説明

電磁誘導加熱装置及びその製造方法

【課題】電磁誘導加熱装置において、製造コストの削減、小型化及び電気的効率の向上を図ることができるようにする。
【解決手段】筒状に形成された導電性の発熱部26と、該発熱部26の外周に配された環状鉄心と、該環状鉄心に巻回された一次巻線と、前記発熱部26の軸線方向の両端に接続されて前記発熱部26の両端を短絡する導電性の短絡部材15とを備え、前記短絡部材15が、前記発熱部26よりも電気抵抗が低く、かつ、熱伝導率が高い導電性材料からなる短絡本体部33と、熱伝導率が前記発熱部26と同等の導電性材料からなり、前記発熱部26の両端と前記短絡本体部33との間に介在する接合端部34とからなり、前記短絡本体部33と前記接合端部34とが電子ビーム溶接によって接合されている電磁誘導加熱装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁誘導を利用して被加熱物質を加熱する電磁誘導加熱装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁誘導加熱装置には、例えば特許文献1のように、導電性材料からなり内部に被加熱物質を収容あるいは流動可能な空洞部を有する筒状の発熱体と、発熱体の外周に配された環状鉄心と、環状鉄心にその周方向にわたって巻かれた一次巻線と、発熱体の軸線方向の両端に接合されて、発熱体の両端を短絡する導電性の短絡部材とを備えたものがある。
この構成では、一次巻線に交流電流を流すことで電磁誘導により発熱体に発生した二次誘導電流が、発熱体及び短絡部材に循環するように流れる。そして、二次誘導電流が流れることにより、発熱体にはその電気抵抗に応じたジュール熱が発生し、この熱が発熱体内部にある被加熱物質に伝わることで、被加熱物質を加熱することができる。したがって、被加熱物質を効率よく加熱するためには、短絡部材の電気抵抗が発熱体と比較して十分に小さいことが望ましい。このため、発熱体は電気抵抗の高い鉄やステンレスにより構成され、また、短絡部材は電気抵抗の小さい銅やアルミニウムによって構成されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭47−028906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成の電磁誘導加熱装置においては、二次誘導電流が流れる電気経路の信頼性を確保するために、発熱体と短絡部材とを溶接している。しかしながら、短絡部材の熱伝導率は発熱体と比較して高く、短絡部材から熱が逃げ易いため、通常のガス溶接やアーク溶接では発熱体と短絡部材との溶接部分に熱が残りにくく、溶接することが難しい。特に、発熱体にステンレス鋼を使用した場合は、短絡部材である銅等との融点の違いが大きすぎる、ステンレス鋼と銅等との合金が出来ない等の理由により、さらに溶接が困難となる。
従来では、熱の逃げ易い短絡部材をトーチ等であぶって加熱しながら溶接することが考えられているが、短絡部材の加熱不足により溶接不良となったり、加熱のし過ぎによる発熱体の変形が生じるため、溶接技術の高い熟練度が作業者に要求される上、溶接の品質が不安定となる虞がある。また、この溶接手法では作業時間が長くなるため、製造コストが高くなってしまう、という問題もある。
【0005】
また、従来では、発熱体と短絡部材との溶接部分の加熱のし過ぎによる発熱体の変形を抑えるために、発熱体にその筒状部分から径方向外側に突出する突起部を溶接し、この突起部を短絡部材との溶接部分とすることが考えられている。なお、前述したように発熱体にステンレス鋼を使用した場合は、この突起部の材質を鉄とすることにより、短絡部材である銅との溶接を可能にする必要もあった。
この場合、発熱体の筒状部分の変形を防ぐことはできるものの、装置全体が余計に大型となり、近年要求が高まっている小型化に対応することができない。また、発熱体の筒状部分の外周と短絡部材との間隔が大きくなることで、電磁誘導加熱装置の電気的効率が低下する、という問題もある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、発熱体と短絡部材との溶接を容易とすることで製造コスト削減を図ると共に、小型化や電気的効率の向上を図ることが可能な電磁誘導加熱装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決してこのような目的を達成するために、本発明に係る電磁誘導加熱装置は、筒状に形成された導電性の発熱部と、該発熱部の外周に配された環状鉄心と、該環状鉄心に巻回された一次巻線と、前記発熱部の軸線方向の両端に接続されて前記発熱部の両端を短絡する導電性の短絡部材とを備える電磁誘導加熱装置であって、前記短絡部材が、前記発熱部よりも電気抵抗が低く、かつ、熱伝導率が高い導電性材料からなる短絡本体部と、熱伝導率が前記発熱部と同等の導電性材料からなり、前記発熱部の両端と前記短絡本体部との間に介在する接合端部とからなり、前記短絡本体部と前記接合端部とが電子ビーム溶接によって接合されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る電磁誘導加熱装置の製造方法は、筒状に形成された導電性の発熱部と、該発熱部の外周に配された環状鉄心と、該環状鉄心に巻回された一次巻線と、前記発熱部の軸線方向の両端に接続されて前記発熱部の両端を短絡する導電性の短絡部材とを備える電磁誘導加熱装置の製造方法であって、前記発熱部よりも電気抵抗が低く、かつ、熱伝導率が高い導電性材料からなる短絡本体部に、熱伝導率が前記発熱部と同等の導電性材料からなる接合端部を電子ビーム溶接により接合することで前記短絡部材を構成した後に、前記接合端部を前記発熱部の両端に溶接することで、前記短絡部材を前記発熱部に接続することを特徴とする。
