電界発光素子及びその製造方法
【課題】電界発光素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の表面に複数の金属ナノパターンを備える。
【解決手段】基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の表面に複数の金属ナノパターンを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界発光素子及びその製造方法に係り、より具体的には、第1電極及び第2電極の少なくとも一方の一の面に複数の金属ナノパターンを備え、または、第1電極及び第2電極の少なくとも一方がストライプ状のナノパターンを有することにより、発光層(Emitting Layer:EML)を備え有機層が、前記有機層を形成する物質に関係なく偏光を具現することができる電界発光素子及びその電界発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子、特に、有機電界発光(Electroluminescent:EL)素子は、蛍光または燐光有機層に電流を流せば、電子と正孔とが有機層で結合しつつ光が発生する現象を利用した自発光型素子である。この有機EL素子は、軽量で製造工程が容易であり、さらに、優れた高画質及び広視野角などの特性を有している。また、高い色純度および動画を表現でき、低消費電力および低電圧で駆動するので携帯用の電子機器、ディスプレイ、バックライトユニットなどに適した電気的特性を有しており、その用途は多様である。
【0003】
近年、有機EL素子の中でも、偏光を具現できる偏光有機EL素子についての研究が活発に進んでいる。
【0004】
特許文献1には、有機EL素子の発光層をなす物質として一つ以上の電荷輸送単位として末端キャッピングされたポリフルオレン系の物質及びそれを含んだ素子が開示されている。特許文献1は、偏光形成手段として、液晶性のEL物質のダイレクトラビングを提示している。
【0005】
一方、特許文献2にはポリイミドと、正孔輸送物質、電子輸送物質及び発光物質からなる群から選択された少なくとも一つのとの混合物からなる膜を熱処理して、ドーピングされたポリイミドからなる層及びそれを含んだ素子を開示している。特許文献2は、偏光形成手段として、ポリイミド系の物質のラビング後、液晶性EL物質の配向を提示している。
【0006】
また、特許文献3及び特許文献4には、摩擦輸送配向物質でコーティングされて配向性を有する層及びそれを備えた素子が開示されている。特許文献3及び特許文献4は、偏光形成手段として、摩擦輸送によって配向性を与えた後、その上にEL物質をコーティングすることを提示している。
【0007】
前記のような従来の偏光EL素子は、有機層を形成する物質によって偏光形成手段が制限されてしまうという問題点がある。したがって、EL素子が有する有機層を形成する物質の多様性を考慮すると、有機層を形成する物質に関係なく偏光を実現できるEL素子の開発が切望されている。
【特許文献1】米国特許第6777531B2号明細書
【特許文献2】米国特許第6649283B2号明細書
【特許文献3】米国特許第6579564B2号明細書
【特許文献4】米国特許第6489044B1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、金属ナノパターンを備えた第1電極及び/または第2電極(本明細書中に記載されている「A及び/またはB」とは、「AおよびBのいずれか、または双方」を意味する)、または、金属ナノパターンの形状を有する第1電極及び/または第2電極により、第1電極と第2電極との間に介在される物質に関係なく偏光を具現できるEL素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係る電界発光素子(EL素子)は、基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の一の面に複数の金属ナノパターンを備えることを特徴とする。
【0010】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係るEL素子は、は、基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び第2電極の少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有することを特徴とする。
【0011】
前記本発明の課題を達成するために、本発明に係るEL素子の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に複数の金属ナノパターンを備えた第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係るEL素子の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に複数の金属ナノパターンを有する第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係るEL素子の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に金属ナノパターンの形状を有する第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係るEL素子の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に金属ナノパターンの形状を有する第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るEL素子は、第1電極及び第2電極の少なくとも一つが複数の金属ナノパターンを備えるか、または、第1電極及び第2電極の少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有している。この結果、有機層を形成する物質に関係なく偏光を具現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係る電界発光素子及びその電界発光素子の製造方法をさらに詳細に説明する。
【0017】
本発明に係るEL素子は、基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層とを備え、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の一の面に複数の金属ナノパターンを備える。
【0018】
本発明に係るEL素子は、第1電極及び第2電極の少なくとも一方の一の面に複数の金属ナノパターンを備え、反射偏光または透過偏光原理によって偏光を具現することができる。
【0019】
本明細書において、“金属ナノパターン”という用語は、金属から形成され、形状の寸法、例えば、幅、高さのうち一つ以上がナノサイズを有するパターンを表す用語として用いられる。
【0020】
前記金属ナノパターンは、偏光を具現できる形状を有する。例えば、本発明の金属ナノパターンは、互いに平行したストライプ状を有し、その断面は、長方形または正方形であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0021】
前記金属ナノパターンは、偏光を具現できる幅を有する。前記金属ナノパターンの幅は、2nm〜1000nmであり、好ましくは、10nm〜700nmであり、より好ましくは、20nm〜400nmでる。このように、前記金属ナノパターンの幅を制限する理由は、前記金属ナノパターンの幅が2nm未満である場合、製造工程が複雑になるため製造時間が増加し、製造コストが非常に高くなるという問題が発生するためであり、また、前記金属ナノパターンの幅が1000nmを超える場合、満足すべき偏光効果を得ることができないためである。
【0022】
それぞれの前記金属ナノパターンの間隔(一の金属ナノパターンと隣接する他の金属ナノパターンとの間隔)は、5nm〜100μmであり、好ましくは、10nm〜10μmであり、より好ましくは、20nm〜1μmでる。このように前記金属ナノパターンの間隔を制限する理由は、前記金属ナノパターン間の間隔が5nm未満である場合、製造工程が複雑になるため製造時間が増加し、製造コストが非常に高くなり、さらに、透光度が低下するという問題が発生するためであり、また、前記金属ナノパターンの間隔が100μmを超える場合、満足すべき偏光効果が得ることができないためである。
【0023】
前記金属ナノパターンは、光を反射できる物質、例えば、金属から形成されることがでいる。具体的には、Ag、Cu、Al、Mg、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Mg、Cs、Ba、Li、Ca、及びこれらの金属の合金からなる群から選択された物質から形成されることができる。なお、前記金属ナノパターンを形成する物質としては、特に、Auが好ましい。
【0024】
前記第1電極及び第2電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Cu、Co、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、SnO2、ZnO、In2O3、及びこれらの合金からなる群から選択された少なくとも一つからなることができる。また、前記第1電極及び第2電極は、伝導性の高分子からなることができる。前記第1電極及び第2電極を形成する伝導性の高分子は、例えば、ポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリピロール等であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0025】
前記第1電極または第2電極が正極として使用される場合には、仕事関数が高い物質からなることができる。すなわち、Ag、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Cu、Co、ITO、IZO、SnO2、ZnO、In2O3、これらの合金、ポリアニリン、PEDOT、またはポリピロール等から形成することができる。具体的には、前記電極が透明電極である場合、伝導性に優れたITO、IZO、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、In2O3、ポリアニリン、PEDOT、またはポリピロールなどを利用して形成でき、前記電極が反射電極である場合、Ag、Al、Mg、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、またはこれらの合金から反射層を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、In2O3、ポリアニリン、PEDOT、またはポリピロール等で透明電極層を形成できる等、多様な変形例が可能である。
【0026】
前記第1電極または第2電極が負極として使用される場合には、有機層が備える発光層に容易に電子を供給できるように仕事関数が小さい物質からなることができる。例えば、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Mg、Al、及びAgからなる群から選択された一つ以上からなることができる。具体的には、前記第2電極が透明電極である場合、負極電極として使用されるため、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Ag、Mg、またはAl等からなる薄膜上に、ITO、IZO、ZnO、In2O3、ポリアニリン、PEDOT、またはポリピロール等で補助電極層やバス電極ラインを形成することができ、前記第2電極が反射電極である場合、Li、Ca、Ba、Cs、またはNaから形成される層と、Au、Al、Pd、Pt、またはMg等から形成される層とを備える2層構造であってもよい等、多様な変形例が可能である。
【0027】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極と一体的に形成(以下、「一体型」という。図1及び図4参照)またはそれぞれ別々に形成することができる(以下、「個別型」という。図2、図3、図5及び図6参照)。これは、前記金属ナノパターンを形成する工程によって異なる。
【0028】
前記複数の金属ナノパターンを形成する物質は、前記金属ナノパターンを備えた第1電極、または、前記ナノパターンを備えた第2電極を形成する物質と同じであっても良いし、異なっていても良い。これは、前記複数の金属ナノパターンを形成する工程によって異なる。
【0029】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極から突出(図1、図2、図3及び図4参照)して形成することができる。また、前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極、または前記金属ナノパターンを備えた第2電極に埋没(図5及び図6参照)されて形成されることができる。
【0030】
前記複数の金属ナノパターンは、反射偏光または透過偏光を具現できるように、本発明に係るEL素子のうち、多様な位置に備えられることができる。例えば、前記複数の金属ナノパターンは、前記第1電極と前記有機層との間に介在されることもできるし、前記第2電極の前記有機層側の面と逆の側の面に備えられることもできる。一方、前記複数の金属ナノパターンは、前記第1電極と前記基板との間に介在されるか、または前記第2電極と前記有機層との間に介在される。
【0031】
一方、本発明に係るEL素子は、基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層とを備えるが、前記第1電極及び第2電極の少なくとも一つは金属ナノパターンの形状を有する。
【0032】
前記本発明に係るEL素子は、第1電極及び第2電極の少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有し、この結果、反射偏光または透過偏光原理によって偏光を具現できる。
【0033】
前記金属ナノパターンは、偏光を具現できる形状を有する。例えば、本発明の金属ナノパターンは、互いに平行したストライプ状を有し、その断面は、長方形または正方形であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0034】
