電磁気クローキング方法
【課題】外部観測者による検知から、物体またはいくらかの空間のボリュームを隠蔽またはクロークする。
【解決手段】隠蔽するボリュームを構築する方法は、隠蔽可能なボリュームの周囲に、複数の隠蔽するボリューム要素を構築することを含んでいる。各隠蔽するボリューム要素は、隠蔽可能なボリュームの周囲に伝播波を導くように定めた物質パラメータを有している。隠蔽可能なボリューム空間を隠蔽するボリューム空間にマッピングする座標変換を識別し、前記隠蔽可能なボリューム空間での空間的に分布した物質パラメータ値に、対応する変換を適用する方法。
【解決手段】隠蔽するボリュームを構築する方法は、隠蔽可能なボリュームの周囲に、複数の隠蔽するボリューム要素を構築することを含んでいる。各隠蔽するボリューム要素は、隠蔽可能なボリュームの周囲に伝播波を導くように定めた物質パラメータを有している。隠蔽可能なボリューム空間を隠蔽するボリューム空間にマッピングする座標変換を識別し、前記隠蔽可能なボリューム空間での空間的に分布した物質パラメータ値に、対応する変換を適用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁場を制御して、ある空間をクローキングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁気を利用するために、物質は、電磁場を制御し導くために一般に用いられる。例えば、カメラの中でガラスレンズはイメージを形成するように光線を導き、金属ケージは、電磁放射から、敏感な機器を遮るために用いられる。また、「黒体」の様々な形状は不要な反射を防ぐために利用される。特別な関心がある電磁気の1つの態様は、電磁波の操作での物質の使用である。この操作は、外部観測者による検知から、物体またはいくらかの空間のボリュームを隠蔽またはクロークするものである。
【0003】
物体の電磁気的な隠蔽を達成することを試みるいくつかの既知の方法がある。例えば、問題となっている物体が彼の視野の経路を遮断していなければ、彼が見るものの観察者に、あるイメージを投影するために一連のカメラを用いることは可能である。その結果、観察者は、物体が存在することを理解できない。しかしながら、この方法は、動的部品の使用に頼り、物体、カメラおよび観察者の相対的な位置に極度に依存する。
【0004】
さらに、知られている隠蔽方法は、従来の「ステルス技術」および低レーダ断面積構造体の使用を含んでいる。これらは、レーダまたは他の電磁波の後方反射を最小化するように設計されている。これらの構造体は、ターゲットから離れる入射波の散乱、または、入射波を吸収することを含んでいるので、減少したまたは変更された電磁気的シグナチャーを提供することができるが、それらが隠す物体は依然として透過において検出可能である。
【0005】
A AluとN Enghetaが、プラズモン的でかつメタ物質である「クローク」またはカバーの使用を通じて、球状および円柱状物体の隠蔽のためのスキームを提案している(例えば、非特許文献1)。この論文は、そのような物体の全散乱断面積を減少させる方法を提供しているが、それは、隠される物体の形状についての特定の知識およびこの物体の材質特性に頼っている。特に、電磁気的クロークと隠蔽された物体は、散乱特性が最低次近似で減少する合成物を形成する。したがって、物体の形状が変わる場合、それに応じてクロークの形状が変わらなければならない。さらに、この方法は共鳴効果に頼っている。それは、周波数がその共鳴ピークから上下する場合、方法がより有効でなくなるものである。したがって、それは、狭帯域方法であり、広帯域用途のために実施することができない。
【0006】
興味深い電磁気のさらなる態様は、電磁気感知と環境発電の応用での物質の使用である。いくつかの既知のデバイスが、衛星放送アンテナおよび太陽エネルギーパネルのような分野に存在する。そのような先行技術デバイスは、多くの異なる方向から入射する電磁放射を集めるか検出するのに動作可能であり、かつ、任意の所望の方向から入射した放射を捉えるために移動可能であるが、それらは、任意の所定の時刻にすべての方向から入射する電磁放射を捕らえる能力を有していない。したがって、太陽エネルギー収集およびモバイルでのマイクロ波エネルギービーミングのような、電磁気的なソースの方向が最初に未知であるか、絶えず変化している場合の応用では、問題が生じる。
【非特許文献1】A Alu and N Engheta, Physics Rev. E95, 016623 (2005)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明はクレームで述べられる。第1の実施形態によれば、空間の特定のボリュームを通り抜けていた光線がこのボリュームのまわりで偏向され、光線の当初の軌道に戻される方法が提供されるから、観察者は、光線が空間のそのボリュームを直接通り抜けたと結論を下す。これは、観察者と隠蔽されたボリュームとの相対的な位置にかかわらずそうなる。さらに、放射が隠蔽されたボリュームに入ることができなく、どんな放射も隠蔽されたボリュームから出ることはできないので、隠蔽されたボリュームに置かれた、任意の形状または任意の物質の物体は、観察者には見えない。
【0008】
1つの態様では、発明は、隠蔽され隠蔽するボリュームのサイズに独立であり、既知の隠蔽スキームに影響する基本的なスケーリング問題のうちのどれにも影響を受けない座標変換アプローチを利用する。また、隠蔽されたまたは隠蔽するボリュームの任意の形状のための変換方法を用いることも可能である。電磁放射の波長は、発明が、任意サイズの構造体、任意波長、場の遠近で適用することが可能であるような、解に現われない。
【0009】
発明のさらなる実施形態では、空間の特定のボリュームの外側表面に入射する電磁場はすべて、外側表面でのそれらの入射方向にかかわらず、内核領域へ集中される。これによって、検出器またはコレクターは、それがある位置で全方向からの強められた場と相互作用することを可能にして、電磁場が集中された内核に配置されることが可能である。空間の特定のボリュームを通り抜ける光線が、その外側表面の外側で、それら光線の当初の軌道に返される方法が記述されるので、観察者は、問題となっているボリュームと観察者との相対的な位置にかかわらず、空間のそのボリュームを光線が直接通り抜けたと結論を下す。さらに、本発明によって、内核領域内に置かれた検出器は、任意の方向から、また、その配置を見る観察者には見えない周囲のレイヤに、その材質特性を一致させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
概要すると、第1の実施形態によれば、発明は、物体のまわりの電磁力線の方向を変更することによって、物体または空間のボリュームを隠蔽する方法を提供する。隠蔽されたボリュームを通って通常流れる任意の力線は、周囲の隠蔽するボリュームを通って方向が変更される。クローキング構造体の外部では、力線はかき乱されていない(unperturbed)ままである。クローキング構造体はメタ物質から形成され、メタ物質は、問題となっている物体またはボリュームをクロークすることに必要な特殊物質パラメータを示すように設計された物質である。特に、クローキングメタ物質の誘電率εおよび透磁率μ、そしてその結果得られる屈折率nは、電磁力線を操作しかつ有効に閉じたボリュームを隠蔽するために、有効に連続的に空間的に変えることが可能である。発明の結果として、隠蔽されたボリュームは、外部の観測者に検出されない。また、隠蔽されたボリューム内の物体によって生成されたい任意の電磁放射が、それから漏れることは不可能である。
【0011】
さらなる実施形態では、発明は、内核領域の中へコンセントレータデバイスの外側表面に入射する電磁場を集中する方法を提供する。集光構造体は集中ボリュームおよび収集ボリュームを含む。集中ボリュームを通って通常流れる任意の力線は、内側の収集ボリュームへ方向を変更される。集中ボリュームを囲む集光環帯の外部では、力線はかき乱されていないままである。集光構造体は、上記のクローキング構造体用に上述された手法と似た手法でメタ物質から形成される。
【0012】
より詳細には後に概説するが、ここに記述された変換方法は、任意の所望のクローキング構造体を使用して、任意の所望のボリュームを隠蔽することに適用することが可能であるが、簡単のため、図1に示すような単純な球状の場合に関してまず記述される。図1によれば、隠されるべきボリュームは半径R1の球体100である。また、クローキング物質は、半径R1<r<R2の環帯102内に含まれている。半径R1の球体100内の確保された放射なしのボリュームを生成するために、半径r<R2の球体106を通常流れる電磁力線104はすべて、クローキング環帯102 R1<r<R2に圧縮されなければならない。すなわち、視界から半径R1の球体100を除去するために、球体100内のボリュームと環帯102内のボリュームはすべて、半径R1<r<R2の環帯102上に写像されなければならない。球体106の中間の外部r<R2では、電磁力線104はかき乱されていないままでなければならない。
【0013】
電磁波の伝播に関する理論は、よく知られ、したがって、関係のある態様だけが、発明の文脈でここに要約される。自由空間では、磁場強度Hは、方程式
【数1】
【0014】
によって、磁場強度Bおよび自由空間での透磁率μ0と関係がある。自由空間での電場Eは、方程式
【数2】
【0015】
によって、電束密度Dおよび自由空間での誘電率ε0と関係がある。誘電体では、εおよびμの値は、比誘電率εrおよび比透磁率μrによって変更され、本発明の屈折率は
【数3】
【0016】
によって与えられる。技術の熟練した人によく知られているように、3つのベクトルE、HおよびSは、相互に直交している。ポインティングベクトルSは、外積
【数4】
【0017】
によって計算可能である。ポインティングベクトルSは、電磁波の単位時間あたり単位面積あたりのエネルギーフローの方向と大きさを与える。図1に示したような線軌道図では、光線の方向が、電磁力線に対応し、ポインティングベクトルの方向に従う。したがって、本発明を実行するために、電束密度D、磁場強度BおよびポインティングベクトルSのうちのどれでも、フォーカスするか、または、方向を変更する必要がある。その結果、それらは、半径R1の球体100を回避し、それらの当初の軌道に乱されずに戻る。
【0018】
下記により詳細に記述されるように、アプローチは、さらに、方向を変更された場についてのマクスウェル方程式の解を必要とする。描写の容易さについては、特にポインティングベクトルの方向変更は次の説明で言及される。
【0019】
所望のクローキング効果を効果的に実行するためにクローキング構造体が有する電磁気的な特性を計算するために、第1のステップは、線が半径R1の球体100を通り抜けないように、ポインティングベクトルSに適用されなければならない歪みを計算することである。図2aおよび図2bで示されるように、これは、各線の最初の配置を記録することによって達成される。この配置は、球体メッシュまたはデカルトメッシュのような既知の幾何学メッシュ上で、クロークされたボリュームとクローキング物質が無い場合に生じる。例えば、図2aでは、単一線200はデカルトメッシュ202上にプロットされている。一旦、適切な線200がその上にプロットされたならば、その上にプロットされた線が、クロークされたボリュームを回避して、それらの新しい所望のパスに続くために、歪められるように、デカルトメッシュ202は伸ばされたり歪められる。その後、これを達成するためにデカルトメッシュ202に課されるひずみは、当初のデカルトメッシュ202と第2の変換されたメッシュ204との間の座標変換として記録されることが可能である。ここで、第2メッシュは以下によって定義される。
【数5】
【0020】
この第2メッシュ204では、一定のq2、q3の線は一般化されたq1軸などを定義する。逆に、以下のことが理解できる。第2メッシュ204がq1軸、q2軸、およびq3軸に沿った等しい増分によって定義された1セットの点を備えていれば、それは図2aおよび図2bの比較が明白に実証するように、x、y、zのデカルトフレームで歪みがあるように見える。
【0021】
この変換を実行する利点は、下記に述べられるように、当初の幾何と同様な変換された幾何の形式でマクスウェル方程式を解くことが可能であることが示されるかもしれないということである。この変換では、εおよびμの空間的に歪められた値の対応する変換だけは必要である。これは、誘電率εおよび透磁率μの値と、その結果得られる空間での屈折率nの変化が、光線によって見られるような空間の幾何を歪めることと等価であるとの認識から直観的に理解されうる。このアプローチは、屈折率
【数6】
【0022】
の修正よりもεとμの値の個々の修正を特に扱うことに注意する。特に、これは、インピーダンス(Z)マッチングを保証することによって取り除かれる異なる媒体のインターフェース間での反射を許容する。ここで、インピーダンスは、以下のようになる。
【数7】
【0023】
熟練した人に知られているように、デカルト座標系でのマクスウェル方程式は以下の形式をとる。
【数8】
【0024】
ここで、誘電率εおよび透磁率μの両方は位置に従属する。付録1に記述されているように、座標変換がこれらの方程式に適用される場合、新しい座標系では、それらは以下の形式をとる。
【数9】
【0025】
ここで、εおよびμは一般的にはテンソルであり、
【数10】
【0026】
はリノーマライズされた電場、磁場である。4つの量はすべて、当初のものと単純な関係がある。言いかえれば、マクスウェル方程式の形式は座標変換によって保存される。座標変換は、我々がマクスウェル方程式を依然として解いているという事実を変更せず、単にε、μの定義を変更する。
【0027】
特に、付録1に詳細に示されるように、μおよびεの変換の影響は共通因子によりそれらを両方ともスケーリングすることである。この一般化された解は付録1に示されている、しかし、直交幾何(デカルト、球状または円柱状)の場合には誘電率および透磁率のリノーマライズされた値は以下のようになる。
【数11】
【0028】
ここで、
【数12】
【0029】
および
【数13】
【0030】
