説明

電荷輸送材料及び有機電界発光素子

【課題】化学的安定性が高く、Tが大きな電荷輸送材料と、高効率、低駆動電圧であり、駆動耐久性も高い有機EL素子を提供する。
【解決手段】一般式(1)又は一般式(2)で表される電荷輸送材料。


(ただし、式中、L,Lはそれぞれ独立に連結基を表し、R,Rはそれぞれ独立に置換基を表し、R,Rはそれぞれ独立に置換基を表す。RとRがいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。nは2以上10以下の整数を表し、mは整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電荷輸送材料及び有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」ともいう)は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから活発に研究開発が行われている。有機電界発光素子は、一対の電極間に有機層を有し、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。
【0003】
近年、燐光発光材料を用いることにより、素子の高効率化が進んでいる。燐光発光材料としてイリジウム錯体や白金錯体などを用いた燐光発光素子に関する発明が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、高効率と高耐久性を両立する素子の開発には至っていない。
【0004】
燐光発光素子で高効率と高耐久性を両立できていない原因の一つに、化学的安定性及びキャリア注入・輸送性が高く、最低励起三重項エネルギー(Tエネルギー)の大きなホスト材料が限られていることが挙げられる。ホスト材料のTが燐光発光材料のTより小さいと発光を消光してしまうためホスト材料には燐光発光材料より大きなTが求められる。また、ホスト材料のTが燐光発光材料より大きい場合でも、両者のT差が小さい場合には一部、燐光発光材料からホスト材料への逆エネルギー移動が起こるため、効率低下や耐久性低下の原因となる。従って、Tが十分に大きく、化学的安定性及びキャリア注入・輸送性の高いホスト材料が求められている。
【0005】
燐光材料と共に発光層を形成するホスト材料として、下記のテトラフェニルシラン化合物からなる材料を用いた有機電界発光素子に関する発明が開示されている(例えば特許文献3参照)。この材料は、Tは大きいものの、電荷注入・輸送能が低いために素子の駆動電圧が高くなってしまう、素子駆動耐久性が低いなど、改善が求められていた。
【0006】
【化1】

【0007】
また、特許文献4には、下記の連結部がジアリールメチレンのアクリダン構造からなる材料を用いた有機EL素子が記載されている。
【0008】
【化2】

【0009】
しかし上記材料は、本発明者の検討によれば、化学的安定性が低く、駆動耐久性が不十分であるという問題点がある。
また、特許文献5には、下記のフェノキサジン,フェノチアジン構造からなる材料を用いた有機EL素子が開示されている。
【0010】
【化3】

【0011】
しかし上記材料は、Tが小さいため燐光材料(特に発光波長短波な青色燐光材料)と共に用いると燐光発光材料の発光を消光してしまい、効率を大きく低下させてしまう、駆動耐久性が不十分であるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6303238号明細書
【特許文献2】国際公開第00/57676号
【特許文献3】国際公開第04/0209116号
【特許文献4】国際公開第07/110228号
【特許文献5】特開2002−231453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、化学的安定性が高く、Tが大きな電荷輸送材料を提供することである。また、該電荷輸送材料を用いた高効率、低駆動電圧で駆動耐久性の高い有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以下の通りである。
【0015】
〔1〕
一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物。
【0016】
【化4】

【0017】
(ただし、式中、R、RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。L1−1、L2−1はそれぞれ独立にフェニレン又はビフェニレンを表す。n’は2以上10以下の整数を表し、mはそれぞれ独立に整数を表す。)
〔2〕
一般式(1)又は一般式(2)で表される電荷輸送材料。
【0018】
【化5】

【0019】
(ただし、式中、L1,L2はそれぞれ独立に連結基を表し、R、RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。nは2以上10以下の整数を表し、mは整数を表す。)
〔3〕
前記一般式(1)又は一般式(2)が一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される〔2〕に記載の電荷輸送材料。
【0020】
【化6】

【0021】
(ただし、式中、R、RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。L1−1、L2−1はそれぞれ独立にフェニレン又はビフェニレンを表す。n’は2以上10以下の整数を表し、mはそれぞれ独立に整数を表す。)
〔4〕
前記一般式(1)が一般式(3)で表される〔2〕に記載の電荷輸送材料。
【0022】
【化7】

【0023】
(ただし、式中、R、R’は、それぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Qは5員環又は6員環である。nは2又は3を表し、m,pは整数を表す。)
〔5〕
前記一般式(3)が一般式(4)で表される〔4〕に記載の電荷輸送材料。
【0024】
【化8】

【0025】
(ただし、式中、R、R’は、それぞれ独立に置換基を表し、R1,R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Q’は芳香族6員環である。m,pは整数を表す。)
〔6〕
前記一般式(4)においてR1がメチル基である〔5〕に記載の電荷輸送材料。
〔7〕
薄膜状態での励起三重項準位(T1)が3.0eV以上3.5eV以下である〔2〕〜〔6〕のいずれかに記載の電荷輸送材料。
〔8〕
〔1〕に記載の化合物又は〔2〕〜〔6〕のいずれかに記載の電荷輸送材料を含む組成物。
〔9〕
〔1〕に記載の化合物又は〔2〕〜〔6〕のいずれかに記載の電荷輸送材料を含む薄膜。
〔10〕
陰極と陽極の間に発光材料を含有する発光層を含む、少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、〔1〕に記載の化合物又は〔2〕〜〔7〕のいずれかに記載の電荷輸送材料を有機層に含有することを特徴とする有機電界発光素子。
〔11〕
前記発光層が燐光発光材料を含む〔10〕に記載の有機電界発光素子。
〔12〕
前記燐光発光材料がIr錯体又はPt錯体である〔11〕に記載の有機電界発光素子。
〔13〕
前記燐光発光材料が3座以上の配位子を含むPt錯体である〔12〕に記載の有機電界発光素子。
〔14〕
前記燐光発光材料が下記一般式(C−2)で表されるPt錯体である〔13〕に記載の有機電界発光素子。
【0026】
【化9】

【0027】
(式中、L21は単結合又は二価の連結基を表す。A21、A22はそれぞれ独立にC又はNを表す。Z21、Z22はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z23、Z24はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。)
〔15〕
前記燐光発光材料が下記一般式(5)で表されるPt錯体である〔14〕に記載の有機電界発光素子。
【0028】
【化10】

【0029】
(式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。X、X、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。X11、X12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表し、X11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは単結合又は2価の連結基を表す。)
〔16〕
前記燐光発光材料が下記一般式(T−1)で表されるIr錯体である〔12〕に記載の有機電界発光素子。
【0030】
【化11】

【0031】
(一般式(T−1)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
環Qは、Irに対して配位される少なくとも1つの窒素原子を有する芳香族複素環又は縮合芳香族複素環を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及び-N=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又は−SOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
〔17〕
前記燐光発光材料の極大発光波長が500nm以下である〔11〕〜〔16〕のいずれかに記載の有機電界発光素子。
〔18〕
〔10〕〜〔17〕のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
〔19〕
〔10〕〜〔17〕のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
〔20〕
〔10〕〜〔17〕のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、化学的安定性が高く、Tが大きな電荷輸送材料が提供される。また本発明によれば、該電荷輸送材料を用いた高効率、低駆動電圧で駆動耐久性の高い有機EL素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る有機電界発光素子の層構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る発光装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明に係る照明装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の電荷輸送材料は下図で表される特定の構造(以下、特定部位ということもある)を含み、一般式(1)又は一般式(2)で表される。
【0035】
【化12】

【0036】
また、本発明の有機電界発光素子は、陰極と陽極の間に発光材料を含有する発光層を含む、少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される電荷輸送材料(以下、本発明の化合物ということもある)を有機層に含有することを特徴とする。
【0037】
【化13】

【0038】
(ただし、式中、L1,L2はそれぞれ独立に連結基を表し、R,RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1,R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。nは2以上10以下の整数を表し、mは整数を表す。)
【0039】
すなわち、本発明の有機電界発光素子は、有機層として、少なくとも一つの発光層を有する。また発光層以外の有機層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、励起子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、保護層などが適宜配置されていてもよく、それぞれ他の層の機能を兼ね備えていても良い。また各層は複数の層から構成されていても良い。
【0040】
本発明の有機電界発光素子は、励起一重項からの発光(蛍光)を利用するものでも励起三重項からの発光(燐光)を利用するものでもよいが、発光効率の観点から、燐光を利用するものの方が好ましい。
【0041】
本発明の有機電界発光素子の発光層は少なくとも一種の発光材料と、少なくとも一種のホスト材料から構成されていることが好ましい。ここで、ホスト材料とは、発光層を構成する材料のうち、発光材料以外のものであり、発光材料を分散して層中に保持する機能、陽極や正孔輸送層等から正孔を受け取る機能、陰極や電子輸送層等から電子を受け取る機能、正孔及び/又は電子を輸送する機能、正孔と電子の再結合の場を提供する機能、再結合により生成した励起子のエネルギーを発光材料に移動させる機能、及び正孔及び/又は電子を発光材料に輸送する機能のうち少なくとも一種の機能を有する材料を意味する。
【0042】
本発明の化合物は、有機層のうちいずれの層に含有されていてもよく、また複数の層に含有されていても良いが、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層に含有されていることが好ましく、発光層、電子ブロック層、正孔輸送層、正孔注入層に含有されていることがより好ましく、発光層に含有されていることがさらに好ましく、発光層にホスト材料として含有されていることが最も好ましい。発光層にホスト材料として含有される場合、発光層における本発明の化合物の含有率は、10〜99.9質量%であることが好ましく、30〜99質量%であることがより好ましく、50〜99質量%であることがさらに好ましい。また正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層に含有される場合、各層における本発明の化合物の含有率は、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることが最も好ましい。
【0043】
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物について説明する。
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、化学的安定性やキャリア輸送性が高くTが大きな構造であるため本発明の電荷輸送材料として用いることができる。
【0044】
【化14】

