説明

電牧金具およびそれを用いた鳥獣侵入防止柵

【課題】鳥獣侵入防止柵の電牧線の段数と高さを任意に設定可能とし、鳥獣侵入防止柵を設置してから長い時間が経過しても電牧線の段数と高さを容易に変更可能にする。
【解決手段】鳥獣侵入防止柵を組み立てるとき、支柱固着部102の螺旋状の部分に支柱を通して、電牧金具101を支柱に取り付ける。アーム部104を形成する線材に状態決定部105の先端の鉤状の部分106を掛けると、支柱固着部102は螺旋状の部分が締まって固着状態となる。固着状態では、電牧金具101は、支柱に固定され、動かすことはできない。一方、アーム部104を形成する線材から状態決定部105の先端の鉤状の部分106を外すと、支柱固着部102の螺旋状の部分が弛み、支柱固着部102は遊嵌状態となる。遊嵌状態では、電牧金具101を支柱に沿って動かすことができる。電牧線把持部103は、アーム部104から更に伸びた線材で形成され、電牧線を把持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧が印加される電牧線を保持するための電牧金具およびそれを用いた鳥獣侵入防止柵に関する。
【背景技術】
【0002】
電気ショックを利用して放牧家畜の逃走や野生動物の進入を防止する鳥獣侵入防止柵(あるいは、電気牧柵ともいう。)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
鳥獣侵入防止柵では、放牧地や農地を囲むように地面に支柱を立て、電牧線を支柱の間に張る。支柱には、電牧線を所定の高さに保持するための孔や溝が設けられている。そして、この孔や溝を利用して電牧線を所定の高さに保持する。
電牧線は、鋼線やポリワイヤー(ポリエチレンの白いひもやリボン等にステンレスの細いワイヤーを編み込んだもの)等の電流が流れる線材で構成されている。電牧線には、高電圧が印加される。高電圧が印加された電牧線に動物が触れると、その動物は電気ショックを受け、それ以降鳥獣侵入防止柵に近づかなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−283012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている電気牧柵(鳥獣侵入防止柵)では、支柱に設けられた孔や溝を利用して電牧線を保持する。このため、電牧線の段数と高さは支柱に設けられた孔や溝の数と位置により決まる。
しかし、鳥獣侵入防止柵を中山間地に設置する場合、斜面や窪み等地形の状況により放牧家畜の逃走防止や鳥獣の侵入防止に効果的な電牧線の段数や高さが替わる。
また、地面が硬くて支柱を基準深さまで打ち込めないため、電牧線の段数や高さを変更したい場合がある。
また、侵入防止に効果的な電牧線の段数や高さは、対象とする放牧家畜や鳥獣の大きさに応じて替わる。
更に、鳥獣侵入防止柵を設置した当初は例えば3段の電牧線で進入を防止できたが、数年経過した後、鳥獣が馴染んで3段では侵入を防止できなくなる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、電牧線の段数と高さを任意に設定でき、鳥獣侵入防止柵を設置してから長い時間が経過しても電牧線の段数と高さを容易に変更することができる電牧金具およびそれを用いた鳥獣侵入防止柵を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
鳥獣侵入防止柵で用いられる電牧金具であって、
第1の螺旋状の部分を有する線材で形成され、当該第1の螺旋状の部分の中に支柱を通すことにより支柱に取り付けられるとき、当該第1の螺旋状の部分が締まると、支柱に固定される固着状態となり、当該第1の螺旋状の部分が弛むと、支柱に沿って動かすことが可能な遊嵌状態となる支柱固着部と、
前記支柱固着部を形成する線材の一端から伸びた線材で形成されるアーム部と、
前記アーム部を形成する線材から更に伸びた線材で形成され、電牧線を把持することができる電牧線把持部と、
前記支柱固着部を形成する線材の他端から伸びた線材で形成され、先端部で前記アーム部を拘持することができ、当該先端部で前記アーム部を拘持するとき、前記支柱固着部が固着状態となり、当該先端部で前記アーム部を拘持しないとき、前記支柱固着部が遊嵌状態となる状態決定部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、本発明の電牧金具は、前記状態決定部の先端部が鉤状の部分を構成し、前記アーム部を形成する線材に当該鉤状の部分を掛けるとき、前記先端部で前記アーム部を拘持することを特徴とする。
【0008】
好ましくは、本発明の電牧金具は、前記電牧線把持部を形成する線材が第2の螺旋状の部分を構成し、前記電牧線把持部が当該第2の螺旋状の部分を貫通する電牧線を把持することができることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、本発明の電牧金具は、
前記アーム部が、鳥獣侵入防止柵で用いられる網の目を貫通することができる所定の長さを有し、
前記電牧金具のアーム部が前記網の目を貫通し、前記電牧金具の前記支柱固着部と電牧線把持部の間に前記網が配置されている状態で、前記電牧線把持部が電牧線を把持することができる、
ことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、本発明の電牧金具は、前記アーム部の所定の長さが、10cmから30cmまでの間の長さであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の鳥獣侵入防止柵は、
上述した電牧金具と、
電気絶縁性を有し、前記電牧金具の支柱固着部が取り付けられた支柱と、
前記電牧金具の電牧線把持部によって把持された電牧線と、
前記支柱を挟んで前記電牧線の反対側に配置された網と、
前記支柱の上端に前記網の上端辺を係止する上段係止金具と、
前記支柱の下部を挟持し、前記支柱の下部に前記網の下端辺を係止する下段係止金具と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の鳥獣侵入防止柵は、
上述したアーム部が所定の長さを有する電牧金具と、
電気絶縁性を有し、前記電牧金具の支柱固着部が取り付けられた支柱と、
前記電牧金具の電牧線把持部によって把持された電牧線と、
前記支柱に対し、前記電牧線と同じ側に配置された網と、
前記支柱の上端に前記網の上端辺を係止する上段係止金具と、
前記支柱の下部を挟持し、前記支柱の下部に前記網の下端辺を係止する下段係止金具と、
を備え、
前記電牧金具のアーム部が前記網の目を貫通し、前記電牧金具の支柱固着部と電牧線把持部の間に前記網が配置されている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、鳥獣侵入防止柵において電牧線の段数と高さを任意に設定でき、鳥獣侵入防止柵を設置してから長い時間が経過しても電牧線の段数と高さを容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)本発明の実施形態に係る電牧金具の一例の上面図である。(b)本発明の実施形態に係る電牧金具の一例の側面図である。
【図2】支柱の一例を示す図である。
【図3】電牧金具が支柱に固定された状態を示す上面図である。
【図4】(a)3段の電牧線が張られた第1の鳥獣侵入防止柵の一例の一部正面図である。(b)3段の電牧線が張られた第1の鳥獣侵入防止柵の一例の側面図である。
【図5】(a)4段の電牧線が張られた第1の鳥獣侵入防止柵の一例の一部正面図である。(b)4段の電牧線が張られた第1の鳥獣侵入防止柵の一例の側面図である。
【図6】(a)電牧線と網を有する第2の鳥獣侵入防止柵の一例の一部正面図である。(b)電牧線と網を有する第2の鳥獣侵入防止柵の一例の側面図である。
【図7】(a)上段係止金具の一例の正面図である。(b)上段係止金具の一例の側面図である。(c)上段係止金具の一例の平面図である。
【図8】(a)上段係止金具が支柱に取り付けられた状態を示す側面図である。(b)上段係止金具が支柱に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図9】(a)下段係止金具の一例の平面図である。(b)下段係止金具の一例の正面図である。
【図10】(a)下段係止金具を支柱に取り付けた状態を示す正面図である。(b)下段係止金具を支柱に取り付けた状態を示す側面図である。(c)下段係止金具を支柱に取り付けた状態を示す平面図である。
【図11】アンカーピンの正面図である。
【図12】第2の鳥獣侵入防止柵の所定長さの施工例を示す一部正面図である。
【図13】(a)変形例の下段係止金具を取り付けた状態を示す正面図である。(b)変形例の下段係止金具を取り付けた状態を示す側面図である。(c)変形例の下段係止金具を取り付けた状態を示す平面図である。
【図14】(a)支柱の上端にキャップを取り付けた状態を示す正面図である。(b)支柱の上端にキャップを取り付けた状態を示す側面図である。(c)支柱の上端にキャップを取り付けた状態を示す平面図である。
【図15】(a)第2の鳥獣侵入防止柵の網を上下中間で2つ折りに折り畳んだ状態を示す一部正面図である。(b)第2の鳥獣侵入防止柵の網を上下中間で2つ折りに折り畳んだ状態を示す側面図である。
【図16】(a)第2の鳥獣侵入防止柵の網を3つ折りに折り畳んだ状態を示す側面図である。(b)第2の鳥獣侵入防止柵の網を4つ折りに折り畳んだ状態を示す側面図である。
【図17】(a)第2の鳥獣侵入防止柵の網の下部を一部折り畳んだ状態を示す一部正面図である。(b)第2の鳥獣侵入防止柵の網の下部を一部折り畳んだ状態を示す側面図である。
【図18】(a)電牧線と網を有する第3の鳥獣侵入防止柵の一例の一部正面図である。(b)電牧線と網を有する第3の鳥獣侵入防止柵の一例の側面図である。
【図19】(a)図18に示す第3の鳥獣侵入防止柵で用いられる電牧金具の一例の上面図である。(b)図18に示す第3の鳥獣侵入防止柵で用いられる電牧金具の一例の側面図である。
【図20】図18に示す第3の鳥獣侵入防止柵において、電牧金具の位置を変更するために、網を浮かせた状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の実施形態に係る電牧金具について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る電牧金具101の構成の一例を示す。図1(a)は電牧金具101の一例の上面図であり、図1(b)は牧金具101の一例の側面図である。
