説明

電磁誘導器およびその製造方法

【課題】容易かつ低コストで、種々のギャップの状態に調整できて所望特性に設定することが可能な電磁誘導器およびその製造方法を提供する。
【解決手段】E型ラミネートコア5の中脚部12とI型ラミネートコア6との間にギャップGを有する少なくとも1種類のEI型ラミネートコア3を含む2種類以上のEI型ラミネートコアを混在させて重ね合せることにより、その混在状態を変化させることで全体のギャップ状態を調整することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギャップ付きEI型コアと、このEI型コアに装着されるコイルとを有する電磁誘導器およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばE型とI型の2種類のラミネートコアをそれぞれ重ね合せてブロック化したのちに接合し、このEI型コアの窓部にコイルを嵌め込んで組み立てられるリアクトルやトランスのような電磁誘導器が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、コアにギャップを設けることにより、コアの磁気飽和を防止することが知られており、このギャップを種々異ならせることにより、所定の電流−インダクタンス特性や振動(うなり)特性などに設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−45543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電磁誘導器を各々所定の電流−インダクタンス特性などに設定したい場合、種々のギャップに応じて金型を作製し、これに基づき当該ギャップを有するEI型ラミネートコアを製造して、EI型コアを製造することとなり、多種類のEI型ラミネートコアが必要となる場合、コストと手間がかかる。
【0006】
また、環境面およびコスト面からも、無駄になる廃棄材料を少なくし、できる限りコア材料を節約するため、コア材料シートから種々のギャップを有するEI型ラミネートコアを効率良く製造する必要がある。
【0007】
本発明は、容易かつ低コストで、種々のギャップの状態に調整できて所望特性に設定することが可能な電磁誘導器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一構成に係る電磁誘導器は、EI型ラミネートコアを構成するE型ラミネートコアとI型ラミネートコアのそれぞれ複数枚を重ね合せて形成されるEI型コアと、EI型コアの窓部に装着されるコイルとを有するものであって、前記EI型コアは、E型ラミネートコアの中脚部とI型ラミネートコアとの間にギャップを有する少なくとも1種類のEI型ラミネートコアと、これとギャップ寸法の異なるまたはギャップを有しない他の種類のEI型ラミネートコアとを含む、2種類以上を混在させて重ね合せて構成されている。
【0009】
この構成によれば、E型ラミネートコアの中脚部とI型ラミネートコアとの間にギャップを有する少なくとも1種類のEI型ラミネートコアを含む2種類以上のEI型ラミネートコアを混在させて重ね合せることにより、その混在状態を変化させることで全体のギャップ状態を調整することが可能となり、容易かつ低コストで、種々のギャップの状態に調整できて所望特性に設定することが可能となる。
【0010】
好ましくは、前記EI型コアは、ギャップ寸法が互いに異なる2種類のEI型ラミネートコアをそれぞれ種類ごとに複数枚を重ね合せて2種類のコアブロックが形成され、これらコアブロック同士を重ね合わせて構成されている。また、前記EI型コアは、ギャップ寸法が互いに異なる2種類のEI型ラミネートコアをそれぞれ1枚ごとに交互に重ね合せて構成されている。したがって、2種類のEI型ラミネートコアにより、より容易かつ低コストで、種々のギャップの状態に調整できて所望特性に設定することが可能となる。
【0011】
好ましくは、前記EI型コアは、ギャップのないEI型ラミネートコアを両側に配置し、その間にギャップを有するEI型ラミネートコアの複数重ね合せたものが配置されている。したがって、ギャップがコア内部に設けられて、漏れ磁束の少ない特性に設定できる。
【0012】
