説明

電磁界発生素子、記録ヘッド、および情報記録再生装置

【課題】電磁界発生素子における近接場光の発生領域を微小化する。
【解決手段】電磁界発生素子1は、基板10、スリット14を形成した導体層11、および屈折率の異なる2種類の保護層12を備える。導体層11は、スリット14によって狭窄された狭窄部15を有する。狭窄部15にレーザ光が照射されることによって、狭窄部15のスリット14近傍に近接場光が発生する。このとき、保護層12を形成する材料の屈折率により、第一保護層12aは近接場光を伝播し、第二保護層12bは近接場光を伝播しない。よって、近接場光の発生領域の微小化ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁界発生素子、記録ヘッド、およびこれを含む情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光記録媒体や磁気記録媒体、およびこれらの記録再生装置において、大容量化を目指したさまざまな研究開発が行われている。この中でも、光アシスト磁気記録方式は、次世代高密度磁気記録として注目を浴びている。この技術は、熱揺らぎに強い高保磁力を有する磁気記録媒体に対して磁気記録するものであり、100Gb/inchを超える磁気記録密度を達成することができる。具体的には、室温において磁気補償点温度を有する磁気記録媒体に光を集光し、局所的に磁気記録媒体の温度を上げる。この温度が上がった部位では保磁力が減少するため、通常の磁気ヘッドによる磁気記録が可能になる。
【0003】
また近年では、さらなる高密度記録を行うために、近接場光を利用する方式が提案されている。近接場光とは、特許文献1に開示されているように、微小開口部に光を照射することにより、開口部近傍の領域に発生する微小な光である。近接場光を用いる場合、情報記録媒体に対して、通常の光の照射領域よりも小さな領域を加熱することができるため、さらなる高密度記録が期待される。
【特許文献1】特開2001−291265号公報(公開日 平成13年10月19日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近接場光の発生は、微小開口部に照射される光の偏光方向に依存し、その発生領域は、微小開口部の形状に依存する。この発生領域をさらに狭くできれば、より微小なマークを記録することが出来る。しかしながら、従来の光アシスト磁気記録方式では、近接場光の発生領域の微小化には限界が存在する。
【0005】
また、微小開口部に対する光の照射パワーを上昇すれば、近接場光の微小化はできる。しかし、照射パワーを上昇させると、情報記録媒体内に伝わる熱量は大きくなる。その結果、情報記録媒体内での熱伝導が大きくなり、情報記録媒体内の昇温領域は大きくなってしまう。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、微小開口部に対する光の照射パワーを上昇せずに近接場光の発生領域を微小化することによって、微小化された近接場光による光アシスト磁気記録を行うことが可能な電磁界発生素子、およびこれらを含む記録ヘッドおよび情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電磁界発生素子は、上記の課題を解決するために、基板と、前記基板上に形成され、誘電体層からなるスリットと、前記基板上に形成され、前記スリットによって狭窄された狭窄部を有する導体層と、前記導体層および前記スリット上に形成された保護層とを備え、光源からの光が前記狭窄部に照射されることにより、前記狭窄部から近接場光を発生させる電磁界発生素子であって、前記保護層は、互いに屈折率の異なる複数の保護層からなり、前記複数の保護層のうち第1の保護層と、当該第1の保護層とは異なる第2の保護層との境界は、前記スリット上にあることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、光源から電磁界発生素子に光が照射されると、導体層における狭窄部には、近接場光が発生する。なお、光源からの光は、基板を挟んで導体層の反対側から照射されるとする。すると、この近接場光は、保護層側へと伝播する。
【0009】
また、第1の保護層と第2の保護層とは、その屈折率が異なる。さらに、第1の保護層と第2の保護層との境界は、スリット上にある。近接場光は、導体層の狭窄部におけるスリット近傍に発生するため、保護層における近接場光の伝播は、第1の保護層と第2の保護層とにおいて、違いが生じる。つまり、伝播が維持される領域と、伝播が防止される領域とに分かれる。これにより、狭窄部から発生した近接場光の一部のみを伝播し、その他の伝播を防止することができる。その結果、本発明における電磁界発生素子は、従来の素子に比べて、近接場光の発生領域をより微小化できる。
【0010】
また、本発明に係る電磁界発生素子は、前記第1の保護層の屈折率の実数部が、前記第2の保護層の屈折率の実数部よりも大きいことが好ましい。
【0011】
上記構成により、前記第1の保護層では、近接場光をより確実に伝播することができると共に、前記第2の保護層では、近接場光の伝播をより確実に防止することができる。したがって、本発明における電磁界発生素子は、近接場光の発生領域を効率よく微小化できる。
【0012】
また、本発明に係る電磁界発生素子は、前記第1の保護層の屈折率の実数部が前記スリットの屈折率の実数部よりも大きく、前記第2の保護層の屈折率の実数部が前記スリットの屈折率の実数部よりも小さいことが好ましい。
【0013】