電牧金具101は、支柱固着部102と、電牧線把持部103と、アーム部104と、状態決定部105とを有する。電牧金具101は、所定の強度を有する金属性の線材を用いて全体が形成される。その線材の断面は略円状であり、その直径は例えば3mm〜5mmである。
支柱固着部102は、電牧金具101を鳥獣侵入防止柵用の支柱に固定する部分である。支柱固着部102は、螺旋状の部分を有する線材(螺旋状に巻かれた線材)で形成される。この螺旋状の部分において線材は例えば略2回半巻かれる。鳥獣侵入防止柵を組み立てるとき、支柱固着部102の螺旋状の部分に円柱状の支柱を貫通させ、電牧金具101を鳥獣侵入防止柵用の支柱に取り付ける。
支柱固着部102は、支柱に取り付けられるとき、遊嵌状態と固着状態とを取ることができる。遊嵌状態では、螺旋状の部分が弛み、螺旋状の線材と支柱の間に隙間ができる。この状態では、電牧金具101を支柱に沿って動かすことができる。
一方、固着状態では、螺旋状の部分が締まり、螺旋状の線材が支柱を締め付ける。この状態では、電牧金具101は支柱に固定され、電牧金具101を動かすことはできない。
【0017】
電牧線把持部103は鳥獣侵入防止柵用の電牧線を把持する部分であり、アーム部104は支柱固着部102と電牧線把持部103とを連結する部分である。
アーム部104は、支柱固着部102を形成する線材の一端から伸びた線材で形成される。
電牧線把持部103は、アーム部104を形成する線材から更に伸び、先端が螺旋状に数回巻かれた線材で形成される。このように、電牧線把持部103は先端に螺旋状に巻かれた部分を有する。電牧金具101が鳥獣侵入防止柵用の支柱に取り付けられているとき、電牧線把持部103は、先端の螺旋状に巻かれた部分を貫通する電牧線を把持することができる。
【0018】
状態決定部105は、支柱固着部102が遊嵌状態と固着状態のいずれを取るかを決定する部分である。状態決定部105は、支柱固着部102を形成する線材の他端から伸びた線材で形成され、先端に鉤状の部分106を有する。
【0019】
図2に示す支柱110は、一般に地面に垂直に立てられる。電牧金具101は支柱110に取り付けられる。支柱110は、例えば、鋼管111とポリエチレンパイプ112で構成される。
支柱110は、円筒状のポリエチレンパイプ112の内側に、強度を増すために円筒状の鋼管111が挿入された構造である。ポリエチレンパイプ112は電気絶縁性を有する。電牧金具101が電導性を有する場合であっても、ポリエチレンパイプ112が電気絶縁性を有するため、電牧線から支柱110を通って地面に電流が流れることはない。
【0020】
図3は、電牧金具が支柱に固定された状態を示す。図3において、支柱固着部102は固着状態であり、電牧線把持部103の螺旋状に巻かれた部分を電牧線113が貫通している。図3において、図1および図2と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
状態決定部105の先端部は鉤状の部分106を構成する。図3に示すように、アーム部104を形成する線材に鉤状の部分106を掛けることによって、鉤状の部分106でアーム部104を拘持することができる。アーム部104を形成する線材に鉤状の部分106を掛けると、支柱固着部102の螺旋状の部分が締まって支柱固着部102が支柱110に固定されて固着状態となる。このとき、支柱固着部102はこの螺旋状の部分を貫通する支柱110に固定され、電牧金具101を動かすことはできない。
一方、図1に示すように、アーム部104を形成する線材から状態決定部105の先端の鉤状の部分106を外すと(すなわち、鉤状の部分106でアーム部104を拘持していないとき)、支柱固着部102の螺旋状の部分が弛み、支柱固着部102は遊嵌状態となる。このとき、支柱固着部102の螺旋状の部分を貫通する支柱110に沿って電牧金具101を動かすことができる。
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る第1の鳥獣侵入防止柵について図面を参照しながら説明する。
図4と図5は、それぞれ3段と4段の電牧線113が張られた鳥獣侵入防止柵201と鳥獣侵入防止柵202の構成の一例を示す。図4(a)と図5(a)はそれぞれ鳥獣侵入防止柵201と鳥獣侵入防止柵202を正面から見た図であり、図4(b)と図5(b)はそれぞれ鳥獣侵入防止柵201と鳥獣侵入防止柵202を側面から見た図である。
図4と図5において、図1〜図3と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
鳥獣侵入防止柵201と鳥獣侵入防止柵202は、電牧金具101と、支柱110と、電牧線113と、図示しない電源とを有している。
【0022】
鳥獣侵入防止柵201を組み立てるときは、まず、地面に突き刺す等の方法によって所定の領域を囲むように複数の支柱110を地面に立てる。次に、3段分の電牧金具101を支柱110に取り付ける。その際、遊嵌状態の電牧金具101を支柱110の所定の位置に配置した後、アーム部104を形成する線材に状態決定部105の先端の鉤状の部分106を掛けて電牧金具101を固着状態とし、電牧金具101を支柱110に固定する。そして、電牧金具101の電牧線把持部113に電牧線113を通す。最後に、電源により電牧線113に高電圧を印加する。