【0009】
なお、前記発熱部は、前記一次巻線に交流電流を供給することで電磁誘導により二次誘導電流が前記軸線方向に流れて発熱するものであり、例えば、被加熱物質を貯留する加熱槽の筒状部分の一部あるいは全体のいずれであってもよいし、また、被加熱物質が流れる加熱管の軸線方向の一部あるいは全体のいずれであってもよい。
【0010】
上記構成の電磁誘導加熱装置及びその製造方法では、発熱部に溶接される短絡部材の接合端部が、鉄やステンレス等のように発熱部と同等の熱伝導率を有することで、短絡部材を発熱部の両端に溶接する際には、通常のガス溶接やアーク溶接により容易かつ短時間で溶接することが可能となる。したがって、電磁誘導加熱装置の製造効率の向上、及び、製造コストの削減を図ることができる。
また、発熱部をステンレスとした場合に、従来のように、銅等からなる短絡部材との溶接を容易とするために発熱部と短絡部材との間に鉄等の別の材質のもの(例えば突起部)を設ける必要も無くなる。
さらに、通常の溶接で発熱部と短絡部材とを接合すればよいため、作業者に対して溶接技術の高い熟練度が要求されず、溶接の品質を安定させることもできる。
【0011】
さらに、熱伝導率が高い短絡本体部と、熱伝導率が低い接合端部とを電子ビーム溶接で接合することにより、従来の溶接手法と比較して、短絡本体部と接合端部とを容易かつ確実に接合することができる。
ところで、電子ビーム溶接は、真空容器内に溶接の対象部材を収容した上で実施されるため、対象部材の大きさには制約があり、発熱部やこれを備える加熱槽や加熱管を真空容器内に収容できない場合が多い。これに対して、本発明の電磁誘導加熱装置の製造方法では、短絡部材の製造に際して電子ビーム溶接を適用するため、発熱部を含む加熱槽や加熱管の大きさの制約を受けることなく、互いに接合する短絡本体部及び接合端部を容易に真空容器内に収容することができる。すなわち、短絡本体部と接合端部との接合には、短絡部材と発熱部との接合よりも容易に、電子ビーム溶接を適用することができる。
【0012】
さらに、発熱部と短絡部材とを通常のガス溶接やアーク溶接によって直接接合することが可能となるため、従来の問題点でもあった溶接時における発熱部の筒状部分の変形を抑えることができる。すなわち、従来のように発熱部にその径方向外側に突出する突起部を形成するだけでなく、発熱部の変形を抑えるために短絡部材と突起部との接合部分から発熱部の筒状部分までの距離を大きく設定する必要がなくなるため、発熱部の外周と短絡部材との間隔を小さく設定することが可能となる。したがって、電磁誘導加熱装置の小型化、及び、電気的効率の向上を図ることができる。
【0013】
そして、前記電磁誘導加熱装置においては、前記発熱部が、その両端において径方向外側に突出する突起部を有し、前記接合端部が接合された前記短絡部材の端部は、前記軸線方向に延在し、前記接合端部が前記突起部に突き当て状態で接合されていてもよい。
【0014】
この構成では、突起部の突出方向と短絡部材の端部の延在方向とを直交させた状態で、短絡部材の延在方向の端部をなす接合端部のみが突起部に当接して接合されるため、突起部における短絡部材の接合領域を最小限に抑えることができる。その結果として、突起部の突出長さを最小限に抑えることができると共に、発熱部の外周と短絡部材との間隔をさらに小さく設定できるため、電磁誘導加熱装置の小型化及び電気的効率の向上をさらに図ることができる。
なお、短絡部材の延在方向の端部のみを突起部に当接させて接合することは、短絡部材と突起部とを通常の溶接で接合できることから実現できるものであり、従来のように短絡部材をトーチ等であぶって加熱しながら溶接する手法では実現することはできない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通常のガス溶接やアーク溶接により発熱部と短絡部材とを容易に接合することが可能となるため、電磁誘導加熱装置の製造効率の向上、及び、製造コストの削減を図ることができる。また、電磁誘導加熱装置の小型化、及び、電気的効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る電磁誘導加熱装置の概略を示す側断面図である。
【図2】図1の電磁誘導加熱装置において、加熱管部に対する短絡部材及びシールド部の接合部分を模式的に示す概略平断面図である。
【図3】図1の電磁誘導加熱装置に備える短絡部材を示す概略斜視図である。
