説明

電界放出表示素子及びその製造方法

【課題】 FED及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 アノード電極220及び蛍光体層230が一の面に形成されているアノードプレート200と、蛍光体層に対応して電子を放出する電子放出源140及び電子の通過するゲートホール150aを有するゲート電極150がアノードプレートの一の面に対向する面に形成されているカソードプレート100と、ゲートホールに対応する電子制御ホール420が形成されており、カソードプレートに対向する面に感光性接着層460が形成されて、カソードプレートのアノードプレートに対向する面に密着されるメッシュグリッド400と、アノードプレートとメッシュグリッドとの間に設けられ、アノードプレートとカソードプレートとの間の負圧によって、メッシュグリッドをカソードプレートに密着させるスペーサ300と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界放出表示素子及びその製造方法に関し、さらに詳細には、金属メッシュグリッドを採用した電界放出表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電界放出表示素子(Field Emission Display:FED)の内部電子放出源から電子が放出される間に、電子放出源が設けられるカソードプレートと電子が衝突する蛍光面を有するアノードプレートとの間の内部真空空間でアーク放電が発生する場合がある。このようなアーキングは、ガス放出によって瞬間的に多量のガスがイオン化されつつ生じる放電現象によって発生すると推定される。また、カソードプレート上に形成される電界放出アレイ(Field Emission Array:FEA)のチャンバテスト、または、カソードプレートとアノードプレートとを一体に結合した後に実施されるFEDのテストのために、1kV以上の陽極(アノード)電圧を印加した時にも、アーキングが生じる場合がある。アーキングが発生したFEAの表面を光学顕微鏡で観察すれば、アーキングによる損傷がゲートホールの端部(エッジ)で主に生じることが分かる。これは、ゲートホールの端部が鋭くて、高い電場下でアーキングが容易に生じるためであると推定される。アーキングは、最高電圧である陽極電圧が印加される陽極(アノード)と、これより相対的に低いゲート電圧が印加されるゲート電極との間に、電気的な短絡現象が起こることによって、陽極電圧がゲート電極にかかり、このような高電圧によってカソード電極とゲート電極とを電気的に絶縁するゲート酸化物及びカソード電極上に形成される抵抗層に損傷を与える。このような可能性は、陽極電圧が高まるにつれてさらに激しく生じ、結局、1kV以上の陽極電圧の印加時には、アーキングの可能性がさらに大きくなって、既存の電界放出素子のように陰極と陽極とがスペーサによって離隔されている単純な構造では、高電圧で安定的に動作する高輝度FEDを得ることが不可能である。
【0003】
一方、このような従来のFEDは、ゲート電極によって抽出された電子が蛍光面に向かって単純加速される構造を有するため、電子ビームが逸れることによって、与えられたピクセルから外れた領域の蛍光体にも衝突する問題が発生する。このような問題は、上述したような電子ビーム経路上から逸れる電子ビームを制御する、例えば、蛍光体層上の与えられた目標位置に電子ビームをフォーカシングする別途の電極によって解消される。このような電極は、FEDで二番目のゲート電極に該当し、ストライプ状に設けられる一番目のゲート電極とは違って、一般的に、一体的に形成される。このよう一体的に形成された二番目のゲート電極、すなわち、第2ゲート電極は、上記のような電子ビームの制御と共に、前述したFED内部でのアーキングも防止する。
【0004】
下記の特許文献1及び2は、上記のような第2ゲート電極が適用されたダブルゲートFEDについて開示する。
【0005】
特許文献2に開示されたFEDは、第2ゲート電極が金属物質の蒸着によって形成される構造を有し、特許文献1に開示されたFEDは、別途の金属メッシュが、陽極板と陰極板との間において、スペーサによって、陽極板と陰極板の何れからも分離されている構造を有する。
【0006】