【0023】
鳥獣侵入防止柵201から鳥獣侵入防止柵202に変更するとき、すなわち、電牧線113を3段から4段に増やすとき、まず、電源を切って電牧線113への高電圧の印加を止める。次に、アーム部104を形成する線材から状態決定部105の先端の鉤状の部分106を外し、電牧金具101を固着状態から遊嵌状態にする。そして、3段分の電牧金具101を電牧線113とともに下げて位置を調整した後、電牧金具101を固着状態とし、3段分の電牧金具101を支柱110に再度固定する。次に、1段分の電牧金具101を支柱110に取り付ける。そして、取り付けた1段分の電牧金具101の電牧線把持部113に電牧線113を通す。最後に、電源により4段の電牧線113に高電圧を印加する。
【0024】
次に、本発明の実施形態に係る第2の鳥獣侵入防止柵について図面を参照しながら説明する。
図6は、電牧線113と網305を有する第2の鳥獣侵入防止柵301の一例を示す。
鳥獣侵入防止柵301は、支柱110と、電牧金具101と、電牧線113と、上段係止金具303と、下段係止金具304と、網305とを備える。図6において、図4および図5と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
第2の鳥獣侵入防止柵301には、電牧金具101と電牧線113が図4と同様に配置されている。
また、第2の鳥獣侵入防止柵301は、支柱110を挟んで電牧線113の反対側に網305が配置されている。網305は、例えばポリエチレン等の樹脂製であり、曲げることができる。網305は、上段係止金具303と下段係止金具304とによってその上端と下端を支柱110に固定され、支柱110間に張設される。
【0025】
上段係止金具303は、支柱110の上端に網305の上端辺を固定する。上段係止金具303は、図7と図8に示すように、挿入部311と、金具係止部312と、上端ロープ係止部314とを備えている。上段係止金具303は、所定の強度を有する金属性の線材を折り曲げて全体が形成される。
【0026】
挿入部311は、支柱110の内側の鋼管111の筒内に挿入される。挿入部311は、鋼管111の筒内に挿入できるようにU字形状に折曲されて形成されている。
金具係止部312は、支柱110の上端を挟み込む。金具係止部312は、挿入部311の一端から伸びて挿入部311と同一平面上に逆U字状に折曲されて形成される。
上端ロープ係止部314は網305の上端辺に配置される上端ロープ313を保持する。上端ロープ係止部314は、金具係止部312の先端部から延びて金具係止部312に対して斜設する如く斜め方向{図7(b)に於いて左斜め方向}に円状に折曲されて形成されている。即ち、上端ロープ係止部314は、金具係止部312の先端部から延びて斜め方向に円状に略一回転し、その先端部が金具係止部312の先端部に、上端ロープ313の出し入れを行うための隙間を残して近接するように形成されている。
なお、上端ロープ313は、網305の上端辺の網目を交互に貫通させて配設しても良く、或いは、網305の上端辺の適宜網目部に結んで配設しても良い。
【0027】
図8は、上段係止金具303の係止状態を示す。挿入部311を支柱110の上端から筒内に挿入し、金具係止部312で支柱110の上端を挟持することにより上段係止金具303を支柱110に固定する。そして、斜め方向に円状に折曲された上端ロープ係止部314の先端部と金具係止部312の先端部との隙間から上端ロープ313を上端ロープ係止部314の内側に導入し、上端ロープ313を上端ロープ係止部314に把持させる。
【0028】
下段係止金具304は、支柱110の下部に網305の下端辺を固定する。下段係止金具304は、図9と図10に示すように、挟持部321と、下端ロープ係止部323とを備えている。下段係止金具304は、所定の強度を有する金属性の線材を折り曲げて全体が形成される。
挟持部321は支柱110を挟持する。挟持部321は略半円状に折曲されて形成される。
下端ロープ係止部323は、網305の下端辺に配置される下端ロープ322を保持する。下端ロープ係止部323は、挟持部321の両端に夫々延設されて挟持部321と同一平面上に略逆半円状に折曲されて形成されている。
なお、下端ロープ322は、網305の下端辺の網目を交互に貫通させて配設しても良く、或いは、網305の下端辺の適宜網目部に結んで配設しても良い。
【0029】
図10は、下段係止金具304の係止状態を示す。下段係止金具304は、挟持部321に支柱110を挟持させた状態で、図10(a)に於いて左側の下端ロープ係止部323の内側に下から上に向けて下端ロープ322を通す。そして、更に、右側の下端ロープ係止部323の内側に上から下に向けて下端ロープ322を通し、下端ロープ322を下端ロープ係止部323に保持させる。保持されている下端ロープ322は、左右の下端ロープ係止部323の間が上段となり、その外方が下段となり、段差が形成される。
【0030】
また、鳥獣侵入防止柵301では、必要に応じて、支柱110間において、図11に示すアンカーピン324を用いて網305の下端辺、又は、網305の下端辺に配設される下端ロープ322を地面に固定することができる。
