説明

電線カバー及びコネクタ

【課題】側壁が弾性変形し易くなることを抑制する。
【解決手段】コネクタハウジング11から引き出された電線Wを屈曲させて、その引き出し方向とは異なる方向へ導出させるようにした電線カバー50であって、電線Wを覆う背面壁51A及び上面壁51Bと、背面壁51A及び上面壁51Bと一体に設けられた一対の側壁53と、を備え、両側壁53は、背面壁51A及び上面壁51Bの左右に位置する両側縁を基端として先端が弾性変形可能に設けられ、両側壁53には、コネクタハウジング11に設けられた係止突起17に係止可能な係止孔55と、係止孔55における下方に位置する内壁と面一をなすリブ54と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線カバー及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コネクタハウジングから引き出された電線を屈曲させて配策する電線カバーとして、特許文献1に記載のものが知られている。この電線カバーは、コネクタハウジングの後部に取り付けられ、コネクタハウジングの後端から引き出された電線を屈曲させて、下方に導出させるようになっている。
この電線カバーは、コネクタハウジングから引き出された電線を覆う覆い部と、覆い部と一体に設けられた一対の側壁と、を備えて構成されている。この両側壁は、覆い部の側縁を基端として先端が弾性変形可能に設けられている。また、両側壁には、コネクタハウジングに設けられた受け溝に嵌合可能なリブと、リブの下方で且つリブよりも先端側に配された係止孔と、がそれぞれ設けられている。一対のリブは、電線カバーをコネクタハウジングに組み付ける際に、電線カバーをコネクタハウジングに対して正規の位置に案内すると共に、電線カバーがコネクタハウジングに組み付けられた状態において、受け溝の内壁に当接することで、電線カバーがガタつくことを規制している。また、コネクタハウジングにおける両側壁との対向面には、両側壁の両係止孔に係止可能な一対の係止突起が設けられており、両係止突起が両係止孔に係止することで、電線カバーがコネクタハウジングから脱落しないように規制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−347082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電線カバーにおける側壁の先端部は、弾性変形可能な上に、係止孔が設けられて剛性が低下しているため、より弾性変形し易くなっている。そのため、電線カバーがコネクタハウジングに組み付けられた状態において、電線カバーから導出された電線が強く引っ張られるなどすると、側壁の先端部が容易に弾性変形して、係止突起と係止孔との係止状態が解除され、電線カバーが意図せずに外れてしまう虞がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、側壁の先端部の剛性を確保して側壁が弾性変形し易くなることを抑制し、もって電線カバーの脱落を規制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、コネクタハウジングから引き出された電線を屈曲させてその引き出し方向とは異なる方向へ導出させるようにした電線カバーであって、前記電線を覆う覆い部と、前記覆い部と一体に設けられ、互いに対向する一対の側壁と、を備え、前記側壁は、前記覆い部の側縁を基端として先端が弾性変形可能に設けられ、前記側壁には、前記コネクタハウジングにおける前記側壁との対向面に設けられた係止突起が嵌り込んで係止可能な係止孔が設けられ、前記側壁における前記係止孔よりも先端側が肉厚に形成されることで前記側壁を補強する補強部が設けられているところに特徴を有する。
【0007】
また、本発明は、コネクタハウジングから引き出された電線を屈曲させてその引き出し方向とは異なる方向へ導出させるようにしたコネクタであって、上記の電線カバーと、前記電線の端末に接続された端子金具を収容する前記コネクタハウジングと、を備え、前記コネクタハウジングにおける前記係止突起と前記電線カバーの前記係止孔とを係止させることで、前記電線カバーが前記コネクタハウジングに保持されているところに特徴を有する。
このような構成の電線カバーによると、側壁における係止孔よりも先端側に補強部を設けて剛性を高めるようにしているので、係止孔の周辺部の剛性低下に伴って側壁が弾性変形し易くなることを抑制することができる。これにより、電線カバーから導出された電線が引っ張られることで、電線カバーがコネクタハウジングから意図せずに外れてしまうことを抑制することができる。また、側壁全体を肉厚にすると側壁が弾性変形しにくくなり、コネクタハウジングに電線カバーを組み付ける作業性が悪くなる虞があるが、本発明によると、側壁の一部に補強部を設けているので、側壁全体を肉厚にした場合に比べて、側壁が弾性変形しにくくなることがなく、好適である。
