電磁放射線を検出する装置および方法
特にGHzおよびTHz範囲の電磁放射線用の高速および小型検出システムは、単一または複数の欠陥部が組み込まれた2D電荷担体層または準2D電荷担体層、ならびに電荷担体層への少なくとも第1および第2の接続子を有する半導体構造と、第1および第2の接続子間の光起電力を測定するデバイスとを含む。様々な実施形態におけるシステム動作は、半導体構造内のプラズマ波の共振励起に依存する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]最近、様々な科学技術の分野において、ギガ〜テラヘルツ(THz)周波数範囲にある電磁波の範囲に、関心が増してきている。1つには、そのような関心は、より高周波のコンピュータ通信チャネルおよびシステムに対する押し寄せる需要によって生じる。それに加えて、生物学的および化学的物質有害分子が、THz範囲に共振吸収線を有し、それによって、たとえば、様々な人体組織の断層撮影が可能になる。さらに、ある(化学)兵器および爆薬の検出を遂行することができる。他の適用可能性には、材料内の構造および他の欠陥の検出、食品検査、ならびに天体の研究を含むことができる。
【発明の概要】
【0002】
[0002]以下は、本発明の例示的な実施形態の概要説明である。この概要説明は、当業者が後に続く詳細な設計の説明をより迅速に理解するのを助けるために序文として提供され、本発明を具体的に指摘するために本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲を限定することを決して目的とするものではない。
【0003】
[0003]この後に開示される実施形態は、欠陥部が組み込まれた、2次元(2D)電荷担体(電子または正孔)層を含む半導体システム内のプラズモンの共振励起に基づく、新規の高速、携帯用、小型電磁放射線検出器を提供する。検出器の動作周波数は、ミリメートル/サブミリメートル範囲(1GHzから10THzの間の周波数に相当する)にある。デバイスは、少なくとも1つの2次元電荷層(電子または正孔)をそれぞれが含み、少なくとも1つの意図的に組み込まれた欠陥部、および前記層または複数の層への少なくとも2つの電位接続子を有する、1つまたは複数の半導体構造を含むことができる。「欠陥部」は、2次元電荷層内に導入される、あらゆる不均質部を含むことができる。たとえば、そのような欠陥部は、以下の形態、エッチング領域、制限部または拡張部、金属被覆、不純物添加部、誘電体環境欠陥部、構造欠陥部などに認めることができる。強異方性を有する材料中で、電荷担体は、3次元内で運動することができるが、主に2次元内で運動し、したがって、「準」2次元電荷担体層を含む。
【0004】
[0004]任意選択的に、デバイスは、電荷担体層に垂直に磁場を印加する装置、および/または電荷担体層中の電子密度を同調させる手段を含むことができる。デバイスが受ける放射線は、放射線によって誘導された電圧/電流を測定することによって検出することができる。検出器が小型サイズ(通常は数マイクロメートル程度)で可動要素がないので、マトリックスカメラを、開示された基本検出器に基づいて容易に作ることができる。
【0005】
[0005]測定デバイスまたは検出器の出力信号は、電磁放射線の存在および入射電磁放射線の強度の少なくとも1つに関する情報を提供する。検出システムの実施形態は、電磁放射線の存在および入射電磁放射線の強度の少なくとも1つの空間分布に関する情報を与える検出器の行列を含むことができる。
【0006】
[0006]この後に開示される、電磁放射線を検出する例示的な方法は、放射線をデバイス上に導き、それによって電磁放射線の存在下でプラズモンの励起を起こすステップと、励起に関する光起電力または光電流を測定することによって前記プラズモンの励起を検出するステップと、電磁放射線に関する情報を得るために前記測定の結果を形成/評価するステップとを含む。
【0007】
[0007]この後に開示される原理による、例示的な実施形態の動作は、以下の特徴をさらに含むことができる。
1.入射電磁放射線は、電位プローブ、および/または2次元電荷層、および/または結晶の上部で消滅するアンテナ構造に結合し、それによって、それらの上に交流電位を誘導する。
2.交流電位は、プラズマ波を発生させ、プラズマ波は、2次元電荷層によって形成される空洞内を伝播する。
3.プラズマ波は、欠陥部によって部分的に反射され、少なくとも1つの電位プローブおよび少なくとも1つの欠陥部によって形成される空洞内、ならびに/または、少なくとも2つの欠陥部によって形成される空洞内で共振する。このことが、デバイス中に複雑な振動電場を発生させる。この電場の振幅は、空洞サイズとプラズモンの波長との比によって定められ、プラズモンの波長は、今度は、放射線周波数、印加される磁場、およびデバイス中の担体密度の関数である。
4.デバイス中の振動電場は、デバイスの非線形挙動によって整流され、電位接続子の異なる対の間にdc電圧をもたらす。非線形挙動は、接続子と電荷層との間の遷移の非線形ボルト−アンペア特性、および/または少なくとも1つの欠陥部の存在によって、起こすことができる。測定される信号の振幅は、放射線の強度に関する情報を含む。
【0008】
[0008]ここで述べた例示的な検出器動作は、端部に2つの接続子を有するストライプの形状で形成され、欠陥部または一連の欠陥部がストライプを横切って導入された、GaAs/AlGaAs量子井戸デバイスにおいて実証された。光起電力効果が、200Kまでの温度において容易に検出できる信号を発生させた。周囲温度まで、およびそれを上回る、より高い温度で動作する実施形態は、本明細書に述べる原理によって構成することができると考えられる。例示的な実施形態の良好な検出器動作は、1GHzから600GHzまでの周波数範囲において実証された。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0009]例示的な実施形態による検出器の側面概略図である。
【図2】[0010]図1の検出器の上面概略図である。
【図3】[0011]別の実施形態の側面概略図である。
【図4】[0012]図3の実施形態の上面概略図である。
【図5】[0013]別の実施形態の側面概略図である。
【図6】[0014]図5の実施形態の上面概略図である。
【図7】[0015]別の実施形態の側面概略図である。
【図8】[0016]図7の実施形態の上面概略図である。
【図9】[0017]ヘテロ接合として形成される電荷層を含む、別の実施形態の上面概略図である。
【図10】[0018]図9の実施形態の側面概略図である。
【図11】[0019]図9および10による、デバイスの一実施形態を示すエネルギーバンド図である。
【図12】[0020]制限欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図13】[0021]図12のデバイスの上面概略図である。
【図14】[0022]エッチング領域欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図15】[0023]図14の実施形態の上面概略図である。
【図16】[0024]階段状欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図17】[0025]図16の実施形態の上面概略図である。
【図18】[0026]2つのゲート欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図19】[0027]図18の実施形態の上面概略図である。
【図20】[0028]6つのゲート欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図21】[0029]図20の実施形態の上面概略図である。
【図22】[0030]互い違いの欠陥部を使用する、別の実施形態の側面概略図である。
【図23】[0031]図22の実施形態の上面概略図である。
【図24】[0032]図10のデバイスの例示的な実施形態における、光起電力対電子密度のグラフである。
【図25】[0033]図10のデバイスの例示的な実施形態における、混合測定値(規格化応答対ギガヘルツ周波数)を示すグラフである。
【図26】[0034]検出器電圧対磁場強度のグラフである。
