説明

電源遮断装置

【課題】自動運転する産業設備10に取り付けることができ、自動運転待機中又は自動運転が終了した後に、産業設備10の電源を速やかに遮断できる電源遮断装置1を提供する。
【解決手段】電磁継電器MC1と、該電磁継電器MC1を制御する制御装置3とを備える。制御装置3は、産業設備10が自動運転を終了したと判断した場合に、その判断時刻より、予め設定された設定経過時間が経過した後に電磁継電器MC1をオン状態からオフ状態に切り替える自動運転停止後遮断手段61を備える。また、制御装置3は、産業設備10が自動運転を終了したと判断した場合であって、かつ、予め設定された設定遮断時刻に達した場合に、電磁継電器MC1をオン状態からオフ状態に切り替える定時遮断手段62を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業設備用の電源遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機器の電源を自動的に遮断する電源遮断装置が知られている。例えば下記特許文献1には、端末機器の電源をオンしてからの時間を計時し、一定時間経過した後に電源をオフする電源遮断装置が開示されている。また、下記特許文献2には、予め設定された時刻になった場合に、機器の電源を遮断する電源遮断装置が開示されている。このように、自動的に機器の電源を遮断することにより、電力コストを削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−164341号公報
【特許文献2】特開2001−162897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、従来から、産業用ロボットや自動溶接機等の産業設備が工場で使用されている。この産業設備には、電源を遮断するための手動ブレーカが設けられている。産業設備の電源を遮断する場合には、ユーザが手動ブレーカを切断するのであるが、手動ブレーカを切り忘れることがある。この場合、産業設備を使用していないのに電源が入り続け、省エネおよび電力コスト削減、または安全上の観点から好ましくない。そのため、ユーザが手動ブレーカを切り忘れた場合でも、安全等を考慮し、自動的に電源を遮断できるように、産業設備に電源遮断装置を設けることが検討されている。
【0005】
しかしながら、産業設備は自動運転モードで稼動する場合がある。自動運転中は製造ラインに影響がでるため、予め設定された電源遮断時刻になったとしても、産業設備の電源を遮断することはできない。したがって、従来のように、単に、予め設定された時刻になった場合に強制的に電源を遮断する電源遮断装置は、自動運転する産業設備には取り付けることはできない。
【0006】
一方、自動運転が終了した後、電源を入れたまま産業設備を長時間待機させると、電力が無駄になるという問題がある。そのため、産業設備が自動運転を終了した場合には、電源を速やかに遮断できるようにしたいという要求がある。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、自動運転する産業設備に取り付けることができ、自動運転が終了した後に、産業設備の電源を速やかに遮断できる電源遮断装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、予め設定された条件で自動的に運転を続ける産業設備の電源を、該産業設備が自動運転を終了した後に遮断するための電源遮断装置であって、
上記産業設備の電力供給線上に設けられた手動ブレーカに対して直列になるよう、上記電力供給線上に設けられた電磁継電器と、
該電磁継電器への通電を制御することにより、上記産業設備への電力供給状態を維持するオン状態と、上記産業設備への電力供給を停止したオフ状態とを切り替えるよう、上記電磁継電器を制御する制御装置と、
ユーザによる、上記制御装置へのデータ入力を受ける入力手段と、
入力されたデータを表示する表示手段とを備え、
上記制御装置は、入力されたデータを記憶する記憶手段と、
時刻を計る計時手段と、
上記産業設備が自動運転中か否かを判断する自動運転判断手段と、
該自動運転判断手段により、上記産業設備が自動運転を終了したと判断された場合に、その判断時刻より、予め設定された設定経過時間が経過した後に上記電磁継電器を上記オン状態からオフ状態に切り替える自動運転停止後遮断手段と、
上記自動運転判断手段により、上記産業設備が自動運転を終了したと判断された場合であって、かつ、予め設定された設定遮断時刻に達した場合に、上記電磁継電器を上記オン状態から上記オフ状態に切り替える定時遮断手段と、
を有することを特徴とする電源遮断装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
本発明では、産業設備の電源供給線上に手動ブレーカと電磁継電器とを直列接続し、この電磁継電器のオンオフ動作を制御装置で制御するように構成した。制御装置は、上記自動運転判断手段と、自動運転停止後遮断手段と、定時遮断手段とを備える。
自動運転停止後遮断手段は、産業設備が自動運転を終了した場合、所定の設定経過時間が経過した後に、産業設備の電源を自動的に遮断する。そのため、自動運転が終了した後、ユーザが産業設備の手動ブレーカを切り忘れた場合でも、自動的に電源を遮断でき、省エネおよび電力コスト削減を推進することができる。
【0010】
また、定時遮断手段は、産業設備が自動運転を終了した場合であって、かつ予め定められた設定遮断時刻に達した場合には、産業設備の電源を自動的に遮断する。そのため、産業設備が自動運転中である場合には、設定遮断時刻に達したとしても、電源を遮断せず、自動運転が終了した場合にのみ、電源を遮断することができる。これにより、自動運転中の産業設備の電源を遮断してしまう不具合を防止できる。
【0011】
また、本発明の制御装置は、自動運転停止後遮断手段と定時遮断手段とを備えるので、自動運転が終了した後、産業設備の電源を速やかに遮断することができる。すなわち、産業設備が自動運転を終了した後、上記設定経過時間の経過の方が、上記設定遮断時刻よりも早い場合は、自動運転停止後遮断手段により、産業設備の電源を遮断できる。また、自動運転が終了した後、上記設定遮断時刻の方が上記設定経過時間の経過よりも早い場合は、定時遮断手段により、産業設備の電源を遮断できる。
【0012】
