説明

電磁波シールド管およびその製造方法

【課題】可撓性を有する電磁波シールド管およびその製造方法を提供する。
【解決手段】電磁波シールド管1は、第一ゴムチューブ10と、熱収縮性芯材31と熱収縮性芯材31の周囲に螺旋状に配置した導電性鞘材32とにより成形された芯鞘構造糸30を編組して筒状に成形された筒状編組部材60とを備える。そして、筒状編組部材60を第一ゴムチューブ10の外周側に配置した状態で加熱することにより、熱収縮性芯材31の熱収縮に伴って熱収縮性芯材31を第一ゴムチューブ10の外周面より径方向内側へ向かって移動させ、熱収縮性芯材31の当該移動に伴って導電性鞘材32の一部を第一ゴムチューブ10の内周側に露出させて成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源ケーブルや信号ケーブルなどを内部に収容するための電磁波シールド管およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などの駆動用モータやインバータに給電するケーブルには高圧且つ大電流が供給されるために、他の電子機器に対して影響を及ぼさないように、電磁波シールド機能を有する電磁波シールド管に収容して用いられる。この電磁波シールド管は導電性を有するようにし、導電性ハウジングなどに接続すると共に、導電性ハウジングを接地することが行われている。これにより、電磁波シールド管の内部に収容されたケーブルに供給される電圧または電流の変動によって、電磁波シールド管の外部に影響を及ぼすことが防止される。
【0003】
ここで、例えば電磁波シールド管としてアルミニウム製の管を用いることもできるが、可撓性を有しないため、搬送や設置が容易ではない。そこで、電磁波シールド管は、可撓性を有することが望まれる。可撓性を有する電磁波シールド管について、特開2004−214062号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この電磁波シールド管は、複数本の金属細線をメッシュ状に編み込んだ筒状の編組線を、弾性を有する材料により一体化する構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−214062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特許文献1に記載の電磁波シールド管とは異なる構成からなり、可撓性を有する電磁波シールド管およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(電磁波シールド管)
本発明の電磁波シールド管は、第一ゴムチューブと、熱収縮性芯材と前記熱収縮性芯材の周囲に螺旋状に配置した導電性鞘材とにより成形された芯鞘構造糸を編組して筒状に成形された筒状編組部材と、を備え、前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置した状態で加熱することにより、前記熱収縮性芯材の熱収縮に伴って前記熱収縮性芯材を前記第一ゴムチューブの外周面より径方向内側へ向かって移動させ、当該熱収縮性芯材の当該移動に伴って前記導電性鞘材の一部を前記第一ゴムチューブの内周側に露出させて成形される。
【0007】
本発明の電磁波シールド管は、可撓性を有する第一ゴムチューブと可撓性を有する筒状編組部材とにより成形されている。従って、電磁波シールド管は、全体として可撓性を有する。つまり、搬送や配置を容易にすることができる。また、電磁波シールド管は、例えばアルミニウム管を接続する接続管として用いることもできる。また、電磁波シールド管は、ゴムにより筒状に成形する方法を用いることができるため、例えば、マンドレルまたは型枠により電磁波シールド管を任意の形状に成形することができる。
【0008】
そして、本発明の電磁波シールド管を構成する筒状編組部材は、芯鞘構造糸を用いて、当該芯鞘構造糸を編組して筒状に成形している。つまり、芯鞘構造糸の芯材が、網目状(メッシュ状)に編み込まれて、筒状をなしていることになる。この芯鞘構造糸の芯材には、熱収縮性材料を用いている。そのため、筒状編組部材に熱を加えると、筒状編組部材の熱収縮性芯材が収縮する結果、熱収縮性芯材によって成形される筒形状の内径が小さくなる。
【0009】
導電性鞘材は、熱収縮性芯材の外周に螺旋状に配置されている。そのため、導電性鞘材は、熱収縮性芯材の変形に追従するように動作する。上述したように、熱収縮性芯材に熱が加えられると、熱収縮性芯材によって成形される筒形状の内径が小さくなるように変形する。この場合に、導電性鞘材のうち熱収縮性芯材の筒形状の内周側に位置する部分は、熱収縮性芯材の変形に追従して、径方向内側へ向かって移動する。
【0010】
この芯鞘構造糸を用いて成形される筒状編組部材は、第一ゴムチューブの外周側に配置される。筒状編組部材は、第一ゴムチューブの外周側に編み込みながら、筒状に成形してもよい。また、筒状編組部材は、第一ゴムチューブの外周側に配置する前に予め筒状に成形しておき、その後に第一ゴムチューブの外周側に挿入するようにしてもよい。前者の場合には、筒状編組部材を摩擦係数の大きな第一ゴムチューブの外周側に編み込むため、筒状編組部材は第一ゴムチューブの所望の位置に編み込むことができる。また、後者の場合にも、予め成形された筒状編組部材を第一ゴムチューブの所望の位置に位置決めすることが容易となる。このように、前者の場合にも後者の場合にも、第一ゴムチューブの外周側に筒状編組部材を所望の位置に配置することができる。