【図4】図1に示す電磁誘導加熱装置の要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る電磁誘導加熱装置の概略を示す側断面図である。
【図6】図5に示す電磁誘導加熱装置の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1から図4を参照し、本発明に係る電磁誘導加熱装置の第一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の電磁誘導加熱装置1は、被加熱物質を取り扱うプラント等に設けられ、電磁誘導を利用して被加熱物質を加熱するものであり、加熱管部11、環状鉄心13、一次巻線14及び短絡部材15を備えて大略構成されている。
【0018】
加熱管部11は、細い円筒状に形成された複数の筒状管21と、複数の筒状管21の軸線を互いに平行させた状態で複数の筒状管21の長手方向の両端を挿通させた上で一括して固定する一対のフランジ部22と、を備えて大略構成されている。
複数の筒状管21及び一対のフランジ部22は、いずれも鉄やステンレス等のように電気抵抗の高い導電性材料によって形成されており、溶接等によって隙間なく一体に固定されると共に電気的にも接続されている。なお、本実施形態において、複数の筒状管21及び一対のフランジ部22をなす導電性材料は、同一種類であり、その具体例としてはステンレス鋼(SUS)が挙げられる。
また、本実施形態では、各フランジ部22が円板状に形成されており、図示例における軸線L1はフランジ部22の中心軸線を示している。なお、フランジ部22の軸線L1は、複数の筒状管21の軸線L1と平行し、加熱管部11の軸線をなしている。
【0019】
そして、フランジ部22の外周面には、径方向外側に突出する平面視円環の板状に形成されたつば金23が溶接等によって固定されている。なお、図示例においては、つば金23の板厚がフランジ部22よりも薄く設定されているが、例えばフランジ部22と同等に設定されてもよいし、フランジ部22よりも厚く設定されていてもよい。
つば金23は、導電性材料によって形成されていればよいが、フランジ部22に対するつば金23の接合を通常のガス溶接やアーク溶接で行う場合には、つば金23をなす導電性材料の熱伝導率や融点が、フランジ部22と同等あるいは近似していることが好ましい。このような条件を満たすつば金23用の導電性材料の具体例としては、一般構造用圧延鋼材(SS)が挙げられる。
【0020】
また、各フランジ部22の一方の主面22aには、当該一方の主面22aに開口する複数の筒状管21の両端を一括して覆うように、一対の接続管16が固定されている。
すなわち、本実施形態の加熱管部11では、電磁誘導加熱装置1をプラント等に設けた状態で、被加熱物質を一対の接続管16の一方から他方に向けて流すことにより、被加熱物質が複数の筒状管21内を流れることになる。したがって、本実施形態の電磁誘導加熱装置1は、被加熱物質を複数の筒状管21に分けて流す多管型の電磁誘導加熱装置を構成している。
【0021】
また、加熱管部11は、筒状管21よりも大きな内径の円筒状に形成されて一対のフランジ部22の間に位置する複数の筒状管21の外周を一括して覆う保温材24を備えている。保温材24は、ガラス繊維或いはセラミック材等からなり、筒状管21において発生する熱(ジュール熱)や筒状管21内部を流れる被加熱物質の熱を、加熱管部11の外部に逃がさない役割を果たしている。
保温材24は、複数の筒状管21を挿通させる円筒状に形成されており、その両端が各フランジ部22の他方の主面22bに当接している。言い換えれば、円筒状とされた保温材24の両端の開口が一対のフランジ部22によって閉塞されている。この保温材24の外径寸法はフランジ部22よりも小さく設定されている。また、保温材24は、その軸線がフランジ部22の軸線L1に一致するように配されている。これにより、フランジ部22の外縁部分が保温材24の外周面24cよりも径方向外側に突出している。
【0022】
環状鉄心13は、軸線L1に沿う加熱管部11の長手方向の中途部において加熱管部11の外周を囲むように配されている。なお、環状鉄心13は、後述するシールド部17を介して加熱管部11に支持されている。一次巻線14は、環状鉄心13に巻回して取り付けられており、その両端は、例えば低周波電源等の交流電源(不図示)に接続されている。
【0023】
短絡部材15は、導電性を有しており、筒状管21の長手方向の両端に設けられた一対のフランジ部22に接続されることで、筒状管21の両端を電気的に短絡している。
短絡部材15は、図3に示すように、細長い長方形の板状に形成されており、短冊形状の短絡本体部33と、短絡本体部33の長手方向の両端に接合された一対の接合端部34とによって構成されている。
短絡本体部33は、筒状管21よりも電気抵抗が低く、かつ、熱伝導率が高い導電性材料によって形成されている。短絡本体部33をなす具体的な導電性材料としては、銅やアルミニウム等が挙げられる。なお、このような導電性材料は、筒状管21をなす導電性材料と比較して、融点も低い。
【0024】