【図27】[0035]検出器電圧対磁場強度のグラフである。
【図28】[0036]検出器信号振幅対度ケルビン(K)の温度のグラフである。
【図29】[0037]図12および13のデバイスの例示的な実施形態における、検出器電圧対首部幅のグラフである。
【図30】[0038]図14および15のデバイスの例示的な実施形態における、検出器電圧対磁場のグラフである。
【図31】[0039]図18および19のデバイスの例示的な実施形態における、検出器電圧対磁場のグラフである。
【図32】[0040]光起電力対磁場のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0041]低次元電子系におけるプラズマ励起(プラズモン)などの素励起挙動への関心が増してきている。そのような関心の原動力は、ミリメートルおよびサブミリメートル放射線検出の分野における科学的な関心、ならびに多くの適用可能性の両方から生じる。プラズモンは、不純物が除去された背景に対する電荷密度の振動に関する固体の素励起である。2次元電子系におけるプラズモンは、1976年に最初に液体ヘリウムにおいて、後に、シリコン反転層(1977年)およびGaAsヘテロ構造(1979年)において観測および報告された。長波長限界(kF≫q≫w/c)における2Dプラズモンのスペクトルは、早くも1967年にSternによって以下のように計算された。
【0011】
【数1】
【0012】
[0042]ここで、qは、プラズモンの波数ベクトルであるが、nsおよびm*は、2次元電子の密度および有効質量である。真空の誘電率および周囲媒質の実効誘電率は、それぞれ、ε0およびε(q)と示される。2Dプラズモンスペクトルは、2つの特徴を有する。つまり、(i)ずれがなく、すなわち、qがゼロに近づくとき、2Dプラズモン周波数は、ゼロに近づき、(ii)プラズモン周波数は、等式(1)中の実効誘電率ε(q)を介し、2D電子系のごく近傍の物質の形状および誘電特性によって摂動する。たとえば、シリコンMOS(金属酸化膜半導体)の実際の場合に、2Dプラズモンスペクトルは、
【0013】
【数2】
【0014】
を示す。ここで、εOXおよびεSiは、酸化物層およびシリコン層の実効誘電率であり、dは、酸化物層の厚さである。実験的に示される場合のほとんどで、GaAs/AlGaAsヘテロ接合および量子井戸において、ε=12.6のときのε(q)=(ε+1)/2が、GaAsの誘電率である。
外部垂直磁場を導入するとき、等式(1)は、2次元電子系におけるプラズモン励起をもはや表さず、プラズモンスペクトルへの変換が必ず起こる。磁場は、プラズマ波を誘起し、プラズマ波は、電子系の端面に閉じ込められ、端面に沿って磁場の向きによって定められる方向に伝播する。これらの端面磁気プラズモンの分散は、1988年にVolkovおよびMikhailovにより、試料にわたる均一の導電率テンソルおよび試料端面における導電率の急降下の仮定のもとで計算された。
【0015】
【数3】
【0016】
ホール伝導率は、σ∞yαns/Bと示される。端面磁気プラズモンは、印加される磁場Bが条件ωcτ>1を満足するとき、観測できる。ここで、ωcは、サイクロトロン周波数である。
【0017】
[0043]電磁放射線の同調式検出器の実施形態に関して、特別なデバイス形状が形成される。この形状は、プラズモン伝播を一定の空間−プラズモン空洞に制限する。幾何学的共振器長がLに達するとき、干渉によって、波数q=mπ/L(m=1,2,3...)のプラズマ波のみが、励起される。プラズモン周波数は、これまで検討された分散法則から容易に導き出すことができる。
【0018】
[0044]入射ギガ〜テラヘルツ放射線によって誘導される光起電力効果が、いくつかのデバイスの実施形態において観測されてきた。具体的に、例示的な実施形態は、プラズマ波が入射放射線によって励起される、2次元電子系および/または正孔系を使用する。簡単のために、電子系が以下に使用されるが、これらの結果は、正孔系にも当てはまることを理解されたい。デバイス群は、図1〜22に概略的に示される。
【0019】
[0045]図1および2は、例示的な実施形態による、例示的なデバイス11を示す。2次元(2D)電子気体13は、基板15と障壁層17との間の界面上に形成される。電子は、ゲート23の電位から生じる電場によって界面に引き寄せられる。対応するエネルギーバンド概略図29が、図1の右に示され、Efは、フェルミ準位を示し、EcおよびEvは、それぞれ、伝導バンドの境界および価電子バンドの境界を示す。図1および2のデバイス11において、2次元電子気体13は、バンド結合(電子エネルギー準位の結合)によって一方の側に、伝導バンドの不連続性によって他方の側に形成される、三角形の電位井戸内に閉じ込められる。
【0020】
[0046]デバイス11の電子系は、ゲートスリット27によって形成される欠陥部を含む。スリット27の幅は、デバイスチャネルを維持するために酸化物厚さ程度であるべきである。デバイス11は、それぞれの接続子19、21の各端部で終結する。欠陥部27および接続子19、21は、電子系の領域を長さL1およびL2に制限する。入射放射線のもとで、これらの領域は、ゲート電位および/または磁場によって同調するプラズモン空洞共振器として作用する。
【0021】
[0047]追加の実施形態が、図3〜22に示される。これらの実施形態の全ては、組み込まれた欠陥部の数およびタイプにおいて異なる。たとえば、図3のデバイス31は、階段状欠陥部32を含むが、図5のデバイス33は、34に2つの階段状欠陥部を含み、長さL1、L2、およびL3の3つのプラズモン空洞を画定する。最後に、図7のデバイス35は、2つのスリット形状の欠陥部36、37を含む。
【0022】
[0048]図9〜11は、デバイス41がヘテロ接合として形成される電荷層43を含む、別の実施形態を示す。デバイス41は、基板47、2次元電荷層43、および2つの端部接続子49、51を含む。さらに、デバイス41は、単一の金属ゲート欠陥部53を含む。
【0023】
[0049]一例として、デバイス41内のAlGaAs/GaAsヘテロ接合の場合のエネルギーバンド図45が、図11に示される。2次元電子気体は、異なるバンドギャップを有する材料間の境界に形成される電位井戸内で発生する。図11に示されるように、例示的なデバイス構造は、GaAsの最初の10ナノメートル(nm)領域と、デルタドーピング部を含むAl0036Ga0.36Asの50nm領域と、量子井戸としてのGaAsの18nm領域と、AlAs、Al0.36Ga0.64As、およびGaAsの「超格子」領域と、GaAs基板の後続領域とを含む。
【0024】
[0050]入射ギガ〜テラヘルツ放射線によって誘導される光起電力効果が、いくつかのデバイスの実施形態において実験的に観測されてきた。実験は、図11に示される量子井戸GaAs/AlGaAsヘテロ構造41において行われてきた。さらに、実証された第1のデバイスの実施形態が、図24の差込図内に示される。このデバイスは、単一の金属ゲート欠陥部53を伴ってストライプ形状に成形される2次元電子層43を含む。このデバイス形状は、以下の通り、ストライプ幅W(0.1mmおよび0.05mm)および電位プローブ51とゲート53との間の様々な距離「L」(200μm、100μm、50μm、30μm、10μm)であった。ストライプ43上の様々なゲート位置が調べられたが、これらの場合は、デバイス動作の物理的理解にはあまり寄与していない。デバイス応答は、欠陥部および2つの後続の接続子によって形成される2つの空洞からの信号の組合せであった。試料中の電子密度は、約n=2×1011cm−2であり、低温(4.2K)移動度は、約1×106cm2/Vsであった。試料は、特大の16×8mm導波管内、またはウインドウの背後の光学クライオスタット内に配置された。クライオスタットの場合に、テラヘルツ放射線が、準光学反射体およびレンズによって試料に焦点を合わされた。発生器は、1GHzから1THzまでの周波数範囲を網羅し、出力パワーレベルは、10から0.1mWの範囲であった。
【0025】
[0051]図24は、周波数f=43GHzのマイクロ波照射のもとでのゲート53の下の電子密度n1に対するデバイス信号(mV)の依存性を示す。電子密度n1は、ゼロ磁場中で行われた実験において、電圧をゲート53に印加することによって同調した。デバイス41は、W=0.1mmの幅およびL=0.2mmの距離を有する。等式(1)によると、周波数43GHzにおいて、第1のプラズモンモードが、ゲート53と電位プローブ51との間に形成される空洞共振器内で励起されることに留意されたい。