【0011】
さらに第一ゴムチューブの外周側に筒状編組部材が配置された後に、加熱される。第一ゴムチューブを加熱して軟化することで、第一ゴムチューブの外周側に配置されている筒状編組部材が、第一ゴムチューブの外周面より径方向内側へ向かって移動可能な状態となる。そして、上述したように、筒状編組部材を加熱することで、熱収縮性芯材と導電性鞘材の一部とが第一ゴムチューブの外周面から径方向内側へ向かって移動する。そうすると、導電性鞘材の一部が第一ゴムチューブの内周面から露出する状態となる。完成した電磁波シールド管は、内周面に導電性鞘材が露出する状態となるため、この電磁波シールド管の内周面に例えば導電性ハウジングを嵌め込むことで、電磁波シールド管の導電性鞘材と導電性ハウジングとを電気的に接続することができる。
【0012】
また、本発明において、前記第一ゴムチューブの中空部にマンドレルを挿入し、且つ、前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置した状態で加熱することにより成形されるようにしてもよい。これにより、加熱によって熱収縮性芯材の筒形状の縮径変形は、マンドレルの外周面によって規制される。そのため、変形後の熱収縮性芯材は、マンドレルの外周面に沿った形状となる。従って、加熱後において、筒状編組部材の一部が第一ゴムチューブの内周側の全周から確実に露出できる。
【0013】
また、本発明において、前記電磁波シールド管は、第二ゴムチューブをさらに備え、前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置すると共に前記第二ゴムチューブを前記筒状編組部材の外周側に配置した状態で加熱することにより、前記第二ゴムチューブが加熱後の前記筒状編組部材の外周面全面を被覆するようにしてもよい。
【0014】
ここで、第二ゴムチューブを用いることなく、第一ゴムチューブと筒状編組部材を用いて成形したとしても、筒状編組部材が第一ゴムチューブの外周面より径方向内側に向かって移動するため、筒状編組部材の外周側を第一ゴムチューブによって被覆することができる。ただし、第一ゴムチューブの径方向厚みによっては、確実に筒状編組部材の外周側全てを第一ゴムチューブにより被覆できないおそれがある。これに対して、加熱前の状態において、筒状編組部材の外周側に第二ゴムチューブを配置しておくことで、加熱後において、筒状編組部材の外周側全てを第二ゴムチューブによって確実に被覆できる。これにより、筒状編組部材の外周側を保護することができる。特に、第一ゴムチューブの径方向厚みを薄くしたとしても、第二ゴムチューブによって筒状編組部材の外周側を確実に被覆することができる。そして、第一ゴムチューブの径方向厚みを薄くすることにより、筒状編組部材の一部を第一ゴムチューブの内周面から確実に露出させることができるようになる。
【0015】
また、本発明において、前記熱収縮性芯材および前記導電性鞘材の少なくとも一方は、棘部を有し、前記棘部は、加熱後に前記第一ゴムチューブに引っ掛かるアンカー線として機能するようにしてもよい。ここで、筒状編組部材が第一ゴムチューブに対して確実に接合していることが望まれる。そこで、加熱によって筒状編組部材は第一ゴムチューブの外周面より径方向内側に向かって移動する結果、棘部が第一ゴムチューブに接触した状態となると、棘部が第一ゴムチューブに引っ掛かる状態となる。従って、棘部を有することにより、筒状編組部材が第一ゴムチューブに対して確実に接合した状態とできる。
【0016】
また、本発明において、前記芯鞘構造糸は、前記導電性鞘材に比べて前記第一ゴムチューブとの接着力が高い材料により形成され、前記熱収縮性芯材の周囲に螺旋状に配置される第二鞘材を備えるようにしてもよい。つまり、芯鞘構造糸は、熱収縮性芯材と、導電性鞘材と、第二鞘材とにより成形されている。ここで、筒状編組部材が第一ゴムチューブに対して確実に接合していることが望まれる。そこで、加熱によって筒状編組部材は第一ゴムチューブの外周面より径方向内側に向かって移動した場合、第二鞘材の第一ゴムチューブに対する接着力によって、第二鞘材が第一ゴムチューブに接着した状態となる。従って、第二鞘材を有することにより、筒状編組部材が第一ゴムチューブに対して確実に接合した状態とできる。
【0017】
また、本発明において、前記第二鞘材は、棘部を有し、前記第二鞘材の前記棘部は、加熱後に前記第一ゴムチューブに引っ掛かるアンカー線として機能するようにしてもよい。このように、第二鞘材が棘部を有するようにすることで、第二鞘材による第一ゴムチューブとの接合がより強固なものとなる。
【0018】
(電磁波シールド管の製造方法)