アンカーピン324を使用する場合は、アンカーピン324の上部の鉤部に、網305の下端辺、又は、網305の下端辺に配設される下端ロープ322を引っ掛け、アンカーピン324の頭部を叩いて、アンカーピン324の下部の槍部を地面に打ち込む。
アンカーピン324は、必要に応じて、支柱110間に於いて適宜1乃至複数本打ち込む。
【0031】
従って、図6に示すように、複数の支柱110に上段係止金具303と下段係止金具304を取付け、上段係止金具303と下段係止金具304により網305を支柱110間に張設すれば、鳥獣侵入防止柵301が完成する。
更に、必要に応じて、適宜本数のアンカーピン324を打ち込み、網305の下端辺、又は、網305の下端辺に配置される下端ロープ322を地面に固定する。
【0032】
図12は、5本の支柱110間に網305を張設し、3段の電牧線113を配置した所定長さの鳥獣侵入防止柵301の一部を示す。鳥獣侵入防止柵301は、5本の支柱110よりも長く設置することができ、或いは、柵として一定のスペースを囲い込むことも可能である。
【0033】
図13は、変形例の下段係止金具331を示す。下段係止金具331は、上述した鳥獣侵入防止柵301の下段係止金具304に代えて用いることができる
下段係止金具331は、下段係止金具304の下端ロープ係止部323に代えて変形例の下端ロープ係止部332を設けたものである。下端ロープ係止部332は、挟持部321に対し斜め外方{図13(a)に於いて斜め上方外方}に向かって略半円状に折曲されて斜設されている。挟持部321の両端の下端ロープ係止部332を介して下段係止金具331に保持されている下端ロープ322は、図13(a)に示すように、水平方向から見て、曲折することなく、即ち、段差になることなく、略直線状に掛架される。
但し、平面視では、図13(c)に示す如く、下端ロープ322が、支柱110と、左右の下端ロープ係止部332に部分的に巻回して下端ロープ322は曲折状態となる。
【0034】
下段係止金具331は、下端ロープ322を、水平方向から見て、曲折することなく、直線状になるように保持する。このため、下段係止金具331で下端ロープ322を保持した場合、下段係止金具304で保持した場合に比較して、外観が良好となる。また、下段係止金具304のように下端ロープ322を下方に曲折させないので、下端ロープ322の係止作業が容易になる。
【0035】
図14は、鳥獣侵入防止柵301の支柱110の上端に着脱自在のキャップ341を設けたものである。キャップ341は必要に応じて適宜選択的に設けることができる。
キャップ341は、支柱110の外径以上の径を有する蓋部342と、支柱110の内壁内に嵌挿される嵌挿部343とから構成される。蓋部342には、上段係止金具303の金具係止部312が貫通する孔344が開穿されている。
キャップ341を支柱110に取り付ける場合は、予めキャップ341の孔344に上段係止金具303を貫通させてから取付ける。
【0036】
図15は、主として冬季間における鳥獣侵入防止柵301の使用法の一例である。図15に示すように、鳥獣侵入防止柵301は、網305の上端に配置された上端ロープ313を上段係止金具303に保持させた状態で、網305を上下中間で2つ折りに折り畳み、網305の下端の下端ロープ322も上段係止金具303に保持させることができる。このとき、電牧金具101と電牧線113は折り畳まれた網305と重なる位置に配置する。
なお、この場合に於いても、図6と同様に下段係止金具304は取付けておく。
【0037】
図15に示すように網305を折り畳むことによって、積雪による加重を避け、積雪荷重により、網305が引き延ばされてたるむ現象を防止することができる。
また、雪が深い場合は、積雪と、折り畳んだ状態の網305とで鳥獣侵入防止柵の効果が期待できる。即ち、積雪が鳥獣侵入防止柵の下部側の柵の役目を果たし、上下中間で折り畳んだ状態の網305が、鳥獣侵入防止柵の上部側の柵の役目を果たす。この時、所定高さの積雪があれば、上下中間で折り畳んだ状態の網305の下端部は、積雪によってある程度動かないように保持される。
【0038】
なお、この場合、必要に応じて、上下中間で折り畳んだ状態の網305の下端部を下段係止金具304により固定しても良い。その場合には、予め、上下中間で折り畳んだ状態の網305の下端部に位置するように、下段係止金具304を支柱110の適宜高さに別途取付けておく。
また、その場合、上下中間で折り畳んだ状態の網305の下端部を下段係止金具304で直接固定しても良いが、予め上下中間で折り畳んだ状態の網305の下端部となる位置に、下段係止金具304で固定するためのロープを配置し、そのロープを下段係止金具304で固定しても良い。
【0039】
更に、鳥獣侵入防止柵301は、冬季間終了時に、雪解け時期にとらわれず、網305を折り畳んだ状態から、図6に示すように網305が柵の下部側に張設された状態に変更することができる。
【0040】
また、図15の鳥獣侵入防止柵301の使用法を、例えば、草刈り期間(時間であっても良い。)にも適用できる。草刈り期間において、網305の上端に配置された上端ロープ313を上段係止金具303に保持させた状態で、網305の下端の下端ロープ322も上段係止金具303に保持させて、網305を上下中間で折り畳んだ状態に維持する。