前記金属ナノパターンは、偏光を具現できる幅を有する。前記金属ナノパターンの幅は、5nm〜1000nmであり、好ましくは、10nm〜700nmであり、より好ましくは、50nm〜400nmでる。このように、前記金属ナノパターンの幅を制限する理由は、前記金属ナノパターンの幅が5nm未満である場合、製造工程が複雑になるため製造時間が増加し、製造コストが非常に高くなるという問題が発生するためであり、また、前記金属ナノパターンの幅が1000nmを超える場合、満足すべき偏光効果を得ることができないためである。
【0035】
前記金属ナノパターン間の間隔は、5nm〜100μmであり、好ましくは、10nm〜10μmであり、より好ましくは、20nm〜1μmである。このように前記金属ナノパターンの間隔を制限する理由は、前記金属ナノパターン間の間隔が5nm未満である場合、製造工程が複雑になるため製造時間が増加し、製造コストが非常に高くなり、さらに、透光度が低下するという問題が発生するためであり、また、前記金属ナノパターンの間隔が100μmを超える場合、満足すべき偏光効果が得ることができないためである。
【0036】
前記第1電極及び第2電極の少なくとも一つは、金属ナノパターンの形状であるが、前記金属ナノパターンの形状を有する第1電極及び/または第2電極は、偏光を可能とすることはもとより、電極としての役割も同時に行えなければならない。したがって、前記金属ナノパターンの形状を有する第1電極及び/または第2電極は、例えば、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Cu、Co、またはこれらの合金等ならなることができる。一方、金属ナノパターンの形状を有さない第1電極及び第2電極についての詳細な説明は、既に説明したとおりである。
【0037】
前記本発明に係るEL素子の有機層は、少なくとも発光層を備える。前記有機層は、発光層の他にも、正孔注入層(Hole Injection Layer:HIL)、正孔輸送層(Hole Transfer Layer:HTL)、電子阻止層(Electron Blocking Layer:EBL)、正孔遮蔽層(Hole Blocking Layer:HBL)、電子輸送層(Elctron Transfer Layer)、及び電子注入層(Electron Injection Layer:EIL)からなる群から選択された少なくとも一つの層を選択的にさらに備えることができる。例えば、本発明に係るEL素子の一実施形態としては、基板、第1電極、正孔輸送層、発光層、電子注入層及び第2電極を備える。
【0038】
前記本発明に係るEL素子の有機層を形成する物質には特別な制限はない。これは、本発明に係るEL素子が、前記のように第1電極及び/または第2電極の一の面に偏光を具現できる金属ナノパターンを備えているか、または第1電極及び第2電極の少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有し、有機層に任意の物質を使用しても偏光を具現できるためである。
【0039】
前記本発明に係るEL素子の製造方法の一実施形態は、基板を準備する工程と、前記基板上に複数の金属ナノパターンを備えた第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に第2電極を形成する工程と、を含む。
【0040】
前記本発明に係るEL素子の製造方法の他の一実施形態は、基板を準備する工程と、前記基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層の上部に複数の金属ナノパターンを有する第2電極を形成する工程と、を含む。
【0041】
前記本発明に係るEL素子製造方法のさらに他の実施形態は、基板を準備する工程と、前記基板の上部に金属ナノパターンの形状を有する第1電極を形成する工程と、前記第1電極の上部に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に第2電極を形成する工程と、を含む。
【0042】
前記本発明に係るEL素子の製造方法のさらに他の実施形態は、基板を準備する工程と、前記基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に金属ナノパターンの形状を有する第2電極を形成する工程と、を含む。
【0043】
前記第1電極及び/または第2電極の表面に金属ナノパターンを形成する方法、及び金属ナノパターンの形状を有する第1電極及び/または第2電極を形成する方法は、非常に多様であり、ナノパターンを形成する公知のあらゆる方法を使用できる。例えば、エッチング工程、マイクロコンタクトプリンティング工程(micro contact printing:mCP)、ナノトランスファープリンティング工程(nano transfer printing:nTP)、ナノインプリントリソグラフィ工程、コールドウェルディング工程、マイクロトランスファーモールディング工程、毛細管内マイクロモールディング工程、溶媒利用マイクロモールディング工程、ナノモールディング工程及びソフトコンタクトラミネーション工程等の多様な方法を使用できるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0044】
以下、図1から10を参照して、本発明の第1実施形態〜第10実施形態に係るEL素子及びその製造方法をさらに詳細に説明する。図1から図10に示すEL素子のうち、金属ナノパターンをなす物質、金属ナノパターンの幅、それぞれの金属ナノパターン間隔、第1電極を形成する物質、第2電極を形成する物質等は、前記のものを参照する。
【0045】
[第1実施形態]
図1に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板11上の第1電極12の一の面、具体的には、第1電極12と有機層15との間に複数の金属ナノパターン13を備えている。
【0046】
基板11は、一般的にEL素子で使用される基板を使用することができるが、透明性、表面平滑性、取扱容易性、及び防水性などを考慮して、ガラス基板または透明プラスチック基板などを使用することが好ましい。
【0047】
基板11上には、金属ナノパターン13を備えた第1電極12が備えられている。金属ナノパターン13と前記第1電極12とは一体型であり、金属ナノパターン13を形成する物質と第1電極12を形成する物質とは同じである。また、金属ナノパターン13は、第1電極12から突出して形成されている。
【0048】
金属ナノパターン13を備えた第1電極12上には有機層15が備えられている。有機層15は、少なくとも発光層を備え、選択的に正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔遮蔽層、電子輸送層、及び電子注入層からなる群から選択された少なくとも一つの層をさらに備ええることができる。各層を形成する物質としては、公知の任意の物質をいずれも使用でき、各層の形成方法は、公知の多様な蒸着法またはコーティング法など、いずれの方法も使用することができる。
【0049】
有機層15のうち、発光層を形成する物質の例としては、オキサジアゾールダイマー染料(Bis−DAPOXP)、スピロ化合物(Spiro−DPVBi、Spiro−6P)、トリアリールアミン化合物、ビス(スチリル)アミン(DPVBi、DSA)、Flrpic、CzTT、アントラセン、TPB、PPCP、DST、TPA、OXD−4、BBOT、AZM−Zn等の青色用発光物質、またはクマリン6、C545T、キナクリドン、Ir(ppy)3等の緑色用発光物質、またはDCM1、DCM2、Eu(テノイルトリフルオロアセトン)3(Eu(TTA)3)、ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン)(DCJTB)等の赤色用発光物質を使用することができる。また、高分子発光物質としては、フェニレン系、フェニレンビニレン系、チオフェン系、フルオレン系、またはスピロフルオレン系などの高分子と、窒素を含む芳香族化合物などを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。有機層15上には第2電極17が備えられている。第2電極17を形成する物質は、前記の通りである。
【0050】
金属ナノパターン13は、第1電極12の形成後、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用できる。金属ナノパターン13の形成方法は、例えば、マイクロコンタクトプリンティング工程及びエッチング工程の組み合わせを利用することができる。これについての詳細な説明は後述する。
【0051】
[第2実施形態]
図2に示すように本実施の形態に係るEL素子は、図1に示すEL素子のように、基板21上に第1電極22を備え、第1電極22の表面、具体的には、第1電極22と有機層25との間に複数の金属ナノパターン23を備えるが、複数の金属ナノパターン23が第1電極22と個別型である。
【0052】
金属ナノパターン23を形成する物質は、第1電極22を形成する物質と異なる。例えば、金属ナノパターン23は、Auから形成され、第1電極22は、透明電極としてITOから形成することができる。前記金属ナノパターン23は、第1電極22から突出して形成されている。有機層25及び第2電極27についての説明は、図1についての詳細な説明を参照する。
【0053】
金属ナノパターン23は、第1電極22の形成後、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成することができる。金属ナノパターン23の形成方法は、例えば、マイクロコンタクトプリンティング工程及びエッチング工程を利用することができる。
【0054】
前記マイクロコンタクトプリンティング工程は、金属ナノパターン23を形成する物質の薄膜上にナノパターンを有する自己組立層(以下、“SAM層”(self−assembly monolayer)という)の形成に使用することができる。まず、ウェーハ等から形成されたマスタを準備する。前記マスタは、ナノパターンを備えたシリコン系の高分子スタンプ製作のためのものであって、所定のナノパターンを備えている。この後、前記シリコン系の高分子スタンプの製作のために、シリコン系の高分子形成用の溶液を準備する。前記シリコン系の高分子形成用の溶液は、多様な化学メーカから容易に入手可能であるが、例えば、シリコン系の高分子としてポリジメチルシロキサン(PDMS)を得ようとする場合、シリコン系の高分子形成用の溶液製造には、Dow Chemical Inc.社製のSylgard184シリーズを使用することができる。準備されたシリコン系の高分子形成用の溶液をマスタに注いだ後、シリコン系の高分子形成用の溶液を適正温度(例えば、PDMSを得ようとする場合、60℃〜80℃)で硬化させ、ナノパターンを有するシリコン系の高分子から形成されるスタンプを製作する。前記シリコン系の高分子スタンプをSAM層の形成用の溶液と一般的な方法で接触させた後、それを金属の薄膜と接触させて、前記薄膜上にナノパターンを有するSAM層を形成する。
【0055】
このように、金属ナノパターンをなす物質の薄膜にSAM層を形成した後、エッチング工程を利用して、SAM層が形成されていない領域をエッチングした後、SAM層を除去することにより金属ナノパターン23を形成することができる。
【0056】
[第3実施形態]
図3に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板31、第1電極32。有機層35、及び第2電極37を順に備えるが、金属ナノパターン33は、第2電極37の有機層35と対向する側の表面と反対側の表面に備えられている。
【0057】
第2電極37は透明電極であり、複数の金属ナノパターン33は第2電極37と個別型であり、複数の金属ナノパターン33を形成する物質は第2電極37を形成する物質と異なる。複数の金属ナノパターン33は、第2電極37から突出して形成されている。基板31、有機層35に関する説明は、図1についての説明を参照する。金属ナノパターン33の形成方法としては、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用することができる。金属ナノパターン33の形成方法は、金属ナノパターン33を第2電極37上に形成するという点を除いては、上述した図2についての説明のうち、金属ナノパターン23の形成方法を参照する。
【0058】
[第4実施形態]
図4に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板41、第1電極42、有機層45、及び金属ナノパターン43を備えた第2電極47を備えるが、金属ナノパターン43は、第2電極37の有機層35と対向する側の表面と反対側の表面に備えられている。 第2電極47と金属ナノパターン43とは一体型であり、金属ナノパターン43を形成する物質と第2電極47を形成する物質とは同じである。一方、金属ナノパターン43は、第2電極47から突出して形成されている。基板41及び有機層45についての説明は、図1についての説明を参照する。
【0059】
金属ナノパターン43を備えた第2電極47は、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成することができる。金属ナノパターン43を備えた第2電極47の形成方法は、例えば、ナノモールディングされた軟質基板49上に金属を全面蒸着した後、それをソフトコンタクトラミネーションする工程を利用することができる。
【0060】
まず、金属ナノパターン43を備えた第2電極47を形成できる軟質基板49を形成する。軟質基板49は、ナノパターンを備えたシリコン系の高分子スタンプ、例えば、PDMSスタンプであることができる。前記スタンプを製造するための工程の詳細な説明は、上述した図2についての説明のうちの関連部分を参照する。
【0061】
