電線被覆剥離具
【課題】 さまざまな電線の種類やサイズに対応するだけでなく、電線の被覆材を剥離する作業の簡素化を図ることができる電線被覆剥離具を提供する。
【解決手段】 電線Xを摺動可能に保持する保持部2と、保持される電線Xの被覆材Yを切断する切断刃4とを備え、切断刃4は、保持される電線Xに対して進退可能にすべく、保持部2に対して相対的に変位可能に構成される電線被覆剥離具1において、保持部2は、電線Xを挟持して保持可能とすべく、接離可能な一対の挟持部21,22を備えることを特徴とする。
【解決手段】 電線Xを摺動可能に保持する保持部2と、保持される電線Xの被覆材Yを切断する切断刃4とを備え、切断刃4は、保持される電線Xに対して進退可能にすべく、保持部2に対して相対的に変位可能に構成される電線被覆剥離具1において、保持部2は、電線Xを挟持して保持可能とすべく、接離可能な一対の挟持部21,22を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯線が被覆材で被覆される電線に対して適用される電線被覆剥離具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芯線が被覆材で被覆される電線に対して適用される電線被覆剥離具として、電線を摺動可能に保持する保持部と、電線の被覆材を切断する切断刃とを備える電線被覆剥離具が知られている(例えば、特許文献1)。そして、電線には、さまざまな種類やサイズが存在するため、電線被覆剥離具には、電線の種類やサイズ(電線の外径や被覆材の厚み)に対して、フレキシブルに対応できることが要望される。
【0003】
そこで、切断刃が保持部に対して相対的に変位できることで、保持される電線に対して切断刃が進退でき、しかも、さまざまな電線の外径に対応できるように、異なる内径を有する筒状の保持部が着脱できる電線被覆剥離具が提案されている(例えば、特許文献2)。斯かる電線被覆剥離具によれば、電線の種類やサイズに応じて、切断刃を電線に対して進退すると共に、適当な内径の保持部を選択して取り付けることで、フレキシブルに対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平 6−261432号公報
【特許文献2】特開平10−145926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に係る電線被覆剥離具においては、電線の外径に応じて、適当な保持部を選択した上で、取り付けたり、取り外したりする必要がある。したがって、複数の電線の被覆を剥離する際に、何度も保持部を取り付けたり、取り外したりする必要があり、また、それぞれの電線に応じた複数の保持部を所持(携帯)しておく必要があるため、作業が非常に煩雑となる。
【0006】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、さまざまな電線の種類やサイズに対してフレキシブルに対応することができるだけでなく、電線の被覆材を剥離する作業の簡素化を図ることができる電線被覆剥離具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電線被覆剥離具は、電線を摺動可能に保持する保持部と、保持される電線の被覆材を切断する切断刃とを備え、切断刃は、保持される電線に対して進退可能にすべく、保持部に対して相対的に変位可能に構成される電線被覆剥離具において、保持部は、電線を挟持して保持可能とすべく、接離可能な一対の挟持部を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電線被覆剥離具によれば、保持される電線に対して切断刃が進退できると共に、保持部には、接離可能な一対の挟持部が設けられる。これにより、電線の種類やサイズに応じて、切断刃を電線に対して進退すると共に、一対の挟持部を接近させて電線を挟持して保持することで、さまざまな電線に対してフレキシブルに対応することができる。
【0009】
また、本発明に係る電線被覆剥離具においては、各挟持部は、電線と接するように配置され且つ電線を摺動するのに伴い転動する転動体を少なくとも一つ備えてもよい。
【0010】
斯かる構成の電線被覆剥離具によれば、各挟持部には、電線と接するように配置される転動体が少なくとも一つ設けられる。これにより、電線を摺動するのに伴い、転動体が転動するため、電線と保持部との間に摩擦力が発生するのを抑制できる。したがって、電線を円滑に摺動することができるため、電線の被覆材を剥離する作業の簡素化をさらに図ることができる。
【0011】
また、本発明に係る電線被覆剥離具においては、少なくとも一方の挟持部は、転動体を一対備え、切断刃は、一対の転動体間に位置する被覆材の部位を切断すべく、一対の転動体間に配置されてもよい。
【0012】
斯かる構成の電線被覆剥離具によれば、少なくとも一方の挟持部には、転動体が一対設けられる。そして、切断刃が一対の転動体間に配置されるため、一対の転動体間に位置する被覆材の部位、即ち、一対の転動体により安定して保持されている被覆材の部位を切断でき、その結果、電線の被覆材を安定して切断することができる。
【0013】
また、本発明に係る電線被覆剥離具においては、転動体は、ローラであって、それぞれが同方向を中心に回転するように配設されてもよい。
【0014】
斯かる構成の電線被覆剥離具によれば、転動体がローラであって、それぞれの転動体が同方向を中心に回転するように配設される。これにより、電線を周方向で摺動させる際には、各転動体の軸心方向と電線の軸心方向とが平行するように、挟持部が電線を挟持することで、転動体を回転させることができる一方、電線を軸心方向で摺動させるには、各転動体の軸心方向と電線の軸心方向とが直交するように、挟持部が電線を挟持することで、転動体を回転させることができる。
【0015】
また、本発明に係る電線被覆剥離具においては、各転動体は、球状に形成され、各挟持部は、転動体が電線と接するように転動体の一部を露出させて、転動体を転動可能に収容する収容部を備えてもよい。
【0016】
斯かる構成の電線被覆剥離具によれば、球状に形成される各転動体が収容部に転動可能に収容される。そして、転動体の一部が露出することで、転動体が電線と接して電線を挟持することができる。これにより、電線を周方向及び軸心方向で摺動させる際に、電線の配置を変更することなく、何れの方向においても転動体を転動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の如く、本発明に係る電線被覆剥離具によれば、電線の種類やサイズに応じて、切断刃を電線に対して進退すると共に、一対の挟持部を接近させて電線を挟持して保持することで、さまざまな電線に対してフレキシブルに対応することができるだけでなく、電線の被覆材を剥離する作業の簡素化を図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図2】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は左側面図、(b)は右側面図を示す。
【図3】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は図2のA−A線における断面図、(b)はB−B線における断面図を示す。
【図4】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は図3のC−C線における拡大断面図、(b)は図3のD−D線における拡大断面図を示す。
【図5】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する第1の方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図6】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する第1の方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図7】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する第2の方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図8】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する第2の方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図9】本発明の他の実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は左側面図を示す。
【図10】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は図9のE−E線における断面図、(b)はF−F線における断面図を示す。
【図11】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は図10のG−G線における断面図、(b)はH−H線における拡大断面図を示す。
【図12】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図13】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は断面図を示す。
【図15】同実施形態に係る電線被覆剥離具の動作を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電線被覆剥離具における第1の実施形態について、図1〜図8を参酌して説明する。
【0020】
図1〜図4に示すように、本実施形態に係る電線被覆剥離具1は、電線Xの被覆材Yを切断し、被覆材Yを芯線Z(電線X)から剥離させるために適用される。なお、電線Xは、種類やサイズによって、外径寸法が異なったり、被覆材Yの厚み寸法が異なったりして形成されている。
【0021】
電線被覆剥離具1は、電線Xを挟持して且つ摺動可能に保持する一対の挟持部21,22を有する保持部2と、一対の挟持部21,22を接離させる接離手段3とを備える。また、電線被覆剥離具1は、保持部2で保持される電線Xの被覆材Yを切断する切断刃4と、切断刃4が保持部2で保持される電線Xに対して進退可能にすべく、切断刃4を保持部2に対して相対的に変位させる変位手段5とを備える。
【0022】