図1に示されるような球状の場合に戻ると、当初の線配置をプロットするメッシュの自然な選択は、球状のものである。球状の場合は座標r、θ、φを用いる。座標変換は、半径r<R2の球体106内の場をすべて採用し、それらを圧縮して半径R1<r<R2の環帯102に詰め込むことにより作用する。これは形式の何らかの変換によって達成される。
【数14】
【0031】
ここで、f(r)はrの単調に増加する関数であり、これは、半径R2の球体106の全内部を、それぞれが半径R1およびR2の2つの球体100、106によって境を接する環帯に写像する。力線が放射状にのみ圧縮されているので、φとθに関しては対称である。したがって、それらの角度の位置決めは歪んでいない。
【0032】
方程式(8)の最も単純な解はf(r)=rの場合である。それは単純化して、以下の式を与える。
【数15】
【0033】
クローキング環帯物質が半径R1の球体100内の任意の物体をクロークする所望の結果を達成するように、クローキング環帯102物質に必要な電磁的な特性を確認するために、r、φ、θに課された変換は、付録1での一般的な場合に示されるように、類似した手法でεおよびμに適用されなければならない。空間の各点(x、y、z)では、εおよびμは、変換された幾何での球座標値(ε’r、ε’θ、ε’φ)、(μ’r、μ’θ、μ’φ)に変換されなければならない成分(εx、εy、εz)、(μx、μy、μz)を有する。
【0034】
これを2ステップで行う。
まず圧縮のない球座標へ変換する。
【数16】
【0035】
その結果、上記方程式(4)に示されるように、新しいフレームで、
【数17】
【0036】
計算すると、
【数18】
【0037】
したがって、
【数19】
【0038】
ここで、εr、εθ、εφは、当初のデカルトのフレームでの誘電率テンソルの3つの成分である。我々は誘電率および透磁率は等しいと仮定する。rの適切な係数を取り除くことによって、式(A4)からεr、εθ、εφのデカルトを容易に抽出することができることを注意する。
【0039】
半径R1の球体の内部の保護された空間を作るために、我々は、それと共に任意の線軌道をとりつつ半径が圧縮される新しい円柱系へのさらなる変換を作る。コンピュータプログラムはデカルト座標で正常に動作し、したがって、r’の係数を取り除くことによって、圧縮されたデカルト系x’y’z’に関して圧縮された動径座標系を書き換えることは可能であることに注意する。
【0040】
方程式(9)からの変換を考えて、
【数20】
【0041】
これらは次のように書き換えられる。
【数21】
【0042】
計算して、
【数22】
【0043】
その結果、新しいフレームでは、R1<r’<R2において、
【数23】
【0044】
あるいは、式(A4)と比較することによって容易に行なわれるデカルト座標フレームx’y’z’でのこれらの値を再解釈することができる。
【数24】
【0045】
ここで我々は、最初の物質は真空であると仮定する。
【0046】
R2<r’において、
【数25】
【0047】
自由空間では、εr’=μr’=εθ’=μθ’=εφ’=μφ’=1(11)
である。
【0048】
r’<R1においては、放射はこの領域に入り込むことはあり得ないので、我々は誘電体関数に合わせて適当に任意の値を選んでよい。この領域では、ε’、μ’は、目に見えることのないままで、制限のない任意の値をとることができ、電磁気散乱に寄与しない。これは、ボリュームの形またはサイズにかかわらず、すべてのクロークされたボリュームの場合になる。
【0049】
適切なクローキング物質が、半径R1<r<R2の環帯102に、実装されることが可能であれば、これは半径R1の中央領域100に入ることからすべてのフィールドを除外し、反対に、すべてのフィールドがこの領域から逃げるのを防ぐ。したがって、隠蔽された半径R1の球体100に配置された、クローキング構造体自体および任意の物体は、反射または透過のいずれにおいても検出可能でない。媒体の中のすべての点で、インピーダンス不整合によって引き起こされた、媒体で不要な反射がないようなインピーダンス
【数26】
【0050】
が発生することに注意する。
【0051】
インピーダンス
【数27】
【0052】
がメタ物質のすべての点で達成されれば、クローキング構造体および隠蔽されたボリュームが、単に自由空間を含むように見えて、したがって、もし自由空間に埋め込まれていれば見えなくなることに注意する。クローキング構造体が別の媒体に埋め込まれていれば効果は異なる。例えば、水に埋め込まれていれば、それは泡が現れる。クローキング構造体を別の媒体において見えなくするために、2つの間の接触面で周囲の媒体のμおよびεに対する、メタ物質のμおよびεの比を一致させる必要がある。熟練した人が理解できるように、これはクローキング構造メタ物質でεおよびμの数値を変更するが、付録1で概説した一般変換理論は同様である。すなわち、本発明によって、互いと無関係にメタ物質でのεおよびμを制御することが可能であるから、その環境のインピーダンスにメタ物質のインピーダンスを一致させるために、zの任意の所望値を達成することは可能である。
【0053】
図1では、クローキング環帯102は比較的厚く描かれているが、これはそうである必要がない。その解はシェル厚さまたは他の長さ規模に依存しない。それは任意のスケーリング問題に影響を受けないほどのものである。さらに、解は波長λに依存しないので、提供される解は、近くの場と遠くの場の両方で維持される。これは図1および図3に示されている。例証の目的のために、我々がポインティングベクトルをプロットするために線(レイ)近似を用いることが可能であるように、λが波長である場合、R2>>λを仮定する。その後、我々のシステムが、無限遠にある放射源に露出される場合、我々は、図1に示される線投写課題を実行することが可能である。この図の線104は、異方性、異質性がある媒体でのマクスウェル方程式の幾何学的な限界を取ることによって得られた1セットのハミルトン方程式の数値積分に起因している。この積分は、(9)と(10)によって特定される配置が内部領域100から線を排除することの、独立した確証を提供する。それとは別に、R2<<λかつ我々が点電荷306のそばに位置する場合、静電気(または静磁気)の近似が適用される。局所的な静電変位場のプロットは図3に示される。
【0054】
上で概説された理論的な解は、線軌道を計算する線追跡プログラムを用いて実証することが可能である。そのようなプログラムによれば、規定された物質は、「クローク」されているか、または、ユーザに見えないようにされている中央のボリュームのまわりで存在すると仮定される。入力として規定されたパラメータを用いて、線追跡符号は理論的な予測を確認する。いくつかの既存プログラムは本発明の課題の複雑さを扱うことができないが、この種の線追跡プログラムは当業者によく知られている。図4aおよび図4bでは、幾何学的限界(つまり、零波長限界)でマクスウェル方程式を解くためにハミルトンの公式化に基づいた特注のカスタムの線追跡符号から開発された線追跡プログラムが使用されている。結果は、球状の構造体400および円柱状の構造体402でそれぞれ示されている。ここで、下のように示されるように、円柱の場合での変換されたパラメータεおよびμは、球体でのそれらに似た方法で計算される。
【0055】
まず圧縮のない円柱座標へ変換する。
【数28】
【0056】
その結果、新しいフレームでは、
【数29】
【0057】
計算し、
【数30】
【0058】
したがって、
【数31】
【0059】
ここで、εr、εθ、εZは、当初のデカルトフレームでの誘電率テンソルの3つの成分であり、誘電率と透磁率は等しいと仮定する。rの適切な係数を取り除くことにより、(A13)から容易にεr、εθ、εZのデカルトの観点を抽出することが可能であることに注意する。
【0060】
円柱半径R1の内部の保護された空間を生成するために、それを備えた任意の線軌道を取り入れて半径が圧縮される新しい円柱系へのさらなる変換を行う。コンピュータプログラムはデカルト座標で動作し、したがって、r’の係数を取り除くことによって、圧縮されたデカルト系x’y’z’に関しては圧縮された動径座標系を再表現することが可能であることに注意する。
【0061】
次の変換を考える。
【数32】
【0062】
または、
【数33】
【0063】
計算し、
【数34】
【0064】
その結果、新しいフレームでは、
R1<r’<R2について、
【数35】
【0065】
R2<r’について、
【数36】
【0066】
r’<R1については、放射がこの領域に入り込まないので、誘電体関数のために、好ましい任意の値を選んでよい。
あるいは、(A4)と比較することによって容易に行えるデカルト座標フレームx’y’z’でこれらの値を解釈し直すことが可能である。
【数37】
【0067】
ここで、初期物質は真空であると仮定している。
【0068】
図4aおよび図4bは、入射線404、406が、理論的な解によって予測されるように、中央領域400、402のまわりで迂回し、明らかにかき乱されていないクローキング領域408、410から出現することを示す。
【0069】
理論的な解が線追跡法によって確認されている一方、発明を実施するために、クローキング構造体を形成する適切な物質が開発されている。
【0070】
クローキング構造体の物質パラメータは、ε’の成分がμ’の成分と等しく、ε’およびμ’が空間の至る所で変化し、ε’およびμ’のテンソル成分が独立して変化することを要求する。予期される物質は、したがって異質性かつ異方性がある。さらに、物質パラメータε’およびμ’は、1未満の値を仮定し、かつ、隠蔽された領域とクローキングシェルとの間の接触面で0に接近しなければならない。さらに、方程式(6)がr’=R1で特異であることに注意する。これは、球体100(図1)の中心の方へ直接向かっている線を考慮することによってわかるように、避けられない。この線は、上か下か、左か右かに逸れるべきかどうかを知らない。近隣の線104はそれらがある臨界の線に近いほどますますきつい弧の周囲で曲がっている。これは、一方で、ε’およびμ’の非常に急な勾配を意味する。空間が異方に圧縮されているので、パラメータε’およびμ’はクローキング物質で必ず異方性である。同じ周波数帯でεおよびμに関して一致する値を見つけることは起こらないので、拘束のこのセットは、例えば、従来の物質により到達可能ではない。しかしながら、人工物質で過去数年にわたって生じた飛躍的進歩を与えられて、仕様をみたすメタ物質は実際に設計することが可能である。
【0071】
メタ物質は、従来の物質で達成することが困難、または、不可能な電磁気特性を示す人工的に構築された「物質」である。電磁気の視点から、物質を通り抜ける波動の波長λは、原子レベルでの物質および特性がεおよびμを決定すると、集められた原子または他の物体が見なされることが可能であるかどうかを決定する。しかしながら、電磁気パラメータεおよびμは、原子または分子の応答から厳密に生じる必要はない。そのサイズおよび間隔がλよりもはるかに小さい収集された任意の物体は、εおよびμによって記述することが可能である。その場合、εおよびμの値は構造化された物体の散乱特性によって決定される。そのような異質の収集は物質の直観的な定義を満たさなくてもよいが、構造体を通り抜ける電磁波は見分けることが可能でない。また、電磁気視点から見て、我々は人工物質、またはメタ物質を作成した。メタ物質のこの特性は、参考文献としてここに引用される”Metamaterials and Refractive Index”, D R Smith, J B Pendry, MCK. Wiltshire, VOL 305, SCIENCE 061081 (2004).の中でさらに説明されている。
【0072】
あるメタ物質によって示された1つの有用な特性は、人工的な磁気特性である。外場が電流を誘導することが可能なワイヤループの非磁性アレイからなる構造体は、結果的に、有効な磁気反応を生成することが見つかった。図5に示されるように、そのような1つの設計はいわゆる「スイスロール」構造体である。ロール500は円柱504のまわりに絶縁された金属シートを巻き付けることによって製造される。1cm直径円柱上に約11の回転での設計は、21MHzで共振応答を与える。メタ物質はこれらの円柱の多くをともに積み重ねることにより形成される。この構造体では、巻かれた銅シートは、共振を生成する自己容量および自己インダクタンスを有する。この共振が作動したときに流れる電流は、高い値に完全に到達することができる実効透磁率に応じて、印加された磁場に強く結合する。自己容量による場合以外はコイルのまわりで電流が流れることはできない。図6に示されるように、円柱600に平行な磁場がスイッチオンされると、それが、互いに距離dだけ離れて配置されている巻かれたシート602に電流(j)を誘導する。コイルの最初の回転604と最後の回転606との間の電気容量によって電流が流れることが可能である。これは、参考文献としてここに引用される”Magnetism from Conductors and Enhanced Non-Linear Phenomena”, J B Pendry, A J Holden, D J Robbins and W J Stewart IEEE Trans. Micr. Theory and Techniques, 47, 2075 (1999)にさらに記述されている。
【0073】
スイスロール構造体に関する1つの課題は、印加された電場が円柱に平行でない場合、金属円柱による連続な電気パスがメタ物質を実効的な金属のように反応させることである。したがってある応用でのその有用性を制限する。この望ましくない効果を避ける、同じ論文に記述されている適応物は、分割リング共振器(SRR)である。図7に示されるように、SRRは一連の分割リングから構築される。各分割リング700は少なくとも2つの同心の薄い金属リング702、704を備え、それらは幅cであり、距離dだけ離れて配置され、それぞれギャップ706、708を有する。円柱が提供する連続的な電導性のパスを除去することにより、SRRは、この方向に沿ったほとんどの電気的な作用を除去する。
【0074】