また、本発明は上記入力手段と表示手段を備える。そのため、ユーザは入力手段を使って制御装置へデータ入力を行うことができ、また、入力したデータを表示して確認することができる。この制御装置へ入力するデータは、例えば、自動運転判断手段における上記設定経過時間である。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、自動運転する産業設備に取り付けることができ、自動運転が終了した後に、産業設備の電源を速やかに遮断できる電源遮断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、電源遮断装置のブロック図。
【図2】実施例1における、制御装置のブロック図。
【図3】実施例1における、フローチャート。
【図4】図3に続くフローチャート。
【図5】図4に続くフローチャート。
【図6】図5に続くフローチャート。
【図7】実施例1における、一日のうちの電源遮断装置の動作例。
【図8】実施例1における、図7とは別の動作例。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記産業設備が、製造ラインに製品が運ばれてきた場合には自動的に処理できる状態であって、かつ該製品が運ばれてくるまで待機する待機状態であるか否かを判断する待機状態判断手段と、
該待機状態判断手段により、上記産業設備が上記待機状態になったと判断した場合に、その判断時刻より、予め定められた設定待機時間が経過した後に上記電磁継電器を上記オン状態からオフ状態に切り替える待機後遮断手段とを備えることが好ましい(請求項2)。
【0016】
このようにすると、産業設備の省エネおよび安全対策を一層進めることができる。
すなわち、産業設備は自動運転中であっても、製品が流れてこない場合には動作せず、製品が流れてくるまで待機する。この待機状態が長時間続くと、電力が無駄になる等の問題がある。しかし上述のようにすれば、産業設備が待機状態になってから所定時間を経過した後に電源を遮断することができ、電力コストを抑制することが可能になる。
【0017】
また、上記定時遮断手段における上記設定遮断時刻は、ユーザの入力により予め設定できるよう構成されていることが好ましい(請求項3)。
このようにすると、産業設備の電源を遮断する時刻を、ユーザが自由に設定できるようになる。例えば、夜中や休憩時間中など、産業設備を停止する時刻が決められている場合は、その時刻を設定することができる。これにより、工場のスケジュール等に合わせて、柔軟に、電源を遮断する予定時間を設定または変更することができる。
【0018】
また、上記定時遮断手段は、複数の上記設定遮断時刻を設定可能に構成されていることが好ましい(請求項4)。
このようにすると、産業設備の電源を遮断する時間を、一日の間に複数回設定することができる。例えば、一日の間に休憩時間が複数回ある場合等に、その休憩時間ごとに産業設備を自動的に停止できるようになる。これにより、休憩時間中の省エネおよび電力コスト削減を一層、進めることが可能になる。
【0019】
なお、上記待機後遮断手段における設定待機時間は、ユーザの入力により予め設定できるよう構成されていることが好ましい。
このようにすると、設定待機時間をユーザが自由に設定できるようになる。例えば、待機状態が長く続くことが多い場合には、設定待機時間を短めに設定することができる。これにより、産業設備の稼動状態に合わせて最適な設定待機時間を設定できる。
【0020】
また、上記制御装置は、上記自動運転停止後遮断手段と上記定時遮断手段の少なくとも一方を無効化して当該手段によっては上記電磁継電器を上記オフ状態に切り替えないようにする設定無効化手段を有することが好ましい(請求項5)。
このようにすると、産業設備の稼動スケジュールを急に変更した場合に対応することができる。例えば、産業設備の設定遮断時刻が近づいているが、ユーザが予定を変更して産業設備を稼動する場合には、上記定時遮断手段を無効化することができる。また、産業設備が自動運転を終了して、上記設定経過時間を経過しつつあるが、予定を変更して引き続き産業設備を稼動する場合には、上記自動運転停止後遮断手段を無効化することができる。
【0021】
なお、上記設定無効化手段は、自動運転停止後遮断手段と、定時遮断手段と、待機後遮断手段との少なくとも一を無効化して当該手段によっては電磁継電器をオフ状態に切り替えないように構成されていることが好ましい。
このようにすると、ユーザは必要に応じて、待機後遮断手段を無効化することが可能になる。
【0022】
また、上記入力手段及び上記表示手段は、表示画面に上記データを表示するとともに、上記ユーザによる上記データ入力を受け付けるタッチパネルであることが好ましい(請求項6)。
この場合には、入力手段と表示手段を一体化することができ、電源遮断装置の部品点数を減らして簡素化することができる。また、ユーザは、表示画面を見ながらデータ入力をすることができるため、操作を行いやすくなる。
【0023】
また、上記制御装置は、上記産業設備へ供給する電力の一部を用いて稼動しており、上記電磁継電器を上記オフ状態にすると上記制御装置への電力供給も停止するよう構成されており、該制御装置および上記産業設備が停止している場合に、ユーザの手動操作によって該制御装置および該産業設備を起動するための起動スイッチを備えることが好ましい(請求項7)。
この場合には、産業設備および制御装置が停止している時に、ユーザの手動操作によって、産業設備および制御装置を起動させることができる。
電磁継電器をオン状態にするためには、まず制御装置を立ち上げる必要がある。制御装置が一旦起動すれば、後は制御装置からの出力信号によって、電磁継電器のオン状態を維持することが可能となる。しかし、制御装置が停止している場合は、上記信号を出力できないので、手動操作によって制御装置を立ち上げる必要がある。上記構成にすると、電源投入時に、ユーザが起動スイッチを手動操作してオンすることにより、制御装置を立ち上げることが可能になる。
【0024】
また、上記起動スイッチをオンする手動操作により、上記電磁継電器のコイルに電流が流れ、自己保持状態になって上記オン状態を保持するとともに、該電磁継電器を流れた電流によって上記制御装置が起動するよう構成されており、
上記電磁継電器のコイルに対して直列にリレーが設けられており、上記制御装置からの出力信号により上記リレーがオンし、該リレーを通して上記電磁継電器の上記コイルに電流が流れて該電磁継電器が上記オン状態を維持し、その後、該電磁継電器の自己保持状態を解除するよう構成されていることが好ましい(請求項8)。
【0025】