接合端部34は、熱伝導率が筒状管21と同等の導電性材料によって形成されている。なお、接合端部34及び筒状管21の熱伝導率が同等であることは、熱伝導率が一致しているものに限らず、近似しているものも含む。言い換えれば、接合端部34は、通常のガス溶接やアーク溶接により筒状管21やフランジ部22に接合することが可能な導電性材料であればよい。すなわち、接合端部34をなす導電性材料は、ステンレス鋼(SUS)等のように筒状管21やフランジ部22と同種類の導電性材料であってもよいし、一般構造用圧延鋼材(SS)等のように熱伝導率や融点が筒状管21やフランジ部22に近似する導電性材料であってもよい。
これら短絡本体部33と接合端部34とは、電子ビーム溶接によって接合されている。
【0025】
以上のように形成される短絡部材15は、図1,2に示すように、その長手方向が加熱管部11の軸線L1方向に沿うように、環状鉄心13よりもさらに加熱管部11の径方向外側に配置されている。また、短絡部材15は、加熱管部11の外周を囲むように加熱管部11の周方向に複数配列されている。
詳細に説明すれば、各短絡部材15は、保温材24の外周面24cとの隙間が小さくなるように保温材24の外周面24cに沿って軸線L1方向に延びるように配されている。ただし、保温材24の外周面24cのうち環状鉄心13が対向配置されている部分においては、短絡部材15が環状鉄心13の外側を囲む断面コ字状に屈曲加工されている。すなわち、各短絡部材15は、環状鉄心13の両端面13a,13b及び外周面13cにも沿うように配されている。
【0026】
そして、図1,2,4に示すように、接合端部34が接合された短絡部材15の各端部31は、保温材24の外周面24cに沿うように軸線L1方向に延びており、各接合端部34が、通常のガス溶接やアーク溶接によって、フランジ部22のうち保温材24の外周面24cよりも径方向外側に突出する突起部25に対して突き当てられた状態で接合されている。すなわち、短絡部材15の各端部の延在方向と突起部25の突出方向とを互いに直交させた状態で、接合端部34からなる短絡部材15の端面15aのみが突起部25に接合されている。
【0027】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置1では、一次巻線14に交流電流を供給することで、電磁誘導により複数の筒状管21に発生した二次誘導電流が、筒状管21、一対のフランジ部22、及び、各短絡部材15に循環するように流れる。この際、筒状管21にはその電気抵抗に応じたジュール熱が発生する、すなわち筒状管21が発熱する。そして、この筒状管21の熱が筒状管21内を流れる被加熱物質に伝わることで被加熱物質を加熱することができる。なお、本実施形態では、フランジ部22も筒状管21と同等あるいは近似する熱伝導率を有しているため、フランジ部22においてもジュール熱が発生する。
すなわち、本実施形態においては、加熱管部11を構成する複数の筒状管21及びフランジ部22が、電磁誘導に伴って発熱する発熱部26を構成している。
【0028】
さらに、電磁誘導加熱装置1は、前述した短絡部材15よりもさらに加熱管部11の外周側に配されて、加熱管部11の周方向全体にわたって加熱管部11、環状鉄心13、一次巻線14及び短絡部材15を覆うシールド部17を備えている。
シールド部17は、一般構造用圧延鋼材(SS)等の金属材料によって加熱管部11の軸線L1方向に延びる略円筒状に形成され、一対のフランジ部22の一方から他方に向けて短絡部材15に沿うように配されている。すなわち、図1に示すシールド部17の断面形状は、短絡部材15の断面形状に倣う形状を呈している。また、シールド部17の軸線はフランジ部22の軸線に一致している。
【0029】
そして、平面視円環状とされたシールド部17の各開口端が加熱管部11の各つば金23に突き当てられた状態で溶接等により接合されることで、シールド部17が加熱管部11に固定されている。この固定状態においては、シールド部17の両端の開口がフランジ部22及びつば金23によって閉塞されている。これにより、筒状管21、保温材24、環状鉄心13、一次巻線14及び短絡部材15がシールド部17内の密閉された空間に配されることになる。
すなわち、シールド部17は、加熱管部11、環状鉄心13、一次巻線14及び短絡部材15を外部環境から保護する役割を果たしている。また、シールド部17は、電気的に接地されることで、前述した電磁誘導に基づいて発生する磁束や電流を遮蔽し、これら磁束や電流がシールド部17の外側に漏れないようにしている。
【0030】
なお、シールド部17の外周面には二つの端子箱41,42が形成されている。一方の端子箱41は、シールド部17内に配された一次巻線14の両端をシールド部17の外側に引き出す役割を果たしている。また、他方の端子箱42は、筒状管21の温度を測定する温度センサ18の配線をシールド部17の外側に引き出したり、シールド部17内の圧力を検出するセンサ(圧力センサ)を取り付ける等の役割を果たしている。
