電線皮剥き装置及び電線皮剥き方法
【課題】長尺な被覆部の除去を可能とすることができる電線皮剥き装置を提供する。
【解決手段】電線皮剥き装置1は電線2を当該電線2の長手方向に沿って移動させる移動ユニット11と電線2の被覆部5の周方向に切込み6を形成する切込み機構14と切込み機構14が形成した切込み6内又は前記切込み6よりも前記電線2の移動方向の前方に先端が侵入して被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから除去する剥ぎ取り刃45とを備えている。
【解決手段】電線皮剥き装置1は電線2を当該電線2の長手方向に沿って移動させる移動ユニット11と電線2の被覆部5の周方向に切込み6を形成する切込み機構14と切込み機構14が形成した切込み6内又は前記切込み6よりも前記電線2の移動方向の前方に先端が侵入して被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから除去する剥ぎ取り刃45とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性の芯線とこの芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを備えた電線の長手方向の所定の位置の被覆部を除去する電線皮剥き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。この種のワイヤハーネスは、互いに束ねられた複数の電線と、一本のドレイン線と、これらの電線及びドレイン線を被覆した編組などのシールド層と、当該シールド層を更に被覆した被覆層と、前記電線及びドレイン線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0003】
電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。ドレイン線は、導電性の芯線のみで構成されている。編組などのシールド層は、導電性の素線が編まれることにより形成されている。被覆層は、絶縁性の合成樹脂からなる。コネクタは、電線及びドレイン線の端部に取り付けられた端子金具と、当該端子金具を収容したコネクタハウジングを備えている。
【0004】
前述したワイヤハーネスは、端部に端子金具が取り付けられた電線及びドレイン線がシールド層及び被覆層により束ねられて、端子金具が所定の端子収容室内に挿入されて組み立てられる。そして、ワイヤハーネスは、コネクタが前述した電子機器に取り付けられて、自動車に配索される。
【0005】
ワイヤハーネスは、ドレイン線とシールド層とが電気的に接続して、外部から電線の芯線に侵入しようとする電気的なノイズ及び電線の芯線から外部に漏れようとする電気的なノイズをシールド層及びドレイン線などを介してアース回路に導く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来のドレイン線は、むき出しの芯線で構成されるために、ワイヤハーネスとして使用する際、シールド層を更に被覆した被覆層より露出する部分には絶縁処理の為にチューブを被せるなどと工数と部品が増加する傾向であった。このため、通常の電線の長手方向の所定の位置の被覆部を除去して、当該電線を前記ドレイン線として用いることが望まれている。
【0007】
この電線の長手方向の所定の位置の被覆部を除去する電線皮剥き装置は、この除去される被覆部の両端に全周に亘って切込みを形成し、更に、これら切込み間に当該電線の長手方向に沿って第2切込みを形成して、これら切込み間の被覆部をはがすことにより、前記被覆部を除去していた。このように、従来の電線皮剥き装置は、電線の長手方向に沿って、前記切込み間に第2切込みを形成するために、被覆部を除去する箇所の長さが長くなると、電線皮剥き装置自体が大型化してしまう。このため、従来の電線皮剥き装置は、実質的に、長尺な被覆部の除去は困難であった。
【0008】
したがって、本発明は、長尺な被覆部の除去を可能とすることができる電線皮剥き装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電線皮剥き装置は、電線の長手方向の中央部に位置する被覆部を除去する電線皮剥き装置において、前記電線を当該電線の長手方向に沿って移動させる移動部と、前記電線の被覆部の周方向に切込みを形成する切込み部と、前記切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に先端が侵入して、前記被覆部の一方側を他方側から除去する剥ぎ取り刃と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項1に記載の電線皮剥き装置において、前記剥ぎ取り刃が前記移動部によって移動される電線の上方に配置されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項1又は請求項2に記載の電線皮剥き装置において、前記切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に先端が侵入して、前記被覆部の前記他方側の端に当接する当接刃を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項3に記載の電線皮剥き装置において、前記当接刃は、前記被覆部の前記他方側の端に当接する当接部と、前記芯線を通すスリットとを備えていることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項3又は請求項4に記載の電線皮剥き装置において、前記当接刃は、前記被覆部の前記他方側を前記芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えていることを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の電線皮剥き装置において、前記剥ぎ取り刃は、平板状に形成されて前記電線の移動方向の上流側に向かうにしたがって当該電線に近づくように前記電線の長手方向に対して傾いて配置された本体部と、前記本体部の前記電線寄りの端に連なりかつ前記電線に近づくにしたがって厚みが徐々に薄く形成されているとともに先端が前記切込み内に侵入する刃部と、を備えていることを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項6に記載の電線皮剥き装置において、前記刃部には、前記被覆部の一方側を他方側から切断する刃面と、前記芯線を通すスリットと、が設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項8に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項6又は請求項7に記載の電線皮剥き装置において、前記剥ぎ取り刃は、前記被覆部の前記一方側を前記芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えていることを特徴としている。
【0017】
請求項1に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、切込み部が電線の被覆部の周方向に切込み部を形成してから移動部により電線を移動させて、切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に剥ぎ取り刃の先端を侵入させて、移動部が電線を移動させることで、被覆部の一方側を他方側から当該電線の長手方向に沿って除去することができる。
【0018】
請求項2に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、剥ぎ取り刃が電線の上方に配置されているので、被覆部の一方側を他方側から除去すると、当該他方側が重力により芯線が分離しやすくなる。
【0019】
請求項3に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、被覆部の他方側の端に当接する当接刃を備えているので、当該当接刃に被覆部の他方側の端を当接させたまま当該電線を長手方向に移動させることにより、当該被覆部の他方側を芯線から速やかに分離することができる。
【0020】
請求項4に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、当接刃が芯線を通すスリットと被覆部の他方側の端に当接する当接部とを備えているので、芯線の移動を妨げることなく、芯線から被覆部の他方側を分離することができる。
【0021】
請求項5に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、当接刃が被覆部の他方側を芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えているので、芯線から分離された被覆部が芯線の近傍に留まることを防止できる。
【0022】
請求項6に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、剥ぎ取り刃が、電線の移動方向の上流に向かうにしたがって当該電線に近づくように配置された本体部と、当該本体部から電線に近づくにしたがって厚みが徐々に薄く形成された刃部と、を備えているので、剥ぎ取り刃により被覆部の一方側を他方側から確実に除去することができる。
【0023】
請求項7に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、剥ぎ取り刃の刃部に芯線を通すスリットと被覆部の一方側を他方側から切断する刃面とが設けられているので、芯線の移動を妨げることなく、被覆部の一方側を他方側から分離することができる。
【0024】
請求項8に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、剥ぎ取り刃が被覆部の一方側を芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えているので、他方側から分離された一方側が芯線の近傍に留まることを防止できる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に剥ぎ取り刃の先端を侵入させて、移動部が電線を移動させることで、被覆部の一方側を他方側から当該電線の長手方向に沿って除去することができるので、剥ぎ取り刃の長さを電線の被覆部を除去する部分の長さよりも遥かに短くしても、所望の長さの被覆部を除去することができる。したがって、装置の大型化を招くことなく長尺な被覆部の除去を可能とすることができる。
【0026】
請求項2に記載の本発明によれば、被覆部の一方側を他方側から除去すると、当該他方側が重力により芯線が分離しやすくなるので、スムーズに被覆部を除去することができる。
【0027】
請求項3に記載の本発明によれば、当接刃に被覆部の他方側の端を当接させたまま当該電線を長手方向に移動させることにより、当該被覆部の他方側を芯線から速やかに分離することができる。したがって、被覆部を確実に芯線から分離することができる。
【0028】
請求項4に記載の本発明によれば、芯線の移動を妨げることなく、芯線から被覆部の他方側を分離することができる。
【0029】
