電解コンデンサおよびその製造方法
【課題】電解質液が浸み込み易い電解コンデンサを提供する。
【解決手段】電解コンデンサ10は、陽極化成箔1と、陰極箔2と、セパレータ紙3a,3bと、巻止テープ4と、素子貫通穴6と、リードタブ端子7,8と、陽極リード線9と、陰極リード線11とを備える。コンデンサ素子5は、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bが巻回された構造からなる。そして、コンデンサ素子5は、略円柱形状を有する。素子貫通穴6は、コンデンサ素子5の略中心からコンデンサ素子5の径方向に沿ってコンデンサ素子5を貫通する。
【解決手段】電解コンデンサ10は、陽極化成箔1と、陰極箔2と、セパレータ紙3a,3bと、巻止テープ4と、素子貫通穴6と、リードタブ端子7,8と、陽極リード線9と、陰極リード線11とを備える。コンデンサ素子5は、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bが巻回された構造からなる。そして、コンデンサ素子5は、略円柱形状を有する。素子貫通穴6は、コンデンサ素子5の略中心からコンデンサ素子5の径方向に沿ってコンデンサ素子5を貫通する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、巻回式の電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、電気回路の小型化および高周波対応化が要求されており、これに伴って、コンデンサについても低インピーダンス化が必要となっている。特に、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)駆動用回路およびスイッチング電源回路等に対しては、回路設計上、高周波ノイズおよびリプル電流の吸収性が要求され、低ESR(等価直列抵抗)化が可能なコンデンサが要求されている。
【0003】
そして、低ESR化が可能なコンデンサとして巻回式の電解コンデンサが注目されており、高容量な電解コンデンサとして特許文献1に記載の電解コンデンサが知られている。この電解コンデンサは、2つの陽極箔と1つの陰極箔との間にセパレータ紙を挿入して巻回した構造からなり、2つの陽極箔には、トンネルエッチングによりエッチングピットの穴が形成されている。このエッチングピットの穴は、陽極箔の表面積を大きくするために設けられ、陽極箔を高倍率エッチングすることによって形成される。
【特許文献1】実開平7−14640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電解コンデンサにおいては、エッチングピットの穴は、陽極箔の表面積を大きくするために設けられるため、陽極箔、陰極箔およびセパレータ紙を巻回した略柱状形状のコンデンサ素子に電解質液を含浸させ難いという問題がある。また、大幅な容量増大のために、陽極箔の表面積を大きくする大型化および巻回数を多くすること等が行なわれるので、電解質液を含浸させ難いことがより顕著となる。その結果、誘電体への電解質の被覆率が低下し、電解コンデンサの容量の低下および等価直列抵抗の増大を引き起こす。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電解質液が浸み込み易い電解コンデンサを提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、電解質液が浸み込み易い電解コンデンサの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、電解コンデンサは、電解質を含む巻回式の電解コンデンサであって、陽極部材と、陰極部材と、セパレータ部材と、部材貫通穴とを備える。陽極部材は、誘電体被膜が表面に形成され、巻回される。陰極部材は、陽極部材とともに巻回される。セパレータ部材は、陽極部材と陰極部材との間に配置され、陽極部材および陰極部材とともに巻回される。部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材の少なくとも1つの部材に形成される。そして、部材貫通穴が形成された陽極部材においては、電解質は、部材貫通穴を介して陽極部材の表裏面に形成されている。
【0008】
また、この発明によれば、電解コンデンサは、電解質を含む巻回式の電解コンデンサであって、陽極部材と、陰極部材と、セパレータ部材と、部材貫通穴とを備える。陽極部材は、誘電体被膜が表面に形成され、巻回される。陰極部材は、陽極部材とともに巻回される。セパレータ部材は、陽極部材と陰極部材との間に配置され、陽極部材および陰極部材とともに巻回される。部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材の少なくとも2つの部材に形成される。
【0009】
好ましくは、部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材の全てに形成されている。
【0010】
好ましくは、陽極部材に形成された部材貫通穴、陰極部材に形成された部材貫通穴および前セパレータ部材に形成された部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材が巻回されてなる略円柱形状のコンデンサ素子の周方向において略同じ位置に配置されている。
【0011】
好ましくは、陽極部材に形成された部材貫通穴、陰極部材に形成された部材貫通穴およびセパレータ部材に形成された部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材が巻回されてなる略円柱形状のコンデンサ素子においてコンデンサ素子の外周面からコンデンサ素子の内部へ向かう方向に配置された任意の長さを有する穴を形成する。
【0012】
好ましくは、任意の長さを有する穴は、コンデンサ素子の径方向に添って配置されている。
【0013】
好ましくは、任意の長さを有する穴は、コンデンサ素子を貫通する素子貫通穴からなる。
【0014】
好ましくは、任意の長さを有する穴は、各々がコンデンサ素子を貫通する複数の素子貫通穴からなる。
【0015】
好ましくは、複数の素子貫通穴は、コンデンサ素子の周方向において異なる位置に配置されている。
【0016】
好ましくは、複数の素子貫通穴は、コンデンサ素子の長さ方向においてコンデンサ素子の端から略同じ距離の位置に配置されている。
【0017】
好ましくは、複数の素子貫通穴は、コンデンサ素子の長さ方向において異なる位置に配置されている。
【0018】
好ましくは、複数の素子貫通穴の各々は、コンデンサ素子の中心軸を通ってコンデンサ素子を貫通する。
【0019】
好ましくは、電解質は、固体電解質からなる。
【0020】
好ましくは、固体電解質は、ポリチオフェン系、ポリピロール系およびポリアニリン系のいずれかからなる導電性高分子、または7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン錯塩である。
【0021】
好ましくは、電解質は、水溶液または有機溶媒からなる電解液である。
【0022】
さらに、この発明によれば、電解コンデンサの製造方法は、電解質を含む巻回式の電解コンデンサを製造する製造方法であって、誘電体被膜が表面に形成された陽極部材、陰極部材、およびセパレータ部材の少なくとも1つに部材貫通穴を形成する第1の工程と、第1の工程の後、セパレータ部材を陽極部材と陰極電極との間に配置して陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材を巻回し、略円柱形状のコンデンサ素子を形成する第2の工程と、コンデンサ素子に電解質を含浸させる第3の工程とを備える。
【0023】
好ましくは、第1の工程において、部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材に形成される。
【0024】
好ましくは、第1の工程において、部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材が巻回されたときにコンデンサ素子を径方向から貫通する素子貫通穴を形成するように陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材に形成される。
【発明の効果】
【0025】
この発明においては、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材の少なくとも1つに部材貫通穴が形成されているため、電解コンデンサの製造工程において、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材が巻回されて形成される略円柱形状のコンデンサ素子の端面および部材貫通穴から電解質液が浸透し、電解質がコンデンサ素子に含浸する。
【0026】
したがって、この発明によれば、部材貫通穴を設けない場合よりも電解質液をコンデンサ素子に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極部材および陰極部材の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0028】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。また、図2は、この発明の実施の形態1による電解コンデンサの構成を示す断面図である。図1および図2を参照して、この発明の実施の形態1による電解コンデンサ10は、陽極化成箔1と、陰極箔2と、セパレータ紙3と、巻止テープ4と、素子貫通穴6と、リードタブ端子7,8と、陽極リード線9と、陰極リード線11と、ケース12と、ゴムパッキン13と、座板14とを備える。
【0029】
なお、電解コンデンサ10は、たとえば、固体電解質を含む電解コンデンサである。
【0030】
陽極化成箔1は、表面が化成処理されたアルミニウム箔からなる。したがって、陽極化成箔1は、その表面が凹凸化され、凹凸表面に酸化被膜を有する。陰極箔2は、アルミニウム箔からなる。セパレータ紙3は、2枚のセパレータ紙3a,3bからなる。
【0031】
陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々には、後述する部材貫通穴が形成されている。
【0032】
セパレータ紙3a、陽極化成箔1、セパレータ紙3bおよび陰極箔2が順次積層され、その積層されたセパレータ紙3a、陽極化成箔1、セパレータ紙3bおよび陰極箔2は、巻回される。そして、巻回されたセパレータ紙3a、陽極化成箔1、セパレータ紙3bおよび陰極箔2の端が巻止テープ4によって止められる。これによって略円柱形状のコンデンサ素子5が形成されるとともに、その形成されたコンデンサ素子5を径方向に貫通する素子貫通穴6が形成される。
【0033】
リードタブ端子7は、陽極化成箔1に接続され、リードタブ端子8は、陰極箔2に接続される。陽極リード線9は、リードタブ端子7に接続され、陰極リード線11は、リードタブ端子8に接続される。
【0034】
ケース12は、アルミニウムからなり、コンデンサ素子5、リードタブ端子7,8、陽極リード線9および陰極リード線11を収納する。ゴムパッキン13は、コンデンサ素子5およびリードタブ端子7,8をケース12内に封止する。座板14は、陽極リード線9および陰極リード線11を固定する。なお、陽極リード線9および陰極リード線11は、コンデンサ素子5がケース12内に収納されると、座板14に沿って折り曲げられる。
【0035】
図3は、図2に示すA方向から見た電解コンデンサ10の平面図である。図3を参照して、座板14は、略長方形の平面形状を有し、切欠部14A,14Bを有する。そして、陽極リード線9および陰極リード線11は、それぞれ、座板14の切欠部14A,14Bに嵌合するように座板14の面内方向へ折り曲げられる。
【0036】
そして、折り曲げられた陽極リード線9および陰極リード線11は、電解コンデンサ10の端子として使用される。
【0037】
図4は、図1に示す素子貫通穴6を詳細に説明するための図である。なお、図4の(a)は、コンデンサ素子5の斜視図であり、図4の(b)は、図4の(a)に示すA方向から見たコンデンサ素子5の平面図であり、図4の(c)は、図4の(a)に示すB方向から見たコンデンサ素子5の平面図である。
【0038】
図4を参照して、コンデンサ素子5は、たとえば、15mmφの直径Rと、8.0mmの長さWとを有する。そして、素子貫通穴6は、コンデンサ素子5の両端5A,5BからW1=W/2=4.0mmおよびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置に形成され、略円柱形状のコンデンサ素子5の中心軸AXを通って径方向にコンデンサ素子5を貫通する。この場合、素子貫通穴6の直径rは、たとえば、0.7mmである。
【0039】
図5は、図1に示す陽極化成箔1の平面図である。図5を参照して、陽極化成箔1は、帯状の平面形状からなり、長さLおよび幅Wを有する。なお、図5に示す幅Wは、陽極化成箔1を巻回したときに図4に示すようにコンデンサ素子5の長さWになる。
【0040】