電磁波シールド管の製造方法に係る本発明は、熱収縮性芯材と前記熱収縮性芯材の周囲に螺旋状に配置した導電性鞘材とにより成形された芯鞘構造糸を編組して筒状に成形された筒状編組部材を、第一ゴムチューブの外周側に配置する配置工程と、前記配置工程にて配置された前記筒状編組部材および前記第一ゴムチューブを加熱することにより、前記熱収縮性芯材の熱収縮に伴って前記熱収縮性芯材を前記第一ゴムチューブの外周面より径方向内側へ向かって移動させ、当該熱収縮性芯材の当該移動に伴って前記導電性鞘材の一部を前記第一ゴムチューブの内周側に露出させる加熱工程とを備える。
【0019】
本発明の製造方法によって製造される電磁波シールド管は、上述した電磁波シールド管に係る発明による効果と同様の効果を奏する。つまり、本発明の製造方法により製造される電磁波シールド管は、全体として可撓性を有するので、搬送や配置を容易にすることができる。また、マンドレルまたは型枠により電磁波シールド管を任意の形状に成形することができる。
【0020】
そして、筒状編組部材は、芯鞘構造糸を用いて、当該芯鞘構造糸を編組して筒状に成形している。従って、導電性鞘材のうち熱収縮性芯材の内周側に位置する部分は、熱収縮性芯材の変形に追従して、径方向内側へ向かって移動する。第一ゴムチューブを加熱して軟化することで、第一ゴムチューブの外周側に配置されている筒状編組部材が、第一ゴムチューブの外周面より径方向内側へ向かって移動可能な状態となる。そうすると、導電性鞘材の一部が第一ゴムチューブの内周面から露出する状態となる。完成した電磁波シールド管は、内周面に導電性鞘材が露出する状態となるため、この電磁波シールド管の内周面に例えば導電性ハウジングを嵌め込むことで、電磁波シールド管の導電性鞘材と導電性ハウジングとを電気的に接続することができる。
【0021】
さらに、配置工程において、筒状編組部材は、第一ゴムチューブの外周側に配置される。筒状編組部材は、第一ゴムチューブの外周側に編み込みながら、筒状に成形してもよいし、第一ゴムチューブの外周側に配置する前に予め筒状に成形しておき、その後に第一ゴムチューブの外周側に挿入するようにしてもよい。摩擦係数の大きな第一ゴムチューブの外周側に筒状編組部材を配置するため、筒状編組部材を第一ゴムチューブの外周側の所望の位置に確実に配置することができる。
【0022】
また、本発明において、前記配置工程は、前記第一ゴムチューブの中空部にマンドレルを挿入し、且つ、前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置するようにしてもよい。これにより、加熱後において、筒状編組部材の一部が第一ゴムチューブの内周側の全周から確実に露出できる。
【0023】
また、本発明において、前記加熱工程は、前記第一ゴムチューブを加硫成形するために加熱する工程としてもよい。通常、ゴムはその性質を所望の性質にするために加硫を行う。加硫成形に際しては加熱する。そこで、加硫成形するために加熱するときを利用して、筒状編組部材を第一ゴムチューブの外周面より径方向内側へ向かって移動させるようにする。これにより、加硫とは別の加熱工程を有する必要がなくなる。
【0024】
また、本発明において、前記配置工程は、前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置すると共に第二ゴムチューブを前記筒状編組部材の外周側に配置し、前記加熱工程は、前記配置工程にて配置された前記筒状編組部材および前記第一,第二ゴムチューブを加熱することにより、前記第二ゴムチューブが加熱後の前記筒状編組部材の外周面全面を被覆するようにしてもよい。これにより、加熱後において、筒状編組部材の外周側全てを第二ゴムチューブによって確実に被覆できる。これにより、筒状編組部材の外周側を保護することができる。特に、第一ゴムチューブの厚みを薄くしたとしても、第二ゴムチューブによって筒状編組部材の外周側を確実に被覆することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】電磁波シールド管の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】第一ゴムチューブの軸方向断面図である。
【図3】第二ゴムチューブの軸方向断面図である。
【図4】第一実施形態:芯鞘構造糸の拡大斜視図である。
【図5】配置工程における電磁波シールド管の軸方向断面図である。
【図6】加硫工程後における電磁波シールド管の軸方向断面図である。
【図7】完成した電磁波シールド管の軸方向断面図である。
【図8】電磁波シールド管の第一用途を示す軸方向断面図である。
【図9】電磁波シールド管の第二用途を示す軸方向断面図である。
【図10】第二実施形態:芯鞘構造糸の拡大斜視図である。
【図11】第三実施形態:芯鞘構造糸の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第一実施形態>
第一実施形態の電磁波シールド管1およびその製造方法について、図1〜図7を参照して説明する。以下に、電磁波シールド管1の製造方法を示して、後に完成した電磁波シールド管1について説明する。そして、最後に、電磁波シールド管1の用途について図8および図9を参照して説明する。
【0027】
