説明

電線端末処理装置及び電線端末処理方法

【課題】この発明は、製造場所の省スペース化、及び電線端末処理工程と次工程との間におけるリードタイムの短縮化を図りつつ、電線の多品種、少量生産に容易に対応することが可能な電線端末処理装置及び電線端末処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】電線Wの端末Wa,Wbを処理する端末処理部1aと、電線Wを搬送する搬送部7とを備え、端末処理部1aにより端末処理され、搬送部7により搬送された電線Wを排出する排出部6を備えるとともに、該排出部6には、所定の配置パターンで電線Wを固定する排出ビーム11を備えており、排出部6において電線Wを排出ビーム11に固定する固定処理を制御する演算装置20を備え、該演算装置20により、前記所定の配置パターンを、次工程における電線Wの加工内容に基づいて設定する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線端末処理装置及び電線端末処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に用いられるワイヤーハーネスとは、絶縁被覆された電線導体からなる電線が複数束ねられ、電線端末に接続端子が配置され、さらに接続端子がコネクタハウジングに収められてコネクタが形成されているものである。
【0003】
従来より、ワイヤーハーネスは、電線切断→端末の被覆除去→端子接続(圧着・圧接)→コネクタ挿入の順で各工程を経ることにより製造される。
【0004】
上述した工程のうち、電線の切断工程は、電線を1本ずつ所定の長さに切断する工程であり、端末の被覆除去工程は、絶縁被覆の一部を除去して電線導体を露出させる工程である。また、端子接続工程は、露出した電線導体に端子を圧着、圧接する工程である。なお、圧接の場合は絶縁被覆を残したままでも電線導体に端子を接続できる場合もある。
【0005】
コネクタ挿入工程は、ワイヤーハーネス毎に定められた端子付き電線を収集し、端子をコネクタハウジングの所定の位置に挿入することを繰り返す工程である。このコネクタ挿入工程を経た後、最後に束ねられた電線をテープ等で固定することで、一組のワイヤーハーネスができあがる。これらの各工程は手作業あるいは自動化された装置により実行される。下記特許文献1には、ワイヤーハーネスの製造についての例が開示されている。
【0006】
ところで、上述した各工程のうち、電線切断工程から端子接続工程までを含む電線端末処理工程では、電線の供給部や端子等の組み付け部品の供給部、及び端末に端子等の組み付け部品を接続(圧着)する接続部(圧着部)の段替えを行い、複数種の端末処理済み電線の製造に対応している。
【0007】
従来、上述した段替えに掛かる時間的負荷や作業負荷を軽減する目的から、一般的に、必要となる電線の種類毎に複数本単位で纏めて端末処理を行い、端末処理済み電線を中間在庫として一時保管しておくいわゆるロット生産方式と呼ばれる生産方式が採用されている。
【0008】
このロット生産方式では、例えば、図19に示すワイヤーハーネスの製造工程のように、前記段替えにより複数種(図では2種類)の電線を複数(図では3機)の電線端末処理装置を用いてそれぞれ製造する。図19では、各電線端末処理装置が、電線の長さや、接続された端子の種類等が異なる電線W1、W3、W5を製造し、それぞれ段替えを行った後、さらに異なる種類の電線W2、W4、W6を製造する。
【0009】
次に、電線端末処理装置での端末処理工程が終了すると、電線W1〜W6は、その種類毎に工場内に設けられた所定の保管スペースに仕分けして一時保管される。一時保管された電線W1〜W6は、保管された複数種の中から必要なものを作業者が人手により抜き出して、次工程に移される。
【0010】
電線端末処理工程の次の工程としては、例えば、複数本の電線に撚りを加えて交絡させるツイスト工程、複数本のワイヤーハーネスの端末同士を接続するジョイント工程、車両1台分に使用されるワイヤーハーネスを構成する一部分を予め組み付けるサブアッシ工程等が挙げられる。
【0011】
実際、上述した端末処理済み電線W1〜W6は、ワイヤーハーネスを組み付ける車種等の違いにより、ツイスト工程やジョイント工程を経てからサブアッシ工程に移されるか、あるいは、直接サブアッシ工程に移される。そして、このサブアッシ工程で組み付けられた電線群は、組立コンベアで搬送され、コネクタ挿入等の工程を経て、車一台分のワイヤーハーネスを形成するための最終的な組付け工程に移される。
【0012】
ここで、上述したロット生産方式では、前記保管用スペースに保管される電線の種類が多くなると、電線端末処理工程の次工程で必要となる電線W1〜W6を人手によって抜き出す作業が複雑化してしまい、誤って異なる種類の電線を作業者が抜き出す虞がある。このような理由から、誤組み付け等の製造不良が発生し易かった。
【0013】
また、端末処理済み電線は、その種類毎に整理されずに山積みにされると、次工程の際に目的の電線を探すのに時間がかかってしまったり、電線同士が絡まって、取り出しにくかったりする。このため生産性が劣っていた。
【0014】
そこで、下記特許文献2では、電線端末処理装置に隣接して設けられた保管スペースに、端末処理済み電線を種類毎に仕分けして保管する電線供給棚を設けたものが開示されている。下記特許文献2では、仕分けされた電線を種類別に収納する複数のホルダが、電線供給棚にセットされている。そして、ホルダ毎に蓋が設けられ、次工程で必要とされる電線に対応する蓋のみが自動的に開放されるようにすることで、誤組み付けの抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第96/24179号パンフレット
【特許文献2】特開平6−223646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、前記特許文献2に開示された従来技術を含め、ロット生産方式では、上述したように端末処理済み電線を種類毎に仕分けして保管する保管用スペースが必要になることから、工場、工程、生産の規模に応じて前記保管用スペースが増大し、スペース効率が悪くなるという問題があった。
【0017】
また、ワイヤーハーネスを形成する電線群を一組揃える場合、予め種類別に端末処理、仕分けされた多種多様な電線の中から必要なものを選択し、一組分集める必要がある。このため、次工程ではいわゆる材料待ちを発生させ、結果としてリードタイムの長期化を招いていた。
【0018】
また、ワイヤーハーネスの多品種、少量生産が必要となった場合には、電線の種類が増えることになるため、上述したロット生産方式では、予め多数種の電線を製造する必要がある反面、生産数が少量であることから、前記保管スペースで保管される電線の中間在庫が多数発生するという問題があった。
【0019】
この発明は、製造場所の省スペース化、及び電線端末処理工程と次工程との間におけるリードタイムの短縮化を図りつつ、電線の多品種、少量生産に容易に対応することが可能な電線端末処理装置及び電線端末処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明の電線端末処理装置は、電線の端末を処理する端末処理部と、前記電線を搬送する搬送部とを備えた電線端末処理装置であって、前記端末処理部により端末処理され、前記搬送部により搬送された前記電線を排出する排出部を備えるとともに、該排出部には、所定の配置パターンで前記電線を固定する固定手段を備えており、前記排出部において前記電線を前記固定手段に固定する固定処理を制御する演算部を備え、該演算部により、前記所定の配置パターンを、次工程における前記電線の加工内容に基づいて設定する構成としたことを特徴とする。