図8に示されるように、距離a離れて配置されている一連の分割リング802から、平面状の分割リング構造体800を形成することが可能である。図8に示される2次元の正方形アレイ800は、金属インクで印刷することにより作ることが可能である。その後、各印刷シートが不活性な物質の厚さaの固体ブロックに固定される場合、ブロックはリングの柱を与えるために積み重ねることが可能である。これは、積み重ねる方向(z軸の方向)に沿った磁気作用を確立する。
【0075】
積み重ねられたSRR構造体の単位セル900は、左側の図9に示される。z軸に沿って積み重ねられたリングの連続した層を備えるような構造体から開始する対称な3次元構造体を形成することは可能である。これは、構造体を一連の厚さaのスラブに切り、y−z平面の中で切り込みを加えて、輪のうちのどれを通っても切らないようにするように注意することにより達成可能である。新しい平板の各々は、リングの層を含んでいるが、リングはそれぞれスラブの平面に垂直で、その中に埋め込まれている。次の段階は、各スラブの表面上にリングの別の層を印刷し、再びスラブをともに積み重ねることである。この第2の構造体の単位セル902は図9の真中に示されている。最終ステップでは、スラブの3番目の集合は、x−z平面で切り、スラブの表面上に印刷し、新たに組み合わせることによって生成される。この結果として、単位セル904が図9の右側に示される立方体対称を有する構造体が生成される。
【0076】
同様に、εは、参考文献としてここに引用される”Extremely Low Frequency Plasmas in Metallic Mesostructures”, J B Pendry, A J Holden, W J Stewart, I Youngs, Phys Rev Lett, 76, 4773 (1996)に記述されているような細いワイヤのアレイによって決定されることが可能である。
【0077】
したがって、知られている技術は、上述されているようなこの発明を実施するのに必要なメタ物質を構築することに適用することが可能である。物質は多くの単位セルを備えている。単位セルのそれぞれは、ε’およびμ’に関し所定値を有していて、それらは上記の方程式(4)(または、直交でない場合は、付録1の方程式(23))によって決定される値に対応している。熟練した読者には明白なように、これは、その放射状に隣接するセルのε’およびμ’の値に対して、わずかに異なる値を有している各単位セルを含んでいてもよい。メタ物質の中の単位セルはそれぞれ隠蔽するボリューム要素として動作する。隠蔽するボリューム要素は、上に概説された方法によって計算されるように、クローキング構造体を形成するために正確なそれぞれの空間位置で組み立てられる。クローキング構造体は、その結果、囲まれたボリュームの電磁気隠蔽に必要な、空間的に分散された物質パラメータ値を有する。
【0078】
上に概説された理論の実際的な実施については、3次元クローキング構造体はほとんどの場合で必要になる。固体の合成メタ物質の構造体は、屈折率分布型レンズを製造するために用いられる組み立て技術に類似している技術を用いて形成することが可能である。そのような1つの知られている構造体1000が図10に示される。この図では、SRRおよびワイヤが、所望の物質応答を提供するために、標準回路ボード上にリソグラフィク的に対向側にデポジットされている。これは、参考文献としてここに引用される”Reversing Light with Negative Refraction”, JB Pendry, DR Smith, Physics Today, June 2004に、より詳細に記述されている。
用いられるメタ物質の単位セル構造体は、理論的な解によって要請されているように、パラメータの連続的変化および異方性を達成することが可能であることを保証する。クローキングと無関係なので、上述された変換理論の別の応用は、場を集中させるためのデバイスである。図11は、内核領域(114)の上にその外側表面(110)上に入射する電磁場を集中させるコンセントレータを示す。コンセントレータを特徴づける変換は、球面幾何学に関して、図11に示される。デバイス(110)の外部半径はR3である。半径R2(R2<R3)を備えた空間(112)の集中ボリュームは半径R1の収集ボリューム(114)に圧縮される。R2とR3の間にあるシェルボリューム(116)は、図11が表すように、R1とR3の間の領域(118)を満たすために拡張される。中核(112)を一様に圧縮し、シェル領域(116)を線形の動径関数で引き延ばす、この変換の単純な例は、次式で与えられる。
【数38】
【0079】
そして、コンセントレーションデバイスでの透磁率とパーミッティングの最終的な物質特性は、以下のようになる。
【数39】
【0080】
ここで、物質特性は外部環境に比較して与えられる。クローキング構造体でのように、外部環境は自由空間または他の媒体でよい。
【0081】
任意に小さいボリュームへ場を集中させるために、R1→0にし、以下を得る。
【数40】
【0082】
もし球体の集中断面をその球体の外側半径に等しくしたい場合は、R2→R3とする。
【数41】
【0083】
これは完全な場コンセントレータである。コンセントレータで必要とされる物質パラメータは、クローキング構造体に関して記述されるようなメタ物質の使用を通じて達成されることが可能である。誘電率εおよび透磁率μは、メタ物質の各単位セルの中の3次元のそれぞれで、互いに無関係に制御することが可能である。
【0084】
コンセントレータデバイスは、任意の方向から入射する場に影響するという点で独特であり、集束レンズおよびミラーとは異なっている。電磁気感知または環境発電の応用について、検出器またはコレクターは、中核(114)に置かれ、その位置で強められた場と相互作用する。このデバイスの有用性の一部は、場のソースの方向が初期に未知であるか、または、絶えず変化している場合、(例えば、太陽エネルギー収集、または、モバイルプラットフォーム上でのマイクロ波エネルギービーミング)場の集中である。
【0085】
コンセントレータの中核(114)に置かれた検出器は、エネルギーを集めるのと同様に正確な方向情報を提供するように、容易に構成することができるかもしれない。これは、例えば、8つの象限にパターン化された、球形の検出器を用いて、行うことができるかもしれない。模様が付けられた各象限から集められたエネルギーを比較することによって、正確な方向情報は得られる。検出器は球状である必要がない。薄い円板である中核領域にもたらす変換が使用されることが可能かもしれない。これによってコンセントレータが共通の平面の検出器と互換性をもつようになるだろう。
【0086】
デバイスは、検出器にインピーダンス整合を与えることも可能である。これは、所望の検出器に逆変換を適用し、それを中核半径R1から半径R2まで拡張することによって、達成される。その後、インピーダンス整合層を設計し(R1とR3の間)、変換された検出器をその環境に整合させることは可能である。そして、このインピーダンス整合層は、R1とR3の間の領域(118)を満たすためにそれを伸長するフォワード変換で変換される。R1とR3の間に生じるシェル層は、集中とインピーダンス整合関数の両方を提供する。
【0087】
クローク構造体のように、コンセントレータ(110)は、その環境に完全に一致させることができる。その結果、場が検出器によって中核(114)で乱されない場合、デバイス(110)は外部の電磁気プロービングによって検出不可能である。このデバイス(110)は、場の近傍および遠距離のレジームの両方で、かつ、任意のサイズかつ波長で、作動することができる。この変換の基本的な形式は他の基本的な幾何(例えば、円柱状)に適用するか、または任意に形作られた物体に共形的に(conformally)適用することが可能である。図12は、半径R3の球(122)上に入射する点ソース(120)から、半径R1の内核領域(124)への力線または線の集中を示している。
【0088】
上に概説された座標変換マッピング理論は、電磁波の伝播を方向転換することに関して記述されている。しかしながら、電磁波と、音波のような他の伝播波との間で著しい類似点があることに注意する。特に、この理論は、音響のクローキングを与える密度および剛性のような物質の機械的特性のための仕様を得るために適用されてもよい。そのようなクロークは、例えば、ソナー検知から身体を隠すために用いられてもよい。
【0089】
上記のクローキング理論の説明は、主として物体の隠蔽に向けられている一方、クロークされたボリュームからクローキングシェルへの電磁気障害の転換は、電磁気のクワイエットゾーンを内側に生成することが認識される。方程式(9)は、クワイエットゾーンの内部の物体によって生成された任意の電磁放射はそれから出現することができないと決定づけている。これは、電磁気干渉シールドの応用、例えば、MRI装置の内部、で使用されてもよい。同様に、音響のクワイエットゾーンも達成されてもよい。
【0090】
本発明の応用は、図に示されるようなクローキングおよびコンセントレータ構造体に限定されない。付録1に明白に示されているように、ここに提供される数学的な解は任意の形状の構造体をクロークするために適用される。さらに、ボリュームがクロークされれば、そこに置かれた任意の形状または物質の物体は、反射モードまたは透過モードのいずれかでも、外部の感触者により検知することはできない。
【0091】
ここに記述された方法は、任意の適当な座標系の間での、当初のフレームでの座標の任意の適切な関数を使用する、任意の適当な座標変換に適用するために使用されることが可能である。内部で物質を隠蔽するために使用されるクローキング構造体は、任意の形状または厚さになり得る。特に、クローキング構造体は、その中で隠蔽されるべき物体と同じ形状にしたがう必要はない。熟練した読者には以下のことは明白であろう。すなわち、ここで記述された方法は、電磁放射の全ての周波数を変換するために使用されることが可能であり、ある与えられた応用にとっては、この方法は、赤外、電波、可視光、X線、マイクロ波、および、レーダを含む電磁スペクトラムの任意の特定の周波数範囲での放射に適用することができる。
【0092】
示された例では、インピーダンス整合は、比率
【数42】
【0093】
によって達成される。熟練した読者には明らかなように、ここに記述された種類のインピーダンス整合は
【数43】
【0094】
で達成することが可能である。ここで、mは任意の実数の一定値である。特に、μ/εの所望の比率は、クローキング構造体が埋め込まれる媒体に依存する。
【0095】
発明が好ましい実施形態を参照して特に示され記述されているが、形式および詳細の様々な変更が、添付されたクレームによって包含された発明の範囲から出発することなく、そこで行なわれてもよいことは当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
付録1
一般座標変換用のε、μのスケーリング
我々はデカルト座標系でのマクスウェル方程式から出発する。
【数44】
【0097】
ただし、εおよびμの両方は位置に依存してもよい。次式によって定義された一般系に変形する。
【数45】
【0098】
一定のq2、q3のラインは一般化されたq1軸などを定義する。したがって、q1、q2、q3軸に沿った等しいインクリメントにより1セットの点を定義すれば、メッシュは当初のx、y、z座標フレームの中で歪められたように見える。図1を参照。
【表1】
【0099】
図1.1つの座標系(左)での点の単純立方格子は、別の座標系(右)での歪曲されたメッシュへ写像する。正確に座標変換を選択することは、歪みをコントロールし、我々の要請に適合したメッシュを生成することが可能である。
【0100】
上に定義されるようなマクスウェル方程式は当初のデカルト系で書かれている。q1、q2、q3で表現された時、方程式の新しい集合はどの形式をとるか。答えは驚くほど単純である。新たな座標系でのマクスウェル方程式は以下のようになる。
【数46】
【0101】
ただし、
【数47】
【0102】
は一般テンソルである。また、
【数48】
【0103】
はリノーマライズされた、電場と磁場である。4つの量はすべて、当初のものと単純に関係づけられている。言いかえれば、マクスウェル方程式の形式は座標変換によって保存されている。座標変換は、我々がマクスウェル方程式を解いているという事実を変更することなく、単に
【数49】
【0104】
の定義を変更する。
【0105】
我々は、一般化されたq1、q2、q3軸に沿って示すために、3つの単位ベクトルu1、u2、u3を定義する。線要素の長さは次のように与えられる。
【数50】
【0106】
ただし、
【数51】
【0107】
特に、我々は、3つの軸のうちの1つに沿って導かれた1つの線要素の長さを必要とする。
【数52】
【0108】
ただし、省略表現のために、
【数53】
【0109】
▽×Eを計算するために、小さな要素を考察する。小さな要素が平行六面体(図2)に類似するほど小さい。ここでは、我々は、座標系が、異なった方向に突然立ちはだかる点や線のような特異点を持たないと仮定している。
【表2】
【0110】
図2.平行六面体に似ている小さな要素。
【表3】
【0111】
図3.▽×Eを見つけるための積分経路。
【0112】
まず我々は、u1−u2平行四辺形のまわりの線積分を行い、ストークスの定理(図3)を適用することにより、u1−u2平面の垂線上への▽×Eの射影を計算する。次のように定義する。
【数54】
【0113】
すなわち、
【数55】
【0114】
または、
【数56】
【0115】
ここで、我々は、ベクトルの反変成分用の、慣習的な上付き添え字表記法を使用している。以下のように定義した。
【数57】
【0116】
方程式(10)の右辺は、新しい座標系で値を求められたcurlの単なる第3成分であることに注意する。マクスウェル方程式に適用する。
【数58】
【0117】
我々は反変成分でHを書くと、次のようになる。
【数59】
【0118】
それは次のように、共変成分で表現することが可能である。
【数60】
【0119】
ただし、第1部分はgを定義し、
【数61】
【0120】
gの逆をとると、次式を与える。
【数62】
【0121】
(12)へ方程式(13)を代入すると、次式を与える。
【数63】
【0122】