上記構成により、前記第1の保護層および前記第2の保護層の屈折率について、スリットの屈折率との大小関係をさらに設定している。それにより、上記構成を用いない場合よりも、前記第1の保護層では、近接場光をより確実に伝播することができると共に、前記第2の保護層では、近接場光の伝播をより確実に防止することができる。したがって、本発明における電磁界発生素子は、さらに、近接場光の発生領域を効率よく微小化できる。
【0014】
また、本発明に係る電磁界発生素子は、前記保護層の硬度が前記スリットおよび前記導体層の硬度よりも大きいことが好ましい。
【0015】
本発明に係る電磁界発生素子を情報記録再生装置における浮上ヘッドに用いた場合、浮上ヘッドは、情報記録媒体との浮上圧によって、情報記録媒体との距離を一定に保つ。この浮上量は、10nm程度と非常に小さいため、情報記録媒体との接触によって、スリットおよび導体層が損傷してしまう可能性がある。上記構成により、保護層によって、スリットおよび導体層の損傷を防ぐことができる。
【0016】
また、本発明に係る電磁界発生素子は、前記スリットが、石英から形成され、さらに、前記第1の保護層が酸化チタン、窒化シリコン、または酸化アルミニウムからなり、前記第2の保護層が窒化チタンからなることが好ましい。
【0017】
上記構成により、近接場光の微小化を好適に実現した電磁界発生素子を提供することができる。
【0018】
また、本発明に係る電磁界発生素子は、半導体レーザ素子が、前記基板上に設けられていることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、光源と電磁界発生素子とを一体化できるため、それらの間の距離を一定にできる。それにより、光源からの光を電磁界発生素子に正確に照射できる。また、本発明に係る電磁界発生素子を記録ヘッドに用いた時、よりコンパクトな記録ヘッドを提供することができる。
【0020】
また、本発明に係る電磁界発生素子と、サスペンションとを備えることにより、記録ヘッドとして機能できる。さらに、前記記録ヘッドと、光アシスト磁気記録媒体と、前記光アシスト磁気記録媒体に記録された情報の再生を行う再生素子とを備えることにより、情報記録再生装置として好適に利用できる。
【0021】
なお、前記再生素子は、前記基板上に備えられてもよい。1つの基板上に、電磁界発生素子と再生素子とが設けられるため、コンパクトな情報記録再生装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電磁界発生素子は、スリットを形成した導体層と、前記導体層および前記スリット上に形成された保護層とを備え、前記保護層は少なくとも2種以上の屈折率が異なる保護層からなり、かつ前記スリット上に前記保護層の境界を持つため、微小化された近接場光による光アシスト磁気記録を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔実施形態1〕
本発明の第一の実施形態である電磁界発生素子1ついて、図1から図4を参照して以下に説明する。なお、本実施形態においては、情報記録媒体へ情報の記録を行う記録ヘッド2に電磁界発生素子1を用いる場合について説明するが、これに限定されるものではない。
【0024】
(記録ヘッド2の全体構成)
はじめに、本実施形態に係る記録ヘッド2および電磁界発生素子1について、図3および図4を参照して以下に説明する。図3は、記録ヘッド2の断面を側面から見た図である。図4は、記録ヘッド2を正面から見た平面図である。
【0025】
図3に示すように、記録ヘッド2は、電磁界発生素子1にサスペンション13を取り付けた構成からなる。なお、電磁界発生素子1は、基板10と、導体層11と、保護層12とを備え、保護層12は、導体層11を挟んで基板10と対抗するように形成されている。
【0026】
基板10は、ABS(Air Bearing Surface)面を作製することにより、スライダとして利用できる。もしくはスライダに基板10を設ける構造であってもよい。それにより、記録ヘッド2を浮上型記録ヘッドとすることができる。
【0027】
浮上型記録ヘッドにおいて、情報記録媒体は、導体層11の紙面下側に配置され、記録ヘッド2は、情報記録媒体上を約10nm程度の浮上量にて浮上する。図3において、情報記録媒体が紙面左側から右側に移動すると、空気は矢印の方向から記録ヘッド2へ向かって流入する。したがって、基板10の紙面右側が空気の流入端、左側が流出端になる。また、図4は、記録ヘッド2を空気の流出端側から見た図である。
【0028】
(電磁界発生素子1の構成)
電磁界発生素子1の構成について、図1を参照して以下に詳しく説明する。図1は、電磁界発生素子1を保護層12側から見た場合における、導体層11を示す平面図である。なお、図1では、前面にある保護層12を透過させ、その背面にある導体層11を斜線部にて示している。また、電磁界発生素子1の平面において、空気の流入方向をY方向、その直角方向をX方向とする。
【0029】
図1に示すように、電磁界発生素子1は、基板10と、導体層11と、保護層12とを備え、導体層11にはスリット14が形成されている。また、スリット14によって、導体層11は、一部、Y方向の幅が狭くなった狭窄部15を有している。
【0030】
図1において、導体層11のY方向の幅を1500nmとすると、スリット14の大きさは、たとえばX方向の幅250nmおよびY方向の幅1000nmであり、狭窄部15のY方向の幅は、500nmとなる。
【0031】
また、基板10は、透光性を有する石英(SiO)から形成する。導体層11は、金(Au)を材料とし、基板10上に形成する。そのため、導体層11に形成されたスリット14は、基板10を形成するSiOからなる。保護層12は、互いに屈折率の異なる第一保護層12aおよび第二保護層12bから構成される。
