説明

電磁式燃料噴射弁及びその製造方法

【課題】可動コアからコイルハウジングの前端部に至る磁路の長さが短くなって磁路抵抗が減少し,弁組立体の応答性が良好な電磁式燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】弁座部材3,磁性円筒体4,非磁性円筒体6,固定コア5及び燃料入口筒9を順次連ねてなる弁ハウジング2と,その外周に配設されるコイル30と,それを収容すると共に,前端部を磁性円筒体4の外周に溶接するコイルハウジング31と,磁性円筒体4の内周面4aに摺動自在に嵌合されて固定コア5の吸引面5aに対置される可動コア12を有する弁組立体Vとを備える燃料噴射弁において,磁性円筒体4及び非磁性円筒体6を,その両者間の境界面Bがコイル30の前端面より前方に出るように配置すると共に,前記コイルハウジング31の前端部31cの半径方向内方位置で前記磁性円筒体4の内周面に摺動自在に支承されるジャーナル部12aを前記可動コア12に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,主として内燃機関の燃料供給系に使用される電磁式燃料噴射弁に関し,特に,燃料噴射弁の前端から後端に向けて,弁孔を有する弁座部材,磁性円筒体,非磁性円筒体,固定コア及び燃料入口筒を順次連ねてなり内部を燃料流路とする弁ハウジングと,この弁ハウジングの外周に配設されるコイルと,このコイルを収容すると共に,前端部を溶接により前記磁性円筒体の外周に固着して前記磁性円筒体及び固定コア間を磁気的に接続するコイルハウジングと,前記磁性円筒体の内周面に摺動自在に嵌合されて前記固定コアの前端の吸引面に対置される可動コアを有し,前記固定コアの消磁及び励磁に伴ない前記弁孔を開閉する弁組立体とを備え,前記固定コア,可動コア,磁性円筒体及びコイルハウジングにより,前記コイルの通電時,前記固定コアを励磁するための磁路を形成する電磁式燃料噴射弁及びその製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる電磁式燃料噴射弁は,下記特許文献1に開示されるように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−83808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にかゝる電磁式燃料噴射弁の磁性円筒体の内周面は,弁組立体の可動コアを摺動自在に支承しており,従来の電磁式燃料噴射弁では,コイルハウジングの前端部の磁性円筒体の外周面への溶接時,その溶接熱により磁性円筒体の内周面に歪みが発生することを極力避けるために,非磁性円筒体及び磁性円筒体相互の接続端面をコイルの前端面より後方に配置して,磁性円筒体内周面における可動コアの摺動部をコイルハウジングの前端部の溶接部から後方に遠ざけるようにしていた。
【0005】
しかしながら,こうした従来のものでは,コイルハウジングの前端部から可動コアを経て固定コアに至る区間の磁路長さが長くなり,これが磁路抵抗を増すので,弁組立体の応答性が低下することが判明した。
【0006】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,可動コアからコイルハウジングの前端部に至る磁路の長さが短くなって磁路抵抗が減少し,弁組立体の応答性が良好な電磁式燃料噴射弁及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために,本発明は,電磁式燃料噴射弁の前端から後端に向けて,弁孔を有する弁座部材,磁性円筒体,非磁性円筒体,固定コア及び燃料入口筒を順次連ねてなり内部を燃料流路とする弁ハウジングと,この弁ハウジングの外周に配設されるコイルと,このコイルを収容すると共に,前端部を溶接により前記磁性円筒体の外周に固着して前記磁性円筒体及び固定コア間を磁気的に接続するコイルハウジングと,前記磁性円筒体の内周面に摺動自在に嵌合されて前記固定コアの前端の吸引面に対置される可動コアを有し,前記固定コアの消磁及び励磁に伴ない前記弁孔を開閉する弁組立体とを備え,前記固定コア,可動コア,磁性円筒体及びコイルハウジングにより,前記コイルの通電時,前記固定コアを励磁するための磁路を形成する電磁式燃料噴射弁において,前記磁性円筒体及び非磁性円筒体を,その両者間の境界面が前記コイルより前方に出るように配置すると共に,前記コイルハウジングの前端部の半径方向内方位置で前記磁性円筒体の内周面に摺動自在に支承されるジャーナル部を前記可動コアに形成したことを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記固定コアを,その前端の吸引面が前記コイルより前方に出るように配置したことを第2の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴の電磁式燃料噴射弁を製造するに当たり,前記コイルハウジングの前端部を前記磁性円筒体の外周面に溶接により固着した後,前記磁性円筒体の内周面及び前記固定コアの吸引面を切削加工により仕上げることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば,磁性円筒体及び非磁性円筒体間の境界面がコイルより前方に配置されること,並びにコイルハウジングの前端部の半径方向内方位置で前記磁性円筒体の内周面に摺動自在に支承されるジャーナル部が前記可動コアに形成されることにより,コイルハウジングの前端から可動コアのジャーナル部を経て固定コアに至る区間の磁路長さが従来のものより短縮し,これに伴ない上記区間の磁路抵抗が減少し,その結果,コイルの通電時,両コア間に素早く磁束が走り,吸引力の立ち上がり角度が急峻になることで,弁組立体Vの応答性,特に開弁応答性の向上を図ることができる。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば,固定コアの前端の吸引面がコイルの前端面より前方に配置されることになるから,コイルハウジングの前端から可動コアを経て固定コアに至る区間の磁路長さが更に短縮し,磁路抵抗が更に減少して弁組立体の開弁応答性を向上させるのみならず,コイルの通電遮断時,可動コアの残留磁気の消失が早くなり,弁組立体の閉弁応答性をも向上させることができる。その上,固定コアの前端の吸引面が,コイルの前端面より前方に来た分,弁組立体の軸方向長さが減少し,その軽量化が図られるので,弁組立体の作動騒音を低減することができる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば,コイルハウジングの前端部を前記磁性円筒体の外周面に溶接により固着した後,磁性円筒体の内周面及び前記固定コアの吸引面を切削加工により仕上げるようにしたので,前記第1又は第2の特徴の構成により,コイルハウジングの前端部と磁性円筒体との溶接による固着個所が磁性円筒体内周面や固定コアの吸引面に近づくことで,磁性円筒体内周面及び固定コアの吸引面に溶接熱により歪みが発生しても,その歪みを上記切削加工により取り去ることができ,したがって弁組立体の正確な作動を確保し,高性能な電磁式燃料噴射弁を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電磁式燃料噴射弁の縦断面図。
【図2】図1の2部拡大図。
【図3】電磁式燃料噴射弁の製造工程中の切削工程説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0015】
図1において,エンジン用の電磁式燃料噴射弁(以下,単に燃料噴射弁という。)Iの弁ハウジング2は,円筒状の弁座部材3と,この弁座部材3の後端部に嵌合して液密に溶接される磁性円筒体4と,この磁性円筒体4の後端に突き当てゝ液密に溶接される非磁性円筒体6と,この非磁性円筒体6の内周面に前端部を嵌合して液密に溶接される円筒状の固定コア5と,この固定コア5の後端に同一素材をもって一体に連設される燃料入口筒9とで構成される。
【0016】
図2に示すように,弁座部材3には,その前端面に開口する弁孔7と,この弁孔7の内端に連なる円錐状の弁座8と,この弁座8の大径部に連なる円筒状の弁体ガイド15と,この弁体ガイド15の後端にテーパ孔16を介して接続される,弁体ガイド15より大径で円筒状の大径孔17とが設けられる。
【0017】