次式のように定義する。
【数64】
【0123】
および
【数65】
【0124】
その結果、
【数66】
【0125】
したがって、方程式(10)から代入して、
【数67】
【0126】
およびEとHとの場の間の対称により、
【数68】
【0127】
ただし、
【数69】
【0128】
新しい座標系が直交系(例えば、円柱状または球状)の場合、これらの表現がかなり単純化することに注意する。その場合には、
【数70】
【0129】
直交バージョンは本文の中で引用される。
【図1】図1は、そのR2>>λと仮定して、半径R1<r<R2の環帯内にクロークされた半径r<R1の球体の断面線軌道図である。
【図2a】図2aは、デカルトメッシュ上にプロットされた自由空間の中で力線を示す。
【図2b】図2bは、両方とも同じ変換によって歪曲された図2aの力線および背景座標を示す。
【図3】図3は、R2<<λを仮定して、点電荷に接近して配置された半径R1<r<R2の環帯内にクロークされた半径r<R1の球体の静電場変位力線の断面図である。
【図4a】図4aは、本発明による、クロークされたボリュームのまわりの電磁気線の迂回路の三次元描写である。
【図4b】図4bは、本発明による、クロークされた表面のまわりの電磁気線の迂回路の三次元描写である。
【図5】図5は、「スイスロール」メタ物質の正面透視図を示す。
【図6】図6は、図5の「スイスロール」メタ物質の上面図を示す。
【図7】図7は、単一の分割リングメタ物質を示す。
【図8】図8は、格子面間隔aの正方形アレイでの分割リング構造の平面図を示す。
【図9】図9は、単位セルレベルに三次元の分割リング共振器(SRR)の形成を描写する。
【図10】図10は、SRRおよびワイヤを含む、先行技術のネガティブインデックスメタ物質である。
【図11】図11は、空間半径R2の球状ボリュームが空間半径R1のより小さなボリュームに圧縮される半径R3のコンセントレーションデバイスの断面線軌道図である。
【図12】図12は、半径R3の球体に投射する点光源からの線が、内側の半径R1の球体へ集中される断面線軌道図である。
【符号の説明】
【0130】
100・・・球体、中央領域、内部領域、102・・・クローキング環帯、104・・・電磁力線、106・・・球体、200・・・線、202・・・デカルトメッシュ、204・・・メッシュ、306・・・点電荷、400・・・球状構造体、400・・・中央領域、402・・・円柱状構造体、404・・・入射線、408・・・クローキング領域、500・・・ロール、504、600・・・円柱、602・・・シート、604・・・最初の回転、606・・・最後の回転、700,802・・・分割リング、702・・・金属リング、706,708・・・ギャップ、800・・・正方形アレイ、800・・・分割リング構造体、900,902,904・・・単位セル、1000・・・構造体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁場を制御して、ある空間をクローキングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁気を利用するために、物質は、電磁場を制御し導くために一般に用いられる。例えば、カメラの中でガラスレンズはイメージを形成するように光線を導き、金属ケージは、電磁放射から、敏感な機器を遮るために用いられる。また、「黒体」の様々な形状は不要な反射を防ぐために利用される。特別な関心がある電磁気の1つの態様は、電磁波の操作での物質の使用である。この操作は、外部観測者による検知から、物体またはいくらかの空間のボリュームを隠蔽またはクロークするものである。
【0003】
物体の電磁気的な隠蔽を達成することを試みるいくつかの既知の方法がある。例えば、問題となっている物体が彼の視野の経路を遮断していなければ、彼が見るものの観察者に、あるイメージを投影するために一連のカメラを用いることは可能である。その結果、観察者は、物体が存在することを理解できない。しかしながら、この方法は、動的部品の使用に頼り、物体、カメラおよび観察者の相対的な位置に極度に依存する。
【0004】
さらに、知られている隠蔽方法は、従来の「ステルス技術」および低レーダ断面積構造体の使用を含んでいる。これらは、レーダまたは他の電磁波の後方反射を最小化するように設計されている。これらの構造体は、ターゲットから離れる入射波の散乱、または、入射波を吸収することを含んでいるので、減少したまたは変更された電磁気的シグナチャーを提供することができるが、それらが隠す物体は依然として透過において検出可能である。
【0005】
A AluとN Enghetaが、プラズモン的でかつメタ物質である「クローク」またはカバーの使用を通じて、球状および円柱状物体の隠蔽のためのスキームを提案している(例えば、非特許文献1)。この論文は、そのような物体の全散乱断面積を減少させる方法を提供しているが、それは、隠される物体の形状についての特定の知識およびこの物体の材質特性に頼っている。特に、電磁気的クロークと隠蔽された物体は、散乱特性が最低次近似で減少する合成物を形成する。したがって、物体の形状が変わる場合、それに応じてクロークの形状が変わらなければならない。さらに、この方法は共鳴効果に頼っている。それは、周波数がその共鳴ピークから上下する場合、方法がより有効でなくなるものである。したがって、それは、狭帯域方法であり、広帯域用途のために実施することができない。
【0006】
興味深い電磁気のさらなる態様は、電磁気感知と環境発電の応用での物質の使用である。いくつかの既知のデバイスが、衛星放送アンテナおよび太陽エネルギーパネルのような分野に存在する。そのような先行技術デバイスは、多くの異なる方向から入射する電磁放射を集めるか検出するのに動作可能であり、かつ、任意の所望の方向から入射した放射を捉えるために移動可能であるが、それらは、任意の所定の時刻にすべての方向から入射する電磁放射を捕らえる能力を有していない。したがって、太陽エネルギー収集およびモバイルでのマイクロ波エネルギービーミングのような、電磁気的なソースの方向が最初に未知であるか、絶えず変化している場合の応用では、問題が生じる。
【非特許文献1】A Alu and N Engheta, Physics Rev. E95, 016623 (2005)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明はクレームで述べられる。第1の実施形態によれば、空間の特定のボリュームを通り抜けていた光線がこのボリュームのまわりで偏向され、光線の当初の軌道に戻される方法が提供されるから、観察者は、光線が空間のそのボリュームを直接通り抜けたと結論を下す。これは、観察者と隠蔽されたボリュームとの相対的な位置にかかわらずそうなる。さらに、放射が隠蔽されたボリュームに入ることができなく、どんな放射も隠蔽されたボリュームから出ることはできないので、隠蔽されたボリュームに置かれた、任意の形状または任意の物質の物体は、観察者には見えない。
【0008】
1つの態様では、発明は、隠蔽され隠蔽するボリュームのサイズに独立であり、既知の隠蔽スキームに影響する基本的なスケーリング問題のうちのどれにも影響を受けない座標変換アプローチを利用する。また、隠蔽されたまたは隠蔽するボリュームの任意の形状のための変換方法を用いることも可能である。電磁放射の波長は、発明が、任意サイズの構造体、任意波長、場の遠近で適用することが可能であるような、解に現われない。
【0009】
発明のさらなる実施形態では、空間の特定のボリュームの外側表面に入射する電磁場はすべて、外側表面でのそれらの入射方向にかかわらず、内核領域へ集中される。これによって、検出器またはコレクターは、それがある位置で全方向からの強められた場と相互作用することを可能にして、電磁場が集中された内核に配置されることが可能である。空間の特定のボリュームを通り抜ける光線が、その外側表面の外側で、それら光線の当初の軌道に返される方法が記述されるので、観察者は、問題となっているボリュームと観察者との相対的な位置にかかわらず、空間のそのボリュームを光線が直接通り抜けたと結論を下す。さらに、本発明によって、内核領域内に置かれた検出器は、任意の方向から、また、その配置を見る観察者には見えない周囲のレイヤに、その材質特性を一致させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
概要すると、第1の実施形態によれば、発明は、物体のまわりの電磁力線の方向を変更することによって、物体または空間のボリュームを隠蔽する方法を提供する。隠蔽されたボリュームを通って通常流れる任意の力線は、周囲の隠蔽するボリュームを通って方向が変更される。クローキング構造体の外部では、力線はかき乱されていない(unperturbed)ままである。クローキング構造体はメタ物質から形成され、メタ物質は、問題となっている物体またはボリュームをクロークすることに必要な特殊物質パラメータを示すように設計された物質である。特に、クローキングメタ物質の誘電率εおよび透磁率μ、そしてその結果得られる屈折率nは、電磁力線を操作しかつ有効に閉じたボリュームを隠蔽するために、有効に連続的に空間的に変えることが可能である。発明の結果として、隠蔽されたボリュームは、外部の観測者に検出されない。また、隠蔽されたボリューム内の物体によって生成されたい任意の電磁放射が、それから漏れることは不可能である。
【0011】
さらなる実施形態では、発明は、内核領域の中へコンセントレータデバイスの外側表面に入射する電磁場を集中する方法を提供する。集光構造体は集中ボリュームおよび収集ボリュームを含む。集中ボリュームを通って通常流れる任意の力線は、内側の収集ボリュームへ方向を変更される。集中ボリュームを囲む集光環帯の外部では、力線はかき乱されていないままである。集光構造体は、上記のクローキング構造体用に上述された手法と似た手法でメタ物質から形成される。
【0012】
より詳細には後に概説するが、ここに記述された変換方法は、任意の所望のクローキング構造体を使用して、任意の所望のボリュームを隠蔽することに適用することが可能であるが、簡単のため、図1に示すような単純な球状の場合に関してまず記述される。図1によれば、隠されるべきボリュームは半径R1の球体100である。また、クローキング物質は、半径R1<r<R2の環帯102内に含まれている。半径R1の球体100内の確保された放射なしのボリュームを生成するために、半径r<R2の球体106を通常流れる電磁力線104はすべて、クローキング環帯102 R1<r<R2に圧縮されなければならない。すなわち、視界から半径R1の球体100を除去するために、球体100内のボリュームと環帯102内のボリュームはすべて、半径R1<r<R2の環帯102上に写像されなければならない。球体106の中間の外部r<R2では、電磁力線104はかき乱されていないままでなければならない。
【0013】
電磁波の伝播に関する理論は、よく知られ、したがって、関係のある態様だけが、発明の文脈でここに要約される。自由空間では、磁場強度Hは、方程式
【数1】
【0014】
によって、磁場強度Bおよび自由空間での透磁率μ0と関係がある。自由空間での電場Eは、方程式
【数2】
【0015】
によって、電束密度Dおよび自由空間での誘電率ε0と関係がある。誘電体では、εおよびμの値は、比誘電率εrおよび比透磁率μrによって変更され、本発明の屈折率は
【数3】
【0016】
によって与えられる。技術の熟練した人によく知られているように、3つのベクトルE、HおよびSは、相互に直交している。ポインティングベクトルSは、外積
【数4】
【0017】
によって計算可能である。ポインティングベクトルSは、電磁波の単位時間あたり単位面積あたりのエネルギーフローの方向と大きさを与える。図1に示したような線軌道図では、光線の方向が、電磁力線に対応し、ポインティングベクトルの方向に従う。したがって、本発明を実行するために、電束密度D、磁場強度BおよびポインティングベクトルSのうちのどれでも、フォーカスするか、または、方向を変更する必要がある。その結果、それらは、半径R1の球体100を回避し、それらの当初の軌道に乱されずに戻る。
【0018】
下記により詳細に記述されるように、アプローチは、さらに、方向を変更された場についてのマクスウェル方程式の解を必要とする。描写の容易さについては、特にポインティングベクトルの方向変更は次の説明で言及される。
【0019】
所望のクローキング効果を効果的に実行するためにクローキング構造体が有する電磁気的な特性を計算するために、第1のステップは、線が半径R1の球体100を通り抜けないように、ポインティングベクトルSに適用されなければならない歪みを計算することである。図2aおよび図2bで示されるように、これは、各線の最初の配置を記録することによって達成される。この配置は、球体メッシュまたはデカルトメッシュのような既知の幾何学メッシュ上で、クロークされたボリュームとクローキング物質が無い場合に生じる。例えば、図2aでは、単一線200はデカルトメッシュ202上にプロットされている。一旦、適切な線200がその上にプロットされたならば、その上にプロットされた線が、クロークされたボリュームを回避して、それらの新しい所望のパスに続くために、歪められるように、デカルトメッシュ202は伸ばされたり歪められる。その後、これを達成するためにデカルトメッシュ202に課されるひずみは、当初のデカルトメッシュ202と第2の変換されたメッシュ204との間の座標変換として記録されることが可能である。ここで、第2メッシュは以下によって定義される。
【数5】
【0020】
この第2メッシュ204では、一定のq2、q3の線は一般化されたq1軸などを定義する。逆に、以下のことが理解できる。第2メッシュ204がq1軸、q2軸、およびq3軸に沿った等しい増分によって定義された1セットの点を備えていれば、それは図2aおよび図2bの比較が明白に実証するように、x、y、zのデカルトフレームで歪みがあるように見える。
【0021】
この変換を実行する利点は、下記に述べられるように、当初の幾何と同様な変換された幾何の形式でマクスウェル方程式を解くことが可能であることが示されるかもしれないということである。この変換では、εおよびμの空間的に歪められた値の対応する変換だけは必要である。これは、誘電率εおよび透磁率μの値と、その結果得られる空間での屈折率nの変化が、光線によって見られるような空間の幾何を歪めることと等価であるとの認識から直観的に理解されうる。このアプローチは、屈折率