特許文献2に開示されたように、金属物質の蒸着によって得られる第2ゲート電極の大きさは、蒸着設備の規模に制限を受ける。このような蒸着設備の規模による制限は、FEDのサイズを一定値以下に制限するため、このような大型のFED製造に適していない。したがって、大型FEDの製造に必要な金属膜蒸着装置は、新たに設計及び製作されねばならないが、これに莫大なコストが必要になる。一方、金属蒸着膜による第2ゲート電極は、その厚さが最大1.5ミクロンほどに制限を受けるため、電子ビームを効果的に制御するための十分な厚さを有していない。
【0007】
特許文献1に開示されたFEDは、金属板から第2ゲート電極(メッシュグリッド)を得るために、前述したようなサイズの制限を受けず、その厚さを自由に選択できるために電子ビームの効率的な制御が可能である。
【0008】
図1は、メッシュグリッドが第2ゲート電極として適用された従来FEDの一例を示す概略的な断面図である。
【0009】
図1を参照すれば、カソードプレート10とアノードプレート20とがスペーサ30によって相互離隔されている。カソードプレート10とアノードプレート20との間の空間は真空化されている。したがって、内部負圧によってカソードプレート10とアノードプレート20とが、下部スペーサ31及び上部スペーサ32を介してしっかりと結合されている。
【0010】
カソードプレート10で、背面板11上にカソード電極12が形成されており、その上にゲート絶縁層13が形成されている。ゲート絶縁層13には、貫通孔13aが形成されており、その底部にカソード電極12が露出される。貫通孔13aを通じて露出されたカソード電極12上には、カーボンナノチューブ(CNT)のような電子放出源14が形成されている。ゲート絶縁層13上には、貫通孔13aに対応するゲートホール15aを有するゲート電極15が形成されている。
【0011】
一方、アノードプレート20で、前面板21のカソードプレート10と対向する面にアノード電極22が形成されており、アノード電極22でゲートホール15aに対面する部分に蛍光体層23が形成されており、その残りの部分には、ブラックマトリックス24が形成されている。
【0012】
上記のような構造のカソードプレート10とアノードプレート20との間には、メッシュグリッド40が介在されており、このメッシュグリッド40は、カソードプレート10とアノードプレート20とから離隔された状態で、下部スペーサ31及び上部スペーサ32によって支持されている。メッシュグリッド40は、ゲートホール15aに対応する電子ビーム制御ホール42を有する。
【0013】
上記のような構造の従来のFEDでスペーサの結合方法は、次の通りである。
【0014】
まず、メッシュグリッド40の一の面に絶縁層(下部スペーサ31)を形成し、この絶縁層上にフリットペースト34を印刷した後、このフリットペースト34が形成された部分がゲート絶縁層13上に接触されるように整列して配置する。次いで、フリットペースト34を430℃で所定時間、例えば、20分焼成する。
【0015】
次いで、通常の方法の通り、アノードプレート20に上部スペーサ32を接着させた状態で、メッシュグリッド40が配置されたカソードプレート10に相互整列させた後、真空パッケージングを実施する。
【0016】
上記のような従来の方法によれば、高温、例えば、430℃でのフリットペースト34の焼成時、昇温時間及び冷却時間を含んで4〜8時間かかり、金属材質のメッシュグリッド40とカソードプレート10との熱膨張差によって、これら間の位置ずれが生じる。また、高温でメッシュグリッド40が変形する。また、露出された電子放出源14が劣化して電子放出効果が減少する恐れがある。
【0017】
一方、フリットペースト34がメッシュグリッド40の電子ビーム制御ホール42の側面に流れ込んでFEDの駆動時にアーキングを発生させることもある。
【0018】
このようなメッシュグリッドの変形は、FEDの性能の悪化ないし不良化をもたらす。したがって、このような問題を解消するための新たな方法の摸索が必要である。
【特許文献1】韓国特許公開第2001−81496号明細書
【特許文献2】米国特許第5710483号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする課題は、メッシュグリッドを低温でカソードプレートに定着させるFED及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を達成するために、本発明の電界放出表示装置は、アノード電極及び蛍光体層が一の面に形成されているアノードプレートと、前記蛍光体層に向かって電子を放出する電子放出源及び前記電子の通過するゲートホールを有するゲート電極が前記アノードプレートの一の面に対向する面に形成されているカソードプレートと、前記ゲートホールに対応する電子制御ホールが形成されており、前記カソードプレートに対向する面に感光性接着層が形成されて、前記カソードプレートのアノードプレートと対向する面に密着されるメッシュグリッドと、前記アノードプレートと前記メッシュグリッドとの間に設けられ、前記アノードプレートと前記カソードプレートとの間の負圧によって、前記メッシュグリッドを前記カソードプレートに密着させるスペーサと、を備えることを特徴とする。