【0008】
本発明の実施の態様として、以下の構成が望ましい。
前記補強部は、前記コネクタハウジングにおける前記側壁との対向面に設けられた受け溝に嵌合されるリブである構成としてもよい。
このような構成によると、リブを受け溝に嵌合させることによって電線カバーをコネクタハウジングに対して正規の位置に案内することができると共に、電線カバーがガタつくことを規制することができる。この上、リブによって、補強部を構成することができる。すなわち、リブを補強部として兼用させることにより、側壁に補強部を別途設けることなく、側壁を補強することができる。
【0009】
前記リブにおける前記係止孔に臨んだ外壁と、前記係止孔を構成する内壁とが、面一をなして連続する構成としてもよい。
このような構成によると、リブと係止孔とを連続して配置できるため、係止孔の周辺部の剛性低下に伴って弾性変形し易くなっている側壁をより好適に補強することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、側壁の先端部の剛性を確保して側壁が弾性変形し易くなることを抑制し、もって電線カバーの脱落を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る電線カバーの斜視図
【図2】同正面図
【図3】同底面図
【図4】実施形態に係る電線カバーをコネクタハウジングに装着する前の状態を示す側面図
【図5】実施形態に係る電線カバーをコネクタハウジングに組み付ける前の状態を側方から見た断面図
【図6】実施形態に係る電線カバーをコネクタハウジングに組み付ける前の状態を上方から見た断面図
【図7】図4の状態から電線カバーをコネクタハウジングに組み付けた状態を示す側面図
【図8】図5の状態から電線カバーをコネクタハウジングに組み付けた状態であって受け溝とリブとが嵌合した状態を側方から見た断面図
【図9】実施形態に係る電線カバーをコネクタハウジングに組み付けた状態を側方から見た断面図
【図10】図6の状態から電線カバーをコネクタハウジングに組み付けた状態を上方から見た断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
本発明の一実施形態について図1乃至図10を参照しながら説明する。
本実施形態のコネクタ10は、図9に示すように、合成樹脂製のコネクタハウジング11と、合成樹脂製のリテーナ40と、電線Wの端末に接続された端子金具70と、電線カバー50とを備えて構成されている。電線カバー50は、図7に示すように、コネクタハウジング11から引き出された電線Wをその引き出された方向とは異なる方向に屈曲させて案内している。尚、以下の説明において、上下方向とは図2における上下方向を基準とし、左右方向とは図2における左右方向を基準とする。また、前後方向とは図4における左右方向を基準とし、コネクタハウジング11の嵌合面側(図1の左側)を前側とする。
【0013】
コネクタハウジング11は、図4及び図6に示すように、全体としては箱型状をなし、コネクタハウジング11における上面は左右方向に長い略矩形状をなしている。
【0014】
コネクタハウジング11の内部には、図9に示すように、前後方向に開口するキャビティ15が設けられ、このキャビティ15は上下二段で幅方向に複数形成されている。各キャビティ15の内部には、後方から端子金具70が挿入され、キャビティ15内に設けられた可撓性ランス12により抜止めされている。そのため、コネクタハウジング11の後面からは、図9に示すように、後方に向かって電線Wが引き出された状態となっている。また、キャビティ15の前端開口は端子挿入孔15Aとされ、図示しない相手方端子が挿入されて端子金具70と導通可能に接続されるようになっている。
【0015】
コネクタハウジング11の上面には、図示しない相手方コネクタと係止可能なロックアーム13が設けられている。このロックアーム13は、図9に示すように、コネクタハウジング11の前端の位置から後方へ片持ち状に延出され、上下方向に弾性変形可能に形成されている。ロックアーム13の後端には、操作部13Aが形成されている。この操作部13Aは、押し下げられることで、ロックアーム13を下方に弾性変形させ、相手方コネクタとロックアーム13との係止状態を解除するようになっている。
【0016】