温度センサ18は、交流電源から一次巻線14に供給する交流電流の大きさを制御する電源制御器(不図示)に接続されている。電源制御器は、温度センサ18の測定結果に基づいて加熱後の被加熱物質が所望の温度となるように、一次巻線14に供給する交流電流の大きさ制御する役割を果たしている。また、圧力センサは防爆雰囲気を確保するための内圧状態の判断などに用いられる。
【0031】
上記構成の電磁誘導加熱装置1を製造する場合には、予め、電子ビーム溶接により、短冊状に形成された短絡本体部33の長手方向の両端に接合端部34を接合して、短絡部材15を製造しておく。なお、電子ビーム溶接は、真空容器内に短絡本体部33及び接合端部34を収容し、真空容器内を高真空状態に保持した状態で行われる。また、電子ビーム溶接の前後において、環状鉄心13を組み付けた加熱管部11の外形形状にあわせて短絡本体部33に屈曲加工を施しておく。
その後、別途工程で一体に組み立てられた加熱管部11、環状鉄心13及び一次巻線14に対して短絡部材15を取り付ける。この取り付けの際には、短絡部材15の各端部31の延在方向と突起部25の突出方向とが互いに直交するように、接合端部34からなる短絡部材15の端面15aを突起部25に突き当てた状態で、通常の溶接により接合端部34と発熱部26の軸線L1方向の両端をなす突起部25とを接合すればよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態による電磁誘導加熱装置1及びその製造方法によれば、加熱管部11のフランジ部22に溶接される短絡部材15の接合端部34が、フランジ部22と同等の熱伝導率を有することで、短絡部材15をフランジ部22に溶接する際には、通常のガス溶接やアーク溶接により容易かつ短時間で溶接することが可能となる。したがって、電磁誘導加熱装置1の製造効率の向上、及び、製造コストの削減を図ることができる。
また、通常の溶接で短絡部材15とフランジ部22とを接合すればよいため、作業者に対して溶接技術の高い熟練度が要求されず、溶接の品質を安定させることもできる。
【0033】
さらに、熱伝導率が高い短絡本体部33と、熱伝導率が低い接合端部34とを電子ビーム溶接で接合することにより、従来の溶接手法と比較して、短絡本体部33と接合端部34とを容易かつ確実に接合することができる。
また、加熱管部11と比較して容積が十分に小さい短絡本体部33と接合端部34との接合に、電子ビーム溶接を適用することで、加熱管部11の大きさの制約を受けることなく、短絡本体部33及び接合端部34を真空容器内に収容した状態で電子ビーム溶接を容易に実施することができる。すなわち、短絡本体部33と接合端部34との接合には、加熱管部11と短絡本体部33との接合よりも容易に、電子ビーム溶接を適用することができる。
【0034】
さらに、加熱管部11のフランジ部22と短絡部材15とを通常のガス溶接やアーク溶接によって直接接合することが可能となるため、従来の問題点であった溶接時における筒状管21の熱変形を抑えることができる。すなわち、筒状管21の変形を抑えるために短絡部材15と突起部25との接合部分から筒状管21までの距離を大きく設定する必要がなくなるため、筒状管21の外周と短絡部材15との間隔を小さく設定することが可能となる。したがって、電磁誘導加熱装置1の小型化を図ることができる。また、筒状管21の外周と短絡部材15との間隔を小さく設定できる結果として、筒状管21とシールド部17との間隔も小さく設定できるため、電磁誘導加熱装置1の電気的効率の向上も図ることができる。
【0035】
さらに、突起部25の突出方向と短絡部材15の端部31の延在方向とを直交させた状態で、短絡部材15の端部31をなす接合端部34のみが突起部25に当接して接合されることで、突起部25における短絡部材15の接合領域を最小限に抑えることができる。その結果として、突起部25の突出長さを最小限に抑えることができると共に、筒状管21の外周と短絡部材15との間隔をさらに小さく設定できるため、電磁誘導加熱装置1の小型化をさらに図ることができる。
また、筒状管21の外周と短絡部材15との間隔をさらに小さく設定できることで、筒状管21とシールド部17との間隔もさらに小さく設定できるため、電磁誘導加熱装置1の電気的効率のさらなる向上を図ることができる。
【0036】
次に、本発明に係る電磁誘導加熱装置の第二実施形態について図5,6を参照して説明する。なお、この実施形態において、第一実施形態の電磁誘導加熱装置1と同じ構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
図5に示すように、本実施形態の電磁誘導加熱装置2は、加熱槽12、環状鉄心13、一次巻線14及び短絡部材15を備えて大略構成されている。
加熱槽12は、第一実施形態の筒状管21と同様に、ステンレス鋼(SUS)等のように電気抵抗の高い導電性材料からなり、円筒状に形成された筒状管51と、その軸線L2方向の両端を各々閉塞する天井壁部52及び底壁部53とを一体に形成して大略構成されている。ただし、天井壁部52には被加熱物質を加熱槽12内に投入する投入口54が形成され、底壁部53には加熱槽12内の被加熱物質を外部に排出する排出口55が形成されている。なお、排出口55は開閉可能に構成されている。