この後、ナノパターンを備えた軟質基板49に沿って、金属ナノパターン43を形成する物質、すなわち、第2電極47を形成する物質を全面に蒸着させる。蒸着工程には、特別の制限がなく、スパッタリング法、e−ビーム蒸着法、熱蒸着法のような多様な蒸着法を使用することができる。これにより、このように形成された金属ナノパターン43を備えた第2電極47が備えられた軟質基板49を有機層45上に配置する。この時、金属ナノパターン43と有機層45との間にエアーギャップが形成され、軟質基板49は、選択的に分離できる。軟質基板49を分離しない場合、図4に示すように、金属ナノパターン43を備えた第2電極47上に軟質基板49が備えられたEL素子を得ることができる。
【0062】
[第5実施形態]
図5に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板51、第1電極52、有機層55及び金属ナノパターン53を備えた第1電極52を備えるが、前記金属ナノパターン63は、前記第2電極67と有機層65との間に介在されている。
【0063】
金属ナノパターン53は、第1電極52と個別型であり、金属ナノパターン53を形成する物質は、第1電極52を形成する物質と異なる。一方、金属ナノパターン53は、第1電極52に埋没して形成されている。基板51及び有機層55についての説明は、図1についての説明を参照する。金属ナノパターン53の形成方法としては、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用することができる。金属ナノパターン53の形成方法は、金属ナノパターン53を基板上に形成するという点を除いては、図2についての説明のうち、金属ナノパターン23の形成方法を参照する。
【0064】
[第6実施形態]
図6に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板61、第1電極62、有機層65及び金属ナノパターン63を備えた第2電極67を備えるが、前記金属ナノパターン63は、前記第2電極67と有機層65との間に介在されている。
【0065】
金属ナノパターン63は、第2電極67と個別型であり、第2電極67を形成する物質は、第2電極67を形成する物質と異なる。金属ナノパターン63は、第2電極67に埋没して形成されている。基板61及び有機層65についての説明は、図1についての説明を参照する。
【0066】
金属ナノパターン63は、有機層65の形成後、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成できる。金属ナノパターン63の形成方法は、例えば、コールドウェルディング工程及びソフトコンタクトラミネーションを利用することができる。
【0067】
まず、有機層65上に金属ナノパターン63を形成する物質を利用して、全面的に薄膜(以下、“A”という)を形成する。次いで、ナノパターンを備えたシリコン系の高分子スタンプ、例えば、PDMSスタンプまたはナノパターンを備えたガラス材のスタンプを準備する。前記シリコン系の高分子スタンプを製造するための工程の詳細な説明は、前記図2についての説明を参照する。前記シリコン系の高分子スタンプまたはガラス材のスタンプのナノパターンに沿って、金属ナノパターン63をなす物質を全面蒸着させ、金属ナノパターン63をなす物質が蒸着されたシリコン系の高分子スタンプまたはガラス材のスタンプ(以下、“B”という)を準備する。
【0068】
この後、前記“A”と“B”との金属ナノパターン63を形成する物質が蒸着された領域を接触させた後、スタンプを除去すれば、コールドウェルディング工程の原理によって、“A”のうち、“B”と接触した領域が除去されつつ、金属ナノパターン63が有機層65上に形成される。この後、第2電極67を形成する物質を金属ナノパターン63上に形成する。
【0069】
[第7実施形態]
図7に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板71、金属ナノパターンの形状を有する第1電極72、有機層75、及び第2電極77を備える。金属ナノパターンの形状を有する第1電極77の形成方法は、前記図6の金属ナノパターン63の形成方法を参照する。図6の金属ナノパターン63は、有機層65上に形成され、金属ナノパターン63の形成後、第2電極67をさらに形成するが、前記第1電極77は、電極及び金属ナノパターンの役割を同時に行うという点が異なる。
【0070】
[第8実施形態]
図8に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板81、第1電極82、有機層85及び金属ナノパターンの形状を有する第2電極87を備える。前記金属ナノパターンの形状を有する第2電極87の形成方法は、前記図6の金属ナノパターン63の形成方法を参照する。図6の金属ナノパターン63は、有機層65の上に形成され、金属ナノパターン63の形成後、第2電極67をさらに形成するが、前記第2電極87は、電極及び金属ナノパターンの役割を同時に行うという点が異なる。
【0071】
一方、図8に示すEL素子の変形例として、第2電極87上に軟質基板が追加的にさらに形成されることができる。この時には、図6のEL素子の形成に使用されたコールドウェルディング工程を変形して適用できる。具体的には、平らな基板、例えば、シリコンウェーハ上に平らな軟質基板を形成した後、前記軟質基板上に前記“A”(図6についての説明を参照する)を形成した後、これに対して図6のEL素子の形成に使用されたコールドウェルディング工程を適用することにより、前記軟質基板上に金属ナノパターンの形状を有する第2電極87を形成する。前記金属ナノパターンの形状を有する第2電極87が形成された軟質基板を、有機層85上にソフトコンタクトラミネーションすることにより、金属ナノパターンの形状を有する第2電極87を形成することができる。前記軟質基板を分離しない場合、金属ナノパターンの形状を有する第2電極87上に軟質基板が備えられたEL素子を得ることができる。これについてのさらに詳細な説明は、下記実施例4を参照する。
【0072】
[第9実施形態]
図9に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板91、第1電極92、有機層95及び金属ナノパターンの形状を有する第2電極97を備えている。
【0073】
前記金属ナノパターンの形状を有する第2電極97は、有機層95の形成後、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成することができる。第2電極97の形成方法は、例えば、平らな軟質基板99上に第2電極97を形成した後、第2電極97を有機層95と接触させるソフトコンタクトラミネーションする工程を利用することができる。
【0074】
まず、軟質基板99として、平らなベースフィルム、例えば、シリコン系の高分子からなるベースフィルムを準備する。前記シリコン系の高分子は、例えば、PDMSなどである。軟質基板99の表面面に第2電極97を形成する物質で薄膜を形成した後、一般的なフォトレジスト工程を利用して前記薄膜をパターニングし、ナノパターンの形状を有する第2電極97を軟質基板99上に形成する。この後、前記ナノパターンの形状を有する第2電極97を表面に備えたベースフィルムを有機層95上に配置する。この時、軟質基板99の軟性によって、金属ナノパターンの形状を有する第2電極97が軟質基板99の方向によって埋没させる可能性があり、図9に示すように、軟質基板99と有機層95とが接触する部分で、軟質基板99が第2電極97の高さほど突出した形態を有する。また、軟質基板99と第2電極97とが接触する部分には、極微細なエアーギャップ(便宜上、図示せず)が形成されていてもよい。軟質基板99は、選択的に分離でき、軟質基板99を分離しない場合、図9に示すように、第2電極97上に軟質基板99が備えられる。
【0075】
[第10実施形態]
図10に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板101、第1電極102、有機層105、及び金属ナノパターンの形状を有する第2電極107を備えている。
【0076】
第2電極107は、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成することができる。第2電極107の形成方法は、例えば、ナノモールディングされた軟質基板109上に金属を部分的に蒸着した後、それをソフトコンタクトラミネーションする工程を利用することができる。
【0077】
まず、第2電極107を形成できる軟質基板109を形成する。軟質基板109は、ナノパターンを備えたシリコン系の高分子スタンプ、例えば、PDMSスタンプなどである。前記スタンプを製造するための工程の詳細な説明は、前記図2についての説明のうち、関連部分を参照する。
【0078】
この後、ナノパターンを備えた軟質基板109に沿って、前記第2電極107をなす物質を部分的に蒸着させる。蒸着工程には特別の制限がなく、スパッタリング法、e−ビーム蒸着法、熱蒸着法のような多様な蒸着法を使用することができる。次に、このように形成された第2電極107が備えられた軟質基板109を有機層105上に配置する。この時、第2電極107と有機層105との間に、図10に示すようなエアーギャップ107’が形成される。軟質基板109は選択的に分離できる。軟質基板109を分離していない場合、図10に示すように、第2電極107上に軟質基板109が備えられる。
【0079】
前記第1電極及び第2電極は、それぞれ正極及び負極としての役割を行い、その逆の場合も可能である。本発明に係るEL素子は、多様な形態のEL表示装置に備えられ、特に、能動マトリクスEL表示装置に備えられる場合、第1電極は、薄膜トランジスタのドレイン電極またはソース電極と電気的に連結されることができる。
【0080】
本発明に係るEL素子は、多様な用途に使用される。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)のバックライトユニット等に適用することができる等、その応用分野が非常に広い。
【0081】
以上、本発明に係るEL素子及びその製造方法を、図1から図10により説明したが、本発明に係るEL素子及びその製造方法は、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図面に具体的に説明していないが、両面発光型のEL素子を考慮して、第1電極及び第2電極のいずれもが金属ナノパターンを備える等、多様な変形例が可能である。
【0082】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0083】
実施例1
基板及び第1電極として三星コーニング社製の15Ω/cm2(1200Å)ITO及びガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水中でそれぞれ5分間超音波洗浄した後、UV、オゾン洗浄を30分間行って使用した。
【0084】
前記ITO電極上にAu薄膜を20nmの厚さに形成した。前記Au薄膜をマイクロコンタクトプリンティング工程及びエッチング工程を利用してパターニングすることにより、ストライプ状を有する複数のAuナノパターンをITO電極上に形成した。この時、前記Auナノパターンの幅は200nmであり、Auナノパターンの間隔は300nmであった。Auナノパターンの形成のためのマイクロコンタクトプリンティング工程及びエッチング工程をさらに具体的に説明すれば、次の通りである。
【0085】
まず、Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.社製)を撹拌用の容器を用いて10:1の重量比で混合してPDMS形成用の溶液を得た。そして、このPDMS形成用の溶液をあらかじめ準備したウェーハで作ったマスタ上に注いだ。前記マスタは、ストライプ状のナノパターンを備えたものである。マスタ上に注いだPDMS形成用の溶液中、発生した気泡を、真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃〜80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた後、マスタを除去してPDMSスタンプを得た。前記PDMSスタンプに備えられたナノパターンは、以後、形成しようとするAuナノパターンと同じ幅及びパターン間の間隔を有していた。
【0086】
次に、エタノールにアルカンチオール粉末を3mMの溶液に混合して、SAM形成用の溶液を製造した後、前記PDMSスタンプを前記溶液に浸漬させた。このようにして得たSAM形成用の溶液が塗布されたPDMSスタンプを、前記Au薄膜と接触させて、Au薄膜上に形成しようとするAuナノパターンと同じパターンを有するSAM層を形成した。
【0087】
この後、SAM層を備えていないAuを、エッチャントとしてフェリフェロシアナイドバス(1mM:K4Fe(CN)6、10mM:K3Fe(CN)6、0.1M:Na2S2O3、1.0M:KOH)を利用して、エッチングした後、SAM層を除去して、本発明に係る幅及びパターン間の間隔を有するAuナノパターンを得た。
【0088】
前記Auナノパターンを有するITO電極の上部にポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−ブチルフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン:PFB、Dow Chemical社製の正孔輸送物質)をスピンコーティングして、10nmの厚さの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に青色発光物質であるスピロフルオレン系の発光高分子で70nmの厚さの発光層を形成した後、前記発光層の上部にBaF2を蒸着して、4nmの厚さの電子注入層を形成した。前記電子注入層の上部に第2電極としてCa(2.7nm)、Al(250nm)を形成して、図2に示すような構造のEL素子を完成した。これをサンプル1という。
【0089】
実施例2
基板及び第1電極として三星コーニング社の15Ω/cm2(1200Å)ITO及びガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水中でそれぞれ5分間超音波洗浄した後、UV、オゾン洗浄を30分間行って使用した。
【0090】
前記ITO電極上に赤色発光物質であるポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)で70nmの厚さの発光層を形成する。以後、金属ナノパターンの形状を有する第2電極(負極)を次の通りに製造した後、ソフトコンタクトラミネーション工程に利用して形成した。
