説明

電磁波吸収材料

【課題】 設計の自由度が高く、このため所望の周波数帯で高い電磁波吸収性能を実現でき、しかも厚さが薄い電磁波吸収材料を提供することである。
【解決手段】 誘電体(カーボンブラックなど、但し黒鉛を除く)および/または磁性体(フェライト、鉄など)と共に、誘電率調整剤として、固定炭素分97%以上、灰分が3%以下、揮発分が3%以下の黒鉛を含有した電磁波吸収材料である。これにより材料定数を自由に調整できるようになり、高ε'および低ε''を達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を吸収するための電磁波吸収材料に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のパソコンや携帯電話等のデジタル電子機器では、電気信号の高速化及び高周波数化により、機器から発生する不要ノイズ自体もMHz帯域からGHz帯域へと高周波数化している。その帯域は100MHz〜3GHzにも及んでおり、今後はさらなる高周波数化が予想される。一方で、電子機器に対して小型化及び軽量化の要求も大きく、回路部品を高集積化して対応している。これらの状況から、金属筐体での放射ノイズの多重反射や回路基板間の相互干渉などがより頻繁化している。それにもかかわらず、放射ノイズ対策部品を設置するスペースは非常に狭いという問題が生じており、不要ノイズ対策部品にも、高性能且つ一層の薄型化が要求されている。
【0003】
さらに、近年の情報・通信技術の発達に伴って、室内においてもコンピューターのネットワーク形成に無線LANが広く用いられるようになっている。無線LANに使用される電波の周波数は、中速無線LANで2.4〜2.5GHz、高速無線LANで5.15〜5.25GHzである。とくに2.4〜2.5GHz帯は、工業用途の利用頻度も高く、電磁波が錯綜している帯域となっている。
【0004】
以上のように不要放射ノイズ対策の深刻化や無線通信分野での需要増大に伴って、システム間の電波の混線、電磁波の相互干渉、遅延分散に伴う混信、誤作動、通信不能といった問題が生じるおそれはますます増大している。
【0005】
通常、外部から侵入する電波に対しては、電磁波シールド材が使用されている。ところが、電磁波シールド材は入射する電波を反射させるものであるため、室内の壁面や床面で反射する自己電波に対しては有効ではない。このため自己電波の反射波の影響により通信品質が低下してしまうという問題がある。
【0006】
このため、不要電波や不要放射ノイズを吸収する電磁波吸収材料が種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、所定量のフェライトおよびカーボンを塗料用ビヒクルに分散させた電波吸収用塗料組成物が記載されている。また、下記特許文献2には、固定炭素含有率80%以上、粒子径200〜800μm、アスペクト比50以上の鱗片状グラファイトを含有する薄膜型電磁波吸収体組成物が記載されている。
しかしながら、これらの特許文献1および2に開示の技術では、狙い通りの電磁波吸収性能が得られない、言い換えると特許文献1および2には電磁波吸収性能を自由にコントロールするための手段が開示されていない。
【0007】
さらに、下記特許文献3および4には、樹脂塗料に黒鉛粉末を混入した電磁波の遮蔽塗料が記載されているが、黒鉛を単独で用いており、電磁波吸収性能を自由にコントロールするための手段は開示されていない。
また、下記特許文献5には、アクリル樹脂に金属粉および黒鉛粉を混入させ、板状に成形した電磁波消去板が記載されているが、電磁波の反射率は記載されているものの、吸収性能については記載されていないし、電磁波吸収性能を自由にコントロールするための手段も開示されていない。
【0008】
一般に電磁波吸収体の性能は、周波数、厚さおよび材料定数(ε'、ε''、μ'、μ'')によって決定される。従って、6つのパラメーターを制御する必要があるが、特に材料の特性として決まる材料定数は各定数が関連を持って変動するため、個別制御の難しいパラメーターである。
【0009】
すなわち、電磁波吸収量が最大になる、つまり電磁波吸収材の表面から見込んだ入力インピーダンスZinが平面波の波動(特性)インピーダンスZ0と等しくなる整合条件を満たすための条件式は下記式で表される。
【数1】

ここで、電波吸収体の材料として誘電体のみ(カーボンブラックなど)を用いる場合には、複素透磁率は1となる。そして、d/λの変化させて、下記式で求められる複素誘電率の実部ε'と虚部ε''とを求め、横軸を実部ε'とし、縦軸を虚部ε''としたグラフにプロットして設計チャート(無反射曲線)を作成する。
【数2】

