説明

電線脱皮不良検出装置

【課題】電線脱皮の時に不良を検出して脱皮不良状態の電線を自動車及び家電製品に挿入させずにハーネスによる故障の発生率を減らすための電線脱皮不良検出装置を提供する。
【解決手段】センサーによって正常的に脱皮されない電線を検出する。剥ぎ取り時のセンサーの受ける力が、正常品の範囲を逸脱すると、不良と判定する。脱皮が不良である電線に端子を圧搾する不必要な工程を遂行しないことによって費用の損失を最小化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電線脱皮不良検出装置に関するもので、さらに詳しくは電線脱皮の時に不良を検出して脱皮不良状態の電線を自動車及び家電製品に挿入させずにハーネスによる故障発生率を減らすための電線脱皮不良検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にハーネスなどに用いられる電線は刃で電線の一部を切断して外皮を脱皮した後に脱皮された心線部分をハーネスなどの端子に圧搾して用いられる。
【0003】
最近は手作業による脱皮作業を改善するために駆動モーターによって動作されるカッターを利用した自動設備が提供されているが、脱皮された電線の中で正常的に脱皮にならない場合が発生する。図1は電線脱皮不良の類型を示す電線の正面図であり、(a)電線の被覆310の一部だけ脱皮、(b)心線320の一部を切断、(c)脱皮が成り立たない、(d)被覆310と心線320を完全に切断する不良が発生する。このような不良は自動設備の操作が未熟とか、脱皮刃の損傷及び脱皮された被覆が脱皮刃に付く場合に発生するようになる。
【0004】
このような電線脱皮の不良は肉眼で確認しにくいし、脱皮が不良である電線に端子を圧搾することによって不必要な製造費用が上昇されて、正常ではない状態に脱皮された電線に端子を圧搾して自動車及び家電製品に挿入することによって頻繁な故障の原因を提供する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記のような問題点を解決するために提案されたもので、電線脱皮の時に脱皮刃が受ける動きを感知するセンサーを具備して電線脱皮不良を検出することができる電線脱皮不良検出装置を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の電線脱皮不良検出装置は電線の被覆を脱皮するために前記の電線の被覆の一部を切断する脱皮刃が結合された補助ブラケットと、前記の補助ブラケットに附着して、前記の電線の被覆を脱皮させるために前記の電線に引張力を加える時に発生される前記の補助ブラケットの曲がり変形を感知するセンサーと、前記の補助ブラケットの曲がり変形信号の伝達を受けて前記の電線脱皮の不良を判定するCPUと、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記のセンサーから前記の補助ブラケットの曲がり変形信号の伝達を受けて増幅させた後に前記のCPUに伝達する増幅器をさらに備える。
【0008】
前記のCPUは前記の増幅器によって増幅された信号と比較される標準値の範囲が入力されて、前記の標準値の範囲を脱する信号を脱皮不良と判定することを特徴とする。
【0009】
前記の電線脱皮不良検出装置は前記の増幅器によって増幅された信号と前記の標準値の範囲がグラフ化されて出力されて、不良と判定された前記の電線を使用者に知らせるためのモニターをさらに備える。
【0010】
前記の電線を切断するための切断刃が結合された本体ブラケットをさらに備えて、前記の脱皮刃が前記の切断刃の前方と後方にそれぞれ位置されるように、前記の補助ブラケットが前記の本体ブラケットに一対に装着されるように構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明による電線脱皮不良検出装置を利用すれば、センサーによって正常的に脱皮されない電線を検出することで脱皮が不良である電線に端子を圧搾する不必要な工程を遂行しないことによって費用の損失を最小化することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電線脱皮不良の類型を示す電線の正面図である。
【図2】本発明による電線脱皮装置のブロック図である。
【図3】本発明による電線脱皮部の構成図である。
【図4】本発明による電線脱皮不良検出装置の概略的な構成断面図である。
【図5】本発明による電線脱皮不良検出装置のブロック図である。
【図6】本発明による電線脱皮不良検出時のモニター部に表示される脱皮グラフの一例を示す図面である。
【図7】本発明による電線脱皮不良検出装置の作動状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の添付された図面を参照して本発明による電線脱皮不良検出装置の実施例を詳しく説明する。
【0014】
図2は本発明による電線脱皮装置のブロック図であり、図3は本発明による電線脱皮部の構成図であり、図4は本発明による電線脱皮不良検出装置の概略的な構成断面図であり、図5は本発明による電線脱皮不良検出装置のブロック図である。
