説明

電荷再分配回路

直列接続される複数の蓄電素子(4)を持つ蓄電装置(1)用電荷再分配回路(2)は、監視及び電荷再分配用の複数の電荷再分配制御装置(5)を持ち、これらの電荷再分配制御装置(5)に、蓄電素子(4)のそれぞれ1つの蓄電装置下位グループ(3)が付属している。電荷再分配制御装置(5)が、その自身の供給に役立つエネルギを、それに付属する下位グループ(3)から取り、個々の蓄電素子(4)の電圧より大きくかつ蓄電装置(1)の電圧より小さい電圧を供給される。電荷再分配回路(2)は、電圧監視及び必要な場合各蓄電素子(4)における電荷再分配が行われるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電気エネルギの蓄積、例えば直列接続される複数の蓄電素子を持つ蓄電装置用電荷再分配回路に関し、電荷再分配回路が、電圧監視及び電荷再分配用の複数の電荷再分配制御装置を含み、これらの電荷再分配制御装置に、蓄電素子のそれぞれ1つの蓄電装置下位グループが付属している。本発明は、この回路を備えた蓄電装置、及びこのような蓄電装置戸を備えた車両駆動系にも関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギ用蓄電装置は、通常個々の蓄電素子から構成されている。この蓄電素子の公称動作電圧は、大抵は比較的低い電圧値例えばウルトラキャプコンデンサでは、2〜2.5Vの範囲にある。しかし大抵の使用のために、蓄電装置のずっと高い動作電圧が必要である。例えばハイブリット車両の電気駆動装置は、形式に応じて48V〜300Vで作動せしめられるので、このような駆動装置の給電のために使用される蓄電装置は、それに応じて高い動作電圧を持つようにする。この高い電圧を得るために蓄電装置では、典型的に適当な数の蓄電素子が直列に接続されている。例えば48Vの蓄電装置は、約2.5Vの公称動作電圧を持つ20個のウルトラキャプコンデンサの直列回路により形成することができる。
【0003】
その間に、比較的多数の個々の蓄電素子の直列回路から構成されるこのような蓄電装置の寿命は、個々の蓄電素子の充電状態の不均一性により著しく短くされることは公知である(例えばH.Schmidt et al.,“The charpe equalizer−a new system to extend battery lifetime in photovoltaic systems,U.P.S.and electric vehicles”,International Telecommunications Energy Conference,Intelec,Paris,27.bis 30.September 1993,IEEE,Bd.3,Cord 115,S.146−151)。個々の蓄電素子の直列接続では、これらの素子がすべて同じ特性を持ち、常に同じ充電状態にあるものと、まず仮定された。しかし実際に各蓄電素子は、他の素子の特性量とは一般に僅か異なる(容量、自己放電率のような)個々の特性量を持っている。簡単な接続回路では、このような相違は、一方では放電過程において、過放電又は小さい容量の蓄電素子の逆放電を生じ、他方では充電過程において、早期に完全充電される蓄電素子の過充電を生じる。この挙動は一般に発散的であり、即ち充分多数の充−放電サイクルのみが行われると、個々の蓄電素子の間の小さい相違でも、時間の経過と共に前記の現象を生じる。前記の現象は、まず関係する蓄電素子の損傷又は故障を生じ、最後には連鎖反応のように蓄電装置全体の早期の故障を生じる。
【0004】
個々の蓄電素子の間の(実際上不可避な)相違のこのような影響を回避するため、既に複数の創作者が種々の方法を提案しており、これらの方法により個々の蓄電素子の充電状態の強制対称化が行われている(前記の会議におけるSchmidt等の寄稿及び欧州特許出願公開第0432639号明細書、N.Kutkut et al.in“Dynamic equalization techniques for seriesbattery stacks”,Telecommunications Energy Conference 1996(Intelec),Boston,6 bis 10.Oktober 1996,IEEE 0−7803−3507−4196,S.514−421,及びRidder 欧州特許出願公開第1283580号明細書参照)。これらの提案の基礎になっている考えは、蓄電素子を監視し、大きく充電された蓄電素子から電荷を取出し、かつ/又は少なく充電された電荷に供給することであり(その際多くの提案では、すべての蓄電素子から電荷が取出されるか又は供給されるが、多く充電された蓄電素子から、少し充電された蓄電素子より多くの電荷が取出されるか又は少なく供給される。Schmidtによれば、直列接続される蓄電素子の下位グループを形成し、これらを単位として(すべての個々の蓄電素子の代わりに)前述したように監視し、対称化することも公知である。(例えばSchmidtが前記の会議記録において報告した)以前の提案では、多く充電される蓄電素子から取出されるエネルギが加熱抵抗において放散されたが、以前の提案によれば、取出されるエネルギが再び蓄電装置へ(即ち結果として他の蓄電素子)に供給されるか、又はその代わりに少し充電される蓄電素子へ供給されるエネルギが、蓄電装置即ち結果として他の蓄電素子から取出される。このような再充電は効率的に有利である。なぜならば、その際再充電される全エネルギが失われるのではなく、再充電過程に伴って現れる損失が失われるだけだからである。この以前の方法により、比較的よい効率で、前記の種類の蓄電装置の寿命が延長される。
【0005】