【0026】
[0052]図24に戻ると、デバイス応答は、ゲート欠陥部53によって形成される境界条件によって大きく影響を受けることがわかる。検出器信号mVは、n1をn1=n=2×1011cm−2から0.2×1011cm−2に変更することによって数千倍上昇する。実験データから、デバイス応答度Rおよびノイズ等価電力NEPの推定は、200Kの動作温度においてもたらされたR=103V/W、NEP=10−13W/Hz0.5を用いて行われてきた。RおよびNEPのこれらの値は、ショットキーダイオード、Golayセル、焦電検出器、およびマイクロボロメータなどの市販のGHz〜THz検出器の値と同程度である。しかし、上述の市販の検出器と比較して、開示されたプラズマ波検出器は、極めて短い応答時間(10psまで)の利点を有する。たとえば、図25は、ゲート欠陥部53を有するデバイス41における測定値を混合した結果を示す。様々な周波数を有する2つのマイクロ波発生器からの放射線が、混合され、デバイス上に導かれた。デバイスの非線形応答のために、出力信号は、2つの発生器の周波数差の高調波を含む。図25は、2つの温度における、周波数差に対するこの高調波の振幅を示す。混合バンド幅は、デバイス応答時間τ=20psに相当する50GHzに達する。
【0027】
[0053]プラズモン空洞の共振周波数には、その電子密度を変更することによって、または/および外部磁場を印加することによって容易に同調させることができる(等式(1)〜等式(3)を参照)。図26は、磁場(T)がデバイス信号(mV)にどのように影響を及ぼすかを示す。もたらされた極大値は、空洞内のq=(π/L)N(ここでN=1,2,...は、整数)を有する様々なプラズモンモードの励起に対応する。図より、空洞サイズは、共振間のBの間隔に大きく影響を及ぼすことが明らかになる。この特徴は、まさにプラズモン空洞の発想を裏付ける。等式(3)によると、外部磁場B中のプラズマ波の分散は、以下の形を有する。
【0028】
【数4】
【0029】
[0054]もたらされた共振は、q=(π/L)N(ここでN=1,2,...は、整数)を有するプラズモンモードの励起に対応する。すなわち、等式(3)と組み合わせると、隣接する共振間の間隔に関する以下の式を得る。
【0030】
【数5】
【0031】
[0055]この公式は、図26におけるΔBとLとの間の関係を表す。良好な検出器動作が、1GHzから0.6THzの周波数範囲において確認された。図27に、磁場依存検出器信号記録線が、様々な周波数に関して示される。第1に、図27より、異なるサイズのプラズモン空洞は、異なる周波数範囲を網羅することが明らかである。第2に、デバイス動作周波数が高くなるほど、必要とされるプラズモン空洞は小さくなる。以下の表は、実験的に得られた、様々なプラズモン空洞サイズLにおける近似最大動作周波数Fを示す。
【0032】
【表1】
【0033】
空洞サイズ
L=400 μm
L=200 μm
L=100 μm
L=50 μm
L=20 μm
動作周波数
<40 GHz
<80 GHz
<140 GHz
<0.25 THz
<0.6 THz
テラヘルツ周波数は、複雑で高コストのサブミクロン技術を必要とすることなく達成可能であるという事実を、この表は示す。
【0034】
[0056]上述した全ての実験は、4.2Kの温度で行われた。様々なサイズの空洞における光起電力効果の温度依存性は、図28に提供される。実験は、n1=1×1011cm−2のときにゼロ磁場で行われた。様々なLに関するプロット線は、T=4.2Kの1点から開始するために拡大された。全体的に、検出器の応答度は、温度上昇と共に下降する。しかし、信号振幅は、各空洞サイズにおける臨界温度Tcまではわずかにしか下降しない。たとえば、L=0.1mmにおいて、臨界温度は、Tc=125Kであるが、信号は、T=200Kにおいても依然として観測可能である。示された信号挙動は、温度と共にプラズモン可干渉長さが減少することに起因する可能性がある。可干渉長さが空洞サイズに達するとき、信号振幅の急降下が起こる。理論的な観点から見れば(たとえば、S.A.Mikhailov,Appl.Phys.Lett.89,042109(2006)を参照)、プラズモン可干渉長さは、電子濃度に線形依存する。したがって、濃度の増大および空洞サイズの減少は、動作温度を環境点まで上昇させる可能性がある。
【0035】
[0057]実験的に試験されたデバイスの実施形態65(図12、13)は、図29に提供される。試験された構造は、制限欠陥部69が組み込まれた、ストライプ形状の電荷層67を有する。実験に使用されたサイズは、以下の通り、L=0.15mm、W=50μmである。放射線周波数は、第1のプラズモン空洞モード条件を満たすように選ばれた。ゼロ磁場における検出器信号(mV)は、制限形状に大きく影響を受ける。図29に示される最も簡単な矩形形状において、検出器信号(mV)は、首部幅W1を減少させることによって十分に増大する。
【0036】
[0058]図30は、デバイスがエッチング領域欠陥部70(図14、15)を含む、別の実施形態の動作を示す。欠陥部領域中の電子密度n1は、n1=n/2=1011cm−2に等しかった。2つの形状は、L=0.2mmおよびL=0.1mmで調べられた。デバイス光起電力は、接続子51(??)と欠陥部70との間のプラズモン空洞による磁場T同調可能共振応答を示す。プラズモン空洞のサイズが2倍になると、共振ピーク間の距離は、2倍減少する。これは、等式(4)によく一致し、プラズモン分散特性を反映する。図16および17は、階段状欠陥部71を含む別の実施形態を示す。
【0037】
[0059]図31は、2つのゲート欠陥部81および83(たとえば、図18、19)が単一のデバイス72上に実装される場合を示す。検討中のデバイス72は、W=50μmの幅を有する。接続子49および欠陥部81によって形成されるプラズモン空洞85の長さL1=150μmは、他方の接続子51および欠陥部83によって形成される第2のプラズモン空洞の長さに等しい。欠陥部81および欠陥部83によって形成される第3のプラズモン空洞の長さは、L1=40μmに等しい。光起電力デバイス応答(図31)は、3つの独立したプラズモン空洞85、86、および87から生じる信号の組合せを示す。図30において述べたデバイスの実施形態は、欠陥部と同調不可能な接続子との境界とは対照的に、2つの容易に同調する欠陥部によって制限される独立したプラズモン空洞からの光応答を測定する機会を提供する。
【0038】
[0060]図31のデバイスの実施形態の同調性は、図32によく示され、そこで検討中のデバイスは、以下の寸法、L1=300μm、L=50μm、およびストライプ幅W=50μmを有する。デバイス中の電子密度は、n=1.4*1011cm−2に等しい。曲線107は、欠陥部81のみが動作中である場合に相当し、すなわち、電圧が接続子49に関するゲートに印加され、欠陥部81領域中の電子密度は、n=1.4*1011cm−2に等しく、欠陥部83領域中の電子密度は、n1=nで変化しない。曲線108においては、反対の状況が認められ、欠陥部83のみが動作中である。欠陥部81および83によって形成されるプラズモン空洞から生じる光起電力デバイス応答は、動作中の欠陥部が交代するときに、極性を変化させる。したがって、デバイス信号対称性は、2重のゲート欠陥部によって容易に制御することができる。曲線109は、両欠陥部が動作する対称的な場合に相当する。系内に導入される非対称性が、デバイス応答を大幅に増大させることは明らかである。図32の差込図は、作動中のゲート欠陥部の下の電子密度に対する磁場B=1テスラで計算された光起電力振動振幅の依存性を示す。上の点線は、動作中欠陥部83に相当し、下の点線は、動作中欠陥部81に相当する。
【0039】
[0061]図20および21は、6つのゲート欠陥部92を使用する、さらに別の実施形態を示すが、図22および23は、互い違いの欠陥部が共通に接続された、互い違いの金属膜101、102、103、104、105、106を使用する別の実施形態を示す。
【0040】
