説明

電解水生成噴霧装置

【課題】電解溶液の電解に際して発生する電解ガスを放出して内圧の上昇を抑えるとともに、電解溶液の漏れを防止することができる電解水生成噴霧装置を提供する。
【解決手段】電解水生成噴霧装置は、電解溶液を電解して電解水を生成する電解槽3と、電解槽3で生成された電解水を噴霧する噴霧機構7とを備えて携帯可能となっている。内部に電解溶液を貯留するとともに電解槽3を有する容器2を備え、容器2の電解槽3に連通し、かつ、電解溶液の液面より上となる部位に、容器2内と外部とを連通する通気孔9が形成されている。通気孔9が、気体を通過可能とする通気性を有するとともに、少なくとも容器2内と外部との間に圧力差が無い状態で電解溶液の通過を阻止する遮水性を備えた通気性シートにより閉塞されている。これにより、通気孔9から電解ガスを放出して容器2の内圧の上昇を防止し、電解溶液が通気孔9から漏出するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解溶液を電気分解して得られる電解水を人体の皮膚等に噴霧塗布するための携帯可能な電解水生成噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電解溶液を電解して得られた電解水の用途の一つとして、人体の皮膚等に噴霧塗布されて洗浄、消毒・殺菌、その他等のスキンケアが挙げられる。
この場合に、例えば、スキンケア用の化粧水と同様に皮膚に塗布することになるが、化粧水の塗布方法の一つとして皮膚に噴霧して塗布する方法がある。この場合に、化粧水は、専用の噴霧器付きの容器に入れられるが、電解水も同様の噴霧器付き容器に入れて使用が可能となる。
【0003】
しかし、例えば、設置型の電解水生成装置で生成された電解水を噴霧器付き容器に入れて使用するには、高価な電解水生成装置を設置する必要があり、かつ、毎回生成した電解水を容器に注水する必要がある。
また、電解水の特性は、時間がたつにつれて中和されて薄れる傾向があり、比較的頻繁に容器内の電解水を入れ替える必要が生じる虞がある。
【0004】
これらのことから、上述の噴霧器付き容器のような構造において、容器内を電解槽とし、当該容器内で電解水を生成してそのまま噴霧器で電解水を噴霧可能とした電解水生成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この電解水生成装置によれば、比較的に小型で、かつ、噴霧器が付いているので、そのまま手でもって皮膚に電解水を噴霧することが可能である。
【0005】
また、容器に水を入れる必要があるが、一度水を入れてしまえば、通常の化粧水と同様に容器が空になるまで使うことができる。例えば、容器内の電解水が使い切る前に中和するようなことがあっても、再び、容器内で電解を行うことで、繰返し容器内の水を電解水として使用可能とすることができる。
【0006】
【特許文献1】特許第2796075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば、上述のような噴霧器付きの小型の電解水生成装置をさらに小型化して、例えば、カバン等に入れて携帯するような使用方法においては、次のような問題が生じる。
例えば、噴霧器を備えた小型の電解水生成装置をカバン入れて携帯する場合に、カバンの中で容器から電解水や、電解水となる前の電解溶液が漏れると困るので、容器は電解水の噴霧時以外は密閉構造とする必要がある。
【0008】
しかし、容器内で電解溶液を電解すると、電解質にもよるが、例えば、陰極に水素ガスが発生し、陽極に酸素ガスが発生する。すなわち、電解により電解ガスが発生し、容器が密閉状態の場合に電解ガスの逃げ道がなく、容器の内圧が高まってしまう。
この場合に噴霧器の使用時に、予想以上に多くの電解水が予想以上の勢いで噴霧器から噴霧されてしまう虞があり、使用者が驚いてしまう虞がある。
【0009】
また、電解を行ったのにかかわらず噴霧器を使用しない状態では、内圧が低くならず、さらに電解を行った場合に、容器の接合部、例えば、噴霧器と容器との接合部等において、電解ガスや電解溶液(電解水を含む)が漏れ出したり、前記接合部が外れたりする虞がある。
【0010】
この場合に容器内の電解溶液の多くが外部に漏出してしまう虞がある。
また、噴霧器付きの電解水生成装置の容器に例えば小さなガス抜孔を設けることにより、容器の電解ガスによる内圧の上昇を防止できる。この際に、静置した状態では、例えば、容器が横になって、ガス抜孔が電解溶液の液面より下となってもガス抜孔が十分に小さければ、液漏れが生じない場合もあるが、カバン内では、使用者の移動に伴なって揺れる場合もあり、液漏れする可能性が高い。
【0011】
また、例えば、電解中に容器を倒してガス抜孔が電解溶液の液面より下となると、ガス抜孔が小径であることにより、電解ガスの発生に伴なって電解溶液が水鉄砲状態で吐出する可能性がある。
また、特許文献1の電解水生成装置では、容器内に貯留された全ての電解溶液を電解する構成、すなわち、容器内部の電解溶液が貯留される部分全体を電解槽とした構造なので、貯留された全ての電解溶液を所定の状態の電解水となるまで電解してから、電解水が使用可能となる。したがって、電解溶液を容器に注入した段階では、一度、上述の電解が終了するまで待たないと電解水を使用できない。
【0012】
また、容器内には、皮膚に塗布して使用する際の使用量よりも、かなり多くの電解溶液を貯留可能となっており、一度電解された電解水を比較的長い期間に渡って使用することになり、電解水が空気中の成分との中和等により劣化してしまう虞がある。
なお、劣化した場合には、また、電解すればよいが、再び、容器内の電解水全部を電解することになり、非効率的である。
【0013】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、電解ガスの発生による容器の内圧の上昇を防止するとともに、カバン等による携帯時に液漏れを防止することができる小型で携帯可能な電解水生成噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の電解水生成噴霧装置は、電解溶液を電解して電解水を生成する電解槽と、当該電解槽で生成された電解水を噴霧する噴霧機構とを備えて携帯可能な電解水生成噴霧装置において、