しかし前記の刊行物は、対称化に役立つ電荷再分配自体がどのように電流を供給されるかを示していない。恐らく前記刊行物の著者は、電荷再分配回路が、外部電源又は対称化すべき蓄電装置自体から、その作動に必要な電流を供給されることを、考慮していた。更に他の関連で、個々の蓄電池に監視すべき蓄電池から動作電流を得る制御装置を設けることも、既に提案されている(米国特許第6,163,131号明細書)。個々の蓄電池又はその代わりに蓄電池のグループに対して測定モジュールを持つ蓄電池診断装置においても、これらの測定モジュールがその動作電流を監視される電池又は監視される電池の群から取ることも提案されている(ドイツ連邦共和国特許出願公開第19921675号明細書)。
【0006】
全体として、個々の蓄電素子又は蓄電素子のグループから選択的に電荷を取出すか又は供給する(例えばSchmidtの前記会議記録による)電荷再分配装置により、機能する電圧対称化が行われる。しかし例えばSchmidtにより示されるこの回路は、実現に費用がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って例えばこの従来技術から出発して、本発明の基礎になっている課題は、蓄電装置の蓄電素子の電圧対称化を可能にする比較的簡単な電荷再分配回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、直列接続される複数の蓄電素子を持つ蓄電装置用の電荷再分配装置を提供する。電荷再分配回路は、電圧監視及び電荷再分配用の複数の電荷再分配制御装置を含んでいる。電荷再分配制御装置には、蓄電素子のそれぞれ1つの蓄電装置下位グループが付属している。これらの蓄電素子は、その固有の供給に用いられるエネルギを、それらに付属する下位グループから取出す。それらは、個々の蓄電素子の電圧より大きくかつ蓄電装置の電圧より小さい電圧を供給される。電荷再分配装置は、電圧監視及び必要な場合各蓄電素子における電荷再分配が行われるように、電荷再分配回路が構成されている。
【0009】
本発明は、別の局面によれば、上記の種類の電荷再分配回路を持つ蓄電装置に向けられている。
【0010】
本発明は、別の局面に寄れば、駆動のため内燃機関及び電動機を持ち、電気機械への給電のため電荷再分配回路又は上記の種類の蓄電装置を備えている車両用駆動系に向けられている。
【0011】
それ以外の特徴は開示された装置に含まれているか、又は実施例の以下の詳細な説明及び添付図面からわかる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図について説明する前に、好ましい実施例に対する若干の注がまず続く。即ち実施例は、直列に接続される複数の蓄電素子を持つ蓄電装置に関する。これは例えば電池、コンデンサ、ウルトラキャプコンデンサ等である。蓄電素子の直列接続の理由は、通常のように、蓄電装置が全体として見て、個々の蓄電素子の動作電圧より高い公称動作電圧を供給するためである。例えば直列接続される20個の2.5V蓄電素子は約48〜50Vの電圧を供給する。もちろん複数の下位素子の並列接続により、単一の蓄電素子を形成することができる。このような蓄電素子は、その内部構造にもかかわらず、この説明では“蓄電素子”と称される。
【0013】
最初に説明したように(個々の蓄電素子の間の電荷平衡なしの)純直列回路では、個々の蓄電素子の間に不可避に存在する相違が、等しくない電荷状態を生じることになる。従って実施例では、直列接続される蓄電素子の強制電圧対称化に適した電荷再分配回路が設けられている。この電荷再分配回路は、電圧監視及び電荷再分配用の複数の電荷再分配制御装置から構成されている。実施例では、この電荷再分配制御装置は、その自己供給に役立つエネルギを蓄電装置自体から取る。
【0014】
若干の実施例では、電荷再分配制御装置の中心はそれぞれ1つのマイクロコントローラであり、電荷再分配制御装置の種々の機能、特に電圧の監視及び対称化を制御する。市販の種々のマイクロコントローラは、蓄電素子の種々の形式の公称動作電圧より上にある供給電圧で動作する。種々のマイクロコントローラは、多くの実施例では蓄電素子の公称動作電圧を含む大きい範囲の供給電圧を受入れるか、公称動作電圧はしばしばマイクロコントローラ供給電圧範囲の下縁にある。例えばMicorchip TechnologyInc.社のシリーズPIC10Fのマイクロコントローラは、2.0〜5.5Vの範囲にある供給電圧で動作するが、現在の普通のウルトラキャプコンデンサは、例えば2.5Vの公称動作電圧従って範囲下縁にある動作電圧を持っている。このようなウルトラキャプ蓄電素子の放電の際、これから発生される電圧は、従ってすぐにマイクロコントローラの動作電圧範囲の下限を下回るであろう。従って多くの実施例では、電荷再分配制御装置は、それぞれ個々の蓄電素子に付属するのではなく、複数の蓄電素子の下位グループに付属している。これらの実施例では、各電荷再分配制御装置は、それに固有の供給に役立つエネルギを、付属下位グループから取る。これにより電荷再分配制御装置は、個々の蓄電素子の電圧より大きく、(蓄電装置の下位グループのみが問題であり、蓄電装置全体が問題ではないので)蓄電装置の全電圧より小さい電圧を供給される。実施例では、この電圧は、電荷再分配制御装置に付属する個々の蓄電素子の電圧の和であり、従ってこれらの蓄電素子は直列接続されている。多くの実施例では、電荷再分配制御装置は、直列接続される精確に2つの蓄電素子に付属している。例えば2.5Vの動作電圧を持つ2つのウルトラキャプコンデンサが問題である場合、電荷再分配制御装置は、蓄電素子が完全に充電されている場合5.0Vの電圧を供給される。これにより、供給電圧範囲の下限(上記の例では2.0V)を下回るまで、(例えば全充電の約40%まで)比較的大幅な放電が行われる。