【0021】
前記メッシュグリッドは、前記カソードプレートに対向する面と前記感光性接着層との間に形成された絶縁層を備えることができる。
【0022】
前記感光性接着層は、感光性ポリイミド層からなることが望ましい。
【0023】
前記他の課題を達成するために、本発明の電界放出表示装置の製造方法は、(A)アノード電極及び蛍光体層が一の面に形成されているアノードプレートを設ける工程と、(B)前記蛍光体層に向かって電子を放出する電子放出源及び前記電子の通過するゲートホールを有するゲート電極が前記アノードプレートの一の面に対向する面に形成されているカソードプレートを設ける工程と、(C)前記ゲートホールに対応する電子制御ホールが形成されており、前記カソードプレートに対向する第1面に絶縁層及び接着層が順次に積層された別途のメッシュグリッドを製作する工程と、(D)前記メッシュグリッドの接着層が前記カソードプレートに対面するように、前記メッシュグリッドを前記カソードプレートに結合させる工程と、(E)所定高さのスペーサを前記カソードプレートと前記アノードプレートとの間に介在させた状態で、前記アノードプレートと前記カソードプレートとを真空封着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
前記メッシュグリッドの絶縁層は、SiOから形成されることが望ましい。
【0025】
本発明の一局面によれば、前記メッシュグリッドを製作する(C)工程は、金属板材に電子制御ホールを形成する工程と、前記金属板材の第1面上に前記電子制御ホールに対応するホールが形成された絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に感光性接着層を形成する工程と、前記金属板材の第1面に反対の第2面側から前記感光性接着層を露光する工程と、前記露光された感光性接着層を除去する工程と、を含む。
【0026】
前記感光性接着層は、感光性ポリイミドから形成される。
【0027】
一方、前記感光性接着層は、スピンコーティング、スクリーン印刷、及びローラ印刷からなる群より選択された何れか一つの方法で形成されることが望ましい。
【0028】
また、前記メッシュグリッドを前記カソードプレートに結合させる(D)工程は、150〜300℃でキュアリングすることを特徴とする。
【0029】
前記他の課題を達成するために、本発明の電界放出表示装置の製造方法は、(A)アノード電極及び蛍光体層が一の面に形成されているアノードプレートを設ける工程と、(B)前記蛍光体層に向かって電子を放出する電子放出源及び前記電子の通過するゲートホールを有するゲート電極が前記アノードプレートの一の面に対向する面に形成されているカソードプレートを設ける工程と、(C)前記ゲートホールに対応する電子制御ホールが形成された別途のメッシュグリッドを製作する工程と、(D)前記カソードプレート上に前記ゲート電極を覆う感光性接着層を形成する工程と、(E)前記メッシュグリッドを前記感光性接着層の上部に配置する工程と、(F)前記カソードプレートの上方から前記接感光性着層を露光する工程と、(G)前記露光された感光性接着層を除去する工程と、(H)所定高さのスペーサを前記カソードプレートと前記アノードプレートとの間に介在させた状態で、前記アノードプレートと前記カソードプレートとを真空封着する工程と、を含む。
【0030】
前記(C)工程は、前記メッシュグリッドの一の面に前記電子制御ホールに対応するホールを有する絶縁層を形成する工程を含み、前記(E)工程は、前記メッシュグリッドの絶縁層を前記感光性接着層に接触させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、メッシュグリッドをカソードプレートに付着する時、ポリイミドの使用によって低温で熱処理できるので、メッシュグリッドとカソードプレートとの間の位置ずれを最小化できる。また、前記付着過程で、電子放出源であるCNTの劣化を防止できる。したがって、このようなFEDの製造方法は、大面積のFEDの製造に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明によるFED及びその製造方法の望ましい実施の形態を詳細に説明する。この過程で、図面に示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して示した。