この場合には、起動スイッチを手動操作によってオンし、すぐに手を離しても制御装置を起動することができる。すなわち、制御装置を起動するためには暫くの間、電力供給を続ける必要があるため、仮に上記構成を採用しなかったとすると、起動スイッチを暫くの間、押圧し続ける必要が生じる。しかし上記構成にすると、起動スイッチを瞬間的にオンにしただけで電磁継電器が自己保持状態になってオン状態になり続けるため、ユーザは起動スイッチからすぐに手を離しても、制御装置を起動することができる。
また、制御装置が起動した後は、電磁継電器の自己保持状態が解除されるため、制御装置が上記出力信号を停止すれば、電磁継電器をオフ状態にすることができる状態になる。
【0026】
また、上記制御装置は、演算処理装置と、該演算処理装置のプログラムを記憶するメモリを有し、上記プログラムの書き込み中に上記電磁継電器を強制的に上記オン状態にする強制ONスイッチを備えることが好ましい(請求項9)。
このようにすると、プログラムの書き込み中に電磁継電器がオフし、ひいては制御装置が停止することを防止できる。
すなわち、制御装置は、メモリにプログラムが記憶されている場合は、稼動中にプログラムを書き変える(いわゆるRUN中書込み)こともできるが、最初にメモリにプログラムを記憶させる場合は、RUN中書込みをすることができない。この場合、メモリにプログラムを書き込んでいる最中に、電磁継電器をオン状態にするための信号を出力しなくなる場合がある。この信号の出力が停止すると、電磁継電器がオフ状態になり、制御装置自体も停止してしまう。その結果、プログラムの書込みができなくなる。
しかしながら、上記強制ONスイッチを設けることにより、メモリに最初にプログラムを書き込む場合であっても、電磁継電器を強制的にオン状態にすることができる。そのため、プログラムの書込み中に電磁継電器がオフし、制御装置が停止する不具合を防止できる。本発明のように制御装置からの出力信号が停止すると電磁継電器がオフ状態になり、ひいては制御装置自体が停止する構成になっている場合には、上記強制ONスイッチを設けることによる効果は大きい。
【0027】
また、上記制御装置は、上記電磁継電器を上記オン状態から上記オフ状態に切り替える時刻の所定時間前に、上記表示手段にその予告情報を表示する予告情報表示手段を備えることが好ましい。
このようにすると、産業設備の電源を遮断する前に、ユーザに通知することができる。ユーザは、この予告情報を見た後、必要に応じて、自動運転停止後遮断手段、定時遮断手段、待機後遮断手段を無効化することができる。
【0028】
また、上記制御装置は、上記電磁継電器を上記オン状態から上記オフ状態に切り替える時刻の所定時間前に、音声出力装置にその予告情報を音声出力させる音声出力手段を備えることが好ましい。
このようにすると、ユーザが表示手段を見ていなくても、産業設備の電源が遮断することを音声により通知することができる。ユーザは、音声による通知を聞いた後、必要に応じて、自動運転停止後遮断手段、定時遮断手段、待機後遮断手段を無効化することができる。
【0029】
上記定時遮断手段においては、上記設定遮断時刻として、1点の時刻ではなく、定時遮断開始時刻と定時遮断終了時刻との間の時間帯を指定し、この時間帯に属する時刻をすべて設定遮断時刻として扱うよう構成することが好ましい。このようにすると、上記定時遮断手段の適用による電源遮断をより使いやすくすることができる。
すなわち、上記定時遮断時刻として、定時遮断開始時刻と定時遮断終了時刻とに挟まれる時間帯を設定しておくことによって、その時間帯より前に産業設備が自動運転を終了していなくても、その時間帯に自動運転が終了しさえすれば、上記定時遮断手段の適用によって電源遮断を実行することができる。もちろん、上記自動運転停止後遮断手段の設定条件の関係によって、自動運転停止後遮断手段による電源遮断が行われる場合もあるが、自動運転停止後遮断手段が無効化されている場合には、これに代えて上記定時遮断手段がその役割を果たすことができ、特に有効である。
また、上記定時遮断手段と自動運転停止後遮断手段の両方が有効である場合でも、上記定時遮断開始時刻と定時遮断終了時刻との間に産業設備が自動運転を終了した場合に、より早く産業設備の電源を遮断することが可能となる。例えば、産業設備が自動運転を終了した場合に、自動運転停止後遮断手段では30分後に電源を遮断するよう設定されており、定時遮断手段では3分後に電源を遮断するよう設定されている場合には、定時遮断手段によって電源をより早く遮断する。これにより、省エネおよび電力コスト削減をさらに推進することができる。
【0030】
また、上記制御手段は、上記産業設備が正常であるか否かを判断する設備正常判断手段を備え、
上記自動運転停止後遮断手段は、上記自動運転判断手段および上記設備正常判断手段により、上記産業設備が上記自動運転を正常に終了したと判断された場合に、その判断時刻より、上記設定経過時間が経過した後に上記電磁継電器を上記オン状態から上記オフ状態に切り替えるよう構成されていることが好ましい。
このようにすると、産業設備が自動運転を正常に終了した場合にのみ、電源を遮断し、自動運転を正常に終了していない場合には、電源を遮断しないようにすることができる。すなわち、産業設備に異常が発生して停止した場合は電源を強制的に遮断しないようにすることができる。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
本発明の電源遮断装置につき、図1〜図8を用いて説明する。
図1に示すごとく、本例の電源遮断装置1は、予め設定された条件で自動的に運転を続ける産業設備10の電源を、該産業設備10が自動運転を終了した後に遮断するための電源遮断装置1である。
また、産業設備10の電力供給線上に設けられた手動ブレーカ20に対して直列になるよう、電力供給線上に電磁継電器MC1が設けられている。
【0032】
図1に示すごとく、電磁継電器MC1への通電を制御することにより、産業設備10への電力供給状態を維持するオン状態と、産業設備10への電力供給を停止したオフ状態とを切り替えるよう、電磁継電器MC1を制御する制御装置3を備える。
また、ユーザによる、制御装置3へのデータ入力を受ける入力手段40と、入力されたデータを表示する表示手段41とを備える。
【0033】
図2に示すごとく、制御装置3は、入力されたデータ33dを記憶する記憶手段33と、時刻を計る計時手段34とを備える。
また、制御装置3は、産業設備10が自動運転中か否かを判断する自動運転判断手段60を備える。