なお、この場合に於いても、下段係止金具304は取付けておく。
【0041】
前記草刈り期間に於ける使用法によって、草刈り機等による網305や電牧線113の損傷を防止することができると共に、網の下方の草刈りが可能となる。
草刈り期間が終了したら、網305を折り畳んだ状態から、図6に示すように網305が柵の下部側に張設された状態に変更する。
なお、図15に示す鳥獣侵入防止柵301の使用法は、冬季間及び草刈り期間の適用に限定されるものではなく、他の必要な期間や、目的に適用することも可能である。
【0042】
図16(a)は、鳥獣侵入防止柵301の他の使用法の一例である。図16(a)の鳥獣侵入防止柵301は、網305の上端に配置された上端ロープ313が上段係止金具303に保持された状態で、網305の上下間の所定箇所、好適には、網305の上端から上下幅の約2/3の下方箇所が上段係止金具303で固定されている。図16(a)では、網305は3つ折りに折り畳んだ状態に維持される。このとき、電牧金具101と電牧線113は3つ折りに折り畳まれた網305と重なる位置に配置する。
【0043】
図16(b)は、鳥獣侵入防止柵301の更に他の使用法の一例である。図16(b)の鳥獣侵入防止柵301は、網305の上端に配置された上端ロープ313が上段係止金具303に保持された状態で、網305の上下間の所定箇所、好適には、網305の上端から上下幅の約1/2下方箇所と、網305の下端ロープ322とが上段係止金具303で固定されている。図16(b)では、網305は4つ折りに折り畳んだ状態に維持される。このとき、電牧金具101と電牧線113は4つ折りに折り畳まれた網305と重なる位置に配置する。
【0044】
図16(a)及び図16(b)の使用法においては、網305の最下端位置を高い位置に保持し、積雪の多い場合に網305の損傷を防止することができる。
図16(a)及び図16(b)の使用法において、所定期間終了時には、網305の上端(この場合、上端ロープ313)を除く固定部分(下端ロープ322を含む)を上段係止金具303から外し、網305の下端を下段係止金具304に係止して網305を張設する。
なお、状況に応じて、上述した4つ折りよりも更に多く折り畳むことも可能である。
【0045】
図17は、冬期間または草刈り期間等の所定期間における鳥獣侵入防止柵301の更に他の使用法の一例である。例えば、図6と同じ位置に配置された下段係止金具304(以下、下段の下段係止金具304という。)よりも上方で、且つ、上段係止金具303から所定寸法(任意の寸法に設定可能である。例えば、網305の上下幅の1/4程度の寸法)下げた位置(以下、中段という。)に、別の下段係止金具304を配置する。網305の上端に配置された上端ロープ313を上段係止金具303に保持させた状態で、網305の下端の下端ロープ322を中段の下段係止金具304に保持させて、網305の下部を一部折り畳んだ状態に維持する。冬期間、又は、草刈り期間等の所定期間終了時に、下端ロープ322を中段の下段係止金具304から外し、下端ロープ322を下段の下段係止金具304に保持させて網305を張設する。
なお、中段と下段の下段係止金具304を別々に設けることなく、下段の下段係止金具304を中段の位置に移動させて用いることも可能である。そして、所定期間終了時に、網305を下段まで張設する時は、中段に移動させた下段係止金具4を下段の位置に戻せば良い。
【0046】
図17に示す鳥獣侵入防止柵301の使用法によっても、図15に示した鳥獣侵入防止柵301の使用法と同様の効果が期待できる。
ただし、図17に示す鳥獣侵入防止柵301の使用法の場合は、必要に応じて、中段の下段係止金具304の取付位置を変えることにより、網の折り畳みの割合(地面からどの程度持上げるか)を調節することができる。これにより、例えば、積雪の深さに応じて網305の折り畳んだ状態における下端部の位置調節が可能となる。
なお、図17に示す鳥獣侵入防止柵301の使用法は、冬季間及び草刈り期間の適用に限定されるものではなく、他の必要な期間や、目的に適用することも可能である。
【0047】
次に、本発明の実施形態に係る第3の鳥獣侵入防止柵について図面を参照しながら説明する。
図18は、電牧線113と網402を有する第3の鳥獣侵入防止柵401の一例を示す。
鳥獣侵入防止柵401は、図18に示すように、支柱110と、網402と、電牧金具403と、電牧線113と、上段係止金具303と、下段係止金具304とを備える。図18において、図4〜図6と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
図18の鳥獣侵入防止柵401では、電牧金具403と電牧線113は図6と同様に配置されている。
ただし、図6と異なり、網402は、支柱110に対し、電牧線113と同じ側に配置されている。また、図6の鳥獣侵入防止柵301で用いられる網305は必ずしも電気絶縁性を有する必要はないが、網402は電気絶縁性を有する必要がある。網402は、例えばポリエチレン等樹脂製であり、曲げることができる。
【0048】
電牧金具403は、図19に示すように、支柱固着部102と、電牧線把持部103と、アーム部404と、状態決定部105とを有する。図19において、図1と同一の構成要素には同一の符号が付されている。電牧金具403も、電牧金具101と同様に、所定の強度を有する金属性の線材を折り曲げて全体が形成される。その線材の断面は略円状であり、その直径は例えば3mm〜5mmである。