【0045】
(ただし、式中、L1,L2はそれぞれ独立に連結基を表し、R,RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1,R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。nは2以上10以下の整数を表し、mは整数を表す。)
【0046】
一般式(1)又は(2)における置換基の種類、L1,L2の選択、下記で説明するQ,Q’の選択により膜中での分子集合状態やイオン化ポテンシャルエネルギー(Ip),Tエネルギー等を制御できる。用途によっても異なるが,化合物の化学的安定性やホール輸送性の観点からIpは、好ましくは5.0〜7.0であり、より好ましくは5.3〜6.5であり、特に好ましくは5.5〜6.2であり、Tエネルギーは好ましくは2.5〜4.0eVであり、より好ましくは2.7〜3.7eVであり、特に好ましくは3.0〜3.5eVである。
なお、本発明において、Ipは、材料の薄膜の大気下光電子分光法により測定(例えば理研計器AC−2を用いて測定)された値を意味する。Tエネルギーは、材料の薄膜の燐光発光スペクトルを測定し、その短波長端から求めることができる。例えば、洗浄した石英ガラス基板上に、材料を真空蒸着法により約50nmの膜厚に成膜し、薄膜の燐光発光スペクトルを液体窒素温度下でF−7000日立分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定する。得られた発光スペクトルの短波長側の立ち上がり波長をエネルギー単位に換算することによりTエネルギーを求めることができる。
【0047】
置換基としては下記置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。
【0048】
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
【0049】
(置換基群B)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニル、ペンタフルオロフェニルなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Bから選択される基を挙げることができる。
【0050】
本発明において、上記アルキル基等の置換基の「炭素数」とは、アルキル基等の置換基が他の置換基によって置換されてもよい場合も含み、当該他の置換基の炭素数も包含する意味で用いる。
【0051】
R、Rはそれぞれ独立に置換基を表す。R及びRはそれぞれ独立して置換基を表す。R、R、R及びRで表される置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが各々独立に適用できる。
【0052】
本発明の化合物の化学的安定性、キャリア輸送能、Tエネルギーの観点から、Rとしては、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数2〜12のアミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリールオキシ基、炭素数2〜10のヘテロ環オキシ基、炭素数1〜18のアシル基、炭素数1〜18のアシルアミノ基、炭素数1〜18のスルホニルアミノ基、炭素数2〜18のスルファモイル基、炭素数2〜18のカルバモイル基、炭素数1〜18のアルキルチオ基、炭素数2〜10のヘテロ環チオ基、炭素数1〜18のスルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数2〜10のヘテロ環基、炭素数3〜18のシリル基、炭素数3〜18のシリルオキシ基、炭素数1〜18のホスホリル基であり、より好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数2〜12のアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数2〜10のヘテロ環基、炭素数3〜18のシリル基、炭素数1〜18のホスホリル基であり、特に好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数3〜18のシリル基であり、Rとしては、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数2〜10のヘテロ環基であり、より好ましくは、炭素数6〜18のアリール基、炭素数2〜10のヘテロ環基であり、特に好ましくは炭素数6〜18のアリール基である。
【0053】
本発明の化合物の化学的安定性,キャリア輸送能、Tエネルギーの観点から、R、Rとして好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基であり、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0054】
本発明の化合物の化学的安定性,キャリア輸送能,Tエネルギーの観点から、L、Lとして好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数2〜10のヘテロ環基、アミノ基、シリル基、ホスホリル基、カルボニル基、スルホニル基、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)より任意に選択した連結基を組み合わせて用いることができる。
より好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数2〜10のヘテロ環基、シリル基、ホスホリル基より任意に選択した連結基である。
さらに好ましくは、2〜4個の該連結基をそれぞれ単結合で連結した連結基であり、例えば、アミノ基と炭素数2〜10のヘテロ環基を任意に組み合わせた連結基、アリール基とヘテロ環基を任意に組み合わせた連結基、シリル基又はホスホリル基であり、より好ましくは、炭素数6〜24のアリール基、炭素数2〜10のヘテロ環基、シリル基を任意に組み合わせた連結基である。
【0055】
nは、キャリア注入及び輸送性の観点から、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜4であり、特に好ましくは2〜3である。
【0056】
mは、好ましくは0〜3であり、より好ましくは0〜2であり、特に好ましくは0〜1である。
【0057】
Aは、それぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表すが、Aが窒素原子を表す場合、窒素原子の数は、一般式(1)及び(2)中、好ましくは1〜6個であり、より好ましくは1〜4個であり、特に好ましくは1〜2個である。
【0058】
なお、R1とR2がいずれもアリール基になることはない。R1とR2がいずれもアリール基である構造は、テトラアリールメタン構造を有することになり、化学的安定性が低い。その理由は、結合が切れたときに生じるラジカルカチオンやラジカルアニオンの化学的安定性が高く、結合が切れやすいためである。
【0059】
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、化学的安定性やキャリア輸送性の観点から、より好ましくは一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物である。次に一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物について説明する。
【0060】
【化15】

【0061】
(ただし、式中、R、RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。L1−1、L2−1はそれぞれ独立にフェニレン又はビフェニレンを表す。n’は2以上10以下の整数を表し、mはそれぞれ独立に整数を表す。)
【0062】
本発明は一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物にも関する。一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物は、電荷輸送性化合物として有用である。
R、RN、R、R、mの定義は一般式(1)におけるものと同様であり、好ましい範囲も同様である。
n’はそれぞれ独立に、好ましくは2〜6であり、より好ましくは2〜4であり、特に好ましくは2である。
【0063】
1−1、及びL2−1がビフェニレンを表す場合、一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物は、下記の一般式(1−1)’又は一般式(2−1)’で表すことができる。
【0064】
【化16】

【0065】
1−1、及びL2−1がフェニレンを表す場合、一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物は、下記の一般式(1−1)’’又は一般式(2−1)’’で表すことができる。
【0066】
【化17】

【0067】
(ただし、一般式(1−1)’、一般式(2−1)’、一般式(1−1)’’及び一般式(2−1)’’中、R、RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。n’’はそれぞれ独立に1以上5以下の整数を表し、m、p及びqはそれぞれ独立に整数を表す。)
【0068】
R、RN、R、R、mの定義は一般式(1)におけるものと同様であり、好ましい範囲も同様である。
p及びqは好ましくは0〜3であり、より好ましくは0〜2であり、特に好ましくは0〜1である。
n’’はそれぞれ独立に、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1である。
【0069】
一般式(1)で表される化合物は、化学的安定性やキャリア輸送性の観点から、より好ましくは一般式(3)で表される化合物である。次に一般式(3)で表される化合物について説明する。
【0070】
【化18】

【0071】
(ただし、式中、R、R’は、それぞれ独立に置換基を表し、R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Qは5員環又は6員環である。nは2又は3を表し、m,pは整数を表す。)
【0072】
R、R、R、mの定義は一般式(1)におけるものと同様であり、好ましい範囲も同様である。
R’における置換基は前述の置換基群Aが挙げられる。本発明の化合物の化学的安定性,キャリア輸送能,Tエネルギーの観点から、R’としては、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数2〜12のアミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリールオキシ基、炭素数2〜10のヘテロ環オキシ基、炭素数1〜18のアシル基、炭素数1〜18のアシルアミノ基、炭素数1〜18のスルホニルアミノ基、炭素数2〜18のスルファモイル基、炭素数2〜18のカルバモイル基、炭素数1〜18のアルキルチオ基、炭素数2〜10のヘテロ環チオ基、炭素数1〜18のスルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数2〜10のヘテロ環基、炭素数3〜18のシリル基、炭素数3〜18のシリルオキシ基、炭素数1〜18のホスホリル基であり、より好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数2〜12のアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数2〜10のヘテロ環基、炭素数3〜18のシリル基、炭素数1〜18のホスホリル基であり、特に好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数3〜18のシリル基である。
また、本発明の化合物の化学的安定性,キャリア輸送能,Tエネルギーの観点から、Qにおける5員環又は6員環としては、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、シロール環、ホスホール環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ピラゾール環であり、特に好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環である。
【0073】
連結基Qが6員環の場合、複数の特定部位の連結箇所としては、それぞれの特定部位がo−位、m−位、p−位となる連結様式が考えられるが,p−位又はm−位での連結の場合に分子のひずみが小さくなり化学的安定性が高くなる。o−位又はm−位での連結では分子の対称性が低くなり結晶性が低くなるため膜が結晶化しにくくなる。以上の理由から連結基Qへの特定部位の連結様式としてはm−位での連結が好ましい。
【0074】
nは、特に好ましくは2である。
pは、好ましくは0〜3であり、より好ましくは0〜2であり、特に好ましくは0〜1である。
【0075】
一般式(3)で表される化合物は、化学的安定性やキャリア輸送能の観点から、より好ましくは一般式(4)で表される化合物である。次に一般式(4)で表される化合物について説明する。
【0076】
【化19】

【0077】
(ただし、式中、R、R’は、それぞれ独立に置換基を表し、R1,R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Q’は芳香族6員環である。m,pは整数を表す。)
【0078】
R,R’,R,R,m,pは一般式(3)におけるものと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、本発明の化合物の化学的安定性、キャリア輸送能、Tエネルギーの観点から、Qにおける6員環としては、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、トリアジン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
【0079】
エネルギーは一般に分子中でπ共役系が拡がると小さくなる。また、分子のTエネルギーは分子中で最もTエネルギーが小さくなる部分構造で決まるため、分子中に一箇所でもπ共役系が広い部分があると,その部分でTエネルギーが決まる。したがって分子中にビアリール構造や芳香環が縮環した構造を分子内に有することは一般にTが小さくなり好ましくない。しかし、立体障害等によりビアリール構造の2つのアリール環平面が互いにねじれた状態にある場合にはTエネルギーは比較的大きい状態を保つことができるため有してもよい。
本発明の電荷輸送材料は、素子の効率及び耐久性の点から薄膜状態での励起三重項準位(T1)が3.0eV以上3.5eV以下であることが好ましい。
【0080】
本発明の化合物の分子量としては、好ましくは300〜1200であり、より好ましくは400〜1000であり、特に好ましくは450〜800である。分子量がこの範囲であれば膜状態の安定性が優れ、溶媒への溶解性や昇華温度などの点から高純度化し易い。膜状態の安定性の指標としてガラス転移温度Tgがあり、Tgは、好ましくは60〜400℃であり、より好ましくは100〜400℃であり、特に好ましくは130〜400℃である。
ここで、Tgは示差走査熱量測定(DSC)、示差熱分析(DTA)などの熱測定や、X線回折(XRD)、偏光顕微鏡観察などにより確認できる。また、本発明の化合物の純度が低いと電荷輸送のトラップとして働くため、本発明の化合物の純度は高いほど好ましい。純度は例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定でき,254nmの光吸収強度で検出したときの面積比は、好ましくは95.0%以上であり、より好ましくは97.0%以上であり、特に好ましくは99.0%以上であり、最も好ましくは99.5%以上である。
【0081】
WO2008/117889に記載のカルバゾール系材料で知られているように、本発明の材料の水素原子の一部又は全部を重水素原子で置換した材料も好ましく電荷輸送材料として用いることができる。
【0082】
以下に、本発明の化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
【化20】

【0084】
【化21】

【0085】
【化22】

【0086】
【化23】

【0087】
【化24】

【0088】
【化25】

【0089】
【化26】

【0090】
【化27】

【0091】
【化28】

【0092】
【化29】




【0093】
【化30】

【0094】
【化31】

【0095】
【化32】

【0096】
【化33】

【0097】
本発明の化合物は、種々の公知の合成法を組み合わせて合成することが可能である。以下、合成法を説明する。
文献J.Chem.Soc.,1931,2568.,J.Am.Chem.Soc.,1936,58,1278.,J.Am.Chem.Soc.,1938,60,1458.,J.Chem.Soc.C,1971,2537.,Angew.Chem.Int.Ed.,1991,30,1646.,J.Mater.Chem.,2007,17,1209.,WO2007/110228等の記載を参考に各種置換基を有するアクリダン誘導体(N位がHの化合物)が合成できる。アクリダン誘導体とアリールハライドをパラジウム触媒を用いたN−アリール化反応、芳香族求核置換反応等によりカップリング(例えば、Angew.Chem.Int.Ed.,2003,42,5400.参照)することにより本発明の化合物が合成できる。本発明の化合物の代表的な合成ルートを以下に示す。
【0098】
【化34】