【0038】
筒状管51の外周面51cには、その径方向外側に突出する円環状のフランジ部56,57が一対形成されている。これら一対のフランジ部56,57は、筒状管51の軸線L2方向の中途部において、筒状管51の軸線L2方向に互いに間隔をあけて配されている。各フランジ部56,57は、第一実施形態のフランジ部22やつば金23と同様に、熱伝導率や融点が筒状管51と同等あるいは近似するステンレス鋼(SUS)、一般構造用圧延鋼材(SS)等の導電性材料からなり、溶接等によって筒状管51の外周面51cに一体に固定されている。
なお、本実施形態においては、天井壁部52側に位置する一方のフランジ部56の外径寸法が、環状鉄心13の外径寸法よりも大きく設定され、底壁部53側に位置する他方のフランジ部57の外径寸法が、環状鉄心13の外径寸法よりも小さく設定されている。
【0039】
また、筒状管51には、その外周面51cを覆う円筒状の保温材24が取り付けられている。なお、本実施形態において、保温材24は、筒状管51のうち一対のフランジ部56,57によって挟まれる軸線L2方向の中途部のみに設けられ、筒状管51の外周面51cのうち各フランジ部56,57の取り付け位置から天井壁部52や底壁部53に至る部分には設けられていない。また、保温材24の外径寸法は一対のフランジ部56,57よりも小さく設定されており、これにより、各フランジ部56,57の外縁部分が保温材24の外周面24cよりも径方向外側に突出している。
さらに、加熱槽12内には、軸線L2方向に延びる攪拌棒58が配されている。この攪拌棒58が軸線L2を中心に回転することで、加熱槽12内に貯留された被加熱物質を攪拌することができる。
【0040】
環状鉄心13は、一次巻線14を巻回した状態で、筒状管51のうち一対のフランジ部56,57によって挟まれる軸線L2方向の中途部において、筒状管51及び保温材24の外周を囲むように配されている。なお、本実施形態においては、環状鉄心13が底壁部53側に位置する他方のフランジ部57に寄せて配置されている。ただし、他方のフランジ部57と一次巻線14との間には、これらの間で電気的な短絡が生じない程度の隙間が確保されている。また、環状鉄心13は他方のフランジ部57に固定されている。
【0041】
短絡部材15は、その寸法や配置を除いて第一実施形態のものと同様に構成されている(図3参照)。短絡部材15は、その長手方向が筒状管51の軸線方向に沿うように、環状鉄心13よりもさらに筒状管51の径方向外側に配置されている。また、短絡部材15は、筒状管51の外周を囲むように筒状管51の周方向に複数配列されている。
そして、各短絡部材15は、保温材24や環状鉄心13との隙間が小さくなるように屈曲加工されている。具体的に説明すれば、短絡部材15のうち一方のフランジ部56側に位置する部分は、保温材24の外周面24cとの隙間が小さくなるように保温材24の外周面24cに沿って軸線L2方向に延びるように配されている。これに対して、短絡部材15のうち他方のフランジ部57側に位置する部分は、環状鉄心13の外側を囲むコ字状に屈曲加工され、環状鉄心13の両端面13a,13bや外周面13cに沿うように配されている。
【0042】
短絡部材15の各接合端部は、通常のガス溶接やアーク溶接によって、各フランジ部56,57のうち保温材24の外周面24cよりも径方向外側に突出する突起部61,62に接合されている。
具体的に説明すれば、一方のフランジ部56に接合される短絡部材15の一端部31Aは、第一実施形態と同様に、保温材24の外周面24cに沿うように軸線L2方向に延びており、短絡部材15の一端部31Aを構成する接合端部34(図3参照)は、一方のフランジ部56の突起部61に対して突き当てられた状態で接合されている。すなわち、短絡部材15の一端部31Aを構成する接合端部34は、第一実施形態と同様に、短絡部材15の一端部31Aの延在方向と突起部61の突出方向とを互いに直交させた状態で、突起部61に接合されている。
これに対し、他方のフランジ部57に接合される短絡部材15の他端部31Bは、図6に示すように、筒状管51の径方向内側に延びている。そして、短絡部材15の他端部31Bを構成する接合端部34は、他方のフランジ部57の突起部62に対して短絡部材15の他端部31Bの側面15cが当接した状態で接合されている。すなわち、短絡部材15の他端部31Bを構成する接合端部34は、短絡部材15の他端部31Bの延在方向と突起部62の突出方向とを互いに平行させると共に逆向きとした状態で、突起部62に接合されている。