アーム部404は、網402の目を貫通することができる所定の長さを有する。アーム部404の長さは、図19に示すように、例えば10cm〜30cmである。
アーム部404が網402の目を貫通し、支柱固着部102と電牧線把持部103の間に網402が配置されている状態で、電牧線把持部103は電牧線113を把持することができる。
【0049】
鳥獣侵入防止柵401では、図18(b)に示すように、電牧金具403のアーム部404が網402の目を貫通し、電牧金具403の支柱固着部102と電牧線把持部103の間に網402が配置されている。
このため、支柱110に取り付けられている電牧金具403の位置を変更するときには、まず、一時的に電牧金具404の電牧線把持部103から電牧線113を取り外す。次に、図20に示すように網402を浮かし、電牧金具403の位置を変更する。そして、状態決定部105の先端の鉤状の部分106でアーム部404を拘持し、アーム部404に網402の目を貫通させる。支柱固着部102と電牧線把持部103の間に網402が配置されている状態で、再度電牧金具404の電牧線把持部103に電牧線113を把持させて鳥獣侵入防止柵401に電牧線113を取り付ける。
【0050】
なお、電牧金具403は、電牧金具101におけるアーム部104の長さを網402の目を貫通することができる所定の長さと規定しただけであり、その他に電牧金具101と何ら異なるとことはない。また、網402は、電気絶縁性を有すること以外に網305と異なるところはない。図6に示す第2の鳥獣侵入防止柵301を、電牧金具101と網305の代わりに電牧金具403と網402を用いて構成することができるのはもちろんである。
また、第3の鳥獣侵入防止柵401でも、第2の鳥獣侵入防止柵301と同様に、下段係止金具304の代わりに下段係止金具331を用いることができる。
【0051】
更に、第3の鳥獣侵入防止柵401でも、必要に応じて、支柱110間において、図11に示すアンカーピン324を用いて網402の下端辺、又は、網402の下端辺に配設される下端ロープ322を地面に固定することができる。
また、第3の鳥獣侵入防止柵401の支柱110の上端にも必要に応じて図14に示すキャップ341をかぶせることができる。
また、第3の鳥獣侵入防止柵401も、図15〜図17を参照して第2の鳥獣侵入防止柵301について説明したのと同様に、網402を折り畳んで使用することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、支柱110は鋼管111とポリエチレンパイプ112で構成されるとしたが、支柱110は、電気絶縁性を有すればよく、プラスチック等の導電性のない素材で形成してもよい。
また、第1の鳥獣侵入防止柵201のように、網305を有さない場合には、支柱110は中空の円筒ではなく、空洞を含まない円柱でもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、電牧線把持部103の先端部の線材は螺旋状の部分を構成するとしたが、電牧線把持部103の先端部は電牧線113を把持できる構造であればよく、円周等他の構造であってもよい。
【0054】
以上説明したように、本発明によれば、鳥獣侵入防止柵において電牧線の段数と高さを任意に設定でき、鳥獣侵入防止柵を設置してから長い時間が経過しても電牧線の段数と高さを容易に変更することができる。
【0055】
上述した実施形態と異なり、電牧線をボルトとナットを含む金具により支柱に取り付けることも可能である。しかし、その場合長い時間が経過すると、ボルトとナットが錆びついてしまい、電牧線の段数や高さを変更することが困難になる。
本発明に係る電牧金具は、螺旋状の線材で支柱を締め付けることにより、支柱に固定される。アーム部を形成する線材から状態決定部の先端の鉤状の部分を外すと、支柱固着部の螺旋状の線材が弛み、電牧金具を動かすことができる。このため、本発明に係る電牧金具を用いた鳥獣侵入防止柵は、長い時間が経過しても、電牧線の段数や高さを容易に変更することができる。
【0056】
このため、本発明に係る鳥獣侵入防止柵を中山間地に設置する場合、斜面や窪み等地形の状況に応じて鳥獣の侵入防止に効果的な段数や高さで電牧線を支柱に取り付けることができる。
また、地面が硬くて支柱を基準深さまで打ち込めない場合、本発明に係る鳥獣侵入防止柵は、地面から出ている支柱の高さに応じて電牧線の段数や高さを調整することができる。
また、本発明に係る鳥獣侵入防止柵は、対象とする鳥獣の大きさに応じて電牧線の段数や高さを調整することができる。
【0057】
また、本発明に係る鳥獣侵入防止柵は、1段目の電牧線に高電圧を印加し、2段目の電牧線を接地するという使い方をすることもできる。
更に、本発明に係る鳥獣侵入防止柵は、当初設置した電牧線の段数では家畜や農作物等の被害を防げないとき、後日電牧線の段数を増やすことができる。このように、本発明に係る鳥獣侵入防止柵は、被害の状況に応じて対策を強化することができる。
【0058】