【数6】
【0022】
の修正よりもεとμの値の個々の修正を特に扱うことに注意する。特に、これは、インピーダンス(Z)マッチングを保証することによって取り除かれる異なる媒体のインターフェース間での反射を許容する。ここで、インピーダンスは、以下のようになる。
【数7】
【0023】
熟練した人に知られているように、デカルト座標系でのマクスウェル方程式は以下の形式をとる。
【数8】
【0024】
ここで、誘電率εおよび透磁率μの両方は位置に従属する。付録1に記述されているように、座標変換がこれらの方程式に適用される場合、新しい座標系では、それらは以下の形式をとる。
【数9】
【0025】
ここで、εおよびμは一般的にはテンソルであり、
【数10】
【0026】
はリノーマライズされた電場、磁場である。4つの量はすべて、当初のものと単純な関係がある。言いかえれば、マクスウェル方程式の形式は座標変換によって保存される。座標変換は、我々がマクスウェル方程式を依然として解いているという事実を変更せず、単にε、μの定義を変更する。
【0027】
特に、付録1に詳細に示されるように、μおよびεの変換の影響は共通因子によりそれらを両方ともスケーリングすることである。この一般化された解は付録1に示されている、しかし、直交幾何(デカルト、球状または円柱状)の場合には誘電率および透磁率のリノーマライズされた値は以下のようになる。
【数11】
【0028】
ここで、
【数12】
【0029】
および
【数13】
【0030】
図1に示されるような球状の場合に戻ると、当初の線配置をプロットするメッシュの自然な選択は、球状のものである。球状の場合は座標r、θ、φを用いる。座標変換は、半径r<R2の球体106内の場をすべて採用し、それらを圧縮して半径R1<r<R2の環帯102に詰め込むことにより作用する。これは形式の何らかの変換によって達成される。
【数14】
【0031】
ここで、f(r)はrの単調に増加する関数であり、これは、半径R2の球体106の全内部を、それぞれが半径R1およびR2の2つの球体100、106によって境を接する環帯に写像する。力線が放射状にのみ圧縮されているので、φとθに関しては対称である。したがって、それらの角度の位置決めは歪んでいない。
【0032】
方程式(8)の最も単純な解はf(r)=rの場合である。それは単純化して、以下の式を与える。
【数15】
【0033】
クローキング環帯物質が半径R1の球体100内の任意の物体をクロークする所望の結果を達成するように、クローキング環帯102物質に必要な電磁的な特性を確認するために、r、φ、θに課された変換は、付録1での一般的な場合に示されるように、類似した手法でεおよびμに適用されなければならない。空間の各点(x、y、z)では、εおよびμは、変換された幾何での球座標値(ε’r、ε’θ、ε’φ)、(μ’r、μ’θ、μ’φ)に変換されなければならない成分(εx、εy、εz)、(μx、μy、μz)を有する。
【0034】
これを2ステップで行う。
まず圧縮のない球座標へ変換する。
【数16】
【0035】
その結果、上記方程式(4)に示されるように、新しいフレームで、
【数17】
【0036】
計算すると、
【数18】
【0037】
したがって、
【数19】
【0038】
ここで、εr、εθ、εφは、当初のデカルトのフレームでの誘電率テンソルの3つの成分である。我々は誘電率および透磁率は等しいと仮定する。rの適切な係数を取り除くことによって、式(A4)からεr、εθ、εφのデカルトを容易に抽出することができることを注意する。
【0039】
半径R1の球体の内部の保護された空間を作るために、我々は、それと共に任意の線軌道をとりつつ半径が圧縮される新しい円柱系へのさらなる変換を作る。コンピュータプログラムはデカルト座標で正常に動作し、したがって、r’の係数を取り除くことによって、圧縮されたデカルト系x’y’z’に関して圧縮された動径座標系を書き換えることは可能であることに注意する。
【0040】
方程式(9)からの変換を考えて、
【数20】
【0041】
これらは次のように書き換えられる。
【数21】
【0042】
計算して、
【数22】
【0043】
その結果、新しいフレームでは、R1<r’<R2において、
【数23】
【0044】
あるいは、式(A4)と比較することによって容易に行なわれるデカルト座標フレームx’y’z’でのこれらの値を再解釈することができる。
【数24】
【0045】
ここで我々は、最初の物質は真空であると仮定する。
【0046】
R2<r’において、
【数25】
【0047】
自由空間では、εr’=μr’=εθ’=μθ’=εφ’=μφ’=1(11)
である。
【0048】
r’<R1においては、放射はこの領域に入り込むことはあり得ないので、我々は誘電体関数に合わせて適当に任意の値を選んでよい。この領域では、ε’、μ’は、目に見えることのないままで、制限のない任意の値をとることができ、電磁気散乱に寄与しない。これは、ボリュームの形またはサイズにかかわらず、すべてのクロークされたボリュームの場合になる。
【0049】
適切なクローキング物質が、半径R1<r<R2の環帯102に、実装されることが可能であれば、これは半径R1の中央領域100に入ることからすべてのフィールドを除外し、反対に、すべてのフィールドがこの領域から逃げるのを防ぐ。したがって、隠蔽された半径R1の球体100に配置された、クローキング構造体自体および任意の物体は、反射または透過のいずれにおいても検出可能でない。媒体の中のすべての点で、インピーダンス不整合によって引き起こされた、媒体で不要な反射がないようなインピーダンス
【数26】
【0050】
が発生することに注意する。
【0051】
インピーダンス
【数27】
【0052】
がメタ物質のすべての点で達成されれば、クローキング構造体および隠蔽されたボリュームが、単に自由空間を含むように見えて、したがって、もし自由空間に埋め込まれていれば見えなくなることに注意する。クローキング構造体が別の媒体に埋め込まれていれば効果は異なる。例えば、水に埋め込まれていれば、それは泡が現れる。クローキング構造体を別の媒体において見えなくするために、2つの間の接触面で周囲の媒体のμおよびεに対する、メタ物質のμおよびεの比を一致させる必要がある。熟練した人が理解できるように、これはクローキング構造メタ物質でεおよびμの数値を変更するが、付録1で概説した一般変換理論は同様である。すなわち、本発明によって、互いと無関係にメタ物質でのεおよびμを制御することが可能であるから、その環境のインピーダンスにメタ物質のインピーダンスを一致させるために、zの任意の所望値を達成することは可能である。
【0053】
図1では、クローキング環帯102は比較的厚く描かれているが、これはそうである必要がない。その解はシェル厚さまたは他の長さ規模に依存しない。それは任意のスケーリング問題に影響を受けないほどのものである。さらに、解は波長λに依存しないので、提供される解は、近くの場と遠くの場の両方で維持される。これは図1および図3に示されている。例証の目的のために、我々がポインティングベクトルをプロットするために線(レイ)近似を用いることが可能であるように、λが波長である場合、R2>>λを仮定する。その後、我々のシステムが、無限遠にある放射源に露出される場合、我々は、図1に示される線投写課題を実行することが可能である。この図の線104は、異方性、異質性がある媒体でのマクスウェル方程式の幾何学的な限界を取ることによって得られた1セットのハミルトン方程式の数値積分に起因している。この積分は、(9)と(10)によって特定される配置が内部領域100から線を排除することの、独立した確証を提供する。それとは別に、R2<<λかつ我々が点電荷306のそばに位置する場合、静電気(または静磁気)の近似が適用される。局所的な静電変位場のプロットは図3に示される。
【0054】
上で概説された理論的な解は、線軌道を計算する線追跡プログラムを用いて実証することが可能である。そのようなプログラムによれば、規定された物質は、「クローク」されているか、または、ユーザに見えないようにされている中央のボリュームのまわりで存在すると仮定される。入力として規定されたパラメータを用いて、線追跡符号は理論的な予測を確認する。いくつかの既存プログラムは本発明の課題の複雑さを扱うことができないが、この種の線追跡プログラムは当業者によく知られている。図4aおよび図4bでは、幾何学的限界(つまり、零波長限界)でマクスウェル方程式を解くためにハミルトンの公式化に基づいた特注のカスタムの線追跡符号から開発された線追跡プログラムが使用されている。結果は、球状の構造体400および円柱状の構造体402でそれぞれ示されている。ここで、下のように示されるように、円柱の場合での変換されたパラメータεおよびμは、球体でのそれらに似た方法で計算される。
【0055】
まず圧縮のない円柱座標へ変換する。
【数28】
【0056】
その結果、新しいフレームでは、
【数29】
【0057】
計算し、
【数30】
【0058】
したがって、
【数31】
【0059】
ここで、εr、εθ、εZは、当初のデカルトフレームでの誘電率テンソルの3つの成分であり、誘電率と透磁率は等しいと仮定する。rの適切な係数を取り除くことにより、(A13)から容易にεr、εθ、εZのデカルトの観点を抽出することが可能であることに注意する。
【0060】
円柱半径R1の内部の保護された空間を生成するために、それを備えた任意の線軌道を取り入れて半径が圧縮される新しい円柱系へのさらなる変換を行う。コンピュータプログラムはデカルト座標で動作し、したがって、r’の係数を取り除くことによって、圧縮されたデカルト系x’y’z’に関しては圧縮された動径座標系を再表現することが可能であることに注意する。
【0061】
次の変換を考える。
【数32】
【0062】
または、
【数33】
【0063】
計算し、
【数34】
【0064】
その結果、新しいフレームでは、
R1<r’<R2について、
【数35】
【0065】
R2<r’について、
【数36】
【0066】
r’<R1については、放射がこの領域に入り込まないので、誘電体関数のために、好ましい任意の値を選んでよい。
あるいは、(A4)と比較することによって容易に行えるデカルト座標フレームx’y’z’でこれらの値を解釈し直すことが可能である。
【数37】
【0067】
ここで、初期物質は真空であると仮定している。
【0068】
図4aおよび図4bは、入射線404、406が、理論的な解によって予測されるように、中央領域400、402のまわりで迂回し、明らかにかき乱されていないクローキング領域408、410から出現することを示す。
【0069】
理論的な解が線追跡法によって確認されている一方、発明を実施するために、クローキング構造体を形成する適切な物質が開発されている。
【0070】
クローキング構造体の物質パラメータは、ε’の成分がμ’の成分と等しく、ε’およびμ’が空間の至る所で変化し、ε’およびμ’のテンソル成分が独立して変化することを要求する。予期される物質は、したがって異質性かつ異方性がある。さらに、物質パラメータε’およびμ’は、1未満の値を仮定し、かつ、隠蔽された領域とクローキングシェルとの間の接触面で0に接近しなければならない。さらに、方程式(6)がr’=R1で特異であることに注意する。これは、球体100(図1)の中心の方へ直接向かっている線を考慮することによってわかるように、避けられない。この線は、上か下か、左か右かに逸れるべきかどうかを知らない。近隣の線104はそれらがある臨界の線に近いほどますますきつい弧の周囲で曲がっている。これは、一方で、ε’およびμ’の非常に急な勾配を意味する。空間が異方に圧縮されているので、パラメータε’およびμ’はクローキング物質で必ず異方性である。同じ周波数帯でεおよびμに関して一致する値を見つけることは起こらないので、拘束のこのセットは、例えば、従来の物質により到達可能ではない。しかしながら、人工物質で過去数年にわたって生じた飛躍的進歩を与えられて、仕様をみたすメタ物質は実際に設計することが可能である。
【0071】
メタ物質は、従来の物質で達成することが困難、または、不可能な電磁気特性を示す人工的に構築された「物質」である。電磁気の視点から、物質を通り抜ける波動の波長λは、原子レベルでの物質および特性がεおよびμを決定すると、集められた原子または他の物体が見なされることが可能であるかどうかを決定する。しかしながら、電磁気パラメータεおよびμは、原子または分子の応答から厳密に生じる必要はない。そのサイズおよび間隔がλよりもはるかに小さい収集された任意の物体は、εおよびμによって記述することが可能である。その場合、εおよびμの値は構造化された物体の散乱特性によって決定される。そのような異質の収集は物質の直観的な定義を満たさなくてもよいが、構造体を通り抜ける電磁波は見分けることが可能でない。また、電磁気視点から見て、我々は人工物質、またはメタ物質を作成した。メタ物質のこの特性は、参考文献としてここに引用される”Metamaterials and Refractive Index”, D R Smith, J B Pendry, MCK. Wiltshire, VOL 305, SCIENCE 061081 (2004).の中でさらに説明されている。
【0072】