部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−nの各々は、陽極化成箔1の幅方向の略中心に形成される。そして、部材貫通穴1−1は、陽極化成箔1の一方端1Aから距離D1の位置に形成され、部材貫通穴1−2は、部材貫通穴1−1から距離D2の位置に形成され、部材貫通穴1−3は、部材貫通穴1−2から距離D3の位置に形成され、以下、同様にして、部材貫通穴1−nは、部材貫通穴1−n−1から距離Dnの位置に形成される。
【0041】
そして、距離D1〜Dnは、陽極化成箔1を陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bと共に巻回したときに、部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−nがコンデンサ素子5の周方向において略同じ位置に配置される距離である。すなわち、距離D1〜Dnは、陽極化成箔1を陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bと共に巻回したときに、素子貫通穴6がコンデンサ素子5の径方向に沿って形成される距離である。
【0042】
なお、図1に示す陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々は、図5に示す陽極化成箔1と同じ平面形状からなり、部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−nと同じ部材貫通穴が形成される。
【0043】
図6から図9は、それぞれ、図1に示す電解コンデンサ10の製造方法を説明するための第1から図4の工程図である。
【0044】
図6を参照して、所定の寸法(長さLおよび幅W)を有するアルミニウム箔を1枚裁断し、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施し、その後、化成処理を行なって1枚の陽極化成箔1を作製する。そして、直径が0.7mmφである針を用いて部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−nを陽極化成箔1に形成する。
【0045】
そして、所定の寸法(長さLおよび幅W)を有するアルミニウム箔を1枚裁断して1枚の陰極箔2を作製し、直径が0.7mmφである針を用いて部材貫通穴2−1,2−2,2−3,・・・,2−nを陰極箔2に形成する。また、所定の寸法を有するセパレータ紙を2枚裁断してセパレータ紙3a,3bを作製し、直径が0.7mmφである針を用いて部材貫通穴3a−1,3a−2,3a−3,・・・,3a−nをセパレータ紙3aに形成するとともに、直径が0.7mmφである針を用いて部材貫通穴3b−1,3b−2,3b−3,・・・,3b−nをセパレータ紙3bに形成する。
【0046】
その後、陽極リード線9をリードタブ端子7に接続し、陰極リード線11をリードタブ端子8に接続する。そして、リードタブ端子7を陽極化成箔1の中央部に接続し、リードタブ端子8を陰極箔2の中央部に接続する。なお、図6においては、陽極リード線9および陰極リード線11は、省略されている。
【0047】
そうすると、陽極化成箔1、陰極箔2および2枚のセパレータ紙3a,3bを図7に示す態様で配置し、支点FLCを中心にした陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを時計回り(または反時計回り)に回転させて陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻き取る。これによって、コンデンサ素子5が作製されるとともに、素子貫通穴6がコンデンサ素子5に形成される(図8参照)。
【0048】
引き続いて、リードタブ端子7,8、陽極リード線9および陰極リード11が接続されたコンデンサ素子5に対して、切り口化成と280℃の熱処理とを行い、図9に示すようにコンデンサ素子5を混合液20に浸漬する。この混合液20は、重合によって導電性高分子となるモノマーと、酸化剤溶液としてのp−トルエンスルホン酸第二鉄アルコール溶液との混合液である。このコンデンサ素子5の混合液20への浸漬によって、混合液20は、コンデンサ素子5の端面および素子貫通穴6を通ってコンデンサ素子5の陽極化成箔1と2枚のセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2と2枚のセパレータ紙3a,3bとの間に浸透する。そして、熱化学重合することによって、コンデンサ素子5の両電極間に導電性高分子層が形成される。これによって、コンデンサ素子5は、電解質を含むことになる。この電解質は、たとえば、ポリチオフェン系、ポリピロール系およびポリアニリン系の導電性高分子または7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯塩からなる固体電解質である。電解質がコンデンサ素子5に含浸すると、コンデンサ素子5にゴムパッキン13を挿入し、ゴムパッキン13を挿入したコンデンサ素子5をケース12内に収納固定する。
【0049】
引続いて、ケース12の開口部に対して横絞りとカールを施してゴムパッキン13およびコンデンサ素子5を封止し、エージング処理を行なう。その後、コンデンサ素子5のカール面に座板14を挿入し、陽極リード線9および陰極リード線11に対して電極端子としてのプレス加工および折り曲げを行なう。これによって、電解コンデンサ10が完成する。
【0050】
図10は、陽極化成箔1の断面図である。図10を参照して、コンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、電解質51は、部材貫通穴1−1〜1−nを通って陽極化成箔1の表裏面に形成される。したがって、この発明における部材貫通穴1−1〜1−nは、電解質51が陽極化成箔1の表裏面に形成され得る貫通穴である。また、電解質51は、部材貫通穴2−1〜2−nを通って陰極箔2の表裏面に形成される。したがって、部材貫通穴2−1〜2−nは、電解質51が陰極箔2の表裏面に形成され得る貫通穴である。
【0051】
図11は、コンデンサ素子5の破断面を有する斜視図である。図11を参照して、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを上述した方法によって巻回すると、略円柱形状のコンデンサ素子5が作製されるとともに、素子貫通穴6がコンデンサ素子5の径方向に沿って形成される。そして、コンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20が矢印15で示すようにコンデンサ素子5の端面5D,5Eから陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込むとともに、矢印16で示すように素子貫通穴6を通って陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。そうすると、素子貫通穴6は、コンデンサ素子5の中心軸を通ってコンデンサ素子5を貫通するように形成されているため、混合液20は、コンデンサ素子5の長さ方向の略中心からも陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0052】
従って、この発明によれば、素子貫通穴6を設けない場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【0053】
図12は、破断面を有するコンデンサ素子5の他の斜視図である。図12を参照して、電解コンデンサ10は、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bにそれぞれ形成された部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−n;2−1,2−2,・・・,2−n;3a−1,3a−2,・・・,3a−n;3b−1,3b−2,・・・,3b−nがコンデンサ素子5の長さ方向および周方向にずれて形成された素子貫通穴6Aを備えていてもよい。
【0054】
素子貫通穴6Aは、0.7mmφの直径を有する。そして、素子貫通穴6Aは、その周縁が素子貫通穴6のようにコンデンサ素子5の径方向に揃っていないが、混合液20がコンデンサ素子5の径方向に入っていくための空間を有する。すなわち、素子貫通穴6Aの周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコしているが、混合液20が径方向にコンデンサ素子5内を通過する空間を有する。
【0055】
したがって、素子貫通穴6Aを有するコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、素子貫通穴6Aを通って陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。その結果、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0056】
実施の形態1においては、素子貫通穴6,6Aは、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよく、コンデンサ素子5の長さ方向においてコンデンサ素子5の中心から上下方向にずれた位置に形成されていてもよい。
【0057】
[実施の形態2]
図13は、実施の形態2による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図13を参照して、実施の形態2による電解コンデンサ10Aは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を素子貫通穴61,62に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。素子貫通穴61,62は、コンデンサ素子5の長さ方向の略中点にコンデンサ素子5の周方向に並ぶように形成される。
【0058】
図14は、図13に示すA方向から見た電解コンデンサ10Aの平面図である。なお、図14においては、リードタブ端子7,8、陽極リード線9および陰極リード線11は、省略されている。
【0059】
図14を参照して、素子貫通穴61,62の各々は、0.7mmφの直径を有する。そして、素子貫通穴61,62の各々は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通ってコンデンサ素子5を貫通する。その結果、素子貫通穴61,62は、中心軸AXの位置で交差する。
【0060】
電解コンデンサ10Aは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに素子貫通穴61,62がコンデンサ素子5の径方向に沿って形成されるように、複数の部材貫通穴が陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々に形成される。
【0061】
また、素子貫通穴61,62が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eに加え、素子貫通穴61,62からも陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0062】
その結果、混合液20は、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合よりも、コンデンサ素子5の長さ方向の略中心から陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0063】
したがって、実施の形態2によれば、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合をさらに大きくできるとともに、電解コンデンサの容量をさらに増大でき、等価直列抵抗をさらに低下できる。
【0064】
なお、電解コンデンサ10Aは、素子貫通穴61,62に代えて周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコした2つの素子貫通穴を備えていてもよい。また、電解コンデンサ10Aは、各々がコンデンサ素子5の中心軸を通過する3個以上の素子貫通穴をコンデンサ素子5の周方向に備えていてもよい。さらに、実施の形態2においては、素子貫通穴61,62は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよく、コンデンサ素子5の長さ方向においてコンデンサ素子5の中心から上下方向にずれた位置に形成されていてもよい。さらに、素子貫通穴61,62は、中心軸AX以外の位置で交差していてもよく、相互に交差していなくてもよい。
【0065】
[実施の形態3]
図15は、実施の形態3による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図15を参照して、実施の形態3による電解コンデンサ10Bは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を素子貫通穴63,64に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。
【0066】
