説明

電解セル、高純度酸素生成システムおよび方法

【課題】二分子膜を有する電解セルを提供する。
【解決手段】
電解セル10は、アノード電極14を有するアノード12と、カソード電極18を有するカソード16と、未処理膜層22およびプラチナ交換膜層24を有する二分子膜20と、直流(DC)電源26と、外部回路28と、水供給ライン30と、低圧水素32と、高圧酸素34と、を有する。電解セル10の一方の側にアノード12が位置し、これと対向する他方の側にカソード16が位置する。二分子膜20はアノード12とカソード16との間に配設され、このうち未処理膜層22がアノード12に隣接し、プラチナ交換膜層24がカソード16に隣接するように配される。直流電源26は、外部回路28を介してアノード電極14およびカソード電極18に接続され、電解セル10に電力を供給する。水供給ライン30はカソード16に水を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二分子膜を有する電解セル、高純度酸素生成システムおよびその方法に関する。
【0002】
本願に対応する米国特許出願は、2010年2月15日に出願された米国仮特許出願第61/304694号を優先権の基礎とするものである。
【背景技術】
【0003】
電解セルは、水を分解して水素ガスおよび酸素ガスを生成する電気機械アッセンブリである。電解セルは、通常、アノード、カソードおよびイオン交換膜(プロトン交換膜(PEM)として知られる)を有する。イオン交換膜は、アノードとカソードの間に位置する。作動中、水は、アノードで酸素ガス、水素イオン(プロトン)および電子に電解される。水素イオンは、イオン交換膜にわたる電界によりアノードからカソードへと移動し、電子は、直流(DC)電源により外部回路を通ってカソードに移動する。カソードにおいて、水素イオンと電子とが結合して水素ガスが生成される。
【0004】
電界セルは、アノードで水を消費するため、継続的な作動のためにアノードに水を供給し続けなければならない。例示的なセル設計では、水はアノードに直接供給される。他のセル設計では、水はカソードに供給され、イオン交換膜を通してアノードに送られる。
【0005】
電解セルの酸素生成量は、ファラデーの法則により定まり、セルの電気量の増加によりガス生成量および水の消費量が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
要件を満たすため、多くの電解質セルや膜電極接合体(MEA)からセルスタックを形成しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電解セルは、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配設される高差圧水電解二分子膜と、を備える。高差圧水電解二分子膜は、プラチナ含浸イオン交換膜層と、未処理イオン交換膜層と、を有する。未処理イオン交換膜層は、アノードとプラチナ含浸イオン交換膜との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】二分子膜を有する電解セルの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
イオン交換膜水電解槽(装置)の技術を利用する高差圧酸素ジェネレータは、次世代の宇宙服における主要酸素システムを再充填するために利用するものとして考えられている。水および電力だけが供給される高差圧酸素ジェネレータは、水をアノードにおいて酸素に変換し、カソードにおいて水素に変換する。用途においては、酸素は高圧で生成され、水素は低圧で生成されることが要求される。例えば、外部の圧縮機を用いることなく、周囲圧力下で、約24,821キロパスカル(3,600psi(重量ポンド毎平方インチ))までの圧力で水から酸素を生成することが望ましい。
【0010】