【0015】
他方実施例では、下位グループが電荷再分配回路により監視されかつ(例えば電圧対称化のため)再充電可能な蓄電装置であることはなく、これは、例えば電荷再分配制御装置がそれに付属する下位グループを(従来技術におけるように)“ブラックボックス”とみなす場合である。むしろ電荷再分配回路は、監視及び(必要な場合)電荷再分配が、下位グループの直列接続される各蓄電素子において、それぞれの電荷再分配制御装置により行われるように、構成されている。
【0016】
従って実施例では、一方では電荷再分配制御装置が蓄電装置から適当な高さの供給電圧を供給されるが、他方では起こり得る電圧非対称がこの供給に役立つ蓄電装置下位グループ内でも回避されるようにすることができる。下位グループから適当な電圧を供給するため、電荷再分配制御装置は、その供給電圧の高設定又は低設定を行う必要がない。即ち前者は個々の蓄電素子から供給する場合であり、後者は全蓄電装置から供給する場合である。従って少なくとも若干の実施例では、電荷再分配制御装置は、供給電圧変成器を備えていない。
【0017】
若干の実施例では、例えば電圧対称化のため電荷が、一方では下位グループに属する蓄電素子の間で再分配され、他方では蓄電装置下位グループの間で再分配されえる。これらの若干の実施例では、このため電荷再分配制御装置が、一方では蓄電素子の電荷交換のため個々の蓄電素子に付属する下位グループ内部の電圧変成器を備え、他方では下位グループの電荷交換のため関係する全下位グループに付属する電圧変成器を備えている。
【0018】
最初に既に述べたように電圧対称化は、原理的に、比較的高い所にある電圧を持つ蓄電素子又は下位グループからのエネルギ取出しによるか又は比較的低い所にある電圧を持つ蓄電素子又は下位グループへのエネルギ供給によって、行うことができる。両方を選択可能な代案として考慮することも当然可能である。若干の実施例では、電圧変成器が双方向電圧変成器として構成されて、付属する蓄電素子又は付属する下位グループから選択的にエネルギを取出すか又はエネルギを供給することができる。これに反し他の実施例では、これらの可能性の1つだけが実現される。即ち電圧対称化のため若干の実施例では、電圧が高い所にある蓄電素子又は下位グループからエネルギ取出しが行われる。後者の手段は、一般に所望の寿命増大のために充分である。なぜならばそれは、(寿命に特に不利な)過度に高い電圧を、蓄電素子の完全充電の際回避するのに役立つからである。“比較的高い”は、例えば“所定の限界値より上”を意味し、他の実施例では“蓄電素子又は下位グループの測定される電圧の平均より上の(相対又は絶対)値だけ”を意味する。
【0019】
若干の実施例では、電圧対称化のため1つの下位グループから取出されるエネルギは、1つ又は複数の他の下位グループへ供給される。これは、例えばこのエネルギを全蓄電装置(従って蓄電素子の全直列回路)へ供給することによって行うことができる。もちろんこのような供給は、電圧を実際に低くされる下位グループにおける僅かな電荷増大も生じる。しかしこの値は下位グループの逆数に応じて1つの係数だけ“薄められる”ので、考察されている下位グループにおける電荷減少が残っており、従ってこれらの種々のエネルギ流を、取出される正味エネルギ値が他の下位グループのみへ供給されるものとみなすことができる。同様に多くの実施例において、下位グループ内における1つまたは複数の蓄電素子の電圧対称化は、1つの下位グループの蓄電素子から取出されるエネルギが下位グループの1つ又は複数の他の蓄電素子へ供給されるように、行われる。
【0020】
既に述べたように、蓄電素子は例えば電池、コンデンサ又はウルトラキャプコンデンサである。電池はエネルギを化学的な形で蓄える。それにより比較的高いエネルギ密度が得られ、他方では化学エネルギから電気エネルギへの変換は損失を伴い、一般に比較的ゆっくり経過するので、全体として蓄積可能なエネルギ量に対して比較的小さいエネルギしか取出し可能でない。更に変換速度は一般に低下する温度と共に低下し、更にこのような蓄電池の寿命は限られている。これに反しコンデンサはエネルギを電気の形で蓄えるので、実際上損失なくかつ遅れなく任意の頻度で取出すことができる。しかし従来のコンデンサのエネルギ密度は比較的小さい(典型的には電解コンデンサで0.01wh/kg)。いわゆるウルトラキャプコンデンサは、従来のコンデンサの利点を持ち(実際上損失なく速くかつ頻繁な放電可能性)、ずっと大きいエネルキ密度に達する。このエネルギ密度は、例えば1けた又は2けただけアルミニウム電解コンデンサのエネルギ密度より上にある。その蓄積機構は、電解中におけるイオンの移動に基いており、誘電体を持つ従来のコンデンサにおけるようにイオンの分極に基くものではない。しかも電気化学二重層の充−放電が行われる(従ってウルトラキャプコンデンサは二重層コンデンサとも称される)。この層は2つの相を含んでいる。例えば一方の側に導電性炭素、他方の側に溶媒に溶解しているイオン。充−放電の際イオンが分極した炭素電極によりイオンが引寄せられるか又は突き離される。電荷担体の間隔は一般に数nmにすぎず、このような炭素材料の表面は非常に大きいので、小さい体積において比較的大きい容量が得られる(例えばT.Dietrich:UltraCaps−Power fuer innovative Automobilapplikationen,in A.Krappel(Hrsg.):“Kurbelwellenstartgenerator(KSG)−Basis fuer zukuenftige Fahrzeugkonzepte,2.Auflage,Expert−Verlag 2000,S.202−207参照)。
【0021】