【0099】
(図中、R、R、Rは置換基、Arはアリール基、Xはハロゲン原子、qは整数を表す。)
【0100】
本発明の電荷輸送材料は化学的安定性とキャリア輸送能に優れ、各種有機電子デバイスに好ましく用いることができる。用いる電子デバイスとしてはいかなるものでもよく、例えば、有機電界発光素子、有機トランジスタ、有機光電変換素子、ガスセンサ、有機整流素子,有機インバータ、情報記録素子が挙げられる。有機光電変換素子は光センサ用途(固体撮像素子)、エネルギー変換用途(太陽電池)のいずれにも用いることができる。好ましくは、有機電界発光素子、有機光電変換素子、有機トランジスタであり、さらに好ましくは有機電界発光素子、有機光電変換素子であり、特に好ましくは有機電界発光素子である。
【0101】
〔一般式(1−1)若しくは一般式(2−1)で表される化合物又は一般式(1)若しくは一般式(2)で表される電荷輸送材料を含有する組成物〕
本発明は一般式(1−1)若しくは一般式(2−1)で表される化合物又は一般式(1)若しくは一般式(2)で表される電荷輸送材料を含有する組成物にも関する。
本発明の組成物における一般式(1−1)若しくは一般式(2−1)で表される化合物又は一般式(1)若しくは一般式(2)で表される電荷輸送材料の含有量は50〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物における他に含有しても良い成分としては、有機物でも無機物でもよく、有機物としては、後述する正孔輸送材料、電子輸送材料、ホスト材料、蛍光発光材料、燐光発光材料、炭化水素材料として挙げた材料が適用でき、好ましくはホスト材料、炭化水素材料であり、より好ましくは一般式(VI)で表される化合物である。
本発明の組成物は蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等により有機電界発光素子の有機層を形成することができる。
【0102】
〔一般式(1−1)若しくは一般式(2−1)で表される化合物又は一般式(1)若しくは一般式(2)で表される電荷輸送材料を含む薄膜〕
本発明は一般式(1−1)若しくは一般式(2−1)で表される化合物又は一般式(1)若しくは一般式(2)で表される電荷輸送材料を含有する薄膜にも関する。本発明の薄膜は、本発明の組成物を用いて蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等により形成することができる。薄膜の膜厚は用途によっていかなる厚みでもよいが、好ましくは0.1nm〜1mmであり、より好ましくは0.5nm〜1μmであり、さらに好ましくは1nm〜200nmであり、特に好ましくは1nm〜100nmである。
【0103】
次に本発明の化合物を含有する有機電界発光素子について説明する。
[有機電界発光素子]
発光層と陰極との間に少なくとも一層の有機層を有し、本発明の化合物を該発光層と陰極との間の有機層に含有することが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、陰極と陽極の間に発光材料を含有する発光層を含む、少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、前記一般式(1−1)若しくは一般式(2−1)で表される化合物又は一般式(1)若しくは一般式(2)で表される電荷輸送材料(以下、本発明の化合物ということもある)を有機層に含有する。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
【0104】
本発明における有機層の積層の形態としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、正孔輸送層と陽極との間に正孔注入層、及び/又は発光層と電子輸送層との間に、電子輸送性中間層を有する。また、発光層と正孔輸送層との間に正孔輸送性中間層を、同様に陰極と電子輸送層との間に電子注入層を設けても良い。
尚、各層は複数の層に分かれていてもよい。
【0105】
有機層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、塗布法、インクジェット法、及びスプレー法等いずれによっても好適に形成することができる。
図1は、本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示している。図1に示される本発明に係る有機電界発光素子10は、支持基板2上において、陽極3と陰極9との間に発光層6が挟まれている。具体的には、陽極3と陰極9との間に正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7、及び電子輸送層8がこの順に積層されている。
【0106】
次に、本発明の発光素子を構成する要素について、説明する。
(基板)
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。
(陽極)
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
(陰極)
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
(有機層)
本発明の有機EL素子は、発光層を含む少なくとも一層の有機層を有しており、発光層以外の他の有機層としては、前述したごとく、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
(発光層)
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
基板、陽極、陰極、有機層、発光層については、例えば、特開2008−270736、特開2007−266458に詳述されており、これらの公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0107】
<発光材料>
本発明における発光材料としては、燐光性発光材料、蛍光性発光材料等いずれも用いることができる。
本発明における発光層は、色純度を向上させるためや発光波長領域を広げるために2種類以上の発光材料を含有することができる。発光材料の少なくとも一種が燐光発光材料であることが好ましい。
本発明における発光材料は、更に前記ホスト材料との間で、1.2eV>△Ip>0.2eV、及び/又は1.2eV>△Ea>0.2eVの関係を満たすことが駆動耐久性の観点で好ましい。ここで、△Ipは、ホスト材料と発光材料のIp値の差を、△Eaはホスト材料と発光材料のEa値の差を意味する。
前記発光材料の少なくとも一種が白金錯体又はイリジウム錯体であることが好ましい。
本発明においては、発光層に白金錯体材料を含むことが好ましく、発光層に3座以上の配位子を有する白金錯体材料を含むことが好ましく、4座配位子を有する白金錯体材料を含むことがより好ましい。燐光発光材料の極大発光波長が500nm以下であることが好ましい。
蛍光発光材料、燐光発光材料については、例えば、特開2008−270736の段落番号〔0100〕〜〔0164〕、特開2007−266458の段落番号〔0088〕〜〔0090〕に詳述されており、これらの公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
白金錯体として好ましくは、下記一般式(C−1)で表される白金錯体である。
【0108】
【化35】

【0109】
(式中、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にPtに配位する配位子を表す。L、L及びLはそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。)
【0110】
一般式(C−1)について説明する。Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にPtに配位する配位子を表す。この時、Q、Q、Q及びQとPtの結合は、共有結合、イオン結合、配位結合などいずれであっても良い。Q、Q、Q及びQ中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が好ましく、Q、Q、Q及びQ中のPtに結合する原子の内、少なくとも一つが炭素原子であることが好ましく、二つが炭素原子であることがより好ましく、二つが炭素原子で、二つが窒素原子であることが特に好ましい。
炭素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、アニオン性の配位子でも中性の配位子でもよく、アニオン性の配位子としてはビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子(例えばベンゼン配位子、ナフタレン配位子、アントラセン配位子、フェナントレン配位子など)、ヘテロ環配位子(例えばフラン配位子、チオフェン配位子、ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、チアゾール配位子、オキサゾール配位子、ピロール配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子及び、それらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。中性の配位子としてはカルベン配位子が挙げられる。
窒素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としては含窒素芳香族ヘテロ環配位子(ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子、オキサゾール配位子、チアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾイミダゾール配位子など))、アミン配位子、ニトリル配位子、イミン配位子が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アミノ配位子、イミノ配位子、含窒素芳香族ヘテロ環配位子(ピロール配位子、イミダゾール配位子、トリアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(例えはインドール配位子、ベンゾイミダゾール配位子など))が挙げられる。
酸素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはエーテル配位子、ケトン配位子、エステル配位子、アミド配位子、含酸素ヘテロ環配位子(フラン配位子、オキサゾール配位子及びそれらを含む縮環体(ベンゾオキサゾール配位子など))が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子などが挙げられる。
硫黄原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはチオエーテル配位子、チオケトン配位子、チオエステル配位子、チオアミド配位子、含硫黄ヘテロ環配位子(チオフェン配位子、チアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子などが挙げられる。
リン原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはホスフィン配位子、リン酸エステル配位子、亜リン酸エステル配位子、含リンヘテロ環配位子(ホスフィニン配位子など)が挙げられ、アニオン性の配位子としては、ホスフィノ配位子、ホスフィニル配位子、ホスホリル配位子などが挙げられる。
、Q、Q及びQで表される基は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い(QとQが連結した場合、環状四座配位子のPt錯体になる)。
【0111】
、Q、Q及びQで表される基として好ましくは、炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アルキルオキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、より好ましくは、炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アリールオキシ配位子であり、さらに好ましくは炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子である。
【0112】
、L及びLは、単結合又は二価の連結基を表す。L、L及びLで表される二価の連結基としては、アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiRR’−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。これらの連結基は、さらに置換基を有していてもよい。
錯体の安定性及び発光量子収率の観点から、L、L及びLとして好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、さらに好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基であり、さらに好ましくは、単結合、メチレン基、フェニレン基であり、さらに好ましくは単結合、ジ置換のメチレン基であり、さらに好ましくは単結合、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基であり、特に好ましくは単結合、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基である。
【0113】
一般式(C−1)で表される白金錯体のうち、より好ましくは下記一般式(C−2)で表される白金錯体である。
【0114】
【化36】

【0115】
(式中、L21は単結合又は二価の連結基を表す。A21、A22はそれぞれ独立にC又はNを表す。Z21、Z22はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z23、Z24はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。)
【0116】
一般式(C−2)について説明する。L21は、前記一般式(C−1)中のLと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0117】
21、A22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A21、A22の内、少なくとも一方は炭素原子であることが好ましく、A21、A22が共に炭素原子であることが、錯体の安定性の観点及び錯体の発光量子収率の観点から好ましい。
【0118】
21、Z22は、それぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z21、Z22で表される含窒素芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点から、Z21、Z22で表される環として好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、より好ましくはピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、さらに好ましくはピリジン環、ピラゾール環であり、特に好ましくはピリジン環である。
【0119】
前記Z21、Z22で表される含窒素芳香族ヘテロ環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。炭素原子上の置換基として好ましくはアルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子である。置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、短波長化させる場合には電子供与性基、フッ素原子、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、フッ素原子、アリール基、芳香族ヘテロ環基などが選択される。また長波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばシアノ基、ポリフルオロアルキル基などが選択される。N上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
【0120】
23、Z24は、それぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。Z23、Z24で表される含窒素芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点からZ23、Z24で表される環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラゾール環であり、さらに好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。
【0121】
前記Z23、Z24で表されるベンゼン環、含窒素芳香族ヘテロ環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。炭素上の置換基として好ましくはアルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子である。置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、長波長化させる場合には電子供与性基、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、芳香族ヘテロ環基などが選択される。また短波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばフッ素基、シアノ基、ポリフルオロアルキル基などが選択される。N上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
【0122】
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−4)で表される白金錯体である。
【0123】
【化37】

【0124】
(一般式(C−4)中、A401〜A414はそれぞれ独立にC−R又はNを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L41は単結合又は二価の連結基を表す。)
【0125】
一般式(C−4)について説明する。
401〜A414はそれぞれ独立にC−R又はNを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。
またはRで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
401〜A406として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。A401〜A406がC−Rである場合に、A402、A405のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基であり、特に好ましくは水素原子、フッ素基である。A401、A403、A404、A406のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基であり、特に好ましく水素原子である。
41は、前記一般式(C−1)中のLと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0126】
407〜A414としては、A407〜A410とA411〜A414のそれぞれにおいて、N(窒素原子)の数は、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。発光波長を短波長側にシフトさせる場合、A408及びA412のいずれかがN原子であることが好ましく、A408とA412が共にN原子であることがさらに好ましい。
407〜A414がC−Rを表す場合に、A408、A412のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ポリフルオロアルキル基、アルキル基、アリール基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましくは、水素原子、フェニル基、ポリフルオロアルキル基、シアノ基である。A407、A409、A411、A413のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ポリフルオロアルキル基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましく水素原子、フェニル基、フッ素基である。A410、A414のRとして好ましくは水素原子、フッ素基であり、より好ましくは水素原子である。A407〜A409、A411〜A413のいずれかがC−Rを表す場合に、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。
【0127】
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−5)で表される白金錯体である。
【0128】
【化38】