電磁波シールド管1の製造方法は、図1に示すフローチャートに示す通りである。まず、図2に示すような第一ゴムチューブ10を例えば押し出し成形によって成形する(図1:S1)。第一ゴムチューブ10は、円筒形状に形成されており、その外径はDo1であり、径方向厚みはW1である。第一ゴムチューブ10は、導電性を有しない材料により成形される。例えば、第一ゴムチューブ10の材質は、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACM)、エチレン・アクリレート系ゴム(AEM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム(Q)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)などが好適である。
【0028】
ここで、第一ゴムチューブ10の径方向厚みW1の設定方法について説明する。図1のステップS5の加硫工程(加熱工程)の前において、図5に示すように、第一ゴムチューブ10の外周側に筒状編組部材60が配置されているが、S5の加硫工程の後においては、図6に示すように、筒状編組部材60が熱収縮によって径方向内側へ移動して第一ゴムチューブ10の内周面から露出するようにする。つまり、筒状編組部材60が加硫工程において第一ゴムチューブ10の径方向厚みW1だけ径方向内側へ移動するようにしている。
【0029】
そこで、第一ゴムチューブ10の径方向厚みW1は、加硫工程において、筒状編組部材60が熱収縮によって径方向内側に移動可能な量に応じて設定される。具体的には、第一ゴムチューブ10の径方向厚みW1は、筒状編組部材60の熱縮径量と同程度または熱縮径量より僅かに小さく設定される。また、筒状編組部材60の熱縮径量は、第一ゴムチューブ10の材質によっても異なる場合がある。そこで、加硫工程において、筒状編組部材60が第一ゴムチューブ10の内周面から露出可能となるように、第一ゴムチューブ10の材質は選択される。
【0030】
ここで、図4に示すような芯鞘構造糸30を予め成形しておく。芯鞘構造糸30は、熱収縮性芯材31と、導電性鞘材32とにより構成される。熱収縮性芯材31は、加熱することによって収縮する性質を有する熱収縮性繊維31a,31aを複数本束ねて撚りをかけて成形される。この熱収縮性繊維31aの材質は、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのフィラメント(長繊維)が好適である。熱収縮性繊維31aの材質は、筒状編組部材60としての形状、大きさ、第一ゴムチューブ10の材質、径方向厚みW1、加硫温度などによって、適宜調整する。なお、本実施形態においては、熱収縮性芯材31として、複数の熱収縮性繊維31aを束ねたものとしたが、一本の熱収縮性繊維31aをそのまま用いることもできる。
【0031】
芯鞘構造糸30を構成する導電性鞘材32は、複数の導電性繊維32a,32aを束ねて成形され、熱収縮性芯材31の周囲に螺旋状に配置される。この導電性繊維32aは、例えば、銅、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウムなどの金属により成形された繊維、カーボンブラックを含有した繊維やカーボンファイバーなどが好適である。なお、本実施形態においては、導電性鞘材32として、複数の導電性繊維32aを束ねたものとしたが、束ねることなく、バラバラの複数の導電性繊維32aをそれぞれ熱収縮性芯材31の周囲に螺旋状に配置してもよい。
【0032】
上記のように予め成形した芯鞘構造糸30を、第一ゴムチューブ10の外周面に、網目状(メッシュ状)に編組して、筒状に成形する(図1:S2)(芯鞘構造糸配置工程)。つまり、第一ゴムチューブ10の外周側に、芯鞘構造糸30によって、筒状編組部材60が形成される。ここで、芯鞘構造糸30は、金属などに比べて摩擦係数の大きな第一ゴムチューブ10の外周面に巻き付けながら編組するため、芯鞘構造糸30は第一ゴムチューブ10の外周面に、所望の位置に位置決めすることができる。従って、芯鞘構造糸30を編組することが、非常に容易となる。なお、図5において、第一ゴムチューブ10と筒状編組部材60とは、径方向において異なる位置に配置されているように図示しているが、実際には、筒状編組部材60は網目状であるため第一ゴムチューブ10に食い込むように配置される。つまり、図5は、第一ゴムチューブ10と筒状編組部材60との位置関係を分かりやすくするための記載方法であり、上記実施形態によって得られる位置関係とは異なる。
【0033】
なお、上記説明においては、筒状編組部材60は、芯鞘構造糸30を第一ゴムチューブ10の外周面に巻き付けることによって成形されるものとしたが、予め筒状編組部材60を成形したものを第一ゴムチューブ10の外周側に挿入するようにしてもよい。この場合は、筒状編組部材60と第一ゴムチューブ10との位置関係は、図5のようになる。このようにした場合にも、摩擦係数の大きな第一ゴムチューブ10の外周側に筒状編組部材60を配置するため、予め成形された筒状編組部材を第一ゴムチューブの所望の位置に位置決めすることが容易となる。