【0091】
まず、Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.製)を攪拌用の容器で10:1の重量比で混合してPDMS形成用の溶液を得た。そして、このPDMS形成用の溶液をあらかじめ準備したウェーハで作ったマスタ上に注いだ。前記マスタは、ストライプ状のナノパターンを備えたものである。マスタ上に注いだPDMS形成用の溶液中、発生した気泡を、真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃〜80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた後、マスタを除去してPDMSスタンプを得た。この後、前記PDMSスタンプにAuを全面蒸着させ、PDMSスタンプのナノパターンに沿って20nmの厚さのAu薄膜を形成した。前記Au薄膜は、幅300nm及び間隔300nmのAuナノパターンを備えた。
【0092】
この後、前記Auナノパターンを備えたAu薄膜が発光層と接触するように配置し、Auナノパターンを備えたAu電極を形成して、図4に示すようなEL素子を完成した。これをサンプル2という。
【0093】
実施例3
基板及び第1電極として三星コーニング社の15Ω/cm2(1200Å)ITO及びガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水中でそれぞれ5分間超音波洗浄した後、UV、オゾン洗浄を30分間行って使用した。
【0094】
前記ITO電極上に赤色発光物質であるMEH−PPVで70nmの厚さの発光層を形成した後、金属ナノパターンを備えた第2電極(負極)を、次のようなコールドウェルディング工程及びソフトコンタクトラミネーション工程を利用して形成した。
【0095】
まず、前記発光層上にAuを全面蒸着した。この後、Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.社製)を撹拌用の容器で10:1の重量比で混合してPDMS形成用の溶液を準備する一方、ストライプ状のナノパターンマスタを準備した。前記ナノパターンマスタは、シリコンウェーハ上に備えられたものであって、前記ナノパターンの幅は50nmであり、前記ナノパターンの間隔は50nmであった。前記PDMS形成用の溶液を前記ナノパターンマスタ上に注いだ。この後、前記PDMS形成用の溶液中、発生した気泡を、真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃〜80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた後、マスタを分離してナノパターンを有するPDMSスタンプを得た。この後、ナノパターン(前記ナノパターンの幅は50nmであり、ナノパターンの間隔は50nmである)を有するPDMSスタンプには、Tiを2nmに蒸着した後、Auを全面蒸着させた。これを前記発光層上に全面蒸着されたAu薄膜と接触させた後、前記PDMSスタンプを分離して、ストライプナノパターンの形状を有するAu電極を有機層上に形成(コールドウェルディング工程の原理が適用されたものである)した。前記ナノパターンの幅は50nmであり、パターン間の間隔は50nmであった。このようにして図8のEL素子を完成した。これをサンプル3という。
【0096】
実施例4
基板及び第1電極として三星コーニング社の15Ω/cm2(1200Å)ITO及びガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水中でそれぞれ5分間超音波洗浄した後、UV、オゾン洗浄を30分間行ってして使用した。
【0097】
前記ITO電極上に赤色発光物質であるMEH−PPVで70nmの厚さの発光層を形成した後、金属ナノパターンを備えた第2電極(負極)を、次のようなコールドウェルディング工程及びソフトコンタクトラミネーション工程を利用して形成した。
【0098】
まず、Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.社製)を撹拌用の容器で10:1の重量比で混合して、PDMS形成用の溶液を準備した。一方、パターンがない平らなシリコンウェーハ及びストライプ状のナノパターンマスタをそれぞれ準備した。前記ナノパターンマスタ中、前記ナノパターンの幅は50nmであり、前記ナノパターンの間隔は50nmであった。前記PDMS形成用の溶液を前記パターンがない平らなシリコンウェーハ及びナノパターンマスタ上にそれぞれ注いだ。この後、前記PDMS形成用の溶液中、発生した気泡を、真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃〜80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた。これにより、パターンのなく平らなPDMSスタンプ及びナノパターンを有するPDMSスタンプ(マスタを分離して得る)をそれぞれ得た。その後、前記平らなPDMSスタンプにはAuを全面蒸着させ、ナノパターン(すなわち、幅は50nmであり、ナノパターン間の間隔は50nmである)を有するPDMSスタンプにはTiを2nmに蒸着した後、Auを全面蒸着させた。これらの金属が蒸着された二つのPDMSを接合させて、コールドウェルディングの原理によって平らなPDMSスタンプ上に、ストライプ型のナノパターンの形状を有するAu電極を形成した。前記Au電極の幅は50nmであり、パターン間の間隔は50nmであった。
【0099】
この後、前記ナノパターンを有するAu電極が形成された平らなPDMSスタンプを、Au電極が発光層と接触するように配置し、図8に示すEL素子の変形例として、ナノパターンを有するAu電極を備えたEL素子を完成した。これをサンプル4という。
【0100】
評価例
前記サンプル1及びサンプル2に対してEL強度を測定することにより、偏光性能を評価して、これを図11及び図12にそれぞれ示した。偏光性能は、偏光フィルムを備えた発光スペクトル装置を利用して評価した。
【0101】
図11によれば、全体的にAuナノパターンと平行した光の強度が、Auナノパターンと垂直の光の強度より大きいことが分かる。特に、約670nmでサンプル1のAuナノパターン及び光の強度は、平行方向で垂直方向より2.5倍強い光を発した。
【0102】
図12によれば、全体的にAuナノパターンと平行した光の強度が、Auナノパターンと垂直の光の強度より大きいことが分かる。特に、約670nmでサンプル2のAuナノパターン及び光の強度は、平行方向で垂直方向より6倍強い光を発した。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、電界発光素子に関連した技術分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図2】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図3】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図4】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図5】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図6】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図7】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図8】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図9】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図10】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図11】本発明に係るEL素子の偏光性能を評価したグラフである。
【図12】本発明に係るEL素子の偏光性能を評価したグラフである。
【符号の説明】
【0105】
11、21、31,41、51、61、71、81、91、101 基板、
12、22、32、42、52、62、72、82、92、102 第1電極、
13、23、33、43、53、63 金属ナノパターン、
15、25、35、45、55、65、75、85、95、105 有機層、
17、27、37、47、57、67、77、87、97、107 第2電極、
107’ エアーギャップ、
49、99、109 軟質基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界発光素子及びその製造方法に係り、より具体的には、第1電極及び第2電極の少なくとも一方の一の面に複数の金属ナノパターンを備え、または、第1電極及び第2電極の少なくとも一方がストライプ状のナノパターンを有することにより、発光層(Emitting Layer:EML)を備え有機層が、前記有機層を形成する物質に関係なく偏光を具現することができる電界発光素子及びその電界発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子、特に、有機電界発光(Electroluminescent:EL)素子は、蛍光または燐光有機層に電流を流せば、電子と正孔とが有機層で結合しつつ光が発生する現象を利用した自発光型素子である。この有機EL素子は、軽量で製造工程が容易であり、さらに、優れた高画質及び広視野角などの特性を有している。また、高い色純度および動画を表現でき、低消費電力および低電圧で駆動するので携帯用の電子機器、ディスプレイ、バックライトユニットなどに適した電気的特性を有しており、その用途は多様である。
【0003】
近年、有機EL素子の中でも、偏光を具現できる偏光有機EL素子についての研究が活発に進んでいる。
【0004】
特許文献1には、有機EL素子の発光層をなす物質として一つ以上の電荷輸送単位として末端キャッピングされたポリフルオレン系の物質及びそれを含んだ素子が開示されている。特許文献1は、偏光形成手段として、液晶性のEL物質のダイレクトラビングを提示している。
【0005】
一方、特許文献2にはポリイミドと、正孔輸送物質、電子輸送物質及び発光物質からなる群から選択された少なくとも一つのとの混合物からなる膜を熱処理して、ドーピングされたポリイミドからなる層及びそれを含んだ素子を開示している。特許文献2は、偏光形成手段として、ポリイミド系の物質のラビング後、液晶性EL物質の配向を提示している。
【0006】
また、特許文献3及び特許文献4には、摩擦輸送配向物質でコーティングされて配向性を有する層及びそれを備えた素子が開示されている。特許文献3及び特許文献4は、偏光形成手段として、摩擦輸送によって配向性を与えた後、その上にEL物質をコーティングすることを提示している。
【0007】
前記のような従来の偏光EL素子は、有機層を形成する物質によって偏光形成手段が制限されてしまうという問題点がある。したがって、EL素子が有する有機層を形成する物質の多様性を考慮すると、有機層を形成する物質に関係なく偏光を実現できるEL素子の開発が切望されている。
【特許文献1】米国特許第6777531B2号明細書
【特許文献2】米国特許第6649283B2号明細書
【特許文献3】米国特許第6579564B2号明細書
【特許文献4】米国特許第6489044B1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、金属ナノパターンを備えた第1電極及び/または第2電極(本明細書中に記載されている「A及び/またはB」とは、「AおよびBのいずれか、または双方」を意味する)、または、金属ナノパターンの形状を有する第1電極及び/または第2電極により、第1電極と第2電極との間に介在される物質に関係なく偏光を具現できるEL素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係る電界発光素子(EL素子)は、基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の一の面に複数の金属ナノパターンを備えることを特徴とする。
【0010】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係るEL素子は、は、基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び第2電極の少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有することを特徴とする。
【0011】
前記本発明の課題を達成するために、本発明に係るEL素子の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に複数の金属ナノパターンを備えた第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係るEL素子の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に複数の金属ナノパターンを有する第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係るEL素子の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に金属ナノパターンの形状を有する第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係るEL素子の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に金属ナノパターンの形状を有する第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るEL素子は、第1電極及び第2電極の少なくとも一つが複数の金属ナノパターンを備えるか、または、第1電極及び第2電極の少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有している。この結果、有機層を形成する物質に関係なく偏光を具現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係る電界発光素子及びその電界発光素子の製造方法をさらに詳細に説明する。