一方の挟持部(以下「第1挟持部」ともいう)21は、電線Xと接するように配置され且つ電線Xを摺動するのに伴い転動する転動体211,211を一対備える。また、第1挟持部21は、各転動体211を第1本体212に枢着させる軸体213,213を備える。
【0023】
他方の挟持部(以下「第2挟持部」ともいう)22は、電線Xと接するように配置され且つ電線Xを摺動するのに伴い転動する転動体221,221を一対備える。また、第2挟持部22は、各転動体221を第2本体222に枢着させる軸体223,223を備える。
【0024】
各転動体211,221は、ローラであって、各軸体213,223が同方向に沿って配置される、即ち、互いに平行に配置されることで、それぞれが同方向を中心に回転(転動)するように配設される。また、各転動体211,221は、電線Xを軸心方向に対して直交する方向に配置して挟持した際に、電線Xが軸心方向に位置ずれするのを抑制すべく、外周部の周方向に亘って配置される溝(凹部)が形成されている。
【0025】
接離手段3は、第1挟持部21に取り付けられる第1固定体31と、第2挟持部22に取り付けられ、第1固定体31に対して相対的に変位する第1可動体32と、作業者に操作される第1操作部33とを備える。そして、接離手段3は、第1可動体32が第1固定体31に対して相対的に変位することにより、転動体211,221の軸心方向と直交する方向(径方向)で一対の挟持部21,22を接離させる。
【0026】
第1固定体31は、第2挟持部21を覆うようにして配置され、連結部311を介して第1本体212に固定される。また、第1固定体31は、第1可動体32と螺合する螺子部(雌螺子)312と、各転動体211,221の軸心方向が平行に配置される状態を維持すべく、第1可動体32が相対的に変位する際に第2挟持部22(第2本体222)を案内する平板状の案内部313,313とを備える。なお、連結部311は、保持される電線Xと干渉しないように、各転動体211,221よりも外方に配置されている。
【0027】
第1可動体32は、長尺に形成される一方、一端部に、第2本体222に枢着される枢着部321を備える。そして、第1可動体32は、第1固定体31の螺子部312と螺合する螺子部(雄螺子)322を備える。また、第1操作部33は、第1可動体32の他端部に固定され、絶縁操作棒(図示しない)の先端に掛止可能な環状部331を備える。
【0028】
切断刃4は、板状に形成されると共に、電線Xの被覆材Yを切断すべく、先端部が鋭利に形成される。そして、切断刃4は、変位手段5により、各転動体211,221の軸心方向に沿って配置される状態と、各転動体211,221の径方向に沿って配置される状態とに切り替え可能に構成される。また、切断刃4は、各挟持部21,22の一対の転動体211,211(221,221)間に位置する被覆材Yの部位を切断すべく、各挟持部21、22の一対の転動体211,211(221,221)間に配置される。
【0029】
変位手段5は、第1挟持部21に取り付けられる第2固定体51と、切断刃4に固定され、第2固定体51に対して相対的に変位する第2可動体52と、作業者に操作される第2操作部53とを備える。そして、変位手段5は、第2可動体52が第2固定体51に対して相対的に変位することにより、転動体211の径方向、即ち、挟持部21,22同士が接離する方向で、第1挟持部21に対して切断刃4を相対的に変位させる。
【0030】
第2固定体51は、転動体211,221の径方向(挟持部21,22同士が接離する方向)に沿って筒状に配設され、第1固定体31と反対側で第1本体212に固定される。また、第2固定体51は、第2可動体52と螺合する螺子部(雄螺子)511を外周部に備えると共に、第2可動体52に挿入される貫通孔512を内部に備える。
【0031】
第2可動体52は、長尺に形成され、一端部が切断刃4に固定されると共に、他端部が第2操作部53に枢着される。そして、第2可動体52は、第2固定体51の貫通孔512に挿抜されることで、第2固定体51に対して着脱可能に構成される。また、第2可動体52は、貫通孔512に挿入された状態では、長手方向(挿抜方向)において、第2固定体51に対して相対的に変位できる一方、周方向において、第2固定体51に係止されることにより、第2固定体51に対して相対的に回転変位するのを防止されている。
【0032】
具体的には、第2可動体52は、断面形状が正方形状に形成され、さらに、断面形状が正方形状に形成される貫通孔512と嵌合するように構成されている。これにより、変位手段5は、第2可動体52が所定位置で貫通孔512に挿入されることで、切断刃4が各転動体211,221の軸心方向に沿って位置決めされる状態と、切断刃4が各転動体211,221の径方向に沿って位置決めされる状態とに切り替え可能に構成されている。
【0033】
第2操作部53は、筒状に形成され且つ第2固定体51の螺子部511と内周部で螺合する螺子部(雌螺子)531を備える。また、第2操作部53は、螺子部531の他端側に固定され、絶縁操作棒(図示しない)の先端に掛止可能な環状部532を備える。なお、第2操作部53は、螺子部531の内周部の他端側で第2可動体52を枢着している。
【0034】
本実施形態に係る電線被覆剥離具1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る電線被覆剥離具1を用いて電線Xの被覆材Yを切断する第1の方法について、図5及び図6を参酌して説明する。
【0035】
まず、変位手段5の第2固定体51と第2操作部53とを螺合させ、第2可動体52を第2固定体51に対して変位させることで、切断刃4を、対象となる電線Xに応じた位置に配置させる。このとき、板状の切断刃4は、各転動体211,221の軸心方向と直交する方向に配置させる。そして、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とを平行にした状態で、第1挟持部21と第2挟持部22との間に電線Xを位置させる。
【0036】
その状態で、接離手段3の第1固定体31と第1可動体32とを螺合させ、第2挟持部22を第1挟持部21に接近させる。すると、図5(a)に示すように、一対の挟持部21,22、具体的には、四つの転動体211,211,221,221の外縁部で、電線Xを挟持できる。このとき、板状の切断刃4は、電線Xの軸心方向と直交する方向に配置されることになる。
【0037】
そして、電線Xの周方向(図5(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を回転させると、各転動体211,221が回転しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向で切断する。さらに、電線被覆剥離具1を回転させると、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断し、第1のステップが完了する。
【0038】
次に、接離手段3の第1固定体31と第1可動体32とを螺合させ、図5(b)に示すように、第2挟持部22を第1挟持部21から離反させる。そして、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが直交し、且つ、第1挟持部21と第2挟持部22との間に電線Xが位置するように、電線被覆剥離具1を移動させる。このとき、必要に応じて、変位手段5により、対象となる電線Xに対応した位置に切断刃4を配置させる。
【0039】
その状態で、接離手段3の第1固定体31と第1可動体32とを螺合させ、第2挟持部22を第1挟持部21に接近させる。すると、図6(a)に示すように、一対の挟持部21,22、具体的には、四つの転動体211,211,221,221の溝(外周部の凹部)で、電線Xを挟持できる。
【0040】
そして、電線Xの軸心方向(図6(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を移動させると、各転動体211,221が回転しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを軸心方向で切断する。さらに、電線被覆剥離具1を移動させると、切断刃4が被覆材Yを軸心方向で所定長さ切断し、第2のステップが完了する。
【0041】
また、接離手段3により、第2挟持部22を第1挟持部21から離反させる。そして、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが平行で、且つ、第1挟持部21と第2挟持部22との間に電線Xが位置するように、電線被覆剥離具1を移動させる。その状態で、接離手段3により、第2挟持部22を第1挟持部21に接近させると、図6(b)に示すように、一対の挟持部21,22で電線Xを挟持できる。また必要に応じて、変位手段5により、対象となる電線Xに対応した位置に切断刃4を配置させる。
【0042】
そして、電線Xの周方向(図6(b)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を回転させると、各転動体211,221が回転しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断する。これにより、第3のステップが完了し、切断された被覆材Yを芯線Z(電線X)から剥離できる。
【0043】
次に、本実施形態に係る電線被覆剥離具1を用いて電線Xの被覆材Yを切断する第2の方法について、図7及び図8を参酌して説明する。
【0044】
まず、図7(a)に示すように、板状の切断刃4を、各転動体211,221の軸心方向と平行する方向に配置させる。そして、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが直交するようにして、一対の挟持部21,22で電線Xを挟持させる。このとき、板状の切断刃4は、電線Xの軸心方向と直交する方向に配置することになる。
【0045】
そして、電線Xの周方向(図7(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を回転させると、各転動体211,221が被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断し、第1のステップが完了する。このとき、各転動体211,221は、回転せずに、被覆材Yの外周面を摺動している。
【0046】
