説明

電磁波計測装置、電磁波計測システムおよび電磁波計測方法ならびに構造体の外形状設計方法

【課題】近傍界にて計測した電磁波散乱データを用いて遠方界での電磁波散乱を精度良く評価できる電磁波計測装置を提供する。
【解決手段】電波吸収材4を備えた筐体3と、筐体3内に設けられ、縮小模型とされた航空機模型15が設置される計測領域11に球面波電磁波を送信するとともに散乱波を受信するNFアンテナ5と、筐体3内に設けられ、球面波電磁波を波電磁波に変換するコンパクトレンジ9を備え、変換された波電磁波を計測領域11に送信するとともに散乱波を受信するFFアンテナ7と、NFアンテナ5によって得られた計測データを、FFアンテナ7によって得られた計測データと対比可能なデータに変換するデータ変換手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波計測装置、電磁波計測システムおよび電磁波計測方法ならびに構造体の外形状設計方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
戦闘機、艦船、戦車等のステルス性能の評価や、これらを設計する際の電磁波散乱メカニズムの分析を行うために、電磁波散乱評価システムが知られている(下記特許文献1及び2参照)。
【0003】
電磁波計測を行う場合には、図10に示すように、実物大とされた被測定物の最大径Dおよび測定波長λから決定される下式の遠方界条件を満たす遠方界での測定がある。
ρ>2D/λ
なお、上式においてρは、球面波電磁波を送受信する送受信アンテナ101から被測定物102までの測定距離である。
このような遠方界条件での計測は、被測定物102を実際の条件にて計測できるので計測結果の信頼性は高いが、実物大の被測定物を用いる場合には測定距離ρが大きくなり装置が大がかりになってしまう。例えば戦闘機を被測定物としてマクロ波にて計測する場合、ρは数kmとなってしまう。
【0004】
また、上述した遠方界での計測ほど測定距離を確保しなくても遠方界相当での計測が可能となるコンパクトレンジ(例えば凹面リフレクタ)を用いた測定方法がある。これは、図11に示すように、球面波電磁波を送受信する送受信アンテナ101と、球面波電磁波を波電磁波に変換するコンパクトレンジ103とを備え、コンパクトレンジ103によって変換された波電磁波を利用することにより、遠方界での計測を可能としている。なお、同図において符号104は筐体であり、この筐体104は、送受信アンテナ101、コンパクトレンジ103および被測定物102を収容する。筐体104の内面には、電波吸収材(RAM : Radar Absorption Material)105が設けられている。
しかし、コンパクトレンジを用いても、被測定物が実物大模型の場合には装置の大きさは100m程度であり、依然として大きな装置とならざるを得ない。
【0005】
さらに、図12に示すように、遠方界条件よりも短い測定距離(例えば数10m)とされた近傍界にて送受信アンテナ101から球面波電磁波を被測定物102に照射して計測を行う方法がある。そして、得られた近傍界(NF : Near Field)における計測データを所定の数学的手法を用いて遠方界(FF : Far Field)におけるデータに変換する(以下、この近傍界(NF)から遠方界(FF)へのデータ変換を「NF/FF変換」という。)ことによって、遠方界における電磁波散乱を評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−206230号公報
【特許文献2】特開2010−266423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、NF/FF変換を用いて近傍界で計測を行い遠方界での電磁波散乱を評価する手法は、装置がコンパクトになるという利点を有するが、数学的な手法であるNF/FF変換の妥当性が問題となる。
具体的には、理論値を導きやすい単純形状であればNF/FF変換の妥当性を検証することは可能であるが、複雑形状を有する被測定物の場合には理論値を導くことは困難である。
したがって、コンパクトレンジ等を用いた波電磁波を照射する計測システムにて別途評価を行った複雑形状及び多数の反射メカニズムを有する供試体を活用して、NF/FF変換の妥当性を検証する必要がある。しかし、このような検証は複雑で迂遠な評価システムが要求され、また被測定物の形状が変われば新たに評価システムを再構築する必要があるという問題がある。さらに、近傍界による計測とコンパクトレンジによる計測とで異なる施設を用いて妥当性を評価することになるので、誤差要因が生じることになる。
一方、NF/FF変換の妥当性だけでなく、近傍界にて取得したISAR(Inverse Synthetic Aperture Radar;逆合成開口レーダ)データについても、その取得データの妥当性について検証することが必要となる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、近傍界にて計測した電磁波散乱データを用いて遠方界での電磁波散乱を精度良く評価できる電磁波計測装置、電磁波計測システムおよび電磁波計測方法ならびに構造体の外形状設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電磁波計測装置、電磁波計測システムおよび電磁波計測方法ならびに構造体の外形状設計方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる電磁波計測装置は、電磁波吸収能を有する筐体と、該筐体内に設けられ、被測定物が設置される計測領域に球面波電磁波を送信するとともに散乱波を受信する第1送受信手段と、前記筐体内に設けられ、球面波電磁波を波電磁波に変換するリフレクタを備え、変換された波電磁波を前記計測領域に送信するとともに散乱波を受信する第2送受信手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