図1に電解セル10の概略図を示す。電解セル10は、アノード電極14を有するアノード12と、カソード電極18を有するカソード16と、二分子膜20と、直流(DC)電源26と、外部回路28と、水供給ライン30と、低圧水素32と、高圧酸素34と、を有する。二分子膜20は、未処理膜層22と、後述するプラチナで交換された膜層24(以下、プラチナ交換膜層という:platinum−exchanged membrane layer)を有する。電解セル10の一方の側にアノード12が位置し、これと対向する他方の側にカソード16が位置する。二分子膜20はアノード12とカソード16との間に配設され、このうち未処理膜層22がアノード12に隣接し、プラチナ交換膜層24がカソード16に隣接するように配される。直流電源26は、外部回路28を介してアノード電極14およびカソード電極18に接続され、電解セル10に電力を供給する。水供給ライン30はカソード16に水を供給する。
【0011】
作動中、アノード12に水が供給される。水は、アノード触媒に接触し、水素イオン(陽子)、電子および酸素ガスに電気分解される(式1)。
(式1) H2O→1/2O2+2H++2e-
直流電源26による電解セル10に亘る電界の効果により、水素イオンはアノード12から二分子膜20を通ってカソード16へと移動する。電子は、直流電源26により外部回路28を通って移動する。カソード16のカソード触媒は、水素イオンおよび電子を再結合させて、低圧の水素32を生じさせる(式2)。
(式2) 2H++2e-→H2
アノード電極14およびカソード電極18は親水性である。電解反応を生じさせるため、カソード電極18は水流から水を受け、アノード電極14は二分子膜20から水を吸収する。高圧の酸素34がアノード12で発生するため、アノード電極14は酸素電極とも呼ばれる。低圧の水素32がカソード16で発生するため、カソード電極18は水素電極とも呼ばれる。
【0012】
電解セル10は、アノード12で高圧酸素34を生成し、カソード16で低圧水素32を生成する高差圧電解セルである。一例では、酸素は、周囲圧力下において約24,821キロパスカル(3,600psi(重量ポンド毎平方インチ))までの圧力で水から生成される。低圧水素32は、水と実質的に同等の圧力で生成され、カソード16を通る水の圧力降下に対処するように、通常、周囲圧力より僅かに高い。電解セル10において、アノード12は、カソード16より圧力が高く、二分子膜20に亘り差圧が生じる。
【0013】
図1に示すように、水供給ライン30によりカソード16に水が供給される。水はカソード16から二分子膜20を通ってアノード12に移動し、そこで消費される。後述するように、カソード16に水を供給することにより、構成要素の数が減少し、したがって全重量が減少し、ひいては電解セル10を用いる酸素生成システムの信頼性が向上する。
【0014】
二分子膜20により、電解セル10における水の移動が向上し、セルスタックのサイズに対する酸素発生率(量)が増加する。二分子膜20は、高差圧膜である。支持構造体によって、高差圧下における二分子膜20の作用が可能となる。
【0015】
二分子膜20は、未処理膜層22およびプラチナ交換膜層24を含む。未処理膜層22およびプラチナ交換膜層24は、互いに連続的に接続している。膜層22,24間の連続的な接触は、二分子膜20を通流する水移動のため重要であり、接触抵抗の減少をもたらす。未処理膜層22およびプラチナ交換膜層24は、2つの独立した別々の構造体として互いに隣接して積層され得る。別の実施例として、ホットプレス加工によって、未処理膜層22およびプラチナ交換膜層24を単一の構造体としてもよい。膜層22,24をホットプレス加工することにより、膜層22,24が乾燥している場合に膜層22,24間の界面抵抗が減少する。実験では、イオン交換膜層を互いにホットプレス加工ことによる抵抗に関する不利益は示されていない。一実施例では、未処理膜層22およびプラチナ交換膜層24は、約1723キロパスカル(250psi)および130℃でホットプレス加工される。
【0016】
一実施例では、未処理膜層22は、プラチナ交換膜層24より厚い。二分子膜20は厚さTTを有し、未処理膜層22は厚さTUを有し、プラチナ交換膜層24は厚さTPを有する。一実施例では、未処理膜層22の厚さTUは約0.18mm(0.007インチ)であり、プラチナ交換膜層24の厚さTPは約0.05mm(0.002インチ)である。他の実施例では、TTに対するTPの比は、約0.002と約0.9999の間である。さらに他の実施例では、TTに対するTPの比は、約0.002と約0.8の間である。さらに別の実施例では、TTに対するTPの比は、約0.004と約0.5の間である。
