説明

電磁遮蔽特性を有するセラミック壁装複合材料

本発明は、以下の工程:a)基体を準備する工程、b)該基体の少なくとも一面に組成物を施与する工程であって、該組成物は無機化合物、および金属、粒状金属、金属合金、粒状金属合金、炭素を含有する伝導性化合物またはそれらの混合物から選択された導電性物質を含有する、c)工程b)において施与された組成物を乾燥する工程、d)工程b)において組成物を施与した該基体の少なくとも一面に少なくとも1つの被覆を施与する工程であって、その際、該被覆は、一般式(Z)Si(OR)のシラン、Ti、Si、Zr、Al、Y、Sn、Zn、Ceまたはそれらの混合物の酸化物から選択された酸化物粒子、および開始剤を含有し、およびe)工程d)において施与した被覆を乾燥する工程を含有する、基体を被覆するための方法、ならびに被覆された基体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、電磁遮蔽特性を有する被覆された基体の製造法、ならびに前記の方法に従って得られる基体に関する。
【0002】
比較的最近では、非常に多岐にわたる用途において電磁放射線を出す装置がますます開発されるようになってきている。これには例えば、近代的な通信装置、例えば携帯電話、または一方でWLAN接続のようなデータ伝送回線(Datenstrecken)が含まれる。近い将来にどんな他の用途が出てくるのか現在では予測されえていない。例えば、ケーブルなしで操作することができるスピーカーシステムも挙げられうる。
【0003】
とはいっても、電磁放射線を用いて作業する医療技術での使用も幅広く適用される。例えば、この場合、近代的医学からもはや無視することのできない核スピン断層撮影が挙げられうる。そのような装置の欠点は、それが非常に強い電磁放射線を放出すること、例えばペースメーカーを持つ人に害を及ぼすことがありえ、該ペースメーカーがもはや正常に機能しなくなることである。
【0004】
移動通信送信マスト(Mobilfunksendemasten)から放出される放射線も、そのようなマストの周辺地域で生活する人間の健康に悪い影響を及ぼすとされている。
【0005】
従来技術から、侵入する電磁放射線からどのように空間を遮蔽することができるのか、非常に多岐にわたる可能性が知られている。一例として、この場合、いわゆるファラデーケージが挙げられうる。通常、耐妨害性の遮蔽の場合、保護されるべき空間は銅箔で覆われる。これは壁においてと同様、天井および床においても行われなければならない。それというのも、そうでない限り確実な遮蔽が保証されえないからである。そのような空間の幾何学的にとりわけ要求の高い領域のために、電磁放射線からの遮蔽を提供する、高いコストで製造されるべきシールもしくは接着テープまたは金網(Roste)も提示される。
【0006】
従来技術の方法ならびに使用される材料の全てにおいて、使用される原材料はその加工の点でとても高い要求が課されている。銅箔で覆われた空間は、大いに費用を掛けてしか製造されえない。それ以外に、銅箔によるそのような覆いを取り除くにはとても費用が掛かるため、該銅箔が取り除かれるべき場合、とても費用の掛かる後処理が続けて行われる。
【0007】
例えば移動通信マストの放射線から保護するために家庭領域内で適用される場合、銅箔は使用可能ではない。該銅箔は、そのようなむしろ私的に利用される空間のためには処理するのに費用が掛かり過ぎる。さらに加えて、そのような遮蔽はとてもコストが掛かるので、すでにこの理由からだけでも普通のケースでは電磁放射線を遮蔽する被覆(Beschichtung)による覆いは欠如する。
【0008】
本発明の技術的な課題は、従来技術の欠点を克服するという点にあり、殊に、電磁遮蔽特性を有する被覆された基体ならびにその製造法が準備されるべきであり、その際、電磁放射線からの遮蔽が確実に保証され、該基体が安価なコストで製造されえ、かつその際、空間の覆いが簡素化される。さらに加えて、電磁遮蔽をもたらす物質の量の割合は減らされるべきである。
【0009】
本発明の技術的な課題は、以下の工程:
a)基体を準備する工程、
b)該基体の少なくとも一面に組成物を施与する工程であって、該組成物は無機化合物、その際、該無機化合物は、Sc、Y、Ti、Zr、Nb、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、B、Al、In、Tl、Si、Ge、Sn、Zn、Pb、Sb、Biの群から選択された少なくとも1つの金属および/または半金属またはそれらの混合物およびTe、Se、S、O、Sb、As、P、N、C、Gaの群から選択された少なくとも1つの元素またはそれらの混合物を含有する、および金属、粒状金属、金属合金、粒状金属合金、炭素を含有する伝導性化合物またはそれらの混合物から選択された導電性物質を含有する、
c)工程b)において施与された組成物を乾燥する工程、
d)工程b)において組成物を施与した該基体の少なくとも一面に少なくとも1つの被覆を施与する工程であって、その際、該被覆は、一般式(Z)Si(OR)[式中、Zは、R、ORまたはGly(Gly=3−グリシジルオキシプロピル)であり、かつRは、炭素原子1〜18個を有するアルキル基であり、かつ全てのRは、同じかまたは異なっていてよい]のシラン、Ti、Si、Zr、Al、Y、Sn、Zn、Ceまたはそれらの混合物の酸化物から選択された酸化物粒子、および開始剤(Initiator)を含有し、その際、該被覆中には、有利には3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび/またはN−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが含有されており、および