請求項5に記載の本発明によれば、芯線から分離された被覆部が芯線の近傍に留まることを防止できるので、一旦芯線から分離された被覆部が、被覆部の分離を妨げることがないので、芯線から被覆部を確実に分離させることができる。
【0030】
請求項6に記載の本発明によれば、剥ぎ取り刃により被覆部の一方側を他方側から確実に除去することができる。
【0031】
請求項7に記載の本発明によれば、芯線の移動を妨げることなく、被覆部の一方側を他方側から分離することができる。
【0032】
請求項8に記載の本発明によれば、他方側から分離された一方側が芯線の近傍に留まることを防止できるので、一旦芯線から分離された被覆部が、被覆部の分離を妨げることがないので、芯線から被覆部を確実に分離させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態にかかる電線皮剥き装置を図1ないし図16を参照して説明する。
【0034】
図1に示す電線皮剥き装置1は、図2などに示す電線2の被覆部5の長手方向の所定の位置を除去する装置である。
【0035】
電線2は、図2に示すように、導電性の芯線4と、絶縁性の被覆部5とを備えている。芯線4は、複数の素線が撚られて形成されている。芯線4を構成する素線は、導電性の金属からなる。また、芯線4は、一本の素線から構成されても良い。被覆部5は、例えば、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride:PVC)などの合成樹脂からなる。被覆部5は、芯線4を被覆している。また、電線2の長さ及び被覆部5が除去される部分の位置が予め定められている。
【0036】
前述した電線2は、自動車などに配索される図示しないワイヤハーネスを構成する。ワイヤハーネスは、被覆部5の中央部が除去されていない複数の電線2と、前述した中央部の被覆部5が除去された一本の電線2と、これらの電線2を被覆した編組などのシールド層と、当該シールド層を更に被覆した被覆層と、前記電線2の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0037】
編組などのシールド層は、導電性の素線が編まれることにより形成されている。被覆層は、絶縁性の合成樹脂からなる。コネクタは、電線2の端部に取り付けられた端子金具と、当該端子金具を収容したコネクタハウジングを備えている。
【0038】
前述したワイヤハーネスは、端部に端子金具が取り付けられた電線2がシールド層及び被覆層により束ねられて、端子金具が所定の端子収容室内に挿入されて組み立てられる。そして、ワイヤハーネスは、コネクタが前述した電子機器に取り付けられて、自動車に配索されて、前述した各種の電子機器に電力や制御信号を伝送する。
【0039】
さらに、ワイヤハーネスは、前記中央部の被覆部5が除去された電線2の芯線4とシールド層とが電気的に接続して、外部から電線2の芯線4に侵入しようとする電気的なノイズ及び電線2の芯線4から外部に漏れようとする電気的なノイズをシールド層及び前記中央部の被覆部5が除去された電線2などを介してアース回路に導く。
【0040】
電線皮剥ぎ装置1は、長尺で被覆部5が全長に亘って芯線4を被覆した電線2を所望の長さに切断して、所望の長さに切断された電線2の所定の位置の被覆部5を除去する装置である。
【0041】
電線皮剥ぎ装置1は、図1に示すように、その外表面10aが鉛直方向と平行に配置される本体部10と、移動部としての移動ユニット11と、切断機構13と、切込み部としての切込み機構14と、剥ぎ取り機構15と、制御手段としての制御装置16とを備えている。
【0042】
本体部10は、前述した鉛直方向と平行な外表面10a上に移動ユニット11と切断機構13と切込み機構14と剥ぎ取り機構15を配置している。移動ユニット11は、図1に示すように、一対の駆動プーリ17aと、他の一対の駆動プーリ17bと、複数対のガイドプーリ17cとを備えている。これらのプーリ17a,17b,17cは、勿論、円板状に配置され、その軸芯回りに回転自在に本体部10に支持されている。
【0043】
一対の駆動プーリ17aは、本体部10の図1中左側の端部(即ち、電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の端部)に設けられ、互いに鉛直方向に沿って並べられている。これら一対の駆動プーリ17aは、互いに近づく方向に付勢されている。一対の駆動プーリ17aのうち少なくとも一方は、本体部10内などに収容された駆動源としてモータなどにより軸芯周りに回転駆動される。
【0044】
他の一対の駆動プーリ17bは、一対の駆動プーリ17aよりも本体部10の図1中右側寄り(即ち、電線2の移動方向としての矢印Kの上流寄り)に設けられ、互いに鉛直方向に沿って並べられている。これら一対の駆動プーリ17bは、互いに近づく方向に付勢されている。
【0045】
複数対のガイドプーリ17cは、一対の駆動プーリ17bよりも本体部10の図1中右側寄り(即ち、電線2の移動方向としての矢印Kの上流寄り)に設けられている。これら複数対のガイドプーリ17cは、水平方向(矢印K)に沿って、並べられている。各々の対のガイドプーリ17cは、互いに鉛直方向に沿って並べられている。各々の対のガイドプーリ17cは、互いに近づく方向に付勢されている。
【0046】
前述した構成の移動ユニット11は、各々の対のプーリ17a,17b,17c間に電線2を通し、これらの各々の対のプーリ17a,17b,17cが互いの間に当該電線2を挟んで、駆動プーリ17aがモータなどにより回転駆動されることで、電線2を当該電線2の長手方向と水平方向に沿い、かつ、図1中の右側から左側に向かう矢印Kに沿って移動させる。なお、矢印Kは、電線2の移動方向をなしている。
【0047】
切断機構13は、一対の駆動プーリ17aと一対の駆動プーリ17bとの間でかつこれらプーリ17a,17b間に挟まれる電線2の上方に配置されている。切断機構13は、エアシリンダ19と、ガイド部20と、一対の切断刃21,22を備えている。
【0048】
エアシリンダ19は、シリンダ本体23と、このシリンダ本体23から突没自在に設けられたロッド24とを備えている。シリンダ本体23は、電線2の上方でかつロッド24の長手方向が鉛直方向に沿いかつ伸張するロッド24が電線2に近づく状態で、本体部10の外表面10aに固定されている。
【0049】
ガイド部20は、一対のリニアガイド25と、連結部材26とを備えている。リニアガイド25は、互いの間にエアシリンダ19のシリンダ本体23を位置付けている。リニアガイド25は、それぞれ鉛直方向に沿って直線状に延在しかつ本体部10の外表面10aに固定されたレール27と、このレール27の長手方向に沿って当該レール27に移動自在に設けられたスライダ28とを備えている。
【0050】
連結部材26は、一対のリニアガイド25のスライダ28同士を連結している。連結部材26は、エアシリンダ19のロッド24が取り付けられている。
【0051】
一対の切断刃21,22は、鉛直方向に沿って並べられ、かつ互いの間に前記電線2を位置付けている。一方の切断刃21は、本体部10の外表面10aに固定され、他方の切断刃22は、連結部材26に固定されている。他方の切断刃22は、エアシリンダ19のロッド24が伸縮することで、一方の切断刃21に接離する。即ち、一対の切断刃21,22は、鉛直方向に沿って互いに近づいたり離れたりする。
【0052】
前述した構成の切断機構13は、エアシリンダ19のロッド24が伸張して、切断刃21,22が互いに近づくと、プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2を互いの間に挟んで、切断する。切断機構13は、エアシリンダ19のロッド24が縮小して、一対の切断刃21,22が互いに離れると、勿論、これらの切断刃21,22が電線2から離れる。
【0053】
切込み機構14は、図1に示すように、本体部10の図1中右側の端部即ち電線2の移動方向としての矢印Kの最も上流側の端部に設けられている。切込み機構14は、一対の切込みユニット29を備えている。これら一対の切込みユニット29は、前記プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2を互いの間に位置付ける位置に配置されている。
【0054】
切込みユニット29は、エアシリンダ30と、ガイド部31と、切込み刃32を備えている。
【0055】
エアシリンダ30は、シリンダ本体33と、このシリンダ本体33から突没自在に設けられたロッド34とを備えている。シリンダ本体33は、ロッド34の長手方向が鉛直方向に沿いかつ伸張するロッド34が電線2に近づく状態で、本体部10の外表面10aに固定されている。
【0056】
ガイド部31は、一対のリニアガイド35と、連結部材36とを備えている。リニアガイド35は、互いの間にエアシリンダ30のシリンダ本体33を位置付けている。リニアガイド35は、それぞれ鉛直方向に沿って直線状に延在しかつ本体部10の外表面10aに固定されたレール37と、このレール37の長手方向に沿って当該レール37に移動自在に設けられたスライダ38とを備えている。
【0057】
連結部材36は、一対のリニアガイド35のスライダ38同士を連結している。連結部材36は、エアシリンダ30のロッド34が取り付けられている。
【0058】
切込み刃32は、その長手方向が鉛直方向と平行な帯板状に形成されている。切込み刃32は、連結部材36からプーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2に向かって直線状に延在した状態で、当該連結部材36に取り付けられている。切込み刃32の電線2寄りの先端には、図2に示すように、電線2の被覆部5に切り込んで、当該被覆部5に切込み6(図7に示す)を形成する刃面39と、当該刃面39から凹に形成されて内側に芯線4を通して当該芯線4が切断されることを規制するスリット40が設けられている。
【0059】
前述した構成の切込み機構14は、双方の切込みユニット29のエアシリンダ30のロッド34が伸張して、切込み刃32が互いに近づいて、これらの切込み刃32が電線2を互いの間に挟む。すると、切込み刃32即ち切込み機構14は、芯線4をスリット40内に通して、当該芯線4を破損させることなく、刃面39が被覆部5に切り込んで、当該電線2の被覆部5の周方向に切込み6を形成する。なお、図示例では、切込み刃32即ち切込み機構14は、電線2の被覆部5の全周に亘って切込み6を形成する。切込み機構14は、エアシリンダ30のロッド34が縮小して、一対の切込み刃32が互いに離れると、勿論、これらの切込み刃32が電線2から離れる。
【0060】
剥ぎ取り機構15は、図1に示すように、切込み機構14と、移動ユニット11の駆動プーリ17bとの間に設けられている。剥ぎ取り機構15は、剥ぎ取りユニット41と、押さえユニット42とを備えている。これらのユニット41,42は、前記プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2を互いの間に位置付ける位置に配置されている。
【0061】
剥ぎ取りユニット41は、電線2の上方に配置され、かつ、エアシリンダ43と、ガイド部44と、剥ぎ取り刃45を備えている。
【0062】
エアシリンダ43は、シリンダ本体46と、このシリンダ本体46から突没自在に設けられたロッド47とを備えている。シリンダ本体46は、ロッド47の長手方向が鉛直方向に沿いかつ伸張するロッド47が電線2に近づく状態で、本体部10の外表面10aに固定されている。
