子に接続されていることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電源装置において、上記昇圧部は、上記一対の電力ラインのうち、上記第1リアクトルを設けた電力ラインとは反対側の電力ラインに、第2リアクトルを備えることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置において、上記第1リアクトルの上記電源側の端子と、上記第2リアクトルの上記電源側の端子との間にフィルタコンデンサが接続しており、上記電源から上記直流負荷への電力供給を停止した後、上記スイッチをオンにすることにより、上記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を上記第1リアクトルに流して放電すると共に、上記フィルタコンデンサに蓄えられた電荷を上記第2リアクトルに流して放電するよう構成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電源装置において、上記スイッチは半導体スイッチであることを特徴とする電源装置。
【請求項1】
直流負荷に接続され、電源から上記直流負荷に電力を供給するための一対の電力ラインと、
該一対の電力ラインの間に、上記直流負荷に並列になるよう接続されたスイッチング素子、および、上記一対の電力ラインのうち一方の電力ラインに、上記直流負荷に直列になるよう接続された第1リアクトルを有し、上記電源の電圧を昇圧する昇圧部と、
上記一対の電力ラインの間に、上記直流負荷に並列になるよう接続された平滑コンデンサと、
上記電力ラインにおける、上記スイッチング素子と上記平滑コンデンサとの間に設けられた放電防止用ダイオードとを備え、
上記平滑コンデンサの両端子のうち、上記第1リアクトルを設けた上記電力ラインとは反対側の電力ラインに接続した端子と、上記第1リアクトルの上記電源側の端子との間は、スイッチを介して電気的に接続され、
上記スイッチをオフにした状態で上記電源から上記直流負荷へ電力を供給し、
上記電源から上記直流負荷への電力供給を停止した後、上記スイッチをオンにすることにより、上記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を、上記スイッチおよび上記第1リアクトルを通して放電するよう構成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、上記平滑コンデンサは電解コンデンサであり、該平滑コンデンサに放電用ダイオードが並列接続されており、該放電用ダイオードのカソード端子は、上記平滑コンデンサの、正電圧が加わる端子に接続され、上記放電用ダイオードのアノード端子は、上記平滑コンデンサの、負電圧が加わる端子に接続されていることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電源装置において、上記昇圧部は、上記一対の電力ラインのうち、上記第1リアクトルを設けた電力ラインとは反対側の電力ラインに、第2リアクトルを備えることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置において、上記第1リアクトルの上記電源側の端子と、上記第2リアクトルの上記電源側の端子との間にフィルタコンデンサが接続しており、上記電源から上記直流負荷への電力供給を停止した後、上記スイッチをオンにすることにより、上記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を上記第1リアクトルに流して放電すると共に、上記フィルタコンデンサに蓄えられた電荷を上記第2リアクトルに流して放電するよう構成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電源装置において、上記スイッチは半導体スイッチであることを特徴とする電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−186912(P2012−186912A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47962(P2011−47962)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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