e)工程d)において施与した被覆を乾燥する工程
を含有する、基体を被覆するための方法によって解決される。
【0010】
本発明の方法は、特殊な基体に限定されていない。基体は、開気孔でも閉気孔であってもよい。工程a)における基体は、有利には可撓性および/または剛性(starr)の基体であってよい。有利な一実施態様において、工程a)における基体は、メリヤス生地、織物、編物、箔、表面形成物および/または薄板である。基体が紙基体(Papiersubstrat)であることも有利である。
【0011】
有利には、基体は工程a)において100℃より大きい温度で本質的に温度安定性である。有利な一実施態様において、工程a)における基体は、工程c)および/またはe)の乾燥条件下で本質的に温度安定性である。"温度安定性"という概念は、この意味において、施与された被覆の乾燥によって基体の構造が本質的に変化しないことと理解される。
【0012】
有利な一実施態様において、工程b)の無機化合物は、TiO、Al、SiO、ZrO、Y、BC、SiC、Fe、SiN、SiP、アルミノケイ酸塩、リン酸アルミニウム、ゼオライト、部分交換ゼオライトまたはそれらの混合物から選択される。有利なゼオライトは、例えばZSM−5、Na−ZSM−5またはFe−ZSM−5または、加水分解可能でない化合物を20パーセントまで含有することのできる非晶質の微孔性混合酸化物、例えば酸化バナジウム−酸化ケイ素−ガラスまたは酸化アルミニウム−酸化ケイ素−メチルケイ素セスキオキシド(Methylsiliciumsesquioxid)−ガラスである。
【0013】
有利には、工程b)の無機化合物は、1nm〜10000nmの、さらに有利には5nm〜5000nmの、有利には10nm〜2000nmの粒度を有し、他の有利な一実施態様においては、10nm〜1000nmの、有利には15nm〜700nmの、かつ最も有利には20nm〜500nmの粒度を有する。本発明による複合材料が少なくとも1つの無機化合物の少なくとも2つの粒度フラクション(Korngroessenfraktionen)を有する場合に有利でありうる。同様に、本発明による基体が少なくとも2つの無機化合物の少なくとも2つの粒度フラクションを有する場合も有利でありうる。粒度比は、1:1〜1:10000、有利には1:1〜1:100であってよい。工程b)の組成物中の粒度フラクションの量比は、有利には0.01:1〜1:0.01であってよい。有利には、工程b)の組成物は懸濁液であり、それは有利には水性懸濁液である。該懸濁液は、有利には、水、アルコール、酸またはそれらの混合物から選択された液体を有してよい。
【0014】
有利には、工程b)の組成物は、懸濁液および、さらに有利には水性懸濁液である。
【0015】
有利には、工程b)の無機化合物は、金属および/または半金属を含有する無機化合物の前駆体を加水分解することによって得られる。加水分解は、例えば水および/またはアルコールによって行ってよい。加水分解に際して、有利には酸または塩基である開始剤が存在していてよく、それは有利には水性酸または水性塩基である。
【0016】
有利には、無機化合物の前駆体は、金属硝酸塩、金属ハロゲン化物、金属炭酸塩、金属アルコラート、半金属ハロゲン化物、半金属アルコラートまたはそれらの混合物から選択される。有利な前駆体は、例えばチタンイソプロピラートのようなチタンアルコラート、例えばテトラエトキシシランのようなケイ素アルコラート、ジルコニウムアルコラートである。有利な金属硝酸塩は、例えば硝酸ジルコニウムである。有利な一実施態様において、組成物中には、加水分解可能な前駆体に関して、前駆体の加水分解可能な基に対して少なくとも半分のモル比の水、水蒸気または氷が含有されている。
【0017】
有利な一実施態様において、工程b)の組成物はゾルである。有利な一実施態様において、市販のゾル、例えば硝酸チタンゾル、硝酸ジルコニウムゾルまたはシリカゾルを使用することが可能である。
【0018】
さらに有利な一実施態様において、伝導性物質は、銅、アルミニウム、鉄、銀、スズ、亜鉛、炭素、マグネシウム、カルシウム、コバルト、マンガン、金、チタン、クロム、モリブデン、タングステン、ケイ素またはそれらの合金から選択される。
【0019】
有利には、伝導性物質は、粉末、箔片(Flitter)、ストリップ(Streifen)またはそれらの混合物から選択される。さらに有利な一実施態様において、伝導性物質は0.05μm〜10μmの質量平均粒度を有する。有利には、粒度は0.1μm〜5μm、0.15μm〜2μm、0.2μm〜1μmおよび最も有利には0.25μm〜0.8μmの範囲内にある。
【0020】
本発明の方法が実施される場合、被覆された基体は10−4S/cmを上回る伝導性を有する。有利には、被覆された基体の伝導性は10−3S/cmを上回り、かつ最も有利には5×10−3S/cmを上回る。
【0021】