次に、変位手段5の第2固定体51と第2操作部53とを螺合させ、第2可動体52を第2固定体51に対して相対的に変位させる。これにより、切断刃4を電線Xに対して退出させ、さらには、図7(b)に示すように、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51から取り外す。また、板状の切断刃4が各転動体211,221の軸心方向と直交する方向に配置するように、第2可動体52を第2固定体51の貫通孔512に挿入し、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51に再度取り付ける。
【0047】
そして、第2固定体51と第2操作部53とを螺合させることにより、第2可動体52を第2固定体51に対して相対的に変位させ、図8(a)に示すように、対象となる電線Xに応じた位置にまで、電線Xに対して切断刃4を進入させる。このとき、板状の切断刃4は、変位手段5により位置決めされるため、電線Xの軸心方向と平行する方向に配置される。
【0048】
そして、電線Xの軸心方向(図8(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を移動させると、各転動体211,221が被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを軸心方向で所定長さ切断し、第2のステップが完了する。このとき、各転動体211,221は、回転しつつ、被覆材Yの外周面を摺動している。
【0049】
また、切断刃4を電線Xに対して退出させ、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51から取り外し、板状の切断刃4が各転動体211,221の軸心方向と平行する方向に配置するように、第2可動体52を第2固体体51の貫通孔512に挿入させる。そして、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51に再度取り付け、図8(b)に示すように、対象となる電線Xに応じた位置にまで、電線Xに対して切断刃4を進入させる。
【0050】
その後、電線Xの周方向(図8(b)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を回転させると、各転動体211,221が被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断する。このとき、各転動体211,221は、回転せずに、被覆材Yの外周面を摺動している。これにより、第3のステップが完了し、切断された被覆材Yを芯線Z(電線X)から剥離できる。
【0051】
以上より、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、変位手段5により、保持部2で保持される電線Xに対して切断刃4が進退できる。さらに、接離手段3により、保持部2に設けられる一対の挟持部21,22が接離できる。これにより、電線Xの種類やサイズに応じて、切断刃4を電線Xに対して進退すると共に、一対の挟持部21,22を接近させて電線Xを挟持して保持することで、さまざまな電線に対してフレキシブルに対応することができ、しかも、電線Xの被覆材Yを剥離する作業の簡素化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、各挟持部21,22には、電線Xと接するように配置される転動体211,221がそれぞれ一対設けられる。これにより、各挟持部21,22(保持部2)が電線Xを摺動するのに伴い、各転動体211,221が転動するため、電線Xと各挟持部21,22(保持部2)との間に摩擦力が発生するのを抑制できる。したがって、電線被覆剥離具1が電線Xを円滑に摺動できるため、電線Xの被覆材Yを剥離する作業の簡素化をさらに図ることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、各挟持部21,22には、転動体211,221がそれぞれ一対設けられる。そして、切断刃4が一対の転動体211,211(221,221)間に配置されるため、一対の転動体211,211(221,221)間に位置する被覆材Yの部位、即ち、一対の転動体211,211(221,221)により安定して保持されている被覆材Yの部位を切断でき、その結果、電線Xの被覆材Yを安定して切断することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、各転動体211,221がローラであって、全ての転動体211,211,221,221が同方向を中心に回転するように配設される。これにより、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが平行する状態で、各転動体211,221を回転させて電線Xを周方向で摺動させることができる一方、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが直交する状態で、転動体211,221を回転させて電線Xを軸心方向で摺動させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、電線Xを保持させた際に、電線Xの両側に第1操作部33の環状部331と第2操作部53の環状部532とが配置するため、絶縁操作棒の先端に環状部331,532を掛止して操作することができる。したがって、架設される電線Xの中間部の被覆材Yを切断して剥離するといった、間接活線作業においても適用することができる。
【0056】
次に、本発明に係る電線被覆剥離具における第2の実施形態について、図9〜図13を参酌して説明する。なお、図9〜図13において、図1〜図8の符号と同一の符号を付した部分は、第1実施形態と略同一の構成又は要素を表す。
【0057】
図9〜図11に示すように、本実施形態に係る電線被覆剥離具10は、電線Xを挟持して且つ摺動可能に保持する一対の挟持部24,25を有する保持部20と、接離手段3と、切断刃4と、変位手段5とを備える。ここで、本実施形態に係る電線被覆剥離具10は、第1実施形態に係る電線被覆剥離具1と比して、保持部20の構成のみが大きく相違しているため、接離手段3、切断刃4及び変位手段5についての説明を省略する。
【0058】
一方の挟持部(以下「第1挟持部」ともいう)24は、電線Xと接するように配置され且つ電線Xを摺動するのに伴い転動する転動体241,241を一対備え、該各転動体241は、球状に形成される。また、第1挟持部24は、一対の転動体241,241を収容し、変位手段5の第2固定体51に固定される第1本体242を備える。
【0059】
第1本体242は、各転動体241が電線Xと接するように各転動体241の一部を露出させて、各転動体241を転動可能に収容する収容部242a,242aを備える。また、第1本体242は、一対の収容部242a,242a間に配置され、第2固定体51の貫通孔512と連通する連通孔242bを備える。
【0060】
各収容部242aは、転動体241の一部を露出すると共に転動体241が抜け出るのを防止すべく、転動体241より小さい開口が、内方側、具体的には、他方の収容部242a側で且つ他方の挟持部(以下「第2挟持部」ともいう)25側に設けられている。また、連通孔242bは、切断刃4を位置決めすべく、断面形状が貫通孔512と同じ形状、即ち、正方形状に形成される。
【0061】
第2挟持部25は、電線Xと接するように配置され且つ電線Xを摺動するのに伴い転動する転動体251,251を一対備え、該各転動体251は、球状に形成される。また、第2挟持部25は、一対の転動体251,251を収容し、接離手段3の第1可動体32に枢着される第2本体252を備える。
【0062】
第2本体252は、各転動体251が電線Xと接するように各転動体251の一部を露出させて、各転動体251を転動可能に収容する収容部252a,252aを備える。そして、各収容部252aは、転動体251の一部を露出すると共に転動体251が抜け出るのを防止すべく、転動体251より小さい開口が、内方側、具体的には、他方の収容部252a側で且つ第1挟持部24側に設けられている。
【0063】
ところで、四つの転動体241,241,251,251は、中心が同一面(以下「中心通過面」もという)上に位置するようにそれぞれ配置されている。そして、板状の切断刃4は、当該中心通過面に対して平行する方向に沿って配置される状態と、当該中心通過面に対して直交する方向に沿って配置される状態とに切り替え可能に構成される。
【0064】
本実施形態に係る電線被覆剥離具10の構成は以上の通りであり、次に、本実施形態に係る電線被覆剥離具10を用いて電線Xの被覆材Yを切断する方法について、図12及び図13を参酌して説明する。
【0065】
まず、図12(a)に示すように、板状の切断刃4を、中心通過面と平行する方向に配置させる。そして、電線Xの軸心方向が切断刃4と直交するように電線Xを配置し、一対の挟持部24,25で電線Xを挟持させる。そして、電線Xの周方向(図12(a)の二点鎖線矢印方向)に電線被覆剥離具10を回転させると、各転動体241,251が転動しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断する。これにより、第1のステップが完了する。
【0066】
次に、図12(b)に示すように、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51から取り外す。そして、板状の切断刃4が電線Xの軸心方向と平行する方向に配置するように、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51に再度取り付け、図13(a)に示すように、対象となる電線Xに応じた位置にまで、電線Xに対して切断刃4を進入させる。
【0067】
その状態から、電線Xの軸心方向(図13(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具10を移動させると、各転動体241,251が転動しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを軸心方向で所定長さ切断する。これにより、第2のステップが完了する。
【0068】