【0063】
ガイド部44は、一対のリニアガイド48と、連結部材49とを備えている。リニアガイド48は、互いの間にエアシリンダ43のシリンダ本体46を位置付けている。リニアガイド48は、それぞれ鉛直方向に沿って直線状に延在しかつ本体部10の外表面10aに固定されたレール50と、このレール50の長手方向に沿って当該レール50に移動自在に設けられたスライダ51とを備えている。
【0064】
連結部材49は、一対のリニアガイド48のスライダ51同士を連結している。連結部材49は、エアシリンダ43のロッド47が取り付けられている。
【0065】
剥ぎ取り刃45は、図3に示すように、厚手の平板状に形成されている。剥ぎ取り刃45は、プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2の上方に配置され、連結部材49に固定されている。
【0066】
剥ぎ取り刃45は、図3に示すように、本体部52と、刃部53と、排出ガイド54とを備えている。本体部52は、図1中の下面が略水平方向と平行でかつ電線2の移動方向としての矢印Kの上流に向かうにしたがって徐々に電線2に近づくように、前述したプーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2の長手方向に対して若干傾いて配置されている。
【0067】
刃部53は、本体部52の電線2の移動方向としての矢印Kの上流側即ち電線2寄りの端に連なっている。刃部53は、本体部52から前記電線2に近づくにしたがって徐々に厚みが薄くなるように形成されている。また、本体部52と刃部53とに亘って、その下面が平坦に形成されている。
【0068】
刃部53の電線2寄りの先端には、図3に示すように、電線2の被覆部5の図2中の上方側の約半分5a(特許請求の範囲の一方側に相当する)を図2中の下方側の約半分5b(特許請求の範囲の他方側に相当する)から切り取って、当該上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから除去する刃面55と、当該刃面55から凹に形成されて内側に芯線4を通して当該芯線4が切断されることを規制するスリット56が設けられている。
【0069】
排出ガイド54は、側縁立設壁57と、奥立設壁58と、平行壁59とを備えている。側縁立設壁57は、刃部53の本体部10寄りの縁から上方に立設している。奥立設壁58は、その表面が電線2の移動方向としての矢印Kに対して直交する状態で、刃部53の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の端部から立設して、側縁立設壁57の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の縁に連なっている。平行壁59は、刃部53の上面と間隔をあけて平行に配置されているとともに、前記側縁立設壁57と奥立設壁58との双方と連なっている。
【0070】
押さえユニット42は、電線2の下方に配置され、かつ、エアシリンダ60と、ガイド部61と、当接刃62を備えている。
【0071】
エアシリンダ60は、シリンダ本体63と、このシリンダ本体63から突没自在に設けられたロッド64とを備えている。シリンダ本体63は、ロッド64の長手方向が鉛直方向に沿いかつ伸張するロッド64が電線2に近づく状態で、本体部10の外表面10aに固定されている。
【0072】
ガイド部61は、一対のリニアガイド65と、連結部材66とを備えている。リニアガイド65は、互いの間にエアシリンダ60のシリンダ本体63を位置付けている。リニアガイド65は、それぞれ鉛直方向に沿って直線状に延在しかつ本体部10の外表面10aに固定されたレール67と、このレール67の長手方向に沿って当該レール67に移動自在に設けられたスライダ68とを備えている。
【0073】
連結部材66は、一対のリニアガイド65のスライダ68同士を連結している。連結部材66は、エアシリンダ60のロッド64が取り付けられている。
【0074】
当接刃62は、図4に示すように、その表面が鉛直方向と平行でかつ電線2の移動方向としての矢印Kに対して直交する状態の帯板状に形成されている。当接刃62は、プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2の下方に配置され、連結部材66に固定されている。
【0075】
当接刃62は、図4に示すように、本体部69と、当接部70と、スリット71と、排出ガイド72とを備えている。本体部69は、その表面が鉛直方向と平行でかつ電線2の移動方向としての矢印Kに対して直交した帯板状に形成されている。
【0076】
当接部70は、本体部69の連結部材66から離れて電線2寄りの先端に設けられている。当接部70は、切込み6内に侵入して、図2中の下方側の約半分5b(特許請求の範囲の他方側に相当する)の端が当接する。スリット71は、当接部70の端面から凹に形成されている。スリット71は、内側に芯線4を通して当該芯線4が傷つくことを規制する。
【0077】
排出ガイド72は、当接刃62の本体部69の電線2の移動方向としての矢印Kの上流側の表面から凸に形成されて、当該本体部69と一体に形成されている。排出ガイド72は、当接部70には、設けられていない。排出ガイド72は、電線2から離れるのにしたがって、徐々に本体部10から離れる方向に傾斜したガイド面72aを備えている。
【0078】
前述した構成の剥ぎ取り機構15は、剥ぎ取りユニット41のエアシリンダ43のロッド47が伸張して、剥ぎ取り刃45の刃部53の先端が切込み刃32によって形成された切込み6内又は前記切込み6よりも前記電線2の移動方向の前方に侵入する。このとき、スリット56内に芯線4が位置する。そして、移動ユニット11により電線2が矢印Kに沿って移動されることで、剥ぎ取り刃45の刃部53の刃面55が被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから切断して、当該上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから除去する。さらに、下方側の約半分5bから除去された上方側の約半分5aは、排出ガイド54の奥立設壁58及び平行壁59に当接した後、本体部10から離れる方向に案内される。このように、排出ガイド54は、下方側の約半分5bから除去された上方側の約半分5aを当該下方側の約半分5bから離れる方向に案内する。
【0079】
また、前述した構成の剥ぎ取り機構15は、押さえユニット42のエアシリンダ60のロッド64が伸張して、当接刃62の当接部70が切込み刃17,18によって形成された切込み6内に侵入する。このとき、スリット71内に芯線4が位置する。そして、移動ユニット11により電線2が矢印Kに沿って移動されることで、被覆部5の下方側の約半分5bの端が当接部70に当接し、更なる電線2の移動によって、当該当接部70が被覆部5の下方側の約半分5bを芯線4から分離させる。さらに、被覆部5の下方側の約半分5bは、排出ガイド72のガイド面72aなどに当接して、本体部10から離れる方向に案内される。このように、排出ガイド72は、芯線4から分離させた被覆部5の下方側の約半分5bを当該芯線4から離れる方向に案内する。
【0080】
こうして、剥ぎ取りユニット41は、電線2の被覆部5を当該電線2から除去する。剥ぎ取り機構15は、エアシリンダ43,60のロッド47,64が縮小すると、剥ぎ取り刃45及び当接刃62が電線2から離れて、勿論、これらによる電線2の被覆部5の除去を停止する。
【0081】
制御装置16は、周知のROM(Read-only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、CPU(Central Processing Unit)などを備えたコンピュータである。制御装置16は、エンコーダ12と、移動ユニット11のモータと、切断機構13及び各ユニット29,41,42のエアシリンダ19,30,43,60などに接続して、これらの動作を制御することで、電線皮剥ぎ装置1全体の制御をつかさどる。制御装置16は、長尺の電線2を切断する間隔や、被覆部5の除去を開始する位置及びその長さなどを記憶している。制御装置16は、記憶した情報に基づいて、エアシリンダ19,30,43,60などを制御して、電線2を所定の長さに切断するとともに、当該電線2の中央部の予め定められた位置の被覆部5を除去する。
【0082】
前述した構成の電線皮剥ぎ装置1は、以下のように、電線2を所定の長さに切断するとともに、当該電線2の中央部の被覆部5を除去する。まず、図5に示すように、長尺の電線2の一端部を移動ユニット11のプーリ17a,17b,17c間にセットする。この状態では、各エアシリンダ19,30,43,60のロッド24,34,47,64は縮小している。そして、電線皮剥ぎ装置1を起動させる。
【0083】
すると、制御装置16は、駆動プーリ17aを回転駆動して、長尺の電線2を矢印Kに沿って移動した後、切断機構13のエアシリンダ19が伸縮して、切断刃21,22が互いに接離して、電線2を切断する。さらに、制御装置16は、電線2の切断後に、エンコーダ12から情報に基づいて、電線2が矢印Kに沿って予め定められた距離(端から被覆部5を除去する部分までの距離に相当)移動すると、図6に示すように、切込み機構14の各切込みユニット29のエアシリンダ30のロッド34を伸張させて、切込み刃32を電線2の被覆部5に切り込ませて、図7に示すように、エアシリンダ30のロッド34を縮小させる。
【0084】
すると、移動ユニット11の駆動プーリ17aが電線2を矢印Kに沿って引っ張り、かつ切込みユニット29の切込み刃32が電線2の被覆部5を切り込んでいる最中も移動ユニット11が電線2を矢印Kに沿って移動させているので、図7に示すように、電線2の芯線4が外部に露出する切込み6が当該電線2の全周に亘って形成される。
【0085】
そして、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、図8に示すように、エンコーダ12からの情報に基づいて、切込み6が剥ぎ取りユニット41の剥ぎ取り刃45の下方に位置すると、制御装置16は、剥ぎ取りユニット41のエアシリンダ43のロッド47を伸張させる。すると、図9に示すように、剥ぎ取り刃45の刃部53の先端に設けられた刃面55が切込み6内に侵入し、スリット56内に切込み6の芯線4を通す。
【0086】
さらに、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、剥ぎ取り刃45の刃部53の刃面55が切込み6の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分から切断する。そして、図10に示すように、被覆部5の上方側の約半分5aの先端が、排出ガイド54の奥立設壁58に当接した後、図11に示すように、当該排出ガイド54により電線2即ち下方側の約半分5bから離れる方向に案内される。
【0087】
移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、エンコーダ12からの情報に基づいて、切込み6が押さえユニット42の当接刃62の上方に位置すると、制御装置16は、押さえユニット42のエアシリンダ60のロッド64を伸張させる。すると、図12に示すように、当接刃62の当接部70が切込み6内に侵入し、スリット71内に切込み6の芯線4を通すとともに、当該当接部70に切込み6の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の被覆部5の下方側の約半分5bの端が当接する。