【0129】
(一般式(C−5)中、A501〜A512は、それぞれ独立に、C−R又はNを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L51は単結合又は二価の連結基を表す。)
【0130】
一般式(C−5)について説明する。A501〜A506及びL51は、前記一般式(C−4)におけるA401〜A406及びL41と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0131】
507、A508及びA509とA510、A511及びA512は、及びそれぞれ独立に、C−R又はNを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。A507、A508及びA509とA510、A511及びA512がC−Rである場合に、Rとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。A507、A508及びA509とA510、A511及びA512のうち少なくとも一つはNであることが好ましく、特にA510又はA507がNであることが好ましい。
【0132】
一般式(C−1)で表される白金錯体のうち、より好ましい別の態様は下記一般式(C−6)で表される白金錯体である。
【0133】
【化39】

【0134】
(式中、L61は単結合又は二価の連結基を表す。A61はそれぞれ独立にC又はNを表す。Z61、Z62はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z63はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。YはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。)
【0135】
一般式(C−6)について説明する。L61は、前記一般式(C−1)中のLと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0136】
61はC又はNを表す。錯体の安定性の観点及び錯体の発光量子収率の観点からA61はCであることが好ましい。
【0137】
61、Z62は、それぞれ前記一般式(C−2)におけるZ21、Z22と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Z63は、前記一般式(C−2)におけるZ23と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0138】
YはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。非環状配位子とはPtに結合する原子が配位子の状態で環を形成していないものである。Y中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましく、窒素原子、酸素原子がより好ましく、酸素原子が最も好ましい。 炭素原子でPtに結合するYとしてはビニル配位子が挙げられる。窒素原子でPtに結合するYとしてはアミノ配位子、イミノ配位子が挙げられる。酸素原子でPtに結合するYとしては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子、カルボキシル配位子、リン酸配位子、スルホン酸配位子などが挙げられる。硫黄原子でPtに結合するYとしては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子、チオカルボン酸配位子などが挙げられる。
Yで表される配位子は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い。
【0139】
Yで表される配位子として好ましくは酸素原子でPtに結合する配位子であり、より好ましくはアシルオキシ配位子、アルキルオキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、さらに好ましくはアシルオキシ配位子である。
【0140】
一般式(C−6)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−7)で表される白金錯体である。
【0141】
【化40】

【0142】
(式中、A701〜A710は、それぞれ独立に、C−R又はNを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L71は単結合又は二価の連結基を表す。YはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。)
【0143】
一般式(C−7)について説明する。L71は、前記一般式(C−6)中のL61と同義であり、また好ましい範囲も同様である。A701〜A710は一般式(C−4)におけるA401〜A410と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Yは一般式(C−6)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0144】
一般式(C−1)で表される白金錯体として具体的には、特開2005−310733号公報の〔0143〕〜〔0152〕、〔0157〕〜〔0158〕、〔0162〕〜〔0168〕に記載の化合物、特開2006−256999号公報の〔0065〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−73891号公報の〔0063〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2007−324309号公報の〔0079〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−96255号公報の〔0055〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2006−313796号公報の〔0043〕〜〔0046〕が挙げられ、その他以下に例示する白金錯体が挙げられる。
【0145】
【化41】

【0146】
【化42】

【0147】
【化43】

【0148】
一般式(C−1)で表される白金錯体化合物は、例えば、Journal of Organic Chemistry 53,786,(1988)、G.R.Newkome et al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法及びその組み合わせ、Chemische Berichte 113,2749(1980)、H.Lexyほか)の、2752頁、26行〜35行に記載の方法等、種々の手法で合成できる。
例えば、配位子、又はその解離体と金属化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、もしくは、溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキシド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、もしくは、塩基非存在下、室温以下、もしくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
【0149】
本発明の発光層における一般式(C−1)で表される化合物の含有量は発光層中1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
上記白金錯体材料として好ましくは、下記一般式(5)で表される白金錯体材料である。
【0150】
【化44】

【0151】
(一般式(5)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXの内、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。X、X、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。X11、X12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0152】
、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXがさらに置換可能な場合は各々独立に置換基を有していてもよい。X、X、X及びXが置換基を有する場合、その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。その好ましい置換基としては、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。
【0153】
、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。窒素原子の数は1〜2が好ましく、1がさらに好ましい。
窒素原子の位置は、X、X、X及びXのいずれでもよいが、X又はXが窒素原子であることが好ましく、Xが窒素原子であることがより好ましい。
一般式(5)中、2つの炭素原子、X、X、X及びXから形成される6員環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環は挙げられ、より好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であり、特に好ましくはピリジン環である。X、X、X及びXから形成される6員環が、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環(特に好ましくはピリジン環)であることにより、ベンゼン環と比較して、金属−炭素結合を形成する位置に存在する水素原子の酸性度が向上する為、より金属錯体を形成しやすくなるため、有利である。
【0154】
、X、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。好ましくは、X、X、X、X、X及びX10は炭素原子である。
、X、X、X、X及びX10がさらに置換可能な場合は各々独立に置換基を有していてもよい。X、X、X、X、X及びX10が置換基を有する場合、その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。その好ましい置換基としては、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、アルキル基、ジアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。
【0155】
11、X12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X11及びX12は、いずれか一方が炭素原子で、他方が窒素原子であることが好ましい。
13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、好ましくは、炭素原子又は窒素原子である。
11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下(0、1、又は2)であり、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
11、X12、X13、X14及びX15がさらに置換可能な場合は各々独立に置換基を有していてもよい。X11、X12、X13、X14及びX15が置換基を有している場合、その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。その好ましい置換基としては、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。
【0156】
11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格における結合は単結合、二重結合のいかなる組み合わせでもよい。X11、X12、X13、X14及びX15から形成される5員環としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、より好ましくは、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環であり、更に好ましくはピロール環、ピラゾール環である。X11、X12、X13、X14及びX15から形成される5員環が、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環(更に好ましくはピロール環、ピラゾール環)であることにより、金属錯体の安定性が向上するため、有利である。
【0157】
Lは、単結合又は二価の連結基を表す。Lで表される二価の連結基としては、アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基
(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiRR’−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。これらの連結基は、さらに置換基を有していてもよい。これらの連結基が置換基を有する場合、その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。
Lとして好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、さらに好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基であり、さらに好ましくは、単結合、メチレン基、フェニレン基であり、さらに好ましくは単結合、ジ置換のメチレン基であり、さらに好ましくは単結合、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基であり、特に好ましくは単結合、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基であり、最も好ましくはジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基である。
下記に二価の連結基の具体例を示すが、これらに限定されることはない。
【0158】
【化45】

【0159】
上記Roは前記置換基群Aから選ばれる置換基を表す。Roとして好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。mは1〜5の整数を表す。mは好ましくは2〜5であり、より好ましくは2〜3である。
【0160】
一般式(5)で表される白金錯体は、好ましくは一般式(6)で表される白金錯体である。
【0161】
【化46】

【0162】
式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X11、X12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0163】
一般式(6)におけるX、X、X、X、X11、X12、X13、X14、X15及びLは、一般式(5)におけるX、X、X、X、X11、X12、X13、X14、X15及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0164】
一般式(6)中、R41、R42、R43、R44、R45、及びR46はそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。R41、R42、R43、R44、R45、及びR46で表される置換基としては、置換基群Aと同義である。R41、R42、R43、R44、R45、及びR46は可能であればお互いに結合して環を形成していてもよい。
【0165】
前記R41及びR46として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フッ素原子、シアノ基、ピリジル基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、フッ素原子であり、特に好ましくは水素原子である。
【0166】
前記R43及びR44として好ましくは、前記R41及びR46の好ましい範囲と同義である。
【0167】
前記R42及びR45として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、t−ブチル基、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メトキシ基、フェノキシ基、フッ素原子、イミダゾリル基、ピロリル基、カルバゾリル基であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0168】
一般式(6)で表される白金錯体の好ましい形態の1つは、一般式(6a−1)で表される白金錯体である。
【0169】
【化47】

【0170】
式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXの内、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53、X54及びX55は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53、X54及びX55を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0171】
一般式(6a−1)におけるX、X、X、X、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びLは、一般式(6)におけるX、X、X、X、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0172】
53、X54及びX55は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X53、X54及びX55がさらに置換可能な場合は各々独立に置換基を有していてもよい。X53、X54及びX55が置換基を有する場合、その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。その好ましい置換基としては、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。
【0173】
一般式(6a−1)中、炭素原子、窒素原子、X53、X54及びX55にて形成される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2であり、2が好ましい。
【0174】
炭素原子、窒素原子、X53、X54及びX55から形成される5員環としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環が挙げられ、更に好ましくはピロール環、ピラゾール環であり、最も好ましくは、ピラゾール環である。
【0175】
一般式(6a−1)で表される白金錯体は、好ましくは一般式(6a−2)で表される白金錯体である。
【0176】
【化48】

【0177】
式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXの内、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53及びX54は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53及びX54を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。R75は、水素原子又は置換基を表す。Lは単結合もしくは2価の連結基を表す。
【0178】
一般式(6a−2)におけるX、X、X、X、X53、X54、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びLは、一般式(6a−1)におけるX、X、X、X、X53、X54、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0179】
75は水素原子又は置換基を表す。その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。R75は、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であることが好ましく、より好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、フッ素原子であり、最も好ましくはシアノ基、フッ素原子、水素原子である。また可能な場合は、X54もしくはX53の置換基と連結して、縮環構造を形成してもよい。
【0180】
一般式(6a−2)で表される白金錯体は、好ましくは一般式(6a−3)で表される白金錯体である。
【0181】
【化49】

【0182】
式中、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X53及びX54は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X53及びX54を含有する5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、1又は2である。R75は、水素原子又は置換基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0183】
一般式(6a−3)におけるX、X、X、X53、X54、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R75及びLは、一般式(6a−2)におけるX、X、X、X53、X54、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R75及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0184】
一般式(6a−3)中、X、X、窒素原子、X、炭素原子、炭素原子から形成される6員環骨格に含まれる窒素原子の数は1以上3以下であることが好ましく、1、2がより好ましく、1がさらに好ましい。具体的な6員環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環は挙げられ、より好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、であり、更に好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環であり、特に好ましくはピリジン環である。
【0185】
一般式(6a−3)で表される白金錯体は、好ましくは下記一般式(6a−4)で表される白金錯体である。この一般式(6a−4)で表される白金錯体は、新規の化合物である。
【0186】
【化50】