球面波電磁波を送受信する第1送受信手段は、近傍界での電磁波計測を可能とする。一方、波電磁波を送信する第2送受信手段は、遠方界での電磁波計測を可能とする。本発明では、これら第1送受信手段と第2送受信手段を、同一の計測領域に対して電磁波を送受信するようになっている。したがって、同一の電磁波照射条件にて測定することができるので、第1送受信手段による近傍界の計測結果と第2送受信手段による遠方界の計測結果とが対比可能となる。
第2送受信手段は、球面波電磁波を波電磁波に変換するリフレクタを備えており、これにより、筐体をコンパクトにすることができる。リフレクタとしては、典型的には、コンパクトレンジ(例えば凹面リフレクタ)が挙げられる。
【0011】
さらに、本発明の電磁波計測装置では、前記第1送受信手段によって得られた計測データを、前記第2送受信手段によって得られた計測データと対比可能なデータに変換するデータ変換手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
データ変換手段によって、第1送受信手段によって得られた計測データ(いわゆる近傍界データ)を、第2送受信手段によって得られた計測データ(いわゆる遠方界)と対比可能なデータに変換することで、データ変換の妥当性や計測データの妥当性の評価が可能となる。
【0013】
さらに、本発明の電磁波計測装置では、前記第1送受信手段および前記第2送受信手段から送信される電磁波の照射位置を変更するように前記被測定物を軸線回りに回転可能に支持する回転台を備えていることを特徴とする。
【0014】
回転台を回転することによって被測定物を軸線回りに回転させることによって、第1送受信手段および第2送受信手段から送信される電磁波の照射位置を変更することとした。これにより、第1送受信手段と第2送受信手段が異なる位置に設けられている場合であっても同様の位置関係で電磁波の送受信を行うことができるので、第1送受信手段と第2送受信手段とを変更するごとに被測定物を設置台に対して配置し直す場合に比べて、第1送受信手段による測定結果と第2送受信手段による測定結果との対比を精度良く行うことができる。
【0015】
さらに、本発明の電磁波計測装置では、前記回転台の前記軸線に一致するように、前記計測領域の中心軸線が設定されていることを特徴とする。
【0016】
回転台の軸線と計測領域の中心軸線とを一致させることにより、第1送受信手段と第2送受信手段が異なる位置に設けられている場合であっても同様の位置関係で電磁波の送受信を行うことができ、電磁波照射条件の同一性を保つことができる。
【0017】
さらに、本発明の電磁波計測装置では、前記回転台を回転可能に支持する支持機構を収容するパイロンを備え、該パイロンは、前記第1送受信手段による計測時における該第1送受信手段に対する前面位置関係と、前記第2送受信手段による計測時における該第2送受信手段に対する前面の位置関係とが同一となるように、位置変更可能とされていることを特徴とする。
【0018】
パイロン内には、回転台を回転可能に支持する支持機構が収容されるようになっている。したがって、パイロンは、各送受信手段から送信される電磁波に曝されることになる。パイロンに電磁波が照射されると、パイロンから散乱する電磁波は計測時の誤差要因となるため、計測時におけるパイロンの位置が重要となる。そこで、本発明では、第1送受信手段による計測時における第1送信手段に対する位置関係と、第2送受信手段による計測時における第2送受信手段に対する位置関係とが同一となるように、パイロンを位置変更可能とした。これにより、各送受信手段による測定時におけるパイロンの位置関係を同一とできるので、双方の電磁波照射条件を一致させることができ、対比可能な計測が可能となる。
なお、パイロンを位置変更する場合には、回転台の軸線回りに回転するようにパイロンを位置変更させることが好ましい。これにより、精度良くパイロンを位置変更させることができる。
また、パイロンとしては、照射された電磁波が計測領域側に散乱しないように、照射方向に対して前面を傾けるように配置することが好ましく、その断面形状も先端部が曲面で構成され滑らかな連続した形状とされたオジャイブ(ogive;蛋形)形状とすることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の電磁波計測装置では、前記回転台を回転可能に支持する支持機構を収容するパイロンを備え、該パイロンは、固定設置され、前記第1送受信手段による計測時における該第1送受信手段に対する前面の位置関係と、前記第2送受信手段による計測時における該第2送受信手段に対する前面の位置関係とが同一となる形状とされていることを特徴とする。
【0020】