[0062]実験的なデータは、明確化および例示のためだけに述べてきたことを理解されたい。実験的なデータは、網羅的であること、または本発明を開示された例に厳密に限定することを目的としない。本発明の様々な態様を、電磁波検出方法の観点から説明してきたが、開示された成果および発見は、放射線管理の全ての態様に当てはまることを理解されたい。これらの態様は、特定の周波数を有する放射線の発生、混合、および/または周波数多重化を含む。
【0041】
[0063]したがって、本発明の様々な実施形態の以上の説明は、例示または説明のために提供されてきた。したがって、多くの変更および変形が可能であることを理解されたい。そのような変更および変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図されている。
【背景技術】
【0001】
[0001]最近、様々な科学技術の分野において、ギガ〜テラヘルツ(THz)周波数範囲にある電磁波の範囲に、関心が増してきている。1つには、そのような関心は、より高周波のコンピュータ通信チャネルおよびシステムに対する押し寄せる需要によって生じる。それに加えて、生物学的および化学的物質有害分子が、THz範囲に共振吸収線を有し、それによって、たとえば、様々な人体組織の断層撮影が可能になる。さらに、ある(化学)兵器および爆薬の検出を遂行することができる。他の適用可能性には、材料内の構造および他の欠陥の検出、食品検査、ならびに天体の研究を含むことができる。
【発明の概要】
【0002】
[0002]以下は、本発明の例示的な実施形態の概要説明である。この概要説明は、当業者が後に続く詳細な設計の説明をより迅速に理解するのを助けるために序文として提供され、本発明を具体的に指摘するために本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲を限定することを決して目的とするものではない。
【0003】
[0003]この後に開示される実施形態は、欠陥部が組み込まれた、2次元(2D)電荷担体(電子または正孔)層を含む半導体システム内のプラズモンの共振励起に基づく、新規の高速、携帯用、小型電磁放射線検出器を提供する。検出器の動作周波数は、ミリメートル/サブミリメートル範囲(1GHzから10THzの間の周波数に相当する)にある。デバイスは、少なくとも1つの2次元電荷層(電子または正孔)をそれぞれが含み、少なくとも1つの意図的に組み込まれた欠陥部、および前記層または複数の層への少なくとも2つの電位接続子を有する、1つまたは複数の半導体構造を含むことができる。「欠陥部」は、2次元電荷層内に導入される、あらゆる不均質部を含むことができる。たとえば、そのような欠陥部は、以下の形態、エッチング領域、制限部または拡張部、金属被覆、不純物添加部、誘電体環境欠陥部、構造欠陥部などに認めることができる。強異方性を有する材料中で、電荷担体は、3次元内で運動することができるが、主に2次元内で運動し、したがって、「準」2次元電荷担体層を含む。
【0004】
[0004]任意選択的に、デバイスは、電荷担体層に垂直に磁場を印加する装置、および/または電荷担体層中の電子密度を同調させる手段を含むことができる。デバイスが受ける放射線は、放射線によって誘導された電圧/電流を測定することによって検出することができる。検出器が小型サイズ(通常は数マイクロメートル程度)で可動要素がないので、マトリックスカメラを、開示された基本検出器に基づいて容易に作ることができる。
【0005】
[0005]測定デバイスまたは検出器の出力信号は、電磁放射線の存在および入射電磁放射線の強度の少なくとも1つに関する情報を提供する。検出システムの実施形態は、電磁放射線の存在および入射電磁放射線の強度の少なくとも1つの空間分布に関する情報を与える検出器の行列を含むことができる。
【0006】
[0006]この後に開示される、電磁放射線を検出する例示的な方法は、放射線をデバイス上に導き、それによって電磁放射線の存在下でプラズモンの励起を起こすステップと、励起に関する光起電力または光電流を測定することによって前記プラズモンの励起を検出するステップと、電磁放射線に関する情報を得るために前記測定の結果を形成/評価するステップとを含む。
【0007】
[0007]この後に開示される原理による、例示的な実施形態の動作は、以下の特徴をさらに含むことができる。
1.入射電磁放射線は、電位プローブ、および/または2次元電荷層、および/または結晶の上部で消滅するアンテナ構造に結合し、それによって、それらの上に交流電位を誘導する。
2.交流電位は、プラズマ波を発生させ、プラズマ波は、2次元電荷層によって形成される空洞内を伝播する。
3.プラズマ波は、欠陥部によって部分的に反射され、少なくとも1つの電位プローブおよび少なくとも1つの欠陥部によって形成される空洞内、ならびに/または、少なくとも2つの欠陥部によって形成される空洞内で共振する。このことが、デバイス中に複雑な振動電場を発生させる。この電場の振幅は、空洞サイズとプラズモンの波長との比によって定められ、プラズモンの波長は、今度は、放射線周波数、印加される磁場、およびデバイス中の担体密度の関数である。
4.デバイス中の振動電場は、デバイスの非線形挙動によって整流され、電位接続子の異なる対の間にdc電圧をもたらす。非線形挙動は、接続子と電荷層との間の遷移の非線形ボルト−アンペア特性、および/または少なくとも1つの欠陥部の存在によって、起こすことができる。測定される信号の振幅は、放射線の強度に関する情報を含む。
【0008】
[0008]ここで述べた例示的な検出器動作は、端部に2つの接続子を有するストライプの形状で形成され、欠陥部または一連の欠陥部がストライプを横切って導入された、GaAs/AlGaAs量子井戸デバイスにおいて実証された。光起電力効果が、200Kまでの温度において容易に検出できる信号を発生させた。周囲温度まで、およびそれを上回る、より高い温度で動作する実施形態は、本明細書に述べる原理によって構成することができると考えられる。例示的な実施形態の良好な検出器動作は、1GHzから600GHzまでの周波数範囲において実証された。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0009]例示的な実施形態による検出器の側面概略図である。
【図2】[0010]図1の検出器の上面概略図である。
【図3】[0011]別の実施形態の側面概略図である。
【図4】[0012]図3の実施形態の上面概略図である。
【図5】[0013]別の実施形態の側面概略図である。
【図6】[0014]図5の実施形態の上面概略図である。
【図7】[0015]別の実施形態の側面概略図である。
【図8】[0016]図7の実施形態の上面概略図である。
【図9】[0017]ヘテロ接合として形成される電荷層を含む、別の実施形態の上面概略図である。
【図10】[0018]図9の実施形態の側面概略図である。
【図11】[0019]図9および10による、デバイスの一実施形態を示すエネルギーバンド図である。
【図12】[0020]制限欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図13】[0021]図12のデバイスの上面概略図である。
【図14】[0022]エッチング領域欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図15】[0023]図14の実施形態の上面概略図である。
【図16】[0024]階段状欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図17】[0025]図16の実施形態の上面概略図である。
【図18】[0026]2つのゲート欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図19】[0027]図18の実施形態の上面概略図である。
【図20】[0028]6つのゲート欠陥部を含む、別の実施形態の側面概略図である。
【図21】[0029]図20の実施形態の上面概略図である。
【図22】[0030]互い違いの欠陥部を使用する、別の実施形態の側面概略図である。
【図23】[0031]図22の実施形態の上面概略図である。
【図24】[0032]図10のデバイスの例示的な実施形態における、光起電力対電子密度のグラフである。