内部に前記電解溶液を貯留するとともに前記電解槽を有する容器を備え、
前記容器の前記電解槽に連通し、かつ、前記電解溶液の液面より上となる部位に、
当該容器内と外部とを連通する通気孔が形成され、
当該通気孔が、気体を通過可能とする通気性を有するとともに、少なくとも前記容器内と外部との間に圧力差が無い状態で電解溶液の通過を阻止する遮水性を備えた通気性シートにより閉塞されていることを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載の本発明においては、容器の電解溶液の液面より上に通気孔が形成されているので、電解溶液の電解により電解ガスが発生しても、これを通気孔から排出することができる。これにより、電解ガスによって容器の内圧が高くなるのを防止することができる。また、通気孔は、気体を通過可能とする通気性を有するとともに、少なくとも前記容器内と外部との間に圧力差が無い状態で電解溶液の通過を阻止する遮水性を備えた通気性シートにより閉塞されているので、例えば、カバンの中に電解水生成噴霧装置を入れて携帯したような場合に通気孔から電解溶液が漏れるのを防止することができる。
【0016】
すなわち、電極に電圧をかけて電解ガスが発生している状態でなければ、電解水生成噴霧装置が横に倒れたり、他の物品と混在することにより逆さになったりしても、液漏れすることがない。したがって、カバン等に入れて持ち歩いたことにより、カバン内が電解溶液で濡れてしまうようなことを防止することができる。
これにより、電解時の容器内圧の上昇と、携帯時の液漏れの両方を防止することができる。
【0017】
請求項2に記載の電解水生成噴霧装置は、請求項1に記載の発明において、前記通気性シートは、前記容器内の電解溶液に接した状態で前記容器内の圧力が外部の圧力より高くなった際に、当該圧力により前記容器内から外部への電解溶液の通過を可能とすることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明においては、電解中に容器を倒してしまった場合や、電解中なのに容器をカバンに入れてしまうことにより、通気孔が電解溶液の水面の下となった状態で電解ガスが発生した場合に、液漏れよりも容器の内圧の上昇を優先的に防止することができる。すなわち、容器の内圧が高まることにより、液面下の通気孔の通水性シートを電解溶液が通過して容器外部に吐出され、容器の内圧を低下させることができる。
この場合に液漏れによりカバンの中が濡れる等の問題が生じる可能性があるが、容器の内圧が上昇して容器の接合部等に問題が生じたりするのを確実に防止できる。
なお、容器からの液漏れによる容器周囲が濡れる問題に関しては、後述のように別の構成で対応可能である。
【0019】
なお、一般に市販されている防水性を有する通気性シートは、連通する多数の小さな穴を有し、気体(空気や蒸気)を通すが、液体(水)を通さないものであり、たとえば、表面に撥水性を有することで、水の通過を阻止するようになっている。このような空気(水蒸気)と水とのうち選択的に空気だけを通す通気性シートにおいては、通気性シートで区切られた2つの空間に圧力差が有り、通気性シートの高圧側が水に接し、低圧側が空気に接している場合に、高圧側から低圧側に水を通すようになっている。本発明は、上述のような通気性シートうち、小さな圧力差でも円滑に水を通す通気性シートを用いている。
【0020】
また、このような通気性シートは、ケース等の内圧が高くなるのを防止するための通気孔において、ケース内に埃や水を浸入させることなく、内部の空気だけを放出可能とするのに使用される場合がある。それに対して、本発明では、容器の内圧が高くなるのを防止するだけではなく、容器の内圧が高くない状態では、容器内の電解溶液(電解水含む)が通気孔から漏出するのを防止するとともに、万が一、内圧が高くなる状態で、かつ、通気孔の部分が容器内の電解溶液の水面下となってしまっているような場合に、液漏れ防止よりも、内圧上昇を防止することを優先して、容器内の電解溶液を吐出可能とすることに通気性シートを用いている。すなわち、防水性を有する通気性シートが圧により防水性能が低下するのを利用している。
【0021】
請求項3に記載の電解水生成噴霧装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、
前記容器内には、前記電解槽と、当該電解槽とは別に独立して設けられて電解溶液を貯留するとともに、前記電解槽に連通する連通路を備えて当該電解槽に電解溶液を供給する電解溶液貯留槽とを備え、
前記噴霧機構は、前記電解槽に連通して当該電解槽から電解液を吸水する吸水路を備え、当該吸水路で吸水される電解液を噴霧することを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明においては、容器内の電解溶液が貯留される部分全体を電解槽として、貯留される電解溶液の全てを電解するのではなく、容器内に電解溶液を貯留する電解溶液貯留槽とは別に、電解槽を設け、電解溶液貯留槽から電解槽に供給された電解溶液だけを電解することになる。
したがって、容器内に貯留された全ての電解溶液を電解した場合よりも、電解溶液貯留槽から電解槽に流入する一部の電解溶液だけを電解した方が、同程度の電解状態とするのに時間がかからない。したがって、電解槽のサイズを調整することにより、起動してから短時間で電解槽で電解された電解水を噴霧して使用することができる。
【0023】
また、使用中も電解を継続するとともに、電解槽から使用されて減少した電解水の分だけ電解溶液貯留槽から電解溶液が流入するようにすることで、連続的に電解水を生成して噴霧することも可能であり、電解槽の容量が小さくても、電解水の使用可能な量が電解槽の容量によって制限されるわけではない。
また、使用時に毎回電解を行うようにしても、電解されるのは電解槽内の電解溶液だけなので、使用される分量に近い分量だけを効率的に電解することが可能となる。
【0024】