【0015】
本発明による電線脱皮装置は電線供給部20、電線脱皮部10、電線伝達部30で成り立つ。
【0016】
電線供給部20は電線を一定の速度で供給するが、電線を前後進させながら電線の前端をあらかじめ設定された距離くらい前進または後進移動させて、移動させた後の電線前端の脱皮長さを調節するように構成される。
【0017】
電線伝達部30は電線脱皮部10によって加工された電線の前端の供給を受けて固定させて、供給を受けた電線を前後進させながら電線の後端をあらかじめセッティングされた距離くらい前進または後進移動させて、移動後の電線の後端の脱皮長さを調節するように構成される。
【0018】
電線脱皮部10は電線供給部20から供給を受けた電線を切断して後端電線の前端部を脱皮して、電線伝達部30に供給された前端電線の後端部を脱皮させる。
【0019】
図3を参照して電線脱皮部10を察すれば、刃が下向きの切断刃111と脱皮刃121が固定された第1体つき11、刃が上向きの切断刃211と脱皮刃221が固定された第2体つき12、第1体つき11と第2体つき12を上下移動させる移送装置(未図示)で構成される。
【0020】
刃が下向きの切断刃111は本体ブラケット110に装着されて第1体つき11に固定される。本体ブラケット110の前方と後方には刃が下向きの脱皮刃121が結合された補助ブラケット120が装着されている。
【0021】
刃が上向きの切断刃211は下向きの切断刃111に対応されるように第2体つき12に固定される。本発明によれば上向きの切断刃211は第2体つき12に直接に固定されたが、別途の第2本体ブラケット(未図示)に装着されて固定されることもできる。上向きの脱皮刃221は下向きの脱皮刃121に対応されるように上向きの切断刃211の前方と後方に固定されて、第2体つき12に直接に固定されるとか別途の第2補助ブラケット(未図示)に装着されて固定されることもできる。
【0022】
電線脱皮不良検出装置は補助ブラケット120に装着されるセンサー130と本体ブラケット110に装着される増幅器140及びセンサーから伝達を受けた信号と既入力された値を比べて不良を検出するCPU150で構成される。
【0023】
センサー130は刃が下向きの脱皮刃121が結合された補助ブラケット120に附着される。センサー130は電線の被覆を脱皮する時、脱皮刃121が受ける力の伝達を受ける補助ブラケット120の微細な曲がり変形を感知して、正常ではない脱皮を検出することができる。
【0024】
また、センサー130は本体ブラケット110の前方と後方に位するそれぞれの補助ブラケット120に全部附着して電線の前後端の脱皮が不良である電線をすべて検出することができる。
【0025】
増幅器140は本体ブラケット110の上部に具備されて、センサー130と繋がれる。増幅器140はそれぞれの補助ブラケット120の内側に附着したセンサー130と繋がれるように2個が具備されて、増幅器140によってセンサー130で感知された微細信号が増幅される。
【0026】
この時、センサー130で感知された信号を測定するように構成された CPU150が具備される場合には増幅器で信号を増幅させないでCPU150にすぐ伝達するように構成されることができる。
【0027】
増幅された信号はCPU150に伝達される。CPU150には脱皮不良の電線を検出するために基準になる値である標準値の範囲が入力されている。標準値は一定の個数の電線をサンプリングして脱皮の時に脱皮の引張力によって脱皮刃の変形を測定してその平均値を計算することによって得られるのである。
【0028】
ここで、サンプリングする電線の個数をふやすほど電線脱皮の正確度が高くなる。また、電線の太さによって脱皮引張力が変わるので他の太さを持つ電線に入れ替えされる時にはサンプリングされる一番目の電線の脱皮の時の信号を判別して信号の増幅率を調節するように構成されることが好ましい。CPU150は設定された許容誤差の範囲内の標準値を基準で標準値を脱する値にあたる信号の伝達を受ける場合は電線脱皮不良と判定する。
【0029】
この時、許容誤差の範囲は需要者が要求する脱皮の正確度によって変更することができ、許容誤差の範囲が小さいほど電線脱皮の正確度が高い。図6のようにCPU150に入力されている許容誤差の範囲内の標準値は一定の値が維持されて、脱皮の時の作業線が標準値の範囲内に位すれば正常な脱皮であり、標準値の範囲を脱すれば不良脱皮になる。
【0030】
ここで、標準値と脱皮の時の脱皮刃の変形を測定した値をグラフで示して脱皮作業の状態を使用者が確認することができ、脱皮不良判定を使用者に知らせてくれるようにモニター160をさらに具備するのが好ましい。
【0031】
一方、CPU150では電線脱皮装置の作動を制御して不良判定された電線がある場合に電線脱皮装置の作動を停止させる。脱皮不良と判定された電線には端子が圧搾されないように電線を切断するとか、別途のケースを備えて脱皮不良の電線を搬出させることで正常的に脱皮された電線と分離するとか仕分けされることができるようにする。