【0021】
この発明の態様として、前記固定手段では、並列方向に整列した前記電線の端末部を係止する係止部を前記並列方向に複数配置しており、前記演算部は、前記配置パターンとして、前記並列方向における前記電線の整列パターンを設定し、前記排出部では、前記整列パターンで前記電線を前記固定手段に固定させる構成とすることができる。
【0022】
また、この発明の態様として、前記係止部の並列方向と、前記搬送部による前記電線の搬送方向とを略同一方向とした構成とすることができる。
【0023】
また、この発明の態様として、前記演算部による制御により、前記搬送部により搬送された前記電線の両端末を把持して前記排出部での排出処理を行う排出チャックを、前記搬送部と前記排出部との間に複数有するとともに、前記排出チャックを、略水平でかつ前記搬送方向に対して略垂直な方向に並設しており、前記排出チャックは、前記電線の両端末を、前記並列方向の同じ位置に重ねて固定することにより、前記電線を折りたたんだ状態で前記固定手段に固定させる構成とすることができる。
【0024】
また、この発明の態様として、前記次工程における前記電線の加工内容に関連する電線加工情報を記録した記録部を備え、前記演算部により、前記所定の配置パターンを、前記電線加工情報に基づいて設定するとともに、該電線加工情報に基づいて、前記端末処理部及び前記搬送部を前記演算部により制御する構成とすることができる。
【0025】
また、この発明の態様として、前記電線加工情報に基づいて、前記端末処理部による電線毎の端末処理を前記演算部により制御する構成とすることができる。
【0026】
また、この発明の態様として、前記端末処理部に、端末処理パターンに応じて前記電線の処理を行う処理手段を備え、前記電線加工情報に基づいて、前記処理手段を前記演算部により制御する構成とすることができる。
【0027】
また、この発明の態様として、前記記録部を、前記固定手段に固定するとともに、前記記録部から前記電線加工情報を読み取る読取部を備え、該読取部により読み取った前記電線加工情報に基づいて、前記固定処理を前記演算部により制御する構成とすることができる。
【0028】
また、この発明の電線端末処理方法は、電線の端末を処理する端末処理と、前記電線を搬送する搬送処理とを行う電線端末処理方法であって、端末処理がなされ、前記搬送処理により搬送された前記電線を排出する排出処理を行い、該排出処理では、次工程における前記電線の加工内容に基づいて設定した配置パターンで前記電線を固定する固定処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、製造場所の省スペース化、及び電線端末処理工程と次工程との間におけるリードタイムの短縮化を図りつつ、電線の多品種、少量生産に容易に対応することが可能な電線端末処理装置及び電線端末処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る電線端末処理装置の平面図。
【図2】電線端末処理装置の排出装置についての説明図。
【図3】電線端末処理装置の平面図であって、電線が圧着部に供給される状態を示す図。
【図4】電線端末処理装置の平面図であって、排出装置が電線の排出側端末を把持した状態を示す図。
【図5】電線端末処理装置の平面図であって、排出装置が供給側端末と排出側端末を把持した状態を示す図。
【図6】電線端末処理装置の平面図であって、電線の端末が排出ビームに固定された状態を示す図。
【図7】排出ビーム、及びこれに電線を固定した態様を示す図。
【図8】排出ビームへ電線を固定した別の態様を示す平面図。
【図9】この発明の実施形態に係る電線端末処理装置及び電線端末処理方法を用いたワイヤーハーネスの製造工程を説明するための説明図。
【図10】従来の電線端末処理装置の平面図。
【図11】この発明の他の実施形態に係る電線端末処理装置の排出ビーム、及びこれに電線を固定した状態を示す図。
【図12】電線端末処理装置の平面図。
【図13】排出ビーム供給排出部の正面図。
【図14】排出部の正面図であって、排出ビームを排出ビーム供給部に挿入した状態を示す図。
【図15】排出部の正面図であって、排出ビームを排出ビーム排出部まで上昇させた状態を示す図。
【図16】排出部の正面図であって、一方の排出ビームを移載爪により排出ビーム排出部の所定の位置まで移動させた状態を示す図。
【図17】この発明のさらに他の実施形態に係る電線端末処理装置の排出ビーム、及びこれに電線を固定した態様を示す図。
【図18】排出ビームへ電線を固定したさらに別の態様を示す図。
【図19】従来のワイヤーハーネスの製造工程を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の電線端末処理装置1は、図1乃至図8に示すように、電線Wの端末を処理する端末処理部1a(計尺部2、切断部3、ストリップ部4、圧着部5)と、電線Wを搬送する搬送部7とを備えた電線端末処理装置1であって、前記端末処理部1aにより端末処理され、搬送部7により搬送された電線Wを排出する排出部6を備えるとともに、排出部6には、所定の配置パターンで電線Wを固定する排出ビーム11を備えており、排出部6において電線Wを排出ビーム11に固定する固定処理を制御する演算装置20を備え、該演算装置20により、前記所定の配置パターンを、次工程における電線Wの加工内容に基づいて設定する構成としている。
【0032】
また、排出ビーム11では、並列方向に整列した電線Wの端末部Wa、Wbを係止する係止部11b、11b、…を前記並列方向に複数配置しており、演算装置20は、前記配置パターンとして、前記並列方向における電線Wの整列パターンを設定し、排出部6では、前記整列パターンで電線Wを排出ビーム11に固定させる構成となっている。
ここで、係止部11bの並列方向は、搬送部7による電線Wの搬送方向Cと略同一方向となっている。
【0033】
また、演算装置20による制御により、搬送部7により搬送された電線Wの両端末Wa、Wbを把持して排出部6での排出処理を行う排出チャック10a、10bを、搬送部7と排出部6との間に複数有するとともに、排出チャック10a、10bを、略水平でかつ搬送部7の搬送方向Cに対して略垂直な方向に並設している。そして、排出チャック10a、10bは、両端末Wa、Wbを、前記並列方向の同じ位置に重ねて固定することにより、電線Wを折りたたんだ状態で排出ビーム11に固定させる構成となっている。
【0034】
また、端末処理工程の次工程における電線Wの加工内容に関連する電線加工情報を記録した記憶装置21を備え、演算装置20により、前記所定の配置パターンを、前記電線加工情報に基づいて設定するとともに、該電線加工情報に基づいて、端末処理部1a及び搬送部7を演算装置20により制御する構成としている。
また、前記電線加工情報に基づいて、端末処理部1aによる電線W毎の端末処理を演算装置20により制御する構成としている。
また、端末処理部1aに、後述する端末処理パターンに応じて電線Wの処理を行う処理手段としての圧着装置5a,5b,5c,5dを備え、前記電線加工情報に基づいて、圧着装置5a,5b,5c,5dを演算装置20により制御する構成としている。
【0035】
本発明の実施形態について、図1乃至図9とともに、詳述する。
図1は本発明の実施形態に係る電線端末処理装置1の平面図であり、図2は、電線端末処理装置1の排出装置10についての説明図である。詳しくは、図2(a)は、排出チャック10aが開放した状態で排出シリンダ10cが下降し、排出チャック10aが排出側端末Wbを把持した状態を示す図であり、図2(b)は、排出チャック10bが開放した状態で排出チャック10aが排出側端末Wbを把持したまま、排出シリンダ10cが上昇した状態を示す図である。また、図2(c)は、排出チャック10bが開放した状態で排出シリンダ10dが下降した後、排出チャック10bが供給側端末Waと排出側端末Wbを把持した状態を示す図であり、図2(d)は、排出チャック10aが排出側端末Wbを一旦開放し、次いで、排出チャック10bが供給側端末Waと排出側端末Wbを把持したまま、排出シリンダ10dが上昇し、排出チャック10aが供給側端末Waと排出側端末Wbを把持した状態を示す図である。