【0033】
図2は、本発明によるFEDの概略的な構成を示す断面図である。
【0034】
図2を参照すれば、カソードプレート100とアノードプレート200とが所定の高さのスペーサ300によって相互離隔されている。カソードプレート100とアノードプレート200との間の空間は、真空化されている。したがって、内部負圧によって、カソードプレート100とアノードプレート200とがスペーサ300を介して堅く結合されている。
【0035】
カソードプレート100で、背面板110上にカソード電極120が形成されており、カソード電極120上にゲート絶縁層130が形成されている。ゲート絶縁層130には、貫通孔130aが形成されている。貫通孔130aを通じて露出されたカソード電極120上には、CNTのような電子放出源140が形成されている。ゲート絶縁層130上には、貫通孔130aに対応するゲートホール150aを有するゲート電極150が形成されている。このゲート電極150は、一般的に、カソード電極120と共に互いに直交する方向にストライプ状に配置される。ゲート電極150は、0.25μmほどの厚さのクロムから形成される。
【0036】
一方、アノードプレート200で、前面板210のカソードプレート100に対向する一の面にアノード電極220が形成されており、アノード電極220でゲートホール150aに対面する部分に蛍光体層230が形成されており、その残りの部分には、外光吸収遮断及び光学的クロストークを防止するためのブラックマトリックス240が形成されている。
【0037】
上記のような構造のカソードプレート100とアノードプレート200との間には、メッシュグリッド400が介在されている。メッシュグリッド400は、メッシュグリッド400の下部に配置される絶縁層440及び接着層460とメッシュグリッド400の上部に配置されるスペーサ300とによって、カソードプレート100及びアノードプレート200から離隔されている。
【0038】
メッシュグリッド400の下部に配置された絶縁層440は、SiOから形成される。絶縁層440の下部の接着層460は、感光性ポリイミドから形成される。このポリイミドは、低温、例えば、150〜300℃でキュアリングされる。
【0039】
このようなメッシュグリッド400では、ゲートホール150aに対応する電子制御ホール420を有する。
【0040】
以上のような構造を有する本発明によるFEDの特徴は、金属板から別途の部品で製造されたメッシュグリッド400をカソードプレート100に結合する加熱工程が、低温で短時間に実行されるため、高温焼成による変形、位置ずれの問題が解決される。
【0041】
以下、本発明によるFEDの製造方法の一実施の形態を詳細に説明する。
【0042】
図3A及び図3Bは、アノードプレートの製造工程を説明する断面図である。
【0043】
図3Aに示したように、前面板210のカソードプレート100に対向する面(図面において、上面)に、アノード電極220、蛍光体層230、及びブラックマトリックス240が形成されているアノードプレート200を設ける。
【0044】
次いで、図3Bに示したように、スペーサ300をアノードプレート200に配置して、ブラックマトリックス240上に付着する。このとき、スペーサ300の付着には、ペーストからなるバインダー310が適用される。このように、スペーサ300がアノードプレート200に付着された状態で加熱して、蛍光体層230を焼成すると共に、バインダー310を硬化させる。ここで、適用される工程は、従来の方法が利用される。
【0045】
図4は、カソードプレートの製造工程を説明する断面図である。
【0046】
図4に示したように、背面板110のアノードプレート200に対向する面(図面において、上面)にカソード電極120、カソード電極120上に積層され、蛍光体層230に対応して、それぞれ貫通孔130a及びゲートホール150aを有するゲート絶縁層130及びゲート電極150、ならびにゲートホール150aに露出されたカソード電極120上で電子を放出する電子放出源140が形成されているカソードプレート100を準備する。また、カソードプレート100も従来の方法によって製造される。
【0047】
図5Aないし図5Eは、本発明の一実施の形態によるメッシュグリッドを製作する工程を説明する図面である。