有利には、工程b)の組成物中には開始剤が含まれている。該開始剤は、有利には酸または塩基であってよく、それらは有利には水性酸または水性塩基である。さらに有利な一実施態様において、工程b)の組成物はゾルである。
【0022】
有利には、工程b)の組成物は、まず無機化合物の分散液を製造することによって製造される。それに続けて、次いで導電性物質が分散導入される。
【0023】
有利には、工程c)における組成物の乾燥は、50℃〜1000℃の温度に加熱することによって実施される。有利な一実施態様において、1分〜2時間のあいだ50℃〜100℃の温度で乾燥される。
【0024】
他の有利な一実施態様においては、工程d)において1秒〜10分のあいだ100℃〜800℃の温度で乾燥される。
【0025】
工程c)の乾燥は、加熱された空気、熱気、赤外線、マイクロ波線または電気的に発生された熱によって行われうる。
【0026】
有利な一実施態様において、一般式(Z)Si(OR)中のRは、炭素原子1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17および/または18個を有するアルキル基である。
【0027】
有利な一実施態様において、工程d)の被覆は、一般式(ZSi(OR)4−z[式中、Rは炭素原子1〜6個を有するアルキル基であり、かつZはHであり、その際、aおよびbは整数であり、全てのRは同じかまたは異なっていてよく、a+b=1+2nであり、z=1または2であり、かつnは1〜16であり、またはZがGlyである場合、Zはz=1でAm(Am=3−アミノプロピル)である]の第二のシランを含有する。有利には、nは1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15および/または16である。有利な一実施態様において、一般式(Z)Si(OR)中のRは、炭素原子1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15および/または16個を有するアルキル基である。
【0028】
さらに有利な一実施態様において、工程d)の被覆は、シランとして3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランおよび/または3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランおよび/または第二のシランとして3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび/またはN−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)を含有する。有利には、工程d)の被覆は、シランとしてテトラエトキシシランおよび第二のシランとして式(HSi(OR)4−z[式中、aおよびbは整数であり、a+b=1+2nであり、zは1または2であり、nは1〜16であり、かつ全てのRは同じかまたは異なっていてよく、その際、有利には、全てのRは同じであり、かつ炭素原子1〜6個を有する]のシランを含有する。
【0029】
さらに有利には、工程d)の組成物中には、シランとしてテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランおよび/またはヘキサデシルトリメトキシシランおよび/または第二のシランとして3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランが含有されている。
【0030】
有利な一実施態様において、工程d)の被覆中には、開始剤として酸または塩基が含有されており、それらは有利には水性酸または塩基である。
【0031】
有利には、酸化物粒子の表面は、工程d)の被覆中に疎水性で含有されている。工程d)の被覆の酸化物粒子の表面には、有利にはケイ素原子に結合した有機基X1+2n[式中、nは1〜20であり、かつXは水素および/またはフッ素である]が存在している。該有機基は、同じかまたは異なっていてよい。有利には、nは1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19および/または20である。有利には、ケイ素原子に結合した基はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基および/またはペンチル基である。とりわけ有利な一実施態様において、トリメチルシリル基は酸化物粒子の表面に結合されている。有機基は、有利には分断されえ、かつさらに有利には加水分解されうる。
【0032】
工程d)の被覆の酸化物粒子は、Ti、Si、Zr、Al、Y、Sn、Zn、Ceまたはそれらの混合物の酸化物から選択されていてよい。
【0033】
有利には、工程d)の被覆の酸化物粒子は、工程d)の反応条件下において酸化物粒子の表面で部分加水分解される。この際、工程d)の被覆の有機ケイ素化合物と反応する反応中心が有利には形成される。これらの有機ケイ素化合物は、工程e)の乾燥中に、例えば−O−結合によって酸化物粒子に共有結合されうる。これによって酸化物粒子は、硬化する被覆と共有架橋される。従って、硬化する被覆の層厚は意想外にもさらに上昇されうる。
【0034】