弁座部材3の前端面には,上記弁孔7と連通する複数の燃料噴孔11を有する鋼板製のインジェクタプレート10が液密に溶接される。
【0018】
非磁性円筒体6の前端部には,固定コア5と嵌合しない部分が残され,その部分から弁座部材3に至る弁ハウジング2内に弁組立体Vが収容される。
【0019】
弁組立体Vは,固定コア5の前端の吸引面5aに対置される可動コア12と,この可動コア12の前端に一体に突設される弁杆13と,この弁杆13に溶接され,前記弁座8と協働して弁孔7を開閉するよう前記ガイド15に摺動自在に支承される基本形が球状の弁体14とで構成される,その可動コア12の外周面には,磁性円筒体4の内周面4aに摺動自在に支承される環状のジャーナル部12aが形成される。したがって,弁組立体Vは,弁体14及びジャーナル部12aの互いに大きく離れた2点で弁ハウジング2に摺動自在に支承され,弁組立体Vの開閉姿勢を安定させるようになっている。球状の弁体14の周囲には,燃料の通過を許容する複数の平坦な流路部18,18…が等間隔をおいて形成される。
【0020】
固定コア5には,燃料入口筒9の中空部に連なる第1縦孔19が設けられる。また弁組立体Vには,可動コア12の後端面から始まり弁軸13の中間部で終わる第2縦孔20と,この第2縦孔20を弁座部材3の前記大径孔17に開放する横孔21とが設けられる。
【0021】
図1及び図2に示すように,第2縦孔20の途中には,固定コア5側を向いた環状のばね座24が形成される。固定コア5の第1縦孔19にはすり割り付きパイプ状のリテーナ23が圧入され,このリテーナ23と前記ばね座24との間に可動コア12を弁体14の閉弁側に付勢する弁ばね22が縮設される。その際,リテーナ23の第1縦孔19への嵌合深さにより弁ばね22のセット荷重が調整される。
【0022】
可動コア12には,その後端面より僅かに突出して固定コア5の吸引面5aに対向する非磁性材製でリング状のストッパ部材27が埋設される。このストッパ部材27は,固定及び可動コア5,12相互の吸引時,ストッパ部材27が固定コア5の吸引面5aに当接することで,固定コア5及び可動コア12の対向端面間に所定のギャップを残存させるものである。
【0023】
弁ハウジング2の外周には,固定コア5及び可動コア12に対応してコイル組立体28が嵌装される。このコイル組立体28は,磁性円筒体4の後端部から固定コア5にかけてそれらの外周面に嵌合するボビン29と,これに巻装されるコイル30とからなっており,そのボビン29の後端部には,その一側方に突出するカプラ端子33の基端部が保持され,このカプラ端子33にコイル30の端末が接続される。このコイル組立体28には,コイル30を埋封するよう,その外周を覆う合成樹脂製の1次被覆層34がモールド成形される。その際,前記カプラ端子33を収容,保持してコイル組立体28の一側方に突出するカプラ35が1次被覆層34と一体成形される。
【0024】
上記コイル組立体28を収容保持する磁性体のコイルハウジング31が弁ハウジング2に取り付けられる。このコイルハウジング31は,コイル組立体28を囲繞する胴部31aと,この胴部31aの両端から半径方向内方に屈曲してコイル組立体28の前後両端面を支持する前後一対の端壁31b,31b′と,これら両端壁31b,31b′から軸方向外方に突出して磁性円筒体4及び固定コア5の各外周面に嵌合する前後一対の連結筒部31c,31c′とよりなっており,これら連結筒部31c,31c′の各先端部は,外周が削られて薄肉部31dとなっている。これら薄肉部31dが磁性円筒体4及び固定コア5の各外周面にレーザによる溶接32により固着される。薄肉部31dでのレーザによる溶接には,必要な入熱が比較的少なて済み,磁性円筒体4及び固定コア5の熱歪みを小さく抑えることができる。
【0025】
上記溶接32による薄肉部31dの固着後,図3に示すように,前記固定コア5を摺動自在に支承する磁性円筒体4の内周面4aと,弁体14の開弁時,可動コア12のストッパ部材27が当接する固定コア5の吸引面5aと,可動コア12の後端縁を受容する非磁性円筒体6の環状逃げ溝38とが切削加工により精密に仕上げられるが,上記のように磁性円筒体4及び固定コア5の熱歪みが小さいので,切削加工代を小さくすることができる。