【0034】
続いて、図3に示すような第二ゴムチューブ20を例えば押し出し成形によって成形し、図5に示すように筒状編組部材60の外周側に配置する(図1:S3)(第二ゴムチューブ配置工程)。第二ゴムチューブ20は、円筒形状に形成されている。第二ゴムチューブ20の内径Di2は、第一ゴムチューブ10の外径Do1よりも僅かに大きく設定されている。また、第二ゴムチューブ20の径方向厚みW2は、筒状編組部材60および第一ゴムチューブ10を確実に保護できる厚みに設定される。つまり、第二ゴムチューブ20は、筒状編組部材60の外周面を確実に被覆すると共に、電磁波シールド管1に曲げ荷重が作用した場合にも十分に耐え得るような径方向厚みW2に設定される。第二ゴムチューブ20は、導電性を有しない材料により成形される。この第二ゴムチューブ20の材質は、主として、筒状編組部材60および第一ゴムチューブ10を保護する機能を発揮できる材質が選択される。例えば、第二ゴムチューブ20の材質は、NR、SBR、IIR、CR、NBR、EPM、EPDM、ACM、AEM、CSM、Q、ECOなどが好適である。なお、第一ゴムチューブ10の材質と第二ゴムチューブ20の材質は、同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0035】
続いて、マンドレル40を、第一ゴムチューブ10の中空部に挿入する(図1:S4)(型配置工程)。つまり、上述したように配置された第一ゴムチューブ10、筒状編組部材60および第二ゴムチューブ20により筒状に形成された中間成形品の中空部に、マンドレル40が挿入される。マンドレル40は、軸状または筒状に金属製の部材である。ただし、マンドレル40は、電磁波シールド管1の成形形状に合わせた自由な形状に形成されている。例えば、マンドレル40は、直線状、円弧状、U字状、S字状、クランク状など種々の形状に形成される。ここで、マンドレル40の外周面には、加硫成形後の電磁波シールド管1を離脱し易くするために、離型剤などを塗布しておく。
【0036】
続いて、中間成形品の中空部にマンドレル40を挿入した状態のものを、加硫成形機に配置する。そして、加熱することによって、第一ゴムチューブ10および第二ゴムチューブ20を加硫成形する(図1:S5)(加硫工程または加熱工程)。これにより、第一ゴムチューブ10および第二ゴムチューブ20は、所望の弾性および強度を有するようになると共に、マンドレル40に応じた形状に成形され、且つ、両者が接合し一体的になる。
【0037】
ところで、筒状編組部材60を構成する芯鞘構造糸30のうち熱収縮性芯材31は、熱が加えられると収縮する性質を有する。また、芯鞘構造糸30は網目状にかつ筒状に編組されて、筒状編組部材60を形成している。つまり、芯鞘構造糸30の熱収縮性芯材31が、網目状にかつ筒状に編組されていることになる。そして、筒状編組部材60は、図5の軸方向から見た場合に、円形をなしている。筒状編組部材60の内径は、実質的に、熱収縮性芯材31によって成形される筒形状の内径に相当する。
【0038】
そして、図1のステップS5の加硫成形の際に加えられる熱によって、熱収縮性芯材31が収縮する。その結果、熱収縮性芯材31によって成形される筒形状の内径は小さくなるように変形する。つまり、熱収縮性芯材31は、第一ゴムチューブ10の外周側から径方向内側へ向かって移動する。ここで、熱収縮性芯材31の径方向内側への移動量は、第一ゴムチューブ10の径方向厚みW1(図2に示す)と同程度または当該径方向厚みW1よりも僅かに大きくなるように設定されている。さらに、熱収縮性芯材31の筒形状の縮径変形は、マンドレル40の外周面によって規制される。そのため、変形後の熱収縮性芯材31は、マンドレル40の外周面に沿った形状となる。つまり、図6に示すように、筒状編組部材60を構成する熱収縮性芯材31は、加熱によって、軟化している第一ゴムチューブ10の内周面付近に移動する。
【0039】
ここで、芯鞘構造糸30を構成する導電性鞘材32は、図4に示すように、熱収縮性芯材31の周囲に螺旋状に配置されている。そのため、導電性鞘材32は、熱収縮性芯材31の変形に追従するように動作する。ただし、導電性鞘材32は収縮しないため、導電性鞘材32のうち熱収縮性芯材31の径方向内側(マンドレル40に近い側)に位置する部分が、熱収縮性芯材31の変形に追従する。そうすると、図6に示すように、筒状編組部材60を構成する導電性鞘材32の当該部分が、軟化している第一ゴムチューブ10の内周面から露出する位置まで移動する。
【0040】
一方、導電性鞘材32の残りの部分や熱収縮性芯材31の径方向外側(マンドレル40から遠い側)の面は、第一ゴムチューブ10が存在している領域に位置している。従って、第一ゴムチューブ10が冷却されてゴム状態になったときに、導電性鞘材32の残りの部分や熱収縮性芯材31の径方向外側の面に接合する。このようにして、径方向内側に移動した筒状編組部材60と第一ゴムチューブ10が一体的に接合される。また、第一ゴムチューブ10と第二ゴムチューブ20とが一体的に接合されることは上述したとおりであるため、この加硫成形によって、第一ゴムチューブ10、第二ゴムチューブ20および筒状編組部材60が一体的に接合される。