好ましくは、前記I型ラミネートコアは、縦方向の側縁部の一方の中央部分に第1のギャップの少なくとも一部分を形成する第1切欠部が設けられており、前記EI型ラミネートコアが、このI型ラミネートコアを前記第1切欠部を有する側と有しない側とに入れ替えて前記E型ラミネートコアと接合させて構成される、前記I型ラミネートコアに第1のギャップを有するものと有しないものの2種類のEI型ラミネートコアである。したがって、より容易かつ低コストで、2種類のEI型ラミネートコアを得ることができる。
【0013】
本発明の他の構成に係る電磁誘導器の製造方法は、前記I型ラミネートコアは、矩形のコア材料シートから縦方向に延び、横方向に互いに離間した2つの略矩形のI型ラミネートコアを打ち抜いて製作し、前記E型ラミネートコアは、前記コア材料シートを打ち抜いた後に横方向に沿った中心線で切断して2つ製作するものであり、前記I型ラミネートコアは、縦方向の側縁部の一方の中央部分に第1のギャップの少なくとも一部分を形成する第1切欠部が形成され、前記E型ラミネートコアは、前記2つのI型ラミネートコアの打ち抜きでその窓部が、2つのI型ラミネートコア間の中央部の打ち抜きでその中脚部の先端に第2のギャップを形成する第2切欠部が形成され、前記I型ラミネートコアの第1切欠部を有する一方の側縁部の側と前記E型ラミネートコアとを第1のギャップおよび第2のギャップを介して接合して、第1および第2のギャップを有するEI型ラミネートコアを製作し、前記I型ラミネートコアの第1切欠部を有しない他方の側縁部の側と前記E型ラミネートコアとを第2のギャップを介して接合して、第2のギャップを有するEI型ラミネートコアを製作する、前記2種類の異なるギャップを有するEI型ラミネートコアの製作を含む。
【0014】
この構成によれば、矩形のコア材料シートから2種類の異なるギャップを有するEI型ラミネートコアをコア材料の無駄を少なくして製造することができる。
【0015】
本発明のまた他の構成に係る電磁誘導器の製造方法は、前記I型ラミネートコアは、矩形のコア材料シートから縦方向に延び、横方向に互いに離間した2つの略矩形のI型ラミネートコアを打ち抜いて製作し、前記E型ラミネートコアは、前記コア材料シートを打ち抜いた後に横方向に沿った中心線で切断して2つ製作するものであり、前記I型ラミネートコアは、縦方向の側縁部の一方の中央部分に第1のギャップの少なくとも一部分を形成する第1切欠部が形成され、前記E型ラミネートコアは、前記2つのI型ラミネートコアの打ち抜きでその窓部が形成され、前記I型ラミネートコアの第1切欠部を有する一方の側縁部の側と前記E型ラミネートコアとを第1のギャップを介して接合して、第1のギャップを有するEI型ラミネートコアを製作し、前記I型ラミネートコアの第1切欠部を有しない他方の側縁部の側と前記E型ラミネートコアとをギャップなしで接合して、ギャップを有しないEI型ラミネートコアを製作する、前記ギャップを有するおよびギャップを有しない2種類のEI型ラミネートコアの製作を含む。
【0016】
この構成によれば、矩形のコア材料シートからギャップを有するおよびギャップを有しない2種類のEI型ラミネートコアをよりコア材料の無駄を少なくして製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電磁誘導器を示す斜視図である。
【図2】(A)は図1の電磁誘導器のEI型コアを示す斜視図、(B)はその展開図である。
【図3】図1の電磁誘導器の動作を示す特性図である。
【図4】(A)は第2実施形態にかかる電磁誘導器のEI型コアを示す斜視図、(B)はその部分構成図である。
【図5】(A)は第3実施形態にかかる電磁誘導器のEI型コアを示す斜視図、(B)はその展開図である。
【図6】(A)〜(C)は、本発明にかかる電磁誘導器の製造方法の一例を示す平面図である。
【図7】(A)〜(C)は、本発明にかかる電磁誘導器の製造方法の他例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態にかかる電磁誘導器1を示す斜視図である。図1のように、リアクトルやトランスのような電磁誘導器1は、EI型ラミネートコア3を構成するシート状のE型ラミネートコア5とシート状のI型ラミネートコア6のそれぞれ複数枚を重ね合せて形成されるEI型コア2と、EI型コア2の窓部15に装着されるコイル4とを有する。
【0019】
この電磁誘導器1は、EI型コア2が、例えば、E型ラミネートコア5とI型ラミネートコア6をそれぞれ複数枚ずつ重ね合せて、ブロック化したE型コアブロック7とI型コアブロック8(8')を形成し、これらE型コアブロック7とI型コアブロック8(8')を接合して製造され、このEI型コア2の窓部15にコイル4を嵌め込んで組み立てられる。