【0026】
而して,コイルハウジング31,磁性円筒体4,可動コア12及び固定コア5により,コイル30の通電時,固定コア5を励磁するための磁路39が形成される。その際,磁性円筒体4及び非磁性円筒体6は,その両者4,6間の境界面Bがコイル30より前方に距離S1,出るように配置され,また固定コア5は,その前端の吸引面5aがコイル30より前方に距離S2,出るように配置される。それに加えて,磁性円筒体4の内周面に摺動自在に支承される可動コア12外周のジャーナル部12aは,コイルハウジング31の前端部,即ち連結筒部31cの半径方向内方位置に配置される。
【0027】
再び図1において,磁性円筒体4の後半部から固定コア5の後端部に亙りそれらの外周面には,コイル組立体28,コイルハウジング31及びカプラ35の根元を埋封する合成樹脂製の2次被覆層36がモールド成形により形成される。
【0028】
また燃料入口筒9の後端部の外周には,Oリング等のシール部材40を装着する環状のシール溝41が形成される。このシール溝41の前端壁は,燃料入口筒9の前部外周面に圧入される合成樹脂製のカラー42の後端のフランジ42aで構成され,またその後端壁は,燃料入口筒9の入口に圧入される燃料フィルタ43の取り付けフランジ43aで構成される。したがって,シール部材40の装着に際しては,カラー42を燃料入口筒9の前部外周面に圧入してから,シール部材40を燃料入口筒9の後部外周面に嵌装し,その後,燃料フィルタ43の取り付けフランジ43aを燃料入口筒9の入口に圧入する。こうすることで,シール部材40に無理な拡径を強制することなく,それをシール溝41に装着することができる。また磁性円筒体4の外周には,2次被覆層36の前端面に密接するシール部材44が装着される。
【0029】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0030】
図示しない燃料ポンプから燃料入口筒9に圧送される高圧燃料は燃料フィルタ43で濾過された後,弁ハウジング2の内部,即ち燃料入口筒9の中空部,固定コア5の第1縦孔19,弁組立体Vの第2縦孔20及び横孔21,並びに弁座部材3の大径孔17,テーパ孔16及び弁体ガイド孔15等を満たす。そしてコイル30を消磁した状態では,弁ばね22の付勢力で弁組立体Vは前方に押圧され,弁体14を弁座8に着座させている。
【0031】
コイル30を通電により励磁すると,それにより生ずる磁束が前記磁路39,即ちコイルハウジング31,磁性円筒体4,可動コア12及び固定コア5を順次走り,両コア5,12間に発生する磁力による吸引力により可動コア12が弁ばね22のセット荷重に抗して固定コア5に吸引され,弁体14が弁座8から離座するので,弁孔7が開放され,弁座部材3内の高圧燃料が弁孔7を出て,インジェクタプレート10の燃料噴孔11から,この燃料噴射弁Iを装着した図示しないスロットルボディ又はエンジンの吸気路に噴射される。
【0032】
ところで,前述のように,磁性円筒体4及び非磁性円筒体6は,その両者4,6間の境界面Bがコイル30より前方に出るように配置され,これに加えて,磁性円筒体4の内周面に摺動自在に支承される可動コア12外周のジャーナル部12aが,コイルハウジング31の前端部の連結筒部31cの半径方向内方位置に配置されるので,コイルハウジング31の前端から可動コア12のジャーナル部12aを経て固定コア5に至る区間の磁路長さが従来のものより短縮し,これに伴ない上記区間の磁路抵抗が減少する。その結果,コイル30の通電時,両コア5,12間に素早く磁束が走り,吸引力の立ち上がり角度が急峻になることで,弁組立体Vの応答性,特に開弁応答性の向上を図ることができる。
【0033】
また前述のように,固定コア5は,その前端の吸引面5aが,コイル30より前方に配置されるので,コイルハウジング31の前端から可動コア12を経て固定コア5に至る区間の磁路長さが更に短縮し,磁路抵抗が更に減少して弁組立体Vの開弁応答性を向上させるのみならず,コイル30の通電遮断時,可動コア12の残留磁気の消失が早くなり,弁組立体Vの閉弁応答性をも向上させることができる。その上,固定コア5の前端の吸引面5aがコイル30より前方に出た分,弁組立体Vの軸方向長さが従来のものより減少し,その軽量化が図られるので,弁体14が弁座8に着座したり,可動コア12のストッパ部材27が固定コア5の吸引面5aに当接することに起因して発生する作動騒音が従来のものより低減する。