【0017】
未処理膜層22は、カソード16よりもアノード12に近接して配設される。未処理膜層22は、イオン交換膜とすることができ、例えば、アメリカ合衆国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)に所在のデュポン社(E.I.du Pont de Nemours&Co.)により製造されているナフィオン(Nafion:登録商標)膜などのイオン交換膜やペルフルオロカーボンイオン交換膜とすることができる。未処理膜層22は、プラチナ粒子で処理されていないため「未処理膜層」と呼ばれる。しかし、未処理膜層22に対してプラチナ粒子の含浸以外の処理を施してもよい。例えば、未処理膜層22を、化学的安定性を有するナフィオン(登録商標)などの化学的安定性を有する膜(化学的安定化膜)としてもよい。化学的安定化膜は、終端されていないポリマー鎖(unterminated polymer chains)を含んでいないか、あるいは含んでいても少量であり、フリーラジカルの攻撃(free radical attack)の影響を受けにくい。
【0018】
プラチナ交換膜層24は、未処理膜層22とカソード16との間に位置する。プラチナ交換膜層24は、イオン交換膜、例えば、プラチナ触媒を含浸させたペルフルオロカーボンイオン交換膜とすることができる。例えば、プラチナ交換膜層24は、プラチナ含浸イオン交換膜としてもよい。プラチナをイオン交換膜に含浸させる方法としては、米国特許第5,342,494号明細書(Shane et al.,)に開示されており、本願の参考となる。この方法は、膜を調整するように、膜の酸性基の水素イオンを水素イオンより大きい置換カチオンと優先的に置換することにより膜を調整することと、プラチナイオンが置換カチオンと交換されるように、調整された膜をプラチナイオンを含む溶液と接触させることと、プラチナ触媒を形成するように含浸したプラチナイオンを金属フォームに変換することと、を含む。膜に含浸されるプラチナの量は含浸する膜の種類によって異なる。例えば、単一の含浸処理によりナフィオン(登録商標)膜に約0.92グラム毎平方メートル毎ミル(gm Pt/m2/mil)(0.086gm Pt/ft2/mil)のプラチナを含浸させることができる。複数の処理によって、所望の酸素純度の生成に要求されたプラチナを付加することが必要である。一実施例では、プラチナ交換膜層24は、膜材料において約4.6mg/cm3〜約36mg/cm3(約75mg/in3〜約590mg/in3)のプラチナを有する。
【0019】
プラチナ交換膜層24のプラチナは、プラチナ交換膜層24全体に分散または含浸している。プラチナ交換膜層24のプラチナは、触媒作用のために構成される。プラチナは、プラチナが含浸されたイオン交換膜層に触媒領域(サイト)を形成する。後述するように、プラチナは、二分子膜20の水和を促進し、二分子膜20を通る水の移動を向上させる。
【0020】
一実施例では、二分子膜20を形成する前に、プラチナ交換膜層24にプラチナが含浸される。独立した膜層22,24から二分子膜20を形成することは、プラチナがプラチナ交換膜層24全体に含浸されており、所定の領域に限定されていないため容易である。
【0021】
電解セル10の酸素発生量は、ファラデーの法則により定まり、セルの電気量の増加によりガス生成量および水の消費量が増加する。したがって、酸素発生量を増加させることによって、アノード12における水の消費が増加し、スタックのサイズに応じた酸素発生量を維持するため、十分な水をアノード12に供給しなければならない。
【0022】
電解セル10において、水は水供給ライン30によってカソード16に供給され、二分子膜20を通ってアノード12へ移動する。より具体的には、水はプラチナ交換膜層24および未処理膜層22を順に通ってアノード12に達する。高圧のアノード12に水を供給するために、アノードループにおける高圧水ポンプと高差圧フィードポンプとを含む高圧酸素/水相分離器を開発する必要がある。これらの構成部品により、完全な水電解システムに重量および容積が付加されるとともに複雑性が増す。これに対し、図1に示すように、低圧のカソード16に水を供給することにより、電解セル10を利用する水電解システムの構成部品数および全重量が減少し、かつ信頼性が向上する。