【0010】
ある特定周波数λの電磁波を吸収する電磁波吸収材料を設計するには、例えばd/λ=0.1とすると、前記設計チャートから(d/λ=0.1)に対応する実部ε'と虚部ε''とを求め、前記[数2]に代入して複素誘電率を決定する。また、d/λ=0.1から電磁波吸収材料の厚さも求まる。この結果、複素誘電率が上記値になる誘電体を使用し、かつ厚さを(d/λ=0.1)から求めた値にすればよいことがわかる。
【0011】
しかしながら、誘電体としてカーボンブラックを用いると、実部ε'が高くなると同時に虚部ε''も高くなる(すなわちtanδ=ε''/ε'が高くなる)という特性がある。虚部ε''またはtanδの増加は、材料の導電性が向上し、抵抗性が低下することを意味する。一方、電磁波吸収のメカニズムは、入射した電磁波のエネルギーを内部で熱エネルギーに変換することであるから、このような導電性向上(抵抗性低下)は、電磁波吸収にとってマイナスであり、むしろ電磁波の反射特性を向上させることになる。
【0012】
一方、酸化チタンも誘電体として知られている。ところが、酸化チタンを用いると、tanδを低下させることは可能であるが、酸化チタンは比重が4.2と大きく、しかも多量に充填しなければ実部ε'を高くすることができないために、得られる電磁波吸収材料は重くなり、さらに加工性も低下するという問題がある。
【0013】
さらに、電磁波吸収材料には、狙い通りの電磁波吸収特性の実現に加えて、厚さを薄くすることも求められている。このため、電磁波吸収材料の設計が大変困難になっているのが実情である。
以上の説明は、誘電体を用いる場合であるが、フェライトなどの磁性体を用いる場合も同様の問題がある。誘電体と磁性体を併用する場合は、材料定数における変動パラメーターが増えるため整合条件を満たすことがさらに難しくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】各種誘電体の複素誘電率の実部ε'と虚部ε''との関係を示すグラフである。
【図2】電磁波吸収材料の設計方法を説明するための実部ε'と虚部ε''との関係を示すグラフである。
【図3】実施例7および比較例8で使用したマイクロストリップラインの形状を示す概略図である。
【図4】実施例7および比較例8のマイクロストリップラインの伝送損失を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の電磁波吸収材料は、素材材料に誘電体および/または磁性体と共に、誘電率調整剤として特定の黒鉛を含有させたものである。
【0022】
素材材料としては、例えばゴム、合成樹脂(熱可塑性エラストマー、各種プラスチック)などの高分子材料が挙げられる。前記ゴムとしては、例えば天然ゴムのほか、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチレンープロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム、シリコンゴムなどの合成ゴム単独、もしくはこれらのゴムを各種変性処理にて改質したものが挙げられる。これらのゴム材料は単独でまたは2種以上を混合して使用するほか、他のゴムや樹脂を複数種ブレンドして用いることもできる。ゴムには、加硫剤のほか、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤などの従来からゴムの配合剤として使用されていたものを適宜配合することができる。
【0023】
熱可塑性エラストマーとしては、例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0024】
さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、ポリスルホン、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂も素材材料として使用可能である。
また、高分子材料以外に、石膏材、セメント材等のように、充填材を配合することが可能な材料も適宜使用することもできる。
【0025】
誘電体としては、例えばカーボンブラック、酸化チタンなどが挙げられる。前記カーボンブラックには、例えばファーネスブラック、チャンネルブラックなどが挙げられ、具体的にはライオン・アクゾー社製のケッチェンブラックなどを使用するのが好ましい。また、カーボンブラックとしてカーボン繊維、カーボンコイルを用いてもよい。
特に、低ε"の黒鉛と高ε"のカーボンブラックを併用することで、無反射曲線上において複素誘電率を自由にコントロールできるため、整合条件を満たすための設計の自由度が向上するという利点がある。
【0026】