【0020】
このEI型コア2は、E型ラミネートコア5の中脚部12とI型ラミネートコア6との間にギャップGを有する少なくとも1種類のEI型ラミネートコアと、ギャップ寸法の異なるまたはギャップを有しない他の種類のEI型ラミネートコアとを、少なくとも2種類以上を混在させて重ね合せて構成されるものである。
【0021】
図2(A)は電磁誘導器1のEI型コア2を示す斜視図、(B)はその展開図を示す。図2(B)のように、第1実施形態では、EI型コア2は、ギャップ寸法が互いに異なる2種類のEI型ラミネートコア3A、3Bをそれぞれ種類ごとに複数枚を重ね合せてE型コアブロック7とI型コアブロック8からなる、およびE型コアブロック7とI型コアブロック8'からなる、2種類のEI型コアブロック16、17が形成され、これらEI型コアブロック16、17同士を重ね合わせて構成されている。このEI型ラミネートコア3A、3Bは、後述する図6の製造方法で製造されたものである。
【0022】
図2(B)のように、I型ラミネートコア6(6')は、長手方向(図では横方向)に沿った側縁部の一方6aの中央部分(6は上部、6'は下部)、EI型ラミネートコア3Bでは、第1切欠(空間)部21におけるE型ラミネートコア5の外脚部14と接触する両端接触部25、26を除いた部分に、凹入寸法g1をもつ第1切欠(空間)部21が形成されている。この第1切欠(空間)部21がI型ラミネートコア6'とE型ラミネートコア5とを組み合わせたときに第1のギャップG1(ギャップ寸法g1)の一部分を形成する。I型ラミネートコア6(6')において第1切欠(空間)部21の底縁6cと、側縁部6a、6bとは平行である。
【0023】
図2(A)のように、E型ラミネートコア5は、中脚部12とその左右両側の外脚部14とをアーム部13で連結したもので、アーム部13の両端部に外脚部14が、アーム部13の中央部に中脚部12がそれぞれ、アーム部13から同一方向に平行に延びるように突出して、側面視でE字形状になっている。E型コアブロック7の中脚部12は外脚部14よりも高さがg2だけ低く設けられており、該中脚部12の先端に、I型ラミネートコア6(6')を組み合わせたときに、第2のギャップG2(ギャップ寸法g2)を形成する第2切欠(空間)部22が形成されている。図2(B)のように、EI型ラミネートコア3A、3BはともにこのE型ラミネートコア5がそれぞれ共通して使用され、前記第1切欠部21(第1のギャップG1)を有する側と有しない側とに入れ替えたI型ラミネートコア6(6')を、それぞれE型ラミネートコア5と接合させた2種類のものである。EI型ラミネートコア3Aは、第1のギャップG1を有しないI型ラミネートコア6を用いており、EI型ラミネートコア3Bは、第1のギャップG1を有するI型ラミネートコア6'を用いている。EI型ラミネートコア3A、3Bは、正面の外形寸法が同一、つまり高さHと横幅Wが同一の矩形である。
【0024】
この場合、図2(B)のように、EI型コア2は、EI型ラミネートコア3Aを複数重ね合わせたEI型コアブロック16が、E型コアブロックの中脚部12とI型コアブロックとの間に第2のギャップG2(ギャップ寸法g2)を有し、EI型ラミネートコア3Bを複数重ね合わせたEI型コアブロック17が、E型コアブロックの中脚部12とI型コアブロックとの間に第1および第2のギャップG1、G2(ギャップ寸法g1+g2)を有する。この例では、EI型コアブロック16、17の各EI型ラミネートコア3A、3Bの枚数がほぼ同一であり、EI型コア2の全体のギャップ状態は、EI型コア2内で、EI型コアブロック16内部の第2のギャップG2と、EI型コアブロック17内部の第1および第2のギャップG1、G2とが半分ずつ横方向に並んで配置されている状態にある。
【0025】
図3は、誘導電磁器1の電流−インダクタンス特性の一例を示す。縦軸はインダクタンスL(mH)で横軸は電流(A)である。図3(A)の図示βはEI型コアを第2のギャップG2(ギャップ寸法小)を有するEI型コアブロック16で全部構成した場合の特性、図示γはEI型コアを第1および第2のギャップG1、G2(ギャップ寸法大)を有するEI型コアブロック17で全部構成した場合の特性である。ギャップ寸法が小さいほどコアが磁気飽和しやすいので、ギャップ寸法の小さい方が大きい方よりもインダクタンスLの減少し始める電流がより小さくなる。図示αは図2(A)のEI型コアブロック16とEI型コアブロック17を半分ずつ重ね合わせて2種類のギャップを混在させたギャップ状態のEI型コア2の特性である。図3(A)のように、図示αの電流−インダクタンス特性は、他の2つの電磁誘導器における図示βと図示γの電流−インダクタンス特性のほぼ中間の特性を示す。図3(B)は、(A)よりも縦軸のインダクタンスL(mH)の目盛を大きくとったもので、ギャップあり(図示ε)の誘導電磁器1とギャップなし(図示ξ)の誘導電磁器1の電流−インダクタンス特性を比較した参考例を示す。