【0041】
続いて、マンドレル40を取り外し、図7に示すように、電磁波シールド管1が完成する。この電磁波シールド管1において、筒状編組部材60のうち導電性鞘材32の一部が、電磁波シールド管1の内周面から露出している。また、筒状編組部材60の外周側は、第二ゴムチューブ20によって被覆されている。従って、筒状編組部材60は、第二ゴムチューブ20によって保護されている。さらに、第二ゴムチューブ20を備えることで、電磁波シールド管1として十分な径方向厚みを確保することができ、結果として十分な弾性および強度を確保することができる。
【0042】
<電磁波シールド管1の用途>
次に、上述した製造方法によって製造された電磁波シールド管1の用途について図8および図9を参照して説明する。電磁波シールド管1は、例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などの駆動用モータやインバータに給電するケーブルを収容する部材として用いられる。当該ケーブルには、高圧または大電流が供給されるため、外部の電子機器、例えば、車両に搭載される制御回路、ラジオなどに影響を及ぼさないように、発生する電磁波をシールドする必要がある。そこで、当該ケーブルを電磁波シールド管1に収容すると共に、電磁波シールド管1の導電性鞘材32を接地する。
【0043】
そこで、図8に示すように、第一の用途としては、電磁波シールド管1の内周側の一方端部に第一導電性ハウジング70の筒部71を嵌め入れ、電磁波シールド管1を構成する導電性鞘材32に第一導電性ハウジング70の筒部71が当接するようにする。さらに、第一導電性ハウジング70のフランジ部72を接地部材にボルト締結する。また、電磁波シールド管1の内周側の他方端部には、第二導電性ハウジング80の筒部81を嵌め入れ、電磁波シールド管1を構成する導電性鞘材32に第二導電性ハウジング80の筒部81が当接するようにする。さらに、第二導電性ハウジング80のフランジ部82を接地部材にボルト締結する。このようにすることで、導電性鞘材32は接地された状態となり、電磁波シールド管1の内部に収容するケーブルから発生する電磁波をシールドすることができ、電磁波シールド管1の外部に影響を及ぼすことを防止できる。
【0044】
ここで、電磁波シールド管1は、可撓性を有する第一,第二ゴムチューブ10,20および可撓性を有する筒状編組部材60によって成形されている。従って、電磁波シールド管1は、全体として可撓性を有するので、電磁波シールド管1の搬送や配置を容易にすることができる。
【0045】
また、第二の用途として、接地される第一アルミニウム管91および第二アルミニウム管92の間を電気的に接続した状態で連結するために、電磁波シールド管1を用いる。つまり、図9に示すように、電磁波シールド管1の内周側の一方端部に第一アルミニウム管91を嵌め入れ、電磁波シールド管1を構成する導電性鞘材32に第一アルミニウム管91が当接するようにする。また、電磁波シールド管1の内周側の他方端部には、第二アルミニウム管92を嵌め入れ、電磁波シールド管1を構成する導電性鞘材32に第二アルミニウム管92が当接するようにする。このようにすることで、第一,第二アルミニウム管91,92および導電性鞘材32は接地された状態となり、第一,第二アルミニウム管91,92および電磁波シールド管1の内部に収容されるケーブルから発生する電磁波をシールドすることができ、第一,第二アルミニウム管91,92および電磁波シールド管1の外部に影響を及ぼすことを防止できる。また、電磁波シールド管1によって連結された第一,第二アルミニウム管91,92を搬送する際には、電磁波シールド管1の部分を屈曲することができるため、搬送が容易となる。
【0046】
<第一実施形態の変形態様>
上記実施形態においては、電磁波シールド管1の最外周面に第二ゴムチューブ20を配置することとした。この他に、第一ゴムチューブ10または他の被覆材によって筒状編組部材60の外周面を被覆することができ、電磁波シールド管1として十分な弾性および強度を確保することができる場合には、第二ゴムチューブ20を除外することもできる。
【0047】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態の芯鞘構造糸130について、図10を参照して説明する。ここで、第二実施形態において、第一実施形態の芯鞘構造糸30と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、第二実施形態は、第一実施形態に対して、芯鞘構造糸130が相違するのみで、その他の電磁波シールド管の製造方法は同一である。
【0048】
図10に示すように、芯鞘構造糸130は、熱収縮性芯材31と、導電性鞘材132と、第二鞘材133とにより構成される。導電性鞘材132は、複数の導電性繊維132a,132aを束ねて成形され、熱収縮性芯材31の周囲に螺旋状に配置される。導電性繊維132aは、第一実施形態の導電性繊維32aと同一である。
【0049】