あるメタ物質によって示された1つの有用な特性は、人工的な磁気特性である。外場が電流を誘導することが可能なワイヤループの非磁性アレイからなる構造体は、結果的に、有効な磁気反応を生成することが見つかった。図5に示されるように、そのような1つの設計はいわゆる「スイスロール」構造体である。ロール500は円柱504のまわりに絶縁された金属シートを巻き付けることによって製造される。1cm直径円柱上に約11の回転での設計は、21MHzで共振応答を与える。メタ物質はこれらの円柱の多くをともに積み重ねることにより形成される。この構造体では、巻かれた銅シートは、共振を生成する自己容量および自己インダクタンスを有する。この共振が作動したときに流れる電流は、高い値に完全に到達することができる実効透磁率に応じて、印加された磁場に強く結合する。自己容量による場合以外はコイルのまわりで電流が流れることはできない。図6に示されるように、円柱600に平行な磁場がスイッチオンされると、それが、互いに距離dだけ離れて配置されている巻かれたシート602に電流(j)を誘導する。コイルの最初の回転604と最後の回転606との間の電気容量によって電流が流れることが可能である。これは、参考文献としてここに引用される”Magnetism from Conductors and Enhanced Non-Linear Phenomena”, J B Pendry, A J Holden, D J Robbins and W J Stewart IEEE Trans. Micr. Theory and Techniques, 47, 2075 (1999)にさらに記述されている。
【0073】
スイスロール構造体に関する1つの課題は、印加された電場が円柱に平行でない場合、金属円柱による連続な電気パスがメタ物質を実効的な金属のように反応させることである。したがってある応用でのその有用性を制限する。この望ましくない効果を避ける、同じ論文に記述されている適応物は、分割リング共振器(SRR)である。図7に示されるように、SRRは一連の分割リングから構築される。各分割リング700は少なくとも2つの同心の薄い金属リング702、704を備え、それらは幅cであり、距離dだけ離れて配置され、それぞれギャップ706、708を有する。円柱が提供する連続的な電導性のパスを除去することにより、SRRは、この方向に沿ったほとんどの電気的な作用を除去する。
【0074】
図8に示されるように、距離a離れて配置されている一連の分割リング802から、平面状の分割リング構造体800を形成することが可能である。図8に示される2次元の正方形アレイ800は、金属インクで印刷することにより作ることが可能である。その後、各印刷シートが不活性な物質の厚さaの固体ブロックに固定される場合、ブロックはリングの柱を与えるために積み重ねることが可能である。これは、積み重ねる方向(z軸の方向)に沿った磁気作用を確立する。
【0075】
積み重ねられたSRR構造体の単位セル900は、左側の図9に示される。z軸に沿って積み重ねられたリングの連続した層を備えるような構造体から開始する対称な3次元構造体を形成することは可能である。これは、構造体を一連の厚さaのスラブに切り、y−z平面の中で切り込みを加えて、輪のうちのどれを通っても切らないようにするように注意することにより達成可能である。新しい平板の各々は、リングの層を含んでいるが、リングはそれぞれスラブの平面に垂直で、その中に埋め込まれている。次の段階は、各スラブの表面上にリングの別の層を印刷し、再びスラブをともに積み重ねることである。この第2の構造体の単位セル902は図9の真中に示されている。最終ステップでは、スラブの3番目の集合は、x−z平面で切り、スラブの表面上に印刷し、新たに組み合わせることによって生成される。この結果として、単位セル904が図9の右側に示される立方体対称を有する構造体が生成される。
【0076】
同様に、εは、参考文献としてここに引用される”Extremely Low Frequency Plasmas in Metallic Mesostructures”, J B Pendry, A J Holden, W J Stewart, I Youngs, Phys Rev Lett, 76, 4773 (1996)に記述されているような細いワイヤのアレイによって決定されることが可能である。
【0077】
したがって、知られている技術は、上述されているようなこの発明を実施するのに必要なメタ物質を構築することに適用することが可能である。物質は多くの単位セルを備えている。単位セルのそれぞれは、ε’およびμ’に関し所定値を有していて、それらは上記の方程式(4)(または、直交でない場合は、付録1の方程式(23))によって決定される値に対応している。熟練した読者には明白なように、これは、その放射状に隣接するセルのε’およびμ’の値に対して、わずかに異なる値を有している各単位セルを含んでいてもよい。メタ物質の中の単位セルはそれぞれ隠蔽するボリューム要素として動作する。隠蔽するボリューム要素は、上に概説された方法によって計算されるように、クローキング構造体を形成するために正確なそれぞれの空間位置で組み立てられる。クローキング構造体は、その結果、囲まれたボリュームの電磁気隠蔽に必要な、空間的に分散された物質パラメータ値を有する。
【0078】
上に概説された理論の実際的な実施については、3次元クローキング構造体はほとんどの場合で必要になる。固体の合成メタ物質の構造体は、屈折率分布型レンズを製造するために用いられる組み立て技術に類似している技術を用いて形成することが可能である。そのような1つの知られている構造体1000が図10に示される。この図では、SRRおよびワイヤが、所望の物質応答を提供するために、標準回路ボード上にリソグラフィク的に対向側にデポジットされている。これは、参考文献としてここに引用される”Reversing Light with Negative Refraction”, JB Pendry, DR Smith, Physics Today, June 2004に、より詳細に記述されている。
用いられるメタ物質の単位セル構造体は、理論的な解によって要請されているように、パラメータの連続的変化および異方性を達成することが可能であることを保証する。クローキングと無関係なので、上述された変換理論の別の応用は、場を集中させるためのデバイスである。図11は、内核領域(114)の上にその外側表面(110)上に入射する電磁場を集中させるコンセントレータを示す。コンセントレータを特徴づける変換は、球面幾何学に関して、図11に示される。デバイス(110)の外部半径はR3である。半径R2(R2<R3)を備えた空間(112)の集中ボリュームは半径R1の収集ボリューム(114)に圧縮される。R2とR3の間にあるシェルボリューム(116)は、図11が表すように、R1とR3の間の領域(118)を満たすために拡張される。中核(112)を一様に圧縮し、シェル領域(116)を線形の動径関数で引き延ばす、この変換の単純な例は、次式で与えられる。
【数38】
【0079】
そして、コンセントレーションデバイスでの透磁率とパーミッティングの最終的な物質特性は、以下のようになる。
【数39】
【0080】
ここで、物質特性は外部環境に比較して与えられる。クローキング構造体でのように、外部環境は自由空間または他の媒体でよい。
【0081】
任意に小さいボリュームへ場を集中させるために、R1→0にし、以下を得る。
【数40】
【0082】
もし球体の集中断面をその球体の外側半径に等しくしたい場合は、R2→R3とする。
【数41】
【0083】
これは完全な場コンセントレータである。コンセントレータで必要とされる物質パラメータは、クローキング構造体に関して記述されるようなメタ物質の使用を通じて達成されることが可能である。誘電率εおよび透磁率μは、メタ物質の各単位セルの中の3次元のそれぞれで、互いに無関係に制御することが可能である。
【0084】
コンセントレータデバイスは、任意の方向から入射する場に影響するという点で独特であり、集束レンズおよびミラーとは異なっている。電磁気感知または環境発電の応用について、検出器またはコレクターは、中核(114)に置かれ、その位置で強められた場と相互作用する。このデバイスの有用性の一部は、場のソースの方向が初期に未知であるか、または、絶えず変化している場合、(例えば、太陽エネルギー収集、または、モバイルプラットフォーム上でのマイクロ波エネルギービーミング)場の集中である。
【0085】
コンセントレータの中核(114)に置かれた検出器は、エネルギーを集めるのと同様に正確な方向情報を提供するように、容易に構成することができるかもしれない。これは、例えば、8つの象限にパターン化された、球形の検出器を用いて、行うことができるかもしれない。模様が付けられた各象限から集められたエネルギーを比較することによって、正確な方向情報は得られる。検出器は球状である必要がない。薄い円板である中核領域にもたらす変換が使用されることが可能かもしれない。これによってコンセントレータが共通の平面の検出器と互換性をもつようになるだろう。
【0086】
デバイスは、検出器にインピーダンス整合を与えることも可能である。これは、所望の検出器に逆変換を適用し、それを中核半径R1から半径R2まで拡張することによって、達成される。その後、インピーダンス整合層を設計し(R1とR3の間)、変換された検出器をその環境に整合させることは可能である。そして、このインピーダンス整合層は、R1とR3の間の領域(118)を満たすためにそれを伸長するフォワード変換で変換される。R1とR3の間に生じるシェル層は、集中とインピーダンス整合関数の両方を提供する。
【0087】
クローク構造体のように、コンセントレータ(110)は、その環境に完全に一致させることができる。その結果、場が検出器によって中核(114)で乱されない場合、デバイス(110)は外部の電磁気プロービングによって検出不可能である。このデバイス(110)は、場の近傍および遠距離のレジームの両方で、かつ、任意のサイズかつ波長で、作動することができる。この変換の基本的な形式は他の基本的な幾何(例えば、円柱状)に適用するか、または任意に形作られた物体に共形的に(conformally)適用することが可能である。図12は、半径R3の球(122)上に入射する点ソース(120)から、半径R1の内核領域(124)への力線または線の集中を示している。
【0088】
上に概説された座標変換マッピング理論は、電磁波の伝播を方向転換することに関して記述されている。しかしながら、電磁波と、音波のような他の伝播波との間で著しい類似点があることに注意する。特に、この理論は、音響のクローキングを与える密度および剛性のような物質の機械的特性のための仕様を得るために適用されてもよい。そのようなクロークは、例えば、ソナー検知から身体を隠すために用いられてもよい。
【0089】
上記のクローキング理論の説明は、主として物体の隠蔽に向けられている一方、クロークされたボリュームからクローキングシェルへの電磁気障害の転換は、電磁気のクワイエットゾーンを内側に生成することが認識される。方程式(9)は、クワイエットゾーンの内部の物体によって生成された任意の電磁放射はそれから出現することができないと決定づけている。これは、電磁気干渉シールドの応用、例えば、MRI装置の内部、で使用されてもよい。同様に、音響のクワイエットゾーンも達成されてもよい。
【0090】
本発明の応用は、図に示されるようなクローキングおよびコンセントレータ構造体に限定されない。付録1に明白に示されているように、ここに提供される数学的な解は任意の形状の構造体をクロークするために適用される。さらに、ボリュームがクロークされれば、そこに置かれた任意の形状または物質の物体は、反射モードまたは透過モードのいずれかでも、外部の感触者により検知することはできない。
【0091】
ここに記述された方法は、任意の適当な座標系の間での、当初のフレームでの座標の任意の適切な関数を使用する、任意の適当な座標変換に適用するために使用されることが可能である。内部で物質を隠蔽するために使用されるクローキング構造体は、任意の形状または厚さになり得る。特に、クローキング構造体は、その中で隠蔽されるべき物体と同じ形状にしたがう必要はない。熟練した読者には以下のことは明白であろう。すなわち、ここで記述された方法は、電磁放射の全ての周波数を変換するために使用されることが可能であり、ある与えられた応用にとっては、この方法は、赤外、電波、可視光、X線、マイクロ波、および、レーダを含む電磁スペクトラムの任意の特定の周波数範囲での放射に適用することができる。
【0092】
示された例では、インピーダンス整合は、比率
【数42】
【0093】
によって達成される。熟練した読者には明らかなように、ここに記述された種類のインピーダンス整合は
【数43】
【0094】
で達成することが可能である。ここで、mは任意の実数の一定値である。特に、μ/εの所望の比率は、クローキング構造体が埋め込まれる媒体に依存する。
【0095】
発明が好ましい実施形態を参照して特に示され記述されているが、形式および詳細の様々な変更が、添付されたクレームによって包含された発明の範囲から出発することなく、そこで行なわれてもよいことは当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
付録1
一般座標変換用のε、μのスケーリング
我々はデカルト座標系でのマクスウェル方程式から出発する。
【数44】
【0097】
ただし、εおよびμの両方は位置に依存してもよい。次式によって定義された一般系に変形する。
【数45】
【0098】
一定のq2、q3のラインは一般化されたq1軸などを定義する。したがって、q1、q2、q3軸に沿った等しいインクリメントにより1セットの点を定義すれば、メッシュは当初のx、y、z座標フレームの中で歪められたように見える。図1を参照。
【表1】
【0099】
図1.1つの座標系(左)での点の単純立方格子は、別の座標系(右)での歪曲されたメッシュへ写像する。正確に座標変換を選択することは、歪みをコントロールし、我々の要請に適合したメッシュを生成することが可能である。
【0100】
上に定義されるようなマクスウェル方程式は当初のデカルト系で書かれている。q1、q2、q3で表現された時、方程式の新しい集合はどの形式をとるか。答えは驚くほど単純である。新たな座標系でのマクスウェル方程式は以下のようになる。
【数46】
【0101】
ただし、
【数47】
【0102】
は一般テンソルである。また、
【数48】
【0103】
はリノーマライズされた、電場と磁場である。4つの量はすべて、当初のものと単純に関係づけられている。言いかえれば、マクスウェル方程式の形式は座標変換によって保存されている。座標変換は、我々がマクスウェル方程式を解いているという事実を変更することなく、単に
【数49】
【0104】
の定義を変更する。
【0105】