若干の実施例では、前述したように蓄電装置下位グループは、それぞれ2つの蓄電素子を持っている。使用される蓄電素子形式及び電荷再分配制御装置用の所望の供給電圧に応じて、下位グループは(例えば3つの蓄電素子を持つように)異なるように構成可能であるとしても、それぞれ2つの蓄電素子が特に簡単な双子構造を可能にする。多くの実施例におけるように、蓄電素子が対向する側に電流端子を持っていると、両方の蓄電素子が、電流端子の極性に関して逆向きで双子装置にまとめられる。一方の側にある双子装置の両方の電流端子(例えば一方の蓄電素子の負極及び他方の蓄電素子の正極)は、この若干の実施例では、電気的に相互接続されている。他方の側にある双子配置の電流端子(従って上記の例において第1の蓄電素子の正極及び第2の蓄電素子の負極)は、外部への下位グループの“接続端子”を形成し、他方の下位グループの対応する電流端子と直列接続されている。若干の実施例では、電荷再分配制御装置は、前記の接続端子及び相互接続される電流端子とそれぞれ電気接続されている。
【0022】
前記の電荷再分配回路の例示した好ましい使用は、駆動のため内燃機関及び電気機械を持ちかつ電気機械への給電のため蓄電装置及び上述した実施例による電荷再分配回路を備えている自動車において行われる。
【0023】
さて図1に戻って、そこには電荷再分配回路2を持つ蓄電装置1の一部が示されている。蓄電装置1は複数の蓄電装置下位グループ3の直列回路により形成されている(そのうち図1には3つが示されている)。これらの下位グループ3の各々は、2つの蓄電素子4の直列回路から構成され、図1において高い方にある蓄電素子は“4a”で示され、低い方にある蓄電素子は“4b”で示されている。蓄電素4の電圧はVa又はVbで示されている。電圧Va及びVbの和である下位グループの電圧はVabで示されている。電圧Vabの和である全蓄電装置の電圧は、Vで示されている。蓄電素子4は、例えば2.5Vの公称動作電圧Va又はVbを持つウルトラキャプコンデンサである。従って下位グループ3は、この例ではそれぞれ5.0Vの公称動作電圧Vabを持っている。例えば蓄電装置1が直列接続される10個の下位グループ3を持っているものとすれば、蓄電装置1の公称全動作電圧Vは50Vである。
【0024】
各蓄電装置下位グループ3には、電荷再分配制御装置5が付属している。電荷再分配制御装置5は、入力量としてそれぞれ付属する蓄電装置下位グループ3の瞬間の電圧Vabを測定する(別の入力量として、それぞれの下位グループに属する蓄電素子4の瞬間の電圧Va及びVbも測定するが、これは図2に関して詳細に説明される)。すべての電荷再分配制御装置5は、更に制御バス6を介して上位の制御器7に接続されている。電荷再分配制御装置5は、制御器7に、例えば連続的に、それぞれ付属する下位グループ3の測定される瞬間の電圧Vabを通報する。
【0025】
多くの実施例では、各電荷再分配制御装置5に、内部電圧閾値が固定的に記憶されている。個々の蓄電素子4の電圧Vaがこの電圧閾値を超過する電荷再分配制御装置5は、下位グループ3内で電荷再分配により、下位グループ内部の電圧対称化を行う。更に付属する下位グループ電圧Vabが電圧閾値のn倍を超過する電荷再分配制御装置5は、自己の下位グループ3から電荷の放出により、下位グループ3の間の電圧対称化を行う(ここでnは下位グループ3の直列接続される蓄電素子4の数であり、下位グループ毎に2つの蓄電素子4を持つこの例では、電圧閾値の2倍が問題である)。電荷再分配制御装置5は、内部電圧閾値に基いて、この対称化動作を自発的に即ち制御器7に関係なく行うことができる。これに反し別の実施例では、電圧閾値は電荷再分配制御装置5に固定的に記憶されておらず、上位の制御器7により制御バス6を介して規定される。その場合この所定の電荷再分配制御装置5に揮発的にのみ記憶される(例えば固定的に限定される期間のみ及び/又は制御器7の側から新たに通報される電圧閾値により超過されるまで)。このような実施例では、制御器7は、どんな範囲から万一の電圧非対称化を除去すべきかを決定する。更に別の実施例では、電荷再分配制御装置5が内部の固定的に記憶された閾値を利用しかつ制御器7から閾値を得ることによって、両方の閾値実行法が組合わされている。即ちこれらの方法は、閾値の超過があるか否かを決定するため、これらの閾値の1つを使用する(例えば両方の閾値の小さい方を使用する)。このような組合わせは、一方では、上位の制御器7により対称化動作に影響を及ぼすのを可能にし、他方では、制御器7が動作しないか又は制御バス6を介する通信接続が中断され、従って制御器7により規定される閾値が利用不可能である時、完全に自発的に作用する電荷再分配制御装置5に基いて、電荷再分配回路2の機能も可能にする。
【0026】
若干の実施例では、すべての電荷再分配制御装置5に同じ閾値が固定的に記憶されている。個の実施例では、上位の制御器7が、すべての電荷再分配制御装置5に対して共通な閾値を規定する。
【0027】
過剰な電荷を放出できるようにするため、各下位グループ3は高設定器(即ち電圧を高める直流電圧変成器)を備えており、この高設定器は、それぞれ付属する下位グループ3の電圧Vabを全体として減少させ(しかし下位グループ3の個々の蓄電素子4の電圧Va又はVbを選択に減少させるのではない)、従って以下下位グループ変成器8と称される。
【0028】