また、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51から取り外し、板状の切断刃4が電線Xの軸心方向と直交する方向に配置するように、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51に再度取り付ける。そして、図13(b)に示すように、対象となる電線Xに応じた位置にまで、電線Xに対して切断刃4を進入させる。
【0069】
その後、電線Xの周方向(図13(b)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具10を回転させると、各転動体241,251が転動しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断する。これにより、第3のステップが完了し、切断された被覆材Yを芯線Z(電線X)から剥離できる。
【0070】
以上より、本実施形態に係る電線被覆剥離具10によれば、球状に形成される各転動体241,251が収容部242a,252aに転動可能に収容される。そして、各転動体241,251の一部が露出することで、各転動体241,251が電線Xと接して電線Xを挟持することができる。これにより、電線Xを周方向及び軸心方向で摺動させる際に、電線Xの配置を変更することなく、何れの方向においても各転動体241,251を転動させることができる。
【0071】
次に、本発明に係る電線被覆剥離具における第3の実施形態について、図14及び図15を参酌して説明する。なお、図14及び図15において、図1〜図8の符号と同一の符号を付した部分は、第1実施形態と略同一の構成又は要素を表す。
【0072】
図14及び図15に示すように、電線被覆剥離具11は、保持部2と、切断刃4と、第1及び第2挟持部21,22を接離させると共に、切断刃4を保持部2に対して相対的に変位させる接離変位手段6とを備える。ここで、本実施形態に係る電線被覆剥離具11は、第1実施形態に係る電線被覆剥離具1と比して、接離変位手段6の構成のみが大きく相違しているため、保持部2及び切断刃4についての説明を省略する。
【0073】
接離変位手段6は、第1挟持部21に固定される固定体61と、第2挟持部22に固定され、固定体61に対して相対的に変位する第1可動体62と、第1可動体62を変位させるべく作業者に操作される第1操作部63とを備える。また、接離変位手段6は、切断刃4に固定され、第1可動体62に対して相対的に変位する第2可動体64と、第2可動体62を変位させるべく作業者に操作される第2操作部65とを備える。
【0074】
固定体61は、各転動体211,221よりも外方に配置される連結部611を介して、第1本体212に固定される。また、固定体61は、各転動体211,221の軸心方向が平行に配置される状態を維持すべく、第1可動体62が相対的に変位する際に、第2本体222を案内する平板状の案内部612,612を備える。そして、固定体61は、第1可動体62に挿通され、螺子が形成されていない開口部613と、第1操作部63を回転可能にしつつも離反しないように係止する環状に突出した係止片614とを備える。
【0075】
第1可動体62は、転動体211の径方向(挟持部21,22同士が接離する方向)に沿って筒状に配設される。そして、第1可動体62は、一端部(第2挟持部22に固定される端部)側の外周部に、第1操作部63と螺合する第1螺子部(雄螺子)621を備えると共に、軸心方向に亘って、第2可動体64に挿入される貫通孔622を備える。
【0076】
また、第1可動体62は、他端側の外周部に、第2操作部65と螺合する第2螺子部(雄螺子)623を備える。さらに、第1可動体62は、第1及び第2螺子部621,623の間に配置され、径方向外方に突出する突出部624を備え、突出部624が第1操作部63に係止されることで、第2挟持部22が第1挟持部21に必要以上に接近する(例えば衝突する)のを防止している。
【0077】
第1操作部63は、筒状に形成されると共に、内周部で第1可動体62の第1螺子部621と螺合する螺子部(雌螺子)631と、外周部から径方向外方に突出し、作業者に摘まれるための一対の突出片632,632とを備える。そして、第1操作部63は、固定体61の係止片614に係止されることにより、固定体61に対して回転変位できる一方、固定体61に対して接離できないため、回転することで第1可動体62を固定体61に対して相対的に変位させる。
【0078】
第2可動体64は、長尺に形成され、一端部が切断刃4に固定されると共に、他端部が第2操作部65に枢着される。そして、第2可動体64は、第1可動体62の貫通孔622に挿抜されることで、第1可動体62に対して着脱可能に構成される。また、第2可動体64は、断面形状が正方形状に形成されると共に、断面形状が正方形状に形成される貫通孔622と嵌合するように構成されるため、切断刃4が各転動体211,221の軸心方向と径方向とに沿ってそれぞれ位置決めされる状態に切り替えできる。
【0079】
第2操作部65は、筒状に形成され且つ第1可動体62の第2螺子部623と内周部で螺合する螺子部(雌螺子)651を備える。また、第2操作部65は、螺子部651の他端側に固定され、絶縁操作棒(図示しない)の先端に掛止可能な環状部652を備える。なお、第2操作部65は、螺子部651の内周部の他端側で第2可動体64を枢着している。
【0080】
以上より、図14に示す状態の電線被覆剥離具11において、第1操作部63が回転操作されることで、図15(a)に示すように、第1可動体62が固定体61に対して相対的に変位する。これにより、転動体211,221の軸心方向と直交する方向で一対の挟持部21,22が接近(接離)する。このとき、第2可動体64も、第1可動体62と一体的になって、固定体61に対して相対的に変位する。
【0081】
さらに、第2操作部65が回転操作されることで、図15(b)に示すように、第2可動体64が第1可動体62に対して相対的に変位することにより、第2可動体64が固定体61に対しても相対的に変位することになる。これにより、転動体211,221の径方向、即ち、挟持部21,22同士が接離する方向で、切断刃4が第2挟持部22に対して相対的に変位する。
【0082】
なお、本発明に係る電線被覆剥離具は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0083】
例えば、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、挟持部21,22,24,25が転動体211,221,241,251を一対備える場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、挟持部が転動体を一つ又は三つ以上備える場合でもよく、一方の挟持部と他方の挟持部とが異なる数の転動体を備える場合でもよく、挟持部が転動体を備えていない場合でもよい。
【0084】
また、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、切断刃4が一対の転動体211,211(221,221,241,241,251,251)間に配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られず、一対の転動体211,211(221,221,241,241,251,251)よりも外方に配置される場合でもよい。
【0085】
また、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、第2可動体52,64と貫通孔512,622とが正方形状の断面形状である場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、第2可動体と貫通孔とが十字形状の断面形状である場合でもよく、第2可動体が貫通孔に挿入することで、切断刃が被覆材Yを切断するための所定位置に位置決めされるように構成されていることが好ましい。
【0086】
また、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、切断刃4が板状に形成される場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、切断刃が針状に形成される場合でもよい。斯かる構成によれば、切断刃が被覆材Yを切断する方向に制限はないため、例えば、第1及び第2実施形態に係る電線被覆剥離具1,10で切断する際に必要であった、挟持する電線Xの配置を変更する作業や、切断刃4の配置を変更する作業を省略することもできる。
【0087】
また、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、接離手段3、変位手段5及び接離変位手段6がそれぞれ螺子機構で固定体31,51,61と可動体32,52,62,64とを相対的に変位させる場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、可動体は、固定体を摺動する一方、締結手段により固定体に固定される場合でもよく、また、ラチェット機構を介して、固定体に対して相対的に変位したり、固定されたりする場合でもよい。
【0088】
また、上記第1及び第2実施形態に係る電線被覆剥離具1,10においては、電線被覆剥離具1,10を移動させて、被覆材Yを切断する場合を説明したが、斯かる場合に限られず、電線Xを移動させて、被覆材Yを切断する場合でもよい。
【符号の説明】
【0089】
1,10,11…電線被覆剥離具、2,20…保持部、4…切断刃、21,22,24,25…挟持部、211,221,241,251…転動体、251a,252a…収容部、X…電線、Y…被覆材
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯線が被覆材で被覆される電線に対して適用される電線被覆剥離具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芯線が被覆材で被覆される電線に対して適用される電線被覆剥離具として、電線を摺動可能に保持する保持部と、電線の被覆材を切断する切断刃とを備える電線被覆剥離具が知られている(例えば、特許文献1)。そして、電線には、さまざまな種類やサイズが存在するため、電線被覆剥離具には、電線の種類やサイズ(電線の外径や被覆材の厚み)に対して、フレキシブルに対応できることが要望される。
【0003】