我々は、一般化されたq1、q2、q3軸に沿って示すために、3つの単位ベクトルu1、u2、u3を定義する。線要素の長さは次のように与えられる。
【数50】
【0106】
ただし、
【数51】
【0107】
特に、我々は、3つの軸のうちの1つに沿って導かれた1つの線要素の長さを必要とする。
【数52】
【0108】
ただし、省略表現のために、
【数53】
【0109】
▽×Eを計算するために、小さな要素を考察する。小さな要素が平行六面体(図2)に類似するほど小さい。ここでは、我々は、座標系が、異なった方向に突然立ちはだかる点や線のような特異点を持たないと仮定している。
【表2】
【0110】
図2.平行六面体に似ている小さな要素。
【表3】
【0111】
図3.▽×Eを見つけるための積分経路。
【0112】
まず我々は、u1−u2平行四辺形のまわりの線積分を行い、ストークスの定理(図3)を適用することにより、u1−u2平面の垂線上への▽×Eの射影を計算する。次のように定義する。
【数54】
【0113】
すなわち、
【数55】
【0114】
または、
【数56】
【0115】
ここで、我々は、ベクトルの反変成分用の、慣習的な上付き添え字表記法を使用している。以下のように定義した。
【数57】
【0116】
方程式(10)の右辺は、新しい座標系で値を求められたcurlの単なる第3成分であることに注意する。マクスウェル方程式に適用する。
【数58】
【0117】
我々は反変成分でHを書くと、次のようになる。
【数59】
【0118】
それは次のように、共変成分で表現することが可能である。
【数60】
【0119】
ただし、第1部分はgを定義し、
【数61】
【0120】
gの逆をとると、次式を与える。
【数62】
【0121】
(12)へ方程式(13)を代入すると、次式を与える。
【数63】
【0122】
次式のように定義する。
【数64】
【0123】
および
【数65】
【0124】
その結果、
【数66】
【0125】
したがって、方程式(10)から代入して、
【数67】
【0126】
およびEとHとの場の間の対称により、
【数68】
【0127】
ただし、
【数69】
【0128】
新しい座標系が直交系(例えば、円柱状または球状)の場合、これらの表現がかなり単純化することに注意する。その場合には、
【数70】
【0129】
直交バージョンは本文の中で引用される。
【図1】図1は、そのR2>>λと仮定して、半径R1<r<R2の環帯内にクロークされた半径r<R1の球体の断面線軌道図である。
【図2a】図2aは、デカルトメッシュ上にプロットされた自由空間の中で力線を示す。
【図2b】図2bは、両方とも同じ変換によって歪曲された図2aの力線および背景座標を示す。
【図3】図3は、R2<<λを仮定して、点電荷に接近して配置された半径R1<r<R2の環帯内にクロークされた半径r<R1の球体の静電場変位力線の断面図である。
【図4a】図4aは、本発明による、クロークされたボリュームのまわりの電磁気線の迂回路の三次元描写である。
【図4b】図4bは、本発明による、クロークされた表面のまわりの電磁気線の迂回路の三次元描写である。
【図5】図5は、「スイスロール」メタ物質の正面透視図を示す。
【図6】図6は、図5の「スイスロール」メタ物質の上面図を示す。
【図7】図7は、単一の分割リングメタ物質を示す。
【図8】図8は、格子面間隔aの正方形アレイでの分割リング構造の平面図を示す。
【図9】図9は、単位セルレベルに三次元の分割リング共振器(SRR)の形成を描写する。
【図10】図10は、SRRおよびワイヤを含む、先行技術のネガティブインデックスメタ物質である。
【図11】図11は、空間半径R2の球状ボリュームが空間半径R1のより小さなボリュームに圧縮される半径R3のコンセントレーションデバイスの断面線軌道図である。
【図12】図12は、半径R3の球体に投射する点光源からの線が、内側の半径R1の球体へ集中される断面線軌道図である。
【符号の説明】
【0130】
100・・・球体、中央領域、内部領域、102・・・クローキング環帯、104・・・電磁力線、106・・・球体、200・・・線、202・・・デカルトメッシュ、204・・・メッシュ、306・・・点電荷、400・・・球状構造体、400・・・中央領域、402・・・円柱状構造体、404・・・入射線、408・・・クローキング領域、500・・・ロール、504、600・・・円柱、602・・・シート、604・・・最初の回転、606・・・最後の回転、700,802・・・分割リング、702・・・金属リング、706,708・・・ギャップ、800・・・正方形アレイ、800・・・分割リング構造体、900,902,904・・・単位セル、1000・・・構造体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隠蔽可能なボリュームの周囲に、複数の隠蔽するボリューム要素を構築し、各隠蔽するボリューム要素は、隠蔽可能なボリュームの周囲に伝播波を導くように定めた物質パラメータを有している、隠蔽するボリュームを構築する方法。
【請求項2】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの1つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記伝播波は電磁波を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記物質パラメータは、電気誘電率と磁気透磁率のそれぞれを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記隠蔽するボリュームはメタ物質である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
各要素は、誘電率および透磁率の値をそれぞれ提供する導電性ワイヤおよび分割リングのうちの少なくとも1つを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記隠蔽するボリュームは、出て行く伝播波が観測者にとってかき乱されていないように見えるように入って来る伝播波を迂回させるように設計されている請求項1に記載の方法。
【請求項8】
隠蔽可能なボリュームの周囲に供給のための隠蔽するボリュームを設計する方法であって、隠蔽可能なボリューム空間を隠蔽するボリューム空間にマッピングする座標変換を識別し、前記隠蔽可能なボリューム空間での空間的に分布した物質パラメータ値に、対応する変換を適用する方法。
【請求項9】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの少なくとも1つを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項8に記載の隠蔽するボリュームを設計し、前記変換された物質パラメータ値を有する複数の要素を構築し、前記要素をそれぞれ変換された空間位置で組み立てることを含む、隠蔽するボリュームを構築する方法。
【請求項11】
前記組み立てられた要素はメタ物質を形成する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
隠蔽可能なボリュームの周囲に伝播波を導くように定めた物質パラメータをそれぞれ有する複数の隠蔽するボリューム要素を含む、隠蔽可能なボリュームを隠蔽する、隠蔽するボリューム。
【請求項13】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの少なくとも1つを含む請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項14】
前記隠蔽するボリューム要素はメタ物質を形成する請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項15】
各隠蔽するボリューム要素は、電気誘電率または磁気透磁率の値をそれぞれ提供する電気導電性ワイヤおよび分割リングのうちの少なくとも1つを含む請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項16】
前記隠蔽するボリューム内に、隠蔽されたボリュームをさらに含む請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項17】
帯域幅を向上させる複数の要素をさらに含む請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項18】
請求項1に記載の方法を行う1セットの指示を含むコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータ読取可能な媒体の指示で作動するコンピュータ。
【請求項20】
請求項8の方法に従って導出された、隠蔽するボリューム要素物質パラメータデータを格納するコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項21】
可視、赤外、紫外、X線、ラジオ、レーダ、マイクロ波の電磁スペクトラム帯のうちの少なくとも1つでクローキングするような請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項22】
前記伝播波は音波であり、前記物質パラメータは密度および剛性のうちの少なくとも1つを含む請求項18に記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項23】
集中ボリュームおよび収集ボリュームを形成する複数のコンセントレータ要素を構築し、各コンセントレータ要素は、前記集中ボリュームから前記収集ボリュームへ伝播波を導くように定めた物質パラメータを有している、コンセントレータを構築する方法。
【請求項24】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの1つを含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記伝播波は電磁波を含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記物質パラメータは、電気誘電率と磁気透磁率のそれぞれを含む請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記コンセントレータはメタ物質である請求項24に記載の方法。
【請求項28】
各要素は、誘電率および透磁率の値をそれぞれ提供する導電性ワイヤおよび分割リングのうちの少なくとも1つを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記コンセントレータは、出て行く伝播波が観測者にとってかき乱されていないように見えるように入って来る伝播波を迂回させるように設計されている請求項23に記載の方法。
【請求項30】
集中ボリュームの周囲に供給のためのコンセントレータを設計する方法であって、前記集中ボリューム空間を収集ボリューム空間にマッピングする座標変換を識別し、コンセントレータ空間での空間的に分布した物質パラメータ値に、対応する変換を適用する方法。
【請求項31】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの少なくとも1つを含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項36に記載のコンセントレータを設計し、前記変換された物質パラメータ値を有する複数の要素を構築し、前記要素をそれぞれ変換された空間位置で組み立てることを含む、コンセントレータを構築する方法。
【請求項33】
前記組み立てられた要素はメタ物質を形成する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記集中ボリュームから収集ボリュームへ伝播波を導くように定めた物質パラメータをそれぞれ有する複数のコンセントレータ要素を含む、集中ボリュームを集中するコンセントレータ。
【請求項35】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの少なくとも1つを含む請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項36】
前記コンセントレータ要素はメタ物質を形成する請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項37】
各コンセントレータ要素は、電気誘電率または磁気透磁率の値をそれぞれ提供する電気導電性ワイヤおよび分割リングのうちの少なくとも1つを含む請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項38】
前記集中ボリューム内に収集ボリュームをさらに含む請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項39】
帯域幅を向上させる複数の要素をさらに含む請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項40】
請求項23に記載の方法を行う1セットの指示を含むコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項41】
請求項40に記載のコンピュータ読取可能な媒体の指示で作動するコンピュータ。
【請求項42】
請求項30の方法に従って導出された、コンセントレータ要素物質パラメータデータを格納するコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項43】
可視、赤外、紫外、X線、ラジオ、レーダ、マイクロ波の電磁スペクトラム帯のうちの少なくとも1つで集中するような請求項34に記載の隠蔽するコンセントレータ。
【請求項44】
物質内で伝播波を制御する方法であって、前記物質によって示される磁気透磁率および電気誘電率の値を互いに独立に制御する方法。
【請求項45】