下位グループ変成器8は、付属する下位グループ3に入力側をそれぞれ並列接続されている。即ちその入力端には、それぞれ下位グループ電圧Vabがかかる。出力側で下位グループ変成器8は、互いに並列に蓄電装置1全体の端子に接続されている。即ちその出力端には、著しく高い全電圧Vがかかる。下位グループ3の電圧を低下させようとすれば、関係する電荷再分配制御装置5がその下位グループ変成器8を制御して、この変成器が電圧を高設定しながら電荷を下位グループ3から出力側へ出し、蓄電装置1全体へ供給する。これにより取出される電荷が蓄電装置1のすべての下位グループ3へ均一に分配されるので、関係する下位グループ3の電圧Vabが他の下位グループ3の電圧Vabに対して減少される。これは、一層低い第2の閾値を下回るまで、例えばヒステリシスのように行われる。電圧によれば高すぎる所にある下位グループから電荷を放出して、電荷を蓄電装置1全体へ戻すことにより、下位グループ3の電圧対称化が行われる。
【0029】
下位グループ変成器8のために、適当な形式の高設定器を使用することができる。図1の実施例では、このため変成器9により形成されるスイッチングレギュレータが設けられ、この変成器9の一次巻線はスイッチ10(ここではパワトランジスタ)と直列接続され、その二次巻線は蓄電装置1の正の端子へ導通方向を持つ逆流防止器11(ここではダイオード)と直列接続されている。スイッチ10の開閉は、自己誘導のため、変成器9の二次側に誘導電圧を生じ、この電圧が逆流防止器11を通る電流を生じ、蓄電装置1を一層高い電圧レベルにする。スイッチ10の開閉は、電荷再分配制御装置5の側からの制御によって行われる。
【0030】
自己給電のため、電荷再分配制御装置5の給電端子12は、付属の蓄電装置下位グループ3の正極又は負極に接続されている。従って電荷再分配制御装置5は、その自己の作動電流をそれぞれ付属する下位グループ3から下位グループ電圧Vabで取出す。図1の回路に示されている下位グループ3の蓄電素子の間のタップは、電圧測定及び(図2に関して後述するように)下位グループ3の関係する蓄電素子4の相互の電圧対称化に役立つが、電荷再分配制御装置5の給電には役立たない。
【0031】
図2aは図1の蓄電装置下位グループ3を示し、電荷再分配制御装置5が図1におけるより詳細に示されている。これは2つの電圧変成器13a,13b、2つの電圧測定増幅器14、1つの通信インタフェース15及び1つのマイクロコントローラ16を含んでいる。電圧変成器13a,13bは、下位グループ3の蓄電素子4相互の下位グループ内部の電荷再分配に役立ち、従って以下“蓄電素子変成器”とも称される。蓄電素子4a,4bの蓄電素子変成器13a,13bは、その出力端をそれぞれ他方の蓄電素子4b又は4aの正の端子に接続されている。蓄電素子変成器13a,13bは例えばチョークコイル変成きであり、上の蓄電素子変成器13aは例えば電圧低下変成器であり、下の蓄電素子変成器13bは例えば電圧上昇変成器である。電圧上昇変成器13bの回路の例が、図2bに概略的に示されている。図1に関連して説明した下位グループ変成器8と同様に、蓄電素子変成器13a,13bにおいて、それぞれ1つのパワースイッチ17が周期的に操作されることによって、それぞれ付属する蓄電素子4a,4bからの電荷の放出が行われる。これは、チョークコイル18における自己誘導により、電圧を上昇又は低下しながら通電を引き起こす。スイッチ17の制御は、スイッチ10の制御のように、マイクロコントローラ16によって行われる。電圧低下チョークコイル変成器13b用の対応する回路は、例えば図2bから、大体においてスイッチ17とチョークコイル18の交換によって得られる。
【0032】
マイクロコントローラ16は、電圧測定増幅器14を介して、両方の蓄電素子4a,4bの電圧Va及びVbを連続的に測定する(もっと詳細には、それは、図2aによる実施例では、一方では下位グループの電圧Vab及び下の蓄電素子4bの電圧Vbを測定し、これから差の形成(Vab−Vb)により上の蓄電素子4aの電圧Vaを計算する。この場合マイクロコントローラが、前記の第1の閾値より上にあるVaとVbとの電圧差を確認する場合、下位グループ3の蓄電素子4a,4bの内部対称化を行う。このためマイクロコントローラは、両方の電圧Va及びVbのうち高い方の電圧を持つ蓄電素子4a又は4bに付属する蓄電素子変成器13a又は13bのパワースイッチ17にクロックパルスを供給する。これにより関係する蓄電素子4a又は4から電荷が取出され、同じ下位グループ3の他方の蓄電素子4b又は4aへ供給され、(下の蓄電素子4bからの電圧を高設定する電荷放出の場合、この電荷が下位グループ3全体へ供給されるので、この電荷の一部即ち約半分が再び下の蓄電素子4bへ流れ戻る。しかし逆効果として、この“薄め”にもかかわらず、下の蓄電素子4bから上の蓄電素子4aへの電荷放出が生じる)。この対称化は、第2の低い方の閾値を下回るまで、例えばヒステリシスのように行われる。制御バス6従って上位の制御器7へのマイクロコントローラ16のインタフェースとして、通信インタフェース15が役立つ。
【0033】
図1に関連して既に説明したように、電荷再分配制御装置5の給電は、給電端子12を介して、付属する蓄電装置下位グループ3からその電圧Vabにより行われる。図2aには、例えばマイクロコントローラ16へのこの給電電圧の供給が示されている。対応する供給は、電荷再分配制御装置5の他の部分が給電を必要とする場合、これらの部分に対して、例えば電圧測定増幅器14及び通信インタフェース15に対して、当然考慮されている。
【0034】
既に図1に関連して説明した第1の閾値を上回ると、蓄電素子4のグループ内部の対称化が行われるが、この閾値は、蓄電素子4の公称動作電圧より例えば0.1Vだけ上従って例えば2.6Vの所にある(例として2.5Vの公称動作電圧を持つ上記のウルトラキャプコンデンサにおいて)。それに応じて2倍の閾値は5.2Vの所にあり、この閾値を上回ると、下位グループ3の対称化が行われる。これに反し他の実施例では、公称電圧自体が閾値として設定される。即ち閾値は、前記の例では2.5V(又は2倍にして5.0V)である。これによりあらゆる過充電、即ち公称動作電圧以上の充電が回避される。例えば電圧も同様に閾値を超過するので、下位グループ3のそれぞれ他の蓄電素子4又は他の下位グループ3が放出すべき電荷を吸収できないほど、蓄電装置1が充電されると、再充電の試みに伴って現れる電流のため損失が結局全体として所望の電圧低下を生じる。