また、コネクタハウジング11の上面におけるロックアーム13の左右両側には、図6に示すように、ロックアーム13を保護するための左右一対の保護壁14が、コネクタハウジング11の上面に立設されている。保護壁14は、図4及び図6に示すように、ロックアーム13の側方をほぼ覆う大きさに形成されており、保護壁14の後端面14Aは、コネクタハウジング11の後端面11Aよりやや前方に位置している。
【0017】
コネクタハウジング11の左右両外側面には、コネクタハウジング11の上下方向中央部に受け溝16が形成されている。この受け溝16は、図5に示すように、前後方向に延出し、その後端部がコネクタハウジング11の後端面11Aにて後方に開口し且つコネクタハウジング11の外側面にて側方に開口した形態とされている。
また、コネクタハウジング11の左右両外側面において受け溝16の上方に隣接する位置には、係止突起17が突設されている。
係止突起17は、その後縁から前方に向かってコネクタハウジング11の側面から離れる方向に傾斜した傾斜面17Aを有し、その傾斜面17Aの前縁からコネクタハウジング11の側面と平行にやや前方に向かった後、その前縁からコネクタハウジング11の側面に向けて垂直に切り立った形態をなしている。
【0018】
コネクタハウジング11の下部には、図9に示すように、リテーナ40を収容可能なリテーナ収容部18が形成されている。このリテーナ収容部18は、コネクタハウジング11の全てのキャビティ15に連通して形成されている。リテーナ40をリテーナ収容部18に対して仮係止位置に組み付けた後、端子金具70を後方からキャビティ15に挿入し、この端子金具70がキャビティ15において可撓性ランス12によって係止された後に、リテーナ40を本係止位置まで押し込むことで、端子金具70を可撓性ランス12とリテーナ40とによって二重に係止し、端子金具70をキャビティ15から抜止めされた状態に保持する。
【0019】
一方、電線カバー50は、図9に示すように、コネクタハウジング11の後端面11Aから後方に引き出された電線Wの上方及び後方を覆う覆い部51と、この覆い部51の左右方向両側縁と一体に設けられ電線Wの両側方を覆う一対の側壁53とを備えて構成されている。
覆い部51は、図1及び図9に示すように、前後方向に切断した断面形状がL字状をなし、後方を覆う背面壁51Aと、上方を覆う上面壁51Bとから構成されている。
【0020】
背面壁51Aは板状をなし、図2及び図9に示すように、左右方向に長く、上端角部が丸みを帯びた略矩形状に形成されている。この背面壁51Aは、電線カバー50がコネクタハウジング11に組み付けられた時には、コネクタハウジング11の後端面11Aから後方に引き出された電線Wを下方に屈曲させ、下方に向かって電線Wを導出させる役割を果たしている。
【0021】
上面壁51Bは板状をなし、図1及び図9に示すように、その上面が略矩形状であって、背面壁51Aの上端から前方に延出されて形成されている。上面壁51Bの前縁における左右方向の中央部分には、僅かに後方に向かって凹んだ凹部52が形成されている。凹部52は、図8及び図10に示すように、電線カバー50がコネクタハウジング11に組み付けられた時に、コネクタハウジング11における保護壁14の後端面14Aに当接することで、電線カバー50をコネクタハウジング11に対して前後方向に位置決めしている。
【0022】
両側壁53は、図1及び図2に示すように、互いに対向した板状をなし、上面壁51B及び背面壁51Aと一体に連なるように形成されている。この両側壁53の間には、図10に示すように、コネクタハウジング11の後部が収容可能とされ、電線カバー50をコネクタハウジング11に組み付けた状態においては、上面壁51B及び背面壁51Aと共に、コネクタハウジング11の後方部を覆うように構成されている。
【0023】
また、両側壁53は、その上下方向略中央部の位置を境に上方部分が上方側壁57とされ、下方部分が下方側壁58とされている。下方側壁58の前後方向の長さ寸法は、上方側壁57における前後方向の長さ寸法の約半分に設定されている。これにより、電線カバー50が装着されたコネクタハウジング11をコネクタ取付部Cに組み付けた際に、両側壁53の両下方側壁58がコネクタ取付部Cにおける後端部C1と干渉しないようになっている。
【0024】
また、両側壁53の対向面における前後方向略中央部よりも後方部分には、図6に示すように、上面壁51Bから上下方向に延びる突当部56が上方側壁57及び下方側壁58に亘って形成されている。この突当部56は、図1及び図2に示すように、側壁53の他の部分(突当部56以外の部分)に比べて側壁53の板厚を肉厚にすることで形成されている。突当部56は、図8に示すように、コネクタハウジング11の高さ寸法に対応して、側壁53の上下方向略中央部よりもやや下方まで延びて形成されており、電線カバー50がコネクタハウジング11に組み付けられた際には、突当部56の前端面56Aがコネクタハウジング11の後端面11Aと当接することで、コネクタハウジング11に対して電線カバー50を前後方向に位置決めしている。