【0043】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置2では、一次巻線14に交流電流を供給することで、電磁誘導により筒状管51に発生した二次誘導電流が、一対のフランジ部56,57、一対のフランジ部56,57の間に位置する筒状管51の長手方向の一部(以下、発熱管部59と呼ぶ。)、一対のフランジ部56,57及び各短絡部材15に循環するように流れる。この際、筒状管51の発熱管部59にはその電気抵抗に応じたジュール熱が発生し、発熱管部59が発熱する。そして、この発熱管部59の熱が筒状管51内を流れる被加熱物質に伝わることで被加熱物質を加熱することができる。なお、本実施形態では、フランジ部56,57も筒状管51と同等あるいは近似する熱伝導率を有しているため、フランジ部56,57においてもジュール熱が発生する。ただし、図6に示すように、短絡部材15の他端部は他方のフランジ部57の突起部62の突出方向の基端に接合されているため、他方のフランジ部57のうち保温材24と軸線L2方向に重なる部分が主に発熱し、他方のフランジ部57の突起部62は殆ど発熱しない。
本実施形態においては、筒状管51の発熱管部59及びフランジ部56,57が、電磁誘導に伴って発熱する発熱部66を構成している。
【0044】
さらに、電磁誘導加熱装置2は、第一実施形態と同様のシールド部17を備えている。このシールド部17は、筒状管51の軸線L2方向に延びる略円筒状に形成され、一方のフランジ部56の外縁から他方のフランジ部57の外縁に向けて短絡部材15に沿うように配されている。そして、平面視円環状とされたシールド部17の各開口端が各フランジ部56,57の外縁に突き当てられた状態で溶接等に接合されることで、シールド部17が加熱槽12に固定されている。これにより、筒状管51の発熱管部59、保温材24、環状鉄心13、一次巻線14及び短絡部材15がシールド部17内の密閉された空間に配されることになる。また、このシールド部17は、第一実施形態と同様に、電気的に接地されている。
【0045】
上記構成の電磁誘導加熱装置2を製造する場合には、第一実施形態と同様に、予め電子ビーム溶接により短絡本体部33の両端に接合端部34を接合して短絡部材15を製造しておく。また、環状鉄心13を組み付けた加熱槽12の外形形状にあわせて短絡本体部33に屈曲加工を施しておく。
その後、別途工程で一体に組み立てられた加熱槽12、環状鉄心13及び一次巻線14に対して短絡部材15を取り付ける。この取り付けの際には、第一実施形態の場合と同様に、通常の溶接により短絡部材15の各接合端部34と発熱部66の両端をなす突起部61,62とを接合すればよい。
【0046】
具体的に説明すれば、短絡部材15の一端部31Aの延在方向と一方のフランジ部56の突起部61とが互いに直交するように、接合端部34からなる短絡部材15の端面15aを突起部61に突き当てた状態で、通常の溶接により接合端部34と発熱部66の一端をなす突起部61とを接合すればよい。また、短絡部材15の他端部31Bの延在方向と他方のフランジ部57の突起部62の突出方向とが互いに逆向きとなるように、短絡部材15の他端部31Bの側面15cを突起部62に当接させた状態で、通常の溶接により接合端部34と発熱部66の他端をなす突起部62とを接合すればよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態による電磁誘導加熱装置2及びその製造方法によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
例えば、短絡部材15の接合端部34がフランジ部56,57と同等の熱伝導率を有することで、短絡部材15をフランジ部56,57に溶接する際には通常の溶接により容易かつ短時間で溶接できる。したがって、電磁誘導加熱装置2の製造効率の向上、及び、製造コストの削減を図ることができる。また、溶接の品質を安定させることもできる。
【0048】
また、加熱槽12と比較して容積が十分に小さい短絡本体部33及び接合端部34の接合に、電子ビーム溶接を適用することで、加熱槽12の大きさの制約を受けることなく、短絡本体部33及び接合端部34を真空容器内に収容した状態で電子ビーム溶接を容易に実施することができる。
さらに、短絡部材15と突起部61,62との接合部分から筒状管51までの距離を大きく設定しなくても、溶接時における筒状管51の変形を抑えることができるため、筒状管51の外周と短絡部材15との間隔を小さく設定して、電磁誘導加熱装置2の小型化や電気的効率の向上も図ることができる。
【0049】
また、一方のフランジ部56の突起部61の突出方向と短絡部材15の一端部31Aの延在方向とを直交させた状態で、短絡部材15の一端部31Aをなす接合端部34のみが突起部61に当接して接合されることで、突起部61の突出長さを最小限に抑えることができると共に、筒状管51の外周と短絡部材15との間隔をさらに小さく設定できるため、電磁誘導加熱装置2の小型化や電気的効率の向上をさらに図ることができる。
さらに、短絡部材15が環状鉄心13の外側を囲むように屈曲加工される短絡部材15の他端部31Bを、筒状管51の径方向内側に延出させた上で、短絡部材15の他端部31Bをなす接合端部34を他方のフランジ部57の突起部62に接合させることで、二次誘導電流の電気経路をなす他方のフランジ部57の長さを短く設定することができるため、他方のフランジ部57の電気抵抗に基づく電磁誘導加熱装置2の電気的効率の低下を抑えることが可能となる。
【0050】