また、本発明に係る電牧金具を用いて鳥獣侵入防止柵を構成することにより、電牧線と支柱の間にアーム部の長さ分の間隔を設けることができる。このため、電牧線と支柱が接触する可能性が低くなり、鳥獣侵入防止柵を設置してから長期間経過し、支柱の一部分の絶縁性が低下した場合であっても漏電しにくくなる。
特に、上述した第3の鳥獣侵入防止柵では、電牧線と支柱の間に電気絶縁性を有する網が配置されているため、電牧線と支柱が接触することをほぼ防止することができる。
【0059】
また、本発明に係る鳥獣侵入防止柵では、電牧線と網を併用することにより、鳥獣侵入防止柵に近づいた動物が電牧線により電気ショックを受けるため、網や支柱に触れなくなる。このため、体当たり等により網を破壊する行為を防止することができる。また、適度な間隔をもうけて電牧線を配置することにより、動物が網を上って進入することを防止することができる。
【0060】
また、本発明に係る鳥獣侵入防止柵は、軽量な素材で構成することができる。このような軽量な素材で構成された鳥獣侵入防止柵は、高齢化している農家においても、農家の人が業者施工や、機械等に頼ることなく、農家の人だけで自力で施工することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
101、403…電牧金具、102…支柱固着部、103…電牧線把持部、104、404…アーム部、105…状態決定部、106…状態決定部の鉤状部分、110…支柱、111…鋼管、112…ポリエチレンパイプ、113…電牧線、201、202、301、401…鳥獣侵入防止柵、303…上段係止金具、304,331…下段係止金具、305、402…網、311…上段係止金具の挿入部、312…上段係止金具の金具係止部、313…上端ロープ、314…上段係止金具の上端ロープ係止部、321…下段係止金具の挟持部、322…下端ロープ、323、332…下段係止金具の下端ロープ係止部、341…キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥獣侵入防止柵で用いられる電牧金具であって、
第1の螺旋状の部分を有する線材で形成され、当該第1の螺旋状の部分の中に支柱を通すことにより支柱に取り付けられるとき、当該第1の螺旋状の部分が締まると、支柱に固定される固着状態となり、当該第1の螺旋状の部分が弛むと、支柱に沿って動かすことが可能な遊嵌状態となる支柱固着部と、
前記支柱固着部を形成する線材の一端から伸びた線材で形成されるアーム部と、
前記アーム部を形成する線材から更に伸びた線材で形成され、電牧線を把持することができる電牧線把持部と、
前記支柱固着部を形成する線材の他端から伸びた線材で形成され、先端部で前記アーム部を拘持することができ、当該先端部で前記アーム部を拘持するとき、前記支柱固着部が固着状態となり、当該先端部で前記アーム部を拘持しないとき、前記支柱固着部が遊嵌状態となる状態決定部と、
を備えることを特徴とする電牧金具。
【請求項2】
前記状態決定部の先端部が鉤状の部分を構成し、前記アーム部を形成する線材に当該鉤状の部分を掛けるとき、前記先端部で前記アーム部を拘持することを特徴とする請求項1に記載の電牧金具。
【請求項3】
前記電牧線把持部を形成する線材が第2の螺旋状の部分を構成し、前記電牧線把持部が当該第2の螺旋状の部分を貫通する電牧線を把持することができることを特徴とする請求項1または2に記載の電牧金具。
【請求項4】
前記アーム部が、鳥獣侵入防止柵で用いられる網の目を貫通することができる所定の長さを有し、
前記電牧金具のアーム部が前記網の目を貫通し、前記電牧金具の前記支柱固着部と電牧線把持部の間に前記網が配置されている状態で、前記電牧線把持部が電牧線を把持することができる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電牧金具。
【請求項5】
前記アーム部の所定の長さが、10cmから30cmまでの間の長さであることを特徴とする請求項4に記載の電牧金具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電牧金具と、
電気絶縁性を有し、前記電牧金具の支柱固着部が取り付けられた支柱と、
前記電牧金具の電牧線把持部によって把持された電牧線と、
前記支柱を挟んで前記電牧線の反対側に配置された網と、
前記支柱の上端に前記網の上端辺を係止する上段係止金具と、
前記支柱の下部を挟持し、前記支柱の下部に前記網の下端辺を係止する下段係止金具と、
を備えることを特徴とする鳥獣侵入防止柵。
【請求項7】
請求項4または5に記載の電牧金具と、
電気絶縁性を有し、前記電牧金具の支柱固着部が取り付けられた支柱と、
前記電牧金具の電牧線把持部によって把持された電牧線と、
前記支柱に対し、前記電牧線と同じ側に配置された網と、
前記支柱の上端に前記網の上端辺を係止する上段係止金具と、
前記支柱の下部を挟持し、前記支柱の下部に前記網の下端辺を係止する下段係止金具と、
を備え、
前記電牧金具のアーム部が前記網の目を貫通し、前記電牧金具の支柱固着部と電牧線把持部の間に前記網が配置されている、
ことを特徴とする鳥獣侵入防止柵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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