【0032】
図7は本発明による電線脱皮不良検出装置の作動状態を示す断面図であり、図7の(a)と(b)のように切断刃111,211の前後方に位する脱皮刃121,221が電線の被覆310を脱皮するために電線の被覆310を切開する瞬間、電線が電線の供給の反対方向に後進して、このような動作によって電線の被覆310が脱皮される。この時、電線が後進されながら脱皮される被覆310の引張力によって脱皮刃121,221に一時的に微細な変形や震動が発生する。
【0033】
脱皮刃121,221の変形や震動は脱皮刃121,221が装着されている補助ブラケット120に伝達されて、補助ブラケット120に伝達された震動をセンサー130が感知するようになる。センサー130が感知した震動によって電気信号が発生されてこの信号は増幅器140に伝達される。増幅器140に伝達された信号は増幅されてCPU150に伝達されて、CPU150ではこの増幅された信号をグラフ化してモニター160に出力して表示する。
【0034】
ここで温度の影響をたくさん受けるセンサーの温度補償用で温度センサー170を備えてセンサー130の感度が低下されないように構成するのが好ましい。
【0035】
また、CPU150では増幅器140から受けた信号とCPU150上に入力された許容誤差の範囲内の標準値を比較/演算して脱皮不良の電線を判定する。判定値が正常の場合脱皮はずっと進行されて、不良の場合電線脱皮装置の作動が止められて不良の案内メッセージをモニター160を通じて音声または映像で知らせてくれる。使用者が電線脱皮不良を確認して不良判定を受けた電線が処理されれば電線脱皮装置は再稼動される(図5と図6参照)。
【0036】
このような装置と動作によって不良に脱皮された電線を検出することによって非正常的に脱皮された電線に端子を圧搾する工程をあらかじめ防止して費用を減少させることができる長所がある。
【0037】
また、切断刃が結合された本体ブラケットの前方と後方に脱皮刃が位置されるように構成されることによって作業の能率が向上されて、生産量が増加される。
【0038】
以上、本発明を好ましい実施例を参照して詳しく説明したが、本発明の範囲は特定の実施例に限定されるのではなくて、添付された特許請求の範囲によって解釈されなければならないだろう。また、この技術分野で通常の知識を習得した者なら、本発明の範囲から脱しないながらも多くの修正と変形ができるのを理解しなければならないだろう。
【符号の説明】
【0039】
100 電線脱皮不良検出装置
110 本体ブラケット
111 切断刃
120 補助ブラケット
121 脱皮刃
130 センサー
140 増幅器
150 CPU
160 モニター
170 温度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の被覆を脱皮するために前記の電線の被覆の一部を切断する脱皮刃が結合された補助ブラケットと、前記の補助ブラケットに附着して、前記の電線の被覆を脱皮させるために前記の電線に引張力を加える時に発生される前記の補助ブラケットの曲がり変形を感知するセンサーと、前記の補助ブラケットの曲がり変形信号の伝達を受けて前記の電線脱皮の不良を判定するCPUと、を備えることを特徴とする電線脱皮不良検出装置。
【請求項2】
前記のセンサーから前記の補助ブラケットの曲がり変形信号の伝達を受けて増幅させた後に前記のCPUに伝達する増幅器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電線脱皮不良検出装置。
【請求項3】
前記のCPUは前記の増幅器によって増幅された信号と比較される標準値の範囲が入力されて、前記の標準値の範囲を脱する信号を脱皮不良と判定することを特徴とする請求項2に記載の電線脱皮不良検出装置。
【請求項4】
前記の増幅器によって増幅された信号と前記の標準値の範囲がグラフ化されて出力されて、不良と判定された前記の電線を使用者に知らせるためのモニターをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の電線脱皮不良検出装置。
【請求項5】
前記の電線を切断するための切断刃が結合された本体ブラケットをさらに備えて、前記の脱皮刃が前記の切断刃の前方と後方にそれぞれ位置されるように、前記の補助ブラケットが前記の本体ブラケットに一対に装着されるように構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電線脱皮不良検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−217573(P2011−217573A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85647(P2010−85647)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(510092683)ケーエム デジテック カンパニー、リミテッド (1)
【Fターム(参考)】