【0088】
さらに、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、当接刃62の当接部70が切込み6の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の被覆部5が芯線4とともに矢印Kに沿って移動できずに、芯線4から分離される。芯線4から分離した被覆部5の下方側の約半分5bは、排出ガイド72のガイド面72aにより、図13に示すように、本体部10即ち芯線4から離れる方向に案内される。
【0089】
そして、制御装置16は、切込み6を形成した後に、電線2が矢印Kに沿って予め定められた距離(被覆部5を除去する部分の長さに相当)移動すると、図14に示すように、切込みユニット29のエアシリンダ30のロッド34を一旦伸張させた後縮小させて、切込み6を再度形成する。さらに、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、図15に示すように、制御装置16は、再度形成された切込み6内に剥ぎ取り刃45の刃部53の刃面55が位置すると、剥ぎ取りユニット41のエアシリンダ43のロッド47を縮小させる。
【0090】
さらに、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、図16に示すように、制御装置16は、再度形成された切込み6内に当接刃62の当接部70が位置すると、押さえユニット42のエアシリンダ60のロッド64を縮小させる。そして、制御装置16は、切断した後に、電線2が矢印Kに沿って予め定められた距離(長尺の電線2から切断した得られる電線2の長さに相当)移動すると、切断機構13のエアシリンダ19のロッド24を一旦伸張させた後縮小させて、当該電線2を切断する。こうして、電線皮剥ぎ装置1は、長尺の電線2を切断して所定の長さの電線2を得るとともに、当該所定の長さの電線2の長手方向の中央部の被覆部5を除去する。
【0091】
本実施形態によれば、切込み機構14が電線2の被覆部5の周方向に切込み6を形成してから移動ユニット11により電線2を移動させて、切込みユニット29が形成した切込み6内又は前記切込み6よりも前記電線2の移動方向の前方に剥ぎ取り刃45の先端を侵入させて、移動ユニット11が電線2を移動させることで、被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから当該電線2の長手方向に沿って除去することができる。
【0092】
このため、剥ぎ取り刃45の長さを電線2の被覆部5を除去する部分の長さよりも遥かに短くしても、所望の長さの被覆部5を除去することができる。したがって、装置の大型化を招くことなく長尺な被覆部5の除去を可能とすることができる。
【0093】
また、剥ぎ取り刃45が電線2の上方に配置されているので、被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから除去すると、当該下方側の約半分5bが重力により芯線4から分離しやすくなる。したがって、スムーズに被覆部5を除去することができる。
【0094】
被覆部5の下方側の約半分5bの端に当接する当接刃62を備えているので、当該当接刃62に被覆部5の下方側の約半分5bの端を当接させたまま当該電線2を長手方向に移動させることにより、当該被覆部5の下方側の約半分5bを芯線4から速やかに分離することができる。したがって、被覆部5を確実に芯線4から分離することができる。
【0095】
当接刃62が、芯線4を通すスリット71と、被覆部5の下方側の約半分5bの端に当接する当接部70とを備えているので、芯線4の移動を妨げることなく、芯線4から被覆部5の下方側の約半分5bを分離することができる。
【0096】
当接刃62が被覆部5の下方側の約半分5bを芯線4から離れる方向に案内する排出ガイド72を備えているので、芯線4から分離された被覆部5が芯線4の近傍に留まることを防止できる。したがって、一旦芯線4から分離された被覆部5が、被覆部5の分離を妨げることがないので、芯線4から被覆部5を確実に分離させることができる。
【0097】
剥ぎ取り刃45が、電線2の移動方向としての矢印Kの上流に向かうにしたがって当該電線2に近づくように配置された本体部52と、当該本体部52から電線2に近づくにしたがって厚みが徐々に薄く形成された刃部53と、を備えているので、剥ぎ取り刃45により被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから確実に除去することができる。
【0098】
剥ぎ取り刃45の刃部53には、芯線4を通すスリット56と、被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから切断する刃面55とが設けられているので、芯線4の移動を妨げることなく、被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから分離することができる。
【0099】
剥ぎ取り刃45が、被覆部5の上方側の約半分5aを芯線4から離れる方向に案内する排出ガイド54を備えているので、下方側の約半分5bから分離された上方側の約半分5aが芯線4の近傍に留まることを防止できる。したがって、一旦芯線4から分離された被覆部5が、被覆部5の分離を妨げることがないので、芯線4から被覆部5を確実に分離させることができる。
【0100】
前述した実施形態では、当接刃62を設けたが、本発明では、当接刃62即ち押さえユニット42を必ずしも設けなくても良い。要するに、本発明では、剥ぎ取り刃45が被覆部5の上方側の約半分5aを除去した際に、下方側の約半分5bがその自重によって芯線4が分離する際には、当接刃62を設けなくても良い。
【0101】
さらに、本発明では、剥ぎ取りユニット41が被覆部5の上方側の約半分5aを除去した後に当接刃62が下方側の約半分5bを除去している。しかしながら、本発明では、剥ぎ取りユニット41が被覆部5の右側の約半分を除去した後に当接刃62が左側の約半分を除去しても良い。要するに、本発明では、剥ぎ取りユニット41が被覆部5の一方側を除去した後に、当該一方側の反対側の他方側を除去すれば良い。
【0102】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電線皮剥ぎ装置の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構の切込み刃の斜視図である。
【図3】図1に示された電線皮剥ぎ装置の剥ぎ取り機構の剥ぎ取り刃の斜視図である。
【図4】図1に示された電線皮剥ぎ装置の剥ぎ取り機構の当接刃の斜視図である。
【図5】図1に示された電線皮剥ぎ装置の移動機構に電線をセットした状態を示す説明図である。
【図6】図5に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構のエアシリンダのロッドが伸張した状態を示す説明図である。
【図7】図6に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構のエアシリンダのロッドが縮小した状態を示す説明図である。
【図8】図7に示された切込み機構によって形成された切込みが剥ぎ取り刃の下方に位置した状態を示す説明図である。
【図9】図8に示された電線皮剥ぎ装置の剥ぎ取り機構の剥ぎ取りユニットのエアシリンダのロッドが伸張した状態を示す説明図である。
【図10】図9に示された剥ぎ取り機構の剥ぎ取りユニットの剥ぎ取り刃により被覆部の上方側の約半分が下方側の約半分から切断された状態を示す説明図である。
【図11】図10に示された被覆部の上方側の約半分が剥ぎ取り刃の排出ガイドにより案内されている状態を示す説明図である。
【図12】図11に示された電線皮剥ぎ装置の剥ぎ取り機構の押さえユニットのエアシリンダのロッドが伸張した状態を示す説明図である。
【図13】図12に示された剥ぎ取り機構の押さえユニットの当接刃により被覆部の下方側の約半分が芯線から分離されている状態を示す説明図である。
【図14】図13に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構のエアシリンダのロッドが伸張した状態を示す説明図である。
【図15】図14に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構により形成された切込み内に剥ぎ取り機構の剥ぎ取りユニットの剥ぎ取り刃が位置した状態を示す説明図である。
【図16】図15に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構により形成された切込み内に剥ぎ取り機構の押さえユニットの当接刃が位置した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1 電線皮剥ぎ装置
2 電線
5 被覆部
5a 上方側の約半分(一方側)
5b 下方側の約半分(他方側)
6 切込み
11 移動ユニット(移動部)
14 切込み機構(切込み部)
45 剥ぎ取り刃
52 本体部
53 刃部
54 排出ガイド
55 刃面
56 スリット
62 当接刃
70 当接部
71 スリット
72 排出ガイド
K 電線の移動方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性の芯線とこの芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを備えた電線の長手方向の所定の位置の被覆部を除去する電線皮剥き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。この種のワイヤハーネスは、互いに束ねられた複数の電線と、一本のドレイン線と、これらの電線及びドレイン線を被覆した編組などのシールド層と、当該シールド層を更に被覆した被覆層と、前記電線及びドレイン線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0003】
電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。ドレイン線は、導電性の芯線のみで構成されている。編組などのシールド層は、導電性の素線が編まれることにより形成されている。被覆層は、絶縁性の合成樹脂からなる。コネクタは、電線及びドレイン線の端部に取り付けられた端子金具と、当該端子金具を収容したコネクタハウジングを備えている。
【0004】
前述したワイヤハーネスは、端部に端子金具が取り付けられた電線及びドレイン線がシールド層及び被覆層により束ねられて、端子金具が所定の端子収容室内に挿入されて組み立てられる。そして、ワイヤハーネスは、コネクタが前述した電子機器に取り付けられて、自動車に配索される。
【0005】