したがって、電解中もしくは電解からあまり時間の経過していない劣化していない電解水を経済的に毎回使用することができる。また、電解中で電解ガスが発生している場合でも、容器の内圧は、通気孔から通気性シートを介して電解ガスが放出されることで、大気圧レベルに保たれており、噴霧時に利用者が予期しないレベルの電解水が噴霧されたり、予期しないレベルの勢いで電解水が噴霧されるのを防止することができる。
【0025】
請求項4に記載の電解水生成噴霧装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記容器の上端部には、前記電解槽に連通するとともに前記噴霧機構を取り付ける円筒状の取付口部が備えられ、当該取付口部の外周に雄ねじが設けられ、
前記噴霧機構には、前記取付口部内に挿入されるとともに前記容器内の電解槽に至る吸水路と、当該吸水路で吸水される電解水を噴霧するとともに前記容器の外側に露出する噴霧部と、当該噴霧部が取り付けられるとともに、前記取付口部の雄ねじに締め付けられる雌ねじを備える接続蓋部が備えられ、
前記接続蓋部を前記取付口部に締め付けて固定することにより、前記取付口部の上端開口が閉塞されるとともに、前記容器に前記噴霧機構が取り付けられ、
前記取付口部の雄ねじより下側に前記通気孔が設けられ、
前記取付口部に固定された前記接続蓋部の下部が前記取付口部の前記通気孔を覆う位置に配置され、かつ、前記容器と前記取付蓋部との間には、前記通気孔から排出される気体を逃がす隙間が設けられていることを特長とする。
【0026】
請求項4に記載の発明においては、通気性シートを備える通気孔を接続蓋部に覆われて隠れた状態とすることができ、通気孔を隠すことで電解水生成噴霧装置の外観のデザインに通気孔が影響せず、デザインの自由度が高くなる。
また、通気孔から電解ガスが放出される場合に、通気孔から放出される電解ガスは、接続蓋部の内周面に当たった後に、接続蓋部と容器との間の空間に広がり、接続蓋部と容器との間から外部に放出されることになる。
【0027】
これにより、放出された電解ガスの勢いが弱められることになる。なお、電解ガスの放出される際の勢いは、通気性シートによっても弱められており、さらに弱いものとなり、例えば、電解水生成噴霧装置を持った手に当たっても気にならないものとなる。また、通気孔から放出された電解ガスは、例えば、有蓋筒状の接続蓋部の底側の開口から緩やかに放出されるので、手や顔の肌に勢いのある電解ガスが吹きかけられた状態となるの防止することができる。
【0028】
また、通気孔から電解溶液が吐出される場合でも、前記電解ガスと同様のルートで吐出されることで、勢いが弱められるとともに、吐出される液量が少なければ、接続蓋部と容器との間の空間に保持され、吐出された電解溶液により周囲のものが濡れるのを防止することができる。
【0029】
請求項5に記載の電解水生成噴霧装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、
前記噴霧機構には、前記容器から露出するとともに、前記電解水を噴霧する噴霧部が備えられ、
前記容器の前記噴霧部近傍に前記通気孔が形成され、
前記容器には、前記容器の前記通気孔が形成された部分と、前記噴霧部とを略密閉した状態に覆う着脱自在なキャップが設けられ、
当該キャップには、当該キャップの内外に連通し、かつ、前記通気孔より小径の孔が形成さていることを特徴とする。
【0030】
請求項5に記載の発明においては、通気孔の通気性シートから電解溶液が吐出されるような場合でも、吐出された電解溶液は、通気孔を覆った状態のキャップ内に溜ることになり、例えば、電解水生成噴霧装置をカバンに入れていたような状況で、電解溶液の漏れが発生してもカバンの中が電解溶液で濡れるのを防止することができる。
また、キャップには、通気孔より小さい孔があるので、キャップ内に電解ガスや電解溶液が漏出することにより、キャップ内の内圧が高くなるのを防止することができる。また、これによりキャップの内圧が高くなってキャップが容器から外れてしまうのを防止することができる。
【0031】
また、通気孔から吐出された電解溶液が、キャップの孔から外部に漏出する虞があるが、キャップと容器との間に比較的大きな空間を設けることが可能である点と、孔が通気孔より小さい点とから、漏出された電解溶液がキャップの孔から漏出しずらい状態とすることが可能であり、キャップに孔を設けてもほとんどの場合に電解溶液のキャップの孔からの漏出を防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、電解水生成噴霧装置において、通気性シートを備えた通気孔から基本的に空気を放出可能とするとともに電解溶液の吐出を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る電解水生成噴霧装置を示す断面図であり、図2は電解水生成噴霧装置を破断した状態の斜視図であり、図3は図1の要部拡大図である。
【0034】
図1から図3に示すように、電解水生成噴霧装置は、ケース1と、電解槽3および電解槽3に電解溶液を供給する電解溶液貯留槽4とを備える容器2と、電解槽3の電極(陽極と陰極、図では2つ近接して並んだ陽極と陰極とを並び方向から見ているため、例えば、陽極に陰極が隠されて一本だけ図示されている)5に電力を供給する電源部6と、電解槽3内の電解された電解溶液すなわち電解水を噴霧する噴霧機構7と、容器2の上端部から上側に露出する噴霧機構7の一部を容器2の上端部とともに覆うように容器2に着脱自在に取り付けられるキャップ8とを備える。
【0035】
なお、電解水生成噴霧装置は、例えば、スキンケアに電解水を用いるもので、顔や手などの皮膚に電解水を噴霧して塗布することになり、一般的なスキンケア用の化粧水と同様の使用方法で使用されることから、そのデザインを化粧水用の噴霧器つき容器と似たものとされており、ケース1と容器2とから筒状の構造を構成し、その上端部に手動の噴霧機構7を設け、筒状の構造の噴霧機構7が露出する上端部にキャップ8を取り付ける構造となっている。言い換えれば、外観上は化粧水用の噴霧器付き容器と同様となっており、例えば、樹脂製のビンの口部分に霧吹き等で用いられる一般的な噴霧器を取り付け、当該噴霧器をキャップで隠せるようにした化粧水容器に似せたものとなっている。
【0036】
しかし、この例の電解水生成噴霧装置は、その内部に電池を収納する電池収納部61を有する電源部6や、電源部6から供給される電力と、電解溶液貯留槽から供給される電解溶液とにより、電解水を生成する電解槽3等が内蔵されており、単に化粧水を貯留した容器に噴霧器を取り付けた化粧水用噴霧器付き容器とは大きく異なるものとなっている。
ケース1は、上端が開放され、下端部に電池のセットおよびリセット用に開閉する開閉蓋11を備えた筒状の部材である。
【0037】
なお、この例では、筒状のケース1は、左右幅が前後幅より長くされた八角形状に形成されている。そして、ケース1は、その上端部に容器2が着脱自在にねじ止めされて固定されるようになっており、ケース1内部の殆どは、容器2ではなく、電源部6となっている。
すなわち、ケース1の上端部を除く上端部より下の部分は、電池(例えば、単4形電池)が2本内蔵される電源部6として機能する。
【0038】
また、電源部6は、電解を開始を指示するためのスイッチ62と、当該スイッチ62が接続されるとともに電池からの電力が供給され、電解槽3の電極5への電圧の印加を制御する制御基板63とを備える。
スイッチ62は、上下にスライドする操作部材62aと、操作部材62aの裏面側に設けられた押圧部材62bと前記制御基板63の前記押圧部材62bに対向する位置に設けられた押圧スイッチ本体62cとを備える。
【0039】
操作部材62aは、その上端部がケース1に形成されたスイッチ62用の開口部に両側縁部を上下動自在に保持されている。また、操作部材62aの下端部は、操作部材62aが、その上下動範囲の下側となっている際に、ケース1の開口部の下側縁部の外側に重なって配置され、操作部材62aのケース1の外から内側へ無効方向の弾性変形が阻止され、スイッチ62を押す操作を禁止するロック状態になる。
【0040】
また、操作部材62aをその上下動範囲の上側とすると、操作部材62aのケース1の開口部の下側縁部と重なっていた部分が開口部の開口と重なる位置となって、操作部材62aのケース1の外から内側への押圧による弾性変形が可能となる。
そして、操作部材62aをケース1の内側に押圧すると、押圧部材62bが操作部材62aと一体にケース1の中心側に向かって移動し、制御基板63に設けられたスイッチ62の押圧スイッチ本体62cを押圧してスイッチ62を作動した状態とする。なお、押圧スイッチ本体62cは、一般的な押しボタンスイッチ状のものであり、ボタンが押されたときだけ、オンとなり、ボタンを押す押圧力が解除されると内臓されたバネの付勢力により元に復元してオフとなる。
【0041】
なお、制御基板63では、スイッチ62の押圧スイッチ本体62cがオンとなった際に、例えば、予め設定された時間だけ電解槽3の電極5に電圧をかけるようになっている。
また、制御基板63では、状況に応じて押圧スイッチ本体62cがオンとなっても、電極5に電圧を供給しないように制御することも可能であり、例えば、短時間内での連続使用を禁止するような制御も可能である。
【0042】
また、制御基板63には、電解槽3部分を照らすLED(図示略)に電流を流して点等する配線が接続されているとともに、LED点灯および消灯を制御するようになっており、電解槽3で電解が開始されて所定時間経過するとLED点灯し、さらに所定時間経過するとLEDを消灯するようになっている。なお、LEDの制御や電極5への電圧の印加の制御を時間ではなく、電極5間で流れる電流等によって制御するものとしてもよい。
また、ケース1の下端部には開閉蓋11が設けられ、開閉蓋11はヒンジによりケース1の下端に開閉自在に取り付けられるとともに、閉じた状態にロック可能となっており、開閉蓋11を開くと、電池を収容する電池収納部61の下部が開放し、電池の交換が可能となっている。
【0043】
また、ケース1は、容器2の電解溶液貯留槽4より下に配置される。そいて、電解溶液貯留槽4部分における容器2の外周は、ケース1と同形状、すなわち、この例では8角形の筒状となっており、容器2のケース1の上に配置される電解溶液貯留槽4と、ケース1とが同形状に形成され、容器2の電解溶液貯留槽4部分とケース1とが連続した形状となるように形成されている。
【0044】
そして、後述のように電解溶液貯留槽4の下側に電解槽3が配置されるが、電解溶液貯留槽4がケース1と同じ八角形の断面全体を槽として使用するのに対して電解槽3は、電解溶液貯留槽4の下において、例えば電解溶液貯留槽4の1/10以下の容積となっている。
そして、断面8角形の筒状のケース1の8つの面のうちの一つの面の上端部、すなわち、電解溶液貯留槽4の下側の容器2の電解槽3部分が収容される部分に、電解槽3の前面を露出せる切欠部が形成され、当該切欠部に電解槽3の前面となる容器2の面が突出して形成され、当該電解槽3の前面とケース1の前記切欠部を有する面とが、ほぼ面一(同一平面)となるように形成されている。
【0045】
前記容器2は、上述の電解溶液貯留槽4部分が八角形の筒状に形成され、その上部が上に向かうにつれて段階的に径が狭まる形状とされた肩部21とされ、肩部21の中央部にビンの口と同様の形状を有する円筒状の取付口部22が設けられている。また、容器2は、透明な樹脂から形成されており、電解槽3における電解溶液の電解時に発生する電解ガスや、電解溶液貯留槽4における電解溶液の貯留量を外部から見ることが可能となっている。
【0046】
また、上述のLEDの発光も電解槽3部分から見ることが可能となっている。
なお、電解槽3における電解が開始されて所定時間経過し、電解ガスが発生する段階では、上述のLEDが発光することで、電解ガスの泡が照らされて、電解ガスの泡が見易い状態となる。
また、電解溶液貯留槽4の下の前側には、四角箱状の電解槽3が形成されている。
電解槽3は、容器2の電解溶液貯留槽4部分の8面のうちの前面となる一つの面と面一となる前面を前記電解溶液貯留槽4部分の下側に備えている。
【0047】
そして、容器の電解槽3の前面となる部分は、電解溶液貯留槽4の前面より幅が狭く、電解溶液貯留槽4の前面の中央部の下側に配置され、上述のようにケース1の切欠部から露出した状態となっている。したがって、ケース1は不透明な樹脂であるが、ケース1の上に露出して配置される容器2の電解溶液貯留槽4と、容器2の切欠部から露出する電解槽3は、容器2が透明な樹脂からなることにより、内部を視認可能となっている。
【0048】
電解溶液貯留槽4は、上述の取付口部22と連通しており、間に特に境等がなく、ビンの肩部分と首部分(口部分)と同様に一体の内部空間を有するものとなっている。
一方、電解溶液貯留槽4と電解槽3との間には、電解溶液貯留槽4の底部の位置で、かつ、電解槽3の天井となる位置に、水平な隔壁23が設けられている。
【0049】
当該隔壁23の電解溶液貯留槽4および電解槽3の前面となる部分には、これらの前面となる容器2の部分と隔壁23の前縁との間にスリット状の隙間が設けられ、この隙間を介して電解溶液を電解溶液貯留槽4から電解槽3に供給するようになっている。すなわち、前記隙間が電解溶液貯留槽4と電解槽3とを連通する連通路24となっている。
【0050】
また、電解溶液貯留槽4の中央部と、電解槽3の後端部となる部分で、隔壁23には貫通孔26が形成されている。この部分で、隔壁23は、下に下がるほど径が狭くなる円錐台状の凹部25が形成されるとともに、当該凹部25の中央部に電解溶液貯留槽4から電解槽3に連通する貫通孔26が形成されている。なお、凹部25は、隔壁23を漏斗上に加工したものであり、電解溶液貯留槽4から見ると凹部であるが、電解槽3側からみると円錐台状の凸部となる。
【0051】
そして、貫通孔26には、噴霧機構7のポンプ部72の下端部に接続された吸入管73が挿入されるようになっている。なお、ポンプ部72は、円筒状で当該ポンプ部72の下端部はポンプ部72の本体部より縮径されて細くなっており、当該下端部内に吸入管73の上部が嵌入されて接続されている。貫通孔26が吸入管73が挿入されることで、閉塞された状態となっており、貫通孔26の部分では、電解溶液の流通が無い状態となっている。なお、電解溶液が僅かな量だけなら流通してもよく、貫通孔26を吸入管73が完全に密閉した状態で閉塞しなくてもよい。
【0052】
そして、吸入管73の下端部は、電解槽3内の後部の下端部に配置され、ポンプ部72を作動させた際に、電解槽3の後部の下端部から電解水を吸い上げるようになっている。
したがって、電解槽3では、噴霧機構7を作動させると、噴霧機構7に当該電解槽3の後部の下端部から電解された電解溶液として電解水を吸い上げることになり、電解槽3から吸い上げられた分と同量の電解溶液が電解槽3の前部の上端部の連通路24を通って、電解溶液貯留槽4から電解槽3に流入するようになっている。
【0053】
そして、電解槽3の前部と後部との間の位置に、電解槽3の底部から上に向かって延出するように左右の電極5が設けられている。なお、電極5の下端部は電解槽3の底部を貫通し、図示しない配線により制御基板63に接続されており、制御基板63から電極5に電池を電源とする電圧が印加される。
なお、電極5の陽極および陰極は、互いの距離が近い部分と遠い部分とがあるようになっている。この例では、電極5は、陽極および陰極とも頭を有するねじ状(キノコ状)の形状となっており、全体として円柱状であるが、上端部だけ他の部分より径が大きな拡径部となっており、拡径部では、他の部分よりも陽極および陰極の距離が狭くなっている。
【0054】
前記取付口部22は、上端が開放され、下端部が電解溶液貯留槽4に連通する円筒状に形成されている。そして、取付口部22の上部の外周には、後述の噴霧機構7に設けられた接続蓋部71が螺合する雄ねじが形成されている。
また、円筒状の取付口部22には、電解槽3で電解溶液を電解して電解水を生成した場合に発生する電解ガス(空気)を放出するための通気孔9が形成されている。また、取付口部22の通気孔9は、円筒状の取付口部22の一つの直径に沿った線と交わる二箇所に形成されている。また、円筒状の取付口部22において、通気孔9部分には、その外周側に概略円板状の凹部が形成され、その凹部の中央に当該凹部より径が小さな貫通孔が形成され、この貫通孔が通気孔9となっている。そして、前記凹部には、前記通気孔9より径の大きな円形の通気性シート91が取り付けられており、この通気性シート91により通気孔9が完全に覆われた状態(閉塞された状態)となっている。
【0055】
ここで、電解槽3で電極5としての陽極と陰極との間に電圧を印加すると電解溶液、すなわち、電解質が溶解した水が電解される。この際に、例えば、NaCl等の塩(電解質)を溶解した水を電気分解すると、例えば、陽極に酸素ガス、陰極に水素ガスが発生する。すなわち、電解ガスが発生する。電解槽3で発生した電解ガスは、上に上昇するので、例えば、連通路24を通って電解槽3から電解溶液貯留槽4に至り、電解溶液貯留槽4の肩部21部分の電解溶液の水面からさらに上昇して取付口部22に至る。そして、取付口部22の上端開口は、接続蓋部71により閉塞されるので、上述の電解ガスが発生することにより内圧が高くなった容器2内の空気圧(ガス圧)が通気孔9から通気性シート91を通過して外部に放出されることになる。
【0056】
これにより、電解槽3を内部に有する容器2内で電解ガスが発生しても電解ガスによって容器2の内圧が高くなるのを防止することができる。
ここで、通気孔9から気体(ガス)を放出させるためには、通気性シート91を気体が透過可能となっている必要がある。
【0057】
この通気性シート91は、例えば、フッ化樹脂多孔質膜(例えば、4フッ化エチレン樹脂:ポリテトラフルオロエチレン)からなるものであり、例えば、このようなフッ化樹脂多孔質膜の製品としてはゴアテックス(登録商標)やテミッシュ(登録商標)が知られている。このような通気性シート91は、ミクロの互いに連通する多数の孔を有し、気体を容易に通過させることができるが、表面に撥水性があり、水を通過させることが困難なものとなっている。
【0058】
したがって、例えば、本発明の携帯が可能でカバンに入れて持ち歩けるほど小型な電解水生成噴霧器において、例えば、カバンに入れた際に容器2が倒れた状態となって、2つの通気孔の少なくとも一つが電解溶液の液面より下となっても、通気性シート91が電解溶液の通過を阻止して、電解溶液が通気孔9から容器2の外部に漏れるのを防止するようになっている。
【0059】
また、上述の通気性シート91は、当該通気性シート91の2つの側面のうちの一方の側面が水(電解溶液)に接した状態(水面下にある状態)で、かつ、他方の側面が空気と接している状態において、通気性シート91を境に圧力差があり、かつ、一方の側面が高圧で、他方の側面が低圧だと、圧力により通常は水を通さない通気性シート91を水が通過するようになる。
【0060】
この例では、例えば、複数のフッ化樹脂多孔質膜かなる通気性シートの製品を比較し、上述のような状態でできるだけ小さな圧力で水を通過させるものを実験的に求めて使用している。
すなわち、容器2の内外で圧力差がない場合には、通気性シート91が電解溶液の通過を阻止して液漏れを防止するが、例えば、スイッチ62をロックせずにカバンに収容することにより、スイッチ62が押されて電解が開始されて電解ガスにより容器2の内圧が上昇したような場合で、かつ、通気性シート91の容器2内側を向く側面に電解溶液が接触している場合に、容器2の内圧により電解溶液が通気性シート91を通過可能となり、電解溶液を通気孔9から漏出させてでも容器2の内圧を低下させる構成となっている。
【0061】
但し、通気性シート91において、気体の方が液体より通過抵抗が低くなっており、通気性シート91の高圧側となる一方の側面において、一部が気体に接し、一部が液体に接している場合は、通気性シート91に電解溶液が接した状態で容器2の内圧が高くなっても、気体が優先的に放出されて電解溶液の漏れを防止した状態で容器2の内圧の上昇を防止することができる。
【0062】
また、この例では、円筒状の取付口部22の円周上の互いに180度ずれた位置にそれぞれ通気孔9が形成されているので、これら2つの通気孔9のうちの一方の通気孔9を閉塞する通気性シート91が容器2内側を向く面が電解溶液に接し、他方の通気孔9を閉塞する通気性シート91の容器2内側を向く面が気体に接している場合に、容器2の内圧が高くなると、先に気体に接している他方の通気孔9の通気性シート91から気体が放出されることにより容器2の内圧が低下し、電解溶液に接した一方の通気孔9の通気性シート91からの電解溶液の液漏れを防止した状態で容器2内の内圧を低下することができる。
【0063】
ここで、容器2が立った状態では、通気性シート91は電解溶液貯留槽4内の電解溶液の液面より上となり、容器2の内圧が高くなっても液漏れは生じず、電解ガスが通気孔9から通気性シート91を通って放出される。
また、容器2が横になっても、取付口部22の互いに対向する位置に配置された2つの通気孔9のうちの一方が電解溶液の水面下で他方が電解溶液の水面上となっていれば、液漏れは防止される。すなわち、一方の通気孔9が上に配置され、他方の通気孔9が下に配置された場合に、液漏れが防止される可能性が高い。
【0064】
ここで、両方の通気孔9が同じ高さ位置になった場合に電解溶液の液量が少なければ、両方が電解溶液の液面より上となり容器2の内圧が高くなっても液漏れを防止することができる。また、電解溶液の液量が多すぎれば、両方の通気孔が電解溶液の液面の下となって、容器2の内圧を下げるだめに電解溶液の漏れが発生する。
また、電解溶液の液量が多少多い程度では、2つの通気孔9それぞれにおいて、電解溶液に接する部分と空気に接する部分とが生じる可能性があり、この場合は上述のように通気性シート91の一部が気体に接していることから液漏れが防止される。
【0065】
また、電解水生成噴霧装置が逆さになっている状態では、容器2内の液量が極めて少ない状態以外は、通気性シート91が両方とも液面の下となり、容器2の内圧が高くなると液漏れが生じる。
したがって、通気性シート91を備えた通気孔9を異なる位置に複数設けること、たとえば、円筒状の取付口部22の対向する二箇所に設けることで容器2の内圧の上昇を防止するために液漏れが発生する事態となる場合を減少させることができる。
【0066】
なお、この例における通気性シート91の内圧の上昇を防止する使用方法で一般的な通気性シートの使用方法と異なる点は、通常はケース外からの水の浸入を防止しつつ、内圧の上昇を防止するので、いかなる状態でも水を通過させないものとなるが、この例では、容器2内部に電解溶液があり、かつ、携帯することから、容器2が通常の配置から横に倒れた状態や逆さまの状態となることがあり、通気孔9が水で塞がれた状態でも内圧を低下させるために、通性性シートとして、圧力差がある場合に円滑に水を通す製品を選択して用いている。
【0067】
前記噴霧機構7は、前記容器2の取付口部22の外周の雄ねじに螺合する接続蓋部71と、接続蓋部71の上端部に設けられ、前面に電解水を噴霧する噴霧口75を備え押下することによりポンプ部72を作動させるヘッド76と、前記ポンプ部72とを備える。
【0068】
そして、ヘッド76は、常時ポンプ部72のバネ77で上方に付勢されており、バネ77の付勢力に抗してヘッド76が使用者の指等で下方に押された際に、ヘッド76が当該ヘッド76の上下動の移動範囲の下端側に移動し、下方の押圧が解除されるとヘッド76がバネ77の付勢力によりヘッド76の移動範囲の上端に戻されることになる。
そして、ポンプ部72は、ヘッド76が押されて下方に移動すると既に吸水した電解槽3の電解水を吐出することになり、ポンプ部72から吐出された電解水はヘッド76の噴霧口75から外部に噴霧される。
【0069】
また、ヘッド76の押下が解除されてヘッド76が下から上に移動する際に、ポンプ部72は、吸入管73を介して電解槽3で電解された電解水を吸引するようになっている。この際に、電解槽3の電解水(電解溶液)の減少に対応して電解溶液貯留槽4から連通路24を通って電解溶液貯留槽4の下側の電解槽3に電解溶液が流入する。
なお、この例では、電解槽3の電極5となる陽極と陰極との間に液体の流れを制限する隔膜がなく、電解槽3で電解された電解溶液は、陽極側がアルカリ性イオン水となり、陰極側が酸性イオン水となるが、電極5への電圧の印加が停止すると、これらアルカリ性イオン水と酸性イオン水が互いに拡散して中和される状態となる。この例では、スイッチ62を押して電解槽3における電解が開始されて僅かな時間経過後に例えば上述のLEDが点灯して使用を促す状態となり、電解中もしくは電解直後で中和していない電解水を噴霧することになる。
【0070】