【0187】
式中、R、R、R、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R74、及びR75は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0188】
一般式(6a−4)におけるR41、R42、R43、R44、R45、R46、R75、及びLは、一般式(6a−3)におけるR41、R42、R43、R44、R45、R46、R75、及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0189】
、R、R、及びR74はそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。また可能な場合は、RとR41及びRとRは、置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよいし、RとR75の置換基同士が連結して、配位子全体が環状構造を形成してもよい。
【0190】
として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、シアノ基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、シアノ基であり、特に好ましくは、水素原子、トリフルオロメチル基、フッ素原子、シアノ基である。
【0191】
とRとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されたフェニル基、フッ素で置換されたアルコキシ基、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アリールオキシ基であり、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されたフェニル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、フェノキシ基であり、さらに好ましくは、水素原子、フッ素原子、パーフルオロフェニル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、電子求引性置換基で置換されたフェノキシ基であり、特に好ましくは、水素原子、フッ素原子であり、最も好ましくはフッ素原子である。
【0192】
74として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、シアノ基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、シアノ基であり、特に好ましくは、水素原子、トリフルオロメチル基、フッ素原子、シアノ基であり、最も好ましくはトリフルオロメチル基、シアノ基である。
【0193】
一般式(6a−4)で表される白金錯体は、有機EL素子に用いる各種材料のほか、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア等の分野において好適に使用可能な発光材料、医療用途、蛍光増白剤、写真用材料、UV吸収材料、レーザー色素、記録メディア用材料、インクジェット用顔料、カラーフィルター用染料、色変換フィルター、分析用途、太陽電池用材料、有機薄膜トランジスタ用材料等として用いることができる。
【0194】
次に、一般式(6a−4’)で表される化合物について説明する。一般式(6a−4’)で表される化合物は、前記一般式(6a−4)で表される白金錯体の配位子となり得る、新規の化合物である。
【0195】
【化51】

【0196】
式中、R、R、R、R、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R71、R74、及びR75は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0197】
一般式(6a−4’)におけるR、R、R、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R74、R75、及びLは、一般式(6a−4)におけるR、R、R、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R74、R75、及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。R、R71は、それぞれ独立に水素原子もしくは置換基を表す。その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。R、R71として、好ましくはハロゲン原子、水素原子であり、より好ましくは水素原子である。
【0198】
一般式(6a−4’)で表される化合物は、前記一般式で表される金属錯体の配位子として利用できるほか、蛍光材料、電荷輸送材料、医薬、農薬等の中間体等として利用することができる。
【0199】
一般式(6)で表される白金錯体の好ましい形態の別の形態は、一般式(6b−1)で表される白金錯体である。
【0200】
【化52】

【0201】
式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X61は、炭素原子又は窒素原子を表す。X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、X61、炭素原子、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0202】
一般式(6b−1)におけるX、X、X、X、X13、X14、X15、R41、R42、R43、R44、R45、R46、及びLは、一般式(6)におけるX、X、X、X、X13、X14、X15、R41、R42、R43、R44、R45、R46、及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0203】
61は炭素原子もしくは窒素原子を表す。好ましくは窒素原子である。
【0204】
一般式(6b−1)中、X61、炭素原子、X13、X14、X15にて形成される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、0、1、又は2であり、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
【0205】
61、炭素原子、X13、X14及びX15により形成される5員環骨格における結合は単結合、二重結合のいかなる組み合わせでもよい。X61、炭素原子、X13、X14及びX15により形成される5員環としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、より好ましくは、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環であり、更に好ましくピラゾール環である。
【0206】
一般式(6b−1)で表される白金錯体は、好ましくは一般式(6b−2)で表される白金錯体である。
【0207】
【化53】

【0208】
式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X94及びX95は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X94及びX95の少なくともいずれか一方は、炭素原子を表す。R93は、水素原子又は置換基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0209】
一般式(6b−2)におけるX、X、X、X、R41、R42、R43、R44、R45、R46、及びLは、一般式(6b−1)におけるX、X、X、X、R41、R42、R43、R44、R45、R46、及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0210】
94及びX95はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X94及びX95のいずれか一方は、炭素原子を表す。好ましくは、X94が炭素原子で、X95が窒素原子である。
94及びX95がさらに置換可能な場合は各々独立に置換基を有していてもよい。X94及びX95が置換基を有する場合、その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。その好ましい置換基としては、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。
【0211】
一般式(6b−2)中、窒素原子、炭素原子、炭素原子、X94及びX95により形成される5員環としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環が挙げられ、より好ましくは、ピラゾール環、イミダゾール環であり、更に好ましくピラゾール環である。
【0212】
93は水素原子又は置換基を表す。その置換基としては、上記置換基群Aに表される置換基が挙げられる。R93としては、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子であり、最も好ましくはフッ素原子、水素原子である。また可能な場合は、X94、X95の置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。
【0213】
一般式(6b−2)で表される白金錯体は、好ましくは一般式(6b−3)で表される白金錯体である。
【0214】
【化54】

【0215】
式中、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。R41、R42、R43、R44、R45及びR46は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X94及びX95は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X94及びX95の少なくともいずれか一方は、炭素原子を表す。R93は、水素原子又は置換基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0216】
一般式(6b−3)におけるX、X、X、X94、X95、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R93及びLは、一般式(6b−2)におけるX、X、X、X94、X95、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R93及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0217】
一般式(6b−3)中、X、X、窒素原子、X、炭素原子、炭素原子から形成される6員環骨格に含まれる窒素原子の数は1以上3以下であり、1、2がより好ましく、1が好ましい。具体的な6員環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環は挙げられ、より好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、であり、更に好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環であり、特に好ましくはピリジン環である。
【0218】
前記特定構造を有する金属錯体は、低分子量化合物であってもよいし、残基がポリマー主鎖に接続された高分子量化合物(好ましくは質量平均分子量1000〜5000000、より好ましくは5000〜2000000、更に好ましくは10000〜1000000)もしくは、前記特定構造を有する金属錯体の構造を主鎖に持つ高分子量化合物(好ましくは質量平均分子量1000〜5000000、より好ましくは5000〜2000000、更に好ましくは10000〜1000000)であってもよいが、低分子量化合物であることが好ましい。
高分子量化合物の場合はホモポリマーであってもよいし、他のポリマーとの共重合体であってもよく、共重合体である場合はランダム共重合体であっても、ブロック共重体であってもよい。更に共重合体の場合、発光機能を有する化合物及び/又は電荷輸送機能を有する化合物をポリマー内に有してもよい。
【0219】
以下に、一般式(5)で表される金属錯体の好ましい具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されることはない。
【0220】
【化55】


【0221】
【化56】

【0222】
【化57】

【0223】
【化58】

【0224】
【化59】

【0225】
【化60】

【0226】
【化61】

【0227】
【化62】

【0228】
【化63】

【0229】
【化64】

【0230】
【化65】

【0231】
【化66】

【0232】
【化67】

【0233】
【化68】

【0234】
【化69】

【0235】
次に、一般式(5)で表される金属錯体の製造方法を説明する。
【0236】
一般式(5)で表される金属錯体は、溶媒存在下、一般式(C−0)(以下、配位子とも呼ぶ)で表される化合物と白金塩とを反応させることにより得ることができる。
【0237】
【化70】



【0238】
一般式(C−0)中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14,X15、及びLは、前記一般式(5)のX、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14,X15、及びLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0239】
白金錯体の製造において、配位子との錯体形成反応時に、用いられる白金塩としては、2価の白金を含むものとして、塩化白金、臭化白金、ヨウ化白金、プラチナアセチルアセトナート、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロプラチナ、ビス(アセトニトリル)ジクロロプラチナ、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)プラチナ、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)プラチナ、ジクロロ(1,10−フェナントロリン)プラチナ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)プラチナ、アンモニウムテトラクロロプラチナート、ジアンミンジブロモプラチナ、ジアンミンジクロロプラチナ、ジアンミンジヨードプラチナ、ポタッシウムテトラブロモプラチナ−ト、ポタッシウムテトラクロロプラチナート、ソジウムテトラクロロプラチナート、ジメチルビス(ジメチルスルホキシド)白金、ジメチルビス(ジメチルスルフィド)白金、ジメチル(ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2,5−ジエン)白金等が挙げられる。
【0240】
より好ましい白金塩としては、塩化白金、臭化白金、ヨウ化白金等のハロゲン化白金、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロプラチナ、ビス(アセトニトリル)ジクロロプラチナ等のニトリル錯体、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)プラチナ等のオレフィン錯体、が挙げられ、この中でも塩化白金、臭化白金等のハロゲン化白金、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロプラチナ、ビス(アセトニトリル)ジクロロプラチナ等のニトリル錯体が更に好ましい。
【0241】
白金錯体の製造において使用する白金塩は、結晶水、結晶溶媒、配位溶媒を含んでいても良い。金属の価数は、特に問わないが、金属が、2価と0価が好ましく、より好ましくは2価である。
【0242】
白金錯体の製造において、白金塩と配位子の錯体形成反応時に用いる白金塩の使用量は、該白金塩中に錯体を形成する金属原子が1つ含まれる場合は、通常、配位子1モルに対して0.1〜10モル、好ましくは0.5〜5モル、更に好ましくは、1〜3モルである。なお、白金塩に錯体を形成する金属原子が、n個含まれる場合は、その使用量は、1/n倍で良い。
【0243】
白金錯体の製造において、白金塩と配位子の錯体形成反応時に使用される溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、4塩化炭素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、水等が挙げられる。
【0244】
より好ましい溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類が挙げられ、この中でもアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類が更に好ましい。
【0245】
これらの溶媒は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。
【0246】
白金錯体の製造において、白金塩と配位子の錯体形成反応時に用いられる溶媒の量としては、反応が十分に進行できる量であれば特に制限されないが、通常は使用する配位子に対して、1〜200倍体積量、好ましくは5〜100倍体積量が好ましい。
【0247】
白金錯体の製造において、白金塩と配位子の錯体形成反応時に、ハロゲン化水素等の酸性物質が生成する場合、塩基性物質の存在下で反応を行っても構わない。塩基性物質としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジメチルアミノナフタレン等の3級アミン類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。
【0248】
白金錯体の製造において、白金塩と配位子の錯体形成反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。
【0249】
白金錯体の製造において、白金塩と配位子の錯体形成反応時における反応温度、反応時間、反応圧力は、原料、溶媒などによって異なるが、通常、20℃〜300℃、好ましくは50℃〜250℃、更に好ましくは80℃〜220℃の範囲である。反応時間は、通常30分〜24時間であるが、好ましくは1〜12時間、さらに好ましくは2〜10時間であり、反応圧力に関しては、通常、常圧であるが、必要に応じて加圧下でも減圧下でも差し支えない。
【0250】
白金錯体の製造において、白金塩と配位子の錯体形成反応時の、加熱手段は特に限定されない。具体的には、オイルバス、マントルヒーターによる加熱や、マイクロ波照射による加熱を使用することができる。
【0251】
このようにして得られた白金錯体は、必要に応じて単離、精製を行うことができる。単離、精製の方法としては、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿、昇華等が挙げられる。これらは単独で用いても併用しても構わない。
【0252】
なお、一般式(5)で表される白金錯体のうち、一般式(6a−1)で表される白金錯体は以下の製造方法によっても合成可能である。ただし、下記方法に限定されることはない。
【0253】
【化71】