そこで、切断刃が保持部に対して相対的に変位できることで、保持される電線に対して切断刃が進退でき、しかも、さまざまな電線の外径に対応できるように、異なる内径を有する筒状の保持部が着脱できる電線被覆剥離具が提案されている(例えば、特許文献2)。斯かる電線被覆剥離具によれば、電線の種類やサイズに応じて、切断刃を電線に対して進退すると共に、適当な内径の保持部を選択して取り付けることで、フレキシブルに対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平 6−261432号公報
【特許文献2】特開平10−145926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に係る電線被覆剥離具においては、電線の外径に応じて、適当な保持部を選択した上で、取り付けたり、取り外したりする必要がある。したがって、複数の電線の被覆を剥離する際に、何度も保持部を取り付けたり、取り外したりする必要があり、また、それぞれの電線に応じた複数の保持部を所持(携帯)しておく必要があるため、作業が非常に煩雑となる。
【0006】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、さまざまな電線の種類やサイズに対してフレキシブルに対応することができるだけでなく、電線の被覆材を剥離する作業の簡素化を図ることができる電線被覆剥離具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電線被覆剥離具は、電線を摺動可能に保持する保持部と、保持される電線の被覆材を切断する切断刃とを備え、切断刃は、保持される電線に対して進退可能にすべく、保持部に対して相対的に変位可能に構成される電線被覆剥離具において、保持部は、電線を挟持して保持可能とすべく、接離可能な一対の挟持部を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電線被覆剥離具によれば、保持される電線に対して切断刃が進退できると共に、保持部には、接離可能な一対の挟持部が設けられる。これにより、電線の種類やサイズに応じて、切断刃を電線に対して進退すると共に、一対の挟持部を接近させて電線を挟持して保持することで、さまざまな電線に対してフレキシブルに対応することができる。
【0009】
また、本発明に係る電線被覆剥離具においては、各挟持部は、電線と接するように配置され且つ電線を摺動するのに伴い転動する転動体を少なくとも一つ備えてもよい。
【0010】
斯かる構成の電線被覆剥離具によれば、各挟持部には、電線と接するように配置される転動体が少なくとも一つ設けられる。これにより、電線を摺動するのに伴い、転動体が転動するため、電線と保持部との間に摩擦力が発生するのを抑制できる。したがって、電線を円滑に摺動することができるため、電線の被覆材を剥離する作業の簡素化をさらに図ることができる。
【0011】
また、本発明に係る電線被覆剥離具においては、少なくとも一方の挟持部は、転動体を一対備え、切断刃は、一対の転動体間に位置する被覆材の部位を切断すべく、一対の転動体間に配置されてもよい。
【0012】
斯かる構成の電線被覆剥離具によれば、少なくとも一方の挟持部には、転動体が一対設けられる。そして、切断刃が一対の転動体間に配置されるため、一対の転動体間に位置する被覆材の部位、即ち、一対の転動体により安定して保持されている被覆材の部位を切断でき、その結果、電線の被覆材を安定して切断することができる。
【0013】
また、本発明に係る電線被覆剥離具においては、転動体は、ローラであって、それぞれが同方向を中心に回転するように配設されてもよい。
【0014】
斯かる構成の電線被覆剥離具によれば、転動体がローラであって、それぞれの転動体が同方向を中心に回転するように配設される。これにより、電線を周方向で摺動させる際には、各転動体の軸心方向と電線の軸心方向とが平行するように、挟持部が電線を挟持することで、転動体を回転させることができる一方、電線を軸心方向で摺動させるには、各転動体の軸心方向と電線の軸心方向とが直交するように、挟持部が電線を挟持することで、転動体を回転させることができる。
【0015】
また、本発明に係る電線被覆剥離具においては、各転動体は、球状に形成され、各挟持部は、転動体が電線と接するように転動体の一部を露出させて、転動体を転動可能に収容する収容部を備えてもよい。
【0016】
斯かる構成の電線被覆剥離具によれば、球状に形成される各転動体が収容部に転動可能に収容される。そして、転動体の一部が露出することで、転動体が電線と接して電線を挟持することができる。これにより、電線を周方向及び軸心方向で摺動させる際に、電線の配置を変更することなく、何れの方向においても転動体を転動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の如く、本発明に係る電線被覆剥離具によれば、電線の種類やサイズに応じて、切断刃を電線に対して進退すると共に、一対の挟持部を接近させて電線を挟持して保持することで、さまざまな電線に対してフレキシブルに対応することができるだけでなく、電線の被覆材を剥離する作業の簡素化を図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図2】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は左側面図、(b)は右側面図を示す。
【図3】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は図2のA−A線における断面図、(b)はB−B線における断面図を示す。
【図4】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は図3のC−C線における拡大断面図、(b)は図3のD−D線における拡大断面図を示す。
【図5】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する第1の方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図6】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する第1の方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図7】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する第2の方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図8】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する第2の方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図9】本発明の他の実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は左側面図を示す。
【図10】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は図9のE−E線における断面図、(b)はF−F線における断面図を示す。
【図11】同実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は図10のG−G線における断面図、(b)はH−H線における拡大断面図を示す。
【図12】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図13】同実施形態に係る電線被覆剥離具で電線の被覆材を切断する方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係る電線被覆剥離具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は断面図を示す。
【図15】同実施形態に係る電線被覆剥離具の動作を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ全体断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電線被覆剥離具における第1の実施形態について、図1〜図8を参酌して説明する。
【0020】
図1〜図4に示すように、本実施形態に係る電線被覆剥離具1は、電線Xの被覆材Yを切断し、被覆材Yを芯線Z(電線X)から剥離させるために適用される。なお、電線Xは、種類やサイズによって、外径寸法が異なったり、被覆材Yの厚み寸法が異なったりして形成されている。
【0021】
電線被覆剥離具1は、電線Xを挟持して且つ摺動可能に保持する一対の挟持部21,22を有する保持部2と、一対の挟持部21,22を接離させる接離手段3とを備える。また、電線被覆剥離具1は、保持部2で保持される電線Xの被覆材Yを切断する切断刃4と、切断刃4が保持部2で保持される電線Xに対して進退可能にすべく、切断刃4を保持部2に対して相対的に変位させる変位手段5とを備える。
【0022】
一方の挟持部(以下「第1挟持部」ともいう)21は、電線Xと接するように配置され且つ電線Xを摺動するのに伴い転動する転動体211,211を一対備える。また、第1挟持部21は、各転動体211を第1本体212に枢着させる軸体213,213を備える。
【0023】
他方の挟持部(以下「第2挟持部」ともいう)22は、電線Xと接するように配置され且つ電線Xを摺動するのに伴い転動する転動体221,221を一対備える。また、第2挟持部22は、各転動体221を第2本体222に枢着させる軸体223,223を備える。
【0024】
各転動体211,221は、ローラであって、各軸体213,223が同方向に沿って配置される、即ち、互いに平行に配置されることで、それぞれが同方向を中心に回転(転動)するように配設される。また、各転動体211,221は、電線Xを軸心方向に対して直交する方向に配置して挟持した際に、電線Xが軸心方向に位置ずれするのを抑制すべく、外周部の周方向に亘って配置される溝(凹部)が形成されている。
【0025】
接離手段3は、第1挟持部21に取り付けられる第1固定体31と、第2挟持部22に取り付けられ、第1固定体31に対して相対的に変位する第1可動体32と、作業者に操作される第1操作部33とを備える。そして、接離手段3は、第1可動体32が第1固定体31に対して相対的に変位することにより、転動体211,221の軸心方向と直交する方向(径方向)で一対の挟持部21,22を接離させる。
【0026】