【図25】[0033]図10のデバイスの例示的な実施形態における、混合測定値(規格化応答対ギガヘルツ周波数)を示すグラフである。
【図26】[0034]検出器電圧対磁場強度のグラフである。
【図27】[0035]検出器電圧対磁場強度のグラフである。
【図28】[0036]検出器信号振幅対度ケルビン(K)の温度のグラフである。
【図29】[0037]図12および13のデバイスの例示的な実施形態における、検出器電圧対首部幅のグラフである。
【図30】[0038]図14および15のデバイスの例示的な実施形態における、検出器電圧対磁場のグラフである。
【図31】[0039]図18および19のデバイスの例示的な実施形態における、検出器電圧対磁場のグラフである。
【図32】[0040]光起電力対磁場のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0041]低次元電子系におけるプラズマ励起(プラズモン)などの素励起挙動への関心が増してきている。そのような関心の原動力は、ミリメートルおよびサブミリメートル放射線検出の分野における科学的な関心、ならびに多くの適用可能性の両方から生じる。プラズモンは、不純物が除去された背景に対する電荷密度の振動に関する固体の素励起である。2次元電子系におけるプラズモンは、1976年に最初に液体ヘリウムにおいて、後に、シリコン反転層(1977年)およびGaAsヘテロ構造(1979年)において観測および報告された。長波長限界(kF≫q≫w/c)における2Dプラズモンのスペクトルは、早くも1967年にSternによって以下のように計算された。
【0011】
【数1】
【0012】
[0042]ここで、qは、プラズモンの波数ベクトルであるが、nsおよびm*は、2次元電子の密度および有効質量である。真空の誘電率および周囲媒質の実効誘電率は、それぞれ、ε0およびε(q)と示される。2Dプラズモンスペクトルは、2つの特徴を有する。つまり、(i)ずれがなく、すなわち、qがゼロに近づくとき、2Dプラズモン周波数は、ゼロに近づき、(ii)プラズモン周波数は、等式(1)中の実効誘電率ε(q)を介し、2D電子系のごく近傍の物質の形状および誘電特性によって摂動する。たとえば、シリコンMOS(金属酸化膜半導体)の実際の場合に、2Dプラズモンスペクトルは、
【0013】
【数2】
【0014】
を示す。ここで、εOXおよびεSiは、酸化物層およびシリコン層の実効誘電率であり、dは、酸化物層の厚さである。実験的に示される場合のほとんどで、GaAs/AlGaAsヘテロ接合および量子井戸において、ε=12.6のときのε(q)=(ε+1)/2が、GaAsの誘電率である。
外部垂直磁場を導入するとき、等式(1)は、2次元電子系におけるプラズモン励起をもはや表さず、プラズモンスペクトルへの変換が必ず起こる。磁場は、プラズマ波を誘起し、プラズマ波は、電子系の端面に閉じ込められ、端面に沿って磁場の向きによって定められる方向に伝播する。これらの端面磁気プラズモンの分散は、1988年にVolkovおよびMikhailovにより、試料にわたる均一の導電率テンソルおよび試料端面における導電率の急降下の仮定のもとで計算された。
【0015】
【数3】
【0016】
ホール伝導率は、σ∞yαns/Bと示される。端面磁気プラズモンは、印加される磁場Bが条件ωcτ>1を満足するとき、観測できる。ここで、ωcは、サイクロトロン周波数である。
【0017】
[0043]電磁放射線の同調式検出器の実施形態に関して、特別なデバイス形状が形成される。この形状は、プラズモン伝播を一定の空間−プラズモン空洞に制限する。幾何学的共振器長がLに達するとき、干渉によって、波数q=mπ/L(m=1,2,3...)のプラズマ波のみが、励起される。プラズモン周波数は、これまで検討された分散法則から容易に導き出すことができる。
【0018】
[0044]入射ギガ〜テラヘルツ放射線によって誘導される光起電力効果が、いくつかのデバイスの実施形態において観測されてきた。具体的に、例示的な実施形態は、プラズマ波が入射放射線によって励起される、2次元電子系および/または正孔系を使用する。簡単のために、電子系が以下に使用されるが、これらの結果は、正孔系にも当てはまることを理解されたい。デバイス群は、図1〜22に概略的に示される。
【0019】
[0045]図1および2は、例示的な実施形態による、例示的なデバイス11を示す。2次元(2D)電子気体13は、基板15と障壁層17との間の界面上に形成される。電子は、ゲート23の電位から生じる電場によって界面に引き寄せられる。対応するエネルギーバンド概略図29が、図1の右に示され、Efは、フェルミ準位を示し、EcおよびEvは、それぞれ、伝導バンドの境界および価電子バンドの境界を示す。図1および2のデバイス11において、2次元電子気体13は、バンド結合(電子エネルギー準位の結合)によって一方の側に、伝導バンドの不連続性によって他方の側に形成される、三角形の電位井戸内に閉じ込められる。
【0020】
[0046]デバイス11の電子系は、ゲートスリット27によって形成される欠陥部を含む。スリット27の幅は、デバイスチャネルを維持するために酸化物厚さ程度であるべきである。デバイス11は、それぞれの接続子19、21の各端部で終結する。欠陥部27および接続子19、21は、電子系の領域を長さL1およびL2に制限する。入射放射線のもとで、これらの領域は、ゲート電位および/または磁場によって同調するプラズモン空洞共振器として作用する。
【0021】
[0047]追加の実施形態が、図3〜22に示される。これらの実施形態の全ては、組み込まれた欠陥部の数およびタイプにおいて異なる。たとえば、図3のデバイス31は、階段状欠陥部32を含むが、図5のデバイス33は、34に2つの階段状欠陥部を含み、長さL1、L2、およびL3の3つのプラズモン空洞を画定する。最後に、図7のデバイス35は、2つのスリット形状の欠陥部36、37を含む。
【0022】
[0048]図9〜11は、デバイス41がヘテロ接合として形成される電荷層43を含む、別の実施形態を示す。デバイス41は、基板47、2次元電荷層43、および2つの端部接続子49、51を含む。さらに、デバイス41は、単一の金属ゲート欠陥部53を含む。
【0023】
[0049]一例として、デバイス41内のAlGaAs/GaAsヘテロ接合の場合のエネルギーバンド図45が、図11に示される。2次元電子気体は、異なるバンドギャップを有する材料間の境界に形成される電位井戸内で発生する。図11に示されるように、例示的なデバイス構造は、GaAsの最初の10ナノメートル(nm)領域と、デルタドーピング部を含むAl0036Ga0.36Asの50nm領域と、量子井戸としてのGaAsの18nm領域と、AlAs、Al0.36Ga0.64As、およびGaAsの「超格子」領域と、GaAs基板の後続領域とを含む。
【0024】
[0050]入射ギガ〜テラヘルツ放射線によって誘導される光起電力効果が、いくつかのデバイスの実施形態において実験的に観測されてきた。実験は、図11に示される量子井戸GaAs/AlGaAsヘテロ構造41において行われてきた。さらに、実証された第1のデバイスの実施形態が、図24の差込図内に示される。このデバイスは、単一の金属ゲート欠陥部53を伴ってストライプ形状に成形される2次元電子層43を含む。このデバイス形状は、以下の通り、ストライプ幅W(0.1mmおよび0.05mm)および電位プローブ51とゲート53との間の様々な距離「L」(200μm、100μm、50μm、30μm、10μm)であった。ストライプ43上の様々なゲート位置が調べられたが、これらの場合は、デバイス動作の物理的理解にはあまり寄与していない。デバイス応答は、欠陥部および2つの後続の接続子によって形成される2つの空洞からの信号の組合せであった。試料中の電子密度は、約n=2×1011cm−2であり、低温(4.2K)移動度は、約1×106cm2/Vsであった。試料は、特大の16×8mm導波管内、またはウインドウの背後の光学クライオスタット内に配置された。クライオスタットの場合に、テラヘルツ放射線が、準光学反射体およびレンズによって試料に焦点を合わされた。発生器は、1GHzから1THzまでの周波数範囲を網羅し、出力パワーレベルは、10から0.1mWの範囲であった。
【0025】