【0017】
本発明に係るEL素子は、基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層とを備え、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の一の面に複数の金属ナノパターンを備える。
【0018】
本発明に係るEL素子は、第1電極及び第2電極の少なくとも一方の一の面に複数の金属ナノパターンを備え、反射偏光または透過偏光原理によって偏光を具現することができる。
【0019】
本明細書において、“金属ナノパターン”という用語は、金属から形成され、形状の寸法、例えば、幅、高さのうち一つ以上がナノサイズを有するパターンを表す用語として用いられる。
【0020】
前記金属ナノパターンは、偏光を具現できる形状を有する。例えば、本発明の金属ナノパターンは、互いに平行したストライプ状を有し、その断面は、長方形または正方形であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0021】
前記金属ナノパターンは、偏光を具現できる幅を有する。前記金属ナノパターンの幅は、2nm〜1000nmであり、好ましくは、10nm〜700nmであり、より好ましくは、20nm〜400nmでる。このように、前記金属ナノパターンの幅を制限する理由は、前記金属ナノパターンの幅が2nm未満である場合、製造工程が複雑になるため製造時間が増加し、製造コストが非常に高くなるという問題が発生するためであり、また、前記金属ナノパターンの幅が1000nmを超える場合、満足すべき偏光効果を得ることができないためである。
【0022】
それぞれの前記金属ナノパターンの間隔(一の金属ナノパターンと隣接する他の金属ナノパターンとの間隔)は、5nm〜100μmであり、好ましくは、10nm〜10μmであり、より好ましくは、20nm〜1μmでる。このように前記金属ナノパターンの間隔を制限する理由は、前記金属ナノパターン間の間隔が5nm未満である場合、製造工程が複雑になるため製造時間が増加し、製造コストが非常に高くなり、さらに、透光度が低下するという問題が発生するためであり、また、前記金属ナノパターンの間隔が100μmを超える場合、満足すべき偏光効果が得ることができないためである。
【0023】
前記金属ナノパターンは、光を反射できる物質、例えば、金属から形成されることがでいる。具体的には、Ag、Cu、Al、Mg、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Mg、Cs、Ba、Li、Ca、及びこれらの金属の合金からなる群から選択された物質から形成されることができる。なお、前記金属ナノパターンを形成する物質としては、特に、Auが好ましい。
【0024】
前記第1電極及び第2電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Cu、Co、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、SnO2、ZnO、In2O3、及びこれらの合金からなる群から選択された少なくとも一つからなることができる。また、前記第1電極及び第2電極は、伝導性の高分子からなることができる。前記第1電極及び第2電極を形成する伝導性の高分子は、例えば、ポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリピロール等であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0025】
前記第1電極または第2電極が正極として使用される場合には、仕事関数が高い物質からなることができる。すなわち、Ag、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Cu、Co、ITO、IZO、SnO2、ZnO、In2O3、これらの合金、ポリアニリン、PEDOT、またはポリピロール等から形成することができる。具体的には、前記電極が透明電極である場合、伝導性に優れたITO、IZO、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、In2O3、ポリアニリン、PEDOT、またはポリピロールなどを利用して形成でき、前記電極が反射電極である場合、Ag、Al、Mg、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、またはこれらの合金から反射層を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、In2O3、ポリアニリン、PEDOT、またはポリピロール等で透明電極層を形成できる等、多様な変形例が可能である。
【0026】
前記第1電極または第2電極が負極として使用される場合には、有機層が備える発光層に容易に電子を供給できるように仕事関数が小さい物質からなることができる。例えば、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Mg、Al、及びAgからなる群から選択された一つ以上からなることができる。具体的には、前記第2電極が透明電極である場合、負極電極として使用されるため、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Ag、Mg、またはAl等からなる薄膜上に、ITO、IZO、ZnO、In2O3、ポリアニリン、PEDOT、またはポリピロール等で補助電極層やバス電極ラインを形成することができ、前記第2電極が反射電極である場合、Li、Ca、Ba、Cs、またはNaから形成される層と、Au、Al、Pd、Pt、またはMg等から形成される層とを備える2層構造であってもよい等、多様な変形例が可能である。
【0027】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極と一体的に形成(以下、「一体型」という。図1及び図4参照)またはそれぞれ別々に形成することができる(以下、「個別型」という。図2、図3、図5及び図6参照)。これは、前記金属ナノパターンを形成する工程によって異なる。
【0028】
前記複数の金属ナノパターンを形成する物質は、前記金属ナノパターンを備えた第1電極、または、前記ナノパターンを備えた第2電極を形成する物質と同じであっても良いし、異なっていても良い。これは、前記複数の金属ナノパターンを形成する工程によって異なる。
【0029】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極から突出(図1、図2、図3及び図4参照)して形成することができる。また、前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極、または前記金属ナノパターンを備えた第2電極に埋没(図5及び図6参照)されて形成されることができる。
【0030】
前記複数の金属ナノパターンは、反射偏光または透過偏光を具現できるように、本発明に係るEL素子のうち、多様な位置に備えられることができる。例えば、前記複数の金属ナノパターンは、前記第1電極と前記有機層との間に介在されることもできるし、前記第2電極の前記有機層側の面と逆の側の面に備えられることもできる。一方、前記複数の金属ナノパターンは、前記第1電極と前記基板との間に介在されるか、または前記第2電極と前記有機層との間に介在される。
【0031】
一方、本発明に係るEL素子は、基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層とを備えるが、前記第1電極及び第2電極の少なくとも一つは金属ナノパターンの形状を有する。
【0032】
前記本発明に係るEL素子は、第1電極及び第2電極の少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有し、この結果、反射偏光または透過偏光原理によって偏光を具現できる。
【0033】
前記金属ナノパターンは、偏光を具現できる形状を有する。例えば、本発明の金属ナノパターンは、互いに平行したストライプ状を有し、その断面は、長方形または正方形であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0034】
前記金属ナノパターンは、偏光を具現できる幅を有する。前記金属ナノパターンの幅は、5nm〜1000nmであり、好ましくは、10nm〜700nmであり、より好ましくは、50nm〜400nmでる。このように、前記金属ナノパターンの幅を制限する理由は、前記金属ナノパターンの幅が5nm未満である場合、製造工程が複雑になるため製造時間が増加し、製造コストが非常に高くなるという問題が発生するためであり、また、前記金属ナノパターンの幅が1000nmを超える場合、満足すべき偏光効果を得ることができないためである。
【0035】
前記金属ナノパターン間の間隔は、5nm〜100μmであり、好ましくは、10nm〜10μmであり、より好ましくは、20nm〜1μmである。このように前記金属ナノパターンの間隔を制限する理由は、前記金属ナノパターン間の間隔が5nm未満である場合、製造工程が複雑になるため製造時間が増加し、製造コストが非常に高くなり、さらに、透光度が低下するという問題が発生するためであり、また、前記金属ナノパターンの間隔が100μmを超える場合、満足すべき偏光効果が得ることができないためである。
【0036】
前記第1電極及び第2電極の少なくとも一つは、金属ナノパターンの形状であるが、前記金属ナノパターンの形状を有する第1電極及び/または第2電極は、偏光を可能とすることはもとより、電極としての役割も同時に行えなければならない。したがって、前記金属ナノパターンの形状を有する第1電極及び/または第2電極は、例えば、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Cu、Co、またはこれらの合金等ならなることができる。一方、金属ナノパターンの形状を有さない第1電極及び第2電極についての詳細な説明は、既に説明したとおりである。
【0037】
前記本発明に係るEL素子の有機層は、少なくとも発光層を備える。前記有機層は、発光層の他にも、正孔注入層(Hole Injection Layer:HIL)、正孔輸送層(Hole Transfer Layer:HTL)、電子阻止層(Electron Blocking Layer:EBL)、正孔遮蔽層(Hole Blocking Layer:HBL)、電子輸送層(Elctron Transfer Layer)、及び電子注入層(Electron Injection Layer:EIL)からなる群から選択された少なくとも一つの層を選択的にさらに備えることができる。例えば、本発明に係るEL素子の一実施形態としては、基板、第1電極、正孔輸送層、発光層、電子注入層及び第2電極を備える。
【0038】
前記本発明に係るEL素子の有機層を形成する物質には特別な制限はない。これは、本発明に係るEL素子が、前記のように第1電極及び/または第2電極の一の面に偏光を具現できる金属ナノパターンを備えているか、または第1電極及び第2電極の少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有し、有機層に任意の物質を使用しても偏光を具現できるためである。
【0039】
前記本発明に係るEL素子の製造方法の一実施形態は、基板を準備する工程と、前記基板上に複数の金属ナノパターンを備えた第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に第2電極を形成する工程と、を含む。
【0040】
前記本発明に係るEL素子の製造方法の他の一実施形態は、基板を準備する工程と、前記基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層の上部に複数の金属ナノパターンを有する第2電極を形成する工程と、を含む。
【0041】
前記本発明に係るEL素子製造方法のさらに他の実施形態は、基板を準備する工程と、前記基板の上部に金属ナノパターンの形状を有する第1電極を形成する工程と、前記第1電極の上部に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に第2電極を形成する工程と、を含む。
【0042】
前記本発明に係るEL素子の製造方法のさらに他の実施形態は、基板を準備する工程と、前記基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に少なくとも発光層を備える有機層を形成する工程と、前記有機層上に金属ナノパターンの形状を有する第2電極を形成する工程と、を含む。
【0043】
前記第1電極及び/または第2電極の表面に金属ナノパターンを形成する方法、及び金属ナノパターンの形状を有する第1電極及び/または第2電極を形成する方法は、非常に多様であり、ナノパターンを形成する公知のあらゆる方法を使用できる。例えば、エッチング工程、マイクロコンタクトプリンティング工程(micro contact printing:mCP)、ナノトランスファープリンティング工程(nano transfer printing:nTP)、ナノインプリントリソグラフィ工程、コールドウェルディング工程、マイクロトランスファーモールディング工程、毛細管内マイクロモールディング工程、溶媒利用マイクロモールディング工程、ナノモールディング工程及びソフトコンタクトラミネーション工程等の多様な方法を使用できるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0044】
以下、図1から10を参照して、本発明の第1実施形態〜第10実施形態に係るEL素子及びその製造方法をさらに詳細に説明する。図1から図10に示すEL素子のうち、金属ナノパターンをなす物質、金属ナノパターンの幅、それぞれの金属ナノパターン間隔、第1電極を形成する物質、第2電極を形成する物質等は、前記のものを参照する。
【0045】
[第1実施形態]
図1に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板11上の第1電極12の一の面、具体的には、第1電極12と有機層15との間に複数の金属ナノパターン13を備えている。