さらに、自動運転判断手段60により、産業設備10が自動運転を終了したと判断された場合に、その判断時刻より、予め設定された設定経過時間が経過した後に電磁継電器MC1をオン状態からオフ状態に切り替える自動運転停止後遮断手段61を備える。
また、自動運転判断手段60により、産業設備10が自動運転を終了したと判断された場合であって、かつ、予め設定された設定遮断時刻に達した場合に、電磁継電器MC1をオン状態からオフ状態に切り替える定時遮断手段62を備える。
【0034】
また、本例の電力遮断装置1は、図1、図2に示すごとく、産業設備10が、製造ラインに製品が運ばれてきた場合には自動的に処理できる状態であって、かつ製品が運ばれてくるまで待機する待機状態であるか否かを判断する待機状態判断手段63を備える。
そして、待機状態判断手段63により、産業設備10が待機状態になったと判断した場合に、その判断時刻より、予め定められた設定待機時間が経過した後に電磁継電器10をオン状態からオフ状態に切り替える待機後遮断手段64を備える。
以下、詳説する。
【0035】
図2に示すごとく、制御装置3は、演算処理装置32(CPU)と、プログラム33pおよび入力データ33dを記憶する記憶手段33(メモリ)と、計時手段34と、I/O30と、これらを接続する接続ライン31とを備える。演算処理装置32がプログラム33pを読み込んで実行することにより、本例の自動運転判断手段60、自動運転停止後遮断手段61、定時遮断手段62、待機状態判断手段63、待機後遮断手段64、設定無効化手段65、予告情報表示手段66、音声出力手段67、設備正常判断手段68が実現される。
【0036】
一方、図1に示すごとく、制御装置3は、入力端子X0、X1、X2、X3および出力端子Y0、Y1、Y2を備える。入力端子X0には、産業設備10が自動運転モードを選択しているか否かを示す信号が入力される。入力端子X1には、産業設備10が自動運転中か否かを示す信号が入力される。また、入力端子X2には、産業設備10に異常が発生しているか否かを示す信号が入力される。入力端子X3には、産業設備10が待機状態になっているか否かを示す信号が入力される。
出力端子Y0、Y1、Y2は、それぞれリレーCR1のコイル81、音声出力手段BZ1(ブザー)、リレーCR2のコイル82に通電するための電流を出力する。
【0037】
また、起動スイッチ5、リレーCR1,CR2、電磁継電器MC1は、図1に示すように接続されている。制御装置3および産業設備10が停止している状態でユーザが起動スイッチ5を押圧すると、これら制御装置3および産業設備10を起動することができる。
すなわち、起動スイッチ5を押すと、電磁継電器MC1のコイル21および起動スイッチ5に電流が流れ、電磁継電器MC1がオン状態になる。これにより、電磁継電器MC1およびリレーCR2に電流が流れ、電磁継電器MC1は自己保持状態になる。その後、ユーザが手を離して起動スイッチ5がオフになっても、電磁継電器MC1はオン状態を維持し続ける。
電磁継電器MC1がオン状態になると、暫く経過した後、制御装置3が起動し、出力端子Y0から信号を出力する。これによりリレーCR1がオン状態になり、次いで、出力端子Y2から出力された信号により、リレーCR2がオフ状態になる。これにより、電磁継電器MC1の自己保持状態が解除される。この後は、リレーCR1および電磁継電器MC1がオン状態になり、制御装置3および産業設備10に電力を供給し続ける。
【0038】
産業設備10の電源を遮断する場合には、制御装置3は出力端子Y0からの出力信号を停止する。これにより、コイル81に電流が流れなくなり、リレーCR1がオフ状態になる。そしてコイル21への通電が停止し、電磁継電器MC1がオフ状態になる。
【0039】
一方、本例では、定時遮断手段62における設定遮断時刻は、ユーザの入力により予め設定できるよう構成されている。すなわち、ユーザが設定遮断時刻を入力手段40に入力すると、その設定遮断時刻が入力データ33d(図2参照)としてメモリ33に記憶される。この設定遮断時刻は、変更することもできる。
【0040】
また、図2に示すごとく、制御装置3は、自動運転停止後遮断手段61と、定時遮断手段62と、待機後遮断手段64との少なくとも一を無効化して当該手段によっては電磁継電器MC1をオフ状態に切り替えないようにする設定無効化手段65を有する。自動運転停止後遮断手段61、定時遮断手段62、待機後遮断手段64を無効化するためには、ユーザが、入力手段40に対して、これらを無効化する操作を行う。
【0041】
また、図1に示すごとく、入力手段40及び表示手段41は、表示画面にデータを表示するとともに、ユーザによるデータ入力を受け付けるタッチパネル4である。
このタッチパネル4には、上述した設定遮断時刻、設定経過時間、および電源遮断前の予告情報が表示される。また、ユーザはこのタッチパネル4に対して、自動運転停止後遮断手段61、定時遮断手段62、待機後遮断手段64を無効化する場合の操作を行う。
【0042】
また、図1に示すごとく、制御装置3は、産業設備10へ供給する電力の一部を用いて稼動しており、電磁継電器MC1をオフ状態にすると制御装置3への電力供給も停止するよう構成されており、制御装置3および産業設備10が停止している場合に、ユーザの手動操作によって制御装置3および産業設備10を起動するための起動スイッチ5を備える。
【0043】
また、図1に示すごとく、起動スイッチ5をオンする手動操作により、電磁継電器MC1のコイル21に電流が流れ、自己保持状態になってオン状態を保持するとともに、電磁継電器MC1を流れた電流によって制御装置3が起動するよう構成されている。
また、電磁継電器MC1のコイル21に対して直列にリレーCR1が設けられており、制御装置3からの出力信号によりリレーCR1がオンし、該リレーCR1を通して電磁継電器MC1のコイル21に電流が流れて電磁継電器MC1がオン状態を維持し、その後、電磁継電器MC1の自己保持状態を解除するよう構成されている。
【0044】
また、図1、図2に示すごとく、制御装置3は、演算処理装置32(CPU)と、該演算処理装置32のプログラム33pを記憶するメモリ33を有し、プログラム33pの書き込み中に電磁継電器MC1を強制的にオン状態にする強制ONスイッチ7を備える。
この強制ONスイッチ7は、例えばセレクト型スイッチを用いることができる。
【0045】
次に、プログラム33pを含めた、電源遮断装置1の全体のフローチャートを図3〜図5に示す。このフローチャートを使って、電源遮断装置1の動作について説明する。