【0035】
同様に既に図1に関連して述べた第2の閾値は、ヒステリシス効果を生じるため、例えば0.1Vであってもよい固定的な所定の差値だけ、第1の閾値の下にある。例えば2.5Vの第1の閾値において、蓄電素子電圧Va又はvbが2.4Vの値を下回るか、又は下位グループ電圧Vabが4.8Vの値を下回ると、対称化動作が再び終了せしめられる。
【0036】
図3は、下位グループ3のマイクロコントローラ16により実施される動作の概略流れ図である。過程は循環して行われ、従って終わっていない。図3においてS1で、付属する下位グループ3の瞬間の電圧Vab、及び下位グループ3に属する個々の蓄電素子4a,4bの瞬間の電圧Va,Vbの測定が始まる。既に上述したように、(狭い意味で)これらの電圧のすべてを測定する必要はない。むしろS1には、前記電圧の1つ(例えばVa)を測定された他の値から計算する(例えばVa=Vab−Vb荷より)可能性も含まれている。S2において、現在のサイクルのために選ぶべき電圧閾値が選択される。これは、例えば固定的に記憶されている内部閾値及び不揮発的に記憶されかつ制御器7により規定される閾値の最小値である。S3でマイクロコントローラ16は、それに付属する下位グループ3の測定された電圧値Vabが選択された2倍の閾値より上にあるか否かを確かめる。yesの場合、S4において、前記の下位グループ3から電荷の放出を行い、しかも下位グループ電圧Vabが適当な第2の閾値(例えばS2で選択された第1の閾値とヒステリシスとの差の2倍)を下回るまで(このためS4でVabが連続的に測定される)、放出を行う。しかしS3で2倍の閾値の超過が確認されない場合、S4における電荷放出は行われない。S5でマイクロコントローラ16は、下位グループ3の個々の蓄電素子4の電圧Va又はVbがS2で選択された閾値より上にあるか否かを検査する。yesの場合S6において、当該蓄電素子(例えば4a)から同じ下位グループ3の他の蓄電素子(例えば4b)へ電荷を放出させ、しかも当該電圧(例えば10Va)が適当な第2の閾値(第1の閾値とヒステリシスとの差)を下回るまで(この目的のためS6において当該電圧(例えばVa)が連続的に測定される)、放出を行わせる。しかしS5において閾値の超過が確認されないと、S6における電荷再分配は行われない。過程はそれからS1において続行される。
【0037】
この対称化動作に並行する別のプロセスにおいて、マイクロコントローラ16は、S7において、それに付属する下位グループ3の測定された電圧Vab,Va,Vbを上位の制御器7へ送る。更にマイクロコントローラ16は、上位の制御器7から新しい閾値を受ける用意がある。これは例えば次のように行われる。即ちマイクロコントローラ16が、並行するプロセスのS8で、新しい閾値が入っているか否かを検査する。その場合このような閾値は、今まで使用されかつ制御器7により規定されてS2〜S6で使用される閾値に代わる。別の実施例では、別の受信方法が実施される。例えばマイクロコントローラ16は、S2の前のまず前記のプロセスにおいて、適当な入力検査及び場合によっては閾値交代を行うことができる。S8後に並行するプロセスも同様にS1へ戻る。
【0038】
図4は、3つの異なるグラフで、2っの蓄電装置下位グループ3(下位グループI及びIIと称する)及び両方の下位グループ3の1つ(即ち下位グループI)の2つの蓄電素子4(蓄電素子a及びbと称する)の電圧推移を、時間の関数として示している。例えば図4aは、時点tとtとの間の充電過程の推移において、下位グループの一方(即ち下位グループI)の電圧Vabが、他方の下位グループ(即ち下位グループII)の電圧より速く増大することを示している。それに応じて同じ下位グループ3に属する蓄電素子4a,4bの電圧Va及びVbも離れて動くことができる。例えば図4bは、tとtとの間の充電過程において、ここでは既に最初から高い所にある第1の(ここでは例えば選ばれた下位グループIの)蓄電素子4aの電圧Vaが、この下位グループの第2の蓄電素子4bの電圧より少し強く増大していることを示している。
【0039】
時点tに、図4aに示す例において、下位グループIの電圧Vabは(第1の)閾値を超過する。これは上述した電圧対称化過程を開始し、この過程において電荷が下位グループIから取出されて、蓄電装置1全体へ戻される。その結果電圧Vabは、時点tに第2の閾値(これは例えば第1の閾値とヒステリシスとの差である)を下回るまで低下するので、対称化過程はtで終了する。厳密に言えば、他方の下位グループ(下位グループII)の電圧Vabは、電荷戻しにより高まる。即ち蓄電装置のすべての下位グループ3への電荷の分配のため、この効果は強く薄められ、従って図4aの概略図からはわからない。図4aにおいてわかり易くするため、充電過程が対称化過程の初め(従ってtにおいて)終わるものと仮定されている(実際には充電過程はなお引続いて進行し、これに対称化過程を重ねることができる)。
【0040】
図4bは、下位グループ相互の電圧対称化が下位グループ個々の蓄電素子への対称化効果を大体において持たないことを示している。このため図4bにおいて、理想化して、図4aにおいて上述した下位グループIの対称化と同時には、下位グループ内部の対称化も行われないことが仮定される(しかし実際に後者の対称化は一般に事実その通りであるだろう。なぜならば、下位グループにおける(2倍の)閾値の超過は、一般に蓄電素子の少なくとも1つによる(1倍の)閾値の超過も伴うからである)。この仮定の下に図4bによれば、tとtとの間で下位グループIからの電荷取出しの際、個々の蓄電素子の電圧Va及びVbの絶対値はそれに応じて減少するが、その電圧差はほぼ不変のままである。