ワイヤハーネスは、ドレイン線とシールド層とが電気的に接続して、外部から電線の芯線に侵入しようとする電気的なノイズ及び電線の芯線から外部に漏れようとする電気的なノイズをシールド層及びドレイン線などを介してアース回路に導く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来のドレイン線は、むき出しの芯線で構成されるために、ワイヤハーネスとして使用する際、シールド層を更に被覆した被覆層より露出する部分には絶縁処理の為にチューブを被せるなどと工数と部品が増加する傾向であった。このため、通常の電線の長手方向の所定の位置の被覆部を除去して、当該電線を前記ドレイン線として用いることが望まれている。
【0007】
この電線の長手方向の所定の位置の被覆部を除去する電線皮剥き装置は、この除去される被覆部の両端に全周に亘って切込みを形成し、更に、これら切込み間に当該電線の長手方向に沿って第2切込みを形成して、これら切込み間の被覆部をはがすことにより、前記被覆部を除去していた。このように、従来の電線皮剥き装置は、電線の長手方向に沿って、前記切込み間に第2切込みを形成するために、被覆部を除去する箇所の長さが長くなると、電線皮剥き装置自体が大型化してしまう。このため、従来の電線皮剥き装置は、実質的に、長尺な被覆部の除去は困難であった。
【0008】
したがって、本発明は、長尺な被覆部の除去を可能とすることができる電線皮剥き装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電線皮剥き装置は、電線の長手方向の中央部に位置する被覆部を除去する電線皮剥き装置において、前記電線を当該電線の長手方向に沿って移動させる移動部と、前記電線の被覆部の周方向に切込みを形成する切込み部と、前記切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に先端が侵入して、前記被覆部の一方側を他方側から除去する剥ぎ取り刃と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項1に記載の電線皮剥き装置において、前記剥ぎ取り刃が前記移動部によって移動される電線の上方に配置されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項1又は請求項2に記載の電線皮剥き装置において、前記切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に先端が侵入して、前記被覆部の前記他方側の端に当接する当接刃を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項3に記載の電線皮剥き装置において、前記当接刃は、前記被覆部の前記他方側の端に当接する当接部と、前記芯線を通すスリットとを備えていることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項3又は請求項4に記載の電線皮剥き装置において、前記当接刃は、前記被覆部の前記他方側を前記芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えていることを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の電線皮剥き装置において、前記剥ぎ取り刃は、平板状に形成されて前記電線の移動方向の上流側に向かうにしたがって当該電線に近づくように前記電線の長手方向に対して傾いて配置された本体部と、前記本体部の前記電線寄りの端に連なりかつ前記電線に近づくにしたがって厚みが徐々に薄く形成されているとともに先端が前記切込み内に侵入する刃部と、を備えていることを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項6に記載の電線皮剥き装置において、前記刃部には、前記被覆部の一方側を他方側から切断する刃面と、前記芯線を通すスリットと、が設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項8に記載の本発明の電線皮剥き装置は、請求項6又は請求項7に記載の電線皮剥き装置において、前記剥ぎ取り刃は、前記被覆部の前記一方側を前記芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えていることを特徴としている。
【0017】
請求項1に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、切込み部が電線の被覆部の周方向に切込み部を形成してから移動部により電線を移動させて、切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に剥ぎ取り刃の先端を侵入させて、移動部が電線を移動させることで、被覆部の一方側を他方側から当該電線の長手方向に沿って除去することができる。
【0018】
請求項2に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、剥ぎ取り刃が電線の上方に配置されているので、被覆部の一方側を他方側から除去すると、当該他方側が重力により芯線が分離しやすくなる。
【0019】
請求項3に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、被覆部の他方側の端に当接する当接刃を備えているので、当該当接刃に被覆部の他方側の端を当接させたまま当該電線を長手方向に移動させることにより、当該被覆部の他方側を芯線から速やかに分離することができる。
【0020】
請求項4に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、当接刃が芯線を通すスリットと被覆部の他方側の端に当接する当接部とを備えているので、芯線の移動を妨げることなく、芯線から被覆部の他方側を分離することができる。
【0021】
請求項5に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、当接刃が被覆部の他方側を芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えているので、芯線から分離された被覆部が芯線の近傍に留まることを防止できる。
【0022】
請求項6に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、剥ぎ取り刃が、電線の移動方向の上流に向かうにしたがって当該電線に近づくように配置された本体部と、当該本体部から電線に近づくにしたがって厚みが徐々に薄く形成された刃部と、を備えているので、剥ぎ取り刃により被覆部の一方側を他方側から確実に除去することができる。
【0023】
請求項7に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、剥ぎ取り刃の刃部に芯線を通すスリットと被覆部の一方側を他方側から切断する刃面とが設けられているので、芯線の移動を妨げることなく、被覆部の一方側を他方側から分離することができる。
【0024】
請求項8に記載した本発明の電線皮剥き装置によれば、剥ぎ取り刃が被覆部の一方側を芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えているので、他方側から分離された一方側が芯線の近傍に留まることを防止できる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に剥ぎ取り刃の先端を侵入させて、移動部が電線を移動させることで、被覆部の一方側を他方側から当該電線の長手方向に沿って除去することができるので、剥ぎ取り刃の長さを電線の被覆部を除去する部分の長さよりも遥かに短くしても、所望の長さの被覆部を除去することができる。したがって、装置の大型化を招くことなく長尺な被覆部の除去を可能とすることができる。
【0026】
請求項2に記載の本発明によれば、被覆部の一方側を他方側から除去すると、当該他方側が重力により芯線が分離しやすくなるので、スムーズに被覆部を除去することができる。
【0027】
請求項3に記載の本発明によれば、当接刃に被覆部の他方側の端を当接させたまま当該電線を長手方向に移動させることにより、当該被覆部の他方側を芯線から速やかに分離することができる。したがって、被覆部を確実に芯線から分離することができる。
【0028】
請求項4に記載の本発明によれば、芯線の移動を妨げることなく、芯線から被覆部の他方側を分離することができる。
【0029】
請求項5に記載の本発明によれば、芯線から分離された被覆部が芯線の近傍に留まることを防止できるので、一旦芯線から分離された被覆部が、被覆部の分離を妨げることがないので、芯線から被覆部を確実に分離させることができる。
【0030】
請求項6に記載の本発明によれば、剥ぎ取り刃により被覆部の一方側を他方側から確実に除去することができる。
【0031】
請求項7に記載の本発明によれば、芯線の移動を妨げることなく、被覆部の一方側を他方側から分離することができる。
【0032】
請求項8に記載の本発明によれば、他方側から分離された一方側が芯線の近傍に留まることを防止できるので、一旦芯線から分離された被覆部が、被覆部の分離を妨げることがないので、芯線から被覆部を確実に分離させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態にかかる電線皮剥き装置を図1ないし図16を参照して説明する。
【0034】
図1に示す電線皮剥き装置1は、図2などに示す電線2の被覆部5の長手方向の所定の位置を除去する装置である。
【0035】
電線2は、図2に示すように、導電性の芯線4と、絶縁性の被覆部5とを備えている。芯線4は、複数の素線が撚られて形成されている。芯線4を構成する素線は、導電性の金属からなる。また、芯線4は、一本の素線から構成されても良い。被覆部5は、例えば、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride:PVC)などの合成樹脂からなる。被覆部5は、芯線4を被覆している。また、電線2の長さ及び被覆部5が除去される部分の位置が予め定められている。
【0036】
前述した電線2は、自動車などに配索される図示しないワイヤハーネスを構成する。ワイヤハーネスは、被覆部5の中央部が除去されていない複数の電線2と、前述した中央部の被覆部5が除去された一本の電線2と、これらの電線2を被覆した編組などのシールド層と、当該シールド層を更に被覆した被覆層と、前記電線2の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0037】
編組などのシールド層は、導電性の素線が編まれることにより形成されている。被覆層は、絶縁性の合成樹脂からなる。コネクタは、電線2の端部に取り付けられた端子金具と、当該端子金具を収容したコネクタハウジングを備えている。
【0038】
前述したワイヤハーネスは、端部に端子金具が取り付けられた電線2がシールド層及び被覆層により束ねられて、端子金具が所定の端子収容室内に挿入されて組み立てられる。そして、ワイヤハーネスは、コネクタが前述した電子機器に取り付けられて、自動車に配索されて、前述した各種の電子機器に電力や制御信号を伝送する。
【0039】
さらに、ワイヤハーネスは、前記中央部の被覆部5が除去された電線2の芯線4とシールド層とが電気的に接続して、外部から電線2の芯線4に侵入しようとする電気的なノイズ及び電線2の芯線4から外部に漏れようとする電気的なノイズをシールド層及び前記中央部の被覆部5が除去された電線2などを介してアース回路に導く。
【0040】