【0036】
また、図3は、電線端末処理装置1の平面図であって、電線Wが圧着部5に供給される状態を示す図であり、図4は、電線端末処理装置1の平面図であって、排出装置10が電線Wの排出側端末Wbを把持した状態を示す図である。図5は、電線端末処理装置1の平面図であって、排出装置10が供給側端末Waと排出側端末Wbを把持した状態を示す図である。
【0037】
また、図6は、電線端末処理装置1の平面図であって、電線Wの端末Wa、Wbが排出ビームに固定された状態を示す図であり、図7は、排出ビーム11、及びこれに電線Wを固定した状態を示す図である。詳しくは、図7(a)は排出ビーム11の平面図、図7(b)はX1−X1断面図、図7(c)はX2−X2断面図である。
【0038】
また、図8は、排出ビーム11へ電線Wを固定した別の状態を示す平面図であり、図9は、本発明の実施形態に係る電線端末処理装置1、及び電線端末処理方法を用いたワイヤーハーネスの製造工程を説明するための説明図である。
【0039】
図1に示す電線端末処理装置1では、後述する計尺部2の図面上側から下方向に向けて電線Wを供給し、後述する計尺、切断、接続(圧着)、排出の各工程を経ることにより、電線供給側Aの方から電線排出側Bに向かって電線が移動していく。
【0040】
ここで、電線Wは、導電線を有する導体と、該導体を被覆する非導電性の被覆とにより構成されている。なお、図中では、電線Wの供給側端末及び排出側端末を、それぞれ符号Wa、Wbで示している。
【0041】
電線端末処理装置1は、電線を計尺する計尺部2、計尺した電線を切断する切断部3、端末Wa,Wbの被覆の除去を行うストリップ部4、被覆が除去された電線Wの端末Wa,Wbに端子を圧着する圧着部5、圧着した電線を排出する排出部6、計尺部2から排出部6まで電線Wを移動させる搬送部7、該搬送部7を駆動する搬送用アクチュエータ8、圧着処理後に搬送部7により搬送された電線Wを排出部6に排出するための一時把持チャック9、一時把持チャック9からさらに端末Wa,Wbを受け取って、排出部6へ移動させるための排出装置10、各部(計尺部2、切断部3、ストリップ部4、圧着部5、搬送部7(搬送用アクチュエータ8)、一時把持チャック9、排出装置10)を制御する制御信号を送信する演算装置20、後述する電線加工情報を記憶する記憶装置21、及び前記制御信号を伝達するケーブル22を有する。本実施形態では、上述したもののうち、計尺部2、切断部3、ストリップ部4、圧着部5により電線の端末処理を行う端末処理部1aを構成している。
【0042】
また、このうち、圧着部5は、複数種の端末処理パターン(本明細書では、端末Wa,Wbに圧着する端子の種類や端子の有無等に応じた端末処理のパターンを端末処理パターンという。)に対応できるように、端子の種類毎に複数の圧着装置5a、5b、5c、5dを備えている。なお、本実施形態では、4種類の端子に対応すべく、4機の圧着装置5a、5b、5c、5dを備えている。
【0043】
また、計尺部2から排出部6までの電線Wの移動は、搬送部7により行う。搬送部7は、電線端末処理装置1の本体に固定された複数の固定側チャック7aと、電線端末処理装置1の本体に対し搬送可能にされた複数の搬送側チャック7bと、複数の搬送側チャック7bを固定するガイドレール7cとで構成されており、それぞれのチャック7a,7bは1列に並んでいる。
【0044】
ここで、固定側チャック7aと搬送側チャック7bとは、図面の左右方向に開閉するものであり、固定側チャック7aは、計尺部2及び切断部3に対向する第1固定側チャック7a1、ストリップ部4に対向する第2固定側チャック7a2、圧着部5の各圧着装置5a〜5dに対向する第3固定側チャック7a3,7a3,…により構成されている。
【0045】
また、搬送側チャック7bについても、これが計尺部2及び切断部3に対向する第1搬送側チャック7b1、ストリップ部4に対向する第2搬送側チャック7b2、圧着部5の各圧着装置5a〜5dに対向する第3搬送側チャック7b3,7b3,…により構成されている。なお、これら固定側チャック7a、搬送側チャック7bは、いずれも市販のエアチャックを用いることができる。
【0046】
ガイドレール7cは、搬送用アクチュエータ8と接続されており、搬送方向Cに平行に移動できる。このため、搬送部7は、電線供給側Aから電線排出側Bへ、電線を搬送方向Cに略直線的に搬送することができる。
【0047】
具体的には、搬送部7では、電線Wの端末Wa、Wbを固定側チャック7aで把持した後、この端末Wa、Wbを搬送方向Cにおいて同じ位置にある搬送側チャック7bに把持させる。そして、搬送側チャック7bが端末Wa,Wbを把持した状態のまま、固定側チャック7aの把持を解除するとともに、電線排出側Bへ向けて、搬送方向Cに平行にガイドレール7cを1ステップ移動させる。その後、端末Wa,Wbを把持している搬送側チャック7bと搬送方向Cにおいて同じ位置にある固定側チャック7aに端末Wa,Wbを把持させる。
【0048】
次いで、ガイドレール7cを電線供給側Aに1ステップ戻し、固定側チャック7aで把持した端末Wa、Wbを、搬送方向Cにおいて同じ位置にある搬送側チャック7bに把持させる。そして、上述した固定側チャック7a、搬送側チャック7bの一連の動作を再び実行させる。このような一連の動作を繰り返すことで、電線Wは、切断処理工程や圧着処理工程を経て電線排出側Bへ順に送られていく。
【0049】
ところで、圧着部5と、該圧着部5による圧着処理後に搬送部7により搬送された電線を排出する排出部6との間には、搬送側チャック7bから一時的に端末Wa,Wbを受け取って把持する一時把持チャック9が配置され、搬送部7と排出部6との間には、一時把持チャック9からさらに端末Wa,Wbを受け取って、これを排出部6へ移動させるための排出装置10が配置されている。
【0050】
次に、図2を参照して排出装置10について説明する。排出装置10は、複数(ここでは2つ)の排出チャック10a、10bを上下に移動可能にする排出シリンダ10c、10d、及び排出シリンダ10c、10dを吊り下げ、かつ排出チャック10a、10bと排出シリンダ10c、10dを水平方向に移動可能にし、一時把持チャック9の手前から後述する排出ビーム11の手前まで電線Wを移動させる排出アクチュエータ10eとで構成される。排出チャック10a、10bは略水平に並んでおり、かつ、搬送方向Cに対して略垂直な方向(図中矢印方向D参照)に並設されている。なお、図2では、前記搬送方向Cが、図2の紙面表裏方向となる。
【0051】
ところで、演算装置20には、電線端末処理装置1で実行される電線Wの端末処理工程の次の工程の加工内容に関連した電線加工情報が予め入力され、演算装置20はこれを記憶装置21に記憶させる。そして、演算装置20は、必要に応じて記憶装置21から前記電線加工情報を読み出して、これを基に、端末処理部1a(計尺部2、切断部3、ストリップ部4、圧着部5)、搬送部7、一時把持チャック9、排出装置10等を制御する。
【0052】
ここで、上述した加工内容とは、加工時に使用される電線の種類、本数、加工する電線の順序、加工種別(例えば、ツイスト工程、ジョイント工程、サブアッシ工程等)を含む。
【0053】