【0032】
基板10上に導体層11および保護層12を形成するためには、たとえば、リソグラフィー技術とリフトオフ法とを組み合わせたプロセスを利用すればよく、特別な工程は必要としない。なお、基板10は、SiO基板に限られず、他の基板上にSiO膜を形成後、導体層11および保護層12を形成することも可能である。それにより、スリット14内をSiOとすることができる。
【0033】
(近接場光の発生方法)
次に、近接場光の発生方法について図1を参照して以下に説明する。
【0034】
図1において、紙面裏側から、狭窄部15スリット14との境界に波長635nmのレーザ光を照射すると、導体層11におけるエッジ部の自由電子が光の電場により揺さぶられる。この振動が導体層11の電子に伝わっていくことにより、表面プラズモンが発生する。
【0035】
本発明にて述べる近接場光とは、具体的に言うと、局所プラズモン、表面プラズモン、またはエバネッセント光などである。よって、狭窄部15がレーザ光の波長よりも小さなサイズである場合に、狭窄部15において電界の集中が起こり、狭窄部15の表面極近傍において近接場光が発生する。
【0036】
この近接場光は、導体層11のエッジに対して垂直な方向に進行し、保護層12側へと伝播する。また、入射光の偏光方向が導体層11のエッジに対して垂直であると、最も表面プラズモンが発生しやすい。したがって、レーザ光の偏光方向をY方向にすると、図1に示した近接場光発生部16に近接場光が集中して発生する。また、レーザ光の偏光方向をX方向にすると、図2に示した近接場光発生部16に近接場光が集中して発生する。図2は、偏向方向がX方向のレーザ光を照射した時の近接場光発生領域を説明する平面図である。なお、保護層12側へ伝播された近接場光の挙動については、以下の実施例にて後述する。
【0037】
(近接場光の微小化)
図1に示すように、保護層12は、互いに屈折率の異なる第一保護層12aおよび第二保護層12bから構成されている。第一保護層12aと第二保護層12bとの境界17は、スリット14の中心をY方向に通るように配置されている。しかし、境界17は、スリット14上にあればこの配置に限定されない。
【0038】
なお、保護層12を形成する材料の選択と、それによる近接場光の微小化については、実施例の項にて詳しく後述するが、屈折率の異なる第一保護層12aおよび第二保護層12bにおいて、近接場光の伝播には違いが生じる。さらに、保護層12の境界17はスリット14上にあることにより、スリット14近傍における近接場光の発生領域は、伝播が維持される領域と、伝播が防止される領域とに分かれる。したがって、近接場光の発生領域は微小化される。
【0039】
また、本実形態では保護層12として、第一保護層12aおよび第二保護層12bの2層を用いているが、これに限らず3層以上にすることも可能である。この場合も、保護層12同士の境界17は、スリット14上に配することより、さらに近接場光の発生領域を微小化することができる。
【0040】
(磁界の発生方法)
次に磁界の発生方法について、図1を参照して以下に説明する。
【0041】
導体層11に電極(図示しない)から電流を印加すると、右ねじの法則にしたがって、スリット14内に磁界が発生する。たとえば、図1の導体層11において、紙面左側から右側に電流を印加すると、スリット14内には、紙面手前から奥に向かう方向の磁界が発生する。対して、紙面右側から左側に電流を印加すると、スリット14内には、紙面奥から手前に向かう方向の磁界が発生する。
【0042】
また狭窄部15は、周囲の導体層11と比較して、Y方向の幅が狭くなっているため、同じ電流を印加しても電流密度が大きくなる。そのため、スリット14内に磁界が集中し、大きな磁界が発生する。よって、狭窄部15近傍には、近接場光と、非常に大きい磁界とを発生させることができる。これらによって、情報記録媒体への高密度磁気記録が可能となる。
【0043】
〔実施形態2〕
本発明の第二の実施形態である電磁界発生素子1’ついて、図5を参照して以下に説明する。図5は、電磁界発生素子1’を保護層12側から見た場合における、導体層11を示す平面図である。図5において、保護層12の構成以外は、図1および図2と同様の構成であり、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0044】
図5に示すように、電磁界発生素子1’は、3層の保護層12を備える構成である。具体的には、第一保護層12bが、第二保護層12aを挟んだ両側に配置された構成である。また、第一保護層12aと第二保護層12bとの境界17は、2つとも、スリット14上にY方向に配置されている。
【0045】
上記構成によって、第一の保護層12aの位置は、近接場光発生部16の中央付近に配置される。本実施形態においては、第一保護層12aを伝播が維持される領域、第二保護層12bを伝播が防止される領域になるように、保護層12を形成する材料を選択する。それにより、近接場光の発生領域は、近接場光発生部16の中央付近において、さらに微小化される。なお、選択するべき保護層12の材料については、実施例の項にて詳しく後述する。
【0046】
また、近接場光発生部16の中央は、スリット14内の磁界が最も集中する領域にある。そのため、近接場光発生部16の中央付近には、微小化された近接場光と、最も大きい磁界とを発生させることができる。
【0047】
〔実施形態3〕
本発明の第三の実施形態である記録ヘッド30,40は、再生素子20を含む。この記録ヘッド30,40について、図6および図7に基づいて説明する。図6は、記録ヘッド30を模式的に示す断面図であり、図7は、記録ヘッド40を模式的に示す断面図である。なお、記録ヘッド30,40は、記録ヘッド2と同様な基本構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0048】