前記磁性体としては、例えばフェライト、鉄合金、純鉄粒子が挙げられる。これらの磁性材料は、複素透磁率の実部μ'が高くなると同時に虚部μ''も高くなる(すなわちtanδ=μ''/μ'が高くなる)という特性がある。また磁性材料自身が固有の複素誘電率(実部ε'および虚部ε'')を有していることから、磁性材料の配合量に応じて四つのパラメータ(ε'、ε''、μ'、μ'')が変動することになる。従って、このまま薄膜の条件下で整合条件を満たすことは容易ではない。このような磁性体を含有する電磁波吸収材料に誘電率調整剤としての黒鉛を含有させることにより、整合条件を満たすことができ、電磁波吸収性能を向上させることができる。
【0027】
フェライトとしては、例えばMn-Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn-Mgフェライト、Mnフェライト、Cu−Znフェライト、Cu−Mg−Znフェライトなどのソフトフェライト、あるいは永久磁石材料であるハードフェライトが挙げられる。鉄合金としては、例えば磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)、センダスト(Fe−Si−Al合金)、パーマアロイ(Fe−Ni合金)、ケイ素銅(Fe―Cu―Si合金)、Fe−Si−B(−Cu−Nb)合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe−Ni−Cr−Si系合金等が挙げられる。なお、これら合金においては扁平状のものを用いてもよい。純鉄粒子としては例えばカルボニル鉄粉が挙げられる。好ましくは低コストで透磁率の高いソフトフェライト粉末を使用するのがよい。近傍電磁界の不要ノイズ対策としては、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金またはFe−Ni−Cr−Si系合金を使用するのが好ましい。
【0028】
また、磁性体の粒径に関しては、0.01μm〜30μmが好ましい。とくに好ましいのは0.1μm〜10μmである。磁性体の粒径が0.01μm未満であると凝集力が高いため分散させるのが難しく、一方、30μmを超えると複素透磁率が低下し、さらに加工性も悪くなる。形状に関しては、カルボニル鉄を用いる場合、そのカルボニル鉄は真球に近いものが望ましい。
【0029】
磁性体を扁平形状に加工した場合は、磁性体自体の強度が劣り、歪み易くなり、ポリマー中での一方向への配向が難しくなるが、透磁率(実部μ’及び虚部μ”)を高くし且つ吸収帯域を広げることができるという利点がある。扁平形状の磁性体は長径が5〜400μmであるのが好ましく、より好ましくは長径5〜300μmであり、更に好ましくは長径10〜250μmである。磁性体の長径が5μm以下であると、透磁率が低く、逆に400μm以上であれば加工性が悪くなる。また、扁平形状の磁性体のアスペクト比は5〜100が好ましく、10〜80であるのが特に好ましい。扁平形状のアスペクト比が5以下では透磁率が低く、逆に100以上であれば磁性体の形状維持が難しい。
【0030】
電磁波吸収材料の厚さを薄くするため手段として、磁性体の配合量を多くすることがある。しかし、鉄合金(軟磁性金属等)、純鉄粒子は高い導電性を有しているため、多量に配合することで、素材材料中で充填材同士の接触が生じることがあり、結果として電波吸収材料の導電性が高くなり、虚部ε"が大きくなる傾向がある。前述の通り、虚部ε"が大きくなると、電波吸収性能は損なわれてしまう。他方、誘電体のみを用いる電波吸収材料の場合にも充填量を増すと同様の問題が起こり得る。
電磁波吸収材料は、体積抵抗率の高い方がε”が低くなる傾向があることから、体積抵抗率は106Ω・cm以上が好ましく、108Ω・cm以上であるのがより好ましい。
【0031】
この問題を解決する手段として、誘電体、磁性体および黒鉛の少なくとも1つにあらかじめ、あるいは混練と同時に絶縁処理を施す方法が有効である。この結果、誘電体、磁性体、黒鉛などの充填材を多量に配合した場合にも、接触による導通を抑えることが可能となり、虚部ε"の増加を抑えることができ、整合条件を満たし易くなる。絶縁処理の方法として、プラズマ処理法、アルコキシド法、水ガラス処理法、シランカップリング剤又はチタネート系カップリング剤による処理方法、酸化被膜形成、エポキシ樹脂等のコーティング、フェライト等のメッキによる被覆等がある。
【0032】
電磁波吸収体に放熱特性を付与して使用することができる。放熱材料としては、例えば金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素および炭化ケイ素からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。とくに好ましいのは、窒化ホウ素と窒化アルミニウムである。純度が高いグレードが放熱材料として良好な特性を示す。導電性の高い添加剤となる磁性粉末、例えばFe−Ni−Cr−Si系合金等のFe系合金、または誘電体としての黒鉛なども放熱特性改善に寄与するため、これらと併用した場合での熱伝導特性を決定する必要がある。例えばFe系合金および黒鉛は共に扁平度が高いため、ポリマー中に分散した場合、熱伝導性も異方性が発現しやすくなる。この場合、熱伝導性の劣る方向、つまり配向粉末にほぼ垂直な方向にはポリマー内に熱が良好に拡散する経路を確保することが困難である。そこで、導電性が低く粒子径の小さい熱伝導性の微粒子を磁性材や黒鉛の粒子間に分散するように配合設計して、配向粉末にほぼ垂直な方向の熱伝導性を改善することになる。