【0034】
また燃料噴射弁Iの製造に当たっては,コイルハウジング31の前端部を前記磁性円筒体4の外周面に溶接32により固着した後,磁性円筒体4の内周面4a及び前記固定コア5の吸引面5aを切削加工により仕上げるようにしたので,上記構成により,コイルハウジング31の前端部と磁性円筒体4との溶接32による固着個所が磁性円筒体4の内周面4aや固定コア5の吸引面5aに近づくことで,磁性円筒体4の内周面4a及び固定コア5の吸引面5aに溶接熱により歪みが発生しても,その歪みを上記切削加工により取り去ることができる。その切削加工後,磁性円筒体4内に弁組立体Vを挿入し,弁座部材3を磁性円筒体4の前端部に嵌合して溶接する。かくして,弁組立体Vの正確な作動を確保し,高性能な燃料噴射弁Iを得ることができる。
【0035】
以上,本発明の実施形態について説明したが,本発明はそれに限定されることなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
B・・・・・磁性円筒体及び非磁性円筒体間の境界面
I・・・・・電磁式燃料噴射弁
V・・・・・弁組立体
2・・・・・弁ハウジング
3・・・・・弁座部材
4・・・・・磁性円筒体
4a・・・・磁性円筒体の内周面
5・・・・・固定コア
5a・・・・固定コアの吸引面
6・・・・・非磁性円筒体
7・・・・・弁孔
12・・・・可動コア
12a・・・ジャーナル部
30・・・・コイル
31・・・・コイルハウジング
31c・・・コイルハウジングの前端部(連結筒部)
32・・・・溶接
39・・・・磁路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁式燃料噴射弁(I)の前端から後端に向けて,弁孔(7)を有する弁座部材(3),磁性円筒体(4),非磁性円筒体(6),固定コア(5)及び燃料入口筒(9)を順次連ねてなり内部を燃料流路とする弁ハウジング(2)と,この弁ハウジング(2)の外周に配設されるコイル(30)と,このコイル(30)を収容すると共に,前端部(31c)を溶接(32)により前記磁性円筒体(4)の外周に固着して前記磁性円筒体(4)及び固定コア(5)間を磁気的に接続するコイルハウジング(31)と,前記磁性円筒体(4)の内周面(4a)に摺動自在に嵌合されて前記固定コア(5)の前端の吸引面(5a)に対置される可動コア(12)を有し,前記固定コア(5)の消磁及び励磁に伴ない前記弁孔(7)を開閉する弁組立体(V)とを備え,前記固定コア(5),可動コア(12),磁性円筒体(4)及びコイルハウジング(31)により,前記コイル(30)の通電時,前記固定コア(5)を励磁するための磁路(39)を形成する電磁式燃料噴射弁において,
前記磁性円筒体(4)及び非磁性円筒体(6)を,その両者間の境界面(B)が前記コイル(30)の前端面より前方に出るように配置すると共に,前記コイルハウジング(31)の前端部(31c)の半径方向内方位置で前記磁性円筒体(4)の内周面に摺動自在に支承されるジャーナル部(12a)を前記可動コア(12)に形成したことを特徴とする電磁式燃料噴射弁。
【請求項2】
請求項1記載の電磁式燃料噴射弁において,
前記固定コア(5)を,その前端の吸引面(5a)が前記コイル(30)より前方に出るように配置したことを特徴とする電磁式燃料噴射弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電磁式燃料噴射弁を製造するに当たり,
前記コイルハウジング(31)の前端部を前記磁性円筒体(4)の外周面に溶接(32)により固着した後,前記磁性円筒体(4)の内周面(4a)及び前記固定コア(5)の吸引面(5a)を切削加工により仕上げることを特徴とする電磁式燃料噴射弁の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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