なお、本発明は上述した二つの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第一実施形態の電磁誘導加熱装置1では、複数の筒状管21を設ける代わりに、互いに平行する被加熱物質の流路を複数あるいは一つ有する筒状管を一つだけ設けてもよい。なお、筒状管21を一つだけ設ける場合には、保温材24が一対のフランジ部22の間に位置する筒状管21の外周面全体を覆うように配されていればよい。
【0051】
さらに、突起部25(61,62)に接合される短絡部材15の各端部31の延在方向と突起部25(61,62)の突出方向とは、二つの実施形態において例示したように、互いに直交していてもよいし平行していてもよい。ただし、突起部25(61,62)と短絡部材15の端部31との接合部分が環状鉄心13から十分に離れている場合には、短絡部材15と筒状管21(51)との間隔を小さく設定できるように、例えば短絡部材15の端部31の延在方向を突起部25(61,62)の突出方向に対して直交させる、あるいは、一致させることが好ましい。なお、短絡部材15の端部31の延在方向を突起部25(61,62)の突出方向に一致させることは、短絡部材15の端部31を筒状管21(51)の径方向外側に延びることを意味する。
【0052】
また、二つの実施形態の電磁誘導加熱装置1(2)においては、一対のフランジ部22(56,57)が溶接等により筒状管21(51)に固定されるとしたが、例えば同一の導電性材料により一体に成形されてもよい。
さらに、短絡部材15やシールド部17は、筒状管21(51)の径方向外側に突出するフランジ部22(56,57)やつば金23に接続されることに限らず、少なくとも発熱部26(66)の軸線L1(L2)方向の両端に接続されていればよい。すなわち、短絡部材15やシールド部17は、例えば筒状管21(51)に直接接続されてもよく、この場合、加熱管部11(加熱槽12)はフランジ部22(56,57)やつば金23を備えていなくてもよい。
【0053】
また、第一実施形態の発熱部26は、筒状管21全体によって構成されるとしたが、例えば第二実施形態と同様に、筒状管21の長手方向の一部によって構成されてもよい。この場合には、短絡部材15と筒状管21との接続部分が軸線L1方向に沿って環状鉄心13の両側に位置するように、例えば短絡部材15の両端部31のいずれか一方あるいは両方を、筒状管21の長手方向の中途部に接続すればよい。
逆に、第二実施形態の発熱部66は、筒状管51の長手方向の一部によって構成されることに限らず、例えば第一実施形態と同様に、筒状管51全体によって構成されてもよい。この場合には、例えば短絡部材15の両端部31を筒状管51の両端に接続すればよい。
【符号の説明】
【0054】
1,2 電磁誘導加熱装置
11 加熱管部
12 加熱槽
13 環状鉄心
14 一次巻線
15 短絡部材
25,61,62 突起部
26,66 発熱部
33 短絡本体部
34 接合端部
L1,L2 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された導電性の発熱部と、該発熱部の外周に配された環状鉄心と、該環状鉄心に巻回された一次巻線と、前記発熱部の軸線方向の両端に接続されて前記発熱部の両端を短絡する導電性の短絡部材とを備える電磁誘導加熱装置であって、
前記短絡部材が、前記発熱部よりも電気抵抗が低く、かつ、熱伝導率が高い導電性材料からなる短絡本体部と、熱伝導率が前記発熱部と同等の導電性材料からなり、前記発熱部の両端と前記短絡本体部との間に介在する接合端部とからなり、
前記短絡本体部と前記接合端部とが電子ビーム溶接によって接合されていることを特徴とする電磁誘導加熱装置。
【請求項2】
前記発熱部が、その両端において径方向外側に突出する突起部を有し、
前記接合端部が接合された前記短絡部材の端部は、前記軸線方向に延在し、
前記接合端部が前記突起部に突き当て状態で接合されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導加熱装置。
【請求項3】
筒状に形成された導電性の発熱部と、該発熱部の外周に配された環状鉄心と、該環状鉄心に巻回された一次巻線と、前記発熱部の軸線方向の両端に接続されて前記発熱部の両端を短絡する導電性の短絡部材とを備える電磁誘導加熱装置の製造方法であって、
前記発熱部よりも電気抵抗が低く、かつ、熱伝導率が高い導電性材料からなる短絡本体部に、熱伝導率が前記発熱部と同等の導電性材料からなる接合端部を電子ビーム溶接により接合することで前記短絡部材を構成した後に、
前記接合端部を前記発熱部の両端に溶接することで、前記短絡部材を前記発熱部に接続することを特徴とする電磁誘導加熱装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−38652(P2012−38652A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179499(P2010−179499)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000176763)三菱化学エンジニアリング株式会社 (85)
【Fターム(参考)】