酸化物粒子は、10〜1000nm、有利には20〜500nm、さらに有利には30〜250nmの平均粒度を有してよい。被覆が透明および/または無色であるべき場合、有利には10〜250nmの平均粒度を有する酸化物粒子のみが使用される。平均粒度は一次粒子の粒度に関するものであるか、または酸化物がアグロメレートとして存在する場合、アグロメレートの大きさに関するものである。粒度は、光散乱法によって、例えば型式HORIBA LB 550(R)(Retsch Technology社)の装置によって測定される。
【0035】
有利には、工程d)の組成物中にはポリマーが含有されている。工程d)の被覆中で、有利にはポリマーは、少なくとも3000g/モルの平均的な質量平均分子量を有する。有利には、平均的な質量平均分子量は、少なくとも5000g/モル、さらに有利には少なくとも6000g/モルおよび最も有利には少なくとも10000g/モルである。
【0036】
有利には、工程d)の被覆のポリマーは、少なくとも50の平均重合度を有する。さらに有利な一実施態様において、平均重合度は少なくとも80、さらに有利には少なくとも95および最も有利には少なくとも150である。有利には、工程d)の被覆のポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、エポキシド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド−縮合物、ウレタン−ポリオール−樹脂またはそれらの混合物から選択される。
【0037】
有利には、工程d)において基体上に、工程e)における乾燥後に基体上で0.05〜10μmの層厚を有する乾燥された被覆の層が存在する程度の量で被覆が施与される。有利には、乾燥された基体上には0.1μm〜9μmの、さらに有利には0.2μm〜8μmのおよび最も有利には0.3μm〜7μmの層厚を有する工程d)の被覆が存在する。
【0038】
工程e)における組成物の乾燥は、当業者に公知の各々の方法によって実施されうる。殊に、乾燥は炉の中で実施されうる。さらに有利なのは、熱気炉(Heissluftofen)、循環空気炉、マイクロ波炉を用いた乾燥または赤外線による乾燥である。殊に有利には、乾燥は工程c)の方法および乾燥時間により実施されうる。有利な一実施態様において、工程e)の被覆は50℃〜1000℃の温度へ加熱することによって乾燥される。
【0039】
さらに有利な一実施態様において、工程b)および/またはd)における被覆の施与前に、少なくとも1つのさらなる被覆を施与してよい。このさらなる被覆は、例えば印刷(Druck)であってよい。そのような印刷は、当業者によく知られた各々の印刷法、殊にオフセット印刷法、フレキソ印刷法、タンポン印刷またはインクジェット印刷法により施与されうる。
【0040】
さらなる一実施態様において、工程d)における組成物の施与後に、少なくとも1つのさらなる被覆を施与してよい。このさらなる被覆は制限されておらず、かつ当業者に公知のどの被覆であってもよい。殊に、この被覆は印刷であってもよい。この場合においても、印刷は、当業者に知られた各々の方法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、タンポン印刷およびインクジェット印刷法により施与されうる。
【0041】
本発明の被覆された基体は、意想外にも高い可撓性を示す。基体が可撓性である場合、該基体は、施与された被覆が破壊または引き裂かれることなく曲げることができる。殊にそれゆえ、被覆が不利に影響を及ぼされることなく、下地の表面構造に適応する可撓性のフリース上に被覆が施与されうる。被覆として、すでに記載したように、非常に多岐にわたる保護層、殊に攻撃的な化学物質に対する保護層または汚れをしりぞける被覆が施与されうる。
【0042】
それ以外に、本発明の被覆された基体が電磁放射線に対して十分な遮蔽を有することは意想外である。被覆された基体は、電磁放射線から空間を遮蔽するために、金属箔、とりわけ銅箔またはアルミニウム箔の代わりとして使用されうる。被覆された基体を用いて、銅箔またはアルミニウム箔を用いた時に匹敵する遮蔽効果がもたらされることは、当業者にとって予期されていなかった。
【0043】
本発明のさらなる一対象は、前記の方法を用いて得られる、被覆された基体である。被覆された基体は、有利には10−4S/cmを上回る伝導性を有する。有利には、被覆された基体の伝導性は10−3S/cmを上回り、かつ最も有利には5×10−3S/cmを上回る。
【0044】
有利には、被覆された基体は、空間を覆うための壁紙(Tapete)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体を被覆するための方法であって、以下の工程:
a)基体を準備する工程、
b)該基体の少なくとも一面に組成物を施与する工程であって、該組成物は無機化合物、その際、該無機化合物は、Sc、Y、Ti、Zr、Nb、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、B、Al、In、Tl、Si、Ge、Sn、Zn、Pb、Sb、Biの群から選択された少なくとも1つの金属および/または半金属またはそれらの混合物およびTe、Se、S、O、Sb、As、P、N、C、Gaの群から選択された少なくとも1つの元素またはそれらの混合物を含有する、および金属、粒状金属、金属合金、粒状金属合金、炭素を含有する伝導性化合物またはそれらの混合物から選択された導電性物質を含有する、