[0051]図24は、周波数f=43GHzのマイクロ波照射のもとでのゲート53の下の電子密度n1に対するデバイス信号(mV)の依存性を示す。電子密度n1は、ゼロ磁場中で行われた実験において、電圧をゲート53に印加することによって同調した。デバイス41は、W=0.1mmの幅およびL=0.2mmの距離を有する。等式(1)によると、周波数43GHzにおいて、第1のプラズモンモードが、ゲート53と電位プローブ51との間に形成される空洞共振器内で励起されることに留意されたい。
【0026】
[0052]図24に戻ると、デバイス応答は、ゲート欠陥部53によって形成される境界条件によって大きく影響を受けることがわかる。検出器信号mVは、n1をn1=n=2×1011cm−2から0.2×1011cm−2に変更することによって数千倍上昇する。実験データから、デバイス応答度Rおよびノイズ等価電力NEPの推定は、200Kの動作温度においてもたらされたR=103V/W、NEP=10−13W/Hz0.5を用いて行われてきた。RおよびNEPのこれらの値は、ショットキーダイオード、Golayセル、焦電検出器、およびマイクロボロメータなどの市販のGHz〜THz検出器の値と同程度である。しかし、上述の市販の検出器と比較して、開示されたプラズマ波検出器は、極めて短い応答時間(10psまで)の利点を有する。たとえば、図25は、ゲート欠陥部53を有するデバイス41における測定値を混合した結果を示す。様々な周波数を有する2つのマイクロ波発生器からの放射線が、混合され、デバイス上に導かれた。デバイスの非線形応答のために、出力信号は、2つの発生器の周波数差の高調波を含む。図25は、2つの温度における、周波数差に対するこの高調波の振幅を示す。混合バンド幅は、デバイス応答時間τ=20psに相当する50GHzに達する。
【0027】
[0053]プラズモン空洞の共振周波数には、その電子密度を変更することによって、または/および外部磁場を印加することによって容易に同調させることができる(等式(1)〜等式(3)を参照)。図26は、磁場(T)がデバイス信号(mV)にどのように影響を及ぼすかを示す。もたらされた極大値は、空洞内のq=(π/L)N(ここでN=1,2,...は、整数)を有する様々なプラズモンモードの励起に対応する。図より、空洞サイズは、共振間のBの間隔に大きく影響を及ぼすことが明らかになる。この特徴は、まさにプラズモン空洞の発想を裏付ける。等式(3)によると、外部磁場B中のプラズマ波の分散は、以下の形を有する。
【0028】
【数4】
【0029】
[0054]もたらされた共振は、q=(π/L)N(ここでN=1,2,...は、整数)を有するプラズモンモードの励起に対応する。すなわち、等式(3)と組み合わせると、隣接する共振間の間隔に関する以下の式を得る。
【0030】
【数5】
【0031】
[0055]この公式は、図26におけるΔBとLとの間の関係を表す。良好な検出器動作が、1GHzから0.6THzの周波数範囲において確認された。図27に、磁場依存検出器信号記録線が、様々な周波数に関して示される。第1に、図27より、異なるサイズのプラズモン空洞は、異なる周波数範囲を網羅することが明らかである。第2に、デバイス動作周波数が高くなるほど、必要とされるプラズモン空洞は小さくなる。以下の表は、実験的に得られた、様々なプラズモン空洞サイズLにおける近似最大動作周波数Fを示す。
【0032】
【表1】
【0033】
空洞サイズ
L=400 μm
L=200 μm
L=100 μm
L=50 μm
L=20 μm
動作周波数
<40 GHz
<80 GHz
<140 GHz
<0.25 THz
<0.6 THz
テラヘルツ周波数は、複雑で高コストのサブミクロン技術を必要とすることなく達成可能であるという事実を、この表は示す。
【0034】
[0056]上述した全ての実験は、4.2Kの温度で行われた。様々なサイズの空洞における光起電力効果の温度依存性は、図28に提供される。実験は、n1=1×1011cm−2のときにゼロ磁場で行われた。様々なLに関するプロット線は、T=4.2Kの1点から開始するために拡大された。全体的に、検出器の応答度は、温度上昇と共に下降する。しかし、信号振幅は、各空洞サイズにおける臨界温度Tcまではわずかにしか下降しない。たとえば、L=0.1mmにおいて、臨界温度は、Tc=125Kであるが、信号は、T=200Kにおいても依然として観測可能である。示された信号挙動は、温度と共にプラズモン可干渉長さが減少することに起因する可能性がある。可干渉長さが空洞サイズに達するとき、信号振幅の急降下が起こる。理論的な観点から見れば(たとえば、S.A.Mikhailov,Appl.Phys.Lett.89,042109(2006)を参照)、プラズモン可干渉長さは、電子濃度に線形依存する。したがって、濃度の増大および空洞サイズの減少は、動作温度を環境点まで上昇させる可能性がある。
【0035】
[0057]実験的に試験されたデバイスの実施形態65(図12、13)は、図29に提供される。試験された構造は、制限欠陥部69が組み込まれた、ストライプ形状の電荷層67を有する。実験に使用されたサイズは、以下の通り、L=0.15mm、W=50μmである。放射線周波数は、第1のプラズモン空洞モード条件を満たすように選ばれた。ゼロ磁場における検出器信号(mV)は、制限形状に大きく影響を受ける。図29に示される最も簡単な矩形形状において、検出器信号(mV)は、首部幅W1を減少させることによって十分に増大する。
【0036】
[0058]図30は、デバイスがエッチング領域欠陥部70(図14、15)を含む、別の実施形態の動作を示す。欠陥部領域中の電子密度n1は、n1=n/2=1011cm−2に等しかった。2つの形状は、L=0.2mmおよびL=0.1mmで調べられた。デバイス光起電力は、接続子51(??)と欠陥部70との間のプラズモン空洞による磁場T同調可能共振応答を示す。プラズモン空洞のサイズが2倍になると、共振ピーク間の距離は、2倍減少する。これは、等式(4)によく一致し、プラズモン分散特性を反映する。図16および17は、階段状欠陥部71を含む別の実施形態を示す。
【0037】
[0059]図31は、2つのゲート欠陥部81および83(たとえば、図18、19)が単一のデバイス72上に実装される場合を示す。検討中のデバイス72は、W=50μmの幅を有する。接続子49および欠陥部81によって形成されるプラズモン空洞85の長さL1=150μmは、他方の接続子51および欠陥部83によって形成される第2のプラズモン空洞の長さに等しい。欠陥部81および欠陥部83によって形成される第3のプラズモン空洞の長さは、L1=40μmに等しい。光起電力デバイス応答(図31)は、3つの独立したプラズモン空洞85、86、および87から生じる信号の組合せを示す。図30において述べたデバイスの実施形態は、欠陥部と同調不可能な接続子との境界とは対照的に、2つの容易に同調する欠陥部によって制限される独立したプラズモン空洞からの光応答を測定する機会を提供する。
【0038】
[0060]図31のデバイスの実施形態の同調性は、図32によく示され、そこで検討中のデバイスは、以下の寸法、L1=300μm、L=50μm、およびストライプ幅W=50μmを有する。デバイス中の電子密度は、n=1.4*1011cm−2に等しい。曲線107は、欠陥部81のみが動作中である場合に相当し、すなわち、電圧が接続子49に関するゲートに印加され、欠陥部81領域中の電子密度は、n=1.4*1011cm−2に等しく、欠陥部83領域中の電子密度は、n1=nで変化しない。曲線108においては、反対の状況が認められ、欠陥部83のみが動作中である。欠陥部81および83によって形成されるプラズモン空洞から生じる光起電力デバイス応答は、動作中の欠陥部が交代するときに、極性を変化させる。したがって、デバイス信号対称性は、2重のゲート欠陥部によって容易に制御することができる。曲線109は、両欠陥部が動作する対称的な場合に相当する。系内に導入される非対称性が、デバイス応答を大幅に増大させることは明らかである。図32の差込図は、作動中のゲート欠陥部の下の電子密度に対する磁場B=1テスラで計算された光起電力振動振幅の依存性を示す。上の点線は、動作中欠陥部83に相当し、下の点線は、動作中欠陥部81に相当する。
【0039】
[0061]図20および21は、6つのゲート欠陥部92を使用する、さらに別の実施形態を示すが、図22および23は、互い違いの欠陥部が共通に接続された、互い違いの金属膜101、102、103、104、105、106を使用する別の実施形態を示す。