まず、図3に示すごとく、ユーザが強制ONスイッチ7をオンにするか、起動スイッチ5をオンにすると、産業設備10および制御装置3が起動する(ステップS1〜S3)。
【0046】
制御装置3は、起動した後、自動運転停止後遮断手段61が有効になっているか否かを判断する(ステップS4)。ここで、自動運転停止後遮断手段61が有効になっている場合はステップS11に移動し、無効になっている場合はステップS5に移動する。
【0047】
ステップS11〜S14の処理を図4に示す。
図4に示すごとく、ステップS11では、ユーザによる、自動運転停止後遮断手段61のタイマー設定を受け付ける。すなわち、産業設備10が自動運転を停止した後、何分後(設定経過時間)に産業設備10の電源を遮断するかをユーザが設定する場合は、その設定値を記憶する。ユーザが設定しない場合は、メモリ33に記憶している値を使ってステップS14を処理する。
ステップS12では、産業設備10が自動運転モードを選択しているか手動運転モードを選択しているかを判断する。この判断は、制御装置3の入力端子X0(図1参照)に入力される信号に基づいて行う。ここで、産業設備10が自動運転モードを選択していると判断した場合はステップS13に移り、手動運転モードを選択していると判断した場合(自動運転モードでない場合)はステップS5に移る。
【0048】
ステップS13では、産業設備10の自動運転が停止し、かつ産業設備10が正常であるか否かを判断する。この判断は、制御手段3の入力端子X1及びX2に入力される信号に基づいて行う。ステップS13でYESと判断した場合はステップS14に移動し、NOと判断した場合はステップS5に移動する。
ステップS14では、産業設備10の電源を遮断する時刻の所定時間前になったか否かを判断する。本例では、電源遮断時刻の3分前になったか否かを判断する。3分前になった場合はステップS19に移動し、3分前になっていない場合はステップS5に移る。
以上説明したように、ステップS11〜S14を処理することにより、産業設備10が自動運転を正常に終了し、かつ電源を遮断する予定時刻よりも所定時間前に達した場合にステップS19以降に進み、そうでない場合はステップS5に進む。
【0049】
次に、ステップS5〜S9について説明する。図3に示すごとく、ステップS5では、定時遮断手段62が有効であるか否かを判断する。定時遮断手段62が有効である場合はS6に進み、無効である場合はステップS10に進む。
ステップS6では、ユーザによる、産業設備10の設定遮断時刻の設定を受け付ける。すなわち、産業設備10の定時遮断開始時刻と定時遮断終了時刻とを一組にして設定する操作がユーザにより行われた場合、その時刻を記憶する。この定時遮断開始時刻と定時遮断終了時刻の間の時間帯を設定遮断時刻として扱う。ステップS6で設定が行われない場合は、既にメモリ33(図2参照)に記憶されている定時遮断開始時刻および定時遮断終了時刻を用いて、ステップS7〜S9を処理する。
【0050】
ステップS7では、現在時刻が定時遮断開始時刻と定時遮断終了時刻の間であるか否かを判断する。例えば、定時遮断開始時刻と定時遮断終了時刻の間に産業設備10の電源を投入した場合には、YESと判断される。ステップS7でYESと判断した場合はステップS9に進み、NOと判断した場合はステップS8に進む。
ステップS8では、設定遮断時刻の所定時間前に到達したか否かを判断する。本例では、設定遮断時刻の3分前に到達したか否かを判断している。ここでYESと判断した場合はステップS9に進み、NOと判断した場合はステップS10に進む。
ステップS9では、産業設備10が自動運転を停止したか否かを判断する。この判断は、制御手段3の入力端子X1及びX2に入力される信号に基づいて行う。ステップS9でYESと判断した場合はステップS19に進み、NOと判断した場合はステップS10に進む。
以上説明したように、ステップS6〜S9を処理することにより、産業設備10が自動運転を正常に終了し、かつ設定遮断時刻に達した場合にステップS19に進み、そうでない場合はステップS10に進む。
【0051】
ステップS10では、待機後遮断手段64が有効であるか否かを判断する。ここでYESと判断された場合はステップS15に進み、NOと判断した場合はステップS4に戻る。
ステップS15では、ユーザによる、設定待機時間の設定を受け付ける。また、ステップS16では産業設備10が自動運転中か否かを判断する。ここでYESと判断された場合にはステップS17に進み、NOと判断された場合はステップS4に戻る。
ステップS17では、産業設備10が待機状態になったか否かを判断する。自動運転中であっても、製造ラインに製品が流れてこない場合は待機状態になる。ここでYESと判断された場合はステップS18に進み、NOと判断された場合はステップS4に戻る。
【0052】
ステップS18では、産業設備10の電源を遮断する時刻の所定時間前になったか否かを判断する。本例では、電源遮断時刻の3分前になったか否かを判断する。3分前になった場合はステップS19に移動し、3分前になっていない場合はステップS4に戻る。
【0053】
以上説明したように、ステップS15〜S18を処理することにより、産業設備10が待機状態になり、かつ設定待機時間を経過した場合はステップS19に進み、それ以外の場合はステップS4に戻る。
【0054】
ステップS19では、産業設備10の電源を遮断する予告情報をタッチパネル4に表示する。例えば、電源遮断までに残された時間を表示する。
また、ステップS20では、自動運転停止後遮断手段61、定時遮断手段62、待機後遮断手段64を無効化する操作が行われたか否かを判断する。ユーザが、これらを無効化する操作を行った場合は、ステップS4に戻る。無効化操作を行わない場合はステップS21に進む。
ステップS21では、電源遮断時刻の所定時間前に到達したか否かを判断する。本例では、電源遮断時刻の1分前に到達したか否かを判断する。ここでYESと判断した場合はステップS22に進み、NOと判断した場合はステップS20に戻る。
【0055】
ステップS22では、音声出力手段BZ1(図2参照)に音声出力をさせることにより、1分以内に電源を遮断することをユーザに通知する。
ステップS23では、ステップS20と同様に、自動運転停止後遮断手段61、定時遮断手段62、待機後遮断手段64を無効化する操作が行われたか否かを判断する。ユーザが、これらを無効化する操作を行った場合は、ステップS4に戻る。無効化操作を行わない場合はステップS24に進む。