図16は、図15に示すA方向から見た電解コンデンサ10Bの平面図である。図16を参照して、素子貫通穴63,64の各々は、0.7mmφの直径を有する。そして、素子貫通穴63,64は、コンデンサ素子5の長さ方向において上下に配置される。より具体的には、素子貫通穴63は、コンデンサ素子5の一方端5AからW2およびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置に形成され、略円柱形状のコンデンサ素子5の中心軸AXを通って径方向にコンデンサ素子5を貫通する。また、素子貫通穴64は、コンデンサ素子5の他方端5BからW2およびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置に形成され、略円柱形状のコンデンサ素子5の中心軸AXを通って径方向にコンデンサ素子5を貫通する。
【0067】
電解コンデンサ10Bは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに素子貫通穴63,64がコンデンサ素子5の径方向に沿って形成されるように、複数の部材貫通穴が陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々に形成される。
【0068】
そして、素子貫通穴63,64が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eに加え、素子貫通穴63,64からも陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0069】
その結果、混合液20は、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合よりも、コンデンサ素子5の長さ方向の略中央部から陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0070】
したがって、実施の形態3によれば、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合をさらに大きくできるとともに、電解コンデンサの容量をさらに増大でき、等価直列抵抗をさらに低下できる。
【0071】
なお、電解コンデンサ10Bは、素子貫通穴63,64に代えて周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコした2つの素子貫通穴を備えていてもよい。また、電解コンデンサ10Bは、各々がコンデンサ素子5の中心軸を通過する3個以上の素子貫通穴をコンデンサ素子5の長さ方向に備えていてもよい。さらに、実施の形態3においては、素子貫通穴63,64は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよい。さらに、素子貫通穴63,64は、相互に交差していてもよい。
【0072】
上述した実施の形態1〜実施の形態3による電解コンデンサ10,10A,10Bにおける電解質の含浸割合の実験結果について説明する。表1は、電解コンデンサ10,10A,10Bにおける電解質の含浸の実験結果を示す。
【0073】
【表1】
【0074】
なお、表1においては、素子貫通穴を設けない従来例が比較として示されている。また、素子貫通穴数は、コンデンサ素子5の外周面5Cに形成される貫通穴数である。したがって、電解コンデンサ10(実施の形態1)の場合、素子貫通穴数は、2個であり、電解コンデンサ10A,10B(実施の形態2,3)の場合、素子貫通穴数は、4個である。さらに、電解コンデンサ10,10A,10Bの各々は、10個、試作された。さらに、不良率は、電解質の未含浸部分がコンデンサ素子5の断面の一割以上を占める素子を不良として測定された。さらに、含浸時間は、コンデンサ素子5を混合液20に浸漬してから混合液20がコンデンサ素子5の素子リード線側に染み上がってくるまで(混合液20がコンデンサ素子5に含浸すると、コンデンサ素子5の色が変わる)の時間である。
【0075】
表1に示す結果から、2個の素子貫通穴61,62をコンデンサ素子5の周方向に設けた場合、含浸時間が最も短く、不良数および不良率は、“0”である。そして、2個の素子貫通穴63,64をコンデンサ素子5の長さ方向に設けた場合、素子貫通穴61,62をコンデンサ素子5に設けた場合の次に、含浸時間が短く、不良数が“1”であり、不良率は、10%である。また、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合、不良数および不良率は、素子貫通穴を設けない従来例の場合と同じであるが、含浸時間は、短くなる。したがって、素子貫通穴6を設けることによって、含浸時間を短くして電解コンデンサ10の生産性を向上できる。
【0076】
上述したように、素子貫通穴6;61,62;63,64をコンデンサ素子5に形成することによって電解コンデンサの不良率が下がり、安定生産が可能となった。
【0077】
[実施の形態4]
図17は、実施の形態4による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図17を参照して、実施の形態4による電解コンデンサ10Cは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を穴65に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。
【0078】
図18は、図17に示すA方向から見た電解コンデンサ10Cの平面図である。図18を参照して、穴65は、0.7mmφの直径を有する。そして、穴65は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通ってコンデンサ素子5の内部に形成される。すなわち、穴65は、コンデンサ素子5の外周面5Cに達することなく、外周面5Cの内側においてコンデンサ素子5の直径Rよりも短い長さを有するようにコンデンサ素子5の径方向に沿って形成される。
【0079】
図19は、図17に示すB方向から見た電解コンデンサ10Cの平面図である。図19を参照して、穴65は、コンデンサ素子5の両端5A,5BからW1=W/2=4.0mmおよびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置に形成される。
【0080】
電解コンデンサ10Cは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに穴65がコンデンサ素子5の内部でコンデンサ素子5の径方向に沿って形成されるように、複数の部材貫通穴が陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々に形成される。
【0081】
そして、穴65が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eから陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み、穴65に達すると、その穴65を通って陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0082】
その結果、混合液20は、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けない場合よりも、コンデンサ素子5の長さ方向の略中央部から陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0083】
したがって、実施の形態4によれば、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けない場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【0084】
なお、電解コンデンサ10Cは、穴65に代えて周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコした穴を備えていてもよい。また、電解コンデンサ10Cは、各々がコンデンサ素子5の中心軸を通過する2個以上の穴をコンデンサ素子5の長さ方向または周方向に備えていてもよい。さらに、実施の形態4においては、穴65は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよく、コンデンサ素子5の長さ方向においてコンデンサ素子5の中央部から上下方向にずれた位置に形成されていてもよい。さらに、穴65は、任意の長さを有していてもよい。
【0085】
[実施の形態5]
図20は、実施の形態5による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図20を参照して、実施の形態5による電解コンデンサ10Dは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を穴66に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。
【0086】
図21は、図20に示す穴66を詳細に説明するための図である。なお、図21の(a)は、コンデンサ素子5の斜視図であり、図21の(b)は、図21の(a)に示すA方向から見たコンデンサ素子5の平面図であり、図21の(c)は、図21の(a)に示すB方向から見たコンデンサ素子5の平面図である。
【0087】
図21を参照して、穴66は、0.7mmφの直径rを有する。そして、穴66は、コンデンサ素子5の両端5A,5BからW1=W/2=4.0mmおよびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置にコンデンサ素子5の中心軸AXを通って径方向に形成される(図21の(b)参照)。
【0088】
穴66は、その一方端66Aがコンデンサ素子5の外周面5Cに位置し、他方端66Bが外周面5Cの内部に存在する。したがって、穴66は、コンデンサ素子5の半径R1よりも長く、コンデンサ素子5の直径Rよりも短い長さL1を有する。
【0089】
電解コンデンサ10Dは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに穴66がコンデンサ素子5の外周面5Cから径方向に沿って形成されるように、複数の部材貫通穴が陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々に形成される。
【0090】
そして、穴66が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eに加え、穴66からも陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0091】
その結果、混合液20は、穴66をコンデンサ素子5に設けない場合よりも、コンデンサ素子5の長さ方向の略中央部から陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0092】
したがって、実施の形態5によれば、穴66をコンデンサ素子5に設けない場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【0093】
なお、電解コンデンサ10Dは、穴66に代えて周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコした穴を備えていてもよい。また、電解コンデンサ10Dは、各々がコンデンサ素子5の中心軸を通過する2個以上の穴をコンデンサ素子5の長さ方向または周方向に備えていてもよい。さらに、実施の形態5においては、穴66は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよく、コンデンサ素子5の長さ方向においてコンデンサ素子5の中央部から上下方向にずれた位置に形成されていてもよい。さらに、穴66は、長さL1に限らず、長さL1以外の任意の長さを有していてもよい。
【0094】
[実施の形態6]
図22は、実施の形態6による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図22を参照して、実施の形態6による電解コンデンサ10Eは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を穴67に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。穴67は、コンデンサ素子5の内部に形成される。
【0095】
図23は、図22に示すA方向から見た電解コンデンサ10Eの平面図である。図23を参照して、穴67は、陽極化成箔1に形成された複数の部材貫通穴671〜692からなる。
【0096】
部材貫通穴671〜692の各々は、陽極化成箔1を膜厚方向に貫通する穴である。そして、部材貫通穴671〜692は、0.5mmφ〜1.0mmφの範囲において相互に同一または異なる直径を有する。また、部材貫通穴671〜692は、コンデンサ素子5の周方向および径方向において任意の間隔で配置される。さらに、部材貫通穴671〜692は、コンデンサ素子5の長さ方向において任意の位置に配置される。
【0097】
電解コンデンサ10Eは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに穴67がコンデンサ素子5の内部に形成されるように、部材貫通穴671〜692が陽極化成箔1に形成される。