【0026】
なお、この例では、EI型コアブロック16、17の各EI型ラミネートコア3A、3Bの枚数をほぼ同一(50:50)にしているが、各EI型ラミネートコア3A、3Bの枚数の割合を例えば20:80や70:30などのように種々に変えてもよい。この場合、一方の枚数の割合を多くした電磁誘導器の特性は、多くした方の当該EI型ラミネートコアで全枚数を構成した電磁誘導器の特性に近づく。
【0027】
なお、ギャップ寸法が互いに異なる2種類のEI型ラミネートコアに代えて、ギャップを有するものと有しないものの2種類のEI型ラミネートコアとしてもよく、また、ギャップ寸法の異なるまたはギャップを有しない3種類以上のEI型ラミネートコアを使用してもよい。
【0028】
図4は本発明の第2実施形態にかかる電磁誘導器を示す斜視図である。この図4(A)のEI型コアは、第1実施形態と異なり、図4(B)のようにギャップ寸法が互いに異なる2種類のEI型ラミネートコア3A、3Bをそれぞれ1枚ごとに交互に重ね合せて構成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。この電磁誘導器は、2種類のEI型ラミネートコアをほぼ半数ずつ有するので、全体のギャップ状態が第1実施形態と共通し、この電流−インダクタンス特性は同様に、図3(A)の特性を示す。
【0029】
図5は本発明の第3実施形態にかかる電磁誘導器を示す斜視図である。この図5(A)のEI型コアは、第1実施形態と異なり、図5(B)のようにギャップを有しないEI型ラミネートコア3Dを1枚または複数枚重ね合わせたEI型コアブロック19を横方向両側に配置し、その間に第2のギャップG2(ギャップ寸法g2)を有するEI型ラミネートコア3Aを複数枚重ね合せたEI型コアブロック18が配置されている。このEI型ラミネートコア3A、3Dは、後述する図6および図7の製造方法で製造されたものである。その他の構成は第1実施形態と同様である。この電磁誘導器は、コア内部にギャップG2を有するので(インナーギャップ)、漏れ磁束が少なくなる特性を有する。
【0030】
なお、EI型ラミネートコア3Aを複数重ね合せたEI型コアブロック18に代えて、これとギャップ寸法の異なるEI型ラミネートコア3Bや後述するEI型ラミネートコア3Cなどをそれぞれ複数重ね合せたEI型コアブロックを用いてもよく、またはこれらEI型ラミネートコア3A、3B、3Cおよびギャップを有しないEI型ラミネートコア3Dのいずれか2種類以上を第1、2実施形態のように混在させるようにしてもよい。
【0031】
図6および図7は、本発明に係る電磁誘導器の製造方法において、この電磁誘導器に使用されるEI型ラミネートコアの製造方法の例を示す平面図である。
まず、図6(A)において、横2×a、縦2×bの寸法を有する矩形のコア材料シートから、横方向に互いに所定の長さ離間させて、それぞれ2×aの寸法で縦方向に延びる2つの略矩形のI型ラミネートコア6を打ち抜いて製作する。つぎに、E型ラミネートコア5は、前記コア材料シートを打ち抜いた後に横方向中心線Oで切断して、横2×a、縦bの寸法を有するもの2つを製作する。
【0032】
図6(A)のように前記I型ラミネートコア6は、縦方向の側縁部の一方の中央部分に図6(C)の第1のギャップG1(ギャップ寸法g1)の少なくとも一部分を形成する第1切欠部21が形成され、略コの字状の形状を有する。図6(A)のように前記E型ラミネートコア5は、前記2つのI型ラミネートコア6の打ち抜きで図6(B)、(C)における縦aの寸法の窓部15が、図6(A)のように、2つのI型ラミネートコア6間における横方向に沿った中心線Oを上下に挟む所定高さ(2×g2)の中央部を打ち抜いた後の横方向中心線Oでの切断により、図6(B)、(C)におけるそれぞれE型ラミネートコア5の中脚部12の先端に第2のギャップG2(ギャップ寸法g2)となる第2切欠部22が形成される。
【0033】