ステップS24では、電源遮断時刻に到達したか否かを判断する。電源遮断時刻に到達した場合はステップS25に進み、到達していない場合はステップS23に戻る。
電源遮断時刻に到達した後、強制ONスイッチ7がオンになっている場合は、電源を遮断できないが(ステップS25)、強制ONスイッチ7がオフになっている場合は、産業設備10の電源を遮断する(ステップS26)。
【0056】
次に、1日のうちの、電源遮断装置1の動作例を図7に示す。同図に示すごとく、定時遮断開始時刻t1と、定時遮断終了時刻t2とは一対にして設定されている。そして、定時遮断開始時刻t1と定時遮断終了時刻t2の組は、複数個、設定可能になっている。本例では、定時遮断開始時刻t1と定時遮断終了時刻t2は、合計4組設定されている。
一方、産業設備10が自動運転を時刻t3に終了した場合、その時刻t3から設定経過時間t5を経過すると、電源遮断時刻t4になる。図7では、電源遮断時刻t4が定時遮断開始時刻t1よりも早いため、この電源遮断時刻t4に産業設備10の電源が遮断される。
【0057】
その後、図7に示すごとく、時刻t1とt2の間の時刻t0’にユーザが産業設備10の電源を投入した場合でも、産業設備10が自動運転中であれば、定時遮断手段62によって電源は遮断されない。また、産業設備10が自動運転を時刻t3’に終了した場合、設定経過時間t5’を経過した後に電源遮断時刻t4’となるが、図7の例では時刻t4’よりも定時遮断開始時刻t1’の方が早いため、この定時遮断開始時刻t1’に産業設備10の電源が遮断される。
【0058】
次に、電源遮断装置1の別の動作例を図8に示す。上述したように、産業設備10が自動運転中である場合は、定時遮断開始時刻t1に達しても電源を遮断しない。また、定時遮断開始時刻t1と定時遮断終了時刻t2との間の時刻t3に産業設備10が自動運転を終了した場合は、自動運転停止後遮断61と、定時遮断手段62とのいずれかによって、産業設備10の電源が遮断される。ここで、自動運転停止後遮断手段61による電源遮断時刻t4と、定時遮断手段62による電源遮断時刻t6とのうち、早い方の時刻に、産業設備10の電源が遮断される。図8の例では、定時遮断手段62による電源遮断時刻t6の方が早いので、この時刻t6に、産業設備10の電源が遮断される。
【0059】
一方、ユーザが時刻t0’に産業設備10を起動し、自動運転をしていたが、時刻t9において待機状態になった場合には、その時刻t9から設定待機時間t8を経過した時刻t4’にて電源を遮断する。
【0060】
次に、本例の電源遮断装置1の作用効果について説明する。
図1に示すごとく、本例の電源遮断装置1は、産業設備10の電源供給線上に手動ブレーカ20と電磁継電器MC1とを直列接続し、この電磁継電器MC1のオンオフ動作を制御装置3で制御するように構成した。また、図2に示すごとく、制御装置3は、自動運転判断手段60と、自動運転停止後遮断手段61と、定時遮断手段62とを備える構成にした。
図3〜図5に示すごとく、自動運転停止後遮断手段61は、産業設備10が自動運転を終了した場合、所定の設定経過時間が経過した後に、産業設備10の電源を自動的に遮断する。そのため、自動運転が終了した後、ユーザが産業設備10の手動ブレーカ20を切り忘れた場合でも、自動的に電源を遮断でき、省エネおよび電力コスト削減を推進することができる。
【0061】
また、図3に示すごとく、定時遮断手段62は、産業設備10が自動運転を終了した場合であって、かつ予め定められた設定遮断時刻に達した場合には、産業設備10の電源を自動的に遮断する。そのため、産業設備10が自動運転中である場合には、設定遮断時刻に達したとしても、産業設備10の電源を遮断せず、自動運転が終了した場合にのみ、電源を遮断することができる。これにより、自動運転中の産業設備10の電源を遮断してしまう不具合を防止できる。
【0062】
また、本発明の制御装置3は、自動運転停止後遮断手段61と定時遮断手段62とを備えるので、自動運転が終了した後、産業設備10の電源を速やかに遮断することができる。すなわち、図7に示すごとく、産業設備10が自動運転を時刻t3に終了した後、設定経過時間t5の経過の方が、定時遮断開始時刻t1よりも早い場合は、自動運転停止後遮断手段61により、産業設備10の電源を遮断できる。また、図7に示すごとく、産業設備10が自動運転を時刻t3’に終了した場合で、定時遮断開始時刻t1’の方が、設定経過時間t5’の経過よりも早い場合は、定時遮断手段62により、産業設備10の電源を遮断できる。
【0063】
また、図1に示すごとく、本例の電源遮断装置1は入力手段40と表示手段41を備える。そのため、ユーザは入力手段40を使って制御装置3へデータ入力を行うことができ、また、入力したデータを表示して確認することができる。
【0064】
また、図2に示すごとく、本例の電源遮断装置1は、待機状態判断手段63と、待機後遮断手段64とを備える。これにより、産業設備10の省エネおよび安全対策を一層進めることが可能となる。
すなわち、産業設備10は自動運転中であっても、製品が流れてこない場合には動作せず、製品が流れてくるまで待機する。この待機状態が長時間続くと、電力が無駄になる等の問題がある。しかし上述のようにすれば、産業設備10が待機状態になってから所定時間を経過した後に電源を遮断することができ、電力コストを抑制することが可能になる。
【0065】
また、本例では、定時遮断手段62における設定遮断時刻は、ユーザの入力により予め設定できるよう構成されている。
このようにすると、産業設備10の電源を遮断する時刻を、ユーザが自由に設定できるようになる。例えば、夜中や休憩時間中など、産業設備10を停止する時刻が決められている場合は、その時刻を設定することができる。これにより、工場のスケジュール等に合わせて、柔軟に、電源を遮断する予定時間を設定または変更することができる。
【0066】
また、本例では、図7に示すごとく、定時遮断手段62は、複数の設定遮断時刻を設定可能に構成されている。
このようにすると、産業設備10の電源を遮断する時間を、一日の間に複数回設定することができる。例えば、一日の間に休憩時間が複数回ある場合等に、その休憩時間ごとに産業設備10を自動的に停止できるようになる。これにより、休憩時間中の省エネおよび電力コスト削減を一層、進めることが可能になる。
【0067】
また、図2、図3〜図5に示すごとく、制御装置3は、自動運転停止後遮断手段61と、定時遮断手段62と、待機後遮断手段64とを各々無効化して当該手段によっては電磁継電器MC1をオフ状態に切り替えないようにする設定無効化手段65を有する。
このようにすると、産業設備10の稼動スケジュールを急に変更した場合に対応することができる。例えば、産業設備10の設定遮断時刻が近づいているが、ユーザが予定を変更して産業設備10を稼動する場合には、定時遮断手段62を無効化することができる。また、産業設備10が自動運転を終了して、設定経過時間を経過しつつあるが、予定を変更して引き続き産業設備10を稼動する場合には、自動運転停止後遮断手段61を無効化することができる。
【0068】
また、図1に示すごとく、入力手段40及び表示手段41は、表示画面にデータを表示するとともに、ユーザによるデータ入力を受け付けるタッチパネル4である。
このようにすると、入力手段40と表示手段41を一体化することができ、電源遮断装置1の部品点数を減らして簡素化することができる。また、ユーザは、表示画面を見ながらデータ入力をすることができるため、操作を行いやすくなる。
【0069】
また、本例では、図1に示すごとく、ユーザの手動操作によって制御装置3および産業設備10を起動するための起動スイッチ5を備える。
このようにすると、産業設備10および制御装置3が停止している時に、ユーザの手動操作によって、産業設備10および制御装置3を起動させることができる。
電磁継電器MC1をオン状態にするためには、まず制御装置3を立ち上げる必要がある。制御装置3が一旦起動すれば、後は制御装置3からの出力信号によって、電磁継電器MC1のオン状態を維持することが可能となる。しかし、制御装置3が停止している場合は、上記信号を出力できないので、手動操作によって制御装置3を立ち上げる必要がある。上記構成にすると、電源投入時に、ユーザが起動スイッチ5を手動操作してオンすることにより、制御装置3を立ち上げることが可能になる。
【0070】
また、本例では図1に示すごとく、起動スイッチ5をオンする手動操作により、電磁継電器MC1が自己保持状態になってオン状態を保持するよう構成されている。その後、制御装置3が立ち上がり、制御装置3からの出力信号によってリレーCR1がオンする。そして、リレーCR1を介してコイル21に電流が流れる。その後、リレーCR2がオフになって、電磁継電器MC1の自己保持状態が解除される。
このようにすると、起動スイッチ5を手動操作によってオンし、すぐに手を離しても制御装置3を起動することができる。また、制御装置3が起動した後は、電磁継電器MC1の自己保持状態が解除されるため、制御装置3が出力信号を停止すれば、電磁継電器MC1をオフ状態にすることができる状態になる。
【0071】
また、図1、図2に示すごとく、制御装置3は、演算処理装置32と、該演算処理装置32のプログラム33pを記憶するメモリ33を有し、プログラム33pの書き込み中に電磁継電器MC1を強制的にオン状態にする強制ONスイッチ7を備える。
このようにすると、プログラム33pの書き込み中に電磁継電器MC1がオフし、ひいては制御装置3が停止することを防止できる。
すなわち、制御装置3は、メモリ33にプログラム33pが記憶されている場合は、稼動中にプログラム33pを書き変える(いわゆるRUN中書込み)こともできるが、最初にメモリ33にプログラム33pを記憶させる場合は、RUN中書込みをすることができない。この場合、メモリ33にプログラム33pを書き込んでいる最中に、電磁継電器MC1をオン状態にするための信号を出力しなくなる場合がある。この信号の出力が停止してしまうと、電磁継電器MC1がオフ状態になり、制御装置3自体も停止してしまう。その結果、プログラム33pの書込みができなくなる。
しかしながら、強制ONスイッチ7を設けることにより、メモリ33に最初にプログラム33pを書き込む場合であっても、電磁継電器MC1を強制的にオン状態にすることができる。そのため、プログラムの書込み中に電磁継電器MC1がオフし、制御装置3が停止する不具合を防止できる。
【0072】
また、図2に示すに示すごとく、制御装置3は、電磁継電器MC1をオン状態からオフ状態に切り替える時刻の所定時間前に、表示手段41にその予告情報を表示する予告情報表示手段66を備える。
このようにすると、産業設備10の電源を遮断する前に、ユーザに通知することができる。ユーザは、この予告情報を見た後、必要に応じて、自動運転停止後遮断手段61、定時遮断手段62、待機後遮断手段64を無効化することができる。
【0073】
また、図2に示すごとく、制御装置3は、電磁継電器MC1をオン状態からオフ状態に切り替える時刻の所定時間前に、音声出力装置BZ1にその予告情報を音声出力させる音声出力手段67を備える。
このようにすると、ユーザが表示手段41を見ていなくても、産業設備10の電源が遮断することを音声により通知することができる。ユーザは、音声による通知を聞いた後、必要に応じて、自動運転停止後遮断手段61、定時遮断手段62、待機後遮断手段64を無効化することができる。
【0074】
また、図8に示すごとく、定時遮断手段62においては、設定遮断時刻として、1点の時刻ではなく、定時遮断開始時刻t1と定時遮断終了時刻t2との間の時間帯を指定し、この時間帯に属する時刻をすべて設定遮断時刻として扱う。このようにすると、定時遮断手段62の適用による電源遮断をより使いやすくすることができる。
すなわち、定時遮断時刻として、定時遮断開始時刻t1と定時遮断終了時刻t2とに挟まれる時間帯を設定しておくことによって、その時間帯より前に産業設備10が自動運転を終了していなくても、その時間帯に自動運転が終了しさえすれば、定時遮断手段62の適用によって電源遮断を実行することができる。もちろん、自動運転停止後遮断手段61の設定条件の関係によって、自動運転停止後遮断手段61による電源遮断が行われる場合もあるが、自動運転停止後遮断手段61が無効化されている場合には、これに代えて定時遮断手段62がその役割を果たすことができ、特に有効である。
また、定時遮断手段62と自動運転停止後遮断手段61の両方が有効である場合でも、定時遮断開始時刻t1と定時遮断終了時刻t2との間に産業設備10が自動運転を終了した場合に、より早く産業設備10の電源を遮断することが可能となる。例えば、産業設備10が自動運転を終了した場合に、自動運転停止後遮断手段61では30分後に電源を遮断するよう設定されており、定時遮断手段62では3分後に電源を遮断するよう設定されている場合には、定時遮断手段62によって電源を遮断する。これにより、省エネおよび電力コスト削減をさらに推進することができる。