電線皮剥ぎ装置1は、長尺で被覆部5が全長に亘って芯線4を被覆した電線2を所望の長さに切断して、所望の長さに切断された電線2の所定の位置の被覆部5を除去する装置である。
【0041】
電線皮剥ぎ装置1は、図1に示すように、その外表面10aが鉛直方向と平行に配置される本体部10と、移動部としての移動ユニット11と、切断機構13と、切込み部としての切込み機構14と、剥ぎ取り機構15と、制御手段としての制御装置16とを備えている。
【0042】
本体部10は、前述した鉛直方向と平行な外表面10a上に移動ユニット11と切断機構13と切込み機構14と剥ぎ取り機構15を配置している。移動ユニット11は、図1に示すように、一対の駆動プーリ17aと、他の一対の駆動プーリ17bと、複数対のガイドプーリ17cとを備えている。これらのプーリ17a,17b,17cは、勿論、円板状に配置され、その軸芯回りに回転自在に本体部10に支持されている。
【0043】
一対の駆動プーリ17aは、本体部10の図1中左側の端部(即ち、電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の端部)に設けられ、互いに鉛直方向に沿って並べられている。これら一対の駆動プーリ17aは、互いに近づく方向に付勢されている。一対の駆動プーリ17aのうち少なくとも一方は、本体部10内などに収容された駆動源としてモータなどにより軸芯周りに回転駆動される。
【0044】
他の一対の駆動プーリ17bは、一対の駆動プーリ17aよりも本体部10の図1中右側寄り(即ち、電線2の移動方向としての矢印Kの上流寄り)に設けられ、互いに鉛直方向に沿って並べられている。これら一対の駆動プーリ17bは、互いに近づく方向に付勢されている。
【0045】
複数対のガイドプーリ17cは、一対の駆動プーリ17bよりも本体部10の図1中右側寄り(即ち、電線2の移動方向としての矢印Kの上流寄り)に設けられている。これら複数対のガイドプーリ17cは、水平方向(矢印K)に沿って、並べられている。各々の対のガイドプーリ17cは、互いに鉛直方向に沿って並べられている。各々の対のガイドプーリ17cは、互いに近づく方向に付勢されている。
【0046】
前述した構成の移動ユニット11は、各々の対のプーリ17a,17b,17c間に電線2を通し、これらの各々の対のプーリ17a,17b,17cが互いの間に当該電線2を挟んで、駆動プーリ17aがモータなどにより回転駆動されることで、電線2を当該電線2の長手方向と水平方向に沿い、かつ、図1中の右側から左側に向かう矢印Kに沿って移動させる。なお、矢印Kは、電線2の移動方向をなしている。
【0047】
切断機構13は、一対の駆動プーリ17aと一対の駆動プーリ17bとの間でかつこれらプーリ17a,17b間に挟まれる電線2の上方に配置されている。切断機構13は、エアシリンダ19と、ガイド部20と、一対の切断刃21,22を備えている。
【0048】
エアシリンダ19は、シリンダ本体23と、このシリンダ本体23から突没自在に設けられたロッド24とを備えている。シリンダ本体23は、電線2の上方でかつロッド24の長手方向が鉛直方向に沿いかつ伸張するロッド24が電線2に近づく状態で、本体部10の外表面10aに固定されている。
【0049】
ガイド部20は、一対のリニアガイド25と、連結部材26とを備えている。リニアガイド25は、互いの間にエアシリンダ19のシリンダ本体23を位置付けている。リニアガイド25は、それぞれ鉛直方向に沿って直線状に延在しかつ本体部10の外表面10aに固定されたレール27と、このレール27の長手方向に沿って当該レール27に移動自在に設けられたスライダ28とを備えている。
【0050】
連結部材26は、一対のリニアガイド25のスライダ28同士を連結している。連結部材26は、エアシリンダ19のロッド24が取り付けられている。
【0051】
一対の切断刃21,22は、鉛直方向に沿って並べられ、かつ互いの間に前記電線2を位置付けている。一方の切断刃21は、本体部10の外表面10aに固定され、他方の切断刃22は、連結部材26に固定されている。他方の切断刃22は、エアシリンダ19のロッド24が伸縮することで、一方の切断刃21に接離する。即ち、一対の切断刃21,22は、鉛直方向に沿って互いに近づいたり離れたりする。
【0052】
前述した構成の切断機構13は、エアシリンダ19のロッド24が伸張して、切断刃21,22が互いに近づくと、プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2を互いの間に挟んで、切断する。切断機構13は、エアシリンダ19のロッド24が縮小して、一対の切断刃21,22が互いに離れると、勿論、これらの切断刃21,22が電線2から離れる。
【0053】
切込み機構14は、図1に示すように、本体部10の図1中右側の端部即ち電線2の移動方向としての矢印Kの最も上流側の端部に設けられている。切込み機構14は、一対の切込みユニット29を備えている。これら一対の切込みユニット29は、前記プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2を互いの間に位置付ける位置に配置されている。
【0054】
切込みユニット29は、エアシリンダ30と、ガイド部31と、切込み刃32を備えている。
【0055】
エアシリンダ30は、シリンダ本体33と、このシリンダ本体33から突没自在に設けられたロッド34とを備えている。シリンダ本体33は、ロッド34の長手方向が鉛直方向に沿いかつ伸張するロッド34が電線2に近づく状態で、本体部10の外表面10aに固定されている。
【0056】
ガイド部31は、一対のリニアガイド35と、連結部材36とを備えている。リニアガイド35は、互いの間にエアシリンダ30のシリンダ本体33を位置付けている。リニアガイド35は、それぞれ鉛直方向に沿って直線状に延在しかつ本体部10の外表面10aに固定されたレール37と、このレール37の長手方向に沿って当該レール37に移動自在に設けられたスライダ38とを備えている。
【0057】
連結部材36は、一対のリニアガイド35のスライダ38同士を連結している。連結部材36は、エアシリンダ30のロッド34が取り付けられている。
【0058】
切込み刃32は、その長手方向が鉛直方向と平行な帯板状に形成されている。切込み刃32は、連結部材36からプーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2に向かって直線状に延在した状態で、当該連結部材36に取り付けられている。切込み刃32の電線2寄りの先端には、図2に示すように、電線2の被覆部5に切り込んで、当該被覆部5に切込み6(図7に示す)を形成する刃面39と、当該刃面39から凹に形成されて内側に芯線4を通して当該芯線4が切断されることを規制するスリット40が設けられている。
【0059】
前述した構成の切込み機構14は、双方の切込みユニット29のエアシリンダ30のロッド34が伸張して、切込み刃32が互いに近づいて、これらの切込み刃32が電線2を互いの間に挟む。すると、切込み刃32即ち切込み機構14は、芯線4をスリット40内に通して、当該芯線4を破損させることなく、刃面39が被覆部5に切り込んで、当該電線2の被覆部5の周方向に切込み6を形成する。なお、図示例では、切込み刃32即ち切込み機構14は、電線2の被覆部5の全周に亘って切込み6を形成する。切込み機構14は、エアシリンダ30のロッド34が縮小して、一対の切込み刃32が互いに離れると、勿論、これらの切込み刃32が電線2から離れる。
【0060】
剥ぎ取り機構15は、図1に示すように、切込み機構14と、移動ユニット11の駆動プーリ17bとの間に設けられている。剥ぎ取り機構15は、剥ぎ取りユニット41と、押さえユニット42とを備えている。これらのユニット41,42は、前記プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2を互いの間に位置付ける位置に配置されている。
【0061】
剥ぎ取りユニット41は、電線2の上方に配置され、かつ、エアシリンダ43と、ガイド部44と、剥ぎ取り刃45を備えている。
【0062】
エアシリンダ43は、シリンダ本体46と、このシリンダ本体46から突没自在に設けられたロッド47とを備えている。シリンダ本体46は、ロッド47の長手方向が鉛直方向に沿いかつ伸張するロッド47が電線2に近づく状態で、本体部10の外表面10aに固定されている。
【0063】
ガイド部44は、一対のリニアガイド48と、連結部材49とを備えている。リニアガイド48は、互いの間にエアシリンダ43のシリンダ本体46を位置付けている。リニアガイド48は、それぞれ鉛直方向に沿って直線状に延在しかつ本体部10の外表面10aに固定されたレール50と、このレール50の長手方向に沿って当該レール50に移動自在に設けられたスライダ51とを備えている。
【0064】
連結部材49は、一対のリニアガイド48のスライダ51同士を連結している。連結部材49は、エアシリンダ43のロッド47が取り付けられている。
【0065】
剥ぎ取り刃45は、図3に示すように、厚手の平板状に形成されている。剥ぎ取り刃45は、プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2の上方に配置され、連結部材49に固定されている。
【0066】
剥ぎ取り刃45は、図3に示すように、本体部52と、刃部53と、排出ガイド54とを備えている。本体部52は、図1中の下面が略水平方向と平行でかつ電線2の移動方向としての矢印Kの上流に向かうにしたがって徐々に電線2に近づくように、前述したプーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2の長手方向に対して若干傾いて配置されている。
【0067】
刃部53は、本体部52の電線2の移動方向としての矢印Kの上流側即ち電線2寄りの端に連なっている。刃部53は、本体部52から前記電線2に近づくにしたがって徐々に厚みが薄くなるように形成されている。また、本体部52と刃部53とに亘って、その下面が平坦に形成されている。
【0068】
刃部53の電線2寄りの先端には、図3に示すように、電線2の被覆部5の図2中の上方側の約半分5a(特許請求の範囲の一方側に相当する)を図2中の下方側の約半分5b(特許請求の範囲の他方側に相当する)から切り取って、当該上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから除去する刃面55と、当該刃面55から凹に形成されて内側に芯線4を通して当該芯線4が切断されることを規制するスリット56が設けられている。
【0069】
排出ガイド54は、側縁立設壁57と、奥立設壁58と、平行壁59とを備えている。側縁立設壁57は、刃部53の本体部10寄りの縁から上方に立設している。奥立設壁58は、その表面が電線2の移動方向としての矢印Kに対して直交する状態で、刃部53の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の端部から立設して、側縁立設壁57の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の縁に連なっている。平行壁59は、刃部53の上面と間隔をあけて平行に配置されているとともに、前記側縁立設壁57と奥立設壁58との双方と連なっている。
【0070】
押さえユニット42は、電線2の下方に配置され、かつ、エアシリンダ60と、ガイド部61と、当接刃62を備えている。