第1固定体31は、第2挟持部21を覆うようにして配置され、連結部311を介して第1本体212に固定される。また、第1固定体31は、第1可動体32と螺合する螺子部(雌螺子)312と、各転動体211,221の軸心方向が平行に配置される状態を維持すべく、第1可動体32が相対的に変位する際に第2挟持部22(第2本体222)を案内する平板状の案内部313,313とを備える。なお、連結部311は、保持される電線Xと干渉しないように、各転動体211,221よりも外方に配置されている。
【0027】
第1可動体32は、長尺に形成される一方、一端部に、第2本体222に枢着される枢着部321を備える。そして、第1可動体32は、第1固定体31の螺子部312と螺合する螺子部(雄螺子)322を備える。また、第1操作部33は、第1可動体32の他端部に固定され、絶縁操作棒(図示しない)の先端に掛止可能な環状部331を備える。
【0028】
切断刃4は、板状に形成されると共に、電線Xの被覆材Yを切断すべく、先端部が鋭利に形成される。そして、切断刃4は、変位手段5により、各転動体211,221の軸心方向に沿って配置される状態と、各転動体211,221の径方向に沿って配置される状態とに切り替え可能に構成される。また、切断刃4は、各挟持部21,22の一対の転動体211,211(221,221)間に位置する被覆材Yの部位を切断すべく、各挟持部21、22の一対の転動体211,211(221,221)間に配置される。
【0029】
変位手段5は、第1挟持部21に取り付けられる第2固定体51と、切断刃4に固定され、第2固定体51に対して相対的に変位する第2可動体52と、作業者に操作される第2操作部53とを備える。そして、変位手段5は、第2可動体52が第2固定体51に対して相対的に変位することにより、転動体211の径方向、即ち、挟持部21,22同士が接離する方向で、第1挟持部21に対して切断刃4を相対的に変位させる。
【0030】
第2固定体51は、転動体211,221の径方向(挟持部21,22同士が接離する方向)に沿って筒状に配設され、第1固定体31と反対側で第1本体212に固定される。また、第2固定体51は、第2可動体52と螺合する螺子部(雄螺子)511を外周部に備えると共に、第2可動体52に挿入される貫通孔512を内部に備える。
【0031】
第2可動体52は、長尺に形成され、一端部が切断刃4に固定されると共に、他端部が第2操作部53に枢着される。そして、第2可動体52は、第2固定体51の貫通孔512に挿抜されることで、第2固定体51に対して着脱可能に構成される。また、第2可動体52は、貫通孔512に挿入された状態では、長手方向(挿抜方向)において、第2固定体51に対して相対的に変位できる一方、周方向において、第2固定体51に係止されることにより、第2固定体51に対して相対的に回転変位するのを防止されている。
【0032】
具体的には、第2可動体52は、断面形状が正方形状に形成され、さらに、断面形状が正方形状に形成される貫通孔512と嵌合するように構成されている。これにより、変位手段5は、第2可動体52が所定位置で貫通孔512に挿入されることで、切断刃4が各転動体211,221の軸心方向に沿って位置決めされる状態と、切断刃4が各転動体211,221の径方向に沿って位置決めされる状態とに切り替え可能に構成されている。
【0033】
第2操作部53は、筒状に形成され且つ第2固定体51の螺子部511と内周部で螺合する螺子部(雌螺子)531を備える。また、第2操作部53は、螺子部531の他端側に固定され、絶縁操作棒(図示しない)の先端に掛止可能な環状部532を備える。なお、第2操作部53は、螺子部531の内周部の他端側で第2可動体52を枢着している。
【0034】
本実施形態に係る電線被覆剥離具1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る電線被覆剥離具1を用いて電線Xの被覆材Yを切断する第1の方法について、図5及び図6を参酌して説明する。
【0035】
まず、変位手段5の第2固定体51と第2操作部53とを螺合させ、第2可動体52を第2固定体51に対して変位させることで、切断刃4を、対象となる電線Xに応じた位置に配置させる。このとき、板状の切断刃4は、各転動体211,221の軸心方向と直交する方向に配置させる。そして、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とを平行にした状態で、第1挟持部21と第2挟持部22との間に電線Xを位置させる。
【0036】
その状態で、接離手段3の第1固定体31と第1可動体32とを螺合させ、第2挟持部22を第1挟持部21に接近させる。すると、図5(a)に示すように、一対の挟持部21,22、具体的には、四つの転動体211,211,221,221の外縁部で、電線Xを挟持できる。このとき、板状の切断刃4は、電線Xの軸心方向と直交する方向に配置されることになる。
【0037】
そして、電線Xの周方向(図5(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を回転させると、各転動体211,221が回転しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向で切断する。さらに、電線被覆剥離具1を回転させると、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断し、第1のステップが完了する。
【0038】
次に、接離手段3の第1固定体31と第1可動体32とを螺合させ、図5(b)に示すように、第2挟持部22を第1挟持部21から離反させる。そして、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが直交し、且つ、第1挟持部21と第2挟持部22との間に電線Xが位置するように、電線被覆剥離具1を移動させる。このとき、必要に応じて、変位手段5により、対象となる電線Xに対応した位置に切断刃4を配置させる。
【0039】
その状態で、接離手段3の第1固定体31と第1可動体32とを螺合させ、第2挟持部22を第1挟持部21に接近させる。すると、図6(a)に示すように、一対の挟持部21,22、具体的には、四つの転動体211,211,221,221の溝(外周部の凹部)で、電線Xを挟持できる。
【0040】
そして、電線Xの軸心方向(図6(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を移動させると、各転動体211,221が回転しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを軸心方向で切断する。さらに、電線被覆剥離具1を移動させると、切断刃4が被覆材Yを軸心方向で所定長さ切断し、第2のステップが完了する。
【0041】
また、接離手段3により、第2挟持部22を第1挟持部21から離反させる。そして、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが平行で、且つ、第1挟持部21と第2挟持部22との間に電線Xが位置するように、電線被覆剥離具1を移動させる。その状態で、接離手段3により、第2挟持部22を第1挟持部21に接近させると、図6(b)に示すように、一対の挟持部21,22で電線Xを挟持できる。また必要に応じて、変位手段5により、対象となる電線Xに対応した位置に切断刃4を配置させる。
【0042】
そして、電線Xの周方向(図6(b)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を回転させると、各転動体211,221が回転しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断する。これにより、第3のステップが完了し、切断された被覆材Yを芯線Z(電線X)から剥離できる。
【0043】
次に、本実施形態に係る電線被覆剥離具1を用いて電線Xの被覆材Yを切断する第2の方法について、図7及び図8を参酌して説明する。
【0044】
まず、図7(a)に示すように、板状の切断刃4を、各転動体211,221の軸心方向と平行する方向に配置させる。そして、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが直交するようにして、一対の挟持部21,22で電線Xを挟持させる。このとき、板状の切断刃4は、電線Xの軸心方向と直交する方向に配置することになる。
【0045】
そして、電線Xの周方向(図7(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を回転させると、各転動体211,221が被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断し、第1のステップが完了する。このとき、各転動体211,221は、回転せずに、被覆材Yの外周面を摺動している。
【0046】
次に、変位手段5の第2固定体51と第2操作部53とを螺合させ、第2可動体52を第2固定体51に対して相対的に変位させる。これにより、切断刃4を電線Xに対して退出させ、さらには、図7(b)に示すように、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51から取り外す。また、板状の切断刃4が各転動体211,221の軸心方向と直交する方向に配置するように、第2可動体52を第2固定体51の貫通孔512に挿入し、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51に再度取り付ける。
【0047】
そして、第2固定体51と第2操作部53とを螺合させることにより、第2可動体52を第2固定体51に対して相対的に変位させ、図8(a)に示すように、対象となる電線Xに応じた位置にまで、電線Xに対して切断刃4を進入させる。このとき、板状の切断刃4は、変位手段5により位置決めされるため、電線Xの軸心方向と平行する方向に配置される。
【0048】
そして、電線Xの軸心方向(図8(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を移動させると、各転動体211,221が被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを軸心方向で所定長さ切断し、第2のステップが完了する。このとき、各転動体211,221は、回転しつつ、被覆材Yの外周面を摺動している。
【0049】