【0023】
電解セル10を継続的に運転するためには、水を消費するアノード12にカソード16から水を移動させる必要がある。いくつかのメカニズムにより、消費に加えてアノード12の水が消耗され、アノード反応が抑制される。第1に、二分子膜20に亘る流体力学上の圧力によりアノード12の水が消耗される。電解セル10に亘る流体力学上の圧力差に抗して、アノード12に水が供給される。アノード12の圧力はカソード16の圧力より高く、これにより、流体力学上の圧力がアノード12に移動する水を押す。
【0024】
電気浸透抗力(electro−osmotic drag)は、アノード12の水を消耗する。水分子が二分子膜20を通流するときに、アノード12からの陽子がアノード12からカソード16へと水分子を引き込むことにより、電気浸透抗力が生じる。例えば、アノード12からカソード16への陽子の移動により、ナフィオン(登録商標)イオン交換膜を通る陽子ごとに6つの水分子が引き込まれる。
【0025】
アノード12の水蒸気は、二分子膜20に含有された水と釣り合っている。したがって、水蒸気が酸素の発生を伴ってアノード12から出る際に、二分子膜20からの水で補充される。
【0026】
カソード16からアノード12への水の移動は、2つの主要なメカニズム、つまり拡散および毛管現象によって生じる。拡散は、カソード16における水の濃度がアノード12における水の濃度より高いために生じる。ナフィオン(登録商標)などのイオン交換膜において、拡散係数の大きさは膜の水含有量の関数であり、膜の水含有量が少ない場合、拡散率が低くなる。したがって、二分子膜20が水を失い始めると、水をアノード12に供給することはより困難になる。
【0027】
毛管現象は、別の水移動のメカニズムである。毛管現象は、ヤング−ラプラスの原理(the law of Young and Laplace)に従うものであり、Pc=4γcos(θ)/dである。ここで、Pcは毛管圧であり、γは水の表面張力であり、θは接触角度であり、dは毛管の直径である。ナフィオン(登録商標)イオン交換膜では、毛管現象は、乾燥したときに孔が縮まることにより生じる。これにより、カソード16とアノード12の間に毛管差圧が生じる。
【0028】
プラチナ交換膜層24のプラチナは、フリーラジカルの攻撃に対する保護をもたらす。フリーラジカル攻撃は、水電解セルのイオン交換膜にピンホールを生じさせ、ひいてはセルスタックの障害を引き起こす。後述するように、二分子膜20におけるプラチナの位置を、フリーラジカル攻撃が最も生じやすく、かつ最も有益な箇所に限定してもよい。
【0029】
プラチナ交換膜層24のプラチナは、電解セル10により生成される水素および酸素の純度を向上させる。水素および酸素は、濃度勾配により二分子膜20を通って拡散する。例えば、水素はアノード12に拡散し、酸素はカソード16に拡散する。この拡散(交差拡散としても知られる)は、水素および酸素の純度を低下させる。プラチナ交換膜層24のプラチナ(または触媒領域)は、二分子膜20を通って交差拡散する酸素および水素を再結合して水を形成する。これにより、アノード12において生じる酸素の水素混成およびカソード16において生じる水素の酸素混成が減少する。一実施例では、プラチナ交換膜層24は、少なくとも99.5%の純度を有する酸素を生成するために十分な領域をもたらす。
【0030】
二分子膜20は、高差圧の水電解セル10において高純度の生成物を生成しつつ、アノード12への水の移動を向上させる。アノード12は、プラチナ金属を酸化させる。プラチナ交換膜層24をカソード16に最接近させて配設することにより、アノード12によるプラチナ金属の酸化が最小限に抑えられる。
【0031】
プラチナによりイオン交換膜の孔の直径が増加する。ナフィオン(登録商標)などのイオン交換膜は、電解セル10の一方の側から他方の側へと水を移動させる複数のナノサイズの孔を含む。プラチナ交換膜層24単体で使用することにより、毛管圧が低下し、これにより、高差圧に対する水の移動が妨げられ、かつ水素および酸素の生成が減少する。二分子膜20の選択された部分(すなわち、プラチナ交換膜層24)に限定して孔の直径を拡大することにより、毛管現象の低下が制限される。二分子膜20において、プラチナ交換膜層24のより大きな孔は、プラチナ交換膜層24に亘る水の拡散を促進し、未処理膜層22の小さい孔は、圧力勾配に対抗したアノード12への水の移動を向上させる。未処理膜層22の小さい孔は、アノード12への毛管圧を改善し、限界電流を増加させる。したがって、二分子膜20は、アノード12への水移動を向上させ、同じスタック質量および容量で酸素の生成を増加させる。