【0071】
エアシリンダ60は、シリンダ本体63と、このシリンダ本体63から突没自在に設けられたロッド64とを備えている。シリンダ本体63は、ロッド64の長手方向が鉛直方向に沿いかつ伸張するロッド64が電線2に近づく状態で、本体部10の外表面10aに固定されている。
【0072】
ガイド部61は、一対のリニアガイド65と、連結部材66とを備えている。リニアガイド65は、互いの間にエアシリンダ60のシリンダ本体63を位置付けている。リニアガイド65は、それぞれ鉛直方向に沿って直線状に延在しかつ本体部10の外表面10aに固定されたレール67と、このレール67の長手方向に沿って当該レール67に移動自在に設けられたスライダ68とを備えている。
【0073】
連結部材66は、一対のリニアガイド65のスライダ68同士を連結している。連結部材66は、エアシリンダ60のロッド64が取り付けられている。
【0074】
当接刃62は、図4に示すように、その表面が鉛直方向と平行でかつ電線2の移動方向としての矢印Kに対して直交する状態の帯板状に形成されている。当接刃62は、プーリ17a,17b,17c間に挟まれた電線2の下方に配置され、連結部材66に固定されている。
【0075】
当接刃62は、図4に示すように、本体部69と、当接部70と、スリット71と、排出ガイド72とを備えている。本体部69は、その表面が鉛直方向と平行でかつ電線2の移動方向としての矢印Kに対して直交した帯板状に形成されている。
【0076】
当接部70は、本体部69の連結部材66から離れて電線2寄りの先端に設けられている。当接部70は、切込み6内に侵入して、図2中の下方側の約半分5b(特許請求の範囲の他方側に相当する)の端が当接する。スリット71は、当接部70の端面から凹に形成されている。スリット71は、内側に芯線4を通して当該芯線4が傷つくことを規制する。
【0077】
排出ガイド72は、当接刃62の本体部69の電線2の移動方向としての矢印Kの上流側の表面から凸に形成されて、当該本体部69と一体に形成されている。排出ガイド72は、当接部70には、設けられていない。排出ガイド72は、電線2から離れるのにしたがって、徐々に本体部10から離れる方向に傾斜したガイド面72aを備えている。
【0078】
前述した構成の剥ぎ取り機構15は、剥ぎ取りユニット41のエアシリンダ43のロッド47が伸張して、剥ぎ取り刃45の刃部53の先端が切込み刃32によって形成された切込み6内又は前記切込み6よりも前記電線2の移動方向の前方に侵入する。このとき、スリット56内に芯線4が位置する。そして、移動ユニット11により電線2が矢印Kに沿って移動されることで、剥ぎ取り刃45の刃部53の刃面55が被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから切断して、当該上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから除去する。さらに、下方側の約半分5bから除去された上方側の約半分5aは、排出ガイド54の奥立設壁58及び平行壁59に当接した後、本体部10から離れる方向に案内される。このように、排出ガイド54は、下方側の約半分5bから除去された上方側の約半分5aを当該下方側の約半分5bから離れる方向に案内する。
【0079】
また、前述した構成の剥ぎ取り機構15は、押さえユニット42のエアシリンダ60のロッド64が伸張して、当接刃62の当接部70が切込み刃17,18によって形成された切込み6内に侵入する。このとき、スリット71内に芯線4が位置する。そして、移動ユニット11により電線2が矢印Kに沿って移動されることで、被覆部5の下方側の約半分5bの端が当接部70に当接し、更なる電線2の移動によって、当該当接部70が被覆部5の下方側の約半分5bを芯線4から分離させる。さらに、被覆部5の下方側の約半分5bは、排出ガイド72のガイド面72aなどに当接して、本体部10から離れる方向に案内される。このように、排出ガイド72は、芯線4から分離させた被覆部5の下方側の約半分5bを当該芯線4から離れる方向に案内する。
【0080】
こうして、剥ぎ取りユニット41は、電線2の被覆部5を当該電線2から除去する。剥ぎ取り機構15は、エアシリンダ43,60のロッド47,64が縮小すると、剥ぎ取り刃45及び当接刃62が電線2から離れて、勿論、これらによる電線2の被覆部5の除去を停止する。
【0081】
制御装置16は、周知のROM(Read-only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、CPU(Central Processing Unit)などを備えたコンピュータである。制御装置16は、エンコーダ12と、移動ユニット11のモータと、切断機構13及び各ユニット29,41,42のエアシリンダ19,30,43,60などに接続して、これらの動作を制御することで、電線皮剥ぎ装置1全体の制御をつかさどる。制御装置16は、長尺の電線2を切断する間隔や、被覆部5の除去を開始する位置及びその長さなどを記憶している。制御装置16は、記憶した情報に基づいて、エアシリンダ19,30,43,60などを制御して、電線2を所定の長さに切断するとともに、当該電線2の中央部の予め定められた位置の被覆部5を除去する。
【0082】
前述した構成の電線皮剥ぎ装置1は、以下のように、電線2を所定の長さに切断するとともに、当該電線2の中央部の被覆部5を除去する。まず、図5に示すように、長尺の電線2の一端部を移動ユニット11のプーリ17a,17b,17c間にセットする。この状態では、各エアシリンダ19,30,43,60のロッド24,34,47,64は縮小している。そして、電線皮剥ぎ装置1を起動させる。
【0083】
すると、制御装置16は、駆動プーリ17aを回転駆動して、長尺の電線2を矢印Kに沿って移動した後、切断機構13のエアシリンダ19が伸縮して、切断刃21,22が互いに接離して、電線2を切断する。さらに、制御装置16は、電線2の切断後に、エンコーダ12から情報に基づいて、電線2が矢印Kに沿って予め定められた距離(端から被覆部5を除去する部分までの距離に相当)移動すると、図6に示すように、切込み機構14の各切込みユニット29のエアシリンダ30のロッド34を伸張させて、切込み刃32を電線2の被覆部5に切り込ませて、図7に示すように、エアシリンダ30のロッド34を縮小させる。
【0084】
すると、移動ユニット11の駆動プーリ17aが電線2を矢印Kに沿って引っ張り、かつ切込みユニット29の切込み刃32が電線2の被覆部5を切り込んでいる最中も移動ユニット11が電線2を矢印Kに沿って移動させているので、図7に示すように、電線2の芯線4が外部に露出する切込み6が当該電線2の全周に亘って形成される。
【0085】
そして、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、図8に示すように、エンコーダ12からの情報に基づいて、切込み6が剥ぎ取りユニット41の剥ぎ取り刃45の下方に位置すると、制御装置16は、剥ぎ取りユニット41のエアシリンダ43のロッド47を伸張させる。すると、図9に示すように、剥ぎ取り刃45の刃部53の先端に設けられた刃面55が切込み6内に侵入し、スリット56内に切込み6の芯線4を通す。
【0086】
さらに、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、剥ぎ取り刃45の刃部53の刃面55が切込み6の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分から切断する。そして、図10に示すように、被覆部5の上方側の約半分5aの先端が、排出ガイド54の奥立設壁58に当接した後、図11に示すように、当該排出ガイド54により電線2即ち下方側の約半分5bから離れる方向に案内される。
【0087】
移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、エンコーダ12からの情報に基づいて、切込み6が押さえユニット42の当接刃62の上方に位置すると、制御装置16は、押さえユニット42のエアシリンダ60のロッド64を伸張させる。すると、図12に示すように、当接刃62の当接部70が切込み6内に侵入し、スリット71内に切込み6の芯線4を通すとともに、当該当接部70に切込み6の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の被覆部5の下方側の約半分5bの端が当接する。
【0088】
さらに、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、当接刃62の当接部70が切込み6の電線2の移動方向としての矢印Kの下流側の被覆部5が芯線4とともに矢印Kに沿って移動できずに、芯線4から分離される。芯線4から分離した被覆部5の下方側の約半分5bは、排出ガイド72のガイド面72aにより、図13に示すように、本体部10即ち芯線4から離れる方向に案内される。
【0089】
そして、制御装置16は、切込み6を形成した後に、電線2が矢印Kに沿って予め定められた距離(被覆部5を除去する部分の長さに相当)移動すると、図14に示すように、切込みユニット29のエアシリンダ30のロッド34を一旦伸張させた後縮小させて、切込み6を再度形成する。さらに、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、図15に示すように、制御装置16は、再度形成された切込み6内に剥ぎ取り刃45の刃部53の刃面55が位置すると、剥ぎ取りユニット41のエアシリンダ43のロッド47を縮小させる。
【0090】
さらに、移動ユニット11が電線2を更に矢印Kに沿って移動させていき、図16に示すように、制御装置16は、再度形成された切込み6内に当接刃62の当接部70が位置すると、押さえユニット42のエアシリンダ60のロッド64を縮小させる。そして、制御装置16は、切断した後に、電線2が矢印Kに沿って予め定められた距離(長尺の電線2から切断した得られる電線2の長さに相当)移動すると、切断機構13のエアシリンダ19のロッド24を一旦伸張させた後縮小させて、当該電線2を切断する。こうして、電線皮剥ぎ装置1は、長尺の電線2を切断して所定の長さの電線2を得るとともに、当該所定の長さの電線2の長手方向の中央部の被覆部5を除去する。
【0091】
本実施形態によれば、切込み機構14が電線2の被覆部5の周方向に切込み6を形成してから移動ユニット11により電線2を移動させて、切込みユニット29が形成した切込み6内又は前記切込み6よりも前記電線2の移動方向の前方に剥ぎ取り刃45の先端を侵入させて、移動ユニット11が電線2を移動させることで、被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから当該電線2の長手方向に沿って除去することができる。
【0092】
このため、剥ぎ取り刃45の長さを電線2の被覆部5を除去する部分の長さよりも遥かに短くしても、所望の長さの被覆部5を除去することができる。したがって、装置の大型化を招くことなく長尺な被覆部5の除去を可能とすることができる。
【0093】
また、剥ぎ取り刃45が電線2の上方に配置されているので、被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから除去すると、当該下方側の約半分5bが重力により芯線4から分離しやすくなる。したがって、スムーズに被覆部5を除去することができる。