図6に示すように、記録ヘッド30は、導体層11、基板10、保護層12、再生素子20、光源21、およびサスペンション13を含む。また、基板10には、導体層11に形成されている狭窄部15に対し、光を照射する光源21および再生素子20が搭載されている。
【0049】
また、図7に示すように、記録ヘッド40は光源22を備えない。しかし、記録ヘッド40の外部に光源22を設置することにより、記憶ヘッド40に光を照射することができる。
【0050】
なお、光源21,22としては、半導体レーザを用いることができる。また、再生素子20としては、GMR(Giant Magneto Resistive)やTMR(Tunneling Magneto Resistive)などを用いればよい。
【0051】
上記構成によれば、記録ヘッド30,40を用いることにより、光アシスト磁気記録再生を行うことができる。また、記録ヘッド30では、電磁界発生素子1と光源21とが一体化するため、光源21のレーザ素子と導体層11における狭窄部15との距離を一定にできる。それにより、レーザ光を狭窄部15に正確に照射できる。また、記録ヘッド40は、よりコンパクトな記録ヘッド40として、情報記録再生装置に用いることができる。
【0052】
〔実施形態4〕
(情報記録再生装置200の全体構成)
本発明の第四の実施形態である情報記録再生装置200について図8および図9を参照して以下に説明する。図8は、本実施の形態に係る情報記録再生装置200の概略を示す平面図である。図9は、本実施形態に係る情報記録再生装置200の駆動を制御する制御部の構成を示すブロック図である。
【0053】
図8に示すように、情報記録再生装置200は、記録ヘッド100、サスペンション201、アーム202、アクチュエータ203、スピンドル204、および情報記録媒体205を備える構成である。なお、記録ヘッド100は、実施形態1に記載の記録ヘッド2、または実施形態2に記載の記録ヘッド30,40に相当する。
【0054】
記録ヘッド100は、サスペンション201により支持されており、サスペンション201はアーム202によって支持されている。さらに、アーム202は、アクチュエータ203に支持されている。
【0055】
情報記録媒体205は、スピンドル204に取り付けられており、スピンドル204によって所定の回転数で回転することができる。アクチュエータ203は、記録ヘッド100の位置を制御し、情報記録媒体22の上を滑走させる。所定の位置に移動された記録ヘッド100は、情報記録媒体22上に対して情報の記録または再生を行う。
【0056】
また、情報記録媒体205としては、光アシスト磁気記録媒体に限らず、MOやMD等の光と磁気によって記録される光磁気記録媒体であってもよい。
【0057】
(情報記録再生装置200の制御方法)
また、図9に示すように、情報記録再生装置200は、スピンドル駆動回路302、記録ヘッド駆動回路304、位置制御回路303、および、これらを制御する制御回路301から構成される制御部300を有している。
【0058】
スピンドル駆動回路302は、情報記録媒体205の回転駆動を制御する。位置制御回路303は、アクチュエータ203を制御することにより、記録ヘッド100を所望の位置に走査する。記録ヘッド駆動回路304は、記録ヘッド100上の備える電磁界発生素子1から発生する近接場光の強度、もしくは照射時間を制御する。制御回路301は、これらの回路を統括的に制御する。
【0059】
なお、図9には図示しないが、記録ヘッド駆動回路304には、電磁界発生素子1へ印加する電流の発生を制御する電流制御機構(駆動回路を含む)や、光源からのレーザ光の照射を制御する光制御機構が含まれる。これらの電流制御機構および光制御機構としては、公知の構成を採用することができる。
【0060】
(情報記録再生装置200の記録動作)
情報記録再生装置200の記録動作について、図1および図9を参照して以下に説明する。まず、スピンドル駆動回路302によって、スピンドル204を適切な回転数で回転させる。それにより情報記録媒体22が所定の回転数で回転する。次に、位置制御回路303によって、アクチュエータ203を駆動させ、記録ヘッド100を情報記録媒体22上の所望の位置へ移動させる。次に、記録ヘッド駆動回路304によって、電磁界発生素子1に電流を印加して磁界を発生させるとともに、狭窄部15にレーザ光を照射する。この時、印加電流の電流量や周波数、またはレーザ光の強度や照射時間については、適宜制御する。
【0061】
電磁界発生素子1に発生した磁界は、情報記録媒体205に印加される。それと同時に、レーザ光に照射された電磁界発生素子1には局所的に近接場光が発生し、この近接場光は、情報記録媒体205に伝播される。したがって、情報記録媒体205には情報の記録が行われる。
【0062】
上記構成により、情報記録再生装置200は、微小化された近接場光による情報記録媒体205への微小なマークが可能となり、高密度記録を行うことができる。
【0063】
なお、制御回路301は、上記各回路に指示を出すことにより、スピンドル204、アクチュエータ203、および記録ヘッド100の制御を総括し、所望の場所に、所望の記録ができるようにしている。
【0064】
(記録ヘッド100の浮上)