【0046】
基板11は、一般的にEL素子で使用される基板を使用することができるが、透明性、表面平滑性、取扱容易性、及び防水性などを考慮して、ガラス基板または透明プラスチック基板などを使用することが好ましい。
【0047】
基板11上には、金属ナノパターン13を備えた第1電極12が備えられている。金属ナノパターン13と前記第1電極12とは一体型であり、金属ナノパターン13を形成する物質と第1電極12を形成する物質とは同じである。また、金属ナノパターン13は、第1電極12から突出して形成されている。
【0048】
金属ナノパターン13を備えた第1電極12上には有機層15が備えられている。有機層15は、少なくとも発光層を備え、選択的に正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔遮蔽層、電子輸送層、及び電子注入層からなる群から選択された少なくとも一つの層をさらに備ええることができる。各層を形成する物質としては、公知の任意の物質をいずれも使用でき、各層の形成方法は、公知の多様な蒸着法またはコーティング法など、いずれの方法も使用することができる。
【0049】
有機層15のうち、発光層を形成する物質の例としては、オキサジアゾールダイマー染料(Bis−DAPOXP)、スピロ化合物(Spiro−DPVBi、Spiro−6P)、トリアリールアミン化合物、ビス(スチリル)アミン(DPVBi、DSA)、Flrpic、CzTT、アントラセン、TPB、PPCP、DST、TPA、OXD−4、BBOT、AZM−Zn等の青色用発光物質、またはクマリン6、C545T、キナクリドン、Ir(ppy)3等の緑色用発光物質、またはDCM1、DCM2、Eu(テノイルトリフルオロアセトン)3(Eu(TTA)3)、ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン)(DCJTB)等の赤色用発光物質を使用することができる。また、高分子発光物質としては、フェニレン系、フェニレンビニレン系、チオフェン系、フルオレン系、またはスピロフルオレン系などの高分子と、窒素を含む芳香族化合物などを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。有機層15上には第2電極17が備えられている。第2電極17を形成する物質は、前記の通りである。
【0050】
金属ナノパターン13は、第1電極12の形成後、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用できる。金属ナノパターン13の形成方法は、例えば、マイクロコンタクトプリンティング工程及びエッチング工程の組み合わせを利用することができる。これについての詳細な説明は後述する。
【0051】
[第2実施形態]
図2に示すように本実施の形態に係るEL素子は、図1に示すEL素子のように、基板21上に第1電極22を備え、第1電極22の表面、具体的には、第1電極22と有機層25との間に複数の金属ナノパターン23を備えるが、複数の金属ナノパターン23が第1電極22と個別型である。
【0052】
金属ナノパターン23を形成する物質は、第1電極22を形成する物質と異なる。例えば、金属ナノパターン23は、Auから形成され、第1電極22は、透明電極としてITOから形成することができる。前記金属ナノパターン23は、第1電極22から突出して形成されている。有機層25及び第2電極27についての説明は、図1についての詳細な説明を参照する。
【0053】
金属ナノパターン23は、第1電極22の形成後、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成することができる。金属ナノパターン23の形成方法は、例えば、マイクロコンタクトプリンティング工程及びエッチング工程を利用することができる。
【0054】
前記マイクロコンタクトプリンティング工程は、金属ナノパターン23を形成する物質の薄膜上にナノパターンを有する自己組立層(以下、“SAM層”(self−assembly monolayer)という)の形成に使用することができる。まず、ウェーハ等から形成されたマスタを準備する。前記マスタは、ナノパターンを備えたシリコン系の高分子スタンプ製作のためのものであって、所定のナノパターンを備えている。この後、前記シリコン系の高分子スタンプの製作のために、シリコン系の高分子形成用の溶液を準備する。前記シリコン系の高分子形成用の溶液は、多様な化学メーカから容易に入手可能であるが、例えば、シリコン系の高分子としてポリジメチルシロキサン(PDMS)を得ようとする場合、シリコン系の高分子形成用の溶液製造には、Dow Chemical Inc.社製のSylgard184シリーズを使用することができる。準備されたシリコン系の高分子形成用の溶液をマスタに注いだ後、シリコン系の高分子形成用の溶液を適正温度(例えば、PDMSを得ようとする場合、60℃〜80℃)で硬化させ、ナノパターンを有するシリコン系の高分子から形成されるスタンプを製作する。前記シリコン系の高分子スタンプをSAM層の形成用の溶液と一般的な方法で接触させた後、それを金属の薄膜と接触させて、前記薄膜上にナノパターンを有するSAM層を形成する。
【0055】
このように、金属ナノパターンをなす物質の薄膜にSAM層を形成した後、エッチング工程を利用して、SAM層が形成されていない領域をエッチングした後、SAM層を除去することにより金属ナノパターン23を形成することができる。
【0056】
[第3実施形態]
図3に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板31、第1電極32。有機層35、及び第2電極37を順に備えるが、金属ナノパターン33は、第2電極37の有機層35と対向する側の表面と反対側の表面に備えられている。
【0057】
第2電極37は透明電極であり、複数の金属ナノパターン33は第2電極37と個別型であり、複数の金属ナノパターン33を形成する物質は第2電極37を形成する物質と異なる。複数の金属ナノパターン33は、第2電極37から突出して形成されている。基板31、有機層35に関する説明は、図1についての説明を参照する。金属ナノパターン33の形成方法としては、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用することができる。金属ナノパターン33の形成方法は、金属ナノパターン33を第2電極37上に形成するという点を除いては、上述した図2についての説明のうち、金属ナノパターン23の形成方法を参照する。
【0058】
[第4実施形態]
図4に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板41、第1電極42、有機層45、及び金属ナノパターン43を備えた第2電極47を備えるが、金属ナノパターン43は、第2電極37の有機層35と対向する側の表面と反対側の表面に備えられている。 第2電極47と金属ナノパターン43とは一体型であり、金属ナノパターン43を形成する物質と第2電極47を形成する物質とは同じである。一方、金属ナノパターン43は、第2電極47から突出して形成されている。基板41及び有機層45についての説明は、図1についての説明を参照する。
【0059】
金属ナノパターン43を備えた第2電極47は、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成することができる。金属ナノパターン43を備えた第2電極47の形成方法は、例えば、ナノモールディングされた軟質基板49上に金属を全面蒸着した後、それをソフトコンタクトラミネーションする工程を利用することができる。
【0060】
まず、金属ナノパターン43を備えた第2電極47を形成できる軟質基板49を形成する。軟質基板49は、ナノパターンを備えたシリコン系の高分子スタンプ、例えば、PDMSスタンプであることができる。前記スタンプを製造するための工程の詳細な説明は、上述した図2についての説明のうちの関連部分を参照する。
【0061】
この後、ナノパターンを備えた軟質基板49に沿って、金属ナノパターン43を形成する物質、すなわち、第2電極47を形成する物質を全面に蒸着させる。蒸着工程には、特別の制限がなく、スパッタリング法、e−ビーム蒸着法、熱蒸着法のような多様な蒸着法を使用することができる。これにより、このように形成された金属ナノパターン43を備えた第2電極47が備えられた軟質基板49を有機層45上に配置する。この時、金属ナノパターン43と有機層45との間にエアーギャップが形成され、軟質基板49は、選択的に分離できる。軟質基板49を分離しない場合、図4に示すように、金属ナノパターン43を備えた第2電極47上に軟質基板49が備えられたEL素子を得ることができる。
【0062】
[第5実施形態]
図5に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板51、第1電極52、有機層55及び金属ナノパターン53を備えた第1電極52を備えるが、前記金属ナノパターン63は、前記第2電極67と有機層65との間に介在されている。
【0063】
金属ナノパターン53は、第1電極52と個別型であり、金属ナノパターン53を形成する物質は、第1電極52を形成する物質と異なる。一方、金属ナノパターン53は、第1電極52に埋没して形成されている。基板51及び有機層55についての説明は、図1についての説明を参照する。金属ナノパターン53の形成方法としては、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用することができる。金属ナノパターン53の形成方法は、金属ナノパターン53を基板上に形成するという点を除いては、図2についての説明のうち、金属ナノパターン23の形成方法を参照する。
【0064】
[第6実施形態]
図6に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板61、第1電極62、有機層65及び金属ナノパターン63を備えた第2電極67を備えるが、前記金属ナノパターン63は、前記第2電極67と有機層65との間に介在されている。
【0065】
金属ナノパターン63は、第2電極67と個別型であり、第2電極67を形成する物質は、第2電極67を形成する物質と異なる。金属ナノパターン63は、第2電極67に埋没して形成されている。基板61及び有機層65についての説明は、図1についての説明を参照する。
【0066】
金属ナノパターン63は、有機層65の形成後、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成できる。金属ナノパターン63の形成方法は、例えば、コールドウェルディング工程及びソフトコンタクトラミネーションを利用することができる。
【0067】
まず、有機層65上に金属ナノパターン63を形成する物質を利用して、全面的に薄膜(以下、“A”という)を形成する。次いで、ナノパターンを備えたシリコン系の高分子スタンプ、例えば、PDMSスタンプまたはナノパターンを備えたガラス材のスタンプを準備する。前記シリコン系の高分子スタンプを製造するための工程の詳細な説明は、前記図2についての説明を参照する。前記シリコン系の高分子スタンプまたはガラス材のスタンプのナノパターンに沿って、金属ナノパターン63をなす物質を全面蒸着させ、金属ナノパターン63をなす物質が蒸着されたシリコン系の高分子スタンプまたはガラス材のスタンプ(以下、“B”という)を準備する。
【0068】
この後、前記“A”と“B”との金属ナノパターン63を形成する物質が蒸着された領域を接触させた後、スタンプを除去すれば、コールドウェルディング工程の原理によって、“A”のうち、“B”と接触した領域が除去されつつ、金属ナノパターン63が有機層65上に形成される。この後、第2電極67を形成する物質を金属ナノパターン63上に形成する。
【0069】
[第7実施形態]
図7に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板71、金属ナノパターンの形状を有する第1電極72、有機層75、及び第2電極77を備える。金属ナノパターンの形状を有する第1電極77の形成方法は、前記図6の金属ナノパターン63の形成方法を参照する。図6の金属ナノパターン63は、有機層65上に形成され、金属ナノパターン63の形成後、第2電極67をさらに形成するが、前記第1電極77は、電極及び金属ナノパターンの役割を同時に行うという点が異なる。
【0070】
[第8実施形態]
図8に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板81、第1電極82、有機層85及び金属ナノパターンの形状を有する第2電極87を備える。前記金属ナノパターンの形状を有する第2電極87の形成方法は、前記図6の金属ナノパターン63の形成方法を参照する。図6の金属ナノパターン63は、有機層65の上に形成され、金属ナノパターン63の形成後、第2電極67をさらに形成するが、前記第2電極87は、電極及び金属ナノパターンの役割を同時に行うという点が異なる。
【0071】
一方、図8に示すEL素子の変形例として、第2電極87上に軟質基板が追加的にさらに形成されることができる。この時には、図6のEL素子の形成に使用されたコールドウェルディング工程を変形して適用できる。具体的には、平らな基板、例えば、シリコンウェーハ上に平らな軟質基板を形成した後、前記軟質基板上に前記“A”(図6についての説明を参照する)を形成した後、これに対して図6のEL素子の形成に使用されたコールドウェルディング工程を適用することにより、前記軟質基板上に金属ナノパターンの形状を有する第2電極87を形成する。前記金属ナノパターンの形状を有する第2電極87が形成された軟質基板を、有機層85上にソフトコンタクトラミネーションすることにより、金属ナノパターンの形状を有する第2電極87を形成することができる。前記軟質基板を分離しない場合、金属ナノパターンの形状を有する第2電極87上に軟質基板が備えられたEL素子を得ることができる。これについてのさらに詳細な説明は、下記実施例4を参照する。
【0072】
[第9実施形態]
図9に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板91、第1電極92、有機層95及び金属ナノパターンの形状を有する第2電極97を備えている。