次に、排出部6に配置される排出ビーム11について説明する。排出ビーム11は、排出された電線を、小型に整理して固定する治具である。排出ビーム11は、図7に示すように、底部11aと係止部11bとを有しており、底部11aの長さは0.1〜1m程度である。底部11aは、係止部11bを固定するための板状の固定具であり、金属あるいは樹脂等からなる。底部11aの上面には略等間隔に配置された穴を有している。
【0054】
係止部11bは、支持棒11cと、支持棒11cの下端部を固定するボルト11dと、支持棒11cの側部を覆う係止体11eからなり、係止部11bは複数並列に配置されている。
【0055】
支持棒11cは、係止体11eで周囲を覆われるとともに、支持棒11cの一端側には、ねじ穴11c1が形成されている。そして、底部11aの内部には、ボルト11dが配置されており、このボルト11dが底部11aの前記穴を貫通し、ねじ穴11c1に螺着されることによって、支持棒11cの一端側が底部11aにねじ止めされている。
【0056】
ここで、係止体11eは、中央に支持棒11cを挿通させるための穴を有した円筒形状をなしている。係止体11eの断面形状は、電線が固定しやすい形状であればよく、星型や菱形にしてもよい。
【0057】
なお、係止体11eの間隔は、電線を傷つけずかつ確実に電線を係止(挟持)するように設定される。すなわち、係止体11eの外表面間の距離は電線径よりも短く設定される。また、支持棒11cの外表面間の距離は電線径よりも長く設定される。また、係止体11eは、弾性体、樹脂、ゴム、スポンジ等の弾性変形する材質からなっている。
【0058】
そして、排出ビーム11は、隣接する係止部11b,11b…(係止体11e,11e…)の間に係止空間11f,11f…を形成している。これにより、隣接する係止部11b,11bの間の係止空間11f内に電線Wの端末Wa,Wbを挿入して、各係止体11e,11eで端末Wa,Wbを挟持させるようにすれば、所定位置に該端末Wa,Wbを係止することができる。
【0059】
排出部6では、係止部11bの並列方向と、搬送部7による電線Wの搬送方向Cとが略同一方向となるように、排出ビーム11が配置されている。
【0060】
次に、本実施形態の電線端末処理装置1の動作を説明する。
演算装置20による動作制御によって、電線端末処理装置1は、図示しない電線供給装置により、図1にて実線で示すように、計尺部2及び切断部3を通過する所定の経路に沿って電線Wを供給する。電線Wは、その排出側端末Wbの向きが、図示しない反転装置により図1にて実線で示すように180度回転させられ、ストリップ部4に配置される。この時、ストリップ部4に対向する第2固定側チャック7a2により、排出側端末Wb付近が把持されたまま、ストリップ部4において排出側端末Wbの被覆が一部除去される。
【0061】
ここで、前記電線供給装置により電線Wが供給されると、計尺部2を通過する際、該計尺部2によって電線Wの全長が計尺され、所望の長さまで送り出される。そして、切断部3と対向する第1固定側チャック7a1により供給側端末Waが把持され、この供給側端末Waが、切断部3においてカッター等により切断される。
【0062】
本実施形態では、演算装置20による計尺部2、切断部3の制御により、記憶装置21に記憶された前記電線加工情報に基づいて、電線W毎にその長さを設定する等、各電線Wに応じた端末処理が可能となっている。
【0063】
次いで、電線Wは、搬送部7により搬送方向Cの方向へ1ステップ搬送される。詳しくは、電線Wの供給側端末Waと排出側端末Wbを、第1固定側チャック7a1,第2固定側チャック7a2で把持しているところで、これら供給側端末Waと排出側端末Wbを、搬送方向Cにおいて同じ位置にある第1搬送側チャック7b1、第2搬送側チャック7b2で把持する。次いで、第1,第2固定側チャック7a1,7a2の把持を解除し、搬送用アクチュエータ8の駆動により、ガイドレール7cを、電線排出側Bに向けて、搬送方向Cに平行に1ステップ移動させる。
【0064】
具体的には、電線端末処理装置1においては、ガイドレール7cが移動することで、すべての搬送側チャック7b(7b1〜7b3)が1ステップ電線排出側Bへ移動する。それにより、図1において二点鎖線で示す電線W´のように、排出側端末Wb´は、1ステップ移動して圧着部5に達する。同時に、供給側端末Wa´は、1ステップ移動して、ストリップ部4に達する。
【0065】
次いで、電線Wの供給側端末Waと排出側端末Wbは、第2固定側チャック7a2、第3固定側チャック7a3により把持され、次いで、第1,第2搬送側チャック7b1、7b2による把持が解除される。次いで、図示しない端子圧着機(アプリケータ)により、圧着部5において排出側端末Wbに端子が圧着される。また、ストリップ部4において供給側端末Waの被覆が一部除去される。
【0066】
その後、ガイドレール7cを電線供給側Aに1ステップ戻し、第3固定側チャック7a3で把持した排出側端末Wbを、搬送方向Cにおいてこの第3固定側チャック7a3と同じ位置にある第3搬送側チャック7b3に把持させ、同時に、第2固定側チャック7a2で把持した供給側端末Waを、搬送方向Cにおいてこの第2固定側チャック7a2と同じ位置にある第2搬送側チャック7b2に把持させる。そして、第2,第3固定側チャック7a2、7a3によるWa,Wbの把持が解除される。
【0067】
次いで、第2,第3搬送側チャック7b2、7b3が端末Wa,Wbを把持した状態のまま、電線排出側Bへ向けて、搬送方向Cに平行にガイドレール7cを1ステップ移動させる。これにより、端末Wa,Wbは、1ステップ移動する。
【0068】
次いで、供給側端末Waは、第3固定側チャック7a3により把持されると同時に、排出側端末Wbは、搬送方向Cにおいて第3搬送側チャック7b3と同じ位置にある第3固定側チャック7a3により把持される。そして、第2,第3搬送側チャック7b2、7b3による把持が解除される。次いで、前記端子圧着機(アプリケータ)により、圧着部5において供給側端末Waに端子が圧着される。
【0069】
このように、固定側チャック7aによる端末Wa,Wbの把持、搬送側チャック7bによる端末Wa,Wbの把持、固定側チャック7aによる端末Wa,Wbの把持の解除、ガイドレール7cの移動、固定側チャック7aによる端末Wa,Wbの把持、搬送側チャック7bによる端末Wa,Wbの把持の解除、ガイドレール7cの戻り、搬送側チャック7bによる端末Wa,Wbの把持、固定側チャック7aによる端末Wa,Wbの把持の解除、ガイドレール7cの移動、…といった一連の動作を繰り返しながら、所望の端末処理を行っていく。
【0070】
なお、上述した圧着部5は複数の圧着装置5a、5b、5c、5dを備えている。これは、電線Wの種類等によって端末処理パターンが設定されていることによって、圧着する端子が異なる場合があるためであり、例えば、図3に示すように、供給側端末Waおよび排出側端末Wbが所定の圧着装置5a〜5dに達したら圧着を開始するよう、記憶装置21に予め記憶された電線加工情報に基づき、演算装置20により制御される。
【0071】
次いで、図3に示すように圧着処理がなされた電線Wは、排出部6に排出される。詳しくは、電線Wの排出側端末Wbを第3固定側チャック7a3で把持しているところで、この排出側端末Wbを、第3搬送側チャック7b3が把持し、その後第3固定側チャック7a3による把持を解除する。そして、図4に示すように、電線排出側Bへ向けて搬送方向Cにガイドレール7cを1ステップ移動させた後、圧着部5と排出部6の間に配置された一時把持チャック9が、第3搬送側チャック7b3から排出側端末Wbを受け取って把持する。次いで、排出装置10が排出側端末Wbを受け取って把持し、一時把持チャック9は排出側端末Wbを開放する。
【0072】