本実施形態のように、浮上型の記録ヘッド100を使用する場合、記録ヘッド100と情報記録媒体205との浮上圧によって、記録ヘッド100は情報記録媒体205との距離を一定に保つことができる。この時の浮上量は、情報記録媒体205の回転数やサスペンション201の設計などによって適宜調整される。近接場光を情報記録媒体205に良好に伝播するためには、この浮上量は小さいことが好ましい。しかしながら、浮上量をあまり小さくすると、記録ヘッド100と情報記録媒体205とが接触してしまう。それにより、記録ヘッド100が損傷する危険性が高くなってしまう。
【0065】
しかしながら、記録ヘッド100では、その備える保護層12により、情報記録媒体205との衝突による導体層11の損傷を防止することが出来る。そのため、近接場光を情報記録媒体205のより微小領域に伝播でき、かつ、導体層11を損傷させることのない記録再生特性の良好な記録ヘッド100を提供することができる。
【0066】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。当業者は、請求項に示した範囲内において、本発明をいろいろと変更できる。すなわち、請求項に示される範囲内で、適宜変更された技術的手段を組み合わせれば、新たな実施形態が得られる。
【実施例】
【0067】
実施例1〜4では、本実施形態における記録ヘッド2に対して、偏光方向がXまたはY方向であるレーザ光を照射し、保護層12の屈折率によって変化する近接場光の伝播について検証を行った。また、実施例5では、記録ヘッド2を情報記録再生装置200に用いた場合に必要な、保護層12の硬度について検証を行った。
【0068】
なお、本実施例において、スリット14内を誘電体層14と表している。
【0069】
〔実施例1〕
実施例1では、図1に示すように、偏光方向がY方向であるレーザ光を、記録ヘッド2に対して照射し、発生した近接場光の強度をFDTD法(finite-difference time-domain method)を用いてシミュレーションした。
【0070】
シミュレーション条件は、レーザ光の波長635nm、およびスポット径1μmとした。レーザ光は、記録ヘッド2における狭窄部15とスリット14との境界に照射した。よって、近接場光は、図1に示すように近接場光発生部16近傍に発生する。そのため、近接場光の強度は、近接場光発生部16近傍、かつ保護層12から10nm直上における近接場光の強度をシミュレーションした。
【0071】
また、記録ヘッド2について、基板10は、石英(SiO)基板から形成したため、スリット14内(誘電体層14)はSiOとなる。スリット14のX方向の幅は250nmとした。導体層11は金(Au、膜厚400nm)から形成した。
【0072】
また、屈折率の異なる2種の保護層12について、第一保護層12aは酸化チタン(TiO、膜厚10nm)、第二保護層12bは窒化チタン(TiN、膜厚10nm)から形成した。酸化チタンの屈折率は2.52、窒化チタンの屈折率は、1.3−2.3iである。
【0073】
これに対する比較例としては、第一保護層12aおよび第二保護層12bのいずれも酸化チタン(TiO)である場合についてシミュレーションを行った。
【0074】
(実施例1の結果)
実施例1および比較例における近接場光の強度のシミュレーション結果を図10に示す。図10は、近接場光の強度のシミュレーション結果を示す図である。
【0075】
図10において、横軸はスリット14のX方向の距離を、縦軸は近接場光の強度を示し、本実施例の結果は直線、比較例の結果は点線により示している。図10のX方向において、0は第一保護層12aと第二保護層12bとの境界17を示し、プラス側は第一保護層12aの領域、マイナス側は第二保護層12bの領域を示す。
【0076】
図10に示すように、実施例1について比較例と比べると、近接場光の強度は10%程度低下しているが、近接場光の発生領域は微小化されていることがわかった。たとえば、強度が4程度の近接場光が発生するスリット14の幅を比較すると、比較例では130nmであるのに対して、実施例1では90nmである。そのため、近接場光の発生領域は30%程度微小化されていることがわかる。このシミュレーション結果は、強度4の近接場光を照射することによって情報記録媒体に記録を行う場合、照射領域は30%程度減少できることを示している。
【0077】
上記の理由として、近接場光は、第一保護層12a内を伝播するのに対して、第二保護層12b内は伝播しないことが示される。なお、境界17付近では、第二保護層12bの領域においても、弱い強度の近接場光が発生しているが、これは第一保護層12aに伝播した近接場光がまわりこんだものと考えられる。
【0078】
また、第一保護層12aにおいて最も強く発生した近接場光の強度(a)と、その対称の位置にある第二保護層12bから発生した近接場光の強度(b)を比較した(b/a)。強度(a)は、5.91であり、強度(b)は、2.41である。そのため、第二保護層12bにおいては、第一保護層12aと比べて、近接場光の伝播が60%程度防止されることがわかった。このシミュレーション結果は、第一保護層12aでは、近接場光を伝播させ、第二保護層12bでは、近接場光の伝播を防止することを示している。それによって、記録ヘッド2における近接場光の伝播領域が微小化されることがわかった。
【0079】
また、導体層11に電流を印加することによって、誘電体層14に磁界を発生させることができる。この磁界と微小化された近接場光とによって、情報記録媒体への微小なマークが可能となり、高密度記録を行うことができる。
【0080】
比較例においても、レーザ光のパワーを上昇すれば同程度の発生領域に絞ることができるが、パワーを上昇すると情報記録媒体内に伝わる熱量が大きくなる。その結果、情報記録媒体内における熱伝導が大きくなるため、情報記録媒体内における昇温領域は大きくなってしまう。