【0040】
[0062]実験的なデータは、明確化および例示のためだけに述べてきたことを理解されたい。実験的なデータは、網羅的であること、または本発明を開示された例に厳密に限定することを目的としない。本発明の様々な態様を、電磁波検出方法の観点から説明してきたが、開示された成果および発見は、放射線管理の全ての態様に当てはまることを理解されたい。これらの態様は、特定の周波数を有する放射線の発生、混合、および/または周波数多重化を含む。
【0041】
[0063]したがって、本発明の様々な実施形態の以上の説明は、例示または説明のために提供されてきた。したがって、多くの変更および変形が可能であることを理解されたい。そのような変更および変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷担体が2次元(2D)内を運動する電荷担体層を有する半導体構造と、
前記電荷担体層内に導入される、1つまたは複数の欠陥部と、
互いがある距離だけ離間する、前記電荷担体層への少なくとも第1および第2の接続子とを含む、固体状態検出器装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出器において、
前記第1および第2の接続子間で光起電力または光電流を測定する測定デバイスであって、前記測定デバイスの出力信号は、(a)電磁放射線の存在、および(b)入射電磁放射線の強度の少なくとも1つに関する情報を提供する、測定デバイスをさらに含む、検出器。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部が、担体密度不均質部を含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記密度不均質部は、担体もしくは不純物の添加、または担体もしくは不純物の除去に起因する、装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置において、前記密度不均質部は、ゲート電圧を印加することによって担体を添加または除去することにより形成される、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記ゲート電圧の振幅を変化させる手段を含む、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部は、制限部または拡張部を含む、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部は、担体層中に不均質部を含む、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部は、電荷担体層誘電体環境不均質部を含む、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部は、担体有効質量不均質性につながる構造不均質部を含む、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層の複数の欠陥部は、空間内に周期的に配置される、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層の複数の欠陥部は、空間内に非周期的に配置される、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層への複数の追加の接続子が、前記第1および第2の接続子に加えて提供される、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記装置に印加される磁場の振幅を変化させる手段を含む、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、前記磁場は、前記電荷担体層に垂直な磁場成分を含む、装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層中の電荷密度を変化させる手段を含む、装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層は、電子層である、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層は、正孔層である、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置において、前記半導体構造は、GaAs/AlGaAsヘテロ構造を含み、ここでGaはガリウム、Asはヒ素、Alはアルミニウムである、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、前記半導体構造は、Si MOSFET構造、InAs構造、またはSi/Ge構造の1つを含み、ここでSiはシリコン、Inはインジウム、Asはヒ素、Geはゲルマニウムである、装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層または前記準2D電荷担体層は、単一の量子井戸の形態で実現される、装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層または前記準2D電荷担体層は、2重量子井戸の形態で実現される、装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層または前記準2D電荷担体層は、複数の量子井戸を含む超格子の形態で実現される、装置。
【請求項24】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層または前記準2D電荷担体層は、ヘテロ接合の形態で実現される、装置。
【請求項25】
請求項1に記載の装置において、1つのチップ上に形成される複数の同様の検出器を含む、装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層への前記接続子の1つに接続されるアンテナ構造をさらに含む、装置。
【請求項27】
請求項1に記載の装置において、電磁放射線を前記装置上に導く、レンズ、ホーン、および導波管の少なくとも1つと組み合わせる、装置。
【請求項28】
請求項1に記載の装置において、周囲温度と液体窒素の沸点との間の温度まで前記装置を冷却する手段をさらに含む、装置。
【請求項29】
電磁放射線を検出する方法において、
少なくとも1つの欠陥部を有する2次元(2D)電荷担体層を含むデバイスを提供するステップと、
前記デバイスを電磁放射線に当て、それによって前記電磁放射線の存在下でプラズモンの励起を起こすステップとを含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
光起電力の測定値を参照することにより前記プラズモンの励起を検出し、結果を形成するステップと、
前記電磁放射線に関する情報を得るために前記結果を評価するステップとをさらに含む、方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、前記電磁放射線の周波数を同調させるステップをさらに含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、前記同調ステップは、前記担体層の密度を調節するステップを含む、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法において、前記同調ステップは、印加される磁場を調節するステップを含む、方法。
【請求項34】
請求項1に記載の装置において、1つのチップ上に形成される複数の異なる検出器を含む、装置。
【請求項35】
請求項1に記載の装置において、電荷担体は、強い材料異方性によって、3次元内で運動することができるが、主に2次元(準2D電荷担体層)内で運動する、装置。
【請求項36】
請求項29に記載の方法において、電荷担体は、3次元内で運動することができるが、主に2次元(準2D電荷担体層)内で運動する、方法。
【請求項1】
電荷担体が2次元(2D)内を運動する電荷担体層を有する半導体構造と、
前記電荷担体層内に導入される、1つまたは複数の欠陥部と、