さらに、電線Wの供給側端末Waを第3固定側チャック7a3で把持しているところで、図4に示す状態からガイドレール7cが電線供給側Aに1ステップ戻る。そして、現在供給側端末Waを把持している第3固定側チャック7a3と搬送方向Cにおいて同じ位置にある第3搬送側チャック7b3が、第3固定側チャック7a3から供給側端末Waを受け取って把持する。
【0073】
次いで、図5に示すように、ガイドレール7cの電線供給側Bへの移動により、第3搬送側チャック7b3が1ステップ電線排出側Bへ移動する。そして、第3搬送側チャック7b3から一時把持チャック9が供給側端末Waを受け取って把持した後、同様に排出装置10が供給側端末Waを受け取って把持し、一時把持チャック9は供給側端末Waを開放する。これにより排出装置10が供給側端末Waと排出側端末Wbを把持することになる。その後、ガイドレール7cは、電線供給側Aに1ステップ戻る。
【0074】
最後に、排出装置10が、排出アクチュエータ10e(図2参照)により、一時把持チャック9と対向する位置から、図6に示すように排出部6内に配置された排出ビーム11の近傍まで移動する。そして、後述するように、排出装置10によって排出ビーム11に電線Wを固定し、電線Wの把持を解除することで、該電線Wの排出部6への排出がなされ、電線Wの端末処理工程が完了する。
【0075】
演算装置20によって制御される排出装置10の動作について詳細に説明する。搬送部7により搬送処理された排出側端末Wbが一時把持チャック9に把持されると、図2(a)のように、排出シリンダ10cが下降し、排出チャック10aが排出側端末Wbを把持する。その後、図2(b)のように、排出チャック10aが排出側端末Wbを把持したまま、排出シリンダ10cが上昇する。
【0076】
次に、搬送部7により搬送処理された供給側端末Waが一時把持チャック9に把持されると、図2(c)のように、排出シリンダ10dが下降し、排出チャック10bが供給側端末Waと排出側端末Wbを把持する。その後、図2(d)のように、排出チャック10bが供給側端末Waと排出側端末Wbを把持したまま、排出シリンダ10dが上昇する。排出シリンダ10dの上昇が完了した後、排出チャック10aは供給側端末Waと排出側端末Wbを把持する。
【0077】
さらに、排出チャック10a、10bと排出シリンダ10c、10dを排出ビーム11の上に排出アクチュエータ10eにより移動させ、排出シリンダ10c、10dを下降させることで、所望の排出ビーム11の係止空間11f(図7参照)に端末Wa,Wbを挿入する。これにより、所望の排出ビーム11の位置に供給側端末Waと排出側端末Wbを固定させる。固定処理が完了したら、排出チャック10a、10bが供給側端末Waと排出側端末Wbを開放する。これにより排出処理が完了となる。
【0078】
供給側端末Waと排出側端末Wbは、所定のクランプ治具(図示せず)により、排出ビーム11の隣接する係止部11bの間の係止空間11fに挿入され、2つの係止体11e、11eで挟持(係止)される。これにより、電線Wは折りたたんだ状態で排出ビーム11に固定される。この時、図7(a)のように、供給側端末Waと排出側端末Wbの双方とも、係止部11bの並列方向において同じ位置、つまりは、同じ係止空間11f内に重ねて固定しても良いし、図8のように、一方の端末である供給側端末Waと他方の端末である排出側端末Wbを別の位置、つまりは異なる係止空間11f内に固定しても良い。電線Wの固定方法はこれに限られることは無く、排出装置10を所望の位置に移動させることで、自由に設定することができる。
【0079】
なお、排出ビーム11では、図7、図8に示すように、複数本の電線Wが係止部11bの並列方向に整列した状態で固定されているが、電線Wが排出ビーム11に固定される時のその配置パターン(ここでは、排出ビーム11の係止部11bの並列方向における整列パターン)は、前記電線加工情報、つまり端末処理工程の次の工程の加工内容に基づいて、演算装置20により設定されている。
【0080】
詳しくは、演算装置20は、記憶装置21から前記加工内容に関連する前記電線加工情報を読み出して、該電線加工情報に基づき排出装置10を制御しており、これにより、排出部6において電線Wを排出ビーム11に固定する固定処理を制御し、予め設定した前記整列パターンに従って複数の電線Wを固定している。
【0081】
前記の一連の動作を繰り返すことにより、複数の電線について端末処理を行い、それらを図9に示す後工程に移すことによりワイヤーハーネスが製造される。詳しくは、電線Wの端末処理工程の次には、図9に示すように、ツイスト工程、ジョイント工程、サブアッシ工程、…等がある。なお、図9のツイスト工程、ジョイント工程、サブアッシ工程、…といった加工種別は、従来の製造工程を示す図19の場合と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0082】
ここで、電線端末処理装置1の排出部6では、例えば、ワイヤーハーネスの製造にあたり次の工程で必要となる電線Wの一式分を、排出ビーム11の右端または左端から、次の工程で使用する順番に基づき整列させる。これにより、作業者が戸惑う事無く、単純に作業を行うことの出来る並べ方とすることが可能である。
【0083】
また、次工程としてツイスト工程に電線Wを供給する場合、一度に撚る電線Wの本数単位で排出ビーム11の右端または左端から繰り返し複数セット分整列させても良い。また、次工程としてジョイント工程に電線Wを供給する場合、一度に接合する電線Wの本数単位で排出ビーム11の右端または左端から繰り返し複数セット分整列させても良い。
【0084】
このように、本実施形態では、特に、電線Wの端末処理工程の次の工程の加工内容に基づいて設定した整列パターンで電線Wを排出ビーム11に固定することにより、次工程で必要な分を整理された状態で排出することができ、排出部6から電線Wを次工程に即座に移して作業を進めることができる。
【0085】
このため、端末処理済みの電線Wを一時保管するためのスペースを削減しつつ、該スペースから次工程に必要なものを選択して引き抜くといった作業を省略することもできる。従って、ワイヤーハーネスの製造場所における省スペース化と、端末処理工程と次工程との間のリードタイムの短縮化を図ることができる。
【0086】
また、次工程で必要な分だけ排出ビーム11に固定させることで、多数種の電線Wを予め製造する必要がなくなる。このため、中間在庫が多数発生するといった不都合がなくなり、多品種、少量生産に容易に対応することができる。
【0087】
また、電線Wを係止部11bの並列方向に整列させる構成とすることにより、作業者は、電線Wの整列順序を確認することで、次工程での作業手順等を容易に把握することができ、次工程における誤組付けをより確実に抑制できる。
【0088】
また、排出ビーム11における電線Wの整列方向を搬送部7による搬送方向Cと略同一方向にすることで、搬送部7と排出部6との間では方向変換手段が不要となり、電線端末処理装置1の複雑化を抑制できる。
【0089】
また、排出チャック10a、10bが略水平に並び、かつ、搬送方向Cに対して略垂直な方向に並設されていることにより、電線端末加工装置1を容易に小型化することができる。
【0090】
詳しくは、従来、図10に示す電線端末処理装置500では、一時把持チャック509a、509bにより、固定側チャック7aと搬送側チャック7bから一時的に電線の端末を受け取って把持し、さらに排出チャック510a、510bは、一時把持チャック509a、509bから電線の端末を受け取って、排出部6へ移動させる構成となっていた。そのため、一時把持チャック509a、509bの間隔、及び排出チャック510a、510bの間隔は、固定側チャック7aあるいは搬送側チャック7bの間隔と一致させなければならず、それ故に従来の電線端末処理装置500は小型化しにくかった。