【0073】
前記金属ナノパターンの形状を有する第2電極97は、有機層95の形成後、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成することができる。第2電極97の形成方法は、例えば、平らな軟質基板99上に第2電極97を形成した後、第2電極97を有機層95と接触させるソフトコンタクトラミネーションする工程を利用することができる。
【0074】
まず、軟質基板99として、平らなベースフィルム、例えば、シリコン系の高分子からなるベースフィルムを準備する。前記シリコン系の高分子は、例えば、PDMSなどである。軟質基板99の表面面に第2電極97を形成する物質で薄膜を形成した後、一般的なフォトレジスト工程を利用して前記薄膜をパターニングし、ナノパターンの形状を有する第2電極97を軟質基板99上に形成する。この後、前記ナノパターンの形状を有する第2電極97を表面に備えたベースフィルムを有機層95上に配置する。この時、軟質基板99の軟性によって、金属ナノパターンの形状を有する第2電極97が軟質基板99の方向によって埋没させる可能性があり、図9に示すように、軟質基板99と有機層95とが接触する部分で、軟質基板99が第2電極97の高さほど突出した形態を有する。また、軟質基板99と第2電極97とが接触する部分には、極微細なエアーギャップ(便宜上、図示せず)が形成されていてもよい。軟質基板99は、選択的に分離でき、軟質基板99を分離しない場合、図9に示すように、第2電極97上に軟質基板99が備えられる。
【0075】
[第10実施形態]
図10に示すように本実施の形態に係るEL素子は、基板101、第1電極102、有機層105、及び金属ナノパターンの形状を有する第2電極107を備えている。
【0076】
第2電極107は、前記のような多様なナノパターンの形成方法を利用して形成することができる。第2電極107の形成方法は、例えば、ナノモールディングされた軟質基板109上に金属を部分的に蒸着した後、それをソフトコンタクトラミネーションする工程を利用することができる。
【0077】
まず、第2電極107を形成できる軟質基板109を形成する。軟質基板109は、ナノパターンを備えたシリコン系の高分子スタンプ、例えば、PDMSスタンプなどである。前記スタンプを製造するための工程の詳細な説明は、前記図2についての説明のうち、関連部分を参照する。
【0078】
この後、ナノパターンを備えた軟質基板109に沿って、前記第2電極107をなす物質を部分的に蒸着させる。蒸着工程には特別の制限がなく、スパッタリング法、e−ビーム蒸着法、熱蒸着法のような多様な蒸着法を使用することができる。次に、このように形成された第2電極107が備えられた軟質基板109を有機層105上に配置する。この時、第2電極107と有機層105との間に、図10に示すようなエアーギャップ107’が形成される。軟質基板109は選択的に分離できる。軟質基板109を分離していない場合、図10に示すように、第2電極107上に軟質基板109が備えられる。
【0079】
前記第1電極及び第2電極は、それぞれ正極及び負極としての役割を行い、その逆の場合も可能である。本発明に係るEL素子は、多様な形態のEL表示装置に備えられ、特に、能動マトリクスEL表示装置に備えられる場合、第1電極は、薄膜トランジスタのドレイン電極またはソース電極と電気的に連結されることができる。
【0080】
本発明に係るEL素子は、多様な用途に使用される。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)のバックライトユニット等に適用することができる等、その応用分野が非常に広い。
【0081】
以上、本発明に係るEL素子及びその製造方法を、図1から図10により説明したが、本発明に係るEL素子及びその製造方法は、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図面に具体的に説明していないが、両面発光型のEL素子を考慮して、第1電極及び第2電極のいずれもが金属ナノパターンを備える等、多様な変形例が可能である。
【0082】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0083】
実施例1
基板及び第1電極として三星コーニング社製の15Ω/cm2(1200Å)ITO及びガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水中でそれぞれ5分間超音波洗浄した後、UV、オゾン洗浄を30分間行って使用した。
【0084】
前記ITO電極上にAu薄膜を20nmの厚さに形成した。前記Au薄膜をマイクロコンタクトプリンティング工程及びエッチング工程を利用してパターニングすることにより、ストライプ状を有する複数のAuナノパターンをITO電極上に形成した。この時、前記Auナノパターンの幅は200nmであり、Auナノパターンの間隔は300nmであった。Auナノパターンの形成のためのマイクロコンタクトプリンティング工程及びエッチング工程をさらに具体的に説明すれば、次の通りである。
【0085】
まず、Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.社製)を撹拌用の容器を用いて10:1の重量比で混合してPDMS形成用の溶液を得た。そして、このPDMS形成用の溶液をあらかじめ準備したウェーハで作ったマスタ上に注いだ。前記マスタは、ストライプ状のナノパターンを備えたものである。マスタ上に注いだPDMS形成用の溶液中、発生した気泡を、真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃〜80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた後、マスタを除去してPDMSスタンプを得た。前記PDMSスタンプに備えられたナノパターンは、以後、形成しようとするAuナノパターンと同じ幅及びパターン間の間隔を有していた。
【0086】
次に、エタノールにアルカンチオール粉末を3mMの溶液に混合して、SAM形成用の溶液を製造した後、前記PDMSスタンプを前記溶液に浸漬させた。このようにして得たSAM形成用の溶液が塗布されたPDMSスタンプを、前記Au薄膜と接触させて、Au薄膜上に形成しようとするAuナノパターンと同じパターンを有するSAM層を形成した。
【0087】
この後、SAM層を備えていないAuを、エッチャントとしてフェリフェロシアナイドバス(1mM:K4Fe(CN)6、10mM:K3Fe(CN)6、0.1M:Na2S2O3、1.0M:KOH)を利用して、エッチングした後、SAM層を除去して、本発明に係る幅及びパターン間の間隔を有するAuナノパターンを得た。
【0088】
前記Auナノパターンを有するITO電極の上部にポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−ブチルフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン:PFB、Dow Chemical社製の正孔輸送物質)をスピンコーティングして、10nmの厚さの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に青色発光物質であるスピロフルオレン系の発光高分子で70nmの厚さの発光層を形成した後、前記発光層の上部にBaF2を蒸着して、4nmの厚さの電子注入層を形成した。前記電子注入層の上部に第2電極としてCa(2.7nm)、Al(250nm)を形成して、図2に示すような構造のEL素子を完成した。これをサンプル1という。
【0089】
実施例2
基板及び第1電極として三星コーニング社の15Ω/cm2(1200Å)ITO及びガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水中でそれぞれ5分間超音波洗浄した後、UV、オゾン洗浄を30分間行って使用した。
【0090】
前記ITO電極上に赤色発光物質であるポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)で70nmの厚さの発光層を形成する。以後、金属ナノパターンの形状を有する第2電極(負極)を次の通りに製造した後、ソフトコンタクトラミネーション工程に利用して形成した。
【0091】
まず、Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.製)を攪拌用の容器で10:1の重量比で混合してPDMS形成用の溶液を得た。そして、このPDMS形成用の溶液をあらかじめ準備したウェーハで作ったマスタ上に注いだ。前記マスタは、ストライプ状のナノパターンを備えたものである。マスタ上に注いだPDMS形成用の溶液中、発生した気泡を、真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃〜80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた後、マスタを除去してPDMSスタンプを得た。この後、前記PDMSスタンプにAuを全面蒸着させ、PDMSスタンプのナノパターンに沿って20nmの厚さのAu薄膜を形成した。前記Au薄膜は、幅300nm及び間隔300nmのAuナノパターンを備えた。
【0092】
この後、前記Auナノパターンを備えたAu薄膜が発光層と接触するように配置し、Auナノパターンを備えたAu電極を形成して、図4に示すようなEL素子を完成した。これをサンプル2という。
【0093】
実施例3
基板及び第1電極として三星コーニング社の15Ω/cm2(1200Å)ITO及びガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水中でそれぞれ5分間超音波洗浄した後、UV、オゾン洗浄を30分間行って使用した。
【0094】
前記ITO電極上に赤色発光物質であるMEH−PPVで70nmの厚さの発光層を形成した後、金属ナノパターンを備えた第2電極(負極)を、次のようなコールドウェルディング工程及びソフトコンタクトラミネーション工程を利用して形成した。
【0095】
まず、前記発光層上にAuを全面蒸着した。この後、Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.社製)を撹拌用の容器で10:1の重量比で混合してPDMS形成用の溶液を準備する一方、ストライプ状のナノパターンマスタを準備した。前記ナノパターンマスタは、シリコンウェーハ上に備えられたものであって、前記ナノパターンの幅は50nmであり、前記ナノパターンの間隔は50nmであった。前記PDMS形成用の溶液を前記ナノパターンマスタ上に注いだ。この後、前記PDMS形成用の溶液中、発生した気泡を、真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃〜80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた後、マスタを分離してナノパターンを有するPDMSスタンプを得た。この後、ナノパターン(前記ナノパターンの幅は50nmであり、ナノパターンの間隔は50nmである)を有するPDMSスタンプには、Tiを2nmに蒸着した後、Auを全面蒸着させた。これを前記発光層上に全面蒸着されたAu薄膜と接触させた後、前記PDMSスタンプを分離して、ストライプナノパターンの形状を有するAu電極を有機層上に形成(コールドウェルディング工程の原理が適用されたものである)した。前記ナノパターンの幅は50nmであり、パターン間の間隔は50nmであった。このようにして図8のEL素子を完成した。これをサンプル3という。
【0096】
実施例4
基板及び第1電極として三星コーニング社の15Ω/cm2(1200Å)ITO及びガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水中でそれぞれ5分間超音波洗浄した後、UV、オゾン洗浄を30分間行ってして使用した。
【0097】
前記ITO電極上に赤色発光物質であるMEH−PPVで70nmの厚さの発光層を形成した後、金属ナノパターンを備えた第2電極(負極)を、次のようなコールドウェルディング工程及びソフトコンタクトラミネーション工程を利用して形成した。
【0098】
まず、Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.社製)を撹拌用の容器で10:1の重量比で混合して、PDMS形成用の溶液を準備した。一方、パターンがない平らなシリコンウェーハ及びストライプ状のナノパターンマスタをそれぞれ準備した。前記ナノパターンマスタ中、前記ナノパターンの幅は50nmであり、前記ナノパターンの間隔は50nmであった。前記PDMS形成用の溶液を前記パターンがない平らなシリコンウェーハ及びナノパターンマスタ上にそれぞれ注いだ。この後、前記PDMS形成用の溶液中、発生した気泡を、真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃〜80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた。これにより、パターンのなく平らなPDMSスタンプ及びナノパターンを有するPDMSスタンプ(マスタを分離して得る)をそれぞれ得た。その後、前記平らなPDMSスタンプにはAuを全面蒸着させ、ナノパターン(すなわち、幅は50nmであり、ナノパターン間の間隔は50nmである)を有するPDMSスタンプにはTiを2nmに蒸着した後、Auを全面蒸着させた。これらの金属が蒸着された二つのPDMSを接合させて、コールドウェルディングの原理によって平らなPDMSスタンプ上に、ストライプ型のナノパターンの形状を有するAu電極を形成した。前記Au電極の幅は50nmであり、パターン間の間隔は50nmであった。
【0099】
この後、前記ナノパターンを有するAu電極が形成された平らなPDMSスタンプを、Au電極が発光層と接触するように配置し、図8に示すEL素子の変形例として、ナノパターンを有するAu電極を備えたEL素子を完成した。これをサンプル4という。
【0100】
評価例
前記サンプル1及びサンプル2に対してEL強度を測定することにより、偏光性能を評価して、これを図11及び図12にそれぞれ示した。偏光性能は、偏光フィルムを備えた発光スペクトル装置を利用して評価した。