互いがある距離だけ離間する、前記電荷担体層への少なくとも第1および第2の接続子とを含む、固体状態検出器装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出器において、
前記第1および第2の接続子間で光起電力または光電流を測定する測定デバイスであって、前記測定デバイスの出力信号は、(a)電磁放射線の存在、および(b)入射電磁放射線の強度の少なくとも1つに関する情報を提供する、測定デバイスをさらに含む、検出器。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部が、担体密度不均質部を含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記密度不均質部は、担体もしくは不純物の添加、または担体もしくは不純物の除去に起因する、装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置において、前記密度不均質部は、ゲート電圧を印加することによって担体を添加または除去することにより形成される、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記ゲート電圧の振幅を変化させる手段を含む、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部は、制限部または拡張部を含む、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部は、担体層中に不均質部を含む、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部は、電荷担体層誘電体環境不均質部を含む、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの欠陥部は、担体有効質量不均質性につながる構造不均質部を含む、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層の複数の欠陥部は、空間内に周期的に配置される、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層の複数の欠陥部は、空間内に非周期的に配置される、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層への複数の追加の接続子が、前記第1および第2の接続子に加えて提供される、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記装置に印加される磁場の振幅を変化させる手段を含む、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、前記磁場は、前記電荷担体層に垂直な磁場成分を含む、装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層中の電荷密度を変化させる手段を含む、装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層は、電子層である、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層は、正孔層である、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置において、前記半導体構造は、GaAs/AlGaAsヘテロ構造を含み、ここでGaはガリウム、Asはヒ素、Alはアルミニウムである、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、前記半導体構造は、Si MOSFET構造、InAs構造、またはSi/Ge構造の1つを含み、ここでSiはシリコン、Inはインジウム、Asはヒ素、Geはゲルマニウムである、装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層または前記準2D電荷担体層は、単一の量子井戸の形態で実現される、装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層または前記準2D電荷担体層は、2重量子井戸の形態で実現される、装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層または前記準2D電荷担体層は、複数の量子井戸を含む超格子の形態で実現される、装置。
【請求項24】
請求項1に記載の装置において、前記2D電荷担体層または前記準2D電荷担体層は、ヘテロ接合の形態で実現される、装置。
【請求項25】
請求項1に記載の装置において、1つのチップ上に形成される複数の同様の検出器を含む、装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置において、前記電荷担体層への前記接続子の1つに接続されるアンテナ構造をさらに含む、装置。
【請求項27】
請求項1に記載の装置において、電磁放射線を前記装置上に導く、レンズ、ホーン、および導波管の少なくとも1つと組み合わせる、装置。
【請求項28】
請求項1に記載の装置において、周囲温度と液体窒素の沸点との間の温度まで前記装置を冷却する手段をさらに含む、装置。
【請求項29】
電磁放射線を検出する方法において、
少なくとも1つの欠陥部を有する2次元(2D)電荷担体層を含むデバイスを提供するステップと、
前記デバイスを電磁放射線に当て、それによって前記電磁放射線の存在下でプラズモンの励起を起こすステップとを含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
光起電力の測定値を参照することにより前記プラズモンの励起を検出し、結果を形成するステップと、
前記電磁放射線に関する情報を得るために前記結果を評価するステップとをさらに含む、方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、前記電磁放射線の周波数を同調させるステップをさらに含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、前記同調ステップは、前記担体層の密度を調節するステップを含む、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法において、前記同調ステップは、印加される磁場を調節するステップを含む、方法。
【請求項34】
請求項1に記載の装置において、1つのチップ上に形成される複数の異なる検出器を含む、装置。
【請求項35】
請求項1に記載の装置において、電荷担体は、強い材料異方性によって、3次元内で運動することができるが、主に2次元(準2D電荷担体層)内で運動する、装置。
【請求項36】
請求項29に記載の方法において、電荷担体は、3次元内で運動することができるが、主に2次元(準2D電荷担体層)内で運動する、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公表番号】特表2012−505408(P2012−505408A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531121(P2011−531121)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/059731
【国際公開番号】WO2010/042544
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511087198)テラセンス・グループ,インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/059731
【国際公開番号】WO2010/042544
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511087198)テラセンス・グループ,インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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