【0091】
しかし、本実施形態に係る電線端末処理装置1では、上述したように、排出チャック10a、10bが略水平に並び、かつ、搬送方向Cに対して略垂直な方向に並設されている。これにより、特に搬送方向Cについて、電線端末加工装置1を小型化することができる。
【0092】
さらに、上述した排出装置10により、図7に示すように、係止部11bの並列方向において重なる位置に端末Wa、Wbを固定することで、係止部11bの数を削減し、ひいては係止部11bの並列方向における排出ビーム11の長さを短くすることができる。このため、排出ビーム11を設置する排出部6をコンパクト化でき、電線端末処理装置1をさらに小型化できる。
【0093】
また、本実施形態では、前記電線加工情報を記録した記憶装置21を備え、前記電線加工情報に基づいて演算装置20が前記整列パターンを設定するとともに、端末処理部1a及び搬送部7等を制御している。このように、共通の演算装置20で各部を制御することにより、電線端末処理装置1における各処理を関連付けて実行させることができる。このため、電線端末処理装置1を自動的かつ効率的に作動させることができる。
【0094】
また、前記電線加工情報に基づいて、端末処理部1aにおける電線W毎の端末処理を演算装置20により制御する構成とすることで、例えば、前記電線加工情報に基づいて、切断部3で切断される電線Wの長さを電線W毎に変更する等の制御を実行することにより、様々な仕様の電線Wを容易に生成することができる。
【0095】
また、端末処理部1aには、端末処理パターンに応じて電線Wの処理を行う処理手段としての圧着装置5a,5b,5c,5dを備え、前記電線加工情報に基づいて圧着装置5a,5b,5c,5dを演算装置20により制御する構成とすることで、例えば、前記電線加工情報に基づいて、圧着される端子の種類や端子の有無等を適宜変更することにより、様々な端末処理パターンで電線Wの端末Wa,Wbを処理することができる。
【0096】
以下に、図11乃至図16を参照して本発明に係る電線端末処理装置および電線端末処理方法の他の実施形態を詳細に説明する。なお、図11〜図16において、図1乃至図9に示す最初の実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0097】
図11は、この発明の他の実施形態に係る電線端末処理装置100の排出ビーム111、及びこれに電線Wを固定した態様を示す図である。図11(a)は平面図、図11(b)はY1−Y1断面図、図11(c)はY2−Y2断面図である。図12は、電線端末処理装置100の平面図、図13は、排出部106の正面図、図14は、排出部106の正面図であって、排出ビーム111を排出ビーム供給部106aに挿入した状態を示す図、図15は、排出部106の正面図であって、排出ビーム111を排出ビーム排出部106bまで上昇させた状態を示す図、図16は、排出部106の正面図であって、一方の排出ビーム111を移載爪118により排出ビーム排出部106bの所定の位置まで移動させた状態を示す図である。
【0098】
電線端末処理装置100は、端末処理工程の次の工程の加工内容に関連する電線加工情報を記録したICタグ112(図11(b)参照)と、該ICタグ112から前記電線加工情報を読み取るICリーダー114と、該ICリーダー114により読み取った前記電線加工情報に基づき、排出部106において電線Wを排出ビーム111に固定する固定処理を制御する演算装置120と、を備え、ICタグ112を、排出ビーム111に固定した構成となっている。
【0099】
本実施形態に係る排出ビーム111は、図11(b),図11(c)に示すように、内部に空洞部111a1を有する中空の底部111aと、該底部111aに並列に固定された複数の係止部11bとで構成されている。
【0100】
空洞部111a1にはICタグ112が固定され、このICタグ112には、図1乃至図9に示す最初の実施形態において記憶装置21が記憶しているものと同様の電線加工情報が記録されている。底部111aの材質は金属以外のもので、かつ、ICタグ112の通信を阻害しないものからなる。好ましくは、軽量な材料である樹脂、プラスチック等が良い。さらに、底部111aはICタグ112が見える様に、透過性の材質がより望ましい。
【0101】
また、図12に示す演算装置120は、排出部106のICリーダー114から前記電線加工情報を受信し、その情報を基に、計尺部2、切断部3、ストリップ部4、圧着部5、排出部106、搬送部7、一時把持チャック9、排出装置10等を制御する。
【0102】
本実施形態では、演算装置120が、ICタグ112に記録された前記電線加工情報に基づいて排出装置10を制御し、予め設定された整列パターンに従って複数の電線Wを固定している。
【0103】
本実施形態に係る排出部106について、図13を参照して説明する。排出部106は、下段に排出ビーム供給部106a、上部には排出ビーム排出部106bとで構成されている。
【0104】
排出ビーム供給部106aは、ベルトコンベア113と、ICリーダー114と、ストッパー115a,115bと、リフター部116を備えている。
【0105】
ICリーダー114は、ベルトコンベア113の上部に配置されている。ベルトコンベア113は、リフター部116の方(図13の右から左)へ送るようベルト113aが送られている。ストッパー115a,115bは、ベルト113aとは独立して配置されているため、ベルト113aが送られていた場合でも排出ビーム111の位置を維持することができる。リフター部116は、リフター台116aとリフター116bにより構成され、図13にて二点鎖線で示す上段位置αと、実線で示す下段位置βとを上下移動可能に構成されている。このリフター台116a、リフター116bにより、排出ビーム111を排出ビーム供給部106aから排出ビーム排出部106bへ持ち上げることができる。
【0106】
排出ビーム排出部106bは、ベルトコンベア113の上部に位置する排出ビーム排出台117を有している。また、排出ビーム111を移動させる移載爪118は、ベルト等の図示しない移動手段により、排出方向Eに平行に移動可能となっている。必要に応じて、ICリーダー114と排出ビーム排出台117の間に、金属遮蔽板を配置することにより、データの誤読み取りを防止できる。
【0107】
本実施形態に係る排出部106における処理について、図14乃至図16により説明する。なお、排出部106における処理は演算装置120により制御され、この演算装置120により、各部(計尺部2、切断部3、ストリップ部4、圧着部5、排出部106、搬送部7(搬送用アクチュエータ8)、一時把持チャック9、排出装置10等)の動作が制御されている。
【0108】
排出部106では、先ず作業者等により、排出ビーム111が排出ビーム供給部106aへ排出ビーム供給方向Sの方向に挿入され、図14に示すようにベルトコンベア113に排出ビーム111が配置される。この時点では排出ビーム111には電線Wが固定されていない。次に、ベルト113aにより排出ビーム供給方向Sの方向に移動し、次いでストッパー115aにより排出ビーム111は止められる(図14参照)。この状態において、排出ビーム111のICタグ112に記録された前記電線加工情報をICリーダー114が読み取る。
【0109】
読み取った前記電線加工情報に基づき、演算装置120は電線端末処理装置100の各部(計尺部2、切断部3、ストリップ部4、圧着部5、排出部106、搬送部7(搬送用アクチュエータ8)、一時把持チャック9、排出装置10等)を制御する。これにより、電線端末処理装置100は自動的に電線の計尺、切断、ストリップ、端子圧着の一連の端末処理を開始する。そして端末処理された電線Wは、排出装置10により、排出ビーム111の係止部11b、11bの間の係止空間11fにて挿入され係止される。