前記物質はメタ物質である請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記伝播波は電磁波を含む請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記伝播波は隠蔽可能なボリュームを迂回するように制御される請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記伝播波は集中ボリュームから収集ボリュームへ導かれるように制御される請求項44に記載の方法。
【請求項49】
物体の物質パラメータ値の空間分布を定義する方法であって、変換前物質パラメータ値空間分布を有するボリュームに関して空間座標変換を行い、変換後物質パラメータ値空間分布を有するメタ物質から物体を構築する方法。
【請求項50】
物体の物質パラメータ値の空間分布を定義する方法であって、変換前物質パラメータ値空間分布を有するボリュームに関して空間座標変換を行い、前記空間分布は前記物体を囲むボリュームに影響を及ぼし、変換後物質パラメータ値空間分布が前記物体を囲むボリュームに同様な影響を及ぼすように前記空間変換が選択される方法。
【請求項51】
前記囲むボリュームは、物体の存在により電磁放射のかき乱れがない請求項50に記載の方法。
【請求項1】
隠蔽可能なボリュームの周囲に、複数の隠蔽するボリューム要素を構築し、各隠蔽するボリューム要素は、隠蔽可能なボリュームの周囲に伝播波を導くように定めた物質パラメータを有している、隠蔽するボリュームを構築する方法。
【請求項2】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの1つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記伝播波は電磁波を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記物質パラメータは、電気誘電率と磁気透磁率のそれぞれを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記隠蔽するボリュームはメタ物質である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
各要素は、誘電率および透磁率の値をそれぞれ提供する導電性ワイヤおよび分割リングのうちの少なくとも1つを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記隠蔽するボリュームは、出て行く伝播波が観測者にとってかき乱されていないように見えるように入って来る伝播波を迂回させるように設計されている請求項1に記載の方法。
【請求項8】
隠蔽可能なボリュームの周囲に供給のための隠蔽するボリュームを設計する方法であって、隠蔽可能なボリューム空間を隠蔽するボリューム空間にマッピングする座標変換を識別し、前記隠蔽可能なボリューム空間での空間的に分布した物質パラメータ値に、対応する変換を適用する方法。
【請求項9】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの少なくとも1つを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項8に記載の隠蔽するボリュームを設計し、前記変換された物質パラメータ値を有する複数の要素を構築し、前記要素をそれぞれ変換された空間位置で組み立てることを含む、隠蔽するボリュームを構築する方法。
【請求項11】
前記組み立てられた要素はメタ物質を形成する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
隠蔽可能なボリュームの周囲に伝播波を導くように定めた物質パラメータをそれぞれ有する複数の隠蔽するボリューム要素を含む、隠蔽可能なボリュームを隠蔽する、隠蔽するボリューム。
【請求項13】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの少なくとも1つを含む請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項14】
前記隠蔽するボリューム要素はメタ物質を形成する請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項15】
各隠蔽するボリューム要素は、電気誘電率または磁気透磁率の値をそれぞれ提供する電気導電性ワイヤおよび分割リングのうちの少なくとも1つを含む請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項16】
前記隠蔽するボリューム内に、隠蔽されたボリュームをさらに含む請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項17】
帯域幅を向上させる複数の要素をさらに含む請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項18】
請求項1に記載の方法を行う1セットの指示を含むコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータ読取可能な媒体の指示で作動するコンピュータ。
【請求項20】
請求項8の方法に従って導出された、隠蔽するボリューム要素物質パラメータデータを格納するコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項21】
可視、赤外、紫外、X線、ラジオ、レーダ、マイクロ波の電磁スペクトラム帯のうちの少なくとも1つでクローキングするような請求項12に記載の隠蔽するボリューム。
【請求項22】
前記伝播波は音波であり、前記物質パラメータは密度および剛性のうちの少なくとも1つを含む請求項18に記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項23】
集中ボリュームおよび収集ボリュームを形成する複数のコンセントレータ要素を構築し、各コンセントレータ要素は、前記集中ボリュームから前記収集ボリュームへ伝播波を導くように定めた物質パラメータを有している、コンセントレータを構築する方法。
【請求項24】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの1つを含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記伝播波は電磁波を含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記物質パラメータは、電気誘電率と磁気透磁率のそれぞれを含む請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記コンセントレータはメタ物質である請求項24に記載の方法。
【請求項28】
各要素は、誘電率および透磁率の値をそれぞれ提供する導電性ワイヤおよび分割リングのうちの少なくとも1つを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記コンセントレータは、出て行く伝播波が観測者にとってかき乱されていないように見えるように入って来る伝播波を迂回させるように設計されている請求項23に記載の方法。
【請求項30】
集中ボリュームの周囲に供給のためのコンセントレータを設計する方法であって、前記集中ボリューム空間を収集ボリューム空間にマッピングする座標変換を識別し、コンセントレータ空間での空間的に分布した物質パラメータ値に、対応する変換を適用する方法。
【請求項31】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの少なくとも1つを含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項36に記載のコンセントレータを設計し、前記変換された物質パラメータ値を有する複数の要素を構築し、前記要素をそれぞれ変換された空間位置で組み立てることを含む、コンセントレータを構築する方法。
【請求項33】
前記組み立てられた要素はメタ物質を形成する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記集中ボリュームから収集ボリュームへ伝播波を導くように定めた物質パラメータをそれぞれ有する複数のコンセントレータ要素を含む、集中ボリュームを集中するコンセントレータ。
【請求項35】
前記物質パラメータは、屈折率、電気誘電率、および、磁気透磁率のうちの少なくとも1つを含む請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項36】
前記コンセントレータ要素はメタ物質を形成する請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項37】
各コンセントレータ要素は、電気誘電率または磁気透磁率の値をそれぞれ提供する電気導電性ワイヤおよび分割リングのうちの少なくとも1つを含む請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項38】
前記集中ボリューム内に収集ボリュームをさらに含む請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項39】
帯域幅を向上させる複数の要素をさらに含む請求項34に記載のコンセントレータ。
【請求項40】
請求項23に記載の方法を行う1セットの指示を含むコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項41】
請求項40に記載のコンピュータ読取可能な媒体の指示で作動するコンピュータ。
【請求項42】
請求項30の方法に従って導出された、コンセントレータ要素物質パラメータデータを格納するコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項43】
可視、赤外、紫外、X線、ラジオ、レーダ、マイクロ波の電磁スペクトラム帯のうちの少なくとも1つで集中するような請求項34に記載の隠蔽するコンセントレータ。
【請求項44】
物質内で伝播波を制御する方法であって、前記物質によって示される磁気透磁率および電気誘電率の値を互いに独立に制御する方法。
【請求項45】
前記物質はメタ物質である請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記伝播波は電磁波を含む請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記伝播波は隠蔽可能なボリュームを迂回するように制御される請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記伝播波は集中ボリュームから収集ボリュームへ導かれるように制御される請求項44に記載の方法。
【請求項49】
物体の物質パラメータ値の空間分布を定義する方法であって、変換前物質パラメータ値空間分布を有するボリュームに関して空間座標変換を行い、変換後物質パラメータ値空間分布を有するメタ物質から物体を構築する方法。
【請求項50】
物体の物質パラメータ値の空間分布を定義する方法であって、変換前物質パラメータ値空間分布を有するボリュームに関して空間座標変換を行い、前記空間分布は前記物体を囲むボリュームに影響を及ぼし、変換後物質パラメータ値空間分布が前記物体を囲むボリュームに同様な影響を及ぼすように前記空間変換が選択される方法。
【請求項51】
前記囲むボリュームは、物体の存在により電磁放射のかき乱れがない請求項50に記載の方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−23517(P2008−23517A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−318525(P2006−318525)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月25日www.sciencexpress.org/25may2006/10.1126/science.1125907(www.sciencexpress.org/25may2006/Page1/10.1126/science.1125907, www.sciencexpress.org/25may2006/Page2/10.1126/science.1125907, www.sciencexpress.org/25may2006/Page3/10.1126/science.1125907, www.sciencexpress.org/25may2006/Page4/10.1126/science.1125907)を通じて発表
【出願人】(599008621)インペリアル イノベーションズ リミテッド (25)
【出願人】(506395378)デューク・ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318525(P2006−318525)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月25日www.sciencexpress.org/25may2006/10.1126/science.1125907(www.sciencexpress.org/25may2006/Page1/10.1126/science.1125907, www.sciencexpress.org/25may2006/Page2/10.1126/science.1125907, www.sciencexpress.org/25may2006/Page3/10.1126/science.1125907, www.sciencexpress.org/25may2006/Page4/10.1126/science.1125907)を通じて発表
【出願人】(599008621)インペリアル イノベーションズ リミテッド (25)
【出願人】(506395378)デューク・ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】
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