パイロン内には、回転台を回転可能に支持する支持機構が収容されるようになっている。したがって、パイロンは、各送受信手段から送信される電磁波に曝されることになる。パイロンに電磁波が照射されると、パイロンから散乱する電磁波は計測時の誤差要因となるため、計測時におけるパイロンの位置が重要となる。そこで、本発明では、パイロンを固定設置するとともに、パイロンの形状を、第1送受信手段による計測時における第1送信手段に対する前面の位置関係と、第2送受信手段による計測時における第2送受信手段に対する前面の位置関係とが同一となるようにした。これにより、各送受信手段による測定時におけるパイロンの前面の位置関係を同一とできるので、双方の電磁波照射条件を一致させることができ、対比可能な計測が可能となる。
また、パイロンを固定設置しているので、第1送受信手段と第2送受信手段とを切り替える際にパイロンの位置を変更する必要がないので、双方の電磁波照射条件を一致させることができる。
また、パイロンとしては、照射された電磁波が計測領域側に散乱しないように、照射方向に対して前面を傾けるように配置することが好ましく、その断面形状も先端部が曲面で構成され滑らかな連続した形状とされたオジャイブ(ogive;蛋形)形状とすることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明の電磁波計測装置では、前記第1送受信手段と前記計測領域との間に取り外し可能に設けられた電磁波吸収能を有する第1壁体と、前記第2送受信手段の前記リフレクタと前記計測領域との間に取り外し可能に設けられた電磁波吸収能を有する第2壁体と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
第1壁体および第2壁体を設けることにより、一方の送受信手段による計測時に他方の送受信手段が影響を及ぼすことがようにすることができる。具体的には、第1送受信手段による計測の場合には、第2壁体を設置することによって第2送受信手段のリフレクタからの影響を排除することができ、第2送受信手段による計測の場合には第1壁体を設置することによって第1送受信手段からの影響を排除することができる。
【0023】
さらに、本発明の電磁波計測装置では、前記第2送受信手段の前記リフレクタと前記計測領域との間に取り外し可能に設けられた電磁波吸収能を有する第3壁体を備え、該第3壁体には、前記第1送受信手段が設けられていることを特徴とする。
【0024】
第2送受信手段のリフレクタと計測領域との間に、第1送受信手段が設けられた第3壁体を取り外し可能に設けることとした。これにより、第1送受信手段による計測の際には第3壁体を設置して計測を行い、リフレクタからの影響を排除する。また、第2送受信手段による計測の際には第3壁体とともに第1送受信手段を取り外すことにより、第1送受信手段からの影響を排除する。
このように、計測領域からみて同一方向に各送受信手段を設置することができるので、装置全体をコンパクトにすることができる。
また、パイロンを用いる場合には、同一の電磁波照射条件となるので、パイロンの位置変更を行わなくても済む。
【0025】
また、本発明の電磁波計測システムは、縮小模型を被測定物とした請求項2から8のいずれかに記載の電磁波計測装置と、前記縮小模型の実物大とされた被測定物が設置される計測領域に球面波電磁波を近傍界にて送信するとともに散乱波を受信する第3送受信手段とを備え、前記電磁波計測装置の前記データ変換手段によって得られたデータ変換則に基づいて、前記第3送受信手段によって得られた計測結果を遠方界におけるデータに変換することを特徴とする。
【0026】
縮小模型を用いた電磁波計測装置によって、第1送受信手段による近傍界と第2送受信手段による遠方界とのデータ変換則を得ておき、このデータ変換則に基づいて、実物大の被測定物を第3送受信手段によって近傍界にて計測したデータを変換し、遠方界におけるデータを得ることとした。これにより、遠方界条件を満たす大がかりな計測設備を用いることなく実物大の被測定物の電磁波計測が可能となる。
【0027】
また、本発明の電磁波計測方法は、被測定物が設置される計測領域に球面波電磁波を送信するとともに散乱波を受信する第1送受信手段によって計測する第1送受信ステップと、球面波電磁波を波電磁波に変換するリフレクタを備え、変換された波電磁波を前記計測領域に送信するとともに散乱波を受信する第2送受信手段によって計測する第2送受信ステップとを有することを特徴とする。
【0028】
第1送受信手段と第2送受信手段は、同一の計測領域に対して電磁波を送受信するようになっている。したがって、同一の電磁波照射条件にて測定することができるので、第1送受信手段による測定結果と第2送受信手段による測定結果とが対比可能となる。
第2送受信手段は、球面波電磁波を波電磁波に変換するリフレクタを備えており、これにより、装置構成をコンパクトにすることができる。リフレクタとしては、典型的には、コンパクトレンジ(例えば凹面リフレクタ)が挙げられる。
【0029】
さらに、本発明の電磁波計測方法では、前記第1送受信ステップによって得られた計測データを、前記第2送受信ステップによって得られた計測データと対比可能なデータに変換するデータ変換を行うデータ変換ステップを有することを特徴とする。
【0030】