【0101】
図11によれば、全体的にAuナノパターンと平行した光の強度が、Auナノパターンと垂直の光の強度より大きいことが分かる。特に、約670nmでサンプル1のAuナノパターン及び光の強度は、平行方向で垂直方向より2.5倍強い光を発した。
【0102】
図12によれば、全体的にAuナノパターンと平行した光の強度が、Auナノパターンと垂直の光の強度より大きいことが分かる。特に、約670nmでサンプル2のAuナノパターン及び光の強度は、平行方向で垂直方向より6倍強い光を発した。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、電界発光素子に関連した技術分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図2】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図3】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図4】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図5】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図6】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図7】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図8】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図9】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図10】本発明に係るEL素子の一実施形態の構造を概略的に示す図面である。
【図11】本発明に係るEL素子の偏光性能を評価したグラフである。
【図12】本発明に係るEL素子の偏光性能を評価したグラフである。
【符号の説明】
【0105】
11、21、31,41、51、61、71、81、91、101 基板、
12、22、32、42、52、62、72、82、92、102 第1電極、
13、23、33、43、53、63 金属ナノパターン、
15、25、35、45、55、65、75、85、95、105 有機層、
17、27、37、47、57、67、77、87、97、107 第2電極、
107’ エアーギャップ、
49、99、109 軟質基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の表面に複数の金属ナノパターンを備えることを特徴とする電界発光素子。
【請求項2】
前記金属ナノパターンは、互いに平行したストライプ状を有し、前記金属ナノパターンの断面は、長方形または正方形であることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項3】
前記金属ナノパターンの幅は、2nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項4】
一の前記金属ナノパターンと隣接する他の前記金属ナノパターンとの間隔は、5nm〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項5】
前記金属ナノパターンをなす物質は、Ag、Cu、Al、Mg、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Mg、Cs、Ba、Li、Ca、または、これらの金属の合金からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項6】
前記第1電極及び第2電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Cu、Co、ITO、IZO、SnO2、ZnO、In2O3、及びこれらの合金からなる群から選択された少なくとも一つ、または、ポリアニリン、PEDOT、及びポリピロールからなる群から選択された少なくとも一つの伝導性の高分子からなることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項7】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極と一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項8】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極とは別々に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項9】
前記複数の金属ナノパターンを形成する物質は、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極を形成する物質と同じであることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項10】
前記複数の金属ナノパターンを形成する物質は、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極を形成する物質と異なることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項11】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極から突出して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項12】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極に埋没されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項13】
前記複数の金属ナノパターンは、前記第1電極と前記有機層との間に介在されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項14】
前記複数の金属ナノパターンは、前記第2電極の前記有機層と対向する面と反対側の面に備えられることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項15】
前記複数の金属ナノパターンは、前記第1電極と前記基板との間に介在されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項16】
前記複数の金属ナノパターンは、前記第2電極と前記有機層との間に介在されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項17】
基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び第2電極のうち少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有することを特徴とする電界発光素子。
【請求項18】
前記金属ナノパターンは、互いに平行したストライプ状を有し、前記金属ナノパターンの断面は、長方形または正方形であることを特徴とする請求項17に記載の電界発光素子。
【請求項19】
前記金属ナノパターンの幅は、2nm〜1000nmであることを特徴とする請求項17に記載の電界発光素子。
【請求項20】
一の前記金属ナノパターンと隣接する他の前記金属ナノパターンとの間隔は、5nm〜100μmであることを特徴とする請求項17に記載の電界発光素子。
【請求項21】
前記第1電極及び第2電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Cu、Co、ITO、IZO、SnO2、ZnO、In2O3、及びこれらの合金からなる群から選択された少なくとも一つ、または、ポリアニリン、PEDOT、及びポリピロールからなる群から選択された少なくとも一つから形成されることを特徴とする請求項17に記載の電界発光素子。
【請求項1】
基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の表面に複数の金属ナノパターンを備えることを特徴とする電界発光素子。
【請求項2】
前記金属ナノパターンは、互いに平行したストライプ状を有し、前記金属ナノパターンの断面は、長方形または正方形であることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項3】
前記金属ナノパターンの幅は、2nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項4】
一の前記金属ナノパターンと隣接する他の前記金属ナノパターンとの間隔は、5nm〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項5】
前記金属ナノパターンをなす物質は、Ag、Cu、Al、Mg、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Mg、Cs、Ba、Li、Ca、または、これらの金属の合金からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項6】
前記第1電極及び第2電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Cu、Co、ITO、IZO、SnO2、ZnO、In2O3、及びこれらの合金からなる群から選択された少なくとも一つ、または、ポリアニリン、PEDOT、及びポリピロールからなる群から選択された少なくとも一つの伝導性の高分子からなることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項7】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極と一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項8】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極とは別々に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項9】
前記複数の金属ナノパターンを形成する物質は、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極を形成する物質と同じであることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項10】
前記複数の金属ナノパターンを形成する物質は、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極を形成する物質と異なることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項11】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極から突出して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項12】
前記複数の金属ナノパターンは、前記金属ナノパターンを備えた第1電極または前記金属ナノパターンを備えた第2電極に埋没されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項13】
前記複数の金属ナノパターンは、前記第1電極と前記有機層との間に介在されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項14】
前記複数の金属ナノパターンは、前記第2電極の前記有機層と対向する面と反対側の面に備えられることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項15】
前記複数の金属ナノパターンは、前記第1電極と前記基板との間に介在されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項16】
前記複数の金属ナノパターンは、前記第2電極と前記有機層との間に介在されることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項17】
基板、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える有機層を備え、前記第1電極及び第2電極のうち少なくとも一つが金属ナノパターンの形状を有することを特徴とする電界発光素子。
【請求項18】
前記金属ナノパターンは、互いに平行したストライプ状を有し、前記金属ナノパターンの断面は、長方形または正方形であることを特徴とする請求項17に記載の電界発光素子。
【請求項19】
前記金属ナノパターンの幅は、2nm〜1000nmであることを特徴とする請求項17に記載の電界発光素子。
【請求項20】
一の前記金属ナノパターンと隣接する他の前記金属ナノパターンとの間隔は、5nm〜100μmであることを特徴とする請求項17に記載の電界発光素子。
【請求項21】
前記第1電極及び第2電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Ba、Cs、Na、Cu、Co、ITO、IZO、SnO2、ZnO、In2O3、及びこれらの合金からなる群から選択された少なくとも一つ、または、ポリアニリン、PEDOT、及びポリピロールからなる群から選択された少なくとも一つから形成されることを特徴とする請求項17に記載の電界発光素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−190671(P2006−190671A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373537(P2005−373537)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
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