【0254】
上記式中、X、X、X、X、X53、X54、X55、R41、R42、R43、R44、R45、R46、及びLは、前記一般式(6a−3)におけるそれらと同義である。
【0255】
(A−1)から(B−1)を得る工程及び(B−2)から(C−1)を得る工程として、Synth.Commun.,11,513(1981)に記載の方法等を用いることにより、目的の化合物を合成することができる。
【0256】
(B−1)から(C−1)を得る工程及び(A−1)から(B−2)を得る工程として、Angew. Chem.Int.Ed.,42,2051−2053(2003)に記載の方法等を利用することにより、目的の化合物を合成することができる。
【0257】
(C−1)から一般式(6a−1)で表される白金錯体を得る工程として、化合物(C−1)と、1〜1.5当量の塩化第一白金をベンゾニトリルに溶解させ、130℃〜加熱還流温度(ベンゾニトリルの沸点:191℃)に加熱し、30分〜4時間攪拌することにより目的の化合物を合成することができる。一般式(5)で表される白金錯体はクロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、酢酸エチル等を用いた再結晶や、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、昇華精製などにより精製することができる。
【0258】
なお、上記に示した製造方法において、定義された置換基が、ある合成方法の条件下で変化するか、又は該方法を実施するのに不適切な場合、官能基の保護、脱保護(例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T. W. Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)等)等の手段により容易に製造が可能である。また、必要に応じて適宜置換基導入等の反応工程の順序を変化させることも可能である。
【0259】
〔一般式(T−1)で表される化合物〕
一般式(T−1)で表される化合物について説明する。
【0260】
【化72】

【0261】
(一般式(T−1)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
環Qは、Irに対して配位される少なくとも1つの窒素原子を有する芳香族複素環又は縮合芳香族複素環を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及び-N=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又は−SOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【0262】
一般式(T−1)は、金属としてイリジウム(Ir)を有する錯体であり、高い発光量子収率の観点で優れる。
【0263】
’、R、R、Rで表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基Zを挙げることができる。R’、R、R、Rで表されるアルキル基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、シクロヘキシル基、t−ブチル基等が挙げられる。
、R、Rで表されるアルケニル基としては好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、1−イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。
、R、Rで表されるアルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ペンチニルなどが挙げられる。
【0264】
’で表されるヘテロアルキル基は前記アルキル基の少なくとも1つの炭素がO、NR、又はSに置き換わった基を挙げることができる。
【0265】
’、R〜Rで表されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0266】
’、R〜Rで表されるヘテロアリール基としては、好ましくは、炭素数5〜8のヘテロアリール基であり、より好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、ベンズオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリニル基、スルホラニル基などが挙げられる。
’で表されるヘテロアリール基の好ましい例としては、ピリジル基、ピリミジニル基、イミダゾリル基、チエニル基であり、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基である。
【0267】
’としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0268】
はアリール又ヘテロアリールを表し、前記アリール又はヘテロアリールは1以上の非芳香族基によって置換されてもよい。
における非芳香族基としては、アルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、アルキルアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましく、アルキル基、フルオロ基、シアノ基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
としてはフェニル基、p−トリル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0269】
、R及びRとして好ましくは、水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロアルキル基、ジアルキルアミノ基、フルオロ基、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロ基、アリール基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基である。
3、4、における置換基Zとしては、アルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0270】
環Qが表す芳香族複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、等が挙げられる。好ましくはピリジン環、ピラジン環であり、より好ましくはピリジン環である。
【0271】
環Qが表す縮合芳香族複素環としては、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環等が挙げられる。好ましくはキノリン環、イソキノリン環であり、より好ましくはキノリン環である。
【0272】
環Qにおける非芳香族基としてはアルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、アルキルアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましく、アルキル基、フルオロ基、シアノ基がより好ましい。
【0273】
mは1〜3であることが好ましく、2〜3であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
nは0〜1であることが好ましく、1であることがより好ましい。
mが2であってnが1であることがより好ましい。
【0274】
(X−Y)は、補助配位子を示す。これらの配位子は、光活性特性に直接寄与するのではなく、分子の光活性特性を変更することができると考えられているので、「補助」と呼ばれる。光活性及び補助の定義は、非限定的な理論を目的とするものである。例えばIrの場合、二座配位子について、nは0、1又は2でありうる。発光材料において使用される補助配位子を、当業界で公知であるものから選択することができる。補助配位子の非限定的な例は、参照により援用するLamanskyらのPCT出願WO02/15645A1の89〜90頁に記載されている。好ましい補助配位子には、アセチルアセトネート(acac)及びピコリネート(pic)、及びこれらの誘導体が含まれる。本発明においては錯体の安定性と高い発光効率が得られる観点から補助配位子はアセチルアセトネートであることが好ましい。
【0275】
【化73】

【0276】
前記一般式(T−1)で表される化合物の好ましい形態の一つは、下記一般式(T−2)で表される化合物である。
【0277】
【化74】

【0278】
(一般式(T−2)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’〜R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’とR’、R’とR’、及びR’とR’はそれぞれ独立に、互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及び-N=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又は−SOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【0279】
一般式(T−2)におけるR’、R〜R、(X−Y)、m及びnは、一般式(T−1)におけるR’、R〜R、(X−Y)、m及びnと同義であり、好ましいものも同様である。
’〜R’は、R’と同義である。
’は水素原子、アルキル基、アリール基、フルオロ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
’及びR’は水素原子を表すか、又は互いに結合して縮合4〜7員環式基を形成することが好ましく、該縮合4〜7員環式基は、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであることがより好ましく、アリールであることが更に好ましい。
’〜R’における置換基Zとしてはアルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、アルキルアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0280】
前記一般式(T−1)で表される化合物の好ましい形態のひとつは下記一般式(A9)で表される化合物である。
【0281】
【化75】

【0282】
一般式(A9)中、R1a〜R1iの定義や好ましい範囲は一般式(T−1)におけるR〜Rにおけるものと同様である。X、Yの定義や好ましい範囲は一般式(T−1)におけるX、Yにおけるものと同様である。nは0〜3の整数を表す。
【0283】
一般式(T−1)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
【0284】
【化76】


【0285】
上記一般式(T−1)で表される化合物として例示した化合物は、特開2009−99783号公報に記載の方法や、米国特許7279232号等に記載の種々の方法で合成できる。例えば、TR−1は、2-クロロメチルキノリンを出発原料として、米国特許7279232号のカラム24、1行〜カラム27、33行に記載の方法で合成することができる。また、TG−1は、2-ブロモ−3-メチルピリジンを出発原料として、米国特許7279232号のカラム29、1行〜カラム31、29行に記載の方法で合成することができる。
【0286】
本発明において、一般式(T−1)で表される化合物は、発光層に含有されるが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
本発明では、高温駆動時の色度変化をより抑えるために、一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを発光層に含有されることが好ましい。
【0287】
発光層中の発光材料は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
【0288】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0289】
<ホスト材料>
本発明に用いられるホスト材料としては、本発明の化合物の他、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ホスト材料は電子輸送材料及び正孔輸送性材料を挙げることができる。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料と正孔輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。
ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
【0290】
本発明における発光層において、前記ホスト材料(本発明の化合物も含む)の三重項最低励起エネルギー(Tエネルギー)が、前記燐光発光材料のTエネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。ホスト材料のTが燐光発光材料のTより0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことがさらに好ましい。
ホスト材料のTが燐光発光材料のTより小さいと発光を消光してしまうためホスト材料には燐光発光材料より大きなTが求められる。また、ホスト材料のTが燐光発光材料より大きい場合でも、両者のT差が小さい場合には一部、燐光発光材料からホスト材料への逆エネルギー移動が起こるため、効率低下や耐久性低下の原因となる。従って、Tが十分に大きく、化学的安定性及びキャリア注入・輸送性の高いホスト材料が求められている。
【0291】
また、本発明におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、30質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。ホスト材料として本発明の化合物と他のホスト化合物を混合して用いる場合、本発明の化合物はホスト材料の全質量に対して30質量%以上100質量%以下であることが好ましく、50質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
【0292】
発光層には発光材料、ホスト材料の他に、電荷トラップ剤、配列制御剤、分子間相互作用調整剤などの添加剤を含有してもよい。添加剤としてはいかなるものでもよいが、炭化水素化合物であることが好ましい。
【0293】
また、炭化水素化合物は下記一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物を発光材料とともに適切に用いることにより、材料分子間の相互作用を適切に制御し、隣接分子間のエネルギーギャップ相互作用を均一にすることで駆動電圧を更に低下させることが可能となる。
また、有機電界発光素子において用いられる、一般式(VI)で表される化合物は、化学的な安定性に優れ、素子駆動中における材料の分解等の変質が少なく、当該材料の分解物による、有機電界発光素子の効率低下や素子寿命の低下を防ぐことが出来る。
一般式(VI)で表される化合物について説明する。
【0294】
【化77】

【0295】
一般式(VI)中、R、R、R、R10、X〜X15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
【0296】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアルキル基は、アダマンタン構造、アリール構造で置換されていてもよく、炭素数1〜70が好ましく、炭素数1〜50がより好ましく、炭素数1〜30が更に好ましく、炭素数1〜10がより更に好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数2〜6の直鎖のアルキル基が最も好ましい。
【0297】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアルキル基としては、例えば、n−C50101基、n−C3061基、3−(3,5,7−トリフェニルアダマンタン−1−イル)プロピル基(炭素数31)、トリチル基(炭素数19)、3−(アダマンタン−1−イル)プロピル基(炭素数13)、9−デカリル基(炭素数10)、ベンジル基(炭素数7)、シクロヘキシル基(炭素数6)、n−ヘキシル基(炭素数6)、n−ペンチル基(炭素数5)、n−ブチル基(炭素数4)、n−プロピル基(炭素数3)、シクロプロピル基(炭素数3)、エチル基(炭素数2)、メチル基(炭素数1)などが挙げられる。
【0298】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアリール基は、アダマンタン構造、アルキル構造で置換されていてもよく、炭素数6〜30が好ましく、炭素数6〜20がより好ましく、炭素数6〜15が更に好ましく、炭素数6〜10が特に好ましく、炭素数6が最も好ましい。
【0299】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアリール基としては、例えば、1−ピレニル基(炭素数16)、9−アントラセニル基(炭素数14)、1−ナフチル基(炭素数10)、2−ナフチル基(炭素数10)、p−t−ブチルフェニル基(炭素数10)、2−m−キシリル基(炭素数8)、5−m−キシリル基(炭素数8)、o−トリル基(炭素数7)、m−トリル基(炭素数7)、p−トリル基(炭素数7)、フェニル基(炭素数6)などが挙げられる。
【0300】
一般式(VI)のR、R、R、R10は、水素原子であっても、アルキル基であっても、アリール基であってもよいが、前述の高いガラス転移温度が好ましい観点から、少なくともひとつはアリール基であることが好ましく、少なくともふたつはアリール基であることがより好ましく、3ないし4つがアリール基であることが特に好ましい。
【0301】
一般式(VI)の、X〜X15は、水素原子であっても、アルキル基であっても、アリール基であってもよいが、水素原子、又はアリール基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0302】
本発明における一般式(VI)で表される化合物の分子量は、有機電界発光素子を真空蒸着プロセスや溶液塗布プロセスを用いて作成するので、蒸着適性や溶解性の観点から、2000以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることが特に好ましい。また、蒸着適性の観点では、分子量が小さすぎると蒸気圧が小さくなり、気相から固相への変化がおきず、有機層を形成することが困難となるので、250以上が好ましく、350以上がより好ましく、400以上が特に好ましい。
【0303】
一般式(VI)で表される化合物は、室温(25℃)において固体であることが好ましく、室温(25℃)から40℃の範囲において固体であることがより好ましく、室温(25℃)から60℃の範囲において固体であることが特に好ましい。
室温(25℃)において固体を形成しない一般式(VI)で表される化合物を用いる場合は、他の材料と組み合わせることにより、常温で固相を形成させることができる。
【0304】
一般式(VI)で表される化合物は、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に含有されてもよい。本発明における一般式(VI)で表される化合物の導入層としては、後述の発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有されるのが好ましく、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のいずれか、若しくは複数に含有されるのがより好ましく、発光層、正孔注入層、正孔輸送層のいずれか、若しくは複数に含有されるのが特に好ましく、発光層に含むことが最も好ましい。
【0305】
一般式(VI)で表される化合物を、有機層中で用いる場合は、一般式(VI)で表される化合物の含量は、電荷輸送性を抑制しない程度の量に制限して用いる必要があり、一般式(VI)で表される化合物は0.1〜70質量%含まれることが好ましく、0.1〜30質量%含まれることがより好ましく、0.1〜25質量%含まれることが特に好ましい。
また、一般式(VI)で表される化合物を、複数の有機層に用いる場合はそれぞれの層において、上記の範囲で含有することが好ましい。
【0306】
一般式(VI)で表される化合物は、いずれかの有機層に、一種類のみを含有していてもよく、複数の一般式(VI)で表される化合物を任意の割合で組み合わせて含有していてもよい。
【0307】
一般式(VI)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
【0308】
【化78】