【0041】
既に上述したように、下位グループ3の個々の蓄電素子の対称化は、むしろこれとは無関係な下位グループ内部の図4cに示す対称化プロセスにおいて行われる。わかり易くするため図4cでは、ここに示す時間t’〜t’に、図4bにおけるように図において両方の対称化プロセスの重なりを避けるため、図4aのように下位グループ外部の同時対称化が行われないことを仮定する。しかもここでは例えば、t’とt’との間とここで考察されている下位グループの充電が行われ、その際この下位グループIの蓄電素子aがtで(第1の)閾値を超過する(これは例えば図4aの閾値の半分である)ことを仮定する。さて閾値超過の結果、蓄電素子aから電荷が取出され、考察されている下位グループIの他の蓄電素子bへ供給される。それに応じて蓄電素子aの電圧Vaが低下し、蓄電素子bの電圧Vbが上昇し、それから時点t’において、電圧Vaが第2の閾値(例えば第1の閾値からヒステリシスを差引く)を下回り、その後下位グループ内部の電圧対称化が終了する。
【0042】
図5は2つの蓄電素子4の双子装置20を示し、ここでは例えばウルトラキャプコンデンサのハウジングが、例えば2つの円形端面を持つ長い円筒の形状を持っている。両方の蓄電素子4は、共通な面内にあるハウジング円筒の縦軸線を平行にして設けられている。蓄電素子4はその縦軸線において、それぞれ対向する端面に正の電流端子21及び負の電流端子22を持っている。両方の蓄電素子4は、その極性を互いに逆にされ、即ち互いに隣接する端面には、一方の蓄電素子4の正の電流端子21と他方の蓄電素子4の負の電流端子22がある。隣接する両方の電流端子21,22は、一方の側で接続導体23に接続されている。従って両方の蓄電素子は、図1及び2に示す下位グループに従って2つの蓄電素子4の下位グループ3を形成している(従って“4a”及び“4b”で示されている)。他方の側にある電流端子21及び22は、この下位グループ3の正及び負の接続端子24及び25を形成している。これらの端子は、図示した種類の別の双子装置と接続条片26により接続されている。両方の接続端子24,25の間に、上述した種類の電荷再分配回路の下位グループ3に付属する部分が設けられている。それは、図1及び2による電荷再分配制御装置5及び下位グループ変成器8である。この部分回路は“27”で示され、一方では下位グループ3の両方の接続端子24,25に接続され、他方では両方の蓄電素子4a,4bの間の電位の取出しタップ28を持ち、このタップ28がこの電位にある接続導体23と接触している(蓄電素子4a,4bのハウジングがこの中間電位にある他の実施例では、その代わりに中間電位の取出しのためこれらのハウジングの一方又は両方への接続部を設けることができる。)部分回路27は更に蓄電装置全体の正及び負の接続端子にも接続され、この蓄電装置の部分は双子装置20である。
【0043】
図6は、図1〜5による蓄電装置1及び電荷再分配回路2を持つ自動車駆動系を示している。駆動系は内燃機関121を持ち、駆動軸122(例えば内燃機関121のクランク軸)、クラッチ123及び駆動系の別の(図示しない)部分を介して、内燃機関121がトルクを車両の駆動車輪へ与える。駆動軸122上には、始動電動機及び/又はブースタ及び場合によっては発電機として動作する電気機械124、ここでは三相非同期機又は例えば永久磁石を備えた三相同期機がある。これは、駆動軸122上に直接はまりかつこれと相対回転しないように結合される回転子125、及び例えば内燃機関121のハウジングに支持される固定子126を持っている。電気機械124及び内燃機関121は、常に一緒に回転する。即ち内燃機関121の始動及び/又はブースタ機能は、変速なしに直接行われる。固定子126の(ここには図示してない)巻線は、逆変換装置127により、自由に調節可能な振幅、位相及び周波数の電流及び電圧を供給される。逆変換装置127は、これらの電流及び電圧を、従来の長時間蓄電池128(例えば48Vの動作電圧を持つ鉛−硫酸蓄電池)が設けられている直流電圧入力回路から発生する。入力回路には、電荷再分配回路2を持つ蓄電装置1も接続され、しかも図1の上位制御器7の機能も引受ける。充−放電制御器129を介して接続されている。蓄電装置1は、図1に詳細に示したように、直列接続されかつ付属する対称化部分回路27(図5)をもつ蓄電装置下位グループ3から構成されている。下位グループ3は直列接続される蓄電素子から構成され、図6にはこのような下位グループがコンデンサ記号で表されている。例えば内燃機関121の直接始動のため又は車両加速の際トルク付加(ブースタ機能)のため、電気機械124が短時間に高い電力需要を持つ時、蓄電装置1から短時間大きい電力が取出され、逆変換装置127を介して電気機械124へ供給される。蓄電装置1の再充電は、連続作動中に、例えば電気機械124が発電機として動作する時に行われる。例えば車両の長い停止時間後、蓄電装置1が放電してしまっていると、始動過程前に蓄電装置1を長時間蓄電池128から充電することができる。蓄電装置1が完全に放電していると、電荷再分配制御装置5のマイクロコントローラ16は、もはや供給せず、従ってその動作を中止する。マイクロコントローラは、給電の回復後リセットのように、その内部プログラムサイクルの特定の点において動作開始できるように、構成されている。これにより、蓄電装置1の放電及び後の再充電によりコントローラが不定の作動状態に達するのを回避される。蓄電装置1の対称化は、図1〜4に関連して説明した仕方に従って行われる。
【0044】