【0098】
また、穴67が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eから陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み、穴67を構成する部材貫通穴671〜692に達する。そして、混合液20は、部材貫通穴671〜692を通って陽極化成箔1に隣接するセパレータ紙3aまたは3bに浸透し、さらに、セパレータ紙3aまたは3bに隣接する陰極箔2へ達する。
【0099】
その結果、混合液20は、穴67をコンデンサ素子5に設けない場合よりも、陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0100】
したがって、実施の形態6によれば、穴67をコンデンサ素子5に設けない場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【0101】
実施の形態6においては、陽極化成箔1に形成される部材貫通穴の個数は、任意である。
【0102】
また、実施の形態6においては、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bのいずれかに部材貫通穴が形成されていてもよく、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも2つに部材貫通穴が形成されていてもよく、一般的には、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも1つに部材貫通穴が形成されていればよい。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも1つに形成された部材貫通穴の個数、位置、直径および間隔は、任意である。
【0103】
このように、この発明においては、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも1つに部材貫通穴が形成されるので、この発明による電解コンデンサの製造方法は、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも1つに部材貫通穴を形成する工程Aと、セパレータ紙3a,3bを陽極化成箔1と陰極箔2との間に配置して陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回し、略円柱形状のコンデンサ素子5を形成する工程Bと、電解質51をコンデンサ素子5に含浸する工程Cとを備えていればよい。そして、工程Aにおいては、好ましくは、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの全てに部材貫通穴が形成される。また、工程Aにおいては、さらに好ましくは、部材貫通穴は、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bが巻回されたときにコンデンサ素子5を径方向から貫通する素子貫通穴6,61〜64を形成するように陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bに形成される。
【0104】
さらに、穴65,66の各々は、「任意の長さを有する穴」を構成する。
【0105】
さらに、上述した実施の形態1〜実施の形態6においては、電解コンデンサ10,10A,10B,10C,10D,10Eは、固体電解質を含むと説明したが、この発明においては、これに限らず、電解コンデンサ10は、液体電解質を含んでいてもよい。すなわち、電解コンデンサ10,10A,10B,10C,10D,10Eは、固体電解質および液体電解質のいずれかからなる電解質を含んでいればよい。そして、液体電解質は、水溶液または有機溶媒からなる。
【0106】
さらに、上述した実施の形態1〜実施の形態6においては、陽極化成箔1および陰極箔2は、アルミニウム箔からなると説明したが、この発明においては、これに限らず、陽極化成箔1および陰極箔2は、タンタルおよびニオブ等の弁金属を用いて作製された弁金属酸化物蒸着箔、単金属窒化物蒸着箔、複合金属窒化物蒸着箔およびカーボン箔等であってもよい。
【0107】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0108】
この発明は、電解質液が浸み込み易い電解コンデンサに適用される。また、この発明は、電解質液が浸み込み易い電解コンデンサの製造方法に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】この発明の実施の形態1による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電解コンデンサの構成を示す断面図である。
【図3】図2に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図4】図1に示す素子貫通穴を詳細に説明するための図である。
【図5】図1に示す陽極化成箔の平面図である。
【図6】図1に示す電解コンデンサの製造方法を説明するための第1の工程図である。
【図7】図1に示す電解コンデンサの製造方法を説明するための第2の工程図である。
【図8】図1に示す電解コンデンサの製造方法を説明するための第3の工程図である。
【図9】図1に示す電解コンデンサの製造方法を説明するための第4の工程図である。
【図10】陽極化成箔の断面図である。
【図11】コンデンサ素子の破断面を有する斜視図である。
【図12】破断面を有するコンデンサ素子の他の斜視図である。
【図13】実施の形態2による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図14】図13に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図15】実施の形態3による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図16】図15に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図17】実施の形態4による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図18】図17に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図19】図17に示すB方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図20】実施の形態5による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図21】図20に示す長穴を詳細に説明するための図である。
【図22】実施の形態6による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図23】図22に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【符号の説明】
【0110】
1 陽極化成箔、1A,5A 一方端、2 陰極箔、3,3a,3b セパレータ紙、4 巻止テープ、5 コンデンサ素子、5B 他方端、5C 外周面、5D,5E 端面、6,61〜64 素子貫通穴、7,8 リードタブ端子、9 陽極リード線、10,10A,10B,10C,10D,10E 電解コンデンサ、11 陰極リード線、12 ケース、13 ゴムパッキン、14 座板、14A,17B 切欠部、20 混合液、15,16 矢印、51 電解質、65,66 穴、1−1〜1−n,2−1〜2−n,3a−1〜3a−n,3b−1〜3b−n,671〜692 部材貫通穴。
【技術分野】
【0001】
この発明は、巻回式の電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、電気回路の小型化および高周波対応化が要求されており、これに伴って、コンデンサについても低インピーダンス化が必要となっている。特に、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)駆動用回路およびスイッチング電源回路等に対しては、回路設計上、高周波ノイズおよびリプル電流の吸収性が要求され、低ESR(等価直列抵抗)化が可能なコンデンサが要求されている。
【0003】
そして、低ESR化が可能なコンデンサとして巻回式の電解コンデンサが注目されており、高容量な電解コンデンサとして特許文献1に記載の電解コンデンサが知られている。この電解コンデンサは、2つの陽極箔と1つの陰極箔との間にセパレータ紙を挿入して巻回した構造からなり、2つの陽極箔には、トンネルエッチングによりエッチングピットの穴が形成されている。このエッチングピットの穴は、陽極箔の表面積を大きくするために設けられ、陽極箔を高倍率エッチングすることによって形成される。
【特許文献1】実開平7−14640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電解コンデンサにおいては、エッチングピットの穴は、陽極箔の表面積を大きくするために設けられるため、陽極箔、陰極箔およびセパレータ紙を巻回した略柱状形状のコンデンサ素子に電解質液を含浸させ難いという問題がある。また、大幅な容量増大のために、陽極箔の表面積を大きくする大型化および巻回数を多くすること等が行なわれるので、電解質液を含浸させ難いことがより顕著となる。その結果、誘電体への電解質の被覆率が低下し、電解コンデンサの容量の低下および等価直列抵抗の増大を引き起こす。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電解質液が浸み込み易い電解コンデンサを提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、電解質液が浸み込み易い電解コンデンサの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、電解コンデンサは、電解質を含む巻回式の電解コンデンサであって、陽極部材と、陰極部材と、セパレータ部材と、部材貫通穴とを備える。陽極部材は、誘電体被膜が表面に形成され、巻回される。陰極部材は、陽極部材とともに巻回される。セパレータ部材は、陽極部材と陰極部材との間に配置され、陽極部材および陰極部材とともに巻回される。部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材の少なくとも1つの部材に形成される。そして、部材貫通穴が形成された陽極部材においては、電解質は、部材貫通穴を介して陽極部材の表裏面に形成されている。
【0008】
また、この発明によれば、電解コンデンサは、電解質を含む巻回式の電解コンデンサであって、陽極部材と、陰極部材と、セパレータ部材と、部材貫通穴とを備える。陽極部材は、誘電体被膜が表面に形成され、巻回される。陰極部材は、陽極部材とともに巻回される。セパレータ部材は、陽極部材と陰極部材との間に配置され、陽極部材および陰極部材とともに巻回される。部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材の少なくとも2つの部材に形成される。
【0009】
好ましくは、部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材の全てに形成されている。
【0010】
好ましくは、陽極部材に形成された部材貫通穴、陰極部材に形成された部材貫通穴および前セパレータ部材に形成された部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材が巻回されてなる略円柱形状のコンデンサ素子の周方向において略同じ位置に配置されている。
【0011】
好ましくは、陽極部材に形成された部材貫通穴、陰極部材に形成された部材貫通穴およびセパレータ部材に形成された部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材が巻回されてなる略円柱形状のコンデンサ素子においてコンデンサ素子の外周面からコンデンサ素子の内部へ向かう方向に配置された任意の長さを有する穴を形成する。
【0012】
好ましくは、任意の長さを有する穴は、コンデンサ素子の径方向に添って配置されている。
【0013】
好ましくは、任意の長さを有する穴は、コンデンサ素子を貫通する素子貫通穴からなる。
【0014】
好ましくは、任意の長さを有する穴は、各々がコンデンサ素子を貫通する複数の素子貫通穴からなる。
【0015】
好ましくは、複数の素子貫通穴は、コンデンサ素子の周方向において異なる位置に配置されている。
【0016】
好ましくは、複数の素子貫通穴は、コンデンサ素子の長さ方向においてコンデンサ素子の端から略同じ距離の位置に配置されている。
【0017】
好ましくは、複数の素子貫通穴は、コンデンサ素子の長さ方向において異なる位置に配置されている。
【0018】
好ましくは、複数の素子貫通穴の各々は、コンデンサ素子の中心軸を通ってコンデンサ素子を貫通する。
【0019】
好ましくは、電解質は、固体電解質からなる。
【0020】