また、切断刃4を電線Xに対して退出させ、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51から取り外し、板状の切断刃4が各転動体211,221の軸心方向と平行する方向に配置するように、第2可動体52を第2固体体51の貫通孔512に挿入させる。そして、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51に再度取り付け、図8(b)に示すように、対象となる電線Xに応じた位置にまで、電線Xに対して切断刃4を進入させる。
【0050】
その後、電線Xの周方向(図8(b)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具1を回転させると、各転動体211,221が被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断する。このとき、各転動体211,221は、回転せずに、被覆材Yの外周面を摺動している。これにより、第3のステップが完了し、切断された被覆材Yを芯線Z(電線X)から剥離できる。
【0051】
以上より、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、変位手段5により、保持部2で保持される電線Xに対して切断刃4が進退できる。さらに、接離手段3により、保持部2に設けられる一対の挟持部21,22が接離できる。これにより、電線Xの種類やサイズに応じて、切断刃4を電線Xに対して進退すると共に、一対の挟持部21,22を接近させて電線Xを挟持して保持することで、さまざまな電線に対してフレキシブルに対応することができ、しかも、電線Xの被覆材Yを剥離する作業の簡素化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、各挟持部21,22には、電線Xと接するように配置される転動体211,221がそれぞれ一対設けられる。これにより、各挟持部21,22(保持部2)が電線Xを摺動するのに伴い、各転動体211,221が転動するため、電線Xと各挟持部21,22(保持部2)との間に摩擦力が発生するのを抑制できる。したがって、電線被覆剥離具1が電線Xを円滑に摺動できるため、電線Xの被覆材Yを剥離する作業の簡素化をさらに図ることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、各挟持部21,22には、転動体211,221がそれぞれ一対設けられる。そして、切断刃4が一対の転動体211,211(221,221)間に配置されるため、一対の転動体211,211(221,221)間に位置する被覆材Yの部位、即ち、一対の転動体211,211(221,221)により安定して保持されている被覆材Yの部位を切断でき、その結果、電線Xの被覆材Yを安定して切断することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、各転動体211,221がローラであって、全ての転動体211,211,221,221が同方向を中心に回転するように配設される。これにより、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが平行する状態で、各転動体211,221を回転させて電線Xを周方向で摺動させることができる一方、各転動体211,221の軸心方向と電線Xの軸心方向とが直交する状態で、転動体211,221を回転させて電線Xを軸心方向で摺動させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る電線被覆剥離具1によれば、電線Xを保持させた際に、電線Xの両側に第1操作部33の環状部331と第2操作部53の環状部532とが配置するため、絶縁操作棒の先端に環状部331,532を掛止して操作することができる。したがって、架設される電線Xの中間部の被覆材Yを切断して剥離するといった、間接活線作業においても適用することができる。
【0056】
次に、本発明に係る電線被覆剥離具における第2の実施形態について、図9〜図13を参酌して説明する。なお、図9〜図13において、図1〜図8の符号と同一の符号を付した部分は、第1実施形態と略同一の構成又は要素を表す。
【0057】
図9〜図11に示すように、本実施形態に係る電線被覆剥離具10は、電線Xを挟持して且つ摺動可能に保持する一対の挟持部24,25を有する保持部20と、接離手段3と、切断刃4と、変位手段5とを備える。ここで、本実施形態に係る電線被覆剥離具10は、第1実施形態に係る電線被覆剥離具1と比して、保持部20の構成のみが大きく相違しているため、接離手段3、切断刃4及び変位手段5についての説明を省略する。
【0058】
一方の挟持部(以下「第1挟持部」ともいう)24は、電線Xと接するように配置され且つ電線Xを摺動するのに伴い転動する転動体241,241を一対備え、該各転動体241は、球状に形成される。また、第1挟持部24は、一対の転動体241,241を収容し、変位手段5の第2固定体51に固定される第1本体242を備える。
【0059】
第1本体242は、各転動体241が電線Xと接するように各転動体241の一部を露出させて、各転動体241を転動可能に収容する収容部242a,242aを備える。また、第1本体242は、一対の収容部242a,242a間に配置され、第2固定体51の貫通孔512と連通する連通孔242bを備える。
【0060】
各収容部242aは、転動体241の一部を露出すると共に転動体241が抜け出るのを防止すべく、転動体241より小さい開口が、内方側、具体的には、他方の収容部242a側で且つ他方の挟持部(以下「第2挟持部」ともいう)25側に設けられている。また、連通孔242bは、切断刃4を位置決めすべく、断面形状が貫通孔512と同じ形状、即ち、正方形状に形成される。
【0061】
第2挟持部25は、電線Xと接するように配置され且つ電線Xを摺動するのに伴い転動する転動体251,251を一対備え、該各転動体251は、球状に形成される。また、第2挟持部25は、一対の転動体251,251を収容し、接離手段3の第1可動体32に枢着される第2本体252を備える。
【0062】
第2本体252は、各転動体251が電線Xと接するように各転動体251の一部を露出させて、各転動体251を転動可能に収容する収容部252a,252aを備える。そして、各収容部252aは、転動体251の一部を露出すると共に転動体251が抜け出るのを防止すべく、転動体251より小さい開口が、内方側、具体的には、他方の収容部252a側で且つ第1挟持部24側に設けられている。
【0063】
ところで、四つの転動体241,241,251,251は、中心が同一面(以下「中心通過面」もという)上に位置するようにそれぞれ配置されている。そして、板状の切断刃4は、当該中心通過面に対して平行する方向に沿って配置される状態と、当該中心通過面に対して直交する方向に沿って配置される状態とに切り替え可能に構成される。
【0064】
本実施形態に係る電線被覆剥離具10の構成は以上の通りであり、次に、本実施形態に係る電線被覆剥離具10を用いて電線Xの被覆材Yを切断する方法について、図12及び図13を参酌して説明する。
【0065】
まず、図12(a)に示すように、板状の切断刃4を、中心通過面と平行する方向に配置させる。そして、電線Xの軸心方向が切断刃4と直交するように電線Xを配置し、一対の挟持部24,25で電線Xを挟持させる。そして、電線Xの周方向(図12(a)の二点鎖線矢印方向)に電線被覆剥離具10を回転させると、各転動体241,251が転動しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断する。これにより、第1のステップが完了する。
【0066】
次に、図12(b)に示すように、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51から取り外す。そして、板状の切断刃4が電線Xの軸心方向と平行する方向に配置するように、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51に再度取り付け、図13(a)に示すように、対象となる電線Xに応じた位置にまで、電線Xに対して切断刃4を進入させる。
【0067】
その状態から、電線Xの軸心方向(図13(a)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具10を移動させると、各転動体241,251が転動しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを軸心方向で所定長さ切断する。これにより、第2のステップが完了する。
【0068】
また、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51から取り外し、板状の切断刃4が電線Xの軸心方向と直交する方向に配置するように、第2可動体52及び第2操作部53を第2固定体51に再度取り付ける。そして、図13(b)に示すように、対象となる電線Xに応じた位置にまで、電線Xに対して切断刃4を進入させる。
【0069】
その後、電線Xの周方向(図13(b)の二点鎖線矢印方向)に、電線被覆剥離具10を回転させると、各転動体241,251が転動しつつ被覆材Yの外周面を摺動すると共に、切断刃4が被覆材Yを周方向に亘って切断する。これにより、第3のステップが完了し、切断された被覆材Yを芯線Z(電線X)から剥離できる。
【0070】
以上より、本実施形態に係る電線被覆剥離具10によれば、球状に形成される各転動体241,251が収容部242a,252aに転動可能に収容される。そして、各転動体241,251の一部が露出することで、各転動体241,251が電線Xと接して電線Xを挟持することができる。これにより、電線Xを周方向及び軸心方向で摺動させる際に、電線Xの配置を変更することなく、何れの方向においても各転動体241,251を転動させることができる。
【0071】
次に、本発明に係る電線被覆剥離具における第3の実施形態について、図14及び図15を参酌して説明する。なお、図14及び図15において、図1〜図8の符号と同一の符号を付した部分は、第1実施形態と略同一の構成又は要素を表す。
【0072】
図14及び図15に示すように、電線被覆剥離具11は、保持部2と、切断刃4と、第1及び第2挟持部21,22を接離させると共に、切断刃4を保持部2に対して相対的に変位させる接離変位手段6とを備える。ここで、本実施形態に係る電線被覆剥離具11は、第1実施形態に係る電線被覆剥離具1と比して、接離変位手段6の構成のみが大きく相違しているため、保持部2及び切断刃4についての説明を省略する。