【0025】
両上方側壁57は、上面壁51B及び背面壁51Aの左右方向両側縁を基端として、上面壁51B及び背面壁51Aの両側縁から最も離れた先端部分(自由端部分)が弾性変形可能に設けられている。詳しくは、両上方側壁57の前端下部同士が、互いに接近し又は離れる方向(左右方向)に弾性的に撓み変形するように設けられている。また、両上方側壁57の略中央部には、矩形状の係止孔55が左右方向に貫通して形成されている。この係止孔55はコネクタハウジング11の係止突起17に対応して設けられており、電線カバー50がコネクタハウジング11に組み付けられた際には、係止孔55に係止突起17が嵌り込んで係止される。
【0026】
また、両上方側壁57の前端縁における内側に位置する角部はテーパー状に加工され、受け面57Aとされている。この受け面57Aは、電線カバー50をコネクタハウジング11に組み付ける時に、係止突起17の傾斜面17Aと当接するように設定されている。これにより、電線カバー50をコネクタハウジング11に対して、後方から組み付ける際には、上方側壁57の受け面57Aがコネクタハウジング11の係止突起17における傾斜面17Aと摺接して、上方側壁57が係止突起17に乗り上げることで、両上方側壁57が開き方向(左右方向)に押し拡げられる。電線カバー50がコネクタハウジング11に対して正規の組み付け位置に至ると、両上方側壁57の前端縁が両係止突起17を乗り越えて、両上方側壁57が弾性復帰すると共に、両係止孔55に両係止突起17が嵌合する。これにより、両係止孔55の内壁と両係止突起17とが係止することで、電線カバー50がコネクタハウジング11に保持されるようになっている。
【0027】
さて、両上方側壁57の下縁部における内面には、リブ(本発明の「補強部」に相当する)54が上方側壁57と一体にそれぞれ設けられている。このリブ54は、図5及び図6に示すように、コネクタハウジング11の受け溝16に対応して、突当部56の前端面から前方に向かって直線的に延びて上方側壁57の前端縁から僅かに突出した細長い形態に形成されている。このリブ54は、電線カバー50がコネクタハウジング11の後方に組み付けられる際に、コネクタハウジング11の受け溝16に後方から収容され、電線カバー50を正規の組み付け位置に案内するようになっている。
また、リブ54は、電線カバー50から導出した電線Wが引っ張られた際に、受け溝16の上下に位置する内壁と、リブ54の上下に位置する外壁とが面接触状態に当接することで、図8に示すように、電線カバー50のガタつく方向Y(例えば、係止孔55に嵌合した係止突起17を中心として回動する方向)に電線カバー50がガタつくことを規制している。また、リブ54は、係止孔55の下方に隣接して設けられている。係止孔55の内壁のうち下方に位置する内壁とリブ54の上面壁とは面一をなして連続している。また、リブ54の左右方向の幅寸法は、図2及び図3に示すように、上方側壁57の板圧寸法の約二倍に設定されている。これにより、リブ54は、上方側壁57における前端下部(上方側壁57の先端部分)を補強して上方側壁57の前端下部の剛性を高め、上方側壁57が弾性変形し易くなることを抑制している。これにより、係止突起17と係止孔55との嵌合が意図せずに外れることで電線カバー50がコネクタハウジング11から脱落することを有効に規制している。
【0028】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用効果を説明する。
コネクタハウジング11の後端面11Aから後方に引き出された電線Wを下方に屈曲させ、コネクタハウジング11の受け溝16の後方から電線カバー50のリブ54を嵌合させて、電線カバー50を正規の組み付け位置まで組み付ける。このとき、両上方側壁57は、両上方側壁57の両受け面57Aがコネクタハウジング11の両係止突起17における両傾斜面17Aに乗り上げることで、左右方向に拡開変形させられる。
【0029】
更に電線カバー50を前方に向かってコネクタハウジング11に組み付けると、電線カバー50が正規の組み付け位置に至り、両上方側壁57の前端縁が両係止突起17を乗り越え、両上方側壁57が弾性復帰すると共に、両係止孔55に両係止突起17が収容されることで、電線カバー50がコネクタハウジング11に保持される。このように、電線カバー50は、コネクタハウジング11の後部に取り付けられ、コネクタハウジング11の後端面11Aから後方に引き出された電線Wを下方に屈曲させて、電線Wが引き出された方向とは異なる方向に電線Wを導出させる。