【0081】
これに対して、本実施例では、必要な強度により情報記録媒体を温度上昇できるため、温度上昇領域を微小化することができる。さらに、余計な熱は加わらないため、情報記録媒体の過熱をすることがない。最高強度は10%程度低下するが、必要に応じて照射するレーザ光のパワーを調整することによって、低下量はカバーできる。
【0082】
〔実施例2〕
実施例2では、実施例1の保護層12を形成する材料について、第一保護層12aと第二保護層12bとをさまざまに組み合わせた場合のシミュレーションを行った。なお、保護層12以外の条件については、実施例1と同様の条件とした。
【0083】
記録ヘッド2に発生する近接場光は、誘電体層14の境界を伝播する。そのため、実施例2では、誘電体層14を形成する石英(SiO)の屈折率1.46を基準にして、屈折率の高い材料と低い材料との組み合わせを検討した。なお、石英、または石英よりも屈折率の高い材料は第一保護層12a、屈折率の低い材料は第二保護層12bに用いた。
【0084】
保護層12の材料について、第一保護層12aは、酸化チタン(TiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)および石英(SiO)、第二保護層12bとして、窒化チタン(TiN)、および炭素(C)を用いた。酸化アルミニウム、窒化シリコン、および炭素の屈折率については、それぞれ1.76、2.20、および2.0−1.0iとした。
【0085】
また、比較例としては、第一保護層12aと第二保護層12bとがいずれも酸化チタンである組み合わせを用いた。
【0086】
なお、以下、実施例2の結果の項において、屈折率の大小について述べる際は、屈折率の実数部を比較しているものとする。
【0087】
(実施例2の結果)
実施例2および比較例において、第一保護層12aから発生した最も強い近接場光の強度(a)と、その対称の位置にある第二保護層12bから発生した近接場光の強度(b)とを比較した(b/a)結果を表1に示す。表1は、第一保護層12aと第二保護層12bとのさまざまな組み合わせにおけるb/aを示す表である。b/aの値は、保護層12上に伝播される近接場光の微小化について示す値であり、値が小さい程より微小化されていることを示す。
【0088】
【表1】

【0089】
表1より、比較例のb/aの値は1であるのに対し、実施例2のいずれの組み合わせにおいても、b/aの値は1より小さいことから、第二保護層12bでは近接場光の伝播が防止されていることがわかった。以下、表1において、第一保護層12aと第二保護層12bとの組み合わせを(12a、12b)とし、この結果についてさらに詳しく述べる。
(実施例2の結果−1)
まず、第二保護層12bがCである場合における第一保護層12aとの組み合わせを検討した。詳しくは、第一保護層12aの屈折率が、Cの屈折率よりも小さい場合(Al、CまたはSiO、C)と、大きい場合(TiO、CまたはSiN、C)とを比較した。その結果、第一保護層12aの屈折率が第二保護層12bの屈折率よりも大きい方が、b/aの値について小さくなることがわかった。したがって、第一保護層12aの屈折率を、第二保護層12bの屈折率よりも大きくすることにより、近接場光の発生領域を微小化できる。
(実施例2の結果−2)
次に、第一保護層12aがTiOである場合において、第二保護層12bとの組み合わせを検討した。その結果、第二保護層12bがTiNである場合の方が、Cである場合よりもb/aの値が小さくなり、近接場光の発生領域を微小化できることが判った。なお、誘電体層14を形成するSiOの屈折率と比べて、TiNの屈折率は小さく、Cの屈折率は大きい。
【0090】
また上記と同様に、第一保護層12aが、AlおよびSiNである場合において、第二保護層12bとの組み合わせを検討した。その結果、上記と同様に、第二保護層12bがTiNである場合の方が、Cである場合よりもb/aの値が小さくなった。
【0091】
したがって、第一保護層12aの屈折率を誘電体層14の屈折率よりも大きく、かつ第二保護層12bの屈折率を誘電体層14の屈折率よりも小さくすることにより、近接場光の発生領域を微小化できる。
(実施例2の結果−3)
また、近接場光の発生領域を微小化した場合においても、近接場光の強度を維持するためには、第一保護層12aから伝播される近接場光の強度がより強い方が好ましい。そこで、表1より、第一保護層12aからの強度(a)について比較した。その結果、第一保護層12aからの強度(a)は、第一保護層12aがTiO、Al、およびSiNの時に維持されやすく、SiOの時に落ち込みが多くなっていることがわかった。したがって、近接場光の強度を維持するためには、誘電体層14のSiOよりも屈折率が大きい方が望ましい。
【0092】
以上の結果より、第一保護層12aの屈折率を誘電体層14の屈折率よりも大きく、かつ第二保護層12bの屈折率を誘電体層14の屈折率よりも小さくすることにより、近接場光の強度を維持しつつ、近接場光の発生領域を微小化できることがわかった。
【0093】
なお、本発明における保護層は、2層に限られず、3層以上にすることにより、さらに近接場光の発生領域を微小化することも可能である。
【0094】
〔実施例3〕
実施例3では、偏光方向がX方向のレーザ光を記録ヘッド2に対し照射し、発生した近接場光の強度をFDTD法(finite-difference time-domain method)を用いてシミュレーションした。なお、レーザ光の偏光方向以外の条件については、実施例1と同様の条件とした。実施例3では、偏光方向がX方向のレーザ光を入射するため、近接場光は、図2に示すように、2箇所の近接場光発生領域16近傍に発生する。