好ましくは、固体電解質は、ポリチオフェン系、ポリピロール系およびポリアニリン系のいずれかからなる導電性高分子、または7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン錯塩である。
【0021】
好ましくは、電解質は、水溶液または有機溶媒からなる電解液である。
【0022】
さらに、この発明によれば、電解コンデンサの製造方法は、電解質を含む巻回式の電解コンデンサを製造する製造方法であって、誘電体被膜が表面に形成された陽極部材、陰極部材、およびセパレータ部材の少なくとも1つに部材貫通穴を形成する第1の工程と、第1の工程の後、セパレータ部材を陽極部材と陰極電極との間に配置して陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材を巻回し、略円柱形状のコンデンサ素子を形成する第2の工程と、コンデンサ素子に電解質を含浸させる第3の工程とを備える。
【0023】
好ましくは、第1の工程において、部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材に形成される。
【0024】
好ましくは、第1の工程において、部材貫通穴は、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材が巻回されたときにコンデンサ素子を径方向から貫通する素子貫通穴を形成するように陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材に形成される。
【発明の効果】
【0025】
この発明においては、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材の少なくとも1つに部材貫通穴が形成されているため、電解コンデンサの製造工程において、陽極部材、陰極部材およびセパレータ部材が巻回されて形成される略円柱形状のコンデンサ素子の端面および部材貫通穴から電解質液が浸透し、電解質がコンデンサ素子に含浸する。
【0026】
したがって、この発明によれば、部材貫通穴を設けない場合よりも電解質液をコンデンサ素子に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極部材および陰極部材の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0028】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。また、図2は、この発明の実施の形態1による電解コンデンサの構成を示す断面図である。図1および図2を参照して、この発明の実施の形態1による電解コンデンサ10は、陽極化成箔1と、陰極箔2と、セパレータ紙3と、巻止テープ4と、素子貫通穴6と、リードタブ端子7,8と、陽極リード線9と、陰極リード線11と、ケース12と、ゴムパッキン13と、座板14とを備える。
【0029】
なお、電解コンデンサ10は、たとえば、固体電解質を含む電解コンデンサである。
【0030】
陽極化成箔1は、表面が化成処理されたアルミニウム箔からなる。したがって、陽極化成箔1は、その表面が凹凸化され、凹凸表面に酸化被膜を有する。陰極箔2は、アルミニウム箔からなる。セパレータ紙3は、2枚のセパレータ紙3a,3bからなる。
【0031】
陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々には、後述する部材貫通穴が形成されている。
【0032】
セパレータ紙3a、陽極化成箔1、セパレータ紙3bおよび陰極箔2が順次積層され、その積層されたセパレータ紙3a、陽極化成箔1、セパレータ紙3bおよび陰極箔2は、巻回される。そして、巻回されたセパレータ紙3a、陽極化成箔1、セパレータ紙3bおよび陰極箔2の端が巻止テープ4によって止められる。これによって略円柱形状のコンデンサ素子5が形成されるとともに、その形成されたコンデンサ素子5を径方向に貫通する素子貫通穴6が形成される。
【0033】
リードタブ端子7は、陽極化成箔1に接続され、リードタブ端子8は、陰極箔2に接続される。陽極リード線9は、リードタブ端子7に接続され、陰極リード線11は、リードタブ端子8に接続される。
【0034】
ケース12は、アルミニウムからなり、コンデンサ素子5、リードタブ端子7,8、陽極リード線9および陰極リード線11を収納する。ゴムパッキン13は、コンデンサ素子5およびリードタブ端子7,8をケース12内に封止する。座板14は、陽極リード線9および陰極リード線11を固定する。なお、陽極リード線9および陰極リード線11は、コンデンサ素子5がケース12内に収納されると、座板14に沿って折り曲げられる。
【0035】
図3は、図2に示すA方向から見た電解コンデンサ10の平面図である。図3を参照して、座板14は、略長方形の平面形状を有し、切欠部14A,14Bを有する。そして、陽極リード線9および陰極リード線11は、それぞれ、座板14の切欠部14A,14Bに嵌合するように座板14の面内方向へ折り曲げられる。
【0036】
そして、折り曲げられた陽極リード線9および陰極リード線11は、電解コンデンサ10の端子として使用される。
【0037】
図4は、図1に示す素子貫通穴6を詳細に説明するための図である。なお、図4の(a)は、コンデンサ素子5の斜視図であり、図4の(b)は、図4の(a)に示すA方向から見たコンデンサ素子5の平面図であり、図4の(c)は、図4の(a)に示すB方向から見たコンデンサ素子5の平面図である。
【0038】
図4を参照して、コンデンサ素子5は、たとえば、15mmφの直径Rと、8.0mmの長さWとを有する。そして、素子貫通穴6は、コンデンサ素子5の両端5A,5BからW1=W/2=4.0mmおよびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置に形成され、略円柱形状のコンデンサ素子5の中心軸AXを通って径方向にコンデンサ素子5を貫通する。この場合、素子貫通穴6の直径rは、たとえば、0.7mmである。
【0039】
図5は、図1に示す陽極化成箔1の平面図である。図5を参照して、陽極化成箔1は、帯状の平面形状からなり、長さLおよび幅Wを有する。なお、図5に示す幅Wは、陽極化成箔1を巻回したときに図4に示すようにコンデンサ素子5の長さWになる。
【0040】
部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−nの各々は、陽極化成箔1の幅方向の略中心に形成される。そして、部材貫通穴1−1は、陽極化成箔1の一方端1Aから距離D1の位置に形成され、部材貫通穴1−2は、部材貫通穴1−1から距離D2の位置に形成され、部材貫通穴1−3は、部材貫通穴1−2から距離D3の位置に形成され、以下、同様にして、部材貫通穴1−nは、部材貫通穴1−n−1から距離Dnの位置に形成される。
【0041】
そして、距離D1〜Dnは、陽極化成箔1を陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bと共に巻回したときに、部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−nがコンデンサ素子5の周方向において略同じ位置に配置される距離である。すなわち、距離D1〜Dnは、陽極化成箔1を陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bと共に巻回したときに、素子貫通穴6がコンデンサ素子5の径方向に沿って形成される距離である。
【0042】
なお、図1に示す陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々は、図5に示す陽極化成箔1と同じ平面形状からなり、部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−nと同じ部材貫通穴が形成される。
【0043】
図6から図9は、それぞれ、図1に示す電解コンデンサ10の製造方法を説明するための第1から図4の工程図である。
【0044】
図6を参照して、所定の寸法(長さLおよび幅W)を有するアルミニウム箔を1枚裁断し、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施し、その後、化成処理を行なって1枚の陽極化成箔1を作製する。そして、直径が0.7mmφである針を用いて部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−nを陽極化成箔1に形成する。
【0045】
そして、所定の寸法(長さLおよび幅W)を有するアルミニウム箔を1枚裁断して1枚の陰極箔2を作製し、直径が0.7mmφである針を用いて部材貫通穴2−1,2−2,2−3,・・・,2−nを陰極箔2に形成する。また、所定の寸法を有するセパレータ紙を2枚裁断してセパレータ紙3a,3bを作製し、直径が0.7mmφである針を用いて部材貫通穴3a−1,3a−2,3a−3,・・・,3a−nをセパレータ紙3aに形成するとともに、直径が0.7mmφである針を用いて部材貫通穴3b−1,3b−2,3b−3,・・・,3b−nをセパレータ紙3bに形成する。
【0046】
その後、陽極リード線9をリードタブ端子7に接続し、陰極リード線11をリードタブ端子8に接続する。そして、リードタブ端子7を陽極化成箔1の中央部に接続し、リードタブ端子8を陰極箔2の中央部に接続する。なお、図6においては、陽極リード線9および陰極リード線11は、省略されている。
【0047】
そうすると、陽極化成箔1、陰極箔2および2枚のセパレータ紙3a,3bを図7に示す態様で配置し、支点FLCを中心にした陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを時計回り(または反時計回り)に回転させて陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻き取る。これによって、コンデンサ素子5が作製されるとともに、素子貫通穴6がコンデンサ素子5に形成される(図8参照)。
【0048】
引き続いて、リードタブ端子7,8、陽極リード線9および陰極リード11が接続されたコンデンサ素子5に対して、切り口化成と280℃の熱処理とを行い、図9に示すようにコンデンサ素子5を混合液20に浸漬する。この混合液20は、重合によって導電性高分子となるモノマーと、酸化剤溶液としてのp−トルエンスルホン酸第二鉄アルコール溶液との混合液である。このコンデンサ素子5の混合液20への浸漬によって、混合液20は、コンデンサ素子5の端面および素子貫通穴6を通ってコンデンサ素子5の陽極化成箔1と2枚のセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2と2枚のセパレータ紙3a,3bとの間に浸透する。そして、熱化学重合することによって、コンデンサ素子5の両電極間に導電性高分子層が形成される。これによって、コンデンサ素子5は、電解質を含むことになる。この電解質は、たとえば、ポリチオフェン系、ポリピロール系およびポリアニリン系の導電性高分子または7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯塩からなる固体電解質である。電解質がコンデンサ素子5に含浸すると、コンデンサ素子5にゴムパッキン13を挿入し、ゴムパッキン13を挿入したコンデンサ素子5をケース12内に収納固定する。
【0049】
引続いて、ケース12の開口部に対して横絞りとカールを施してゴムパッキン13およびコンデンサ素子5を封止し、エージング処理を行なう。その後、コンデンサ素子5のカール面に座板14を挿入し、陽極リード線9および陰極リード線11に対して電極端子としてのプレス加工および折り曲げを行なう。これによって、電解コンデンサ10が完成する。
【0050】
図10は、陽極化成箔1の断面図である。図10を参照して、コンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、電解質51は、部材貫通穴1−1〜1−nを通って陽極化成箔1の表裏面に形成される。したがって、この発明における部材貫通穴1−1〜1−nは、電解質51が陽極化成箔1の表裏面に形成され得る貫通穴である。また、電解質51は、部材貫通穴2−1〜2−nを通って陰極箔2の表裏面に形成される。したがって、部材貫通穴2−1〜2−nは、電解質51が陰極箔2の表裏面に形成され得る貫通穴である。
【0051】
図11は、コンデンサ素子5の破断面を有する斜視図である。図11を参照して、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを上述した方法によって巻回すると、略円柱形状のコンデンサ素子5が作製されるとともに、素子貫通穴6がコンデンサ素子5の径方向に沿って形成される。そして、コンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20が矢印15で示すようにコンデンサ素子5の端面5D,5Eから陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込むとともに、矢印16で示すように素子貫通穴6を通って陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。そうすると、素子貫通穴6は、コンデンサ素子5の中心軸を通ってコンデンサ素子5を貫通するように形成されているため、混合液20は、コンデンサ素子5の長さ方向の略中心からも陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0052】