【0110】
次いで、ストッパー115aが開放され、排出ビーム111はベルトコンベア113によりリフター部116の方へ移動する。その際、リフター台116aが上段位置αに位置している状態であれば、ストッパー115bにより、排出ビーム111はリフター台116aの前で停止する。
【0111】
リフター台116aの降下が完了し、これが下段位置βに位置すると、ストッパー115bが開放され、ベルトコンベア113により排出ビーム111はリフター台116aの方へ移動し、排出ビーム111がリフター台116aに積置される。
【0112】
次いで、図15に示すように、リフター116bによりリフター台116aを上段まで上昇させる。なお、リフター116bの駆動はモータ等による。
【0113】
図16に示すように、リフター台116aが上段まで上昇すると、移載爪118により排出ビーム111は所定の位置まで移動する。この時、搬送部7を搬送され排出装置10によって排出部106に達した電線Wは、排出ビーム111の係止空間11fの所望の位置に挿入され、係止部11b,11bの間に係止される。複数の電線Wを係止部11bの間に係止することで、排出ビーム111への電線Wの固定処理が完了する。
【0114】
係止部11bによる電線Wの固定が全て完了すれば、移載爪118を排出ビーム排出方向Eに向かって移動させ、排出処理は完了となる。このあと、作業者が排出ビーム111を取り出し、次工程に移る。
【0115】
なお、図16に示すとおり、電線Wの固定処理を行っている最中であっても、別の排出ビーム111´を排出ビーム供給部106aに挿入しておくことができる。これにより作業の効率化を図ることができる。
【0116】
これらの動作を繰り返し行うことで、作業者は排出ビーム111を排出ビーム供給部106aに投入することのみにより、電線加工情報に基づいて自動で排出ビーム111に所望の電線Wを固定させることができる。よってワイヤーハーネスの製造において、電線Wの誤組み付けの発生を大幅に低減することができる。
【0117】
また、従来、電線端末処理装置において、所定の条件にて端末処理を行う場合、電線や端子等の供給部、及び圧着部の段替えを行った後、各部の制御は、作業者が指示書を確認し、演算装置へ指示書の加工条件もしくは加工条件が判別できる簡略化されたデータを手入力する必要があった。その間装置は停止する為、装置が断続的な稼動となり、稼働率が低下してしまう。このため多品種、少量生産に向いていなかった。
【0118】
これに対し、本実施形態に係る電線端末処理装置100では、排出ビーム111にICタグ112が固定されているので、次工程での加工内容が変化する場合でも、段替え作業のためのデータ入力操作を毎度行うことは不要となる。
【0119】
具体的には、電線端末処理装置100では、製造したいワイヤーハーネスの形態に基づいた電線加工情報を有するICタグ112が配置された排出ビーム111を、排出ビーム供給部106aに投入することで、演算装置120に判別させて自動で段替え作業をさせることができる。これにより、端末処理工程での作業を自動化でき、段替え作業の機会が必然的に多くなる多品種、少量生産を効率的に行うことができる。
【0120】
なお、電線加工情報はICタグ112に限らず、バーコードやQR(Quick Response)コード等でもよい。電波を利用して無線で通信できるものであればかまわない。また、接触、非接触タイプに限らず、電線加工情報が識別できるものであればよい。
【0121】
なお、本実施形態では、ICタグ112に予め記録された前記電線加工情報を読み取る読取部としてICリーダー114を電線端末処理装置100に備えているが、ICタグ112に対して所定の情報を書き込むことができる書込部をさらに備えてもよい。この場合、例えば、端末処理結果に関連する情報(処理日時等)をICタグ112に書き込むことにより、ICタグ112を利用して電線Wの品質管理を行うことが可能になる。
【0122】
また、上述した各実施形態では、排出ビーム11、111に電線Wを固定するにあたり、これらを係止部11bの並列方向に整列することとしたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図17に示す排出ビーム211のように、係止部211bにおいて上下方向に長尺な2つの支持棒211c及び係止体211eを備え、その長手方向、つまり上下方向に複数の電線Wを整列した状態で固定させるようにしてもよい。
【0123】
この場合、排出ビーム211における電線Wの配置パターンは、係止部211bの長手方向(上下方向)における電線Wの整列パターンとなる。例えば、ワイヤーハーネスの製造にあたり次の工程で必要となる電線Wの一式分を、排出ビーム211の上端側から、次の工程で使用する順番に基づき整列させるようにすることが可能である。
【0124】
また、上述した圧着部5では、圧着以外の方法で端子を電線端末に接続しても良く、例えば圧接による接続としても良い。
【0125】
ところで、電線Wの端末Wa,Wbは切断部3にてすべて同一の位置で切断される。このため、圧着部5において端末Wa,Wbに端子を圧着する処理が行われる位置は、電線端末処理装置1、100の搬送方向Cに平行に並ぶようにしなければならない。しかしながら、その反面、圧着装置5a〜5dでの処理パターンの違い等により、前記圧着を行う位置は異なっていることが多い。
【0126】
そこで、ストリップ部4と圧着部5との間に圧着位置調整部を配置し、該圧着位置調整部に、搬送方向Cに垂直な方向へ移動可能な圧着位置調整用固定側チャックを備えてもよい。例えば、圧着部5における圧着処理の前に、予め演算装置20,120によって圧着位置調整部を制御し、前記処理パターンに応じて端末Wa,Wbを最適な圧着位置に配置するように構成すれば、圧着部5の位置調整をしなくとも、適切な圧着を行うことができる。
【0127】
なお、上述した実施形態のように、排出ビーム11,111,211(以下、排出ビーム11等)に電線Wを固定する場合には、次の工程で使用する順番に応じて電線Wの端末処理を行い、端末処理が行われた電線Wから順次、前記整列パターンに従って整列させるようにすればよい。但し、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、電線Wの端末処理は任意の順番で行うこととし、搬送部7による搬送中、または排出ビーム11等に電線Wを固定する段階で、電線Wを所定の並べ替え手段により前記整列パターンに従って並べ替えるようにしてもよい。
【0128】
また、上述した実施形態では、端末処理工程の次の工程で必要となる電線Wの一式分を、排出ビーム11等の右端または左端(排出ビーム211では上端)から、次の工程で使用する順番に基づき整列させることとしたが、本発明では、少なくとも、電線Wの一式分を、整列状態(整列順は任意で可)を保持したまま次の工程に移すことができればよく、排出ビーム11等の端部から電線Wを順番に整列させることに必ずしも限定されない。
【0129】
また、電線端末処理装置1,100では、後述する電線選択部を設けることにより、径や絶縁被覆の色等が異なる様々な種類の電線Wを処理することが可能になり、処理する電線Wの種類や、切断部3で切断する電線Wの長さや、端末Wa,Wbの端末処理パターンを適宜組み合わせることにより、様々な仕様の電線Wを生成することができる。
【0130】
この場合、前記電線供給装置からは、種類が異なる複数の電線Wが供給され、前記電線選択部は、これら複数の電線Wの中から端末処理の対象となるものを選択して計尺部2に供給する。
【0131】