第二鞘材133は、複数の第二繊維133a,133aを束ねて成形される。第二繊維133aは、導電性鞘材132を構成する導電性繊維132aに比べて第一ゴムチューブ10との接着力が高い材料により形成される。この第二鞘材133の第二繊維133aは、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミドなどのスパン(短繊維)が好適である。第二鞘材133の第二繊維133aにスパンを適用する場合には、第二鞘材133の第二繊維133aは、外周面に多数の棘部を有していることになる。さらに、第二鞘材133は、導電性鞘材132と共に熱収縮性芯材31の周囲に螺旋状に配置される。
【0050】
本実施形態によれば、図1のステップS5の加硫工程(加熱工程)の後において、第二鞘材133の一部は、第一ゴムチューブ10に接触している状態となる。そして、第二鞘材133は、導電性鞘材132に比べて第一ゴムチューブ10に対する接着力が高いため、筒状編組部材60と第一ゴムチューブ10との接合力が高まる。
【0051】
さらに、第二鞘材133の第二繊維133aは、棘部を有するため、第二鞘材133の第二繊維133aの棘部は、加熱後に第一ゴムチューブ10に引っ掛かるアンカー線として機能する。このように、第二鞘材133の第二繊維133aが棘部を有するようにすることで、第二鞘材133による第一ゴムチューブ10との接合がより強固なものとなる。従って、第二鞘材133を有することにより、筒状編組部材60が第一ゴムチューブ10に対して確実に接合した状態とできる。なお、本実施形態において、第二繊維133aの第一ゴムチューブ10との接着力により十分に両者が接合する場合には、第二繊維133aが棘部を有しないものでもよい。
【0052】
<第三実施形態>
次に、第二実施形態の芯鞘構造糸230について、図11を参照して説明する。ここで、第三実施形態において、第一実施形態の芯鞘構造糸30と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、第三実施形態は、第一実施形態に対して、芯鞘構造糸230が相違するのみで、その他の電磁波シールド管の製造方法は同一である。
【0053】
図11に示すように、芯鞘構造糸230は、熱収縮性芯材31と、導電性鞘材232とにより構成される。導電性鞘材232は、複数の導電性繊維232a,232aを束ねて成形され、熱収縮性芯材31の周囲に螺旋状に配置される。この導電性繊維232aは、第一実施形態にて説明した導電性鞘材32の導電性繊維32aと同一の材質により成形される。ただし、当該導電性繊維232aは、外周面に多数の棘部を有している。
【0054】
本実施形態によれば、図1のステップS5の加硫工程(加熱工程)の後において、導電性鞘材232の一部は、第一ゴムチューブ10に接触している状態となる。そして、導電性鞘材232の導電性繊維232aは、棘部を有するため、導電性繊維232aの棘部は、加熱後に第一ゴムチューブ10に引っ掛かるアンカー線として機能する。このように、導電性繊維232aが棘部を有するようにすることで、導電性鞘材232による第一ゴムチューブ10との接合がより強固なものとなる。従って、導電性鞘材232を有することにより、筒状編組部材60が第一ゴムチューブ10に対して確実に接合した状態とできる。
【0055】
<その他>
上記実施形態における熱収縮性芯材31は、スパン(短繊維)により成形することにより、第二実施形態における第二鞘材133の第二繊維133aのように、外周面の多数の棘部を有するようにしてもよい。この場合には、筒状編組部材60と第一ゴムチューブ10との接合力がさらに高くなる。また、第二実施形態における導電性繊維32aが、第三実施形態における導電性繊維232aのように棘部を有するようにしてもよい。これにより、筒状編組部材60と第一ゴムチューブ10との接合力がさらに高くなる。
【0056】
また、上記実施形態においては、マンドレル40を用いて電磁波シールド管1を製造したが、マンドレル40に替えて型枠を用いて電磁波シールド管1を製造することもできる。この場合、型枠は、円筒形状に形成しておく。そして、図1のステップS4において、マンドレル40を第一ゴムチューブ10の中空部に挿入せずに、円筒形状の型枠の中空部に第一ゴムチューブ10、筒状編組部材60および第二ゴムチューブ20により形成された中間成形品を配置する。この状態で、図1のステップS5の加硫成形を行う。この場合も、実質的に、上記実施形態と同様に、筒状編組部材60を構成する導電性鞘材32の一部が電磁波シールド管1の内周面から露出する。ただし、第一実施形態における熱収縮性芯材31の筒形状の縮径変形をマンドレル40の外周面によって規制するという、マンドレル40を用いることにより得られる効果は奏しない。
【0057】
また、本発明は、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などの駆動用モータやインバータに給電するケーブルを収容するものに限られず、電磁波をシールドすべきケーブルであれば全て適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:電磁波シールド管、 10:第一ゴムチューブ、 20:第二ゴムチューブ