【0309】
【化79】

【0310】
【化80】

【0311】
【化81】

【0312】
一般式(VI)で表される化合物は、アダマンタン、若しくは、ハロゲン化アダマンタンと、ハロゲン化アルキル若しくは、アルキルマグネシウムハライド(グリニヤー試薬)を適当に組み合わせることによって合成できる。例えば、インジウムを用いて、ハロゲン化アダマンタンと、ハロゲン化アルキルをカップリングすることができる(文献1)。また、ハロゲン化アルキルをアルキル銅試薬に変換し、芳香族化合物のグリニヤー試薬とカップリングすることもできる(文献2)。また、ハロゲン化アルキルを、適当なアリールホウ酸とパラジウム触媒を用いてカップリングすることもできる(文献3)。
文献1:Tetrahedron Lett.39,1998,9557−9558.
文献2:Tetrahedron Lett.39,1998,2095−2096.
文献3:J.Am.Chem.Soc.124,2002,13662−13663.
【0313】
アリール基を有するアダマンタン骨格は、アダマンタン、若しくは、ハロゲン化アダマンタンと、対応するアレーンやアリールハライドを適当に組み合わせることにより合成できる。
【0314】
なお、上記に示した製造方法において、定義された置換基が、ある合成方法の条件下で変化するか、又は該方法を実施するのに不適切な場合、官能基の保護、脱保護(例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)等)等の手段により容易に製造が可能である。また、必要に応じて適宜置換基導入等の反応工程の順序を変化させることも可能である。
【0315】
(電荷輸送層)
電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層又は電子注入層が挙げられる。好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層である。塗布法により形成される電荷輸送層が正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層であれば、低コストかつ高効率な有機電界発光素子の製造が可能となる。また、電荷輸送層として、より好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層又は電子ブロック層である。
【0316】
(正孔注入層、正孔輸送層)
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる正孔注入材料、正孔輸送材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、本発明の化合物の他、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、イリジウム錯体等の各種金属錯体等を含有する層であることが好ましい。
【0317】
本発明の有機EL素子の正孔注入層あるいは正孔輸送層には、電子受容性ドーパントを含有させることができる。正孔注入層、あるいは正孔輸送層に導入する電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
【0318】
具体的には、無機化合物は塩化第二鉄や塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモンなどのハロゲン化金属、五酸化バナジウム、及び三酸化モリブデンなどの金属酸化物などが挙げられる。
【0319】
有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
この他にも、特開平6−212153、特開平11−111463、特開平11−251067、特開2000−196140、特開2000−286054、特開2000−315580、特開2001−102175、特開2001−160493、特開2002−252085、特開2002−56985、特開2003−157981、特開2003−217862、特開2003−229278、特開2004−342614、特開2005−72012、特開2005−166637、特開2005−209643等に記載の化合物を好適に用いることが出来る。
【0320】
このうちヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、1,4−ジシアノテトラフルオロベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、p−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,3−ジニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、9,10−アントラキノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,3,5,6−テトラシアノピリジン、又はフラーレンC60が好ましく、ヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、又は2,3,5,6−テトラシアノピリジンがより好ましく、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンが特に好ましい。
【0321】
これらの電子受容性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
【0322】
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜100nmであるのがより好ましく、1nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0323】
(電子注入層、電子輸送層)
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、本発明の化合物の他、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
【0324】
本発明の有機EL素子の電子注入層あるいは電子輸送層には、電子供与性ドーパントを含有させることができる。電子注入層、あるいは電子輸送層に導入される電子供与性ドーパントとしては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Liなどのアルカリ金属、Mgなどのアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属や還元性有機化合物などが好適に用いられる。金属としては、特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、及びYbなどが挙げられる。また、還元性有機化合物としては、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物などが挙げられる。
この他にも、特開平6−212153、特開2000−196140、特開2003−68468、特開2003−229278、特開2004−342614等に記載の材料を用いることが出来る。
【0325】
これらの電子供与性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子供与性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
【0326】
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0327】
(正孔ブロック層)
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノラート(Alminum(III)bis(2−methyl−8−quinolinato) 4−phenylphenolate(略号BAlq))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(略号:BCP))等のフェナントロリン誘導体等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0328】
(電子ブロック層)
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
(保護層)
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
保護層については、例えば、特開2008−270736、特開2007−266458に詳述されており、これらの公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0329】
(封止)
さらに、本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0330】
本発明の素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0331】
本発明の素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、発光装置、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
【0332】
次に、図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。
図2の発光装置20は、透明基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器16等により構成されている。
【0333】
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、さらに、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
【0334】
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
【0335】
次に、図3を参照して本発明の照明装置について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る照明装置の一例を概略的に示した断面図である。
本発明の実施形態に係る照明装置40は、図3に示すように、前述した有機EL素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機EL素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも、公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が光散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
【実施例】
【0336】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0337】
下記の例示化合物及び比較化合物を合成した。
【0338】
【化82】




【0339】
【化83】

【0340】
【化84】

【0341】
<合成例>
合成例1:例示化合物(1)の合成
【0342】
【化85】

【0343】
窒素気流下、N−フェニルアンスラニル酸(21.3g、100mmol)、メタノール(500mL)、濃硫酸(25mL)を加熱還流し、7時間攪拌した。室温に戻した後、純水、酢酸エチル、ヘキサンを加えて有機相を抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製し、合成中間体A(13.3g、58.5mmol、収率59%)を得た。
窒素気流下、合成中間体A(9.10g、40.0mmol)、臭化メチルマグネシウムの0.93mol/L THF溶液(150mL、140.0mmol)、乾燥THF
(50mL)を0℃で混合した後、50℃で1時間攪拌した。反応溶液を氷水にあけ、塩化アンモニウム水溶液で中和した後、酢酸エチルを添加し、有機相を抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することにより合成中間体B(9.10g、100mmol、収率100%)を得た。
窒素気流下、合成中間体B(6.50g、28.5mmol)、ポリリン酸(50mL)を室温で1時間攪拌した。純水を添加し、炭酸水素ナトリウム水溶液により中和した後、酢酸エチルを添加し、有機相を抽出した。有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンで再結晶することにより合成中間体C(4.60g、22.0mmol、収率77%)を得た。
窒素気流下、合成中間体C(1.50g、7.17mmol)、1,3−ジブロモベンゼン(769mg、3.26mmol)、酢酸パラジウム(74mg、0.33mmol)、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル(394mg、1.32mmol)、t−ブトキシナトリウム(1.25g、13.0mmol)、乾燥キシレン(20mL)を加熱還流し、6時間加熱した。酢酸エチル、トルエンを添加し、固形物をろ別した後、純水を加え、有機相を抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)により精製した。溶媒を減圧留去した後、クロロホルム/メタノール(1:1)により再結晶することにより化合物(1)(1.00g、2.03mmol、収率62%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.90(t,1H),7.54(d,2H),7.47(d,4H),7.36(s,1H),7.05(t,4H),6.96(t,4H),6.43(d,4H),1.67(s,12H)ppm.
【0344】
合成例2:例示化合物(10)、(11)の合成
【0345】
【化86】

【0346】
合成例1の方法に準じて上記合成ルートで合成中間体FとGの混合物を得た。この混合物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)によりそれぞれ単離した。合成例1の方法に準じて合成中間体Fから化合物(10)を、合成中間体Gから化合物(11)を合成した。
化合物(10):H−NMR(300MHz,CDCl)δ=8.00(t,1H),7.56−7.52(m,4H),7.46(d,2H),7.35(t,1H),7.17(d,2H),7.07(t,2H),6.99(t,2H),6.60(s,2H),6.39(d,2H),1.68(s,12H)ppm.
化合物(11):H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.94(t,1H),7.60−7.54(m,4H),7.43(d,2H),7.36(t,1H),7.15−7.00(m,6H),6.80(d,2H),6.52(d,2H),1.79(s,12H)ppm.
【0347】
合成例3:例示化合物(27)、(34)、(49)、(58)、(64)の合成
【0348】
合成例1及び2に準じて、化合物(27)、(34)、(49)、(58)、(64)を合成した。
化合物(27):H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.46(d,4H),7.28(d,2H),7.18(s,1H),7.07(t,4H),6.97(t,4H),6.46(d,4H),1.66(s,12H)ppm.
化合物(34):H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.62(d,2H),7.46(d,4H),7.30(t,1H),7.04(t,4H),6.94(t,4H),6.38(d,4H)ppm.
化合物(49):H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.69(t,1H),7.45(d,4H),7.28(d,4H),7.13−7.03(m,10H),1.64(s,12H)ppm.
化合物(58):H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.56(s,3H),7.47(d,6H),7.12(t,6H),6.99(t,6H),6.61(d,6H),1.65(s,18H)ppm.
化合物(64):H−NMR(300MHz,CDCl)δ=8.02(d,2H),7.82−7.76(m,4H),7.49(d,4H),7.37(d,2H),6.97(t,4H),6.88(t,4H),6.20(d,4H),1.62(s,12H)ppm.
合成例4:例示化合物(40)の合成
【0349】
【化87】