第1送受信手段によって得られた計測データ(いわゆる近傍界データ)を、第2送受信手段によって得られた計測データ(いわゆる遠方界)と対比可能なデータに変換することで、データ変換の妥当性や計測データの妥当性の評価が可能となる。
【0031】
さらに、本発明の電磁波計測方法では、縮小模型を被測定物として前記第1送受信ステップ、前記第2送受信ステップ、及び、前記データ変換ステップを行い、前記縮小模型の実物大とされた被測定物が設置される計測領域に球面波電磁波を近傍界にて送信するとともに散乱波を受信する第3送受信手段によって計測する第3送受信ステップを行い、前記データ変換ステップによって得られたデータ変換則に基づいて、前記第3送受信手段によって得られた計測結果を遠方界におけるデータに変換することを特徴とする。
【0032】
縮小模型を用いた電磁波計測装置によって、第1送受信手段による近傍界と第2送受信手段による遠方界とのデータ変換則を得ておき、このデータ変換則に基づいて、実物大の被測定物を第3送受信手段によって近傍界にて計測したデータを変換し、遠方界におけるデータを得ることとした。これにより、遠方界条件を満たす大がかりな計測設備を用いることなく実物大の被測定物の電磁波計測が可能となる。
【0033】
また、本発明の構造体の外形状設計方法は、上述のいずれかに記載の電磁波計測方法によって電磁波計測を行い、その電磁波計測結果に基づいて、構造体の外形状を設計することを特徴とする。
【0034】
上述した電磁波計測方法を用いることにより構造体の外形状の電磁波散乱解析を行うことができるので、所望の電磁波散乱強度や電磁波散乱分布を有する構造体の外形状を決定することができる。
構造体としては、例えば、航空機等の飛翔体、船舶、地上走行体等が挙げられ、特に戦闘機、艦船、戦車等のステルス性能が要求される構造体に用いて好適である。
【発明の効果】
【0035】
球面波電磁波を近傍界にて送受信する第1送受信手段と、波電磁波を送受信する第2送受信手段とを用い、同一の計測領域に対して電磁波を送受信するようにした。したがって、同一の電磁波照射条件にて測定することができるので、第1送受信手段による近傍界の計測結果と第2送受信手段による遠方界の計測結果とが対比可能となる。これにより、近傍界での計測データから遠方界への電磁波散乱データへのNF/FF変換の妥当性が十分に検証できるので、近傍界にて計測した電磁波散乱データを用いて遠方界での電磁波散乱を精度良く評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電波計測装置を示した縦断面図である。
【図2】図1のオジャイブパイロンを示した横断面図である。
【図3】図1の電波計測装置にて近傍界計測を行う状態を示した縦断面図である。
【図4】図1の電波計測装置にて遠方界計測を行う状態を示した縦断面図である。
【図5】図1の電波計測装置を用いた電波計測システムにて行われる電波計測を示したフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる電波計測装置を示した縦断面図である。
【図7】図6のオジャイブパイロンを示し、(a)は上端部の横断面図、(b)は側面図、(c)は下端部の横断面図である。
【図8】図6のオジャイブパイロンの変形例を示し、(a)は上端部の横断面図、(b)は側面図、(c)は下端部の横断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態にかかる電波計測装置を示した縦断面図である。
【図10】従来の遠方界計測を示した概略構成図である。
【図11】従来のコンパクトレンジを用いた遠方界計測を示した縦断面図である。
【図12】従来の近傍界計測を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1を用いて説明する。
同図には、本実施形態に係る電磁波計測装置1が示されている。電磁波計測装置1は、筐体3と、筐体3内に収容された近傍界用送受信アンテナであるNFアンテナ(第1送受信手段)5と、筐体3内に収容された遠方界用送受信アンテナであるFFアンテナ(第2送受信手段)7と、このFFアンテナ7からの電磁波を反射するコンパクトレンジ(第2送受信手段,リフレクタ)9とを備えている。
【0038】
筐体3の内面には、電波吸収材(RAM:Radar Absorption
Material)4が設けられている。筐体3の中央部には、計測領域(Quiet Zone;無響領域)11が設けられている。この計測領域11は、仮想上の領域であり、電磁波計測の際に外乱が生じない領域を意味する。計測領域11に、被測定物である航空機模型15が設置される。航空機模型15は、実物大の航空機の例えば1/10程度の縮小模型である。
【0039】
航空機模型15は、回転軸線CL回りに回転する回転台17上に固定設置されており、回転台17とともに回転軸線CL回りに回転するようになっている。また、回転軸線CLは、計測領域11の中心軸線と一致するように設定されている。
回転台17は、ユニバーサルジョイント等を備えた回転支持機構(図示せず)によって下方から支持されている。この回転支持機構は、オジャイブパイロン13内に収容されている。
【0040】