30:芯鞘構造糸、 31:熱収縮性芯材、 31a:熱収縮性繊維
32:導電性鞘材、 32a:導電性繊維
40:マンドレル、 60:筒状編組部材
70:第一導電性ハウジング、 71:筒部、 72:フランジ部
80:第二導電性ハウジング、 81:筒部、 82:フランジ部
91:第一アルミニウム管、 92:第二アルミニウム管
130:芯鞘構造糸、 132:導電性鞘材、 132a:導電性繊維
133:第二鞘材、 133a:第二繊維
230:芯鞘構造糸、 232:導電性鞘材、 232a:導電性繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ゴムチューブと、
熱収縮性芯材と前記熱収縮性芯材の周囲に螺旋状に配置した導電性鞘材とにより成形された芯鞘構造糸を編組して筒状に成形された筒状編組部材と、
を備え、
前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置した状態で加熱することにより、前記熱収縮性芯材の熱収縮に伴って前記熱収縮性芯材を前記第一ゴムチューブの外周面より径方向内側へ向かって移動させ、当該熱収縮性芯材の当該移動に伴って前記導電性鞘材の一部を前記第一ゴムチューブの内周側に露出させて成形される電磁波シールド管。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一ゴムチューブの中空部にマンドレルを挿入し、且つ、前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置した状態で加熱することにより成形される電磁波シールド管。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記電磁波シールド管は、第二ゴムチューブをさらに備え、
前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置すると共に前記第二ゴムチューブを前記筒状編組部材の外周側に配置した状態で加熱することにより、前記第二ゴムチューブが加熱後の前記筒状編組部材の外周面全面を被覆する電磁波シールド管。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記熱収縮性芯材および前記導電性鞘材の少なくとも一方は、棘部を有し、
前記棘部は、加熱後に前記第一ゴムチューブに引っ掛かるアンカー線として機能する電磁波シールド管。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項において、
前記芯鞘構造糸は、前記導電性鞘材に比べて前記第一ゴムチューブとの接着力が高い材料により形成され、前記熱収縮性芯材の周囲に螺旋状に配置される第二鞘材を備える電磁波シールド管。
【請求項6】
請求項5において、
前記第二鞘材は、棘部を有し、
前記第二鞘材の前記棘部は、加熱後に前記第一ゴムチューブに引っ掛かるアンカー線として機能する電磁波シールド管。
【請求項7】
熱収縮性芯材と前記熱収縮性芯材の周囲に螺旋状に配置した導電性鞘材とにより成形された芯鞘構造糸を編組して筒状に成形された筒状編組部材を、第一ゴムチューブの外周側に配置する配置工程と、
前記配置工程にて配置された前記筒状編組部材および前記第一ゴムチューブを加熱することにより、前記熱収縮性芯材の熱収縮に伴って前記熱収縮性芯材を前記第一ゴムチューブの外周面より径方向内側へ向かって移動させ、当該熱収縮性芯材の当該移動に伴って前記導電性鞘材の一部を前記第一ゴムチューブの内周側に露出させる加熱工程と、
を備える電磁波シールド管の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記配置工程は、前記第一ゴムチューブの中空部にマンドレルを挿入し、且つ、前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置する電磁波シールド管の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8において、
前記加熱工程は、前記第一ゴムチューブを加硫成形するために加熱する工程である電磁波シールド管の製造方法。
【請求項10】
請求項7〜9の何れか一項において、
前記配置工程は、前記筒状編組部材を前記第一ゴムチューブの外周側に配置すると共に第二ゴムチューブを前記筒状編組部材の外周側に配置し、
前記加熱工程は、前記配置工程にて配置された前記筒状編組部材および前記第一,第二ゴムチューブを加熱することにより、前記第二ゴムチューブが加熱後の前記筒状編組部材の外周面全面を被覆する電磁波シールド管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−49441(P2012−49441A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192194(P2010−192194)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】