【0033】
放熱材料の配合量は、1〜50体積%、好ましくは10〜50体積%が望ましい。放熱材料が50体積%以上であると、加工性が悪くなる。また、放熱材料の添加にて、上述の体積抵抗が106未満に下がることがないように、添加量、導電性、サイズ、形状等を決定する。
【0034】
また、難燃性を付与するために電磁波吸収材料に難燃剤を含有させてもよい。このような難燃剤には、例えば、リン酸系難燃剤、水酸化物系難燃剤、臭素系難燃剤、金属化合物系難燃剤から選ばれる少なくとも1種類が使用される。
【0035】
リン酸系難燃剤としては、例えば燐酸エステル、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐などが挙げられる。水酸化物系難燃剤としては、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、硫酸カルシウム水和物、ホウ酸亜鉛水和物などが挙げられる。臭素系難燃剤としては、例えばデカブロムジフェニルオキサイド、2,2-ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)、1,2,5,6,9,10-ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモ無水フタル酸、ペンタブロモトルエンなどが挙げられる。金属化合物系難燃剤としては、例えば3酸化アンチモン、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化クロム、酸化鉄などが挙げられる。
【0036】
とくに好ましい難燃剤は、デカブロムジフェニルオキサイドと3酸化アンチモンを加えた難燃剤であり、少量で高い難燃効果が得られる。この場合は、デカブロムジフェニルオキサイドと3酸化アンチモンとを混合した難燃剤製品、例えば味の素ファインテクノロジー社から販売されている商品名「ポリセーフFCT−5」を使用しても良い。
【0037】
誘電率調整剤として使用される黒鉛は、純度を表す固定炭素分が97%以上、好ましくは99%以上、灰分が3%以下、好ましくは1%以下、揮発分が3%以下、好ましくは1%以下であるのがよい。黒鉛の固定炭素分が97%未満であると、該当黒鉛を多量に配合しないと複素誘電率が大きくならないため、加工性が悪くなる。黒鉛の灰分が3%未満であると該当黒鉛を多量に配合しないと複素誘電率が大きくならないため、加工性が悪くなる。さらに、黒鉛の揮発分も3%未満であると該当黒鉛を多量に配合しないと複素誘電率が大きくならないため、加工性が悪くなる。
【0038】
また、黒鉛は、平均粒径(長片状の黒鉛にあっては最大粒径)が0.1〜650μm、好ましくは5〜100μmの範囲のものが使用可能である。0.1μm未満だと分散が難しく、650μmを超えると磁性体の粒径との乖離が大きく、性能が不安定になる傾向にある。黒鉛の見掛け密度は0.03〜1.0g/cm3、好ましくは0.03〜0.5g/cm3であるのがよい。黒鉛の見掛け密度はJIS M8511に記載の方法にて測定したものである。
このような黒鉛としては、人造黒鉛;鱗状黒鉛、薄片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、球状黒鉛、膨張黒鉛などの天然黒鉛などが挙げられる。また、黒鉛繊維を使用してもよい。また膨張黒鉛を用いる場合、膨張黒鉛自体が難燃剤としての性質を有しており、難燃性も同時に付与することができる。
【0039】
黒鉛は、前記したように高ε'および低ε''を同時に達成できるという特質を有する。このような特質は黒鉛の形状や粒径に影響されないので、いかなる黒鉛を用いてもよいが、本件発明では特に少量で高い効果が得られる鱗状黒鉛を使用するのが好ましく、少量であるため加工作業や配合設計が容易になる。
【0040】
本発明の電磁波吸収材料は、前記した材料素材に、あらかじめ設計した配合処方に従って、所定量の誘電体および/または磁性体、さらに黒鉛を含有させ、所定厚さのシートないしフイルムその他の任意な形状に成形することによって製造される。任意の形状とは、ICパッケージや基板、FPC、ケーブル被覆層などである。また、電磁波吸収材料の厚さが薄い場合(例えば0.3mm以下の場合)は、塗布、スプレー、4本ロール、ナイフコーティングといった公知の技術を用いて作製することも可能である。
【0041】
配合設計は以下のようにして行う。設計の目標として周波数、電磁波吸収材料の厚さ、および電磁波吸収性能(dB)を決定する。磁性体の配合量を一定にして複素透磁率(実部μ'および虚部μ'')を固定すると、上記[数1]に示すような設計式に基づいて、目的の電磁波吸収性能を示す範囲(実部ε'および虚部ε''の好適範囲)が求められる。そこで、黒鉛の配合量を調整することで、複素誘電率(実部ε'および虚部ε'')を狙い通りのところにもって行くことができる。
【0042】
磁性体に代えて誘電体(カーボンブラックなど)を使用する場合も、黒鉛の配合量を調整することで、複素誘電率(実部ε'および虚部ε'')を狙い通りのところにもって行くことができる。
【0043】
不要ノイズ対策シートは、100MHz〜3GHzまでの広範囲の周波数のノイズを低減する目的で用いられるため、本発明でいう整合条件を満たすような材料設計は必ずしもとられていない。しかし、マイクロ波のような高周波のノイズ対策を空間で受ける場合、整合による電磁波吸収という考え方は有効であり、高い虚部μ''を保ったまま、任意周波数に整合周波数を持つノイズ吸収シートが提供できることになる。つまり、ノイズ吸収シートの高い実部μ'および虚部μ''は、添加する磁性体の種類、量、配向状態により定まるが、複素誘電率(とくに実部ε')を黒鉛にて制御することで、任意厚さでの任意周波数(例えば1〜5GHz)に整合性を与えたノイズ吸収シートとすることができる。
【0044】
誘電率調整剤としての黒鉛は、整合条件を満たすように配合量は適宜決定されるが、通常、材料素材100重量部に対して3〜150重量部、好ましくは5〜80重量部の範囲で含有されるのがよい。また、前記誘電体および/または磁性体は、材料素材100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは80〜600重量部の範囲で含有されるのがよい。言い換えれば誘電体および/または磁性体を10〜90体積%、黒鉛を1〜30体積%含有の各範囲で用いるのが良い。黒鉛および誘電体および/または磁性体の配合量が前記範囲を超えると、加工性が悪くなるおそれがある。また、黒鉛の配合量が前記範囲を下回ると、複素誘電率を設計通りに調整できなくなるおそれがある。
【0045】
本発明の電磁波吸収材料はシートなどの任意な形状に成形することができる。この場合、本発明によれば、黒鉛によって誘電率調整をなすことができるので、厚さの下限は0.01mm、好ましくは0.03mm程度まで薄くすることが可能である。なお、厚さの上限は約10mm、好ましくは5mm程度まであるのがよい。ここでの厚さの下限値は、塗工により近傍電磁界用ノイズ対策電波吸収体を作製した場合の製造上の下限値を示している。
【0046】
材料素材としてゴムを用いた場合、本発明の電磁波吸収材料は、原料ゴムにカーボンブラック、カルボニル鉄、フェライト等の誘電体や磁性体及び黒鉛を含む各種配合剤を加え、混練した後、シートなどに成形し、所定形状に加硫を行って製造される。また、本発明の電磁波吸収材料は常温液状物で、常温硬化または熱を加えることで硬化する形態でも使用することができる。
【0047】
また、熱可塑性エラストマーやプラスチックの場合、本発明の電磁波吸収材料は、原料となる熱可塑性エラストマーやプラスチックにカーボンブラック、カルボニル鉄、フェライト等の誘電体や磁性体及び黒鉛を含む各種配合剤を加え、射出成形、押出成形などの任意な成形手段にて所定形状に成形して製造される。
【0048】
本発明にかかる電磁波吸収材料は、例えば屋内無線LAN対応の床材、壁材及び天井材等のOA、FA関連用途、若しくは屋外の無線基地局等に好適に使用することができ、さらに近傍電磁界用ノイズ対策電波吸収体としても応用可能である。本発明の電磁波吸収材料は、シートなどの形態でそのまま単独で使用してもよく、あるいは基材上に貼り合わせ、塗布などにより積層した形態で使用してもよい。
【0049】
以下、参考例、実施例および比較例を挙げて本発明の電磁波吸収材料を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の表に示す配合量は全て重量部である。
【0050】
[参考例1]
(黒鉛の特性)
下記表1に示す配合にて、熱可塑性エラストマーである塩素化ポリエチレン(昭和電工(株)製のエラスレン302NA)に黒鉛(日本黒鉛工業(株)製のCB100)を加え、混練した後、シート状に成形し、厚さ2.0mmの試料1〜9を得た。
また、下記表2に示す配合にてクロロプレンゴム(昭和電工社製のショウプレンGW)に黒鉛および各種配合剤を加え、混練した後、シート状に成形し、加硫を行って厚さ2.0mmの試料10〜12を得た。
【0051】
得られた試料1〜12について、周波数2.45GHzでの複素誘電率(実部ε'および虚部ε'')を、円形同軸管を用いたSパラメーター法によって求め、さらにtanδ(=ε''/ε')を計算した。その結果を表1および表2に各試料の比重と共に示す。
【表1】

【表2】

【0052】
一方、比較のため、黒鉛に代えてカーボンブラック(昭和キャボット社製のIP1000)を使用したほかは、表1の試料1〜6と同様にして比較試料1〜6を得た。比較試料1〜6の配合量および上記と同様にして求めた複素誘電率、tanδを表3に示す。
また、誘電体として酸化チタン(堺化学工業社製のR310)を使用し、表4に示す配合量で使用したほかは、表1の試料と同様にして比較試料7〜11を得た。比較試料7〜11の配合量および上記と同様にして求めた複素誘電率、tanδを表4に示す。
【表3】

【表4】

【0053】
表1〜表4で得られた各試料の実部ε'および虚部ε''の関係を図1に示す。図1から、カーボンブラックは実部ε'の増加と共に虚部ε''も急激に増加するのに対して、黒鉛は実部ε'が増加しても虚部ε''は殆ど増加せず低い値を維持していることがわかる。また、酸化チタンも黒鉛と同様に虚部ε''は低いが、表4に示すように多量に配合する必要があることから密度も大きくなっている。
【0054】
[参考例2]
(配合設計)
厚さ5mmの電磁波吸収材料を用いて、周波数2.45GHzで20dB以上の電磁波吸収を達成することを目標とする。
【0055】
まず、磁性体としてフェライト(戸田工業社製KNS415)の配合量を100重量部に固定したとき、複素透磁率はμ'が1.31、μ''が0.34となる。このμ'およびμ''の各値および上記周波数2.45GHz、厚さ5mmの数値を前記[数1]で示した設計式に代入して、20dB以上の電磁波吸収を達成する条件を計算した。その結果、図2に示す範囲Aが20dB以上の電磁波吸収を達成するために必要な複素誘電率の実部ε'および虚部ε''であることが判明した。
【0056】
次に、誘電体の配合量を調整して、複素誘電率(実部ε'、虚部ε'')が目標の範囲A内に入るようにする。このとき、誘電体として黒鉛(日本黒鉛社製CB100)またはカーボンブラック(ライオン社製のケッチェンブラックEC)を使用し、表5に示す範囲内で黒鉛とカーボンブラックの配合量を変化させた。得られた複素誘電率(実部ε'、虚部ε'')を表6および図2に示す。
なお、表5に示す配合組成の電磁波吸収材料の難燃性をプラスチック材料の難燃試験規格(UL94)に記載の方法に従って測定した。その結果は表5に示した通りであり、いずれも良好な難燃性であることを示す「UL94VO」の評価が得られた。
【表5】

【表6】

図2から明らかなように、黒鉛はカーボンブラックよりも虚部ε''が小さいために目標を容易に達成できることがわかる。
【0057】
[実施例1および比較例1]
(黒鉛―フェライト)
表7に示す配合量で塩素化ポリエチレン(昭和電工社製のエラスレン302NA)にフェライト(戸田工業社製のKNS415)と、黒鉛(日本黒鉛社製のCB100)またはカーボンブラック(ライオン社製のケッチェンブラックEC)を加え、さらに可塑剤(谷口石油社製のNCL22)を配合して混練した後、シート状に成形し、厚さ5mmの電磁波吸収材料を得た。この電磁波吸収材料の2.45GHz帯における複素透磁率、複素誘電率および電磁波吸収量を測定した。結果を表7に併せて示す。なお、複素透磁率、複素誘電率は円形同軸管を用いたSパラメーター法によって測定した。電磁波吸収量は、その複素透磁率及び複素誘電率を用いて、算出した。
【表7】

【0058】
実施例2および比較例2
(黒鉛―フェライト)
表8に示す配合量でクロロプレンゴム(昭和電工社製のショウプレンGW)にフェライト(戸田工業社製のKNS415)と、黒鉛(日本黒鉛社製のCB100)またはカーボンブラック(ライオン社製のケッチェンブラックEC)を加え、さらに他の配合剤を配合して混練した後、シート状に成形し、加硫を行って厚さ4mmの電磁波吸収材料を得た。この電磁波吸収材料の5.2GHz帯における複素透磁率、複素誘電率および電磁波吸収量を実施例1と同様にして求めた。その結果を表8に併せて示す。また、参考例2と同様にして測定した難燃性の測定結果も表8に示した。
【表8】