オジャイブ(ogive)パイロン13は、図2に示すように、その横断面形状が蛋形(たん形)とされており、先端部が曲面で構成され滑らかな連続した船形のような形状とされている。また、オジャイブパイロン13は、図1に示されているように、照射された電磁波が計測領域11側に散乱しないように、照射方向に対して前面を傾けるように配置できるようになっている。具体的には、NFアンテナ5から電磁波を送信する場合は、オジャイブパイロン13は位置Aとされ、FFアンテナ7から電磁波を送信する場合は、オジャイブパイロン13は位置Bとされる。また、本実施形態では、オジャイブパイロン13は、回転台17即ち航空機模型15の回転軸線CLと同一軸線を有して回転されるようになっている。これにより、航空機模型15とオジャイブパイロン13との位置関係を精度良く再現できるようになっている。
【0041】
NFアンテナ5は、マイクロ波等の電磁波を球面波として送信するとともに、計測領域11の航空機模型15にて反射もしくは散乱された電磁波を受信するものである。受信した電磁波散乱データ(具体的にはISAR(Inverse Synthetic Aperture Radar;逆合成開口レーダ)データ)は、図示しない演算処理部によって処理される。
NFアンテナ5と計測領域11との間には、第1壁体19が設けられている。第1壁体19は、計測領域11側の面に電磁波吸収4を備えており、NFアンテナ5が設置された空間を計測領域11側の空間から仕切るように設置される。第1壁体19は、取り外し可能となっており、NFアンテナ5を用いた近傍界計測の際には取り外され、FFアンテナ7を用いた遠方界計測の際に設置されるようになっている。
【0042】
FFアンテナ7は、マイクロ波等の電磁波を球面波としてコンパクトレンジ9に送信するとともに、計測領域11の航空機模型15にて反射もしくは散乱された電磁波をコンパクトレンジ9を介して受信するものである。受信した電磁波散乱データ(具体的にはISAR(Inverse Synthetic Aperture Radar;逆合成開口レーダ)データ)は、図示しない演算処理部によって処理される。
コンパクトレンジ9は、球面波電磁波を波電磁波に変換するリフレクタであり、具体的には凹面リフレクタが用いられる。
コンパクトレンジ9と計測領域11との間には、第2壁体21が設けられている。第2壁体21は、計測領域11側の面に電磁波吸収4を備えており、コンパクトレンジ9が設置された空間を計測領域11側の空間から仕切るように設置される。第2壁体21は、取り外し可能となっており、FFアンテナ7を用いた遠方界計測の際には取り外され、NFアンテナ5を用いた近傍界計測の際に設置されるようになっている。
【0043】
電波計測装置1は、図示しない演算処理部を備えており、この演算処理部にデータ変換手段が設けられている。データ変換手段は、NFアンテナ5を用いた近傍界計測データを、所定の数学的手法を用いてFFアンテナを用いた遠方界計測データと対比可能なデータに変換する(すなわちNF/FF変換する)ものである。
【0044】
次に、上記構成を用いた電波計測装置1を用いた電波計測方法および航空機(構造体)の設計方法について、図3乃至図5を用いて説明する。
[近傍界計測(ステップS1)]
図3に示すように図1の電磁波計測装置1を構成し、NFアンテナ5を用いて近傍界計測を行う(図5のステップS1;第1送受信ステップ)。近傍界計測のときには、第1壁体19を取り外し、第2壁体21を設置する。これにより、NFアンテナ5からの送受信が可能となるとともに、リフレクタ9からの電磁波散乱の影響を排除することができる。
航空機模型15は、計測時に回転軸線CL回りに回転させられるように、回転台17上に固定される。
オジャイブパイロン13は、位置Aに位置させ、NFアンテナ5からの電磁波が照射された場合に計測領域11へと電磁波が散乱しないように、下端がNFアンテナ5から上端よりも離れた姿勢となるように配置される。このようにオジャイブパイロン13を位置させる際には、回転軸線CLを中心としてオジャイブパイロン13の下端が旋回するように変位されるようになっている。
このような状態で、NFアンテナ5から電磁波を球面波として計測領域11へ向けて照射する。計測時には、航空機模型15が回転軸線CL回りに所定の角度ずつ回転させられ、各角度位置にて計測が行われる。照射された電磁波は航空機模型15にて反射もしくは散乱し、反射散乱した電磁波は、NFアンテナ5にて受信される。受信信号は、図示しない演算処理部へと送られ、ISARデータとして処理され、電磁波散乱強度や電磁波散乱分布を得る。
【0045】
[遠方界計測(ステップS2)]
図4に示すように図1の電波計測装置1を構成し、FFアンテナ7を用いて遠方界計測を行う(図5のステップS2;第2送受信ステップ)。なお、遠方界計測は、上述した近傍界計測の後に行っても良いし、近傍界計測の前に行っても良い。
遠方界計測のときには、第2壁体21を取り外し、第1壁体19を設置する。これにより、FFアンテナ7からの送受信が可能となるとともに、NFアンテナ5からの電磁波散乱の影響を排除することができる。
航空機模型15は、近傍界計測時に設置した状態を維持し、回転台17から取り外すことなくそのまま使用する。これにより、近傍界計測と遠方界計測との電磁波照射条件の同一性を保つことができる。
オジャイブパイロン13は、位置Bに位置させ、FFアンテナ7からの電磁波がコンパクトレンジ9を介して照射された場合に計測領域11へと電磁波が散乱しないように、下端がFFアンテナ7から上端よりも離れた姿勢となるように配置される。このようにオジャイブパイロン13を位置させる際には、回転軸線CLを中心としてオジャイブパイロン13の下端が旋回するように変位されるようになっている。