【0030】
この後、電線カバー50が組み付けられたコネクタ10は、図示しない相手方コネクタに嵌合されるが、搬送時や相手方コネクタとの嵌合後に電線カバー50から導出された電線Wが後方に引っ張られたりする場合がある。このとき、本実施形態の電線カバー50においては、両上方側壁57の下端部がリブ54によって補強されているので、両上方側壁57が容易に拡開変形することを抑制することができる。これにより、両上方側壁57の下端部が補強されていない場合に比べて、電線カバー50が意図せずに外れてしまうことを抑制することができる。
更に、リブ54の上面壁が係止孔55の下方に位置する内壁と面一となるように、係止孔55の直ぐ下にリブ54を隣接して設けたので、係止孔55を設けたことに伴う剛性低下を補うべく、上方側壁57が最も弾性変形しやすい部分をより好適に補強することができる。
【0031】
また、本実施形態のリブ54は、電線カバー50をコネクタハウジング11に組み付ける際に、正規の組み付け位置に案内する役割を果たすと共に、受け溝16内において電線カバー50がガタつくことを規制する上、さらに上方側壁57の下端部を補強することができる。すなわち、上方側壁57を補強するための補強部材をリブ54とは別に設ける必要はない。
【0032】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、補強部を両上方側壁57の内面(対向面)にリブ54を設けた構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、上方側壁57の外面に肉厚の補強部を設けてもよい。
(2)上記実施形態では、電線カバー50を案内すると共に、ガタつきを防止するためのリブ54を補強部として兼用させているが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、上方側壁57にリブ54とは別に肉厚の補強部を設けてもよい。
【0033】
(3)上記実施形態では、リブ54の上面壁が係止孔55における下方に位置する内壁と面一をなすようにリブ54と係止孔55とを隣接する配置で構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、リブ54が係止孔55から離れた位置に設けられていてもよい。
(4)上記実施形態では、補強部を突当部56の前端面から延びたリブ54として構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、上方側壁57の先端部分(上方側壁57における前端下部の一部)にのみリブを設けてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10:コネクタ
16:受け溝
17:係止突起
50:電線カバー
51:覆い部
53:側壁
54:リブ(補強部)
55:係止孔
W :電線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングから引き出された電線を屈曲させてその引き出し方向とは異なる方向へ導出させるようにした電線カバーであって、
前記電線を覆う覆い部と、
前記覆い部と一体に設けられ、互いに対向する一対の側壁と、を備え、
前記側壁は、前記覆い部の側縁を基端として先端が弾性変形可能に設けられ、
前記側壁には、前記コネクタハウジングにおける前記側壁との対向面に設けられた係止突起が嵌り込んで係止可能な係止孔が設けられ、
前記側壁における前記係止孔よりも先端側が肉厚に形成されることで前記側壁を補強する補強部が設けられていることを特徴とする電線カバー。
【請求項2】
前記補強部は、前記コネクタハウジングにおける前記側壁との対向面に設けられた受け溝に嵌合されるリブであることを特徴とする請求項1記載の電線カバー。
【請求項3】
前記リブにおける前記係止孔に臨んだ外壁と、前記係止孔を構成する内壁とが、面一をなして連続することを特徴とする請求項2記載の電線カバー。
【請求項4】
コネクタハウジングから引き出された電線を屈曲させてその引き出し方向とは異なる方向へ導出させるようにしたコネクタであって、
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の前記電線カバーと、前記電線の端末に接続された端子金具を収容する前記コネクタハウジングと、を備え、
前記コネクタハウジングにおける前記係止突起と前記電線カバーの前記係止孔とを係止させることで、前記電線カバーが前記コネクタハウジングに保持されていることを特徴とするコネクタ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate