電解セルを利用する内燃装置および方法
本開示は、概しては、コーティングされたアノードを有する電解セル内での水素および酸素の産生に関し、これらのガスが、性能を増すために、燃焼エンジンシステムの燃料源(化石燃料または代替燃料)へ前記燃料源の補足として添加され得るようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この特許出願は、2005年10月12日に出願された米国仮特許出願第60/726,049号、2006年7月7日に出願された同第60/819,293号および2006年9月15日に出願された同第60/844,997号の利益を主張しており、それらのそれぞれは、それらへの参照によって全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
本開示は、概しては、燃焼エンジンシステム内で燃料源と組み合わせて使用され得るよう電解セル内で水素および酸素を産生することに関連する。何百万台もの自動車、トラック、バス、および、エネルギー源として炭化水素または化石燃料を利用する他の内燃エンジンの作動に関して、世界が直面している問題の簡単な概説を行うことにより、本開示は最も良く理解され評価され得る。
【背景技術】
【0003】
世界が直面している主要な問題の一つは、内燃エンジンからの燃焼副生成物として産生される有害ガスによって引き起こされる大気汚染である。これらの汚染物質の一部には、一酸化炭素(CO)、亜酸化窒素(NO)、未燃焼炭化水素および二酸化硫黄(SO2)が含まれる。少なくとも過去35年間、より少ない毒性汚染物質の排出量をもたらすエンジンおよび燃料技術を開発し商業化するために、連邦政府および民間産業の両者によって多大な資金が費やされてきた。
【0004】
世界が直面している別の主要な問題は、化石燃料(車両および他のエンジンがそれで作動している)がますます不足していることである。それにもかかわらず、合衆国の輸送エネルギーの約97%より多くが化石燃料からである。世界的な需要は先例のない率で増加し続けている一方で、化石燃料の限られた供給は減少しており、それが消費者および国家経済に経済的負担を生み出している。例えば、2004年〜2006年には、ガソリン平均価格は、1ガロン$1.30から1ガロン$3.00まで2倍を超えて増加する傾向があった。利用可能な化石燃料の不足は、少なくとも30年前、即ち1970年代の不足よりも前までさかのぼって続いてきた問題である。合衆国および他の多くの国々は、外国の化石燃料に大きく依存しているため、化石燃料または代替的な燃料種のより良い使用の助けとなる安価で安全な技術に対する差し迫った必要性が長年存在してきた。
【0005】
炭化水素または化石燃料の代替として、水素ガスが電力源として研究されてきた。水素ガスは、一般に、燃焼燃料になりうるものとして或いは他の燃料セル中での提案がされてきた。水素ガスが燃焼すると、一部の化石燃料と比べてかなり多くのエネルギー(約3倍)が放出され得る。そのようなシステムでは、水素は酸素存在下で燃焼してエネルギーを放出し得る。更に、適切な条件下では、水素ガスは酸素と非常にクリーンに反応し、基本的に副生成物として純水を生み出す。
【0006】
これらの利点にも関わらず、深刻な技術的および経済的困難を含む様々な理由から、水素ガスも酸素ガスも、代替燃料源として急速には展開していない。例えば、米国政府のいくつかの報告によれば、車両用の水素ガス貯蔵システムは、車両のカーゴまたは乗車スペースに侵入しない限り、消費者の期待する走行距離を満たすには不十分である。集まった水素ガスの爆発性の揮発度のせいで、大量に貯蔵する場合、それらは非常に危険かつ環境的に安全でないものになり得る。また、水素ガスは、現在、ガソリンおよびディーゼル燃料よりも3倍から4倍高価である。燃料セルは、内燃エンジンよりも約5倍高価であり、また、車両の使用できる全寿命にわたって性能を維持しない。更に、水素ガス供給インフラを開発する投資リスクは、技術の現状を考えると、あまりに大きいものであると理解されている。
【0007】
車両に搭載し貯蔵した水素ガスを、化石燃料の燃焼も行うエンジンに導入することが考えられてきた。しかしながら、大きなタンク中での水素ガスの車中貯蔵(on-board storage)は、これらのシステムは水素のみで作動するエンジンまたは燃料セルと同様の困難を免れないため、多大かつおおよそ克服できそうもない安全面の課題を提示している。それゆえ、このようなシステムは、他の水素ガスセルおよびエンジンと同様の欠陥を同様に免れない。
【0008】
Gene Stoweへの米国特許第5,231,954号は、代替物を提供することにより、そのような水素のシステムと関連する貯蔵の問題を回避する試みを行った。当該特許は、「水素/酸素燃料セル(Hydrogen/Oxygen fuel cell)」というタイトルであり、閉じた電解チャンバ内での水素および酸素の産生に概して関連すると述べられ、該チャンバは電解水溶液で満たされ、かつ、電位の発生源に接続された電極を有して作動するというものである。他の者らは、例えば「電気分解による内燃エンジン内での燃焼を促進する方法および装置(Method and apparatus for enhancing combustion in an internal combustion engine through electrolysis)」というタイトルのCunninghamらへの米国特許第5,105,773号などの、当該分野における開示を生み出した。Cunninghamらの特許は、自動車または他の車両での使用のために設計された電解槽の装置であって、電解アノードおよびカソードの表面積および方向性の変化によって必要量の水素および酸素を産生する前記電解槽の装置を含むと述べられたシステムを開示した。Rossへの米国特許第6,896,789号は、電解セルおよびそれを含む内燃エンジンのキットに関連していた。Roseへの米国特許第5,452,688号は、内燃エンジン内での燃焼を促進する方法および装置を開示していると述べられていた。これらの先行開示は、参照により、本開示への背景としてそれらの全体が本明細書に包含されるものである。
【0009】
当該分野における他の者らの開示および努力にも関わらず、これらの開示および技術は、全体として、本明細書で開示した装置のような、当該技術における問題を克服している装置を提供することができていなかった。先行技術のシステムは、十分に環境的に安全かつ安定したものではなかった。そのデバイスで使用された化学物質は、しばしば毒性であり、さもなければ水素および酸素という爆発的に揮発性のガスの危険な蓄積または加圧によって安全ではなかった。それらの開示は、様々な作動パラメータが相互に依存していて不安定であり、更なる不信頼性および不安定性を引き起こす様々な付加的な機械装置(machinery)への依存に繋がっていた。先行技術は、そのような電解チャンバ内で生じる過熱の問題を解決できなかった。先行技術は同様に、内燃エンジンの燃焼チャンバへの水素および酸素の持続的な供給に関連する問題を解決することができなかった。先行技術はまた、可燃性物質としての水素および酸素の使用に焦点を合わせた。先行技術開示の多くは、加圧した水素ガスおよび酸素ガスを伴っていたが、それによりなおさら不安定で潜在的に危険なシステムとなっていた。先行技術のデバイスは、該デバイス内部のチャンバにおける爆発性ガスの産生および蓄積の制御が変動および欠落しがちであった。一部のデバイスは、制御されない熱、ガスの消散の障害、燃焼性ガスの圧力制御の障害、およびシステム内での他の不安定性に起因して爆発を被っていた。
【0010】
更には、先行技術は、燃焼エンジンの作動において安定した信頼性のある効率を与える能力を有するデバイスを提供することができなかった。先行のデバイスは、水素および酸素ガスの利点の制御をコンパクトに与える設計を提供することができなかった。安全性リスクを高めることなく毒性のない物質を用いることのできる電解チャンバの効率的な設計は存在しなかった。当該技術は、しばしば、チャンバが、システムの熱力学が十分制御されないような方法でアノードおよびカソードで構築されている複雑な構造を持っていた。同様に、そのようなシステムは、水素の適切な産生の制御もしながらそのようなパラメータを認識して扱うことはできなかった。先行技術のチャンバの位置付けは、電界の欠陥、最適な電気分解をもたらすことができないこと、制御をもたらすことができないこと、並びにコンパクトな大きさおよび単純な構造を維持しつつ水および導体の適切な熱力学を与えることができないことを免れないものであった。そのような先行技術のシステムは、エンジンのパラメータ(例、冷却液、オイルなど)をモニターすることを時に求められても、容認できないほどの短い間隔でそのような保守を行ったりしない通常の消費者にとって有用であるに十分安定なシステムを提供することもできなかった。
【0011】
これらの力学的条件を十分制御することおよび毒性がなく用いるのに容易なシステムをもたらすことができないことは、コスト、複雑性、有用性および安全性などの観点から、先行のデバイスを非実用的なものにしていた。例えば、セルにおいて熱が適切に制御されなければ、電解液の抵抗率および導電率は変化し、それにより、熱力学、液の熱分散、ガスの産生、構成部分の安定性などのようなパラメータを悪化させるか悪影響を与える可能性がある。パラメータを制御できなければ、デバイスの作動パラメータは毒性または危険なものとなることが避けられないかもしれない。先行のシステムの不安定性は、システムを力学的に変化させたと称するシステムを、ある者が開示することに繋がった。しかしながら、そのようなシステムは同様に、本質的に不安定、非実用的、不安定かつ毒性のあるものであった。例えば、先行のシステムのうちの一部の装置は、必要な水素ガスおよび酸素ガスをもたらすことができるようにするために、ユーザーにとって装置が毒性のものとなる原因である高いpHの溶液を利用していた。実際、安定かつ制御されたシステムを十分に提供することができないことは、セルの劣化および漏れまたは他の致命的な条件に繋がり得るものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示までに存在せず、かつ産業界が長く求めていたものは、そのような問題点を回避して、本明細書における好ましい実施態様の開示から明らかである他の有利なパラメータの中でも特に、毒性がなく、より信頼性があり、直接的および非直接的な保守の必要性が少なく、寿命が増加しており、作動がより安全であり、必要とする空間がより小さく、環境的により優しく作動し、作動時の燃費効率がより高く、燃焼エンジン内でより低品質な燃料の使用を許容し、かつ18輪トラックおよびスポーツユーティリティービークルなどの消費者のパフォーマンス用途にとって経済性が向上した、信頼性があり能率化されたシステムを提供することができるデバイスである。
【0013】
従って、本開示の目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、より少ない保守を必要とし得る装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0014】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、より長い寿命を持ち得る装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0015】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、より安全に作動し得る装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0016】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、より高い燃費効率を与えることおよび様々な供給源からのより低品質な燃料の使用を許容することを含む、環境的により優しいものであり得る装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0017】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、毒性のない装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0018】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、コスト効率が良く低価格であり、設置および保守が容易であり、かつ爆発の危険を取り除くための単純なメカニズムを含んだ装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0019】
本開示の別の目的は、より良い燃費効率を与え、かつ、一部の例としてオキシジェネート(oxygenates)またはエタノールまたはMTBEまたはバイオ燃料のような他の非化石燃料、またはE85燃料などのフレックス燃料(オキシジェネートとともに低いRONCの炭化水素を有する)などのブレンド物のような代替化合物を含み得るより低い実行効率のモーターオクタン価のガソリンまたはディーゼル燃料を用いても改善された結果を達成する、様々な種類の高性能車両(performance vehicle)のための改善された内燃システムを、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0020】
システムの構造、およびシステムの要素の協働を含む請求された対象が全体として合わさって本開示の予期しない利点および有用性をもたらすことが当業者にとって明らかになるであろう。本開示の利点および目的並びに燃焼エンジンシステムを持つそのような改善された水素/酸素燃料セルの特徴は、付随する明細書、図面、および添付の特許請求の範囲と併せて読めば当業者には明らかになるであろう。特定の用語および言い回しは本明細書に開示した発明の例である好ましい実施態様を説明するために使用されるものであるため、本明細書における開示は使用されるそのような用語または言い回しに制限されるものではない。特に本開示は当業者に向けて書かれたものであるため、特定の事柄を意味するために用語を“定義する”と本開示が具体的に述べていない限り、本開示は用語に特別な制限を設けはしない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
発明の概要
本開示は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム、および、それを伴う装置および方法を含む。本開示は、先行開示に対して非常に有利であるシステムの様々な側面および修正を提供する。本開示は、開示される任意の特定の実施態様または最良の形態に制限されるものでなく、本開示が提供する科学への貢献を包含する。
【発明の効果】
【0022】
本開示の様々な態様のなかでも、他の態様の中でも特に、より少ない保守、より長い寿命、より安全であること、システムが環境により優しいこと、毒性のないことなどの目的を達成することに関連するシステム、方法および技術が開示される。本開示は、水素および酸素ガスを利用する内燃システムであって、実質的に周囲圧力またはわずかに周囲を上回る圧力、または水素および酸素ガスの生成に関して意味のある圧力を下回らない圧力で作動する前記システムの製造および実装と関連する態様を含む。新規かつ有利なサイズ比を含む、電解チャンバの部分としてのアノードおよびカソードの構成および配置と関連する開示がある。熱力学的安定性を制御する装置および方法の開示がある。水素および酸素ガスの長期にわたる制御された放出を与える構成の開示がある。全体としてより良い消費者経済のために、より低品質な燃料での向上した性能の開示がある。
【0023】
更に、水素および酸素ガスの産生のために与えられたエネルギーを制御することが可能なロバストなシステムを与えるシステム、方法および技術の開示がある。電気分解によって生成されるガスをもたらす効率を最大化することに関連する開示がある。内燃エンジンおよび排気システムに対して大幅な改善をもたらす信頼性がありかつ低保守の安定したシステム、並びに関連する直接的および間接的なコンポーネントを提供する開示もある。フィードバックシステム、制御システムおよび安全性システムなどの開示がある。向上した性能(改善されたパワー並びに減少したエンジンの磨耗および/またはノッキングの両方)、向上した燃費、および/またはそれらの組み合わせを与える構成であって、任意でエタノールを含むより低い定格の燃料、および/または非化石燃料または非化石含有量が約10%を上回る燃料を含む、様々な用途におけるより低いモーターオクタン価または同等のセタン価からの構成が開示される。
【0024】
好ましい実施態様は、ある部分および部分の配置において物理的な形態を取り得る。実施態様およびその利点のより完璧な理解のために、付随する図面と併せて解される以下の説明に対して参照がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
好ましい実施態様の詳細な説明
以下の論考は、当業者が本開示を製造し使用することを可能にするために提示される。本明細書で説明される全般的な原理は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲から離れることなく以下に詳述する以外の実施態様および用途に適用され得る。本開示は、示す実施態様に制限されることを意図しておらず、本明細書に開示する原理および特徴と合致する最も広い範囲が許容され得る。
【0026】
内燃エンジンは、概しては、1以上の燃焼チャンバからのエネルギーの放出に基づく。該エンジンは、燃料および酸素ガスを与えるためのシステムを該エンジンの内部に含んで、または、該システムと結びついて作動する。大抵の場合、酸素ガスは、窒素に富んだ空気に含まれたものを通じて与えられる。一つの好ましい実施態様では、当該内燃エンジンは、電気分解(electrolysis)による水素および酸素ガスの産生を含む。放出された水素および酸素ガスには、典型的には、混合物として空気が供給される。しかしながら、ガスの他の混合を供給することが可能である。例えば、水素および酸素ガスのみを供給し、空気を実質的に利用しないことが可能である。一つの好ましい実施態様では、ガスおよび燃料が一緒にされ、その結果、それらは燃焼チャンバ内に同時に存在する。燃料は、通常のキャブレター配置におけるように、水素および/または酸素ガスと共に与えられ得る。燃料はまた、燃料噴射におけるように、チャンバに直接与えられ得る。更には、物質の凝集体の発火(イグニション)が、スパークプラグの発火の結果として、または、圧力点火等といったの他の方法によって生じ得る。
【0027】
燃焼は、燃料の反応を生じさせて副生成物を産生させる。ある場合には、燃料は完全には燃焼されていない。一つの好ましい実施態様では、また、適切な量で供給された水素および/または酸素ガスの含有の結果として、燃焼による毒性ガスの産生が低減される。燃料はより完全に燃焼し、より少ない毒性物質を車両に残すことに更に繋がる。そのようにして、一つの好ましい実施態様は、触媒コンバータが、一部の燃焼エンジンに必要とされる排出基準を満たす必要がなくても良いことをもたらす。一つの好ましい実施態様は、好ましい実施態様(複数)を用いて触媒コンバータを用いるエンジン中に存在する毒性物質を更に低減し得ることをも、もたらす。
【0028】
好ましい実施態様の水素および酸素ガスは、実質的に周囲の圧力または周囲をわずかに上回る圧力にある電解チャンバ内に与えられる。そのようなわずかに周囲を上回る条件には、海水面の上および下の両方で経験される条件、並びに、その少し増加した条件が含まれ、好ましい実施態様においては、周囲を3気圧相当未満上回っており、更により好ましい実施態様においては、周囲を1気圧相当未満上回っており、周囲圧力を約3psi上回るあるものであり得る。その後、水素および酸素ガスは、任意の方法で燃焼チャンバへ送られ得る。例えば、水素および酸素ガスは、当該燃焼エンジンにおいて通常使用される空気移送通路の中に入れられ得る。ノズルが一つの好ましい実施態様において利用されて、水素および/または酸素ガスが通路中により十分に分散することを可能にし得る。好ましいノズルは、水素と酸素ガスの供給を伴う大きな導管を含んでおり、かつ、水素および酸素ガスを通路(好ましい構成としては、燃焼チャンバに繋がっている)の中に放出するための小さいオリフィスまたは一連のオリフィスを含んでいる。そのようなノズルは、低い圧力差の下、実質的に、周囲の圧力、または、周囲に近い圧力、または、周囲をわずかに上回る圧力で作動するものであってよく、水素および/または酸素ガスの流れを、燃焼チャンバに繋がっている通路中の水素および/または酸素分子の分散した混合物に変換する。一つの好ましい実施態様では、水素および/または酸素の分散が、毒性物質の挙動および低減に関して驚くべき利点を与えることが提供される。
【0029】
電気分解の好ましい実施態様による水素および酸素ガスの産生に基づいてそれらのガスが共に与えられる好ましい実施態様が利用されるものの、それらのガスは、実質的に水素ガスのみに分離され得る。一つの好ましい実施態様には、水素ガスの産生および導入に基づくシステムの制御が含まれる。一つの好ましい実施態様では、驚くべきことに、水素ガスの産生が、燃焼性能をより良く制御するために制御されるべきであることが見出された。そのような場合、水素ガスの産生は、ユニットに与えられる設計およびエネルギーによって制御され得る。
【0030】
一つの好ましい実施態様では、電気分解は、電解液の存在下でのアノードおよびカソードへの電力供給を通じて達成される。好ましい電解質は、脱イオン水、蒸留水、さもなければ同様に処理された水の中で与えられる水酸化カリウム(KOH)である。電解質には、等価形態、および、他の化学物質(例えば、水酸化ナトリウムまたは他のアルカリ性物質或いは他の非アルカリ性物質との混合物などのような当該分野において知られたもの)が含まれ得る。KOH存在下での該液のpHは、実質的に毒性のない約7から14のpHの範囲内で作動することが好ましい。他の好ましいpHの範囲は、実質的に約9から約14、および実質的に約10から約13である。KOHのモル濃度は、モル濃度(即ちmol/L)ベースで約0.001から0.2の範囲に実質的にあることが好ましく、或いはモル濃度ベースで約0.005から約0.1の範囲に実質的にあることがより好ましい。好ましくは、電解質は、全溶液の約0.05から約3%までを有してなる。好ましい実施態様では、水1ガロンあたり約1から約25グラムのKOHが加えられる。
【0031】
一つの好ましい実施態様では、電解チャンバは、所定量のKOH若しくは他の電解質の存在下において、水で満たされる。チャンバは、分解および腐食を避けるように構築されているのと同時に、電解液に電圧を与えるために電導性のアノードを含んでいる。好ましいアノードは、CerAnode Technologies International(Dayton、Ohio)により提供されている。好ましいアノードは、当該技術において利用可能であるよう腐食および分解に対する耐性を持つ保護導体によってコーティングされた、貴金属(noble metal)、バルブ金属、貴金属(precious metal)、金属合金、および任意の同様のものなどの基板金属(または金属の組み合わせ)から形成されているものであり得る。コーティングは、当該技術において利用可能なような、貴金属(precious metal)、導電性の金属酸化物、混合金属酸化物、導電性ポリマー、サーメット、セラミックスおよび任意の同様のものから成るものであり得る。そのようなアノードは、例としては、米国特許第4,138,510号;同第4,297,421号;同第4,468,416号;同第4,486,288号;同第4,946,570号;同第5,055,169号;および同第6,217,729号に開示されたものなどを含む任意の公知の利用可能な物質から作られたものであり得:ここでそれらの各特許は、それらへの参照により明示的に、その全体が本明細書に組み込まれるものである。アノードは、任意の公知の方法で不動態化、安定化、および/または、腐食保護され得る。好ましいアノードは、望ましくない電極溶解がないこと、望まない副生成物の産生がないこと、チャンバを頻繁に浄化(purging)する必要がないこと、および、アノードを頻繁に交換する必要がないことという特徴を持つ。完全な電導性のまたは半電導性のコーティングをバルブ金属基板などの基板に適用して作られたアノードは、加速試験に基づいて10年若しくはそれより長い充分な耐用年数を有する、耐久性のある、寸法的に安定な、小型のアノードを通常与える。好ましいバルブ金属の原料物質はチタンであるが、タングステン、タンタル、ニオブ、アルミニウム若しくはジルコニウム、またはそれら2つ以上の合金であっても良く、或いは原料物質は、前述のバルブ金属(単数または複数)に加えて、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、モリブデンまたはそれらの混合物などの低い過電圧を有する別の金属(単数または複数)を含んでいても良い。通常のセラミックコーティングは、酸化イリジウム、酸化タンタルおよび酸化チタンの多相ルチル混合物であり、厳密なコーティングは様々であり得るが、コーティングは一般に、Ta3O5およびIrO2を組み込んだ、ドーピングしたまたはドーピングしていない混合金属酸化物フィルムを含む。コーティングをドーピングする場合、通常、+4より小さい価数を持つ金属酸化物が使用されて、コーティングの機械的特性に負の影響を与えることなく酸素発生のための触媒活性を増加させる。ドーピングの金属酸化物は、コーティングの約0.1から約5重量%、好ましくは約1.5から約3.0重量%で存在し得る。好適なドーピングの金属酸化物には、以下に限定されないが、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、およびコバルト、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、マンガンなどの周期表第VIII族、VI B族およびVII B族の要素が含まれる。通常、金属コーティングは、めっき、クラッディング、または押出加工などの任意の好適なプロセスによって基板上に堆積され;通常、混合金属酸化物コーティングまたはサーメットコーティングは、プラズマスプレーまたは熱分解などの任意の好適なプロセスによって基板上に堆積される。一つの好ましい実施態様では、アノードは、チタン製の電気伝導性のベースを有し、該ベースはその外表面の少なくとも一部を覆う電導性コーティングを持ち、該コーティングは、貴金属(precious metal)、貴金属酸化物(precious metal oxide)、バルブ金属酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの物質を有してなる。好ましくは、該電導性コーティングは、酸化イリジウム、酸化タンタル、酸化チタン、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つの酸化物を有する。電気伝導性のベースは、好ましくは少なくとも一つのバルブ金属を有し、より好ましくは少なくとも一つのバルブ金属と、白金族金属の少なくとも一つとの合金を有し、更により好ましくは最大0.2重量%のパラジウムを含有するチタン合金を有する。
【0032】
一つの好ましい実施態様では、水および電解質を保持する容器は、それ自体がカソードである。そのような好ましいカソードおよび容器は、ステンレス鋼で構成される。一つの好ましい実施態様では、カソードはヒートシンクの役割を果たして熱エネルギーを電解セルの外側の大気に伝える。熱エネルギーは電解セル内部で生成される。一つの好ましい実施態様では、そのような熱エネルギーは、最初に電解液にそしてセル全体に分布する。電解液は、体積全体に循環されて、熱を産生した領域から熱を分散させる。熱エネルギーは、カソードまたはセル容器の壁を通じて実質的に除去され得る。カソードの容器は、ヒートシンク、ファン、または、他の構造物を含んで、周囲の大気への熱エネルギーの移動を促進しても良く、或いはファンなどの他のシステムが与えられても良い。一つの好ましい実施態様では、アノードがカソードの近くに置かれ、尚かつ、かなりの体積の液体があることによって、システムは熱エネルギーを効率的に移動および放散させ得る。
【0033】
一つの好ましい実施態様では、電気分解が起こる区画(compartment)は、十分な水を含んでおり、該水は、アノードとカソードとの間に電解液を維持するためには必要ではない。電解液は、水素および酸素ガスの放出のおかげで、電解液の循環を与える。一つの好ましい実施態様では、循環は温度勾配の生成を和らげ、温度について熱い場所が、電解液全体により均一に分散される。アノードは、その中に開口部を持つよう構築され、それにより電解液がアノードを通じて循環し得、また、アノードとカソードとの境界領域で生成された熱エネルギーを電解液の他の部分に移動させ得る。一つの実施態様では、そのような領域は、アノードとカソードとが、アノードの長さにわたって距離dによって実質的に分離された領域を含んでいる。電解液および熱エネルギーの循環は、水素または酸素ガスの放出によって制御および移動される。そのようなガスの放出は、熱冷却電解液をアノードの開口部を通過させて、著しく熱い場所(該液が沸騰さもなければ分解または正常に機能しなくなり得る場所)を実質的に含まず、かつ、実質的に均一な温度勾配を与える。一つの好ましい実施態様では、電解液の主要な、目立ったまたは顕著な流れの傾向は、ローターおよび/またはカソードの軸に、実質的に垂直な平面内で、半径方向(radially)内向きに流れる。そのような流れには、ローターおよび/またはカソードの軸に実質的に垂直でない方向のベクトル流も含まれ得る。そのように、一つの好ましい実施態様では、アノード表面に沿った流体の流れのベクトルには、半径方向の直線に沿って内向きに流れる実質的なベクトルが含まれる。そのような流れの傾向は、有利かつ驚くべきことに、アノードの配置を可能にするために利用され、その結果アノードは、より大きな電解システムへのエネルギーの効率的な熱移動を可能にすると同時に、実質的にカソードの近くに位置し得る。
【0034】
チャンバが電解液で満たされている場合、アノードは完全に液面下に沈んでおり、特にアノードがカソードに最も接近する場所で、アノードの上方にはかなりの液が存在する。水素および酸素ガスが放出されるにつれ、電解液レベルまたは体積はより減少していく。レベルまたは体積がより減少するにつれ、KOHの濃度および残存する電解液のpHは増加する。一つの好ましい実施態様では、カソードおよびアノードに印加される電流は、実質的に一定に維持される。驚くべきことに、水素および/または酸素ガスの産生は、電解液の性質が変化してさえも、実質的に電流を一定にすることによって実質的に一定に制御され得ることが分かった。一つの好ましい実施態様では、電解液レベルまたは量は、一定に維持される必要がない。電解液レベルまたは量は、水素および酸素ガスの実質的に均一な産生を維持しつつも、水素および酸素ガスが放出されるにつれて低減されることが許容される。電解液レベルまたは量が低減されるにつれて、電解液の実効抵抗は変化し、それは、制御ユニットへの関連付けられた信号に反映される。そのような信号は、アノードとカソードとの間の実効電圧の変化としてモニターされ得る。一つの好ましい実施態様では、実効電圧は、車両の他の部分に対するおよびユーザーに対する制御信号を与えるために利用される。様々な信号の中で、ユーザーは、電解チャンバに水を加える必要がある場合に、通知されてもよい。加えて、一つの好ましい実施態様では、実質的に一定の電流の下でのアノードとカソードとの間の電位差が、カットオフ閾値(その閾値で、アノードおよびカソードへの電力が停止される)を決定するために利用される。電圧降下は、低効率、ワット数、導電率、静電容量または他の電気的現象などの他のパラメータを通じて効率的に測定され得る。
【0035】
一つの実施態様では、水素および酸素ガスは、非化石燃料(non-fossil fuels)と組み合わせて使用され、該非化石燃料は、バイオ燃料、エタノール、および、燃料の混合物を含むその他のもの(化石燃料に対する非化石燃料の混合が増加しているもの)といったものである。例えば、一つの実施態様では、水素および酸素ガスは、エタノール含有量が10%を上回る燃料の燃焼において組み合わせられる。驚くべきことに、より効率的に燃焼し、それによってより高いグレードの化石燃料への更なる代替物を提供するために、非化石燃料の含有量はより高くされ得ることが分かった。従って、ある実施態様においては、現在市場にある一部のエタノール含有燃料にとって標準であるように、非化石燃料含有量が10%を上回る燃料などの代替の燃料源が利用され得る。分岐エーテルおよび他のアルコールを含む他のオキシジェネートが有利に使用され得る。別の実施態様では、バイオ燃料またはブレンド物(Flex Fuel、または、バイオマテリアル、炭化水素、オキシジェネートおよびそれらの混合物からなる群から選択される構成要素との他の種類の混合など)が、電解セルによって与えられた水素および/または酸素ガスを添加して利用され得る。
【0036】
様々な実施態様を、図面を参照してより詳細にこれから説明する。図1は、燃焼エンジンの主要部分を示す概略図を示しており、該燃焼エンジンは、電解セル1、エンジンシリンダブロック2(一部の実施態様においてはエンジン自体も表す)、ピストン3、コネクティングロッド4およびクランクシャフト5を含んでいる。当該概略図は、電源6も示している。一つの好ましい実施態様では、電源6は、約30アンペアに維持された実質的に一定の電流を与える。それによって、セル1への電流の印加時に産生される水素および酸素ガスは、通路12を通じて空気などの他のガスの流入も可能にし得る導管を通じて、即ち、通路7を通じてブロック2へ移動する。前記ガスは、取入れ(intake)ポート8を通じてエンジンシリンダブロック2に流入し、該取入れポートで前記ガスは燃料ポート9によって供給された燃料と組み合わせられる。燃料混合物の燃焼時に、ピストンは当業者に周知の燃焼エンジンを作動させる手段で駆動される。燃焼生成物は、排気ポート10を通じて出て行く。
【0037】
図2は、関連する構成部分と共に、電解セル1の一つの実施態様を示しており、次のコンポーネントを含んでいる:(a)配管102(熱的に安定なナイロン配管など)に接続された電解チャンバ101;(b)制御ユニット(CU)118;(c)配線ハーネスの一部であって、(i)チャンバ101を制御ユニット118へ接続するもの、(ii)制御ユニット118を電位発生源(electrical potential source)(例、通常の車両バッテリーまたは車両電気システム(図示せず))への電気システムセパレータ507へ接続するもの、および、(iii)制御ユニット118を、妥当な場合に、ディスプレイユニット(例、発光ダイオードまたはLED529)へ接続するもの;(d)配管102にある排水器(water trap)/スパーク止め(spark arrestor)106;および/または(e)燃焼エンジンのバックファイアからのスパークが万一起こった場合にそれを放散し、かつセル1が間違った方向に向いた事故の際にいかなる電解液もラインおよびエンジン内に誤って入らないようにするためにあるような他のデバイス。一部または全てのコンポーネントは、ボックス108内に収容され得、それにより当該実施態様の設置および隔離を促進する助けになり得る。典型的な制御ユニットは、Neuron Technology社から供給され得る。
【0038】
ボックス108は、アルミニウムで構成されても良く、開くことが可能な前面壁(図示せず)と、ボックス108の背面壁(図示せず)に位置し得る調節可能な通気孔109と、チャンバ101の内側または外側に取り付けられたファン111)と、底壁114の内側に取り付けられたヒーター113とを有することができる。典型的には、ヒーター113が、そこから電気ワイヤおよびプラグが伸びているステンレス鋼のハウジング内に概して収められており、設定制御(setting control)および温度センサを有していても良い。しかしながら、示した実施態様は、ほぼ長方形の形を有しているボックス108を描いているが、ボックス108は任意の幾何学的形状で構築されていて良く、それは本明細書に開示した他の形状についても当てはまることは当業者に理解されるであろう。また、本開示の範囲および精神から離れることなく、ボックス108は、アルミニウムに加えて、プラスチックおよび金属を含む他の物質からなるものであって良いこともまた、当業者によって理解されるであろう。ボックス108内のコンポーネントが、車両、またはボックス108のない内燃エンジン508を使用する他の設備に設置され得ることもまた当業者に理解されるであろう。(本開示の一つの実施態様の説明の目的で、この実施態様をボックス108を示しつつ説明してきた。この特許出願の開示の範囲は、そのような説明またはあらゆる他の好ましい実施態様によって制限されることを意図しない。)ボックス108または他の様々なコンポーネントは、車両のフレーム(図示せず)に、車両の内部に、或いは本開示が利用されることになる燃焼エンジンシステム(同様に図示せず)の近くに取り付けられ得る。
【0039】
ボックス108は、底部と交わって堅固にヒンジで連結された前面壁(図示せず)と、遠位端部にあるロックループ115と、両側にあるラッチ116(バタフライ・スナップ・ラッチなど)とを含み得る。しかしながら、本実施態様は、そのようなオープン・ロックのシステムを使用しているが、本開示の範囲および精神から離れることなくあらゆるオープン・ロックのシステムが使用され得ることは当業者に理解されるであろう。通気孔(draft vent)109は、全般的には、空気の流れが流入して電解チャンバ101を冷やすことを可能にする開口を少なくとも一つ含み、それにより、電解チャンバ101から、ボックス108を通じた空気の流れへ熱エネルギーを伝達するよう助けられた空気の流れを与える。ヒーター113(典型的なコイルヒーター、または、別のあらゆるタイプなどのもの)もまた、本開示の範囲および精神から離れることなくチャンバ101を加熱するために含まれ得る。ヒーター113は、典型的には、そこから電気ワイヤおよびプラグが伸びているステンレス鋼のハウジング内に概して収められており、設定制御および温度センサ(図示せず)を有していても良い。アノード204が明らかになるよう、電解セル1の一部を、図2に切り欠き断面図で示す。電解チャンバ101は、体積(一般に、好ましい実施態様では、チャンバ101の壁の円柱の体積と同等である)を規定するカソード201を有し;電力接続199も示されており、カソード201または冷却ファン制御ユニットのためのチャンバに連結された温度センサ202、カソード201の先端にねじ込みまたはクランプされ得る補給オリフィス203、蓋120にしっかりと連結された配管102(ナイロン配管など)、該体積内にあるがカソード201とは接触していないアノード204、並びに該体積内にありかつカソード201およびアノード204に接触している電解液13(例えば図4においても示されている)を有する。加えて、Oリング(図示せず)が蓋120とカソード201の先端との間に設置されても良く、それによりガスおよび電解液の漏れを防ぐためのシールを作り出す。電解セル1の大きさは、電解セル1が連結または組み込まれる燃焼エンジン2の大きさに応じて様々であって良い。
【0040】
図2に見られるように、カソード201は、円柱形を有していても良い。カソード201の蓋は、典型的には、蓋にネジのある、縁のある(lipped)ネジ式のオリフィスで構築されていても良く、それにより、カソードシリンダーを、適切なように、脱イオン水または蒸留水で補充することが可能となる。カソード201は、また、オリフィスを持っており、該オリフィスからアノード204の先端が突き出すことができ(例えば、図2においてチャンバ101の底部に示されているように)、かつ、より小さな縁のあるオリフィス(例えば、図2においてチャンバ101の先端に示されているように)を有し、その縁のあるオリフィスに、燃焼エンジンのコンパートメントへ水素および酸素ガスを移送する配管102が挿入されている。好ましい実施態様では、カソード201がステンレス鋼から構成されるのが典型的である。しかしながら、示した実施態様は、円柱形を有するカソード201を描いているが、本開示の範囲および精神を離れることなく、カソード201が、以下に限定されないが、球形、長方形、六角形、三角形、または空間的な要求に応じたカスタムフィットを含むあらゆる幾何学的形状で構築され得ることは当業者によって理解されるであろう。また、本実施態様は、ステンレス鋼から構築されているカソード201を説明しているが、例としてはアノードと関連して使用される物質を含む、水素の産生のためにカソード201として使用することが可能なあらゆる物質が、本開示の範囲および精神を離れることなく使用され得ることもまた当業者によって理解されるであろう。
【0041】
電解セル1は、図2に示すように、温度センサ202を更に含み、該温度センサ202は、カソード201の外壁に置かれても良く、また、制御ユニット118、冷却ファン111および/またはヒーター113と通信していても良く、好ましい実施態様においては、図2に示すように、冷却ファン111に直接的に接続されている。一つの実施態様では、温度センサ202は、デジタルであって良い。好ましい実施態様では、センサ202は、カソードの底部の温度が130Fに達したときに、ファン111に信号を送って作動させる。
【0042】
また、図2、2aおよび3に示すように、アノード204とカソード201とが接触しないよう、アノード204は、電解セル101内でカソード201によって規定された体積中に固定される。一つの好ましい実施態様では、アノードおよびカソードの間隔を最適に保つために、ディスク119が固定スペーサとして利用されるが、そのようなディスクにはポリテトラフロロエチレンが含まれる。図2は、アノード204の特徴を示すために、本開示の一つの実施態様の一部の断面図を示している。図2および2aに反映されているように、典型的には、メッシュ状のパターンで構築することによって、アノード204は、電解液13との容易な接触が可能となるよう構築されており、それにより、アノード204の周囲の自由空間のより多くを電解液13にさらすようにするのと同時に、図7に示すように、電解液13がそこでより自由に循環することができるよう促す。アノード204の表面は、アノードの寿命を増しかつ電解セルの通常の作動中に電解液によって引き起こされ得る可能性がある腐食を減少する保護物質で一般にコーティングされる。本実施態様は、CerAnode Technologies International社によって製造されたアノードであるアノード204を示しているが、本開示の範囲および精神を離れることなく、水素および酸素の製造のためにアノード204として使用される、アルカリ電気分解の間非腐食性であるあらゆる物質およびコーティングが使用され得る。図1−2は円柱形を有するアノード204を示しているが、しかしながら、本開示の範囲および精神から離れることなく、アノード204は、以下に限定されないが、球形、長方形、六角形、三角形またはカスタムの形状を含むあらゆる幾何学的形状で構築され得る。
【0043】
アノード204のロッド207は、チャンバ101の底部にあるオリフィスを通ってカソード201のキャニスタ(缶)を抜け出し得る。アノードのロッド207は、両側が平らになったテフロンのブッシングによってカソード201から分離され得る。アノードのロッド207は、カソード201の底部へアノード204を固定する金物(hardware)によってあるべき位置に保持され得る。アノード204の先端は、電気ワイヤへ接続されても良い。
【0044】
図4に示すように、電解液(electrolyte solution)13は、電解セル101中に電解液レベルまで満たされ、該レベルで、電解液は電解チャンバ101(および、同等的には、カソード201)の大部分を満たす。本開示の範囲および精神から離れることなく、電解液レベルは、より高くにもまたはより低くにもなって良いことは当業者によって理解されるであろう。示した実施態様では、使用される電解液は、環境に優しい強さの水酸化カリウム溶液である。本実施態様は水酸化カリウム溶液である電解液を示しているが、本開示の範囲および精神から離れることなく、水素を産生することが可能なあらゆる電解液が使用され得ることは当業者によって理解されるであろう。
【0045】
電解液は、カソード201とアノード204との間を電気的に連絡し得る。電流が、印加されかつアノード204を通って電解液へと流れたとき、電解液中の水は分解することができ、アノード204は酸素を形成し、一方、カソード201は水素を形成するため、それら両方のガスは、電解液のレベル(液位)と、カソード201または電解チャンバ101のキャップの最上部(top)との間に位置するガス蓄積ゾーン(ごく微量(de minimus)のガス蓄積ゾーンといったもの)中へと上昇する。水素および酸素は、配管102を通じてガス蓄積ゾーンから即時に取り出される。
【0046】
図4に示す実施態様において利用された電解液13は、概して言うと、脱イオン水または蒸留水中に少量の電解質を含むものである。本実施態様では、代表的には、水酸化カリウムの量が、水1ガロンあたり約1.5グラムから約12、約25グラムまでの間の範囲にある電解液を使用することができ、好ましい実施態様では、水酸化カリウムの量は、代表的には、水1.5ガロンに対して約37.5グラム、または、上記でより詳しく論じたような許容される範囲内にとどまるのに十分な実質的に同様のモル濃度である。
【0047】
図4は、排水器(water trap)/スパーク止め(spark arrestor)106(以下により詳しく論じる)およびインジェクタ117(これも以下により詳しく論じる)と共に、カソード201とアノード204との間の電解液レベル13の概略図を示しており、一緒になって水素および酸素ガスを燃焼エンジン2に送達する。このように配置されると、周囲の条件でまたはわずかに周囲を上回る条件で、約7から約14およびそれを上回るpH範囲が容易に許容され得、それに加えて、電気的に印加される一定電流が驚くほど一定の水素および酸素ガスの発生をもたらすような、電解質濃度および液体レベルの範囲が容易に許容され得る。また、図5は、電解液13、カソード201およびアノード204の拡大図を示しており、アノード204の上でガス気泡がいかに絶え間なく形成されるかを示している。更に、図6は、電解液13のよりいっそう拡大した図を示しており、電気分解による水の消費で液体レベルDが降下して電解質濃度が増すにつれて抵抗が変化してさえも、小さいdに対する大きいDの一般に大きな比を構成している好ましい関係によって、カソード201とアノード204との間の間隔dは、概して一定のガスの発生を可能とするような寸法間隔であることが、明瞭に着目されて理解され得る。そのようなD:dの比は、概しては、少なくとも約10:1であり、好ましくは、例えば少なくとも約50:1などいっそう大きく、最も好ましくは、一定の水素の発生を得るために、使用を通じてアノード204が電解液中に完全に液面下に沈んだままであるよう設計される。更に、間隔dに対する直径(Dia.)の比は、約50対1でかなり大きく、好ましくは約500対1から約1対1までの範囲内のどこかであっても良い。一つの好ましい実施態様では、dに対する直径(Dia.)の比は、約100対1から約20対1である。レベルDによって表示された電解液の体積は、一つの好ましい実施態様では、アノード204がカソード201に接近する領域に沿ってのそのようなアノードの高さを概して反映しているhによって表示された体積よりも実質的に大きい。アノードの境界の周囲のパラメータdおよびhによって概して境界を定められる体積は、熱エネルギーの本質の(principle)産生が生成される領域に一般に関連する。そのようなdに対するDia.の比は、一つの好ましい実施態様によれば、効率的な熱の移動および消散を可能とする。更に、電解液(D)の高さに対する直径(Dia.)の比は、約3:1から約1:1までの様々な比を形成するようなものである。アノードの高さは、一つの実施態様では、直径(Dia.)の約半分であることが好ましいため、電解液の体積が減少したときに、アノードは露出されず、一定の実質的に電気的に有効な表面領域即ちガウス領域が維持される。そのような好ましい実施態様では、電解質のガウス領域は、電解質の有効濃度が変化する間も実質的に一定に維持される。そのような構成は、距離dにわたる抵抗率が、電解液の体積(直径の寸法を含む体積で利用可能な電解液のレベルDによって相対的に表示される)と比べ実質的に小さくなることを可能にする。
【0048】
図7は、カソード201とアノード204との間、および、電解液13の体積内への電解液13の流れを示す実施態様を示している。図5、6および9は、セル1(例えば図1に示されている)が、気泡として概して描かれた水素および酸素ガスを産生するにつれての進行を描いている。図5では、電解液13の体積(それは、図6に示すように、概しては深さDが反映し得る)は、図9に描かれた電解液13の体積よりも大きく、かつアノード204およびカソード201が距離dによって表示されたように接近する領域における上記アノードの高さhが概して反映する体積よりも実質的に大きい。図9における電解質の濃度は、図5における濃度よりも大きい。概しては、深さDの減少に反映されるような電解液13の体積の減少を通じて、水素および酸素ガスの産生は、比較的一定に維持される。電解液の体積が図9におけるように低減されたときに、ユーザーはセルに水15を加えても良い。作動マイル数に対する水を加えるサイクルは、10,000マイルを越える。一つの好ましい実施態様では、水15は、約20,000マイル毎に一度加えられ得る。従って、駆動マイルに対するセル1のサイクル性能は、好ましくは約20,000であって、ここでセルは閉じられており、水は(電解質と組み合わさって)所与の体積に維持されており、そのような体積は実質的に周囲圧力若しくはわずかに周囲を上回る圧力に維持されている。図9に描いたように、ユーザーは、電解チャンバ101が作動中であっても、当該チャンバ101(カソード201として描かれている)中に直接水15を注いで良い。水15のそのような使用は、エンジン2にあるセル1の20,000マイルを越える作動を、概して可能にする。
【0049】
図8は、一つの実施態様における、水および気体の流れの主要なベクトルを示している。図示するように、半径方向内向きの方向に動く気体状水素および酸素産生の基本的(substantial)かつ主要なベクトルがある。アノード204(図8においては描かれていない)は、半径方向内向き方向の流れベクトルが与えられるように、カソードから間をおいて構成される。他の図(例えば図6)と関連して説明したように、近い距離(d)がそのような作動を促進する。図8は、開口部を含むアノードの構成が、ごくわずかな距離(d)の領域から、アノード内およびアノードの上のより大きな体積内への流れを促進することも示している。そのように、半径方向内向きの基本的(substantial)な流れベクトルが、熱伝達の増加を与え、かつ、さもなければ分解および揮発に繋がる可能性のある鋭い温度勾配を低減する。そのような基本的なベクトルは、電解液の深さDをアノードの高さhまで下げて、電気分解を行っているときに電解液13の上面を観察し得るようにすることによって、容易に観察することができる。
【0050】
図10および図11に示す制御ユニット118は、ボックス118内に含まれても良い(しかし、他のコンポーネント同様、ボックス108内に必ずしもある必要はない)。制御ユニット118は、2線式シリアルネットワーク、ワイヤレス接続または光ファイバー接続を通じてディスプレイユニットへリモート接続され得る。制御ユニット118は、ディスプレイユニットへ情報を送信する前に、データをモニターして編集してもよく、それによって、当該システムが適切に或いは不適切に作動しているという指示(視覚的なものであっても良い)をユーザーに与え得る。ディスプレイユニットは、LED529、LCDまたは任意の他の種類のディスプレイユニットであり得る。
【0051】
図2に示した制御ユニット118は、全システムの作動のオン/オフを制御することができ、また、エンジンが稼動しているときのみ水素および酸素ガスが生成されることを確実にすることができる。制御ユニット118は、典型的には、約30アンペアの定電流出力を維持し、これは、電解液の抵抗が変化するにつれて電圧が変動するのを可能にすることによってなされ、それは、電圧が5.8ボルトと3.8ボルトとの間で変動し得、3.8においてカットオフ値を持ち、かつ、好ましい実施態様では、他の信号が補給状態を指示するというようにである。制御ユニット118は、入力電圧の範囲、出力電圧、アンペア、電流リップル、入力極性保護、出力短絡保護、電解液の温度制御、作動状態のLED表示計、エンジンの作動に関する自動オン/オフ機能、および手動でオン/オフ機能を制御するためのロッカースイッチの調整および/または決定をしても良い。
【0052】
更に図10と図2を参照すると、ワイヤ(配線)508は、制御ユニット118の出力側で、アノードに接続されるセル101のポジティブなターミナルブロック接続に接続される。制御ユニット118は、バッテリーまたは電気システムセパレータ507の出力側にワイヤ515で接続され、電気システムセパレータ507が更に電位電源(electric potential power source)6の正極にワイヤ501で接続される。バッテリーの負極504に接続されるワイヤ502は、制御ユニット118の負入力ポート516に接続される。バッテリーまたは電気システムセパレータは、図10に示していない。ワイヤ507は、制御ユニット118の負出力およびグラウンドポスト119に接続される。ワイヤ520は、バッテリーまたは電気システムセパレータ507の出力側および冷却ファン111および/または冷却制御ユニット230に接続される。温度センサ202は、冷却ファン111および/または冷却制御ユニット230に接続される。
【0053】
点火スイッチが「オン」または「予備(auxiliary)」の位置にあるとき、および、エンジン2が稼動しているときは、一般に大抵の車両バッテリーは約12ボルトの稼動を与えるが、エンジン2を起動するためには通常約13.5ボルトが使用される。電源に接続されたエンジン2の交流発電機(図示せず)およびエンジンスタータ(これも図示せず)が電源から約13.5ボルトを引いてきてエンジンを起動するまで、バッテリーセパレータは12ボルトを持つ。13.5ボルトというパラメータは、安全装置という意図であり、エンジンが作動しない限りかつ作動するまでセル1から水素ガスが形成されないようにする。
【0054】
システムの作動は単純であり、基本原理のもとで作動する。燃焼エンジン2を起動するための内燃エンジンのイグニッションスイッチを回すこと、または、車両操縦席にある離れたトグルスイッチまたは制御ユニット118にあるトグルスイッチによって、電流を電解セル1に供給することができる。その後、車両バッテリー(図示せず)は、アノード204に電流を与えることができる。カソード201は、バッテリーの陰極または接地目的に好適な他の場所に接地される。電流がアノード204に印加されて電解液へ通じると、電解液中の水が分解されてアノード204は酸素を形成し、一方カソード201は水素を形成し、それらは電解液レベルと先端のキャップとの間にあるガス蓄積ゾーンへと上昇する。水素および酸素は、即時に、ガス蓄積ゾーンから、配管102を通じて燃焼エンジンの取入れ口(intake)へ取り出され得る。燃焼エンジンの取入れ口は、燃料が水素および酸素ガスと混合し、燃焼する場所である。水素および酸素は、燃焼エンジン2が稼動している限り生成され得る。キーがオフの位置へ回されると、モーターが停止し、制御ユニット118がシステムをオフに転換する。ユニットが長時間作動すると、電解液は電解質がより高濃度になっていくが、これは、脱イオン水または蒸留水が消散されたためであり、その後作動温度が上昇してコンプライアンス電圧の降下をもたらし、それが水レベルが低いことをディスプレイ529が指示する引き金になる。制御ユニット118とディスプレイ529との接続は、シリアルまたは他のものであって良い。更には、制御ユニット118は、車両の中央のまたは補助の処理(processing)装置(図示せず)に組み込まれていても良い。
【0055】
制御ユニット118は、作動がより安全でありかつ伴うメンテナンスがほとんどなくなるよう、電解セル1の作動を更に制御することができる。カソード201の外壁の温度が42Fに達した場合、温度センサ202が電位発生源(車両バッテリー(図示せず)など)に接続されているヒーター113を始動させ、電解セル1が作動可能でありかつ電解液の温度が増加するまで、ボックス108内の周囲温度を維持する。
【0056】
例えばシステムの電源、所望の水素のアウトプット、および/または、空間的問題(電解セル1またはボックス108の大きさを制限する問題など)を含む作動条件および基準によって、システムで使用されることになる電解セル1の個数は様々であろう。
【0057】
図11は、制御ユニット118の一つの実施態様を更に表している。マイクロプロセッサ806が、メモリー803、中央処理装置804およびインプット/アウトプットインターフェース805と共に与えられる。この構成は、PLC、コンピュータなどを通じてなど任意の方法で実装して良い。典型的なPLCは、TriPLC社から市販されている。メモリーは、あるインターバルからあるインターバルへと、システムの適切な制御のために、パラメータの蓄積を提供する。メモリーは、RAM、ROM、EEROMなどの形態であって良い。メモリーに保存されたパラメータは、他のパラメータを与えて、加熱/冷却ユニット800などの周辺デバイスの作動を命令する変数を制御するために使用され得る。パラメータは、例えば30Aの実質的に一定な電流を制御するためなど、電源801の作動を設定または計算するためにも用いることができる。I/Oインターフェースは、シリアル、パラレル、デジタルまたはアナログなど任意の公知の方法で周辺デバイスと通信し得る。それゆえ、電流および/または温度を制限して電解質が望ましくないほど熱くなりすぎること、および/または、沸騰して蒸発してしまうことを防ぐために、単純な、プログラムで制御可能なコントローラーを使用することができる。
【0058】
一つの好ましい実施態様では、車両の電気系統6は、バッテリーまたは電気系統セパレータ507(図10および11には示されていない)に接続されており、電気系統セパレータ507は電源801に接続されており、電源801は、PLC論理ユニット内のバス接続であり得るI/O805を通じて更に接続されている。電源801が電気系統6によって与えられる電力に基づいてチャンバ101に実質的に一定の電流を与えるよう、マイクロプロセッサ806は電源に制御信号を送信する。I/O805へのフィードバックである信号を生成する電位センサ802も与えられる。説明したように、電解液の体積およびチャンバ101内の液体中の電解質の濃度に応じて、チャンバ101での見かけ上の電圧降下は様々であろう。更なる処理のためおよび他の信号の起こり得る生成のために、そのような変化を表す信号がI/Oインターフェース805に指示され得る。例えば、所定の信号で、電源801によってチャンバ101へ与えられる電流が終了され得る。ユーザーインターフェース50は、別の所定の信号で、I/Oインターフェース805によって、チャンバ101中の電解液のレベルおよび水を加える必要があることをユーザーに指示する信号を送信され得る。
【0059】
一つの好ましい実施態様では、温度センサ202が与えられて、チャンバ101内の電解液の温度を感知する。温度センサ202は、電解液の温度を反映して信号をI/Oインターフェース805に与えても良く、また、該電解液においてマイクロプロセッサ806は、I/Oインターフェース805を通じて与えられる他の制御信号を生成しても良い。与えられたそのような信号は、加熱/冷却ユニット800を制御してチャンバ101に加熱または冷却のいずれかをもたらし得る。別の好ましい実施態様では、温度センサ202は、図2に示すように、制御ユニット118とは独立に作動され得るファン111への接続によって示されるように、加熱/冷却ユニット800へ直接接続されることもできる。一つの実施態様では、センサ202は、ファン111に直接接続される。
【0060】
一つの好ましい実施態様では、図4に示すように、排水器(water trap)/スパーク止め(spark arrestor)が配管102に位置して、インジェクタ117を通じて水素および酸素を燃焼エンジンの取入れ口に供給する。ボックス108を使用する場合、排水器/スパーク止め106は、本開示の範囲および精神から離れることなく、ボックス108の内部または外側に位置することができる。排水器/スパーク止め106は、二重の目的を果たす。第一に、排水器/スパーク止め106は、水が燃焼エンジンの取入れ口から電解セル1へ移動するのを防ぐ。第二に、排水器/スパーク止め106は、爆発の危険性のある燃焼エンジンのバックファイアが電解セル1に達するのを防ぐ。
【0061】
インジェクタ117が使用されて、水素ガスを、一貫して途切れない一定のわずかに拡散した流れで内燃エンジン2に送達する。図4の(および図12において分離されたような)実施態様では、インジェクタ117は、アルミニウムの固体ブロックから切削(milled)された単一ユニットであってよく、長さは1と1/4インチ(11/4inches)、最も広いポイントで3/4インチ、かつ、最も狭いポイントで幅1/4インチである。該インジェクタ117は、同様の規模のものである必要はなく、更には、精密な切削をすることができ、尚かつ、射出されているガスに不利に作用しない任意の材料からなるものであって良い。射出オリフィスがインジェクタ117の全体を通して連続するように、0.032インチの射出(インジェクティング)オリフィスがインジェクタ117の遠位端の先端中央にドリル加工されてよい。射出オリフィスは、ねじが切られており、プラスチック配管の先端にロックされたスリップフィットを受け入れることができるようになっている。極めて小さい大きさの射出オリフィスが利用されてわずかな背圧を生み出し得るが、それが水素供給の流れを不断で一貫したものにする。一つの好ましい実施態様では、その流れは、層流を有するものとして特徴付けられる。インジェクタ117はベンチュリ効果を利用して、ガスを空気取り入れ通路の入り口から燃焼チャンバへ拡散させる。ガスの流れの速度は、インジェクタ117を通過するにつれて増加し、また、圧力は降下する。
【0062】
配管102のスリップフィットと射出オリフィスとの間のしっかりとしたコネクタハウジングとしての役目を果たすよう、インジェクタ117の先端半分は、長方形であって底半分よりも大きいものであり得、それによって低密度のガスが漏れる危険性を取り除く。インジェクタ117の底半分は、丸みを付けられた片持ち梁形状(cantilevered shape)であっても良く、また、インジェクタ117が燃焼エンジンの取入れ口またはタービンハウジング(図示せず)に連結されたポイントでしっかりとしたはめ込みを与えるよう、その外側で部分的にねじ切りされていても良い。インジェクタ117および射出オリフィスの大きさは、本開示が使用される内燃エンジン2の大きさに適合するよう調整され得る。インジェクタ117は、水素が、自由流れの方法(free-flow method)によって、または、ポンプ機構の補助によって送達される場合に使用されても良い。
【0063】
電解セル1からの配管102は、概しては、スナップロックではめ込まれており、また、インジェクタ117を通じて燃焼エンジンの取入れ口の低圧力側(水素および酸素が自由流れの方法を通じて送達されることになる場合)、または、インジェクタ117を通じて燃焼エンジンの取入れ口の高圧力側(水素および酸素がポンプ流の方法を通じて送達される場合)のいずれかに接続され得る。他の決定要因と共に、車両の種類が流れの方法を決定し得る。例えば、燃焼エンジン2が主として冬季に氷点下の温度で操作される場合、または、燃焼エンジン2に排気ガス再循環デバイス(図示せず)が組み込まれている場合、ポンプ流の方法を使用することができる。設置は、典型的には単純であり、現存するシステムへの修正は必要としない。好ましい実施態様では、エンジン2のポジティブクランクケースベンチレーション(PCV)システム(図示せず)が、典型的に、真空または陰圧効果で作用して水素および酸素ガスの流れを助ける。
【0064】
一つの実施態様を図13に示しており、これはステンレス鋼または他の化学的に互換性のある金属から形成される電気分解用キャニスタ28を示している。図13に示すように、該キャニスタ28は、底部29と、キャニスタの頭部31とを有しており、該頭部は、一体になったOリングシール32と、ねじ切りされたロックリング33と持っており、該ロックリング33は、キャニスタの頭部31をキャニスタシリンダ30に固定しシールするが、点検のための容易な取り外しを可能とする。キャニスタ28のキャニスタシリンダ30は、カソードとしての役目も果たす。キャニスタ28の内部には、接続ロッド35によって同心状に固定されたアノード34が位置しており、該接続ロッドは、一方の端部がチタンのブラケット(図示せず)を通じてアノード34に電気的に接続されており、かつ、他方の端部が電気ワイヤの電気端子36となっている。ロッド35は、セントラライザー(中央保持器)38Aと、Oリングシール38Bとによって、キャニスタの頭部31との接触から隔離される。アノード34は、アノード34の各端部のスペーサでキャニスタシリンダ30から隔離される。アノード34は、オープンメッシュまたは穴のあいた固体(図13には示していない)として最良の構成とされる。
【0065】
一つの実施態様を図14に示しているが、それは、車両燃焼エンジン508と接続して使用する本発明の電解セルの一つの実施態様を示している。バッテリーは、505として示されており、電位の発生源(source of electrical potential)の役目を果たす。配管102が示されており、インジェクタ117を通じてチャンバ101をエンジン508に接続している。水素および/または酸素ガスが自由流れの方法を通じて送達されることになる場合、接続は通常、エンジン505の空気取入れ口の低圧力側へのものであって良い。水素および/または酸素ガスがポンプ流の方法を通じて送達されることになる場合、接続は通常、エンジン505の空気取入れ口の高圧力側へのものであって良い。概しては、車両の種類および使用が、送達のための最良の方法を決定するであろう。例えば、ポンプ流の方法は、通常、エンジン508が主として冬季に氷点下の温度で操作される場合、または、エンジンに排気ガス再循環デバイス(図示せず)が取り付けている場合に使用される。概しては、典型的に使用される方法は、現存するシステムへの修正が必要ない最も単純なものである。
【0066】
作動条件および基準(例えば、システムの電源、所望の水素出力、および/または、チャンバ101の大きさを制限するような空間的な問題などを含む)に依存して、システムで使用されることになるチャンバ101の個数は、典型的には、変化してよい。
【0067】
本開示の利点の一部には、その安全面、経済的恩恵および環境的恩恵が含まれる。例えば、水素および酸素ガスの調整された混合物を燃焼すると高温蒸気を産生し;それにより、エンジンからの排ガスは、通常、蒸気洗浄されることができ、また、実質的により低い可燃性粒子の濃度を有することができる。
【0068】
設計の優美さによって、脱イオン水または蒸留水の時折の添加以外、カソード201のコンテナへの保守の必要性が減少する。環境的に優しい電解液は、ユーザーにとって安全であり、カソード201のコンテナから事故的にこぼれた際に危害を生じないであろう。当該設計が単純であることによって、経済的に実行可能な製品が可能となり、該製品は、自動車、トラック、農業機器、建設用機器、電車、発電機、オートバイ、採掘機器において使用されるあらゆる燃焼エンジン、および、非燃焼エンジンの化石燃料燃焼用途(石炭燃料パワープラントを含む)において使用され得る。本開示は、あらゆる可動部を排除するよう設計されており、それによってより高い耐久性とより長い寿命がもたらされる。
【0069】
本開示の安全面の特徴の一部には、配管102における排水器/スパーク止め106の使用、カソード201にしっかりと取り付けられた頂部キャップ、エンジンが駆動するまでは本開示が作動しないことを確実にしている制御ユニット118、システムが適切に作動しているかをユーザーが決定することを可能とするディスプレイユニット、および本開示の作動を制御する(即ち、電解液レベルに応じてシステムをオンオフすることおよびアノード204に印加される電流を制御すること)制御ユニット118が含まれる。排水器/スパーク止め106は、バックフラッシュ阻止器としての役割も果たし、エンジンのバックファイアの際に水素および酸素ガスの事故的な発火を防ぐ。
【0070】
本開示の使用は、化石燃料で作動する燃焼エンジンに関して現在国家が直面している主要な問題に効率的に取り組むものである。他の炭化水素燃料への補足として加えられたとき、水素および/または酸素の混合物は、その燃料の未燃焼分をより完全に燃焼させ、それにより排出物中の毒性ガスおよび/または粒子状物質の濃度の大幅な低減をもたらす。更には、より低いオクタンまたはセタン価を持った、より低質の燃料が、増加した効率のために、エンジン2において有利に使用される。それに対応して、同等の質の燃料が使用されると、より良い車両の燃費および/または電力性能が得られる。例えば、本明細書に記載した様々な実施態様を利用することにより、エタノール、バイオディーゼル、合成ディーゼルおよび他の代替燃料などの代替および非化石燃料を使用して経済性を改善させ得る。
【0071】
本発明の別の期待される利点は、効率が向上したことによりエンジン2の非直接的な保守がより少ないことであり、例えば、腐食の減少により排気システムが必要とする保守はより少なく、走行条件がより優しいことにより、エンジンオイルレベルが必要とする点検の頻度はより少なく、エンジンオイルは清潔なままであり、また、車両の保守補修の他の側面がセル1の使用によって向上することが期待される。
【0072】
本開示の一部の実施態様は、NOx 排出量を約25%低減し、それと同時にNO2排出量のパーセンテージを増すことがないことが予期される。一部の現行の規制によれば、NO2排出量は、全排出量の20%以下でなければならない。更に、得られる燃料燃費が大幅に改善され、その結果、使用される燃料がより少なくなり、かつ大気に加えられる環境汚染がより少なくなる。また、多くの代替物よりも環境に優しい希水酸化カリウムが電解セル内の電解液に使用される。これらは、本開示の利点のごく一部である。
【0073】
以下の実施例は、一部の実施態様の利点を更に示しているが、当然ながら、いかなる点においてもその範囲を制限しているものと解釈してはならない。
【実施例】
【0074】
実施例1
以下の実験データは、本開示の作動の一つの実施態様を示しており、該作動は、向上した効率、より少ないNOx 排出量を有しながら、同時に、NO2 排出量を増やさないものである。該実験データは、本開示の作動と、Stowe 特許において開示公表された水素/酸素燃料セルのデータとの間の燃費増加の比較も示している。以下の実験で使用した電解セルは、コーティングされたアノードシステム(CerAnodeから市販されている)に基づいており、該システムは、基板(0.2重量%よりも少ないパラジウムとのチタン合金を含む)に適用された混合酸化物コーティング(酸化タンタルと酸化イリジウムとの二元ルチル相(dual rutile phase)を含むと思われる)を有する。これらの試験は、一部の条件下で得られ得るいくつかの利点を示している。明らかに、エンジンの状態、環境的条件、使用する燃料などを含む数多くの条件によって、結果は、例えばどんな場合においても改善が見られないなど、様々であり得る。
【0075】
以下の総マイル数(mileage)および燃料消費試験は、2006 ダッジ・ラム(Dodge Ram) 3500 を用いて行ったものであり、8シリンダ、5.9L HO Cummins ターボディーゼルエンジン、4速オートマチックトランスミッション、136アンペアのオルタネータ、750アンペアのバッテリーおよび容量35ガロンの燃料タンクを備えるものである。これらの実施例で用いた燃料セルの構成は、カソードコンテナ、本明細書において本質的に記載したようにカソードから分離されたアノード、バッテリーセパレータおよび記載したような水素インジェクタを含む。
【0076】
第一の試験では、試験毎に容量のマニュアルリファレンスのように満杯の燃料タンクを使用することによって、基準の燃費および燃料消費を確定した。後の試験では、3種類の電解液を使用して上述のコーティングアノードシステムを持つ本開示の電解セルを利用して、燃費および燃料消費を同様に決定した。水素の富化を与える電解セルを、基準において使用したのと同様の現場条件下で機能する燃焼エンジンと共に取り付けた。同じ道を走行したり同じ方法でタンクを充填したりするなど、各試験について実行可能な限り現場条件を同じ方法に維持した。この試験の結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
Stowe特許公開公報が主張するガロンあたりのマイル数増加は22.8%から34.8%の範囲であった。従って、比較すると、本開示は、公表されたStoweの開示よりも、おおよそ最大で、ガロンあたり約30%多いマイル数および/または最小でガロンあたり約10%多いマイル数を与える。当該技術に対するこのような改善は、通常の現場の試験条件におけるあらゆるあり得る変化の下でも明らかに顕著であると思われた。従って、本開示の一つの実施態様は、燃焼エンジンの燃料1ガロンあたりのマイル数を、電解セルを全くなしで試験した基準と比べて絶対的基準で少なくとも約40パーセント増加させたことが分かり、また、一つの場合において、セルは、燃焼エンジンの燃料1ガロンあたりのマイル数を少なくとも約50%以上増加させた。
【0079】
実施例2
以下の排出量試験は、先に論じた試験において使用したものと同様の、2006 ダッジ・ラム 3500 を用いて行ったものであり、8シリンダ、5.9L HO Cummins ターボディーゼルエンジン、4速オートマチックトランスミッション、136アンペアのオルタネータ、750アンペアのバッテリーおよび容量35ガロンの燃料タンクを備えるものである。基準の排出量測定値は、市販のECOM−ACポータブルエミッションアナライザで5分間のサンプリング時間を使用した各試験に基づく3回の試験についての全平均として得た。実施例1の作動の電解セルでの排出量測定値は、セルが定常状態の条件に達する充分な時間を有することを確実にするために、延長した30分の間にわたって得た。サンプリング時間に関わらず、各サンプリングは、約800RPM(毎分回転数)での約1時間のエンジンのアイドリングで行った。当該アナライザは、ガスを測定し、PPM(パーツ・パー・ミリオン)で燃焼パラメータを計算した。ACは、適切にガスサンプルを冷却するために、大流量ポンプ、放射ガス冷却器およびセルフドレイニングモイスチャトラップを組み込んでいた。すべての場合において実質的に一定および同様の条件下でのエンジン作動での本試験の結果を表2に示す:
【0080】
【表2】
【0081】
電解セルを内燃エンジン内に適用して上の試験方法を使用した場合に、電解セルはCO排出量を約23%、NOx を約25%減少させた。従って、このような電解セルは、燃焼エンジン内に電解セルを使用しない試験データと比べて、NOx およびCOの両方の排出量を少なくとも約20%減少させる。実施例1と同様、これらの試験は、一部の条件下で得られ得るいくつかの利点を示している。明らかに、エンジンの状態、環境的条件、使用する燃料などを含む数多くの条件によって、結果は、例えばどんな場合においても改善が見られないなど、様々であり得る。
【0082】
実施例3
本実施例は、どのようにして、多様なコーティングされたおよびコーティングされていないアノードを評価し、水酸化カリウム電解液中での長期的の使用のための好適なアノードを決定したかを示しており、これは、車両の充分な寿命、即ち、およそ5年から10年の寿命を有するであろう材料を見つけるためのものである。従って、わずかに周囲を上回る温度で、わずかに増加した印加電流の電気分解の条件下で、わずかに富化した水酸化カリウムを使用することによって、従来の加速試験の条件を測定した。
【0083】
試験された物質には、316Lステンレス鋼、304ステンレス鋼および400ステンレス鋼が含まれていたが、これら全ては、任意の強度の水酸化カリウム水溶液とともに使用された場合、分離してさびを産生し、汚染をもたらした。チタン金属は、任意の強度の水酸化カリウム中でアノードとして接続された場合、反応してその電導性を低減した。ニッケルめっきは、腐食し分解し、そして望ましくない黒い電解質を残した。銅金属は、水酸化カリウムと共に使用されると緑色に転じ、そして腐食し分解した。マグネシウムは、水酸化カリウムと共に使用されると腐食し分解し(断片化し)、毒性の可能性がある不快臭を生み出した。アルミニウムをアノードとして使用した場合、アルミニウムは焼き切れ、アルミニウム化合物を生み出した。これらのアノードは有用であったが、電導性であって分解抵抗性であるセラミックコーティングでコートしたチタンのアノードが有利であった。
【0084】
コートした材料を試験のために用い、該コートした材料は、CerAnode社から市販されている、酸化タンタルと酸化イリジウムとの二元ルチル相でコーティングされた、0.2重量%未満のパラジウムとの合金となっているチタン基板を含むと思われる。コーティングしていない物質について上で使用したのと同様の試験条件下において、コーティングされたアノードは安定で、分解せず、また良好な特性を与えると同時に電解液の汚染もしなかった。
【0085】
実施例4
別の種類のエンジンにおける燃料需要の減少を測定するために、定置式発電機を使用して当該電解セルの一つの実施態様の有無での燃料消費を調べた。使用したセルは、実施例1および2において使用したセルと実質的に同様であった。
【0086】
以下の試験は、市販のJohn Deer 6気筒、6.8L、4サイクル、200HP、1800RPMエンジンを使用して行った。このディーゼル発電機は、214ガロンの燃料容量を有する。表3に示すように、アイドリングおよび2種類のkW電力発電に対応する3種類の負荷レベルを使用した:
【0087】
【表3】
【0088】
結果は、本開示の一つの実施態様を使用して水素を添加すると、平均で約20体積%の燃料消費の減少が観察されたことを示していた。
【0089】
本開示を特定の実施態様に関して記載してきたが、これらの記載は、限定的意味合いで解釈されることを意図していない。開示した実施態様の様々な修正並びに本開示の代替的な実施態様は、本開示の記載を参照すれば当業者には明らかになるであろう。開示した概念および特定の実施態様は、本開示と同じ目的を行うための他の機構を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることは当業者によって理解されるはずである。そのような同等物の構成は、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の精神および範囲から離れないこともまた当業者によって認識されるはずである。それゆえ、特許請求の範囲は、本開示の真の範囲内にあるそのようなあらゆる修正または実施態様を含むことを意図するものである。
【0090】
出版物、特許出願、および特許を含む本明細書で挙げた全ての文献は、各文献が個別かつ具体的に参照によって組み込まれると表示され、その全体が本明細書に示されたのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0091】
本発明を説明する文脈(特に添付の特許請求の範囲の文脈)における用語「a」および「an」および「the」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がないかまたは明らかに文脈に矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。用語「有する」、「持つ」、「含む」、および「含有する」は、別段の記載が無ければ、オープンエンドの用語(即ち、「含むが、それに限定されない」ということを意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個別に言及する簡易な方法としての役目を持つことを単に意図しており、各個別の値は、それが個別に本明細書に引用されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で記載した全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、或いは明らかに文脈に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書で与えた、任意および全ての例、または例示的な言葉使い(例、「といった(such as)」の使用は、本開示をより良く明らかにすることを単に意図しており、別段の請求が無ければ、本発明の範囲を制限しない。本明細書中の言葉使いは、あらゆる非請求の要素が本発明の実施に不可欠であることを指示していると解釈されてはならない。
【0092】
本発明の好ましい実施態様を、発明者らが知っている本発明を実施するための最良の形態を含めて本明細書で記載している。これらの好ましい実施態様の変形は、上述の記載を読めば当業者には明らかとなり得る。発明者らは、当業者がそのような変形を好適に採用することを予期しており、また、発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載したのとは別の方法で実施されることを意図している。従って、本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙した対象の、適用法によって認められるあらゆる修正および同等物を含む。更に、上述の要素のあらゆる可能な変形でのあらゆる組み合わせが、本明細書に別段の指示がない限り、または明らかに文脈に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、ピストン、関連する燃料、クランクシャフトおよび他の接続と共に、水素および酸素を供給する電解セルを含む燃焼エンジンのシリンダの部分がある模式図を示している。
【図2】図2は、コンポーネント部分と共に一つの好ましい電解セルの横断面図を示している。
【図2A】図2aは、アノードを示している。
【図3】図3は、電解セルに使用される一つの好ましいアノードの切り取り断面図を示している。
【図4】図4は、好ましい電解セルの液体レベルの配置および関連するエンジンおよび大気へのパイピングの模式図を示している。
【図5】図5は、図4に示した一つの好ましい電解セルの拡大図を示している。
【図6】図6は、図4に示した一つの好ましい電解セルの液体レベルのよりいっそう拡大した図を示しており、液体レベルおよびガス産生の大きさの寸法を含んでいる。
【図7】図7は、図6に示した液体での一つの好ましい主要または顕著な水の流れの傾向を示している。
【図8】図8は、アノードでの一つの好ましい主要または顕著な水の流れパターンの模式図を示している。
【図9】図9は、図5に示した一つの好ましい電解セルへの水添加の場所を示している。
【図10】図10は、電解セルの電力コントローラーを表す電気回路図を示している。
【図11】図11は、図10に示したコントローラーの回路設計を示している。
【図12】図12は、電解セルから燃焼エンジンへ水素ガスを送達するために使用される一つの好ましいインジェクタを示している。
【図13】図13は、一つの好ましい電解セルの分解した側面斜視図を示しており、本体から分離された先端を示しており、また電極およびガス送達ラインなどの位置を示している。
【図14】図14は、一つの好ましいノズルで接続された内燃エンジンと電解セルとの模式的な組み合わせの図を示している。
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この特許出願は、2005年10月12日に出願された米国仮特許出願第60/726,049号、2006年7月7日に出願された同第60/819,293号および2006年9月15日に出願された同第60/844,997号の利益を主張しており、それらのそれぞれは、それらへの参照によって全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
本開示は、概しては、燃焼エンジンシステム内で燃料源と組み合わせて使用され得るよう電解セル内で水素および酸素を産生することに関連する。何百万台もの自動車、トラック、バス、および、エネルギー源として炭化水素または化石燃料を利用する他の内燃エンジンの作動に関して、世界が直面している問題の簡単な概説を行うことにより、本開示は最も良く理解され評価され得る。
【背景技術】
【0003】
世界が直面している主要な問題の一つは、内燃エンジンからの燃焼副生成物として産生される有害ガスによって引き起こされる大気汚染である。これらの汚染物質の一部には、一酸化炭素(CO)、亜酸化窒素(NO)、未燃焼炭化水素および二酸化硫黄(SO2)が含まれる。少なくとも過去35年間、より少ない毒性汚染物質の排出量をもたらすエンジンおよび燃料技術を開発し商業化するために、連邦政府および民間産業の両者によって多大な資金が費やされてきた。
【0004】
世界が直面している別の主要な問題は、化石燃料(車両および他のエンジンがそれで作動している)がますます不足していることである。それにもかかわらず、合衆国の輸送エネルギーの約97%より多くが化石燃料からである。世界的な需要は先例のない率で増加し続けている一方で、化石燃料の限られた供給は減少しており、それが消費者および国家経済に経済的負担を生み出している。例えば、2004年〜2006年には、ガソリン平均価格は、1ガロン$1.30から1ガロン$3.00まで2倍を超えて増加する傾向があった。利用可能な化石燃料の不足は、少なくとも30年前、即ち1970年代の不足よりも前までさかのぼって続いてきた問題である。合衆国および他の多くの国々は、外国の化石燃料に大きく依存しているため、化石燃料または代替的な燃料種のより良い使用の助けとなる安価で安全な技術に対する差し迫った必要性が長年存在してきた。
【0005】
炭化水素または化石燃料の代替として、水素ガスが電力源として研究されてきた。水素ガスは、一般に、燃焼燃料になりうるものとして或いは他の燃料セル中での提案がされてきた。水素ガスが燃焼すると、一部の化石燃料と比べてかなり多くのエネルギー(約3倍)が放出され得る。そのようなシステムでは、水素は酸素存在下で燃焼してエネルギーを放出し得る。更に、適切な条件下では、水素ガスは酸素と非常にクリーンに反応し、基本的に副生成物として純水を生み出す。
【0006】
これらの利点にも関わらず、深刻な技術的および経済的困難を含む様々な理由から、水素ガスも酸素ガスも、代替燃料源として急速には展開していない。例えば、米国政府のいくつかの報告によれば、車両用の水素ガス貯蔵システムは、車両のカーゴまたは乗車スペースに侵入しない限り、消費者の期待する走行距離を満たすには不十分である。集まった水素ガスの爆発性の揮発度のせいで、大量に貯蔵する場合、それらは非常に危険かつ環境的に安全でないものになり得る。また、水素ガスは、現在、ガソリンおよびディーゼル燃料よりも3倍から4倍高価である。燃料セルは、内燃エンジンよりも約5倍高価であり、また、車両の使用できる全寿命にわたって性能を維持しない。更に、水素ガス供給インフラを開発する投資リスクは、技術の現状を考えると、あまりに大きいものであると理解されている。
【0007】
車両に搭載し貯蔵した水素ガスを、化石燃料の燃焼も行うエンジンに導入することが考えられてきた。しかしながら、大きなタンク中での水素ガスの車中貯蔵(on-board storage)は、これらのシステムは水素のみで作動するエンジンまたは燃料セルと同様の困難を免れないため、多大かつおおよそ克服できそうもない安全面の課題を提示している。それゆえ、このようなシステムは、他の水素ガスセルおよびエンジンと同様の欠陥を同様に免れない。
【0008】
Gene Stoweへの米国特許第5,231,954号は、代替物を提供することにより、そのような水素のシステムと関連する貯蔵の問題を回避する試みを行った。当該特許は、「水素/酸素燃料セル(Hydrogen/Oxygen fuel cell)」というタイトルであり、閉じた電解チャンバ内での水素および酸素の産生に概して関連すると述べられ、該チャンバは電解水溶液で満たされ、かつ、電位の発生源に接続された電極を有して作動するというものである。他の者らは、例えば「電気分解による内燃エンジン内での燃焼を促進する方法および装置(Method and apparatus for enhancing combustion in an internal combustion engine through electrolysis)」というタイトルのCunninghamらへの米国特許第5,105,773号などの、当該分野における開示を生み出した。Cunninghamらの特許は、自動車または他の車両での使用のために設計された電解槽の装置であって、電解アノードおよびカソードの表面積および方向性の変化によって必要量の水素および酸素を産生する前記電解槽の装置を含むと述べられたシステムを開示した。Rossへの米国特許第6,896,789号は、電解セルおよびそれを含む内燃エンジンのキットに関連していた。Roseへの米国特許第5,452,688号は、内燃エンジン内での燃焼を促進する方法および装置を開示していると述べられていた。これらの先行開示は、参照により、本開示への背景としてそれらの全体が本明細書に包含されるものである。
【0009】
当該分野における他の者らの開示および努力にも関わらず、これらの開示および技術は、全体として、本明細書で開示した装置のような、当該技術における問題を克服している装置を提供することができていなかった。先行技術のシステムは、十分に環境的に安全かつ安定したものではなかった。そのデバイスで使用された化学物質は、しばしば毒性であり、さもなければ水素および酸素という爆発的に揮発性のガスの危険な蓄積または加圧によって安全ではなかった。それらの開示は、様々な作動パラメータが相互に依存していて不安定であり、更なる不信頼性および不安定性を引き起こす様々な付加的な機械装置(machinery)への依存に繋がっていた。先行技術は、そのような電解チャンバ内で生じる過熱の問題を解決できなかった。先行技術は同様に、内燃エンジンの燃焼チャンバへの水素および酸素の持続的な供給に関連する問題を解決することができなかった。先行技術はまた、可燃性物質としての水素および酸素の使用に焦点を合わせた。先行技術開示の多くは、加圧した水素ガスおよび酸素ガスを伴っていたが、それによりなおさら不安定で潜在的に危険なシステムとなっていた。先行技術のデバイスは、該デバイス内部のチャンバにおける爆発性ガスの産生および蓄積の制御が変動および欠落しがちであった。一部のデバイスは、制御されない熱、ガスの消散の障害、燃焼性ガスの圧力制御の障害、およびシステム内での他の不安定性に起因して爆発を被っていた。
【0010】
更には、先行技術は、燃焼エンジンの作動において安定した信頼性のある効率を与える能力を有するデバイスを提供することができなかった。先行のデバイスは、水素および酸素ガスの利点の制御をコンパクトに与える設計を提供することができなかった。安全性リスクを高めることなく毒性のない物質を用いることのできる電解チャンバの効率的な設計は存在しなかった。当該技術は、しばしば、チャンバが、システムの熱力学が十分制御されないような方法でアノードおよびカソードで構築されている複雑な構造を持っていた。同様に、そのようなシステムは、水素の適切な産生の制御もしながらそのようなパラメータを認識して扱うことはできなかった。先行技術のチャンバの位置付けは、電界の欠陥、最適な電気分解をもたらすことができないこと、制御をもたらすことができないこと、並びにコンパクトな大きさおよび単純な構造を維持しつつ水および導体の適切な熱力学を与えることができないことを免れないものであった。そのような先行技術のシステムは、エンジンのパラメータ(例、冷却液、オイルなど)をモニターすることを時に求められても、容認できないほどの短い間隔でそのような保守を行ったりしない通常の消費者にとって有用であるに十分安定なシステムを提供することもできなかった。
【0011】
これらの力学的条件を十分制御することおよび毒性がなく用いるのに容易なシステムをもたらすことができないことは、コスト、複雑性、有用性および安全性などの観点から、先行のデバイスを非実用的なものにしていた。例えば、セルにおいて熱が適切に制御されなければ、電解液の抵抗率および導電率は変化し、それにより、熱力学、液の熱分散、ガスの産生、構成部分の安定性などのようなパラメータを悪化させるか悪影響を与える可能性がある。パラメータを制御できなければ、デバイスの作動パラメータは毒性または危険なものとなることが避けられないかもしれない。先行のシステムの不安定性は、システムを力学的に変化させたと称するシステムを、ある者が開示することに繋がった。しかしながら、そのようなシステムは同様に、本質的に不安定、非実用的、不安定かつ毒性のあるものであった。例えば、先行のシステムのうちの一部の装置は、必要な水素ガスおよび酸素ガスをもたらすことができるようにするために、ユーザーにとって装置が毒性のものとなる原因である高いpHの溶液を利用していた。実際、安定かつ制御されたシステムを十分に提供することができないことは、セルの劣化および漏れまたは他の致命的な条件に繋がり得るものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示までに存在せず、かつ産業界が長く求めていたものは、そのような問題点を回避して、本明細書における好ましい実施態様の開示から明らかである他の有利なパラメータの中でも特に、毒性がなく、より信頼性があり、直接的および非直接的な保守の必要性が少なく、寿命が増加しており、作動がより安全であり、必要とする空間がより小さく、環境的により優しく作動し、作動時の燃費効率がより高く、燃焼エンジン内でより低品質な燃料の使用を許容し、かつ18輪トラックおよびスポーツユーティリティービークルなどの消費者のパフォーマンス用途にとって経済性が向上した、信頼性があり能率化されたシステムを提供することができるデバイスである。
【0013】
従って、本開示の目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、より少ない保守を必要とし得る装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0014】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、より長い寿命を持ち得る装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0015】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、より安全に作動し得る装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0016】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、より高い燃費効率を与えることおよび様々な供給源からのより低品質な燃料の使用を許容することを含む、環境的により優しいものであり得る装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0017】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、毒性のない装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0018】
本開示の更なる目的は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム並びにそれを伴い、コスト効率が良く低価格であり、設置および保守が容易であり、かつ爆発の危険を取り除くための単純なメカニズムを含んだ装置および方法を、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0019】
本開示の別の目的は、より良い燃費効率を与え、かつ、一部の例としてオキシジェネート(oxygenates)またはエタノールまたはMTBEまたはバイオ燃料のような他の非化石燃料、またはE85燃料などのフレックス燃料(オキシジェネートとともに低いRONCの炭化水素を有する)などのブレンド物のような代替化合物を含み得るより低い実行効率のモーターオクタン価のガソリンまたはディーゼル燃料を用いても改善された結果を達成する、様々な種類の高性能車両(performance vehicle)のための改善された内燃システムを、好ましい実施態様を通じて提供することにある。
【0020】
システムの構造、およびシステムの要素の協働を含む請求された対象が全体として合わさって本開示の予期しない利点および有用性をもたらすことが当業者にとって明らかになるであろう。本開示の利点および目的並びに燃焼エンジンシステムを持つそのような改善された水素/酸素燃料セルの特徴は、付随する明細書、図面、および添付の特許請求の範囲と併せて読めば当業者には明らかになるであろう。特定の用語および言い回しは本明細書に開示した発明の例である好ましい実施態様を説明するために使用されるものであるため、本明細書における開示は使用されるそのような用語または言い回しに制限されるものではない。特に本開示は当業者に向けて書かれたものであるため、特定の事柄を意味するために用語を“定義する”と本開示が具体的に述べていない限り、本開示は用語に特別な制限を設けはしない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
発明の概要
本開示は、水素/酸素燃料セルを利用する改善された内燃システム、および、それを伴う装置および方法を含む。本開示は、先行開示に対して非常に有利であるシステムの様々な側面および修正を提供する。本開示は、開示される任意の特定の実施態様または最良の形態に制限されるものでなく、本開示が提供する科学への貢献を包含する。
【発明の効果】
【0022】
本開示の様々な態様のなかでも、他の態様の中でも特に、より少ない保守、より長い寿命、より安全であること、システムが環境により優しいこと、毒性のないことなどの目的を達成することに関連するシステム、方法および技術が開示される。本開示は、水素および酸素ガスを利用する内燃システムであって、実質的に周囲圧力またはわずかに周囲を上回る圧力、または水素および酸素ガスの生成に関して意味のある圧力を下回らない圧力で作動する前記システムの製造および実装と関連する態様を含む。新規かつ有利なサイズ比を含む、電解チャンバの部分としてのアノードおよびカソードの構成および配置と関連する開示がある。熱力学的安定性を制御する装置および方法の開示がある。水素および酸素ガスの長期にわたる制御された放出を与える構成の開示がある。全体としてより良い消費者経済のために、より低品質な燃料での向上した性能の開示がある。
【0023】
更に、水素および酸素ガスの産生のために与えられたエネルギーを制御することが可能なロバストなシステムを与えるシステム、方法および技術の開示がある。電気分解によって生成されるガスをもたらす効率を最大化することに関連する開示がある。内燃エンジンおよび排気システムに対して大幅な改善をもたらす信頼性がありかつ低保守の安定したシステム、並びに関連する直接的および間接的なコンポーネントを提供する開示もある。フィードバックシステム、制御システムおよび安全性システムなどの開示がある。向上した性能(改善されたパワー並びに減少したエンジンの磨耗および/またはノッキングの両方)、向上した燃費、および/またはそれらの組み合わせを与える構成であって、任意でエタノールを含むより低い定格の燃料、および/または非化石燃料または非化石含有量が約10%を上回る燃料を含む、様々な用途におけるより低いモーターオクタン価または同等のセタン価からの構成が開示される。
【0024】
好ましい実施態様は、ある部分および部分の配置において物理的な形態を取り得る。実施態様およびその利点のより完璧な理解のために、付随する図面と併せて解される以下の説明に対して参照がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
好ましい実施態様の詳細な説明
以下の論考は、当業者が本開示を製造し使用することを可能にするために提示される。本明細書で説明される全般的な原理は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲から離れることなく以下に詳述する以外の実施態様および用途に適用され得る。本開示は、示す実施態様に制限されることを意図しておらず、本明細書に開示する原理および特徴と合致する最も広い範囲が許容され得る。
【0026】
内燃エンジンは、概しては、1以上の燃焼チャンバからのエネルギーの放出に基づく。該エンジンは、燃料および酸素ガスを与えるためのシステムを該エンジンの内部に含んで、または、該システムと結びついて作動する。大抵の場合、酸素ガスは、窒素に富んだ空気に含まれたものを通じて与えられる。一つの好ましい実施態様では、当該内燃エンジンは、電気分解(electrolysis)による水素および酸素ガスの産生を含む。放出された水素および酸素ガスには、典型的には、混合物として空気が供給される。しかしながら、ガスの他の混合を供給することが可能である。例えば、水素および酸素ガスのみを供給し、空気を実質的に利用しないことが可能である。一つの好ましい実施態様では、ガスおよび燃料が一緒にされ、その結果、それらは燃焼チャンバ内に同時に存在する。燃料は、通常のキャブレター配置におけるように、水素および/または酸素ガスと共に与えられ得る。燃料はまた、燃料噴射におけるように、チャンバに直接与えられ得る。更には、物質の凝集体の発火(イグニション)が、スパークプラグの発火の結果として、または、圧力点火等といったの他の方法によって生じ得る。
【0027】
燃焼は、燃料の反応を生じさせて副生成物を産生させる。ある場合には、燃料は完全には燃焼されていない。一つの好ましい実施態様では、また、適切な量で供給された水素および/または酸素ガスの含有の結果として、燃焼による毒性ガスの産生が低減される。燃料はより完全に燃焼し、より少ない毒性物質を車両に残すことに更に繋がる。そのようにして、一つの好ましい実施態様は、触媒コンバータが、一部の燃焼エンジンに必要とされる排出基準を満たす必要がなくても良いことをもたらす。一つの好ましい実施態様は、好ましい実施態様(複数)を用いて触媒コンバータを用いるエンジン中に存在する毒性物質を更に低減し得ることをも、もたらす。
【0028】
好ましい実施態様の水素および酸素ガスは、実質的に周囲の圧力または周囲をわずかに上回る圧力にある電解チャンバ内に与えられる。そのようなわずかに周囲を上回る条件には、海水面の上および下の両方で経験される条件、並びに、その少し増加した条件が含まれ、好ましい実施態様においては、周囲を3気圧相当未満上回っており、更により好ましい実施態様においては、周囲を1気圧相当未満上回っており、周囲圧力を約3psi上回るあるものであり得る。その後、水素および酸素ガスは、任意の方法で燃焼チャンバへ送られ得る。例えば、水素および酸素ガスは、当該燃焼エンジンにおいて通常使用される空気移送通路の中に入れられ得る。ノズルが一つの好ましい実施態様において利用されて、水素および/または酸素ガスが通路中により十分に分散することを可能にし得る。好ましいノズルは、水素と酸素ガスの供給を伴う大きな導管を含んでおり、かつ、水素および酸素ガスを通路(好ましい構成としては、燃焼チャンバに繋がっている)の中に放出するための小さいオリフィスまたは一連のオリフィスを含んでいる。そのようなノズルは、低い圧力差の下、実質的に、周囲の圧力、または、周囲に近い圧力、または、周囲をわずかに上回る圧力で作動するものであってよく、水素および/または酸素ガスの流れを、燃焼チャンバに繋がっている通路中の水素および/または酸素分子の分散した混合物に変換する。一つの好ましい実施態様では、水素および/または酸素の分散が、毒性物質の挙動および低減に関して驚くべき利点を与えることが提供される。
【0029】
電気分解の好ましい実施態様による水素および酸素ガスの産生に基づいてそれらのガスが共に与えられる好ましい実施態様が利用されるものの、それらのガスは、実質的に水素ガスのみに分離され得る。一つの好ましい実施態様には、水素ガスの産生および導入に基づくシステムの制御が含まれる。一つの好ましい実施態様では、驚くべきことに、水素ガスの産生が、燃焼性能をより良く制御するために制御されるべきであることが見出された。そのような場合、水素ガスの産生は、ユニットに与えられる設計およびエネルギーによって制御され得る。
【0030】
一つの好ましい実施態様では、電気分解は、電解液の存在下でのアノードおよびカソードへの電力供給を通じて達成される。好ましい電解質は、脱イオン水、蒸留水、さもなければ同様に処理された水の中で与えられる水酸化カリウム(KOH)である。電解質には、等価形態、および、他の化学物質(例えば、水酸化ナトリウムまたは他のアルカリ性物質或いは他の非アルカリ性物質との混合物などのような当該分野において知られたもの)が含まれ得る。KOH存在下での該液のpHは、実質的に毒性のない約7から14のpHの範囲内で作動することが好ましい。他の好ましいpHの範囲は、実質的に約9から約14、および実質的に約10から約13である。KOHのモル濃度は、モル濃度(即ちmol/L)ベースで約0.001から0.2の範囲に実質的にあることが好ましく、或いはモル濃度ベースで約0.005から約0.1の範囲に実質的にあることがより好ましい。好ましくは、電解質は、全溶液の約0.05から約3%までを有してなる。好ましい実施態様では、水1ガロンあたり約1から約25グラムのKOHが加えられる。
【0031】
一つの好ましい実施態様では、電解チャンバは、所定量のKOH若しくは他の電解質の存在下において、水で満たされる。チャンバは、分解および腐食を避けるように構築されているのと同時に、電解液に電圧を与えるために電導性のアノードを含んでいる。好ましいアノードは、CerAnode Technologies International(Dayton、Ohio)により提供されている。好ましいアノードは、当該技術において利用可能であるよう腐食および分解に対する耐性を持つ保護導体によってコーティングされた、貴金属(noble metal)、バルブ金属、貴金属(precious metal)、金属合金、および任意の同様のものなどの基板金属(または金属の組み合わせ)から形成されているものであり得る。コーティングは、当該技術において利用可能なような、貴金属(precious metal)、導電性の金属酸化物、混合金属酸化物、導電性ポリマー、サーメット、セラミックスおよび任意の同様のものから成るものであり得る。そのようなアノードは、例としては、米国特許第4,138,510号;同第4,297,421号;同第4,468,416号;同第4,486,288号;同第4,946,570号;同第5,055,169号;および同第6,217,729号に開示されたものなどを含む任意の公知の利用可能な物質から作られたものであり得:ここでそれらの各特許は、それらへの参照により明示的に、その全体が本明細書に組み込まれるものである。アノードは、任意の公知の方法で不動態化、安定化、および/または、腐食保護され得る。好ましいアノードは、望ましくない電極溶解がないこと、望まない副生成物の産生がないこと、チャンバを頻繁に浄化(purging)する必要がないこと、および、アノードを頻繁に交換する必要がないことという特徴を持つ。完全な電導性のまたは半電導性のコーティングをバルブ金属基板などの基板に適用して作られたアノードは、加速試験に基づいて10年若しくはそれより長い充分な耐用年数を有する、耐久性のある、寸法的に安定な、小型のアノードを通常与える。好ましいバルブ金属の原料物質はチタンであるが、タングステン、タンタル、ニオブ、アルミニウム若しくはジルコニウム、またはそれら2つ以上の合金であっても良く、或いは原料物質は、前述のバルブ金属(単数または複数)に加えて、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、モリブデンまたはそれらの混合物などの低い過電圧を有する別の金属(単数または複数)を含んでいても良い。通常のセラミックコーティングは、酸化イリジウム、酸化タンタルおよび酸化チタンの多相ルチル混合物であり、厳密なコーティングは様々であり得るが、コーティングは一般に、Ta3O5およびIrO2を組み込んだ、ドーピングしたまたはドーピングしていない混合金属酸化物フィルムを含む。コーティングをドーピングする場合、通常、+4より小さい価数を持つ金属酸化物が使用されて、コーティングの機械的特性に負の影響を与えることなく酸素発生のための触媒活性を増加させる。ドーピングの金属酸化物は、コーティングの約0.1から約5重量%、好ましくは約1.5から約3.0重量%で存在し得る。好適なドーピングの金属酸化物には、以下に限定されないが、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、およびコバルト、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、マンガンなどの周期表第VIII族、VI B族およびVII B族の要素が含まれる。通常、金属コーティングは、めっき、クラッディング、または押出加工などの任意の好適なプロセスによって基板上に堆積され;通常、混合金属酸化物コーティングまたはサーメットコーティングは、プラズマスプレーまたは熱分解などの任意の好適なプロセスによって基板上に堆積される。一つの好ましい実施態様では、アノードは、チタン製の電気伝導性のベースを有し、該ベースはその外表面の少なくとも一部を覆う電導性コーティングを持ち、該コーティングは、貴金属(precious metal)、貴金属酸化物(precious metal oxide)、バルブ金属酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの物質を有してなる。好ましくは、該電導性コーティングは、酸化イリジウム、酸化タンタル、酸化チタン、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つの酸化物を有する。電気伝導性のベースは、好ましくは少なくとも一つのバルブ金属を有し、より好ましくは少なくとも一つのバルブ金属と、白金族金属の少なくとも一つとの合金を有し、更により好ましくは最大0.2重量%のパラジウムを含有するチタン合金を有する。
【0032】
一つの好ましい実施態様では、水および電解質を保持する容器は、それ自体がカソードである。そのような好ましいカソードおよび容器は、ステンレス鋼で構成される。一つの好ましい実施態様では、カソードはヒートシンクの役割を果たして熱エネルギーを電解セルの外側の大気に伝える。熱エネルギーは電解セル内部で生成される。一つの好ましい実施態様では、そのような熱エネルギーは、最初に電解液にそしてセル全体に分布する。電解液は、体積全体に循環されて、熱を産生した領域から熱を分散させる。熱エネルギーは、カソードまたはセル容器の壁を通じて実質的に除去され得る。カソードの容器は、ヒートシンク、ファン、または、他の構造物を含んで、周囲の大気への熱エネルギーの移動を促進しても良く、或いはファンなどの他のシステムが与えられても良い。一つの好ましい実施態様では、アノードがカソードの近くに置かれ、尚かつ、かなりの体積の液体があることによって、システムは熱エネルギーを効率的に移動および放散させ得る。
【0033】
一つの好ましい実施態様では、電気分解が起こる区画(compartment)は、十分な水を含んでおり、該水は、アノードとカソードとの間に電解液を維持するためには必要ではない。電解液は、水素および酸素ガスの放出のおかげで、電解液の循環を与える。一つの好ましい実施態様では、循環は温度勾配の生成を和らげ、温度について熱い場所が、電解液全体により均一に分散される。アノードは、その中に開口部を持つよう構築され、それにより電解液がアノードを通じて循環し得、また、アノードとカソードとの境界領域で生成された熱エネルギーを電解液の他の部分に移動させ得る。一つの実施態様では、そのような領域は、アノードとカソードとが、アノードの長さにわたって距離dによって実質的に分離された領域を含んでいる。電解液および熱エネルギーの循環は、水素または酸素ガスの放出によって制御および移動される。そのようなガスの放出は、熱冷却電解液をアノードの開口部を通過させて、著しく熱い場所(該液が沸騰さもなければ分解または正常に機能しなくなり得る場所)を実質的に含まず、かつ、実質的に均一な温度勾配を与える。一つの好ましい実施態様では、電解液の主要な、目立ったまたは顕著な流れの傾向は、ローターおよび/またはカソードの軸に、実質的に垂直な平面内で、半径方向(radially)内向きに流れる。そのような流れには、ローターおよび/またはカソードの軸に実質的に垂直でない方向のベクトル流も含まれ得る。そのように、一つの好ましい実施態様では、アノード表面に沿った流体の流れのベクトルには、半径方向の直線に沿って内向きに流れる実質的なベクトルが含まれる。そのような流れの傾向は、有利かつ驚くべきことに、アノードの配置を可能にするために利用され、その結果アノードは、より大きな電解システムへのエネルギーの効率的な熱移動を可能にすると同時に、実質的にカソードの近くに位置し得る。
【0034】
チャンバが電解液で満たされている場合、アノードは完全に液面下に沈んでおり、特にアノードがカソードに最も接近する場所で、アノードの上方にはかなりの液が存在する。水素および酸素ガスが放出されるにつれ、電解液レベルまたは体積はより減少していく。レベルまたは体積がより減少するにつれ、KOHの濃度および残存する電解液のpHは増加する。一つの好ましい実施態様では、カソードおよびアノードに印加される電流は、実質的に一定に維持される。驚くべきことに、水素および/または酸素ガスの産生は、電解液の性質が変化してさえも、実質的に電流を一定にすることによって実質的に一定に制御され得ることが分かった。一つの好ましい実施態様では、電解液レベルまたは量は、一定に維持される必要がない。電解液レベルまたは量は、水素および酸素ガスの実質的に均一な産生を維持しつつも、水素および酸素ガスが放出されるにつれて低減されることが許容される。電解液レベルまたは量が低減されるにつれて、電解液の実効抵抗は変化し、それは、制御ユニットへの関連付けられた信号に反映される。そのような信号は、アノードとカソードとの間の実効電圧の変化としてモニターされ得る。一つの好ましい実施態様では、実効電圧は、車両の他の部分に対するおよびユーザーに対する制御信号を与えるために利用される。様々な信号の中で、ユーザーは、電解チャンバに水を加える必要がある場合に、通知されてもよい。加えて、一つの好ましい実施態様では、実質的に一定の電流の下でのアノードとカソードとの間の電位差が、カットオフ閾値(その閾値で、アノードおよびカソードへの電力が停止される)を決定するために利用される。電圧降下は、低効率、ワット数、導電率、静電容量または他の電気的現象などの他のパラメータを通じて効率的に測定され得る。
【0035】
一つの実施態様では、水素および酸素ガスは、非化石燃料(non-fossil fuels)と組み合わせて使用され、該非化石燃料は、バイオ燃料、エタノール、および、燃料の混合物を含むその他のもの(化石燃料に対する非化石燃料の混合が増加しているもの)といったものである。例えば、一つの実施態様では、水素および酸素ガスは、エタノール含有量が10%を上回る燃料の燃焼において組み合わせられる。驚くべきことに、より効率的に燃焼し、それによってより高いグレードの化石燃料への更なる代替物を提供するために、非化石燃料の含有量はより高くされ得ることが分かった。従って、ある実施態様においては、現在市場にある一部のエタノール含有燃料にとって標準であるように、非化石燃料含有量が10%を上回る燃料などの代替の燃料源が利用され得る。分岐エーテルおよび他のアルコールを含む他のオキシジェネートが有利に使用され得る。別の実施態様では、バイオ燃料またはブレンド物(Flex Fuel、または、バイオマテリアル、炭化水素、オキシジェネートおよびそれらの混合物からなる群から選択される構成要素との他の種類の混合など)が、電解セルによって与えられた水素および/または酸素ガスを添加して利用され得る。
【0036】
様々な実施態様を、図面を参照してより詳細にこれから説明する。図1は、燃焼エンジンの主要部分を示す概略図を示しており、該燃焼エンジンは、電解セル1、エンジンシリンダブロック2(一部の実施態様においてはエンジン自体も表す)、ピストン3、コネクティングロッド4およびクランクシャフト5を含んでいる。当該概略図は、電源6も示している。一つの好ましい実施態様では、電源6は、約30アンペアに維持された実質的に一定の電流を与える。それによって、セル1への電流の印加時に産生される水素および酸素ガスは、通路12を通じて空気などの他のガスの流入も可能にし得る導管を通じて、即ち、通路7を通じてブロック2へ移動する。前記ガスは、取入れ(intake)ポート8を通じてエンジンシリンダブロック2に流入し、該取入れポートで前記ガスは燃料ポート9によって供給された燃料と組み合わせられる。燃料混合物の燃焼時に、ピストンは当業者に周知の燃焼エンジンを作動させる手段で駆動される。燃焼生成物は、排気ポート10を通じて出て行く。
【0037】
図2は、関連する構成部分と共に、電解セル1の一つの実施態様を示しており、次のコンポーネントを含んでいる:(a)配管102(熱的に安定なナイロン配管など)に接続された電解チャンバ101;(b)制御ユニット(CU)118;(c)配線ハーネスの一部であって、(i)チャンバ101を制御ユニット118へ接続するもの、(ii)制御ユニット118を電位発生源(electrical potential source)(例、通常の車両バッテリーまたは車両電気システム(図示せず))への電気システムセパレータ507へ接続するもの、および、(iii)制御ユニット118を、妥当な場合に、ディスプレイユニット(例、発光ダイオードまたはLED529)へ接続するもの;(d)配管102にある排水器(water trap)/スパーク止め(spark arrestor)106;および/または(e)燃焼エンジンのバックファイアからのスパークが万一起こった場合にそれを放散し、かつセル1が間違った方向に向いた事故の際にいかなる電解液もラインおよびエンジン内に誤って入らないようにするためにあるような他のデバイス。一部または全てのコンポーネントは、ボックス108内に収容され得、それにより当該実施態様の設置および隔離を促進する助けになり得る。典型的な制御ユニットは、Neuron Technology社から供給され得る。
【0038】
ボックス108は、アルミニウムで構成されても良く、開くことが可能な前面壁(図示せず)と、ボックス108の背面壁(図示せず)に位置し得る調節可能な通気孔109と、チャンバ101の内側または外側に取り付けられたファン111)と、底壁114の内側に取り付けられたヒーター113とを有することができる。典型的には、ヒーター113が、そこから電気ワイヤおよびプラグが伸びているステンレス鋼のハウジング内に概して収められており、設定制御(setting control)および温度センサを有していても良い。しかしながら、示した実施態様は、ほぼ長方形の形を有しているボックス108を描いているが、ボックス108は任意の幾何学的形状で構築されていて良く、それは本明細書に開示した他の形状についても当てはまることは当業者に理解されるであろう。また、本開示の範囲および精神から離れることなく、ボックス108は、アルミニウムに加えて、プラスチックおよび金属を含む他の物質からなるものであって良いこともまた、当業者によって理解されるであろう。ボックス108内のコンポーネントが、車両、またはボックス108のない内燃エンジン508を使用する他の設備に設置され得ることもまた当業者に理解されるであろう。(本開示の一つの実施態様の説明の目的で、この実施態様をボックス108を示しつつ説明してきた。この特許出願の開示の範囲は、そのような説明またはあらゆる他の好ましい実施態様によって制限されることを意図しない。)ボックス108または他の様々なコンポーネントは、車両のフレーム(図示せず)に、車両の内部に、或いは本開示が利用されることになる燃焼エンジンシステム(同様に図示せず)の近くに取り付けられ得る。
【0039】
ボックス108は、底部と交わって堅固にヒンジで連結された前面壁(図示せず)と、遠位端部にあるロックループ115と、両側にあるラッチ116(バタフライ・スナップ・ラッチなど)とを含み得る。しかしながら、本実施態様は、そのようなオープン・ロックのシステムを使用しているが、本開示の範囲および精神から離れることなくあらゆるオープン・ロックのシステムが使用され得ることは当業者に理解されるであろう。通気孔(draft vent)109は、全般的には、空気の流れが流入して電解チャンバ101を冷やすことを可能にする開口を少なくとも一つ含み、それにより、電解チャンバ101から、ボックス108を通じた空気の流れへ熱エネルギーを伝達するよう助けられた空気の流れを与える。ヒーター113(典型的なコイルヒーター、または、別のあらゆるタイプなどのもの)もまた、本開示の範囲および精神から離れることなくチャンバ101を加熱するために含まれ得る。ヒーター113は、典型的には、そこから電気ワイヤおよびプラグが伸びているステンレス鋼のハウジング内に概して収められており、設定制御および温度センサ(図示せず)を有していても良い。アノード204が明らかになるよう、電解セル1の一部を、図2に切り欠き断面図で示す。電解チャンバ101は、体積(一般に、好ましい実施態様では、チャンバ101の壁の円柱の体積と同等である)を規定するカソード201を有し;電力接続199も示されており、カソード201または冷却ファン制御ユニットのためのチャンバに連結された温度センサ202、カソード201の先端にねじ込みまたはクランプされ得る補給オリフィス203、蓋120にしっかりと連結された配管102(ナイロン配管など)、該体積内にあるがカソード201とは接触していないアノード204、並びに該体積内にありかつカソード201およびアノード204に接触している電解液13(例えば図4においても示されている)を有する。加えて、Oリング(図示せず)が蓋120とカソード201の先端との間に設置されても良く、それによりガスおよび電解液の漏れを防ぐためのシールを作り出す。電解セル1の大きさは、電解セル1が連結または組み込まれる燃焼エンジン2の大きさに応じて様々であって良い。
【0040】
図2に見られるように、カソード201は、円柱形を有していても良い。カソード201の蓋は、典型的には、蓋にネジのある、縁のある(lipped)ネジ式のオリフィスで構築されていても良く、それにより、カソードシリンダーを、適切なように、脱イオン水または蒸留水で補充することが可能となる。カソード201は、また、オリフィスを持っており、該オリフィスからアノード204の先端が突き出すことができ(例えば、図2においてチャンバ101の底部に示されているように)、かつ、より小さな縁のあるオリフィス(例えば、図2においてチャンバ101の先端に示されているように)を有し、その縁のあるオリフィスに、燃焼エンジンのコンパートメントへ水素および酸素ガスを移送する配管102が挿入されている。好ましい実施態様では、カソード201がステンレス鋼から構成されるのが典型的である。しかしながら、示した実施態様は、円柱形を有するカソード201を描いているが、本開示の範囲および精神を離れることなく、カソード201が、以下に限定されないが、球形、長方形、六角形、三角形、または空間的な要求に応じたカスタムフィットを含むあらゆる幾何学的形状で構築され得ることは当業者によって理解されるであろう。また、本実施態様は、ステンレス鋼から構築されているカソード201を説明しているが、例としてはアノードと関連して使用される物質を含む、水素の産生のためにカソード201として使用することが可能なあらゆる物質が、本開示の範囲および精神を離れることなく使用され得ることもまた当業者によって理解されるであろう。
【0041】
電解セル1は、図2に示すように、温度センサ202を更に含み、該温度センサ202は、カソード201の外壁に置かれても良く、また、制御ユニット118、冷却ファン111および/またはヒーター113と通信していても良く、好ましい実施態様においては、図2に示すように、冷却ファン111に直接的に接続されている。一つの実施態様では、温度センサ202は、デジタルであって良い。好ましい実施態様では、センサ202は、カソードの底部の温度が130Fに達したときに、ファン111に信号を送って作動させる。
【0042】
また、図2、2aおよび3に示すように、アノード204とカソード201とが接触しないよう、アノード204は、電解セル101内でカソード201によって規定された体積中に固定される。一つの好ましい実施態様では、アノードおよびカソードの間隔を最適に保つために、ディスク119が固定スペーサとして利用されるが、そのようなディスクにはポリテトラフロロエチレンが含まれる。図2は、アノード204の特徴を示すために、本開示の一つの実施態様の一部の断面図を示している。図2および2aに反映されているように、典型的には、メッシュ状のパターンで構築することによって、アノード204は、電解液13との容易な接触が可能となるよう構築されており、それにより、アノード204の周囲の自由空間のより多くを電解液13にさらすようにするのと同時に、図7に示すように、電解液13がそこでより自由に循環することができるよう促す。アノード204の表面は、アノードの寿命を増しかつ電解セルの通常の作動中に電解液によって引き起こされ得る可能性がある腐食を減少する保護物質で一般にコーティングされる。本実施態様は、CerAnode Technologies International社によって製造されたアノードであるアノード204を示しているが、本開示の範囲および精神を離れることなく、水素および酸素の製造のためにアノード204として使用される、アルカリ電気分解の間非腐食性であるあらゆる物質およびコーティングが使用され得る。図1−2は円柱形を有するアノード204を示しているが、しかしながら、本開示の範囲および精神から離れることなく、アノード204は、以下に限定されないが、球形、長方形、六角形、三角形またはカスタムの形状を含むあらゆる幾何学的形状で構築され得る。
【0043】
アノード204のロッド207は、チャンバ101の底部にあるオリフィスを通ってカソード201のキャニスタ(缶)を抜け出し得る。アノードのロッド207は、両側が平らになったテフロンのブッシングによってカソード201から分離され得る。アノードのロッド207は、カソード201の底部へアノード204を固定する金物(hardware)によってあるべき位置に保持され得る。アノード204の先端は、電気ワイヤへ接続されても良い。
【0044】
図4に示すように、電解液(electrolyte solution)13は、電解セル101中に電解液レベルまで満たされ、該レベルで、電解液は電解チャンバ101(および、同等的には、カソード201)の大部分を満たす。本開示の範囲および精神から離れることなく、電解液レベルは、より高くにもまたはより低くにもなって良いことは当業者によって理解されるであろう。示した実施態様では、使用される電解液は、環境に優しい強さの水酸化カリウム溶液である。本実施態様は水酸化カリウム溶液である電解液を示しているが、本開示の範囲および精神から離れることなく、水素を産生することが可能なあらゆる電解液が使用され得ることは当業者によって理解されるであろう。
【0045】
電解液は、カソード201とアノード204との間を電気的に連絡し得る。電流が、印加されかつアノード204を通って電解液へと流れたとき、電解液中の水は分解することができ、アノード204は酸素を形成し、一方、カソード201は水素を形成するため、それら両方のガスは、電解液のレベル(液位)と、カソード201または電解チャンバ101のキャップの最上部(top)との間に位置するガス蓄積ゾーン(ごく微量(de minimus)のガス蓄積ゾーンといったもの)中へと上昇する。水素および酸素は、配管102を通じてガス蓄積ゾーンから即時に取り出される。
【0046】
図4に示す実施態様において利用された電解液13は、概して言うと、脱イオン水または蒸留水中に少量の電解質を含むものである。本実施態様では、代表的には、水酸化カリウムの量が、水1ガロンあたり約1.5グラムから約12、約25グラムまでの間の範囲にある電解液を使用することができ、好ましい実施態様では、水酸化カリウムの量は、代表的には、水1.5ガロンに対して約37.5グラム、または、上記でより詳しく論じたような許容される範囲内にとどまるのに十分な実質的に同様のモル濃度である。
【0047】
図4は、排水器(water trap)/スパーク止め(spark arrestor)106(以下により詳しく論じる)およびインジェクタ117(これも以下により詳しく論じる)と共に、カソード201とアノード204との間の電解液レベル13の概略図を示しており、一緒になって水素および酸素ガスを燃焼エンジン2に送達する。このように配置されると、周囲の条件でまたはわずかに周囲を上回る条件で、約7から約14およびそれを上回るpH範囲が容易に許容され得、それに加えて、電気的に印加される一定電流が驚くほど一定の水素および酸素ガスの発生をもたらすような、電解質濃度および液体レベルの範囲が容易に許容され得る。また、図5は、電解液13、カソード201およびアノード204の拡大図を示しており、アノード204の上でガス気泡がいかに絶え間なく形成されるかを示している。更に、図6は、電解液13のよりいっそう拡大した図を示しており、電気分解による水の消費で液体レベルDが降下して電解質濃度が増すにつれて抵抗が変化してさえも、小さいdに対する大きいDの一般に大きな比を構成している好ましい関係によって、カソード201とアノード204との間の間隔dは、概して一定のガスの発生を可能とするような寸法間隔であることが、明瞭に着目されて理解され得る。そのようなD:dの比は、概しては、少なくとも約10:1であり、好ましくは、例えば少なくとも約50:1などいっそう大きく、最も好ましくは、一定の水素の発生を得るために、使用を通じてアノード204が電解液中に完全に液面下に沈んだままであるよう設計される。更に、間隔dに対する直径(Dia.)の比は、約50対1でかなり大きく、好ましくは約500対1から約1対1までの範囲内のどこかであっても良い。一つの好ましい実施態様では、dに対する直径(Dia.)の比は、約100対1から約20対1である。レベルDによって表示された電解液の体積は、一つの好ましい実施態様では、アノード204がカソード201に接近する領域に沿ってのそのようなアノードの高さを概して反映しているhによって表示された体積よりも実質的に大きい。アノードの境界の周囲のパラメータdおよびhによって概して境界を定められる体積は、熱エネルギーの本質の(principle)産生が生成される領域に一般に関連する。そのようなdに対するDia.の比は、一つの好ましい実施態様によれば、効率的な熱の移動および消散を可能とする。更に、電解液(D)の高さに対する直径(Dia.)の比は、約3:1から約1:1までの様々な比を形成するようなものである。アノードの高さは、一つの実施態様では、直径(Dia.)の約半分であることが好ましいため、電解液の体積が減少したときに、アノードは露出されず、一定の実質的に電気的に有効な表面領域即ちガウス領域が維持される。そのような好ましい実施態様では、電解質のガウス領域は、電解質の有効濃度が変化する間も実質的に一定に維持される。そのような構成は、距離dにわたる抵抗率が、電解液の体積(直径の寸法を含む体積で利用可能な電解液のレベルDによって相対的に表示される)と比べ実質的に小さくなることを可能にする。
【0048】
図7は、カソード201とアノード204との間、および、電解液13の体積内への電解液13の流れを示す実施態様を示している。図5、6および9は、セル1(例えば図1に示されている)が、気泡として概して描かれた水素および酸素ガスを産生するにつれての進行を描いている。図5では、電解液13の体積(それは、図6に示すように、概しては深さDが反映し得る)は、図9に描かれた電解液13の体積よりも大きく、かつアノード204およびカソード201が距離dによって表示されたように接近する領域における上記アノードの高さhが概して反映する体積よりも実質的に大きい。図9における電解質の濃度は、図5における濃度よりも大きい。概しては、深さDの減少に反映されるような電解液13の体積の減少を通じて、水素および酸素ガスの産生は、比較的一定に維持される。電解液の体積が図9におけるように低減されたときに、ユーザーはセルに水15を加えても良い。作動マイル数に対する水を加えるサイクルは、10,000マイルを越える。一つの好ましい実施態様では、水15は、約20,000マイル毎に一度加えられ得る。従って、駆動マイルに対するセル1のサイクル性能は、好ましくは約20,000であって、ここでセルは閉じられており、水は(電解質と組み合わさって)所与の体積に維持されており、そのような体積は実質的に周囲圧力若しくはわずかに周囲を上回る圧力に維持されている。図9に描いたように、ユーザーは、電解チャンバ101が作動中であっても、当該チャンバ101(カソード201として描かれている)中に直接水15を注いで良い。水15のそのような使用は、エンジン2にあるセル1の20,000マイルを越える作動を、概して可能にする。
【0049】
図8は、一つの実施態様における、水および気体の流れの主要なベクトルを示している。図示するように、半径方向内向きの方向に動く気体状水素および酸素産生の基本的(substantial)かつ主要なベクトルがある。アノード204(図8においては描かれていない)は、半径方向内向き方向の流れベクトルが与えられるように、カソードから間をおいて構成される。他の図(例えば図6)と関連して説明したように、近い距離(d)がそのような作動を促進する。図8は、開口部を含むアノードの構成が、ごくわずかな距離(d)の領域から、アノード内およびアノードの上のより大きな体積内への流れを促進することも示している。そのように、半径方向内向きの基本的(substantial)な流れベクトルが、熱伝達の増加を与え、かつ、さもなければ分解および揮発に繋がる可能性のある鋭い温度勾配を低減する。そのような基本的なベクトルは、電解液の深さDをアノードの高さhまで下げて、電気分解を行っているときに電解液13の上面を観察し得るようにすることによって、容易に観察することができる。
【0050】
図10および図11に示す制御ユニット118は、ボックス118内に含まれても良い(しかし、他のコンポーネント同様、ボックス108内に必ずしもある必要はない)。制御ユニット118は、2線式シリアルネットワーク、ワイヤレス接続または光ファイバー接続を通じてディスプレイユニットへリモート接続され得る。制御ユニット118は、ディスプレイユニットへ情報を送信する前に、データをモニターして編集してもよく、それによって、当該システムが適切に或いは不適切に作動しているという指示(視覚的なものであっても良い)をユーザーに与え得る。ディスプレイユニットは、LED529、LCDまたは任意の他の種類のディスプレイユニットであり得る。
【0051】
図2に示した制御ユニット118は、全システムの作動のオン/オフを制御することができ、また、エンジンが稼動しているときのみ水素および酸素ガスが生成されることを確実にすることができる。制御ユニット118は、典型的には、約30アンペアの定電流出力を維持し、これは、電解液の抵抗が変化するにつれて電圧が変動するのを可能にすることによってなされ、それは、電圧が5.8ボルトと3.8ボルトとの間で変動し得、3.8においてカットオフ値を持ち、かつ、好ましい実施態様では、他の信号が補給状態を指示するというようにである。制御ユニット118は、入力電圧の範囲、出力電圧、アンペア、電流リップル、入力極性保護、出力短絡保護、電解液の温度制御、作動状態のLED表示計、エンジンの作動に関する自動オン/オフ機能、および手動でオン/オフ機能を制御するためのロッカースイッチの調整および/または決定をしても良い。
【0052】
更に図10と図2を参照すると、ワイヤ(配線)508は、制御ユニット118の出力側で、アノードに接続されるセル101のポジティブなターミナルブロック接続に接続される。制御ユニット118は、バッテリーまたは電気システムセパレータ507の出力側にワイヤ515で接続され、電気システムセパレータ507が更に電位電源(electric potential power source)6の正極にワイヤ501で接続される。バッテリーの負極504に接続されるワイヤ502は、制御ユニット118の負入力ポート516に接続される。バッテリーまたは電気システムセパレータは、図10に示していない。ワイヤ507は、制御ユニット118の負出力およびグラウンドポスト119に接続される。ワイヤ520は、バッテリーまたは電気システムセパレータ507の出力側および冷却ファン111および/または冷却制御ユニット230に接続される。温度センサ202は、冷却ファン111および/または冷却制御ユニット230に接続される。
【0053】
点火スイッチが「オン」または「予備(auxiliary)」の位置にあるとき、および、エンジン2が稼動しているときは、一般に大抵の車両バッテリーは約12ボルトの稼動を与えるが、エンジン2を起動するためには通常約13.5ボルトが使用される。電源に接続されたエンジン2の交流発電機(図示せず)およびエンジンスタータ(これも図示せず)が電源から約13.5ボルトを引いてきてエンジンを起動するまで、バッテリーセパレータは12ボルトを持つ。13.5ボルトというパラメータは、安全装置という意図であり、エンジンが作動しない限りかつ作動するまでセル1から水素ガスが形成されないようにする。
【0054】
システムの作動は単純であり、基本原理のもとで作動する。燃焼エンジン2を起動するための内燃エンジンのイグニッションスイッチを回すこと、または、車両操縦席にある離れたトグルスイッチまたは制御ユニット118にあるトグルスイッチによって、電流を電解セル1に供給することができる。その後、車両バッテリー(図示せず)は、アノード204に電流を与えることができる。カソード201は、バッテリーの陰極または接地目的に好適な他の場所に接地される。電流がアノード204に印加されて電解液へ通じると、電解液中の水が分解されてアノード204は酸素を形成し、一方カソード201は水素を形成し、それらは電解液レベルと先端のキャップとの間にあるガス蓄積ゾーンへと上昇する。水素および酸素は、即時に、ガス蓄積ゾーンから、配管102を通じて燃焼エンジンの取入れ口(intake)へ取り出され得る。燃焼エンジンの取入れ口は、燃料が水素および酸素ガスと混合し、燃焼する場所である。水素および酸素は、燃焼エンジン2が稼動している限り生成され得る。キーがオフの位置へ回されると、モーターが停止し、制御ユニット118がシステムをオフに転換する。ユニットが長時間作動すると、電解液は電解質がより高濃度になっていくが、これは、脱イオン水または蒸留水が消散されたためであり、その後作動温度が上昇してコンプライアンス電圧の降下をもたらし、それが水レベルが低いことをディスプレイ529が指示する引き金になる。制御ユニット118とディスプレイ529との接続は、シリアルまたは他のものであって良い。更には、制御ユニット118は、車両の中央のまたは補助の処理(processing)装置(図示せず)に組み込まれていても良い。
【0055】
制御ユニット118は、作動がより安全でありかつ伴うメンテナンスがほとんどなくなるよう、電解セル1の作動を更に制御することができる。カソード201の外壁の温度が42Fに達した場合、温度センサ202が電位発生源(車両バッテリー(図示せず)など)に接続されているヒーター113を始動させ、電解セル1が作動可能でありかつ電解液の温度が増加するまで、ボックス108内の周囲温度を維持する。
【0056】
例えばシステムの電源、所望の水素のアウトプット、および/または、空間的問題(電解セル1またはボックス108の大きさを制限する問題など)を含む作動条件および基準によって、システムで使用されることになる電解セル1の個数は様々であろう。
【0057】
図11は、制御ユニット118の一つの実施態様を更に表している。マイクロプロセッサ806が、メモリー803、中央処理装置804およびインプット/アウトプットインターフェース805と共に与えられる。この構成は、PLC、コンピュータなどを通じてなど任意の方法で実装して良い。典型的なPLCは、TriPLC社から市販されている。メモリーは、あるインターバルからあるインターバルへと、システムの適切な制御のために、パラメータの蓄積を提供する。メモリーは、RAM、ROM、EEROMなどの形態であって良い。メモリーに保存されたパラメータは、他のパラメータを与えて、加熱/冷却ユニット800などの周辺デバイスの作動を命令する変数を制御するために使用され得る。パラメータは、例えば30Aの実質的に一定な電流を制御するためなど、電源801の作動を設定または計算するためにも用いることができる。I/Oインターフェースは、シリアル、パラレル、デジタルまたはアナログなど任意の公知の方法で周辺デバイスと通信し得る。それゆえ、電流および/または温度を制限して電解質が望ましくないほど熱くなりすぎること、および/または、沸騰して蒸発してしまうことを防ぐために、単純な、プログラムで制御可能なコントローラーを使用することができる。
【0058】
一つの好ましい実施態様では、車両の電気系統6は、バッテリーまたは電気系統セパレータ507(図10および11には示されていない)に接続されており、電気系統セパレータ507は電源801に接続されており、電源801は、PLC論理ユニット内のバス接続であり得るI/O805を通じて更に接続されている。電源801が電気系統6によって与えられる電力に基づいてチャンバ101に実質的に一定の電流を与えるよう、マイクロプロセッサ806は電源に制御信号を送信する。I/O805へのフィードバックである信号を生成する電位センサ802も与えられる。説明したように、電解液の体積およびチャンバ101内の液体中の電解質の濃度に応じて、チャンバ101での見かけ上の電圧降下は様々であろう。更なる処理のためおよび他の信号の起こり得る生成のために、そのような変化を表す信号がI/Oインターフェース805に指示され得る。例えば、所定の信号で、電源801によってチャンバ101へ与えられる電流が終了され得る。ユーザーインターフェース50は、別の所定の信号で、I/Oインターフェース805によって、チャンバ101中の電解液のレベルおよび水を加える必要があることをユーザーに指示する信号を送信され得る。
【0059】
一つの好ましい実施態様では、温度センサ202が与えられて、チャンバ101内の電解液の温度を感知する。温度センサ202は、電解液の温度を反映して信号をI/Oインターフェース805に与えても良く、また、該電解液においてマイクロプロセッサ806は、I/Oインターフェース805を通じて与えられる他の制御信号を生成しても良い。与えられたそのような信号は、加熱/冷却ユニット800を制御してチャンバ101に加熱または冷却のいずれかをもたらし得る。別の好ましい実施態様では、温度センサ202は、図2に示すように、制御ユニット118とは独立に作動され得るファン111への接続によって示されるように、加熱/冷却ユニット800へ直接接続されることもできる。一つの実施態様では、センサ202は、ファン111に直接接続される。
【0060】
一つの好ましい実施態様では、図4に示すように、排水器(water trap)/スパーク止め(spark arrestor)が配管102に位置して、インジェクタ117を通じて水素および酸素を燃焼エンジンの取入れ口に供給する。ボックス108を使用する場合、排水器/スパーク止め106は、本開示の範囲および精神から離れることなく、ボックス108の内部または外側に位置することができる。排水器/スパーク止め106は、二重の目的を果たす。第一に、排水器/スパーク止め106は、水が燃焼エンジンの取入れ口から電解セル1へ移動するのを防ぐ。第二に、排水器/スパーク止め106は、爆発の危険性のある燃焼エンジンのバックファイアが電解セル1に達するのを防ぐ。
【0061】
インジェクタ117が使用されて、水素ガスを、一貫して途切れない一定のわずかに拡散した流れで内燃エンジン2に送達する。図4の(および図12において分離されたような)実施態様では、インジェクタ117は、アルミニウムの固体ブロックから切削(milled)された単一ユニットであってよく、長さは1と1/4インチ(11/4inches)、最も広いポイントで3/4インチ、かつ、最も狭いポイントで幅1/4インチである。該インジェクタ117は、同様の規模のものである必要はなく、更には、精密な切削をすることができ、尚かつ、射出されているガスに不利に作用しない任意の材料からなるものであって良い。射出オリフィスがインジェクタ117の全体を通して連続するように、0.032インチの射出(インジェクティング)オリフィスがインジェクタ117の遠位端の先端中央にドリル加工されてよい。射出オリフィスは、ねじが切られており、プラスチック配管の先端にロックされたスリップフィットを受け入れることができるようになっている。極めて小さい大きさの射出オリフィスが利用されてわずかな背圧を生み出し得るが、それが水素供給の流れを不断で一貫したものにする。一つの好ましい実施態様では、その流れは、層流を有するものとして特徴付けられる。インジェクタ117はベンチュリ効果を利用して、ガスを空気取り入れ通路の入り口から燃焼チャンバへ拡散させる。ガスの流れの速度は、インジェクタ117を通過するにつれて増加し、また、圧力は降下する。
【0062】
配管102のスリップフィットと射出オリフィスとの間のしっかりとしたコネクタハウジングとしての役目を果たすよう、インジェクタ117の先端半分は、長方形であって底半分よりも大きいものであり得、それによって低密度のガスが漏れる危険性を取り除く。インジェクタ117の底半分は、丸みを付けられた片持ち梁形状(cantilevered shape)であっても良く、また、インジェクタ117が燃焼エンジンの取入れ口またはタービンハウジング(図示せず)に連結されたポイントでしっかりとしたはめ込みを与えるよう、その外側で部分的にねじ切りされていても良い。インジェクタ117および射出オリフィスの大きさは、本開示が使用される内燃エンジン2の大きさに適合するよう調整され得る。インジェクタ117は、水素が、自由流れの方法(free-flow method)によって、または、ポンプ機構の補助によって送達される場合に使用されても良い。
【0063】
電解セル1からの配管102は、概しては、スナップロックではめ込まれており、また、インジェクタ117を通じて燃焼エンジンの取入れ口の低圧力側(水素および酸素が自由流れの方法を通じて送達されることになる場合)、または、インジェクタ117を通じて燃焼エンジンの取入れ口の高圧力側(水素および酸素がポンプ流の方法を通じて送達される場合)のいずれかに接続され得る。他の決定要因と共に、車両の種類が流れの方法を決定し得る。例えば、燃焼エンジン2が主として冬季に氷点下の温度で操作される場合、または、燃焼エンジン2に排気ガス再循環デバイス(図示せず)が組み込まれている場合、ポンプ流の方法を使用することができる。設置は、典型的には単純であり、現存するシステムへの修正は必要としない。好ましい実施態様では、エンジン2のポジティブクランクケースベンチレーション(PCV)システム(図示せず)が、典型的に、真空または陰圧効果で作用して水素および酸素ガスの流れを助ける。
【0064】
一つの実施態様を図13に示しており、これはステンレス鋼または他の化学的に互換性のある金属から形成される電気分解用キャニスタ28を示している。図13に示すように、該キャニスタ28は、底部29と、キャニスタの頭部31とを有しており、該頭部は、一体になったOリングシール32と、ねじ切りされたロックリング33と持っており、該ロックリング33は、キャニスタの頭部31をキャニスタシリンダ30に固定しシールするが、点検のための容易な取り外しを可能とする。キャニスタ28のキャニスタシリンダ30は、カソードとしての役目も果たす。キャニスタ28の内部には、接続ロッド35によって同心状に固定されたアノード34が位置しており、該接続ロッドは、一方の端部がチタンのブラケット(図示せず)を通じてアノード34に電気的に接続されており、かつ、他方の端部が電気ワイヤの電気端子36となっている。ロッド35は、セントラライザー(中央保持器)38Aと、Oリングシール38Bとによって、キャニスタの頭部31との接触から隔離される。アノード34は、アノード34の各端部のスペーサでキャニスタシリンダ30から隔離される。アノード34は、オープンメッシュまたは穴のあいた固体(図13には示していない)として最良の構成とされる。
【0065】
一つの実施態様を図14に示しているが、それは、車両燃焼エンジン508と接続して使用する本発明の電解セルの一つの実施態様を示している。バッテリーは、505として示されており、電位の発生源(source of electrical potential)の役目を果たす。配管102が示されており、インジェクタ117を通じてチャンバ101をエンジン508に接続している。水素および/または酸素ガスが自由流れの方法を通じて送達されることになる場合、接続は通常、エンジン505の空気取入れ口の低圧力側へのものであって良い。水素および/または酸素ガスがポンプ流の方法を通じて送達されることになる場合、接続は通常、エンジン505の空気取入れ口の高圧力側へのものであって良い。概しては、車両の種類および使用が、送達のための最良の方法を決定するであろう。例えば、ポンプ流の方法は、通常、エンジン508が主として冬季に氷点下の温度で操作される場合、または、エンジンに排気ガス再循環デバイス(図示せず)が取り付けている場合に使用される。概しては、典型的に使用される方法は、現存するシステムへの修正が必要ない最も単純なものである。
【0066】
作動条件および基準(例えば、システムの電源、所望の水素出力、および/または、チャンバ101の大きさを制限するような空間的な問題などを含む)に依存して、システムで使用されることになるチャンバ101の個数は、典型的には、変化してよい。
【0067】
本開示の利点の一部には、その安全面、経済的恩恵および環境的恩恵が含まれる。例えば、水素および酸素ガスの調整された混合物を燃焼すると高温蒸気を産生し;それにより、エンジンからの排ガスは、通常、蒸気洗浄されることができ、また、実質的により低い可燃性粒子の濃度を有することができる。
【0068】
設計の優美さによって、脱イオン水または蒸留水の時折の添加以外、カソード201のコンテナへの保守の必要性が減少する。環境的に優しい電解液は、ユーザーにとって安全であり、カソード201のコンテナから事故的にこぼれた際に危害を生じないであろう。当該設計が単純であることによって、経済的に実行可能な製品が可能となり、該製品は、自動車、トラック、農業機器、建設用機器、電車、発電機、オートバイ、採掘機器において使用されるあらゆる燃焼エンジン、および、非燃焼エンジンの化石燃料燃焼用途(石炭燃料パワープラントを含む)において使用され得る。本開示は、あらゆる可動部を排除するよう設計されており、それによってより高い耐久性とより長い寿命がもたらされる。
【0069】
本開示の安全面の特徴の一部には、配管102における排水器/スパーク止め106の使用、カソード201にしっかりと取り付けられた頂部キャップ、エンジンが駆動するまでは本開示が作動しないことを確実にしている制御ユニット118、システムが適切に作動しているかをユーザーが決定することを可能とするディスプレイユニット、および本開示の作動を制御する(即ち、電解液レベルに応じてシステムをオンオフすることおよびアノード204に印加される電流を制御すること)制御ユニット118が含まれる。排水器/スパーク止め106は、バックフラッシュ阻止器としての役割も果たし、エンジンのバックファイアの際に水素および酸素ガスの事故的な発火を防ぐ。
【0070】
本開示の使用は、化石燃料で作動する燃焼エンジンに関して現在国家が直面している主要な問題に効率的に取り組むものである。他の炭化水素燃料への補足として加えられたとき、水素および/または酸素の混合物は、その燃料の未燃焼分をより完全に燃焼させ、それにより排出物中の毒性ガスおよび/または粒子状物質の濃度の大幅な低減をもたらす。更には、より低いオクタンまたはセタン価を持った、より低質の燃料が、増加した効率のために、エンジン2において有利に使用される。それに対応して、同等の質の燃料が使用されると、より良い車両の燃費および/または電力性能が得られる。例えば、本明細書に記載した様々な実施態様を利用することにより、エタノール、バイオディーゼル、合成ディーゼルおよび他の代替燃料などの代替および非化石燃料を使用して経済性を改善させ得る。
【0071】
本発明の別の期待される利点は、効率が向上したことによりエンジン2の非直接的な保守がより少ないことであり、例えば、腐食の減少により排気システムが必要とする保守はより少なく、走行条件がより優しいことにより、エンジンオイルレベルが必要とする点検の頻度はより少なく、エンジンオイルは清潔なままであり、また、車両の保守補修の他の側面がセル1の使用によって向上することが期待される。
【0072】
本開示の一部の実施態様は、NOx 排出量を約25%低減し、それと同時にNO2排出量のパーセンテージを増すことがないことが予期される。一部の現行の規制によれば、NO2排出量は、全排出量の20%以下でなければならない。更に、得られる燃料燃費が大幅に改善され、その結果、使用される燃料がより少なくなり、かつ大気に加えられる環境汚染がより少なくなる。また、多くの代替物よりも環境に優しい希水酸化カリウムが電解セル内の電解液に使用される。これらは、本開示の利点のごく一部である。
【0073】
以下の実施例は、一部の実施態様の利点を更に示しているが、当然ながら、いかなる点においてもその範囲を制限しているものと解釈してはならない。
【実施例】
【0074】
実施例1
以下の実験データは、本開示の作動の一つの実施態様を示しており、該作動は、向上した効率、より少ないNOx 排出量を有しながら、同時に、NO2 排出量を増やさないものである。該実験データは、本開示の作動と、Stowe 特許において開示公表された水素/酸素燃料セルのデータとの間の燃費増加の比較も示している。以下の実験で使用した電解セルは、コーティングされたアノードシステム(CerAnodeから市販されている)に基づいており、該システムは、基板(0.2重量%よりも少ないパラジウムとのチタン合金を含む)に適用された混合酸化物コーティング(酸化タンタルと酸化イリジウムとの二元ルチル相(dual rutile phase)を含むと思われる)を有する。これらの試験は、一部の条件下で得られ得るいくつかの利点を示している。明らかに、エンジンの状態、環境的条件、使用する燃料などを含む数多くの条件によって、結果は、例えばどんな場合においても改善が見られないなど、様々であり得る。
【0075】
以下の総マイル数(mileage)および燃料消費試験は、2006 ダッジ・ラム(Dodge Ram) 3500 を用いて行ったものであり、8シリンダ、5.9L HO Cummins ターボディーゼルエンジン、4速オートマチックトランスミッション、136アンペアのオルタネータ、750アンペアのバッテリーおよび容量35ガロンの燃料タンクを備えるものである。これらの実施例で用いた燃料セルの構成は、カソードコンテナ、本明細書において本質的に記載したようにカソードから分離されたアノード、バッテリーセパレータおよび記載したような水素インジェクタを含む。
【0076】
第一の試験では、試験毎に容量のマニュアルリファレンスのように満杯の燃料タンクを使用することによって、基準の燃費および燃料消費を確定した。後の試験では、3種類の電解液を使用して上述のコーティングアノードシステムを持つ本開示の電解セルを利用して、燃費および燃料消費を同様に決定した。水素の富化を与える電解セルを、基準において使用したのと同様の現場条件下で機能する燃焼エンジンと共に取り付けた。同じ道を走行したり同じ方法でタンクを充填したりするなど、各試験について実行可能な限り現場条件を同じ方法に維持した。この試験の結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
Stowe特許公開公報が主張するガロンあたりのマイル数増加は22.8%から34.8%の範囲であった。従って、比較すると、本開示は、公表されたStoweの開示よりも、おおよそ最大で、ガロンあたり約30%多いマイル数および/または最小でガロンあたり約10%多いマイル数を与える。当該技術に対するこのような改善は、通常の現場の試験条件におけるあらゆるあり得る変化の下でも明らかに顕著であると思われた。従って、本開示の一つの実施態様は、燃焼エンジンの燃料1ガロンあたりのマイル数を、電解セルを全くなしで試験した基準と比べて絶対的基準で少なくとも約40パーセント増加させたことが分かり、また、一つの場合において、セルは、燃焼エンジンの燃料1ガロンあたりのマイル数を少なくとも約50%以上増加させた。
【0079】
実施例2
以下の排出量試験は、先に論じた試験において使用したものと同様の、2006 ダッジ・ラム 3500 を用いて行ったものであり、8シリンダ、5.9L HO Cummins ターボディーゼルエンジン、4速オートマチックトランスミッション、136アンペアのオルタネータ、750アンペアのバッテリーおよび容量35ガロンの燃料タンクを備えるものである。基準の排出量測定値は、市販のECOM−ACポータブルエミッションアナライザで5分間のサンプリング時間を使用した各試験に基づく3回の試験についての全平均として得た。実施例1の作動の電解セルでの排出量測定値は、セルが定常状態の条件に達する充分な時間を有することを確実にするために、延長した30分の間にわたって得た。サンプリング時間に関わらず、各サンプリングは、約800RPM(毎分回転数)での約1時間のエンジンのアイドリングで行った。当該アナライザは、ガスを測定し、PPM(パーツ・パー・ミリオン)で燃焼パラメータを計算した。ACは、適切にガスサンプルを冷却するために、大流量ポンプ、放射ガス冷却器およびセルフドレイニングモイスチャトラップを組み込んでいた。すべての場合において実質的に一定および同様の条件下でのエンジン作動での本試験の結果を表2に示す:
【0080】
【表2】
【0081】
電解セルを内燃エンジン内に適用して上の試験方法を使用した場合に、電解セルはCO排出量を約23%、NOx を約25%減少させた。従って、このような電解セルは、燃焼エンジン内に電解セルを使用しない試験データと比べて、NOx およびCOの両方の排出量を少なくとも約20%減少させる。実施例1と同様、これらの試験は、一部の条件下で得られ得るいくつかの利点を示している。明らかに、エンジンの状態、環境的条件、使用する燃料などを含む数多くの条件によって、結果は、例えばどんな場合においても改善が見られないなど、様々であり得る。
【0082】
実施例3
本実施例は、どのようにして、多様なコーティングされたおよびコーティングされていないアノードを評価し、水酸化カリウム電解液中での長期的の使用のための好適なアノードを決定したかを示しており、これは、車両の充分な寿命、即ち、およそ5年から10年の寿命を有するであろう材料を見つけるためのものである。従って、わずかに周囲を上回る温度で、わずかに増加した印加電流の電気分解の条件下で、わずかに富化した水酸化カリウムを使用することによって、従来の加速試験の条件を測定した。
【0083】
試験された物質には、316Lステンレス鋼、304ステンレス鋼および400ステンレス鋼が含まれていたが、これら全ては、任意の強度の水酸化カリウム水溶液とともに使用された場合、分離してさびを産生し、汚染をもたらした。チタン金属は、任意の強度の水酸化カリウム中でアノードとして接続された場合、反応してその電導性を低減した。ニッケルめっきは、腐食し分解し、そして望ましくない黒い電解質を残した。銅金属は、水酸化カリウムと共に使用されると緑色に転じ、そして腐食し分解した。マグネシウムは、水酸化カリウムと共に使用されると腐食し分解し(断片化し)、毒性の可能性がある不快臭を生み出した。アルミニウムをアノードとして使用した場合、アルミニウムは焼き切れ、アルミニウム化合物を生み出した。これらのアノードは有用であったが、電導性であって分解抵抗性であるセラミックコーティングでコートしたチタンのアノードが有利であった。
【0084】
コートした材料を試験のために用い、該コートした材料は、CerAnode社から市販されている、酸化タンタルと酸化イリジウムとの二元ルチル相でコーティングされた、0.2重量%未満のパラジウムとの合金となっているチタン基板を含むと思われる。コーティングしていない物質について上で使用したのと同様の試験条件下において、コーティングされたアノードは安定で、分解せず、また良好な特性を与えると同時に電解液の汚染もしなかった。
【0085】
実施例4
別の種類のエンジンにおける燃料需要の減少を測定するために、定置式発電機を使用して当該電解セルの一つの実施態様の有無での燃料消費を調べた。使用したセルは、実施例1および2において使用したセルと実質的に同様であった。
【0086】
以下の試験は、市販のJohn Deer 6気筒、6.8L、4サイクル、200HP、1800RPMエンジンを使用して行った。このディーゼル発電機は、214ガロンの燃料容量を有する。表3に示すように、アイドリングおよび2種類のkW電力発電に対応する3種類の負荷レベルを使用した:
【0087】
【表3】
【0088】
結果は、本開示の一つの実施態様を使用して水素を添加すると、平均で約20体積%の燃料消費の減少が観察されたことを示していた。
【0089】
本開示を特定の実施態様に関して記載してきたが、これらの記載は、限定的意味合いで解釈されることを意図していない。開示した実施態様の様々な修正並びに本開示の代替的な実施態様は、本開示の記載を参照すれば当業者には明らかになるであろう。開示した概念および特定の実施態様は、本開示と同じ目的を行うための他の機構を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることは当業者によって理解されるはずである。そのような同等物の構成は、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の精神および範囲から離れないこともまた当業者によって認識されるはずである。それゆえ、特許請求の範囲は、本開示の真の範囲内にあるそのようなあらゆる修正または実施態様を含むことを意図するものである。
【0090】
出版物、特許出願、および特許を含む本明細書で挙げた全ての文献は、各文献が個別かつ具体的に参照によって組み込まれると表示され、その全体が本明細書に示されたのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0091】
本発明を説明する文脈(特に添付の特許請求の範囲の文脈)における用語「a」および「an」および「the」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がないかまたは明らかに文脈に矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。用語「有する」、「持つ」、「含む」、および「含有する」は、別段の記載が無ければ、オープンエンドの用語(即ち、「含むが、それに限定されない」ということを意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個別に言及する簡易な方法としての役目を持つことを単に意図しており、各個別の値は、それが個別に本明細書に引用されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で記載した全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、或いは明らかに文脈に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書で与えた、任意および全ての例、または例示的な言葉使い(例、「といった(such as)」の使用は、本開示をより良く明らかにすることを単に意図しており、別段の請求が無ければ、本発明の範囲を制限しない。本明細書中の言葉使いは、あらゆる非請求の要素が本発明の実施に不可欠であることを指示していると解釈されてはならない。
【0092】
本発明の好ましい実施態様を、発明者らが知っている本発明を実施するための最良の形態を含めて本明細書で記載している。これらの好ましい実施態様の変形は、上述の記載を読めば当業者には明らかとなり得る。発明者らは、当業者がそのような変形を好適に採用することを予期しており、また、発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載したのとは別の方法で実施されることを意図している。従って、本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙した対象の、適用法によって認められるあらゆる修正および同等物を含む。更に、上述の要素のあらゆる可能な変形でのあらゆる組み合わせが、本明細書に別段の指示がない限り、または明らかに文脈に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、ピストン、関連する燃料、クランクシャフトおよび他の接続と共に、水素および酸素を供給する電解セルを含む燃焼エンジンのシリンダの部分がある模式図を示している。
【図2】図2は、コンポーネント部分と共に一つの好ましい電解セルの横断面図を示している。
【図2A】図2aは、アノードを示している。
【図3】図3は、電解セルに使用される一つの好ましいアノードの切り取り断面図を示している。
【図4】図4は、好ましい電解セルの液体レベルの配置および関連するエンジンおよび大気へのパイピングの模式図を示している。
【図5】図5は、図4に示した一つの好ましい電解セルの拡大図を示している。
【図6】図6は、図4に示した一つの好ましい電解セルの液体レベルのよりいっそう拡大した図を示しており、液体レベルおよびガス産生の大きさの寸法を含んでいる。
【図7】図7は、図6に示した液体での一つの好ましい主要または顕著な水の流れの傾向を示している。
【図8】図8は、アノードでの一つの好ましい主要または顕著な水の流れパターンの模式図を示している。
【図9】図9は、図5に示した一つの好ましい電解セルへの水添加の場所を示している。
【図10】図10は、電解セルの電力コントローラーを表す電気回路図を示している。
【図11】図11は、図10に示したコントローラーの回路設計を示している。
【図12】図12は、電解セルから燃焼エンジンへ水素ガスを送達するために使用される一つの好ましいインジェクタを示している。
【図13】図13は、一つの好ましい電解セルの分解した側面斜視図を示しており、本体から分離された先端を示しており、また電極およびガス送達ラインなどの位置を示している。
【図14】図14は、一つの好ましいノズルで接続された内燃エンジンと電解セルとの模式的な組み合わせの図を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素を送るために、コーティングされたアノードを利用する方法であって、前記コーティングされたアノードを利用する当該方法は:
(i)電位の発生源を備えることを有し;
(ii)実質的に密閉された空間内に電解液を保持するように電解チャンバを備えることを有し;
(iii)カソードを備え、かつ、前記備えたカソードを前記備えた電位の発生源へ接続することを有し;
(iv)コーティングされたアノードを形成するために、導電性を有しかつ酸化に抗するコーティング化合物を有するコーティング材料によって、金属ベース基板化合物を有するアノードをコーティングすることを有し;
(v)前記コーティングされたアノードを、前記電解チャンバ内に前記カソードに対して配置しかつ固定することを有し、それによって、前記コーティングされたアノードとカソードとがお互いに近くにあるようにし、かつ、前記アノードを前記電位の発生源へ接続することを有し;
(vi)ある量の電解質を水と合わせ、それにより前記電解チャンバに加えられる電解液を形成することを有し、前記電解質の前記量は、少なくとも部分的に前記コーティングされたアノードを液面下に沈めるのに充分であり、かつ、前記コーティングされたアノードと前記カソードとの間の電位で前記電解液に電圧を与え、それにより水が酸素および水素ガスを放出することを有し;かつ、;
(vii)内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを送達することを有し、その間、酸素および水素の前記放出から生成された酸素は、前記アノード上への前記電導性セラミックコーティングによって、前記コーティングされたアノードを分解することを実質的に妨げられている、
前記方法。
【請求項2】
前記金属ベース基板化合物が、チタン、タングステン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるバルブ金属化合物を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項3】
前記金属ベース基板化合物が、チタンを更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項4】
前記金属ベース基板化合物が、白金族金属を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項5】
前記金属ベース基板化合物が、約0.2重量%よりも少ないパラジウムと共に合金にされたチタンを更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項6】
前記金属ベース基板化合物が、貴金属、貴金属酸化物、バルブ金属酸化物、および、それらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの材料を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項7】
前記コーティング材料化合物が、セラミックコーティング材料化合物を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項8】
前記セラミックコーティング材料化合物が、酸化イリジウム、酸化タンタル、酸化チタン、または、それらの組み合わせから選択される少なくとも一つの酸化物を更に有する、請求項7記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項9】
前記セラミックコーティング材料化合物が、アルカリ土類金属、および/または、周期表第VIII、VI BおよびVII B族の金属を有するドーピングの金属酸化物化合物を更に有する、請求項7記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項10】
前記セラミックコーティング材料化合物が、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、マンガン、カルシウム、マグネシウム、バリウム、および、それらの組み合わせからなる群から選択されるドーピングの金属酸化物化合物を更に有する、請求項7記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項11】
前記セラミックコーティング材料化合物が、約0.1から約5重量%の前記コーティング材料化合物の量で添加されたドーピングの金属酸化物を更に有する、請求項7記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項12】
前記金属ベース基板化合物をコーティングする前記工程が、めっき、クラッディング、押出加工、プラズマスプレー、および/または、熱分解によって、前記コーティング材料化合物をつけることを有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項13】
前記金属ベース基板化合物がチタンを更に有し、かつ、前記コーティング材料化合物がセラミックコーティング材料化合物を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項14】
前記カソードが前記チャンバと一体化している、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項15】
電導性を有しかつ腐食耐性を有する表面材料でコーティングされたアノードを含む電解チャンバ装置であって、当該電解チャンバは、内燃チャンバへ水素を送って内燃チャンバの効率を改善するものであって、前記電解チャンバ装置が:
(i)電位の発生源を有し;
(ii)水と、ある量の電解質とを有してなる電解液を有し;
(iii)前記電解液を保持する電解チャンバを有し;
(iv)前記電位の発生源へ接続されたカソードを有し;
(v)コーティングされたアノードを有し、該アノードは、コーティング材料化合物でコーティングされた金属ベース基板化合物を有してなり、該コーティング材料化合物は、水の電気分解において作動したときに電導性を有しかつ分解抵抗性を有するものであって、前記コーティングされたアノードとカソードとがお互いに近くにあるように、該コーティングされたアノードは、前記電解チャンバ内に前記カソードに対して所定の位置に固定されれており、前記コーティングされたアノードは、前記電位の発生源へ接続され、かつ、少なくとも部分的に前記電解液の液面下に沈んでおり、かつ、前記電位で電圧を与えられ、それにより酸素ガスおよび水素ガスを生成することができる電位を前記カソードと共に生成しており、酸素ガスおよび水素ガスの前記放出から生成される前記酸素は、前記アノード上への前記電導性のコーティング材料化合物によって、前記コーティングされたアノードを分解することを実質的に妨げられており;かつ;
(vi)前記生成された水素ガスを内燃エンジンの前記燃焼チャンバへ供給するための、前記チャンバへ接続された供給手段を有し、前記供給手段が、前記燃焼チャンバの取入れ口と連絡するための通路を有している、
前記電解チャンバ装置。
【請求項16】
前記コーティングされたアノードの前記金属ベース基板化合物が、チタン、タングステン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、および、それらの組み合わせからなる群から選択されるバルブ金属を更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項17】
前記コーティングされたアノードの前記金属ベース基板化合物が、チタンを更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項18】
前記コーティングされたアノードの前記セラミックコーティング材料化合物が、白金族金属を更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項19】
前記コーティングされたアノードの前記コーティング材料化合物が、セラミックコーティング材料化合物を更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項20】
前記コーティングされたアノードの前記セラミックコーティング材料化合物が、貴金属、貴金属酸化物、バルブ金属酸化物、および、それらの組み合わせからなる群から選択される化合物を更に有する、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項21】
前記セラミックコーティング材料化合物が、酸化イリジウム、酸化タンタル、酸化チタン、または、それらの組み合わせから選択される少なくとも一つの酸化物である、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項22】
前記セラミックコーティング材料化合物が、アルカリ土類金属および/または周期表第VIII、VI BおよびVII B族の金属を有するドーピングの金属酸化物化合物を更に有する、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項23】
前記セラミックコーティング材料化合物が、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、マンガン、カルシウム、マグネシウム、バリウム、および、それらの組み合わせからなる群から選択されるドーピングの金属酸化物化合物を更に有する、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項24】
前記セラミックコーティング材料化合物が、約0.1から約5重量%のコーティング材料化合物の量で存在するドーピングの金属酸化物を更に有する、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項25】
前記金属ベース基板化合物が、チタンを更に有し、かつ、前記コーティング材料化合物が、セラミックコーティング材料化合物を更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項26】
前記カソードが、前記チャンバと一体化している、請求項15記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項27】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを供給するように電解チャンバの作動を促進するための制御方法であって、前記制御方法は:
(i)電解質を水と合わせることを有し、それによって、或る水の含有量と、或る電解質の含有量とを持つ電解液を形成することを有し;
(ii)前記電解液を収容するための電解チャンバを備えることを有し;
(iii)電位の発生源を備えることを有し;
(iv)カソードを備えることを有し、該カソードは前記電解チャンバと一体的に形成されることが任意であり、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続され;
(v)アノードを前記電解チャンバ内に前記カソードに接近させて配置しかつ固定することを有し、前記アノードは、前記電位の発生源へ接続され;
(vi)前記電解液を前記電解チャンバへ加えることを有し、それにより、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を前記電解液の液面下に沈めることを有し;
(vii)水素ガスおよび酸素ガスを生成する過程で前記電解液から前記水含有量を減少させることを有し、前記水素ガスは内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されて、前記供給された水素ガスの使用なしに駆動する前記内燃エンジンと比べて、前記内燃エンジンの作動を改善するものであり;
(viii)前記水含有量が減少していくときの前記電解液の抵抗率に関する特性について前記電解液を感知することを有し、かつ、前記抵抗率を示す第一の信号を生成することを有し;かつ、
(ix)前記電解液の前記抵抗率に関する前記第一の信号に基づいて第二の信号を生成することを有し、前記第二の信号は水を前記電解チャンバにいつ加えるべきかを指示するものである、
前記制御方法。
【請求項28】
前記感知する工程が、前記アノードと前記カソードとの間の電気的パラメータを感知することを更に有し、該パラメータは、電圧降下、抵抗率、伝導率、静電容量、または、それらの組み合わせのいずれか一つを含んでいる、請求項27記載の制御方法。
【請求項29】
前記感知する工程が、前記アノードと前記カソードとの間の実効電圧の降下を感知することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項30】
前記感知する工程が、前記アノードと前記カソードとの間の実効電圧の降下を、継続的に、周期的に、または、それらの組み合わせで感知することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項31】
前記制御方法が、前記電解液の前記抵抗率に関する前記第一の信号に基づいて第三の信号を生成することを有し、前記第三の信号が、前記アノードおよび前記カソードが電源を断たれるべきであることを示し、かつ、前記カソードおよび前記アノードの電源を断つために利用される、請求項27記載の制御方法。
【請求項32】
前記第二の信号が、前記アノードおよび前記カソードが電源を断たれるべきであるという指示を更に有し、前記指示が、前記カソードおよび前記アノードの電源を断つために利用される、請求項27記載の制御方法。
【請求項33】
前記制御方法が、前記電解液の温度を示すパラメータを感知することを更に有し、かつ、前記制御方法が、ヒーターおよび/または冷却ファンを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促す温度信号を生成して前記電解液の前記温度を効率的に調節することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項34】
前記制御方法が、別個の制御回路によって前記電解液の温度を示すパラメータを感知することを更に有し、かつ、前記制御方法が、ヒーターを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促す温度信号を生成して前記電解液の前記温度を効率的に調節することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項35】
前記制御方法が、別個の制御回路によって前記電解液の温度を示すパラメータを感知することを更に有し、かつ、前記制御方法が、冷却ファンを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促す温度信号を生成して前記電解液の前記温度を効率的に調節することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項36】
前記制御方法が、単一の制御回路によって、抵抗率および温度に関する特性について前記電解質を感知することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項37】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを供給するために、電解チャンバの作動を促進するための制御ユニットを有する電解システムであって、前記電解システムは:
(i)ある水の含有量と、ある電解質の含有量とを有する電解液を有し;
(ii)前記電解液を収容するための空間を定める電解チャンバを有し;
(iii)電位の発生源を有し;
(iv)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(v)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解チャンバ内の前記電解液は、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を液面下に沈めており、前記アノードは前記電位の発生源へ接続されており;
(vi)制御ユニットを有し、該制御ユニットは、前記水の含有量が減少しているときの電解液の抵抗率に関連する特性について前記電解液を感知することによって得られる感知信号を含んでおり、前記感知信号は、前記電解液の前記抵抗率を示すものであり、かつ、該制御ユニットは、該制御ユニットによって生成されたかつ前記感知信号に基づいた指示信号を有し、該指示信号は、水を前記電解チャンバへいつ加えるべきかを指示するものである、
前記電解システム。
【請求項38】
前記感知信号が、前記アノードと前記カソードとの間の電気的パラメータから導かれたものであって、該電気的パラメータが、電圧降下、抵抗率、伝導率、静電容量またはそれらの組み合わせのいずれか一つを有するものである、請求項37記載の電解システム。
【請求項39】
前記感知信号が、前記アノードと前記カソードとの間の実効電圧の降下を感知することによって導かれたものである、請求項37記載の電解システム。
【請求項40】
前記感知信号が、前記アノードと前記カソードとの間の実効電圧の降下を、継続的に、周期的に、または、それらの組み合わせで感知することによって導かれたものである、請求項37記載の電解システム。
【請求項41】
前記制御ユニットが、前記電解液の抵抗率に関連する特性について前記電解液を感知することによって導かれた前記感知信号に基づく電圧切断信号を更に有し、前記電圧切断信号が、前記アノードおよび前記カソードが電圧を切られるべきであることを指示し、かつ、前記電圧切断信号が、前記カソードおよび前記アノードの電圧を切るために利用される、請求項37記載の電解システム。
【請求項42】
前記指示信号が、前記アノードおよび前記カソードが電圧を切られるべきであるという指示を更に有し、前記指示が、前記カソードおよび前記アノードの電圧を切るために利用される、請求項37記載の電解システム。
【請求項43】
前記制御ユニットが、前記電解液の温度を示す温度感知信号を更に有し、かつ、前記制御ユニットが、ヒーターおよび/または冷却ファンを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促進する温度指示信号を更に含んで前記電解液の前記温度を効率的に調節する、請求項37記載の電解システム。
【請求項44】
前記電解システムが、前記制御ユニットとは別個の冷却ユニットを更に有し、前記冷却ユニットは、前記電解液の温度を示す熱感知信号を有し、かつ、前記冷却ユニットは、冷却ファンを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促進する熱指示信号を更に含んで前記電解液の前記温度を効率的に調節する、請求項37記載の電解システム。
【請求項45】
前記電解システムが、前記制御ユニットとは別個の加熱ユニットを更に有し、前記加熱ユニットは、前記電解液の温度を示す低温感知信号を有し、かつ、前記加熱ユニットは、ヒーターを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促す低温指示信号を更に含んで前記電解液の前記温度を効率的に調節する、請求項37記載の電解システム。
【請求項46】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを送るために、電解チャンバ内で実質的に周囲圧力において、水素ガスを生成する方法であって、前記方法は:
(i)ある量の電解質をある量の水と合わせて電解液を形成することを有し;
(ii)前記電解液を収容するための電解チャンバを備えることを有し、
(iii)電位の発生源を備えることを有し;
(iv)カソードを備えることを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体化して形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(v)アノードを前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して配置しかつ固定することを有し、前記アノードは、前記電位の発生源に接続されており;
(vi)前記電解液を前記電解チャンバへ加えることを有し、それにより、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を前記電解液の液面下に沈め;
(vii)前記電解液の存在下で前記カソードおよび前記アノードに電圧を与えることを有し、前記アノードおよび前記カソードから放出される水素および酸素ガスを生成し、前記水素ガスは実質的に周囲圧力に維持され、かつ、前記水素ガスはノズルの入口へ供給され;かつ、
(viii)前記水素ガスが供給される前記入口と、前記内燃エンジンの空気取入れ口またはタービンハウジング通路と通じている前記ノズルの出口との間において、前記ノズルをまたぐわずかな圧力差を生成することを有し、かつ、前記水素ガスを、前記わずかな圧力差の下で、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口内へまたはタービンハウジング通路内へ噴射し、前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバへ供給されている空気中に前記水素ガスを効率的に分散させることを有し、前記分散が、前記供給される水素ガスなしで駆動している前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバと比べて前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバの性能を向上させるものである、
前記方法。
【請求項47】
前記ノズルをまたぐ前記わずかな圧力差が、前記入口にある圧力と前記出口にある圧力との間での差において1気圧より小さいことを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記実質的な周囲圧力が、前記ノズルの前記入口へ供給される前記水素ガスと、周囲圧力との間での差において1気圧より小さいことを有する、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記方法が、実質的に自由流れの様式にて、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口へまたはタービンハウジング通路へ前記水素ガスを供給することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記方法が、前記水素ガスを、実質的に層流の様式にて、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口へまたはタービンハウジング通路へ供給することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、ポンプ機構によって増大された圧力下で、前記ノズルの前記入口へ前記水素ガスを供給することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項52】
前記方法が、前記ノズルの出口でのオリフィスの大きさの制限に少なくとも一部分は起因して、ノズルを通じてのベンチュリ効果を生成することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項53】
前記方法が、前記ノズルを出る前記水素ガスの流れの量を制限しつつ、前記水素ガスが前記ノズルを抜け出るときに前記水素ガスの流れの速さの増大を生成することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項54】
内燃エンジンと、車両の効率を改善するために水素ガスを生成するための実質的に周囲圧力で作動する電解チャンバとを含む車両であって、前記車両は:
(i)水および電解質を有する電解液を有し;
(ii)前記電解液を収容するための空間を定める電解チャンバを有し;
(iii)電位の発生源を有し;
(iv)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体化して形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;かつ、
(v)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解チャンバ内の前記電解液によって、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部は液面下に沈んでおり、前記アノードが前記電位の発生源に接続されているため、前記アノードおよび前記カソードは、前記アノードと前記カソードとから放出される水素ガスと酸素ガスとを生成し、前記水素ガスは実質的に周囲圧力に維持されており;かつ、
(vi)ノズルを有し、該ノズルは、入口および出口を含んでおり、これらは、前記水素ガスが前記電解チャンバから供給される前記入口と、前記内燃エンジンの空気取入れ口またはタービンハウジング通路と通じている前記出口との間で、わずかな圧力差を生成することができるものであり、前記ノズルは、前記わずかな圧力差の下で前記水素ガスを前記通路中に噴射して前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバへ供給されている空気中に前記水素ガスを効率的に分散させることができるオリフィスを前記出口に含んでおり、それによって、前記供給される水素ガスなしで駆動している前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバと比べて前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバの性能を向上させるものである、
前記車両。
【請求項55】
前記ノズルでの前記わずかな圧力差が、前記入口にある圧力と前記出口にある圧力との間での差において1気圧より小さいことを更に有する、請求項54記載の車両。
【請求項56】
前記実質的な周囲圧力が、前記ノズルの前記入口へ供給される前記水素ガスと周囲圧力との間での差において1気圧より小さいことを有する、請求項54記載の車両。
【請求項57】
前記水素ガスが、実質的に自由流れの様式にて、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口へまたはタービンハウジング通路へ供給される、請求項54記載の車両。
【請求項58】
前記ノズルが、前記水素ガスを、実質的に層流の様式にて、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口へまたはタービンハウジング通路へ送ることを更に有する、請求項54記載の車両。
【請求項59】
前記ノズルが、前記水素ガスを、ポンプ機構によって増大された圧力下で、前記ノズルの前記入口へ送ることを更に有する、請求項54記載の車両。
【請求項60】
前記小さい圧力差を与えるために効率的に小さいオリフィスを少なくとも一つ有することによって、前記ノズルが特徴付けられるものであるということを、更に有する、請求項54記載の車両。
【請求項61】
前記ノズルが、アルミニウムから切削された単一のユニットであって、中央を貫いて軸方向にドリル開けされ、かつ、両端にねじ切りされて、前記電解チャンバへ接続している管路への、および、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口またはタービンハウジング通路へ接続している管路への好適な接続を与えるものであるということを、更に有する、請求項54記載の内燃エンジン。
【請求項62】
水素ガスが水から遊離されかつそれが内燃エンジンの内燃チャンバへ供給されるときに、電解チャンバで生成された熱エネルギーを効率的に分散させるための熱伝達方法であって、前記熱伝達方法は:
(i)ある量の電解質をある量の水と合わせることを有し、かつ、有効な電解質濃度を持つ電解液を形成することを有し;
(ii)前記電解液を収容するための電解チャンバを備えることを有し;
(iii)電位の発生源を備えることを有し;
(iv)カソードを備えることを有し、前記カソードは前記電解チャンバと一体化して形成されていても良く、前記カソードは前記電位の発生源へ接続されており;
(v)アノードを、前記電解チャンバ内に配置しかつ固定することを有し、該アノードと前記カソードの少なくとも一部はお互いに実質的に接近しており、前記アノードは前記電位の発生源へ接続されており;
(vi)前記電解チャンバに関する深さ(D)によって概して示される体積の前記電解液を前記電解チャンバへ加えることを有し、前記電解液の深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液は、前記アノードと前記カソードとの間に電解液を備えるのに必要な最小の体積の電解液よりも多く、前記最小の体積は、深さ(h)によって概して示されるものであり;
(vii)前記電解液の存在下で前記アノードおよびカソードに電圧を加えることを有し、それによって深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液の少なくとも一部を通過する水素ガスおよび酸素ガスを産生し、前記水素ガスは内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給され;かつ、
(viii)深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液を循環させることを有し、それによって前記アノードおよび前記カソードによる水素ガスおよび酸素ガスの産生で生成された熱エネルギーを、深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液へ実質的に伝達および分散させ、深さ(D)によって概して示される前期体積が、前記アノードと前記カソードとの間の電解液を与えるために必要な深さ(h)によって概して示される電解液の体積よりも大きいことを有する、
前記熱伝達方法。
【請求項63】
熱エネルギーを、前記チャンバと一体的に形成された前記カソードへ、そして、外部大気へ伝達させて、熱エネルギーを前記カソードを通した伝導によって前記電解液から前記大気へ伝達することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項64】
熱エネルギーを前記電解チャンバおよび外部大気へ伝達して、熱エネルギーを前記電解チャンバを通した伝導によって前記電解液から前記大気へ伝達することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項65】
前記アノードの前記配置および固定が、前記アノードの円筒部分を前記カソードの内部に置き、それによって前記部分が前記深さ(h)に関する距離にわたって接近していることを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項66】
前記循環させる工程が、深さ(h)によって概して示される前記体積の電解液内で、前記カソードと接近した前記アノードから内向き方向の基本的な流れのベクトルを生成することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項67】
前記循環させる工程が、前記アノードのメッシュ状態の部分を通した内向き方向の本質的な流れのベクトルを生成することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項68】
カソードおよびアノードの接近性が、距離(d)で表され、円筒の直径が直径(Dia.)で表され、Dia.:dの比が、約100:1から約20:1の範囲内にあり、それにより深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液を循環させるのを助けることを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項69】
D:dの比が少なくとも約10:1であることを更に有する、請求項68記載の熱伝達方法。
【請求項70】
D:dの比が少なくとも約50:1であることを更に有する、請求項68記載の熱伝達方法。
【請求項71】
円筒の直径が直径「Dia.」で表され、Dia.:Dの比が約3:1から約1:1に分布することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項72】
前記電圧を与える工程の間、前記アノードが前記電解液の液面下に完全に沈んだままである、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項73】
電解液を含む電解チャンバであって、該電解液は、熱エネルギーを熱生成領域から移送して前記熱エネルギーを分散させる役目を果たし、それによって、内燃チャンバ内で使用するための水素ガスの、より安定した作動と生成とをもたらすものであり、前記電解チャンバは:
(i)水および電解質を有する電解液を有し;
(ii)前記電解液を収容するための空間を定めるための電解チャンバを有し;
(iii)電位の発生源を有し;
(iv)カソードを有し、前記カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは前記電位の発生源へ接続されており;
(v)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解チャンバ内の前記電解液は、前記電解チャンバによって定められた前記空間に関して深さ(D)によって概して示される体積を持ち、前記電解液の深さ(D)によって示される前記体積の電解液は、お互いに実質的に接近している前記アノードと前記カソードとの間の電解液を与えるために必要な、深さ(h)によって概して示される体積の電解液よりも多いものであり;
(vi)前記電解液の存在下で前記アノードと前記カソードとの間の電位によって生成される少なくとも一つのガスを有し、前記少なくとも一つのガスは、深さ(h)によって示される前記体積の電解液の少なくとも一部を通過し、前記少なくとも一つのガスは、内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されるものであり;かつ、
(vii)前記カソードと前記アノードとが互いに実質的に接近する領域内での前記少なくとも一つのガスの産生において生成される熱エネルギーを有し、前記熱エネルギーの少なくとも一部が、深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液へ実質的に伝達および分散され、前記体積は、お互いに実質的に接近している前記アノードと前記カソードとの間に電解液を与えるために必要な、深さ(h)によって概して示される電解液の前記体積よりも多いものである、前記熱エネルギーを有する、
前記電解チャンバ。
【請求項74】
前記カソードが前記チャンバと一体的に形成されており、かつ、前記カソードが、外気と接触して熱エネルギーを伝導によって前記電解液から前記外気へと放出する、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項75】
深さ(D)によって概して示される前記体積の水が、半径方向内向きの基本的な流れのベクトルを更に有し、ここで前記流れのベクトルが、深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液へ熱エネルギーを伝達しかつ分散させる、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項76】
前記アノードが、基本的なベクトルが前記アノードを通過するのを可能にするメッシュ部分を更に有する、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項77】
前記カソードと前記アノードとの接近性が距離(d)で表され、円筒の直径が直径(Dia.)で表され、Dia.:dの比が約100:1から約20:1の範囲内にあることを更に有する、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項78】
D:dの比が少なくとも約10:1であることを更に有する、請求項77記載の電解チャンバ。
【請求項79】
D:dの比が少なくとも約50:1であることを更に有する、請求項77記載の電解チャンバ。
【請求項80】
円筒の直径が直径「Dia.」で表され、Dia.:Dの比が約3:1から約1:1に分布することを更に有する、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項81】
前記アノードが、前記電解チャンバの作動の間、前記電解液の液面下に実質的に沈んだままである、請求項71記載の電解チャンバ。
【請求項82】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを供給するために車両に搭載した電解チャンバによって生成するときに、該前記水素ガスの実質的にばらつきの無い産生を提供するための方法であって、前記方法は:
(i)電解質を水と合わせること、それにより、有効濃度の電解質を持つ電解液を形成することを有し;
(ii)前記電解液を収容するための実質的に閉じた空間を定める電解チャンバを備えることを有し;
(iii)電位の発生源を備えることを有し;
(iv)カソードを備えることを有し、前記カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは前記電位の発生源へ接続されており;
(v)アノードを前記電解チャンバ内に前記カソードに接近させて配置しかつ固定することを有し、前記アノードは、前記電位の発生源へ接続され;
(vi)前記電解液を前記電解チャンバへ加えることを有し、それにより、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を前記電解液の液面下に沈めることを有し;
(vii)水素ガスおよび酸素ガスを生成する過程で前記電解液から水が除去されることを可能とすることを有し、前記水素ガスは、内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されて、前記供給される水素ガスを使用しないで駆動しているエンジンと比べて前記内燃エンジンの作動を改善するものであり;
(viii)水が除去されたときに電解液内の有効濃度の電解質が変化することを可能とし、それにより前記電解液の抵抗率を変化させ;かつ、
(ix)前記電解液の前記抵抗率が変化することが可能であるときに、前記アノードと前記カソードとの間の電流の流れを実質的に一定に維持することを有し、それにより前記電解液の前記抵抗率が変化したときに水素の実質的にばらつきの無い産生率を提供することを有する、
前記方法。
【請求項83】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ接続された空気取入れ口通路へ実質的に層流の水素ガスを送る工程を更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項84】
前記アノードを、前記電解液の液面下に完全に沈める工程を更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項85】
前記電解液へ水を加える工程を更に有し、前記工程が、少なくとも約10,000マイルと実質的に同等の有効な走行マイル数の周期に対する前記内燃エンジンの作動の後にのみ必要とされるものである、請求項82記載の方法。
【請求項86】
電解質が水酸化カリウムである、請求項82記載の方法。
【請求項87】
電解液が約11から約13のpHにある、請求項82記載の方法。
【請求項88】
前記水と電解質とを合わせる前記工程が、前記水中の前記電解質の濃度を、約0.001から約0.2mol/Lのモル濃度の範囲とすることを更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項89】
前記水と電解質とを合わせる前記工程が、前記水中の前記電解質の濃度を、約0.005から約0.1mol/Lのモル濃度の範囲とすることを更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項90】
前記実質的に一定の電流の流れの間、沸騰を回避するのに充分な温度に前記電解液を維持する工程を更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項91】
電解液を含む電解チャンバであって、該電解液は、作動中に、異なる電解質濃度を示しかつ、異なる抵抗率を示すものでありながら、当該電解チャンバは、実質的に一定のガスの産生を維持するものであり、当該電解チャンバが:
(i)水および電解質を有する電解液を有し、前記電解液は有効濃度の電解質を有し;
(ii)前記電解液を収容する空間を定めるための電解チャンバを有し;
(iii)電位の発生源を有し;
(iv)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(v)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解チャンバ内の前記電解液は、実質的にお互いに接近している前記アノードおよび前記カソードを少なくとも部分的に液面下に沈め、前記電解液の前記水が作動の過程で前記電解液から除去され、それにより前記有効濃度の前記電解質を変化させ、前記水が除去されるにつれて前記電解液はその抵抗率を変化させるものであり;かつ、
(vi)前記電解液の存在下で前記アノードおよび前記カソードによって生成される少なくとも一つのガスを有し、前記アノードおよび前記カソードは、作動中に前記電解液の前記抵抗率が変化するときに、前記電位の発生源によって実質的に一定の電流を与えられ、前記少なくとも一つのガスが、前記電解質の前記抵抗率が変化するときに実質的にばらつきの無い産生率で生成され、前記少なくとも一つのガスが、内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されて、前記供給される少なくとも一つのガスを使用しないで駆動しているエンジンと比べて前記内燃エンジンの作動を改善するものである、
前記電解チャンバ。
【請求項92】
前記少なくとも一つのガスが少なくとも水素ガスを有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項93】
前記電位の発生源が、水が前記電解液から除去されるときに前記アノードおよび前記カソード間の実効電圧の降下を変動させることを更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項94】
前記電位の発生源が、約30アンペアの実質的に一定の電流および可変電圧を更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項95】
前記アノードが、前記電解液の液面下に完全に沈んでいる、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項96】
前記電解質が水酸化カリウムである、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項97】
前記電解液が、約11から約13のpHを更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項98】
前記電解液が、前記水に対して約0.001から約0.2mol/Lのモル濃度の範囲内の濃度の電解質を更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項99】
前記電解液が、前記水に対して約0.005から約0.1mol/Lのモル濃度の範囲内の濃度の電解質を更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項100】
車両において代替燃料を燃焼させる方法であって、前記代替燃料は、搭載された電解セルによって生成される水素ガスの存在下で内燃エンジンの内燃チャンバへ与えられ、前記代替燃料の燃焼方法は:
(i)車両の一部として、内燃エンジンに燃焼チャンバを備えることを有し;
(ii)ある量の代替燃料を前記燃焼チャンバへ供給することを有し、該代替燃料は、実質的に、オキシジェネート、MTBE、E85、エタノール、バイオ燃料、エタノールが10%より多くを構成しているエタノールと炭化水素との混合物、バイオディーゼル、合成ディーゼルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものであり;
(iii)ある量の電解質を水と合わせることを有し、それにより電解液を形成することを有し;
(iv)前記車両に搭載された電解チャンバを備えることを有し、該電解チャンバは、前記電解液を収容するための実質的に閉じた空間を定めるものであり、
(v)電位の発生源を備えることを有し;
(vi)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(vii)アノードを前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して配置しかつ固定することを有し、前記アノードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(viii)前記電解液を前記電解チャンバへ与えることを有し、それにより、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を前記電解液の液面下に沈め;
(ix)前記車両上で前記電解チャンバ内で水素ガスを生成させることを有し、かつ、前記水素ガスを前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバへ供給することを有し;
(x)前記生成された水素ガスを前記代替燃料と混合することを有し、かつ、前記電解チャンバ内で前記代替燃料に発火を与えることを有し、前記代替燃料の燃焼が、電解チャンバによって車両上で生成される水素ガスの添加をしない燃焼に対して改善されているものである、
前記代替燃料の燃焼方法。
【請求項101】
前記代替燃料がオキシジェネートを有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項102】
前記代替燃料がE85を有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項103】
前記代替燃料がMTBEを有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項104】
前記代替燃料がバイオ燃料を有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項105】
前記代替燃料がエタノールおよび炭化水素化合物を有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項106】
前記代替燃料がバイオディーゼルを有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項107】
前記代替燃料が、約10重量%より多い含有量で非化石燃料を有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項108】
前記代替燃料が合成ディーゼルを有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項109】
内燃エンジンと電解チャンバとを備える車両であって、前記電解チャンバは十分な水素を送り出し、それにより前記車両のための新たな燃料混合物を提供するものであり、前記車両は:
(i)車両に対して固定して取り付けられた内燃エンジン内の燃焼チャンバを有し;
(ii)前記燃焼チャンバへ供給されるある量の代替燃料を有し、前記代替燃料は、実質的、オキシジェネート、MTBE、E85、エタノール、バイオ燃料、エタノールが10%より多くを構成しているエタノールと炭化水素との混合物、バイオディーゼル、合成ディーゼルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものであり;
(iii)水および電解質を有する電解液を有し;
(iv)前記電解液を収容する空間を定めるための電解チャンバを有し;
(v)電位の発生源を有し;
(vi)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードが前記電位の発生源に接続されており;
(vii)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解液は、実質的にお互いに接近している前記アノードおよび前記カソードを少なくとも部分的に液面下に沈め、前記アノードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(viii)前記車両上で前記電解チャンバ内で前記電解液の存在下で、前記アノードおよび前記カソードによって生成される少なくとも一つのガスを有し、前記少なくとも一つのガスは、内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されるものであり;かつ、
(ix)前記代替燃料と前記少なくとも一つのガスとの混合物を有し、前記混合物は、前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバ内に存在して、前記代替燃料は燃焼し、かつ、前記代替燃料は、前記供給される少なくとも一つのガスを使用しないで駆動しているエンジンと比べて前記内燃エンジンの作動を改善するものである、
前記車両。
【請求項110】
前記代替燃料がオキシジェネートを有する、請求項109記載の車両。
【請求項111】
前記代替燃料がE85を有する、請求項109記載の車両。
【請求項112】
前記代替燃料がMTBEを有する、請求項109記載の車両。
【請求項113】
前記代替燃料がバイオ燃料を有する、請求項109記載の車両。
【請求項114】
前記代替燃料がエタノールおよび炭化水素化合物を有する、請求項109記載の車両。
【請求項115】
前記代替燃料がバイオディーゼルを有する、請求項109記載の車両。
【請求項116】
前記代替燃料が、約10重量%より多い含有量で非化石燃料を有する、請求項109記載の車両。
【請求項117】
前記代替燃料が合成ディーゼルを有する、請求項109記載の車両。
【請求項1】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素を送るために、コーティングされたアノードを利用する方法であって、前記コーティングされたアノードを利用する当該方法は:
(i)電位の発生源を備えることを有し;
(ii)実質的に密閉された空間内に電解液を保持するように電解チャンバを備えることを有し;
(iii)カソードを備え、かつ、前記備えたカソードを前記備えた電位の発生源へ接続することを有し;
(iv)コーティングされたアノードを形成するために、導電性を有しかつ酸化に抗するコーティング化合物を有するコーティング材料によって、金属ベース基板化合物を有するアノードをコーティングすることを有し;
(v)前記コーティングされたアノードを、前記電解チャンバ内に前記カソードに対して配置しかつ固定することを有し、それによって、前記コーティングされたアノードとカソードとがお互いに近くにあるようにし、かつ、前記アノードを前記電位の発生源へ接続することを有し;
(vi)ある量の電解質を水と合わせ、それにより前記電解チャンバに加えられる電解液を形成することを有し、前記電解質の前記量は、少なくとも部分的に前記コーティングされたアノードを液面下に沈めるのに充分であり、かつ、前記コーティングされたアノードと前記カソードとの間の電位で前記電解液に電圧を与え、それにより水が酸素および水素ガスを放出することを有し;かつ、;
(vii)内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを送達することを有し、その間、酸素および水素の前記放出から生成された酸素は、前記アノード上への前記電導性セラミックコーティングによって、前記コーティングされたアノードを分解することを実質的に妨げられている、
前記方法。
【請求項2】
前記金属ベース基板化合物が、チタン、タングステン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるバルブ金属化合物を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項3】
前記金属ベース基板化合物が、チタンを更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項4】
前記金属ベース基板化合物が、白金族金属を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項5】
前記金属ベース基板化合物が、約0.2重量%よりも少ないパラジウムと共に合金にされたチタンを更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項6】
前記金属ベース基板化合物が、貴金属、貴金属酸化物、バルブ金属酸化物、および、それらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの材料を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項7】
前記コーティング材料化合物が、セラミックコーティング材料化合物を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項8】
前記セラミックコーティング材料化合物が、酸化イリジウム、酸化タンタル、酸化チタン、または、それらの組み合わせから選択される少なくとも一つの酸化物を更に有する、請求項7記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項9】
前記セラミックコーティング材料化合物が、アルカリ土類金属、および/または、周期表第VIII、VI BおよびVII B族の金属を有するドーピングの金属酸化物化合物を更に有する、請求項7記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項10】
前記セラミックコーティング材料化合物が、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、マンガン、カルシウム、マグネシウム、バリウム、および、それらの組み合わせからなる群から選択されるドーピングの金属酸化物化合物を更に有する、請求項7記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項11】
前記セラミックコーティング材料化合物が、約0.1から約5重量%の前記コーティング材料化合物の量で添加されたドーピングの金属酸化物を更に有する、請求項7記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項12】
前記金属ベース基板化合物をコーティングする前記工程が、めっき、クラッディング、押出加工、プラズマスプレー、および/または、熱分解によって、前記コーティング材料化合物をつけることを有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項13】
前記金属ベース基板化合物がチタンを更に有し、かつ、前記コーティング材料化合物がセラミックコーティング材料化合物を更に有する、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項14】
前記カソードが前記チャンバと一体化している、請求項1記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項15】
電導性を有しかつ腐食耐性を有する表面材料でコーティングされたアノードを含む電解チャンバ装置であって、当該電解チャンバは、内燃チャンバへ水素を送って内燃チャンバの効率を改善するものであって、前記電解チャンバ装置が:
(i)電位の発生源を有し;
(ii)水と、ある量の電解質とを有してなる電解液を有し;
(iii)前記電解液を保持する電解チャンバを有し;
(iv)前記電位の発生源へ接続されたカソードを有し;
(v)コーティングされたアノードを有し、該アノードは、コーティング材料化合物でコーティングされた金属ベース基板化合物を有してなり、該コーティング材料化合物は、水の電気分解において作動したときに電導性を有しかつ分解抵抗性を有するものであって、前記コーティングされたアノードとカソードとがお互いに近くにあるように、該コーティングされたアノードは、前記電解チャンバ内に前記カソードに対して所定の位置に固定されれており、前記コーティングされたアノードは、前記電位の発生源へ接続され、かつ、少なくとも部分的に前記電解液の液面下に沈んでおり、かつ、前記電位で電圧を与えられ、それにより酸素ガスおよび水素ガスを生成することができる電位を前記カソードと共に生成しており、酸素ガスおよび水素ガスの前記放出から生成される前記酸素は、前記アノード上への前記電導性のコーティング材料化合物によって、前記コーティングされたアノードを分解することを実質的に妨げられており;かつ;
(vi)前記生成された水素ガスを内燃エンジンの前記燃焼チャンバへ供給するための、前記チャンバへ接続された供給手段を有し、前記供給手段が、前記燃焼チャンバの取入れ口と連絡するための通路を有している、
前記電解チャンバ装置。
【請求項16】
前記コーティングされたアノードの前記金属ベース基板化合物が、チタン、タングステン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、および、それらの組み合わせからなる群から選択されるバルブ金属を更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項17】
前記コーティングされたアノードの前記金属ベース基板化合物が、チタンを更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項18】
前記コーティングされたアノードの前記セラミックコーティング材料化合物が、白金族金属を更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項19】
前記コーティングされたアノードの前記コーティング材料化合物が、セラミックコーティング材料化合物を更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項20】
前記コーティングされたアノードの前記セラミックコーティング材料化合物が、貴金属、貴金属酸化物、バルブ金属酸化物、および、それらの組み合わせからなる群から選択される化合物を更に有する、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項21】
前記セラミックコーティング材料化合物が、酸化イリジウム、酸化タンタル、酸化チタン、または、それらの組み合わせから選択される少なくとも一つの酸化物である、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項22】
前記セラミックコーティング材料化合物が、アルカリ土類金属および/または周期表第VIII、VI BおよびVII B族の金属を有するドーピングの金属酸化物化合物を更に有する、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項23】
前記セラミックコーティング材料化合物が、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、マンガン、カルシウム、マグネシウム、バリウム、および、それらの組み合わせからなる群から選択されるドーピングの金属酸化物化合物を更に有する、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項24】
前記セラミックコーティング材料化合物が、約0.1から約5重量%のコーティング材料化合物の量で存在するドーピングの金属酸化物を更に有する、請求項19記載の電解チャンバ装置。
【請求項25】
前記金属ベース基板化合物が、チタンを更に有し、かつ、前記コーティング材料化合物が、セラミックコーティング材料化合物を更に有する、請求項15記載の電解チャンバ装置。
【請求項26】
前記カソードが、前記チャンバと一体化している、請求項15記載のコーティングされたアノードを利用する方法。
【請求項27】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを供給するように電解チャンバの作動を促進するための制御方法であって、前記制御方法は:
(i)電解質を水と合わせることを有し、それによって、或る水の含有量と、或る電解質の含有量とを持つ電解液を形成することを有し;
(ii)前記電解液を収容するための電解チャンバを備えることを有し;
(iii)電位の発生源を備えることを有し;
(iv)カソードを備えることを有し、該カソードは前記電解チャンバと一体的に形成されることが任意であり、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続され;
(v)アノードを前記電解チャンバ内に前記カソードに接近させて配置しかつ固定することを有し、前記アノードは、前記電位の発生源へ接続され;
(vi)前記電解液を前記電解チャンバへ加えることを有し、それにより、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を前記電解液の液面下に沈めることを有し;
(vii)水素ガスおよび酸素ガスを生成する過程で前記電解液から前記水含有量を減少させることを有し、前記水素ガスは内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されて、前記供給された水素ガスの使用なしに駆動する前記内燃エンジンと比べて、前記内燃エンジンの作動を改善するものであり;
(viii)前記水含有量が減少していくときの前記電解液の抵抗率に関する特性について前記電解液を感知することを有し、かつ、前記抵抗率を示す第一の信号を生成することを有し;かつ、
(ix)前記電解液の前記抵抗率に関する前記第一の信号に基づいて第二の信号を生成することを有し、前記第二の信号は水を前記電解チャンバにいつ加えるべきかを指示するものである、
前記制御方法。
【請求項28】
前記感知する工程が、前記アノードと前記カソードとの間の電気的パラメータを感知することを更に有し、該パラメータは、電圧降下、抵抗率、伝導率、静電容量、または、それらの組み合わせのいずれか一つを含んでいる、請求項27記載の制御方法。
【請求項29】
前記感知する工程が、前記アノードと前記カソードとの間の実効電圧の降下を感知することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項30】
前記感知する工程が、前記アノードと前記カソードとの間の実効電圧の降下を、継続的に、周期的に、または、それらの組み合わせで感知することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項31】
前記制御方法が、前記電解液の前記抵抗率に関する前記第一の信号に基づいて第三の信号を生成することを有し、前記第三の信号が、前記アノードおよび前記カソードが電源を断たれるべきであることを示し、かつ、前記カソードおよび前記アノードの電源を断つために利用される、請求項27記載の制御方法。
【請求項32】
前記第二の信号が、前記アノードおよび前記カソードが電源を断たれるべきであるという指示を更に有し、前記指示が、前記カソードおよび前記アノードの電源を断つために利用される、請求項27記載の制御方法。
【請求項33】
前記制御方法が、前記電解液の温度を示すパラメータを感知することを更に有し、かつ、前記制御方法が、ヒーターおよび/または冷却ファンを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促す温度信号を生成して前記電解液の前記温度を効率的に調節することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項34】
前記制御方法が、別個の制御回路によって前記電解液の温度を示すパラメータを感知することを更に有し、かつ、前記制御方法が、ヒーターを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促す温度信号を生成して前記電解液の前記温度を効率的に調節することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項35】
前記制御方法が、別個の制御回路によって前記電解液の温度を示すパラメータを感知することを更に有し、かつ、前記制御方法が、冷却ファンを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促す温度信号を生成して前記電解液の前記温度を効率的に調節することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項36】
前記制御方法が、単一の制御回路によって、抵抗率および温度に関する特性について前記電解質を感知することを更に有する、請求項27記載の制御方法。
【請求項37】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを供給するために、電解チャンバの作動を促進するための制御ユニットを有する電解システムであって、前記電解システムは:
(i)ある水の含有量と、ある電解質の含有量とを有する電解液を有し;
(ii)前記電解液を収容するための空間を定める電解チャンバを有し;
(iii)電位の発生源を有し;
(iv)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(v)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解チャンバ内の前記電解液は、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を液面下に沈めており、前記アノードは前記電位の発生源へ接続されており;
(vi)制御ユニットを有し、該制御ユニットは、前記水の含有量が減少しているときの電解液の抵抗率に関連する特性について前記電解液を感知することによって得られる感知信号を含んでおり、前記感知信号は、前記電解液の前記抵抗率を示すものであり、かつ、該制御ユニットは、該制御ユニットによって生成されたかつ前記感知信号に基づいた指示信号を有し、該指示信号は、水を前記電解チャンバへいつ加えるべきかを指示するものである、
前記電解システム。
【請求項38】
前記感知信号が、前記アノードと前記カソードとの間の電気的パラメータから導かれたものであって、該電気的パラメータが、電圧降下、抵抗率、伝導率、静電容量またはそれらの組み合わせのいずれか一つを有するものである、請求項37記載の電解システム。
【請求項39】
前記感知信号が、前記アノードと前記カソードとの間の実効電圧の降下を感知することによって導かれたものである、請求項37記載の電解システム。
【請求項40】
前記感知信号が、前記アノードと前記カソードとの間の実効電圧の降下を、継続的に、周期的に、または、それらの組み合わせで感知することによって導かれたものである、請求項37記載の電解システム。
【請求項41】
前記制御ユニットが、前記電解液の抵抗率に関連する特性について前記電解液を感知することによって導かれた前記感知信号に基づく電圧切断信号を更に有し、前記電圧切断信号が、前記アノードおよび前記カソードが電圧を切られるべきであることを指示し、かつ、前記電圧切断信号が、前記カソードおよび前記アノードの電圧を切るために利用される、請求項37記載の電解システム。
【請求項42】
前記指示信号が、前記アノードおよび前記カソードが電圧を切られるべきであるという指示を更に有し、前記指示が、前記カソードおよび前記アノードの電圧を切るために利用される、請求項37記載の電解システム。
【請求項43】
前記制御ユニットが、前記電解液の温度を示す温度感知信号を更に有し、かつ、前記制御ユニットが、ヒーターおよび/または冷却ファンを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促進する温度指示信号を更に含んで前記電解液の前記温度を効率的に調節する、請求項37記載の電解システム。
【請求項44】
前記電解システムが、前記制御ユニットとは別個の冷却ユニットを更に有し、前記冷却ユニットは、前記電解液の温度を示す熱感知信号を有し、かつ、前記冷却ユニットは、冷却ファンを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促進する熱指示信号を更に含んで前記電解液の前記温度を効率的に調節する、請求項37記載の電解システム。
【請求項45】
前記電解システムが、前記制御ユニットとは別個の加熱ユニットを更に有し、前記加熱ユニットは、前記電解液の温度を示す低温感知信号を有し、かつ、前記加熱ユニットは、ヒーターを始動させることによる前記電解液の前記温度の制御を促す低温指示信号を更に含んで前記電解液の前記温度を効率的に調節する、請求項37記載の電解システム。
【請求項46】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを送るために、電解チャンバ内で実質的に周囲圧力において、水素ガスを生成する方法であって、前記方法は:
(i)ある量の電解質をある量の水と合わせて電解液を形成することを有し;
(ii)前記電解液を収容するための電解チャンバを備えることを有し、
(iii)電位の発生源を備えることを有し;
(iv)カソードを備えることを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体化して形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(v)アノードを前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して配置しかつ固定することを有し、前記アノードは、前記電位の発生源に接続されており;
(vi)前記電解液を前記電解チャンバへ加えることを有し、それにより、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を前記電解液の液面下に沈め;
(vii)前記電解液の存在下で前記カソードおよび前記アノードに電圧を与えることを有し、前記アノードおよび前記カソードから放出される水素および酸素ガスを生成し、前記水素ガスは実質的に周囲圧力に維持され、かつ、前記水素ガスはノズルの入口へ供給され;かつ、
(viii)前記水素ガスが供給される前記入口と、前記内燃エンジンの空気取入れ口またはタービンハウジング通路と通じている前記ノズルの出口との間において、前記ノズルをまたぐわずかな圧力差を生成することを有し、かつ、前記水素ガスを、前記わずかな圧力差の下で、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口内へまたはタービンハウジング通路内へ噴射し、前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバへ供給されている空気中に前記水素ガスを効率的に分散させることを有し、前記分散が、前記供給される水素ガスなしで駆動している前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバと比べて前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバの性能を向上させるものである、
前記方法。
【請求項47】
前記ノズルをまたぐ前記わずかな圧力差が、前記入口にある圧力と前記出口にある圧力との間での差において1気圧より小さいことを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記実質的な周囲圧力が、前記ノズルの前記入口へ供給される前記水素ガスと、周囲圧力との間での差において1気圧より小さいことを有する、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記方法が、実質的に自由流れの様式にて、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口へまたはタービンハウジング通路へ前記水素ガスを供給することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記方法が、前記水素ガスを、実質的に層流の様式にて、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口へまたはタービンハウジング通路へ供給することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、ポンプ機構によって増大された圧力下で、前記ノズルの前記入口へ前記水素ガスを供給することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項52】
前記方法が、前記ノズルの出口でのオリフィスの大きさの制限に少なくとも一部分は起因して、ノズルを通じてのベンチュリ効果を生成することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項53】
前記方法が、前記ノズルを出る前記水素ガスの流れの量を制限しつつ、前記水素ガスが前記ノズルを抜け出るときに前記水素ガスの流れの速さの増大を生成することを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項54】
内燃エンジンと、車両の効率を改善するために水素ガスを生成するための実質的に周囲圧力で作動する電解チャンバとを含む車両であって、前記車両は:
(i)水および電解質を有する電解液を有し;
(ii)前記電解液を収容するための空間を定める電解チャンバを有し;
(iii)電位の発生源を有し;
(iv)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体化して形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;かつ、
(v)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解チャンバ内の前記電解液によって、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部は液面下に沈んでおり、前記アノードが前記電位の発生源に接続されているため、前記アノードおよび前記カソードは、前記アノードと前記カソードとから放出される水素ガスと酸素ガスとを生成し、前記水素ガスは実質的に周囲圧力に維持されており;かつ、
(vi)ノズルを有し、該ノズルは、入口および出口を含んでおり、これらは、前記水素ガスが前記電解チャンバから供給される前記入口と、前記内燃エンジンの空気取入れ口またはタービンハウジング通路と通じている前記出口との間で、わずかな圧力差を生成することができるものであり、前記ノズルは、前記わずかな圧力差の下で前記水素ガスを前記通路中に噴射して前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバへ供給されている空気中に前記水素ガスを効率的に分散させることができるオリフィスを前記出口に含んでおり、それによって、前記供給される水素ガスなしで駆動している前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバと比べて前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバの性能を向上させるものである、
前記車両。
【請求項55】
前記ノズルでの前記わずかな圧力差が、前記入口にある圧力と前記出口にある圧力との間での差において1気圧より小さいことを更に有する、請求項54記載の車両。
【請求項56】
前記実質的な周囲圧力が、前記ノズルの前記入口へ供給される前記水素ガスと周囲圧力との間での差において1気圧より小さいことを有する、請求項54記載の車両。
【請求項57】
前記水素ガスが、実質的に自由流れの様式にて、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口へまたはタービンハウジング通路へ供給される、請求項54記載の車両。
【請求項58】
前記ノズルが、前記水素ガスを、実質的に層流の様式にて、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口へまたはタービンハウジング通路へ送ることを更に有する、請求項54記載の車両。
【請求項59】
前記ノズルが、前記水素ガスを、ポンプ機構によって増大された圧力下で、前記ノズルの前記入口へ送ることを更に有する、請求項54記載の車両。
【請求項60】
前記小さい圧力差を与えるために効率的に小さいオリフィスを少なくとも一つ有することによって、前記ノズルが特徴付けられるものであるということを、更に有する、請求項54記載の車両。
【請求項61】
前記ノズルが、アルミニウムから切削された単一のユニットであって、中央を貫いて軸方向にドリル開けされ、かつ、両端にねじ切りされて、前記電解チャンバへ接続している管路への、および、前記内燃エンジンの前記空気取入れ口またはタービンハウジング通路へ接続している管路への好適な接続を与えるものであるということを、更に有する、請求項54記載の内燃エンジン。
【請求項62】
水素ガスが水から遊離されかつそれが内燃エンジンの内燃チャンバへ供給されるときに、電解チャンバで生成された熱エネルギーを効率的に分散させるための熱伝達方法であって、前記熱伝達方法は:
(i)ある量の電解質をある量の水と合わせることを有し、かつ、有効な電解質濃度を持つ電解液を形成することを有し;
(ii)前記電解液を収容するための電解チャンバを備えることを有し;
(iii)電位の発生源を備えることを有し;
(iv)カソードを備えることを有し、前記カソードは前記電解チャンバと一体化して形成されていても良く、前記カソードは前記電位の発生源へ接続されており;
(v)アノードを、前記電解チャンバ内に配置しかつ固定することを有し、該アノードと前記カソードの少なくとも一部はお互いに実質的に接近しており、前記アノードは前記電位の発生源へ接続されており;
(vi)前記電解チャンバに関する深さ(D)によって概して示される体積の前記電解液を前記電解チャンバへ加えることを有し、前記電解液の深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液は、前記アノードと前記カソードとの間に電解液を備えるのに必要な最小の体積の電解液よりも多く、前記最小の体積は、深さ(h)によって概して示されるものであり;
(vii)前記電解液の存在下で前記アノードおよびカソードに電圧を加えることを有し、それによって深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液の少なくとも一部を通過する水素ガスおよび酸素ガスを産生し、前記水素ガスは内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給され;かつ、
(viii)深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液を循環させることを有し、それによって前記アノードおよび前記カソードによる水素ガスおよび酸素ガスの産生で生成された熱エネルギーを、深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液へ実質的に伝達および分散させ、深さ(D)によって概して示される前期体積が、前記アノードと前記カソードとの間の電解液を与えるために必要な深さ(h)によって概して示される電解液の体積よりも大きいことを有する、
前記熱伝達方法。
【請求項63】
熱エネルギーを、前記チャンバと一体的に形成された前記カソードへ、そして、外部大気へ伝達させて、熱エネルギーを前記カソードを通した伝導によって前記電解液から前記大気へ伝達することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項64】
熱エネルギーを前記電解チャンバおよび外部大気へ伝達して、熱エネルギーを前記電解チャンバを通した伝導によって前記電解液から前記大気へ伝達することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項65】
前記アノードの前記配置および固定が、前記アノードの円筒部分を前記カソードの内部に置き、それによって前記部分が前記深さ(h)に関する距離にわたって接近していることを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項66】
前記循環させる工程が、深さ(h)によって概して示される前記体積の電解液内で、前記カソードと接近した前記アノードから内向き方向の基本的な流れのベクトルを生成することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項67】
前記循環させる工程が、前記アノードのメッシュ状態の部分を通した内向き方向の本質的な流れのベクトルを生成することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項68】
カソードおよびアノードの接近性が、距離(d)で表され、円筒の直径が直径(Dia.)で表され、Dia.:dの比が、約100:1から約20:1の範囲内にあり、それにより深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液を循環させるのを助けることを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項69】
D:dの比が少なくとも約10:1であることを更に有する、請求項68記載の熱伝達方法。
【請求項70】
D:dの比が少なくとも約50:1であることを更に有する、請求項68記載の熱伝達方法。
【請求項71】
円筒の直径が直径「Dia.」で表され、Dia.:Dの比が約3:1から約1:1に分布することを更に有する、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項72】
前記電圧を与える工程の間、前記アノードが前記電解液の液面下に完全に沈んだままである、請求項62記載の熱伝達方法。
【請求項73】
電解液を含む電解チャンバであって、該電解液は、熱エネルギーを熱生成領域から移送して前記熱エネルギーを分散させる役目を果たし、それによって、内燃チャンバ内で使用するための水素ガスの、より安定した作動と生成とをもたらすものであり、前記電解チャンバは:
(i)水および電解質を有する電解液を有し;
(ii)前記電解液を収容するための空間を定めるための電解チャンバを有し;
(iii)電位の発生源を有し;
(iv)カソードを有し、前記カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは前記電位の発生源へ接続されており;
(v)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解チャンバ内の前記電解液は、前記電解チャンバによって定められた前記空間に関して深さ(D)によって概して示される体積を持ち、前記電解液の深さ(D)によって示される前記体積の電解液は、お互いに実質的に接近している前記アノードと前記カソードとの間の電解液を与えるために必要な、深さ(h)によって概して示される体積の電解液よりも多いものであり;
(vi)前記電解液の存在下で前記アノードと前記カソードとの間の電位によって生成される少なくとも一つのガスを有し、前記少なくとも一つのガスは、深さ(h)によって示される前記体積の電解液の少なくとも一部を通過し、前記少なくとも一つのガスは、内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されるものであり;かつ、
(vii)前記カソードと前記アノードとが互いに実質的に接近する領域内での前記少なくとも一つのガスの産生において生成される熱エネルギーを有し、前記熱エネルギーの少なくとも一部が、深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液へ実質的に伝達および分散され、前記体積は、お互いに実質的に接近している前記アノードと前記カソードとの間に電解液を与えるために必要な、深さ(h)によって概して示される電解液の前記体積よりも多いものである、前記熱エネルギーを有する、
前記電解チャンバ。
【請求項74】
前記カソードが前記チャンバと一体的に形成されており、かつ、前記カソードが、外気と接触して熱エネルギーを伝導によって前記電解液から前記外気へと放出する、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項75】
深さ(D)によって概して示される前記体積の水が、半径方向内向きの基本的な流れのベクトルを更に有し、ここで前記流れのベクトルが、深さ(D)によって概して示される前記体積の電解液へ熱エネルギーを伝達しかつ分散させる、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項76】
前記アノードが、基本的なベクトルが前記アノードを通過するのを可能にするメッシュ部分を更に有する、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項77】
前記カソードと前記アノードとの接近性が距離(d)で表され、円筒の直径が直径(Dia.)で表され、Dia.:dの比が約100:1から約20:1の範囲内にあることを更に有する、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項78】
D:dの比が少なくとも約10:1であることを更に有する、請求項77記載の電解チャンバ。
【請求項79】
D:dの比が少なくとも約50:1であることを更に有する、請求項77記載の電解チャンバ。
【請求項80】
円筒の直径が直径「Dia.」で表され、Dia.:Dの比が約3:1から約1:1に分布することを更に有する、請求項73記載の電解チャンバ。
【請求項81】
前記アノードが、前記電解チャンバの作動の間、前記電解液の液面下に実質的に沈んだままである、請求項71記載の電解チャンバ。
【請求項82】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ水素ガスを供給するために車両に搭載した電解チャンバによって生成するときに、該前記水素ガスの実質的にばらつきの無い産生を提供するための方法であって、前記方法は:
(i)電解質を水と合わせること、それにより、有効濃度の電解質を持つ電解液を形成することを有し;
(ii)前記電解液を収容するための実質的に閉じた空間を定める電解チャンバを備えることを有し;
(iii)電位の発生源を備えることを有し;
(iv)カソードを備えることを有し、前記カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは前記電位の発生源へ接続されており;
(v)アノードを前記電解チャンバ内に前記カソードに接近させて配置しかつ固定することを有し、前記アノードは、前記電位の発生源へ接続され;
(vi)前記電解液を前記電解チャンバへ加えることを有し、それにより、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を前記電解液の液面下に沈めることを有し;
(vii)水素ガスおよび酸素ガスを生成する過程で前記電解液から水が除去されることを可能とすることを有し、前記水素ガスは、内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されて、前記供給される水素ガスを使用しないで駆動しているエンジンと比べて前記内燃エンジンの作動を改善するものであり;
(viii)水が除去されたときに電解液内の有効濃度の電解質が変化することを可能とし、それにより前記電解液の抵抗率を変化させ;かつ、
(ix)前記電解液の前記抵抗率が変化することが可能であるときに、前記アノードと前記カソードとの間の電流の流れを実質的に一定に維持することを有し、それにより前記電解液の前記抵抗率が変化したときに水素の実質的にばらつきの無い産生率を提供することを有する、
前記方法。
【請求項83】
内燃エンジンの燃焼チャンバへ接続された空気取入れ口通路へ実質的に層流の水素ガスを送る工程を更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項84】
前記アノードを、前記電解液の液面下に完全に沈める工程を更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項85】
前記電解液へ水を加える工程を更に有し、前記工程が、少なくとも約10,000マイルと実質的に同等の有効な走行マイル数の周期に対する前記内燃エンジンの作動の後にのみ必要とされるものである、請求項82記載の方法。
【請求項86】
電解質が水酸化カリウムである、請求項82記載の方法。
【請求項87】
電解液が約11から約13のpHにある、請求項82記載の方法。
【請求項88】
前記水と電解質とを合わせる前記工程が、前記水中の前記電解質の濃度を、約0.001から約0.2mol/Lのモル濃度の範囲とすることを更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項89】
前記水と電解質とを合わせる前記工程が、前記水中の前記電解質の濃度を、約0.005から約0.1mol/Lのモル濃度の範囲とすることを更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項90】
前記実質的に一定の電流の流れの間、沸騰を回避するのに充分な温度に前記電解液を維持する工程を更に有する、請求項82記載の方法。
【請求項91】
電解液を含む電解チャンバであって、該電解液は、作動中に、異なる電解質濃度を示しかつ、異なる抵抗率を示すものでありながら、当該電解チャンバは、実質的に一定のガスの産生を維持するものであり、当該電解チャンバが:
(i)水および電解質を有する電解液を有し、前記電解液は有効濃度の電解質を有し;
(ii)前記電解液を収容する空間を定めるための電解チャンバを有し;
(iii)電位の発生源を有し;
(iv)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(v)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解チャンバ内の前記電解液は、実質的にお互いに接近している前記アノードおよび前記カソードを少なくとも部分的に液面下に沈め、前記電解液の前記水が作動の過程で前記電解液から除去され、それにより前記有効濃度の前記電解質を変化させ、前記水が除去されるにつれて前記電解液はその抵抗率を変化させるものであり;かつ、
(vi)前記電解液の存在下で前記アノードおよび前記カソードによって生成される少なくとも一つのガスを有し、前記アノードおよび前記カソードは、作動中に前記電解液の前記抵抗率が変化するときに、前記電位の発生源によって実質的に一定の電流を与えられ、前記少なくとも一つのガスが、前記電解質の前記抵抗率が変化するときに実質的にばらつきの無い産生率で生成され、前記少なくとも一つのガスが、内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されて、前記供給される少なくとも一つのガスを使用しないで駆動しているエンジンと比べて前記内燃エンジンの作動を改善するものである、
前記電解チャンバ。
【請求項92】
前記少なくとも一つのガスが少なくとも水素ガスを有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項93】
前記電位の発生源が、水が前記電解液から除去されるときに前記アノードおよび前記カソード間の実効電圧の降下を変動させることを更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項94】
前記電位の発生源が、約30アンペアの実質的に一定の電流および可変電圧を更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項95】
前記アノードが、前記電解液の液面下に完全に沈んでいる、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項96】
前記電解質が水酸化カリウムである、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項97】
前記電解液が、約11から約13のpHを更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項98】
前記電解液が、前記水に対して約0.001から約0.2mol/Lのモル濃度の範囲内の濃度の電解質を更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項99】
前記電解液が、前記水に対して約0.005から約0.1mol/Lのモル濃度の範囲内の濃度の電解質を更に有する、請求項91記載の電解チャンバ。
【請求項100】
車両において代替燃料を燃焼させる方法であって、前記代替燃料は、搭載された電解セルによって生成される水素ガスの存在下で内燃エンジンの内燃チャンバへ与えられ、前記代替燃料の燃焼方法は:
(i)車両の一部として、内燃エンジンに燃焼チャンバを備えることを有し;
(ii)ある量の代替燃料を前記燃焼チャンバへ供給することを有し、該代替燃料は、実質的に、オキシジェネート、MTBE、E85、エタノール、バイオ燃料、エタノールが10%より多くを構成しているエタノールと炭化水素との混合物、バイオディーゼル、合成ディーゼルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものであり;
(iii)ある量の電解質を水と合わせることを有し、それにより電解液を形成することを有し;
(iv)前記車両に搭載された電解チャンバを備えることを有し、該電解チャンバは、前記電解液を収容するための実質的に閉じた空間を定めるものであり、
(v)電位の発生源を備えることを有し;
(vi)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(vii)アノードを前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して配置しかつ固定することを有し、前記アノードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(viii)前記電解液を前記電解チャンバへ与えることを有し、それにより、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一部を前記電解液の液面下に沈め;
(ix)前記車両上で前記電解チャンバ内で水素ガスを生成させることを有し、かつ、前記水素ガスを前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバへ供給することを有し;
(x)前記生成された水素ガスを前記代替燃料と混合することを有し、かつ、前記電解チャンバ内で前記代替燃料に発火を与えることを有し、前記代替燃料の燃焼が、電解チャンバによって車両上で生成される水素ガスの添加をしない燃焼に対して改善されているものである、
前記代替燃料の燃焼方法。
【請求項101】
前記代替燃料がオキシジェネートを有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項102】
前記代替燃料がE85を有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項103】
前記代替燃料がMTBEを有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項104】
前記代替燃料がバイオ燃料を有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項105】
前記代替燃料がエタノールおよび炭化水素化合物を有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項106】
前記代替燃料がバイオディーゼルを有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項107】
前記代替燃料が、約10重量%より多い含有量で非化石燃料を有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項108】
前記代替燃料が合成ディーゼルを有する、請求項100記載の燃焼方法。
【請求項109】
内燃エンジンと電解チャンバとを備える車両であって、前記電解チャンバは十分な水素を送り出し、それにより前記車両のための新たな燃料混合物を提供するものであり、前記車両は:
(i)車両に対して固定して取り付けられた内燃エンジン内の燃焼チャンバを有し;
(ii)前記燃焼チャンバへ供給されるある量の代替燃料を有し、前記代替燃料は、実質的、オキシジェネート、MTBE、E85、エタノール、バイオ燃料、エタノールが10%より多くを構成しているエタノールと炭化水素との混合物、バイオディーゼル、合成ディーゼルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものであり;
(iii)水および電解質を有する電解液を有し;
(iv)前記電解液を収容する空間を定めるための電解チャンバを有し;
(v)電位の発生源を有し;
(vi)カソードを有し、該カソードは、前記電解チャンバと一体的に形成されていても良く、前記カソードが前記電位の発生源に接続されており;
(vii)前記電解チャンバ内に前記カソードに接近して固定されたアノードを有し、前記電解液は、実質的にお互いに接近している前記アノードおよび前記カソードを少なくとも部分的に液面下に沈め、前記アノードは、前記電位の発生源へ接続されており;
(viii)前記車両上で前記電解チャンバ内で前記電解液の存在下で、前記アノードおよび前記カソードによって生成される少なくとも一つのガスを有し、前記少なくとも一つのガスは、内燃エンジンの燃焼チャンバへ供給されるものであり;かつ、
(ix)前記代替燃料と前記少なくとも一つのガスとの混合物を有し、前記混合物は、前記内燃エンジンの前記燃焼チャンバ内に存在して、前記代替燃料は燃焼し、かつ、前記代替燃料は、前記供給される少なくとも一つのガスを使用しないで駆動しているエンジンと比べて前記内燃エンジンの作動を改善するものである、
前記車両。
【請求項110】
前記代替燃料がオキシジェネートを有する、請求項109記載の車両。
【請求項111】
前記代替燃料がE85を有する、請求項109記載の車両。
【請求項112】
前記代替燃料がMTBEを有する、請求項109記載の車両。
【請求項113】
前記代替燃料がバイオ燃料を有する、請求項109記載の車両。
【請求項114】
前記代替燃料がエタノールおよび炭化水素化合物を有する、請求項109記載の車両。
【請求項115】
前記代替燃料がバイオディーゼルを有する、請求項109記載の車両。
【請求項116】
前記代替燃料が、約10重量%より多い含有量で非化石燃料を有する、請求項109記載の車両。
【請求項117】
前記代替燃料が合成ディーゼルを有する、請求項109記載の車両。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図2A】
【図14】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図2A】
【図14】
【公表番号】特表2009−511747(P2009−511747A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535595(P2008−535595)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/039305
【国際公開番号】WO2007/047182
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508113457)オール マイ リレーションズ、インコーポレイティッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/039305
【国際公開番号】WO2007/047182
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508113457)オール マイ リレーションズ、インコーポレイティッド (1)
【Fターム(参考)】
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