このような状態で、FFアンテナ7から電磁波を球面波として送信すると、コンパクトレンジ9にて平面波へと変換された電磁波が計測領域11へ向けて照射される。計測時には、近傍界計測時と同様に、航空機模型15が回転軸線CL回りに所定の角度ずつ回転させられ、各角度位置にて計測が行われる。照射された電磁波は航空機模型15にて反射もしくは散乱し、反射散乱した電磁波は、FFアンテナ7にて受信される。受信信号は、図示しない演算処理部へと送られ、ISARデータとして処理され、電磁波散乱強度や電磁波散乱分布を得る。
【0046】
[NF/FF変換(ステップS3)]
次に、演算処理部にて、上述した近傍界計測によって得られた計測データ(NF計測データ)を、所定の数学的処理によって遠方界のデータ(FF変換データ)に変換する(図5のステップS3;データ変換ステップ)。このNF/FF変換の際に用いた変換則を演算処理部の記憶領域に格納しておく。
【0047】
[比較(ステップS4)]
そして、上述した遠方界計測によって得られた計測データ(FF計測データ)と、NF/FF変換を行ったFF変換データとを比較し、所定の誤差範囲内で一致しているか否かを評価する(図5のステップS4)。FF変換データとFF計測データとが所定の誤差範囲内で一致している場合には、このNF/FF変換に用いた変換則が妥当なものであるとして、当該変換則を次に行われる実物大模型での近傍界計測のデータ変換に用いるために所定の記憶領域に格納しておく。FF変換データとFF計測データとが所定の誤差範囲内で一致していない場合には、用いたNF/FF変換の変換則の所定のパラメータを適宜変更し、再びNF/FF変換を行う。そして、改めてFF変換データとFF計測データとを比較し、所定の誤差範囲内に収まるまで変換則のパラメータを調整する。
【0048】
[実物大模型による近傍界計測(ステップS5)]
次に、上述した縮小模型である航空機模型15の実物大模型を用いて、近傍界計測を行う(図5のステップS5;第3送受信ステップ)。この近傍界計測は、既に図12に示した実物大模型用の電磁波計測装置を用いて行う。この場合、図1に示した電磁波計測装置1に加えて、図12に示した実物大模型用の電磁波計測装置を備えた電磁波計測システムが構成されることになる。
実物大模型を用いた近傍界計測によって得られた計測データは、NF実物大計測データとして、図示しない演算処理部へと送られ、ISARデータとして処理され、電磁波散乱強度や電磁波散乱分布を得る。
【0049】
[NF実物大計測データをFF変換(ステップS6)]
そして、NF実物大計測データを、NF/FF変換を用いて遠方界におけるFFデータへと変換する(図5のステップS6)。この際に用いられるNF/FF変換の変換則は、上述したステップS4にて得られた変換則を用いる。すなわち、ステップS4にて近傍界と遠方界との間のデータ変換の妥当性が確認された変換則を用いて、NF/FF変換を行う。これにより、NF実物大計測データは、FF実物大変換データへと変換される。このFF実物大変換データは、図1の電磁波計測装置1を用いて既にNF/FF変換の妥当性が検証されているので、遠方界における電磁波散乱データとして十分に信頼できるものである。
【0050】
[航空機形状の検討(ステップS7)]
次に、FF実物大変換データを用いて、航空機の電磁波散乱を評価し、航空機形状のステルス性能等を検討する。これにより、所望の電磁波散乱特性を有する航空機形状が決定される。
【0051】
以上の通り、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
NFアンテナ5を用いた近傍界計測とFFアンテナ7を用いた遠方界計測を、同一の計測領域11に対して行うようにしたので、同一の電磁波照射条件にて測定することができ、近傍界の計測結果と遠方界の計測結果とが対比可能となる。
また、近傍界計測によって得られたNF計測データをNF/FF変換してFF変換データを演算し、このFF変換データと遠方界計測によって得られたFF計測データとを比較することとしたので、NF/FF変換の変換則の妥当性を検証することができる。
また、近傍界計測時および遠方界計測時において、航空機模型15を同一の回転台17を用いて同一の中心軸線CL回りに回転させて計測することとした。これにより、同一の電磁波照射条件を維持することができ、NF/FF変換の妥当性評価の信頼性を更に高めることができる。
また、航空機模型15の回転中心である回転軸線CLと計測領域11の中心軸線とを一致させることとしたので、近傍界計測と遠方界計測との間で同一の電磁波照射条件を維持することができ、NF/FF変換の妥当性評価の信頼性を更に高めることができる。
また、オジャイブパイロン13を航空機15と同様の中心軸線CL回りに回転させて、近傍界計測時の位置Bと遠方界計測時の位置Aとを位置決めすることとしたので、近傍界計測と遠方界計測との間で同一の電磁波照射条件を維持することができ、NF/FF変換の妥当性評価の信頼性を更に高めることができる。
また、第1壁体19を取り外し可能に設けることで、遠方界計測時のNFアンテナ5の影響を排除することができ、第2壁体21を取り外し可能に設けることで、近傍界計測時のリフレクタ9の影響を排除することができるので、電磁波計測の精度を向上させることができる。特に、コンパクトレンジ9は、設置してアライメント等を調整した後は移動させることが好ましくないので、第2壁体21を用いて非使用時に電磁的に遮蔽することは効果的である。