【0032】
さらに、膜層22,24における孔の大きさは、酸素の純度に影響を及ぼす。未処理膜層22における小さな孔は、電解セル10における交差または交差拡散するガスの量を制限する。膜層22,24の孔のサイズを拡大することにより、交差拡散するガスに対する抵抗が減少する。酸素の圧力が水素の圧力よりかなり高い場合に、移動に対する抵抗を酸素が有することが特に重要である。
【0033】
電解セル10の作動は、例えば、フリーラジカルの攻撃により、イオン交換膜を劣化させる。膜の劣化は、通常、カソード16に対して平行な平面およびカソード16に隣接する平面において最も深刻である。この平面の厚さは、二分子膜20の厚さTTとPH2/(PH2+PO2)との積によって概算される。ここで、PH2は水素の分圧であり、PO2は酸素の分圧である。高差圧の水電解セル10において、酸素の分圧は、水素の分圧よりかなり高い。したがって、カソードに隣接する非常に薄い平面には最も深刻な劣化が生じ得る。プラチナ交換膜層24のプラチナにより、電解セル10において、最も深刻な劣化およびフリーラジカル攻撃が生じ得る平面が保護される。プラチナ交換膜層24は、概算された平面を包囲するように設計され得る。この平面の外側では膜には劣化がほとんど生じず、このため、未処理膜層22はプラチナによって保護されていなくても深刻な劣化が生じない。
【0034】
電解セル10の作動中、アノード12からの陽子は、二分子膜20を通ってカソード16に移動する。陽子は、水和状態で二分子膜20を通って移動する。これにより、二分子膜20を通る水移動の量が減少し、アノード12において利用可能な水が制限されるため電流密度が制限される。二分子膜20は、電解セル10おける水の移動を増加させ、電流密度の制限がより大きくなり、スタックサイズにおける酸素の生成が増加する。
【0035】
例示的な実施例を参照して本発明を説明してきたが、本発明は例示的なものに過ぎず限定的なものではない。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更や修正をなし得ることを理解されるであろう。
【符号の説明】
【0036】
10 電解セル
12 アノード
14 アノード電極
16 カソード
18 カソード電極
20 二分子膜
22 未処理膜層
24 プラチナ交換膜層
26 直流電源
28 外部回路
30 水供給ライン
32 低圧水素
34 高圧酸素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、
カソードと、
アノードとカソードとの間に配設される高差圧水電解二分子膜と、
を備える電解セルであって、
高差圧水電解二分子膜は、
プラチナ含浸イオン交換膜層と、
アノードとプラチナ含浸イオン交換膜との間に位置する未処理イオン交換膜層と、
を有することを特徴とする電解セル。
【請求項2】
未処理イオン交換膜層は、プラチナ含浸イオン交換膜層より厚いことを特徴とする請求項1に記載の電解セル。
【請求項3】
高差圧水電解二分子膜の厚さに対するプラチナ含浸イオン交換膜層の厚さの比は、約0.002から約0.999の間であることを特徴とする請求項1に記載の電解セル。
【請求項4】
高差圧水電解二分子膜の厚さに対するプラチナ含浸イオン交換膜層の厚さの比は、約0.002から約0.8の間であることを特徴とする請求項3に記載の電解セル。
【請求項5】
高差圧水電解二分子膜の厚さに対するプラチナ含浸イオン交換膜層の厚さの比は、約0.004から約0.5の間であることを特徴とする請求項3に記載の電解セル。
【請求項6】
プラチナ含浸イオン交換膜層および未処理イオン交換膜層は、ホットプレスされて単一の構造体を形成することを特徴とする請求項1に記載の電解セル。
【請求項7】
未処理イオン交換膜層は、化学的に安定化したペルフルオロカーボンイオン交換膜であることを特徴とする請求項1に記載の電解セル。
【請求項8】