c)工程b)において施与された組成物を乾燥する工程、
d)工程b)において組成物を施与した該基体の少なくとも一面に少なくとも1つの被覆を施与する工程であって、その際、該被覆は、一般式(Z)Si(OR)[式中、Zは、R、ORまたはGly(Gly=3−グリシジルオキシプロピル)であり、かつRは、炭素原子1〜18個を有するアルキル基であり、かつ全てのRは、同じかまたは異なっていてよい]のシラン、Ti、Si、Zr、Al、Y、Sn、Zn、Ceまたはそれらの混合物の酸化物から選択された酸化物粒子、および開始剤を含有し、その際、該被覆中には、有利には3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび/またはN−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが含有されている、および
e)工程d)において施与した被覆を乾燥する工程
を含有する、基体を被覆するための方法。
【請求項2】
工程a)における基体が、可撓性および/または剛性の基体であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程a)における基体が、メリヤス生地、織物、編物、箔および/または表面形成物であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程a)における基体が、100℃より大きい温度で本質的に温度安定性であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
工程a)における基体が、工程c)および/またはe)の乾燥条件下で本質的に温度安定性であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
工程b)の無機化合物を、TiO、Al、SiO、ZrO、Y、BC、SiC、Fe、SiN、SiP、アルミノケイ酸塩、リン酸アルミニウム、ゼオライト、部分交換ゼオライトまたはそれらの混合から選択することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
工程b)の無機化合物が1nm〜10000nmの粒度を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
工程b)の組成物が懸濁液であり、それは有利には水性懸濁液であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
工程b)の無機化合物を、金属および/または半金属を含有する無機化合物の前駆体を加水分解することによって得ることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
無機化合物の前駆体を、金属硝酸塩、金属ハロゲン化物、金属炭酸塩、金属アルコラート、半金属ハロゲン化物、半金属アルコラートまたはそれらの混合物から選択することを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
伝導性物質を、銅、アルミニウム、鉄、銀、スズ、亜鉛、炭素、マグネシウム、カルシウム、コバルト、マンガン、金、チタン、クロム、モリブデン、タングステン、ケイ素またはそれらの合金から選択することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
伝導性物質を、粉末、箔片、ストリップまたはそれらの混合物から選択することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
伝導性物質が0.05μm〜10μmの質量平均粒度を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
被覆された基体が10−4S/cmを上回る伝導性を有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
工程b)の組成物が開始剤を含有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
開始剤が酸または塩基であり、それは有利には水性酸または水性塩基であることを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
工程b)の組成物がゾルであることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
工程c)における組成物の乾燥を、50℃〜1000℃の温度に加熱することによって実施することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
工程d)の被覆が、一般式(ZSi(OR)4−z[式中、Rは炭素原子1〜8個を有するアルキル基であり、かつZはHであり、その際、aおよびbは整数であり、全てのRは同じかまたは異なっていてよく、a+b=1+2nであり、z=1または2であり、かつnは1〜16であり、またはZがGlyである場合、Zはz=1でAm(Am=3−アミノプロピル)である]の第二のシランを含有することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