【0059】
[実施例3および比較例3]
(黒鉛―フェライト)
表9に示す配合量でクロロプレンゴム(昭和電工社製のショウプレンGW)にフェライト(戸田工業社製のKNS415)と、黒鉛(日本黒鉛社製のCB100)またはカーボンブラック(ライオン社製のケッチェンブラックEC)を加え、さらに他の配合剤を配合して混練した後、シート状に成形し、加硫を行って厚さ3.3mmの電磁波吸収材料を得た。この電磁波吸収材料の5.8GHz帯における複素透磁率、複素誘電率および電磁波吸収量を実施例1と同様にして求めた。その結果を表9に併せて示す。また、参考例2と同様にして測定した難燃性の測定結果も表9に示した。
【表9】

【0060】
[実施例4および比較例4]
(黒鉛―カルボニル鉄)
表10に示す配合量で塩素化ポリエチレン(昭和電工社製のエラスレン302NA)にカルボニル鉄(BASF社製のES)と、黒鉛(日本黒鉛社製のCB100)またはカーボンブラック(ライオン社製のケッチェンブラックEC)を加え、さらに他の配合剤を配合して混練した後、シート状に成形し、厚さ2.5mmの電磁波吸収材料を得た。この電磁波吸収材料の2.45GHz帯における透磁率、誘電率および電磁波吸収量を実施例1と同様にして求めた。その結果を表10に併せて示す。
【表10】

【0061】
[実施例5および比較例5]
(黒鉛―カルボニル鉄)
表11に示す配合量で塩素化ポリエチレン(昭和電工社製のエラスレン302NA)にカルボニル鉄(BASF社製のES)と、黒鉛(日本黒鉛社製のCB100)またはカーボンブラック(昭和キャボット社製のIP1000)を加え、さらに他の配合剤を配合して混練した後、シート状に成形し、厚さ2mmの電磁波吸収材料を得た。この電磁波吸収材料の5.2GHz帯における複素透磁率、複素誘電率および電磁波吸収量を実施例1と同様にして求めた。その結果を表11に併せて示す。
【表11】

【0062】
[実施例6および比較例6]
(黒鉛―鉄粉)
表12に示す配合量で天然ゴムに鉄粉(同和鉄粉社製のDSP1000)と、黒鉛(日本黒鉛社製のCB100)またはカーボンブラック(前出のケッチェンブラックEC)を加え、さらに他の配合剤を配合して混練した後、シート状に成形し、厚さ3mmの電磁波吸収材料を得た。この電磁波吸収材料の5.8GHz帯における複素透磁率、複素誘電率および電磁波吸収量を実施例1と同様にして求めた。その結果を表12に併せて示す。
【表12】

これらの実施例および比較例から、黒鉛を配合することにより、高ε'でも低ε''を実現し、高い電磁波吸収を可能にしていることがわかる。
【0063】
[実施例7、8および比較例7、8]
表13に示す配合量でH−NBR(水添アクリロニトリル-ブタジエンゴム、以下同じ)に扁平軟磁性体(三菱マテリアル社製JEM粉)と、黒鉛(日本黒鉛社製のCB100)またはカーボンブラック(昭和キャボット社製のIP1000)を加え、さらに他の配合剤と溶剤を配合して塗料を作製し、バーコーターにより厚さ約100μmのシート状の電磁波吸収材料を得た。この電磁波吸収材料の1.25GHz帯における複素透磁率、複素誘電率および電磁波吸収量を実施例1と同様にして求めた。その結果を表13に併せて示す。
【表13】

リン酸エステル:味の素ファインテクノロジー社製のレフォロスRDP
赤燐:燐化学工業社製のノーバエクセル140
水酸化マグネシウム:堺化学工業社製のMGZ−2
EVA:東ソー社製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン750)
また、黒鉛を添加した実施例7のシート状電磁波吸収材料(厚さ約100μm)と、添加していない比較例8のシート状電磁波吸収材料(厚さ約110μm)とについて伝送損失を測定した。測定にはインピーダンスZ=50Ωのマイクロストリップラインを使用した。マイクロストリップライン線路は、面実装部品の実装に適した構造と作成のしやすさによって、広く使われている近傍ノイズの伝送損失測定方法である。図3は、使用したマイクロストリップラインの形状を示す。このものは、絶縁体基板1の表面に直線状の導体路2を設け、この導体路2上にシート状の電磁波吸収材料4を載置したものである。導体路2の両端はネットワークアナライザー(図示せず)に接続される。そして、矢印Aで示す入射波に対して、電磁波吸収材料4の載置部位からの反射量(dB)(矢印S11で示す)および透過量(dB)(矢印S21で示す)を測定し、それらの差をロス量とし、伝送損失を下記式から求めた。
【数3】