また、縮小模型である航空機模型15を用いた装置構成としたので、遠方界計測のためにコンパクトレンジ9を用いる場合であっても、装置構成をコンパクトに構成することができる。これは、図11に示したように実物大模型102を計測する際には大型のコンパクトレンジ103を採用せざるを得ないので、このような場合と比較すると、コスト的にも極めて有利である。
【0052】
また、電磁波計測装置1にて妥当性が検証されたNF/FF変換の変換則を用いて、実物大の近傍界計測にて得られたNF実物大計測データを遠方界へと変換して評価することとしたので、高い信頼性を有する遠方界データにて電磁波散乱特性を評価することができる。したがって、航空機の電磁波散乱特性に関する形状設計を高精度にて行うことができる。
また、実物大模型での計測は、近傍界での計測だけで遠方界を評価することができ、従来のように遠方界条件を満たす大がかりな計測設備(図10参照)を用いる必要がない。したがって、低コストにて電磁波散乱特性の評価を行うことができる。
【0053】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図6乃至図8を用いて説明する。
本実施形態は、オジャイブパイロンの構成が第1実施形態と異なり、その他の構成は同様である。したがって、同一の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のオジャイブパイロン23は、回転式とされた第1実施形態のオジャイブパイロン13と異なり、固定式とされている。具体的には、図6及び図7に示されているように、回転軸線CLを中心として対称に下方へと幅方向の寸法が拡大する末広がり形状となっている。このオジャイブパイロン23の横断面は、図7の(a)及び(c)に示すように、第1実施形態と同様に蛋形(たん形)とされており、先端部が曲面で構成され滑らかな連続した船形のような形状とされている。
【0054】
本実施形態によれば、オジャイブパイロン23は、図6において左右対称とされているので、左右の照射方向から見たオジャイブパイロン23の前面形状が同様に構成されている。したがって、NFアンテナ5から電磁波を照射する近傍界計測時とFFアンテナ5から電磁波を照射する遠方界計測時とで同様の位置にオジャイブパイロン23が配置されることになるので、電磁波照射条件の同一性を維持することができる。
また、オジャイブパイロン23を固定式とし、第1実施形態のようにオジャイブパイロン13を回転させる必要がないので、近傍界計測と遠方界計測との切替時に航空機模型15の位置がずれるおそれがない。したがって、近傍界計測と遠方界計測との間の電磁波照射条件の同一性を更に高めることができる。
【0055】
なお、オジャイブパイロンを、図8に示した形状に変形させても良い。すなわち、図6及び7に示したオジャイブパイロン23の上下を反転させて、下方へと幅方向の寸法が対称に減少する形状としても良い。
図8のオジャイブパイロン24によれば、オジャイブパイロン24に照射されて散乱する電磁波が計測領域11から遠ざかる方向となるので有利である。
【0056】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図9を用いて説明する。
本実施形態は、NFアンテナ5をコンパクトレンジ9側に配置して、同一方向から電磁波を送受信することした点で第1実施形態と相違する。その他の構成については同様であるので、同一符号を付しその説明を省略する。
リフレクタ9と計測領域11との間に第3壁体25が設置されている。第3壁体25は、計測領域11側の面に電磁波吸収4を備えており、コンパクトレンジ9が設置された空間を計測領域11側の空間から仕切るように設置される。第3壁体25は、取り外し可能となっており、FFアンテナ7を用いた遠方界計測の際には取り外され、NFアンテナ5を用いた近傍界計測の際に設置されるようになっている。また、第3壁体25には、NFアンテナ5が固定設置されている。なお、NFアンテナ5の精細な位置決めを行うことができるように位置決め機構を備えていても良い。
【0057】
本実施形態によれば、同一方向から電磁波を送受信することとしたので、アンテナ5,7やコンパクトレンジ9等の送受信系を装置の一方に集めることができ、装置全体を更にコンパクトにすることができる。
また、同一方向から電磁波を送受信するので、近傍界計測時と遠方界計測時との切替時にオジャイブパイロン13を移動させる必要がない。したがって、航空機模型15の設置位置がずれるおそれがないので、計測精度を向上させることができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上述した各実施形態では、被測定物として航空機を一例に挙げて説明したが、戦闘機等の航空機、艦船等の船舶、戦車等の地上走行体といった他の構造体であってもよく、あるいは円柱形状や直方体形状といった単純形状の電磁波散乱の評価にも用いることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 電磁波計測装置
3 筐体
4 電波吸収材
5 NFアンテナ
7 FFアンテナ