【0048】
まず、図5Aを参照すれば、50〜100μmほどの厚さを有するインバー(金属板材)の一の面(第1面)に絶縁層440(例えば、SiOペースト)をスキージングによって印刷する。そして、約460〜500℃の温度で絶縁層440を焼成する。
【0049】
図5Bに示したように、公知のフォトリソグラフィ法によって、前記インバーに電子制御ホール420を形成する。このときには、フォトレジストマスクが適用され、このフォトレジストマスクには、電子制御ホール420に対応する窓部を有し、エッチング溶液としては、塩化第2鉄を使用できる。
【0050】
図5Cに示したように、電子制御ホール420が形成されたインバーをマスクとして利用して、絶縁層440をエッチングして、電子制御ホール420を完全に貫通させる。このとき、エッチング液としてはフッ酸を使用できる。なお、インバーに電子制御ホール420を形成してから、インバー上に絶縁層440を形成してもよい。
【0051】
図5Dに示したように、絶縁層440上にスピンコーティング、スクリーン印刷、またはローラ印刷で感光性接着物質(例えば、感光性ポリイミド物質または感光性エポキシ樹脂)を形成した後、ソフトベーキングする。このとき、ポリイミド物質が電子制御ホール420の側面またはメッシュグリッド400の下面(第2面)にコーティングされることもある。
【0052】
次いで、メッシュグリッド400をマスクとしてメッシュグリッド400の下面側からポリイミド物質を紫外線で露光した後に現像すれば、電子制御ホール420の側面及びメッシュグリッド400の下面にコーティングされたポリイミド物質が除去される(図5E参照)。
【0053】
図6及び図7は、分離製造されたカソードプレート、メッシュグリッド、及びアノードプレートを結合する過程を説明する図面である。
【0054】
図6を参照すれば、カソードプレート100のアノードプレート200に対向する面にメッシュグリッド400を整列した後、約150〜300℃で10分キュアリングしてカソードプレート100にメッシュグリッド400を付着させる。より具体的には、感光性接着層物質からなる接着層460を熱処理により硬化させて、カソードプレート100およびメッシュグリッド400を付着させる。
【0055】
図7を参照すれば、カソードプレート100とアノードプレート200とを相互結合した後に封着(真空封着)して所望のFEDを得る。
【0056】
図8Aないし図8Cは、本発明の他の実施の形態によるカソードプレート上にメッシュグリッドを付着させる過程を説明する図面であり、上述した実施の形態と実質的に同じ部材には、同じ参照番号を使用し、ここで詳細な説明は省略する。
【0057】
まず、図8Aを参照すれば、スピンコーティング、スクリーン印刷、またはローラ印刷で、カソードプレート100上で電子放出源140及びカソード電極150を覆う感光性ポリイミド層(接着層460)を形成した後、ソフトベーキング工程を行う。
【0058】
図8Bに示したように、あらかじめ準備したメッシュグリッド400(図5C参照)をカソードプレート100に整列させる。より具体的には、メッシュグリッド400の絶縁層440を接着層460に接触させる。次いで、メッシュグリッド400をマスクとしてポリイミド層460を紫外線で露光する。符号460aは、露光された部分を表す。次いで、露光された部分460aを現像する。
【0059】
図8Cは、現像された結果物を示す。この現像された結果物を150〜300℃で10分間キュアリングすれば、メッシュグリッド400がカソードプレート100上に固着される。
【0060】
次いで、アノードプレート200をカソードプレート100に封着させる工程は、前述した通りであるので、ここで詳細な説明は省略する。
【0061】
一方、上記の実施の形態では、下部に絶縁層が形成されたメッシュグリッドをポリイミド層上に整列したが、前記絶縁層のないメッシュグリッドをポリイミド層上に直接付着できる。この場合、ポリイミド層の厚さを20〜50μmほど厚くする。
【0062】
また、上記の実施の形態では、メッシュグリッドの整列前にポリイミド層のソフトベーキング工程を行ったが、このソフトベーキング工程をメッシュグリッドの整列後に行うこともある。メッシュグリッドの整列後にソフトベーキング工程を行う場合、メッシュグリッドをポリイミド層上に堅固に接着させることができる。
【0063】