【0073】
接離変位手段6は、第1挟持部21に固定される固定体61と、第2挟持部22に固定され、固定体61に対して相対的に変位する第1可動体62と、第1可動体62を変位させるべく作業者に操作される第1操作部63とを備える。また、接離変位手段6は、切断刃4に固定され、第1可動体62に対して相対的に変位する第2可動体64と、第2可動体62を変位させるべく作業者に操作される第2操作部65とを備える。
【0074】
固定体61は、各転動体211,221よりも外方に配置される連結部611を介して、第1本体212に固定される。また、固定体61は、各転動体211,221の軸心方向が平行に配置される状態を維持すべく、第1可動体62が相対的に変位する際に、第2本体222を案内する平板状の案内部612,612を備える。そして、固定体61は、第1可動体62に挿通され、螺子が形成されていない開口部613と、第1操作部63を回転可能にしつつも離反しないように係止する環状に突出した係止片614とを備える。
【0075】
第1可動体62は、転動体211の径方向(挟持部21,22同士が接離する方向)に沿って筒状に配設される。そして、第1可動体62は、一端部(第2挟持部22に固定される端部)側の外周部に、第1操作部63と螺合する第1螺子部(雄螺子)621を備えると共に、軸心方向に亘って、第2可動体64に挿入される貫通孔622を備える。
【0076】
また、第1可動体62は、他端側の外周部に、第2操作部65と螺合する第2螺子部(雄螺子)623を備える。さらに、第1可動体62は、第1及び第2螺子部621,623の間に配置され、径方向外方に突出する突出部624を備え、突出部624が第1操作部63に係止されることで、第2挟持部22が第1挟持部21に必要以上に接近する(例えば衝突する)のを防止している。
【0077】
第1操作部63は、筒状に形成されると共に、内周部で第1可動体62の第1螺子部621と螺合する螺子部(雌螺子)631と、外周部から径方向外方に突出し、作業者に摘まれるための一対の突出片632,632とを備える。そして、第1操作部63は、固定体61の係止片614に係止されることにより、固定体61に対して回転変位できる一方、固定体61に対して接離できないため、回転することで第1可動体62を固定体61に対して相対的に変位させる。
【0078】
第2可動体64は、長尺に形成され、一端部が切断刃4に固定されると共に、他端部が第2操作部65に枢着される。そして、第2可動体64は、第1可動体62の貫通孔622に挿抜されることで、第1可動体62に対して着脱可能に構成される。また、第2可動体64は、断面形状が正方形状に形成されると共に、断面形状が正方形状に形成される貫通孔622と嵌合するように構成されるため、切断刃4が各転動体211,221の軸心方向と径方向とに沿ってそれぞれ位置決めされる状態に切り替えできる。
【0079】
第2操作部65は、筒状に形成され且つ第1可動体62の第2螺子部623と内周部で螺合する螺子部(雌螺子)651を備える。また、第2操作部65は、螺子部651の他端側に固定され、絶縁操作棒(図示しない)の先端に掛止可能な環状部652を備える。なお、第2操作部65は、螺子部651の内周部の他端側で第2可動体64を枢着している。
【0080】
以上より、図14に示す状態の電線被覆剥離具11において、第1操作部63が回転操作されることで、図15(a)に示すように、第1可動体62が固定体61に対して相対的に変位する。これにより、転動体211,221の軸心方向と直交する方向で一対の挟持部21,22が接近(接離)する。このとき、第2可動体64も、第1可動体62と一体的になって、固定体61に対して相対的に変位する。
【0081】
さらに、第2操作部65が回転操作されることで、図15(b)に示すように、第2可動体64が第1可動体62に対して相対的に変位することにより、第2可動体64が固定体61に対しても相対的に変位することになる。これにより、転動体211,221の径方向、即ち、挟持部21,22同士が接離する方向で、切断刃4が第2挟持部22に対して相対的に変位する。
【0082】
なお、本発明に係る電線被覆剥離具は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0083】
例えば、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、挟持部21,22,24,25が転動体211,221,241,251を一対備える場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、挟持部が転動体を一つ又は三つ以上備える場合でもよく、一方の挟持部と他方の挟持部とが異なる数の転動体を備える場合でもよく、挟持部が転動体を備えていない場合でもよい。
【0084】
また、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、切断刃4が一対の転動体211,211(221,221,241,241,251,251)間に配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られず、一対の転動体211,211(221,221,241,241,251,251)よりも外方に配置される場合でもよい。
【0085】
また、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、第2可動体52,64と貫通孔512,622とが正方形状の断面形状である場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、第2可動体と貫通孔とが十字形状の断面形状である場合でもよく、第2可動体が貫通孔に挿入することで、切断刃が被覆材Yを切断するための所定位置に位置決めされるように構成されていることが好ましい。
【0086】
また、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、切断刃4が板状に形成される場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、切断刃が針状に形成される場合でもよい。斯かる構成によれば、切断刃が被覆材Yを切断する方向に制限はないため、例えば、第1及び第2実施形態に係る電線被覆剥離具1,10で切断する際に必要であった、挟持する電線Xの配置を変更する作業や、切断刃4の配置を変更する作業を省略することもできる。
【0087】
また、上記実施形態に係る電線被覆剥離具1,10,11においては、接離手段3、変位手段5及び接離変位手段6がそれぞれ螺子機構で固定体31,51,61と可動体32,52,62,64とを相対的に変位させる場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、可動体は、固定体を摺動する一方、締結手段により固定体に固定される場合でもよく、また、ラチェット機構を介して、固定体に対して相対的に変位したり、固定されたりする場合でもよい。
【0088】
また、上記第1及び第2実施形態に係る電線被覆剥離具1,10においては、電線被覆剥離具1,10を移動させて、被覆材Yを切断する場合を説明したが、斯かる場合に限られず、電線Xを移動させて、被覆材Yを切断する場合でもよい。
【符号の説明】
【0089】
1,10,11…電線被覆剥離具、2,20…保持部、4…切断刃、21,22,24,25…挟持部、211,221,241,251…転動体、251a,252a…収容部、X…電線、Y…被覆材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を摺動可能に保持する保持部と、保持される電線の被覆材を切断する切断刃とを備え、切断刃は、保持される電線に対して進退可能にすべく、保持部に対して相対的に変位可能に構成される電線被覆剥離具において、
保持部は、電線を挟持して保持可能とすべく、接離可能な一対の挟持部を備えることを特徴とする電線被覆剥離具。
【請求項2】
各挟持部は、電線と接するように配置され且つ電線を摺動するのに伴い転動する転動体を少なくとも一つ備える請求項1に記載の電線被覆剥離具。
【請求項3】
少なくとも一方の挟持部は、転動体を一対備え、切断刃は、一対の転動体間に位置する被覆材の部位を切断すべく、一対の転動体間に配置される請求項2に記載の電線被覆剥離具。
【請求項4】
転動体は、ローラであって、それぞれが同方向を中心に回転するように配設される請求項2又は3に記載の電線被覆剥離具。
【請求項5】
各転動体は、球状に形成され、各挟持部は、転動体が電線と接するように転動体の一部を露出させて、転動体を転動可能に収容する収容部を備える請求項2又は3に記載の電線被覆剥離具。
【請求項1】
電線を摺動可能に保持する保持部と、保持される電線の被覆材を切断する切断刃とを備え、切断刃は、保持される電線に対して進退可能にすべく、保持部に対して相対的に変位可能に構成される電線被覆剥離具において、
保持部は、電線を挟持して保持可能とすべく、接離可能な一対の挟持部を備えることを特徴とする電線被覆剥離具。
【請求項2】
各挟持部は、電線と接するように配置され且つ電線を摺動するのに伴い転動する転動体を少なくとも一つ備える請求項1に記載の電線被覆剥離具。
【請求項3】
少なくとも一方の挟持部は、転動体を一対備え、切断刃は、一対の転動体間に位置する被覆材の部位を切断すべく、一対の転動体間に配置される請求項2に記載の電線被覆剥離具。
【請求項4】
転動体は、ローラであって、それぞれが同方向を中心に回転するように配設される請求項2又は3に記載の電線被覆剥離具。
【請求項5】
各転動体は、球状に形成され、各挟持部は、転動体が電線と接するように転動体の一部を露出させて、転動体を転動可能に収容する収容部を備える請求項2又は3に記載の電線被覆剥離具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−160539(P2011−160539A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19256(P2010−19256)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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