9 コンパクトレンジ
11 計測領域
13,23,24 オジャイブパイロン
15 航空機模型
17 回転台
19 第1壁体
21 第2壁体
25 第3壁体
CL 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波吸収能を有する筐体と、
該筐体内に設けられ、被測定物が設置される計測領域に球面波電磁波を送信するとともに散乱波を受信する第1送受信手段と、
前記筐体内に設けられ、球面波電磁波を波電磁波に変換するリフレクタを備え、変換された波電磁波を前記計測領域に送信するとともに散乱波を受信する第2送受信手段と、
を備えていることを特徴とする電磁波計測装置。
【請求項2】
前記第1送受信手段によって得られた計測データを、前記第2送受信手段によって得られた計測データと対比可能なデータに変換するデータ変換手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波計測装置。
【請求項3】
前記第1送受信手段および前記第2送受信手段から送信される電磁波の照射位置を変更するように前記被測定物を軸線回りに回転可能に支持する回転台を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波計測装置。
【請求項4】
前記回転台の前記軸線に一致するように、前記計測領域の中心軸線が設定されていることを特徴とする請求項3に記載の電磁波計測装置。
【請求項5】
前記回転台を回転可能に支持する支持機構を収容するパイロンを備え、
該パイロンは、前記第1送受信手段による計測時における該第1送受信手段に対する前面位置関係と、前記第2送受信手段による計測時における該第2送受信手段に対する前面の位置関係とが同一となるように、位置変更可能とされていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電磁波計測装置。
【請求項6】
前記回転台を回転可能に支持する支持機構を収容するパイロンを備え、
該パイロンは、固定設置され、前記第1送受信手段による計測時における該第1送受信手段に対する前面の位置関係と、前記第2送受信手段による計測時における該第2送受信手段に対する前面の位置関係とが同一となる形状とされていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電磁波計測装置。
【請求項7】
前記第1送受信手段と前記計測領域との間に取り外し可能に設けられた電磁波吸収能を有する第1壁体と、
前記第2送受信手段の前記リフレクタと前記計測領域との間に取り外し可能に設けられた電磁波吸収能を有する第2壁体と、
を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電磁波計測装置。
【請求項8】
前記第2送受信手段の前記リフレクタと前記計測領域との間に取り外し可能に設けられた電磁波吸収能を有する第3壁体を備え、
該第3壁体には、前記第1送受信手段が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電磁波計測装置。
【請求項9】
縮小模型を被測定物とした請求項2から8のいずれかに記載の電磁波計測装置と、
前記縮小模型の実物大とされた被測定物が設置される計測領域に球面波電磁波を近傍界にて送信するとともに散乱波を受信する第3送受信手段と、
を備え、
前記電磁波計測装置の前記データ変換手段によって得られたデータ変換則に基づいて、前記第3送受信手段によって得られた計測結果を遠方界におけるデータに変換することを特徴とする電磁波計測システム。
【請求項10】
被測定物が設置される計測領域に球面波電磁波を送信するとともに散乱波を受信する第1送受信手段によって計測する第1送受信ステップと、
球面波電磁波を波電磁波に変換するリフレクタを備え、変換された波電磁波を前記計測領域に送信するとともに散乱波を受信する第2送受信手段によって計測する第2送受信ステップと、
を有することを特徴とする電磁波計測方法。
【請求項11】
前記第1送受信ステップによって得られた計測データを、前記第2送受信ステップによって得られた計測データと対比可能なデータに変換するデータ変換を行うデータ変換ステップを有することを特徴とする請求項10に記載の電磁波計測方法。
【請求項12】
縮小模型を被測定物として前記第1送受信ステップ、前記第2送受信ステップ、及び、前記データ変換ステップを行い、
前記縮小模型の実物大とされた被測定物が設置される計測領域に球面波電磁波を近傍界にて送信するとともに散乱波を受信する第3送受信手段によって計測する第3送受信ステップを行い、
前記データ変換ステップによって得られたデータ変換則に基づいて、前記第3送受信手段によって得られた計測結果を遠方界におけるデータに変換することを特徴とする請求項11に記載の電磁波計測方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれかに記載の電磁波計測方法によって電磁波計測を行い、その電磁波計測結果に基づいて、構造体の外形状を設計することを特徴とする構造体の外形状設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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