前記電線選択部としては、例えば、前記電線供給装置から供給される各電線Wをそれぞれ個別に把持する複数の把持機構と、該把持機構を所定の間隔を隔てて保持する無端ベルトと、該無端ベルトを回転駆動させるモータ等の駆動手段とを備えたものが用いられる。また、電線選択部では、計尺部2までの電線Wの移動経路上に、いずれか1つの把持機構を択一的に配置することができるように前記無端ベルトの位置が設定されている。
【0132】
ここで、計尺部2に電線Wを供給する際には、先ず前記駆動手段によって前記無端ベルトが回転駆動され、端末処理の対象となる電線Wを把持している把持機構が前記移動経路上に配置される。この時、電線Wは、前記移動系路に沿って配置されることになり、前記把持機構が電線Wの把持を解除することで、図1に示すように電線Wを計尺部2に向かって供給することができる。
【0133】
なお、上述した電線選択部と、計尺部2と、複数の圧着部5とにより、電線Wの種類や長さや端末処理パターンが異なる電線Wを生成することが可能であるが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、圧着部5を1つだけ設けて、端末処理パターンを不変にし、電線Wの種類と長さのみを可変としてもよい。また、電線選択部を省略して、電線Wの長さと端末処理パターンのみを可変としてもよい。
【0134】
ところで、排出ビーム11に電線Wを固定する際、上述した実施形態では、一時把持チャック9と、排出装置10の2つの排出チャック10a,10bとにより電線Wを予め折りたたんだ状態にしてこれを排出ビーム11に固定しているが、本発明は、必ずしもこれに限定されない。例えば、排出装置10には排出チャックを1つだけ設けるとともに、一時把持チャック9を省略し、端末Wa,Wbを排出チャックに個別に把持させて、端末Wa,Wbを片側ずつ排出ビーム11に固定するようにしてもよい。
【0135】
また、電線Wを固定する際、必ずしも折りたたんだ状態にしなくてもよい。端末Wa,Wbのいずれか片側のみを排出チャックに把持させることによって、例えば、図18に示すように、係止部11b,11b…の間の係止空間11f,11f…に電線Wを一度だけ通し、略真っ直ぐな状態で固定してもよい。
【0136】
また、上述した実施形態では、端末Wa,Wbを係止部11b,11b…に挟持させることによって電線Wを固定する排出ビーム11等が用いられているが、本発明は、少なくとも電線Wの整列状態を保持できるものであればよく、固定手段としては、上述した排出ビーム11等に必ずしも限定されない。例えば、板状の台座部に両面テープ等の接着部材を設けたものを固定手段として使用し、所定の整列パターンに従って電線Wを前記接着部材に貼り付けるようにしてもよい。なお、この場合、接着部材の代わりに磁石を設け、磁力によって電線Wを固定してもよい。
【0137】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、端末処理部は、計尺部2、切断部3、ストリップ部4、及び圧着部5に対応し、
以下同様に、
固定手段は、排出ビーム11、111、111´、211に対応し、
処理手段は、圧着装置5a,5b,5c,5dに対応し、
記録部は、ICタグ112に対応し、
読取部は、ICリーダー114に対応し、
演算部は、演算装置20、120に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0138】
例えば、上述した実施形態では、排出部で排出された電線を排出ビームごと作業者の手作業で次工程の作業場に運ぶ場合について説明したが、排出部で排出された電線を、ベルトコンベアやスクリューコンベア等の機械的搬送手段で自動的に搬送するシステムを備えたものに本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0139】
1…電線端末処理装置
1a…端末処理部
2…計尺部
3…切断部
4…ストリップ部
5…圧着部
6…排出部
7…搬送部
10…排出装置
10a、10b…排出チャック
11、111、111´、211…排出ビーム
11b、211b…係止部
20、120…演算装置
112…ICタグ
114…ICリーダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端末を処理する端末処理部と、
前記電線を搬送する搬送部とを備えた電線端末処理装置であって、
前記端末処理部により端末処理され、前記搬送部により搬送された前記電線を排出する排出部を備えるとともに、
該排出部には、所定の配置パターンで前記電線を固定する固定手段を備えており、
前記排出部において前記電線を前記固定手段に固定する固定処理を制御する演算部を備え、
該演算部により、前記所定の配置パターンを、次工程における前記電線の加工内容に基づいて設定する構成とした
電線端末処理装置。
【請求項2】
前記固定手段では、並列方向に整列した前記電線の端末部を係止する係止部を前記並列方向に複数配置しており、
前記演算部は、前記配置パターンとして、前記並列方向における前記電線の整列パターンを設定し、
前記排出部では、前記整列パターンで前記電線を前記固定手段に固定させる
請求項1に記載の電線端末処理装置。
【請求項3】
前記係止部の並列方向と、前記搬送部による前記電線の搬送方向とを略同一方向とした
請求項2に記載の電線端末処理装置。
【請求項4】
前記演算部による制御により、前記搬送部により搬送された前記電線の両端末を把持して前記排出部での排出処理を行う排出チャックを、前記搬送部と前記排出部との間に複数有するとともに、
前記排出チャックを、略水平でかつ前記搬送方向に対して略垂直な方向に並設しており、
前記排出チャックは、前記電線の両端末を、前記並列方向の同じ位置に重ねて固定することにより、前記電線を折りたたんだ状態で前記固定手段に固定させる
請求項2又は3に記載の電線端末処理装置。
【請求項5】
前記次工程における前記電線の加工内容に関連する電線加工情報を記録した記録部を備え、
前記演算部により、前記所定の配置パターンを、前記電線加工情報に基づいて設定するとともに、
該電線加工情報に基づいて、前記端末処理部及び前記搬送部を前記演算部により制御する構成とした
請求項1から4のうちいずれかに記載の電線端末処理装置。
【請求項6】
前記電線加工情報に基づいて、前記端末処理部による電線毎の端末処理を前記演算部により制御する構成とした
請求項5に記載の電線端末処理装置。
【請求項7】
前記端末処理部に、端末処理パターンに応じて前記電線の処理を行う処理手段を備え、
前記電線加工情報に基づいて、前記処理手段を前記演算部により制御する構成とした
請求項5に記載の電線端末処理装置。
【請求項8】
前記記録部を、前記固定手段に固定するとともに、
前記記録部から前記電線加工情報を読み取る読取部を備え、
該読取部により読み取った前記電線加工情報に基づいて、前記固定処理を前記演算部により制御する構成とした
請求項5から7のうちいずれかに記載の電線端末処理装置。
【請求項9】
電線の端末を処理する端末処理と、
前記電線を搬送する搬送処理とを行う電線端末処理方法であって、
端末処理がなされ、前記搬送処理により搬送された前記電線を排出する排出処理を行い、
該排出処理では、次工程における前記電線の加工内容に基づいて設定した配置パターンで前記電線を固定する固定処理を行う
電線端末処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−100711(P2011−100711A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81041(P2010−81041)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】