【0075】
また、図2に示すごとく、制御手段3は、産業設備10が正常であるか否かを判断する設備正常判断手段68を備える。また、図4に示すごとく、自動運転停止後遮断手段61は、産業設備10が自動運転を正常に終了したと判断した場合に、その判断時刻から上記設定経過時間が経過した後に電磁継電器MC1をオン状態からオフ状態に切り替える。
このようにすると、産業設備10が自動運転を正常に終了した場合にのみ、電源を遮断し、自動運転を正常に終了していない場合には、電源を遮断しないようにすることができる。すなわち、産業設備10に異常が発生して停止した場合は電源を強制的に遮断しないようにすることができる。
【0076】
以上のごとく、本例によれば、自動運転する産業設備10に取り付けることができ、自動運転が終了した後に、産業設備10の電源を速やかに遮断できる電源遮断装置1を提供することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 電源遮断装置
10 産業設備
3 制御装置
33 記憶手段(メモリ)
34 計時手段
40 入力手段
41 表示手段
5 起動スイッチ
60 自動運転判断手段
61 自動運転停止後遮断手段
62 定時遮断手段
7 強制ONスイッチ
MC1 電磁継電器
CR1,CR2 リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された条件で自動的に運転を続ける産業設備の電源を、該産業設備が自動運転を終了した後に遮断するための電源遮断装置であって、
上記産業設備の電力供給線上に設けられた手動ブレーカに対して直列になるよう、上記電力供給線上に設けられた電磁継電器と、
該電磁継電器への通電を制御することにより、上記産業設備への電力供給状態を維持するオン状態と、上記産業設備への電力供給を停止したオフ状態とを切り替えるよう、上記電磁継電器を制御する制御装置と、
ユーザによる、上記制御装置へのデータ入力を受ける入力手段と、
入力されたデータを表示する表示手段とを備え、
上記制御装置は、入力されたデータを記憶する記憶手段と、
時刻を計る計時手段と、
上記産業設備が自動運転中か否かを判断する自動運転判断手段と、
該自動運転判断手段により、上記産業設備が自動運転を終了したと判断された場合に、その判断時刻より、予め設定された設定経過時間が経過した後に上記電磁継電器を上記オン状態からオフ状態に切り替える自動運転停止後遮断手段と、
上記自動運転判断手段により、上記産業設備が自動運転を終了したと判断された場合であって、かつ、予め設定された設定遮断時刻に達した場合に、上記電磁継電器を上記オン状態から上記オフ状態に切り替える定時遮断手段と、
を有することを特徴とする電源遮断装置。
【請求項2】
請求項1において、上記産業設備が、製造ラインに製品が運ばれてきた場合には自動的に処理できる状態であって、かつ該製品が運ばれてくるまで待機する待機状態であるか否かを判断する待機状態判断手段と、
該待機状態判断手段により、上記産業設備が上記待機状態になったと判断した場合に、その判断時刻より、予め定められた設定待機時間が経過した後に上記電磁継電器を上記オン状態からオフ状態に切り替える待機後遮断手段とを備えることを特徴とする電源遮断装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、上記定時遮断手段における上記設定遮断時刻は、ユーザの入力により予め設定できるよう構成されていることを特徴とする電源遮断装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項において、上記定時遮断手段は、複数の上記設定遮断時刻を設定可能に構成されていることを特徴とする電源遮断装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項において、上記制御装置は、上記自動運転停止後遮断手段と上記定時遮断手段の少なくとも一方を無効化して当該手段によっては上記電磁継電器を上記オフ状態に切り替えないようにする設定無効化手段を有することを特徴とする電源遮断装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項において、上記入力手段及び上記表示手段は、表示画面に上記データを表示するとともに、上記ユーザによる上記データ入力を受け付けるタッチパネルであることを特徴とする電源遮断装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項において、上記制御装置は、上記産業設備へ供給する電力の一部を用いて稼動しており、上記電磁継電器を上記オフ状態にすると上記制御装置への電力供給も停止するよう構成されており、該制御装置および上記産業設備が停止している場合に、ユーザの手動操作によって該制御装置および該産業設備を起動するための起動スイッチを備えることを特徴とする電源遮断装置。
【請求項8】
請求項7において、上記起動スイッチをオンする手動操作により、上記電磁継電器のコイルに電流が流れ、自己保持状態になって上記オン状態を保持するとともに、該電磁継電器を流れた電流によって上記制御装置が起動するよう構成されており、
上記電磁継電器のコイルに対して直列にリレーが設けられており、上記制御装置からの出力信号により上記リレーがオンし、該リレーを通して上記電磁継電器の上記コイルに電流が流れて該電磁継電器が上記オン状態を維持し、その後、該電磁継電器の自己保持状態を解除するよう構成されていることを特徴とする電源遮断装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、上記制御装置は、演算処理装置と、該演算処理装置のプログラムを記憶するメモリを有し、上記プログラムの書き込み中に上記電磁継電器を強制的に上記オン状態にする強制ONスイッチを備えることを特徴とする電源遮断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−41365(P2011−41365A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184387(P2009−184387)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(509225203)
【出願人】(509225214)
【Fターム(参考)】