また、電解により電解槽3で生じた電解ガスは、通常の使用状態、すなわち、ケース1を立てた状態では、電解槽3より上となる電解溶液貯留槽4に連通路24を通って上昇し、さらに電解溶液貯留槽4の上部の電解溶液の液面より上の空気の部分に排出される。なお、取付口部22は、基本的に電解溶液の液面より上となるように、電解溶液貯留槽4に電解溶液が注入されることが好ましい。
【0071】
そして、電解ガスが発生した時点で、電解ガスが上述のように下から上に移動しなくても、容器2の内圧が高くなり、取付口部22の下部の通気性シート91を備えた通気孔9から空気(電解ガスを含む)が放出される。
そして、円筒状の接続蓋部71には、その内側の下側にポンプ部72が固定され、ポンプ部72に上述のように上下に移動可能にヘッド76が取り付けられている。
【0072】
また、円筒状の接続蓋部71の内周面の上部には、取付口部22の外周面の上部に設けられた雄ねじに螺合する雌ねじが形成されている。そして、取付口部22の雄ねじに前記雌ねじを螺合することで、取付口部22の外周に円筒状の接続蓋部71が取り付けられるとともに、取付口部22の上端開口を接続蓋部71の天板部分が覆って液漏れしないようにシールした状態に閉塞する。また、取付口部22の外周面を容器2の略肩部の高さまで、すなわち、取付口部22の基端(下端)の高さまで接続蓋部71が覆うようになっている。
【0073】
これにより、取付口部22の通気性シート91を有する通気孔9は、接続蓋部71に覆われて隠された状態となり、通気孔9が電解水生成噴霧装置の外観に影響を与えるのを防止することができる。また、通気孔9が接続蓋部71内に配置された状態となり、通気孔9から吹き出す電解ガスや電解溶液が直接使用者の肌に吹きかけられたりするのを防止することができる。
【0074】
なお、取付口部22に接続蓋部71を上述のように取り付けた状態で、取付口部22の外周面の下部と、その周囲に配置される接続蓋部71の内周面の下部との間には隙間が設けられており、接続蓋部71と容器2の肩部21との間にも隙間が設けられている。これにより、通気孔9から吐出される気体および液体は、取付口部22の下部と接続蓋部71の下部との間に入ることになり、さらに、接続蓋部71の下端と容器2の肩部21との間から接続蓋部71外に流出可能となっている。
【0075】
ここで、通気孔9から上述のように電解溶液が吐出された場合には、その表面張力と、取付口部22の外周面と接続蓋部71の内周面との間隔等とにもよるが、基本的に電解溶液が取付口部22と接続蓋部71との間に保持され、電解溶液の外部への漏出を抑止することになる。
【0076】
これにより、上述のように電解水生成噴霧装置が横に倒れた状態や、カバンの中の他の物に支えられて逆さになった状態、すなわち、通気孔9が電解溶液の液面の下になった状態で電解ガスにより容器2の内圧が上昇するような事態となった際に、通気孔9から通気性シート91を介して電解溶液を吐出する状態となっても、吐出された電解溶液により外部のもの(例えば、カバンに収納されたもの)が濡れるのをある程度防止することができる。
【0077】
さらに、この例では、容器2の肩部21の外周部分に有蓋筒状のキャップ8が嵌合するようになっている。なお、容器2の肩部21の外周部分とキャップ8の嵌合においては、液漏れしない密閉状態となっている。また、キャップ8は、ケース1および容器2の電解溶液貯留槽4部分とほぼ同サイズの多角形筒状となっており、これが全て八角形状となっている。また、容器2の肩部の外周部分に嵌合するキャップ8の外周と容器2の外周とは、ほぼ面一となる状態となっている。そして、キャップ8の内側には、取付口部22、噴霧機構7の接続蓋部71、ヘッド76が配置されるが、その周囲に広い空間が確保されている。なお、噴霧機構7のポンプ部72等は、取付口部22内に配置されるので、キャップ8の内部空間の体積には影響がない。
【0078】
そして、上述のように通気孔9から接続蓋部71と取付口部22との間に漏出した電解溶液が接続蓋部71と容器2の肩部21との隙間から漏出しても、キャップ8を容器2に取り付けていれば、電解溶液は、キャップ8内に入った状態となっている。
また、有蓋円筒状のキャップ8の蓋部分(天板部分)には、通気孔9よりも小さい孔81が形成されており、キャップ8をした状態で、スイッチ62をオンとして、電解が開始された場合に、電解ガスは、通気孔9からキャップ8内の空間に押し出されるが、この際にキャップ8内の空気が孔81から流出する。これによって、電解槽3を有する容器2内およびキャップ8内の内圧が高まるのを防止することができる。
【0079】
したがって、キャップ8内の内圧が高まることで、キャップ8が容器2から外れてしまうといった事態を防止することができる。
また、キャップ8内の空間の容積が比較的大きいことと、キャップ8の孔81が通気孔より小さいことから、キャップ8の孔81がキャップ8内に漏出した電解溶液の水面下となるようなことがなければ、電解溶液の孔81からの漏出がなく、カバンの中が濡れてしまうのを防止することができる。
【0080】
また、キャップ8の容積を大きくすることで、キャップ8内に露出した電解溶液が溜った状態となるのを防止し、電解溶液が水滴状態で散在している状態とすれば、水滴の一つが孔81の位置と重なっても、孔81から漏出する電解溶液は水滴の一部となる量で、万が一、カバン内に電解溶液を漏出するようなことがあっても、カバン内に漏出する電解溶液の量を少なくすることができる。
【0081】
したがって、例えば、カバンの中等で、電解水生成噴霧装置のスイッチ62がオンになるような事態や、スイッチ62をオンにしてからカバンに電解水噴霧生成装置を入れてしまったような場合でも、容器2内の内圧が上昇するのを防止することができ、かつ、カバンの中に電解溶液が漏出するのを抑制することが可能となる。
【0082】
以上のような電解水生成噴霧装置によれば、容器2内の電解槽3で電解溶液の電解により電解ガスが発生した場合に、容器2内の気体を通気性シート91を備える通気孔9から放出することで、容器2の内圧上昇を防止することができる。
また、電解を行っていない状態で、電解水生成噴霧装置が横に倒れたり、逆さになったりしても、電解溶液が容器2から通気孔9を通って流出するのを、通気性シート91により防止することができる。
【0083】