マイクロストリップラインの伝送損失は電磁波吸収材料の厚みが厚くなるほど高くなる。一般的には、厚みが薄く、しかし高伝送損失の電磁波吸収材料が望まれている。
試験結果を図4に示す。図4から、実施例7の電磁波吸収材料は、厚さが110μmと薄いにもかかわらず、高い伝送損失を示していることがわかる。
【0064】
[実施例9および比較例9]
表14に示す配合量でH−NBRに窒化ホウ素(電気化学工業社製のSP−2)に扁平軟磁性体(三菱マテリアル社製JEM粉)と、黒鉛(日本黒鉛社製のCB100)またはカーボンブラック(昭和キャボット社製のIP1000)を加え、さらに他の配合剤と溶剤を配合して塗料を作製し、バーコーターにより厚さ約100μmのシート状電磁波吸収材料を得た。この電磁波吸収材料の1.25GHz帯における複素透磁率、複素誘電率および電磁波吸収量を実施例1と同様にして求めた。その結果を表14に併せて示す。
【表14】

【0065】
[実施例10および比較例10]
表15に示す配合量でH−NBRに窒化アルミ(東洋アルミニウム社製のトーヤルナイトUM)に扁平軟磁性体(三菱マテリアル社製JEM粉)と、黒鉛(日本黒鉛社製のCB100)またはカーボンブラック(昭和キャボット社製のIP1000)を加え、さらに他の配合剤と溶剤を配合して塗料を作製し、バーコーターにより厚さ約100μmのシート状電磁波吸収材料を得た。この電磁波吸収材料の1.25GHz帯における複素透磁率、複素誘電率および電磁波吸収量を実施例1と同様にして求めた。その結果を表15に併せて示す。
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体(但し黒鉛を除く)および/または磁性体と共に、誘電率調整剤として、固定炭素分97%以上、灰分が3%以下、揮発分が3%以下の黒鉛を含有したことを特徴とする電磁波吸収材料。
【請求項2】
前記誘電体がカーボンブラックである請求項1記載の電磁波吸収材料。
【請求項3】
前記磁性体がフェライトまたは鉄である請求項1記載の電磁波吸収材料。
【請求項4】
前記鉄がFe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金またはFe−Ni−Cr−Si系合金である請求項3記載の電磁波吸収材料。
【請求項5】
前記磁性体が長径5〜400μmでアスペクト比が5〜100の扁平形状である請求項3または4記載の電磁波吸収材料。
【請求項6】
前記誘電体、磁性体および黒鉛の少なくとも1つが絶縁処理されたものである請求項1〜5のいずれかに記載の電磁波吸収材料。
【請求項7】
体積抵抗率が106Ω・cm以上である請求項1〜6のいずれかに記載の電磁波吸収材料。
【請求項8】
放熱材料を1〜50体積%含有する請求項1〜7のいずれかに記載の電磁波吸収材料。
【請求項9】
放熱材料が窒化ホウ素または窒化アルミニウムである請求項8記載の電磁波吸収材料。
【請求項10】
ゴムシートまたは合成樹脂シートである請求項1〜9のいずれかに記載の電磁波吸収材料。
【請求項11】
シートの厚みが0.01〜10mmである請求項10記載の電磁波吸収材料。
【請求項12】
ゴムまたは合成樹脂100重量部に対して、前記誘電体および/または磁性体10〜1000重量部、黒鉛3〜150重量部を含有した請求項10または11記載の電磁波吸収材料。
【請求項13】
前記誘電体および/または磁性体を10〜90体積%、黒鉛を1〜30体積%含有した請求項10または11記載の電磁波吸収材料。
【請求項14】
リン酸系難燃剤、水酸化物系難燃剤、臭素系難燃剤および金属化合物系難燃剤から選ばれる少なくとも一種の難燃剤を含有した請求項1〜13のいずれかに記載の電磁波吸収材料。
【請求項15】
難燃剤がデカブロムジフェニルオキサイドおよび/または3酸化アンチモンである請求項14記載の電磁波吸収材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−278137(P2009−278137A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193010(P2009−193010)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【分割の表示】特願2004−122076(P2004−122076)の分割
【原出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】