従って、この発明によれば、素子貫通穴6を設けない場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【0053】
図12は、破断面を有するコンデンサ素子5の他の斜視図である。図12を参照して、電解コンデンサ10は、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bにそれぞれ形成された部材貫通穴1−1,1−2,・・・,1−n;2−1,2−2,・・・,2−n;3a−1,3a−2,・・・,3a−n;3b−1,3b−2,・・・,3b−nがコンデンサ素子5の長さ方向および周方向にずれて形成された素子貫通穴6Aを備えていてもよい。
【0054】
素子貫通穴6Aは、0.7mmφの直径を有する。そして、素子貫通穴6Aは、その周縁が素子貫通穴6のようにコンデンサ素子5の径方向に揃っていないが、混合液20がコンデンサ素子5の径方向に入っていくための空間を有する。すなわち、素子貫通穴6Aの周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコしているが、混合液20が径方向にコンデンサ素子5内を通過する空間を有する。
【0055】
したがって、素子貫通穴6Aを有するコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、素子貫通穴6Aを通って陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。その結果、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0056】
実施の形態1においては、素子貫通穴6,6Aは、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよく、コンデンサ素子5の長さ方向においてコンデンサ素子5の中心から上下方向にずれた位置に形成されていてもよい。
【0057】
[実施の形態2]
図13は、実施の形態2による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図13を参照して、実施の形態2による電解コンデンサ10Aは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を素子貫通穴61,62に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。素子貫通穴61,62は、コンデンサ素子5の長さ方向の略中点にコンデンサ素子5の周方向に並ぶように形成される。
【0058】
図14は、図13に示すA方向から見た電解コンデンサ10Aの平面図である。なお、図14においては、リードタブ端子7,8、陽極リード線9および陰極リード線11は、省略されている。
【0059】
図14を参照して、素子貫通穴61,62の各々は、0.7mmφの直径を有する。そして、素子貫通穴61,62の各々は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通ってコンデンサ素子5を貫通する。その結果、素子貫通穴61,62は、中心軸AXの位置で交差する。
【0060】
電解コンデンサ10Aは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに素子貫通穴61,62がコンデンサ素子5の径方向に沿って形成されるように、複数の部材貫通穴が陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々に形成される。
【0061】
また、素子貫通穴61,62が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eに加え、素子貫通穴61,62からも陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0062】
その結果、混合液20は、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合よりも、コンデンサ素子5の長さ方向の略中心から陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0063】
したがって、実施の形態2によれば、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合をさらに大きくできるとともに、電解コンデンサの容量をさらに増大でき、等価直列抵抗をさらに低下できる。
【0064】
なお、電解コンデンサ10Aは、素子貫通穴61,62に代えて周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコした2つの素子貫通穴を備えていてもよい。また、電解コンデンサ10Aは、各々がコンデンサ素子5の中心軸を通過する3個以上の素子貫通穴をコンデンサ素子5の周方向に備えていてもよい。さらに、実施の形態2においては、素子貫通穴61,62は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよく、コンデンサ素子5の長さ方向においてコンデンサ素子5の中心から上下方向にずれた位置に形成されていてもよい。さらに、素子貫通穴61,62は、中心軸AX以外の位置で交差していてもよく、相互に交差していなくてもよい。
【0065】
[実施の形態3]
図15は、実施の形態3による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図15を参照して、実施の形態3による電解コンデンサ10Bは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を素子貫通穴63,64に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。
【0066】
図16は、図15に示すA方向から見た電解コンデンサ10Bの平面図である。図16を参照して、素子貫通穴63,64の各々は、0.7mmφの直径を有する。そして、素子貫通穴63,64は、コンデンサ素子5の長さ方向において上下に配置される。より具体的には、素子貫通穴63は、コンデンサ素子5の一方端5AからW2およびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置に形成され、略円柱形状のコンデンサ素子5の中心軸AXを通って径方向にコンデンサ素子5を貫通する。また、素子貫通穴64は、コンデンサ素子5の他方端5BからW2およびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置に形成され、略円柱形状のコンデンサ素子5の中心軸AXを通って径方向にコンデンサ素子5を貫通する。
【0067】
電解コンデンサ10Bは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに素子貫通穴63,64がコンデンサ素子5の径方向に沿って形成されるように、複数の部材貫通穴が陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々に形成される。
【0068】
そして、素子貫通穴63,64が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eに加え、素子貫通穴63,64からも陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0069】
その結果、混合液20は、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合よりも、コンデンサ素子5の長さ方向の略中央部から陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0070】
したがって、実施の形態3によれば、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合をさらに大きくできるとともに、電解コンデンサの容量をさらに増大でき、等価直列抵抗をさらに低下できる。
【0071】
なお、電解コンデンサ10Bは、素子貫通穴63,64に代えて周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコした2つの素子貫通穴を備えていてもよい。また、電解コンデンサ10Bは、各々がコンデンサ素子5の中心軸を通過する3個以上の素子貫通穴をコンデンサ素子5の長さ方向に備えていてもよい。さらに、実施の形態3においては、素子貫通穴63,64は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよい。さらに、素子貫通穴63,64は、相互に交差していてもよい。
【0072】
上述した実施の形態1〜実施の形態3による電解コンデンサ10,10A,10Bにおける電解質の含浸割合の実験結果について説明する。表1は、電解コンデンサ10,10A,10Bにおける電解質の含浸の実験結果を示す。
【0073】
【表1】
【0074】
なお、表1においては、素子貫通穴を設けない従来例が比較として示されている。また、素子貫通穴数は、コンデンサ素子5の外周面5Cに形成される貫通穴数である。したがって、電解コンデンサ10(実施の形態1)の場合、素子貫通穴数は、2個であり、電解コンデンサ10A,10B(実施の形態2,3)の場合、素子貫通穴数は、4個である。さらに、電解コンデンサ10,10A,10Bの各々は、10個、試作された。さらに、不良率は、電解質の未含浸部分がコンデンサ素子5の断面の一割以上を占める素子を不良として測定された。さらに、含浸時間は、コンデンサ素子5を混合液20に浸漬してから混合液20がコンデンサ素子5の素子リード線側に染み上がってくるまで(混合液20がコンデンサ素子5に含浸すると、コンデンサ素子5の色が変わる)の時間である。
【0075】
表1に示す結果から、2個の素子貫通穴61,62をコンデンサ素子5の周方向に設けた場合、含浸時間が最も短く、不良数および不良率は、“0”である。そして、2個の素子貫通穴63,64をコンデンサ素子5の長さ方向に設けた場合、素子貫通穴61,62をコンデンサ素子5に設けた場合の次に、含浸時間が短く、不良数が“1”であり、不良率は、10%である。また、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けた場合、不良数および不良率は、素子貫通穴を設けない従来例の場合と同じであるが、含浸時間は、短くなる。したがって、素子貫通穴6を設けることによって、含浸時間を短くして電解コンデンサ10の生産性を向上できる。
【0076】
上述したように、素子貫通穴6;61,62;63,64をコンデンサ素子5に形成することによって電解コンデンサの不良率が下がり、安定生産が可能となった。
【0077】
[実施の形態4]
図17は、実施の形態4による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図17を参照して、実施の形態4による電解コンデンサ10Cは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を穴65に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。
【0078】
図18は、図17に示すA方向から見た電解コンデンサ10Cの平面図である。図18を参照して、穴65は、0.7mmφの直径を有する。そして、穴65は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通ってコンデンサ素子5の内部に形成される。すなわち、穴65は、コンデンサ素子5の外周面5Cに達することなく、外周面5Cの内側においてコンデンサ素子5の直径Rよりも短い長さを有するようにコンデンサ素子5の径方向に沿って形成される。
【0079】
図19は、図17に示すB方向から見た電解コンデンサ10Cの平面図である。図19を参照して、穴65は、コンデンサ素子5の両端5A,5BからW1=W/2=4.0mmおよびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置に形成される。
【0080】
電解コンデンサ10Cは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに穴65がコンデンサ素子5の内部でコンデンサ素子5の径方向に沿って形成されるように、複数の部材貫通穴が陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々に形成される。
【0081】
そして、穴65が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eから陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み、穴65に達すると、その穴65を通って陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0082】