【0094】
被覆部5の下方側の約半分5bの端に当接する当接刃62を備えているので、当該当接刃62に被覆部5の下方側の約半分5bの端を当接させたまま当該電線2を長手方向に移動させることにより、当該被覆部5の下方側の約半分5bを芯線4から速やかに分離することができる。したがって、被覆部5を確実に芯線4から分離することができる。
【0095】
当接刃62が、芯線4を通すスリット71と、被覆部5の下方側の約半分5bの端に当接する当接部70とを備えているので、芯線4の移動を妨げることなく、芯線4から被覆部5の下方側の約半分5bを分離することができる。
【0096】
当接刃62が被覆部5の下方側の約半分5bを芯線4から離れる方向に案内する排出ガイド72を備えているので、芯線4から分離された被覆部5が芯線4の近傍に留まることを防止できる。したがって、一旦芯線4から分離された被覆部5が、被覆部5の分離を妨げることがないので、芯線4から被覆部5を確実に分離させることができる。
【0097】
剥ぎ取り刃45が、電線2の移動方向としての矢印Kの上流に向かうにしたがって当該電線2に近づくように配置された本体部52と、当該本体部52から電線2に近づくにしたがって厚みが徐々に薄く形成された刃部53と、を備えているので、剥ぎ取り刃45により被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから確実に除去することができる。
【0098】
剥ぎ取り刃45の刃部53には、芯線4を通すスリット56と、被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから切断する刃面55とが設けられているので、芯線4の移動を妨げることなく、被覆部5の上方側の約半分5aを下方側の約半分5bから分離することができる。
【0099】
剥ぎ取り刃45が、被覆部5の上方側の約半分5aを芯線4から離れる方向に案内する排出ガイド54を備えているので、下方側の約半分5bから分離された上方側の約半分5aが芯線4の近傍に留まることを防止できる。したがって、一旦芯線4から分離された被覆部5が、被覆部5の分離を妨げることがないので、芯線4から被覆部5を確実に分離させることができる。
【0100】
前述した実施形態では、当接刃62を設けたが、本発明では、当接刃62即ち押さえユニット42を必ずしも設けなくても良い。要するに、本発明では、剥ぎ取り刃45が被覆部5の上方側の約半分5aを除去した際に、下方側の約半分5bがその自重によって芯線4が分離する際には、当接刃62を設けなくても良い。
【0101】
さらに、本発明では、剥ぎ取りユニット41が被覆部5の上方側の約半分5aを除去した後に当接刃62が下方側の約半分5bを除去している。しかしながら、本発明では、剥ぎ取りユニット41が被覆部5の右側の約半分を除去した後に当接刃62が左側の約半分を除去しても良い。要するに、本発明では、剥ぎ取りユニット41が被覆部5の一方側を除去した後に、当該一方側の反対側の他方側を除去すれば良い。
【0102】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電線皮剥ぎ装置の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構の切込み刃の斜視図である。
【図3】図1に示された電線皮剥ぎ装置の剥ぎ取り機構の剥ぎ取り刃の斜視図である。
【図4】図1に示された電線皮剥ぎ装置の剥ぎ取り機構の当接刃の斜視図である。
【図5】図1に示された電線皮剥ぎ装置の移動機構に電線をセットした状態を示す説明図である。
【図6】図5に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構のエアシリンダのロッドが伸張した状態を示す説明図である。
【図7】図6に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構のエアシリンダのロッドが縮小した状態を示す説明図である。
【図8】図7に示された切込み機構によって形成された切込みが剥ぎ取り刃の下方に位置した状態を示す説明図である。
【図9】図8に示された電線皮剥ぎ装置の剥ぎ取り機構の剥ぎ取りユニットのエアシリンダのロッドが伸張した状態を示す説明図である。
【図10】図9に示された剥ぎ取り機構の剥ぎ取りユニットの剥ぎ取り刃により被覆部の上方側の約半分が下方側の約半分から切断された状態を示す説明図である。
【図11】図10に示された被覆部の上方側の約半分が剥ぎ取り刃の排出ガイドにより案内されている状態を示す説明図である。
【図12】図11に示された電線皮剥ぎ装置の剥ぎ取り機構の押さえユニットのエアシリンダのロッドが伸張した状態を示す説明図である。
【図13】図12に示された剥ぎ取り機構の押さえユニットの当接刃により被覆部の下方側の約半分が芯線から分離されている状態を示す説明図である。
【図14】図13に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構のエアシリンダのロッドが伸張した状態を示す説明図である。
【図15】図14に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構により形成された切込み内に剥ぎ取り機構の剥ぎ取りユニットの剥ぎ取り刃が位置した状態を示す説明図である。
【図16】図15に示された電線皮剥ぎ装置の切込み機構により形成された切込み内に剥ぎ取り機構の押さえユニットの当接刃が位置した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1 電線皮剥ぎ装置
2 電線
5 被覆部
5a 上方側の約半分(一方側)
5b 下方側の約半分(他方側)
6 切込み
11 移動ユニット(移動部)
14 切込み機構(切込み部)
45 剥ぎ取り刃
52 本体部
53 刃部
54 排出ガイド
55 刃面
56 スリット
62 当接刃
70 当接部
71 スリット
72 排出ガイド
K 電線の移動方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の長手方向の中央部に位置する被覆部を除去する電線皮剥き装置において、
前記電線を当該電線の長手方向に沿って移動させる移動部と、
前記電線の被覆部の周方向に切込みを形成する切込み部と、
前記切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に先端が侵入して、前記被覆部の一方側を他方側から除去する剥ぎ取り刃と、
を備えたことを特徴とする電線皮剥き装置。
【請求項2】
前記剥ぎ取り刃が前記移動部によって移動される電線の上方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電線皮剥き装置。
【請求項3】
前記切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に先端が侵入して、前記被覆部の前記他方側の端に当接する当接刃を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電線皮剥き装置。
【請求項4】
前記当接刃は、前記被覆部の前記他方側の端に当接する当接部と、前記芯線を通すスリットとを備えていることを特徴とする請求項3記載の電線皮剥き装置。
【請求項5】
前記当接刃は、前記被覆部の前記他方側を前記芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電線皮剥き装置。
【請求項6】
前記剥ぎ取り刃は、平板状に形成されて前記電線の移動方向の上流側に向かうにしたがって当該電線に近づくように前記電線の長手方向に対して傾いて配置された本体部と、前記本体部の前記電線寄りの端に連なりかつ前記電線に近づくにしたがって厚みが徐々に薄く形成されているとともに先端が前記切込み内に侵入する刃部と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の電線皮剥き装置。
【請求項7】
前記刃部には、前記被覆部の一方側を他方側から切断する刃面と、前記芯線を通すスリットと、が設けられていることを特徴とする請求項6記載の電線皮剥き装置。
【請求項8】
前記剥ぎ取り刃は、前記被覆部の前記一方側を前記芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の電線皮剥き装置。
【請求項1】
電線の長手方向の中央部に位置する被覆部を除去する電線皮剥き装置において、
前記電線を当該電線の長手方向に沿って移動させる移動部と、
前記電線の被覆部の周方向に切込みを形成する切込み部と、
前記切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に先端が侵入して、前記被覆部の一方側を他方側から除去する剥ぎ取り刃と、
を備えたことを特徴とする電線皮剥き装置。
【請求項2】
前記剥ぎ取り刃が前記移動部によって移動される電線の上方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電線皮剥き装置。
【請求項3】
前記切込み部が形成した切込み内又は前記切込みよりも前記電線の移動方向の前方に先端が侵入して、前記被覆部の前記他方側の端に当接する当接刃を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電線皮剥き装置。
【請求項4】
前記当接刃は、前記被覆部の前記他方側の端に当接する当接部と、前記芯線を通すスリットとを備えていることを特徴とする請求項3記載の電線皮剥き装置。
【請求項5】
前記当接刃は、前記被覆部の前記他方側を前記芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電線皮剥き装置。
【請求項6】
前記剥ぎ取り刃は、平板状に形成されて前記電線の移動方向の上流側に向かうにしたがって当該電線に近づくように前記電線の長手方向に対して傾いて配置された本体部と、前記本体部の前記電線寄りの端に連なりかつ前記電線に近づくにしたがって厚みが徐々に薄く形成されているとともに先端が前記切込み内に侵入する刃部と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の電線皮剥き装置。
【請求項7】
前記刃部には、前記被覆部の一方側を他方側から切断する刃面と、前記芯線を通すスリットと、が設けられていることを特徴とする請求項6記載の電線皮剥き装置。
【請求項8】
前記剥ぎ取り刃は、前記被覆部の前記一方側を前記芯線から離れる方向に案内する排出ガイドを備えていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の電線皮剥き装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−218060(P2009−218060A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59612(P2008−59612)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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