そして、図6(B)、(C)のように、縦方向のものを横向きにして前記側縁部に第1切欠部21を有する側を対向させたI型ラミネートコア6と、E型ラミネートコア5とを、第1および第2のギャップG1、G2を介して接合して、第1および第2のギャップG1、G2(ギャップ寸法g1+g2)を有するEI型ラミネートコア3Bを製作する。また、前記I型ラミネートコア6を上下に入れ替えて前記側縁部に第1切欠部21を有しない側を対向させたI型ラミネートコア6'と、前記E型ラミネートコアとを、第2のギャップG2を介して接合して、第2のギャップG2(ギャップ寸法g2)を有するEI型ラミネートコア3Aを製作する。EI型ラミネートコア3A、3Bは、正面の外形寸法が同一、つまり高さHと横幅2×a(W)が同一の矩形である。このように、図2(B)の2種類の異なるギャップを有するEI型ラミネートコア3A、3Bが製造される。これにより、矩形のコア材料シートから2種類の異なるギャップを有するEI型ラミネートコア3A、3Bをコア材料の無駄を少なくして製造することができる。
【0034】
つぎに、図7(A)において、上記と同様に、横2×a、縦2×bの寸法を有する矩形のコア材料シートから、横方向に互いに所定の長さ離間させて、それぞれ2×aの寸法で縦方向に延びる2つの略矩形のI型ラミネートコア6を打ち抜いて製作する。つぎに、E型ラミネートコア5は、前記コア材料シートを打ち抜いた後に横方向に沿った中心線Oで切断して、横2×a、縦bの寸法を有するもの2つを製作する。
【0035】
図7(A)のように前記I型ラミネートコア6は、縦方向の側縁部の一方の中央部分に図7(C)の第1のギャップG1の少なくとも一部分を形成する第1切欠部21が形成され、略コの字状の形状を有する。図7(A)のように前記E型ラミネートコア5は、前記2つのI型ラミネートコア6の打ち抜きで図7(B)、(C)における縦aの寸法の窓部15が形成される。この場合、図6と異なり、前記2つのI型ラミネートコア6間における中央部の打ち抜きはなく、第2のギャップG2となる第2切欠部22は形成されない。
【0036】
そして、図7(B)、(C)のように、縦方向のものを横向きにして前記側縁部に第1のギャップG1を有する側を対向させたI型ラミネートコア6と、前記E型ラミネートコア5とを、第1のギャップG1を介して接合して、第1のギャップG1(ギャップ寸法g1)を有するEI型ラミネートコア3Cを製作する。また、前記I型ラミネートコア6を上下に入れ替えて前記側縁部に第1のギャップG1を有しない側を対向させたI型ラミネートコア6'と、E型ラミネートコア5とをギャップなしで接合して、ギャップを有しないEI型ラミネートコア3Dを製作する。EI型ラミネートコア3C、3Dは、正面の外形寸法が同一、つまり高さHと横幅2×a(W)が同一の矩形である。この場合、図6と異なり、第2のギャップとなる第2切欠部22を有しないので、コア材料の無駄はほとんど生じない。これにより、矩形のコア材料シートからギャップG1を有するおよびギャップGを有しない2種類のEI型ラミネートコア3C、3Dをよりコア材料の無駄を少なくして製造することができる。
【0037】
このように、本発明の電磁誘導器は、E型ラミネートコアの中脚部とI型ラミネートコアとの間にギャップを有する少なくとも1種類のEI型ラミネートコアを含む2種類以上のEI型ラミネートコアを混在させて重ね合せることにより、その混在状態を変化させることで全体のギャップ状態を調整することが可能となり、容易かつ低コストで、種々のギャップの状態に調整できて所望特性に設定することが可能となる。
【0038】
また、本発明の電磁誘導器の製造方法は、矩形のコア材料シートから2種類の異なるギャップを有する、またはギャップを有するおよびギャップを有しない2種類のEI型ラミネートコアをコア材料の無駄を少なくして製造することができる。
【0039】
なお、第1〜第3の実施形態の誘導電磁器は、図6および図7の製造方法で製造したEI型ラミネートコアを使用しているが、その他の製造方法で製造したものを使用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1:電磁誘導器
2:EI型コア
3、3A、3B:EI型ラミネートコア
4:コイル
5:E型ラミネートコア
6、6':I型ラミネートコア
12:中脚部
13:アーム部
14:外脚部
15:窓部
G、G1、G2:ギャップ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