【0350】
合成例1の方法に準じて上記合成ルートで化合物(40)を合成した。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.91(t,1H),7.53(d,2H),7.45−7.20(m,11H),7.03−6.97(m,4H),6.84−6.75(m,8H),6.44(d,4H)ppm.
合成例5:例示化合物(59)の合成
【0351】
【化88】

【0352】
窒素気流下、合成中間体C(3.60g、17.2mmol)、50質量%油性水素化ナトリウム(1.04g、20.8mmol)、乾燥DMF(40mL)を混合し、100℃で5分間攪拌した後、室温に戻した。DMF(20mL)に溶解した塩化シアヌル(954mg、5.22mmol)を添加した後、さらに120℃で1時間攪拌した後、室温に戻した。純水を200mL添加し、析出物を濾取し、純水で洗浄した。乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製し、次いでイソプロパノール/塩化メチレン(10:1)で再結晶することにより化合物(59)(500mg、0.711mmol、収率14%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.57(d,6H),7.36(d,2H),7.12(t,6H),7.04(t,6H),1.52(s,18H)ppm.
【0353】
合成例6:比較化合物2の合成
文献WO2007/110228の12−14頁の記載に準じて比較化合物2を合成した。
比較化合物2:H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.66(t,1H),7.25−6.89(m,35H),6.49(d,4H)ppm.
【0354】
厚み0.5mm、2.5cm角の石英基板を2−プロパノール中で超音波洗浄し、30分間UV−オゾン処理を行った後,この石英基板上に上記例示化合物又は比較化合物2,5,6を膜厚50nmとなるように真空蒸着し、以下の各種物性値を測定した。
(a) イオン化ポテンシャル(Ip)
Ipは光電子分光装置(AC−1,理研計器製)により測定した。
(b) 電子親和力(Ea)
バンドギャップEgを吸収スペクトルの長波長端から求め、Ea = Ip−Egより求めた。
(c) 励起三重項準位(Tエネルギー)
−196℃で燐光スペクトルを測定し、発光短波長端より求めた。
結果を表1に示す。
【0355】
【表1】

【0356】
比較化合物6のIpはAC−1の測定限界値(〜6.0eV)以上だったため測定不能だった。
【0357】
また、厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて化合物1を膜厚約1μmとなるように成膜し、次いで金属アルミニウムを100nm蒸着して電極とした。こうして得られた素子に対して飛行時間計測(TOF)法を適用することで化合物1のホール移動度を求めたところ、電界強度1000V/cmにおける化合物1のホール移動度は3.0×10−4cm/Vsと見積もられた。
【0358】
<有機電界発光素子>
〔実施例1〕[素子1−1の作成]
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
第1層:銅フタロシアニン(CuPc):膜厚10nm
第2層:NPD:膜厚50nm
第3層(発光層):本発明の化合物(1)及びD−158(質量比90:10。表2中では、化合物(1)+10%D−158のように記載する。):膜厚30nm
第4層:BAlq:膜厚30nm
この上に、フッ化リチウム0.1nm及び金属アルミニウムを100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
このものを、大気に触れさせること無く、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、有機電界発光素子1−1を得た。用いた化合物の構造を以下に示す。
【0359】
【化89】

【0360】
【化90】

【0361】
[他の素子の作成]
表2に示す発光層構成を採用したこと以外は、[素子1−1の作成]と同様に各素子を作成した。
【0362】
【表2】

【0363】
〔実施例2〕
表3に示す発光層構成を採用したこと以外は、[素子1−1の作成]と同様に各素子を作成した。
【0364】
【表3】

【0365】
〔実施例3〕
表4に示す発光層構成を採用したこと以外は、[素子1−1の作成]と同様に各素子を作成した。
【0366】
【表4】

【0367】
〔実施例4〕
表5に示す発光層構成を採用したこと以外は、[素子1−1の作成]と同様に各素子を作成した。
【0368】
【表5】

【0369】
〔実施例5〕
表6に示す発光層構成を採用したこと以外は、[素子1−1の作成]と同様に各素子を作成した。
【0370】
【表6】

【0371】
〔実施例6〕
表7に示す発光層構成を採用したこと以外は、[素子1−1の作成]と同様に各素子を作成した。
【0372】
【表7】

【0373】
〔実施例7〕
表8に示す発光層構成を採用したこと以外は、[素子1−1の作成]と同様に各素子を作成した。
【0374】
【表8】

【0375】
〔実施例8〕
表9に示す発光層構成を採用したこと以外は、[素子1−1の作成]と同様に各素子を作成した。
【0376】
【表9】

【0377】
〔実施例9〕
表10に示すホール輸送層構成、発光層構成を採用したこと以外は、[素子1−1の作成]と同様に各素子を作成した。
なお表10において、NPD(47nm)/化合物(3nm)とあるのは、ホール輸送層としてNPDを47nm蒸着後に本発明の化合物を3nm蒸着したものを用いたことを意味する。
【0378】
【表10】

【0379】
〔実施例10−13〕
下記に示す層構成に変更した以外は[素子1−1の作成]と同様に各素子を作製した。
第1層:2−TNATA+F−TCNQ(質量比99.7:0.3):膜厚120nm
第2層:NPD:膜厚7nm
第3層:表中に記載:膜厚3nm
第4層(発光層):表中に記載:膜厚30nm
第5層:表11〜13中に記載:膜厚29nm
第6層:BCP:膜厚1nm
陰極:LiF(膜厚0.1nm)/Al(膜厚100nm)
【0380】
用いた材料を以下に示す。
【0381】
【化91】

【0382】
【化92】



【0383】
【表11】

【0384】
【表12】

【0385】
【表13】

【0386】
〔実施例14〕
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上にPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))/PSS(ポリスチレンスルホン酸)水溶液(BaytronP(標準品))をスピンコート(4000rpm、60秒間)し、120℃で10分間乾燥することにより、ホール輸送性バッファ層を形成させた。
次いで、化合物(1)を1質量%、及びD−159を0.05質量%含有するトルエン溶液を先のバッファ層上にスピンコート(2000rpm、60秒間)し、発光層を形成させた。
この発光層の上に、BAlqを真空蒸着法により50nm蒸着して電子輸送層とし、さらにフッ化リチウム0.1nm及び金属アルミニウムを100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
このものを、大気に触れさせること無く、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、有機電界発光素子14−1を得た。また、ホスト材料である化合物(1)を表14中に記載の材料に変更する以外は同様にして、素子14−2〜3、比較素子14−1〜2を得た。
【0387】
【表14】

【0388】
得られた上記素子について、下記の評価を行なった。結果を表2〜14に示した。
評価項目
(a)相対外部量子効率
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は浜松ホトニクス製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらを元に輝度が1000cd/m付近の外部量子効率を輝度換算法により算出した。この値は高いほど好ましい。
(b)相対駆動電圧
各素子を輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加し発光させ、この時の印加電圧を駆動電圧評価の指標とした。この値は低いほど好ましい。
(c)相対駆動耐久性
各素子を輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加し発光させ、この時の印加電圧を駆動電圧評価の指標とした。この値は高いほど好ましい。
(d)極大発光波長
各素子を輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加し発光させ、このときの発光スペクトルから極大発光波長を求めた。
【0389】
上記の結果から、本発明の化合物を用いた有機EL素子は、比較化合物を用いたものに比べ、高効率、低駆動電圧であり、駆動耐久性も高いことが分かる。
【符号の説明】
【0390】
2・・・基板
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子(有機EL素子)
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
30A・・・光入射面
30B・・・光出射面
32・・・微粒子
40・・・照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される化合物。
【化1】

(ただし、式中、R、RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。L1−1、L2−1はそれぞれ独立にフェニレン又はビフェニレンを表す。n’は2以上10以下の整数を表し、mはそれぞれ独立に整数を表す。)
【請求項2】
一般式(1)又は一般式(2)で表される電荷輸送材料。
【化2】


(ただし、式中、L1,L2はそれぞれ独立に連結基を表し、R、RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。nは2以上10以下の整数を表し、mは整数を表す。)
【請求項3】
前記一般式(1)又は一般式(2)が一般式(1−1)又は一般式(2−1)で表される請求項2に記載の電荷輸送材料。
【化3】

(ただし、式中、R、RNはそれぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Aはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。L1−1、L2−1はそれぞれ独立にフェニレン又はビフェニレンを表す。n’は2以上10以下の整数を表し、mはそれぞれ独立に整数を表す。)
【請求項4】
前記一般式(1)が一般式(3)で表される請求項2に記載の電荷輸送材料。
【化4】


(ただし、式中、R、R’は、それぞれ独立に置換基を表し、R1、R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Qは5員環又は6員環である。nは2又は3を表し、m,pは整数を表す。)
【請求項5】
前記一般式(3)が一般式(4)で表される請求項4に記載の電荷輸送材料。
【化5】

(ただし、式中、R、R’は、それぞれ独立に置換基を表し、R1,R2はそれぞれ独立に置換基を表す。R1とR2がいずれもアリール基になることはない。Q’は芳香族6員環である。m,pは整数を表す。)
【請求項6】
前記一般式(4)においてR1がメチル基である請求項5に記載の電荷輸送材料。
【請求項7】
薄膜状態での励起三重項準位(T1)が3.0eV以上3.5eV以下である請求項2〜6のいずれかに記載の電荷輸送材料。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物又は請求項2〜6のいずれかに記載の電荷輸送材料を含む組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物又は請求項2〜6のいずれかに記載の電荷輸送材料を含む薄膜。
【請求項10】
陰極と陽極の間に発光材料を含有する発光層を含む、少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、請求項1に記載の化合物又は請求項2〜7のいずれかに記載の電荷輸送材料を有機層に含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項11】
前記発光層が燐光発光材料を含む請求項10に記載の有機電界発光素子。
【請求項12】
前記燐光発光材料がIr錯体又はPt錯体である請求項11に記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
前記燐光発光材料が3座以上の配位子を含むPt錯体である請求項12に記載の有機電界発光素子。
【請求項14】
前記燐光発光材料が下記一般式(C−2)で表されるPt錯体である請求項13に記載の有機電界発光素子。
【化6】

(式中、L21は単結合又は二価の連結基を表す。A21、A22はそれぞれ独立にC又はNを表す。Z21、Z22はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z23、Z24はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。)
【請求項15】
前記燐光発光材料が下記一般式(5)で表されるPt錯体である請求項14に記載の有機電界発光素子。
【化7】

(式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。X、X、X及びXのうち、いずれか1つ以上は、窒素原子を表す。X、X、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。X11、X12は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、X13、X14及びX15は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表し、X11、X12、X13、X14及びX15により表される5員環骨格に含まれる窒素原子の数は、2以下である。Lは単結合又は2価の連結基を表す。)
【請求項16】
前記燐光発光材料が下記一般式(T−1)で表されるIr錯体である請求項12に記載の有機電界発光素子。
【化8】

(一般式(T−1)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
環Qは、Irに対して配位される少なくとも1つの窒素原子を有する芳香族複素環又は縮合芳香族複素環を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及び-N=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又は−SOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【請求項17】
前記燐光発光材料の極大発光波長が500nm以下である請求項11〜16のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項18】
請求項10〜17のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
【請求項19】
請求項10〜17のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
【請求項20】
請求項10〜17のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−180204(P2010−180204A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296415(P2009−296415)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】