その結果、混合液20は、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けない場合よりも、コンデンサ素子5の長さ方向の略中央部から陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0083】
したがって、実施の形態4によれば、素子貫通穴6をコンデンサ素子5に設けない場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【0084】
なお、電解コンデンサ10Cは、穴65に代えて周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコした穴を備えていてもよい。また、電解コンデンサ10Cは、各々がコンデンサ素子5の中心軸を通過する2個以上の穴をコンデンサ素子5の長さ方向または周方向に備えていてもよい。さらに、実施の形態4においては、穴65は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよく、コンデンサ素子5の長さ方向においてコンデンサ素子5の中央部から上下方向にずれた位置に形成されていてもよい。さらに、穴65は、任意の長さを有していてもよい。
【0085】
[実施の形態5]
図20は、実施の形態5による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図20を参照して、実施の形態5による電解コンデンサ10Dは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を穴66に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。
【0086】
図21は、図20に示す穴66を詳細に説明するための図である。なお、図21の(a)は、コンデンサ素子5の斜視図であり、図21の(b)は、図21の(a)に示すA方向から見たコンデンサ素子5の平面図であり、図21の(c)は、図21の(a)に示すB方向から見たコンデンサ素子5の平面図である。
【0087】
図21を参照して、穴66は、0.7mmφの直径rを有する。そして、穴66は、コンデンサ素子5の両端5A,5BからW1=W/2=4.0mmおよびコンデンサ素子5の外周面5CからR1=R/2=7.5mmの位置にコンデンサ素子5の中心軸AXを通って径方向に形成される(図21の(b)参照)。
【0088】
穴66は、その一方端66Aがコンデンサ素子5の外周面5Cに位置し、他方端66Bが外周面5Cの内部に存在する。したがって、穴66は、コンデンサ素子5の半径R1よりも長く、コンデンサ素子5の直径Rよりも短い長さL1を有する。
【0089】
電解コンデンサ10Dは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに穴66がコンデンサ素子5の外周面5Cから径方向に沿って形成されるように、複数の部材貫通穴が陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの各々に形成される。
【0090】
そして、穴66が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eに加え、穴66からも陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込む。
【0091】
その結果、混合液20は、穴66をコンデンサ素子5に設けない場合よりも、コンデンサ素子5の長さ方向の略中央部から陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0092】
したがって、実施の形態5によれば、穴66をコンデンサ素子5に設けない場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【0093】
なお、電解コンデンサ10Dは、穴66に代えて周縁がコンデンサ素子5の径方向にデコボコした穴を備えていてもよい。また、電解コンデンサ10Dは、各々がコンデンサ素子5の中心軸を通過する2個以上の穴をコンデンサ素子5の長さ方向または周方向に備えていてもよい。さらに、実施の形態5においては、穴66は、コンデンサ素子5の中心軸AXを通過していなくてもよく、コンデンサ素子5の長さ方向においてコンデンサ素子5の中央部から上下方向にずれた位置に形成されていてもよい。さらに、穴66は、長さL1に限らず、長さL1以外の任意の長さを有していてもよい。
【0094】
[実施の形態6]
図22は、実施の形態6による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。図22を参照して、実施の形態6による電解コンデンサ10Eは、図1に示す電解コンデンサ10の素子貫通穴6を穴67に代えたものであり、その他は、電解コンデンサ10と同じである。穴67は、コンデンサ素子5の内部に形成される。
【0095】
図23は、図22に示すA方向から見た電解コンデンサ10Eの平面図である。図23を参照して、穴67は、陽極化成箔1に形成された複数の部材貫通穴671〜692からなる。
【0096】
部材貫通穴671〜692の各々は、陽極化成箔1を膜厚方向に貫通する穴である。そして、部材貫通穴671〜692は、0.5mmφ〜1.0mmφの範囲において相互に同一または異なる直径を有する。また、部材貫通穴671〜692は、コンデンサ素子5の周方向および径方向において任意の間隔で配置される。さらに、部材貫通穴671〜692は、コンデンサ素子5の長さ方向において任意の位置に配置される。
【0097】
電解コンデンサ10Eは、図6から図9に示す製造方法によって作製される。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回してコンデンサ素子5を作製したときに穴67がコンデンサ素子5の内部に形成されるように、部材貫通穴671〜692が陽極化成箔1に形成される。
【0098】
また、穴67が形成されたコンデンサ素子5を混合液20に浸漬すると、混合液20は、コンデンサ素子5の端面5D,5Eから陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み、穴67を構成する部材貫通穴671〜692に達する。そして、混合液20は、部材貫通穴671〜692を通って陽極化成箔1に隣接するセパレータ紙3aまたは3bに浸透し、さらに、セパレータ紙3aまたは3bに隣接する陰極箔2へ達する。
【0099】
その結果、混合液20は、穴67をコンデンサ素子5に設けない場合よりも、陽極化成箔1とセパレータ紙3a,3bとの間および陰極箔2とセパレータ紙3a,3bとの間に浸み込み易くなる。
【0100】
したがって、実施の形態6によれば、穴67をコンデンサ素子5に設けない場合よりも混合液20(=電解質液)をコンデンサ素子5に浸み込み易くできる。その結果、電解質が陽極化成箔1および陰極箔2の表裏面を被覆する割合を大きくできるとともに、電解コンデンサの容量を増大でき、等価直列抵抗を低下できる。
【0101】
実施の形態6においては、陽極化成箔1に形成される部材貫通穴の個数は、任意である。
【0102】
また、実施の形態6においては、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bのいずれかに部材貫通穴が形成されていてもよく、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも2つに部材貫通穴が形成されていてもよく、一般的には、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも1つに部材貫通穴が形成されていればよい。そして、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも1つに形成された部材貫通穴の個数、位置、直径および間隔は、任意である。
【0103】
このように、この発明においては、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも1つに部材貫通穴が形成されるので、この発明による電解コンデンサの製造方法は、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの少なくとも1つに部材貫通穴を形成する工程Aと、セパレータ紙3a,3bを陽極化成箔1と陰極箔2との間に配置して陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bを巻回し、略円柱形状のコンデンサ素子5を形成する工程Bと、電解質51をコンデンサ素子5に含浸する工程Cとを備えていればよい。そして、工程Aにおいては、好ましくは、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bの全てに部材貫通穴が形成される。また、工程Aにおいては、さらに好ましくは、部材貫通穴は、陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bが巻回されたときにコンデンサ素子5を径方向から貫通する素子貫通穴6,61〜64を形成するように陽極化成箔1、陰極箔2およびセパレータ紙3a,3bに形成される。
【0104】
さらに、穴65,66の各々は、「任意の長さを有する穴」を構成する。
【0105】
さらに、上述した実施の形態1〜実施の形態6においては、電解コンデンサ10,10A,10B,10C,10D,10Eは、固体電解質を含むと説明したが、この発明においては、これに限らず、電解コンデンサ10は、液体電解質を含んでいてもよい。すなわち、電解コンデンサ10,10A,10B,10C,10D,10Eは、固体電解質および液体電解質のいずれかからなる電解質を含んでいればよい。そして、液体電解質は、水溶液または有機溶媒からなる。
【0106】
さらに、上述した実施の形態1〜実施の形態6においては、陽極化成箔1および陰極箔2は、アルミニウム箔からなると説明したが、この発明においては、これに限らず、陽極化成箔1および陰極箔2は、タンタルおよびニオブ等の弁金属を用いて作製された弁金属酸化物蒸着箔、単金属窒化物蒸着箔、複合金属窒化物蒸着箔およびカーボン箔等であってもよい。
【0107】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0108】
この発明は、電解質液が浸み込み易い電解コンデンサに適用される。また、この発明は、電解質液が浸み込み易い電解コンデンサの製造方法に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】この発明の実施の形態1による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電解コンデンサの構成を示す断面図である。
【図3】図2に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図4】図1に示す素子貫通穴を詳細に説明するための図である。
【図5】図1に示す陽極化成箔の平面図である。
【図6】図1に示す電解コンデンサの製造方法を説明するための第1の工程図である。
【図7】図1に示す電解コンデンサの製造方法を説明するための第2の工程図である。
【図8】図1に示す電解コンデンサの製造方法を説明するための第3の工程図である。
【図9】図1に示す電解コンデンサの製造方法を説明するための第4の工程図である。
【図10】陽極化成箔の断面図である。
【図11】コンデンサ素子の破断面を有する斜視図である。
【図12】破断面を有するコンデンサ素子の他の斜視図である。
【図13】実施の形態2による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図14】図13に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図15】実施の形態3による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図16】図15に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図17】実施の形態4による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図18】図17に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図19】図17に示すB方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【図20】実施の形態5による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図21】図20に示す長穴を詳細に説明するための図である。
【図22】実施の形態6による電解コンデンサの構成を示す斜視図である。
【図23】図22に示すA方向から見た電解コンデンサの平面図である。
【符号の説明】
【0110】