好ましい実施例は、高い全体効率及び比較的少ない構造費で蓄電装置の電荷対称化を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】 電荷再分配回路の実施例をもつ蓄電装置の図であり、電荷再分配制御装置が概略的に示されている。
【図2】 図1の電荷再分配制御装置の概略図である。
【図3】 電荷再分配制御装置の動作を示す流れ図である。
【図4】 時間の関数として、蓄電装置下位グループ及び個々の蓄電素子の電圧対称化過程前及び過程中における電圧の概略推移図である。
【図5】 下位グループを形成する蓄電素子の双子装置である。
【図6】 上述した蓄電装置の実施例を持つ自動車駆動系の簡単化した概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続される複数の蓄電素子(4)を持つ蓄電装置(1)用電荷再分配回路であって、
電荷再分配回路(2)が、電圧監視及び電荷再分配用の複数の電荷再分配制御装置(5)を含み、これらの電荷再分配制御装置(5)に、蓄電素子(4)のそれぞれ1つの蓄電装置下位グループ(3)が付属している
ものにおいて、
電荷再分配制御装置(5)が、その自身の供給に役立つエネルギを、それに付属する下位グループ(3)から取出し、個々の蓄電素子(4)の電圧より大きくかつ蓄電装置(1)の電圧より小さい電圧を供給され、
電圧監視及び必要な場合各蓄電素子(4)における電荷再分配が行われるように、電荷再分配回路(2)が構成されていることを特徴とする、
電荷再分配回路。
【請求項2】
電荷再分配制御装置(5)に供給する電圧が、それに付属する蓄電素子(4)の電圧の和である、請求項1に記載の電荷再分配回路。
【請求項3】
電荷再分配制御装置(5)への供給電圧の供給が、それを高く又は低くすることなしに行われる、請求項1又は2に記載の電荷再分配回路。
【請求項4】
一方では下位グループ(3)に属する蓄電素子(4)の間で電荷が分配され、他方では蓄電装置下位グループ(3)の間で電荷が分配されるように、電荷再分配が行われる、請求項1〜3の1つに記載の電荷再分配回路。
【請求項5】
電荷再分配制御装置(5)が、一方では蓄電素子(4)の間で電荷再分配のために、個々の蓄電素子(4)に付属する下位グループ内部の電圧変成器を備えており、他方では下位グループ(3)相互の電荷再分配のために、下位グループ(3)に付属するそれぞれ1つの電圧変成器(8)を備えている、請求項4に記載の電荷再分配回路。
【請求項6】
蓄電装置下位グループ(3)及び蓄電素子(4)の電圧が対称化されるように、電荷再分配が行われる、請求項1〜5の1つに記載の電荷再分配回路。
【請求項7】
電荷再分配のため、蓄電装置下位グループ(3)及び比較的高い所にある電圧を持つ蓄電素子(4)からエネルギ取出しが行われるように、構成されている、請求項6に記載の電荷再分配回路。
【請求項8】
蓄電装置(1)の電圧対称化のため蓄電装置下位グループ(3)から取出されるエネルギが、1つ又は複数の他の下位グループ(3)に供給される、請求項7に記載の電荷再分配回路。
【請求項9】
下位グループ(3)の電圧対称化のため下位グループ(3)の蓄電素子(4)から取出されるエネルギが、下位グループ(3)の1つ又は複数の他の蓄電素子(4)に供給される、請求項7又は8に記載の電荷再分配回路。
【請求項10】
蓄電素子(4)がウルトラキャプコンデンサである、請求項1〜9の1つに記載の電荷再分配回路。
【請求項11】
蓄電装置下位グループ(3)がそれぞれ2つの蓄電素子(4)を持っている、請求項1〜10の1つに記載の電荷再分配回路。
【請求項12】
直列に接続される複数の蓄電素子(4)及び請求項1〜11の1つに記載の電荷再分配回路を持つ蓄電装置。
【請求項13】
蓄電装置下位グループ(3)がそれぞれ2つの蓄電素子(4)を持ち、
蓄電素子(4)が対向する側に電流端子(21,22)を持ち、
下位グループ(3)を形成するそれぞれ2つの蓄電素子(4)が、電流端子(21,22)の極性に関し逆の向きを持つ双子装置(20)にまとめられ、
双子装置(20)の両方の電流端子(21,22)が、一方の側で電気的に相互接続され、
双子装置(20)の電流端子(21,22)が、他方の側で下位グループ(3)の接続端子(24,25)を形成し、かつ下位グループ(3)の対応する電流端子と直列に接続され、
電荷再分配制御装置(5)が、双子装置(20)の接続端子(24,25)及び相互接続されている電流端子(21,22)に電気接続されている、
請求項12に記載の蓄電装置。
【請求項14】
駆動系駆動のため内燃機関(121)及び電気機械(124)を持ち、電気機械(124)への給電のため、請求項1〜11に記載の電荷再分配回路(2)又は請求項11に記載の蓄電装置(1)を備えている、自動車両用駆動系。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−526182(P2008−526182A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551537(P2007−551537)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【国際出願番号】PCT/DE2005/002155
【国際公開番号】WO2006/066527
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(507243175)テミツク・オートモテイーベ・エレクトリツク・モータース・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (11)
【Fターム(参考)】