本発明は、図面に示された実施の形態を参考として説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施の形態が可能であることが分かる。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のFED及びその製造方法は、大面積FEDの製造に関連した技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】従来のFEDの概略的な断面図である。
【図2】本発明によるFEDの概略的な断面図である。
【図3A】アノードプレートの製造工程を説明する断面図である。
【図3B】アノードプレートの製造工程を説明する断面図である。
【図4】カソードプレートの製造工程を説明する断面図である。
【図5A】本発明の一実施の形態によるメッシュグリッドを設ける過程を説明する図面である。
【図5B】本発明の一実施の形態によるメッシュグリッドを設ける過程を説明する図面である。
【図5C】本発明の一実施の形態によるメッシュグリッドを設ける過程を説明する図面である。
【図5D】本発明の一実施の形態によるメッシュグリッドを設ける過程を説明する図面である。
【図5E】本発明の一実施の形態によるメッシュグリッドを設ける過程を説明する図面である。
【図6】カソードプレートのアノードプレートに対向する面にメッシュグリッドを付着した断面図である。
【図7】カソードプレートにアノードプレートを封着させる過程を説明する図面である。
【図8A】本発明の他の実施の形態によるカソードプレート上にメッシュグリッドを付着させる過程を説明する図面である。
【図8B】本発明の他の実施の形態によるカソードプレート上にメッシュグリッドを付着させる過程を説明する図面である。
【図8C】本発明の他の実施の形態によるカソードプレート上にメッシュグリッドを付着させる過程を説明する図面である。
【符号の説明】
【0066】
100 カソードプレート、
110 背面板、
120 カソード電極、
130 ゲート絶縁層、
130a 貫通孔、
140 電子放出源、
150 ゲート電極、
150a ゲートホール、
200 アノードプレート、
210 前面板、
220 アノード電極、
230 蛍光体層、
240 ブラックマトリックス、
300 スペーサ、
400 メッシュグリッド、
420 電子制御ホール、
440 絶縁層、
460 接着層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード電極及び蛍光体層が一の面に形成されているアノードプレートと、
前記蛍光体層に向かって電子を放出する電子放出源及び前記電子の通過するゲートホールを有するゲート電極が前記アノードプレートの一の面に対向する面に形成されているカソードプレートと、
前記ゲートホールに対応する電子制御ホールが形成されており、前記カソードプレートに対向する面に感光性接着層が形成されて、前記カソードプレートのアノードプレートに対向する面に密着されるメッシュグリッドと、
前記アノードプレートと前記メッシュグリッドとの間に設けられ、前記アノードプレートと前記カソードプレートとの間の負圧によって、前記メッシュグリッドを前記カソードプレートに密着させるスペーサと、
を備えることを特徴とする電界放出表示素子。
【請求項2】
前記メッシュグリッドは、前記カソードプレートに対向する面と前記感光性接着層との間に形成された絶縁層を備えることを特徴とする請求項1に記載の電界放出表示素子。
【請求項3】
前記感光性接着層は、感光性ポリイミド層であることを特徴とする請求項1または2に記載の電界放出表示素子。
【請求項4】
(A)アノード電極及び蛍光体層が一の面に形成されているアノードプレートを設ける工程と、
(B)前記蛍光体層に向かって電子を放出する電子放出源及び前記電子の通過するゲートホールを有するゲート電極が前記アノードプレートの一の面に対向する面に形成されているカソードプレートを設ける工程と、
(C)前記ゲートホールに対応する電子制御ホールが形成されており、前記カソードプレートに対向する第1面に絶縁層及び接着層が順次に積層された別途のメッシュグリッドを製作する工程と、
(D)前記メッシュグリッドの接着層が前記カソードプレートに対面するように、前記メッシュグリッドを前記カソードプレートに結合させる工程と、
(E)所定高さのスペーサを前記カソードプレートと前記アノードプレートとの間に介在させた状態で、前記アノードプレートと前記カソードプレートとを真空封着する工程と、
を含むことを特徴とする電界放出表示素子の製造方法。
【請求項5】