1 陽極化成箔、1A,5A 一方端、2 陰極箔、3,3a,3b セパレータ紙、4 巻止テープ、5 コンデンサ素子、5B 他方端、5C 外周面、5D,5E 端面、6,61〜64 素子貫通穴、7,8 リードタブ端子、9 陽極リード線、10,10A,10B,10C,10D,10E 電解コンデンサ、11 陰極リード線、12 ケース、13 ゴムパッキン、14 座板、14A,17B 切欠部、20 混合液、15,16 矢印、51 電解質、65,66 穴、1−1〜1−n,2−1〜2−n,3a−1〜3a−n,3b−1〜3b−n,671〜692 部材貫通穴。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質を含む巻回式の電解コンデンサであって、
誘電体被膜が表面に形成され、巻回された陽極部材と、
前記陽極部材とともに巻回された陰極部材と、
前記陽極部材と前記陰極部材との間に配置され、前記陽極部材および前記陰極部材とともに巻回されたセパレータ部材と、
前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材の少なくとも1つの部材に形成された部材貫通穴とを備え、
前記部材貫通穴が形成された前記陽極部材においては、前記電解質は、前記部材貫通穴を介して前記陽極部材の表裏面に形成されている、電解コンデンサ。
【請求項2】
電解質を含む巻回式の電解コンデンサであって、
誘電体被膜が表面に形成され、巻回された陽極部材と、
前記陽極部材とともに巻回された陰極部材と、
前記陽極部材と前記陰極部材との間に配置され、前記陽極部材および前記陰極部材とともに巻回されたセパレータ部材と、
前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材の少なくとも2つに形成された部材貫通穴とを備える電解コンデンサ。
【請求項3】
前記部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材の全てに形成されている、請求項1または請求項2に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記陽極部材に形成された部材貫通穴、前記陰極部材に形成された部材貫通穴および前記セパレータ部材に形成された部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材が巻回されてなる略円柱形状のコンデンサ素子の周方向において略同じ位置に配置されている、請求項3に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
前記陽極部材に形成された部材貫通穴、前記陰極部材に形成された部材貫通穴および前記セパレータ部材に形成された部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材が巻回されてなる略円柱形状のコンデンサ素子において前記コンデンサ素子の外周面から前記コンデンサ素子の内部へ向かう方向に配置された任意の長さを有する穴を形成する、請求項3に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記任意の長さを有する穴は、前記コンデンサ素子の径方向に添って配置されている、請求項5に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
前記任意の長さを有する穴は、前記コンデンサ素子を貫通する素子貫通穴からなる、請求項6に記載の電解コンデンサ。
【請求項8】
前記任意の長さを有する穴は、各々が前記コンデンサ素子を貫通する複数の素子貫通穴からなる、請求項5に記載の電解コンデンサ。
【請求項9】
前記複数の素子貫通穴は、前記コンデンサ素子の周方向において異なる位置に配置されている、請求項8に記載の電解コンデンサ。
【請求項10】
前記複数の素子貫通穴は、前記コンデンサ素子の長さ方向において前記コンデンサ素子の端から略同じ距離の位置に配置されている、請求項9に記載の電解コンデンサ。
【請求項11】
前記複数の素子貫通穴は、前記コンデンサ素子の長さ方向において異なる位置に配置されている、請求項8に記載の電解コンデンサ。
【請求項12】
前記複数の素子貫通穴の各々は、前記コンデンサ素子の中心軸を通って前記コンデンサ素子を貫通する、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項13】
前記電解質は、固体電解質からなる、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項14】
前記固体電解質は、ポリチオフェン系、ポリピロール系およびポリアニリン系のいずれかからなる導電性高分子、または7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン錯塩である、請求項13に記載の電解コンデンサ。
【請求項15】
前記電解質は、水溶液または有機溶媒からなる電解液である、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項16】
電解質を含む巻回式の電解コンデンサを製造する製造方法であって、
誘電体被膜が表面に形成された陽極部材、陰極部材、およびセパレータ部材の少なくとも1つに部材貫通穴を形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記セパレータ部材を前記陽極部材と前記陰極電極との間に配置して前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材を巻回し、略円柱形状のコンデンサ素子を形成する第2の工程と、
前記コンデンサ素子に前記電解質を含浸させる第3の工程とを備える電解コンデンサの製造方法。
【請求項17】
前記第1の工程において、前記部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材に形成される、請求項16に記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項18】
前記第1の工程において、前記部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材が巻回されたときに前記コンデンサ素子を径方向から貫通する素子貫通穴を形成するように前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材に形成される、請求項17に記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項1】
電解質を含む巻回式の電解コンデンサであって、
誘電体被膜が表面に形成され、巻回された陽極部材と、
前記陽極部材とともに巻回された陰極部材と、
前記陽極部材と前記陰極部材との間に配置され、前記陽極部材および前記陰極部材とともに巻回されたセパレータ部材と、
前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材の少なくとも1つの部材に形成された部材貫通穴とを備え、
前記部材貫通穴が形成された前記陽極部材においては、前記電解質は、前記部材貫通穴を介して前記陽極部材の表裏面に形成されている、電解コンデンサ。
【請求項2】
電解質を含む巻回式の電解コンデンサであって、
誘電体被膜が表面に形成され、巻回された陽極部材と、
前記陽極部材とともに巻回された陰極部材と、
前記陽極部材と前記陰極部材との間に配置され、前記陽極部材および前記陰極部材とともに巻回されたセパレータ部材と、
前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材の少なくとも2つに形成された部材貫通穴とを備える電解コンデンサ。
【請求項3】
前記部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材の全てに形成されている、請求項1または請求項2に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記陽極部材に形成された部材貫通穴、前記陰極部材に形成された部材貫通穴および前記セパレータ部材に形成された部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材が巻回されてなる略円柱形状のコンデンサ素子の周方向において略同じ位置に配置されている、請求項3に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
前記陽極部材に形成された部材貫通穴、前記陰極部材に形成された部材貫通穴および前記セパレータ部材に形成された部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材が巻回されてなる略円柱形状のコンデンサ素子において前記コンデンサ素子の外周面から前記コンデンサ素子の内部へ向かう方向に配置された任意の長さを有する穴を形成する、請求項3に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記任意の長さを有する穴は、前記コンデンサ素子の径方向に添って配置されている、請求項5に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
前記任意の長さを有する穴は、前記コンデンサ素子を貫通する素子貫通穴からなる、請求項6に記載の電解コンデンサ。
【請求項8】
前記任意の長さを有する穴は、各々が前記コンデンサ素子を貫通する複数の素子貫通穴からなる、請求項5に記載の電解コンデンサ。
【請求項9】
前記複数の素子貫通穴は、前記コンデンサ素子の周方向において異なる位置に配置されている、請求項8に記載の電解コンデンサ。
【請求項10】
前記複数の素子貫通穴は、前記コンデンサ素子の長さ方向において前記コンデンサ素子の端から略同じ距離の位置に配置されている、請求項9に記載の電解コンデンサ。
【請求項11】
前記複数の素子貫通穴は、前記コンデンサ素子の長さ方向において異なる位置に配置されている、請求項8に記載の電解コンデンサ。
【請求項12】
前記複数の素子貫通穴の各々は、前記コンデンサ素子の中心軸を通って前記コンデンサ素子を貫通する、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項13】
前記電解質は、固体電解質からなる、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項14】
前記固体電解質は、ポリチオフェン系、ポリピロール系およびポリアニリン系のいずれかからなる導電性高分子、または7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン錯塩である、請求項13に記載の電解コンデンサ。
【請求項15】
前記電解質は、水溶液または有機溶媒からなる電解液である、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項16】
電解質を含む巻回式の電解コンデンサを製造する製造方法であって、
誘電体被膜が表面に形成された陽極部材、陰極部材、およびセパレータ部材の少なくとも1つに部材貫通穴を形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記セパレータ部材を前記陽極部材と前記陰極電極との間に配置して前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材を巻回し、略円柱形状のコンデンサ素子を形成する第2の工程と、
前記コンデンサ素子に前記電解質を含浸させる第3の工程とを備える電解コンデンサの製造方法。
【請求項17】
前記第1の工程において、前記部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材に形成される、請求項16に記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項18】
前記第1の工程において、前記部材貫通穴は、前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材が巻回されたときに前記コンデンサ素子を径方向から貫通する素子貫通穴を形成するように前記陽極部材、前記陰極部材および前記セパレータ部材に形成される、請求項17に記載の電解コンデンサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2008−47633(P2008−47633A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220139(P2006−220139)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000171768)佐賀三洋工業株式会社 (116)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000171768)佐賀三洋工業株式会社 (116)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
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