電解セルは、約24,821キロパスカルまでの圧力で酸素を生成する高差圧水電解セルであることを特徴とする請求項1に記載の電解セル。
【請求項9】
カソードに接続された水供給ラインをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電解セル。
【請求項10】
高純度の酸素を生成する方法であって、
高差圧電解セルのカソードに水を供給するステップであって、該高差圧電解セルは、アノードと、アノードとカソードとの間に配設される二分子膜と、を備え、二分子膜は、プラチナ含浸イオン交換膜層と、未処理イオン交換膜層と、を含み、プラチナ含浸イオン交換膜層は、この膜層に触媒領域を形成するプラチナが含浸されている、水供給ステップと、
プラチナ含浸イオン交換膜層、次いで未処理イオン交換膜層に亘って、カソードからアノードへと水を移動させるステップと、
水素イオン、酸素ガスおよび電子を生成するためアノードにおいて水を電解するステップと、
外部回路を通してカソードまで電子を送るステップと、
未処理イオン交換膜層、次いでプラチナ含浸イオン交換膜層を通してカソードまで水素イオンを送るステップと、
カソードにおいて水素ガスを生成するように水素イオンと電子を結合させるステップと、
プラチナ含浸イオン交換膜層の触媒領域において、交差拡散するカソードの水素ガスとアノードの酸素ガスを再結合するステップと、
を含むことを特徴とする高純度酸素生成方法。
【請求項11】
アノードは、約24,821キロパスカルまでの圧力で作動するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の高純度酸素生成方法。
【請求項12】
プラチナ含浸イオン交換膜層および未処理イオン交換膜層は、ホットプレスされて単一の構造体を形成することを特徴とする請求項11に記載の高純度酸素生成方法。
【請求項13】
二分子膜の厚さに対するプラチナ含浸イオン交換膜層の厚さの比は、約0.002から約0.999の間であることを特徴とする請求項12に記載の高純度酸素生成方法。
【請求項14】
二分子膜の厚さに対するプラチナ含浸イオン交換膜層の厚さの比は、約0.002から約0.8の間であることを特徴とする請求項13に記載の高純度酸素生成方法。
【請求項15】
プラチナ含浸イオン交換膜層はカソードに隣接し、未処理イオン交換膜層はアノードに隣接することを特徴とする請求項10に記載の高純度酸素生成方法。
【請求項16】
高純度の酸素を生成するシステムであって、
水素イオン、酸素ガスおよび電子を生成するアノードと、
水素ガスを生成するカソードと、
カソードに水を供給するようにカソードに接続された水供給部と、
電解二分子イオン交換膜と、
を備え、
電解二分子イオン交換膜は、
プラチナ含浸イオン交換膜層と、
アノードとカソードとの間に位置する未処理イオン交換膜層と、
を有し、
プラチナ含浸イオン交換膜層は、アノードよりもカソードに近接するようにアノードとカソードの間に配されることを特徴とする高純度酸素生成システム。
【請求項17】
電解二分子イオン交換膜の厚さに対するプラチナ含浸イオン交換膜層の厚さの比は、約0.002から約0.999の間であることを特徴とする請求項16に記載の高純度酸素生成システム。
【請求項18】
電解二分子イオン交換膜の厚さに対するプラチナ含浸イオン交換膜層の厚さの比は、約0.004から約0.5の間であることを特徴とする請求項16に記載の高純度酸素生成システム。
【請求項19】
プラチナ含浸イオン交換膜層および未処理イオン交換膜層は、ホットプレスされて単一の構造体を形成することを特徴とする請求項16に記載の高純度酸素生成システム。
【請求項20】
プラチナ含浸イオン交換膜層および未処理イオン交換膜層は、二分子イオン交換膜において独立した構造体であることを特徴とする請求項16に記載の高純度酸素生成システム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−162880(P2011−162880A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23525(P2011−23525)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】