工程d)の被覆が、シランとして3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランおよび/または3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランおよび/または第二のシランとして3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび/またはN−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランを含有することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
工程d)の被覆が、シランとしてテトラエトキシシランおよび第二のシランとして式(HSi(OR)4−z[式中、aおよびbは整数であり、a+b=1+2nであり、zは1または2であり、nは1〜16であり、かつ全てのRは同じかまたは異なっていてよく、その際、有利には、全てのRは同じであり、かつ炭素原子1〜6個を有する]のシランを含有することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
工程d)の被覆が、シランとしてテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランおよび/またはヘキサデシルトリメトキシシランおよび/または第二のシランとして3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを含有することを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
工程d)の被覆が開始剤として酸または塩基を含有し、それは有利には水性酸または水性塩基であることを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
酸化物粒子の表面が、工程d)の被覆中に疎水性で含有されていることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
工程d)の被覆の酸化物粒子の表面に、ケイ素原子に結合した有機基X1+2n[式中、nは1〜20であり、かつXは水素および/またはフッ素である]が存在していることを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
ポリマーが工程d)の被覆中に含有されており、該ポリマーは、有利には少なくとも3000g/モルの平均的な質量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
工程d)の被覆のポリマーが少なくとも50の平均重合度を有することを特徴とする、請求項1から26までのいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
工程d)の被覆のポリマーを、ポリアミド、ポリエステル、エポキシド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド−縮合物、ウレタン−ポリオール−樹脂またはそれらの混合物から選択することを特徴とする、請求項1から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
工程d)において基体上に、工程e)における乾燥後、基体上で0.05〜10μmの層厚を有する乾燥された被覆の層が存在する程度の量で被覆を施与することを特徴とする、請求項1から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
工程b)および/またはd)における被覆の施与前に、少なくとも1つのさらなる被覆を施与することを特徴とする、請求項1から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
工程d)における被覆の施与後に、少なくとも1つのさらなる被覆を施与することを特徴とする、請求項1から30までのいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
工程e)における被覆の乾燥を、50℃〜1000℃の温度に加熱することによって実施することを特徴とする、請求項1から31までのいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
請求項1から32までのいずれか1項記載によって得られる、被覆された基体。
【請求項34】
基体が壁紙であることを特徴とする、請求項33記載の基体。
【請求項35】
壁紙としての、請求項33記載の被覆された基体の使用。

【公表番号】特表2009−523197(P2009−523197A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549803(P2008−549803)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069415
【国際公開番号】WO2007/087925
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】