さらに、電解を行っている状態か電解が終了した直後で、容器2内が大気圧より高くなっている状態において、電解水生成噴霧装置が横に倒れたり、逆さになっていたりすることで、通気孔9が電解溶液の水面下となるような状態では、電解溶液が通気性シート91を通過して通気孔9から吐出されることにより、容器2内の内圧上昇を抑えることができる。
すなわち、電解溶液の漏出防止よりも、容器2内の内圧上昇防止を優先させることで、多少電解溶液が漏出するようなことがあっても、容器2の内圧上昇により、容器2の噴霧機構7との接合部等から電解溶液の多くを漏出してしまうような事態を防止することができる。
【0084】
この際には、容器2から電解溶液が漏出した状態となるが、容器2の通気孔9が形成された取付口部22の外周に接続蓋部71が配置され、取付口部22と接続蓋部71との間に間隔があるので、容器2から漏出した電解溶液が取付口部22と接続蓋部71とに間に保持されることになる。これにより、漏出した電解溶液による外部への影響を低減することができる。また、容器2と接続蓋部71との間の隙間により円滑に通気孔9から電解ガス等の気体を放出することができる。
【0085】
また、容器2にキャップ8が取り付けられていれば、通気孔9から漏出した電解溶液がキャップ8外に出るのがさらに阻害される。なお、キャップ8に通気孔9より径の小さい孔81があるので、キャップ8が容器2の内圧低下の妨げになることがなく、かつ、キャップ8の内圧上昇を防止することができ、かつ、キャップ8からの電解溶液の漏出も低減できる。
【0086】
なお、本発明は、上述の電解溶液貯留槽4に連通する電解槽3を備えた電解水生成噴霧装置に限定されるものではなく、容器2内に貯留される電解溶液の全てを一度に電解するものであっても良いし、電解槽3の陽極と陰極との間に隔膜を供えるものであって、隔膜の一方の空間から選択的に電解水を吸水して噴霧するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態の電解水生成噴霧装置を示す段面図である。
【図2】前記電解水生成噴霧装置を破断した状態を示す要部斜視図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0088】
2 容器
22 取付口部
24 連通路
3 電解槽
4 電解溶液貯留槽
7 噴霧機構
71 接続蓋部
72 ポンプ部(吸水路)
73 吸入管(吸水路)
75 噴霧口(噴霧部)
76 ヘッド(噴霧部)
8 キャップ
81 孔
9 通気孔
91 通気性シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解溶液を電解して電解水を生成する電解槽と、当該電解槽で生成された電解水を噴霧する噴霧機構とを備えて携帯可能な電解水生成噴霧装置において、
内部に前記電解溶液を貯留するとともに前記電解槽を有する容器を備え、
前記容器の前記電解槽に連通し、かつ、前記電解溶液の液面より上となる部位に、
当該容器内と外部とを連通する通気孔が形成され、
当該通気孔が、気体を通過可能とする通気性を有するとともに、少なくとも前記容器内と外部との間に圧力差が無い状態で電解溶液の通過を阻止する遮水性を備えた通気性シートにより閉塞されていることを特徴とする電解水生成噴霧装置。
【請求項2】
前記通気性シートは、前記容器内の電解溶液に接した状態で前記容器内の圧力が外部の圧力より高くなった際に、当該圧力により前記容器内から外部への電解溶液の通過を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の電解水生成噴霧装置。
【請求項3】
前記容器内には、前記電解槽と、当該電解槽とは別に独立して設けられて電解溶液を貯留するとともに、前記電解槽に連通する連通路を備えて当該電解槽に電解溶液を供給する電解溶液貯留槽とを備え、
前記噴霧機構は、前記電解槽に連通して当該電解槽から電解液を吸水する吸水路を備え、当該吸水路で吸水される電解液を噴霧することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電解水生成噴霧装置。
【請求項4】
前記容器の上端部には、前記電解槽に連通するとともに前記噴霧機構を取り付ける円筒状の取付口部が備えられ、当該取付口部の外周に雄ねじが設けられ、
前記噴霧機構には、前記取付口部内に挿入されるとともに前記容器内の電解槽に至る吸水路と、当該吸水路で吸水される電解水を噴霧するとともに前記容器の外側に露出する噴霧部と、当該噴霧部が取り付けられるとともに、前記取付口部の雄ねじに締め付けられる雌ねじを備える接続蓋部が備えられ、
前記接続蓋部を前記取付口部に締め付けて固定することにより、前記取付口部の上端開口が閉塞されるとともに、前記容器に前記噴霧機構が取り付けられ、
前記取付口部の雄ねじより下側に前記通気孔が設けられ、
前記取付口部に固定された前記接続蓋部の下部が前記取付口部の前記通気孔を覆う位置に配置され、かつ、前記容器と前記取付蓋部との間には、前記通気孔から排出される気体を逃がす隙間が設けられていることを特長とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電解水生成噴霧装置。
【請求項5】
前記噴霧機構には、前記容器から露出するとともに、前記電解水を噴霧する噴霧部が備えられ、
前記容器の前記噴霧部近傍に前記通気孔が形成され、
前記容器には、前記容器の前記通気孔が形成された部分と、前記噴霧部とを略密閉した状態に覆う着脱自在なキャップが設けられ、
当該キャップには、当該キャップの内外に連通し、かつ、前記通気孔より小径の孔が形成さていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電解水生成噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−75804(P2010−75804A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245149(P2008−245149)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000177612)株式会社ミクニ (332)
【Fターム(参考)】