EI型ラミネートコアを構成するE型ラミネートコアとI型ラミネートコアのそれぞれ複数枚を重ね合せて形成されるEI型コアと、EI型コアの窓部に装着されるコイルとを有する電磁誘導器であって、
前記EI型コアは、E型ラミネートコアの中脚部とI型ラミネートコアとの間にギャップを有する少なくとも1種類のEI型ラミネートコアと、これとギャップ寸法の異なるまたはギャップを有しない他の種類のEI型ラミネートコアとを含む、2種類以上を混在させて重ね合せて構成されている、
電磁誘導器。
【請求項2】
請求項1において、
前記EI型コアは、ギャップ寸法が互いに異なる2種類のEI型ラミネートコアをそれぞれ種類ごとに複数枚を重ね合せて2種類のコアブロックが形成され、これらコアブロック同士を重ね合わせて構成されている、電磁誘導器。
【請求項3】
請求項1において、
前記EI型コアは、ギャップ寸法が互いに異なる2種類のEI型ラミネートコアをそれぞれ1枚ごとに交互に重ね合せて構成されている、電磁誘導器。
【請求項4】
請求項1において、
前記EI型コアは、ギャップを有しないEI型ラミネートコアを両側に配置し、その間にギャップを有するEI型ラミネートコアの複数枚を重ね合せたものが配置されている、電磁誘導器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項において、
前記I型ラミネートコアは、縦方向の側縁部の一方の中央部分に第1のギャップの少なくとも一部分を形成する第1切欠部が設けられており、
前記EI型ラミネートコアが、このI型ラミネートコアを前記第1切欠部を有する側と有しない側とに入れ替えて前記E型ラミネートコアと接合させて構成される、前記I型ラミネートコアに第1のギャップを有するものと有しないものの2種類のEI型ラミネートコアである、電磁誘導器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つの電磁誘導器の製造方法であって、
前記I型ラミネートコアは、矩形のコア材料シートから縦方向に延びる2つの略矩形のI型ラミネートコアを打ち抜いて製作し、前記E型ラミネートコアは、前記コア材料シートを打ち抜いた後に横方向に沿った中心線で切断して2つ製作するものであり、
前記I型ラミネートコアは、縦方向の側縁部の一方の中央部分に第1のギャップの少なくとも一部分を形成する第1切欠部が形成され、前記E型ラミネートコアは、前記2つのI型ラミネートコアの打ち抜きでその窓部が、2つのI型ラミネートコア間の中央部の打ち抜きでその中脚部の先端に第2のギャップを形成する第2切欠部が形成され、
前記I型ラミネートコアの第1切欠部を有する一方の側縁部の側と前記E型ラミネートコアとを第1のギャップおよび第2のギャップを介して接合して、第1および第2のギャップを有するEI型ラミネートコアを製作し、前記I型ラミネートコアの第1切欠部を有しない他方の側縁部の側と前記E型ラミネートコアとを第2のギャップを介して接合して、第2のギャップを有するEI型ラミネートコアを製作する、
前記2種類の異なるギャップを有するEI型ラミネートコアの製作を含む、電磁誘導器の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1つの電磁誘導器の製造方法であって、
前記I型ラミネートコアは、矩形のコア材料シートから縦方向に延び、横方向に互いに離間した2つの略矩形のI型ラミネートコアを打ち抜いて製作し、前記E型ラミネートコアは、前記コア材料シートを打ち抜いた後に横方向に沿った中心線で切断して2つ製作するものであり、
前記I型ラミネートコアは、縦方向の側縁部の一方の中央部分に第1のギャップの少なくとも一部分を形成する第1切欠部が形成され、前記E型ラミネートコアは、前記2つのI型ラミネートコアの打ち抜きでその窓部が形成され、
前記I型ラミネートコアの第1切欠部を有する一方の側縁部の側と前記E型ラミネートコアとを第1のギャップを介して接合して、第1のギャップを有するEI型ラミネートコアを製作し、前記I型ラミネートコアの第1切欠部を有しない他方の側縁部の側と前記E型ラミネートコアとをギャップなしで接合して、ギャップを有しないEI型ラミネートコアを製作する、
前記ギャップを有するおよびギャップを有しない2種類のEI型ラミネートコアの製作を含む、電磁誘導器の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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