前記メッシュグリッドの絶縁層は、SiOから形成されることを特徴とする請求項4に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項6】
前記メッシュグリッドを製作する(C)工程は、
金属板材に電子制御ホールを形成する工程と、
前記金属板材の第1面上に前記電子制御ホールに対応するホールが形成された絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層上に感光性接着層を形成する工程と、
前記金属板材の第1面に反対の第2面側から前記感光性接着層を露光する工程と、
前記露光された感光性接着層を除去する工程と、
を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項7】
前記感光性接着層は、感光性ポリイミドから形成されることを特徴とする請求項6に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項8】
前記感光性接着層は、スピンコーティング、スクリーン印刷、及びローラ印刷からなる群より選択された何れか一つの方法で形成されることを特徴とする請求項6に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項9】
前記メッシュグリッドを前記カソードプレートに結合させる(D)工程は、150〜300℃でキュアリングすることを特徴とする請求項5に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項10】
(A)アノード電極及び蛍光体層が一の面に形成されているアノードプレートを設ける工程と、
(B)前記蛍光体層に向かって電子を放出する電子放出源及び前記電子の通過するゲートホールを有するゲート電極が前記アノードプレートの一の面に対向する面に形成されているカソードプレートを設ける工程と、
(C)前記ゲートホールに対応する電子制御ホールが形成された別途のメッシュグリッドを製作する工程と、
(D)前記カソードプレート上に前記ゲート電極を覆う感光性接着層を形成する工程と、
(E)前記メッシュグリッドを前記感光性接着層の上部に配置する工程と、
(F)前記カソードプレートの上方から前記感光性接着層を露光する工程と、
(G)前記露光された感光性接着層を除去する工程と、
(H)所定高さのスペーサを前記カソードプレートと前記アノードプレートとの間に介在させた状態で、前記アノードプレートと前記カソードプレートとを真空封着する工程と、を含むことを特徴とする電界放出表示素子の製造方法。
【請求項11】
前記感光性接着層は、感光性ポリイミドから形成されることを特徴とする請求項10に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項12】
前記感光性接着層は、スピンコーティング、スクリーン印刷、及びローラ印刷からなる群より選択される何れか一つの方法で形成されることを特徴とする請求項11に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項13】
前記(C)工程は、前記メッシュグリッドの一の面に前記電子制御ホールに対応するホールを有する絶縁層を形成する工程を含み、
前記(E)工程は、前記メッシュグリッドの絶縁層を前記感光性接着層に接触させることを特徴とする請求項10に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項14】
前記(D)工程は、前記感光性接着層をソフトベーキングする工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項15】
前記(E)工程は、前記感光性接着層をソフトベーキングする工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の電界放出表示素子の製造方法。
【請求項16】
前記(H)工程は、150〜300℃でキュアリングする工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の電界放出表示素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2006−4940(P2006−4940A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175726(P2005−175726)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】