【0095】
また比較例についても実施例1と同様に、第一保護層12aおよび第二保護層12bのいずれも酸化チタン(TiO)である場合についてシミュレーションを行った。
【0096】
(実施例3の結果)
実施例3および比較例における近接場光の強度のシミュレーション結果を図11に示す。図11は、近接場光の強度のシミュレーション結果を示す図である。
【0097】
図11において、横軸はスリット14のX方向の距離を、縦軸は近接場光の強度を示し、本実施例の結果は直線、比較例の結果は点線により示している。図11のX方向において、0は第一保護層12aと第二保護層12bとの境界17を示し、プラス側は第一保護層12aの領域、マイナス側は第二保護層12bの領域を示す。
【0098】
図11より、実施例3において、第一保護層12aからの近接場光は比較例と同様に伝播しているのに対し、第二保護層12bからの伝播光は比較例の50%程度しか伝播していないことがわかる。なお比較例では、第一保護層12aおよび第二保護層12bから同じ強度の近接場光が伝播している。
【0099】
したがって、比較例では、2つの近接場光により情報記録媒体を加熱することになるため、情報記録媒体への加熱領域が大きくなってしまう。それに対し、実施例3では、第一保護層12aから1つの近接場光により情報記録媒体を加熱する。すなわち、実施例3では加熱領域が1箇所であるため、より微小領域に近接場光を照射できる。
【0100】
たとえば、近接場光の強度を2.5程度にして記録を行う場合、実施例3では、第一保護層12aからの近接場光のみにより記録を行うのに対して、比較例では第一保護層12aと第二保護層12bとからの近接場光により記録を行う。よって、実施例3は、媒体への近接場光の照射領域が微小化できるため、より微小マークの記録が可能となる。
【0101】
〔実施例4〕
実施例4では、実施例3の保護層12を形成する材料について、第一保護層12aと第二保護層12bとをさまざまに組み合わせた場合のシミュレーションを行った。なお、誘電体層14および保護層12を形成する材料は、実施例2において挙げた材料と同じものを用いた。比較例についても実施例2と同様に、第一保護層12aおよび第二保護層12bのいずれも酸化チタン(TiO)である場合についてシミュレーションを行った。
【0102】
また、以下、実施例4の結果の項において、屈折率の大小について述べる際は、屈折率の実数部を比較しているものとする。
【0103】
(実施例4の結果)
実施例4および比較例において、第一保護層12aから発生した最も強い近接場光の強度(a)と、第二保護層12bから発生した最も強い近接場光の強度(b)とを比較した(b/a)結果を表2に示す。表2は、第一保護層12aと第二保護層12bとのさまざまな組み合わせにおけるb/aを示す表である。b/aの値は、保護層12上に伝播される近接場光の微小化について示す値であり、値が小さい程より微小化されていることを示す。
【0104】
【表2】

【0105】
表2より、比較例のb/aの値は1であるのに対し、実施例4のいずれの組み合わせにおいても、b/aの値は1より小さいことから、第二保護層12bでは近接場光の伝播が防止されていることがわかった。
【0106】
さらに、実施例2における比較と同様な比較をした結果、実施例2と同様な結果が得られた。つまり、誘電体層14の屈折率と比べ、第一保護層12aの屈折率を大きく、かつ第二保護層12bの屈折率を小さくすることにより、近接場光の強度を維持しつつ、近接場光の発生領域を微小化できることがわかった。
【0107】
以上より、屈折率の異なる第一保護層12aと第二保護層12bを用いることによって、近接場光の伝播を制御し、近接場光による加熱領域を微小化できることがわかる。また、導体層11に電流を印加することによって、スリット14内に磁界を発生させることができるため、より微小マークの記録が可能となり、高密度記録を行うことが出来る。
【0108】
なお、本発明における保護層12は、2層に限られず、3層以上にすることにより、さらに近接場光の発生領域を微小化することも可能である。
【0109】
〔実施例5〕
実施例5では、図8に示すように、記録ヘッド2を情報記録再生装置200に用いた場合に必要な、保護層12の硬度について検証した。
【0110】
記録ヘッド2は、情報記録媒体205との浮上圧によって、情報記録媒体205との距離を一定に保つ。この浮上量は10nm程度と非常に小さいため、情報記録媒体205との衝突などにより、記録ヘッド2は損傷を受けてしまう可能性がある。特に導体層11が損傷を受けてしまうと、電流が印加できなくなり、誘電体層14に十分な磁界を印加できなくなる。このため、導体層11の損傷を防止することが必要である。
【0111】
そこで、記録ヘッド2は、導体層11よりも硬い硬度を有する保護層12が必要である。そのため、実施例1〜4において用いた保護層12を形成する材料の硬度と、導体層11を形成するAuの硬度とを、表3を参照して比較した。表3は、保護層12を形成する材料および導体層11を形成するAuの硬度を示す表である。
【0112】
【表3】

【0113】
表3より、実施例1〜4において用いた保護層12を形成する材料は、いずれも導体層11であるAuよりも高い硬度を示している。したがって、記録ヘッド2と情報記録媒体とが衝突した場合でも、導体層11を保護することが可能である。さらに保護層12にTiN、Al2O3、およびSiNを用いた場合、これらは誘電体層14であるSiO2よりも硬度が高いため、導体層11だけでなく、誘電体層14を保護することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明に係る電磁界発生素子は、光アシスト磁気記録を行うことが可能な電磁界発生素子、およびこれらを含む記録ヘッドおよび情報記録再生装置に、好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る電磁界発生素子と、偏向方向がY方向のレーザ光を照射した時の近接場光発生領域を説明する平面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る電磁界発生素子と、偏向方向がX方向のレーザ光を照射した時の近接場光発生領域を説明する平面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る記録ヘッドを側面から見た断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電磁界発生素子について、記録ヘッドの空気の流出端側からみた平面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る電磁界発生素子と、偏向方向がY方向のレーザ光を照射した時の近接場光発生領域を説明する平面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係る記録ヘッドの断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態に係る記録ヘッドの断面図である。
【図8】本発明の第四の実施形態に係る情報記録再生装置を説明する模式図である。
【図9】本発明の第四の実施形態に係る情報記録再生装置の制御部を説明するブロック図である。
【図10】本発明の実施形態に係る電磁界発生素子に、偏向方向がY方向のレーザ光を照射した時の近接場光の強度をシミュレーションした結果を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る電磁界発生素子に、偏向方向がX方向のレーザ光を照射した時の近接場光の強度をシミュレーションした結果を示す図である。
【符号の説明】
【0116】
1,1’ 電磁界発生素子
2,30,40,100 記録ヘッド
10 基板
11 導体層
12 保護層
12a 第1保護層
12b 第2保護層
13 サスペンション
14 スリット
15 狭窄部
16 近接場光発生部
17 保護層同士の境界
20 再生素子
21,22 光源
200 情報記録再生装置
201 サスペンション
202 アーム
203 アクチュエータ
204 スピンドル
205 情報記録媒体
300 制御部
301 制御回路
302 スピンドル駆動回路
303 位置制御回路
304 記録ヘッド駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成され、誘電体層からなるスリットと、
前記基板上に形成され、前記スリットによって狭窄された狭窄部を有する導体層と、
前記導体層および前記スリット上に形成された保護層とを備え、
光源からの光が前記狭窄部に照射されることにより、前記狭窄部から近接場光を発生させる電磁界発生素子であって、
前記保護層は、互いに屈折率の異なる複数の保護層からなり、
前記複数の保護層のうち第1の保護層と、当該第1の保護層とは異なる第2の保護層との境界は、前記スリット上にあることを特徴とする電磁界発生素子。
【請求項2】
前記第1の保護層の屈折率の実数部が、前記第2の保護層の屈折率の実数部よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電磁界発生素子。
【請求項3】
前記第1の保護層の屈折率の実数部が、前記スリットの屈折率の実数部よりも大きく、
前記第2の保護層の屈折率の実数部が、前記スリットの屈折率の実数部よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁界発生素子。
【請求項4】
前記保護層の硬度が前記スリットおよび前記導体層の硬度よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに1項に記載の電磁界発生素子。
【請求項5】
前記スリットが、石英から形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁界発生素子。
【請求項6】
前記第1の保護層が酸化チタン、窒化シリコン、または酸化アルミニウムからなり、前記第2の保護層が窒化チタンからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁界発生素子。
【請求項7】
半導体レーザ素子が、前記基板上に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁界発生素子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電磁界発生素子と、サスペンションとを備えることを特徴とした記録ヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載の記録ヘッドと、光アシスト磁気記録媒体と、前記光アシスト磁気記録媒体に記録された情報の再生を行う再生素子とを備えていることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項10】
前記再生素子が、前記基板上に備えられていることを特徴とする請求項9に記載の情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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